説明

産業機械用制御回路

【課題】 作業機系回路のアクチュエータを作動させていないときのエネルギーロスを最小限に抑え、特定の作業機に必要な流量を供給する。
【解決手段】 優先弁5と、優先弁5の制御流ポート7に接続したステアリング系回路8と、優先弁5の余剰流ポート9に接続した作業機系回路10と、設定した流量をパイロット通路3に供給するための流量制御弁16と、設定圧制御部の圧力に応じて設定圧を2段階に制御可能にしたパイロット圧制御手段と、パイロット通路3をパイロット圧制御手段の設定圧制御部に連通させたり、連通を遮断したりするパイロット制御弁25とを備え、パイロット通路3がパイロット圧制御手段の設定圧制御部に連通したとき、パイロット圧制御手段の設定圧を高くし、パイロット通路3とパイロット圧制御手段の設定圧制御部との連通が遮断されたとき、パイロット圧制御手段の設定圧を低くする構成にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばフォークリフト等の産業機械に用いる産業機械用制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のものとして特許文献1に記載された制御回路が従来から知られている。この従来の制御回路は、固定吐出ポンプに優先弁を接続するとともに、この優先弁の制御流ポートをステアリング系回路に接続し、余剰流ポートを作業機系回路に接続している。
そして、固定吐出ポンプから吐出された流量のうち、一定流量すなわち制御流量は上記制御流ポートを介してステアリング系回路に優先的に供給され、固定吐出ポンプの吐出容量から上記制御流量を差し引いた余剰流量が、常に作業機系回路に供給される。
【特許文献1】特開2000−007300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようにした制御回路では、固定吐出ポンプの吐出容量から上記制御流量を差し引いた余剰流量が、常に作業機系回路に供給される。しかし、一般に産業機械用制御回路では、作業機系回路に複数の作業機を接続している場合に、特定の作業機には大流量を供給し、その他の作業機にはそれよりも少ない流量を供給しなければならない場合がある。このような場合に、上記従来の制御回路では対応できないという問題があった。
【0004】
また、上記従来の制御回路では、作業機系回路に設けた作業機用切換弁のすべてを中立位置に保持しているときには、言い換えると、いずれの作業機も作動していないときには、上記余剰流量の全量がタンクに環流される。このタンクに環流される流量が多ければ多いほど、エネルギーロスが大きくなるという問題があった。
【0005】
さらに、上記のようにエネルギーロスが発生すると、当然のこととして発熱量も大きくなるが、発熱量が大きくなればそれを冷却するための装置などが必要になるので、当該回路の製造コストが上昇するという問題もあった。
この発明の目的は、エネルギーロスが極端に少ない上に、必要な作業機には必要な流量を供給できるようにした産業機械用制御回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、レギュレータを備えた可変吐出ポンプ機構と、この可変吐出ポンプ機構に接続された優先弁と、この優先弁の制御流ポートに接続したステアリング系回路と、優先弁の余剰流ポートに接続するとともに複数の作業機系切換弁を設けた作業機系回路と、上記レギュレータのパイロット通路と上記優先弁の上流側とを接続する中継通路に設けるとともに、あらかじめ設定した流量を上記パイロット通路に供給するための流量制御弁と、これら流量制御弁の下流側に設けるとともに、設定圧制御部の圧力に応じて設定圧を2段階に制御可能にしたパイロット圧制御手段と、上記パイロット通路をパイロット圧制御手段の設定圧制御部に連通させたり、その連通を遮断したりするパイロット制御弁とを備え、パイロット通路がパイロット圧制御手段の設定圧制御部に連通したとき、パイロット圧制御手段の設定圧を高くし、パイロット通路とパイロット圧制御手段の設定圧制御部との連通が遮断されたとき、パイロット圧制御手段の設定圧を低くする構成にした点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
第1の発明によれば、作業機系回路に接続した作業機を作動していないとき、可変吐出ポンプ機構は、ステアリング系回路が必要とする制御流量に、あらかじめ設定した流量を加算した流量を吐出する。そして、上記制御流量はステアリング系回路に供給されるとともに、あらかじめ設定した流量はパイロット通路を介してタンクに環流される。
【0008】
