説明

生産管理装置、生産管理システム、生産管理方法、制御プログラム、および記録媒体

【課題】進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理できる生産管理装置を提供する。
【解決手段】本発明の生産管理装置2は、複数の工程からなる生産ラインの生産進捗管理を行うために、被対象物の作業進捗に係る実績情報が工程ごとに記録されており、上記実績情報を複数含む作業実績データを取得する生産管理装置であり、上記作業実績データに含まれる各実績情報のうち、所定の条件を満たさないものの個数を異常数として、上記工程ごとにカウントする監視シミュレート部32と、カウントされた各異常数をシミュレート結果として表示部11に出力するシミュレート結果表示制御部21とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインにおける生産進捗状況を管理するための生産管理装置、生産管理システム、生産管理方法、制御プログラム、および記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品ライフサイクルの短期化、ユーザニーズの多様化に伴い、製造業では、多品種少量生産、短納期生産、変量生産などへの対応が迫られている。そうした環境変化を受けて、機械が自動で製品の加工・組立てを行う自動化ラインから、人が手作業で加工・組立て作業を行う手組みラインへとシフトする工場が増えている。
【0003】
手組みラインとは、小規模構成のラインの中で多能工の作業者が臨機応変に作業を分担し合う生産方式である。セル生産方式は手組みラインの一形態である。
【0004】
手組みラインでは、作業者が作業台および治工具を用いて生産を行うようになっており、大がかりな自動生産機械を設ける必要がないので、設備を簡素化することができるというメリットがある。また、作業者が行う作業内容を変更させることにより、多様な生産工程を実現することができるので、多品種少量の製品を短納期で生産できるというメリットもある。
【0005】
手組みラインでは、製品の生産に必要な一連の作業が複数の工程に分割され、工程毎に作業場所、作業手順が定められる。各工程には作業者が配置され、先頭工程から最終工程まで全ての作業が順に実行されると製品が完成する。ライン全体に配置する作業者の人数や、一人の作業者が担当する工程の数には様々な形態が存在する。
【0006】
一般に、手組みラインでは毎日数個〜数千個の製品が生産される。各製品には顧客に約束した納期が定められており、全ての製品を納期までに生産完了させる必要がある。そのため、各製品の生産開始時刻、生産完了時刻を定めた生産計画が立てられ、この生産計画に沿って生産が実行される。
【0007】
しかしながら、実際に生産が実行される際には、作業者に起因する要因、治工具に起因する要因、および生産対象物に起因する要因などにより生産計画どおりに作業が進まないことがある。作業者に起因する要因としては、作業者が何らかの理由により作業を行っていない、作業者の習熟度が低い、作業ミスが発生している、作業ミスを回復するための修正作業が行われている、作業者の身体的疾病などにより作業が遅延している、などが挙げられる。治工具に起因する要因としては、治工具の故障、治工具の紛失などが挙げられる。生産対象物に起因する要因としては、生産対象物自体が不良となっている、欠品が生じているなどが挙げられる。
【0008】
このように、手組みラインにおける生産は、必ずしも生産計画通りには実行されないため、進捗管理が必要になる。進捗管理では、遅延検知、状況把握、および対策の3つの手順が繰り返し実行される。遅延検知とは、生産計画に対する遅延の発生を検知することである。状況把握とは、検知された遅延の時間が生産計画に対してどの程度となっているか(対策緊急度の把握)、および、検知された遅延がどの工程で発生しているか(対策要箇所の把握)を把握することである。対策とは、遅延を解消するための対策をたてて実行することである。遅延を解消するための対策としては、例えば、作業者を増員する、治工具を交換する、不良品を廃棄して作り直す、生産順序を入れ替える、などが挙げられる。
【0009】
全ての製品を納期までに確実に生産完了し、かつ、工場の利益を確保するには、この進捗管理における手順の効率化が必要不可欠である。進捗管理に多大な工数を要していると、その手組みラインでは生産管理者は常に納期トラブル対応に追われて改善活動に時間を割けず、競合他社の生産ラインと比較して競争力が低下する。
【0010】
従来、進捗管理の効率化を図るために、進捗表示板が利用される。進捗表示板は、作業が行われる時間帯ごとに、作業予定数、作業完了実績数、および遅延数などについての情報が表形式で提示されるものである。実際には、進捗表示板は、ホワイトボードなどによって実現され、各情報は人間が手書きで記入していくようになっている。
【0011】
また、特許文献1には、作業実績を記録するためのICカードをワークに付属して工程間を移動させ、生産完了時に回収したICカードから作業実績を読み取って、標準作業時間と比較することにより、遅延の有無を検知する技術が開示されている。
【0012】
しかし、上述した公知技術はいずれも生産完了したワークのみに着目しているため、該公知技術により取得した情報は、完成品について、生産計画からどれだけの遅延が発生したかを示すに過ぎない。したがって、上述の公知技術を用いても、ユーザは、発生してしまった(挽回できなかった)遅延の有無を確認するだけに留まり、遅延の挽回が可能なうちに遅延を検知することができないという問題がある。
【0013】
そこで、特許文献2には、生産部門ごとに生産計画と作業実績とを比較して、計画から遅れている工程のステータス(着手日、遅れ数、製作済数、完了予定日など)を、警告表示する技術が開示されている。これにより、ユーザは、工程ごとに生産遅れを把握して、適時に処置をとることができる。
【0014】
また、特許文献3には、工程ごとに計測した実績作業時間または工程間(バッファ)に滞留するワーク数を計測し、あらかじめ定められた標準値と比較することによりネック工程を決定して、その状況を表示する技術が開示されている。これにより、ユーザは、作業工程での異常を早期に検出し、適切な対策指示を行うことができる。
【特許文献1】特公平6−57384(平成1年(1989)10月13日公開)
【特許文献2】特開平5−12307(平成5年(1993)1月22日公開)
【特許文献3】特開平5−192852(平成5年(1993)8月3日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来の構成では、以下の問題を生じる。
【0016】
具体的には、特許文献2の技術では、工程ごとに、遅延などの進捗異常監視の要不要を加味せずに、生産計画から作業実績が遅延していると検知した工程すべてを警告表示してしまう。そのために、ユーザは、警告表示によって工程に遅延が発生したと認識したのちに、警告表示された工程の中から、遅延を挽回するための遅延対策が必要な工程を選定するために、表示内容を検討することを余儀なくされる。
【0017】
また、遅延を工程ごとに検出するために、工程ごとに完了予定日などの情報を登録しなければならない。監視対象なっているすべての工程についてこのような登録作業を行うことは、ユーザにとって負担となる。
【0018】
また、特許文献3の技術では、遅延対策が必要なネック工程に対してのみ警告を発するようにすることができるが、そのために、全工程および工程間の全バッファで計測したワーク数や作業時間と比較するための標準値を設定しなければならない。そのような、標準値は、監視対象となる全工程/全バッファに対して個々に設定する必要がある。さらに、取り扱う品種ごとに基準となる作業時間や滞留ワーク数が異なるので、手組みラインのように多品種を取り扱う生産ラインの遅延を監視するためには、設定すべき標準値の数は特に膨大になり、ユーザの負担をさらに増大させる。
【0019】
以上のことから、生産進捗管理にかかる作業の効率化が図れないという問題が生じる。
【0020】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、手組みラインにおける生産進捗管理システムにおいて、生産進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、進捗異常に対して、対策を講じることが可能なうちに、該進捗異常を検知して生産進捗を管理できる、生産管理装置、生産管理システム、生産管理方法、制御プログラム、および記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る生産管理装置は、上記の課題を解決するために、少なくとも1つ以上の生産工程からなる生産ラインの生産進捗管理を行うために、被対象物の作業進捗に係る実績情報が工程ごとに記録されており、上記実績情報を複数含む作業実績データを取得する生産管理装置において、上記作業実績データに含まれる各実績情報のうち、所定の条件を満たさないものの個数を異常数として、上記工程ごとにカウントする監視シミュレート手段と、上記監視シミュレート手段がカウントした各異常数をシミュレート結果として表示部に出力する結果出力手段とを備えていることを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、監視シミュレート手段は、工程ごとに記録されている、作業進捗に関わる各実績情報を対象に、あらかじめ定められた条件に基づき進捗監視を行った場合についてシミュレートする。すなわち、上記条件を満たさないことによって、遅延などの「進捗異常」であると判定される実績情報の数を、工程ごとにカウントし、シミュレート結果として出力する。結果出力手段は、上記シミュレート結果を表示部に表示する。
【0023】
上記被対象物の作業進捗に係る実績情報としては、例えば、該被対象物に施した作業に係る作業時間、工程間を滞留している被対象物の滞留時間、あるいは、作業時間と滞留時間とを合わせた時間、もしくは、待ち工程で滞留している被対象物の数量などが考えられる。
【0024】
例えば、上記実績情報が作業時間である場合に、上記条件が「x秒以内」として定められているとすると、監視シミュレート手段は、x秒を超える作業時間を示す実績情報は、遅延が発生したものとして「異常」と判定し、異常数にカウントする。
【0025】
上述のようにカウントされた異常数は、工程ごとに出力され、ユーザに提示される。
【0026】
これにより、ユーザは、異常数の多い工程(すなわち、上記の例では、頻繁に遅延が発生する工程)を、過去の作業実績データから特定することが容易になる。頻繁に遅延が発生する工程とは、遅延対策が必要な工程であることが多い。つまり、ユーザは、シミュレート結果の異常数に基づいて、遅延対策が必要な工程、すなわち、進捗監視が必要な工程を簡単に絞り込むことが可能となる。
【0027】
異常(例えば、遅延)が発生した場合に、対策が必要な工程のみが、進捗監視対象として絞り込まれていれば、ユーザは、対策の要否を検討することに時間を費やすことなく、速やかに対策を講じることが可能となる。また、進捗監視対象が絞り込まれることにより、その工程の分だけ監視のための閾値(条件)を定めればよいので、ユーザの、閾値を設定する作業の負担を軽減することができる。
【0028】
さらに、上記シミュレート結果が、ユーザの満足のいくものであった場合、そのときに設定されている条件を、本番の進捗監視に用いれば、適切な進捗監視を行えることになる。つまり、ユーザは、シミュレート時に参照された条件が適切であるかどうかを判断することができ、適切であると判断すれば、進捗監視に用いる条件を容易に取得し、実際に監視を行うための条件として設定することが可能となる。
【0029】
結果として、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理することが可能となる。
【0030】
なお、上記条件に、上述のような上限値だけではなく、例えば、「y秒以上」などの、下限値が含まれている場合は、y秒より短い作業時間が記録された実績情報を「異常」としてカウントすることになる。シミュレートによって、このような早期異常終了の発生回数を工程ごとに把握できる。これにより、遅延のみならず早期異常終了を検知する必要のある工程を特定することができる。したがって、例えば、作業が想定外に早期に終了することが、部品の組み付け忘れなどを意味するような生産環境においては、上述のような人為的ミスを発見し対策を講じる必要のある工程を特定しやすくなるので、上記下限値を条件に含めることは特に有効である。
【0031】
