説明

生体強化組成物

本発明は、少なくとも1つの溶解促進剤を用いてアンジオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)の組成物を調製することにより、ARBのバイオアベイラビリティーを増大させる方法に関する。特に、本発明は、溶解促進剤として作用するだけでなく、特にARBの溶解度が最小な酸性または弱酸性媒体中での溶解速度を増大させる溶解促進剤に関する。組成物において、ARBは溶解促進剤との物理的配合物、固体分散体、固溶体または複合体の形態において存在することが可能である。ARBと溶解促進剤との組成物は、即時放出もしくは制御放出または他の適切な変更された放出製剤に組み込むことができる。ARBの組成物を含有する即時放出投与形態は、酸性媒体(pH<3)中で少なくとも40%のin vitro放出をもたらす。結果として、ARBのバイオアベイラビリティーは、Cmax、AUC0-tおよびAUC0-∞により少なくとも20%増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、インド特許出願番号477/MUM/2005、2005年4月18日出願、および0315/MUM2006、2006年3月6日出願の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照により本願明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、少なくとも1つの溶解促進剤を有するアンジオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)の組成物を調製することにより、ARBのバイオアベイラビリティーを増大させる方法に関する。本発明は、GI管におけるARBの放出が生理的pH状態から独立した、新規なまたは改良された溶解プロフィールを提供することに特に焦点を合わせている。
【背景技術】
【0003】
アンジオテンシンIIは非常に強力な最終化学生成物であり、血管を取り巻いている筋肉を収縮させ、それにより血管を顕著に狭める原因となる。この狭窄は動脈血管内の圧力を増大させ、高血圧症の原因となる。アンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)は、アンジオテンシンIIの作用をブロックする薬物である。結果として、動脈血管が拡張して血圧が低下し、それにより心臓が血液を送り込むのを容易にする。したがって、ARBは高血圧症と同様に心不全を改善するために用いられる。加えて、それらは高血圧症または糖尿病による腎臓病の進展を遅らせる。
【0004】
積極的な血圧コントロールの重要性は明白であるが、治療上の焦点は、現在BP低下と同じ重要性を有する治療目的として末端器官の保護へと拡張している。したがって、高血圧症または糖尿病による腎臓病の進展を遅延化する上で、ARBの値は、商業的な意味と同様に非常に好ましい医学的な意味を有する。
【0005】
この種類の薬物は、カンデサルタン(Atacand、Astra-Zeneca)、エプロサルタン(Teveten、Solvay&Biovail)、イルベサルタン(Avapro、BMS)、ロサルタン(Cozaar、Merck)、オルメサルタン(Benicar、Medoxomil;Sankyo&Forest)、テルミサルタン(Micardis、Boehringer Ingelheim)、バルサルタン(Diovan、Novartis)、およびプラトサルタン(Kotobuki)を含む。ARBは単独で、またはチアジド系利尿薬、β-ブロッカー、カルシウムチャンネルブロッカー、レニン阻害剤、およびACE阻害剤を含む他の種類の降圧剤との組合せで、高血圧症とうっ血性心不全の両方の処置に用いられる。
【0006】
バルサルタン、選択的ARB、はよく知られた降圧剤である。バルサルタンは経口投与された後、胃腸管から急速に吸収される。バルサルタンの絶対バイオアベイラビリティーは、約25%(10〜35%)である。バルサルタンのこの比較的低いバイオアベイラビリティーは、主に胃腸管の酸性環境におけるその低い溶解性による。バルサルタンは酸であり、したがって、pH>5で良好な溶解性を示し、胃腸(GI)環境の酸性状態で低い溶解性を示す。バルサルタンは、その溶解性の低い小腸から吸収される。
【0007】
バルサルタンの合成および使用については、米国特許第5399578号('578特許)に記載されている。バルサルタンの種々の多形および塩の形態については、国際公開第04083192号、国際公開第04087681号、および国際公開第03066606号に記載されている。
【0008】
国際公開第04101535号は、医薬組成物ならびに死亡の危険性および症候性心不全を有する患者の死亡を低減する方法であって、このような患者に有効量のバルサルタン、またはその薬学上許容される塩を単独で、または他の治療剤との組合せにより、場合によって薬学上許容される担体の存在下で投与することを含む方法に関する。この特許は、バルサルタンの新規な使用または新規な結晶形態を記載するが、バルサルタンの低いバイオアベイラビリティーに関する問題を扱うものではない。
【0009】
米国特許第6294197号('197特許)および米国特許出願公開第2003/0035832号は、バルサルタン単独、またはバルサルタンと、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)と、圧縮方法により固体投与形態を調製するための薬学的な添加物との組合せによる、固体経口投与形態を記載する。本発明による固体投与形態は、製剤中に35重量%より多くの活性剤を含有する。ロール圧縮を採用した、かかる投与形態の製造方法も開示されている。
【0010】
米国特許第6485745号('745)において、バルサルタンの固体投与形態がpH6.8のリン酸緩衝液中において、活性剤の放出を促進すると記載されている。しかし、0.1N HCl中での放出は、バルサルタンの溶解性が最小となることに対処していない。
【0011】
米国特許出願公開第2002/0132839号および米国特許出願公開第2003/0152620号は、バルサルタンの錠剤形態の医薬組成物が、従来のバルサルタンカプセルに比べ、バイオアベイラビリティーにおいて少なくとも1.2倍高いと述べている。本発明による錠剤製剤は、崩壊剤を組成物の全重量に対し10〜80%の濃度レベルで含有する。崩壊剤の量が多いと、造粒段階で疎水性のバルサルタンを確実によく湿らせる。錠剤は、顆粒として溶解媒体中に容易に分散し、結果としてよりよく溶解し、かつ通常の製剤に比べてバイオアベイラビリティーを増大させる。しかし、本発明は、胃の環境においてバルサルタン自体の溶解性を増大させる方法を記載せず;したがって、0.1N HCl中でのバルサルタンの溶解性は低いままであり、結果としてバイオアベイラビリティーも低下する。
【0012】
バルサルタンと同様に、カンデサルタン(candesartan)cilexitilは、低水溶性の疎水性分子であり、経口利用性に乏しい結果(約14%)となる。国際公開第2005/070398A2号は、カンデサルタンcilexitil、脂肪酸グリセリド、界面活性剤、共溶媒および薬学上許容される添加物を含有する、錠剤形態の医薬組成物を特許請求の範囲に記載している。製剤はさらに皮膜形成性ポリマーおよびポリエチレングリコールにより被覆されている。共溶媒はカンデサルタンの安定性を向上させるためのみに用い、酸性溶媒中での溶解性または溶解速度を変えない。
【0013】
米国特許出願公開第US/2005/0220881号は、1種または2種以上の固体のポロキサマー(poloxamer)により会合錯体を調製することにより、エプロサルタンの溶解性を向上させる方法を提供する。しかし、溶解性を顕著に増大させるためには、大量のポロキサマーを必要とする。経口により高いバイオアベイラビリティーを達成する錯体の投与形態の開発は、重量制限のため非常に困難になっている。さらに、大量のポロキサマーの長期の使用は許容されないおそれがある。
【0014】
低水溶性に関連した低いバイオアベイラビリティーは、所望の治療活性を維持するために、大投与量のARBを投与する正当な理由となる。このように、可溶化形態とGI管の広いpH範囲にわたる予測可能な方法との両方において、医薬の活性形態を送達する改良されたARB製剤に対する要求と機会が依然として存在する。
【特許文献1】インド特許出願番号477/MUM/2005
【特許文献2】インド特許出願番号0315/MUM2006
【特許文献3】米国特許第5399578号
【特許文献4】国際公開第04083192号
【特許文献5】国際公開第04087681号
【特許文献6】国際公開第03066606号
【特許文献7】国際公開第04101535号
【特許文献8】米国特許第6294197号
【特許文献9】米国特許出願公開第2003/0035832号
【特許文献10】米国特許第6485745号
【特許文献11】米国特許出願公開第2002/0132839号
【特許文献12】米国特許出願公開第2003/0152620号
【特許文献13】国際公開第2005/070398A2号
【特許文献14】米国特許出願公開第US/2005/0220881号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、ARB、特にバルサルタンのバイオアベイラビリティーを予想どおりに増大させる方法、およびGI管の広いpH範囲にわたり一貫した吸収を確実にする方法に関する。この発明は、GI管においてARBに対する吸収を増大させ、それにより患者間および患者内の変動を低減するものであり、患者内および患者間の吸収の変動が大きい現在の市販の経口投与製剤とは対照的である。本発明は、市販品と比較して最大血中濃度(Tmax)に到達する時間およびARBの吸収限界(AUC)を顕著に低減する。
