説明

生物学的アラーム

空中浮遊粒子を収集面に衝突させ、分析し、その後、収集面を再生する。したがって、多くのサイクルで同じ収集面を使用することができる。分析では、空中浮遊生物学的物質の濃度など、対象となる1つまたは複数の特性に焦点を合わせることができる。ビルディングオートメーションなどの用途のために、再生収集面に基づくセンサを、多くのネットワークに組み込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中浮遊粒子、空中浮遊生物学的粒子の継続的なモニタリングのための方法および装置、ならびに空気の品質をモニタリングするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
空中浮遊粒子(airborne particles)のモニタリングは、多くの民間的および軍事的状況(context)において重要である。空中浮遊危険物質は、例えば、生物学的、化学的、または放射線的性質などの様々な形態で生じる可能性がある。時には、生物兵器によるテロ攻撃などで、重大な生物学的空中浮遊の危険が、予測不可能な場所で突然発生することもある。生物学的危険物質に対する最も有効な対応は、それらの実施可能な最早の検出に基づいて開始することができる。
【0003】
エアロゾル分野における典型的な問題は、空中浮遊粒子を収集し、特徴付けることに関する問題である。空中浮遊粒子の特徴付けは、現場で(すなわち、粒子が、ガス中に浮遊している間に)実施することができ、あるいはその後の物理的または化学的分析のために、粒子を収集し、次いで固体基板上に被着させ、または液体中に堆積させる、抽出式技法で実施することができる。
【0004】
生物学的物質を現場で識別することは、空中浮遊バクテリアの自己蛍光の検出によって試みられてきた。生物学的粒子を検出するのに自己蛍光特性は有用となり得るが、それらの現場での測定は、いくつかの理由から難しい。空中浮遊状態の極めて小さい粒子の蛍光特性を測定するのは、特に困難である。こうした粒子は、分析のためにごく短い間しか利用することができず、そのために、いくつかの参考になる特性を判定することを困難にしている。さらに、必要とされる設備には、高価で強力なレーザおよび高感度の蛍光検出器または光子カウンタが含まれる。その結果、こうした装置は大きく高価となり、そのためにこの技術は、民間の建物の日常的モニタリングなど、いくつかの用途に採用される見込みがないような状況になっている。
【0005】
代替手法では、ジェットインピンジャー、ジェットインパクタ、サイクロン、フィルタなどの抽出器が、液体でもよい基板、グリースが塗布されたスライドや寒天でコーティングされたプレートなどの表面、あるいはフィルタの上に、粒子を被着させる。その後、抽出された粒子の内容を、任意の望ましい技法によって分析することができる。空中浮遊粒子の分析は、現場式技法よりむしろ抽出式技法でより完全に実施することができるが、抽出式技法は、被着基板および/または分析試薬などの消耗品、および/または分析における人間の介入を必要とする。消耗品および/または人手の継続的使用は、問題となり得、また法外に高価となり得る。したがって、抽出式技法に基づくモニタリングシステムもまた、日常的な継続的使用にとってその価値が疑わしい。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,435,043号明細書
【特許文献2】米国特許第5,553,795号明細書
【特許文献3】米国特許第5,437,198号明細書
【特許文献4】米国特許第4,926,679号明細書
【特許文献5】米国特許第4,796,475号明細書
【特許文献6】米国特許第4,321,822号明細書
【特許文献7】米国特許第4,133,202号明細書
【特許文献8】米国特許出願第09/955,481号明細書
【特許文献9】米国特許第3,901,798号明細書
【特許文献10】米国特許第4,670,135号明細書
【特許文献11】米国特許第4,767,524号明細書
【特許文献12】米国特許第5,425,802号明細書
【特許文献13】米国特許第5,533,406号明細書
【特許文献14】米国特許第5,989,824号明細書
【特許文献15】米国特許第5,895,922号明細書
【特許文献16】米国特許出願第09/993,448号明細書
【特許文献17】米国特許出願第10/021,898号明細書
【特許文献18】米国特許出願第10/366,595号明細書
【非特許文献1】Hinds, "Aerosol Technology", 1982, John Wiley & Sons, Inc.
【非特許文献2】Sehmel, G. A., Environ. Intern., 4, 107-127 (1980)
【非特許文献3】Wall, S., John, W., Wang, H. C. and Coren, S. L., Areosl. Sci. Technol., 12, 926-946 (1990)
【非特許文献4】John, W., Fritter, D. N. and Winklmayr, W., J. Aerosol. Sci., 22, 723-736 (1991)
【非特許文献5】John, W. and Sethi, V., Aerosol Sci. Technol., 19, 57-68 (1993)
【非特許文献6】Pan et al., Field Analytical Chemistry and Technology 3:221-239, 1999
【非特許文献7】Li et al. in Monitoring Cell Concentration and Activity by Multiple Excitation Fluorometry, Biotechnol. Prog., 1991, p:21-27
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、空中浮遊粒子を継続的に検出する装置および方法が必要とされている。可能な限り多くの、住民のいる土地建物を継続的にモニタリングすることが、予測不可能な空中浮遊生物学的危険物質の発生に対処するのに、最も望ましい選択肢であると思われる。そのような装置を広範に採用することで、潜在的に危険にさらされた多くの人々を保護することができるようになる。しかし、広範な採用のためには、そのような装置は、かなり安価でかつ信頼性が高くなければならない。装置の動作は、自動である、すなわち、ユーザの入力が不要であるべきである。さらに、多数の建物で日常的に使用するためには、空中浮遊生物学的危険物質検出装置は、理想的には保守不要で、消耗品を使用しないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、空中浮遊粒子を継続的にモニタリングするための方法に関する。本発明の方法による継続的モニタリングは、複数のサイクルを経て実施される。この方法は、様々な空中浮遊粒子をモニタリングするのに適している。具体的な実施形態では、この方法は、空中浮遊危険物質の存在または濃度をモニタリングするように設計されている。本発明の方法にかかるサイクルは、複数のステップを含む。
【0009】
本方法にかかるステップでは、空中浮遊粒子を収集面上に被着させる。したがって、収集面上にスポットが形成される。空中浮遊粒子の被着は好ましくは、気流を収集面に向けることによって生じる衝突によって行われる。好ましい一実施形態では、0.5〜10μmのサイズ範囲の空中浮遊粒子がスポット中に保持され、スポット中に保持された空中浮遊粒子は生物学的粒子を含む。いくつかの実施形態では、気流中の、約0.5〜10μmのサイズの粒子など、望ましいサイズ範囲の空中浮遊粒子を、収集面に衝突する前に、事前高濃度化する(pre-concentrating)任意選択のステップを含む。いくつかの実施形態では、望ましくないほど大きなサイズの粒子を除去することによって気流を事前調整する(pre-conditioning)、任意選択のステップを含む。例えば、10μmより大きいサイズの粒子を除去することができる。いくつかの実施形態では、事前調整および事前高濃度化をどちらも実施し、好ましくは事前調整ステップの後に事前高濃度化ステップを行う。
【0010】
いくつかの実施形態では、空中浮遊粒子を被着させる前のステップでは、収集面を湿らせる。グリセロール、アルコール、またはオクタンなどの中重量炭化水素を含む、多くのタイプの液体を使用して、収集面を湿らせてよい。各サイクルで使用される液体の厳密な体積は、いくつかの異なる変動要素に依存するが、約5μlでよい。
【0011】
本発明の方法の別のステップは、スポットを分析することを含む。行われる分析のタイプは、モニタリングされる粒子の性質に依存する。好ましくは、分析は、スポットの生物学的、化学的、および/または放射線的特性を測定することによって行われる。いくつかの実施形態では、各収集されるスポットごとに、複数の特性が測定される。様々な実施形態における適切な測定は、スポットの蛍光、赤外吸収、質量スペクトル、ラマンスペクトル、ガンマ放出、アルファ放出、またはベータ放出の特性に向けたものでよい。好ましい諸実施形態では、生物学的粒子は、スポットの自己蛍光を測定することによってモニタリングされる。いくつかの実施形態では、分析の前に、測定された信号を強化するようにスポットを前処理する任意選択のステップを行う。したがって、前処理には、分析強化化合物、または血しょう溶解(plasma lysing)を含む液体をスポットに追加することを含めることができる。マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)飛行時間型質量分析法によって分析が行われるいくつかの実施形態では、血しょう溶解およびマトリックス溶液をスポットに加えることによって、前処理を実施することができる。
【0012】
本発明の方法の別のステップは、収集面を再生することを含む。このステップの結果、スポットが除去され、収集面が別のサイクルに利用可能となる。再生は、複数のステップのうちのいずれかのステップ、あるいはステップの組合せによって行われる。例えば、いくつかの実施形態では、フェルトパッドを収集面に押し付け、フェルトパッドを収集面上で動かすことによって、再生を行う。他の実施形態では、フェルトホイールを、収集面に押し付けながら、回転させる。他の実施形態では、収集面を、再生ステップの一部として、静電気的に帯電させる。他の実施形態では、収集面をブラシでブラッシングすることによって、再生を行う。他の実施形態では、空気ジェットを高速度で収集面に向けて吹きつけることによって、再生を行う。他の実施形態では、収集面をブレードでこすり取ることによって、再生を行う。他の実施形態では、再生面に向けた、熱、電気、レーザ、またはその他の形態のエネルギーを用いて、再生を行う。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明の方法のすべてのサイクルが同一であり、一方、別の実施形態では、サイクルが、互いに異なるステップを含むこともある。いくつかの実施形態では、本発明の方法は、少なくともサイクルのサブセット中に、表面の再生を検証することを含む。したがって、再生後に収集面(再生された収集面)が、スポットを分析するのと基本的に同じプロセスによって分析される。その結果、再生された表面に関してバックグラウンド信号レベルが得られる。例えば、その蛍光特性を測定することによってスポットを分析する場合、再生された収集面の蛍光特性を同様に測定することにより検証を行って、バックグラウンド蛍光レベルを得ることができる。次いで、バックグラウンド信号レベルは、所定の基準と比較される。バックグラウンドレベルが望ましいレベルより高いとわかった場合、バックグラウンド信号レベルが所定の基準を満たすまで、再生および検証が繰り返される。また、検証では、分析ステップで使用したのとは異なる試験を用いてもよい。
【0014】
他の態様では、本発明は、空中浮遊粒子を継続的にモニタリングするのに役立つ装置に関する。別の実施形態では、この装置は、たとえば生物学的、化学的、または放射線的性質の空中浮遊危険物質の存在および濃度をモニタリングする働きをする。この装置は、異なる実施形態において異なる組合せで存在するいくつかの構成要素を備える。
【0015】
本発明の装置の一構成要素は、衝突板である。その特徴のうちの1つが収集面であり、装置が動作中のときは、その上に空中浮遊粒子のスポットが集められる。いくつかの実施形態では、収集面は平滑であり、したがって、表面再生器によって容易に清浄化される。他の実施形態では、収集面は、高さおよび幅が約1〜10μmのピラミッド形の構造など、衝突する空中浮遊粒子の収集効率を高める特徴を備える。いくつかの実施形態では、衝突板は、2つ以上の、すなわち複数の収集面を備える。
【0016】
