説明

生産プロセスの操作を改良する方法

酸化エチレンを生産するための既存のシステムのプロセスおよび操作を改良する方法が記載されている。この酸化エチレン生産システムには高活性エポキシ化触媒の容量を含むエポキシ化反応器システムが含まれる。この方法には高活性エポキシ化触媒の容量の部分を高選択性触媒の容量と置き換え、プロセスシステムの操作を、エポキシ化反応器システムへの仕込み物が低い二酸化炭素濃度となるように改変することが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応器システムを改造することによる既存の酸化エチレン製造プロセスの操作の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンから酸化エチレンへの部分酸化に使用される高選択性エチレンエポキシ化触媒の発見以前には、そして、ある場合においては前記高選択性触媒の発見以後においてさえ、酸化エチレン製造プロセスシステムは、高活性エチレンエポキシ化触媒を使用するように設計されていた。高活性エチレンエポキシ化触媒を使用すれば所定の酸化エチレンの製造を達成するのに必要な反応器温度は低い。
【0003】
最近、それ以前に開発された高活性なエチレンのエポキシ化触媒よりも高い選択率の得られる新たな非常に選択的な触媒が開発された。そういった高選択性触媒は米国特許第4,761,394号および米国特許第4,766,105号から知られている。しかし、その活性は低いので、高選択性触媒では所定の酸化エチレン収率を得るには比較的高い反応温度が用いられる。
【0004】
典型的な酸化エチレン生産システムは、一般に、エポキシ化反応器システム、酸化エチレン回収システム、および二酸化炭素除去システムを備えている。これらのシステムはエチレンを酸素で部分酸化して酸化エチレンを生成し、酸化エチレン生成物を回収するように相互に操作的にしうる形で接続されている。二酸化炭素はエポキシ化反応の望ましくない副生成物であり、通常、システムにおける蓄積を避けるために、大体その製造速度で酸化エチレン生産システムから除去される。
【0005】
通常、酸化エチレン生産システムはある型のエポキシ化触媒を念頭に置いて設計され、高選択性触媒の出現以前には、多くのエチレン生産システムは高活性エポキシ化触媒を使用するように設計されていた。本明細書では、触媒の選択性に関連して用いる場合、用語「選択率」Swは、ある触媒に対して所与の作動速度wで転換したエチレン全体に対して形成された所望の酸化エチレンのモルパーセント(%)を意味する。ここで作動速度は時間あたり、触媒の単位容量あたりに製造された酸化エチレンの量(例えば、kg/m)で定義される。触媒の活性に関連して用いる場合本明細書では、用語「活性」、Tは所与の作動速度に達するのに必要な温度を意味する。したがって、高活性エポキシ化触媒は他のエポキシ化触媒に比べて単位量のエポキシ化触媒に対して所与の酸化エチレン収量を得るための反応温度が低い触媒である。また、高選択性エポキシ化触媒は、所与の温度において、他のエポキシ化触媒に比べて、転換した仕込み物の酸化エチレン生成物への転換率が大きい触媒である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高選択性触媒の開発によって、多くの環境において、酸化エチレンの生産において高活性触媒の替わりにそういった高選択性触媒を使用することの様々な経済上および操作上の利点があり得るということが見出されてきた。高活性エチレン酸化触媒を使用するように設計された従来の酸化エチレン生産システムにおいて、高活性触媒を高選択性エチレン酸化触媒に置き換えることは大きな利点があり得る。しかし、2つのタイプの触媒の特性には違いがあるので、高活性触媒を使用する酸化エチレン生産システムの設計は高活性触媒を単純に高選択性触媒に置き換えることを妨げるようになっている可能性もある。高活性触媒は通常高選択性触媒よりも低い反応器温度を採用するので、反応器システムは低い操作温度および圧力用に設計されることが多い。また、高活性触媒を使用するエポキシ化反応によって生成する二酸化炭素副生成物の量は、高選択性触媒を使用するものと反対に、有意に高くなる傾向にある。その結果、エポキシ化反応器仕込み物およびエポキシ化反応器流出物における二酸化炭素濃度が高くなる。二酸化炭素濃度のこのような違いは、二酸化炭素除去システムおよびエポキシ化反応および反応器システムの設計および操作に大きな影響を与える可能性がある。
【0007】
したがって、高活性エポキシ化触媒を使用するために設計された酸化エチレン製造プロセスシステムにおいて、そういった触媒の利点を活用するために、高活性触媒を高選択性触媒に置き換えるのに対応する必要がある。
【0008】
本発明の他の態様、目的、およびいくつかの長所は以下の開示を踏まえて明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、既存の酸化エチレン製造プロセスの操作を改良する方法が提供される。その方法は以下のものを含む:
第1の二酸化炭素濃度を有する第1の反応器仕込み物を、第1の容量の高活性エポキシ化触媒を含むエポキシ化反応器を備えたエポキシ化反応器システムに仕込み、
前記エポキシ化反応器システムから第1のエポキシ化反応器流出物を生成し、
前記の第1のエポキシ化反応器流出物の少なくとも一部を、前記の第1のエポキシ化反応器流出物を第2の二酸化炭素濃度を有する第1の再循環のストリームと第1の酸化エチレンのストリームとに分離するための酸化エチレン吸収装置に仕込み、
前記の第1の再循環ストリームを第1の分離部分と第1の残余部分に分け、
二酸化炭素吸収装置および溶媒再生装置を含む二酸化炭素除去システムを備え、このシステムにおいて前記二酸化炭素吸収装置は二酸化炭素を含む仕込みガスを受け入れ、その二酸化炭素を含む仕込みガスを希薄溶媒と接触させて濃厚溶媒および二酸化炭素の激減したガスストリームとし、前記溶媒再生装置は前記濃厚溶媒を受け入れ、そこから二酸化炭素を分離し、前記希薄溶媒および二酸化炭素ガスストリームとし、
前記第1の残余部分の少なくとも一部分を、前記二酸化炭素を含む仕込みガスとして前記二酸化炭素除去システムに仕込んで前記二酸化炭素の激減したガスストリームとして、第3の二酸化炭素濃度を有する第2の再循環ストリームを生じ、また前記二酸化炭素ガスストリームとして第1の二酸化炭素の排出ストリームを生じ、
前記第1の分離部分の少なくとも一部分および前記第2の再循環ストリームの少なくとも一部分を酸素およびエチレンと合わせて前記第1の反応器仕込み物を形成し、
前記エポキシ化反応器から高活性エポキシ化触媒の前記第1の容量の少なくとも一部分を除去し、高選択性エポキシ化触媒の第2の容量の置換充填物と入れ換えて改造したエポキシ化反応器システムとし、
前記第1の二酸化炭素濃度より低い第4の二酸化炭素濃度を有する第2の反応器仕込み物を、前記置換充填物を入れた前記の改造したエポキシ化反応器システムに仕込み、
前記改造したエポキシ化反応器システムから第2のエポキシ化反応器流出物を生じ、
前記第2のエポキシ化反応器流出物の少なくとも一部分を、前記第2のエポキシ化反応器流出物を第5の二酸化炭素濃度を有する第3の再循環ストリームと第2の酸化エチレンストリームに分離するのに使用される前記酸化エチレン吸収装置に仕込み、
