生体認証ユニット
【課題】載置台における認証対象者の指の載置状態を検知し、ここで検知した指の載置状態を用いて、指静脈パターンによる本人認証を行うことで、認証精度の低下を十分に抑えた生体認証ユニットを提供する。
【解決手段】 生体認証ユニット1は、載置状態検知部3が、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知されている圧力分布により利用者の指の載置状態を検知する。生体認証ユニット1は、検知した利用者の指の載置状態と、適正な載置状態とのずれ量に基づいて、登録者データである指静脈パターンを補正し、補正した登録者データと、取得した利用者の指静脈パターンと、を照合し、当該利用者が登録者本人であるかどうかを認証する。
【解決手段】 生体認証ユニット1は、載置状態検知部3が、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知されている圧力分布により利用者の指の載置状態を検知する。生体認証ユニット1は、検知した利用者の指の載置状態と、適正な載置状態とのずれ量に基づいて、登録者データである指静脈パターンを補正し、補正した登録者データと、取得した利用者の指静脈パターンと、を照合し、当該利用者が登録者本人であるかどうかを認証する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンと、予め登録されている登録者の指静脈パターンと、を照合し、認証対象者が登録者であるかどうかの認証を行う生体認証ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報を用いて、利用者を認証する生体認証ユニットが様々な機器やシステムで利用されている。例えば、金融機関の店舗に設置されている現金自動預け払い機では、取引を行う利用者が口座名義人であるかどうかを認証するのに、生体認証ユニットを用いている。また、セキュリティルーム等の特定の場所に入退出する人物を管理する入退出管理システムでは、利用者が入退出を許可されている人物であるかどうかを認証するのに、生体認証ユニットを用いている。利用者の認証に用いる生体情報には、指静脈、指紋、掌紋、虹彩等がある。
【0003】
生体認証は、予め登録している登録者の生体情報と、利用者から取得した生体情報と、を照合し、その類似度が予め定めた閾値を超えていれば、利用者を登録者本人であると認証する。生体認証では、利用者の特定部位(特定部位は、認証に用いる生体情報によって決まる。)を撮像した画像から、当該利用者の生体情報を取得する。また、登録者は、予め特定部位を撮像した画像から取得した生体情報をマスタデータとして登録している。
【0004】
撮像画像から取得する生体情報は、特定部位に対する撮像部のアングルの変化にともなって変化する。一方、特定部位に対するアングルを、登録時と、認証時とで完全に一致させることは現実的に無理である。そこで、利用者の認証精度を確保するために、特許文献1等に示されている技術が提案されている。この特許文献1は、利用者の指の関節の皺の特徴量を用いて、撮像画像から得た利用者の指静脈パターンと、登録者の指静脈パターンと、を照合する技術を提案している。具体的には、利用者が、指静脈パターンの登録時に載置台に載置した指の位置に対して、今回の認証時に載置台に載置した指の位置が前後や、左右にずれているかどうかを指の関節の皺を用いて検出する。登録者は、指静脈パターンだけでなく、指の関節の皺のパターンも登録している。そして、撮像画像から得た利用者の指静脈パターンと、登録者の指静脈パターンと、を照合するときに、一方を検出した登録時と認証時との指の位置ずれ量に応じて補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−134862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、指静脈パターンの登録時に載置台に載置した指の位置に対して、今回の認証時に載置台に載置した指の位置が前後、または左右にずれた場合には、認証精度を確保することはできるが、指の傾きや回転が生じている場合、認証精度を確保することができない。
【0007】
この発明の目的は、載置台における認証対象者の指の載置状態を検知し、ここで検知した指の載置状態を用いて、指静脈パターンによる本人認証を行うことで、認証精度の低下を十分に抑えた生体認証ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の生体認証ユニットは、上述の課題を解決し、その目的を達するために、以下の構成を備えている。
【0009】
この生体認証ユニットでは、撮像部が開口部に対向して載置されている認証対象者の指を、当該開口部を通して撮像する。また、載置状態検知部が、開口部の周囲に配置した複数のセンサで、開口部に対向して載置されている認証対象者の指の載置状態を検知する。載置状態検知部は、例えば、開口部の周囲に認証対象者の指の有無を検知するセンサを複数配置し、各センサの検出結果から認証対象者の指の載置状態を検知する。センサとしては、例えば押圧力を検知する圧電センサ、透過光や反射光の有無を検知する光センサ、静電容量の変化を検知する静電センサ等を利用すればよい。これにより、複数のセンサは、載置されている利用者の指の状態が検知できるように配置すればよい。
【0010】
認証部は、予め登録されている登録者の指静脈パターンと、撮像部が撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンとを、載置状態検知部が検知した認証対象者の指の載置状態を用いて照合し、認証対象者が登録者であるかどうかの認証を行う。具体的には、登録者の指静脈パターンと、認証対象者の指静脈パターンとが、略同じアングルで取得したものになるよう、予め登録されている登録者の指静脈パターン、または、撮像部が撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンの一方を、検知した載置状態に応じて補正する。したがって、登録時と、認証時とにおける利用者の指の載置状態の違いによる影響を抑えた生体認証が行え、認証精度の低下が十分に抑えられる。