なお、上記生産工程は、上記生産ラインにおいて被対象物に実作業が施される実作業工程と、実作業工程の前または後で、上記被対象物が待ち状態あるいは移動状態におかれる待ち工程とからなる全工程のうち、少なくとも一つ以上の工程を含んでいてもよい。
【0032】
なお、上記生産管理装置が取得する作業実績データは、工程と被対象物の品種との組み合わせごとに記録した、作業進捗に係る実績情報を複数含んでいてもよく、上記監視シミュレート手段は、上記所定の条件を満たさないものの個数を異常数として、上記工程ごと、かつ品種ごとにカウントする構成としてもよい。
【0033】
これにより、工程ごとのみならず、さらに品種ごとに区別して記録した、実績情報を用いて、工程ごと、かつ品種ごとに進捗監視をシミュレートすることができる。よって、工程と品種との組み合わせごとに、異常発生回数を把握することができる。
【0034】
結果として、工程ごと、かつ品種ごとに監視対象を絞り込むことが可能となり、多品種少量生産の手組みラインにおいても、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理することが可能となる。
【0035】
上記生産管理装置は、操作部を介してユーザにより入力された、上記所定の条件の変更指示を受け付ける条件変更受付手段と、上記所定の条件を、ユーザにより指定された条件に変更する条件設定手段とを備え、上記監視シミュレート手段は、上記変更された条件に基づき、実績情報の異常数をカウントすることが好ましい。
【0036】
これにより、上記予定の条件をユーザが任意に指定することが可能となる。上記監視シミュレート手段は、ユーザの所望の条件に基づいて、シミュレートを行うので、ユーザは、所望のシミュレート結果を簡単に得ることが可能となる。
【0037】
所望のシミュレート結果を得られたということは、そのときに設定されている条件を、本番の進捗監視に用いれば、適切な進捗監視を行えることになる。よって、ユーザは、進捗監視に用いる条件を容易に取得することが可能となる。
【0038】
なお、より好ましくは、上記所定の条件は、工程、または、工程と被対象物の品種との組み合わせごとにグループ化された実績情報グループに適用する、(1)各実績情報グループの基準値に対する比率、(2)各実績情報グループの基準値からの偏差、(3)各実績情報グループの基準値となる実績情報から、上位(および/または下位)に、何個離れた位置にあるか、および、(4)各実績情報グループの基準値から何秒離れたところにあるか、の少なくともいずれか1つを指定する第1条件であり、上記監視シミュレート手段は、上記第1条件に基づき、上限値および/または下限値を指定する第2条件を、上記実績情報グループごとに生成し、上記第2条件を満たさない実績情報の個数を異常数として、上記実績情報グループごとにカウントするのがよい。
【0039】
上記構成によれば、監視シミュレート手段は、自身がシミュレートを行う時に参照する条件(第2条件)を、過去の実績情報の基準値に基づき規定された、ユーザが指定する条件(第1条件)から生成する。
【0040】
監視シミュレート手段がシミュレートを行う時に参照する条件(第2条件)は、グループごと(工程、または、工程ごとかつ品種ごと)に、必要であれば、上限値/下限値ともに設定する必要がある。
【0041】
一方、上記第1条件とは、具体的には、
(1)各実績情報グループの基準値に対する比率(±x%(xは任意))、
(2)各実績情報グループの基準値からの偏差(±yσ(yは任意))、
(3)各実績情報グループの基準値となる実績情報から、上位(および/または下位)に、何個離れた位置にあるか(z個(zは任意の整数))、および、
(4)各実績情報グループの基準値から何秒離れたところにあるか(w秒(wは任意))
の少なくともいずれか1つを指定するものである。
【0042】
よって、基準値は、実績情報グループごとに異なるものの、上記x(%)、y(σ)、z(個)、および、w(秒)の値は、全グループ共通の値を1つ指定することが可能である。つまり、上記第1条件は、値を1つ指定すれば、その値を指定した条件を、すべての実績情報グループに対して一律適用することが可能な条件であるといえる。
【0043】
以上のことから、ユーザは、設定作業が複雑な第2条件を直接設定することなく、設定作業が容易な第1条件を設定するのみで、間接的に、簡単に、上記第2条件を設定することが可能となる。
【0044】
上記第2条件は、上述のとおり、工程ごとに煩雑な設定作業を要求する。つまり、第2条件を直接設定することを考えると、例えば、工程ごとに、作業時間の上限値(x秒以内)や下限値(y秒以上)などを設定しなければならない。さらに、実績情報が品種ごとにも記録されている場合は、当該生産ラインが取り扱う品種数に応じて設定しなければならない上(下)限値は膨大な数になってしまう。一方、上記第1条件は、全実績情報グループ(全工程全品種)に一律に適用可能な条件として容易に設定することができる。
【0045】
したがって、監視シミュレート手段がシミュレート時に利用する第2条件を、過去の作業実績データに基づいて、第1条件を設定するのみで、簡便に行えるので、進捗監視が必要な工程(および品種との組み合わせ)を絞り込むためのユーザの作業効率を低下させることなく、より精度の高いシミュレートを実行することが可能となる。
【0046】
なお、上記基準値とは、上記実績情報グループごとの実績情報の集合より算出されるものである。例えば、基準値としては、上記実績情報の集合の平均値、中央値、および、最頻値などが考えられる。
【0047】
上記生産管理装置は、ユーザにより特定された、または、上記監視シミュレート手段が出力する上記シミュレート結果に基づいて特定された、工程、または、工程および被対象物の品種の組み合わせを、進捗監視対象として設定する監視対象特定手段と、上記監視シミュレート手段が参照する上記所定の条件に基づいて、工程の進捗監視で異常を検知するための監視条件を、進捗監視対象ごとに設定する監視条件設定手段と、上記監視対象特定手段が設定した進捗監視対象の生産進捗を監視し、上記監視条件設定手段が設定した監視条件に基づき、上記進捗監視対象の異常を検知する進捗監視手段と、上記進捗監視手段が異常を検知した場合に、異常が発生したことをユーザに報知するよう警報装置を制御する警報制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0048】
上記構成によれば、監視対象特定手段は、ユーザが指定した工程、または、工程および被対象物の品種の組み合わせを、進捗監視対象として設定するか、あるいは、監視シミュレート手段が出力する異常数に基づいて、進捗監視対象とすべき工程、または、工程および被対象物の品種の組み合わせを特定して、進捗監視対象を設定する。
【0049】
次に、監視条件設定手段は、上記設定された進捗監視対象ごとに、所定の条件に基づいて、工程の進捗監視で異常を検知するための監視条件を設定する。
【0050】
上記進捗監視手段は、上記設定された進捗監視対象に対して、上記設定された監視条件に基づき、進捗監視を行い、異常を検知した場合には、上記警報制御手段が、警報を出力するよう警報装置を制御する。
【0051】
これにより、シミュレート結果に基づいて、監視が必要と判断された工程(および品種の組み合わせ)に絞って、所定の条件に基づいて算出された監視条件に基づき、進捗監視を行い、警報を出力する生産管理装置を実現することが可能となる。
【0052】
なお、上記生産管理装置は、操作部を介してユーザにより入力された、上記監視条件の変更指示を受け付ける監視条件変更受付手段を備え、上記監視条件設定手段は、上記監視条件を、ユーザにより指定された監視条件に変更してもよい。
【0053】
これにより、ユーザは、監視条件を、任意に簡便に変更することが可能となる。
【0054】
あるいは、上記生産管理装置は、操作部を介してユーザにより入力された、上記監視条件の変更指示および異常検知回数を指定する指示を受け付ける監視条件変更受付手段を備え、上記監視条件設定手段は、上記指定された異常検知回数に基づいて、監視条件を満たさない実績情報の個数が、上記異常検知回数と同じになる監視条件を算出し、該算出した監視条件に変更してもよい。
【0055】
これにより、ユーザは、過去の作業実績に対して、どのくらいの頻度で異常が検知されれば適切かということを知ってさえいれば、監視条件として最適な実際の値を指定することができない場合でも、適切な監視条件を得ることが可能となる。
【0056】
さらに、上記実績情報は、上記被対象物に対して、作業を施した作業者ごとに記録されており、上記監視対象特定手段は、工程および作業者の組み合わせ、または、工程、被対象物の品種、および、作業者の組み合わせを、作業者別進捗監視対象として設定し、上記監視条件設定手段は、上記監視条件を、上記作業者別進捗監視対象ごとに設定してもよい。
【0057】
さらに、上記生産管理装置は、上記進捗監視手段が異常を検知した回数と、進捗監視対象ごとに定められた警報出力条件とに基づいて、進捗監視対象に発生した異常を報知するか否かを判断する警報出力条件管理手段を備え、上記警報制御手段は、上記警報出力条件管理手段が異常を報知すると判断した場合に、異常が発生したことをユーザに報知するよう警報装置を制御することが好ましい。
【0058】
警報出力条件を適宜設定することによって、必要以上に警報装置が作動することを防ぐことができる。つまり、ユーザは、対策が必要な工程のみについて、対策が必要なときにのみ発生した異常を認知できる。したがって、ユーザは、対策の要否を検討することに時間を費やすことなく、速やかに対策を講じることが可能となる。
【0059】
例えば、1度遅延が発生した程度では、遅延の対策が必要なくても、それが、複数回(連続で)発生した場合に初めて遅延の対策が必要であるような環境では、特に有効である。
【0060】
本発明に係る生産管理システムは、上記課題を解決するために、上述の生産管理装置と、該生産管理装置、または、該生産管理装置が設定した進捗監視対象を監視し、該生産管理装置が設定した監視条件に基づいて、上記進捗監視対象の異常を検知する進捗監視装置のいずれかの指示に基づき、異常の発生をユーザに報知する警報装置とを含むことを特徴としている。
【0061】
上記構成によれば、生産管理装置が、監視が必要な工程を特定し、監視対象ごとに監視条件を設定して、該生産管理装置または進捗監視装置が上記設定に基づいて進捗監視を行う。
【0062】
これにより、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理できる生産管理システムを構築することが可能となる。
【0063】
さらに、上記生産管理システムは、各生産工程における作業の開始および/または終了を検知するセンサと、生産ラインに投入される被対象物の品種を、上記生産管理装置に入力する品種入力部とをさらに含み、上記生産管理装置が取得する作業実績データは、上記センサから取得した検知信号に基づき算出された、上記被対象物に施した作業に係る作業時間および/または滞留時間の情報を含み、各作業時間および/または各滞留時間は、工程ごと、かつ、上記品種入力部から取得した品種ごとに記録されることが好ましい。
【0064】
これにより、多品種少量生産の手組みラインにおいて、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理できる生産管理システムを構築することが可能となる。
【0065】
本発明に係る生産管理方法は、上記課題を解決するために、少なくとも1つ以上の生産工程からなる生産ラインの生産進捗管理を行うために、被対象物の作業進捗に係る実績情報が工程ごとに記録されており、上記実績情報を複数含む作業実績データを取得する第1ステップと、上記作業実績データに含まれる各実績情報のうち、所定の条件を満たさないものの個数を異常数として、上記工程ごとにカウントする第2ステップと、上記第2ステップにてカウントした各異常数をシミュレート結果として表示部に出力する第3ステップとを含むことを特徴としている。
【0066】
上記方法によれば、ユーザは、異常数の多い工程を、過去の作業実績データから特定することが容易になる。異常数の多い工程は、対策が必要な工程であることが多い。つまり、ユーザは、シミュレート結果の異常数に基づいて、対策が必要な工程、すなわち、進捗監視が必要な工程を簡単に絞り込むことが可能となる。
【0067】
異常(例えば、遅延)が発生した場合に、対策が必要な工程のみが、進捗監視対象として絞り込まれていれば、ユーザは、対策の要否を検討することに時間を費やすことなく、速やかに対策を講じることが可能となる。また、進捗監視対象が絞り込まれることにより、その工程の分だけ閾値(条件)を定めればよいので、ユーザの、閾値を設定する作業の負担を軽減することができる。
