説明

生体認証装置

本発明の生体認証装置は、車両の座席に着座した乗員の画像を撮像する撮像手段(10)と、撮像手段(10)によって撮像された画像に基づいて認証情報を生成する認証情報生成手段(11)と、車両の正当な利用者を表す認証情報を記憶する認証情報記憶手段(12)と、認証情報記憶手段(12)に記憶された認証情報に基づいて認証情報生成手段(11)によって生成された認証情報を認証する認証手段(13)と、車両に対する座席の位置を表す座席位置情報を記憶する座席位置記憶手段(14)と、撮像手段(10)によって乗員の画像が撮像されるときに座席位置記憶手段(14)に記憶された座席位置情報に基づいて座席の位置を調整する座席位置調整手段(15)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、車両に搭載される生体認証装置に関し、例えば、車両の座席に着座した乗員の画像を撮像して生体認証することによって車両の運転を許可および禁止する生体認証装置に関するものである。
【背景技術】
従来の車両に搭載される生体認証装置は、第7図に示すように、正規ユーザの登録虹彩パターンを記憶しておくための虹彩パターン記憶手段51と、運転席に着座した運転手の瞳を撮影し得る位置に配設されたカメラ52と、カメラ52で撮影された瞳の検出虹彩パターンと虹彩パターン記憶手段51に登録された登録虹彩パターンとを照合すると共にこれら登録虹彩パターンが一致した場合のみエンジン始動許可処理を行うユーザ認識制御手段53とを備え、運転手がカメラ52を特別に意識することなく運転席に着座するのみで個人の認証を行うようにしている(例えば特開2000−168502号公報参照)。
しかしながら、従来の車両に搭載される生体認証装置においては、運転手の身体的特徴や車両に対する座席の位置によって運転手の画像が撮像できなかったり、生体認証するために十分な大きさに撮像できなかったりすることによって生体認証の精度が低下するといった問題があった。
【発明の開示】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、乗員の身体的特徴や車両に対する座席の位置によらず生体認証の精度を維持することができる生体認証装置を提供することを目的とする。
本発明の生体認証装置は、車両の座席に着座した乗員の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて認証情報を生成する認証情報生成手段と、前記車両の正当な利用者を表す認証情報を記憶する認証情報記憶手段と、前記認証情報記憶手段に記憶された認証情報に基づいて前記認証情報生成手段によって生成された認証情報を認証する認証手段と、前記車両に対する前記座席の位置を表す座席位置情報を記憶する座席位置記憶手段と、前記撮像手段によって前記乗員の画像が撮像されるときに前記座席位置記憶手段に記憶された座席位置情報に基づいて前記座席の位置を調整する座席位置調整手段とを備えた構成を有している。
この構成により、乗員の画像を撮像するときに予め記憶された座席位置情報に基づいて車両の座席の位置を調整するため、乗員の身体的特徴や車両に対する座席の位置によらず生体認証の精度を維持することができる。
また、本発明の生体認証装置は、前記車両に対する前記座席の現在位置を表す座席位置情報を前記座席位置記憶手段に登録する座席位置登録手段を備えた構成を有している。
この構成により、乗員によって最適に調整された車両に対する座席の位置を表す座席位置情報を登録することができる。
また、本発明の生体認証装置は、前記撮像手段は、前記乗員の顔の画像を撮像するように構成されている。
この構成により、乗員の顔の画像を撮像するときに予め記憶された座席位置情報に基づいて車両の座席の位置を調整するため、乗員の身体的特徴や車両に対する座席の位置によらず生体認証の精度を維持することができる。
また、本発明の生体認証装置は、前記撮像手段は、前記乗員の虹彩の画像を撮像するように構成されている。
この構成により、乗員の虹彩の画像を撮像するときに予め記憶された座席位置情報に基づいて車両の座席の位置を調整するため、乗員の身体的特徴や車両に対する座席の位置によらず生体認証の精度を維持することができる。
また、本発明の生体認証装置は、前記車両に搭載された車載機器の利用を禁止する車載機器利用禁止手段を備え、前記認証手段は、前記認証情報生成手段によって生成された認証情報を前記車載機器ごとにさらに認証し、前記車載機器利用禁止手段による前記車載機器の利用の禁止は、前記認証情報生成手段によって生成された認証情報が前記認証手段によって正当なものであると認証されなかった車載機器に対して行われるように構成されている。
この構成により、利用者に応じて車載機器の使用を制限することができるため、車両の一時的な貸し出しなどを行った場合に、不必要に車載機器を利用されることを防止することができる。
また、本発明の生体認証装置は、前記車載機器は、前記車両のエンジンの作動を許可するエンジン作動許可機器を含んでいる。
