説明

生理活性物質−血液蛋白質複合体及びこれを利用する生理活性物質の安定化方法

本発明は生体内半減期が短くて安定性の低い低分子量生理活性物質の効果的で安定な生体内送達のための変形技術に関する。より詳しくは、本発明は、安定な生理活性物質-血液蛋白質複合体に関するものであり、低分子量生理活性物質は、生体外で反応基を使用して血液蛋白質上の特定官能基と結合するものであって、ヒトを含む哺乳類に対して治療または予防目的の薬品として利用可能であり、天然物質からなる群より選択される。また、本発明は、生理活性物質-血液蛋白質複合体を使用に基づく低分子量生理活性物質の安定的及び効果的な生体内送達方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年10月27日に出願された仮特許出願60/731,592号に基づく優先権及びその利益を主張し、当該仮特許出願は、本明細書に記載する全ての目的に関し、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(a)発明の分野
本発明は生体内半減期が短くて安定性の低い低分子量生理活性物質の安定的で効果的な生体内送達のための変形設計技術に関する。より詳しくは、本発明は、安定な生理活性物質-血液蛋白質複合体に関するものであって、前記低分子量生理活性物質が、反応基を通じて血液蛋白質上の特定官能基と生体外連結されるものであり、ヒトを含む哺乳類の治療または予防目的の薬品として利用可能であり、天然物質からなる群から選択されるものである。また、本発明は、生理活性物質-血液蛋白質複合体の使用に基づく低分子量生理活性物質の安定的で効果的な生体内送達方法に関するものである。
【0003】
(b)関連技術の説明
インシュリン導入を始めとして紹介されたバイオ医薬品(biopharmaceutics)は生命工学の発達とヒトゲノムプロジェクトの完成で急速に発展し、2000年代に入って500個以上のバイオ医薬品が臨床研究中にあり、毎年10個余りの治療剤がFDAから承認を受けている。バイオ医薬品の中で特にペプチド系医薬品は強力な治療及び予防効果と生体親和的(biocompatible)特性を有しているので、多くの病症に対する治療及び予防領域で新たな治療剤または代替治療剤として研究されている。
【0004】
しかし、これらのようなペプチド薬品及び不安定な低分子量薬品は生体内存在するプロテアーゼのような多様な酵素によって容易に生分解されて一般に半減期(half-life)が短い。また、ペプチド系薬品の場合には他の低分子量薬品に比べて有効血中濃度の維持が特に難しいという短所がある。また、これら大部分は巨大分子(macromolecule)であるため生体膜透過が容易でなく、免疫原性(immunogenicity)を誘発させることもあり、一般に溶解度が低くて剤形化するのに多くの制限を有する。特に、以上の短所の中で短い半減期、生体内での低い安定性(in vivo stability)及び低い生体利用率(bioavailability:BA)などは予防及び治療剤開発で改善されるべき部分として認識されている。
【0005】
一般にほとんど多くの薬品は経口または注射形態で体内に薬理成分が供給されて一定濃度以上で血液内に存在しなければ治療及び予防効果を示すことができない。多くの場合、治療効果を高めるために投薬量を高めて供給するが、これに伴う多様な副作用が頻繁に現れるため使用上の制限がある。
このような問題を改善するための徐放型カプセル(slow-release capsule)、デポ、ポンプなどの多様な薬品送達システム(drug delivery system:DDS)を利用する投薬方法が提案されてきた。しかし、このようなアプローチは長期間の間に治療薬品の濃度を維持するために一般に応用するのには多くの短所を持っている。例えば、皮膚付着型剤形の場合、皮膚に付着されて適した速度で薬品が皮膚組織を透過する性質を保有しなければならず、徐放性剤形において剤形粒子は放出されるのに時間上制約的で、また血管内に流入されても大食細胞によって急速に除去される。また、注射を通じて治療薬品を投与しなければならない場合には、多くの場合、反復的で持続的に注射処方を受ける必要があり、好ましくない。特に、自己投与(self administration)の場合は、未熟な取り扱いによる副作用発生の原因になることもあり、多くの場合に投与方法について個人的に多くの訓練が必要である。
【0006】
以上のように薬品自体についての短所、つまり、短い半減期、低い生体内安定性、生体利用率(BA)、および長期間の注射投与方法の反復を効果的に改善できる薬品送達システムの開発が切実に要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
本発明の目的は、生体に有用な低分子量生理活性物質と血液蛋白質上の特定官能基との間の安定な結合形成を可能にする反応基を使用して、前記低分子量生理活性物質を前記血液蛋白質に生体外結合させることにより、低分子量生理活性物質を安定化させ、前記低分子量生理活性物質の安定性と薬品動態的性質を改善させる方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、生体に有用な低分子量生理活性物質と血液蛋白質が安定な共有結合で連結されている生理活性物質-血液蛋白質複合体を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記低分子量生理活性物質-血液蛋白質複合体を使用して低分子量生理活性物質の生体内半減期を増加させ、安定性を改善させることを特徴とする低分子量生理活性物質の生体内送達用組成物及び送達方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、前記生体内安定性が改善された低分子量生理活性物質-血液蛋白質複合体の有効量を投与することを含む治療用組成物及び哺乳動物の疾患の治療方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、血液蛋白質上の特定官能基と低分子量生理活性物質との間の安定な結合についての定性的及び定量的なin vitro分析を実施する工程を含む、簡単で効果的な分析方法を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
好ましい実施例の詳細な説明
以下の詳細な説明を参照することにより本発明をより深く理解することができるため、本発明の完全な理解およびこれに付随する多くの利益が容易に明らかになるだろう。
【0013】
本発明は、生体に有用な低分子量生理活性物質と血液蛋白質上の特定官能基との間の安定な結合を形成することが可能な反応基を使用して前記低分子量生理活性物質を前記血液蛋白質に結合させて前記低分子量生理活性物質の安定性を増進させる技術に関するものである。
【0014】
一側面において、本発明は、低分子量生理活性物質の安定化方法を提供し、この方法は、以下の段階:1)低分子量生理活性物質に適切な官能基を連結基を使用するか使用せずに連結させて変形生理活性物質を製造する段階;2)血液蛋白質に結合する官能基に適切な反応基を結合させて当該官能基を活性化させる段階;及び3)前記変形生理活性物質と活性化した官能基を有する血液蛋白質を生体外で反応させ、生理活性物質と血液蛋白質との間の安定な共有結合を形成させることにより、安定化した生理活性物質-血液蛋白質複合体を生成する段階を含む。本発明の方法によって生体内水性環境、特に血液内で不安定な低分子量生理活性物質を安定化させることができ、生体内での半減期が増加し、体内滞留期間が長くなって前記低分子量生理活性物質の本来の機能を効果的に発揮することができる。
【0015】
より具体的には、本発明の低分子量生理活性物質の安定化方法は、血液蛋白質上のヒドロキシル基(-OH)、チオール基(-SH)、アミノ基(-NH2)及びカルボキシル基(-CO2H)からなる群より選択される官能基を、これと共有結合を形成することができる反応基と反応させて前記血液蛋白質を活性化させる段階と、生体外で前記活性化した血液蛋白質と、天然または合成ペプチド、天然または合成ホルモン及び医薬原料物質からなる群より選択され得る分子量100,000以下の低分子量生理活性物質とを反応させ、その間に安定な共有結合を形成させ、その後、前記反応基が脱離する段階を含むことができる。
【0016】
また他の側面において、本発明は前記血液蛋白質上の官能基と低分子量生理活性物質との間に安定な共有結合が形成された低分子量生理活性物質-血液蛋白質複合体を提供する。ここで、官能基はヒドロキシル基、チオール基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択されるものであり、血液蛋白質は官能基と安定な共有結合を形成することができる反応基によって活性化され、これにより前記生理活性物質の安定性が改善される。
【0017】
また他の側面において、本発明はこのような低分子量生理活性物質-血液蛋白質複合体を使用する、生理活性物質の生体内送達方法及び前記生理活性物質が治療的効果を有する疾病に対する予防または治療方法を提供する。また、本発明は前記低分子量生理活性物質-血液蛋白質複合体を含有する生理活性物質の生体内送達用組成物及び前記生理活性物質が治療的活性を有する疾病に対する予防または治療用薬学組成物を提供する。
【0018】