【0011】
また、撮像部が開口部を通して認証対象者の指画像を撮像する前に、この撮像部で撮像される認証対象者の指画像が認証部で行う登録者であるかどうかの認証に用いるのに適さない指画像になるかどうかを、載置状態検知部で検知した認証対象者の指の載置状態に基づいて判定する判定部を設ける。そして、この判定部が、認証部で行う登録者であるかどうかの認証に用いるのに適さない指画像になると判定した場合に、出力部が載置状態の修正を出力する、構成としてもよい。
【0012】
このように構成すれば、無駄な撮像を防止し、認証対象者が登録者であるかどうかの認証にかかる処理時間の増加が抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、指静脈パターンによる本人認証精度の低下が十分に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】生体認証ユニットの主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】生体認証ユニットの上面図である。
【図3】生体認証ユニットの側面断面図である。
【図4】生体認証ユニットの正面図である。
【図5】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図6】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図7】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図8】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図9】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図10】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図11】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図12】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図13】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図14】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図15】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図16】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図17】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図18】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図19】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図20】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図21】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図22】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図23】生体認証ユニットの動作を示すフローチャートである。
【図24】エラー処理時の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態である生体認証ユニットについて説明する。
【0016】
図1は、この生体認証ユニットの主要部の構成を示すブロック図である。図2は、この生体認証ユニットの上面図である。図3は、図2に示すA−A方向の側面断面図。図4は、図2に示すB−B方向の矢示図(正面図)である。
【0017】
この生体認証ユニット1は、制御部2と、載置状態検知部3と、認証部4と、撮像部5と、入出力部6と、を備えている。この生体認証ユニット1は、認証対象者(以下、利用者と言う。)の指静脈パターンを用いて、当該利用者が登録者本人であるかどうかを認証する。この生体認証ユニット1は、例えば金融機関の店舗に設置されている現金自動預け払い機(ATM)や、セキュリティルームに入退出する利用者を管理する入退出管理システム等に適用できる。
【0018】
制御部2は、この生体認証ユニット1本体各部の動作を制御する。
【0019】
載置状態検知部3は、載置台に載置された利用者の指の載置状態を検知する。この載置状態検知部3には、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35が接続されている。右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35は、それぞれ、複数の圧電センサをマトリクス状に配置した構成である。右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35は、個々の圧電センサの出力を載置状態検知部3に入力する。
【0020】
右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、および後側圧力検知板34は、載置台に設けた開口部を囲むように配置している。先端圧力検知板35は、載置台に載置された指の先端が当接するように、略垂直に立設させている。載置状態検知部3は、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35毎に、利用者の指が当接し押圧している領域(パターン)を検知することにより、載置台における利用者の指の載置状態を検知する。