【0068】
結果として、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理することが可能となる。
【0069】
なお、上記生産管理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記生産管理装置をコンピュータにて実現させる生産管理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0070】
本発明に係る生産管理装置は、以上のように、上記作業実績データに含まれる各実績情報のうち、所定の条件を満たさないものの個数を異常数として、上記工程ごとにカウントする監視シミュレート手段と、上記監視シミュレート手段がカウントした各異常数をシミュレート結果として表示部に出力する結果出力手段とを備えているので、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、一例として、n個の工程からなる手組み生産ラインを有する生産システムに適用される、生産管理装置について説明する。
【0072】
まず、以下の説明で用いる生産システム1に係る用語について説明する。
【0073】
(「実作業工程」と「作業時間」)
「実作業工程」とは、実際に作業を行うひとつの単位を指し、「作業時間」とは、その作業を行っている時間を意味する。上記「作業時間」を、作業場所を基準として「ある作業場所で行う作業の開始から終了まで」としてもよいし、作業内容(たとえば切断、半田付けなど)を基準として「ある作業の開始から終了まで」としてもよい。本実施形態では、特に区別する必要のない場合は、一律に「作業時間」と称する。
【0074】
なお、それぞれの実作業工程を区別する場合には「実作業工程n」のように表し、その工程における作業時間は、「工程n作業時間」のように表す。
【0075】
(「待ち工程」と「滞留時間」)
「待ち工程」とは、生産ラインにおいて、ワークが作業待ちになっていたり、作業場所の移動をおこなっていたりする状態にあるプロセスを示し、「滞留時間」とは、その状態にある時間を示す。「待ち工程」は、ある「実作業工程」と次の「実作業工程」の間(前の実作業工程の終了から次の実作業工程の開始まで)の「工程間待ち工程」と、ラインへのワークの投入から最初の「実作業工程」の開始までの「開始前待ち工程」と、最後の「実作業工程」の終了からラインからのワークの排出までの「終了後待ち工程」とを含む。それぞれの工程間待ち工程は直前の工程の番号を用いて、たとえば実作業工程1と実作業工程2の間であれば「工程間待ち工程1」と表す。また、それぞれの待ち工程にあった時間をそれぞれ「開始前滞留時間」「工程間n滞留時間」「終了後滞留時間」のように表す。
【0076】
(「生産工程」)
「生産工程」とは、上記の定義による「実作業工程」「待ち工程」のうち少なくとも1つ以上を含む、管理対象単位としての工程を示す。一つの実作業工程や一つの待ち工程をそれぞれ一つの生産工程としてもよいし、複数の実作業工程とそれらの間の待ち工程を組み合わせたもの、あるいは連続する複数の実作業工程などを一つの生産工程としてもよい。(例えば、一人の作業者が受け持つ範囲をまとめて一つの生産工程として進捗管理することも可能である。また、ワークのラインへの投入から排出まですべての工程をまとめて一つの生産工程とすれば、従来と同じような、ライン単位での管理を行うことも可能である。)
(「全工程」)
「全工程」とは、生産ラインにワークが投入されてから排出されるまでのすべての「実作業工程」とすべての「待ち工程」の集合を示す。なお、すべての「生産工程」の集合と、「全工程」は必ずしも一致しない(実作業工程だけを監視する場合等)。
【0077】
(「工程」)
「全工程」に含まれる個々の工程。実作業工程と待ち工程を特に区別する必要がない場合は、以下、一律に「工程」と称する。
【0078】
〔実施形態1〕
(生産システムの構成)
まず、本実施形態に係る生産管理装置2が適用される、ある製品の生産システム(生産管理システム)1について、図1に基づいて説明する。図1に示す例では、生産システム1は、作業者の手作業により製品を製造するn個の工程(実作業工程1〜実作業工程n)を含む生産ラインと、上記各実作業工程の作業を監視して、生産の進捗状況を管理し、遅延などの進捗異常を検知する生産管理装置2と、生産ラインにおける各工程において行われている作業に異常が発生した場合に、異常の発生をユーザ(作業者や進捗管理者など)に報知する警報装置3とを備えた構成となっている。
【0079】
実作業工程1〜実作業工程nは、生産システム1の製造対象物としてのワーク(被対象物)の流れの上流から下流に向けてこの順序で配置されており、ワークが先頭工程(実作業工程1)から最終工程(実作業工程n)までを経て、すべての実作業工程の作業が順に実行されると製品が完成する。
【0080】
警報装置3は、異常を検知すべきユーザが認知できるように、生産ラインにおいて実際に作業が行われる領域、または、生産進捗の管理領域に少なくとも1箇所設置される。警報装置3は、例えば、警告アナウンスや警告音を発するスピーカや電子音報知器、警告音や光を発する信号灯/回転灯、および、進捗異常を検知した旨を記号や文字などで表し、出力するLEDボードなどの表示装置などによって構成される。警報装置3を生産ラインに1箇所設置し、全ての工程において発生する異常について報知する場合は、その報知が、どの工程の異常を指しているのかを明確にすることが好ましい。警告音や光のパターンによって、工程を区別できるようにしたり、工程を特定する情報をアナウンス、または、表示するようにしたりすればよい。なお、複数の警報装置3…がそれぞれの工程の作業場所付近に設置され、その工程に異常が発生したときだけ、報知するよう、報知対象の工程を分担してもよい。
【0081】
また、生産管理装置2の表示部11に、異常を検知した旨を通知する情報を表示させることにより、表示部11を警報装置3として構成してもよい。
【0082】
さらに、生産システム1は、工程ごとに、作業者の作業を検知するための、センサ4A1〜4Amと、工程に投入されるワークの型番(品種)を識別するための、品種入力部5を備えている。なお、センサ4A1〜4Amを区別する必要のない場合には、単にセンサ4と称する。
【0083】
センサ4は、各工程における作業の開始および/または終了を検知するものであり、各工程に少なくとも1つ設置される。例えば、センサ4は、ワークの有無、治具の動き、指図書の有無、扉の開閉、電動設備の電源のON/OFFなどを検知し、検知信号を生産管理装置2に出力する。具体的なセンサ4の例としては、光電センサ、近接センサ、変位センサ、フォトマイクロセンサ、超音波センサ、圧力センサなどが挙げられる。また、センサ4は、作業者が作業開始および/または終了時にボタンなどを押すことによって、当該工程における作業の開始および/または終了を検知するような形態であってもよい。
【0084】
また、先行する実作業工程の終了後ただちに次の実作業工程に移る場合には先行する実作業工程の終了を検知するセンサと、次の実作業工程の開始を検知するセンサを兼用してもよい。つまり、各実作業工程の開始と終了をどのセンサからのどの入力値(ON、OFF等)によって与えるかについてはユーザが適宜選択することができるものである。
【0085】
品種入力部5は、生産ラインの少なくとも1箇所(例えば、実作業工程1)に設置され、ワークごとにそのワークの品種を入力する。品種は、例えば、完成品の型番などによって識別すればよい。本実施形態では、型番を示すバーコードが各ワークに付されているものとし、品種入力部5としてバーコードリーダを用いて、バーコードリーダが読み取った型番を生産管理装置2に出力するものとする。なお、品種入力部は、これに限定されるものではなく、ICチップのリーダや、ワークに付された刻印などを画像認識によって自動的に取得する画像センサなどであってもよいし、作業者が、キーボードやマウスなどの入力手段を用いて、型番を入力するようにしてもよい。
【0086】
セル生産などに代表される手組み生産ラインは、多品種少量生産を行う場合に採用されることが多く、工程ごとに管理するのみでは、正確に作業の遅延検知を行うことはできない。なぜなら、作る製品が異なれば、同じ工程でも、当該工程における作業時間の許容範囲が異なるからである。そこで、品種入力部5を用いて、現在生産ラインに流れているワークに係る作業時間を工程および品種ごとに監視することにより、工程かつ品種別に、進捗監視を行うことが可能となる。また、品種入力部5は、生産ラインの任意の場所に設置することが可能であるが、リアルタイムに工程ごと・品種ごとの監視を行うためには、少なくとも最初の実作業の開始と同時、望ましくは最初の実作業の開始より前に設置されることが必要となる。品種が入力されるまでは、現在流れているワークの品種が何であるかわからないからである。
【0087】
なお、本実施形態および後述する各実施形態で用いるワークIDとは、ある生産ラインにおいて作業が行われた順番を示すものであって、型番とは異なるものである。ワークIDは、例えば、あるワークが生産ラインに投入されたとき(または、生産ラインへの投入後最初の実作業工程が開始されたとき、あるいは品種入力部5から品種が入力されたとき)に、作業実績取得部13(図1)によって、機械的に連番を付加されることによって取得される。あるいは、あらかじめ生産する順番が決まっている場合には、ワークIDを示すバーコードおよび数字を印刷したシールなどをワークに貼付しておき、作業者とバーコードリーダそれぞれによって生産を行う順番を認識できるものとしておいてもよい。
【0088】
生産管理装置2と警報装置3との間、および、生産管理装置2とセンサ4、品種入力部5との間は、通信手段によって互いに接続されている。この通信手段としては、有線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、および無線LAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0089】
(手組み生産ラインの例)
ここで、手組み生産ラインの例について図17を参照しながら説明しておく。同図に示す例では、実作業工程1〜実作業工程8が存在しており、作業者W1が実作業工程1および実作業工程2における作業を行い、作業者W2が実作業工程3〜実作業工程5の作業を行い、作業者W3が実作業工程6〜実作業工程8の作業を行うようになっている。各実作業工程には作業場所と作業手順が定められており、それぞれの作業場所に作業台および治工具などが設置されている。あるいは、作業者が操作する生産設備が設置されていてもよい。
【0090】
このように、手組み生産ラインでは、製品の生産に必要な一連の作業が複数の実作業工程(この例では実作業工程1〜実作業工程8)に分割され、実作業工程毎に作業場所、作業手順が定められる。各実作業工程には作業者が配置され、先頭工程(実作業工程1)から最終工程(実作業工程8)まで全ての作業が順に実行されると製品が完成する。
【0091】
なお、本実施形態では、生産システム1の全工程は、作業者の手作業による手組みラインとしたが、生産設備によって、自動で組み立て・製造が行われる工程を含む生産システムにおいても、本発明を適用することは可能である。
【0092】
(生産管理装置の構成)
以下、図1を用いて、生産管理装置2の構成について詳細に説明する。生産管理装置2は、表示部11、操作部12、作業実績取得部13、時刻供給部14、入出力制御部20、生産管理制御部30、および、記録部40を備えた構成となっている。
【0093】
入出力制御部20は、生産管理装置2における情報の入出力を制御するものであり、シミュレート結果表示制御部(結果出力手段)21、設定画面表示制御部22、警報出力制御部(警報制御手段)23、および、操作受付部(条件変更受付手段/監視条件変更受付手段)24を備えている。
【0094】
生産管理制御部30は、作業進捗管理(作業監視・進捗異常検知・進捗異常報知)の制御、および、作業進捗管理に係る各種設定(条件の指定、調整など)を行うものである。生産管理制御部30は、監視シミュレート部(監視シミュレート手段)32、仮閾値設定部(条件設定手段)31、監視対象特定部(監視対象特定手段)33、監視閾値設定部(監視条件設定手段)34、および、進捗監視部(進捗監視手段)35を備えている。
【0095】
記録部40は、作業実績記録部41、仮閾値記録部42、および、監視閾値記録部43を含む。
【0096】