本発明の装置の別の構成要素は、位置決定ノズルである。位置決定ノズルは、気流を衝突板の収集面に向ける。気流の衝突の結果、収集面上に空中浮遊粒子を含むスポットが生成される。いくつかの実施形態では、仮想インパクタなどの粒子コンセントレータが、位置決定ノズルの上流に置かれ、これにより、望ましいサイズ範囲内の空中浮遊粒子の濃度が高まる。いくつかの実施形態では、サイズ選択入口が、位置決定ノズルの上流に置かれ、これにより、望ましいサイズより大きい空中浮遊粒子が除外される。いくつかの実施形態では、コンセントレータおよびサイズ選択入口がどちらも、位置決定ノズルの上流に存在する。いくつかの実施形態では、位置決定ノズルはほぼ垂直であり、一方、収集面はほぼ水平である。好ましい諸実施形態では、ノズル、衝突面、および気流速度は、スポットにおいて約0.5〜10μmのサイズの粒子の濃度が高まるように構成される。
【0017】
本発明の装置の別の構成要素は、収集面上のスポットの特性を調べることのできる分析器である。好ましい諸実施形態では、分析器は、スポットの固有の蛍光特性を判定する蛍光検出器である。他の実施形態では、分析器は例えば、赤外線吸収度検出器、質量分析計、ラマン分光計とすることができる。いくつかの実施形態は、2つ以上の分析器を含む。したがって、1クラスの空中浮遊粒子を検出するのに適した、スポットを分析するための任意の手段を使用することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、分析前スポット準備ステーションを備える。この箇所で、スポットは、分析器によって測定されるその特性を向上させるように準備される。例えば、スポットは、インクジェットタイプの装置から適切な化合物を含む液体を噴射することにより、対象の空中浮遊粒子の測定された特性に影響を与える化合物と化合させることができる。一実施形態では、分析前スポット準備ステーションは、血しょう溶解のパルスをスポットに当て、次に、そのスポットをMALDI質量分析法によって分析する。
【0019】
本装置の別の構成要素は、表面再生器である。この構成要素は、装置の動作中、収集面からスポットを除去し、表面を再生する。いくつかの実施形態では、再生器はフェルトパッドであり、これは収集面に対して押し付けられ、一方、そのパッドおよび収集面が相互に動くことにより、収集面が再生される。いくつかの実施形態では、表面再生器はフェルトホイールであり、これは収集面に押し付けられ、それと同時に、結合されたモータによって回転する。いくつかの実施形態では、再生器はブレードであり、これはこすり取るまたはふき取ることによって収集面を再生する。いくつかの実施形態では、表面再生器はブラシであり、これはブラッシングまたは掃くこと(sweeping)によって表面を再生する。いくつかの実施形態では、表面再生器は再生器ノズルであり、これは、空気を高速度で収集面に向けて、好ましくはある角度で吹きつける。いくつかの実施形態では、再生器は、収集面を静電気的に帯電させる手段を備え、この手段は、付着したスポットを除去する。再生器は、エネルギーをスポットおよび/または収集面に向ける任意の手段を備えてもよい。有用なエネルギーの形態としては、熱、電気、またはレーザがある。いくつかの実施形態は、2つ以上の表面再生器を備え、それらは同様のタイプでも異なるタイプでもよい。このように、収集面を再生する任意の手段を使用することができる。
【0020】
いくつかの実施形態で存在する別の構成要素は、液体コーティング塗布器である。これは、気流の衝突の前に収集面を湿らせ、空中浮遊粒子を捕捉するのを助け、収集効率を高める。液体コーティング塗布器は例えば、フェルトペンでよい。これは、インクジェット印刷装置と類似していてもよい。これは、収集面に塗布される液体のタンクを備える。アルコール、グリセロール、またはオクタンなどの中重量炭化水素を含む、使用することができるいくつかのタイプの液体が存在する。
【0021】
この装置の別の構成要素は、ホーミングセンサ(homing sensor)である。その機能は、存在するのであれば液体コーティング塗布器、位置決定ノズル、存在するのであれば分析前スポット準備ステーション、分析器、表面再生器を含む、様々な実施形態に存在する様々な装置構成要素へと、収集面を動作するように位置決めすることである。したがって、動作においては、ホーミングセンサは、存在するのであれば液体コーティング塗布器から、位置決定ノズル、分析器、分析前スポット準備ステーション、表面再生器へと順次、収集面を周期的に位置決めすることができる。一般に、本発明の装置は、他の装置の構成要素に対して収集面を移動する任意の手段により、収集面を各構成要素に位置決めする機能を実施することができる。例えば、衝突板が取り付けられるシャフトに原動機を結合することができ、あらかじめ定められた角度でシャフトを回転させることによって、収集面の適切な位置決めが行われる。
【0022】
本発明の装置の様々な構成要素は、具体的な実施形態では、様々な形状を取り得る。例えば、ホーミングセンサは、衝突板に取り付けられるシャフトを備えることができる。原動機はシャフトに結合され、ホーミングセンサは、あらかじめ定められた角度で円板を回転させることによって機能する。各回転ステップは、収集面をこれらの装置の構成要素へと、動作するように位置決めする。いくつかの実施形態では、衝突板は円板であり、シャフトが円板の軸に沿って配置され、円板に結合される。別の好ましい実施形態では、衝突板はローブ形カム(lobed cam)であり、衝突面はカムの側である。衝突面は平坦であり、カム上に直接形成してもよく、あるいはカムに埋め込まれた平坦な挿入物によって作成してもよい。挿入物として好ましい物質は、硬質陽極酸化スチール(hard-anodized steel)、石英、サファイアなど、表面硬度の高い物質である。
【0023】
別の態様では、本発明は、空中浮遊生物学的粒子を検出または測定するのに役立つ装置に関する。これらの装置は、固定された空中浮遊粒子のスポットを支持する収集面、一般に再生収集面を備えることができる。多くの実施形態では、これらの装置は、スポットを収集面上に固定する慣性インパクタ(inertial impactor)をさらに備える。
【0024】
本発明の装置は、スポットの内容を分析することのできる検出器を備える。一般に、検出器は、スポットに存在する生物学的署名(biological signature)を検出することができる。生物学的署名は好ましくは、生体分子の自己蛍光であるが、様々なタイプのラマン、赤外吸収、または質量スペクトルを含む、周知の他のどんな署名も検出され得る。こうした生物学的署名は、蛍光検出器、ラマン分光計、フーリエ変換赤外分光計、MALDI質量分析計など、周知の装置で検出される。いくつかの実施形態では、複数の検出器がスポットを分析する。分析の結果、検出器は、生物学的署名を示す信号、一般に電気信号を生成する。したがって、検出器は、特定の生物学的物質の存在を認識することができ、あるいは複数のクラスの生物学的物質の濃度を測定することができる。
【0025】
好ましくは、検出器は、生物学的粒子の固有の蛍光を測定する蛍光検出器である。蛍光検出器は、励起放射を分析されるスポットに向けて放出する励起光源を備える。利用可能な任意の放射源を使用することができる。いくつかの実施形態では、励起光源はLEDである。励起放射は、生体分子を励起して蛍光を生成するように働く波長である。多くの実施形態では、励起放射は、実質的には紫外線であり、蛍光放射は、実質的には可視光でよい。例えば、励起波長は、340〜370nmの範囲内でよく、または約266nmでもよく、または約400nmでもよい。
【0026】
また、蛍光検出器は、励起に応答してスポットから放出される放射を測定する、蛍光センサも備える。利用可能な任意の光センサを使用することができる。いくつかの実施形態では、蛍光センサはフォトダイオードである。また、蛍光検出器は、励起放射を実質的に反射し、蛍光放射には実質的に透過的である、ダイクロイックミラー(dichroic mirror)など追加の構成要素を含むこともできる。ダイクロイックミラーは、励起放射をスポットに向けて反射し、光センサへの放出放射の通過を可能にするように、配置することができる。また、励起光源とダイクロイックミラーまたはスポットとの間に配置された励起フィルタ、ならびにダイクロイックミラーまたはスポットと蛍光センサとの間に配置された吸収フィルタ(emission filter)など、その他の光学的構成要素を使用してもよい。
【0027】
上記のように、検出器は、検出された生物学的署名に関する信号を生成する。それらの信号は通常、受信機に送信され、その受信機は次いで、信号をさらなる処理へと中継することができる。それらの信号は一般に、コンピュータまたはNeuron Chip(登録商標)でよいプロセッサに到達する。プロセッサは、信号を処理し、または解釈することができ、したがって、スポットにおける生物学的粒子の濃度を確定または測定することができる。したがって、プロセッサは、スポット中の生物学的粒子の濃度がいつ所定の値を超過するかを確定することができる。そのようなケースでは、プロセッサは、有害となり得るレベルの空中浮遊生物学的粒子が存在することをユーザに警告する、アラーム信号を出力する。
【0028】
さらに別の態様では、本発明は、特定の空中浮遊粒子または空中浮遊生物学的物質の濃度を検出する方法に関連する。この方法は、環境空気を継続的にモニタリングするために周期的に繰り返すことができる、複数のステップを含む。本発明の方法にかかる1ステップでは、空中浮遊粒子を再生収集面上に被着させてスポットを形成するが、これは、慣性衝突によって行うことができる。別のステップは、スポット中に存在する生物学的署名を測定することを含む。生物学的署名の例は、上記に示されている。したがって、空中浮遊生物学的粒子の存在または濃度が、この測定から判定される。これらのステップが周期的に行われる場合、各測定では、空中浮遊生物学的粒子の濃度の現在値を生成する。前の測定の値を少なくとも一時的に記憶させ、平均値、および先行の測定からの標準偏差を計算する際に、使用することができる。したがって、平均を計算する際に、その前のサイクルの測定から導出される、定められた数の、たとえば8つの先行値を使用することができる。次に、現在値を計算された平均と比較して、現在値が平均を著しく超えているかどうかを判定する。先行の測定からの標準偏差を使用して、現在値が異常に高いかどうかを確定することができる。したがって、現在値を、平均値+事前設定因子(たとえば3〜8)×標準偏差、と比べることができる。現在値が平均値を著しく超過した場合、プロセッサはアラーム信号を出力する。最後に、別のステップが、収集面を再生する。
【0029】
他の態様では、本発明は、装置、空気の品質のモニタリングや制御を行うためなどのシステム、ならびに制御ネットワークなどのネットワークを含む。本発明の異なる面は、例えば、建物または公共施設、HVACシステム、飛行機を改善する用途に関しており、一般にその結果として、施設内(premise)が総じてより安全になる。空中浮遊危険物質をモニタリングする際に、再生面空気サンプラ(air sampler)に基づくセンサを使用することができる。例えば、生物学的、化学的、または放射線的センサをセットして、継続的に空気の品質を観測することができる。再生面空気サンプラに基づくセンサは、スタンドアロン装置として設置することができるが、スマートまたはインテリジェントセンサネットワークに組み込むこともできる。
【0030】
これらのセンサは、いくつかの実施形態では送信機とすることができる通信インターフェースを介して、信号を伝達する。他の実施形態では、通信インターフェースは送受信機である。信号は一般に、ビルディングオートメーションシステムネットワークなどの制御ネットワーク上を伝達される。通信インターフェースまたは送受信機は、有線または無線接続を介して通信することができる。いくつかの実施形態では、送受信機は、RFリンク間ネットワークを介して通信する。
【0031】
いくつかの実施形態では、再生試料に基づくセンサは、その他の装置、例えば、特定の化学的、生物学的、または放射線的種類、または狭いクラスの種類を識別することのできる特定のセンサ、空中浮遊粒子の試料を捕捉および/または保管することができるサンプラ、あるいは再生面に基づかない他のセンサを直接アクティブにする、正の応答を出力することができる。
【0032】
上記のように、センサは、好ましくは、LonWorks(登録商標)オートメーションシステムやCEBusオートメーションシステムなどの、オートメーションシステムネットワークと通信する。好ましくは、送受信機は、BACnetプロトコルやLonTalk(登録商標)プロトコルなどの標準プロトコルを介して通信する。
【0033】
多くの実施形態では、コントローラは、センサに通信的に結合されている。いくつかの実施形態では、コントローラは、Neuron(登録商標)チップである。一般に、コントローラはまた、送受信機にも結合される。いくつかの実施形態では、コントローラは、少なくとも1つのアクチュエータに結合され、センサから受け取った情報に応答して、少なくとも1つの空気管理構成要素を作動させることができる。また、コントローラは、空気管理構成要素に通信的に結合させることができ、したがって、センサから受け取った情報についての追加の情報を受け取り、統合することができる。空気管理構成要素の例は、試料捕捉装置、試料分析装置、粒子カウンタなどの空気分析装置、煙センサまたは火災センサ、あるいは空気ダクトダンパなどの空気制御装置である。