したがって、上記作業機系回路には作動流体が供給されないことになり、その分、従来に比べエネルギーロスが少なくなる。また、エネルギーロスが少ない分、発熱量も少なくなるので、冷却装置などが必要なくなり、当該回路の製造コストも下げることができる。
しかも、第1の発明によれば、特定の作業機に必要な流量を適切に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、フォークリフトにこの発明の産業機械用制御回路を用いたときの第1実施形態を示すもので、可変吐出ポンプ機構Pは、可変吐出ポンプ1とレギュレータ2とを備えている。そして、レギュレータ2にはパイロット通路3を接続しているが、このパイロット通路3の圧力がタンク圧のとき、レギュレータ2が可変吐出ポンプ1の吐出量を、あらかじめ設定した最少流量に設定する。パイロット通路3の圧力が上昇すれば、レギュレータ2が可変吐出ポンプ1の吐出量を、上記最少流量以上の流量に増大させる。
【0010】
上記のようにした可変吐出ポンプ1には供給通路4を接続するとともに、この供給通路4は優先弁5の流入ポート6に連通させている。このようにした優先弁5は、その制御流ポート7をステアリング系回路8に接続し、余剰流ポート9を作業機系回路10に接続している。
【0011】
そして、上記優先弁5はステアリング系回路8に制御流量Q1を優先的に供給し、この制御流量Q1以上の余剰流量Q2を作業機系回路10に供給するが、上記制御流量Q1は制御オリフィス11とスプリング12とによって決められる。すなわち、上記優先弁5は、その一方のパイロット室5aに制御オリフィス11の上流側の圧力を導き、他方のパイロット室5bに制御オリフィス11の下流側の圧力を導く構成にするとともに、上記他方のパイロット室5bにスプリング12を設けている。
【0012】
このようにした優先弁5は、制御オリフィス11前後の差圧が、スプリング12のバネ力に等しくなるように作動する。言い換えると、制御オリフィス11前後の差圧を一定に保って、ステアリング系回路8に供給される制御流量Q1を常に一定に保つようにしている。
【0013】
そして、上記制御流量Q1以上の余剰流量Q2が流入ポート6に流入したときには、その余剰流量Q2を余剰流ポート9から流出するものである。したがって、流入ポート6に流入する流量が制御流量Q1以下であれば、余剰流ポート9から流出される余剰流量Q2はゼロということになる。
なお、図中符号13,14はダンパーオリフィスである。
【0014】
また、上記供給通路4であって、優先弁5の上流側には中継通路15を接続しているが、この中継通路15は、供給通路4と前記パイロット通路3とを連通するものである。このようにした中継通路15には流量制御弁16を接続するとともに、この流量制御弁16の下流側に減圧弁17を接続している。上記流量制御弁16は、供給通路4に供給された流量のうち、レギュレータ2に対するパイロット圧を発生させるために必要な最少流量をパイロット流量Q3としてパイロット通路3に導くものである。
そして、前記した可変吐出ポンプ機構Pは、パイロット通路3の圧力がゼロのとき、最少吐出流量を確保するが、その最少吐出流量は、制御流量Q1+パイロット流量Q3となるようにあらかじめ設定されている。
【0015】
一方、上記減圧弁17は、その一方の側にスプリング17aを設けるとともに、このスプリング17aのバネ力を調整する制御ピストン17bをピストン室17cに設けている。この制御ピストン17bに圧力が作用したときには、上記スプリング17aがたわんでそのバネ力を大きくする。反対に、制御ピストン17bに圧力が作用していないときには、スプリング17aが伸びた状態を保ってそのバネ力を弱くする。
また、上記バネ力が強ければ、減圧弁17の設定圧が高くなり、バネ力が弱ければその設定圧が低くなる。なお、上記スプリング17a、制御ピストン17bおよびピストン室17cでこの発明の設定圧制御部を構成するものである。
【0016】
さらに、優先弁5の余剰流ポート9に接続した作業機系回路10には、リフトシリンダ18を制御する第1作業機系切換弁19と、チルトシリンダ20を制御する第2作業機系切換弁21と、アタッチメントであるアクチュエータを制御する第3作業機系切換弁22とを備えている。これら第1,2,3作業機系切換弁19,21,22のそれぞれは、センターオープンタイプで、それらが図示の中立位置にあるとき、余剰流ポート9から流出した作動流体をタンクTに環流させる。
【0017】
上記第1作業機系切換弁19にはパイロットポート23を設けているが、このパイロットポート23は、この切換弁19が中立位置およびリフトシリンダ18を下降させる下降位置にあるときタンクTに連通し、リフトシリンダ18を上昇させる上昇位置においてフルストロークしたとき、そのパイロットポート23を閉じる構成にしている。そして、このパイロットポート23は、制御通路24を介して前記減圧弁17のピストン室17cに連通している。さらにこの制御通路24は、パイロット制御弁25に接続しているが、このパイロット制御弁25の構成は次の通りである。
