説明

生産地証明システム

【課題】生産地情報の信頼性を向上させることができる生産地証明システムを提供する。
【解決手段】ラベル読取装置4は、暗号化情報および鍵証明書26を読み取るラベル読取手段91と、読み取った鍵証明書26を鍵認証サーバ3に送信する第1鍵証明書送信手段93と、鍵認証サーバ3から鍵証明書26が有効である旨の通知を受信した場合、当該鍵証明書26に含まれる復号鍵25により暗号化情報を復号化する復号化手段94と、暗号化情報を復号化した生産地情報を表示する表示手段95とを備え、鍵認証サーバ3は、ラベル読取装置4から鍵証明書26を受信する第1鍵証明書受信手段88と、取得した鍵証明書26が、登録データベース38に登録され、かつ、有効であることを判別する有効性判別手段89と、鍵証明書26が有効であると判定した場合、ラベル読取装置4にその旨を通知する有効性通知手段90と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の生産地情報をラベルに印刷可能な生産地証明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品(製品)等の生産地情報を取得し、この情報を管理することで対象となる商品の生産地の正当性を証明するシステムが知られている。このシステムでは、GPS(Global Positioning System)を用いて、商品の加工地や製造地、あるいは流通地点の位置情報および時刻情報を取得し、これら情報(位置情報および時刻情報)および商品に関する情報を各商品に貼着されるRFIDタグに記録する。また、RFIDタグのシリアルナンバーと上記の情報とを対応付けて、商品のRFIDデータベースに記録して管理する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−86381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような商品の生産地の正当性を証明するシステムにおいては、その元となる生産地の位置情報、時刻情報および商品に関する情報等の生産地情報が正しい情報であることが前提となる。しかしながら、商品の流通過程において、これらの生産地情報が悪意のある第三者により改竄されてしまうことが考えられる。そして、生産地情報が改竄されていたとしても、消費者は当該生産地情報が改竄されているか否かを知ることはできない。このため、消費者は生産地情報が本当に正しいか否かを判断することができず、消費者の生産地情報に対する信頼性が低下するという問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みたものであり、生産地情報の信頼性を向上させることができる生産地証明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の生産地証明システムは、商品の生産地情報を暗号化した暗号化情報と、暗号化情報を復号化するための復号鍵を含む鍵証明書と、が印刷されたラベルを読み取るラベル読取装置と、鍵証明書を登録した登録データベースを有すると共に、ラベル読取装置とネットワークを介して接続される鍵認証サーバと、を備えた生産地証明システムであって、ラベル読取装置は、暗号化情報および鍵証明書を読み取るラベル読取手段と、読み取った鍵証明書を鍵認証サーバに送信する第1鍵証明書送信手段と、鍵認証サーバから、鍵証明書が有効なものである旨の通知を受信した場合、当該鍵証明書に含まれる復号鍵により、暗号化情報を復号化する復号化手段と、暗号化情報を復号化した生産地情報を表示する表示手段と、を備え、鍵認証サーバは、ラベル読取装置から鍵証明書を受信する第1鍵証明書受信手段と、第1鍵証明書受信手段により取得した鍵証明書が、登録データベースに登録され、かつ、有効であることを判別する有効性判別手段と、有効性判別手段により、鍵証明書が有効であると判定した場合、ラベル読取装置にその旨を通知する有効性通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、ラベル読取装置は、ラベルに印刷された生産地情報および鍵証明書を読み取り、読み取った鍵証明書を鍵認証サーバに送信する。鍵認証サーバは、ラベル読取装置から受信した鍵証明書の有効性を判別し、当該鍵証明書が有効なものであると判定した場合、その旨の通知をラベル読取装置に送信する。鍵証明書が有効なものである旨の通知を受信したラベル読取装置は、鍵証明書に含まれる復号鍵により生産地情報を復号し、その復号した情報を表示する。これにより、ラベルに印刷された復号鍵の有効性(正当性)、つまり、復号鍵は生産者が生成したものであることを証明することができる。また、この復号鍵で生産地情報を復号することで、当該生産地情報は正しい情報であることを証明することができるため、消費者の生産地情報に対する信頼性を向上させることができる。なお、生産地情報を復号するために用いる復号鍵は、ラベルに印刷された鍵証明書に含まれるものを用いても良いし、あるいは、鍵証明書が有効なものであると判定された場合に、鍵認証サーバからラベル読取装置に送信されたものを用いても良い。