【0034】
別の態様では、本発明は、センサネットワークを構築する方法に関する。したがって、再生面空気サンプラに基づくセンサをネットワークに追加することができる。センサは、生物学的粒子、あるいは化学的または放射線的センサに関するものとすることができる。ネットワークは、煙センサや火災センサなど、任意の数の追加の構成要素を含むことができる。
【0035】
さらに別の態様では、本発明は、大気の品質を制御する方法に関する。本発明の方法によれば、大気は、再生面空気サンプラに基づく少なくとも1つのセンサでサンプリングされる。サンプリングは、継続的かつ自動的に行うことができる。ある時点でセンサによるサンプリングが、予想される脅威物質を示した場合、応答ステップが実施される。応答ステップは、少なくとも1つの空気管理構成要素を作動させること、少なくとも1つの特定のセンサをアクティブにすること、アラート信号を発行することを含むことができる。アラート信号が発行された場合、アラート信号を施設管理者、消防、警察など、1つまたはいくつかの場所に送信することができ、その結果、2重警告システムを作り上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
一態様では、本発明は、空中浮遊粒子の濃度および内容の継続的モニタリングのための機器または装置に関する。図2に、一実施形態が図示されている。この装置のいくつかの構成要素には、位置決定ノズル、衝突板、検出器、および再生器がある。いくつかの実施形態では、仮想インパクタおよび/または液体コーティング塗布器など、追加の構成要素が存在する。
【0037】
位置決定ノズルは、入口からの空気を、空中浮遊粒子が収集される衝突板上へと加速させる。位置決定ノズルとは、噴射口を意味しており、そこをガス試料が通過し、それによりガス試料の平均速度は、特定のサイズを超える粒子が本明細書に記載したように衝突板へと衝突可能となるのに十分な運動量をその粒子に与えるのに十分な値へと、高まる。例えば、ガス試料は、下流の真空ポンプを使用して、ガス源に対してより小さい断面積を有するノズルを通して吸い込むことができる。加速ノズルは、円形またはスリット形など、任意の形状でよい。円形加速ノズルまたは噴射口は、ガスの通る円形開口部を有する。ノズル本体は、円筒形でよい。スリット形の加速ノズルまたは噴射口は、幅が狭く、かつほとんど正方形の開口部を含む、長方形の開口部を有しており、そこを通ってガスが出る。
【0038】
条件に合った位置決定ノズルが、慣性インパクタにおいて使用されている。例示的な慣性インパクタが図1に示されている。図によれば、空気試料(1)が入口(2)を通って吸い込まれる。空気の試料は、基板(3)の表面上に吸い込まれ、基板は、気流の湾曲した経路に追従するには大きすぎる慣性を有する粒子を収集する。本発明による基板、すなわち衝突板については後述する。
【0039】
慣性インパクタは一般に、空気入口、位置決定または加速ノズル、ならびに衝突板からなる単一のユニットを指す。加速ノズルの出口では、気流が急に曲がり、ある直径(インパクタのカットオフサイズと呼ぶ)より大きな粒子が、慣性力によって衝突板の収集面に衝突する。例示的な慣性インパクタは、特許文献1、2、3、4、5、6、及び7に記載されている。
【0040】
慣性インパクタの動作の物理的原理は、後述の仮想インパクタの動作に類似している。粒子を含んだ空気のジェットが、衝突板によって急に偏向され、これにより、空気流線が急に偏向される。クリティカルサイズ(インパクタのいわゆるカットポイント(cutpoint))より大きな粒子は、空気流線を横切り、衝突板上で収集され、クリティカルサイズより小さい粒子は、偏向された流線に追従する。インパクタのカットポイントは、いくつかのパラメータによって、次のストークス数から決定される。
【0041】
【数1】

【0042】
ただし、ρは粒子密度、dは粒子直径、Uはインパクタジェット速度、ηはガスの粘性、Dはインパクタジェットの直径である(非特許文献1参照)。滑り補正因子(slip correction factor)Cは、小さな粒子がガスの平均自由行程に近付くとき、それらの粒子にかかる抗力が減るのを補正する。インパクタの収集効率はしばしば、そのD50、すなわち入力粒子の50%が収集される直径によって特徴付けられる。
【0043】
滑り補正因子は、次式によって与えられる。
【0044】
【数2】

【0045】
ただし、PはCmHg単位での絶対圧力、dはμm単位での粒子直径である。
【0046】
好ましい空気速度は、10m/sより大きく100m/s未満であり、より好ましくは20m/sより大きく30m/s未満である。ノズル直径は、好ましくは0.25mmより大きく2.5mm未満であり、より好ましくは0.5mmより大きく1mm未満である。ノズルは、好ましくは衝突面から0.1mmより大きく2mm未満の距離をおいて配置され、より好ましくは、0.25mmより大きく0.5mm未満の距離をおいて配置される。
【0047】
周囲の粒子を収集するのに使用される慣性インパクタおよび衝突基板が、低い粒子収集効率を示すこともあることが知られている。低い粒子収集効率は、少なくとも2つの因子、すなわち、高い運動量の粒子が、基板に衝突し、跳ね返ること、ならびに、これまでに収集された粒子が、基板から追い出され、気流に再流入することの結果である(非特許文献2、3、4、5参照)。さらに、これらの2つのプロセスは一般に、粒子サイズに依存するので、収集される粒子のサイズ分布がわい曲され得る。
【0048】
しかし、そのような問題は、本発明の装置にとって著しく重要な問題ではない。収集効率についての厳密な知識が、本発明にとって極めて重要というわけではない。収集効率に対する唯一の要件は、空中浮遊粒子の濃度によって、広範囲にまたは予測不能に変わらないことである。したがって、その他の同様の動作条件の下では、より高い濃度の空中浮遊粒子をもつ空気試料からは、より多くの数の粒子がスポットに収集されるはずである。スポットは、比較的小さな区域内の表面に被着した微粒子の集合体であり、したがって、個々には小さな微粒子が集合してより大きなスポットを形成する。さらに、後述するように、本発明は、空気試料の継続的モニタリングを実現する。その結果、興味の対象は大抵、空気試料中の空中浮遊粒子の濃度および/または組成の変化を検出することである。そのような変化の検出は、収集効率が比較的低いということによって影響されない。したがって、本発明の継続的モニタリング機能では、慣性インパクタに通常伴ういくつかの欠点が回避される。
【0049】
同じ理由で、様々なサイズの粒子に関する収集効率のばらつきがあっても、本発明の動作には悪影響を与えない。好ましい一実施形態では、慣性インパクタは、直径0.5〜10μmの、より好ましくは1〜5μmの範囲の粒子を最適に収集するように構成される。この範囲の空中浮遊粒子が、人間に対する吸入危険物質となる可能性が最も高い。この範囲内で、細菌、ならびに有害となり得るウイルスまたはタンパク質集合体が捕捉されることになる。しかし、慣性インパクタは、異なる用途における他のサイズ範囲の粒子を最適に収集するように構成してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、位置決定ノズルの取入れ口が、仮想インパクタの下流にある。下流ということは、第2の構成要素(このケースでは位置決定ノズル)および第1の構成要素(仮想インパクタ)が、ガスまたは空気試料が順次、システムの第1の構成要素を通り、次に第2の構成要素を通るように、構成されることを意味する。仮想インパクタとは、望ましいサイズ範囲の空中浮遊粒子の濃度を高める機器である。これは、気流を、非主要成分と主要成分に分離し、非主要成分は、あるサイズより上の空中浮遊粒子の大部分を占める。仮想インパクタの例が、特許文献8、9、10、11、12、及び13に示唆されている。したがって、位置決定ノズルは、仮想インパクタの非主要な流れの下流でよい。仮想インパクタは、1μm超の粒子の濃度をに高めることが好ましい。いくつかの実施形態では、2つ以上の仮想インパクタが、位置決定ノズルの上流に配置される。所望の範囲の、より高い濃度の空中浮遊粒子を含む空気を衝突させることにより、収集のペースが上がり、したがって、本発明の装置の効率または感度が高まる。
【0051】
さらに、いくつかの実施形態では、望ましいサイズより大きい粒子を除去することによって空気試料を事前調整するための、サイズ選択入口を含む。「サイズ選択入口」は、ガス流またはガス試料から、あるサイズ(空気力学的直径)より大きい粒子を除去する。「除去」とは、所定の粒子サイズにおいて、粒子の50%がガス試料から除去され、50%がサイズ選択入口を通過することを意味する。所定のサイズより小さいサイズの粒子では、大部分の、あるいはほとんどすべての粒子が入口を通過し、より大きなサイズの粒子では、大部分の、あるいはほとんどすべての粒子が除去される。サイズ選択入口の基板は、除去された粒子を収集する。いくつかの好ましい実施形態では、サイズ選択入口は、慣性インパクタを備える。除去される粒子のサイズは、加速ノズルからやって来るときのガス試料の速度によって、ある程度決まる。速度が高いほど、より小さいサイズの粒子が除去される。したがって、適切な加速ノズルを選択することによって、所定の、より大きいサイズの粒子をガス試料から除去することができる。いくつかの実施形態では、サイズ選択入口は、フィルタ、水ひ器(elutriator)、または、所定のサイズより大きい粒子を除去することのできる任意の他の装置を備える。好ましくは、サイズ選択入口は、10μmより大きい粒子を除去するが、その他のサイズ、例えば12μm、15μm、20μm、または25μmより大きい粒子を除去するように設定することもできる。仮想インパクタが存在する実施形態では、サイズ選択入口は、仮想インパクタの上流または下流に配置することができる。大きな空中浮遊粒子の除去により、後述する分析器を妨害する恐れのある発生源が排除される。
【0052】
位置決定ノズルは、気流を衝突板の収集面に向け、空中浮遊粒子を衝突板の収集面上に被着させる。本発明による収集面は、再生することができる。再生は、後述する表面再生器の動作によって行われる。収集面の再生により、装置の継続的かつ自動的な再使用が可能になる。したがって、他の慣性インパクタと違って、本発明では、消耗衝突板を必要としない。
【0053】
衝突板は様々な形状を取ることができるが、収集面は一般に平坦である。いくつかの実施形態では、衝突板は、円板、すなわち平坦で薄い円形である。円板軸は、円板の2つの平行円形面の中心に垂直である。これらの実施形態では、収集面は、円板の2つの平坦な平行面のうちの1つであり、好ましくは、円板軸の中心から少し離れている。他の実施形態では、衝突板はローブ形カムである。1つまたはいくつかのほぼ平坦な表面がカム軸に平行であり、収集面として機能する。カム軸に沿ったカムシャフトが、後述するホーミングセンサの一部分である。
【0054】
衝突板は、好ましくは均質な物質でほぼ作られるが、ある物質の収集面を、異なる物質で作られた衝突板上に埋め込むことも可能である。プレート、あるいは少なくともその収集面は、損傷を受けることなく、表面再生器の反復動作に耐えるのに十分なだけ耐久性のある物質で作られる。ガラス、石英、セラミック、シリコンウェハ、金属、またはプラスチックを含む、多くの物質が適している。さらに、上記の物質のうちの1つの上にコーティングを被着させて、硬度および/または磨耗に対する耐性を高めることができる。好ましい一実施形態では、プレートは、すべて紫外線透過性物質、例えば融解石英、純粋石英、またはサファイアから作られる(エドモンドサイエンティフィック社)。
【0055】
好ましい一実施形態では、収集面は、基本的に平滑である。表面再生器によって清浄化するのが容易であるので、平滑な表面が好ましい。他方、粒子は、平滑な表面からは跳ね返りやすく、その結果、収集効率が低下する。したがって、他の実施形態では、収集面は、棒材(図3A)やリブ(図3B)など、外部に突き出る構造を有する。例えば、表面は、高さおよび幅が約1〜10μmのピラミッド形の構造を有するように、微細加工される。これらの実施形態では、粒子損失が最小化されるが、かなりざらざらした(harsher)表面再生器が使用される。
【0056】
衝突板の1つの機能は、衝突の間、空中浮遊粒子の試料を蓄積するために、収集面を支持することである。したがって、装置の動作のサイクル中のある時点では、収集面が位置決定ノズルの下にある。一般に、収集面は水平であり、一方、位置決定ノズルは垂直である。
【0057】
好ましい一実施形態では、衝突板はまた、後述するように、ホーミングセンサの一部としても機能する。収集面上のスポットは、分析器によって分析され、収集面は、表面再生器によって再生される(すなわち、表面再生器が収集面からスポットを取り除く)。
【0058】
