説明

産業ロボットシステムにおける複数軸の制御方法および産業ロボットシステム

本発明は、ロード領域およびプロセス領域を含む作業セルと、人がロード領域に入ったときを検出する検出器(6)と、作業セル内に位置するマニピュレータと、工作物を保持するとともに、マニピュレータが工作物を加工する間に少なくとも1つの軸周りで工作物の方向を変化させるように構成されている少なくとも1つのポジショナと、1つの軸周りで可動であるとともに、コマンドを受け取ると、マニピュレータまたはポジショナをロード領域とプロセス領域との間で移動させるように構成されているステーション交換器とを備える産業ロボットシステムに関する。各軸にはモータ(M1−M3)と駆動ユニット(53−55)とが設けられる。軸コントローラ(50)は、ポジショナおよびステーション交換器の軸に停止を命令する第1のタスクと、ポジショナおよびステーション交換器の軸の動きを可能にする第2のタスクとの間で実行を切り換えるように構成されている。安全コントローラ(58)は、人がロード領域に入っていることを検出すると、ステーション交換器またはポジショナが動いているかどうかを監視するとともに、監視される軸のいずれかが動いていることが検出される場合、動いている軸の駆動ユニットを使用不能にする信号を生成するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロード領域およびプロセス領域を含む作業セルと、作業セル内に位置して工作物を加工するように構成されているマニピュレータと、工作物を保持するとともに、マニピュレータが工作物を加工する間に少なくとも1つの軸周りで工作物の方向を変化させるように構成されている少なくとも1つのポジショナと、1つの軸周りで可動であるとともに、コマンドを受け取ると、マニピュレータまたはポジショナをロード領域とプロセス領域との間で移動させるように構成されているステーション交換器とを備える産業ロボットシステムに関する。
また、本発明は、産業ロボットシステムなどにおけるポジショナおよびステーション交換器の軸を制御するための方法に関する。
ステーション交換器は、例えば、マニピュレータの軸のうちの1つであるか、マニピュレータがそれに沿ってポジショナ間を直線的に移動できる直線経路であるか、または、ポジショナを支持し、ポジショナ間に配置される軸を中心に回転できる装置である。
【背景技術】
【0002】
一般に、工作物を加工するためのマニピュレータを使用するロボットシステムでは、加工中に工作物の位置を変えるためのポジショナがマニピュレータと組み合わされる。ポジショナは、工作物を保持するとともに、工作物を1つ以上の軸を中心に回転させることにより工作物の方向を変化させるように構成されている。そのようなポジショナは、例えば、EP1731259に記載されている。加工は、例えば、アーク溶接、スポット溶接、塗装、研削、シーリング、ウォータカッティング、および接着である。
特定の用途では、工作物はポジショナに手動でロードされ、そのためにポジショナをロードする人の安全に関する厳しい要件がある。安全のため、マニピュレータおよびポジショナは、作業セルに配置される。作業セルは通常は囲繞領域である。例えば、作業セルは、ゲートまたは光電トリップ装置を備えた開口を有するフェンスによって取り囲まれる。オペレータは、開口から作業セルに出入りしなければならない。作業セルには、しばしば、誰かが開口から作業セルに入ったときを検出する検出器が設けられる。作業セルは、少なくとも2つの領域、すなわち、ポジショナのロード中にロボットオペレータの進入が許されるロード領域と、マニピュレータを含み、通常の動作中にロボットオペレータの進入が許されないプロセス領域とを備える。オペレータは、マニピュレータが安全な停止状態にある場合にのみプロセス領域に入ることが許される。ステーション交換器は、コマンドを受け取ると、作業セルのロード領域とプロセス領域との間でマニピュレータまたはポジショナを動かす。
【0003】
サイクル時間を節約するため、2つ以上のポジショナを使用することができる。マニピュレータが他の工作物を加工していると同時に、ポジショナのうちの1つ以上に新たな工作物がロードされる。ステーション交換器は、コマンドを受け取ると、マニピュレータの作業に使用されているポジショナを変更するように構成されており、また、マニピュレータまたはポジショナを軸周りで移動させることによりそのような変更を行なうように構成されている。
図1−5は、マニピュレータ、少なくとも1つのポジショナ、およびステーション交換器が設けられた異なるタイプの作業セルを示している。
【0004】
図1は、工作物2を加工するように構成されているマニピュレータ1、工作物2を保持するとともに、軸A1を中心に該工作物を回転させることにより工作物の方向を変化させるように構成されている第1のポジショナ4、新たな工作物を受けて軸A2を中心に該工作物を回転させることによりこの工作物の方向を変化させるように構成されている第2のポジショナ5、およびポジショナ4、5を支持するように構成されているステーション交換器7を含む第1のタイプの作業セルを示している。ステーション交換器7は、軸A3を中心に可動であるとともに、コマンドを受け取ると、マニピュレータの作業に使用されているポジショナ4、5を変更するように構成されている。このタイプの作業セルにおいて、ステーション交換器は、マニピュレータとは別個に設けられる装置である。作業セルは、2つの領域、すなわち、ロード領域9aとマニピュレータ1を含むプロセス領域9bとに分割される。ステーション交換器は、ポジショナのうちの一方がプロセス領域内に位置するときに他方のポジショナがロード領域内に位置するように配置される。ステーション交換器は、ポジショナをプロセス領域とロード領域との間で動かすことにより、ポジショナのうちの、ロード領域内に位置するポジショナと、ロード領域内に位置するポジショナを変更するように構成されている。
ロボットオペレータは、ロボットが、プロセス領域に位置するポジショナによって保持される工作物を加工している間、ロード領域に位置するポジショナに新たな工作物をロードするためにロード領域に入ることができる。ロボットが工作物の加工を終了すると、ステーション交換器がその軸を中心に回転することによりポジショナの場所が入れ換わり、その結果処理済みの工作物を保持するポジショナがロード領域に位置し、新たな工作物がプロセス領域に位置する。
