説明

用紙搬送装置、読取装置及び画像形成装置

【課題】本発明の課題は、簡単な構成で排紙を行うことができる用紙搬送装置、読取装置及び画像形成装置を得ることである。
【解決手段】原稿Pを搬送する搬送部21と、この搬送部21からの原稿Pを上方または後方に排紙可能な排紙部23とを備え、排紙部23は、原稿Pを排紙する排紙ローラ部29と、この排紙ローラ部29から排紙される原稿Pを上方に案内する原稿ガイド33を備えている原稿搬送装置19であって、原稿ガイド33は、原稿Pを上方に向けて排紙させる第一排紙位置及び原稿Pを後方に向けて排紙させる第二排紙位置に移動可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を読み取られる原稿や画像が形成される転写材等の用紙を搬送する用紙搬送装置、これを用いたスキャナ等の読取装置、これらの用紙搬送装置及び読取装置の少なくとも一方を用いた複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、図8に示すように、原稿画像を読み取るスキャナ100を有する複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置101においては、原稿載置板102上にセットされた原稿Paを、スキャナ100の読取センサ103に搬送する搬送部105と、読取センサ103を通過した原稿Paを排紙する排紙部107とを有する用紙搬送装置109が設けられている(たとえば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
このような用紙搬送装置109は、原稿載置板102上に画像形成装置101の前側(図8において左側)にセットされた原稿を、搬送部105の一対の搬送ローラ111及び読取センサ103と対向して配置された反射ローラ113によってその画像を読み取らせつつ搬送し、排紙部107の一対の排紙ローラ115によって排紙する。
【0004】
又、一対の排紙ローラ115によって排紙される原稿は、排紙部107の切り替え爪117の切り替え動作によって、矢印Gで示す画像形成装置101の後側(図8において右側)の排紙ストッカ119、又は矢印Fで示す画像形成装置101の上側(図8において上側)の排紙ストッカ121のいずれかに送られる。
【0005】
そして、切り替え爪117によって上側に送られた原稿は、互いに対向して配置された一対の原稿ガイド板122によって上方に案内され、排紙部107の一対の上排紙ローラ123を介して排紙ストッカ121に排紙されて、排紙ストッカ121の原稿受け125にストックされるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−207142号公報
【特許文献2】特開2000−258970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の用紙搬送装置109では、原稿を後側及び上側の両方向に排紙するために、切り替え爪117、一対の原稿ガイド板122及び一対の上排紙ローラ123を設けなければならず、原稿を排紙するための構成が複雑になってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構成で排紙を行うことができる用紙搬送装置、読取装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、用紙を搬送する搬送部と、この搬送部からの用紙を複数の排紙方向に排紙可能な排紙部とを備え、排紙部は、用紙を排紙する一対の排紙ローラと、この排紙ローラから排紙される用紙を複数の排紙方向のうち、第一方向に案内する用紙ガイドを備えている用紙搬送装置であって、用紙ガイドは、用紙を第一方向に向けて排紙させる第一排紙位置及び用紙を第一方向とは異なる第二方向に向けて排紙させる第二排紙位置に移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0010】
尚、用紙とは、画像を読み取られる原稿や画像が形成される転写材等をも含むものである。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、排紙部には、用紙ガイドが第一排紙位置に位置しているときに、排紙ローラから排紙されている用紙の両面の少なくとも一方を押圧する押圧部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、排紙部は、第一方向に排紙される用紙をストックすると共に、第一排紙位置に位置している用紙ガイドと対面する用紙ストッカを備え、押圧部は、用紙ストッカから第一排紙位置に位置している用紙ガイドに向けて突出するストッカ側突出部材と、第一排紙位置に位置している用紙ガイドから用紙ストッカに向けて突出するガイド側突出部材とを備え、ストッカ側突出部材及びガイド側突出部材はそれぞれ、排紙される用紙の幅方向に沿って互いに交互に位置するように複数個配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、押圧部のガイド側突出部は、一対の排紙ローラから排紙されている用紙を、一対の排紙ローラの一方に向かうように押圧することを特徴とする。
【0014】