前記第3の再循環ストリームを、もしあれば第2の分離部分と第2の残余部分に分割し、
前記第2の残余部分の少なくとも一部分を前記二酸化炭素を含む仕込みガスとして前記二酸化炭素除去システムに仕込んで前記二酸化炭素の激減したガスストリームとして第6の二酸化炭素濃度を有する第4の再循環ストリームを生じ、また前記二酸化炭素ガスストリームとして第2の二酸化炭素排出ストリームを生じ、
もしあれば前記第2の分離部分の少なくとも一部分および前記第4の再循環ストリームの少なくとも一部分を酸素およびエチレンと合わせ、それによって前記第2の反応器仕込み物を形成する。
【0010】
本発明はまた本発明の方法によって改良された酸化エチレン製造プロセスを操作することによって酸化エチレンを生産することを含む酸化エチレン生産プロセスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法は、最近開発された高選択性エポキシ化触媒のあるものに比べて高活性であるが一般に選択率の低いエポキシ化触媒を使用するように設計された既存の酸化エチレン生産システムの操作を改良することを意図している。本発明の方法の酸化エチレン生産システムにおいて、エポキシ化反応器は高活性エポキシ化触媒の第1の容量を含む。この高活性エポキシ化触媒の第1の容量を部分的に、または全部、高選択性触媒の第2の容量と置き換える。
【0012】
高選択性触媒は、所与のエチレン仕込み物に対して二酸化炭素副生成物の収率が低く酸化エチレンの収率が高いが、高選択性触媒は高活性触媒に比べて活性が低く、したがって反応器温度を高くする必要がある。高活性触媒を使用するシステム用に設計された様々な機械的制限のために既存のエポキシ化反応器装置では、このような高いエポキシ化反応器温度を達成することができないことが多い。
【0013】
しかし、高選択性エポキシ化触媒を使用して一定の転化率または作動速度でエチレンを酸素で部分酸化して酸化エチレンを生産する際、エポキシ化反応器仕込み物の二酸化炭素濃度が触媒選択率に影響を及ぼし、またエポキシ化反応器仕込み物の二酸化炭素濃度を減少させると、反応器温度を有意に低下させることができ、そのため高活性触媒を高選択性触媒に置き換えることによってもたらされる利益を享受することができることが見出された。またエポキシ化反応器仕込み物の二酸化炭素濃度を減少させることによって触媒の有効寿命の大いなる改良ももたらされることが発見された。
【0014】
したがって本発明の方法は、エポキシ化反応器の高活性触媒の第1の容量の少なくとも一部分を除去して、高選択性触媒の第2の容量に置き換えて改造したエポキシ化反応器システムとすると共に、エポキシ化反応器仕込み物の二酸化炭素濃度が必要な低さになるように酸化エチレン製造プロセスシステムからの二酸化炭素を除去することができるような二酸化炭素除去システムの操作または装置あるいはその両方を改造することを含むことができる。
【0015】
エポキシ化反応器システムの高活性触媒を高選択性触媒に置き換えた後では、エチレン、酸素および二酸化炭素を含む反応器仕込み物中の二酸化炭素濃度を低く、言い換えると少なくとも反応器仕込み物中のエチレン、酸素、二酸化炭素の総モル数に対して例えば、3モルパーセント未満という低めた濃度に保持することが重要である。しかし、最善の結果を得るには、高選択性触媒を含むエポキシ化反応器システムへの反応器仕込み物の二酸化炭素濃度は、反応器仕込み物中のエチレン、酸素、二酸化炭素の総モル数に対して2モルパーセント未満、好ましくは1.5モルパーセント未満、さらに好ましくは1.25モルパーセント未満、そして最も好ましくは1モルパーセント未満である。高選択性触媒を含むエポキシ化反応器への仕込み物中の二酸化炭素濃度は可能な限り低いのが最も好ましいが、実際的な下限があるはずであり、したがって、かかる最低限は反応器仕込み物のエチレン、酸素および二酸化炭素の0.1モルパーセントかも知れないし、最低限は0.2モルパーセントまたは0.3モルパーセントの方が可能性が強いと思われる。
【0016】
酸化エチレンを生成物として回収するために、酸化エチレンをエポキシ化反応器流出物から分離して、酸化エチレンを含む酸化エチレン生成物のストリームと、未反応エチレン、未反応酸素、二酸化炭素および不活性化合物を含むガスの再循環ストリームを生成するのに使用する酸化エチレン吸収装置にエポキシ化反応器流出物を導入する。酸化エチレン生成物は例えば、カルボン酸(有機酸)、アルデヒド、一酸化炭素、比較的分子量の大きい炭化水素などの反応副生物も含んでいる可能性がある。
【0017】
高活性触媒を高選択性触媒に置き換えた後のエポキシ化反応器からのエポキシ化反応器流出物の二酸化炭素濃度が、かかる置き換え前の二酸化炭素濃度よりも有意に低いことは本発明の重要な態様である。エポキシ化反応器流出物の二酸化炭素濃度が低くなったのは、例えば、二酸化炭素除去システムの操作を改造したことや本発明のプロセスのエポキシ化反応器仕込み物中の二酸化炭素濃度が低いためにエポキシ化反応器温度が低くなった結果二酸化炭素副生成物収率が低くなったことを含めていくつかの要素の結果である可能性がある。エポキシ化反応器の高活性触媒を高選択性触媒に変えた後の酸化エチレン吸収装置からのガスの再循環ストリームはガスの再循環ストリームの5モルパーセント未満の濃度を有する。この二酸化炭素濃度は実行できる限り低いのがベストであるが、エポキシ化反応器の触媒を高選択性触媒に変えた後のガスの再循環ストリームの二酸化炭素濃度は一般に1モルパーセント〜5モルパーセントの範囲にあり、さらに具体的には、2〜4モルパーセントとなる可能性がある。
【0018】
二酸化炭素を酸化エチレン製造プロセスシステムから除去するために、ガスの再循環ストリームを分離部分および残余部分に分割してもよく、もしあればガスの再循環ストリームのその分離部分はエポキシ化反応器に再循環して戻し、またガスの再循環ストリームの残余部分は二酸化炭素除去システムに仕込む。
【0019】
エポキシ化反応器に再循環させるガスの再循環ストリームの部分の、二酸化炭素除去システムに仕込む再循環ストリームの残余部分に対する割合は、例えばエポキシ化反応において製造される二酸化炭素副生成物の量や二酸化炭素除去システムによる二酸化炭素回収効率を含む多くの因子に依存する。エポキシ化反応器のエポキシ化触媒を高活性触媒から高選択性触媒に変えた後、本発明の方法はガスの再循環ストリームの二酸化炭素濃度を低下する必要があり、そのため二酸化炭素除去システムによる二酸化炭素の分離のための濃度ドライビングフォースは低くなる。したがって、触媒を変えた後では二酸化炭素除去システムへの仕込み物を多くする必要があるので、ガスの再循環ストリーム部分の残余部分に対する割合は減少する。したがって、触媒交換の後では、酸化エチレン吸収装置から生成する全再循環ストリームに対する二酸化炭素吸収装置に仕込む再循環ストリームの残余部分の比率は、一般に0.3〜1の範囲とすることができるが、0.4〜1が好ましく、0.5〜1が最も好ましい。
【0020】