この構成により、正当な利用者であると認証されなかった利用者には、車両のエンジンの作動を禁止するため、車両の盗難を防止することができる。
また、本発明の生体認証装置は、前記座席位置記憶手段は、前記車両の正当な利用者を表す認証情報と対応させて前記車両の走行時における前記車両に対する前記座席の位置を表す走行時座席位置情報をさらに記憶し、前記座席位置調整手段は、前記認証情報生成手段によって生成された認証情報が前記認証手段によって正当なものであると認証された場合には、前記座席位置記憶手段に記憶された走行時座席位置情報に基づいて前記座席の位置を調整するように構成されている。
この構成により、正当な利用者であると認証された利用者に対して車両の走行時における座席位置に座席が調整されるため、乗員が座席の位置を調整する手間を低減することができる。
また、本発明の生体認証装置は、前記撮像手段によって前記乗員の画像が撮像されるときに、前記車両に設けられたステアリングホイールの位置および姿勢の少なくとも一方を予め定められた範囲内に変更するステアリングホイール位置変更手段を備えた構成を有している。
この構成により、撮像手段の撮像範囲にステアリングホイールがあるために撮像手段が乗員の画像を撮像できなくなることを防ぐことができる。
また、本発明の生体認証装置は、前記ステアリングホイールの位置および姿勢の少なくとも一方が前記範囲内に入っているか否かを判断するステアリングホイール位置判断手段を備え、前記ステアリングホイール位置変更手段は、前記ステアリングホイールの位置および姿勢の少なくとも一方が前記範囲内に入っていないと前記ステアリングホイール位置判断手段によって判断された場合に、前記ステアリングホイールの位置および姿勢の少なくとも一方を前記範囲内に変更するように構成されている。
この構成により、撮像手段に乗員の画像を撮像させるためのステアリングホイールの位置や姿勢の変更を必要に応じて行うことができる。
また、本発明の車両は、車両に前記生体認証装置が組み込まれて構成される。
この構成により、認証作業が容易であり、認証によって盗難などに対してセキュリティの高い車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
本発明に係る生体認証装置の特徴および長所は、以下の図面と共に、後述される記載から明らかになる。
第1図は、本発明の第1の実施の形態における生体認証装置のブロック図である。
第2図は、本発明の第1の実施の形態における生体認証装置によって第1の座席位置情報に設定された座席の位置を表す模式図である。
第3図は、本発明の第1の実施の形態における生体認証装置によって第2の座席位置情報に設定された座席の位置を表す模式図である。
第4図は、本発明の第1の実施の形態における生体認証装置の動作説明のためのフロー図である。
第5図は、本発明の第2の実施の形態における生体認証装置のブロック図である。
第6A図および第6B図は、本発明の第2の実施の形態における生体認証装置の動作説明のためのフロー図である。
第7図は、従来の生体認証装置のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の生体認証装置を第1図に示す。
第1図において、生体認証装置1は、車両の座席に着座した乗員の画像を撮像する撮像手段10と、撮像手段10によって撮像された画像に基づいて認証情報を生成する認証情報生成手段11と、車両の正当な利用者を表す認証情報を記憶する認証情報記憶手段12と、認証情報記憶手段12に記憶された認証情報に基づいて認証情報生成手段11によって生成された認証情報を認証する認証手段13と、車両に対する座席の位置を表す座席位置情報を記憶する座席位置記憶手段14と、撮像手段10によって乗員の画像が撮像されるときに座席位置記憶手段14に記憶された座席位置情報に基づいて座席の位置を調整する座席位置調整手段15とを備えている。
本実施形態において、撮像手段10は、運転手の顔の画像を撮像する第1のカメラ16と、運転手の虹彩の画像を撮像する第2のカメラ17とを備えている。認証情報生成手段11は、第1のカメラ16によって撮像された画像と第2のカメラ17によって撮像された画像とに基づいて認証情報、すなわち顔認証情報と虹彩認証情報とをそれぞれ生成するようになっている。
認証情報記憶手段12は、不揮発性の記憶媒体によって構成され、認証情報記憶手段12には、車両の正当な利用者を表す顔認証情報と虹彩認証情報とが予め記憶されている。認証手段13は、認証情報記憶手段12に記憶されている顔認証情報と虹彩認証情報とに基づいて認証情報生成手段11によって生成された顔認証情報と虹彩認証情報とをそれぞれ認証するようになっている。