本発明において、前記低分子量生理活性物質は哺乳類、特に、ヒトの症状または疾病に対して改善、治療及び予防効果を有するすべての天然由来または合成有機化合物及び天然由来または合成ペプチドで、特に、分子量100,000以下の物質を意味する。より具体的には、本発明の低分子量生理活性物質は天然物質、天然由来のペプチド、天然由来のホルモン、合成ペプチド、合成ホルモン及び医薬原料物質からなる群から選択される1つ以上であり得る。例えば、本発明の前記低分子量生理活性物質は哺乳類に対して血糖降下効果があるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を含むインシュリン刺激ペプチド、エキセンディン-3またはエキセンディン-4などのグルカゴン系ペプチドホルモンまたはLHRH(Luteinizing Hormone−Releasing Hormone)などを含む。
【0019】
本発明の実施態様において、前記低分子量生理活性物質とアルブミン、好ましくは遺伝子組換え技術を通じて得られたアルブミン上のフリーチオール基(Cys34)間の安定なジスルファイド(S-S)共有結合を形成することができる反応基を使用して、前記低分子量生理活性物質をアルブミンに生体外結合させて、前記低分子量生理活性物質の薬品動態的性質(半減期及び生体内安定性など)を改善させることができる。本発明の好ましい具体例において、低分子量生理活性物質と血液蛋白質間の安定な共有結合、特に安定なジスルファイド共有結合を生体外(ex vivo)で効果的に形成するために、前記血液蛋白質を反応基によって活性化させることができる。例えば、血液蛋白質の1つであるアルブミンの34番位置のシステイン上フリーチオール基を反応基の1つであるジスルファニル基で活性化することによって低分子量生理活性物質と血液蛋白質との結合を効果的に誘導してより効果的に生理活性物質を安定化させることができる。
【0020】
前記反応基は血液蛋白質上の特定官能基と安定な共有結合を形成する結合部分、及び安定な共有結合を形成した後に脱離する脱離基を含むものでもよい。本発明の具体的な例において、前記血液蛋白質はアルブミン、好ましくは遺伝子組換え技術を通じて得られたアルブミンであってもよく、前記安定な共有結合はアルブミン上のフリーチオール基(Cys34)とのS-S共有結合であってもよい。本発明の他の具体的な例において、生理活性物質と反応基を連結させる連結基を追加的に使用してもよい。
【0021】
好ましくは、前記血液蛋白質はアルブミン、好ましくは遺伝子組換え技術を通じて得られたアルブミンである。アルブミンの34番目のアミノ酸残基であるシステイン上のフリーチオール基に、反応基としてジスルファニル基が結合されて活性化したアルブミンを製造して使用することができる。
【0022】
また他の側面において、本発明は生体に有用な低分子量生理活性物質と血液蛋白質が安定な共有結合で連結されて形成された安定化した生理活性物質-血液蛋白質複合体に関するものである。本発明の好ましい具体例において、前記生理活性物質-血液蛋白質複合体は生理活性物質とアルブミンの34番目のアミノ酸残基のシステイン上フリーチオール基との間に安定なジスルファイド(S-S)共有結合を形成したものである。本発明の他の具体例において、前記アルブミンは低分子量生理活性物質との‘安定なジスルファイド共有結合’を効果的に形成するために活性化したものであり得る。例えば、前記アルブミンは反応基によって活性化されたものであってもよく、好ましくは、アルブミンの34番目のアミノ酸残基のシステイン上フリーチオール基が反応基の1つであるジスルファニル基で活性化したものであってもよい。本発明のまた他の具体例において、前記生理活性物質-血液蛋白質複合体は適切な連結基を追加的に含むことができる。
【0023】
また他の側面において、本発明は前記生理活性物質-血液蛋白質複合体の製造方法に関するものである。本発明の好ましい具体例において、1)低分子量生理活性物質に適切な官能基を連結基を使用するか使用せずに連結させて変形生理活性物質を製造する段階;2)血液蛋白質に適切な反応基を結合させて、血液蛋白質の結合官能基を活性化させる段階;及び3)前記変形生理活性物質と活性化した血液蛋白質を生体外で反応させて生理活性物質と血液蛋白質との間の安定な共有結合を形成させる段階を含むことができる。好ましくは、前記血液蛋白質はアルブミン、特に遺伝子組換え技術を通じて得られたアルブミンであり、アルブミンの34番目のアミノ酸残基であるシステイン上のフリーチオール基に、反応基としてジスルファニル基が結合されて活性化したアルブミンを製造して使用することができる。前記のように活性化したフリーチオール基によりアルブミンは活性化し、これにより生体外での低分子量生理活性物質との結合力が増進されて低分子量生理活性物質と安定したS-S共有結合を形成することができる。
【0024】
また他の側面において、本発明は前記生理活性物質-血液蛋白質複合体を含有する体内半減期及び安定性が増進した生理活性物質の血液(in vivo)内送達用組成物及び前記生理活性物質-血液蛋白質複合体を使用する安定性が増進した生理活性物質の生体内送達方法に関するものである。
【0025】
本発明の方法は生体内安定性が低くて半減期の短い低分子量生理活性物質を血液内に投与して生体内で血液蛋白質と結合させるのではなく、生体外で生理活性物質を血液蛋白質と安定な共有結合によって結合させて安定な複合体を形成することにより、安定させることを特徴とする。低分子量生理活性物質を血中に投与して生体内で血液蛋白質と結合して安定化させる場合、生理活性物質と血液蛋白質との結合率が低くて生理活性物質の安定化の程度が低く、血液蛋白質と結合しない遊離生理活性物質が脳に浸透してアルツハイマー病などの様々な脳関連疾患を誘発する問題がある。しかし、本発明において、生理活性物質-血液蛋白質複合体は生体外で形成及び安定化され、すべての生理活性物質分子が血液蛋白質と結合されているので、生理活性物質の血中投与時の生体内安定性が顕著に向上し、遊離生理活性物質は発生せず、脳疾患を誘発する危険性がないという利点がある。
【0026】
また、本発明は有効成分として前記生理活性物質-血液蛋白質複合体を含有する薬学組成物及び前記生理活性物質-血液蛋白質複合体の有効量を前記生理活性物質の投与を必要とする患者に投与することを含む診断または治療方法に関するものである。本発明の前記診断または治療活性は生理活性物質の本来活性に応じて変わる。例えば、前記低分子量生理活性物質としてグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)などのインシュリン刺激ペプチドまたはエキセンディン-3またはエキセンディン-4などのグルカゴン系ペプチドホルモンを使用する場合、前記診断または治療活性は血糖降下又は糖尿病などの血糖増加によって発生する疾病に対するものである。さらに、前記診断または治療活性はLHRHを使用する場合には哺乳類の排卵時期調節、性ホルモン関連疾患に対するものであって、例えば、視床下部、脳下垂体及び生殖器機能の不振如何を診断するための活性であり、また前立腺癌及び子宮内膜症などの病症に対する治療のための活性である。
【0027】
また他の側面において、本発明はアルブミンの34番目のアミノ酸であるシステインのフリーチオール基が、2-ピリジルジスルファニル基、N-アルキルピリジニウムジスルファニル基、5-ニトロ-2-ピリジルジスルファニル基、3-ニトロ-チオフェニルジスルファニル、1-ピペリドジスルファニル基、3-シアノ-プロピルジスルファニル基、2-チオウレジルジスルファニル基、4-カルボキシルベンジルジスルファニル基、1-フェニル-1H-テトラゾリルジスルファニル基、1-アミノ-2-ナフチルジスルファニル基、3-カルボキシル-6-ピリジルジスルファニル基、2-ベンゾチアゾリルジスルファニル基及び4-ニトロ-チオフェニルジスルファニル基からなる群より選択される反応基に結合することにより活性化することを特徴とする変形アルブミンを提供する。
【0028】
また他の側面において、本発明は血液蛋白質上の特定官能基と低分子量生理活性物質との間の安定な結合を定性的及び定量的な方法でin vitro分析を実施する段階を含む、簡単で効果的な分析方法に関するものである。
【0029】
1.用語の定義
1)生理活性物質(Bioactive Substances):本発明において、“生理活性物質”とは哺乳類、特にヒトの症状または疾病に対して改善、治療及び予防効果を有するすべての天然由来または合成有機化合物及び天然由来または合成ペプチドで、特に分子量100,000以下の低分子量物質を意味する。より具体的には、本発明の生理活性物質は天然由来の天然物、ペプチド、ホルモン、合成ペプチド、合成ホルモン及び医薬原料物質などであり得る。例えば、哺乳類に対して血糖降下効果がある、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)などのインシュリン刺激ペプチド、エキセンディン-3またはエキセンディン-4などのグルカゴン系ペプチドホルモン、またはLHRHなどがこれに属する。本発明による生理活性物質-生理活性物質担体複合体または前記生理活性物質を前記生理活性物質担体と共に投与することによって前記生理活性物質が有する固有の生体内活性効果をより効果的に発揮させることができる。
【0030】
グルカゴン様ペプチド−1(GLP-1):GLP-1はGI-tractのL-細胞から生成されたグルカゴン前駆体から放出され、31個のアミノ酸で構成された腸内ホルモンペプチドで、血中グルコース濃度に依存的にインシュリンを刺激して血糖を低下させ、胃腸の空腹感を遅延させて飲食物摂取を減少させ、特にβ-細胞の機能を刺激する機能を有する。したがって、生理活性物質としてGLP-1が結合された生理活性物質-生理活性物質担体複合体またはGLP-1を生理活性物質担体と共に投与することによって優れた血糖低下効果を得ることができ、これによって糖尿病などの高血糖と関する疾患または肥満を効果的に治療または予防することができる。
【0031】