【0018】
上記パイロット制御弁25は、パイロット通路3に連通する第1ポート25aと、上記制御通路24に連通する第2ポート25bと、第2作業機系切換弁21のパイロットポート26にパイロット通路27を介して連通する第3ポート25cとを備えている。
また、パイロット制御弁25の両端には、パイロット室25d,25eを設けるとともに、この両パイロット室25d,25eのそれぞれにはセンタリングスプリング28を設けている。そして、上記一方のパイロット室25dには上記した制御通路24の圧力が導かれ、他方のパイロット室25eには第2作業機系切換弁21に通じるパイロット通路27の圧力が導かれる構成にしている。
【0019】
上記のようにしたパイロット制御弁25は、そのセンタリングスプリング28の作用で図示のノーマル位置にあるとき、第1〜3ポート25a〜25cを開口させ、パイロット通路3と制御通路24およびパイロット通路3とパイロット通路27とを連通させる。また、一方のパイロット室25dの圧力作用で、パイロット制御弁25が図面右側位置に切り換わると、第1ポート25aと第2ポート25bとが開口して、パイロット通路3と制御通路24とを連通させるとともに、第3ポート25cを閉じてパイロット通路3と27との連通を遮断する。
【0020】
反対に、他方のパイロット室25eの圧力作用で、パイロット制御弁25が図面左側位置に切り換わると、第1ポート25aと第3ポート25cとが開口して、パイロット通路3と27とを連通させるとともに、第2ポート25bを閉じて、パイロット通路3と制御通路24との連通を遮断する。
【0021】
また、第2作業機系切換弁21のパイロットポート26は、その切換弁21が図示の中立位置にあるときに開口するとともに、それを第3作業機系切換弁22のパイロットポート29に連通させる。そして、第2作業機系切換弁21が図示の中立位置から左右いずれかの制御位置に切り換えられたとき、このパイロットポート26が閉じられる構成にしている。
【0022】
また、上記第3作業機系切換弁22のパイロットポート29も、その切換弁22が図示の中立位置にあるとき開口してこのポート29をタンクTに連通させる。第3作業機系切換弁22が図示の中立位置から左右いずれかの制御位置に切り換えられたとき、このパイロットポート29が閉じられる構成にしている。
なお、図中符号30はメインリリーフ弁、31はステアリング系回路8のリリーフ弁である。
【0023】
次に、この実施形態の作用を説明する。
今、作業機系回路10の第1,2,3作業機系切換弁19,21,22を中立位置に保って、リフトシリンダ18、チルトシリンダ20および図示していないアタッチメント用アクチュエータを作動していないときには、各切換弁19,21,22のパイロットポート23,26および29のそれぞれがタンクTに連通する。
【0024】
上記のように、パイロットポート23,26および29のそれぞれがタンクTに連通していれば、パイロット制御弁25のパイロット室25dおよび25eには圧力が立たないので、パイロット制御弁25は図示の中立位置を保ち、第1〜3ポート25a〜25cを開口する。したがって、パイロット通路3もタンクTに連通することになる。
【0025】
このようにパイロット通路3がタンクTに導かれるので、パイロット通路3内はタンク圧に保たれる。パイロット通路3がタンク圧に保たれた状態では、レギュレータ2が可変吐出ポンプ1の吐出量を最少に保つが、このときの最少吐出流量は制御流量Q1+パイロット流量Q3に設定されていること前記したとおりである。
【0026】
したがって、この状態で可変吐出ポンプ1から吐出された流量のうち、制御流量Q1が優先弁5を経由してステアリング系回路8に供給され、パイロット流量Q3が流量制御弁16を経由してパイロット通路3に供給される。このように可変吐出ポンプ1の全吐出量(Q1+Q3)がステアリング系回路8とパイロット通路3に供給されるので、作業機系回路10には作動流体が供給されないことになる。
【0027】
上記のように、作業機系回路10の作業機を作動していないときには、可変吐出ポンプ機構Pの傾転角が最少に保たれるので、この作業機系回路10に作動流体が供給されず、その分、エネルギーロスが少なくなる。エネルギーロスが少ないので、この作業機系回路10において発熱もなくなる。したがって、作業機系回路10を冷却する装置なども必要なくなる。
【0028】
なお、流量制御弁16を経由してパイロット通路3に流入したパイロット流量Q3は、上記したようにタンクTに導かれる。そのために多少の圧力損失が発生するが、パイロット流量Q3を十分に少なく設定すれば、その圧力損失はほとんど無視してもよい微小なものとなる。