座席位置記憶手段14は、不揮発性の記憶媒体によって構成され、座席位置記憶手段14には、第1のカメラ16が運転手の顔の画像を撮像する際の車両に対する座席の第1の位置を表す第1の座席位置情報と、第2のカメラ17が運転手の虹彩の画像を撮像する際の車両に対する座席の第2の位置を表す第2の座席位置情報と、車両の走行時、すなわち運転手が車両を運転する際の車両に対する座席の第3の位置を表す走行時座席位置情報とが予め記憶されている。ここで、座席位置記憶手段14は、走行時座席位置情報を車両の正当な利用者を表す認証情報と対応させて記憶するようになっている。なお、座席位置記憶手段14は、認証情報記憶手段12を構成する記憶媒体によって構成するようにしてもよい。
座席位置調整手段15は、第1のカメラ16が運転手の顔の画像を撮像する場合には、座席位置記憶手段14に記憶された第1の座席位置情報に基づいて座席の位置を調整し、第2のカメラ17が運転手の虹彩の画像を撮像する場合には、座席位置記憶手段14に記憶された第2の座席位置情報に基づいて座席の位置を調整し、認証情報生成手段11によって生成された顔認証情報と虹彩認証情報とが認証手段13によって正当なものであると認証された場合には、座席位置記憶手段14に記憶された走行時座席位置情報に基づいて座席の位置を調整するようになっている。
第2図は、第1の座席位置情報に設定された座席の位置を表す模式図であり、第3図は、第2の座席位置情報に設定された座席の位置を表す模式図である。
第2図および第3図に示すように、第1のカメラ16は、車両のインストルメントパネル18に設置され、第2のカメラ17は、サンバイザ19より車両後方の天井20に設置されているため、第1の座席位置情報に基づいて調整された座席21の位置は、第2の座席位置情報に基づいて調整された座席21の位置より車両前方側になる。
また、第1図乃至第3図において、生体認証装置1は、車両に対する座席21の位置を運転手に指定させる座席位置指定手段22と、撮像手段10による撮像の開始を指示する撮像開始指示手段を備えている。
座席位置指定手段22は、座席21に設けられ、座席位置調整手段15は、座席位置指定手段22による指定に応じて座席21の位置を車両前方または後方に移動するようになっている。
撮像開始指示手段は、車両の運転手席のドアが閉まったことを検知するドアセンサと、座席位置指定手段22付近に設けられた押しボタン23とによって構成され、運転手が座席21に着座して車両の運転手席のドアを閉じたことをドアセンサによって検知し、撮像手段10に撮像の開始を指示するようになっている。
また、撮像開始指示手段は、認証手段13による認証が失敗した場合に、認証手段13による認証が再度行われるよう、運転手による押しボタン23の押下を検知し、撮像手段10に撮像の開始を指示するようになっている。
なお、撮像開始指示手段は、第2のカメラ17の付近に設けられた虹彩認証開始ボタン(図示せず)によってさらに構成され、虹彩認証開始ボタンが押下されたときに虹彩の認証から始まる認証処理を実行するようにしてもよい。
第1図において、生体認証装置1は、車両に対する座席の現在位置を表す座席位置情報を座席位置記憶手段14に登録する座席位置登録手段24をさらに備えている。
具体的には、座席位置登録手段24は、第1のカメラ16によって運転手の顔の画像が撮像され、顔認証情報が正当なものであると認証手段13によって認証されたときに、座席位置登録手段24が登録状態にある場合には、車両に対する座席の現在の位置を表す第1の座席位置情報を座席位置記憶手段14に登録するようになっている。一方、座席位置登録手段24は、第2のカメラ17によって運転手の虹彩の画像が撮像され、虹彩認証情報が正当なものであると認証手段13によって認証されたときに、座席位置登録手段24が登録状態にある場合には、車両に対する座席の現在の位置を表す第2の座席位置情報を座席位置記憶手段14に登録するようになっている。ここで、座席位置登録手段24が登録状態にあるか否かは、例えば、イグニッションスイッチがオンであるか否かに基づくようにしてもよい。
また、生体認証装置1は、車両に搭載された車載機器の利用を禁止する車載機器利用禁止手段25をさらに備えている。ここで、車載機器は、車両のエンジンの作動を許可するエンジン作動許可機器、車載電話器、車載オーディオ機器、コンビネーションメータ、緊急通報機器、自動料金収受システム等に利用される路車間通信機器、およびカーナビゲーション機器等を含む。また、車載機器利用禁止手段25によって複数の車載機器の利用を禁止する場合には、撮像手段10によって撮像される身体の部分を車載機器毎に異なるものとし、各車載機器毎に認証手段13によって認証するようにしてもよい。なお、本実施形態における車載機器は、イモビライザやイグニッションスイッチをロックする機構等によって構成されるエンジン作動許可機器よりなるものとして以下説明する。
以上のように構成された生体認証装置1について、第4図を用いてその動作を説明する。
まず、車両の運転手席のドアが閉まったことをドアセンサで検知、または押しボタン23の押下が検知されると、撮像開始指示手段によって撮像手段10による撮像の開始が指示されて(S1)、座席位置記憶手段14に記憶された第1の座席位置情報に基づいて座席の位置が座席位置調整手段15によって調整される(S2)。