【0016】
本発明は、一般に安全と認識されている(GRAS)賦形剤を利用する、物理的および化学的に安定なARB、特にバルサルタンの製剤に関する。本発明はまた、患者内および患者間の吸収の変動、特に低GI pHにおける変動が低減されたバルサルタンの経口投与製剤に関する。Cmax、最大血中濃度、に対する変動係数が、約35%未満、好ましくは約30%未満である。AUCに対する変動係数が約45%未満、好ましくは40%未満、および最も好ましくは30%未満である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ARB、特にバルサルタンは、溶解促進剤と組み合わせたときに、酸性環境下(pH<3)での溶解度を著しく増大させ、同様に溶解速度を向上させ、現在市販されているARB製剤と著しい対照をなすことが発見された。また、多くの薬物が吸収部位で可溶化形態で存在するときにバイオアベイラビリティーも増大する。バイオアベイラビリティーの増大は、患者間の変動と同様に望ましい効果を達成するのに必要なARBの投与量を低減し、したがってARBの治療上の有用性を増大させる。固体の投与形態は、従来の製造方法および一般に固体の投与形態を製造するのに用いられる標準的な加工装置を用いて製造することができる。
【0018】
一態様において、本発明は、少なくとも1つの溶解促進剤とともにARBを投与することにより、ARBのバイオアベイラビリティーを増大させる方法を提供する。
【0019】
さらに別の態様において、バルサルタンのこの新規な組成物は、酸性または弱酸性の溶解媒体中で少なくとも40%の溶解性をもたらす。本明細書において「酸性」とは、pHが約3未満であることをいう。本明細書において「弱酸性」とは。pHが約3〜5であることをいう。
【0020】
本発明のバルサルタンの組成物は以下に記載の疾患を処置し、かつ可溶化形態の薬物をGI管の広いpH範囲で送達し、バイオアベイラビリティーを増大させるのに用いることができる。したがって、従来のバルサルタンの投与に比べ、1回当たりの投与量および投与回数を減らすことができる。さらに、現在のバルサルタン製剤に付随する患者間または患者内の変動を低減することができる。したがって、本発明のバルサルタンのこの組成物から治療効果の増大が期待される。
【0021】
この剤によって処置される疾患の例は、1.循環器疾患、例えば高血圧症、心臓病(心不全、心筋梗塞、心臓弁膜症)、末梢循環不全;2.腎臓病、例えば、糸球体腎炎、腎不全;3.脳機能障害、例えば、脳卒中、アルツハイマー病、うつ病、健忘症、または認知症;4.糖尿病性合併症、例えば、網膜症、腎症;5.高血圧症を発症する動脈硬化症、脳卒中、心臓発作、狭心症、または胃腸(GI)管の虚血もしくは四肢の虚血;6.特殊な状態、例えば;高アルドステロン症、多臓器不全、強皮症;ならびに7.不安神経症、緊張病、および消化不良を含む。これらの状態の多くはアンジオテンシンIIから2次的に発現される血管収縮によって起こりまたは悪化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
薬物吸収の基本原理によると、溶液中に存在する中性形態の薬物のみが脂質細胞膜を透過することができる。したがって、そのことは良好な吸収にとって非常に本質的であり、薬物は親油性の物性を有し、かつGI環境中で適切な溶解性を有するべきである。一般に、化学的に、大部分のARBは共通の特性、すなわち、少なくとも1つの遊離のカルボキシル基を有し、酸性条件でARBを不溶性にし、かつアルカリ環境でイオン化(可溶化形態)する特性を有する。例えば、バルサルタンはカルボン酸基を有し、したがって、酸性媒体中に容易に溶解しない。そのため、酸性環境中でのバルサルタンの吸収は、その低溶解性によって低い。しかし、アルカリ環境中において、バルサルタンはイオン化された形態であり、中性の遊離酸ほどは親油性でなく、したがって細胞膜の透過性に乏しい。換言すれば、酸性/弱酸性のGI環境における遊離酸形態の低溶解性と、溶解した(イオン化した)形態の低透過性とのいずれかの組合せにより、バルサルタンは胃腸管内で十分に吸収されない。結果として10〜25%の低いバイオアベイラビリティーとなる。カルボン酸基をもたないARBでさえ、酸性/弱酸媒体中で低溶解性を示す。
【0023】
高pHにおけるイオン化は、ARB分子自体の固有の性質であり、このパラメータを変えることはできない。残された唯一の可能性は、酸性環境中での溶解性および/または溶解速度を増大させることである。驚くべきことに、本明細書において溶解促進剤と呼ばれる、ある物質の存在下でARBまたはその塩を組み合わせることにより、溶解性を増大させ、広いpH範囲で溶解速度を向上させ、それにより市販品と比較してバイオアベイラビリティーを向上させることが見出された。
【0024】
さらに、ARB等の遊離のカルボン酸基を有する化学物質は、一般にp-糖タンパク質逆輸送システム(p-glycoprotein reverse transport system)用の基質と考えられている。このp-糖タンパク質を媒介した流出は、一部においてARBの低いバイオアベイラビリティーの原因となる。本願において用いられる溶解促進剤は、ARBのバイオアベイラビリティーをさらに増大することを助けるp-糖タンパク質の阻害剤としても作用しうる。
【0025】
〔活性成分〕
本発明の目的のための活性成分はARBであって、特に限定されず、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、またはプラトサルタンであってよい。本発明の活性成分は、結晶形態またはアモルファス形態として存在することができる。結晶形態は様々な多形体を有してもよい。すべての様々な多形体、溶媒和物、水和物、塩は本発明の範囲内である。好ましい活性成分はバルサルタンである。
【0026】
本発明の投与形態において、ARBに加え、1種または2種以上の、例えば2種または3種の活性成分を一緒にすることができる。ARBと一緒にすることができる治療剤には、限定されないが、降圧剤、例えば、ヒドロクロロチアジド(HCTZ)、カルシウムブロッカー、β-ブロッカー、ACE阻害剤、強心剤、脂質低下剤、抗肥満剤、レニン阻害剤、および/または抗糖尿病剤が包含される。
【0027】
本発明は、バイオアベイラビリティーの問題と関連する同様の低溶解性を有する他の活性医薬成分も適用することができる。
【0028】
活性成分は、組成物の約1〜80重量%、好ましくは5〜50重量%、およびより好ましくは10〜30重量%で存在してもよい。
【0029】
〔溶解促進剤〕
本発明によれば、組成物中のARBの瞬時溶解性の増大が、1種または2種以上の溶解促進剤を用いることにより達成される。溶解促進剤は、1種または2種以上の界面活性剤、溶解剤、錯化剤、懸濁剤等を含有する。溶解促進剤は、種々のARBに対して同一であっても異なっていてもよい。本発明は、ARBの放出が胃腸管の生理的pH状態全体において同様である、すなわち、薬物の放出が実質的に生理的pH状態から独立している、新規なまたは改良した溶解プロフィールを提供することに特に焦点を合わせている。
【0030】
溶解促進剤は、特に限定されず、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、それらの混合物であってよい。界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両性イオン性または両親媒性であってよい。界面活性剤の相対的な親水性および疎水性はHLB(hydrophilic-lipophilic balance)値により表される。親水性界面活性剤には10より大きなHLBを有する界面活性剤、およびHLBの基準が一般に適用されないアニオン性、カチオン性、両親媒性または両性イオン性界面活性剤が包含される。同様に、親油性界面活性剤はHLB値が10未満の界面活性剤である。
【0031】
親水性のノニオン性界面活性剤は、特に限定されず、天然および/または水素化オイルからなる群の少なくとも1つを有する、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル、PEG-脂肪酸ジエステル、アルコール類またはポリオール類の親水性のエステル交換生成物であってよい。最も一般に用いられるオイルは、ヒマシ油もしくは水素化ヒマシ油、または食用植物性オイル、例えば、コーンオイル、オリーブオイル、ピーナッツオイル、パーム核オイル、アーモンドオイルである。好ましいポリオールには、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、およびペンタエリトリトールが包含される。この種類の好ましい親水性界面活性剤には、PEG-35ヒマシ油、ポリオキシエチレン-ポリプロピレンコポリマー(Lutrol、BASF)、およびPEG-40水素化ヒマシ油が含まれる。
【0032】
両親媒性界面活性剤には、特に限定されず、d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、およびd-α-トコフェロール酸塩、例えば、コハク酸塩、酢酸塩等が含まれる。
【0033】