【0005】
ロード領域には開口11が設けられる。ロード領域に入るには、この開口を通るしかない。ステーション交換器のいずれかの軸あるいはロード領域内に位置するポジショナの軸が動いているときに人がロードセルに入るのは危険である。これらの軸は、オペレータがロード領域に入ることが許される前に停止させる。安全のため、開口11には、人がロード領域に入ったときを検出するセンサ6が設けられる。また、システムは、作業セルの外側に位置する作動ボタン8も備える。オペレータは、ロード領域から出たとき、軸を再び作動させるために作動ボタンを押す。
【0006】
図2は、4つのポジショナ10a−dを有するステーション交換器20を含む図1に示すタイプと同じタイプの作業セルを示しており、それぞれのポジショナは、工作物を保持するとともに該工作物を軸A4−A7を中心に回転させることにより工作物の方向を変化させるように構成されている。
図3は、マニピュレータ1、工作物を保持するとともに軸A8を中心に該工作物を回転させることにより工作物の方向を変化させるように構成されている第1のポジショナ22、および新たな工作物を受け取って軸A9を中心に該工作物を回転させることによりこの工作物の方向を変化させるように構成されている第2のポジショナ24を含む他のタイプの作業セルを示している。ポジショナは室内に固定配置されており、またマニピュレータの第1の軸A10がステーション交換器として機能する。マニピュレータが工作物の加工を終了すると、マニピュレータは、他のポジショナに達するまでその第1の軸を中心に回転し、その後次の工作物を加工し始める。マニピュレータおよびポジショナは作業セル内に位置する。作業セルは、3つの領域、すなわち、1つのプロセス領域26と2つのロード領域28、30とに分割される。ポジショナをロードする人の安全性を確保するため、ステーション交換器の軸、すなわち、マニピュレータの第1の軸、およびロード領域に位置するポジショナの軸は、人がロード領域に入ることが許される前に停止させる。軸は、人がロード領域から出たときに再び起動される。各ロード領域には、オペレータがロード領域に入るための開口11a、11bが設けられる。各開口11a、11bには、人がロード領域に入ったときを検出するセンサ6a−bが設けられる。
【0007】
図4は、工作物2を加工するように構成されているマニピュレータ1、工作物2を保持するとともに軸A11を中心に該工作物を回転させることにより工作物の方向を変化させるように構成されている第1のポジショナ32、工作物を受けとって軸A12を中心に該工作物を回転させることによりこの工作物の方向を変化させるように構成されている第2のポジショナ34、およびマニピュレータがそれに沿って直線的に移動できる直線軸A13を有する直線経路35の形態を成すステーション交換器を含む作業セルを示している。作業セルは、2つのロード領域36a、37aと2つのプロセス領域36b、37bとを有する。それぞれのプロセス・ロード領域にはポジショナ32、34が設けられる。マニピュレータは2つのプロセス領域間で移動できる。各ロード領域には、オペレータが領域に入るための開口11a、11bが設けられる。マニピュレータが対応するプロセス領域内にある場合、またはロード領域のポジショナが移動している場合、人がロード領域に入ることは許されない。ポジショナをロードする人の安全性を確保するため、ステーション交換器の軸、すなわち、直線軸A13、およびロード領域に位置するポジショナの軸は、人がロード領域に入ることが許される前に停止させる。軸は、人がロード領域から出たときに再び起動される。
図5は、マニピュレータ1と室内に固定配置される1つのポジショナ22とを含む他のタイプの作業セルを示している。マニピュレータの第1の軸A10は、ステーション交換器として機能する。作業セルはロード領域38とプロセス領域39とに分割され、ポジショナ22のロード中は、安全のためにマニピュレータはプロセス領域39へと移動される。ポジショナは、ロード領域とプロセス領域との間の境界に位置する。マニピュレータはプロセス領域に位置するが、マニピュレータの作業範囲はロード領域内に及んでおり、それにより、マニピュレータは、ポジショナに到達して、ポジショナによって保持される工作物を加工することができる。マニピュレータは、工作物の加工を終了すると、プロセス領域38内に完全に入るまでその第1の軸を中心に回転する。オペレータがポジショナをロードし、またポジショナがロードされると、マニピュレータはポジショナに到達し、ロードされた工作物に対して作業を行なうことができるまでその第1の軸A10を中心に反対方向に回転する。
【0008】
図6は、ステーション交換器およびポジショナの軸を制御するための従来技術の制御システムを示している。制御システムは、ステーション交換器およびポジショナの軸の動きを制御するように構成されている軸コントローラ40と、作業セルを監視し且つ軸への停止信号を生成するように構成されている安全コントローラ42とを備える。ポジショナのモータM1、M2およびステーション交換器のモータM3を制御するために共通の駆動ユニット44が使用される。駆動ユニット44とモータとの間のそれぞれの接続は、駆動ユニットに対してモータを接続および切断するためのリレー46を用いて行なわれる。各モータには、軸の位置を測定する装置R1−R3が設けられる。軸コントローラ40は、軸の実際の位置φ、φ、φに関する情報を受け取って、軸の位置および速度のための基準信号φrefを駆動ユニットへ送る。
ポジショナをロードする人の安全を確保するため、ロード領域に位置するポジションの軸およびステーション交換器の軸は、人がロード領域に入ることが許される前に停止させる。軸は、人がロード領域から出たときに再び起動される。したがって、軸は、作業サイクル毎に1回作動及び停止されなければならない。
【0009】
軸は、以下のステップにより起動する。