この座席位置調整手段15による調整は、撮像開始前のたとえば前回の降車時に予め調整するものでもよい。
次に、運転手の顔の画像が第1のカメラ16によって撮像され(S3)、撮像された画像に基づいて顔認証情報が認証情報生成手段11によって生成され(S4)、認証情報生成手段11によって生成された顔認証情報が認証情報記憶手段12に記憶されている顔認証情報に基づいて認証手段13によって認証される(S5)。
認証情報生成手段11によって生成された顔認証情報が正当なものでないと認証された場合には、運転手の顔の画像が第1のカメラ16によって撮像されてから所定時間が経過したか否かが認証手段13によって判断され(S6)、所定時間が経過したと判断された場合には、生体認証装置1は動作を終了する。一方、所定時間が経過していないと判断された場合には、再度運転手の顔の画像が第1のカメラ16によって撮像され、顔認証情報が認証手段13によって認証される(S3〜S5)。
認証情報生成手段11によって生成された顔認証情報が正当なものであると認証された時に、座席位置登録手段24が登録状態にある場合(S7)には、車両に対する座席の現在の位置を表す第1の座席位置情報が、座席位置登録手段24によって座席位置記憶手段14に登録される(S8)。したがって、この座席位置記憶手段14に登録された第1の座席位置情報は、個々の運転手の顔認証に最適な位置とすることができる。
一方、座席位置登録手段24が登録状態にない場合(S7)には、座席位置記憶手段14に記憶された第2の座席位置情報に基づいて座席の位置が座席位置調整手段15によって調整される(S9)。
次に、運転手の虹彩の画像が第2のカメラ17によって撮像され(S10)、撮像された画像に基づいて虹彩認証情報が認証情報生成手段11によって生成され(S11)、認証情報生成手段11によって生成された虹彩認証情報が認証情報記憶手段12に記憶されている虹彩認証情報に基づいて認証手段13によって認証される(S12)。
認証情報生成手段11によって生成された虹彩認証情報が正当なものでないと認証された場合には、運転手の虹彩の画像が第2のカメラ17によって撮像されてから所定時間が経過したか否かが認証手段13によって判断され(S13)、所定時間が経過したと判断された場合には、生体認証装置1は動作を終了する。一方、所定時間が経過していないと判断された場合には、運転手の虹彩の画像が第2のカメラ17によって撮像され、虹彩認証情報が認証手段13によって認証される(S10〜S12)。
認証情報生成手段11によって生成された虹彩認証情報が正当なものであると認証された場合において、座席位置登録手段24が登録状態にある場合(S14)には、車両に対する座席の現在の位置を表す第2の座席位置情報が、座席位置登録手段24によって座席位置記憶手段14に登録される(S15)。したがって、この座席位置記憶手段14に登録された第2の座席位置情報は、個々の運転手の虹彩認証に最適な位置とすることができる。
一方、座席位置登録手段24が登録状態にない場合(S14)には、車載機器利用禁止手段25によってエンジン作動許可機器の利用が許可され(S16)、座席位置記憶手段14に記憶された走行時座席位置情報に基づいて座席の位置が座席位置調整手段15によって調整される(S17)。
なお、ステップS2において、座席位置記憶手段14に第1の座席位置情報が記憶されていない場合には、座席位置調整手段15は、認証手段13によって前回に顔認証情報が正当なものであると認証されたときの車両に対する位置に座席の位置を調整し、認証手段13によって初めて顔認証情報が認証される際には、車両に対する所定の位置に座席の位置を調整する。
また、ステップS9において、座席位置記憶手段14に第2の座席位置情報が記憶されていない場合には、座席位置調整手段15は、認証手段13によって前回に虹彩認証情報が正当なものであると認証されたときの車両に対する位置に座席の位置を調整し、認証手段13によって初めて虹彩認証情報が認証される際には、車両に対する所定の位置に座席の位置を調整する。
以上で説明した生体認証装置1において、撮像手段10によって車両の座席に着座した乗員の画像を撮像する際には、車両に搭載されたマップランプ等を以って乗員の身体の一部を照らすようにしてもよい。
また、認証手段13による認証結果や座席位置調整手段15による座席の移動時の案内等を車両に搭載された液晶ディスプレイ装置やスピーカ等を介して画像、文字または音声を以って出力するようにしてもよい。
また、生体認証装置1を構成する各構成要素は、上記で説明した各動作を記述したプログラムを中央処理装置(Central Processing Unit、以下単に「CPU」という。)に実行させるようにしてもよい。すなわち、認証情報生成手段11、認証手段13、座席位置調整手段15、座席位置登録手段24、および車載機器利用禁止手段25は、上記プログラムを実行するCPUによって構成するようにしてもよい。