例えば、衝突板は、直径150mm未満でよく、より好ましくは、直径20mmより大きく直径80mm未満とすることができる。収集面は、好ましくは直径25mm未満であり、より好ましくは、直径が、5mmより大きく15mm未満とすることができる。
【0059】
本発明の装置の別の構成要素は、スポットの内容の特性を明らかにする分析器である。分析器は、様々な用途でモニタリングされる空中浮遊粒子のタイプに応じて、多種多様な形態を取り得る。例えば、分析器は、生物学的粒子、特定の化学的化合物、または放射性粒子を検出することができる。検出は、質量分析法、赤外分光法、蛍光測定、またはラマン分光法、ガンマ放出、アルファ粒子放出、ベータ放出などの利用可能な技法の1つまたはその組合せによって行うことができる。生物学的粒子のモニタリングについては、以下で詳細に説明する。有用な化学物質モニタリングは、例えば、VX化学戦薬剤や石炭火力発電所から放出される水銀含有微粒子など、不揮発性の有毒化学物質に関するものである。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明の装置は、分析前スポット準備ステーションを備える。この箇所で、スポットは、分析器によって測定されるその特性を強めるように準備される。スポットは、インクジェットタイプの装置から適切な化合物を含む液体を噴射することにより、対象の空中浮遊粒子の測定された特性に影響を与える化合物と化合させることができる。例えば、その液体は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)質量分析計で使用されるマトリックス溶液、あるいは臭化エチジウムなど、DNAと結び付くと蛍光を発するDNA染色液を含むことができる。
【0061】
装置を長期間保守不要で動作させるために、消耗試薬の量を最小限に抑えることが好ましい。一実施形態では、分析前スポット準備ステーションは、血しょう溶解パルスをスポットに当てて、微生物の内容を暴露させる(例えば、特許文献14参照)。
【0062】
本発明の装置の別の構成要素は、表面再生器である。表面再生器の目的は、表面を再生すること、すなわち、分析後に被着物を収集面から除去することであり、別のスポットを収集するのに利用可能な収集面を作ることである。表面再生器は、必ず収集面からほぼすべてのスポットを除去し、収集面の前の使用によって、続いて集められるスポットの分析が妨げられないようにする。
【0063】
いくつかの実施形態では、特に平滑な収集面が使用される場合、表面再生器はフェルトパッドまたは布パッドでよく、それらは、ノズルに向かってスライドしながら動いている収集面に押し付けられる。「フェルト」とは、一般的には織られずに、熱、湿気、または圧力を使用して繊維を組み合わせることによって作成される、多孔質繊維構造を意味する。適切な繊維としては、それだけには限らないが、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、およびその他の合成繊維および天然繊維がある。「布」とは、天然繊維または合成繊維またはフィラメントを、織る、フェルト化する、編む、結ぶ、または結合することによって作成される物質を意味する。もちろん、収集面に押し付けながらのパッドの移動は、他の多くの周知の手段によって行うことができる。あるいは、フェルトホイールまたは布ホイールを使用することができ、それがスポットと接触しているときにモータがそのホイールを回転させ、収集面を再生させる。他の実施形態では、表面再生器は、例えば掃く動きでスポットを除去する、ブラシまたはブレードである。収集面が平滑でないときは、1つまたは複数のブラシが望ましく、それらの掃く動きは、多数の方向に行うことができる。さらに他の実施形態では、スポットに対してある角度で気流を吹きつけることによって、表面再生が行われる。すなわち、表面再生器は、ある角度で収集面に向いたノズルを備え、そのノズルは、気流を高速度で収集面に向けて吹きつける。いくつかの実施形態では、再生は、任意の再生器の動作前または動作中に、スポットを静電気的に帯電させることによって助長される。収集面には、一時的に、正電荷、または負電荷を与えてよく、あるいは正電荷および負電荷を交互に与えてもよい。いくつかの実施形態では、再生器は、エネルギーを表面スポット/収集面に移送することのできるヒータまたはレーザを、少なくとも一部備える。いくつかの実施形態では、多数の再生器が存在し、それらは装置の各サイクルで順次使用され、あるいは必要なときにのみ、例えば周期的な「深い清浄化(deep cleaning)」サイクル中に、または収集面の不完全な再生の検出に応答して、それらのうちのいくつかが始動される。
【0064】
いくつかの実施形態では、本発明の装置の別の構成要素は、液体コーティング塗布器である。液体コーティング塗布器の機能は、空気試料の衝突前に、液体の小滴を収集面上に、あるいはその一部分に広げる。液体の量は一般に極めてわずかであり、したがって、収集面でのその後の空気衝突の間に、塗布された液体のすべてが基本的に蒸発する。液体の目的は、スポットを集める少なくとも初期段階での、収集面からの粒子の跳ね返りを低減することである。したがって、スポットの収集の残り時間中に粒子が跳ね返るのを低減させ、収集効率を高めるスポット中核が形成される。これらの実施形態では、消耗品(液体)が必要であるが、わずかな分量しか消費されない。したがって、比較的小さな液体タンクで液体を収容でき、またそれを非常に多くの数のサイクルに利用可能とさせることができる。例えば、500mlタンクで、10,000サイクルに十分足り得る。したがって、消耗品の補充は、非常にまれにしか必要とされない。
【0065】
水、エタノールやメタノールなどのアルコール、グリセロール、鉱油、あるいはオクタンなどの中重量炭化水素など、衝突する粒子を捕捉することのできる任意の液体を使用することができる。この液体は、その後の分析を妨げないように、収集されたスポットに影響を与えないことが重要である。
【0066】
必要な液体の量は、液体の性質ならびにその他の装置の特徴および寸法によって変わり得る。通常、塗布一回当たりの液体の体積は、0.5μlから50μlであり、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50μlでよい。動作の各サイクルでは、同一体積の液体が塗布されることが好ましい。
【0067】
表面上に液体小滴を広げることのできる任意の装置を、本発明の塗布器として使用することができる。好ましい一実施形態では、塗布器はフェルトペンである。
【0068】
本発明の装置の別の構成要素はホーミングセンサである。ホーミングセンサの機能は、位置決定ノズル、分析器、再生器、および、いくつかの実施形態では、液体コーティング塗布器の間で、収集面を移動させることである。したがって、本発明の装置の各構成要素は、収集面に対してそれぞれの機能を実施することができる。
【0069】
ホーミングセンサは、他の構成要素に対する収集面の位置を変更する機械装置である。したがって、ホーミングセンサは、用語の通常の意味におけるセンサではないが、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のセンサが存在し、機能サイクル内で収集面の位置を検出し、それを伝えることができる。多くのタイプの機構をホーミングセンサとして使用することができる。一実施形態では、位置決定ノズル、分析器、再生器、および存在するなら液体コーティング塗布器は、位置が固定されている。収集面は、円板の表面上である。反対の面には、円板の軸に下向きにシャフトが取り付けられ、シャフトは原動機に結合される。したがって、円板は、各構成要素に対して順次、収集面を位置決めするように、所定の角度で回転することができる。別の実施形態では、衝突板は、シャフトを有するローブ形カムである。シャフトに基本的に平行な、少なくとも1つの平坦な収集面が存在する。これらの実施形態では、ホーミングセンサは、衝突板、シャフト、および原動機を備える。他の機械的構造でホーミングセンサの機能を実現することもできることが、当業者には理解されよう。したがって、収集面は、ほぼ直線的に移動させることができ、あるいは収集面は、固定された場所に維持することができ、一方で他の構成要素が、収集面に対して再位置決めされる。したがって、他の構成要素に対して収集面を移動する、周知な任意の手段を使用することができる。
【0070】
動作中、気流は、位置決定ノズルの空気入口を通して引き込まれる。気流は、環境空気の試料である。いくつかの実施形態では、試料は、位置決定ノズルの空気入口の上流にある仮想インパクタの動作によって事前に高濃度化され、その結果、1〜10μmの範囲の粒子の濃度が高まる。また、いくつかの実施形態では、所望の空気組成を改善するために、空気試料は、位置決定ノズルの上流にあるサイズ選択入口の動作によって、10μmといった所望のサイズより大きい粒子を排除するように事前調整される。
【0071】
位置決定ノズルから出る気流は、衝突板の収集面に衝突する。その結果、主として所望のサイズ範囲の粒子からなるスポットが形成され、その範囲は、好ましくは、1〜10μmの空気力学的直径である。収集面の収集効率は、様々な粒子濃度に対してほぼ一貫している限り、低くてもよい。収集効率とは、衝突の結果、収集面に捕捉された空気試料中の、所望のサイズ範囲の粒子の割合を意味する。
【0072】
いくつかの実施形態では、位置決定ノズルによる気流の衝突の前に、衝突板の収集面が、液体コーティング塗布器の動作によって、液体でコーティングされる。液体コーティングにより、収集面の収集効率が高まる。
【0073】
本発明の装置の他の構成要素に対する収集面の位置は、ホーミングセンサの動作によって変更される。したがって、ホーミングセンサは、存在すれば液体コーティング塗布器から、位置決定ノズル、分析器、および1つまたは複数の再生器へと順次、自動的に収集面を位置決めする。いくつかの実施形態では、ホーミングセンサは、いくつかの状況において、収集面を再位置決めする順序を変えることが可能であってよい。例えば、ホーミングセンサは、収集面の適切な再生を確実にするのが望ましい場合に、またはそのときに、収集面を再生器から分析器に移動させることが可能でもよい。
【0074】
位置決定ノズルの動作によってスポットが収集面に蓄積された後、位置決定ノズルを通った空気の動きは通常は止まり、スポットのある収集面が分析器に移動する。いくつかの実施形態では、この段階における第1のステップでは、分析前スポット準備ステーションにおいて、分析するための試料を準備する。次に、分析器はその存在を検出し、かつ/または空中浮遊粒子特有の濃度もしくはその成分を測定する。
【0075】
分析の後、収集面は、ホーミングセンサによって表面再生器に移動される。表面再生器は、収集面を清浄化するように動作し、それを別のサイクルの動作のために再生する。再生器は、収集面を再生するために、1つまたはいくつかの機構によって動作することができる。したがって、再生器は、表面の機械的ブラッシングまたはふき取りにより、気流を高速度でスポットに向けて、好ましくはある角度で吹きつけることにより、かつ/またはスポットを静電気的に帯電させることにより、動作してもよい。再生器の動作の後、収集面は、収集、分析、および再生の別のサイクルで再度使用される。サービスを必要とせずに装置が自動的に動作することのできるサイクルの数は、非常に大きく、好ましくは数千である。
【0076】
別の態様では、本発明は、空中浮遊粒子を継続的にモニタリングするための方法に関する(図4参照)。モニタリングする空中浮遊粒子は好ましくは生物学的粒子であるが、特定の化学物質または放射性物質をモニタリングすることもでき、モニタリングとは、それらの存在、それらの濃度、および/または場合によってはそれらの性質の検出を意味する。継続的検出とは、環境空気の反復サンプリングを指す。継続的とは、必ずしも空気試料が途切れずに評価されることを意味せず、反復する時間間隔で空気試料を評価してよい。したがって、空中浮遊粒子の検出が、少なくともいくつかの同一ステップを含むサイクルで行われる。各サイクルの主なステップでは、空中浮遊粒子を収集面に固定し、固定された空中浮遊粒子を分析し、収集面を再生する。いくつかの実施形態では、追加のステップが実施される。
【0077】
この方法によるステップでは、空中浮遊粒子を収集面に被着させる(440)。このステップでは、空中浮遊粒子が大気から抽出される。空中浮遊粒子を収集面に被着させるならば、知られている任意の抽出方法を使用してよい。しかし、好ましい一実施形態では、空中浮遊粒子の被着は、慣性衝突によって行われる。
【0078】
空中浮遊粒子の被着の結果、スポットが収集面に形成される。スポットは、大気試料からの、抽出されまたは固定された空中浮遊粒子を含む。しかし、このステップで、元の大気試料中の必ずしもすべての粒子を収集面に被着させる必要はない。スポット中で、望ましいサイズ範囲の粒子の濃度を高めてよいものと想定されている。実際、いくつかの実施形態では、望ましくないサイズ範囲の粒子は、能動的に除外してよい。特定の用途によって必要とされる厳密なサイズ範囲は、異なっている。好ましい諸実施形態では、1〜10μmの粒子は、望ましいサイズ範囲を含んでいる。このサイズ範囲の粒子は吸入してよく、これらの粒子は危険な生物学的物質を含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、空中浮遊粒子を収集面に被着させる前のステップで、望ましいサイズ範囲の空中浮遊粒子を高濃度化する(420)。高濃度化は、例えば、仮想インパクタの動作によって行われる。粒子の高濃度化により、大きな体積の空気の迅速なサンプリングが可能になり、それによって、本発明の方法の各サイクルに必要とされる時間が減少し、性能および最終的に空気の安全性が高まる。
