説明

生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置

【課題】型締部の段取りと射出部の段取りとを独立して起動することが可能な生産切替え機能を備えた射出成形機を提供すること。
【解決手段】制御装置の表示装置の表示画面はタッチパネル式の表示画面を備え、生産切替えシーケンス登録画面V1は、生産切替えシーケンスを自動的に実行させることを選択する生産切替えシーケンスボタンpcb、型締部生産切替えシーケンスを設定する表示領域である型締部段取り表示ウィンドウcw、射出部生産切替えシーケンスを設定する表示領域である射出部段取り表示ウィンドウiw、型締部生産切替えシーケンスで次の段取りシーケンスを手動で起動することができる型締部次シーケンス起動ボタンである型締部段取り確認ボタンcb、射出部生産切替えシーケンスで次の段取りシーケンスを手動で起動することができる射出部次シーケンス起動ボタンである射出部段取り確認ボタンibが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機における射出成形品の生産が完了し、次の別の射出成形品の生産に切替える段取り作業を支援する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機を用いて複数種類の射出成形品を生産する際には、1つの種類の射出成形品の生産が完了し、次回の別の種類の射出成形品の生産に切替えるには、段取り作業が必要になる。
この段取り作業には、例えば、射出成形機の型締部では型閉じ、金型温度調節ホースの取り外し、金型取り出し、次の射出成形品を生産するための金型を搬入するための型開き量調節、エジェクタピンの交換、次の射出成形品を生産するための金型の搬入および固定、型締力の調整などの作業を順序どおりに実行する必要がある。また、射出成形機の射出部では射出ユニットの後退、前回の生産で使用した成形材料を排出するための自動パージ、射出成形温度を変更するための射出シリンダの温度設定を含む成形条件の変更、次の回の射出成形品の生産で使用する成形材料を供給するための自動パージなどの作業を順序どおりに実行する必要がある。
【0003】
特許文献1には、上述の段取り作業を順序どおりに実行することを支援する方法が開示されている。同特許文献に開示される方法は、射出成形機の段取り時に、コントローラのディスプレイに所定の段取りに係わる個々の作業のガイダンスメッセージを作業手順に沿って順次表示する方法である。
【0004】
【特許文献1】特開2004−155088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
射出成形機には、パージした樹脂が金型取付部に飛散するのを防止する遮蔽物を射出ノズル前方に配置することによって、型締部の段取りと射出部の段取りとを並行して実施し、段取り作業に必要な時間を短縮できる構成のものがある。
【0006】
型締部の段取りと射出部の段取りとを並行して実施できる射出成形機では、背景技術で説明した型締部の段取りと射出部の段取りとを作業手順に沿って表示する方法は、型締部の段取りが完了してから射出部の段取りを開始することになり、段取り作業にかかる時間が長くなり採用できない。
【0007】
そこで本発明の目的は、型締部の段取りと射出部の段取りを独立して起動することが可能な生産切替え機能を備えた射出成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に係る発明は、生産完了後の段取りシーケンスをあらかじめ設定されたシーケンスに従い実行する生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置において、
前記制御装置は表示装置を有し、該表示装置の表示画面に、前記射出成形機の型締部の段取りシーケンスの実行状態を表示する第1の表示手段と、前記射出成形機の射出部の段取りシーケンスの実行状態を表示する第2の表示手段と、前記型締部の段取りシーケンスの次の段取りシーケンスを手動で起動する型締部段取り確認ボタンを表示する手段と、
前記射出部の段取りシーケンスの次の段取りシーケンスを手動で起動する射出部段取り確認ボタンを表示する手段と、を備え、前記型締部段取り確認ボタンにより射出部の段取りシーケンスとは独立して型締部の次の段取りシーケンスを起動し、前記射出部段取り確認ボタンにより型締部の段取りシーケンスとは独立して射出部の次の段取りシーケンスをそれぞれ個別に起動することを特徴とする生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置である。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記型締部段取り確認ボタンと前記射出部段取り確認ボタンを前記表示装置の表示画面に表示することに替えて、前記制御装置に接続された入力ボタンとすることを特徴とする請求項1に記載の生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置である。