ガスの再循環ストリームの残余部分を二酸化炭素吸収装置に仕込む速度を高めるには、例えば、希薄溶媒と二酸化炭素を含む仕込み物を接触させる接触表面積を広げるように二酸化炭素吸収装置の内部構造を変更するなどの、二酸化炭素除去システムの二酸化炭素吸収装置の多くの構造の変更が必要になる可能性がある。例えば、エポキシ化反応器のエポキシ化触媒を高活性触媒から高選択性触媒に変更した後の二酸化炭素吸収装置内の接触表面積の大きさの方が変更前よりも大きくなるように、二酸化炭素吸収装置によって定められる接触ゾーンに表面積の大きい充填剤を備えることもできる。既存の二酸化炭素吸収装置の内部設計を変更する別の方法としては、1台またはそれ以上の二酸化炭素吸収装置を追加し、操作的にしうる形で既存の吸収器と並列に接続して二酸化炭素を含むガス仕込み物として、ガスの再循環ストリームの残余部分を受け入れることもできる。
【0021】
二酸化炭素除去システムは二酸化炭素吸収装置および溶媒再生装置を含む溶媒抽出システムである。希薄溶媒を二酸化炭素吸収装置に仕込み、そこに仕込まれたガスの再循環ストリームの残余部分と接触させる。二酸化炭素吸収装置から生成するのは二酸化炭素に富んだ溶媒および二酸化炭素の激減したガスストリームである。二酸化炭素の激減したガスストリームはエポキシ化反応器に循環して戻し、そこでガスの再循環ストリームの分離部分、酸素、およびエチレンと合わせてエポキシ化反応器仕込み物とする。
【0022】
既存の酸化エチレン製造プロセスシステムの二酸化炭素除去システムには高活性触媒を高選択性触媒に転換するエポキシ化反応器システムの改造の結果として起こる需要の増大に対処できるものもあるが、二酸化炭素除去システムの多くは対処できない。一般に本明細書の前の部分でも注意を促したが、高活性触媒を高選択性触媒に転換してエポキシ化反応器を改造すると、高選択性触媒を使用することによる利得を最大限にするには反応器仕込み物中の二酸化炭素濃度は低くする必要がある。そのためにはそのプロセスの再循環ストリーム中の二酸化炭素濃度を低くする必要があり、そのため二酸化炭素除去システムへの仕込み物と抽出溶媒との濃度差が小さくなり、再循環ストリームから二酸化炭素を抽出するのがさらに困難になる。
【0023】
二酸化炭素除去システムにおいて、使用する吸収溶媒はアルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムの水溶液とすることができる。本発明の方法は、その希薄溶媒におけるある濃度の活性化剤または触媒を提供して、本発明の二酸化炭素除去システムにおいて使用する溶媒を改良することを意図している。かかる活性化剤または触媒は、二酸化炭素除去システムに仕込むガスの循環の残余部分から二酸化炭素の吸収および脱着を改良するように、溶媒の物質移動特性を変える。メタバナジン酸カリウムは二酸化炭素除去システムの溶媒への添加剤として使用することのできる適切な活性化剤の1つの例である。
【0024】
二酸化炭素除去システムの操作または構造を改良することによって、本発明の方法のエポキシ化反応器仕込み物中の二酸化炭素濃度は低くなる。エポキシ化反応器の高活性触媒を高選択性触媒に置き換えた後、二酸化炭素の激減したガスストリーム中の二酸化炭素濃度は全ストリームの2モルパーセント未満とすることができる。しかし、二酸化炭素濃度を実行可能な限り低くすることは、本発明の方法の重要な態様であり、1.5モルパーセント未満が好ましく、1モルパーセント未満がさらに好ましい。二酸化炭素濃度の典型的な範囲は0.1モルパーセント〜2モルパーセント、あるいは0.15〜1.75モルパーセント、あるいは0.2〜1.5モルパーセントである。
【0025】
次の表1は高活性触媒を除去し、高選択性触媒に置き換えた前後の、酸化エチレン製造プロセスシステムの様々なプロセスストリームの二酸化炭素濃度(モルパーセント)の典型例を示す。
【0026】
【表1】

【0027】
本明細書でいう高活性触媒および高選択性触媒はいずれも担持型銀ベース触媒であるが、2種類の触媒は、前に書いたように、異なる触媒的性能特性を有している。
【0028】
担持型銀ベース触媒の材料は広範囲の多孔質担体材料、特にエチレン酸化仕込み物、生成物の存在下および反応条件で不活性であると考えられるものから選択することができる。かかる物質は天然物でも人工物でもよく、また酸化アルミニウム、マグネシア、ジルコニア、シリカ、炭化珪素、粘土、軽石、ゼオライトおよび活性炭でもよい。αアルミナは多孔質担体の主成分として使用するのに好ましい物質である。
【0029】
担体材料は多孔質であり、B.E.T.法で測定して、20m/g未満およびさらに特に0.05〜20m/gの表面積を有するのが好ましい。好ましくは担体のB.E.T.表面積は0.1〜10の範囲が好ましく、0.1〜3.0m/gがさらに好ましい。表面積のB.E.T.法の測定はBrunauer、EmmetおよびTellerによってJ.Am.Chem.Soc.60(1938)309−316に詳細に記載されている。
【0030】
本発明の高選択的な担持型銀ベース触媒は初期の選択率が少なくとも85%、好ましくは少なくとも86%、最も好ましくは、少なくとも87%のものであることができる。他方、本発明の高活性の担持型銀ベース触媒の初期の選択率は高選択的な担持型銀ベース触媒の初期の選択率よりも低い初期の選択率を有するものであり、さらに具体的には、高活性の担持型銀ベース触媒の初期の選択率は85%未満である。しかし、実際的な観点から高活性触媒にはある最低選択率があると考えられている。この最低の選択率値は78%未満ではないと思われる。
【0031】
本明細書で初期の選択率という用語は所与の触媒のフレッシュで未使用の時の選択率を意味する。これは触媒が使用によって活性を失うかも知れないという認識である。所与の触媒の初期の選択率は標準のテスト手順を用いて触媒の選択率を測定して決定する。この標準のテスト手順においては、粉砕した触媒(1.27〜1.81mmの粒子径、すなわち14〜20メッシュの篩分画)をマイクロ反応器の6.35mm(1/4インチ)直径のステンレススチール製のU字管内に入れ、ある指定のプロセス条件で操作する。エチレン30モルパーセント、二酸化炭素7モルパーセント、酸素8.5モルパーセント、窒素54.5モルパーセントの標準の仕込み物を1447ゲージ(210psig)の圧力およびガス空間速度(GHSV)3300hr−1となるような速度でマイクロリアクターに導入する。1時間あたり触媒1mあたり酸化エチレン収量が200kgの作動速度で選択率Sw、および活性Twを測定する。選択率はモルパーセントの単位で表し、活性は摂氏の温度の単位で表す。
【0032】
高活性触媒と高選択性触媒との測定された触媒的性能の差に加えて、これら2種類の触媒で使用される触媒促進剤化合物の型および量の差もあり得る。本発明の高選択性触媒はレニウム促進剤成分を含ませることができるが、他方、高活性触媒はもし含ませたとしてもあまり重要でない、つまり、あまり促進効果のない量のレニウム成分しか含ませないということが1つの違いである。また、レニウム成分に加えて、高選択性触媒はさらに促進効果のある程度のアルカリ金属促進剤またはさらなる金属促進剤、あるいはその両方を含ませることもできる。適当な高選択性触媒は米国特許第4,761,394号および第4,766,105号に詳細に記載されている。