【0021】
撮像部5は、載置台に載置された利用者の指の静脈を撮像する赤外線カメラを有している。右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、および後側圧力検知板34によって囲まれている載置台の開口部の下方には、プリズム(不図示)が配置されている。撮像部5は、このプリズムを利用し、開口部に対向する利用者の指の腹を撮像する。
【0022】
入出力部6は、上位装置との間における入出力を制御する。入出力部6には、例えば、上位装置から登録者の指静脈パターンが入力される。また、上位装置に対して、利用者の認証結果を上位装置に通知する。
【0023】
認証部4は、利用者の指静脈パターンと、登録者の指静脈パターンと、を照合し、利用者が登録者であるかどうかを認証する。利用者の指静脈パターンは、撮像部5が撮像した利用者の指の腹画像から取得する。また、登録者の指静脈パターンは、入出力部6において上位装置から取得する。例えば、上位装置がATMの場合、上位装置であるATMが挿入されたキャッシュカードに記録されている登録者の指静脈パターンを読み取り、これを入出力部6に入力する。
【0024】
次に、載置状態検知部3が、載置台に載置されている利用者の指の載置状態を検知する手法について具体的に説明する。
【0025】
図5は、載置台における利用者の指の載置状態が適正である。具体的には、略真っ直ぐに伸ばした指の指先で先端圧力検知板35を押圧している状態である。また、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、および後側圧力検知板34を、指の腹で押圧している。利用者の指は、右側圧力検知板31と、左側圧力検知板32と、の略中央に位置し、且つ、右側圧力検知板31および左側圧力検知板32と、略平行に伸びている。図6は、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布を示す。図6では、ハッチングで示す部分が、利用者の指による押圧力を検知している領域である。
【0026】
また、図7に示すように、載置台に載置されている利用者の指が、右方向にずれているときには、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図8に示す状態になる。さらに、図9に示すように、利用者の指が、図5に示す適正な位置から、左方向にずれているときには、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図10に示す状態になる。
【0027】
また、図11に示すように、載置台に載置されている利用者の指が右に傾いていれば、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図12に示す状態になる。また、図13に示すように、載置台に載置されている利用者の指が左に傾いていれば、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図14に示す状態になる。
【0028】
また、図15に示すように、載置台に載置されている利用者の指が右に回転していれば、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図16に示す状態になる。また、図17に示すように、載置台に載置されている利用者の指が左に回転していれば、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図18に示す状態になる。
【0029】
また、図19に示すように、載置台に載置されている利用者の指が手前にずれていると、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図20に示す状態になる。
【0030】
また、図21に示すように、載置台に載置されている利用者の指が「へ」の字に曲がっていると、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図22に示す状態になる。
【0031】
上述の図5〜図14から明らかなように、右側圧力検知板31、および左側圧力検知板32で検知される圧力分布により、載置台に載置されている利用者の指の左右のずれ量や、左右の傾き量が推定できる。具体的には、右側圧力検知板31で検知される圧力分布の幅と、左側圧力検知板32で検知される圧力分布の幅の差により、載置台に載置されている利用者の指の左右のずれ量が推定できる。また、右側圧力検知板31で検知される圧力分布、または左側圧力検知板32で検知される圧力分布の外側の傾斜により、置台に載置されている利用者の指の左右の傾き量が推定できる。
【0032】
なお、先端圧力検知板35で検知している圧力分布の中心位置でも、載置台に載置されている利用者の指の左右のずれ量が推定できる。
【0033】
また、上述の図15〜図18から明らかなように、先端圧力検知板35で検知している圧力分布の回転量(略楕円の回転量)から、載置台に載置されている利用者の指の左右の回転量が推定できる。
【0034】
また、上述の図19、および図20から明らかなように、前側圧力検知板33が検知している圧力分布の先端位置により、載置台に載置されている利用者の指の手前方向へのずれ量が推定できる。
【0035】
さらに、上述の図21、および図22から明らかなように、右側圧力検知板31、および左側圧力検知板32で検知される圧力分布において、前後方向に圧力を検知していない領域があれば、載置台に載置されている利用者の指が「へ」の字に曲がっていると判断できる。
【0036】
次に、この生体認証ユニット1の認証処理にかかる動作について説明する。図23は、この認証処理を示すフローチャートである。
【0037】