請求項3に係る発明は、前記型締部の段取りシーケンスには少なくとも金型取り外し、金型取り付け作業を含み、前記射出部の段取りシーケンスには少なくとも射出ユニット後退、パージ動作を含む請求項1または2のいずれか1つに記載の生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置である。
請求項4に係る発明は、前記第1の表示手段は前記表示装置の表示画面に型締部の段取りシーケンスの実行状態をウィンドウ形式で表示する手段であり、前記第2の表示手段は前記表示画面に射出部の段取りシーケンスの実行状態をウィンドウ形式で表示する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、型締部の段取りと射出部の段取りとを独立して起動することが可能な生産切替え機能を備えた射出成形機の制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態である射出成形機と射出成形機を制御する制御装置の概略図である。符号Mは射出成形機である。符号Mcは型締部、符号Miは射出部、符号Mbは機台である。射出成形機Mは、機台Mb上に型締部Mc、および射出部Miを備える。
【0012】
型締部Mcは、可動プラテン23を前後進させる可動プラテン前後進モータ20、リアプラテン21、成形品を金型から押し出すエジェクタピンを突き出すためのエジェクタ前後進モータ22、可動プラテン23、タイバー24、固定プラテン25、トグル機構33、エジェクタ機構34を備える。リアプラテン21と固定プラテン25とは複数のタイバー24で連結されており、可動プラテン23はタイバー24にガイドされるように配置されている。可動プラテン23に可動側金型,固定プラテン25に固定側金型の金型35が取り付けられる。
【0013】
射出部Miは、シリンダ27、シリンダ27内に樹脂のペレットを供給するホッパ28、ホッパ28からシリンダ27内への樹脂の供給を遮断するホッパシャッタ29、スクリュ回転モータ30、スクリュ前後進モータ31、スクリュ回転モータ30から伝動機構を介して回転させられるスクリュ32、を備える。これらの構成は従来からの射出成形機と相違するところはない。
【0014】
遮蔽板26は、シリンダ27のノズルの前方に配置することによって型締部Mcの段取りと、射出部Miの段取りとを並行して実施するために用いられる部材である。遮蔽板26を用いることにより、パージした樹脂が金型取り付け部に飛散するのを防止することができる。
【0015】
制御装置1は、射出成形機Mを制御し成形品の生産を制御する制御装置である。プロセッサ2は、バス3を介してサーボインタフェース4、システムプログラムを記憶するROM6、データの一時記憶や各種制御プログラムを記憶するRAM7、入出力インタフェース8、表示装置付入力装置用インタフェース9と接続されている。入出力インタフェース8には後述する入力ボタン11が接続されている。ROM6は、本発明に係る段取りを支援するための処理プログラムを記憶している。
【0016】
サーボインタフェース4にはサーボアンプ5が接続されている。また、表示装置付入力装置用インタフェース9には表示装置付入力装置10が接続されている。表示装置付入力装置10は、タッチパネル式の液晶ディスプレイとキーボードなどで構成されている。表示装置付入力装置10によって各種指令、各種パラメータなどの設定などが可能である。表示装置付入力装置10のタッチパネル式の表示装置の表示画面に各種インタフェース画面を表示することで各種指令、各種パラメータの設定が可能である。
【0017】
プロセッサ2は、射出成形機全体を制御するプロセッサである。サーボアンプ5には、可動プラテン前後進モータ20、エジェクタ前後進モータ22、スクリュ回転モータ30、スクリュ前後進モータ31が接続される。図ではサーボアンプ5は1つとして図示されているが、前記それぞれのモータに各々サーボアンプが接続されている。また、各サーボモータには図示省略した位置・速度検出器が内蔵され、位置・速度検出信号が制御装置1にフィードバックされる。
【0018】
図2は、射出成形機の生産切替えシーケンス登録画面を示す図である。例えば、射出成形機によって射出成形品を生産中に図2に示される射出成形機の生産切替えシーケンス登録画面V1を表示装置付入力装置10の表示装置に表示させる。生産切替えシーケンス登録画面V1は、生産完了時に生産切替えシーケンスを自動的に起動することを選択する生産切替えシーケンスボタンpcb、型締部生産切替えシーケンスを設定する表示領域、射出部生産切替えシーケンスを設定する表示領域を有する。
【0019】