【0033】
したがって、高選択性触媒は担体材料、触媒として有効な量の銀、促進効果のある量のレニウムおよび、場合によっては、促進効果のある量の1種またはそれ以上のアルカリ金属および、場合によっては、促進効果のある量の1種またはそれ以上の追加の促進剤金属を含むことができる。高選択性触媒中の銀の量は、触媒として有効な量から上方に全触媒の40重量パーセントまでの範囲とすることができる。好ましくは、銀の量は触媒の全重量に対して1〜30重量パーセント、最も好ましくは、5〜20重量パーセントの範囲とすることができる。
【0034】
高選択性触媒中のレニウムの量は一般的には促進効果のある量から上方に触媒1グラムあたりレニウム20マイクロモルまでの範囲の促進効果のある量である。高選択性触媒中のレニウムの好ましい量は触媒1gあたり0.1マイクロモル〜1gあたり10マイクロモルの範囲であり、1gあたり0.2マイクロモル〜1gあたり5マイクロモルがより好ましく、あるいは別の言い方をすると全触媒重量に対して19ppm〜1860ppmであり、37ppm〜930ppmが好ましい。
【0035】
高選択性触媒中のアルカリ金属の量は、もし加えるとすれば、一般に促進効果のある量から上方に全触媒の4000重量ppm(ppmw)までの範囲の促進効果のある量である。好ましいアルカリ金属の量は、存在する場合には10〜3000ppmwの範囲であり、15〜2000ppmwがさらに好ましく、20〜1500ppmwがさらにより好ましい。
【0036】
高選択性触媒の任意添加の金属促進剤は硫黄、モリブデン、タングステン、クロム、およびそれらの2種乃至それ以上の混合物で構成される金属群から選択することができる。高選択性触媒中の追加の金属促進剤の量は、存在するとすれば、一般に触媒1キログラムあたり0.1〜10ミリモルの範囲であり、1キログラムあたり0.2〜5ミリモルが好ましい。
【0037】
高活性触媒に関しては、上述のごとく選択率が低いという点で高選択性触媒と異なるのに加えて、通常レニウム促進剤を含まない。しかし1種またはそれ以上のアルカリ金属促進剤は含むことができる。したがって、高活性触媒は担体材料、触媒として有効な量の銀および促進効果のある量のアルカリ金属を含むのが好ましいが、促進効果のある量のレニウムは含まない。したがって、高活性触媒はまた本質的に触媒として有効な量の銀、促進効果のある量のアルカリ金属および担体材料で構成することができる。適当な高活性触媒の例は米国特許第5,380,697号に記載されている。
【0038】
銀成分は高活性触媒中に触媒として有効な量から触媒の全重量に対して40重量パーセントまでの範囲で存在する。しかし、銀は1〜30重量パーセントの範囲で存在するのが好ましく、5〜20重量パーセントが最も好ましい。
【0039】
アルカリ金属成分は高活性触媒中に促進効果のある量から4000ppmwまでの範囲で存在することができる。アルカリ金属は10〜3000ppmwの範囲で存在するのが好ましく、15〜2000ppmwがさらに好ましい。
【0040】
本発明の方法の適当なエポキシ化反応条件は180℃〜320℃の範囲の反応器温度を含むことができるが、本発明の方法はエポキシ化反応器ゾーンをさらに低い温度にしても高選択性触媒の選択率のロスなしに操作できることが認識されている。実際、本発明のプロセスによって提供されるより低い反応温度にした結果、高活性触媒の寿命を長くすることができ、したがって、酸化エチレン製造プロセスの経済効率において改良がもたらされた。反応器温度のさらに好ましい範囲は190℃〜310℃であり、200℃〜300℃が最も好ましい。好ましい反応圧力は大気圧乃至35bar(3.5MPa)までである。好ましいガス空間速度は1500hr−1〜10,000hr−1の範囲である。
【0041】
ここで図1を参照する。この図は典型的な酸化エチレン製造プロセスシステム10の概要を図示したもので、エポキシ化反応器システム12、酸化エチレン回収システムまたは酸化エチレン吸収装置14、二酸化炭素除去システム16が含まれている。エポキシ化反応器システム12には、酸素、エチレン、二酸化炭素を含む仕込み物のストリームを、適当なエポキシ化反応条件のもとでエポキシ化触媒と接触させてそれによって酸化エチレンを生成する手段を備えたエポキシ化反応器18が含まれている。エポキシ化反応器18にはエポキシ化反応ゾーンがあり、第1の容量の高活性エポキシ化触媒を含んでいる。
【0042】
二酸化炭素除去システム16には二酸化炭素吸収装置20および溶媒再生装置22が含まれている。二酸化炭素吸収装置20には二酸化炭素吸収ゾーンがあり、二酸化炭素を含む濃厚溶媒と二酸化炭素の激減したガスストリームを生ずるように、二酸化炭素を含むガスの仕込み物を希薄溶媒で受け入れる手段を備えている。溶媒再生装置22には溶媒再生ゾーンがあり、二酸化炭素のストリームと、二酸化炭素吸収装置20への仕込み物として使用される希薄溶媒を生じるように、濃厚溶媒から二酸化炭素を分離する手段を備えている。
【0043】
高活性エポキシ化触媒を使用するために設計された酸化エチレン製造プロセスシステム10の操作においては、第1の二酸化炭素濃度を有する第1の反応器仕込み物を導管24を通してエポキシ化反応器18に仕込み、そこでエポキシ化反応器18の中で第1の反応器仕込み物を適当なエポキシ化反応条件のもとで高活性エポキシ化触媒と接触させる。
【0044】
第1のエポキシ化反応器流出物はエポキシ化反応器システム12のエポキシ化反応器18から生成し、導管26を経て酸化エチレン吸収装置14に仕込まれる。酸化エチレン吸収装置14には酸化エチレン吸収ゾーンがあり、水などの吸収溶媒を第1のエポキシ化反応器流出物と接触させて第1の再循環ストリームと第1の酸化エチレンストリームを生成する手段を備えている。吸収溶媒は導管28によって酸化エチレン吸収装置14に導入され、そこで酸化エチレン吸収装置14の中で第1のエポキシ化反応器流出物と接触させられる。吸収溶媒および酸化エチレンを含む第1の酸化エチレンストリームは酸化エチレン吸収装置14を通過し導管30によって出て行き、第2の二酸化炭素濃度を有する第1の再循環ストリームは酸化エチレン吸収装置14から導管32を通って循環コンプレッサー34に至る。第1の再循環ストリーム中に含まれる二酸化炭素に加えてエチレン、酸素、および不活性化合物をも含んでいてもよい。
【0045】
循環コンプレッサー34には圧縮ゾーンがあり、第1の再循環ストリームを圧縮するための手段を備えている。圧縮した第1の再循環ストリームの放出物は循環コンプレッサー34から導管36を通過する。圧縮した第1の再循環ストリームの第1の分離部分は導管38次いで導管40を通って、導管42によって導入される酸素および導管44によって導入されるエチレンと合わせられる。
【0046】
圧縮した第1の再循環ストリームの残余部分は導管46によって二酸化炭素を含むガス状仕込み物として二酸化炭素除去システム16の二酸化炭素吸収装置20に仕込む。二酸化炭素の激減したガスストリームとして導管48から出てくるのは、第3の二酸化炭素濃度を有する第2の再循環ストリームである。第2の再循環ストリームは導管40に導かれ、そこでさらに圧縮した第1の再循環ストリームの第1の分離部分、酸素、およびエチレンがそれぞれ導管38、42および44を通して導管40に導入され合わせられる。これらのストリームを合わせたものは第1の反応器仕込み物を形成し、導管24によってエポキシ化反応器18に仕込まれる。二酸化炭素を含む第1の二酸化炭素排出ストリームは二酸化炭素除去システム16の溶媒再生装置22から導管50を通して二酸化炭素ストリームとして生成される。