生体認証ユニット1は、利用者が載置台に指を載置すると、その指の載置状態を検知する(s1)。s1では、載置状態検知部3が、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知されている圧力分布により利用者の指の載置状態(左右のずれ量、左右の傾き量、左右の回転量、前後のずれ量、「へ」の字に曲がっているかどうか等)を検知する。
【0038】
生体認証ユニット1は、制御部2においてs1で検知した利用者の指の載置状態が認証可能範囲であるかどうかを判定する(s2)。s2では、載置台における利用者の指の載置状態と、適正な載置状態と、のずれが、予め定めた許容範囲内であるかどうかを判定する。すなわち、制御部2は、載置台における利用者の指の載置状態が、適正な載置状態に対して大きくずれていたり、図21に示すように「へ」の字に曲がっていると、認証可能範囲でないと判定する。
【0039】
また、後側圧力検知板34における押圧力の強さを検知し、この押圧力が予め定めた値よりも大きいときに、認証可能範囲でないと判定する構成としてもよい。すなわち、指の付け根側を、後側圧力検知板34に強く抑え付け、指先の血流が止まってしまうような状態を検知し、認証可能範囲でないと判定するようにしてもよい。
【0040】
生体認証ユニット1は、s2で認証可能範囲でないと判定すると、載置状態の修正を指示する出力を行い(s3)、s1に戻る。s3では、載置状態の修正指示を入出力部6に接続されている上位装置に入力する。上位装置は、この修正指示に応じた修正案内画面を表示器に表示する。例えば、指の傾きが大きいときには、図24に示す修正案内画面を表示器に表示する。この表示により、利用者は、載置台に載置している指をどのように動かせばよいのか、簡単に判断できる。
【0041】
生体認証ユニット1は、s2で認証可能範囲であると判定すると、撮像部5で載置台に載置されている利用者の指の腹を撮像し、認証部4で利用者の指の腹画像を処理し、この利用者の指静脈パターンを取得する(s4)。
【0042】
また、生体認証ユニット1は、上位装置から登録者の指静脈パターン(登録者データ)を取得する(s5)。登録者データは、上位装置から入出力部6に入力される。認証部4は、s1で検知した利用者の指の載置状態に基づいて、登録者データを補正する(s6)。登録者データは、利用者の指の載置状態が略適正である状態で、撮像した画像から取得している。s6では、s1で検知した利用者の指の載置状態と、適正な載置状態とのずれ量に基づいて、登録者データである指静脈パターンを前後左右にずらしたり、左右に傾けたり、左右に回転させる等の補正を行う。
【0043】
生体認証ユニット1は、s6で補正した登録者データと、今回取得した利用者の指静脈パターンと、を照合し、その類似度を算出する(s7)。生体認証ユニット1は、s7で算出した類似度が、予め定められている閾値を超えていれば、当該利用者を登録者本人であると認証する(s8、s9)。反対に、生体認証ユニット1は、s7で算出した類似度が、予め定められている閾値を超えていなければ、当該利用者を登録者本人でないと認証する(s8、s10)。
【0044】
生体認証ユニット1は、入出力部6において、認証結果を上位装置に通知する(s11)。
【0045】
このように、この生体認証ユニット1は、利用者の指の載置状態と、適正な載置状態とのずれ量に基づいて、登録者データである指静脈パターンを補正し、補正した登録者データと、取得した利用者の指静脈パターンと、を照合し、当該利用者が登録者本人であるかどうかを認証する。したがって、指静脈パターンによる本人認証精度の低下が十分に抑えられる。
【0046】
また、s2で、載置台における利用者の指の載置状態が、適正な載置状態が大きくずれていれば、載置状態の修正を指示する構成としているので、無駄な撮像を防止し、利用者が登録者であるかどうかの認証にかかる処理時間の増加が抑えられる。
【0047】
なお、上述の実施例では、s6で、利用者の指の載置状態と、適正な載置状態とのずれ量に基づいて、登録者データである指静脈パターンを補正するとしたが、今回取得した利用者の指静脈パターンを補正してもよい。
【0048】
また、上述の例では、圧力センサを用いる場合を例にしたが、静電容量センサ等、他のタイプのセンサを用いて、載置台における利用者の指の載置状態を検知する構成としてもよい。
【0049】
また、この生体認証ユニット1は、登録者データの登録にも用いることができる。この場合には、s4で取得した生体情報を登録データとして登録すればよい(上述のs5以降の処理については、不要である。)。
【符号の説明】
【0050】
1…生体認証ユニット
2…制御部
3…載置状態検知部
5…撮像部
6…入出力部
31…右側圧力検知板
32…左側圧力検知板
33…前側圧力検知板
34…後側圧力検知板
35…先端圧力検知板
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンと、予め登録されている登録者の指静脈パターンと、を照合し、認証対象者が登録者であるかどうかの認証を行う生体認証ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報を用いて、利用者を認証する生体認証ユニットが様々な機器やシステムで利用されている。例えば、金融機関の店舗に設置されている現金自動預け払い機では、取引を行う利用者が口座名義人であるかどうかを認証するのに、生体認証ユニットを用いている。また、セキュリティルーム等の特定の場所に入退出する人物を管理する入退出管理システムでは、利用者が入退出を許可されている人物であるかどうかを認証するのに、生体認証ユニットを用いている。利用者の認証に用いる生体情報には、指静脈、指紋、掌紋、虹彩等がある。
【0003】
生体認証は、予め登録している登録者の生体情報と、利用者から取得した生体情報と、を照合し、その類似度が予め定めた閾値を超えていれば、利用者を登録者本人であると認証する。生体認証では、利用者の特定部位(特定部位は、認証に用いる生体情報によって決まる。)を撮像した画像から、当該利用者の生体情報を取得する。また、登録者は、予め特定部位を撮像した画像から取得した生体情報をマスタデータとして登録している。