【0080】
いくつかの実施形態では、空中浮遊粒子を収集面に被着させる前に、サンプリングされた空気を事前調整する(410)。事前調整とは、望ましいサイズより大きい粒子が、試料から除去されることを意味する。これは、上述したサイズ選択入口を用いて行うことができる。所望のサイズ範囲より大きい粒子を、最初に空気から除去することができ、そのような粒子はスポット中になくなる。したがって、それらが後述するスポットの分析を妨げる可能性はない。事前調整では、例えば、10μmより大きい粒子を除去してよいが、その他のサイズ、たとえば5μm、7μm、8μm、12μm、15μm、20μm、または25μmより大きい粒子だけを除去してもよい。いくつかの実施形態では、粒子を表面に被着させる前に、事前調整および高濃度化が行われる。
【0081】
いくつかの実施形態では、空中浮遊粒子を被着させる前に行うことのできる別のステップにおいて、収集面を湿らせる(430)。先に液体コーティング塗布器の説明の際に触れたように、グリセロール、アルコール、またはオクタンなどの中重量炭化水素を含む多くのタイプの液体を使用して、収集面を湿らせることができる。各サイクルで使用される液体の厳密な体積は、いくつかの異なる変動要素に依存しており、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50μlとすることができる。
【0082】
本発明の方法の別のステップは、スポットを分析する(450)ことを含む。行われる分析のタイプは、モニタリングされる粒子の性質に依存する。生物学的物質に適したスポットの分析について、以下で詳細に説明する。周知の適切な試験に従って、化学的、放射線的、またはその他のタイプの分析を行うことができる。いくつかの実施形態では、分析は、測定された信号を強化するようにスポットを前処理する、任意選択のステップを含む。したがって、前処理は、分析強化化合物を含む液体をスポットに加えることを含んでよい。MALDI質量分析法によって分析が行われるいくつかの実施形態では、前処理を血しょう溶解によって行ってよい。
【0083】
本発明の方法の別のステップは、収集面を再生する(460)ことを含む。再生を行う物理的動作の厳密な性質は、これらの方法を使用する用途、予想される平均空気特性、使用される収集面のタイプなど、多くの変動要素に依存する。再生は、複数のステップのうちのいずれかのステップ、あるいはステップの組合せによって行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、フェルトパッドを収集面に押し付け、フェルトパッドを収集面上で動かすことによって再生を行う。他の実施形態では、フェルトホイールを、収集面に押し付けながら回転させる。他の実施形態では、収集面を、再生ステップの一部として静電気的に帯電させる。他の実施形態では、収集面をブラシでブラッシングすることによって再生を行う。他の実施形態では、空気ジェットを高速度で収集面に吹きつけることによって再生を行う。他の実施形態では、収集面をブレードでこすり取りまたはふき取ることによって再生を行う。表面の再生は、1つまたは複数の動作によって行うことができる。2つ以上の動作を使用する場合、そうした動作は類似または同一でよく、あるいは異なってもよい。いくつかの実施形態では、各サイクル中で、特定の再生動作を必ずしも行う必要はない。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明の方法のすべてのサイクルは同一である。他の実施形態では、いくつかのサイクルは、他のサイクルとは異なるステップを含むこともできる。
【0085】
いくつかの実施形態では、サイクルの少なくともサブセットにおける本発明の方法は、表面の再生を検証する(470)ことを含む。したがって、収集面は、再生後に再度分析される。この分析は、スポットを分析するのに使用されたのと基本的に同じプロセスまたは試験によって行うことができる。したがって、再生された表面に関するバックグラウンド信号レベルが得られる。次に、バックグラウンド信号レベルは、所定の基準と比較される。バックグラウンドレベルが、望ましいレベルより高いとわかった場合、バックグラウンド信号レベルが所定の基準を満たすまで、再生および検証が繰り返される。あるいは、再生が好ましく完了した場合、評価する際に、試料分析試験とは異なる試験を用いてもよい。
【0086】
本発明の方法の各サイクルは、空中浮遊粒子を収集面に被着させてスポットを形成すること(440)から開始するとみなしてもよい。粒子が抽出される空気試料を事前調整する(410)ことおよび/または高濃度化する(420)ことを含む実施形態では、粒子表面に被着させるステップと基本的に同時に、1つまたは複数の追加のステップが行われる。これらの方法が収集面を湿らせる(430)ことを含む実施形態では、このステップを各サイクルの第1のステップと見てよい。もちろん、本発明の方法の周期的な性質が与えられるならば、任意のステップを第1として選択してかまわない。
【0087】
被着させるステップの完了後、各サイクルは、収集面に存在するスポットを分析する(450)ステップを含む。分析中、試料の特性に関するデータが集められ、送信される。このように、これらの方法は、生物学的粒子など対象の空中浮遊粒子の存在および量に関する情報を取得し、伝達するのに有用である。
【0088】
分析後、次のステップでは、収集面を再生する(460)。表面は、実行可能な1つまたは複数の任意の手段によって再生される。いくつかの実施形態では、サイクルの少なくともサブセット中で、再生が適切であることが検証される(470)。したがって、収集面を再分析してよい。
【0089】
再生後、次のサイクルに進み、別の空気試料からの空中浮遊粒子を被着させる。いくつかの実施形態では、その前に、収集面を湿らせる。
【0090】
別の態様では、本発明は一般に、空中浮遊生物学的粒子をモニタリングするのに役立つ装置に関する。これらの装置は、スポットとして収集面上に、好ましくは再生収集面上に被着させた、抽出された粒子の内容を分析することができる。再生収集面とは、空中浮遊粒子のスポットをある期間だけ被着または固定させることができ、その後、そのスポットを除去し、その表面を再生または回復させることができる収集面を意味する。再生された収集面は、前回のスポットの固定の前の収集面と同様の特性を有する。収集面の回復では、事実上同一の特性を必ずしも実現する必要はない。むしろ、残留物から生じる次の信号が、試料スポットで得られる信号に対して問題にならないようにさせるのに十分なだけ、表面を再生させる必要がある。したがって、再生収集面は、スポットの固定および再生の多くの同様のサイクルにおいて、使用することができる。再生収集面については、上記でより詳細に説明している。
【0091】
また、いくつかの実施形態では、この装置は、粒子を大気から抽出し、それらを慣性インパクタなどの表面上に被着させまたは固定させる手段も含む。したがって、空中浮遊粒子は、収集面にスポットとして固定される。
【0092】
本発明の装置は、スポットの内容を分析することのできる検出器を備える。検出器は、生物学的粒子に固有の特性の存在を判定し、生物学的危険物質を含み得る空中浮遊生物学的物質の存在および/または濃度を測定する。生物学的物質は、細菌および/またはウイルスおよび/またはタンパク質集合体であり得る。細菌は凝集し得るので、本発明では「粒子」という語は、不活性な粒子、単一の生物学的実体または生物学的物質(一般に0.5〜2μm)、あるいはこれらの小さな生物学的物質の集合体(約2〜10μmの集合体)を含むものとみなす。
【0093】
生物学的粒子に、または生物学的粒子の特定のサブセットに固有の任意の周知な特性を、分析の対象とすることができる。そのような特性の多くの例が存在し、生物学的署名と呼ばれることがあり、それらは光学的または非光学的方法によって検出され得る。周知で有用な特性の例としては、単一もしくは多波長の励起および/または放出および/または蛍光存続期間によって特徴付けられる蛍光、IR吸収、ラマン散乱、質量スペクトル、あるいはテラヘルツスペクトルがある。有用な分析技法の例としては、蛍光分光法、フーリエ変換赤外分光法、レーザ誘導破壊分光法またはエアロゾル飛行時間型質量分析法、MALDI質量分析法、表面増強ラマン分光法、エバネセント波によるプレーナ型光導波路検出、あるいはテラヘルツ分光法がある。
【0094】
分析中、スポットは、任意の適切な検出手段によって測定される信号を生成する。信号が光学的に検出される場合、生成される信号の分光特性と適合する任意の光検出器を使用して検出を行うことができる。分析では、光信号を増大させ、あるいは低減させることができる。光信号は、蛍光、弾性散乱、光吸光度、偏光、円形二色性、光学回転、ラマン散乱、および光散乱を含む、様々な光学的原理のいずれかにに基づいてよい。好ましくは、光信号は、生物学的粒子の固有の蛍光に基づく。
【0095】
一般に、検出される光信号は、約180nm(紫外)〜約50μm(遠赤外)の波長を有する光の吸光または放出を伴う。より一般には、波長は、約200nm(紫外)〜約800nm(近赤外)である。そのような波長を有する光を測定するための様々な検出機器が当技術分野で知られており、それらの機器では一般に、例えば、光フィルタ、光電子増倍管、ダイオードベース検出器、および/または電荷結合検出器(CCD)を使用する。スポットによって生成される光信号は、規定された帯域幅(たとえば、500nm+/−0.5nm)をもつ、1つまたは複数の選択される波長を有する光の検出に基づいてよい。あるいは、光信号は、選択される波長範囲内の放射または吸収される光の、形状またはプロファイルに基づいてもよい。このプロファイルは、狭帯域幅センサのアレイによって、あるいは(オーシャンオプティクス社が販売するものなどの)スペクトル光度計を用いて、測定することができる。これらの信号は、コンピュータを用いて記録することができる。
【0096】
好ましい諸実施形態では、分析器は、収集面上の蛍光物質を刺激する励起光源と、スポットからの放出を測定するための蛍光センサとを備える蛍光検出器である。個々のスポットで生成される光信号は、順次、異なる波長の光を用いて被着物を繰り返し調べ、かつ/または異なる放出特性を測定することによって測定することができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、光信号測定では、内部対照(internal control)を含めるために、少なくとも2つの特有の波長を有する光を使用する。例えば、第1の波長を使用して、生物学的物質の存在または濃度を判定し、第2の波長を使用して、第1の波長での読取りを妨げる可能性のある非生物学的物質の存在または濃度を判定する。第2の波長に関する信号の異常または不在は、試料が不適切に準備されていたこと、そのサイクルでの生物学的粒子の濃度の推定値の信頼性が低いこと、非生物学的空中浮遊物質が存在しそれが試料中の生物学的粒子から予想される蛍光に影響を与えていること、あるいは分析器が正しく動作していないことを示唆している。
【0098】
生物学的物質は、自己蛍光物質を含むことが知られている。例えば、蛍光物質としては、芳香族アミノ酸トリプトファン、チロシン、およびフェニルアラニン、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド化合物(NADHおよびNADPH)、フラビン、およびクロロフィルがある。さらに、培養された細菌は、野生の細菌から区別可能な、特有の蛍光の特徴を有することが知られている。生物学的兵器は一般に培養物中で生成されるので、この特性を、生物学的アラーム(biological alarm)の設計で利用することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、いくつかの励起波長を順次組込み、それによって各試料スポットを何回も調べることにより、生物学的粒子とその他の非生物学的粒子の区別を改善することが可能となる。
【0100】
スポットに捕捉された粒子の固有の蛍光の測定では、空中浮遊状態の粒子の同様の測定に必要な設備よりも、高度に複雑な設備がかなり少なくて済む。高濃度化された蛍光物質の存在により、蛍光放出は一般的に高まる。したがって、励起を、あまり強力でない光源で、例えば、実施形態に応じて、典型的な電気アークランプ、LED、またはレーザダイオードで行うことができるが、その他のタイプのレーザを使用してもよい。例えば、いくつかの実施形態に適したレーザダイオードまたはLEDを、日本の徳島県の日亜化学工業株式会社から入手することができる。さらに、より長い期間の励起が可能である。いくつかの実施形態では、蛍光スペクトルを収集することができるが、その他の実施形態では、ピーク蛍光放出だけが重要である。さらに、スポット毎に、いくつかの自己蛍光特性を判定することができる。例えば、後述のように、約266nm、340nm、360nm、および/または400nmでの励起に応答して放出される蛍光を、スポット毎に測定することができる。