【0007】
この場合、システム構成要素として、ラベルを発行すると共に、鍵認証サーバとネットワークを介して接続されるプリンタをさらに備え、プリンタは、自身を一意に特定可能なプリンタIDを記憶するID記憶手段と、自身が設置されている位置情報を取得する位置情報取得手段と、プリンタIDおよび位置情報を含む生産地情報を生成する生産地情報生成手段と、生産地情報を暗号化するための暗号鍵と、当該暗号鍵と対を成す復号鍵と、を記憶するための鍵記憶手段と、鍵証明書を記憶するための鍵証明書記憶手段と、暗号鍵により生産地情報を暗号化する暗号化処理手段と、鍵認証サーバに対して復号鍵およびプリンタIDを送信する鍵送信手段と、鍵送信手段による送信に対して、鍵証明書を受信する第2鍵証明書受信手段と、生産地情報および鍵証明書をラベルに印刷する印刷手段と、を備え、鍵認証サーバは、プリンタから送信される復号鍵およびプリンタIDを受信する鍵受信手段と、復号鍵およびプリンタIDの受信に伴い、当該復号鍵の有効性を判別する鍵判別手段と、鍵判別手段により、復号鍵が有効であると判定した場合、当該復号鍵を含む鍵証明書を生成し、登録データベースに登録する鍵証明書登録手段と、鍵証明書をプリンタに送信する第2鍵証明書送信手段と、を備えたことが好ましい。
【0008】
この構成によれば、プリンタは、プリンタを一意に特定可能なプリンタIDおよび当該プリンタの位置情報を含む生産地情報を生成する。そして、自身が所持(記憶)する暗号鍵により当該生産地情報を暗号化する。また、プリンタは、自身のプリンタIDおよび自身が所持(記憶)する復号鍵(上記の暗号鍵と対を成す鍵)を鍵認証サーバに対して送信する。鍵認証サーバは、受信したプリンタIDおよび復号鍵に基づいて、当該復号鍵が有効な鍵であるか否かを判別する。そして、鍵認証サーバは当該復号鍵が有効なものであると判定した場合、この復号鍵が正しいものであることを示す鍵証明書をプリンタに送信する(鍵証明書には復号鍵が含まれている)。鍵証明書を受信したプリンタは、当該鍵証明書を記憶し、生産地情報と合わせてこの鍵証明書をラベルに印刷する。このように、生産者の所有する暗号鍵により生産地情報が暗号化されるため、生産地情報の改竄を防止できると共に、鍵認証サーバにより、生産者の所有する暗号鍵と対をなす復号鍵の有効性を証明することで、この復号鍵で復号できる生産地情報は正しい情報であると判定できる。これにより、消費者は当該復号鍵を用いることで正当な生産地情報(生産者が暗号化した生産地情報)のみを復号でき、この復号鍵を用いて復号できる生産地情報は正当なものであると認識できる。なお、鍵認証サーバは、第三者機関(認証局)が運用することが好ましい。この構成によれば、復号鍵の有効性をより確実に保証することができる。また、鍵認証サーバには、事前にプリンタIDが登録されており、登録されたプリンタIDの有効性を保証することが好ましい。この構成によれば、鍵認証サーバは、プリンタIDの登録の有無によって、当該プリンタIDと共に送信された復号鍵の有効性を判別することができる。
【0009】
これらの場合、生産地情報および鍵証明書は、2次元シンボルとして生成され、印刷手段は、ラベルに対して、商品の品目を表すテキスト情報および2次元シンボルを印刷することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、生産地情報および鍵証明書をいわゆるQRコードなどの2次元シンボル画像として印刷する。これにより、特別な読取装置を必要とせず、一般的に普及しているコードリーダや携帯電話などで簡単に、且つ素早く生産地情報および鍵証明書を読み取ることができる。また、例えば、ラベルに「○○産 メロン」のように品目の情報をテキストで印刷するため、一般の購買者は一目でその商品の生産地を認識することができる。
【0011】
これらの場合、鍵記憶手段は、暗号鍵の有効期限をさらに記憶し、暗号化処理手段は、暗号化するときに鍵記憶手段を参照し、有効期限に基づいて暗号鍵の有効性を判別し、暗号鍵が有効であると判定した場合、生産地情報を暗号化することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、暗号鍵の有効期限に基づいて暗号鍵の有効性を判別し、有効であると判定した場合に生産地情報の暗号化を行う。これにより、無効である暗号鍵、つまり有効性が保証されない暗号鍵を用いて生産地情報を暗号化することを回避することができる。