エキセンディン-3とエキセンディン-4ペプチド:エキセンディン-3、エキセンディン-4及びそれらの誘導体はトカゲ(Heloderma suspectum)の毒成分で血糖降下効果を有する39個のアミノ酸で構成される天然由来のペプチドである。また、GLP-1と53%程度の相同性(homology)を持っている。したがって、生理活性物質としてエキセンディン-3、エキセンディン-4またはその誘導体が結合された生理活性物質-生理活性物質担体複合体またはエキセンディン-3、エキセンディン-4またはその誘導体を生理活性物質担体と共に投与することによって優れた血糖低下効果を得ることができ、これによって糖尿病などの高血糖に関する疾患を効果的に治療または予防することができる。
【0032】
LHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン):LHRHは視床下部で形成される黄体ホルモン分泌ホルモンで、脳下垂体前葉で卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの放出を刺激する役割を果たす。その酢酸塩の製剤は視床下部、脳下垂体及び生殖器機能の不振如何を診断するのに効果的に利用され、最近は前立腺癌、子宮内膜症、子宮筋腫などの病症の治療剤として利用されている。したがって、生理活性物質としてLHRHが結合された生理活性物質-生理活性物質担体複合体またはLHRHを生理活性物質担体と共に投与することによって哺乳類の排卵時期調節、性ホルモン関連疾患治療または診断効果を得ることができ、さらに前立腺癌、子宮内膜症、子宮筋腫などの病症を効果的に治療または予防することができる。
【0033】
変形生理活性物質:変形生理活性物質(modified bioactive substances)とは活性化した血液蛋白質の反応基、好ましくは置換-ジスルファニル基と生体外で結合(conjugation)できるように好ましい官能基を付着させることによって設計された化合物のことである。一般にこのような変形生理活性物質は各種ペプチダーゼに対し安定的であるように設計され、これは変形生理活性物質が活性化した血液(血しょう)蛋白質の置換-ジスルファニル基と‘新しくて安定なジスルファイド共有結合’で結合されて複合体(complex)として存在し得ることに起因すると言える。また、本発明ではこのような安定なジスルファイド共有結合が定量的に測定できるように生理活性物質はフリー-チオール基を含むことが一般的である。
本発明で主に扱われる変形生理活性物質としては哺乳類、好ましくはヒトにいかなる治療及び予防の目的として使用することができる薬理活性を有する分子量100,000以下の天然物、合成有機化合物、天然由来ペプチド、合成ペプチドなどが含まれる。これらは主に連結基を媒介として官能基に連結することもでき、場合によっては連結基なく直接官能基に結合できる。また、本発明は生理活性物質と活性化アルブミンとの間の選択的な‘S-S共有結合’の生体外での形成をin vitroでの簡単な定性及び定量法によって直接あるいは間接的に分析可能であるように生理活性物質を変形できる。
変形生理活性物質は生理活性物質-官能基または生理活性物質-連結基-官能基複合体の形態であり得る。
【0034】
2)反応基:本発明において“反応基”は血液蛋白質上の特定官能基、例えば、ヒドロキシル基(水酸基-OH)、チオール基(-SH)、アミノ基(-NH2)またはカルボキシル基(-CO2H)と新しくて安定な共有結合、好ましくは血しょう蛋白質(plasma protein)上のフリーチオール基(-SH group)と“S-S共有結合”を形成できる機能を有する全ての化学基を称する。好ましい具体例において、活性化した血清アルブミン上の代表的な化学反応基は、置換されたジスルファニル基であり得、一般に変形生理活性物質上の官能基であるフリーチオール基と水性環境または生体外で反応して新しくて安定なジスルファイド共有結合を形成することができる。本発明の反応基は、例えば、2-ピリジルジスルファニル基、N-アルキルピリジニウムジスルファニル基、5-ニトロ-2-ピリジルジスルファニル基、3-ニトロ-チオフェニルジスルファニル、1-ピペリドジスルファニル基、3-シアノ-プロピルジスルファニル基、2-チオウレジルジスルファニル基、4-カルボキシルベンジルジスルファニル基、1-フェニル-1H-テトラゾリルジスルファニル基、1-アミノ-2-ナフチルジスルファニル基、3-カルボキシル-6-ピリジルジスルファニル基、2-ベンゾチアゾリルジスルファニル基、または4-ニトロ-チオフェニルジスルファニル基などを含むことができるジスルファニル基からなる群から選択される。反応基は、フリーチオール基と反応することにより、安定なS−S結合を形成した後に分離する脱離基を選択的に含むことができる。
【0035】
3)連結基:「連結基」は生理活性物質のフリーチオール基と連結されたり結合し得る化学的部分を称する。連結基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのような1つまたはそれ以上で構成されたC1乃至C6アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、多環基、アリール基、ポリアリール基、置換されたアリール基、ヘテロ環基または置換されたヘテロ環基などが挙げられる。また、連結基は2-アミノ(エトキシ)酢酸(AEA)などを含むポリエトキシアミノ酸を含むこともできる。本発明の好ましい連結基はエトキシ基を1つ乃至3つ含むAE(E)nA(n=0〜2)([2-(2-アミノ)-エトキシ](エトキシ)n酢酸)であり得る。特に、AEEE酢酸(AEEEA)を使用する場合に可溶性が増進され、生理活性物質と血液成分との間の安定な共有結合形成に有利な効果があり、AEEAよりさらに良い血糖降下効果を示すことができる。
前記連結基は前記物質の末端に結合したり物質内部に位置して前記生理活性物質と反応基を連結させるものであり得る。
【0036】
4)機能性:本発明において、「機能性」は血液蛋白質、特に、活性化したアルブミン上の反応基と反応して新しくて安定な共有結合、特に、ジスルファイド共有結合を形成することができる変形生理活性物質上の官能基であると説明できる。一般に変形生理活性物質上にはヒドロキシル基、チオール基、アミノ基及びカルボキシル基などの多様な官能基が存在する。本発明の好ましい具体例において、変形生理活性物質のC-末端、中間部分またはN-末端に存在できるフリーチオール基と活性化したアルブミン上の反応基が反応して新しくて安定なジスルファイド共有結合を形成する。
【0037】
5)血液成分:本発明において、血液成分(blood components)は血液内で流動性を持っているかあるいは固定して存在することができる。固定型血液成分(fixed blood component)は血液内で移動できない組織膜受容体、間質蛋白質、フィブリン蛋白質、コラーゲン、血小板、内皮細胞及び上皮細胞などがある。また、それらと関連した細胞膜、細胞膜受容体、体細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、神経成分、骨細胞及び破骨細胞などがある。移動性血液成分(mobile blood components)は血液内で固定的でなくて持続的に移動する血液成分と言える。一般にこれらは細胞膜と関連性がなく、少なくとも血液内に0.1μg/ml以上存在する。血清アルブミン、トランスフェリン、フェリチン、セルロプラスミン(celuroplasmin)そしてIgM及びIgGのような免疫グロブリンを含んでいる。一般にこれら移動性血液成分の生体内半減期は少なくとも12時間以上である。また、血液成分は遺伝子組換え技術を通じて得られたアルブミンも含む。
【0038】
6)血しょう蛋白質:血しょう蛋白質(plasma protein)は血しょうに含まれている全ての蛋白質を意味する。血液内に存在する血しょう蛋白質の大部分は血清アルブミンとグロブリンが占めている。血しょう100μM内には約7gが含まれ、そのうちアルブミンは50〜70%程度、グロブリンが約20〜50%程度、そしてフィブリノーゲン(fibrinogen)が10%以内に含まれている。フィブリノーゲンが含まれていない血液蛋白質を血清蛋白質と言う。
【0039】
本発明で扱う血しょう蛋白質はトランスフェリン、IgG、セルロプラスミン、血清アルブミンなどであり、中でも血清アルブミンが好ましい。ヒトが投与対象体として選択される場合はHSA(ヒト血清アルブミン:human serum albumin)、好ましくはヒトの血液から抽出されたりまたは遺伝子組換え技術を通じて得られたHSAを利用することができる。ヒト以外の他の哺乳類動物が対象体として選択される場合には、選択した哺乳類動物の血清アルブミン、好ましくは対象動物の血液成分から抽出されたりまたは遺伝子組換え技術を通じて得られた血清アルブミンを利用することができる。
【0040】
7)保護基:本発明において、保護基(protective group)とはペプチド合成でアミノ酸間の反応に由来した化学的な官能基と定義することができ、代表的な保護基としてはアセチル(Ac)、アリルオキシカルボニル(Aloc)、フルオレニル−メチル−オキシカルボニル(Fmoc)、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t-ブチル(t-Bu)、トリ-フェニルメチル(Trt)、2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-S-スルフォニル(Pbf)などがある。本発明で使用された一般的なアミノ酸の保護基及びその略語を下記の表1に整理した。
【表1】