1)駆動ユニットと軸のモータとの間のリレー46を操作することにより、モータを駆動ユニットに接続する。
2)駆動ユニット44が使用可能となる。すなわち、例えば駆動ユニットへの電力供給を開始することにより、モータへの電流がONに切り換わる。
3)モータに対するブレーキを解除する。
軸の動作を停止させるために、同じステップが、反対の順序で実行される。軸の起動及び停止させるための全体の時間は1.4sである。
【0010】
人がロード領域に入っていることが検出されると、安全コントローラ42は、ロード領域に位置するポジショナおよびステーション交換器の軸が動作を停止しているかどうかをチェックする。このようなチェックは、リレーが切断されていることをチェックすることにより行なわれる。リレーのうちのいずれかが依然として接続されている場合、システム全体を緊急停止させる。軸は、オペレータが作動ボタンを押すと起動される。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、少なくとも2つのポジショナとステーション交換器とを備える産業ロボットシステムにおけるコストを削減し、且つサイクル時間を短縮することである。
本発明の一態様によれば、この目的は、請求項1に規定される産業ロボットシステムを用いて達成される。
【0012】
このようなロボットシステムは、ロード領域およびプロセス領域を含む作業セルと、人が作業セルのロード領域に入ったときを検出する少なくとも1つの検出器と、作業セル内に位置し、工作物を加工するように構成されているマニピュレータと、工作物を保持するとともに、少なくとも1つの軸周りで工作物の方向を変化させるように構成されている少なくとも1つのポジショナと、1つの軸周りで可動であるとともに、コマンドを受け取ると、マニピュレータまたはポジショナを作業セルのロード領域とプロセス領域との間で動かすように構成されているステーション交換器と、少なくとも2つの軸の動きを制御するように構成されている軸コントローラと、作業セルを監視するとともに、軸への停止信号を生成するように構成されている安全コントローラ(58)とを備える。
本発明は、各軸にモータと駆動ユニットとが設けられることを特徴とする。また、本発明は、軸コントローラが、少なくとも2つのタスク、すなわち、ポジショナおよびステーション交換器の軸に停止を命令する第1のタスクと、ポジショナおよびステーション交換器の軸の動きを可能にする第2のタスクとの間で実行を切り換えるように構成されていることを特徴とする。1つのタスクは、ポジショナおよびステーション交換器の軸の動きを制御するプログラム命令を含む制御プログラムである。
【0013】
また、本発明は、安全コントローラが、ポジショナおよびステーション交換器の位置に関する情報と検出器からの情報とを連続的に受け取るように構成されており、また、安全コントローラが、人が作業セルのロード領域に入っていることを検出すると、少なくとも人がロード領域内にいる限り、ステーション交換器またはポジショナが移動しているかどうかを連続的に監視するように構成されており、また、監視されている軸のいずれかが動作していることが検出される場合、動作している軸の駆動ユニットを使用不可能にする信号を生成するとともに、監視されている軸が動作していないことが決定される場合、監視されている軸の駆動ユニットを使用可能な状態に維持するように構成されていることも特徴とする。
本発明は、モータを駆動ユニットに接続および切断するための従来技術で使用されるリレーを排除することができ、それにより、ハードウエアコストを低減することができる。また、本発明は、オペレータがロード領域内にいるときに軸の駆動ユニットを使用可能状態および断絶状態に維持することができる。したがって、人がロード領域に入っているときにポジショナおよびステーション交換器の軸の動作を停止させる必要がないか、または人がロード領域を出たときに前記軸の動作を停止させる必要がない。そのため、作業サイクル毎に軸を作動させたり停止させたりする必要がない。
【0014】
人がロード領域に入る前に軸の動作を停止させる代わりに、軸コントローラは、軸に停止を命令する。停止するように命令するという表現は、軸がその位置を維持して移動しないように命令されることを意味する。軸は、軸コントローラで実行される制御プログラムの形態のソフトウェアによって停止するように命令される。制御プログラムの実行時、軸コントローラは、軸の位置および速度のための基準信号を生成する。基準信号は軸の駆動ユニットへ送られ、該駆動ユニットは、基準信号に基づいて軸を駆動するモータへの可変電流を生成する。軸コントローラが第1のタスクへ切り換えられると、駆動ユニットへの基準信号により、軸の速度がゼロになるように命令されるとともに、オペレータのロード領域への進入が許される。軸コントローラが第2のタスクへ切り換えられると、オペレータのロード領域への進入は許されない。
しかしながら、オペレータの安全を確保するためには、ソフトウェアによって軸に停止を命令するだけでは十分でない。制御プログラムの欠陥は、オペレータがロード領域にいるときに軸の動作を引き起こす場合がある。本発明によれば、オペレータがロード領域にいるときにポジショナおよびステーション交換器の動作を監視することにより、軸の安全な停止が保証される。ステーション交換器またはポジショナが動いているかどうかの監視は、例えば測定された軸速度または位置検出装置からの受信位置に基づいて計算された速度に基づいて行なうことができる。制御プログラムが軸に停止を命令する場合でも、軸コントローラの調整システムに起因して目に見えない動きが生じる場合がある。したがって、監視は、軸の僅かな目に見えない動きを許容すべきことが好ましい。
【0015】
軸のいずれかが動いていることが検出される場合、動いている軸が使用不可能にされ、反対に検出されない場合、監視される軸の駆動ユニットが使用可能状態に維持される。安全性を更に高めるためには、軸のいずれかが動いていることが検出される場合に全ての軸の駆動ユニットを使用不可能にすることが有益である。駆動ユニットが使用不可能にされると、モータへの電流がOFFに切り換えられる。駆動ユニットは、例えば駆動ユニットへの電力供給を止めることにより使用不可能にされる。