【0013】
これらの場合、位置情報は、プリンタの設置場所を示す緯度および経度からなる数値情報、当該設置場所の住所を示す住所情報、および当該設置場所を地図上で示す地図情報が格納されている情報資源の場所を示すURLの少なくともいずれか1つから成ることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、様々な形式でプリンタの設置場所を示す位置情報を提供することができるため、生産者あるいは顧客のニーズに沿った位置情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る生産地証明システムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、位置情報を取得する手段としてGPS(Global Positioning System)を利用する場合について説明する。
【0016】
図1は、生産地証明システム1のシステム構成図である。同図に示すように、生産地証明システム1は、生産地情報を生成してラベルLに印刷するプリンタ2と、ラベルLに印刷された情報を読み取るラベル読取装置4(例えば、携帯電話等)と、プリンタ2およびラベル読取装置4とネットワークを介して接続される鍵認証サーバ3と、生産者情報を登録する生産地管理サーバ5と、により構成されている。なお、請求項における生産地証明システム1は、プリンタ2、鍵認証サーバ3およびラベル読取装置4により構成されるものである。
【0017】
プリンタ2は、制御部11、計時部12、GPS受信部13、プリンタID記憶部14、鍵記憶部15、鍵証明書記憶部16、通信部17、印刷部18を備えている。制御部11は、CPU21、ROM22およびRAM23を有し、プリンタ2全体を制御する。ROM22は、CPU21が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。また、RAM23は、CPU21が各種処理を実行する際の作業領域として利用される。
【0018】
計時部12は、プリンタ2に内蔵されたRTC(Real Time Clock)であり、日時をカウントする。本実施形態では、ラベルLを印刷する際の日時情報(印刷日時情報63)を取得するために用いられる。GPS受信部13は、複数の衛星の軌道と、衛星に搭載された原子時計からの時刻のデータを含む電波信号を受け取るためのものである。CPU21は、受信した電波信号の時間差からそれぞれの衛星との相対的な距離差を算出し、その算出結果に基づいてプリンタ2の設置場所の位置情報64を取得する。
【0019】
プリンタID記憶部14は、プリンタ2を一意に特定可能なプリンタIDを記憶する。このプリンタIDは、プリンタ2の製造元(販売元)により割り当てられおり、生産者(プリンタ2の購入者)の情報と関連付けられて、後述する生産地管理サーバ5(生産地証明データベース52)に登録される。また、プリンタID記憶部14は、プリンタ2に着脱可能な外部記憶媒体として構成されている。このため、例えば、プリンタ2が故障した場合には、プリンタID記憶部14を取り外し、新しいプリンタ2に装着することで、プリンタIDを引き継ぐことができる。これにより、プリンタ2を交換した場合でも、生産地管理サーバ5への登録内容を更新することなく継続して利用することができる。
【0020】
鍵記憶部15は、商品の生産地を特定(証明)するための生産地情報(詳細は後述)の暗号化を行うための暗号鍵24、および暗号鍵24と対を成し、暗号化された生産地情報を復号するための復号鍵25を記録する。また、当該暗号鍵24の有効期限を記録する。鍵証明書記憶部16は、後述する鍵認証サーバ3に復号鍵25を登録した際に発行される鍵証明書26を記録する。通信部17は、ネットワークを介して鍵認証サーバ3と通信を行う。CPU21は、通信部17を介して鍵認証サーバ3に復号鍵25を送信(登録)したり、あるいは鍵認証サーバ3から鍵証明書26を受信する。印刷部18は、生産者から入力された商品情報61(品目等)、生産地情報、鍵証明書26および印刷日時情報63をラベルLに印刷する。印刷形式としては、テキスト形式(各情報を文字で表す形式)や2次元シンボル67(QRコードなど)として印刷することが可能である。
【0021】
一方、鍵認証サーバ3は、制御部31、通信部32、記憶部33の他、一般的なパーソナルコンピュータに搭載されるハードウェア構成を備えている。制御部31は、CPU35、ROM36およびRAM37を有し、鍵認証サーバ3全体を制御する。ROM36は、CPU35が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。また、RAM37は、CPU35が各種処理を実行する際の作業領域として利用される。