型締部生産切替え表示領域は、次回の別の種類の射出成形品の生産に使用する金型に切替える型締部の段取り作業で、型閉じ、金型温度調節ホースの取り外し、金型取り出し、次の射出成形品を生産するための金型を搬入するための型開き量調節、エジェクタピンの交換、次の射出成形品を生産するための金型の搬入および固定、型締力の調整などの作業を実行する順序どおりに入力する領域である。
【0020】
図2に示される例では、型締部生産切替えシーケンスは、シーケンス1が低圧型閉じc1、シーケンス2が金型天吊り確認c2、シーケンス3が固定ボルト取り外しc3、シーケンス4が可動プラテン寸開きc4、シーケンス5が金型搬出c5の型締部の段取りシーケンスに設定されている。
【0021】
また、射出部生産切替え表示領域は、次回の別の種類の射出成形品の生産に使用する材料に切替える射出部の段取り作業で、射出ユニットの後退、前回の生産で使用した成形材料を排出するための自動パージ、射出成形温度を変更するための射出シリンダの温度設定を含む成形条件の変更、次の回の生産で使用する成形材料を供給するための自動パージなどの作業を実行する順序どおりに入力する領域である。
【0022】
図2に示される例では、射出部生産切替えシーケンスは、シーケンス1が射出ユニット後退i1、シーケンス2がホッパシャッタ閉じi2、シーケンス3が自動パージ起動i3、シーケンス4がパージ済み樹脂廃棄i4、シーケンス5が次温度条件読み込みi5の射出部の段取りシーケンスに設定されている。
【0023】
なお、設定できるシーケンスが5番までと限定されているわけでなく、それ以降のシーケンスは記載を省略しているだけであって、最大設定できるシーケンスをどの程度にするかは、装置を構成するメモリなどを考慮して適宜な数に設定する。また、それぞれのシーケンスはタッチパネル式の表示画面から設定するようにしてもよいし、図示省略した手動入力装置から設定するようにしてもよい。
【0024】
次に、射出成形機Mにおける射出成形品の生産が完了し、次の別の射出成形品の生産に切替える段取り作業を支援するために、生産切替えシーケンス登録画面V1で登録した射出成形機の生産切替えシーケンスを射出成形機Mの表示装置付入力装置10で表示することを説明する。
【0025】
図3は、射出成形機の生産切替えシーケンス実行中の実行状態を表示する実行状態表示画面V2の画面例1である。この実行状態表示画面V2の画面例1は、型締部あるいは射出部の生産切替えシーケンスが実行される場合に表示されてもよいし、常時表示してもよい。実行状態表示画面V2では、型締部生産切替えシーケンスで現在実行中のシーケンスの実行状態を表示する型締部段取り表示ウィンドウcw、射出部生産切替えシーケンスで現在実行中のシーケンスの実行状態を表示する射出部段取り表示ウィンドウiw、型締部生産切替えシーケンスで次の段取りシーケンスを手動で起動することができる型締部次シーケンス起動ボタンである型締部段取り確認ボタンcb、射出部生産切替えシーケンスで次の段取りシーケンスを手動で起動することができる射出部次シーケンス起動ボタンである射出部段取り確認ボタンibが表示される。
【0026】
図3に示される実行状態表示画面V2の画面例1では、型締部生産切替えシーケンスで低圧型閉じ(図2のc1参照)が実行中であることが表示され、射出部生産切替えシーケンスで射出ユニット後退(図2のi1参照)が実行中であることが表示されている。実行状態表示画面V2で表示されるシーケンスは、図2で説明した生産切替えシーケンス登録画面V1で登録されたシーケンスのいずれかである。
【0027】
段取り作業を行なう作業員は、実行状態表示画面V2に表示される型締部生産切替えシーケンスを表示する型締部段取り表示ウィンドウcwと射出部生産切替えシーケンスを表示する射出部段取り表示ウィンドウiwを目視することにより、射出成形機で自動的に実行中の型締部と射出部の段取りシーケンスの進捗状況を同時に確認することができる。また、型締部段取り確認ボタンcbおよび射出部段取り確認ボタンibを備えることにより、作業員の任意のタイミングで型締部あるいは射出部の段取りを独立して起動することができ段取り時間の短縮が実現できる。
【0028】
図4は、段取り替えを作業員が行う場合に表示される実行する生産切替えシーケンスを表示する実行状態表示画面V2の画面例2である。この実行状態表示画面V2の画面例2では、型締部段取り表示ウィンドウcwに型締部生産切替えシーケンスで作業員が行う作業内容がガイダンスとして表示される。射出部段取り表示ウィンドウiwに射出部生産切替えシーケンスで作業員が行う作業内容がガイダンスとして表示される。
【0029】
なお、図3と同様に、型締部生産切替えシーケンスで次の段取りシーケンスを手動で起動することができる型締部段取り確認ボタンcb、射出部生産切替えシーケンスで次の段取りシーケンスを手動で起動することができる射出部段取り確認ボタンibが表示される。