本発明の一つの実施形態によれば、ロボットシステムは、工作物を保持するとともに、少なくとも1つの軸周りで工作物の方向を変えるように構成されている第2のポジショナを備え、ステーション交換器は、コマンドをうけると、マニピュレータの作業に使用されているポジショナを変更するように構成されており、安全コントローラは、第2のポジショナの位置に関する情報を連続的に受け取って、誰かが作業セルのロード領域に入っていることを検出すると、いずれのポジショナがロード領域内にあるかを決定し、少なくとも誰かがロード領域内にいる限り、前記ロード領域内にあると決定されたポジショナまたはステーション交換器が動いているかどうかを連続的に検出するとともに、前記ロード領域内にあると決定されたポジショナまたはステーション交換器が動いていることが検出される場合、動作している軸の駆動ユニットを使用不可能にする信号を生成するように構成されている。
【0016】
また、安全コントローラは、いずれのポジショナがプロセス領域内にあるのかを決定するように構成されており、軸コントローラは、少なくとも2つのタスク、すなわち、ロード領域内にあると決定されたポジショナおよびステーション交換器の軸に停止を命令し且つプロセス領域内にあると決定されたポジショナの軸の動きを可能にする第1のタスクと、ステーション交換器およびポジショナの軸の動きを可能にする第2のタスクとの間で実行を切り換えることにより、3つの軸の動きを制御するように構成されている。この実施形態は、複数のポジショナを含む図1−4の作業セルタイプにおいて有用である。この実施形態は、マニピュレータが他のポジショナによって保持される工作物に対して作業を施しており且つ他のポジショナの軸が回転するのと同時に、1つのポジショナをロードしているオペレータのための安全性を確保する。
安全コントローラは、ステーション交換器の軸の位置に基づいて、いずれのポジショナがロード領域内にあり、いずれのポジショナがプロセス領域内にあるのかを決定するように構成されている。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、システムが作業セルの外側に位置する起動手段を備え、起動手段は、人による作動時にオペレータ準備完了信号を生成するように構成されており、軸コントローラは、オペレータ準備完了信号を受信して、オペレータ準備完了信号の受信時に第2のタスクに切り換わるように構成されている。この実施形態は、ロード領域にあるポジショナおよびステーション交換器の軸が動いているとき、人が作業セルの外側にいることを保証する。
本発明の一実施形態によれば、ロード領域は第1のポジショナを含み、プロセス領域は第2のポジショナを含み、各領域に、誰かがロード領域に入ったときを検出する検出器が設けられており、ステーション交換器は、ロード領域とプロセス領域との間でマニピュレータを動かすように構成されており、安全コントローラは、誰かがロード領域およびプロセス領域のいずれかに入っていることを検出すると、入った領域内にマニピュレータがあるか否かを決定するとともに、入った領域内にマニピュレータがある場合、マニピュレータへの停止信号を生成するように構成されている。マニピュレータへの停止信号は、軸の駆動ユニットを使用不可能にするとともに、マニピュレータのモータにブレーキを加える。この実施形態は、マニピュレータの作業範囲がロード領域にまで及ぶ図4および図5に示す作業セルタイプにおいて有用である。この実施形態は、マニピュレータが作業を行なうときに到達できるロード領域に位置するポジショナをロードするオペレータの安全を確保する。
【0018】
本発明の他の態様によれば、この目的は、請求項7に記載される産業ロボットシステムにおける複数の軸を制御するための方法によって達成される。
ここで、添付図面を参照して、本発明の異なる実施形態について説明することにより、本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】マニピュレータ、2つのポジショナ、および別個のステーション交換器を含む第1のタイプの従来技術の作業セルを示している。
【図2】4つのポジショナを含む第1のタイプの従来技術の作業セルを示している。
【図3】マニピュレータ、2つのポジショナ、およびマニピュレータの軸のうちの1つの形態のステーション交換器を含む第2のタイプの従来技術の作業セルを示している。
【図4】マニピュレータ、2つのポジショナ、および直線経路の形態のステーション交換器が設けられた第3のタイプの従来技術の作業セルを示している。
【図5】マニピュレータ、1つのポジショナ、およびマニピュレータの軸のうちの1つの形態のステーション交換器を含む第4のタイプの従来技術の作業セルを示している。
【図6】従来技術のロボット制御システムの一実施例を示している。
【図7】本発明の一実施形態によるロボット制御システムを示している。
【図8】ポジショナおよびステーション交換器の軸を制御するためのプログラムのフロー図の一実施例を示している。
【図9】2つのポジショナおよびステーション交換器の軸を制御するためのプログラムのフロー図の一実施例を示している。
【図10】安全コントローラのためのフロー図の一実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図7は、図1−5に開示された作業セルにおけるステーション交換器およびポジショナの軸を制御するのに適した本発明の一実施形態によるロボット制御システムを示している。しかしながら、駆動ユニット、モータ、および位置測定装置の数は、作業セルタイプにおけるポジショナの数に合わせなければならない。複数のモータM、M、Mがポジショナおよびステーション交換器の動きを達成する。例えば、図1に示す作業セルに関連して、モータM1が第1のポジショナの軸A1を制御し、モータM2が第1のポジショナの軸A2、A1の動きを制御し、且つモータM3がステーション交換器の軸A3の動きを制御する。各軸には、軸の位置φ、φ、φを測定するための装置R1、R2、R3が設けられる。軸の位置を測定するための装置は例えばレゾルバである。