【0022】
通信部32は、ネットワークを介してプリンタ2およびラベル読取装置4と通信を行い、プリンタ2からプリンタIDおよび登録対象となる復号鍵25を受信する。また、通信部32は、ラベル読取装置4から鍵証明書26を受信する。記憶部33は、登録データベース38を有している。登録データベース38には、事前にプリンタIDが登録されており、これにより、当該登録データベース38に登録されたプリンタIDの有効性が保証される。また、登録データベース38には、プリンタ2から受信した復号鍵25と、当該プリンタ2のプリンタIDとを関連付けた鍵証明書26(復号鍵25を含む)が記録される。なお、鍵認証サーバ3は、プリンタ2を管理する機関以外の第三者機関(認証局)が運用することが好ましく、これにより、復号鍵25の有効性をより確実に保証することができる。
【0023】
生産地管理サーバ5は、記憶部51に生産地証明データベース52を有する他、一般的なパーソナルコンピュータに搭載されるハードウェア構成を備えている。生産地証明データベース52には、生産者がラベルLの印刷を行うプリンタ2のプリンタIDと、当該生産者の情報(生産者情報65,例えば、氏名、電話番号およびメールアドレス等)と、が関連付けて記録される。
【0024】
ラベル読取装置4は、ラベル読取部41、表示部42、通信部43、操作部44、およびこれら各部を制御する制御部45を備えている。ラベル読取部41は、ラベルLに印刷された2次元シンボル67を読み取る。表示部42は、ラベル読取部41により読み取った生産地情報(位置情報64)等を画面に表示する。操作部44は、ラベルLの読み取りを開始するためのボタン操作や、表示部42に表示された画面の切換え等を行うために用いられる。通信部43は、鍵認証サーバ3および生産地管理サーバ5と通信を行う。
【0025】
制御部45は、操作部44によりラベルLの読み取りボタン(図示省略)の操作により、ラベル読取部41を制御してラベルLに印刷された2次元シンボル67を読み取り、読み取った2次元シンボル67を解析して生産地情報および鍵証明書26を取得する。また、制御部45は、読み取った鍵証明書26を鍵認証サーバ3に送信し、その有効性を確認する。そして、鍵証明書26の有効性が認められた場合、当該鍵証明書26に付随の復号鍵25により暗号化された生産地情報(暗号化情報)を復号し、位置情報64およびプリンタIDを取得する。また、制御部45は、生産地管理サーバ5にアクセスし、プリンタIDにより生産地証明データベース52を検索し、生産者情報65を取得する。
【0026】
ここで、図2を参照し、ラベルLに印刷された生産地情報(2次元シンボル67)を読み取った場合のラベル読取装置4の表示の様子について説明する。ラベル読取装置4に表示される内容としては、図2(a)に示すように、商品情報61(品目)、生産地の位置情報64、および生産地証明データベース52から取得した生産者情報65が表示される。生産地の位置情報64としては、生産地の住所を示す住所情報、GPS6から得られる緯度および経度を示す数値情報、生産地の地図情報を取得するためのURL等が表示され、当該URLが選択されると、図2(b)のように生産地の地図66を表示する。また、生産者情報65としては、生産者の氏名、電話番号、メールアドレス、および生産者が開設している(生産者と関連のある)ホームページのURL等が表示される。このように、様々な形式で位置情報64を提供することができるため、生産者あるいは顧客のニーズに沿った位置情報64を提供することができる。また、生産者情報65として生産者が開設しているホームページのURL等の情報を提供することで、顧客に対して、生産者がどのような人物なのか、あるいはどのように商品を生産しているのか、などの詳しい情報を提供することができる。
【0027】
次に、図3を参照し、プリンタ2、鍵認証サーバ3およびラベル読取装置4の機能構成について説明する。図3に示すように、プリンタ2は、機能構成として、鍵記憶手段71、鍵送信手段72、第2鍵証明書受信手段73、鍵証明書記憶手段74、入力情報取得手段75、位置情報取得手段76、ID記憶手段77、ラベル番号生成手段78、生産地情報生成手段79、暗号化処理手段80、コード化手段81、日時情報取得手段82および印刷手段83、を備えている。
【0028】
鍵記憶手段71は、生産地情報を暗号化する暗号鍵24と当該暗号鍵24の有効期限、および暗号化された生産地情報を復号する復号鍵25を記憶する。鍵送信手段72は、鍵認証サーバ3にプリンタIDおよび復号鍵25を送信する。第2鍵証明書受信手段73は、鍵認証サーバ3から復号鍵25の有効性を示す鍵証明書26を受信する。この鍵証明書26には、有効性が証明された復号鍵25が含まれる。鍵証明書記憶手段74は、鍵認証サーバ3から受信した(発行された)鍵証明書26を記録する。