【0047】
ここで図2を参照する。この図は本発明に従って改造した典型的な酸化エチレン生産システム100を示すものである。図1の酸化エチレン製造プロセスシステム10の操作を改良するために、このエポキシ化反応器システム12はエポキシ化反応器18中に含まれる第1の容量の高活性触媒の少なくとも一部分を除去し、第2の容量の高選択性触媒で置換して、改造したエポキシ化反応器118を備えた改造したエポキシ化反応器システム112とした。これらは共に図2に示した。この触媒交換を実施するために、エポキシ化反応器18への第1の反応器仕込み物を触媒除去およびその交換ができるように停止する。
【0048】
エポキシ化反応器18から高活性触媒を除去し、高選択性触媒で置き換えた後、第4の二酸化炭素濃度を有する第2の反応器仕込み物を導管124を通して改造したエポキシ化反応器システム112のエポキシ化反応器118に仕込む。エポキシ化反応器118の中で第2の反応器仕込み物を適当なエポキシ化反応条件のもとで高選択性エポキシ化触媒と接触させる。
【0049】
第2のエポキシ化反応器流出物が、改造したエポキシ化反応器システム112のエポキシ化反応器118から生成し、導管126を通して酸化エチレン吸収装置114に仕込まれる。酸化エチレン吸収装置114には酸化エチレン吸収ゾーンがあり、水などの吸収溶媒を第2のエポキシ化反応器流出物と接触させて第3の再循環ストリームおよび第2の酸化エチレンストリームを生成する手段を備えている。この吸収溶媒は導管128によって酸化エチレン吸収装置114に導入され、そこで酸化エチレン吸収装置114内で第2のエポキシ化反応器流出物と接触させられる。吸収溶媒および酸化エチレンを含んだ第2の酸化エチレンストリームは導管130によって酸化エチレン吸収装置114から出て行き、第5の二酸化炭素濃度を有する第3の再循環ストリームは酸化エチレン吸収装置114から出て導管132によって循環コンプレッサー134に至る。第3の再循環ストリーム中に含まれる二酸化炭素に加えてエチレン、酸素、および不活性化合物が含まれる可能性がある。
【0050】
循環コンプレッサー134には圧縮ゾーンがあり第3の再循環ストリームを圧縮する手段を備えている。圧縮した第3の再循環ストリームの放出物は導管136を通過する。圧縮した第3の再循環ストリームの第2の分離部分はもしあれば、導管138および次いで導管140を通過し、そこで導管142によって導入される酸素および導管144によって導入されるエチレンと合わせられる。
【0051】
圧縮した第3の再循環ストリームの残余部分を導管146によって、二酸化炭素を含むガス状仕込み物として二酸化炭素除去システム116の二酸化炭素吸収装置120に仕込む。二酸化炭素の激減したガスストリームとして導管148から出てくるのは、第6の二酸化炭素濃度を有する第4の再循環ストリームである。第4の再循環ストリームは導管140に導かれ、そこでさらに圧縮した第3の再循環ストリームの第2の分離部分、酸素、およびエチレンがそれぞれ導管138、142および144を通して導管140に導入され、合わせられる。これらのストリームを合わせたものは第2の反応器仕込み物を形成し、導管124によってエポキシ化反応器118に仕込まれる。二酸化炭素を含む第2の二酸化炭素排出ストリームは二酸化炭素除去システム116の溶媒再生装置122から導管150を通して二酸化炭素ストリームとして生成される。
【0052】
改良プロセスによって製造された酸化エチレンは1,2−エタンジオール、1,2−エタンジオールエーテル、またはエタノールアミンに変換することができる。本発明は酸化エチレンを生産するより魅力的なプロセスを導くが、同時に、本発明に従って酸化エチレンを製造し、次いで得られた酸化エチレンを1,2−エタンジオール、1,2−エタンジオールエーテル、および/またはエタノールアミンを生産するのに使用することを含むより魅力的なプロセスも導く。
【0053】
1,2−エタンジオールまたは1,2−エタンジオールエーテルへの転化は、例えば、酸性または塩基性の触媒を適当に使用して酸化エチレンを水と反応させることを含むことができる。例えば、主として1,2−エタンジオールおよび少量の1,2−エタンジオールエーテルを作るためには、液相反応において酸触媒、例えば全反応混合物に対して0.5〜1.0重量%の硫酸、の存在下、50〜70℃、1バール(0.1MPa)絶対圧で、あるいは気相反応において130〜240℃および20〜40バール(2.0〜4.0MPa)絶対圧で、好ましくは触媒の非存在下で、酸化エチレンを10モル倍過剰量の水と反応させればよい。もし水の比率を下げると、反応混合物中の1,2−エタンジオールエーテルの比率が上昇する。こうして製造された1,2−エタンジオールエーテルはジエーテル、トリエーテル、テトラエーテルまたは次のエーテルの可能性がある。別の1,2−エタンジオールエーテルは水の少なくとも一部分をアルコールと置き換えて、酸化エチレンをアルコール、特にメタノールまたはエタノールのような第1級アルコールと共に転換して調製することができる。
【0054】
エタノールアミンへの転化は、例えば、酸化エチレンをアンモニアと反応させることを含むことができる。モノエタノールアミンを製造するには典型的には無水アンモニアが好んで使用されるが、無水アンモニアでもアンモニア水溶液でも使用できる。酸化エチレンをエタノールアミンに転化するのに適用できる方法としては、例えば米国特許公開第A−4845296号が参照できる。
【0055】
1,2−エタンジオールおよび1,2−エタンジオールエーテルは極めて様々な工業的応用例えば食品、飲料、たばこ、化粧品、熱可塑性ポリマー、硬化性樹脂システム、洗剤、伝熱系などの分野において使用される。エタノールアミンは例えば、天然ガスの処理(「スウィートニング」)に使用される。
【0056】
次の実施例1および2はエポキシ化仕込み物中の二酸化炭素濃度を比較的低くした条件で高選択性触媒を使用する優位性を確認しようとするものである。引き続く実施例3は本発明の優位性を確認しようとするものであって本発明の範囲を不当に制限しようとするものではない。
【実施例1】
【0057】
α−アルミナに担持した銀および促進可能量のレニウム、リチウム、セシウムおよび硫黄を含む高選択性触媒をエチレンおよび酸素から酸化エチレンを製造して試験した。この試験を行うために粉々にした触媒のサンプルをステンレススチール製のU字型の反応管に充填した。この反応管を溶融した180℃の金属バス(熱媒体)中に浸漬し、反応管の末端をガスフローシステムに接続した。ガス混合物を「ワンパス」操作で触媒床を通した。使用する触媒の重量および導入ガス流速はガス空間速度(GHSV)が3300Nl/(l.h)となるように調節した。導入ガス圧力は絶対圧1550kPaであった。
【0058】