イオン性界面活性剤は、特に限定されず、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチド、またはポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、またはポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンまたは水素化レシチン;リゾレシチンまたは水素化リゾレシチン;リン脂質またはその誘導体;リゾリン脂質またはその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム(sodium docusate);アシル乳酸塩;モノ-またはジ-グリセリドのモノ-またはジ-アセチル化酒石酸エステル;コハク酸化モノ-またはジ-グリセリド;モノ-またはジ-グリセリドのクエン酸エステル;あるいはそれらの混合物であってもよい。
【0034】
親油性界面活性剤は、特に限定されず、脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールまたはステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールまたはステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノ-またはジ-グリセリドの乳酸誘導体;グリセリド、植物性オイル、水素化植物性オイル、脂肪酸およびステロールからなる群の少なくとも1つを有するポリオールの疎水性エステル交換生成物;脂溶性ビタミン/ビタミン誘導体;ポリエチレングリコール(PEG)ソルビタン脂肪酸エステル;PEGグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセリン化脂肪酸(polyglycerized fatty acid);ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル;またはそれらの混合物であってもよい。
【0035】
好ましくは、溶解促進剤は、PEG-20-グリセリルステアリン酸エステル(Abitec製のCapmul(登録商標))、PEG-40水素化ヒマシ油(BASF製のCremophor RH40(登録商標))、PEG6コーンオイル(Gattefosse製のLabrafil(登録商標))、ラウリルマクロゴール-32グリセリド(Gattefosse製のGelucire 44/14(登録商標))、ステアロイルマクロゴールグリセリド(Gattefosse製のGelucire 50/13(登録商標))、ポリグリセリル-10モノジオレエート(Abitec製のCaprol(登録商標)PEG 860)、プロピレングリコールオレエート(BASF製のLutrol OP(登録商標))、プロピレングリコールジオクタノエート(Abitec製のCaptex(登録商標))、プロピレングリコールカプリル酸/カプリン酸エステル(Gattefosse製のLabrafac(登録商標))、グリセリルモノオレエート(Gattefosse製のPeceol(登録商標))、グリセロールモノリノレート(Gattefosse製のMaisine(登録商標))、グリセロールモノステアレート(Abitec製のCapmul(登録商標))、PEG-20ソルビタンモノラウレート(ICI製のTween20(登録商標))、PEG-4ラウリルエーテル(ICI製のBrij30(登録商標))、スクロースジステアレート(Gattefosse製のSucroester 7(登録商標))、スクロースモノパルミテート(Gattefosse製のSucroester 15(登録商標))、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(BASF製のLutrol(登録商標)シリーズ)、ポリエチレングリコール660ヒドロキシステアレート(BASF製のSolutol(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、L-ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プロピレングリコールアルギネート、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ベタイン、ポリエチレングリコール(DOW製のCarbowax(登録商標))、d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(Eastman製のビタミンE TPGS(登録商標))、またはそれらの混合物であってよい。
【0036】
より好ましくは、溶解促進剤はPEG-40水素化ヒマシ油(BASF製のCremophor RH40(登録商標)-HLB-13)、ラウリルマクロゴール-32グリセリド(Gattefosse製のGelucire 44/14(登録商標)-HLB-14)、ステアロイルマクロゴールグリセリド(Gattefosse製のGelucire 50/13(登録商標)-HLB-13)、PEG-20ソルビタンモノラウレート(ICI製のTween20(登録商標)-HLB-17)、PEG-4ラウリルエーテル(ICI製のBrij30(登録商標)-HLB-9.7)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(BASF製のLutrol(登録商標)シリーズ、15〜30の範囲の種々のHLBを有する)、ラウリル硫酸ナトリウム(HLB-40)、ポリエチレングリコール(DOW製のCarbowax(登録商標))、d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(Eastman製のビタミンE TPGS(登録商標)-HLB-15)、またはそれらの混合物であってよい。
【0037】
溶解剤は、また緩衝剤、アミノ酸およびアミノ酸糖(amino acid sugar)等のpH改良剤を含有してもよい。
【0038】
錯化剤は、シクロデキストリン類の分子、例えば、6〜12個のグルコース単位を含むシクロデキストリン、特に、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、またはそれらの誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン類、またはそれらの混合物を含む。錯化剤は、環状アミド類、ヒドロキシ安息香酸誘導体、およびゲンティスチン酸(gentistic acid)を含んでいてもよい。この錯体形成過程において、溶解性をさらに増大させるために、錯化剤とともに親水性ポリマーを追加して加えてもよい。
【0039】
本発明の組成物において、ARBおよび1種または2種以上の溶解促進剤を種々の比率で用いることができる。選択された比率は、溶解性において求められる向上性および使用する溶解促進剤のタイプに左右される。ARB対溶解促進剤の比率が約20:1から約1:20、好ましくは約10:1から約1:10、および最も好ましくは約5:1から約1:5であってよいことは、本発明の範囲内と考えられる。使用する溶解促進剤の全体量が上記比率に維持される場合には、溶解促進剤の組合せも含まれる。
【0040】
〔ARBの可溶化〕
本組成物において、ARBは溶解促進剤との物理的混合物、固体分散体、固溶体または複合体の形態で存在しうる。溶解促進剤を用いたARBの組成物を調製するのに種々の方法を用いることができる。方法は、特に限定されず、溶解促進剤により溶媒中へ溶解したものを溶融造粒、溶媒処理、物理的混合、またはスプレードライにより可溶化することを含んでもよく、このことは本発明の範囲内と考える。
【0041】
溶融造粒の場合、溶解促進剤は溶融される。そこにARBを加え、融解物と混合し、凝固させ、個々に分離した顆粒を形成する。このシステムの別の具体的な実施形態においては、融解した溶解促進剤を用いてARBを顆粒化する。いくつかの場合においては、ARBおよび溶解促進剤の両方を一緒に融解し、室温にして凝固させる。
【0042】
溶媒処理方法を用いる場合、溶解促進剤もしくはARBのいずれか、または両方を溶媒に溶解し、次いでそれを蒸発またはスプレードライする。得られた物質はARBおよび溶解促進剤の混合物であり、それによりARBの溶解性が増大する。このシステムに使用する溶媒は水性であっても非水性であってもよい。
【0043】
物理的混合の場合、ARBおよび溶解促進剤は、ホバートミキサー、V-ブレンダー(V-blender)または高剪断造粒機を使用し、均質に乾燥混合されていることが好ましい。
【0044】
複合体形成方法において、ARBの複合体は、ボールミル、スプレードライおよび凍結乾燥法を含む溶媒蒸発法、スラリー法、ペースト法等の種々の技術を用いて調製することができる。
【0045】
前述の方法の組合せを採用できることは、本発明の範囲内であると考える。例えば、加熱溶融方法、物理的混合、および溶媒処理方法の組合せを採用することができる。この場合、まずARBを1種または2種以上の融解した溶解促進剤を用いて顆粒化してもよく、さらに、それを溶媒中で同一もしくは異なる溶解促進剤により、または簡単な物理的混合により処理してもよく、また逆も同様に可能である。一般に当技術分野において知られている、医薬組成物を製造するのに適したいかなる方法も本発明の目的のために採用し得ることは本発明の範囲内と考える。
【0046】
溶融造粒および密接な物理的混合は、本発明によるバルサルタンを調製するための最も好ましい方法である。溶解性の増大は、溶解促進剤の存在下でのバルサルタンの実際の溶解性の研究を検討することにより、または適切な溶解媒体中で溶解性の研究を行うことにより決定することができる。この溶解方法は、種々の時間間隔でバルサルタンの溶解量を測定することにより、種々の製剤の溶解速度の比較できるので好ましい。