【0029】
入力情報取得手段75は、生産者により入力される商品情報61を取得する。位置情報取得手段76は、GPS受信部13によって得られる位置情報64を取得する。ID記憶手段77は、プリンタ2を一意に特定するためのプリンタIDを記録する。ラベル番号生成手段78は、生成するラベルLを一意に特定するためのラベル番号を生成する。生産地情報生成手段79は、位置情報取得手段76により取得した位置情報64、ID記憶手段77に記録されたプリンタIDおよびラベル番号生成手段78により生成されたラベル番号を関連付けて生産地情報を生成する。また、暗号化処理手段80は、生成した生産地情報(あるいは、生産地情報に商品情報61を加えた情報)を暗号化する。この暗号化に先立ち、暗号化処理手段80は、鍵記憶手段71に記録した暗号鍵24の有効期限を参照し、この有効期限に基づいて(後述する印刷日時が、有効期限前であるか否かに基づいて)暗号鍵24の有効性を判別する。そして、暗号鍵24が有効であると判定した場合、生産地情報を暗号化する。コード化手段81は、暗号化された生産地情報および鍵証明書記憶手段74に記録された鍵証明書26をコード化して2次元シンボル67を生成する。このように、生産者の所有する暗号鍵24により生産地情報を暗号化することで、当該生産地情報の改竄などに対するセキュリティを強化することができ、ひいては生産地偽装の防止効果をさらに高めることができる。また、暗号鍵24の有効期限に基づいて暗号鍵24の有効性を判別し、有効であると判定した場合に生産地情報の暗号化を行うため、無効である暗号鍵24、つまり有効性が保証されない暗号鍵24を用いて生産地情報を暗号化することを回避することができる。
【0030】
日時情報取得手段82は、計時部12(RTC)によって得られる印刷日時情報63を取得する。印刷手段83は、入力情報取得手段75により取得した商品情報61および日時情報取得手段82により取得した印刷日時情報63をテキスト形式で印刷すると共に、暗号化された生産地情報および鍵証明書26を2次元シンボル67としてラベルLに印刷する(図1参照)。生産地情報を2次元シンボル67で印刷することにより、一般的に普及している読取装置(コードリーダや携帯電話など)で簡単に、且つ素早く生産地情報を読み取ることができる。また、ラベルLに「○○産 メロン」のように品目の情報をテキスト形式で印刷することで、一般の購買者は一目でその商品の生産地を認識することができる。さらに、印刷日時情報63をテキスト形式で印刷することで、当該ラベルLがいつ作成されたのか、つまり対象となる商品がいつ頃生産(収穫)されたのかを一目で認識することができる。
【0031】
鍵認証サーバ3は、鍵受信手段84、鍵判別手段85、鍵証明書登録手段86、第2鍵証明書送信手段87、第1鍵証明書受信手段88、有効性判別手段89、有効性通知手段90および登録データベース38を備えている。
【0032】
鍵受信手段84は、プリンタ2からプリンタIDおよび復号鍵25を受信する。鍵判別手段85は、プリンタ2から受信したプリンタIDが、登録データベース38に登録済みか否かを判別し、登録済みであれば当該プリンタIDと共に受信した復号鍵25は有効な鍵であると判定する。鍵証明書登録手段86は、鍵判別手段85により復号鍵25が有効なものであると判定された場合、当該復号鍵25の有効性を保証する鍵証明書26(復号鍵25を含む)を生成し、登録データベース38に登録する。第2鍵証明書送信手段87は、鍵証明書登録手段86により登録した鍵証明書26をプリンタ2に送信する。第1鍵証明書受信手段88は、ラベル読取装置4から鍵証明書26(ラベル読取装置4が読み取った鍵証明書26)を受信する。有効性判別手段89は、第1鍵証明書受信手段88により取得した鍵証明書26が、登録データベース38に登録され、かつ有効であることを判別する。有効性通知手段90は、有効性判別手段89により、鍵証明書26が有効であると判定した場合、ラベル読取装置4にその旨を通知する。
【0033】
このように、鍵認証サーバ3により、生産者の所有する暗号鍵24と対をなす復号鍵25の有効性を証明することで、この復号鍵25で復号できる生産地情報は正しい情報であると判定できる。これにより、消費者は当該復号鍵25を用いることで正当な生産地情報(生産者が暗号化した生産地情報)のみを復号でき、この復号鍵25を用いて復号できる生産地情報は正当なものであると認識できる。
【0034】