【0030】
段取り作業を行なう作業員は、実行状態表示画面V2に表示される型締部生産切替えシーケンスを表示する型締部段取り表示ウィンドウcwと射出部生産切替えシーケンスを表示する射出部段取り表示ウィンドウiwを目視することにより、段取り作業としてなすべき作業内容を即座に誤りなく知ることができ、また、型締部段取り確認ボタンcbおよび射出部段取り確認ボタンibを備えることにより、作業員の任意のタイミングで型締部あるいは射出部の段取りを独立して起動することができ段取り時間の短縮が実現できる。
【0031】
また、作業員の任意のタイミングで型締部と射出部の段取りを独立して並行に起動することができるので、射出成形機の生産切替えシーケンスを実行する途中で実行状態表示画面V2に、型締部段取り表示ウィンドウcwに現在実行中のシーケンスが表示され、射出部段取り表示ウィンドウiwに射出部生産切替えシーケンスで作業員が行う作業内容がガイダンスとして表示されることや、または、その逆に、型締部段取り表示ウィンドウcwに型締部生産切替えシーケンスで作業員が行う作業内容がガイダンスとして表示され、射出部段取り表示ウィンドウiwに射出部生産切替えシーケンスで現在実行中のシーケンスが表示されることもある。
【0032】
図3や図4に示されるように、段取りシーケンスの実行状態や作業員の作業内容を型締部Mc、射出部Miに分割して表示し、さらに、型締部と射出部の段取りシーケンスを独立して起動できる段取り確認ボタンを個々に準備することによって、操作性、作業効率を向上させつつ、段取り作業に対する確実性および信頼性を高めることができる。
【0033】
図5は、ウィンドウ表示を行わず、射出成形機の生産切替えシーケンス実行中の実行状態を1画面表示で表示する画面例である。この画面例では、型締部生産切替えシーケンスの実行状態と、射出部生産切替えシーケンスの実行状態とが表示される。図5では、画面内に次シーケンスの起動確認ボタンcb,ibを表示するのではなく、制御装置に接続された入力ボタン11を用いる構成としてもよいし、図3や図4に示されるように画面上に次シーケンス起動確認ボタンcb,ibを表示するようにしてもよい。入力ボタン11を用いることにより表示装置付入力装置10をタッチパネル式ではないものも用いることができる。
【0034】
次に、制御装置1のプロセッサ2が実行する生産切替えシーケンスの制御を、図6を用いて説明する。図6は生産切替えシーケンスを開始する制御のフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップS1]射出成形機Mにより生産が終了すると、生産切替えシーケンスがオンか否か判断し、オンでない場合には射出成形機Mによる次の生産はないので終了する。オンの場合にはステップS2に移行する。生産切替えシーケンスがオンか否かは、図2で説明した射出成形機Mの生産切替えシーケンス登録画面V1の生産切替えシーケンスボタンpcbにより設定された状態に基づいて判断する。
●[ステップS2]型締部Mcの生産切替えシーケンスを開始する型締部生産切替え起動信号Aをオンにする。この型締部生産切替え起動信号Aをオンにすることにより、図7に示される型締部生産切替えシーケンスが起動される。
【0035】
●[ステップS3]射出部Miの生産切替えシーケンスを開始する射出部生産切替え起動信号Bをオンにする。この射出部生産切替え起動信号Bをオンにすることにより、図8に示される射出部生産切替えシーケンスが起動される。
●[ステップS4]型締部生産切替えシーケンス完了信号Cがオンか否か、すなわち、図7に示される型締部生産切替えシーケンスが完了したか否かを判断し、該型締部生産切替えシーケンス完了信号Cがオンになるまで待つ。
●[ステップS5] 射出部生産切替えシーケンス完了信号Dがオンか否か、すなわち、図8に示される射出部生産切替えシーケンスが完了したか否かを判断し、該射出部生産切替えシーケンス完了信号Dがオンになるまで待つ。
ステップS4およびステップS5で型締部と射出部の生産切替えシーケンスの完了が確認されると生産切替えシーケンスの制御を終了する。
【0036】
次に、図7を用いて制御装置1のプロセッサ2が実行する型締部生産切替えシーケンスのアルゴリズムを説明する。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA1]型締部生産切替え起動信号Aはオンであるか否か判断し、該型締部生産切替え起動信号Aがオンになるまで待つ。
●[ステップSA2]型締部生産切替えシーケンスを起動し、生産切替えシーケンスの実行状態表示画面V2に型締部段取り表示ウィンドウcwと型締部段取り確認ボタンcbを表示する。あるいは、型締部段取り表示ウィンドウcwと型締部段取り確認ボタンcbはあらかじめ生産切替えシーケンスの実行状態表示画面V2に表示しておいてもよい。