ガス混合物の組成は30容量パーセントのエチレン、8容量パーセントの酸素、1容量パーセントの二酸化炭素、2.5容量ppm(ppmv)のエチルクロライド、およびバランス量の窒素となるように調節した。
【0059】
触媒床の温度を1時間あたり10℃の速度で225℃まで上昇し、次いで温度を酸素転化率が40モルパーセントとなるように調節した。酸化エチレン形成の選択率が最適となるようにガス混合物中におけるエチルクロライド濃度を2.5ppmvに調節した。触媒活性は酸素転化率が40モルパーセントとなる温度(T40)で表す。選択率は温度T40における選択率である。運転中触媒は劣化するので、酸素転化率を40モルパーセントで一定に保持するために温度を徐々に上昇した。結果を表2に示す。
【0060】
3回の同様な比較試験において、ガス混合物中の二酸化炭素濃度は1容量パーセントではなく5〜7容量パーセントとした。この3回の比較試験の平均結果も表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表2の結果からエポキシ化反応器仕込み物中の二酸化炭素濃度が低い方が活性、選択率および触媒寿命という点において高選択性触媒の性能が改善されることが明らかである。
【実施例2】
【0063】
この計算された例は、空間速度4700GSHV、圧力21.7barg(2.17MPag)、作動速度184kg/m/hrの操作条件で、25モルパーセントのエチレンおよび8モルパーセントの酸素を含む反応器仕込み物に対して高選択性エポキシ化触媒の性能を予測する専有モデルによって発生したデータを示している。このモデルは、マイクロ反応器の活性データ、パイロットプラントのデータおよび他の触媒性能データ源などの多くのデータ源を集めた実際の触媒性能データの相互関係に基礎をおいている。
【0064】
図3は高選択性エポキシ化触媒の選択率を、累積酸化エチレン製造量をkton/mで表したものに基づく触媒の使用期間の関数として示しており、相応する供給原料の二酸化炭素濃度を図5に示す。これらのプロットから触媒寿命と供給原料の二酸化炭素濃度ならびに選択率と供給原料の二酸化炭素濃度の間に強い相関関係があることが分かる。図3から分かるように、触媒の選択率の低下速度は二酸化炭素濃度が1モルパーセント未満(曲線記号「I」)の供給原料を処理したときの方が、4モルパーセント(曲線記号「II」)を越える従来の二酸化炭素濃度の供給原料を処理したときの触媒の選択率の低下速度よりも有意に低い。高選択性触媒の初期の選択率は供給原料が1モルパーセント未満の二酸化炭素濃度を有する場合の方が4モルパーセントを越える二酸化炭素濃度の供給原料に比べて高いということにも気付く。これらのデータから二酸化炭素濃度の低いエポキシ化反応器供給原料を処理することによって得られる高選択性エポキシ化触媒の選択率および寿命における大きな有利性が説明される。さらなる比較データは4モルパーセントを越える二酸化炭素濃度で操作して高活性触媒を使用したものに関する(曲線記号「III」)。
【0065】
図4は反応器の冷媒温度を図5に示した供給原料の二酸化炭素濃度に対応するエポキシ化反応において使用された触媒の使用期間の関数として示した。反応器の冷媒温度は反応温度を近似するものである。このデータが説明するように、1モルパーセント未満の低い二酸化炭素濃度を有するエポキシ化反応器の供給原料を処理する本発明の方法のエポキシ化触媒{曲線記号「I」}は本発明の方法よりも有意に高濃度の二酸化炭素を有するエポキシ化反応器供給原料を処理する従来の方法のエポキシ化触媒(曲線記号「II」)よりも有意に遅い速度でその活性を失う。これらのデータから、高選択性エポキシ化触媒の安定性は触媒活性の低下速度という観点で、非常に低い二酸化炭素濃度のエポキシ化供給原料を処理することを含む本発明の方法で有意に改善されることが分かる。さらなる比較データは4モルパーセントを越える二酸化炭素濃度で操作される高活性触媒の使用に関する。(曲線記号「III」)
【実施例3】
【0066】
この計算例は高活性エポキシ化触媒を使用する仮想の1日あたり800トンの酸化エチレン製造プロセスシステムを操作した場合および、そのような高活性エポキシ化触媒を高選択性エポキシ化触媒に置き換えた後で同じプロセスシステムを操作した場合のいくつかのストリームの二酸化炭素濃度に関する選択された情報を表している。また触媒交換後および触媒交換前のこのプロセスシステムに仕込む供給原料の量の比を示し、また触媒交換後および触媒交換前の酸化エチレン収量の比を示している。示したデータは仮想の酸化エチレン製造プロセスシステムの専有プロセスモデルの出力に基づいている。高選択性触媒を使用したプロセスシステムの計算においては酸化エチレン吸収装置の再循環ストリームを100パーセント二酸化炭素除去システムに仕込むことを仮定し、高活性触媒を使用したプロセスシステムの計算においては酸化エチレン吸収装置の再循環ストリームの25パーセントを二酸化炭素除去システムに仕込むことを仮定した。
【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
上記の表3および4において示したデータから本発明の方法は酸化エチレン生産システムの効率において有意な改良をもたらすことが分かる。所与の酸化エチレン製造量に対してその生産における供給原料消費量が大幅に減少する。エチレン仕込み物の消費量は7.9パーセント減少し、酸素仕込み物の消費量は24.2パーセント減少する。これらの供給原料消費量の減少は本発明の方法の結果生じる巨大な経済的利益を提供する。
【0070】
本発明を現在の好ましい実施形態に関して記載してきたが、当業者によれば合理的な変異および改変が可能である。かかる変異および改変は記載した発明の範囲および付属の特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】酸化エチレン製造プロセスシステムを図示するものである。
【図2】図1の酸化エチレン製造プロセスシステムに改造したエポキシ化反応システムを備えたものを図示するものである。
【図3】所与の作動速度において、エポキシ化仕込み物の二酸化炭素濃度を比較的低くした条件で高選択性エポキシ化触媒(「I」)を使用した触媒選択率(「S」、%)を、累積酸化エチレン製造量(「P」、kton/m)の関数として、従来の使用法による高選択性エポキシ化触媒(「II」)および従来の使用法による高活性触媒(「III」)と比較してプロットして、高選択性触媒の触媒寿命および選択率における改良を実証するものである。
【図4】エポキシ化仕込み物の二酸化炭素濃度を比較的低くした条件で高選択性エポキシ化触媒(「I」)を使用した反応器冷媒温度(「T」、℃)を、累積酸化エチレン製造量(「P」、kton/m)の関数として従来の使用法による高選択性エポキシ化触媒(「II」)および従来の使用法による高活性触媒(「III」)と比較してプロットして触媒寿命および反応温度における改良を実証するものである。
【図5】二酸化炭素(「CO」、モル%)の反応器入口濃度を累積酸化エチレン製造量(「P」、kton/m)の関数として、図3および図4に示した選択率および反応器冷媒温度の値に対応してプロットしたものを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の二酸化炭素濃度を有する第1の反応器仕込み物を、第1の容量の高活性エポキシ化触媒を含むエポキシ化反応器を備えたエポキシ化反応器システムに仕込み、