ラベル読取装置4は、ラベル読取手段91、シンボル解析手段92、第1鍵証明書送信手段93、復号化手段94および表示手段95を備えている。ラベル読取手段91は、ラベルLに印刷された2次元シンボル67を読み取る。シンボル解析手段92は、ラベル読取手段91により読み取った2次元シンボル67を解析し、暗号化された生産地情報および鍵証明書26を取得する。第1鍵証明書送信手段93は、シンボル解析手段92により取得した鍵証明書26を、鍵認証サーバ3に送信する。復号化手段94は、鍵証明書26の有効性が証明された場合、当該鍵証明書26に付随の復号鍵25により暗号化された生産地情報を復号する。表示手段95は、復号化手段94により復号化された生産地情報(位置情報64)および生産地管理サーバ5から取得した生産者情報65を表示する。
【0035】
次に、図4を参照して、プリンタ2による鍵証明書26の登録処理の一連の流れを説明する。なお、鍵認証サーバ3には、事前に対象となるプリンタ2のプリンタIDが登録(記録)されており、登録されたプリンタIDの有効性は保証されているものとする。まず、プリンタ2は、自身のプリンタIDおよび復号鍵25を鍵認証サーバ3に送信する(S01)。鍵認証サーバ3は、プリンタIDおよび復号鍵25を受信し(S02)、受信したプリンタIDの登録の有無によって、当該プリンタIDと共に送信された復号鍵25の有効性を判別する(S03)。受信したプリンタIDが登録データベース38に登録されていない場合(S04;No)、鍵認証サーバ3は、当該プリンタIDと共に受信した復号鍵25は無効であると判定し、プリンタ2にその旨を通知する(S05)。一方、受信したプリンタIDが登録データベース38に登録されている場合(S04;Yes)、鍵認証サーバ3は、当該プリンタIDと共に受信した復号鍵25は有効であると判定し、当該復号鍵25を含む鍵証明書26を生成すると共に(S06)、当該鍵証明書26を登録データベース38に登録する(S07)。そして、鍵認証サーバ3は、プリンタ2に対して鍵証明書26を送信する(S08)。プリンタ2は、鍵認証サーバ3から鍵証明書26を受信し(S09)、当該鍵証明書26を鍵証明書記憶部16に記録する(S10)。
【0036】
次に、図5を参照して、生産地情報の取得からラベル印刷までの一連の流れを説明する。まず、生産者により商品情報61(品目)が入力されると、プリンタ2は当該商品情報61を取得する(S21)。ここで、生産者により所定の操作が行われると(例えば、所定キーが押される等)、プリンタ2は、GPS6から信号を受信して自身の設置場所、つまり生産地を示す位置情報64を取得する(S22)。続いて、プリンタ2は、プリンタID記憶部14から自身に割り当てられたプリンタIDを読み取ると共に(S23)、ラベルLを特定するためのラベル番号を生成する(S24)。続いて、プリンタ2は、自身に内蔵されたRTC(計時部12)から印刷日時を示す印刷日時情報63を取得する(S25)。そして、プリンタ2は、これら位置情報64、プリンタIDおよびラベル番号を関連付けて生産地情報を生成する(S26)。次に、プリンタ2は、鍵記憶部15に記録された暗号鍵24の有効期限を確認し(S27)、暗号鍵24の有効期限が過ぎている場合は(S28;No)、生産地情報を暗号化せずに、生産者に対してその旨(期限切れ)を通知する(S29)。一方、有効期限内の場合(S28;Yes)、プリンタ2は、生成した生産地情報および取得した商品情報61を暗号化し(S30)、暗号化した生産地情報および鍵証明書記憶部16に記録した鍵証明書26をコード化して2次元シンボル67を生成する(S31)。そして、商品情報61、印刷日時情報63および2次元シンボル67(生産地情報および鍵証明書26)をラベルLに印刷する(S32)。
【0037】
次に、図6を参照して、ラベル読取装置4による生産地情報の読み取りから生産地情報の表示までの一連の流れを説明する。まず、ラベル読取装置4は、ラベルLに印刷された2次元シンボル67を読み取る(S41)。次に、ラベル読取装置4は、読み取った2次元シンボル67を解析し(S42)、鍵証明書26および暗号化された生産地情報を取得する(S43)。続いて、ラベル読取装置4は、取得した鍵証明書26を鍵認証サーバ3に送信する(S44)。鍵認証サーバ3は、ラベル読取装置4から鍵証明書26を受信し(S45)、その鍵証明書26の有効性を判別する(S46)。受信した鍵証明書26が登録データベース38に登録されていない場合(S47;No)、鍵認証サーバ3は、当該鍵証明書26は無効であると判定し、ラベル読取装置4にその旨を通知する(S48)。一方、受信した鍵証明書26が登録データベース38に登録されている場合(S47;Yes)、鍵認証サーバ3は、当該鍵証明書26は有効であると判定し、ラベル読取装置4に当該鍵証明書26は有効である旨を通知する(S49)。