【0047】
本組成物は、特に制限されず、胃の中で分解する錠剤、口腔内で崩壊可能な錠剤、液体(水)中で泡立たせることにより崩壊可能な錠剤、液体(水等)中に崩壊可能な錠剤、被覆錠剤、小袋中に投与量が収納された粉末、懸濁液、ゼラチンカプセル、ソフトゼラチンカプセル、半固体投与形態、および他の薬物送達システムを含む、種々の薬物投与形態に組み込むことができる。
【0048】
本発明の好ましい投与形態は固体投与形態、好ましくは錠剤であり、形状は変更可能であって、特に限定されず、卵形、三角形、アーモンド、ピーナッツ、平行四辺形、五角形を含んでいてもよい。カプセル化可能な投与形態は本発明の範囲内と考える。
【0049】
本発明による錠剤は、当技術分野において知られている錠剤化の慣用技術、例えば、特に限定されず、直接圧縮、湿式造粒、乾燥造粒を、または押出/溶融造粒を用いて製造することができる。
【0050】
本発明による投与形態は、当技術分野において従来から知られている賦形剤、例えばフィラー、結合剤、および滑剤を含んでいてもよい。フィラーは、特に限定されず、例えばラクトース一水和物、微結晶セルロース、リン酸ジカルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノメタケイ酸マグネシウム(Neusillin)等を用いることができる。結合剤は、特に限定されず、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、コポビドン(copovidone)等を用いることができる。滑剤は、特に限定されず、例えばAerosil-200、ステアリン酸マグネシウム、水素化植物性オイル、ステアリン酸のトリグリセリド、パルミチン酸等を利用することができる。
【0051】
崩壊剤は、特に限定されず、以下の:デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファ化デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロース、またはイオン交換樹脂であってよく、最も好ましくはデンプングリコール酸ナトリウムである。崩壊剤は、組成物の全重量に対し約0.25重量%から約30重量%、より好ましくは約0.5から約20重量%、および最も好ましくは約0.75から10重量%の量で存在してよい。
【0052】
1つの具体的な実施形態において、投与形態は場合によって被覆されていてもよい。美観の目的または圧縮投与形態の寸法安定性のために表面被覆を採用してもよい。表面被覆は、経口使用に適した従来の任意の被覆剤を用いて行うことができる。被覆は、任意の慣用成分を用いる慣用技術を用いて行うことができる。表面被覆は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート等の慣用ポリマーを用いる急速溶解フィルム(quick-dissolving film)を使用して得られる。
【0053】
1つの具体的な実施形態において、可溶化ARBは、液体形態においてカプセル中に組み込むことができる。この実施形態において、融解した溶解促進剤と混合したARBを他の賦形剤とともに、または他の賦形剤を用いることなく、カプセルに中に充填する。カプセルの成分は有効期間中液体または半固体状態で留まってもよいし、またはカプセルに充填された液体がカプセル内部で固体物質を形成してもよい。崩壊剤、滑剤、希釈剤等の賦形剤が、場合によって製剤中に含まれていてもよい。
【0054】
別の具体的な実施形態において、可溶化ARBは、賦形剤、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Neusillin)、または一般に経口投与形態に用いられる任意の他の賦形剤中に分散していてもよい。分散した混合物はカプセルに充填するか、錠剤に圧縮することができる。
【0055】
別の具体的な実施形態において、可溶化ARBは、徐放性製剤中に組み込まれてもよい。溶解促進剤は放出プロフィールにより、よりよい制御を確実にし、また所望の時間間隔における薬物の完全な放出を確実にする。
【0056】
さらに別の具体的な実施形態において、可溶化ARBは、1種または2種以上のポリマー型または非ポリマー型放出遅延剤を含有する徐放性マトリックス製剤中に組み込まれてもよい。使用することのできるポリマーの例は、特に限定されず、ポリアルキレンオキシド;セルロースポリマー;アクリル酸、メタクリル酸ポリマー、およびそれらのエステル;無水マレイン酸ポリマー;ポリマレイン酸;ポリ(アクリルアミド);ポリ(オレフィンアルコール);ポリ(N-ビニルラクタム);ポリオール;ポリオキシエチル化サッカリド;ポリオキサゾリン;ポリビニルアミン;ポリ酢酸ビニル;ポリイミン;デンプンおよびデンプンベースポリマー;ポリウレタンヒドロゲル;キトサン;ポリサッカリドガム;ゼイン;セラックベースポリマー;ポリエチレンオキシド;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウム;カルボキシメチルセルロースカルシウム;メチルセルロース;ポリアクリル酸;マルトデキストリン;アルファ化デンプンおよびポリビニルアルコール;コポリマー;およびそれらの混合物を含む。
【0057】
1種または2種以上の親水性ポリマーを、さらに徐放性投与形態を調製するのに用いることができる。これらのポリマーは、好ましくはポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸、マルトデキストリン、アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、またはそれらの混合物である。投与形態における親水性ポリマーの重量パーセントは、約5から約90重量パーセント、好ましくは約10から約70重量パーセント、および最も好ましくは約15から約50重量パーセントである。
【0058】
さらに別の具体的な実施形態において、固体医薬組成物は、経口投与のための多層システムの形態であってもよい。このシステムは、例えば1つの層中の可溶化ARB、他の層中のヒドロクロロチアジドの2つの異なる活性物質を送達するように適合させてもよい。
【0059】
さらに別の具体的な実施形態において、経口投与のための多層システムの形態の固体医薬組成物は、第1の医薬活性剤を胃腸管に到達後直ちに第1層から送達し、および第1の剤と同一であっても異なっていてもよい第2の医薬活性剤を、特定の時間にわたって制御された方法により第2層から送達するように適合させてもよい。
【0060】
さらに別の具体的な実施形態において、経口投与のための拡張した多層システムの形態の固体医薬組成物は、第1の医薬活性剤を胃腸管に到達後直ちに第1層から送達し、および第1の剤と同一であっても異なっていてもよい第2の医薬活性剤を、特定の時間にわたって制御された方法により第2層から送達するのに適合している。第2層はまた、投与システムに対し拡張的性質をもたらし、それにより投与システムが、胃の中においてより長く滞留するのに適合している。
【0061】
別の具体的な実施形態において、可溶化ARBは、浸透圧により制御された薬物送達システムに組み込むことができる。溶解促進剤は放出プロフィール全体に対してよりよい制御を確実にし、また所望の時間間隔における薬物の完全な放出を確実にする。
【0062】
組成物中に用いられる溶解促進剤はARB、特にバルサルタンの、酸性および弱酸性環境における溶解性および溶解を増大させる。本組成物を含有する即時放出型投与形態は、酸性および弱酸性環境において少なくとも40%の溶解をもたらす組成物を含有する。酸性および弱酸性環境における溶解促進および高溶解性は、結果としてより多くの薬物を胃腸膜を透過させ、バイオアベイラビリティーを増大させる。この溶解性の増大はまた、pH依存の溶解性を有する薬物に対し、pHに無関係な薬物放出プロフィールをもたらす。本発明はまた薬物吸収における患者間および患者内の変動を低減する。
【0063】
本発明は、従来の即時放出型投与形態と比較し、約1.2から4倍のバイオアベイラビリティーを有するARBの経口固体投与形態を提供する。バイオアベイラビリティーの増大は、Tmax(最大血中濃度に到達する時間)の減少、およびCmax(最大血中濃度)、AUC0-t、およびAUC0-∞(吸収の程度、または血中濃度に対する時間曲線下の面積)の増大により明らかである。相対的なバイオアベイラビリティーの増大により、新規組成物は、特にARBがバルサルタンの場合に、ARBに典型的に関連する変動を低減することもできる。この組成物は、4時間未満、好ましくは3時間未満、およびより好ましくは2時間未満において、ピークの血漿濃度に到達することも可能である。到達したTmax値はまた、従来の即時放出型製剤よりも速い。
【0064】
本発明を特定の具体的な実施形態に関して記載してきたが、一方、特定の変形および均等物は当業者に明らかであり、それらは本発明の範囲に含まれる。以下、本発明の詳細、その目的および利点を、限定されない例示的な実例に関してさらに詳細に説明する。
【0065】
[実施例1]
〔バルサルタンの可溶化〕
種々の溶解促進剤を種々の比率で用いたバルサルタンの固体分散体は、バルサルタンを攪拌しながら融解物質に加え、均一な分散物にすることにより調製した。得られた固体分散物の溶解性を0.1N HCl中で測定した。
【0066】
【表1】