【0004】
撮像画像から取得する生体情報は、特定部位に対する撮像部のアングルの変化にともなって変化する。一方、特定部位に対するアングルを、登録時と、認証時とで完全に一致させることは現実的に無理である。そこで、利用者の認証精度を確保するために、特許文献1等に示されている技術が提案されている。この特許文献1は、利用者の指の関節の皺の特徴量を用いて、撮像画像から得た利用者の指静脈パターンと、登録者の指静脈パターンと、を照合する技術を提案している。具体的には、利用者が、指静脈パターンの登録時に載置台に載置した指の位置に対して、今回の認証時に載置台に載置した指の位置が前後や、左右にずれているかどうかを指の関節の皺を用いて検出する。登録者は、指静脈パターンだけでなく、指の関節の皺のパターンも登録している。そして、撮像画像から得た利用者の指静脈パターンと、登録者の指静脈パターンと、を照合するときに、一方を検出した登録時と認証時との指の位置ずれ量に応じて補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−134862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、指静脈パターンの登録時に載置台に載置した指の位置に対して、今回の認証時に載置台に載置した指の位置が前後、または左右にずれた場合には、認証精度を確保することはできるが、指の傾きや回転が生じている場合、認証精度を確保することができない。
【0007】
この発明の目的は、載置台における認証対象者の指の載置状態を検知し、ここで検知した指の載置状態を用いて、指静脈パターンによる本人認証を行うことで、認証精度の低下を十分に抑えた生体認証ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の生体認証ユニットは、上述の課題を解決し、その目的を達するために、以下の構成を備えている。
【0009】
この生体認証ユニットでは、撮像部が開口部に対向して載置されている認証対象者の指を、当該開口部を通して撮像する。また、載置状態検知部が、開口部の周囲に配置した複数のセンサで、開口部に対向して載置されている認証対象者の指の載置状態を検知する。載置状態検知部は、例えば、開口部の周囲に認証対象者の指の有無を検知するセンサを複数配置し、各センサの検出結果から認証対象者の指の載置状態を検知する。センサとしては、例えば押圧力を検知する圧電センサ、透過光や反射光の有無を検知する光センサ、静電容量の変化を検知する静電センサ等を利用すればよい。これにより、複数のセンサは、載置されている利用者の指の状態が検知できるように配置すればよい。
【0010】
認証部は、予め登録されている登録者の指静脈パターンと、撮像部が撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンとを、載置状態検知部が検知した認証対象者の指の載置状態を用いて照合し、認証対象者が登録者であるかどうかの認証を行う。具体的には、登録者の指静脈パターンと、認証対象者の指静脈パターンとが、略同じアングルで取得したものになるよう、予め登録されている登録者の指静脈パターン、または、撮像部が撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンの一方を、検知した載置状態に応じて補正する。したがって、登録時と、認証時とにおける利用者の指の載置状態の違いによる影響を抑えた生体認証が行え、認証精度の低下が十分に抑えられる。
【0011】
また、撮像部が開口部を通して認証対象者の指画像を撮像する前に、この撮像部で撮像される認証対象者の指画像が認証部で行う登録者であるかどうかの認証に用いるのに適さない指画像になるかどうかを、載置状態検知部で検知した認証対象者の指の載置状態に基づいて判定する判定部を設ける。そして、この判定部が、認証部で行う登録者であるかどうかの認証に用いるのに適さない指画像になると判定した場合に、出力部が載置状態の修正を出力する、構成としてもよい。
【0012】
このように構成すれば、無駄な撮像を防止し、認証対象者が登録者であるかどうかの認証にかかる処理時間の増加が抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、指静脈パターンによる本人認証精度の低下が十分に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】生体認証ユニットの主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】生体認証ユニットの上面図である。
【図3】生体認証ユニットの側面断面図である。
【図4】生体認証ユニットの正面図である。
【図5】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図6】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図7】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図8】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図9】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図10】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図11】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図12】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図13】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図14】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