作業実績取得部13は、センサ4および品種入力部5からの検知信号を受信し、各検知信号の内容を解析することによって、時刻供給部14から供給される現在時刻情報に基づいて、各ワークIDごとに各工程における作業開始時刻、作業終了時刻、および、品種情報(すなわち型番)を取得する処理を行う。一般に、手組み工程においては、生産の順序が生産中に変わることはないため(すなわち、生産ラインに型番Aのワークが投入され、次に型番Bのワークが投入された場合、生産ライン上のどの工程においても型番A、型番Bの順番に作業または移動もしくは滞留が行われる)、作業実績取得部13は、該センサが何回反応したかをカウントすることでワークIDを取得することができ、すでに作業実績記録部41に記録されているワークIDと型番の紐付けを参照することで品種情報を取得することができる。作業実績取得部13によって取得された、ワークIDごとの各工程における作業開始時刻、作業終了時刻、および、型番の情報は、作業実績記録部41に記録される。
【0097】
作業実績記録部41に記録される作業実績情報の例を図2(a)および(b)に示す。図2(a)に示すように、作業実績情報は、ワークIDごとに、実作業工程1〜実作業工程nのそれぞれにおける作業開始時刻および作業終了時刻と、型番とを表形式で記録したものとなっている。この作業実績情報は、先頭工程(実作業工程1)の作業開始時刻が早いワークIDから順に記録される。
【0098】
なお、図2(b)に示すように、前工程からワークが排出された時刻を滞留開始時刻として、次工程へと投入された時刻を滞留終了時刻として、ワークごとに記録してもよい。これにより、滞留開始時刻および終了時刻を用いて、前工程から排出されたワークが次工程へと投入されるまでの時間を滞留時間として算出することができる。なお、図2(b)に示すとおり、例えば、図1の実作業工程1と実作業工程2との間にある、仕掛品置き場6における滞留時間は、前工程(実作業工程1)の作業終了時刻と、次工程(実作業工程2)の作業開始時刻との差分より求めることができる。したがって、滞留開始(終了)時刻を記録する領域を確保せずに、直接、前工程の作業終了時刻と、次工程の作業開始時刻とから、滞留時間を求める構成としてもよい。
【0099】
これにより、作業自体の監視では検知できない進捗異常を検知することができるようになる。すなわち、実作業時間とは開始時刻と終了時刻の差によって与えられるものであるから、たとえば作業者の不在によってある実作業工程が開始されない場合などは遅れが発生しても実作業時間の監視のみでは検知できないが、待ち工程における滞留時間を監視することによって、このような異常を検知することができるようになるのである。また、ある実作業工程の終了後、冷却などの必要性によって一定時間は次の実作業が行えないような場合、該一定時間より早く次の実作業工程が開始されたとすると品質等に問題が生じるおそれがあるが、滞留時間に下限値を設けて監視することによってこのような進捗異常を検知することができるようになる。
【0100】
なお、この場合、生産管理装置1に、図1に示すようにセンサ4BIとセンサ4BOを付加する構成としてもよい。センサ4BIは、ラインへのワークの投入を検知するセンサであり、センサ4BOはラインからのワークの排出を検知するセンサである。つまり、ワークのラインへの投入から最初の実作業工程の開始までの実績情報、および最後の実作業工程の終了からラインからのワークの排出までの実績情報をそれぞれ開始前滞留時間、終了後滞留時間として取得し、監視対象候補とするものであってもよい。
【0101】
さらには、生産工程の定義は上記に限定されるものではなく、ユーザが適宜選択できるものである。すなわち、たとえば一人の作業者が受け持つ範囲の実作業工程と待ち工程をまとめて一つの生産工程として進捗管理を行うこともできるのである。
【0102】
操作部12は、作業進捗管理に係る各種設定の指示を、ユーザが生産管理装置2に入力するための入力手段であり、例えばキーボードやボタンなどのキー入力手段や、マウスなどのポインティングデバイスなどによって構成される。操作部12を介して、ユーザにより入力された指示信号は、操作受付部24に供給される。
【0103】
操作受付部24は、ユーザからの、上記各種設定に関する指示入力を受け付ける処理を行う。操作受付部24は、ユーザからの指示内容に応じて、受け付けた指示信号を、仮閾値設定部31、監視対象特定部33、および、監視閾値設定部34などに供給する。
【0104】
表示部11は、シミュレート結果表示制御部21、設定画面表示制御部22、および、警報出力制御部23による表示制御に基づいて、各種情報を表示するものである。表示部11としては、情報の表示を行うことが可能な表示装置であればどのような表示装置によって実現されてもよい。このような表示装置としては、例えば液晶表示装置、CRT(Cathode Ray Tube)などが挙げられる。
【0105】
シミュレート結果表示制御部21は、監視シミュレート部32が、作業実績記録41に記録されている過去の作業実績に対して進捗監視をシミュレートしたときの、シミュレート結果を、表示部11に表示する制御を行うものである。
【0106】
設定画面表示制御部22は、ユーザが、作業進捗管理に係る各種設定を行うための、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)画面を、表示部11に表示する制御を行うものである。各種設定とは、より詳細には、(1)仮閾値(条件/第1条件)の設定、(2)監視対象となる工程(および型番)の特定、(3)監視対象となる工程(および型番)ごとの監視閾値(監視条件)の設定、(4)異常検知時における警報出力の条件の設定などが挙げられる。ユーザは、表示部11に表示されるGUI画面を確認し、操作部12を用いて操作することにより、上述のような各種設定を生産管理装置2に指示することが可能となる。
【0107】
警報出力制御部23は、進捗監視部35が、監視する各工程において異常を検知したときに、異常が発生したことと異常が発生した工程とを示す情報を警報情報として、警報装置3へ出力する制御を行うものである。上記警報情報を受け付けた警報装置3が、遅延などの工程進捗異常を報知することにより、ユーザは、どの工程で異常が発生したのかをリアルタイムで認識することが可能となる。
【0108】
仮閾値設定部31は、工程の予定作業時間超過などの異常を判別する際に参照する、仮閾値、つまり、仮の許容範囲(第2条件)を定めるための規定値を、設定するためのものである。仮閾値は、実際の進捗監視に使用される監視閾値ではなく、その監視閾値を求めるための前段階で算出されるものであり、監視対象とする工程を絞り込み、監視閾値を設定するための手がかりとしてユーザに提示されるものである。そこで、仮閾値は、手間をかけることなく、全工程全型番に一律で適用できるようなものであることが好ましい。
【0109】
より具体的には、例えば、仮閾値を、作業実績記録41に記録された過去の所定期間の作業実績(作業時間の集合)の平均値+1σとして設定するとする。仮閾値設定部31は、「平均値+1σ」を仮閾値として、仮閾値記録部42に記録する。
【0110】
監視シミュレート部32は、仮閾値記録部42に記録した仮閾値に基づいて、生産ラインの各工程の進捗異常を監視した場合に、「進捗監視部35が何回『進捗異常』を検知するか」をシミュレートするものである。進捗異常を監視する対象として、過去の実績(すなわち、作業実績記録41に記録された一定期間の作業実績)が利用される。
【0111】
より具体的には、監視シミュレート部32は、作業実績記録41を参照し、1工程1型番ごとに、ある一定期間における、作業終了時刻と作業開始時刻との差分から作業時間(実績情報)を算出する。次に、1工程1型番の算出した作業時間の集合から基準値を算出し、仮閾値記録部42に格納されている仮閾値に基づいて、進捗監視シミュレートにおいて、「進捗異常」を検知した回数(以下、異常検知回数と称する)をカウントする。基準値とは、上記許容範囲を定める際に基準となる値を、作業時間の集合に基づき算出したものであり、本実施形態では、一例として、作業時間の集合の平均値を基準値として算出するものとする。なお、基準値は、上記平均値の例に限定されない。例えば、中央値および最頻値などを基準値として算出してもよい。
【0112】
図3は、監視シミュレート部32が、上記で設定した仮閾値に基づいて、上記1工程1型番の作業時間の集合から、異常発生回数を導出するときの手順を説明する図である。なお、図3に示すグラフは、縦軸が度数を、横軸が作業時間の区間を示し、右に行くほど作業時間が長いことを意味する。なお、図3に示すグラフは、説明のために、正規分布の形をとっているが、実際の作業時間の測定値が必ずしも正規分布になるとは限らない。
【0113】
監視シミュレート部32は、平均値μを求めると、次に、仮閾値記録部42を参照して、当該集合における許容範囲を定める。本実施形態では、「平均値+1σ」が仮閾値として設定されているので、「μ+1σ」以下の範囲rを許容範囲として定める。次に、監視シミュレート部32は、上記許容範囲rの上限(「μ+1σ」)(上限値)を上回った作業時間の度数(s1)を、遅延回数として出力する。
【0114】
なお、上述の説明では、「平均値+1σ」が仮閾値として設定された場合について説明し、許容範囲rに上限が定められる場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、「基準値(平均値、中央値、最頻値など)±1σ」を仮閾値として、「基準値−1σ」から「基準値+1σ」までの範囲Rを許容範囲として定めてもよい。この場合、許容範囲Rの下限(「基準値−1σ」)(下限値)を下回った作業時間の度数(s2)を、異常終了回数として出力すればよい。
【0115】
これにより、想定されている作業時間よりも大幅に早く仕上がった場合、部品の付け忘れや、極端な品質の低下などの状況が考えられる。下限値により異常を検知することによって、遅延を検知するだけでなく、異常な早期終了時にも対処することが可能となる。
【0116】
監視シミュレート部32が出力した異常検知回数は、工程ごとかつ型番ごとに、シミュレート結果表示制御部21を介して、シミュレート結果として出力され、表示部11に表示される。
【0117】
図4に、表示部11に表示される、シミュレート結果の例を示す。シミュレート結果70は、工程(列)、かつ、型番ごと(行)に、遅延回数(「上限」の列)と異常終了回数(「下限」の列)とを、表形式にて表している。なお、シミュレート結果70の表示形態は、図4に示す例に限定されない。
【0118】
さらに、遅延回数(異常終了回数)の多い、工程・型番のセルを強調表示することが望ましい(セル71、セル72)。これにより、ユーザは、過去の実績から、遅延回数(異常終了回数)が多いために、進捗異常対策が必要な工程・型番の組み合わせを、簡単に知ることが可能となる。
【0119】
結果として、ユーザは、進捗異常監視対象となる工程・型番を、進捗異常対策を要する工程・型番に絞り込むことが簡単に行えるようになる。進捗監視対象を絞り込めば、進捗監視対象に閾値を設定するための労力を低減することができ、結果として、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく生産進捗を管理することが可能となる。
【0120】
なお、どのセルを強調表示させるかは、回数が上位n番までのもの、あるいは、回数があらかじめ定められた値を超えたものなどと所定のルールを定めておけばよい。
【0121】
シミュレート結果70を利用して、ユーザが進捗監視対象となる工程・型番の組み合わせを特定するには、例えば、以下のような方法が考えられる。
【0122】
マウスなどのポインティングデバイスで構成される操作部12を用いて、ユーザによって、セル72が選択され、決定ボタン73がクリックされるとする。これにより、『「工程2・型番FFFFF」を「監視閾値の下限および上限」に基づいて監視する』という指示信号が、操作受付部24を介して、監視対象特定部33に供給される。
【0123】
監視対象特定部33は、監視対象となる工程・型番の組み合わせを特定するものである。監視対象特定部33は、操作受付部24から監視対象特定に関する指示信号を受け付けると、どの工程・型番の組み合わせを、監視閾値のいずれ(上限か下限か)を用いて監視するのかを示す監視対象情報を、監視閾値記録部43に設定する。
【0124】
図5(a)は、上述の例において、ユーザからの指示入力に応じて、監視対象特定部33が監視閾値記録部43に記録した、監視対象情報の例を示す図である。「工程」の列には、上述の例で選択された「工程2」を示す情報が、「型番」の列には、「FFFFF」を示す情報が格納される。