前記エポキシ化反応器システムから第1のエポキシ化反応器流出物を生成し、
前記第1のエポキシ化反応器流出物の少なくとも一部分を、前記第1のエポキシ化反応器流出物を第2の二酸化炭素濃度を有する第1の再循環ストリームと第1の酸化エチレンのストリームとに分離するのに使用する酸化エチレン吸収装置に仕込み、
前記第1の再循環ストリームを第1の分離部分と第1の残余部分とに分割し、
二酸化炭素吸収装置および溶媒再生装置を含んでなる二酸化炭素除去システムを備えており、前記二酸化炭素吸収装置は二酸化炭素を含む仕込みガスを受け入れ、前記二酸化炭素を含む仕込みガスを希薄溶媒と接触させて濃厚溶媒および二酸化炭素の激減したガスストリームとを生成し、また前記溶媒再生装置は前記濃厚溶媒を受け入れてそこから二酸化炭素を分離して、前記希薄溶媒および二酸化炭素ガスストリームを生成し、
前記第1の残余部分の少なくとも一部分を前記二酸化炭素を含む仕込みガスとして前記二酸化炭素除去システムに仕込んで、前記二酸化炭素の激減したガスストリームとして第3の二酸化炭素濃度を有する第2の再循環ストリームを生成し、また前記二酸化炭素ガスストリームとして第1の二酸化炭素排出ストリームを生成し、
前記第1の分離部分の少なくとも一部分および前記第2の再循環ストリームの少なくとも一部分を酸素およびエチレンと合わせ、それによって前記第1の反応器仕込み物を形成し、
前記エポキシ化反応器から前記第1の容量の高活性エポキシ化触媒の少なくとも一部分を除去し、第2の容量の高選択性エポキシ化触媒を置き換え充填して、改造したエポキシ化反応器システムを備えるようにし、
前記第1の二酸化炭素濃度よりも低濃度である第4の二酸化炭素濃度を有する第2の反応器仕込み物を、前記の置換充填物を有する前記改造したエポキシ化反応器システムに仕込み、
前記改造したエポキシ化反応器システムから第2のエポキシ化反応器流出物を生成し、
前記第2のエポキシ化反応器流出物の少なくとも一部分を前記第2のエポキシ化反応器流出物を第5の二酸化炭素濃度を有する第3の再循環ストリームと、第2の酸化エチレンストリームとに分離するために使用される前記酸化エチレン吸収装置に仕込み、
前記第3の再循環ストリームを、もしあれば第2の分離部分と第2の残余部分とに分割し、
前記第2の残余部分の少なくとも一部分を前記二酸化炭素を含む仕込みガスとして前記二酸化炭素除去システムに充填して、前記二酸化炭素の激減したガスストリームとして第6の二酸化炭素濃度を有する第4の再循環ストリームを生成し、また前記二酸化炭素ガスストリームとして第2の二酸化炭素排出ストリームを生成し、
もしあれば前記第2の分離部分の少なくとも一部分および、前記第4の再循環ストリームの少なくとも一部分を酸素およびエチレンと合わせて、それによって前記第2の反応器仕込み物を形成する
ことを含む既存の酸化エチレンの製造プロセスの操作を改良する方法。
【請求項2】
第4の二酸化炭素濃度が反応器仕込み物中のエチレン、酸素および二酸化炭素の総モル数に対して3モルパーセント未満である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第4の二酸化炭素濃度が反応器仕込み物中のエチレン、酸素および二酸化炭素の総モル数に対して0.1から2モルパーセント未満の範囲である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第4の二酸化炭素濃度が反応器仕込み物中のエチレン、酸素および二酸化炭素の総モル数に対して0.2から1.5モルパーセント未満の範囲である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
高選択性エポキシ化触媒がレニウム促進剤成分を含む銀ベースの触媒であり、高活性触媒がレニウム促進剤成分を含まない、または促進効果のない量のレニウム成分を含む銀ベースの触媒である請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
高選択性エポキシ化触媒が担体材料としてαアルミナを含んでおり、銀の量が1〜40重量パーセントの範囲であり、レニウムの量が触媒の全重量ベースで1グラムあたり0.1〜10マイクロモルの範囲であり、また高活性触媒が担体材料としてαアルミナを含んでおり、銀の量が1〜40重量パーセントの範囲である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記希薄溶媒がアルカリ金属炭酸塩の水溶液を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アルカリ金属炭酸塩の水溶液にさらに活性化剤を追加してなる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記二酸化炭素吸収装置と並列に操作的にしうる形で接続した第2の二酸化炭素吸収装置を備え、前記第2の二酸化炭素吸収装置は前記第2の残余部分の少なくとも一部分を受け入れてそこで前記希薄溶媒と接触させ、それによって前記第4の再循環ストリームの少なくとも一部分を提供することができるものであることをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記二酸化炭素吸収装置の内部を改造して、そこで物質移動を高め、理論上の段数を増やし、前記第2の分離部分の前記少なくとも一部分からの二酸化炭素の回収を改善することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記二酸化炭素吸収装置を、前記第1の二酸化炭素濃度より低い第4の二酸化炭素濃度を提供するように操作することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の反応器仕込み物がある濃度の二酸化炭素に加えてエチレンおよび酸素を含んでおり、また前記第2の反応器仕込み物がある濃度の二酸化炭素に加えてエチレンおよび酸素を含んでいる請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって改良された酸化エチレン製造プロセスを操作することによって酸化エチレンを生産することを含む酸化エチレンの生産方法。
【請求項14】
酸化エチレンを1,2−エタンジオールまたは1,2−エタンジオールエーテルに変換することを含む1,2−エタンジオールまたは1,2−エタンジオールエーテルを製造するのに酸化エチレンを使用する方法であって、前記酸化エチレンが請求項13に記載の酸化エチレン生産方法によって得たものである方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の二酸化炭素濃度を有する第1の反応器仕込み物を、第1の容量の高活性エポキシ化触媒を含むエポキシ化反応器を備えたエポキシ化反応器システムに仕込み、
前記エポキシ化反応器システムから第1のエポキシ化反応器流出物を生成し、