図15】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図16】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図17】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図18】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図19】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図20】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図21】生体認証ユニットにおける指の載置状態の例を示す図である。
【図22】各圧力検知板により検知される圧力分布を示す図である。
【図23】生体認証ユニットの動作を示すフローチャートである。
【図24】エラー処理時の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態である生体認証ユニットについて説明する。
【0016】
図1は、この生体認証ユニットの主要部の構成を示すブロック図である。図2は、この生体認証ユニットの上面図である。図3は、図2に示すA−A方向の側面断面図。図4は、図2に示すB−B方向の矢示図(正面図)である。
【0017】
この生体認証ユニット1は、制御部2と、載置状態検知部3と、認証部4と、撮像部5と、入出力部6と、を備えている。この生体認証ユニット1は、認証対象者(以下、利用者と言う。)の指静脈パターンを用いて、当該利用者が登録者本人であるかどうかを認証する。この生体認証ユニット1は、例えば金融機関の店舗に設置されている現金自動預け払い機(ATM)や、セキュリティルームに入退出する利用者を管理する入退出管理システム等に適用できる。
【0018】
制御部2は、この生体認証ユニット1本体各部の動作を制御する。
【0019】
載置状態検知部3は、載置台に載置された利用者の指の載置状態を検知する。この載置状態検知部3には、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35が接続されている。右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35は、それぞれ、複数の圧電センサをマトリクス状に配置した構成である。右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35は、個々の圧電センサの出力を載置状態検知部3に入力する。
【0020】
右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、および後側圧力検知板34は、載置台に設けた開口部を囲むように配置している。先端圧力検知板35は、載置台に載置された指の先端が当接するように、略垂直に立設させている。載置状態検知部3は、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35毎に、利用者の指が当接し押圧している領域(パターン)を検知することにより、載置台における利用者の指の載置状態を検知する。
【0021】
撮像部5は、載置台に載置された利用者の指の静脈を撮像する赤外線カメラを有している。右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、および後側圧力検知板34によって囲まれている載置台の開口部の下方には、プリズム(不図示)が配置されている。撮像部5は、このプリズムを利用し、開口部に対向する利用者の指の腹を撮像する。
【0022】
入出力部6は、上位装置との間における入出力を制御する。入出力部6には、例えば、上位装置から登録者の指静脈パターンが入力される。また、上位装置に対して、利用者の認証結果を上位装置に通知する。
【0023】
認証部4は、利用者の指静脈パターンと、登録者の指静脈パターンと、を照合し、利用者が登録者であるかどうかを認証する。利用者の指静脈パターンは、撮像部5が撮像した利用者の指の腹画像から取得する。また、登録者の指静脈パターンは、入出力部6において上位装置から取得する。例えば、上位装置がATMの場合、上位装置であるATMが挿入されたキャッシュカードに記録されている登録者の指静脈パターンを読み取り、これを入出力部6に入力する。
【0024】
次に、載置状態検知部3が、載置台に載置されている利用者の指の載置状態を検知する手法について具体的に説明する。
【0025】
図5は、載置台における利用者の指の載置状態が適正である。具体的には、略真っ直ぐに伸ばした指の指先で先端圧力検知板35を押圧している状態である。また、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、および後側圧力検知板34を、指の腹で押圧している。利用者の指は、右側圧力検知板31と、左側圧力検知板32と、の略中央に位置し、且つ、右側圧力検知板31および左側圧力検知板32と、略平行に伸びている。図6は、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布を示す。図6では、ハッチングで示す部分が、利用者の指による押圧力を検知している領域である。
【0026】
また、図7に示すように、載置台に載置されている利用者の指が、右方向にずれているときには、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図8に示す状態になる。さらに、図9に示すように、利用者の指が、図5に示す適正な位置から、左方向にずれているときには、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図10に示す状態になる。
【0027】