本制御システムは、ステーション交換器およびポジショナの軸の動きを制御するように構成されている軸コントローラ50を備える。軸コントローラ50は、マニピュレータ1の軸の全ても制御することが好ましい。軸コントローラは、ロボット制御プログラムを記憶するための記憶手段52と、制御プログラムを実行するためのCPU等の処理手段とを備える。軸コントローラ40は、軸の位置を制御するサーボループを更に備える。軸コントローラ40は、軸の実際の位置φ、φ、φに関する情報を受け取るとともに、実際の位置に関する受信情報とロボット制御プログラム中の命令とに基づいて軸の位置および速度のための基準信号φref1、φref2、φref3を生成する。別の実施形態において、軸コントローラは、ロボットプログラムを記憶して実行するためのメインコンピュータと、サーボループを含む軸コンピュータとを含む。
【0021】
制御システムは複数の駆動ユニット53−55を更に備える。各軸には、それ自体の駆動ユニットが設けられる。軸コントローラ50は、軸の位置の基準信号φref1−φref3を駆動ユニット53−55へ送り、該駆動ユニットは、受信された基準信号に基づいてモータM−Mを制御する。また、軸コントローラ50は、オペレータの準備ができているという事実、すなわち、ポジショナがロードされるという事実に関する情報を知らせる起動手段8からの信号も受け取る。起動手段8は、任意の既知のタイプの起動手段、例えば物理的なボタンまたはディスプレイ装置上に示すソフトウェアボタンであってもよい。起動手段8は、オペレータの作動時に信号を生成し、その信号を軸コントローラ50へ送る。この実施形態において、駆動ユニット53−55は、コマンドを受け取ると、駆動ユニットへのAC電力供給を中断するスイッチ59によって使用可能および使用不可能にする。駆動ユニット53−55は、供給される交流電流を整流する整流器と、軸コントローラ50からの基準値φref1−φref2に応じてモータへの可変電流を生成するためのパワーエレクトロニクスとを含む。
制御システムは、作業セルを監視し且つ軸への停止信号を生成するように構成されている安全コントローラ58を更に備える。安全コントローラ58は、ポジショナおよびステーション交換器の軸の位置φ、φ、φに関する情報を位置測定装置R1−R3から受け取るように構成されている。また、安全コントローラ58は、人が作業セルのロード領域に入っているかどうかを検出している検出器6から情報を受け取るように構成されている。ロード領域は、ポジショナのアンロードおよびロード中にオペレータが入ってもよい専用領域である。検出器6は、人が特定の領域に入っているときを検出する任意のタイプの検出器、例えばカメラ、光電検出器、レーザスキャナ、トランプマット、またはリミットスイッチを有するドアであってもよい。
【0022】
図7に示す制御システムは、該制御システムが5つの駆動ユニットを備え、各駆動ユニットが軸A3−A7のいずれかの動きを制御するモータに接続される場合、図2に開示される作業セルの軸を制御するのに適している。図7に示す制御システムは、図示のモータおよび駆動ユニットのうちの1つが除去される場合、図5に示す作業セルを制御するのにも適している。この場合、駆動ユニット53は、軸A8を駆動するモータに接続され、駆動ユニット54は、ステーション交換器として作用するマニピュレータの第1の軸A10を駆動するモータに接続される。図7に示す制御システムは、人がロード領域28または30及び36、37に入っているときに安全コントローラが検出器6a、6bから情報を受け取る場合、図3、4に開示される作業セルの軸を制御するのにも適している。
軸コントローラ50は、少なくとも2つのタスク、すなわち、軸コントローラがロード領域内のポジショナの軸およびステーション交換器の軸に停止を命令する第1のタスクと、ポジショナおよびステーション交換器の軸の動きが許容される第2のタスクとの間で実行を切り換えるように構成されている。第1のタスクは、オペレータがロード領域に入ってロード領域のポジショナから仕上がった工作物を取り外し、新たな工作物をポジショナにロードするときに使用されるように構成されている。第2のタスクは、オペレータが作業セルの外側にいるときに使用されるように構成されている。軸コントローラがその第2のタスクを実行すると、ステーション交換器は、その軸を中心に移動して、マニピュレータまたはポジショナを作業セルのロード領域と作業領域または安全領域との間で動かすことができる。オペレータは、軸コントローラが第2のタスクを実行するとき、作業セルに入ることが許されない。タスクは、ポジショナおよびステーション交換器の軸の動きを制御するプログラム命令を含む、ロボット言語で書き込まれるプログラムである。
【0023】
図8は、図5に示すように配置されるポジショナおよびステーション交換器の軸を制御するためのプログラムのフロー図の一実施例を示している。フロー図のそれぞれのブロックがロボット制御プログラムのコンピュータプログラム命令によって実施されることは言うまでもない。ロボット制御プログラムは、任意のタイプのプログラミング言語で書き込むことができる。使用される言語のタイプは、ロボットのタイプによって決まる。
ロボットプログラムは、ポジショナの軸A8およびステーション交換器の軸A10に停止を命令することにより、軸コンピュータをタスク1に設定する(ブロック60)。軸は、第1のタスク中に一定である軸の基準信号φref1、φref2、φref3を生成することにより、停止を命令される。オペレータには、ロード領域38に入ることが今は安全であるという事実に関する情報が知らされる(ブロック62)。この情報は、例えば、緑色のランプを点灯させることによって供給される。オペレータが作業を終えてロード領域38から出たとき、オペレータが起動手段8を作動させ、軸コントローラがオペレータ準備完了信号を受け取る(ブロック64)。オペレータ準備完了信号が受信されない限り、軸は引き続き停止するように命令される。オペレータ準備完了信号が受信されると、軸コントローラがタスク2に切り換わる(ブロック66)。軸コンピュータが第2のタスク状態にあると、ロボット制御プログラムのプログラム命令に基づいて、軸の動きのための基準信号が生成される。制御プログラムは、最初に、マニピュレータがポジショナ22に達することができるように軸A10にマニピュレータの回転を命令する。その後、制御プログラムは、ポジショナが軸A8を中心に回転するように命令し、マニピュレータはポジショナによって保持される工作物を加工する。マニピュレータが工作物の加工を終了すると、軸A10は、安全領域39内の安全位置へ戻るように命令される。ロード領域に入ることが安全でない限り、オペレータは、例えば赤色ランプによってそのことを知らされる。