前記第1のエポキシ化反応器流出物の少なくとも一部分を、前記第1のエポキシ化反応器流出物を第2の二酸化炭素濃度を有する第1の再循環ストリームと第1の酸化エチレンのストリームとに分離するのに使用する酸化エチレン吸収装置に仕込み、
前記第1の再循環ストリームを第1の分離部分と第1の残余部分とに分割し、
二酸化炭素吸収装置および溶媒再生装置を含んでなる二酸化炭素除去システムを備えており、前記二酸化炭素吸収装置は二酸化炭素を含む仕込みガスを受け入れ、前記二酸化炭素を含む仕込みガスを希薄溶媒と接触させて濃厚溶媒および二酸化炭素の激減したガスストリームとを生成し、また前記溶媒再生装置は前記濃厚溶媒を受け入れてそこから二酸化炭素を分離して、前記希薄溶媒および二酸化炭素ガスストリームを生成し、
前記第1の残余部分の少なくとも一部分を前記二酸化炭素を含む仕込みガスとして前記二酸化炭素除去システムに仕込んで、前記二酸化炭素の激減したガスストリームとして第3の二酸化炭素濃度を有する第2の再循環ストリームを生成し、また前記二酸化炭素ガスストリームとして第1の二酸化炭素排出ストリームを生成し、
前記第1の分離部分の少なくとも一部分および前記第2の再循環ストリームの少なくとも一部分を酸素およびエチレンと合わせ、それによって前記第1の反応器仕込み物を形成し、
前記エポキシ化反応器から前記第1の容量の高活性エポキシ化触媒の少なくとも一部分を除去し、第2の容量の高選択性エポキシ化触媒を置き換え充填して、改造したエポキシ化反応器システムを備えるようにし、
前記第1の二酸化炭素濃度よりも低濃度である第4の二酸化炭素濃度を有する第2の反応器仕込み物を、前記の置換充填物を有する前記改造したエポキシ化反応器システムに仕込み、
前記改造したエポキシ化反応器システムから第2のエポキシ化反応器流出物を生成し、
前記第2のエポキシ化反応器流出物の少なくとも一部分を前記第2のエポキシ化反応器流出物を第5の二酸化炭素濃度を有する第3の再循環ストリームと、第2の酸化エチレンストリームとに分離するために使用される前記酸化エチレン吸収装置に仕込み、
前記第3の再循環ストリームを、もしあれば第2の分離部分と第2の残余部分とに分割し、
前記第2の残余部分の少なくとも一部分を前記二酸化炭素を含む仕込みガスとして前記二酸化炭素除去システムに充填して、前記二酸化炭素の激減したガスストリームとして第6の二酸化炭素濃度を有する第4の再循環ストリームを生成し、また前記二酸化炭素ガスストリームとして第2の二酸化炭素排出ストリームを生成し、
もしあれば前記第2の分離部分の少なくとも一部分および、前記第4の再循環ストリームの少なくとも一部分を酸素およびエチレンと合わせて、それによって前記第2の反応器仕込み物を形成する
ことを含む既存の酸化エチレンの製造プロセスの操作を改良する方法。
【請求項2】
第4の二酸化炭素濃度が反応器仕込み物中のエチレン、酸素および二酸化炭素の総モル数に対して3モルパーセント未満である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第4の二酸化炭素濃度が反応器仕込み物中のエチレン、酸素および二酸化炭素の総モル数に対して0.1から2モルパーセント未満の範囲である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第4の二酸化炭素濃度が反応器仕込み物中のエチレン、酸素および二酸化炭素の総モル数に対して0.2から1.5モルパーセント未満の範囲である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
高選択性エポキシ化触媒がレニウム促進剤成分を含む銀ベースの触媒であり、高活性触媒がレニウム促進剤成分を含まない、または促進効果のない量のレニウム成分を含む銀ベースの触媒である請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
高選択性エポキシ化触媒が担体材料としてαアルミナを含んでおり、銀の量が1〜40重量パーセントの範囲であり、レニウムの量が触媒の全重量ベースで1グラムあたり0.1〜10マイクロモルの範囲であり、また高活性触媒が担体材料としてαアルミナを含んでおり、銀の量が1〜40重量パーセントの範囲である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記希薄溶媒がアルカリ金属炭酸塩の水溶液を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アルカリ金属炭酸塩の水溶液にさらに活性化剤を追加してなる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記二酸化炭素吸収装置と並列に操作的にしうる形で接続した第2の二酸化炭素吸収装置を備え、前記第2の二酸化炭素吸収装置は前記第2の残余部分の少なくとも一部分を受け入れてそこで前記希薄溶媒と接触させ、それによって前記第4の再循環ストリームの少なくとも一部分を提供することができるものであることをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記二酸化炭素吸収装置の内部を改造して、そこで物質移動を高め、理論上の段数を増やし、前記第2の分離部分の前記少なくとも一部分からの二酸化炭素の回収を改善することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記二酸化炭素吸収装置を、前記第1の二酸化炭素濃度より低い第4の二酸化炭素濃度を提供するように操作することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の反応器仕込み物がある濃度の二酸化炭素に加えてエチレンおよび酸素を含んでおり、また前記第2の反応器仕込み物がある濃度の二酸化炭素に加えてエチレンおよび酸素を含んでいる請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって改良された酸化エチレン製造プロセスを操作することによって酸化エチレンを生産することを含む酸化エチレンの生産方法。
【請求項14】
請求項13に記載の酸化エチレン生産方法によって酸化エチレンを得て、
酸化エチレンを1,2−エタンジオールまたは1,2−エタンジオールエーテルに変換することを含む1,2−エタンジオールまたは1,2−エタンジオールエーテルを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−523690(P2006−523690A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508852(P2006−508852)
【出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/005773
【国際公開番号】WO2004/078711
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(590002105)シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー (301)
【Fターム(参考)】