【0067】
検討した種々の溶解促進剤の中で、最も増大した溶解性は、ビタミンE TPGS、Gelucire 50/13と1:1の比率およびcremophor RH 40において達成された。
【0068】
[実施例2]
〔界面活性剤の組合せを用いるバルサルタンの可溶化〕
溶解促進剤の種々の組合せによるバルサルタンの固体分散体は、バルサルタンを攪拌しながら界面活性剤の組合せからなる融解物質に加え、均一な分散物にすることにより調製した。得られた固体分散物の溶解性を0.1N HCl中で測定した。
【0069】
【表2】

【0070】
界面活性剤の組合せにおいて、最も増大した溶解性は、Cremophor RH 40およびSLSの組合せにより達成された。
【0071】
[実施例3]
〔バルサルタンの固体分散体の調製およびその溶解速度の試験〕
Gelucireをホットプレート上のビーカー中で、温度を約50℃にセットして融解し、融解物質に対しバルサルタンを1:0.5の比率(バルサルタン:Gelucire)で加え、いくらかの時間混合した。この混合物に2部の微結晶セルロースを加え、室温になるまで物質を攪拌した。秤量した量の分散体(この場合280mg)を直接溶解ジャーに加えることにより溶解を行った。
【0072】
〔in vitroにおける溶解試験〕
in vitroにおける溶解試験を以下の仕様により行った。
溶解媒体:0.5%SLSを含む0.1N HCl
溶解試験装置:USPタイプII
温度:37.5±0.5℃
RPM:50
試料採取間隔:5、10、15、30、60および120分
試料容量:10ml
【0073】
【表3】