【0101】
蛍光検出器は、紫外光源などの励起光源と、励起に応答して試料から放出される光を測定するための蛍光センサとを備える。検出装置として、任意の光検出器を使用することができる。一般的な3つの検出器は、(1)光電子増倍管チューブ(PMT)、(2)アバランシェフォトダイオード、および(3)固体シリコンフォトダイオードである。使用される検出器のタイプによっては、光の焦点合わせが重要となり得る。例えば、アバランシェフォトダイオードは、比較的小さな検出面を有する。したがって、アバランシェフォトダイオードを使用する場合は、光をアバランシェフォトダイオードの検出面に向けるように、光の焦点を合わせることが好ましい。迷光がセンサに当たらなくなる可能性が高まるので、蛍光信号を小さなセンサに向けてフォーカスさせることが好ましい。場合によっては、より小さいセンサの方が、より大きな有効面積をもつセンサよりもノイズが小さい。
【0102】
一実施形態では、励起光源は、水平な紫外線透過性衝突板の下に配置され、放出センサは、収集面となるその衝突板の上に配置される(図2参照)。例えば、衝突板は、円板として形成してよく、あるいはその他の平坦な形でよい。したがって、衝突板は、スポットがその上に形成される収集面側と、調査側と呼ぶことのある、収集面側とは反対の側とを有する。いくつかの実施形態では、衝突板は、少なくとも一部が、紫外線にほぼ透過的な物質からできている。これらの実施形態では、スポットは、紫外線透過性収集面上で収集される。これらの実施形態では、衝突板により、励起光源および蛍光検出器といった紫外線ベースの検出器の構成要素を、衝突板の両側に配置することが可能になる。したがって、励起光源は調査側に配置してよく、蛍光センサは収集面側に配置してよい。
【0103】
他の実施形態では、励起光源および光センサはどちらも、同じ側に配置される。蛍光は、光学フィルタで励起光から分離される。そのような一実施形態の例が、図5に示されている。紫外LED(510)は、約340から380nmの範囲である励起波長の光(530)を放出する。励起放射は、ダイクロイックミラー(540)によって、収集面上に被着させたスポット(560)に向けて反射される。ダイクロイックミラーは励起放射を反射し、このケースではスペクトルの可視部中にある、蛍光放射に透過的である(ダイクロイックミラーの透過特性、励起、および吸収フィルタについては図7参照)。蛍光放出(580)は、ダイクロイックミラー(540)および吸収フィルタ(570)を通過した後、フォトダイオード(590)に到達する。焦点合わせレンズは、図に示していない。
【0104】
多くの変数を最適化することができることが、当業者には理解されよう。例えば、最大の信号対雑音比が得られるように吸収フィルタとセンサの間の角度を調整してよく、フィルタを使用して望ましくない波長を低減または除去してもよく、あるいは偽の周囲の照射(false ambient illumination)を区別するように、励起レーザビームをパルス発振させ、各レーザの照射パルスに続く短い期間中に遅延して応答するように、光検出器に結合された受信機をゲート制御させてもよい。
【0105】
スポットは、多数の分析測定に適した一定の時間だけ固定される。したがって、被着物の固有の蛍光特性は、順次、異なる励起波長で分析することができる。例えば、励起波長は、約266nm、340nm、および/または400nmでよい。いくつかの実施形態では、異なる波長での励起が望ましい。非生物学的物質が自己蛍光も発し、そのため、スポットに存在する生物学的物質の正確な定量化を妨げることが予想されるからである。さらに、蛍光署名を測定し、その署名を、生物学的物質の特定のクラスに対する既知の署名と比較することによって、生物学的物質の様々なクラスを識別することが可能となり得る。例えば、励起光の多数の波長を使用し、波長の少なくともいくつかの範囲にわたる蛍光放出スペクトルを測定することによって、細菌、ウイルス、細菌胞子、カビ胞子、および菌類を区別することが可能となり得る。各クラス内では、培養されたものを、天然の標本から識別することが可能となり得る。したがって、異なる励起波長に応答して空中浮遊粒子の蛍光を特徴付けることによって、生物学的物質をよりよく特徴付けることが可能となる。
【0106】
別の実施形態では、再生面に基づくセンサと平行して粒子カウンタを使用して、生物学的物質の特徴付けを補助することができる。粒子カウンタは、粒子が光のビームを通過するときに、光散乱を使用して、空気中の密度粒子を測定する。また、粒子カウンタによっては、各粒子のサイズを区別することもできる。粒子カウンタによっては、粒子の光散乱特性に基づいて、粒子形状の特性を評価することもできる。粒子カウンタは、再生面に基づくセンサによって粒子が分析されるのと同時に、短い期間で多くの粒子のサイズおよび形状のどちらかまたは両方を測定することができ、次いで空気中の粒子サイズ分布および粒子形状分布のどちらかまたは両方を動的に測定することができる。したがって、サイズおよび形状のどちらかまたは両方によって分析された粒子数と共に、蛍光の特徴付けによって、生物学的物質をよりよく特徴付けることができる。
【0107】
別の実施形態では、再生面空気サンプラに基づくセンサ内で、2つの検出方法を順次的組合せで使用して、生物学的物質を特徴付けるのを補助することができる。例えば、試料スポットが作成された後、そのスポットを、蛍光で、次いでラマンで、順次分析してよい。ラマンセンサを使用して、特定のクラスの微生物内の様々な種または悪いもの(genii)を区別することができる。センサのそのような組合せにより、特定の試料スポットに応答してアラームを発する必要性を、より確信させることが可能になる。
【0108】
1つの有用な励起波長は、266nmである。この波長は、アミノ酸トリプトファンおよびチロシンを励起させ、これらは、それぞれ約340nmおよび310nmのピーク放出を有する。また、266nmの紫外光は、NADHおよびリボフラビンも励起させ、これらは、それぞれ約450nmおよび560nmの空中浮遊粒子からの放出ピークを有する。266nmに加えて、その他の近い波長、例えば220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、または295nmを使用することも可能である。また、対象のサイズ範囲内の非生物学的空中浮遊粒子は、266nmの紫外光に応答して蛍光も発し、一方、トリプトファンおよびチロシン含有粒子の蛍光スペクトルは、特有の強度ピークを示す(約310〜350nm。たとえば、非特許文献6参照)。こうした特有のピークを使用して、一般に広い放出スペクトルを有する非生物学的粒子に対する生物学的物質の量を、定量的に区別することができる。例えば、約340nmの予想されるピーク強度での放出を、その他のスペクトル領域、例えばおよそ400nmおよび/または500nmでの放出に正規化(normalize)してよい。
【0109】
別の有用な励起波長は、約340nmである。すべての生きている細胞内で、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の、2つの関連した蛍光補酵素または生体分子が見つかる。それらは、細胞代謝に不可欠であり、したがってそれらの蛍光は、空中浮遊細菌の存在および/または濃度をモニタリングするのに役立ち得る。言い換えれば、これらの測定は、細菌細胞など生存可能な空中浮遊細胞の存在および/または濃度を判定するのに、特に適している。NADHの蛍光励起および放出波長はうまく分離され、それによって検出が容易になる。NADH/NAD(P)Hの励起波長は、近紫外線スペクトル中の340nmを中心とし、それらの蛍光放出波長は、400から540nmにおよぶ。したがって、望ましい励起波長は、約340nmであるが、その他の近い波長、たとえば320、325、330、335、345、350、351、355、360、370、375、または380nmを使用することも可能である。
【0110】
フラボノイドの1つであるリボフラビンは、NADHの波長帯と部分的にオーバラップする蛍光波長帯を有し、したがって、それを、NADH用に設計されたシステムによって検出することができ、あるいは別々の測定で検出することもできる。リボフラビンは、約400nmでピーク励起となり、475nm〜580nmの特有の放出を伴う(例えば、非特許文献7参照)。NADHおよびリボフラビンがどちらも存在することは、空気媒体中の生存可能な細菌に特有である。したがって、こうした波長の励起に応答した自己蛍光が、生存可能な細菌または細胞の存在を示し得る(例えば、特許文献15、16参照)。また、より小さいエネルギーのより長い励起波長によっても、測定を妨げるような非生物学的粒子の幅広いグループで、蛍光の生じる可能性が低くなる。
【0111】
上記のように、検出器は、検出された生物学的署名に関連した信号、一般に電気信号を生成する。こうした信号は、受信機に伝達され、次いで受信機は、さらに処理するためにその信号を中継することができる。信号は一般に、以下でより詳しく説明するように、コンピュータまたはNeuron Chip(登録商標)でよいプロセッサに到達する。プロセッサは、信号を処理または解釈することができ、したがって、スポット中の生物学的粒子の濃度を確定または測定することができる。そのような信号処理は、以下で概説する方法に従って行うことができる。したがって、プロセッサは、スポット中の生物学的粒子の濃度がいつ所定の値を超過するかを確定させることができる。そのようなケースでは、プロセッサは、有害となり得る空中浮遊生物学的粒子の存在をユーザに警告するアラーム信号を出力する。
【0112】
一実施形態では、光検出器が入射光に比例した電流を出力する場合、光検出器は、電流−電圧変換器に接続される。この電圧は、0〜5ボルトの範囲の出力信号を提供するために、増幅が必要なことがある。信号は、ノイズを低減させ、それによって信号対雑音比を高めるために、フィルタリングが必要となり得る。次に、信号は、アナログ−デジタル変換器に供給される。次いで、デジタル信号は、マイクロプロセッサによって読み取られ、処理される。
【0113】
さらに別の態様では、本発明は、特定の空中浮遊粒子を検出し、あるいは空中浮遊生物学的物質の濃度をモニタリングする方法に関する。これらの方法は、環境空気を継続的にモニタリングさせるために周期的に繰り返すことができる、複数のステップを含む。
【0114】
本発明の方法による1ステップでは、空中浮遊粒子を再生収集面上に被着させてスポットを形成するが、これは、慣性衝突によって行うことができる。
【0115】
別のステップは、スポット中に存在する生物学的署名を測定することを含む(図6)。このステップでは、上記でやや詳細に論じたものを含む、当技術分野で知られている任意の生物学的署名およびその対応する測定を使用することができる。したがって、この測定は、空中浮遊生物学的粒子の濃度を示す。再生面に被着させたスポットに対して測定を行う度に、空中浮遊生物学的粒子の濃度の値が得られる(610)。
【0116】
規定された数の、前の測定からの値を、一時的に記憶することができる。それらの値は、平均値および先行の測定からの標準偏差を計算する際に使用することができる。平均および標準偏差を計算する際に、任意の数、たとえば3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の数の測定を使用することができる。計算に使用する、前の測定の数(n)は一般に、一定である。
【0117】
次に、最後の測定の値を、計算した前の測定の平均値と比較して、現在値が平均を著しく超過しているかどうかを判定する(620)。先行の測定からの標準偏差を使用して、現在値が異常に高いかどうか、すなわち現在値が平均を著しく超過しているかどうかを確定することができる。したがって、現在値は、平均値+事前設定数(p)×標準偏差、と比較してよい(630)。例えば、事前設定数は、2〜8でよいが、本発明の方法の特定の動作条件に応じて、異なるレベルに設定してもよい。現在値が平均値を著しく超過した場合、プロセッサはアラーム信号を出力する(640)。また、特定の用途には、その他のアルゴリズムが適しており好ましいことがある。
【0118】
別のステップでは、収集面を再生する。次いで、プロセッサは、別のスポットから新しく得られた現在値を分析する。
【0119】
他の態様では、本発明は、再生面空気サンプラに基づくセンサ、センサシステム、およびネットワークを提供する。様々な用途に統合すれば、本発明の装置およびシステムは、空気質をモニタリングし制御するのに役立ち、また、有害となり得る空中浮遊危険物質の存在を即座に警告するのにも役立つ。再生面空気サンプラに基づくセンサは、任意の空中浮遊危険物質の存在をモニタリングするように適合させることができる。例えば、生物学的、化学的、または放射線的センサを使用して、大気中のそれぞれの粒子の存在を継続的に検出することができる。