【0125】
なお、本実施形態では、監視対象特定部33は、ユーザの指示に基づき監視対象を特定する構成としたが、これに限定されない。例えば、監視シミュレート部32が出力したシミュレート結果70を参照し、所定の条件に基づき、監視対象とすべき工程(および型番)の組み合わせを自動で特定する構成としてもよい。例えば、所定の条件としては、「回数が上位n番までのもの」、あるいは、「回数がm回を超えたもの」などを設定することが考えられる。
【0126】
なお、ユーザは、提示された結果に基づいて監視対象を特定することが可能であるが、必ずしも強調表示された工程・品種をすべて選ぶ必要はなく、また、シミュレート結果では進捗異常が検知されなかったが、遅延または早期終了が発生すると、納期や品質に重大な影響があると考えられる工程・品種の組み合わせを監視対象に加えてもよい。
【0127】
監視閾値設定部34は、監視対象として特定された工程・型番の組み合わせに対して、必要な監視閾値を算出し、設定するものである。監視閾値設定部34は、監視シミュレート部32が監視をシミュレートする際に用いた、度数分布(図3)を参照する。この度数分布は、監視対象特定部33が特定した工程・型番の組み合わせに対応するものである。上述の例では、「工程2」・「型番FFFFF」の組み合わせに対しては、上限と下限との両方に基づき、監視することが指示されているので、図3のグラフを上述の例の度数分布とすれば、上限(μ+1σ)および下限(μ+1σ)における作業時間を算出する。本実施形態では、例えば、上限=70秒(s)および下限=10秒(s)を算出したものとする。
【0128】
監視閾値設定部34は、算出した監視閾値を、監視閾値記録部43に記録する。
【0129】
図5(b)は、上述の例において、監視対象特定部33が特定した監視対象について、監視閾値設定部34が設定した、監視閾値の例を示す図である。1行目には、図4において、セル71が選択されたときの監視閾値が格納されている。2行目には、セル72が選択されたときの監視閾値が格納されている。進捗監視部35は、監視閾値設定部34に記録された、監視対象情報および監視閾値を用いて、各工程・型番の進捗異常を監視することができる。
【0130】
進捗監視部35は、監視閾値設定部34に記録されている監視対象(工程・型番)の進捗を監視し、進捗異常を検知するものである。進捗異常を検知した場合には、警報装置3が進捗異常を報知するよう制御する。より具体的には、例えば、工程2に、型番BBBBBのワーク(以下ワークB)が投入された場合、作業実績取得部13は、その投入時点を作業開始時刻として取得して、作業実績記録41に、工程・型番と関連付けて記憶する。進捗監視部35は、現在時刻と上記作業開始時刻との差分を監視することにより、工程2に投入された、ワークBに係る作業時間を監視する。ここで、ワークBが工程2から排出されるまでに、監視閾値の上限である60秒を経過すると、進捗監視部35は、工程2に対して遅延が発生したことを検知し、工程2に遅延が発生したことを示す情報を、警報出力制御部23を介して、警報装置3に出力する。
【0131】
上記構成によれば、進捗監視部35は、ユーザの指示に基づき、監視対象として特定された工程・型番の組み合わせに対して、監視閾値設定部34が算出した監視閾値に基づき、生産進捗の監視を行う。そして、遅延などの異常を検知した場合は、進捗監視部35が
、その検知情報を、警報装置3を介してユーザに報知する。
【0132】
進捗異常であるか否かの判定は、工程ごとのみならず、型番ごとに行われるので、多品種少量生産の手組みラインにおいても、より正確に、生産進捗を管理することが可能となる。そして、ユーザは、その生産進捗の異常をリアルタイムで認知することが可能となり、すみやかにその対応策を講じることが可能となる。
【0133】
以上のことから、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理することが可能となる。
【0134】
(生産管理装置の処理)
図6は、本実施形態の生産管理装置2における、進捗監視シミュレート処理、監視対象特定処理、および、監視閾値設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0135】
生産管理装置2は、例えば、操作受付部24を介して、進捗監視シミュレートを行う指示をユーザより受け付けると、作業進捗管理に係る各種設定処理を開始する。
【0136】
まず、監視シミュレート部32が、作業実績記録41から、進捗監視シミュレートで利用する作業実績を取得する(S101)。
【0137】
次に、監視シミュレート部32は、あらかじめ定められた仮閾値(例えば、「平均値+1σ」)に基づき作業時間の許容範囲(例えば、上限値「μ+1σ」)を定めて、工程ごとかつ型番ごとに取得した各作業時間を検証し、許容範囲からはずれている作業時間の度数(すなわち、異常検知回数)を、工程ごとかつ型番ごとにカウントする(S102)。
【0138】
続いて、すべての作業時間についての検証が終わると、監視シミュレート部32は、工程ごとかつ型番ごとにカウントした異常検知回数をシミュレート結果として、シミュレート結果表示制御部21に出力する(S103)。シミュレート結果表示制御部21は、監視シミュレート部32より供給された上記シミュレート結果を、表示部11に表示するよう制御を行う(S104)(図4)。
【0139】
ここで、生産管理装置2は、例えば、図4に示すシミュレート結果としてのGUI画面と、操作受付部24とを介して、監視対象となる工程(および型番)を特定する指示をユーザより受け付けると(S105においてYES)、監視対象特定部33は、ユーザが指定する工程(および型番)を、進捗監視部35が監視するように、指定された工程(および型番)を示す監視対象情報を、監視閾値記録部43に設定する(S106)(図5(a))。
【0140】
次に、監視閾値設定部34は、設定された監視対象ごとに、当該監視対象に適用する監視閾値を設定する(S107)。具体的には、例えば、上記仮閾値に基づいて求めた許容範囲の上限値から、実際の許容時間(例えば、「70秒以下」など)を算出する。監視閾値設定部34は、算出された監視閾値を、監視対象ごとに(すなわち、工程(および、型番)に関連付けて)、監視閾値記録部43に記録する(S108)(図5(b))。
【0141】
上記方法によれば、監視シミュレート部32は、過去の作業実績とあらかじめ定められた仮閾値とを利用して、当該過去の作業に対して仮に監視を行った場合に、何回異常が検知されるかをシミュレートすることが可能となる。過去の実績に基づくシミュレート結果を確認することにより、ユーザは、簡単に、進捗異常の対策を要する工程(および型番の組み合わせ)を特定することができる。
【0142】
また、監視対象が特定されれば、上記仮閾値を用いて、監視対象ごとに監視閾値が自動で設定されるので、閾値を設定するための煩雑な操作からユーザを解放することが可能となる。
【0143】
結果として、進捗異常監視対象を、進捗異常対策を要する工程に絞りこむこと、および絞り込んだ監視対象に対する監視条件の設定が簡便に行えるようになる。すなわち、進捗管理を行うための条件設定に要する労力を低減させることができ、かつ、実際の監視の段階にあっては、進捗異常対策を要する工程に監視対象を絞り込んでいるため、不要な警報の頻発を防ぎ、効率のよい進捗管理を行うことが可能になる。
【0144】
結果として、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理することが可能となる。
【0145】
なお、本実施形態では、図2(a)に示す、実作業工程ごとかつ型番ごとに作業時間を取得することにより監視をシミュレートする手順を例に説明したが、上記に限定されない。例えば、図2(b)に示す実作業工程間(すなわち待ち工程)での滞留時間(実績情報)を取得して、滞留時間の仮閾値に基づき、一定時間以上滞留しているか否かによって、異常検知回数をカウントするようにしてもよい。また、型番を利用せず、工程ごとの作業時間に対して、監視シミュレートを行えば、型番によらずに工程ごとの進捗監視についての遅延などの異常回数をカウントすることができる。
【0146】
また、上述の説明では、仮閾値が「平均値+1σ」の場合について説明したが、設定される仮閾値はこれに限定されない。例えば、基準値の±(または、+、−)x%(xは任意)として、作業時間の比率により、許容範囲の上限(および/または下限)を定めてもよい。あるいは、基準値の±(または、+、−)y個(yは任意)として、基準値の計測値(作業時間)からy個分上(または下)に離れている測定値(作業時間)を、上限(および/または下限)としてもよい。また、上述の説明で挙げた例のように、計測値が「作業時間」や「滞留時間」など、時間を単位とした数値を有する場合は、仮閾値を、基準値の±(または、+、−)z秒として、基準値よりz秒長い(あるいは短い)測定値を、許容範囲の上限(および/または下限)としてもよい。また、上限と下限とで、異なる値を定めてもよい。
【0147】
なお、上述の説明では、進捗異常を検知し、ユーザに報知するための、進捗監視部35および警報出力制御部23を、生産管理装置2の内部に設ける構成としたが、これに限定されない。例えば、進捗監視部35および警報出力制御部23を備えた進捗監視装置(図示せず)を、進捗監視部35および警報出力制御部23を備えていない生産管理装置2および警報装置3と通信可能に設けてもよい。この場合、生産管理装置2が特定した、監視対象に対して、生産管理装置2が定めた監視閾値に基づき、進捗監視装置が進捗異常を監視する。このとき、作業実績取得部13および作業実績記録41は、生産管理装置2および進捗監視装置の少なくともいずれか一方に備えられていればよい。
【0148】
あるいは、作業実績を各工程から収集するための、作業実績取得部13を備えた作業実績収集装置(図示せず)を、工程ごとに複数配置し、各作業実績収集装置から作業実績データが、生産管理装置2に供給されるようにしてもよい。この場合、生産管理装置2と各作業実績収集装置とが通信可能に設けられていれば、生産管理装置2は、作業実績取得部13を備えていなくても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0149】
〔実施形態2〕
上述の実施形態では、あらかじめ定められた仮閾値に基づき、生産進捗管理に係る各種設定を行い、生産管理装置2が定めた監視閾値に基づいて、進捗監視を行う例について説明した。上記各閾値を、ユーザが簡単に任意に調整できるような構成にすれば、より精度の高い閾値を設定することが可能となり、進捗監視の精度も向上する。以下では、各閾値を調整可能な生産管理装置2について、詳細に説明する。
【0150】
(仮閾値の調整)
図7は、本実施形態に係る、仮閾値および監視閾値を調整するための生産管理装置2の要部構成を示す図である。同図に示すように、生産管理装置2は、図1に示す構成と比較して、仮閾値調整部(条件設定手段)38および監視閾値調整部(監視条件設定手段)39をさらに備えた構成となっている。その他の構成については、上述した図1に示す構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0151】
仮閾値調整部38は、仮閾値設定部31により仮閾値記録部42に記録されている仮閾値を、ユーザの指示に基づいて、変更するものである。本実施形態では、ユーザの仮閾値の変更の指示は、GUI画面を用いて行われる。
【0152】
図8は、設定画面表示制御部22の表示制御に基づき、表示部11に表示される、仮閾値の指定・調整のためのGUI画面の例を示す図である。この仮閾値設定画面80は、例えば、操作受付部24を介して、進捗監視シミュレートを行う指示や、仮閾値調整の指示をユーザから受け付けることにより、設定画面表示制御部22によって表示される。
【0153】
仮閾値設定画面80は、例えば、閾値の種類を指定するためのコンボボックス74、閾値を指定するためのテキストボックス75、上記で指定した条件にて、監視シミュレートを開始するための評価ボタン76、および、シミュレート対象となる過去の実績の期間を指定するためのコンボボックス77からなっている。なお、仮閾値設定画面80のデザインは、これに限定されない。
【0154】
コンボボックス74を用いて、ユーザは、求める閾値の種類を指定することができる。例えば、上述した例を挙げれば、「標準偏差」、「比率」、「度数」、および、「時間幅」を選択できるようにすることが考えられる。これにより、閾値を指定するためのテキストボックス75では、それぞれ、「基準値(平均値、中央値、最頻値)±wσ」、「基準値の±x%」、「基準値からy個分上(下)位に離れた測定値」、および、「基準値±z秒」を示す数値を指定することになる。