【0074】
溶解速度の顕著な増加が、固体分散体中におけるバルサルタンおよび溶解促進剤について達成された。120分の最後において、純粋なバルサルタンは15%のみが溶解した。しかし、固体分散体中におけるバルサルタンおよび溶解促進剤の場合において、最初の5分で30%より多くの薬物が溶解した(図1)。
【0075】
[実施例4]
〔可溶化バルサルタンの即時放出型錠剤製剤への組込み(製剤#1) 〕
【0076】
【表4】

【0077】
バルサルタンおよび溶解促進剤の固体分散物を実施例3の方法により調製した。分散物を他のすべての賦形剤とともに混合し、潤滑剤を添加し、錠剤に圧縮した。
【0078】
〔in vitroでの溶解速度試験〕
in vitroでの溶解速度の試験を以下の仕様で行った。
溶解試験装置:USPタイプII
温度:37.5±0.5℃
溶解媒体:溶解試験を0.1N HCL(900ml)中で行った
Rpm:75
試料採取間隔:15、30、60、および120分
試料容量:10ml
【0079】
【表5】

【0080】
本発明の製剤は、ディオバンに比べ、はるかに高く、速い薬物放出プロフィールを示した(図2)。
【0081】
[実施例5]
〔可溶化バルサルタンの徐放性錠剤製剤中への組込み〕
【0082】
【表6】

【0083】
バルサルタンおよびGelucire 50/13の固体分散物をステアリン酸マグネシウム以外の他の賦形剤と乾燥混合し、ポリビニルピロリドンのアルコール溶液を用いて造粒した。顆粒を流動床乾燥機中で乾燥し、潤滑剤を添加し、錠剤に圧縮した。
【0084】
〔in vitroにおける薬物放出試験〕
in vitroにおける薬物放出試験を以下の仕様により行った。
溶解試験装置:USPタイプI
温度:37.5±0.5℃
溶解媒体:0.5%SLSを含む0.1N HCL
RPM:100
試料採取間隔:1、2、3、4、6、8、10、12、および18時間
試料容量:10ml
【0085】
【表7】

【0086】
[実施例6]
〔可溶化バルサルタンの即時放出型錠剤製剤(製剤#2)中への組込み〕
【0087】
【表8】

【0088】
バルサルタンおよびビタミンE TPGSの固体分散物を実施例3の方法により調製した。次に、固体分散物を他のすべての賦形剤とともに混合し、潤滑剤を添加し、錠剤に圧縮した。
【0089】
〔in vitroでの溶解速度試験〕
in vitroでの溶解速度の試験を以下の仕様で行った。
溶解試験装置:USPタイプII
温度:37.5±0.5℃
溶解媒体:溶解試験を0.1N HCL(900ml)中で行った。
RPM:75
試料採取間隔:15、30、60、および120分
試料容量:10ml
【0090】
【表9】

【0091】
開発した製剤は、市販のディオバン錠剤および他の試験的なバルサルタン製剤、製剤#1および#3、と比較して、はるかに高くかつ速い薬物放出プロフィールを示した(図3)。
【0092】
[実施例7]
〔可溶化バルサルタンの即時放出錠剤製剤への組込み(製剤#3) 〕
【0093】
【表10】

【0094】
バルサルタンをLutrol F127と物理的に混合した。この混合物をさらに他のすべての賦形剤とともに混合し、潤滑剤を添加し、錠剤に圧縮した。
【0095】
〔in vitroでの溶解速度試験〕
in vitroでの溶解速度の試験を以下の仕様で行った。
溶解試験装置:USPタイプII
温度:37.5±0.5℃
溶解媒体:溶解試験を0.1N HCL(900ml)中で行った。
RPM:75
試料採取間隔:15、30、60、および120分
試料容量:10ml
【0096】
【表11】

【0097】
開発した製剤は、市販のディオバン錠剤と比較し、はるかに高くかつはるかに速い薬物放出プロフィールを示したが(図4)、試験製剤#1と同程度であり、試験製剤#2より遅かった。
【0098】
[実施例8]
〔可溶化バルサルタンの即時放出カプセル投与形態(80mg)への製剤(製剤#4)および経口利用性の比較試験〕
【0099】
【表12】

【0100】
A.操作
ビタミンE TPGSおよびLutrol 127MP(ポロキサマー407、USP)を約60℃で一緒に融解した。バルサルタンを攪拌しながら融解した混合物に加えた。微結晶セルロース(Avicel PH102)をその物質に加え、室温に冷却して固体の顆粒を製造した。
【0101】
微結晶セルロース(Avicel PH102)およびクロスポビドン(KollidonCL)の一部を上記の固体凝集物とともに混合した。これらの顆粒化した凝集物およびコポビドンをイソプロピルアルコール:精製水(7:3)の混合液中に溶解した。濡れた物質を#12のメッシュのふるいに通し、乾燥した。
【0102】
乾燥した顆粒とクロスポビドン(Kollidon.CL)の残部を混合し、ステアリン酸マグネシウムで潤滑化し、カプセルに充填した。
【0103】
in vitroでの溶解試験:実施例7で特定した条件に従った。
【0104】
【表13】