また、図11に示すように、載置台に載置されている利用者の指が右に傾いていれば、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図12に示す状態になる。また、図13に示すように、載置台に載置されている利用者の指が左に傾いていれば、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図14に示す状態になる。
【0028】
また、図15に示すように、載置台に載置されている利用者の指が右に回転していれば、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図16に示す状態になる。また、図17に示すように、載置台に載置されている利用者の指が左に回転していれば、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図18に示す状態になる。
【0029】
また、図19に示すように、載置台に載置されている利用者の指が手前にずれていると、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図20に示す状態になる。
【0030】
また、図21に示すように、載置台に載置されている利用者の指が「へ」の字に曲がっていると、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知される圧力分布は図22に示す状態になる。
【0031】
上述の図5〜図14から明らかなように、右側圧力検知板31、および左側圧力検知板32で検知される圧力分布により、載置台に載置されている利用者の指の左右のずれ量や、左右の傾き量が推定できる。具体的には、右側圧力検知板31で検知される圧力分布の幅と、左側圧力検知板32で検知される圧力分布の幅の差により、載置台に載置されている利用者の指の左右のずれ量が推定できる。また、右側圧力検知板31で検知される圧力分布、または左側圧力検知板32で検知される圧力分布の外側の傾斜により、置台に載置されている利用者の指の左右の傾き量が推定できる。
【0032】
なお、先端圧力検知板35で検知している圧力分布の中心位置でも、載置台に載置されている利用者の指の左右のずれ量が推定できる。
【0033】
また、上述の図15〜図18から明らかなように、先端圧力検知板35で検知している圧力分布の回転量(略楕円の回転量)から、載置台に載置されている利用者の指の左右の回転量が推定できる。
【0034】
また、上述の図19、および図20から明らかなように、前側圧力検知板33が検知している圧力分布の先端位置により、載置台に載置されている利用者の指の手前方向へのずれ量が推定できる。
【0035】
さらに、上述の図21、および図22から明らかなように、右側圧力検知板31、および左側圧力検知板32で検知される圧力分布において、前後方向に圧力を検知していない領域があれば、載置台に載置されている利用者の指が「へ」の字に曲がっていると判断できる。
【0036】
次に、この生体認証ユニット1の認証処理にかかる動作について説明する。図23は、この認証処理を示すフローチャートである。
【0037】
生体認証ユニット1は、利用者が載置台に指を載置すると、その指の載置状態を検知する(s1)。s1では、載置状態検知部3が、右側圧力検知板31、左側圧力検知板32、前側圧力検知板33、後側圧力検知板34、および先端圧力検知板35で検知されている圧力分布により利用者の指の載置状態(左右のずれ量、左右の傾き量、左右の回転量、前後のずれ量、「へ」の字に曲がっているかどうか等)を検知する。
【0038】
生体認証ユニット1は、制御部2においてs1で検知した利用者の指の載置状態が認証可能範囲であるかどうかを判定する(s2)。s2では、載置台における利用者の指の載置状態と、適正な載置状態と、のずれが、予め定めた許容範囲内であるかどうかを判定する。すなわち、制御部2は、載置台における利用者の指の載置状態が、適正な載置状態に対して大きくずれていたり、図21に示すように「へ」の字に曲がっていると、認証可能範囲でないと判定する。
【0039】
また、後側圧力検知板34における押圧力の強さを検知し、この押圧力が予め定めた値よりも大きいときに、認証可能範囲でないと判定する構成としてもよい。すなわち、指の付け根側を、後側圧力検知板34に強く抑え付け、指先の血流が止まってしまうような状態を検知し、認証可能範囲でないと判定するようにしてもよい。
【0040】
生体認証ユニット1は、s2で認証可能範囲でないと判定すると、載置状態の修正を指示する出力を行い(s3)、s1に戻る。s3では、載置状態の修正指示を入出力部6に接続されている上位装置に入力する。上位装置は、この修正指示に応じた修正案内画面を表示器に表示する。例えば、指の傾きが大きいときには、図24に示す修正案内画面を表示器に表示する。この表示により、利用者は、載置台に載置している指をどのように動かせばよいのか、簡単に判断できる。
【0041】
生体認証ユニット1は、s2で認証可能範囲であると判定すると、撮像部5で載置台に載置されている利用者の指の腹を撮像し、認証部4で利用者の指の腹画像を処理し、この利用者の指静脈パターンを取得する(s4)。
【0042】
また、生体認証ユニット1は、上位装置から登録者の指静脈パターン(登録者データ)を取得する(s5)。登録者データは、上位装置から入出力部6に入力される。認証部4は、s1で検知した利用者の指の載置状態に基づいて、登録者データを補正する(s6)。登録者データは、利用者の指の載置状態が略適正である状態で、撮像した画像から取得している。s6では、s1で検知した利用者の指の載置状態と、適正な載置状態とのずれ量に基づいて、登録者データである指静脈パターンを前後左右にずらしたり、左右に傾けたり、左右に回転させる等の補正を行う。
【0043】