【0041】
2.変形生理活性物質(modified bioactive substances)及び活性化アルブミンの構造的な形態と構成
本発明の変形生理活性物質及び活性化アルブミンの構造的形態と構成は次のように模式的に示すことができる。
【化1】



【0042】
“X1、生理活性物質”は100,000以下の分子量を有する生理活性を有する反応化合物であり、哺乳類、好ましくはヒトに現れる病症に対して予防及び/又は治療の目的として使用可能であり、フリーチオール基が存在せず薬理活性のある天然由来の天然物、ペプチド、ホルモン、合成ペプチド、合成ホルモン及び医薬原料物質などを称す。例えば、哺乳類に対して血糖降下効果があるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)などのインシュリン刺激ペプチド、エキセンディン-3またはエキセンディン-4などのグルカゴン系ペプチドホルモンまたはLHRHなどがこれに属する。
【0043】
“X2、連結基”は生理活性物質と反応基との間に位置して化学的な結合で連結される化学的連結基を称す。連結基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチルなどの1つまたはそれ以上で構成されるC1乃至C6アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、多環基、アリール基、ポリアリール基、置換されたアリール基、ヘテロ環基または置換されたヘテロ環基が挙げられる。また、連結基はAEA((2-アミノ)エトキシ酢酸)などのポリエトキシアミノ酸を含むこともできる。本発明の好ましい連結基はエトキシ基を1つ乃至3つ含むAE(E)nA(n=0〜2)([2-(2-アミノ)-エトキシ](エトキシ)n酢酸)であり得る。特に、AEEE酢酸(AEEEA)を使用する場合に可溶性が増進され、生理活性物質と血液成分との間の安定な共有結合形成に有利な効果があり、AEEAよりさらに良い血糖降下効果を示す。
【0044】
“X3、官能基”は活性化したアルブミン上の反応基と反応して新しくて安定なジスルファイド共有結合を形成することができる変形生理活性物質上の官能基であると説明できる。一般に変形生理活性物質上にはヒドロキシル基、チオール基、アミノ基及びカルボキシル基などの多様な官能基が存在する。しかし、本発明では主に変形生理活性物質誘導体のC-末端、N-末端又はその内側に存在し得るフリーチオール基と活性化したアルブミン上の反応基が反応して新しくて安定なジスルファイド共有結合を形成する。
【0045】
“X4、反応基”は変形生理活性物質上の特定の官能基、例えば、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基またはカルボキシル基と新しくて安定な共有結合を形成する能力を有する活性化した血清アルブミン蛋白質上に連結された化学基の全てを称するもので、好ましくは変形生理活性物質上のフリーチオール基と新しくて安定なジスルファイド共有結合を形成する能力を有するものであり得る。好ましい実施態様において活性化した血清アルブミン上の反応基は、変形生理活性物質のフリーチオール基と水性環境または生体外環境で反応して新しくて安定なジスルファイド共有結合を形成することができる置換されたジスルファニル基であり得る。本発明の反応基は、例えば、2-ピリジルジスルファニル基、N-アルキルピリジニウムジスルファニル基、5-ニトロ-2-ピリジルジスルファニル基、3-ニトロ-チオフェニルジスルファニル、1-ピペリドジスルファニル基、3-シアノ-プロピルジスルファニル基、2-チオウレジルジスルファニル基、4-カルボキシルベンジルジスルファニル基、1-フェニル-1H-テトラゾリルジスルファニル基、1-アミノ-2-ナフチルジスルファニル基、3-カルボキシル-6-ピリジルジスルファニル基、2-ベンゾチアゾリルジスルファニル基または4-ニトロ-チオフェニルジスルファニル基などを含むことができ、以上で言及された反応基の化学構造を下記の化学式1のように整理することができ、これらは、フリーチオール基と反応後脱離する脱離基を選択により含むことができる。
【化2】

【0046】
3.活性化したアルブミンの合成
本発明で主に扱う血しょう蛋白質はトランスフェリン、IgG、セルロプラスミン、血清アルブミンなどであり、血清アルブミンが好ましい。ヒトが投与の対象体として選択される場合はHSA、好ましくはヒトの血液成分から抽出されたりまたは遺伝子組換え技術を通じて得られたHSAを利用することができる。ヒト以外の他の哺乳類動物が対象体として選択される場合は選択した哺乳類動物の血清アルブミン、好ましくは対象動物の血液から抽出されたりまたは遺伝子組換え技術を通じて得られた血清アルブミンを使用することができる。
本発明の好ましい例において、HSAの34番目のアミノ酸残基であるシステインの(Cys34)フリーチオール基を、フリーチオール基がある変形生理活性物質に対して水溶液または緩衝溶液条件で選択的に連結できるようにアルブミン上の官能基を変形させる効果的な方法が提供される。
【0047】
4.アルブミン結合試験
本発明の変形生理活性物質が、活性化したアルブミン上の置換ジスルファニル基に生体外で結合されて生体内安定性が増加するということは、アルブミン結合程度を測定することで分かる。また、本発明の変形生理活性物質のアルブミン結合程度を変形しない天然生理活性物質の場合と比較することで、本発明の変形生理活性物質が天然生理活性物質に比べてアルブミンとより効果的に結合して安定性が増加することが分かる。このようなアルブミンへの結合程度はin vitroで簡単なHPLC分析を通じて定量及び結合如何を測定することができる。
【0048】
従来のアルブミン-生理活性物質結合複合体の存在有無を測定するために別途にアルブミン複合体を精製してLC-MS及びMALDI-TOFを利用して分析すべき実験的制限点及び問題点があった。しかし、本発明で提示するアルブミン結合試験は簡単なサンプル前処理及びHPLC分析を通じて結合如何を試験管内で測定できるという実験的な意味を有する。
アルブミンの濃度を固定して生理活性物質の濃度を増加させて結合程度を調べた結果、ジスルファイド結合程度は実験に使用されたアルブミンの状態と密接に関連していることが判断され、特に、フリーチオールに対する含量と関連があると考えられる。
【0049】
5.アルブミン-生理活性物質複合体の定量方法:
本発明ではアルブミンと変形生理活性物質とがジスルファイド結合を通じて互いに生体外で結合されたジスルファイド複合体に関してin vitroで結合複合体の効果的な定量方法を提供することができる。
アルブミンと生理活性物質とが結合して結合複合体を形成するか否かを測定するために使用する従来の分析方法は、別途にアルブミン複合体を精製してLC-MS及びMALDI-TOFを利用して分析しなければならないという実験的制限及び問題点があった。しかし、本発明ではDTT(dithiothreitol;Cleland's reagent)の処理を通じて結合複合体間のジスルファイド結合を選択的に還元させることにより、複合体から分離されて放出される生理活性物質の量を容易に定量することができる。前記分析法はアルブミンに結合している生理活性物質をin vitroでのHPLC分析によって効果的に定量する実験において重要な意味を有する。
本発明ではアルブミン-生理活性物質間のジスルファイド結合如何を測定するためにDTT処理によって定量分析を実施することができる。
【実施例】
【0050】
実施例1
化合物1:D-Ala8-GLP-1(7-36)-Lys37-[ε-AEEA-CO(CH22-SH]-NH2.4TFA:
His-D-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Arg-Lys-[ε-AEEA-CO(CH22-SH]-NH2.4TFA(配列番号:1).
【0051】
Novabiochem株式会社から購入したリンクアミドMBHAレジン(rink amide MBHA Resin:0.6mmol/g)を100μmolを測量して反応容器に入れた。レジンを5mlのDMFで溶媒和させて5分間十分に膨張させた。膨張した樹脂に20%のピペリジンDMF溶液を3ml添加して10分間震盪させてピペリジン溶液を除去した後、再び20%のピペリジンDMF溶液を添加して10分間反応させて樹脂に保護されているFmoc保護基を完全に除去し、10mlのDMF溶媒を利用して5回以上洗浄した。この段階でFmoc保護基の脱保護反応の有無をカイザーテスト(Kaiser test)[E.Kaiser et al., Anal. Biochem.(1970)34、595]で確認した。
【0052】
Fmoc-Lys(Aloc)-OH(500μmol)、HOBt(500μmol)、HBTU(500μmol)及びDIEA(1mmol)を5mlのDMF溶媒に完全に溶かした後、Fmoc保護基から脱保護された樹脂に添加した。反応液を室温で2時間程度震盪させた後、10mlのDMF溶媒で5回以上洗浄した。この段階でカイザーテストを前記と同様に実施してFmoc-アミノ酸のカップリングの有無を確認した。
【0053】
次に、下記の合成周期によって連続的にカップリングさせた:(1)DMF溶媒(10ml)で5回以上洗浄;(2)20%のピペリジンDMF溶液(3ml)を使用して10分間2回脱保護;(3)DMF溶媒(10ml)で5回以上洗浄;(4)Fmoc-アミノ酸の添加;(5)カップリング試薬を添加してアミノ酸活性化及び2時間カップリング;(6)DMF溶媒(10ml)で5回以上洗浄した。
【0054】
段階1:カップリング段階
Fmocで保護したアミノ酸(5当量以上)は次に記述された順に樹脂反応容器に添加してカップリングさせた:(1)Fmoc-Lys(Aloc)-OH;(2)Fmoc-Arg(Pbf)-OH;(3)Fmoc-Gly-OH;(4)Fmoc-Lys(tBoc)-OH;(5)Fmoc-Val-OH;(6)FmocLeu-OH;(6)Fmoc-Trp-OH;(7)Fmoc-Ala-OH;(8)Fmoc-Ile-OH;(9)Fmoc-Phe-OH;(10)Fmoc-Glu(OtBu)-OH;(11)Fmoc-Lys(tBoc)-OH;(12)Fmoc-Ala-OH;(13)Fmoc-Ala-OH;(14)Fmoc-Gln(Trt)-OH;(15)Fmoc-Gly-OH;(16)Fmoc-Glu(OtBu)-OH;(17)Fmoc-Leu-OH;(18)Fmoc-Tyr(tBu)-OH;(19)Fmoc-Ser(tBu)-OH;(20)Fmoc-Ser(tBu)-OH;(21)Fmoc--OH;(22)Fmoc-Asp(OtBu)-OH;(23)Fmoc-Ser(tBu)-OH;(24)Fmoc-Thr(tBu)-OH;(25)-Fmoc-Phe-OH;(26)Fmoc-Thr(tBu)-OH;(27)Fmoc-Gly-OH;(28)Fmoc-Glu(OtBu)-OH;(29)Fmoc-D-Ala-OH;(30)Boc-His(N-Trt)-OH。
【0055】
段階2:Aloc基の選択的脱保護化段階
Pd(PPh34(300μmol)を5mlのCHCl3:NMM:AcOH(18:1:0.5)に溶かした後、段階1で合成されたレジンに添加して室温で2時間以上震盪させた。反応レジンはCHCl3(10ml×6回);20%の酢酸CH2Cl2溶液(10ml×6回);CH2Cl2(10ml×6回);DMF(10ml×6回以上)で洗浄した。Aloc基の選択的脱保護の発生は、カイザーテストを前記と同様に実施して確認した。
【0056】
段階3:連結基導入段階
Fmoc-(AEEA)-OH(Fmoc-miniPEG-OH、3mmol)、HOBt(3mmol)、HBTU(3mmol)及びDIEA(6mmol)を10mlのDMF溶媒に完全に溶かした後、Fmoc保護基が脱保護された樹脂に添加した。反応液を室温で4時間以上震盪させた後、10mlのDMF溶媒で10回以上洗浄した。この段階でカイザーテストを前記と同様に実施してFmoc-アミノ酸のカップリングの発生を確認した。反応液は、10mlの20%ピペリジンDMF溶液で処理して30分以上震盪させてFmoc保護基を除去した後、10mlのDMFで5回以上洗浄した。
Fmoc保護基を脱保護させた後、3-(トリチルチオ)プロピオン酸(2mmol)、HBTU(2mmol)、HOBt(2mmol)及びDIEA(4mmol)を10mlのDMF溶媒に完全に溶かし、合成されたレジンに添加した。反応液を室温で4時間以上震盪させた後、10mlのDMF溶媒で10回以上洗浄した。
【0057】
段階4:切断段階
合成を終結した後、直ちにペプチドがカップリングされたレジンを3時間TFA/水(95:5)の混合物を使用してレジンから切断した。このように得られた混合溶液は冷蔵保管されたジエチルエーテル溶媒の過剰量で処理することによって沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を遠心分離して完全に沈殿させて過剰のTFAを一次除去し、以上のような手続を2回程度繰り返して固形化させたペプチドを得た。
得られたペプチドをC-18カラムを使用して50分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水濃度勾配溶媒システムを使用するHPLCで精製した。精製された分画物を凍結乾燥して白色粉末型のTFA塩形態で化合物1,D-Ala8-GLP-1(7-36)-Lys37[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.4TFAを得た:
化合物1:D-Ala8-GLP-1(7-36)-Lys37[ε-AEEA-CO(CH22-SH]-NH2.4TFA;MALDI-TOF=3,660.
前記化合物1の合成過程を次の反応式1に示した。
反応式1.D-Ala8-GLP-1(7-36)-Lys37-[ε-AEEA-CO(CH22-SH]-NH2.4TFA(化合物1)の合成過程。
【化3】