【0155】
なお、コンボボックス77のように、シミュレート対象の期間をユーザが任意に指定することにより、よりユーザが望むシミュレート結果を導出することが可能となる。例えば、作業環境の変化によって、一定以上古い作業実績を頼りにすることができないと判断した場合、ユーザは、信頼性のある最近の作業実績のみに基づいて、監視シミュレートを行うように、生産管理装置2に指示することが可能となる。
【0156】
なお、生産管理装置2が一度出力したシミュレート結果が、ユーザの満足のいくものでなかった場合、ユーザは、この仮閾値設定画面80を再び呼び出し、仮閾値を再調整するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザが満足のいくシミュレート結果が得られるまで、仮閾値を調整することが簡単に行えるようになる。具体的には、例えば、作業時間のばらつきの少なかった工程に一律に仮閾値を適用した結果、当該工程に対しての仮閾値が基準値±0.5秒などとなってしまい、異常検知が頻発してしまうので、このような仮閾値は、進捗を監視する上で、最適な閾値であるとはいえない。そこで、このような場合には、仮閾値を調整することにより、警報発生頻度を調節して、不要な警報の発生を抑えることができるようになる。
【0157】
仮閾値設定画面80によって指定された仮閾値は、仮閾値情報として、操作受付部24を介して、仮閾値調整部38に供給される。仮閾値調整部38は、上記仮閾値情報に基づいて、指定された仮閾値を仮閾値記録部42に記録する。続いて、監視シミュレート部32は、その記録された仮閾値に基づき監視シミュレートを行う。
【0158】
(監視閾値の調整)
監視閾値調整部39は、監視対象として特定された工程・型番の組み合わせに対して、監視閾値設定部34により算出され、監視閾値記録部43に記録されている監視閾値を、ユーザの指示に基づいて、変更するものである。本実施形態では、ユーザの監視閾値の変更の指示は、GUI画面を用いて行われる。
【0159】
図9(a)および(b)は、設定画面表示制御部22の表示制御に基づき、表示部11に表示される、監視閾値の指定・調整のためのGUI画面の例を示す図である。この監視閾値調整画面90は、例えば、操作受付部24を介して監視閾値調整の指示をユーザから受け付けることによって、あるいは、ユーザ(または、自装置)が特定した監視対象についての監視閾値を自動算出したのちに、設定画面表示制御部22によって表示される。
【0160】
監視閾値調整画面90は、例えば、過去の作業実績(作業時間または滞留時間)と現在設定されている監視閾値の上下限とを図示したグラフ領域78と、ユーザの変更指示を受け付ける入力領域79とからなっているが、これに限定されない。例えば、現在定められている監視閾値を、図5(b)のように示し、それをユーザが手動で変更できるようにしてもよい。しかし、グラフを用いれば、実績と監視閾値との関係を視覚的に把握し、最適な監視閾値を決定しやすくなるので、ユーザが具体的にどのような数値に変更すればよりよい監視が行えるのか分からない場合には、グラフを用いて現状を図示することが好ましい。
【0161】
入力領域79では、監視閾値の数値を指定するためのテキストボックスを設けてもよい。あるいは、例えば、指定回数の異常が検出されるような監視閾値を算出するために、その回数を指定するためのテキストボックスを設けてもよい。監視閾値設定部34は、許容範囲を4回はずれることによって、異常として4回検知されるような閾値を算出する。より具体的には、例えば、ユーザによって、超過回数(異常検知回数)を指定するためのテキストボックス81に4が入力された場合、監視閾値設定部34は、その上限値を合計で4回超えるような上限値(例えば、図9(a)の上限ライン82)、すなわち、上限値「80秒」を算出し、設定する。
【0162】
なお、この際、上記閾値は、合計で4回検知する上限値であってもよいし、下限値であってもよいし、上限値と下限値の中間値等であってもよい。
【0163】
監視閾値調整画面90によって指定された監視閾値は、監視閾値情報として、操作受付部24を介して、監視閾値設定部34に供給される。監視閾値設定部34は、上記監視閾値情報に基づいて、指定された(または、算出した)監視閾値を監視閾値記録部43に記録する。
【0164】
これにより、ユーザは、装置が自動で設定した監視閾値のみならず、自身が調整した監視閾値を、簡単に監視閾値記録部43に記録することが可能となる。これにより、ユーザの閾値設定作業を支援し、負担を軽減することができる。
【0165】
なお、グラフ領域78に示されるグラフは、図9(a)に示す折れ線グラフや、図9(b)に示すヒストグラムに限定されず、実績と監視閾値との関係を視覚的に把握するために、ユーザを支援するものであればどのような表現形式を用いてもよい。
【0166】
(閾値調整処理)
図10は、本実施形態の生産管理装置2における、進捗監視シミュレート処理、監視対象特定処理、および、監視閾値設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0167】
生産管理装置2は、例えば、操作受付部24を介して、進捗監視シミュレートを行う指示をユーザより受け付けると、作業進捗管理に係る各種設定処理を開始する。
【0168】
まず、設定画面表示制御部22は、図8に示すような仮閾値設定画面80を表示部11に表示する(S201)。このとき、あらかじめ定められている仮閾値を併せて表示する。
【0169】
ここで、ユーザから仮閾値の設定を確定させる指示が入力された場合は(S202においてYES)、仮閾値設定部31は、S201で表示された仮閾値を仮閾値記録部42に設定する(S203)。一方、ユーザから仮閾値の設定変更の指示が入力された場合は(S202においてNO、S204においてYES)、仮閾値設定部31は、S204で受け付けたユーザの指定する仮閾値を、仮閾値記録部42に設定する(S205)。
【0170】
続いて、監視シミュレート部32は、作業実績記録41から、進捗監視シミュレートで利用する作業実績を取得する(S206)。ここで、図8に示すように、シミュレート対象期間が指定されている場合は、指定されている期間内に記録された作業実績のみを取得する。
【0171】
次に、監視シミュレート部32は、上記S203またはS205にて設定された仮閾値に基づき、進捗監視シミュレートを行う(S207)。シミュレートの手順については、実施形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。S207において、取得したすべての作業時間について検証が終わると、監視シミュレート部32は、工程ごとかつ型番ごとに許容範囲をはずれた度数(異常検知をカウントした回数)を出力する(S208)。
【0172】
ここで、シミュレート結果表示制御部21は、上記工程ごとかつ型番ごとの、異常検知回数を表示部11に表示する。ユーザは、表示部11に表示されたシミュレート結果を確認する。ここで、ユーザによって、仮閾値に変更が必要であると判断されれば、ユーザにより仮閾値変更の指示が入力される(S209のYES)。この場合、どのように仮閾値を変更するかを待ち受ける状態(S204)に戻る。
【0173】
一方、仮閾値を変更する必要がないと判断されれば(S209のNO)、続いて、監視対象特定部33は、所定の条件に基づいて、監視対象となる工程・型番の組み合わせを特定し、監視閾値記録部43に設定する(S210)。なお、監視対象の特定は、実施形態1と同様、ユーザの指示に応じて行ってもよい。
【0174】
次に、設定画面表示制御部22は、特定された監視対象(工程・型番の組み合わせ)ごとに、仮閾値と異常検知回数とを表示部11に表示する(S211)。
【0175】
ここで、ユーザから監視閾値の設定を確定させる指示が入力された場合は(S212においてYES)、監視閾値設定部34は、S210にて特定された監視対象ごとに、監視閾値を算出し(S213)、監視対象と、算出された監視閾値とを関連付けて監視閾値記録部43に記録する(S214)。なお、監視閾値の上限(および下限)は、S207において、上記仮閾値に基づき定められた許容範囲の上限(および下限)を用いて、算出される。
【0176】
一方、ユーザから監視閾値の設定変更の指示が入力された場合は(S212においてNO)、監視対象について監視閾値を設定する指示の入力を待ち受ける(S215)。監視閾値を設定する指示が入力された場合には(S215においてYES)、監視閾値設定部34は、その監視対象の実績データと現在の仮閾値とともに、監視閾値調整画面を表示する(S216)。
【0177】
続いて、監視閾値を指定する指示をユーザより待ち受け(S217)、該指示が入力された場合には、その指定された監視閾値に基づいて、再度シミュレーションを行い(S218)、新たなシミュレート結果(仮閾値および異常検知回数)を反映させたものを表示部11に表示する(S211に戻る)。なお、S217にて入力された指示が、監視閾値の数値を指定する指示ではなく、異常検知回数を指定する指示であった場合には、指定回数の異常が検知されるような閾値を算出し、算出した閾値を監視閾値として、S218に移行すればよい。
【0178】
上記方法によれば、設定画面表示制御部22を介して、仮閾値設定画面80が表示され、ユーザは、簡単に、仮閾値の調整指示を仮閾値設定部31に対して行えるようになる。したがって、満足のいくシミュレート結果を得るための仮閾値の調整が容易になり、進捗管理にかかる作業効率を低下させることがなくなる。また、監視閾値調整画面90が表示されることにより、ユーザは、算出された監視閾値を監視対象ごとに調整する指示を、監視閾値設定部34に対して簡単に行えるようになる。したがって、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、より精度の高い閾値を設定することが可能となり、進捗監視の精度を向上させることもできる。
【0179】
また、上記方法によれば、一度、仮閾値を全体に適用し、「必要な箇所のみ」調整を行うことが可能となり、調整が不要なところ(仮閾値のままで十分な監視ができると思われるところ)の設定を行う必要がない。したがって、何も閾値が設定されていないゼロの状態から一つ一つの監視対象に対して監視条件を定めるよりも、簡便に閾値を設定することができ、かつ、全監視対象について一律に適用したときよりも精度の高い閾値を設定することが可能となる。
【0180】
なお、上記の説明では、監視閾値の調整(S217)に際して、仮閾値(第一条件)は保持したまま、監視閾値(第二条件)のみ調整する構成としたが、必要に応じて、監視対象ごとに仮閾値の変更を受け付けるものであってもよい。
【0181】
〔変形例:作業者ごとに監視閾値を調整する〕
上述の実施形態では、監視閾値を工程ごと、かつ、型番ごとに、ユーザが任意に調整できる構成としたが、本発明の生産管理装置2は、上記構成に限定されない。例えば、図2(c)に示すとおり、作業実績記録部41に、実作業工程および品種ごとに記録されている、作業開始および終了時刻に、さらに、作業者名を関連付けて記録し、作業実績記録部41が、作業者情報を記憶するための作業者情報記憶部を含む構成とすることも可能である。
【0182】
これにより、作業時間を、工程ごと、型番ごと、かつ、作業者ごとに管理することが可能となる。したがって、図5(c)に示すとおり、作業者ごとに監視閾値を設定できる。監視閾値の調整方法として、より具体的に図5(c)に示す例で説明すれば、例えば、熟練者(作業者E)に関しては許容幅を狭く、初心者(作業者A)に対しては許容幅を広くできる。これにより、不要な警報の頻発を防ぎ、効率のよい監視が行える。
【0183】
〔実施形態3〕
本実施形態では、工程ごとかつ型番ごとの監視閾値が定まったのち、該監視閾値に基づいて進捗監視を行い、生産進捗の異常を報知する生産管理装置2の構成について、さらに詳細に説明する。
【0184】
(生産管理装置の構成2)
図11は、本実施形態に係る生産管理装置2の要部構成を示す図である。同図に示すように、生産管理装置2は、図1に示す構成と比較して、警報出力条件管理部(警報出力条件管理手段)36および警報出力条件記録部44をさらに備えた構成となっている。その他の構成については、上述した図1に示す構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0185】