【0024】
図9は、図1に示すような2つのポジショナおよびステーション交換器の軸を制御するためのプログラムのフロー図の一実施例を示している。この場合、ステーション交換器は、コマンドを受け取ると、ポジショナをその軸を中心に動かすように構成されており、それにより、ポジショナのうちのいずれかがロード領域内に位置し且ついずれかがプロセス領域内に位置するように切り換えられる。軸コントローラは、3つのタスク間を切り換えることにより、3つの軸A1、A2、A3の動きを制御するように構成されている。
第1のタスクでは、第1のポジショナ4の軸A1が動作可能であり、ステーション交換器7および第2のポジショナ5の軸A2、A3に停止を命令する。第1のタスクは、第1のポジショナ4がプロセス領域内に位置し且つ第2のポジショナ5がロード領域内に位置するときに使用される。第1のタスクでは、マニピュレータ1が第1のポジショナ4によって保持される工作物を加工し、それと同時にオペレータはロード領域に入って第2のポジショナ5により保持される工作物を切り換えることが許される。
【0025】
第2のタスクでは、3つの全ての軸A1−A3が動作できる。このタスク中、ステーション交換器7がその軸A3を中心に動き、ポジショナの位置が切り換えられる。オペレータは、第2のタスク中、ロード領域に入ることが許されない。
第3のタスク中は、第2のポジショナ5の軸A2が動作可能であり、第1のポジショナ4の軸およびステーション交換器の軸A3は停止を命令される。第3のタスクは、第2のポジショナ5がプロセス領域に位置し且つ第1のポジショナ4がロード領域に位置するときに使用される。第3のタスク中、マニピュレータ1は第2のポジショナ5によって保持される工作物を加工し、それと同時にオペレータは第1のポジショナ4に新たな工作物をロードするためにロード領域に入ることが許される。
【0026】
図9に示すように、安全コントローラは、第1のポジショナ4がプロセス領域9b内に位置し、且つ第2のポジショナ5がロード領域9a内に位置するとき、第1のタスクに切り換えられる(ブロック70)。第1のポジショナの軸A1は、ロボット制御プログラム中の命令に基づき、軸コントローラによって生成される基準信号φref1にしたがって動作される。同時に、第2のポジショナ5の軸A2およびステーション交換器の軸A3を停止を命令される。軸コンピュータが第1のタスク状態にある限り、オペレータはロード領域に入ることができ、オペレータはその旨を、例えば緑色信号によってその情報が知らされる(ブロック71)。オペレータは、ロード領域で自分の作業を終了すると直ぐに、起動手段8を作動させる。軸コントローラはオペレータ準備完了信号を受け取る(ブロック72)。オペレータ準備完了信号が受信されない限り、軸コントローラは第1のタスク状態を維持する。オペレータ準備完了信号が受信されると、軸コンピュータが第2のタスクに設定される(ブロック74)。第2のタスクでは、全ての軸が動作可能である。第2のタスク中、ステーション交換器7がその軸A3を中心に動き、またポジショナ4、5の位置が切り換えられる。
ステーション交換器の準備が整うと、軸コントローラが第3のタスクへ変更される(ブロック76)とともに、オペレータは、自分がロード領域に入ることが可能であると知らされる(ブロック78)。第3のタスクでは、ロボット制御プログラムの命令にしたがって第2のポジショナ5の動作の軸が制御されるとともに、第1のポジショナ4の軸およびステーション交換器の軸A3が停止を命令される。第3のタスク中、オペレータは、新たな工作物を第1のポジショナ4にロードする。オペレータがロード領域9aを出ると、オペレータは起動手段8を起動する。軸コントローラはオペレータ準備完了信号を受け取る(ブロック80)。軸コントローラは、オペレータ準備完了信号が受信されない限り、第3のタスク状態を維持する。オペレータ準備完了信号が受信されると、軸コントローラが第2のタスクへと切り換わり(ブロック82)、それにより全ての軸が動作可能となる。第2のタスク中には、ステーション交換器7がその軸A3を中心に動くとともに、ポジショナ4、5の位置が切り換えられる。ステーション交換器の準備が整うと、軸コントローラが第1のタスクへ切り換えられる(ブロック70)とともに、オペレータは、自分がロード領域に入ることが可能であると知らされる(ブロック71)。その後、ブロック70−82に関連して説明し手続きが連続的に繰り返される。ブロック70−90はロボットシステムの作業サイクルを表わしている。本発明によれば、作業サイクル中、駆動ユニット53−55が使用可能状態に維持され、すなわちスイッチ59が閉じられる。
【0027】
安全コントローラ58は、人が作業セルのロード領域に入っていることを検出すると、少なくとも人がロード領域内にいる限り、ロード領域内に位置するポジショナおよびステーション交換器のいずれかが移動しているかどうかを連続的に監視するように構成されている。また、安全コントローラは、監視されている軸のいずれかが動作していることが検出される場合、動作している軸の駆動ユニットを少なくとも使用不可能にする信号を生成するとともに、監視されている軸が動作していないことが決定される場合、駆動ユニットまたは監視されている軸を使用可能な状態に維持するように構成されている。
【0028】
図10は、安全コントローラ58に関するフロー図の一実施例を示している。この実施例は、図5に示す作業セルタイプに関する。しかしながら、図1−4に示す他のタイプのいずれにも同じ方法を使用できる。監視されている軸、すなわち、ロード領域に位置するポジショナおよびステーション交換器の軸の位置φ、φの値が受信される(ブロック92)。人が作業セルのロード領域に入ったときを検出する検出器6からの信号が受信される(ブロック94)。受信された検出信号に基づいて、誰かがロード領域に入っているかどうかが決定される(ブロック96)。人がロード領域に入っていることが検出されない場合、監視されている軸の位置および検出信号が受信され続ける。