【0058】
以上のような合成過程を通じて次のペプチドを製造した。
化合物2:D-Ala8-GLP-1(7-36)-Lys37-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.4TFA:His-D-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Arg-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.4TFA(配列番号:2).Rt=23.93分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=3,705.
【0059】
化合物3:D-Ala8-Lys26-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-GLP-1(7-36)-NH2.4TFA:His-D-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Arg-NH2.4TFA(配列番号:3).Rt=24.25分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=3,532.
【0060】
化合物4:D-Ala8-Lys26-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-GLP-1(7-36)-NH2.4TFA:His-D-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Arg-NH2.4TFA(配列番号:4).Rt=24.11分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=3,577.
【0061】
化合物5:GLP-1(7-36)-Lys37-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.4TFA:His-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Arg-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.4TFA(配列番号:5).Rt=24.01分(30分にわたって0.01%TFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=3,660.
【0062】
化合物6:GLP-1(7-36)-Lys37-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.4TFA:His-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-Gly-Arg-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.4TFA(配列番号:6).Rt=23.91分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=3,705.
【0063】
化合物7:エキセンディン-4(1-39)-Lys40-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.5TFA:His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.5TFA(配列番号:7).Rt=16.95分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=4,548.
【0064】
化合物8:エキセンディン-4(1-39)-Lys40-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.5TFA:His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.5TFA(配列番号:8).Rt=16.86分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=4,592.
【0065】
化合物9:Lys27-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-エキセンディン-4(1-39)-NH2.5TFA:His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH2)2-SH]-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2.5TFA(配列番号:9).Rt=21.41分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=4,420.
【0066】
化合物10:Lys27-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-エキセンディン-4(1-39)-NH2.5TFA:His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2.5TFA(配列番号:10).Rt=21.48分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=4,465.
【0067】
化合物11:エキセンディン-3(1-39)-Lys40-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.5TFA:His-Ser-Asp-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.5TFA(配列番号:11).Rt=21.21分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=4,564.
【0068】
化合物12:エキセンディン-3(1-39)-Lys40-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.5TFA:His-Ser-Asp-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.5TFA(配列番号:12).Rt=21.18分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=4,6094.
【0069】
化合物13:Lys27-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-エキセンディン-3(1-39)-NH2.5TFA:His-Ser-Asp-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2.5TFA(配列番号:13).Rt=21.12分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=4,436.
【0070】
化合物14:Lys27-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-エキセンディン-3(1-39)-NH2.5TFA:His-Ser-Asp-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH2.5TFA(配列番号:14).Rt=21.10分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MALDI-TOF=4,481.
【0071】
実施例2
化合物15:Leuprolide-GSG-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA:Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-Gly-Ser-Gly-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA(配列番号:15).(Pyr=ピログルタミン酸、pE)
Novabiochem株式会社から購入したリンクアミドMBHAレジン(0.6mmol/g)を100μmol測量して反応容器に入れた。レジンを5mlのDMFで溶媒和させて5分間十分に膨張させた。膨張した樹脂に20%のピペリジンDMF溶液を3ml添加して10分間震盪させてピペリジン溶液を除去した。その後、再び20%のピペリジンDMF溶液を添加して10分間反応させて樹脂に保護されているFmoc保護基を完全に除去し、10mlのDMF溶媒を利用して5回以上洗浄した。
Fmoc-Lys(Aloc)-OH(500μmol)、HOBt(500μmol)、HBTU(500μmol)及びDIEA(500μmol)を5mlのDMF溶媒に完全に溶かした後、Fmoc保護基が脱保護された樹脂に添加した。反応液を室温で2時間程度震盪させた後、10mlのDMF溶媒で5回以上洗浄した。この段階でカイザーテストを前記と同様に実施してFmoc-アミノ酸のカップリングの発生を確認した。
次に、下記のような合成周期によって連続的にカップリングさせた:(1)DMF溶媒(10ml)で5回以上洗浄;(2)20%のピペリジンDMF溶液(3ml)を使用して10分間2回脱保護;(3)DMF溶媒(10ml)で5回以上洗浄;(4)Fmoc-アミノ酸の添加;(5)カップリング試薬を添加してアミノ酸活性化及び2時間カップリング;(6)DMF溶媒(10ml)で5回以上洗浄した。
【0072】
段階1:カップリング段階
Fmocで保護したアミノ酸(5当量以上)は次に記述された順に樹脂反応容器に添加してカップリングさせる:(1)Fmoc-Lys(Aloc)-OH;(2)Fmoc-Gly-OH;(3)Fmoc-Ser(tBu)-OH;(4)Fmoc-Gly-OH;(5)Fmoc-Pro-OH;(6)Fmoc-Arg(Pbf)-OH;(6)Fmoc-Leu-OH;(7)Fmoc-D-Leu-OH;(8)Fmoc-Tyr(tBu)-OH;(9)Fmoc-Ser(tBu)-OH;(10)Fmoc-Trp(Boc)-OH;(11)Fmoc-His(Trt)-OH;(12)Boc-Pyr(tBu)-OH。
【0073】
段階2:Aloc基の選択的脱保護化段階
Pd(PPh34(300μmol)を5mlのCH3Cl:NMM:AcOH(18:1:0.5)に溶かした後、段階1で合成されたレジンに添加して室温で2時間以上震盪させた。反応レジンはCHCl3(10ml×6回);20%の酢酸CH2Cl2溶液(10ml×6回);CH2Cl2(10ml×6回);及びDMF(10ml×6回以上)で洗浄した。Aloc基の選択的脱保護の発生はカイザーテストを実施例1と同様に実施して確認した。
【0074】
段階3:連結基導入段階
Fmoc-(AEEA)-OH(Fmoc-miniPEG-OH、3mmol)、HOBt(3mmol)、HBTU(3mmol)及びDIEA(6mmol)を10mlのDMF溶媒に完全に溶かした後、Fmoc保護基から脱保護された樹脂に添加した。反応液を室温で4時間以上震盪させた後、10mlのDMF溶媒で10回以上洗浄した。この段階でカイザーテストを前記と同様に実施してFmoc-アミノ酸のカップリングの発生を確認した。反応液を10mlの20%ピペリジンDMF溶液で処理して30分以上震盪させてFmoc保護基を除去した後、10mlのDMFで5回以上洗浄した。
Pierce Biotechnologyから購入したN-スクシニルイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸(SPDP, 2mmol)を5mlのCH2Cl2溶媒中で溶解し、上記のように合成した樹脂と3時間以上震盪しながら反応させた。その後、CH2Cl2(10 ml)で6回以上洗浄した。
【0075】
段階4:切断段階
合成が終結した後、直ちにペプチドがカップリングされたレジンを3時間TFA/水(95:5)の混合物を使用して切断した。このように得られた混合溶液は冷蔵保管されたジエチルエーテル溶媒の過剰量で処理することによって沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を遠心分離させて完全に沈殿させ、過剰のTFAを一次除去して以上の手続を2回程度繰り返して固形化させたペプチドを得た。
得られたペプチドをC-18カラムを使用して50分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水濃度勾配溶媒システムを使用するHPLCで精製した。精製された分画物を凍結乾燥させて白色粉末型のTFA塩形態で目的生理活性物質である化合物15、ロイプロリド(Leuprolide) -GSG-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFAを得た。
【0076】
化合物15:ロイプロリド-GSG-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA: Rt=23.63分(30分にわたって0.01%のTFAを含有する5%乃至100%のアセトニトリル/水の多様な濃度勾配);MS(ESI)m/e、[M+H]+=1853.
このような化合物15の合成過程を次の反応式2に示した。
反応式2.ロイプロリド-GSG-Lys-[ε-AEEA-CO(CH22-SH]-NH2.2TFA(化合物15)の合成過程
【化4】