【0120】
センサとは、測定される量の変化に応答する装置を意味する。本発明ではセンサは、測定値を電気信号に変換する変換器を包含することができる。
【0121】
本発明によるセンサは、多数の民間的および軍事的状況において好ましい。これらのセンサは、人口密度が高く、場合によっては閉じた区域で、特に有用である。例えば、これらは、多数の人々が空中浮遊危険物質に同時に暴露し得る、スタジアムや講堂などの建物または公共施設内で好ましい。これらは、壁面または天井に取り付けることができ、空気ダクトまたは空気プレナム内で、入口または出口において、特に有用となり得る。したがって、センサは、HVACシステムと連携してよく、あるいはHVACシステムの一部分でもよい。また、このセンサは、飛行機やクルーズ船など任意の乗物でも、有用となり得る。
【0122】
再生面空気サンプラに基づくセンサは、様々なタイプの装置として実装することができる。当業者には理解されるように、センサに取り付けられる装置は、様々なタイプの処理能力を有し得る。ダムセンサ(dumb sensor)は、アナログまたはデジタルの未較正の出力または較正された出力を単に生成することができる。スマートセンサは、異なる測定値を融合または相関させて、いくつかの異なるタイプのアラートを送信することができ、あるいはこのスマートセンサは、通信能力を有することができ、プログラムして、生データおよび/または複数組のアラートを送信することができる。インテリジェントセンサはさらに、自分のアラートをどのように調査し解決するかについて、推論することもできる。
【0123】
こうしたセンサは、通信インターフェースを介して、自分の信号を伝達する。より単純な実施形態では、センサは、局所的なオーディオ信号またはビジュアル信号を、単に発行する。しかし、他の実施形態では、センサは、通信インターフェースを介して、1つまたは複数の離れた場所に情報を伝達する。通信インターフェースは、場合によっては、ダムセンサと同様に、単に送信機でよい。他の実施形態では、通信インターフェースは、送受信機、すなわち通信チャネルに対する送信機かつ受信機である装置である。
【0124】
センサとやりとりする信号は、周知の実行可能な任意の手段によって伝達することができる。したがって、信号は、有線または無線接続を介して伝達される。有線接続の例としては、ツイストペア、同軸、電力線、または光ファイバケーブルがある。無線接続の例としては、無線周波数(RF)、赤外線(IR)の通信手段がある。例えば、いくつかの実施形態では、送受信機は、RFリンク間ネットワークを介して通信する。
【0125】
多くの実施形態では、センサにコントローラが結合される。いくつかの実施形態では、コントローラは、プログラムされたパーソナルコンピュータ、あるいはプロセッサ、メモリ、および入出力装置を備えたその他のコンピュータである。いくつかの実施形態では、コントローラは、Neuron(登録商標)チップであり、これは、後述のLonWorks(登録商標)の通信プロトコルであるLonTalk(登録商標)と共に使用される、システムオンチップマイクロコントローラである。異なるチップバージョンは、プロセッサコア、メモリ、通信、および入出力、ならびにセンサ、アクチュエータ、および送受信機の様々な組合せにおいて、同じ基本的特徴を共有する。Neuron(登録商標)チップは、実際には、3つの8ビットインラインプロセッサを1つに収めたものである。プロセッサのうちの2つは、後述のLONWORKSプロトコルを実行し、3つ目のプロセッサは、装置のアプリケーション用である。したがって、チップは、ネットワーク通信プロセッサであり、かつアプリケーションプロセッサである。一般に、コントローラは、送受信機にも結合される。いくつかの実施形態では、コントローラの機能は、ネットワークを介して結合され得る、2つ以上のコンピュータまたはコントローラによって実施させてよい。コントローラには、再生面に基づくセンサを動作させるために使用する、ソフトウェアまたはファームウェアを組み込むことができる。ソフトウェアまたはファームウェアで実施される動作の方法は、ここに開示する生物学的粒子を検出する方法とほぼ同様でよい。コントローラは、後述のように、その他のシステム構成要素からの情報を操作し統合することができる。
【0126】
通信インターフェースからの信号は一般に、コンピュータデータネットワークでよいネットワークまたはシステムを介して伝達されるが、より一般的には、ビルディングオートメーションネットワークなどの制御ネットワークである。再生面空気サンプラに基づくセンサが統合され得るシステムについて、多くの例が存在する。そのような1つのシステムが、EIA標準となり、EIA600標準として知られているCEBusシステムであり、これは元来、インテロン社によって開発されたものである。2つ目のシステムは、カリフォルニア州、San Joseのエシュロン社によって市販され開発されている、LonWorks(登録商標)システムである。CEBusシステムおよびLonWorks(登録商標)システムはどちらも、電力線、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、無線周波数(RF)、赤外線(IR)、およびツイストペアケーブルを含む、様々な異なる媒体を介して通信するための、物理層およびリンク層手段を指定している。センサを様々な手段で通信するように適合させてよいが、こうしたセンサは、BACnet(ISO標準16484−5)プロトコルやLonTalk(登録商標)(ANSI/EIA709.1制御ネットワーク標準とも呼ばれる)プロトコルなどの標準プロトコル、CEBus、X10、またはCANを使用して、ローカルで動作するネットワークと通信することが好ましい。また、再生面に基づくセンサは、示唆されているものなど(例えば、特許文献17参照)、他の任意のセンサネットワークに統合させることもできる。
【0127】
いくつかの実施形態では、コントローラは、少なくとも1つのアクチュエータに結合され、センサから受信した情報に応答して、少なくとも1つの空気管理構成要素を動作させるように構成される。したがって、センサによって示された潜在的危険物質に応答して、コントローラは、1つまたは複数の構成要素をオンにすることができる。そのような状況では、異なるタイプのシステム構成要素をアクティブにすることが有用であり得る。それらの構成要素は、空気分析装置、空気制御装置、または自己診断装置に、大まかに分類することができる。システムの構成に応じて、作動させる装置は、元のアラートを発行したセンサの近くでも、または遠くてもよく、また屋内に配置しても、屋外に配置してもよい。また、コントローラを、空気管理構成要素に通信的に結合させることができ、したがって、コントローラは、再生面に基づくセンサから受信した情報に追加の情報を受け取り、それを統合することが可能となり得る。避難アラームは、再生面に基づくセンサからの情報だけに基づいてトリガすることができ、あるいは、さらに利用可能な追加の情報に基づいてトリガすることもできる。
【0128】
空気分析装置は、空気の組成を分析するのに有用であるような、当技術分野で知られているどんな装置でもよい。適切な装置の例としては、光検出および測距(ライダー)システム、空気力学的粒径測定器、脅威物質中に存在する化学物質を測定するための質量分光計、試料の捕捉装置および保管装置(例えば、特許文献18参照)、または脅威物質中の作用剤を精密に識別するための特定の抗体またはPCRをベースとする検出機構がある。特定のセンサの使用により、誤ったアラームの影響を最小限に抑えることができる。また、それらのセンサは、冒された人々の処置に有益な情報ももたらす。このタイプのセンサは、PCR技術を使用してDNA分析を行い、抗体に基づく分析を使用して抗体分析を行う。
【0129】
空気制御装置は、HVACシステムのダンパ(damper)を動作させるなどにより、空気の流れを制御する。したがって、HVACシステムを使用して、建物内の空気の流れを、脅威物質に応答して制御することができる。脅威物質が建物の外部にある場合、空気が建物に入るのを止め、あるいは脅威物質によって冒されていないと見られる代替の空気取入れ口から空気を取り入れる。脅威物質が建物内からやって来る場合、その場所を特定し、空気を脅威のある区域から排気することができ、一方、建物の冒されていない区域に、新鮮な冒されていない空気を供給することができる。空気制御装置のその他の例としては、紫外光、熱またはマイクロ波、HEPAフィルタ、およびコロナに基づく消毒、化学物質噴霧器、熱または光触媒フィルタ、あるいは炭素フィルタがある。
【0130】
いくつかの実施形態では、再生面に基づくセンサは、自己診断能力を有する。様々な構成要素の動作においては、再生面センサはそれ自体を、コントローラに結合させることができる1つまたは複数のセンサによって、モニタリングすることができる。コントローラは、定期的に、あるいはセンサによるアラームへの応答の一部として、自己診断プログラムをオンにすることができる。
【0131】
再生面に基づくセンサは、非常事態にアクティブであることが望ましいので、いくつかの実施形態では、バッテリーバックアップを含んでいる。したがって、そうしたセンサは、日常的には通常の交流コンセントから給電されるが、停電中はバッテリーバックアップを使用することができる。
【0132】
制御ネットワーク上のデータは、施設管理者、消防や警察、および/または建物セキュリティシステムなど、多数の関係者、または組織、またはシステムに伝達することができ、あるいはそれらからアクセス可能とすることができる。
【0133】
動作においては、再生面に基づくセンサは、サンプリングモードで、事実上継続的に動作する。センサは、空中浮遊危険物質の存在の可能性が高いことを検出すると、アラート信号を発行する。この信号は、ローカルかつ/またはリモートに伝達することができる。同時に、特定の実施形態に応じて、センサは、自己診断プログラムをアクティブにし、特定のセンサをアクティブにし、かつ/または、空気ダクトダンパを動作させて汚染を封じ込め、あるいはHVACシステムによって外部の空気の取入れを増大させるなどの予防策を開始することができる。
【0134】
再生面に基づくセンサ以外のシステム構成要素は通常、電力および試薬を節約するために、待機モードで動作する。それらの構成要素は、再生面に基づくセンサおよび/またはその他の早期検出センサによって、入力検出に基づいて制御され、潜在的脅威物質が検出された場合のみ、アクティブモードに入る。ネットワークは、様々な脅威物質シナリオと組み合わされて、保護されるべき区域に基づいて、複数組のセンサを適合させる能力を提供する。建物またはその他の密閉構造物の場合、作用剤の大きな放出および小さな放出、ならびに緩慢な放出および急速な放出が、その構造物の内部または外部で生じ得る。また、放出の速度も可変である。センサを正しく配置することにより、これらの各シナリオが迅速に検出され、脅威物質からのダメージを最小限に抑えるための適切な方策を取ることができる。他の実施形態では、ネットワークは、制御応答を自動化するための、暖房および換気システム、または構造物のセキュリティ管理システムへの入力を提供することができる。
【0135】
別の態様では、本発明は、センサネットワークを構築する方法に関する。したがって、再生面空気サンプラに基づくセンサを、ネットワークに追加することができる。こうしたセンサは、生物学的粒子のセンサでよく、あるいは化学センサまたは放射線センサなど他のタイプのセンサでもよい。
【0136】
さらに別の態様では、本発明は、空気の品質を制御し、空中浮遊危険物質によって冒され得る人々に警告する(図9参照)方法に関する。本発明の方法によれば、大気は日常的に、少なくとも1つの再生面空気サンプラに基づくセンサを用いて、継続的サンプリングモード(910)でモニタリングされる。サンプリングは、長期間、継続的かつ自動的に行うことができる。潜在的危険物質が検出されない限り(920)、継続的サンプリング(910)が行われる。ある時点で、センサによるサンプリングが、予想される脅威物質を示した場合(920)、少なくとも1つの応答動作が行われる(930)。例えば、応答ステップは、少なくとも1つの特定のセンサをアクティブにするなど、少なくとも1つの空気管理構成要素を作動させること(940)を含むことができる。また、警告信号(950)を、危険物質の最初の検出後に即座に発行することができ、あるいは第2の場所での危険物質の存在の確認後に発行することもできる。万一、アラート信号が発行された場合、建物管理者、施設管理者、および/または消防や警察など、1つまたはいくつかの場所に送信することができる。
【0137】