【0029】
上記の状態から、例えば、第1作業機系切換弁19を図面右側であるリフトの上昇位置に切り換えるとともにそれをフルストロークすると、パイロットポート23が閉じられる。このようにパイロットポート23が閉じられると、制御通路24はパイロット通路3と同圧になる。
【0030】
一方、パイロット通路27側はパイロットポート26,29を介してタンクTに流通している。言い換えると、第1ポート25aと第3ポート25cとの流通過程では流体の流れによる圧力損失が発生するので、パイロット通路3側の圧力がパイロット通路27側の圧力よりも高くなる。したがって、パイロット通路3側と同圧である上記制御通路24側の圧力が、パイロット通路27側の圧力よりも相対的に高くなる。
【0031】
上記のように、制御通路24側の圧力が高くなるので、パイロット制御弁25のパイロット室25d側の圧力も相対的に高くなる。したがって、パイロット制御弁25は図面右側位置に切り換わり、第1,2ポート25a,25bを連通し、第3ポート25cを閉じる。これによって、パイロット通路3の圧力が、第1ポート25a→第2ポート25b→制御通路24を介して、減圧弁17のピストン室17cに導かれる。
【0032】
上記のようにピストン室17cに導かれた圧力が制御ピストン17bに作用すると、それにともなって制御ピストン17bが移動してスプリング17aをたわませ、そのバネ力を強くするとともに、当該減圧弁17の設定圧力を相対的に高くする。減圧弁17の設定圧力が高くなれば、それにともなって中継通路15を経由してパイロット通路3に導かれる圧油の圧力も上昇するので、レギュレータ2に作用するパイロット圧も相対的に高くなって、可変吐出ポンプ1をフルに傾転させる。
【0033】
このように可変吐出ポンプ1がフルに傾転すれば、それにともなって可変吐出ポンプ1は相対的に大きな吐出量を維持する。つまり、リフトシリンダ18を上昇させるときに、その切換弁19をフルストロークすれば、可変吐出ポンプ1の吐出量を多く設定することができる。そして、この増加分の流量は余剰流量Q2としてそのすべてがリフトシリンダ18に供給されることになる。
【0034】
なお、第1作業機系切換弁19を図面左側位置である下降位置に切り換えると、リフトシリンダ18をタンクに連通させるので、リフトシリンダ18は自重の作用で下降するとともに、このときには、パイロットポート23がタンクTに連通する。このようにパイロット通路3がパイロットポート23を介してタンクTに連通するので、レギュレータ2にはそれほど高い圧力が作用しない。そのために、可変吐出ポンプ機構Pは最少傾転角を保ち、そのエネルギーロスを最少にする。
【0035】
一方、第2作業機系切換弁21あるいは第3作業機系切換弁22をフルストロークすると、パイロットポート26あるいはパイロットポート29が閉じられるので、パイロット通路27側の圧力が上昇する。このようにパイロット通路27側の圧力が上昇することによって、パイロット制御弁25のパイロット室25e側の圧力が相対的に高くなる。
したがって、パイロット制御弁25は図面左側位置に切り換わり、第1,3ポート25a,25cを連通し、第2ポート25bを閉じる。このように第2ポート25bが閉じられるので、ピストン室17cには圧力が作用しない。
【0036】
そのため、減圧弁17はそのスプリング17aをたわませることなく、通常の設定圧に保たれる。減圧弁17が通常の設定圧に保たれるので、可変吐出ポンプ1は上記設定圧にあった吐出量、すなわちリフトシリンダ18を上昇させるときよりも相対的に少ない吐出量に維持される。
なお、上記減圧弁17は、この発明のパイロット圧制御手段を構成するもので、このパイロット圧制御手段は、レギュレータ2に対するパイロット圧を2段階に制御できることが、最大の特徴である。
【0037】
図2はフォークリフトの第2実施形態を示すもので、特に、パイロット圧制御手段が、第1実施形態と相違するもので、その他は第1実施形態と同一である。したがって、この第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一の構成要素については同一符号を付するとともに、それら同一構成要素の詳細な説明を省略する。
【0038】
この第2実施形態におけるパイロット圧制御手段は、流量制御弁16とパイロット圧制御用リリーフ弁32とからなる。上記流量制御弁16はその流出ポート側をパイロット通路3に連通する一方、流量制御弁16とパイロット通路3との連通過程に上記パイロット圧制御用リリーフ弁32を接続したものである。そして、このリリーフ弁32は、その流出ポート側をタンクTに連通している。
【0039】