警報出力条件管理部36は、所定の条件を満たす場合のみ、警報装置3に警報を出力するよう進捗監視部35を制御するものである。所定の条件とは、例えば、「監視閾値の上限を超えた場合(遅延している場合)のみ報知する」、「進捗異常が、累積(連続)でn回以上検知された場合に報知する」などの、警報を出力するか否かを警報出力条件管理部36が判別するための警報出力条件のことである。本実施形態では、この警報出力条件は、工程ごとかつ型番ごとの監視対象ごとに、警報出力条件記録部44に記録されている。
【0186】
警報出力条件記録部44に記録されている警報出力条件は、あらかじめ設定されていてもよいし、ユーザが任意に設定・変更できるようにしてもよい。
【0187】
図12は、設定画面表示制御部22が表示部11に表示した、警報出力条件設定画面の例を示す図である。
【0188】
図12に示す例では、「上限(下限)閾値」の項目83において、「報知しない」を選択することにより、進捗監視部35が異常を検知しても、警報を出力しないように設定することができる。「カウント方法」の項目84において、「累積」または「連続」のいずれかを選択することにより、進捗監視部35が検知する異常の回数のカウント方法について、断続的に発生するものも含めて累積でカウントするか、または、連続で発生したものに限りカウントするかを設定することができる。「回数」の項目85において、数値を入力することにより、警報を出力する条件(異常検知回数)を設定することができる。
【0189】
例えば、工程3の型番BBBBBの作業時間については、『上限に基づき、遅延が「連続で2回(図12破線枠内)」発生したときのみ報知する』という警報出力条件が設定されていることになる。また、工程4の型番CCCCCの作業時間については、「上限および下限に基づき、早期終了または遅延が、累積で3回発生したときに報知する」という警報出力条件が設定されていることになる。
【0190】
図13は、警報出力条件記録部44に記録されている警報出力条件の例を示す図である。図13に示す情報は、図12に示す例に沿って、警報出力条件設定画面からユーザにより指定された警報出力条件を示す。「検知回数」の項目86は、進捗監視部35が進捗監視を開始して以来、検知された異常検知回数を示す。進捗監視部35は、異常を検知した工程および型番を特定して、項目「カウント方法」にて指定されたカウント方法に基づいて、該工程および型番の項目86の回数を1加算する。
【0191】
警報出力条件管理部36は、図13示す警報出力条件に基づき、警報を出力するか否かを判定する。
【0192】
上述のように、警報出力条件を適宜設定することによって、必要以上に警報装置3が作動することを防ぐことができる。例えば、1度遅延が発生した程度では、遅延の対策が必要なくても、それが、複数回(連続で)発生した場合に初めて遅延の対策が必要であるような環境では、特に有効である。
【0193】
(監視・異常報知処理)
図14は、本実施形態の生産管理装置2(図11)における、進捗監視処理および異常報知処理の流れを示すフローチャートである。同図では、異常検知回数を累積でカウントする場合について、図13の例(工程4・型番CCCCCの組み合わせ(以下、監視対象Aとする))について説明する。
【0194】
進捗監視部35は、作業実績取得部13および時刻供給部14によって、作業実績記録41の作業実績が更新されることによって、進捗の監視を行う。より具体的には、まず、進捗監視部35は、作業実績記録部41に記録される作業実績において、工程の作業開始時刻が更新されたことを検知し、また、その該当する工程が、進捗監視対象として特定されていることを確認して、進捗監視を開始する(S300のYES)。
【0195】
進捗監視部35は、監視閾値記録部43において特定されている監視対象Aについて、作業終了時刻の更新がない間は(S301においてNO)、現在時刻と監視対象Aの作業開始時刻との差分が、上限閾値(450秒)を超過するまで、監視対象Aを監視する(S302においてNO)。
【0196】
ここで、作業終了時刻が更新されないままに、開始時刻から450秒を超過すると、(S302においてYES)、進捗監視部35は監視対象Aにおいて、遅延が発生したことによる異常を検知する(S303)。続いて、累積カウンタ(図13の項目86)に記録されている検知回数に1を加算する(S304)。
【0197】
警報出力条件管理部36は、更新された累積カウンタの検知回数と、回数閾値「3」(図13の項目87)とを比較し、検知回数が回数閾値を上回った場合は(S305においてYES)、異常報知を行うと判定する。これに応じて、進捗監視部35は、警報装置3を制御して、異常が発生した工程を示す情報とともに警報を出力する(S306)。最後に、上記累積カウンタの検知回数を初期化し(S307)、監視終了の指示が入力されなければ(S308においてNO)、S300に戻って、次の監視対象Aの作業開始まで待つ。一方、検知回数が回数閾値「3」に達していない場合も(S305においてNO)、監視終了の指示が入力されなければ、S300以降のステップに戻る。
【0198】
一方、S301において、監視対象Aについて、作業終了時刻の更新が検知された場合、進捗監視部35は、作業終了時刻と作業開始時刻との差分が、下限閾値(300秒)を上回っているか否かを判定する(S309)。該差分が、300秒を下回っていると判定した場合は(S309においてNO)、進捗監視部35は、監視対象Aにおいて、想定外に早く作業が終了したことによる早期異常終了が発生したことを検知する(S303)。S304以降の処理は、上記と同様である。
【0199】
S309において、上記差分が、300秒以上であった場合には、監視対象Aの作業時間が許容範囲内であったと判断し、監視終了の指示が入力されなければ、そのままS300以降のステップに戻る。
【0200】
これにより、指定回数以上の異常が発生した監視対象について、対策が必要な場合にのみ警報を出力するよう、進捗監視部35を制御することが可能となる。
【0201】
図15は、本実施形態の生産管理装置2(図11)における、進捗監視処理および異常報知処理の流れを示すフローチャートである。同図では、異常検知回数を連続でカウントする場合について、図13の例(工程3・型番BBBBBの組み合わせ(以下、監視対象Bとする))について説明する。
【0202】
図14に示す累積回数による警報出力制御の手順と異なる点は、連続カウンタ(図13の項目86)は、警報が出力された後のみならず、作業が許容範囲内で正常に終了した後にも初期化される点である。これは、連続で異常が検知されなかった場合には、また、0から異常検知回数をカウントするためである。以下、図14の例と異なる点についてのみ詳細に説明する。
【0203】
監視対象Bについて、作業終了時刻の更新が検知された場合(S401においてYES)、進捗監視部35は、まず、作業終了時刻と作業開始時刻との差分が、下限閾値(100秒)を下回っているか否かを判定する(S409)。上記差分が100秒を下回っている場合は(S409においてYES)、進捗監視部35は、監視対象Bにおいて、想定外に早く作業が終了したことによる早期異常終了が発生したことを検知する(S403)。反対に、上記差分が100秒以上であれば、監視対象Bの作業時間が許容範囲内であったと判断し、連続カウンタの検知回数を初期化し(S407)、監視終了の指示が入力されなければ(S408においてNO)、S400に戻って、次の監視対象Bの作業開始まで待つ。
【0204】
これにより、指定回数以上の異常が連続で発生した監視対象について、対策が必要な場合にのみ警報を出力するよう、進捗監視部35を制御することが可能となる。
【0205】
上記各方法によれば、適宜設定した警報出力条件に基づいて、必要以上に警報装置3が作動することを防ぐことができ、ユーザは、進捗異常対策が必要な工程のみについて、進捗異常対策が必要なときにのみ発生した進捗異常を認知できる。
【0206】
なお、本実施形態では、工程ごとかつ型番ごとに警報出力条件を管理する構成とした。これにより、同じ品種(型番)の製品が、まばらにしか製造されない場合(1ロットに1個の製品しか含まれない場合)にでも、同一工程、同一型番で、異常が累積(連続)で発生したことを検知することが可能である。
【0207】
しかし、本発明は、上記構成に限定されない。例えば、型番を利用せず、工程ごとに警報出力条件を設定することも可能である。この場合、型番(品種)の違いによらず、進捗異常が発生しやすい工程を監視することが可能となる。
【0208】
あるいは、遅延回数と早期異常終了回数とを個々に管理する場合は、それぞれに、累積(連続)カウンタを設け、警報出力条件もそれぞれ設定するようにすればよい。これにより、例えば、想定外に早く終了することよりも、遅延が発生する方が重大な問題となる場合に、遅延発生時には、より頻繁に警報を出力するよう、進捗監視部35を制御することが可能となる。
【0209】
なお、上述の説明では、生産管理装置2が、作業時間(または、滞留時間)を利用して、遅延や早期異常終了を検知する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、工程間の仕掛品置き場に滞留する仕掛在庫数(実績情報/被対象物の数量)を測定し、仕掛在庫数に基づいて進捗監視を行ってもよい。
【0210】
〔実施形態4〕(仕掛在庫数による進捗監視)
上述の各実施形態では、測定した作業時間を利用して、工程の進捗監視(および監視のための各種設定)を行う構成について説明したが、本発明の生産管理装置2の構成は、これに限定されない。以下、待ち状態にあるワークの個数(仕掛在庫数)に基づき、工程の進捗監視(および監視のための各種設定)を行う生産管理装置2の構成について説明する。
【0211】
図11に示す、仕掛在庫記録部45は、各工程間の仕掛品置き場にて、次工程に投入されるのを待っているワークの個数を記録するものである。図16に、仕掛在庫記録部45に記録される仕掛在庫情報の例を示す。
【0212】
仕掛在庫管理部37は、仕掛在庫記録部45を参照し、仕掛在庫情報を管理するものである。より具体的には、例えば、作業実績取得部13がセンサ4から検知信号を取得することにより、作業実績記録41に記録される、工程kの作業終了時間が更新されると、工程k+1の該当型番の仕掛在庫数を1加算する。また、工程k+1の作業開始時刻が更新されると、工程k+1の該当型番の仕掛在庫数を1減算する。これにより、どの型番のワークが、どの工程の前で、いくつ待ち状態になっているのかをリアルタイムで把握することが可能となる。
【0213】
これにより、工程ごとかつ型番ごとに、仕掛在庫数の上限値を、監視閾値として監視閾値記録部43に設定すれば、進捗監視部35は、仕掛在庫数に基づき、進捗異常を監視することが可能となる。
【0214】
また、監視対象の絞込みおよび監視閾値の設定には、上記仕掛在庫情報の過去の実績を用いればよい。より具体的には、図16に示す仕掛在庫情報の更新ログを、一定間隔ごとに保存しておけば、過去の実績として利用することができる。あとは、上述した各実施形態と同様に、仮閾値を求めて、監視シミュレートを行い、監視対象を特定して、監視対象ごとにより精度の高い監視閾値を調整すればよい。
【0215】
以上のことから、仕掛品の在庫数を用いても、進捗管理にかかる作業効率を低下させることなく、生産進捗を管理することが可能となる。
【0216】
さらに、目で確認することができない「時間」ではなく、目視可能な仕掛品の在庫数によって、進捗監視を行うことが可能となるので、設定した閾値の緩急を直観的に把握することができ、閾値調整の負担を軽減することができる。
【0217】
また、時間の監視では検知されない程度の少しの遅れであっても、累積した場合には問題となることが予想されるが、このような場合には、遅れが発生している実作業工程の直前の仕掛在庫数を調べることによって、進捗異常を検知することができるようになる。
【0218】
なお、本発明の生産管理装置2を、仕掛在庫記録部45に記録される仕掛在庫数および作業実績記録41に記録される作業時間(滞留時間)の両方を用いて、進捗監視に係る各種設定および進捗監視を行うよう構成することもできる。
【0219】
また、上記では、上限値のみを指定する場合について説明したが、在庫数について、下限値も指定できる構成とすることができる。この場合、例えば、実作業工程kの作業者Aより、実作業工程k+1の作業者Bの方が、作業速度が早い場合に、仕掛り在庫が0になってしまい、作業者Bに作業ができない時間が生じてしまうという問題がある。そこで、在庫数が0になる前に、仕掛在庫数が一定数を下回ったときに、管理者がそれを検知できるように進捗を監視することで、上記のような問題が生じるのを防ぐことができる。