本発明は、現在の関連した技術に比べていくつかの利点をもたらすが、すべての利点が必ずしも、本発明のすべての実施形態に存在するわけではない。大部分の抽出式技法と違って、ここに開示する発明は自動式であり、消耗品をほとんどあるいはまったく必要としない。したがって、動作、維持、またはサービスのいずれについても、人間の介入をめったに必要としない。したがって、この技術はユーザフレンドリであり、すなわち、それを使用するのに訓練を必要としない。さらに、本発明の技術を使用するコストも、消耗品が不要なので低く抑えられる。
【0138】
現場検出方法と違って、本発明の技術は安価であり、さらにまた、空中浮遊粒子のより包括的な分析を可能にする。個々の粒子でなく粒子の集合体が特徴付けされるので、この技術は、強力なレーザおよび非常に高感度の光子カウンタなど、高度に複雑な設備を必要としない。したがって、本発明の技術は、より手ごろである。さらに、粒子を固定することにより、長期の分析、または試料の複合分析が可能となる。したがって、本発明は、より完全な試料分析と、その結果得られるより高い信頼性とを両立する。
【0139】
本発明の技術により、手ごろで、自動式で、かつユーザフレンドリな空中浮遊粒子のモニタリングが可能になる。その結果、多数の多様な土地建物の、長期のモニタリングが実行可能となる。有害な生物学的物質は破壊的な影響を及ぼし得るので、生物学的危険物質への暴露を低リスクに抑えて、建物までも継続的モニタリングすることは、決定的に重要な違いとなる可能性がある。したがって、本発明は、人々への暴露を最小限に抑え、保護策を迅速に行うことができる。さらに、この技術は、包括的環境モニタリングソリューションのための、その他のタイプのモニタリング技術、たとえば煙アラーム、化学物質アラーム、および/または放射線アラームとの統合に適している。つまり、本発明の技術により、空中浮遊生物学的検出器の幅広い採用が可能となり、その結果、大部分の人々のセキュリティが向上する。
【0140】
以下に提示する実施例は、当業者へのさらなる手引きとして提供するものであり、いかなる限定も意味しない。
(実施例)
再生面を使用する、エアロゾル化された蛍光粒子の検出
再生面空気サンプラベースのものを構築した。衝突板は、アルミニウム製であり、3つの再生面をもつローブ形カムとして成形した。システムの構成要素には、慣性インパクタ、蛍光検出器、およびフェルトホイールブラシ表面再生器を含めた。蛍光検出器は、基本的に図5に示されているように配置され、図7に示されているようなダイクロイックミラー、励起フィルタおよび吸収フィルタの透過特性を有する。紫外線LED放出は、約375+/−3nmとなるように指定した。
【0141】
生物学的エアロゾルは、蛍光粉末(LDP、LLC(www.maxmax.com)が販売するUVPN UV Powder)でシミュレートした。これは、開封した1包みの粉末を、3回軽くたたいてエアロゾル化し、約100ミリグラムの粉末を、センサへの空気入口から数フィート(数十cm)離れた空気中に放出した。
【0142】
図8に、試験の結果を示す。図からわかるように、この機器は、蛍光粒子の放出を信頼性高く検出した。また、各独立の再生面ごとに、ベースライン値がわずかに変化しており、表面毎の平均を使用して、正確さを高め得ることを示唆していることもわかる。この例に使用したアルゴリズムでは、アラーム後の次の10個の試料に対して、ベースラインを一定のレベルに保持していることに留意されたい。
【0143】
特許、特許出願、およびその他の刊行物を含む引用したすべての文書を、参照により本明細書に組み込む。
【0144】
本発明の上記の実施形態は、例示および説明として提供されている。これらは、本発明を、記載された具体的な形態に限定するものではない。上記の教示に照らせば、その他の変形形態および実施形態が可能であり、したがって、発明の範囲は、この発明を実施するための最良の形態によって限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】先行技術の慣性インパクタの図である。
【図2】本発明の様々な実施形態に存在するいくつかの構成要素、すなわち、被着物がその上に形成する収集面(220)をもつ衝突板(205)、位置決定ノズル(210)、電線(250)によって結合される蛍光光センサ(230)および励起光源(240)を備える分析器、ブラケット(270)によって衝突板(205)に取り付けられるシャフト(260)、および再生器(280)の図である。例示のためにのみ、3つの収集面/スポットが描かれている。しかし、大部分の実施形態では、単一の収集面で十分である。
【図3A】微粒子の収集を向上させるために、外部に突き出る構造が収集面上で提供される、実施形態の図である。
【図3B】微粒子の収集を向上させるために、外部に突き出る構造が収集面上で提供される、実施形態の図である。
【図4】空中浮遊生物学的粒子の継続的モニタリングを行う方法を示す流れ図である。
【図5】蛍光検出器の構成要素の配置を示す図である。紫外線LED510が励起光530を放出し、その光は励起フィルタ520を通過する。ダイクロイックミラーがその励起紫外光を反射し、次いでその光は再生面550上の試料スポット560に到達する。そのスペクトルの可視部分中の蛍光580が、ダイクロイックミラー540および吸収フィルタ570を通過し、フォトダイオード検出器590に到達する。
【図6】空中浮遊生物学的粒子の著しく高い濃度の存在を判定するための信号処理の流れ図である。
【図7】ダイクロイックミラー、励起フィルタ、および吸収フィルタの透過プロファイルを示す図である。
【図8】再生収集面空気サンプラを使用して蛍光エアロゾル検出をテストした結果を示す図である。
【図9】空気の品質を制御する方法を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された空中浮遊粒子のスポットを支持するための収集面と、
前記スポット中の生物学的署名を検出することのできる少なくとも1つの検出器と
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記収集面は、再生面であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記検出器は電気信号を生成し、前記検出器に結合され、前記電気信号を受信する受信機をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記空中浮遊粒子のスポットを前記再生収集面上に固定する慣性インパクタをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記検出器は、蛍光検出器、ラマン分光計、フーリエ変換赤外分光計、およびMALDI質量分光計からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記検出器は、生体分子を励起させるように働く波長の励起放射を放出することのできる蛍光検出器であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記生物学的署名は、自己蛍光、ラマンスペクトル、赤外線吸収スペクトル、および質量スペクトルからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
固定された空中浮遊粒子のスポットを支持するための再生収集面と、
前記スポットに向けて励起放射を放出する励起光源であって、前記励起放射は、生体分子を励起して蛍光を生成するように働く波長を有する励起光源と、
前記スポットから放出される蛍光放射を測定するための蛍光センサと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記励起放射は、ほぼ紫外であり、前記蛍光放射は、ほぼ可視であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記励起光源は、LEDであることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
生体分子を励起するように働く前記波長は、340〜370nmの範囲内にあることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
生体分子を励起するように働く前記波長は、約266nmであることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項13】
生体分子を励起するように働く前記波長は、約400nmであることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記蛍光センサは、フォトダイオードであることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項15】
励起放射をほぼ反射し、蛍光放射にほぼ透過的なダイクロイックミラーをさらに備え、前記ダイクロイックミラーは、前記励起放射を前記スポットに向けて反射するように配置されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項16】
前記励起光源と前記ダイクロイックミラーとの間に配置される励起フィルタ、および、前記ダイクロイックミラーと前記蛍光センサとの間に配置される吸収フィルタのうちの少なくとも1つをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
収集面上に固定された空中浮遊粒子のスポット中の生物学的署名を検出することができ、前記生物学的署名を示す信号を生成する検出器と、
前記信号を受け取るために前記検出器に結合され、前記信号を処理して前記スポット中の生物学的粒子の濃度を確定することができ、前記スポット中の生物学的粒子の前記濃度が所定の値を超過した場合に、アラーム信号を出力することができるプロセッサと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項18】
前記収集面は、再生収集面であることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記検出器は、蛍光検出器であることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記プロセッサは、Neuron Chip(登録商標)であることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項21】
スポットを形成するために空中浮遊粒子を再生収集面に被着させること、
前記スポット中に存在する生物学的署名を測定すること、
前記測定から空中浮遊生物学的粒子の濃度を判定すること、および
前記収集面を再生すること
を含むことを特徴とする空中浮遊生物学的粒子を検出する方法。
【請求項22】
前記被着させることは、慣性衝突によって行われることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記生物学的署名は、自己蛍光であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記生物学的署名は、自己蛍光、ラマンスペクトル、赤外線吸収スペクトル、および質量スペクトルからなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項25】
複数のサイクルを含み、各サイクルは、
空中浮遊粒子を再生収集面上に被着させて、スポットを形成すること、
前記スポット中の生体分子の自己蛍光を測定すること、
前記測定から空中浮遊生物学的粒子の濃度の現在値を判定すること、および
前記収集面を再生すること
を含むことを特徴とする空中浮遊生物学的粒子の継続的モニタリングを行う方法。
【請求項26】
平均値、および、定められた数の前のサイクルで得られた前記定められた数の現在値から標準偏差を計算すること、
前記現在値を前記平均値と比較すること、および
前記現在値が前記平均値+事前設定因子×前記標準偏差を超過した場合に、アラーム信号を出力すること
をさらに備えることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記定められた数は、8であることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記事前設定因子は、約3〜5であることを特徴とする請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−526478(P2007−526478A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501846(P2007−501846)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/005977
【国際公開番号】WO2006/001852
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506297809)メソシステムズ テクノロジー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】