【0077】
以上のような合成過程を通じて下記のペプチドを製造した。
化合物16:ロイプロリド-GSG-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA:Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-Gly-Ser-Gly-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA(配列番号:16)(Pyr=ピログルタミン酸).
【0078】
化合物17:ロイプロリド-GG-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA:Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-Gly-Gly-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA(配列番号:17)(Pyr=ピログルタミン酸).
【0079】
化合物18:ロイプロリド-GG-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA:Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-Gly-Gly-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA(配列番号:18).
【0080】
化合物19:ロイプロリド-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA:Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA(配列番号:19).
【0081】
化合物20:ロイプロリド-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA:Pyr-His-Trp-Ser-Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-Lys-[ε-AEEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA(配列番号:20).
【0082】
実施例3:活性化したアルブミンの製造
シグマ アルドリッチ(Sigma Aldrich)社から購入したHSA(500mg)または遺伝子組換え技術を通じて得られたアルブミンを2次蒸溜水(10ml)に溶かした後、アルドリチオール(7.5mg)を300μlのCH3CNに溶かした溶液を、そこに常温中で徐々に添加した。この反応溶液を室温で約30分間ゆっくり震盪しながら反応させ、反応水溶液10μlを取ってエルマンズ(Ellman’s)試薬(10μl)で処理してアルブミンのフリーチオール基(Cys34)が新たなジスルファニル基で置換されたかどうかをエルマンズ試薬の色変化を通じて確認した。
【0083】
反応の終結如何はエルマンズ試薬の色変化を通じて確認できるが、反応の未終結状態では無色のエルマンズ試薬が濃い黄色に変化し、完全に反応が終結した時には無色を維持する状態になる。以上のようなエルマンズテストを通じて反応終結如何を確認し、反応産物は24時間以上凍結乾燥させた。
【0084】
凍結乾燥された活性化したアルブミンはMeOH(10ml×3回)で洗浄して過剰量のアルドリチオール及び反応副産物として生成されたピリジル-2-チオンをそれぞれ除去した。得られたアルブミンサンプルを再び2次蒸溜水に溶かした後、24時間以上凍結乾燥させて活性化したアルブミンを製造し、‘活性化したアルブミン21’と命名した。
前記方法で製造可能な活性化したアルブミンの例は次の化学式2に示す通りである:
【化5】

【0085】
実施例4:生理活性物質化合物15(ロイプロリド-GSG-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2)と活性化したアルブミンの結合
本実施例は実施例2の製造方法によって合成された変形生理活性物質化合物15(ロイプロリド-GSG-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA)と実施例3の製造方法によって得られた活性化したアルブミン21をPBS緩衝溶液上で効果的に結合する具体的な例を提供する。
【0086】
4.1.基質-アルブミン共役22の合成:
実施例3の製造方法によって合成された活性化したアルブミン21(50mg)をPBS緩衝溶液(1ml)に溶かした後、実施例2の製造方法で得られた変形生理活性物質化合物15(2mg)を100μlのPBS緩衝溶液に溶かした溶液を常温でそこに徐々に添加した。この反応溶液を室温で約30分間ゆっくり震盪しながら反応させ、反応水溶液10μlを取ってエルマンズ試薬(10μl)で処理してアルブミンのフリーチオール基(Cys34)が新たなジスルファニル基で置換されたかどうかをエルマンズ試薬の色変化を通じて確認した。
【0087】
反応の終結如何はエルマンズ試薬の色変化を通じて確認できるが、反応の未終結状態では無色のエルマンズ試薬が濃い黄色に変化し、完全に反応が終結した時には無色を維持する状態になる。以上のようなエルマンズテストを通じて反応終結を確認後、反応産物は24時間以上凍結乾燥させた。
【0088】
凍結乾燥された活性化したアルブミンはMeOH(10ml×3回)で洗浄して未反応化合物15及び反応副産物として生成されたピリジル-2-チオンをそれぞれ除去した。得られたアルブミンサンプルを再び2次蒸溜水に溶かした後、24時間以上凍結乾燥させ活性化したアルブミンを天然状態で製造し、これを‘基質-アルブミン共役22’と命名した。
【0089】
4.2.基質-アルブミン共役22の精製:
前記製造方法によって合成された基質-アルブミン共役22は次のような条件下でAKTA purifier(Amersham Biosciences、Uppsala、Sweden)を利用して精製することができる。まず、オクタン酸ナトリウム (5mM)と(NH42SO4(750mM)で作られた燐酸ナトリウム緩衝溶液(20mM、pH7)を50mlのbutyl sepharose 4 fast flow resin column(Amersham Biosciences、Uppsala、Sweden)に充填させた後、基質-アルブミン共役22をローディングさせ、1分当り2.5mlの流速で分離精製した。
【0090】
このような条件で目的とする基質-アルブミン共役22は全て疎水性レジンに吸着され、基本的に結合されなかったり反応しないHSAはカラム上で放出させて除去することができる。精製された目的とする基質-アルブミン共役22を脱塩させ、24時間以上凍結乾燥させて窒素で充填された-80℃の冷凍庫に貯蔵した。
【0091】
以上のような反応及び分離精製方法を通じて多様な基質-アルブミン共役 を製造することができ、その例として前記実施例1及び2で製造された化合物1乃至20を使用して製造可能な基質-アルブミン共役22乃至41を下記の化学式3に整理した。
【化6】