【0105】
〔経口利用性の比較試験〕
製剤#4(T)のバルサルタンカプセルの生体内(in vivo)での性能を、絶食状態の健康な男性ボランティアにおいて、ディオバン(登録商標)(R)について評価するために、交差試験を計画した。薬物動態パラメータ、Tmax(最大血中濃度に到達する時間)、Cmax(最大血漿濃度)、AUC0-t(血漿濃度に対する0時間から最後の試料を採取する時間までの時間曲線下の面積)、およびAUC0-∞(血漿濃度に対する0時間から無限大まで(吸収範囲)の時間曲線下の面積)をデータから算出した。
【0106】
【表14】

【0107】
本発明は市販製品に比べ、より高いCmax、AUC0-t、およびAUC0-∞を示した(図5)。したがって、試験製品は市販製品に比べ、バイオアベイラビリティーがより高かった。試験製品はより速い作用の発現をもたらした。また、試験製品は変動の少ないより均一な血漿レベルを達成した。こうして、変動の少ない、場合により投与量の低減が可能な、患者のコンプライアンスを増大させることができる迅速な作用発現をもたらす、よりよい製剤が得られる。
【0108】
[実施例9]
〔本発明の錠剤製剤のpHに無関係な溶解(製剤#5) 〕
【0109】
【表15】

【0110】
〔手順〕
固体分散物は、薬物と融解したポロキサマー407、USPを混合し、次いで、その物質に攪拌しながら微結晶セルロース、USP(Avicel PH102)を添加し、分散物を室温に冷却することにより得た。固体分散物は、秤量した量の微結晶セルロース、USPおよびクロスポビドンと混合し、次いで、潤滑剤を添加し、圧縮した。
【0111】
〔in vitroでの溶解速度試験〕
in vitroでの溶解速度の試験を以下の仕様により種々のpH媒体中で行った。
溶解試験装置:USPタイプII
温度:37.5±0.5℃
溶解媒体:溶解試験を0.1N HCL、pH4.5の酢酸塩緩衝液、およびpH6.8のリン酸塩緩衝液USP中で行った。
RPM:75(0.1N HClおよびpH4.5の緩衝液に対し)および50(pH6.8の緩衝液に対し)
試料採取間隔:15、30、60、および120分(0.1N HClおよびpH4.5の緩衝液に対し)および10、20、30、および45分(pH6.8の緩衝液に対し)
試料容量:10ml
【0112】
【表16】

【0113】
上記表および図6から明らかなように、本製剤はpHに無関係な溶解プロフィールを提供する。
【0114】
[実施例10]
〔エプロサルタン メシラートの可溶化〕
エプロサルタンメシラートと種々の溶解促進剤との種々の比率による固体分散物を、薬物と、溶解促進剤または融解した溶解促進剤とを混合することにより調製した。得られた固体分散物の溶解性を0.1N HCl中で測定した。
【0115】
【表17】

【0116】
溶解促進剤の組合せがより高い溶解促進をもたらすことを見出した。SLSの添加が溶解性を劇的に増大させることを見出した。
【0117】
[実施例11]
〔カンデサルタン シレキセチルの可溶化〕
カンデサルタン シレキセチルと種々の賦形剤との分散物は、薬物と賦形剤(例えば、カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド、EP(Labrasol))、または融解した賦形剤(例えば、Solutol HS 15)を混合することにより調製した。得られた分散物の溶解性を0.1N HCl中で測定した。
【0118】
【表18】