このような本発明の第1の実施の形態の生体認証装置1によれば、乗員の画像を撮像するときに予め記憶された座席位置情報に基づいて車両の座席の位置を調整する座席位置調整手段15を設けることにより、乗員の身体的特徴や車両に対する座席の位置によらず生体認証の精度を維持することができる。
なお、本発明の第1の実施の形態の生体認証装置1においては、先に顔認証に最適な位置に座席を移動した後に顔認証を行い、次に虹彩認証に最適な位置に座席を移動して虹彩認証を行い、その結果によってエンジン作動を許可するものについて述べたが、顔認証と虹彩認証とのいずれか一方を行って、その認証結果によって車載機器を作動させるようにしてもよい。また、顔認証と虹彩認証とを順次行うものであって、虹彩認証開始ボタンが押下された場合のみは、座席位置記憶手段14に記憶された最近のまたはあらかじめ定められた第2の座席位置情報に座席を移動した後、第4図のステップS10から処理を開始するようにしてもよい。
また、本発明の生体認証装置は、車載機器に対して作動優先順位をあらかじめ設けて、優先順位の高いカーオーディオなどに対して顔認証の結果によって作動を許可するか否かを判断し、優先順位の低いエンジンに対して虹彩認証の結果によって始動を許可するか否かを判断するようにしてもよい。
また、本発明の生体認証装置は、車載機器のモードに対して優先順位をあらかじめ設けて、顔認証の結果によって優先順位が高く設定されたカーオーディオの過去の動作モードのみ(例えばラジオの再生)の作動を許可するか否かを判断し、虹彩認証の結果によって優先順位を低く設定したカーオーディオの動作モードの変更(例えばラジオからCD)を許可するか否かを判断するようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態の生体認証装置を第5図に示す。なお、本発明の第2の実施の形態における生体認証装置2においては、本発明の第1の実施の形態における生体認証装置1の構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付して、その説明を省略する。
第5図において、生体認証装置2は、本発明の第1の実施の形態における生体認証装置1に対して、撮像手段10によって運転手の画像が撮像されるときに、車両に設けられたステアリングホイール30(第2図参照)の位置を予め定められた既定範囲内に変更するステアリングホイール位置変更手段31と、ステアリングホイール30の位置が既定範囲内に入っているか否かを判断するステアリングホイール位置判断手段32とをさらに備えている。
ここで、既定範囲は、撮像手段10によって運転手の画像が撮像されるときに、撮像手段10の撮像範囲にステアリングホイール30が位置しない範囲に定められている。
ステアリングホイール位置変更手段31は、ステアリングホイール30の位置を変更するモータと前述したCPUとによって構成され、ステアリングホイール30の位置が既定範囲内に入っていないとステアリングホイール位置判断手段32によって判断された場合に、ステアリングホイール30の位置を既定範囲内に変更するようになっている。
ステアリングホイール位置判断手段32は、ステアリングホイール30の位置を検知するセンサとCPUとによって構成される。
以上のように構成された生体認証装置2について、第6A図および第6B図を用いてその動作を説明する。なお、本発明の第2の実施の形態における生体認証装置2の動作においては、本発明の第1の実施の形態における生体認証装置1の動作におけるステップと同一のステップに同一の符号を付して、その説明を省略する。
運転手の顔の画像が第1のカメラ16によって撮像される(S3)ときには、ステアリングホイール30の位置が既定範囲内に入っているか否かがステアリングホイール位置判断手段32によって判断される(S21)。
ステアリングホイール30の位置が既定範囲内に入っていないと判断された場合には、ステアリングホイール30の位置が既定範囲内にステアリングホイール位置変更手段31によって変更される(S22)。
なお、ステアリングホイール位置変更手段31は、ステアリングホイール30の位置を変更した場合には、顔認証情報が認証手段13によって正当なものと認証された(S5)後に、ステアリングホイール30の位置を変更前の位置に戻すようにしてもよい。
このような本発明の第2の実施の形態の生体認証装置2によれば、撮像手段10の撮像範囲にステアリングホイール30があるために撮像手段10が運転手の画像を撮像できなくなることを防ぐことができる。
なお、本実施形態においては、ステアリングホイール位置変更手段31がステアリングホイール30の位置を変更するようにしたが、本発明においては、ステアリングホイール位置変更手段31がステアリングホイール30の姿勢を変更するようにしてもよく、ステアリングホイール30の位置および姿勢を変更するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