ラベル読取装置4は、鍵証明書26が有効である旨の通知を受信すると、鍵証明書26に付随の復号鍵25を用いて暗号化された生産地情報を復号化する(S50)。続いて、ラベル読取装置4は、生産地情報に含まれるプリンタIDによって生産地証明データベース52を検索し、プリンタIDに対応する生産者情報65を取得する(S51)。そして、ラベル読取装置4は、取得した生産者情報65および生産地情報に含まれる位置情報64を画面に表示する(S52)。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、ラベル読取装置4は、ラベルLに印刷された生産地情報および鍵証明書26を読み取り、当該鍵証明書26を鍵認証サーバ3に送信する。鍵認証サーバ3は、受信した鍵証明書26の有効性を判別し、当該鍵証明書26が有効なものであると判定した場合、その旨の通知をラベル読取装置4に送信する。鍵証明書26が有効なものである旨の通知を受信したラベル読取装置4は、鍵証明書26に含まれる復号鍵25により生産地情報を復号し、その復号した情報を表示する。これにより、ラベルLに印刷された復号鍵25(鍵証明書26)の有効性(正当性)、つまり、復号鍵25は生産者が生成したものであることを証明することができる。また、この復号鍵25で生産地情報を復号することで、当該生産地情報は正しい情報であることを証明することができるため、消費者の生産地情報に対する信頼性を向上させることができる。
【0039】
なお、生産地情報を復号するために用いる復号鍵25は、ラベルLに印刷された鍵証明書26に含まれるものを用いても良いし、あるいは、鍵証明書26が有効なものであると判定された場合に、鍵認証サーバ3からラベル読取装置4に送信するようにしても良い。
【0040】
また、鍵記憶部15に記録する暗号鍵24および復号鍵25は、プリンタ2で生成しても良いし、あるいは、外部端末(例えば、パーソナルコンピュータ等)で生成したものを、鍵記憶部15に記録しても良い。
【0041】
また、本実施形態では、生産地情報および鍵証明書26を2次元シンボル67としてラベルLに印刷しているが、これに限らず、RFIDタグなどの電子タグに、生産地情報および鍵証明書26を記録し、これをラベルLに添付するようにしても良い。また、2次元シンボル67の印刷および電子タグの添付を併用しても良い。
【0042】
また、本実施形態では、暗号鍵24の有効期限を記録しておき、生産地情報の暗号化に先立ち、この暗号鍵24の有効期限を確認して暗号鍵24の有効性を確認しているが、これに限らず、生産地情報の暗号化に先立ち、プリンタ2が鍵認証サーバ3に対して暗号鍵24の有効性を確認するようにしても良い。
【0043】
また、本実施形態では、公開鍵暗号方式に基づいて、暗号鍵24および復号鍵25の管理および認証を行っているが、これに限らず、他の暗号方式を適用することも可能である。
【0044】
また、本実施形態では、GPS6から得る情報(信号)により位置情報64を取得しているが、これに限らず、携帯電話網の基地局情報を受信して位置情報64を取得するようにしても良い。
【0045】
また、本実施形態では、プリンタ2に計時部12を設けて日時情報(印刷日時情報63)を取得しているが、これに限らず、GPS6や携帯電話網の基地局情報等から位置情報64と同時に得られる日時情報を用いても良い。これにより、プリンタ2の構成を簡略化できると共に、製造コストを抑えることができる。
【0046】
また、上述した実施例によらず、プリンタ2、鍵認証サーバ3およびラベル読取装置4の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態に係る生産地証明システムのシステム構成図である。
【図2】ラベルを読み取った時のラベル読取装置の表示例を示す図である。
【図3】ラベル読取装置、鍵認証サーバおよびプリンタの機能構成を示す図である。
【図4】プリンタによる鍵証明書の登録の一連の流れを示すフローチャートである。
【図5】プリンタによる生産地情報の取得からラベル印刷までの一連の流れを示すフローチャートである。
【図6】ラベル読取装置による生産地情報の読み取りから生産地情報の表示までの一連の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1…生産地証明システム 2…プリンタ 3…鍵認証サーバ 4…ラベル読取装置 24…暗号鍵 25…復号鍵 26…鍵証明書 38…登録データベース 66…地図 67…2次元シンボル 71…鍵記憶手段 72…鍵送信手段 73…第2鍵証明書受信手段 74…鍵証明書記憶手段 76…位置情報取得手段 77…ID記憶手段 79…生産地情報生成手段 80…暗号化処理手段 83…印刷手段 84…鍵受信手段 85…鍵判別手段 86…鍵証明書登録手段 87…第2鍵証明書送信手段 88…第1鍵証明書受信手段 89…有効性判別手段 90…有効性通知手段 91…ラベル読取手段 93…第1鍵証明書送信手段 94…復号化手段 95…表示手段 L…ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の生産地情報を暗号化した暗号化情報と、前記暗号化情報を復号化するための復号鍵を含む鍵証明書と、が印刷されたラベルを読み取るラベル読取装置と、