上記のようにしたパイロット圧制御用リリーフ弁32は、その一方の側にスプリング32aを設けるとともに、このスプリング32aのバネ力を調整する制御ピストン32bをピストン室32cに設けている。そして、制御ピストン32bに圧力が作用したときには、上記スプリング32aがたわんでそのバネ力を大きくする。
【0040】
反対に、制御ピストン32bに圧力が作用していないときには、スプリング32aが伸びた状態を保ってそのバネ力を弱くする。上記バネ力が強ければ、パイロット圧制御用リリーフ弁32の設定圧が高くなり、バネ力が弱ければその設定圧が低くなる。そして、上記ピストン室32cは、第1実施形態と同じ制御通路24に連通している。
なお、上記スプリング32a、ピストン32bおよびピストン室32cでこの発明の設定圧制御部を構成するものである。
【0041】
したがって、第1作業機系切換弁19をフルストロークしたとき、パイロット通路3の圧力が上記ピストン室32cに導かれて制御ピストン32bに作用する。このように制御ピストン32bにパイロット圧が作用すれば、スプリング32aをたわませるので、パイロット圧制御用リリーフ弁32の設定圧が高くなる。
そのため、この高く設定された圧力が、パイロット制御弁25の第1ポート25a→第2ポート25b→制御通路24を介して、レギュレータ2に作用し、可変吐出ポンプ1の吐出量を増大させる。
【0042】
一方、第2あるいは第3作業機系切換弁21あるいは22をフルストロークすると、第1実施形態と同様に、パイロット通路3と制御通路24との連通が遮断されるので、ピストン室32cには圧力が作用しない。したがって、このリリーフ弁32はそのスプリング32aをたわませることなく、相対的に低い設定圧に保たれる。したがって、この相対的に低く設定された圧力がレギュレータ2に作用し、可変吐出ポンプ1は相対的に少ない吐出量を維持する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の第1実施形態の回路図である。
【図2】この発明の第2実施形態の回路図である。
【符号の説明】
【0044】
P 可変吐出ポンプ機構
2 レギュレータ
3 パイロット通路
5 優先弁
7 制御流ポート
8 ステアリング系回路
9 余剰流ポート
10 作業機系回路
15 中継通路
16 流量制御弁
17 パイロット圧制御手段である減圧弁
17a 設定圧制御部を構成するスプリング
17b 設定圧制御部を構成する制御ピストン
17c 設定圧制御部を構成するピストン室
19 第1作業機系切換弁
21 第2作業機系切換弁
22 第3作業機系切換弁
25 パイロット制御弁
32 パイロット圧制御手段であるリリーフ弁
32a 設定圧制御部を構成するスプリング
32b 設定圧制御部を構成する制御ピストン
32c 設定圧制御部を構成するピストン室
T タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レギュレータを備えた可変吐出ポンプ機構と、この可変吐出ポンプ機構に接続された優先弁と、この優先弁の制御流ポートに接続したステアリング系回路と、優先弁の余剰流ポートに接続するとともに複数の作業機系切換弁を設けた作業機系回路と、上記レギュレータのパイロット通路と上記優先弁の上流側とを接続する中継通路に設けるとともに、あらかじめ設定した流量を上記パイロット通路に供給するための流量制御弁と、これら流量制御弁の下流側に設けるとともに、設定圧制御部の圧力に応じて設定圧を2段階に制御可能にしたパイロット圧制御手段と、上記パイロット通路をパイロット圧制御手段の設定圧制御部に連通させたり、その連通を遮断したりするパイロット制御弁とを備え、パイロット通路がパイロット圧制御手段の設定圧制御部に連通したとき、パイロット圧制御手段の設定圧を高くし、パイロット通路とパイロット圧制御手段の設定圧制御部との連通が遮断されたとき、パイロット圧制御手段の設定圧を低くする構成にした産業機械用制御回路。
【請求項2】
上記パイロット圧制御手段は、上記パイロット通路と中継通路に設けた流量制御弁との連通過程に設けた減圧弁からなる請求項1記載の作業機械用制御回路。
【請求項3】
上記パイロット圧制御手段は、上記パイロット通路と中継通路に設けた流量制御弁との連通過程に接続したパイロット圧制御用リリーフ弁からなる請求項1記載の作業機械用制御回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−52761(P2006−52761A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233268(P2004−233268)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】