【0119】
Solutol HS 15またはLabrasolのいずれかにより、溶解性の顕著な増大が達成された。
【0120】
本明細書において、本発明の現在のある好ましい実施形態を具体的に記載したが、本発明に関連する当業者にとって、本明細書に示し、記載した種々の実施形態の変形および変更を本発明の精神および範囲から外れることなく実施し得ることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲および法律の適用可能な規則により要求される範囲にのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】バルサルタン自体およびバルサルタンと溶解促進剤の固体分散体としての溶解速度を比較するグラフである。
【図2】ディオバン(登録商標)に対する実施例4の製剤#1のin vitroにおける放出プロファイルを示すグラフである。
【図3】実施例6のバルサルタン製剤#2のin vitroにおける放出プロファイルを示すグラフである。
【図4】実施例7のバルサルタン製剤#3のin vitroにおける放出プロファイルを示すグラフである。
【図5】実施例8のバルサルタン製剤#4およびディオバン(登録商標)の血漿プロファイルを比較するグラフである。
【図6】種々のpHにおけるバルサルタン製剤の溶解プロファイルを比較するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルサルタンまたはその塩;および
溶解促進剤
を含有する組成物。
【請求項2】
前記溶解促進剤が、界面活性剤、溶解剤、錯化剤、懸濁剤、およびシクロデキストリン類の分子からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記溶解促進剤が、PEG-40水素化ヒマシ油、ラウリルマクロゴール-32グリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、PEG-20ソルビタンモノラウレート、PEG-4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
バルサルタンが組成物の約1〜80%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
バルサルタンが組成物の約5〜50%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
バルサルタンが組成物の約10〜30%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
バルサルタン対前記溶解促進剤の比率が、約20:1から約1:20である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
バルサルタン対前記溶解促進剤の比率が、約10:1から約1:10である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
バルサルタン対前記溶解促進剤の比率が、約5:1から約1:5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
フィラー、結合剤、または滑剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
微結晶セルロース、ラクトース、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、またはマンニトールをさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
徐放性マトリックスをさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記徐放性マトリックスが、ポリアルキレンオキシド、セルロースポリマー、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマーのエステル、無水マレイン酸ポリマー、ポリマレイン酸、ポリ(アクリルアミド);ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(N-ビニルラクタム)、ポリオール、ポリオキシエチル化サッカリド、ポリオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリイミン、デンプン、デンプンベースポリマー、ポリウレタンヒドロゲル、キトサン、ポリサッカリドガム、ゼイン、セラックベースポリマー、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸、マルトデキストリン、アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、コポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
錠剤またはカプセルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
pH<3における溶解が少なくとも60分で40%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
0.1NのHCl中における溶解が、5分で少なくとも20%、15分で25%、30分で30%、45分で35%、60分で40%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記溶解がpHから実質的に独立している、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
Tmaxが約1〜2時間である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
Tmaxが約1〜2時間であり、Cmaxがバルサルタン1mgの投与量当たり少なくとも80ng/mlである、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
Tmaxが約1〜2時間であり、AUCがバルサルタン1mgの投与量当たり少なくとも500ng・hr/mlである、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
変動係数(CV)が、AUCに対して45%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
変動係数(CV)が、AUCに対して40%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
変動係数(CV)が、Cmaxに対して35%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
変動係数(CV)が、Cmaxに対して30%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
他の降圧剤、抗肥満剤、抗糖尿病剤、β-ブロッカー、強心剤、脂質低下剤、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
他の降圧剤が、HCTZ、カルシウムブロッカー、β-ブロッカー、ACE阻害剤、強心剤、脂質低下剤、レニン阻害剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
バルサルタンの溶解性を増大させ、バルサルタンの吸収性を増大させ、またはバルサルタンの患者間もしくは患者内での吸収変動を減少させるための、バルサルタン組成物の製造方法であって、
(a)バルサルタンまたはその塩を供給する段階;
(b)溶解促進剤を供給する段階;および
(c)バルサルタンと前記溶解促進剤とを混合する段階
を含む方法。
【請求項28】
段階(c)が、溶融造粒、物理的密着混合、スプレードライ、または溶媒蒸発を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記溶解促進剤が、界面活性剤、溶解剤、錯化剤、懸濁剤、およびシクロデキストリンからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記溶解促進剤が、PEG-40水素化ヒマシ油、ラウリルマクロゴール-32グリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、PEG-20ソルビタンモノラウレート、PEG-4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
バルサルタン対前記溶解促進剤の比率が、約10:1から約1:10である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
バルサルタン対前記溶解促進剤の比率が、約5:1から約1:5である、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
フィラー、結合剤、または滑剤を添加する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
微結晶セルロース、ラクトース、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、またはマンニトールを添加する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
徐放性マトリックスを添加する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記徐放性マトリックスが、ポリアルキレンオキシド、セルロースポリマー、アクリル酸、メタクリル酸ポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマーのエステル、無水マレイン酸ポリマー、ポリマレイン酸、ポリ(アクリルアミド);ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(N-ビニルラクタム)、ポリオール、ポリオキシエチル化サッカリド、ポリオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリイミン、デンプン、デンプンベースポリマー、ポリウレタンヒドロゲル、キトサン、ポリサッカリドガム、ゼイン、セラックベースポリマー、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸、マルトデキストリン、アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、コポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
混合物を錠剤化する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
他の降圧剤、抗肥満剤、抗糖尿病剤、β-ブロッカー、強心剤、脂質低下剤、またはそれらの組合せを添加する段階をさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
他の降圧剤が、HCTZ、カルシウムブロッカー、β-ブロッカー、ACE阻害剤、強心剤、脂質低下剤、レニン阻害剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
循環器系疾患、腎臓病、脳機能障害、糖尿病性合併症、動脈硬化症、高アルドステロン症、多臓器不全、強皮症、不安神経症、緊張病、および消化不良からなる群から選択される疾患の処置方法であって、請求項1に記載の組成物の治療有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与する段階を含む方法。
【請求項41】
前記循環器系疾患が、高血圧症、心臓病、または末梢循環不全である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記腎臓病が、糸球体腎炎または腎不全である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記脳機能障害が、脳卒中、アルツハイマー病、うつ病、健忘症、または認知症である、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記糖尿病性合併症が、網膜症または腎症である、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記動脈硬化症が、高血圧症、脳卒中、心臓発作、狭心症、または消化管虚血もしくは四肢の虚血である、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記組成物が、他の降圧剤、抗肥満剤、抗糖尿病剤、β-ブロッカー、強心剤、脂質低下剤、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
他の降圧剤が、HCTZ、カルシウムブロッカー、β-ブロッカー、ACE阻害剤、強心剤、脂質低下剤、レニン阻害剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
アンジオテンシンII受容体ブロッカー(ARB)またはその塩;および
溶解促進剤
を含有する組成物。
【請求項49】
前記溶解促進剤が、界面活性剤、溶解剤、錯化剤、懸濁剤、およびシクロデキストリン類の分子からなる群から選択される、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記溶解促進剤が、PEG-40水素化ヒマシ油、ラウリルマクロゴール-32グリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、PEG-20ソルビタンモノラウレート、PEG-4ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項48に記載の組成物。
【請求項51】
ARBが組成物の約1〜80%の量で存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項52】
ARBが組成物の約5〜50%の量で存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項53】
ARBが組成物の約10〜30%の量で存在する、請求項48に記載の組成物。
【請求項54】
ARB対前記溶解促進剤の比率が約20:1から約1:20である、請求項48に記載の組成物。
【請求項55】
ARB対前記溶解促進剤の比率が約10:1から約1:10である、請求項48に記載の組成物。
【請求項56】
ARB対前記溶解促進剤の比率が約5:1から約1:5である、請求項48に記載の組成物。
【請求項57】
フィラー、結合剤、または滑剤をさらに含有する、請求項48に記載の組成物。
【請求項58】
微結晶セルロース、ラクトース、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、およびマンニトールをさらに含有する、請求項48に記載の組成物。
【請求項59】
徐放性マトリックスをさらに含有する、請求項48に記載の組成物。
【請求項60】
前記徐放性マトリックスが、ポリアルキレンオキシド、セルロースポリマー、アクリル酸、メタクリル酸ポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸ポリマーのエステル、無水マレイン酸ポリマー、ポリマレイン酸、ポリ(アクリルアミド);ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(N-ビニルラクタム)、ポリオール、ポリオキシエチル化サッカリド、ポリオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリ酢酸ビニル、ポリイミン、デンプン、デンプンベースポリマー、ポリウレタンヒドロゲル、キトサン、ポリサッカリドガム、ゼイン、セラックベースポリマー、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸、マルトデキストリン、アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、コポリマー、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
錠剤またはカプセルである、請求項48に記載の組成物。
【請求項62】
ARBが、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、バルサルタン、およびプラトサルタンからなる群から選択される、請求項48に記載の組成物。
【請求項63】
他の降圧剤、抗肥満剤、抗糖尿病剤、β-ブロッカー、強心剤、脂質低下剤、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項48に記載の組成物。
【請求項64】
他の降圧剤が、HCTZ、カルシウムブロッカー、β-ブロッカー、ACE阻害剤、強心剤、脂質低下剤、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
ARBの経口有効性が、ARB単独の経口有効性より1.2〜4倍高い、請求項48に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−536929(P2008−536929A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507777(P2008−507777)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/014422
【国際公開番号】WO2006/113631
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507344852)ルビコン・リサーチ・ピーヴィーティー・エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】