●[ステップSA3]型締部生産切替えシーケンスのステップ番号CLを1に初期化する。
●[ステップSA4]型締部生産切替えシーケンスのステップ番号CLの作業内容を読み込む。
●[ステップSA5]ステップ番号CLの作業内容が終了処理のシーケンスであるか否か判断し、終了処理の場合にはステップSA12へ移行し、終了処理ではない場合にはステップSA6へ移行する。または、読み込まれる段取りシーケンスが無ければステップSA12へ移行するようにしてもよい。
【0037】
●[ステップSA6]作業内容は自動で実行可能か否か判断し、自動で実行可能な作業内容である場合にはステップSA11へ移行し、自動で実行可能でない場合にはステップSA7へ移行する。
●[ステップSA7]作業指示を型締部段取り表示ウィンドウcw(図4参照)に表示し、ステップSA8へ移行する。
●[ステップSA8]ステップSA11の作業内容の終了を作業員が確認する必要があるか否か判断し、必要な場合にはステップSA9へ移行し、必要でない場合にはステップSA10へ移行する。ステップSA7では作業員への作業指示がなされるので、その作業の終了を射出成形機は知る術を持たないので作業員による確認が必要である。ステップSA8では射出成形機の自動運転により作業内容を実行することから、作業の終了を射出成形機は知ることができる。この場合にも、作業の終了を作業員が確認する必要がある場合としなくてよい場合を区別できるように、型締部生産切替えシーケンスを構成しておく。
【0038】
●[ステップSA9]型締部次シーケンス起動ボタンである型締部段取り確認ボタンcbがオンか否か判断し、オンになるまで待つ。
●[ステップSA10] 型締部生産切替えシーケンスのステップ番号CLを1つ進め、ステップSA4へ戻り、処理を継続する。
●[ステップSA11]作業内容に従い射出成形機Mを自動運転する。また、自動運転中は型締部段取り表示ウィンドウcw(図3参照)に実行状態を表示する。そして、ステップSA8へ移行する。
●[ステップSA12]型締部生産切替えシーケンス完了信号Cをオンにし、処理を終了する。
【0039】
次に、図8を用いて制御装置1のプロセッサ2が実行する射出部生産切替えシーケンスのアルゴリズムを説明する。
●[ステップSB1]射出部生産切替え起動信号Bはオンであるか否か判断し、該射出部生産切替え起動信号Bがオンになるまで待つ。
●[ステップSB2]射出部生産切替えシーケンスを起動し、生産切替えシーケンスの実行状態表示画面V2に射出部段取り表示ウィンドウiwと射出部段取り確認ボタンibを表示する。あるいは、射出部段取り表示ウィンドウiwと射出部段取り確認ボタンibはあらかじめ生産切替えシーケンスの実行状態表示画面V2に表示しておいてもよい。
●[ステップSB3]射出部生産切替えシーケンスのステップ番号IJを1に初期化する。
●[ステップSB4]射出部生産切替えシーケンスのステップ番号IJの作業内容を読み込む。
【0040】
●[ステップSB5]ステップ番号IJの作業内容が終了処理のシーケンスであるか否か判断し、終了処理の場合にはステップSB12へ移行し、終了処理ではない場合にはステップSB6へ移行する。または、読み込まれる段取りシーケンスが無ければステップSB12へ移行するようにしてもよい。
●[ステップSB6]作業内容は自動で実行可能か否か判断し、自動で実行可能な作業内容である場合にはステップSB11へ移行し、自動で実行可能でない場合にはステップSB7へ移行する。
●[ステップSB7]作業指示を射出部段取り表示ウィンドウiw(図4参照)に表示し、ステップSB8へ移行する。
●[ステップSB8]ステップSB11の作業内容の終了を作業員が確認する必要があるか否か判断し、必要な場合にはステップSB9へ移行し、必要でない場合にはステップSB10へ移行する。ステップSB7では作業員への作業指示がなされるので、その作業の終了を射出成形機は知る術を持たないので作業員による確認が必要である。ステップSB8では射出成形機の自動運転により作業内容を実行することから、作業の終了を射出成形機は知ることができる。この場合にも、作業の終了を作業員が確認する必要がある場合としなくてよい場合を区別できるように、射出部生産切替えシーケンスを構成しておく。
【0041】
●[ステップSB9]射出部次シーケンス起動ボタンである射出部段取り確認ボタンibがオンか否か判断し、オンになるまで待つ。
●[ステップSB10]射出部生産切替えシーケンスのステップ番号IJを1つ進め、ステップSB4へ戻り、処理を継続する。
●[ステップSB11]作業内容に従い射出成形機Mを自動運転する。また、自動運転中は射出部段取り表示ウィンドウiw(図3参照)に実行状態を表示する。そして、ステップSB8へ移行する。
●[ステップSB12]射出部生産切替えシーケンス完了信号Dをオンにし、処理を終了する。