人が作業セルのロード領域に入っていることが検出されると、ポジショナの軸の受信された位置に基づいて、ロード領域に位置するポジショナの軸が動いるかどうかが連続的に決定される(ブロック98)。例えば、受信された測定位置と位置測定間の既知の時間間隔とに基づいて、軸の速度が計算される。計算された速度が限界値よりも大きい場合、軸が動いていると決定される。一方、そうでない場合、軸は動いていないと決定される。好ましくは、速度の限界値は、非常に小さく設定されるが、軸の僅かな目に見えない動きを許容する。
【0029】
ロード領域内のポジショナが動いていることが検出される場合、停止信号が生成される(ブロック100)。停止信号は、例えば駆動ユニットへのAC電力供給のスイッチ59を開くことにより、動作軸の駆動ユニットを使用不可能にする。停止信号は、全ての軸の駆動ユニット53−55を使用不可能にすることが好ましい。また、停止信号が、モータM1に対して、或いは全てのモータM1−M3に対してブレーキをかけることも可能である。同様に、ステーション交換器の軸が動いているかどうかが連続的にチェックされる(ブロック102)。ステーション交換器が動いている場合、停止信号が生成される(ブロック100)。ロード領域に位置するポジショナの軸またはステーション交換器の軸のいずれもが動いていない場合、駆動ユニットが使用可能な状態に維持される(ブロック104)。
安全コントローラ58は、起動手段6からオペレータ準備完了信号を更に受け取る。オペレータ準備完了信号が受信されるまで監視が続けられる(ブロック106)。あるいは、監視は、人が作業セルから出ることを検出器6が検出するまで続けられる。
【0030】
安全コントローラによって供給される前記監視アルゴリズムは、停止するように命令された軸が動かないことを保証する。オペレータがロード領域内にいる間に停止するように命令された軸のいずれかが動いている場合、事故が起こる可能性がある。
しかしながら、オペレータがロード領域内にいるときにロード領域内のポジショナおよびステーション交換器の軸をオペレータが手動で動かすことができる手動タスクを、オペレータが選択することが可能である。この場合、オペレータは安全システムを無効にする。しかしながら、軸は低速でしか動くことができない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロード領域およびプロセス領域(9a、9b;28、30、26;36、37;38、39)を含む作業セルと、
人が作業セルのロード領域に入ったときを検出する少なくとも1つの検出器(6、6a−b)と、
作業セル内に位置し、工作物を加工するように構成されているマニピュレータ(1)と、
工作物を保持するとともに、マニピュレータが工作物を加工する間に少なくとも1つの軸周りで工作物の方向を変化させるように構成されている少なくとも1つのポジショナ(4、5;10a−d;2、24;32、34)と、
1つの軸周りで可動であるとともに、コマンドを受け取ると、マニピュレータまたはポジショナを作業セルの前記ロード領域とプロセス領域との間で移動させるように構成されているステーション交換器(7;1)と、
前記少なくとも2つの軸の動きを制御するように構成されている軸コントローラ(50)と、
作業セルを監視するとともに、軸への停止信号を生成するように構成されている安全コントローラ(58)と
を備えた産業ロボットシステムであって、
前記軸のそれぞれにモータ(M−M)と駆動ユニット(53−55)とが設けられ、
軸コントローラが、少なくとも2つのタスク、すなわち、ポジショナおよびステーション交換器の軸に停止を命令する第1のタスクと、ポジショナおよびステーション交換器の軸の動きを可能にする第2のタスクとの間で実行を切り換えるように構成されており、前記安全コントローラが、ポジショナおよびステーション交換器の位置に関する情報と前記検出器からの情報とを連続的に受け取るように構成されているとともに、人が作業セルのロード領域に入っていることを検出すると、
少なくとも人がロード領域内にいる限り、ステーション交換器またはポジショナが動いているかどうかを連続的に監視するように構成されており、且つ
監視されている軸のいずれかが動いていることが検出される場合に、動いている軸の駆動ユニットを使用不可能にする信号を生成し、監視されている軸が動いていないことが決定される場合に、監視されている軸の駆動ユニットを使用可能な状態に維持するように構成されていることを特徴とする、産業ロボットシステム。
【請求項2】
工作物を保持するとともに、少なくとも1つの軸周りで工作物の方向を変化させるように構成されている第2のポジショナを備えており、ステーション交換器が、コマンドを受け取ると、マニピュレータの作業に使用されているポジショナを変更するように構成されており、前記安全コントローラが、第2のポジショナの位置に関する情報を連続的に受け取り、誰かが作業セルのロード領域に入っていることを検出すると、いずれのポジショナがロード領域内にあるかを決定し、少なくとも誰かがロード領域内にいる限り、前記ロード領域内にあると決定されたポジショナまたはステーション交換器が動いているかどうかを連続的に検出するとともに、前記ロード領域内にあると決定されたポジショナまたはステーション交換器が動いていることが検出される場合に、動いている軸の駆動ユニットを使用不可能にする信号を生成するように構成されている、請求項1に記載の産業ロボットシステム。
【請求項3】
安全コントローラが、いずれのポジショナがプロセス領域内にあるのかを決定するように構成されており、軸コントローラが、少なくとも2つのタスク、すなわち、ロード領域内にあると決定されたポジショナおよびステーション交換器の軸に停止を命令し且つプロセス領域内にあると決定されたポジショナの軸の動きを可能にする第1のタスクと、ステーション交換器およびポジショナの軸の動きを可能にする第2のタスクとの間で切り換えることにより、前記3つの軸の動きを制御するように構成されている、請求項2に記載の産業ロボットシステム。