生体認証ユニット1は、s6で補正した登録者データと、今回取得した利用者の指静脈パターンと、を照合し、その類似度を算出する(s7)。生体認証ユニット1は、s7で算出した類似度が、予め定められている閾値を超えていれば、当該利用者を登録者本人であると認証する(s8、s9)。反対に、生体認証ユニット1は、s7で算出した類似度が、予め定められている閾値を超えていなければ、当該利用者を登録者本人でないと認証する(s8、s10)。
【0044】
生体認証ユニット1は、入出力部6において、認証結果を上位装置に通知する(s11)。
【0045】
このように、この生体認証ユニット1は、利用者の指の載置状態と、適正な載置状態とのずれ量に基づいて、登録者データである指静脈パターンを補正し、補正した登録者データと、取得した利用者の指静脈パターンと、を照合し、当該利用者が登録者本人であるかどうかを認証する。したがって、指静脈パターンによる本人認証精度の低下が十分に抑えられる。
【0046】
また、s2で、載置台における利用者の指の載置状態が、適正な載置状態が大きくずれていれば、載置状態の修正を指示する構成としているので、無駄な撮像を防止し、利用者が登録者であるかどうかの認証にかかる処理時間の増加が抑えられる。
【0047】
なお、上述の実施例では、s6で、利用者の指の載置状態と、適正な載置状態とのずれ量に基づいて、登録者データである指静脈パターンを補正するとしたが、今回取得した利用者の指静脈パターンを補正してもよい。
【0048】
また、上述の例では、圧力センサを用いる場合を例にしたが、静電容量センサ等、他のタイプのセンサを用いて、載置台における利用者の指の載置状態を検知する構成としてもよい。
【0049】
また、この生体認証ユニット1は、登録者データの登録にも用いることができる。この場合には、s4で取得した生体情報を登録データとして登録すればよい(上述のs5以降の処理については、不要である。)。
【符号の説明】
【0050】
1…生体認証ユニット
2…制御部
3…載置状態検知部
5…撮像部
6…入出力部
31…右側圧力検知板
32…左側圧力検知板
33…前側圧力検知板
34…後側圧力検知板
35…先端圧力検知板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に対向して載置されている認証対象者の指を、当該開口部を通して撮像する撮像部と、
前記開口部の周囲に配置した複数のセンサで、前記開口部に対向して載置されている認証対象者の指の載置状態を検知する載置状態検知部と、
予め登録されている登録者の指静脈パターンと、前記撮像部が撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンとを、前記載置状態検知部が検知した認証対象者の指の載置状態を用いて照合し、認証対象者が登録者であるかどうかの認証を行う認証部と、を備えた生体認証ユニット。
【請求項2】
前記認証部は、前記載置状態検知部が検知した認証対象者の指の載置状態を用いて登録者の指静脈パターンを補正し、ここで補正した登録者の指静脈パターンと、前記撮像部が撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンとを照合し、その類似度によりを認証対象者が登録者であるかどうかの認証を行う、請求項1に記載の生体認証ユニット。
【請求項3】
前記撮像部が前記開口部を通して認証対象者の指画像を撮像する前に、前記撮像部で撮像される認証対象者の指画像が前記認証部で行う登録者であるかどうかの認証に用いるのに適さない指画像になるかどうかを、前記載置状態検知部が検知した認証対象者の指の載置状態に基づいて判定する判定部と、
前記判定部が、前記認証部で行う登録者であるかどうかの認証に用いるのに適さない指画像になると判定した場合に、載置状態の修正を出力する出力部と、を備えた請求項1、または2に記載の生体認証ユニット。
【請求項4】
前記載置状態検知部は、複数の圧電センサをマトリクス状に配置した圧力検知板を、前記開口部の周囲に配置している請求項1〜3に記載の生体認証ユニット。
【請求項1】
開口部に対向して載置されている認証対象者の指を、当該開口部を通して撮像する撮像部と、
前記開口部の周囲に配置した複数のセンサで、前記開口部に対向して載置されている認証対象者の指の載置状態を検知する載置状態検知部と、
予め登録されている登録者の指静脈パターンと、前記撮像部が撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンとを、前記載置状態検知部が検知した認証対象者の指の載置状態を用いて照合し、認証対象者が登録者であるかどうかの認証を行う認証部と、を備えた生体認証ユニット。
【請求項2】
前記認証部は、前記載置状態検知部が検知した認証対象者の指の載置状態を用いて登録者の指静脈パターンを補正し、ここで補正した登録者の指静脈パターンと、前記撮像部が撮像した認証対象者の指画像から取得した指静脈パターンとを照合し、その類似度によりを認証対象者が登録者であるかどうかの認証を行う、請求項1に記載の生体認証ユニット。
【請求項3】
前記撮像部が前記開口部を通して認証対象者の指画像を撮像する前に、前記撮像部で撮像される認証対象者の指画像が前記認証部で行う登録者であるかどうかの認証に用いるのに適さない指画像になるかどうかを、前記載置状態検知部が検知した認証対象者の指の載置状態に基づいて判定する判定部と、
前記判定部が、前記認証部で行う登録者であるかどうかの認証に用いるのに適さない指画像になると判定した場合に、載置状態の修正を出力する出力部と、を備えた請求項1、または2に記載の生体認証ユニット。
【請求項4】
前記載置状態検知部は、複数の圧電センサをマトリクス状に配置した圧力検知板を、前記開口部の周囲に配置している請求項1〜3に記載の生体認証ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−253438(P2011−253438A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128102(P2010−128102)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]