本発明に係る生体認証装置は、乗員の画像を撮像するときに予め記憶された座席位置情報に基づいて車両の座席の位置を調整する座席位置調整手段を設けることにより、乗員の身体的特徴や車両に対する座席の位置によらず生体認証の精度を維持することができるという効果を有し、車両の座席に着座した乗員の画像を撮像して生体認証することによって車両の運転を許可および禁止する生体認証装置等として有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】



【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の座席に着座した乗員の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて認証情報を生成する認証情報生成手段と、
前記車両の正当な利用者を表す認証情報を記憶する認証情報記憶手段と、
前記認証情報記憶手段に記憶された認証情報に基づいて前記認証情報生成手段によって生成された認証情報を認証する認証手段と、
前記車両に対する前記座席の位置を表す座席位置情報を記憶する座席位置記憶手段と、
前記撮像手段によって前記乗員の画像が撮像されるときに前記座席位置記憶手段に記憶された座席位置情報に基づいて前記座席の位置を調整する座席位置調整手段とを備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記車両に対する前記座席の現在位置を表す座席位置情報を前記座席位置記憶手段に登録する座席位置登録手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、前記乗員の顔の画像を撮像することを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、前記乗員の虹彩の画像を撮像することを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記車両に搭載された車載機器の利用を禁止する車載機器利用禁止手段を備え、
前記認証手段は、前記認証情報生成手段によって生成された認証情報を前記車載機器ごとにさらに認証し、
前記車載機器利用禁止手段による前記車載機器の利用の禁止は、前記認証情報生成手段によって生成された認証情報が前記認証手段によって正当なものであると認証されなかった車載機器に対して行われるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記車載機器は、前記車両のエンジンの作動を許可するエンジン作動許可機器を含むことを特徴とする請求項5に記載の生体認証装置。
【請求項7】
前記座席位置記憶手段は、前記車両の正当な利用者を表す認証情報と対応させて前記車両の走行時における前記車両に対する前記座席の位置を表す走行時座席位置情報をさらに記憶し、
前記座席位置調整手段は、前記認証情報生成手段によって生成された認証情報が前記認証手段によって正当なものであると認証された場合には、前記座席位置記憶手段に記憶された走行時座席位置情報に基づいて前記座席の位置を調整するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項8】
前記撮像手段によって前記乗員の画像が撮像されるときに、前記車両に設けられたステアリングホイールの位置および姿勢の少なくとも一方を予め定められた範囲内に変更するステアリングホイール位置変更手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項9】
前記ステアリングホイールの位置および姿勢の少なくとも一方が前記範囲内に入っているか否かを判断するステアリングホイール位置判断手段を備え、
前記ステアリングホイール位置変更手段は、前記ステアリングホイールの位置および姿勢の少なくとも一方が前記範囲内に入っていないと前記ステアリングホイール位置判断手段に判断された場合に、前記ステアリングホイールの位置および姿勢の少なくとも一方を前記範囲内に変更するようにしたことを特徴とする請求項8に記載の生体認証装置。
【請求項10】
請求項1に記載の生体認証装置を備えた車両。

【国際公開番号】WO2005/032895
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【発行日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514368(P2005−514368)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011960
【国際出願日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】