【0220】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0221】
最後に、生産管理装置2の各ブロック、特に、監視シミュレート部32、監視対象特定部33および監視閾値設定部34は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0222】
すなわち、生産管理装置2は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである生産管理装置2の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記生産管理装置2に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0223】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0224】
また、生産管理装置2を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0225】
本発明に係る生産管理装置は、手組み生産ラインのみならず、自動生産ラインの生産進捗状況の管理に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0226】
【図1】本発明の実施形態に係る生産管理装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(c)は、作業実績記録部に記録される作業実績情報の例を示す図である。
【図3】生産管理装置の監視シミュレート部が、仮閾値に基づいて、作業時間の集合から、異常発生回数を導出するときの手順を説明する図である。
【図4】監視シミュレート部が出力するシミュレート結果の表示例を示す図である。
【図5】(a)は、監視閾値記録部に記録される監視対象情報の例を示す図であり、(b)および(c)は、監視閾値記録部に記録される監視閾値の例を示す図である。
【図6】本実施形態における、生産管理装置の、進捗監視シミュレート処理、監視対象特定処理、および、監視閾値設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係る生産管理装置の要部構成を示すブロック図である。
【図8】仮閾値設定画面の表示例を示す図である。
【図9】(a)および(b)は、監視閾値調整画面の表示例を示す図である。
【図10】他の実施形態における、生産管理装置の、進捗監視シミュレート処理、監視対象特定処理、および、監視閾値設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施形態に係る生産管理装置の要部構成を示すブロック図である。
【図12】警報出力条件設定画面の表示例を示す図である。
【図13】警報出力条件記録部に記録される警報出力条件の例を示す図である。
【図14】他の実施形態における、生産管理装置の、進捗監視処理および異常報知処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】他の実施形態における、生産管理装置の、進捗監視処理および異常報知処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】仕掛在庫記録部に記録される仕掛在庫情報の例を示す図である。
【図17】手組み生産ラインの例を示す図である。
【符号の説明】
【0227】
2 生産管理装置
3 警報装置
4 センサ
5 品種入力部
11 表示部(警報装置)
12 操作部
13 作業実績取得部
14 時刻供給部
20 入出力制御部
21 シミュレート結果表示制御部(結果出力手段)
22 設定画面表示制御部
23 警報出力制御部(警報制御手段)
24 操作受付部(条件変更受付手段/監視条件変更受付手段)
30 生産管理制御部
31 仮閾値設定部(条件設定手段)
32 監視シミュレート部(監視シミュレート手段)
33 監視対象特定部(監視対象特定手段)
34 監視閾値設定部(監視条件設定手段)
35 進捗監視部(進捗監視手段)
36 警報出力条件管理部(警報出力条件管理手段)
37 仕掛在庫管理部
38 仮閾値調整部(条件設定手段)
39 監視閾値調整部(監視条件設定手段)
40 記録部
41 作業実績記録部
42 仮閾値記録部
43 監視閾値記録部
44 警報出力条件記録部
45 仕掛在庫記録部
70 シミュレート結果
80 仮閾値設定画面
90 監視閾値調整画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の生産工程からなる生産ラインの生産進捗管理を行うために、被対象物の作業進捗に係る実績情報が工程ごとに記録されており、上記実績情報を複数含む作業実績データを取得する生産管理装置において、
上記作業実績データに含まれる各実績情報のうち、所定の条件を満たさないものの個数を異常数として、上記工程ごとにカウントする監視シミュレート手段と、
上記監視シミュレート手段がカウントした各異常数をシミュレート結果として表示部に出力する結果出力手段とを備えていることを特徴とする生産管理装置。
【請求項2】
上記生産工程は、上記生産ラインにおいて被対象物に実作業が施される実作業工程と、実作業工程の前または後で、上記被対象物が待ち状態あるいは移動状態におかれる待ち工程とからなる全工程のうち、少なくとも一つ以上の工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の生産管理装置。
【請求項3】
上記作業実績データは、工程と被対象物の品種との組み合わせごとに記録した、作業進捗に係る実績情報を複数含み、
上記監視シミュレート手段は、上記所定の条件を満たさないものの個数を異常数として、上記工程ごと、かつ品種ごとにカウントすることを特徴とする請求項1または2に記載の生産管理装置。
【請求項4】
操作部を介してユーザにより入力された、上記所定の条件の変更指示を受け付ける条件変更受付手段と、
上記所定の条件を、ユーザにより指定された条件に変更する条件設定手段とを備え、
上記監視シミュレート手段は、上記変更された条件に基づき、実績情報の異常数をカウントすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生産管理装置。
【請求項5】
上記所定の条件は、工程、または、工程と被対象物の品種との組み合わせごとにグループ化された実績情報グループに適用する、(1)各実績情報グループの基準値に対する比率、(2)各実績情報グループの基準値からの偏差、(3)各実績情報グループの基準値となる実績情報から、上位(および/または下位)に、何個離れた位置にあるか、および、(4)各実績情報グループの基準値から何秒離れたところにあるか、の少なくともいずれか1つを指定する第1条件であり、
上記監視シミュレート手段は、上記第1条件に基づき、上限値および/または下限値を指定する第2条件を、上記実績情報グループごとに生成し、上記第2条件を満たさない実績情報の個数を異常数として、上記実績情報グループごとにカウントすることを特徴とする請求項4に記載の生産管理装置。
【請求項6】
上記基準値は、上記実績情報グループの実績情報の、平均値、中央値、および、最頻値の少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項5に記載の生産管理装置。
【請求項7】
ユーザにより特定された、または、上記監視シミュレート手段が出力する上記シミュレート結果に基づいて特定された、工程、または、工程および被対象物の品種の組み合わせを、進捗監視対象として設定する監視対象特定手段と、
上記監視シミュレート手段が参照する上記所定の条件に基づいて、工程の進捗監視で異常を検知するための監視条件を、進捗監視対象ごとに設定する監視条件設定手段と、
上記監視対象特定手段が設定した進捗監視対象の生産進捗を監視し、上記監視条件設定手段が設定した監視条件に基づき、上記進捗監視対象の異常を検知する進捗監視手段と、
上記進捗監視手段が異常を検知した場合に、異常が発生したことをユーザに報知するよう警報装置を制御する警報制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生産管理装置。
【請求項8】
操作部を介してユーザにより入力された、上記監視条件の変更指示を受け付ける監視条件変更受付手段を備え、
上記監視条件設定手段は、上記監視条件を、ユーザにより指定された監視条件に変更することを特徴とする請求項7に記載の生産管理装置。
【請求項9】
操作部を介してユーザにより入力された、上記監視条件の変更指示および異常検知回数を指定する指示を受け付ける監視条件変更受付手段を備え、
上記監視条件設定手段は、上記指定された異常検知回数に基づいて、監視条件を満たさない実績情報の個数が、上記異常検知回数と同じになる監視条件を算出し、該算出した監視条件に変更することを特徴とする請求項7に記載の生産管理装置。
【請求項10】
上記実績情報は、さらに、上記被対象物に対して、作業を施した作業者ごとに記録されており、
上記監視対象特定手段は、工程および作業者の組み合わせ、または、工程、被対象物の品種、および、作業者の組み合わせを、作業者別進捗監視対象として設定し、
上記監視条件設定手段は、上記監視条件を、上記作業者別進捗監視対象ごとに設定することを特徴とする請求項7に記載の生産管理装置。
【請求項11】
上記進捗監視手段が異常を検知した回数と、進捗監視対象ごとに定められた警報出力条件とに基づいて、進捗監視対象に発生した異常を報知するか否かを判断する警報出力条件管理手段を備え、
上記警報制御手段は、上記警報出力条件管理手段が異常を報知すると判断した場合に、異常が発生したことをユーザに報知するよう警報装置を制御することを特徴とする請求項7に記載の生産管理装置。
【請求項12】
生産工程、または、生産工程と被対象物の品種との組み合わせごとに記録した、被対象物の作業進捗に係る実績情報は、該被対象物に対して上記生産工程に要した時間の情報を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生産管理装置。
【請求項13】
生産工程、または、生産工程と被対象物の品種との組み合わせごとに記録した、被対象物の作業進捗に係る実績情報は、待ち工程で滞留している被対象物の数量の情報を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生産管理装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の生産管理装置と、
上記生産管理装置、または、該生産管理装置が設定した進捗監視対象を監視し、該生産管理装置が設定した監視条件に基づいて、上記進捗監視対象の異常を検知する進捗監視装置のいずれかの指示に基づき、異常の発生をユーザに報知する警報装置とを含むことを特徴とする生産管理システム。
【請求項15】
各生産工程における作業の開始および/または終了を検知するセンサと、
生産ラインに投入される被対象物の品種を、上記生産管理装置に入力する品種入力部とをさらに含み、
上記生産管理装置が取得する作業実績データは、上記センサから取得した検知信号に基づき算出された、上記被対象物に施した作業に係る作業時間および/または滞留時間の情報を含み、各作業時間および/または各滞留時間は、工程ごと、かつ、上記品種入力部から取得した品種ごとに記録されることを特徴とする請求項14に記載の生産管理システム。
【請求項16】
少なくとも1つ以上の生産工程からなる生産ラインの生産進捗管理を行うために、被対象物の作業進捗に係る実績情報が工程ごとに記録されており、上記実績情報を複数含む作業実績データを取得する第1ステップと、
上記作業実績データに含まれる各実績情報のうち、所定の条件を満たさないものの個数を異常数として、上記工程ごとにカウントする第2ステップと、
上記第2ステップにてカウントした各異常数をシミュレート結果として表示部に出力する第3ステップとを含むことを特徴とする生産管理方法。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか1項に記載の生産管理装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−140625(P2007−140625A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329642(P2005−329642)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】