【化7】

【0092】
化合物35:MALDI-TOF=70,850
実施例5:アルブミン結合試験
実施例2の製造方法によって合成された変形生理活性物質化合物15(ロイプロリド-GSG-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA)が実施例3の製造方法によって活性化したHSA上のジスルファニル基に結合されて生体外及び生体内でその安定性が増加することを生理活性物質-アルブミン結合の程度を測定することによって確認できる。また、本実験方法を通じて合成された化合物15は、変形しない天然ロイプロリドに比べて活性化したアルブミンにより効果的に結合することで安定性が増加することが分かった。
【0093】
5.1.原液の製造:
実施例3から製造可能な活性化したヒト血清アルブミン(66.5mg)をPBS緩衝溶液(pH7.2、1ml)に溶かして活性化したHSA(1mM)溶液を製造して利用した。同様な方法で1mMの生理活性物質化合物15(1.8mg/ml)及びロイプロリド(1.2mg/ml)原液をそれぞれ製造して利用した。
【0094】
5.2.アルブミン結合試験:
前記方法によって製造された原液を以下の表2に示す組成を有するようにPBS緩衝溶液で希釈して測定サンプル溶液(100μl)を調製した。その後、それぞれの反応混合物を混合して37℃の温度条件を維持しなから培養器内で30分間徐々に震盪させた。培養した後、それぞれのサンプルバイアルにメタノール(150μl)を添加して10分間ボルテキシング(voltexing)してHSAを沈殿させた。沈殿されたアルブミンを遠心分離機(12,000rpm、10℃、10分)を利用してスピンダウンさせ、上層液(50μl)を取ってHPLCを通じて同一な条件で分析した。
【表2】

【0095】
5.3.結果
アルブミンの濃度を固定し、生理活性物質の濃度を増加させて結合程度を調べた結果、ジスルファイド結合程度は実験に使用されたアルブミンの状態と密接に関連することが判断され、特に、フリーチオールに関し、生理活性物質の含量と関連があると考えられる。前記で得られた結果は次の表3に整理した。
【表3】

*1アルブミン:SigmaA1653,remainder mostly globulins fraction V power albumin;
*2PA:peak area;
*3M:million。
【0096】
実施例6:アルブミン-生理活性物質結合複合体の定量
実施例4の実験方法によって調製された活性化したHSAと生理活性物質である化合物15(ロイプロリド-GSG-Lys-[ε-AEEA-CO-(CH22-SH]-NH2.2TFA)とのジスルファイド複合体をDTT(dithiothreitol;Cleland's reagent)で処理することにより、ジスルファイド複合体間の結合を選択的に還元させ、ジスルファイド複合体から遊離されて放出される生理活性物質化合物15を容易に定量することができた。前記分析方法はアルブミンに結合されている生理活性物質をin vitroでHPLC分析などの簡易な方法を通じて効果的に定量できる実験的意味を有する。
【0097】
6.1.原液の製造:
実施例3で製造された活性化したアルブミン21(66.5mg)をPBS緩衝溶液(pH7.2、1ml)に溶かしてHSA(1mM)溶液を製造して利用した。同様な方法で1mMの生理活性物質化合物15(1.8mg/ml)及び100mMのDTT(15.4mg/ml)の原液をそれぞれ製造して利用した。
【0098】
6.2.結合複合体(アルブミン-生理活性物質化合物15)の定量:
前記方法によって製造された原液を利用して実施例5のアルブミン結合試験方法と同様な条件で10個のチューブにそれぞれ活性化したアルブミン溶液(50μl)及び生理活性物質化合物15溶液(10μl)を混合した後、37℃の温度条件で30分間徐々に震盪しながらインキュベーションさせた。
培養した後、DTTを0nmole、100nmole(2X)、200nmole(4X)、500nmole(10X)及び1,000nmoleずつそれぞれ添加して混合し、37℃の温度条件で約1時間程度反応させた。1時間経過した後、それぞれのサンプルから25μlずつを取って50μlのMeOHをそこに添加し、混合物を10分間ボルテキシングしてHSAを沈殿させた。沈殿されたアルブミンを遠心分離機(12、000rpm、10℃、10分)を利用してスピンダウンさせ、上澄み液(50μl)を取ってHPLCを通じて同一な条件で分析した。
本実施例のアルブミン-生理活性物質間のジスルファイド結合如何を測定するためのDTT処理を含む定量分析過程を次の反応式3に示した。
【化8】

【0099】
アルブミンと生理活性物質である化合物15との結合実験で化合物15が結合することが観測された。アルブミンの特性と実験結果から考えると、化合物15はアルブミンの34番目の位置のCysに結合することによってジスルファイド共有結合をなしていることが推定される。以上のようにアルブミンと化合物15がジスルファイド結合している場合、適切な濃度のDTT試薬処理を通じてフリーチオール基を有する化合物15-1がジスルファイド結合から放出されると推論することができる。このような目的を持ってまずアルブミンと化合物15を30分間インキュベーションさせてジスルファイド結合を形成させ、100nmolから1,000nmolまで4種類のそれぞれ異なる量のDTTを添加した後、1時間インキュベーションした。
【0100】
6.3.結果
1,000nmole以上の高濃度のDTTで処理する場合、アルブミン蛋白質がDTTによって変成されて多量のアルブミン沈澱が形成され、これによって分析及び観測が容易でなかった。前記で得られた試験結果を下記の表4に示した。表4に整理したように、放出されると予想された化合物15-1は、全てのDTT処理濃度でHPLC分析を通じて観測され、放出されると予想された化合物15-1は、低濃度で処理した場合より高濃度で処理した場合に容易に観測された。
【表4】



*1*21mMinPBS;
*2アルブミン:SigmaA1653,remainder mostly globulins fraction V power アルブミン。
【0101】
実施例7:動物実験:IPGTTによる血糖降下活性測定実験(IPGTT:Intraperitoneal glucose tolerance test):
【0102】
7.1.実験方法
本発明の化合物35の血糖降下活性の持続性を測定するため、本実施例で血糖低下効果の持続性を試験した。血糖降下活性及び活性持続性を測定するための対照サンプルとして天然エキセンディン-4を使用し、腹腔内糖負荷検査(IPGTT)によって各ペプチドサンプルの活性を測定した。
実験動物としてICR雌マウス(6周齢、DaehanBioLink、Korea)を7日間実験室で適応期間を経た後に使用した。実験前に各グループからマウス8匹ずつを選別した後、尻尾から血液を採取して血中グルコース濃度をグルコメーター(glucometer、Accucheck Sensor、Roche)で測定した後、15〜18時間絶食させた。その後、既に決められた量の各ペプチドサンプルを皮下注射で投与し、4〜9時間後、グルコース(2g/kg of mouse in PBS、pH7.2)を腹腔内投与した(グルコース投与時点を0分にした)。それぞれ決められた時間に尻尾静脈から血液を採取してグルコメーターで血糖レベルを測定した。血糖降下活性及び活性持続性の測定のための実験は下記表5のように整理することができる。
【表5】