前記鍵証明書を登録した登録データベースを有すると共に、前記ラベル読取装置とネットワークを介して接続される鍵認証サーバと、を備えた生産地証明システムであって、
前記ラベル読取装置は、
前記暗号化情報および前記鍵証明書を読み取るラベル読取手段と、
読み取った前記鍵証明書を前記鍵認証サーバに送信する第1鍵証明書送信手段と、
前記鍵認証サーバから、前記鍵証明書が有効なものである旨の通知を受信した場合、当該鍵証明書に含まれる前記復号鍵により、前記暗号化情報を復号化する復号化手段と、
前記暗号化情報を復号化した前記生産地情報を表示する表示手段と、を備え、
前記鍵認証サーバは、
前記ラベル読取装置から前記鍵証明書を受信する第1鍵証明書受信手段と、
前記第1鍵証明書受信手段により取得した前記鍵証明書が、前記登録データベースに登録され、かつ、有効であることを判別する有効性判別手段と、
前記有効性判別手段により、前記鍵証明書が有効であると判定した場合、前記ラベル読取装置にその旨を通知する有効性通知手段と、を備えたことを特徴とする生産地証明システム。
【請求項2】
システム構成要素として、
前記ラベルを発行すると共に、前記鍵認証サーバとネットワークを介して接続されるプリンタをさらに備え、
前記プリンタは、
自身を一意に特定可能なプリンタIDを記憶するID記憶手段と、
自身が設置されている位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記プリンタIDおよび前記位置情報を含む前記生産地情報を生成する生産地情報生成手段と、
前記生産地情報を暗号化するための暗号鍵と、当該暗号鍵と対を成す前記復号鍵と、を記憶するための鍵記憶手段と、
前記鍵証明書を記憶するための鍵証明書記憶手段と、
前記暗号鍵により前記生産地情報を暗号化する暗号化処理手段と、
前記鍵認証サーバに対して前記復号鍵および前記プリンタIDを送信する鍵送信手段と、
前記鍵送信手段による送信に対して、前記鍵証明書を受信する第2鍵証明書受信手段と、
前記生産地情報および前記鍵証明書を前記ラベルに印刷する印刷手段と、を備え、
前記鍵認証サーバは、
前記プリンタから送信される前記復号鍵および前記プリンタIDを受信する鍵受信手段と、
前記復号鍵および前記プリンタIDの受信に伴い、当該復号鍵の有効性を判別する鍵判別手段と、
前記鍵判別手段により、前記復号鍵が有効であると判定した場合、当該復号鍵を含む前記鍵証明書を生成し、前記登録データベースに登録する鍵証明書登録手段と、
前記鍵証明書を前記プリンタに送信する第2鍵証明書送信手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の生産地証明システム。
【請求項3】
前記生産地情報および前記鍵証明書は、2次元シンボルとして生成され、
前記印刷手段は、前記ラベルに対して、前記商品の品目を表すテキスト情報および前記2次元シンボルを印刷することを特徴とする請求項2に記載の生産地証明システム。
【請求項4】
前記鍵記憶手段は、前記暗号鍵の有効期限をさらに記憶し、
前記暗号化処理手段は、前記暗号化するときに前記鍵記憶手段を参照し、前記有効期限に基づいて前記暗号鍵の有効性を判別し、前記暗号鍵が有効であると判定した場合、前記生産地情報を暗号化することを特徴とする請求項2または3に記載の生産地証明システム。
【請求項5】
前記位置情報は、前記プリンタの設置場所を示す緯度および経度からなる数値情報、当該設置場所の住所を示す住所情報、および当該設置場所を地図上で示す地図情報が格納されている情報資源の場所を示すURLの少なくともいずれか1つから成ることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の生産地証明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−110471(P2009−110471A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284773(P2007−284773)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】