以上のようにして、図6〜図8に示すような処理を制御装置1のプロセッサ2が実行することによって、型締部の段取りシーケンスと射出部の段取りシーケンスをそれぞれ独立して並行に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態である射出成形機と射出成形機を制御する制御装置の概略図である。
【図2】射出成形機の生産切替えシーケンス登録画面を示す図である。
【図3】現在実行中の生産切替えシーケンスを表示する実行状態表示画面の画面例1である(段取り替えが射出成形機の自動運転で実行される場合)。
【図4】現在実行中の生産切替えシーケンスを表示する実行状態表示画面の画面例2である(段取り替えを作業員が行う場合)。
【図5】射出成形機の生産切替えシーケンス実行中の実行状態を1画面表示で表示する表示画面を表示する画面例である。
【図6】生産切替えシーケンスを開始する制御のフローチャートである。
【図7】型締部生産切替えシーケンスのアルゴリズムを説明する図である。
【図8】射出部生産切替えシーケンスのアルゴリズムを説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
1 制御装置
2 プロセッサ
3 バス
4 サーボインタフェース
5 サーボアンプ
6 ROM
7 RAM
8 入出力インタフェース
9 表示装置付入力装置用インタフェース
10 表示装置付入力装置
11 入力ボタン
20 可動プラテン前後進モータ
21 リアプラテン
22 エジェクタ前後進モータ
23 可動プラテン
24 タイバー
25 固定プラテン
26 遮蔽板
27 シリンダ
28 ホッパ
29 ホッパシャッタ
30 スクリュ回転モータ
31 スクリュ前後進モータ
32 スクリュ
33 トグル機構
34 エジェクタ機構
35 金型
M 射出成形機
b 機台
c 型締部
i 射出部
V1 生産切替えシーケンス登録画面
V2 実行状態表示画面
pcb 生産切替えシーケンスボタン
cw 型締部段取り表示ウィンドウ
iw 射出部段取り表示ウィンドウ
cb 型締部段取り確認ボタン
ib 射出部段取り確認ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産完了後の段取りシーケンスをあらかじめ設定されたシーケンスに従い実行する生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置において、
前記制御装置は表示装置を有し、
該表示装置の表示画面に、
前記射出成形機の型締部の段取りシーケンスの実行状態を表示する第1の表示手段と、前記射出成形機の射出部の段取りシーケンスの実行状態を表示する第2の表示手段と、
前記型締部の段取りシーケンスの次の段取りシーケンスを手動で起動する型締部段取り確認ボタンを表示する手段と、
前記射出部の段取りシーケンスの次の段取りシーケンスを手動で起動する射出部段取り確認ボタンを表示する手段と、を備え、
前記型締部段取り確認ボタンにより射出部の段取りシーケンスとは独立して型締部の次の段取りシーケンスを起動し、前記射出部段取り確認ボタンにより型締部の段取りシーケンスとは独立して射出部の次の段取りシーケンスをそれぞれ個別に起動することを特徴とする生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置。
【請求項2】
前記型締部段取り確認ボタンと前記射出部段取り確認ボタンを前記表示装置の表示画面に表示することに替えて、前記制御装置に接続された入力ボタンとすることを特徴とする請求項1に記載の生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置。
【請求項3】
前記型締部の段取りシーケンスには少なくとも金型取り外し、金型取り付け作業を含み、前記射出部の段取りシーケンスには少なくとも射出ユニット後退、パージ動作を含む請求項1または2のいずれか1つに記載の生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置。
【請求項4】
前記第1の表示手段は前記表示装置の表示画面に型締部の段取りシーケンスの実行状態をウィンドウ形式で表示する手段であり、前記第2の表示手段は前記表示画面に射出部の段取りシーケンスの実行状態をウィンドウ形式で表示する手段であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の生産切替え機能を有する射出成形機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−105330(P2010−105330A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281496(P2008−281496)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】