1各グループ別n=8、2対照群は生理食塩水投与群。
【0103】
7.2.結果:血糖降下効果
本実施例は、化合物35の血糖降下活性を測定するための実験であり、各ペプチドサンプルの活性は、血糖降下活性の持続性を測定するための対照サンプルとして、天然GLP-1、d-ala-GLP-1、エキセンディン-4を使用し、腹腔内糖負荷検査(IPGTT)測定法を通じて測定した。
腹腔内糖負荷検査(IPGTT)を通じて測定した本発明の化合物35とエキセンディン-4を10nmol/kgずつマウスに投与した時の血糖降下効果の持続性に対する動物実験結果を図1及び図2に示した。図1及び図2において、化合物35または天然エキセンディン-4の代わりに生理食塩水を投与した群を対照群にし、各群は10あるいは24時間前に各試験化合物を皮下投与し、グルコースは0分に1回腹腔投与した。各群のマウス数は8匹にした。天然エキセンディン-4(10nmol)を投与した群は生理食塩水のみを投与した対照群に比べて血糖低下曲線で有意な差を示さなかった。これに反し、化合物35を10nmol投与した群の場合には血糖低下曲線において10時間後だけでなく24時間後にも有意な低下プロファイルを示した。したがって、化合物35は投与量10nmol基準で天然エキセンディン-4に比べて非常に優れた血糖調節効果を示すことが確認できた。
天然エキセンディン-4に比べて化合物35が優れた血糖調節効果を示すという結果は、半減期が短くて生体内安定性が良くない天然エキセンディン-4に比べて、同量投与された化合物35が2-ピリジルジスルファニル基を通じてアルブミンのフリーチオール基(Cys34)と新しい‘ジスルファイド共有結合’で生体内結合させて投与したために化合物35の生体内安定性が顕著に増進したことに起因すると判断される。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は腹腔内糖負荷検査(IPGTT)を通じて、本発明の化合物35と天然のエキセンディン-4について、血糖低下効果の10時間持続作用の程度を比較した結果を示すグラフである。・コントロール:リン酸緩衝生理食塩水投与群・各サンプル:試験開始10時間前にエキセンディン-4、化合物35をそれぞれ1回皮下投与・すべての群に対してグルコースを0分にそれぞれ腹腔内投与・各群のマウス個体数:各4頭。
【図2】図2は腹腔内糖負荷検査(IPGTT)を通じて、本発明の化合物35とエキセンディン-4について、血糖低下効果の24時間持続作用の程度を比較した結果を示すグラフである。・コントロール:リン酸緩衝生理食塩水投与群・各サンプル:試験開始24時間前にエキセンディン-4、化合物35をそれぞれ1回皮下投与・すべての群に対してグルコースを0分にそれぞれ腹腔内投与・各群のマウス個体数:各4頭。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子量生理活性物質の安定化方法であって、血液蛋白質上のヒドロキシル基(-OH)、チオール基(-SH)、アミノ基(-NH2)及びカルボキシル基(-CO2H)からなる群より選択される官能基をこれと安定な共有結合を形成することができる反応基と反応させて前記血液蛋白質を活性化させる段階;及び
生体外(ex vivo)で前記活性化した血液蛋白質と、天然または合成ペプチド分子、天然または合成ホルモン及び医薬原料物質からなる群より選択される分子量100,000以下の低分子量生理活性物質とを反応させて、その間に安定な共有結合を形成させ、前記反応基が共有結合の形成後に脱離する段階を含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記低分子量生理活性物質がインシュリン刺激ペプチド、グルカゴン系ペプチドホルモン及びLHRH(Luteinizing Hormone-Releasing Hormone:黄体形成ホルモン放出ホルモン)からなる群より選択されるものであり、前記血液蛋白質がアルブミン、トランスフェリン、フェリチン及び免疫グロブリンからなる群より選択されるものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低分子量生理活性物質がグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、エキセンディン-3、エキセンディン-4及びLHRHからなる群より選択されるものであり、前記血液蛋白質がアルブミンであることを特徴とする、請求項2に記載の低分子量生理活性物質の安定化方法。
【請求項4】
前記血液蛋白質上の官能基がチオール基(-SH)であり、前記反応基が前記チオール基と安定なジスルファイド結合形成が可能なジスルファニル基であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記反応基が、2-ピリジルジスルファニル基、N-アルキルピリジニウムジスルファニル基、5-ニトロ-2-ピリジルジスルファニル基、3-ニトロ-チオフェニルジスルファニル、1-ピペリドジスルファニル基、3-シアノ-プロピルジスルファニル基、2-チオウレジルジスルファニル基、4-カルボキシルベンジルジスルファニル基、1-フェニル-1H-テトラゾリルジスルファニル基、1-アミノ-2-ナフチルジスルファニル基、3-カルボキシル-6-ピリジルジスルファニル基、2-ベンゾチアゾリルジスルファニル基及び4-ニトロ-チオフェニルジスルファニル基からなる群より選択されるものであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記低分子量生理活性物質が、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される官能基と結合され、前記官能基が前記反応基によって活性化した血液蛋白質上の官能基と安定な共有結合を形成することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記血液蛋白質上の官能基と低分子量生理活性物質上の官能基が両方ともチオール基で、前記共有結合が安定なジスルファイド共有結合であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記低分子量生理活性物質上の官能基が連結基を通じて前記低分子量生理活性物質に連結されていることを特徴とする、請求項6に記載の低分子量生理活性物質の安定化方法。
【請求項9】
前記連結基がC1乃至C6のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、多環基、アリール基、ポリアリール基、置換されたアリール基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基及びAE(E)nA([2-(2-アミノ)-エトキシ](エトキシ)n酢酸)(nは0から2の間の整数)からなる群より選択されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
生理活性物質が天然または合成ペプチド、天然または合成ホルモン及び医薬原料物質からなる群より選択される分子量100,000以下の低分子量生理活性物質であり、
血液蛋白質が、血液蛋白質上の官能基と安定な共有結合を形成することができる反応基によって活性化するものであり、
血液蛋白質上の官能基がヒドロキシル基、チオール基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される官能基であり、
安定な共有結合が生理活性物質と血液蛋白質上の官能基との間で生体外で形成され、これにより生理活性物質の安定性が改善される、
生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項11】
前記低分子量生理活性物質がインシュリン刺激ペプチド、グルカゴン系ペプチドホルモン及びLHRHからなる群より選択されるものであり、前記血液蛋白質がアルブミン、トランスフェリン、フェリチン及び免疫グロブリンからなる群より選択されるものであることを特徴とする、請求項10に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項12】
前記低分子量生理活性物質がグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、エキセンディン-3、エキセンディン-4及びLHRHからなる群より選択されるものであり、前記血液蛋白質がアルブミンであることを特徴とする、請求項11に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項13】
前記血液蛋白質上の官能基がチオール基であり、前記反応基が前記官能基と安定なジスルファイド共有結合を形成することが可能なジスルファニル基であり、前記血液蛋白質上の官能基と生理活性物質との間に安定なジスルファイド共有結合が形成されることを特徴とする、請求項10に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項14】
前記反応基が、2-ピリジルジスルファニル基、N-アルキルピリジニウムジスルファニル基、5-ニトロ-2-ピリジルジスルファニル基、3-ニトロ-チオフェニルジスルファニル、1-ピペリドジスルファニル基、3-シアノ-プロピルジスルファニル基、2-チオウレジルジスルファニル基、4-カルボキシルベンジルジスルファニル基、1-フェニル-1H-テトラゾリルジスルファニル基、1-アミノ-2-ナフチルジスルファニル基、3-カルボキシル-6-ピリジルジスルファニル基、2-ベンゾチアゾリルジスルファニル基及び4-ニトロ-チオフェニルジスルファニル基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項13に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項15】
前記低分子量生理活性物質が、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基及びカルボキシル基からなる群より選択される官能基と結合され、前記官能基が前記反応基によって活性化した前記血液蛋白質上の官能基と安定な共有結合を形成することを特徴とする、請求項10に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項16】
前記血液蛋白質上の官能基と低分子量生理活性物質上の官能基が両方ともチオール基であり、前記共有結合が安定なジスルファイド共有結合であることを特徴とする、請求項15に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項17】
前記低分子量生理活性物質上の官能基が連結基を通じて前記低分子量生理活性物質に連結されていることを特徴とする、請求項16に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項18】
前記連結基がC1乃至C6のアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、多環基、アリール基、ポリアリール基、置換されたアリール基、ヘテロ環基、置換されたヘテロ環基及びAE(E)nA([2-(2-アミノ)-エトキシ](エトキシ)n酢酸)(nは0から2の間の整数)からなる群より選択されることを特徴とする、請求項17に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項19】
前記血液蛋白質上の官能基と低分子量生理活性物質上の官能基が両方ともチオール基であり、前記共有結合が安定なジスルファイド共有結合であり、前記連結基はAEEEAであることを特徴とする、請求項18に記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体。
【請求項20】
請求項10乃至19のいずれかに記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体を投与して生理活性物質の生体内半減期及び安定性が改善されることを特徴とする生理活性物質の生体内送達方法。
【請求項21】
請求項10乃至19のいずれかに記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体を含有する生理活性物質の生体内半減期及び安定性が改善されることを特徴とする生理活性物質の生体内送達用組成物。
【請求項22】
請求項10乃至19のいずれかに記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体の有効量をその投与を必要とする患者に投与することを含む、前記生理活性物質が治療的効果を有する疾病に対する予防または治療方法。
【請求項23】
前記疾病が糖尿病、前立腺癌、子宮内膜症または子宮筋腫であることを特徴とする、請求項22に記載の予防または治療方法。
【請求項24】
請求項10乃至19のいずれかに記載の生理活性物質-血液蛋白質複合体の有効量を含有する、前記生理活性物質が治療的効果を有する疾病に対する予防または治療用組成物。
【請求項25】
前記疾病が糖尿病、前立腺癌、子宮内膜症または子宮筋腫であることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
アルブミンの34番目のアミノ酸であるシステインに2-ピリジルジスルファニル基、N-アルキルピリジニウムジスルファニル基、5-ニトロ-2-ピリジルジスルファニル基、3-ニトロ-チオフェニルジスルファニル、1-ピペリドジスルファニル基、3-シアノ-プロピルジスルファニル基、2-チオウレジルジスルファニル基、4-カルボキシルベンジルジスルファニル基、1-フェニル-1H-テトラゾリルジスルファニル基、1-アミノ-2-ナフチルジスルファニル基、3-カルボキシル-6-ピリジルジスルファニル基、2-ベンゾチアゾリルジスルファニル基及び4-ニトロ-チオフェニルジスルファニル基からなる群より選択される反応基が結合してアルブミンのCys34フリーチオール基を活性化することを特徴とする変形アルブミン。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−513627(P2009−513627A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537604(P2008−537604)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004427
【国際公開番号】WO2007/049940
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(505404220)ペプトロン カンパニー リミテッド (6)
【Fターム(参考)】