【請求項4】
前記安全コントローラが、ステーション交換器の軸の位置に基づいて、いずれのポジショナがロード領域内にあり、いずれのポジショナがプロセス領域内にあるのかを決定するように構成されている、請求項2または3に記載の産業ロボットシステム。
【請求項5】
システムが作業セルの外側に位置する起動手段を備えており、当該起動手段が、人によって起動されるとオペレータ準備完了信号を生成するように構成されており、前記軸コントローラが、前記オペレータ準備完了信号を受信して、オペレータ準備完了信号の受信時に前記第2のタスクに切り換わるように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の産業ロボットシステム。
【請求項6】
ロード領域が前記第1のポジショナを含み、前記プロセス領域が前記第2のポジショナを含み、各ロード領域には、誰かがロード領域に入ったときを検出する検出器が設けられており、且つステーション交換器が、ロード領域とプロセス領域との間でマニピュレータを移動させるように構成されており、前記安全コントローラが、誰かがロード領域のいずれかに入っていることを検出すると、入ったロード領域に対応するプロセス領域内にマニピュレータがあるか否かを決定するとともに、マニピュレータが対応するプロセス領域内にある場合、マニピュレータへの停止信号を生成するように構成されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の産業ロボットシステム。
【請求項7】
ロード領域およびプロセス領域を含む作業セルと、人が作業セルのロード領域に入ったときを検出する少なくとも1つの検出器と、作業セル内に位置し、工作物を加工するように構成されているマニピュレータと、工作物を保持するとともに、マニピュレータが工作物を加工する間に少なくとも1つの軸周りで工作物の方向を変化させるように構成されている少なくとも1つのポジショナと、1つの軸周りで可動であるとともに、コマンドを受け取ると、マニピュレータまたはポジショナを、前記ロード領域とプロセス領域との間で移動させるように構成されているステーション交換器とを備える産業ロボットシステムにおいて、複数の軸を制御する方法であって、
少なくとも2つのタスク、すなわち、ポジショナおよびステーション交換器の軸に停止を命令する第1のタスクと、ポジショナおよびステーション交換器の軸の動きを可能にする第2のタスクとの間で実行を切り換えること、
ポジショナおよびステーション交換器の位置に関する情報を連続的に受け取ること、
前記検出器から情報を連続的に受け取ること、
人が作業セルのロード領域に入っていることを検出すると、少なくとも人がロード領域内にいる限り、ステーション交換器またはポジショナが動いているかどうかを連続的に監視すること、
監視されている軸のいずれかが動いていることが検出される場合に、動いている軸の駆動ユニットを使用不可能にすること、および
監視されている軸が動いていないことが決定される場合に、監視されている軸の駆動ユニットを使用可能な状態に維持すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
産業ロボットシステムが、工作物を保持するとともに、少なくとも1つの軸周りで工作物の方向を変化させるように構成されている第2のポジショナを備え、前記ステーション交換器が、コマンドを受け取ると、マニピュレータの作業に使用されているポジショナを変更するように構成されており、本方法が、
第2のポジショナの位置に関する情報を連続的に受信すること、
誰かが作業セルの前記ロード領域に入っていることを検出すると、いずれのポジショナがロード領域内にあるかを決定すること、
少なくとも誰かがロード領域内にいる限り、前記ロード領域内にあると決定されたポジショナまたはステーション交換器が動いているかどうかを連続的に検出するとともに、前記ロード領域内にあると決定されたポジショナまたはステーション交換器が動いていることが検出される場合に、動いている軸の駆動ユニットを使用不可能にする信号を生成すること
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
いずれのポジショナがプロセス領域内にあるのかを決定すること、
少なくとも2つのタスク、すなわち、ロード領域内にあると決定されたポジショナおよびステーション交換器の軸に停止を命令し且つプロセス領域内にあると決定されたポジショナの軸の動きを可能にする第1のタスクと、ステーション交換器およびポジショナの軸の動きを可能にする第2のタスクとの間を切り換えること
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステーション交換器の軸の位置に基づいて、いずれのポジショナがロード領域内にあり、いずれのポジショナがプロセス領域内にあるのかを決定する、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ロボットシステムが、作業セルの外側に位置し且つ人によって起動されるとオペレータ準備完了信号を生成するように構成されている起動手段を備えており、オペレータ準備完了信号の受信時に前記第2のタスクへの切り換えを行なう、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−500336(P2011−500336A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527326(P2010−527326)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060377
【国際公開番号】WO2009/043369
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510090645)エービービー テクノロジー エービー (1)
【Fターム(参考)】