尚、排紙ローラから排紙されている用紙を、一対の排紙ローラの一方に向かうように押圧するためには、「ガイド側突出部材を、用紙ガイドに略直角な方向における用紙ガイドと一対の排紙ローラの一方までの距離よりも長く形成する」と良い。このように構成すると、一対の排紙ローラによって排紙されている用紙が、ガイド側突出部材によって一対の排紙ローラの一方に向けて押圧されて、用紙の後端部が一対の排紙ローラの一方に乗り上げられるため、用紙は用紙ストッカにスムーズに排紙される。
【0015】
請求項5に記載された発明は、用紙の画像を読み取る読取部と、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の用紙搬送装置とを備え、搬送部によって搬送される用紙は、読取部によって読み取られた後、排紙部を介して排紙されることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載された発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の用紙搬送装置とを備え、搬送部によって搬送される用紙は、画像形成部によって用紙に画像形成が行われた後、排紙部を介して排紙されることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載された発明は、用紙に画像を形成する画像形成部と、請求項5に記載の読取装置とを備え、画像形成部は読取装置が読み取った画像を用紙に形成することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、用紙ガイドが、用紙を第一方向に向けて排紙させる第一排紙位置及び用紙を第一方向とは異なる第二方向に向けて排紙させる第二排紙位置に移動可能に設けられているので、従来のように専用の切り替え爪や排紙ローラ等を設けなくても、用紙ガイドのみで、用紙を第一方向及び第二方向のいずれかに排紙することができる。したがって、構成が簡単であると共に、製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図1は本発明の第1実施の形態に係る画像形成装置を概略的に示す図、図2は図1の画像形成装置の内部を概略的に示す図、図3及び図4は第1の実施の形態に係る原稿ガイドの動作を説明する図、図5は第1の実施の形態に係る原稿ガイドとその周囲を拡大して示す斜視図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、概して、画像形成装置1の上部に配置され、原稿(用紙)の画像を読み取るスキャナ部(読取装置)Aと、このスキャナ部Aの下方に配置され、転写材に画像を形成する画像形成部Bと、この画像形成部Bの下方に配置され、画像形成部Bに転写材を給紙する給紙部Cと、スキャナ部Aに一体的に設けられ、画像形成装置1における各種操作を行うための操作部Dとを備えている。
【0021】
先ず、画像形成部B、給紙部C及び操作部Dを説明する。画像形成部Bは、静電潜像を担持し所定方向に回転する感光体ドラム(像担持体)3と、感光体ドラム3表面を帯電する帯電装置5と、感光体ドラム3表面を露光し、静電潜像を形成する露光装置7と、感光体ドラム3表面4の静電潜像にトナーを供給してトナー像として可視像化する現像装置9と、感光体ドラム3表面のトナー像を転写材に転写する転写装置11と、転写後の感光体ドラム3表面をクリーニングするクリーニング装置13と、転写装置11の転写材搬送方向の下流側に配置され、転写材上のトナー像を定着させる定着装置14と、定着装置14によって定着された転写材を排紙する排紙装置16とが設けられている。
【0022】
感光体ドラム3は、アルミニウム基体の外周面に有機感光体からなる感光層を形成したものを用い、そのドラム表層がポリカーボネート製となっている。
【0023】
帯電装置5は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電するものである。この帯電装置5は、帯電部材を感光体ドラム1の表面に接触させて配置又は感光体ドラム1の表面と微小な空隙を空けて配置し、これに帯電バイアスを印加して感光体ドラム1表面を所望の極性及び所望の電位に一様に帯電する。帯電部材としては、例えば弾性体からなる帯電ローラや、ワイヤー電極とグリッド電極を用いたスコロトロン帯電器などを用いる。
【0024】
露光装置7は、帯電装置5によって帯電された感光体ドラム1の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成するものである。この露光装置7は発光素子として例えば、LD(Laser Diode)、又はLED(Light Emitting Diode)を使用している。そして一様に帯電された感光体ドラム1の表面に対して画像データに基づく光を照射することにより、感光体ドラム1表面に静電潜像を形成する。
【0025】
現像装置9は、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うものである。この現像装置9は、現像剤担持体としてマグネットの現像ローラを備えている。現像ローラは、表面に現像剤を担持しながら回転することによって、現像剤を感光体ドラム1と対向する現像領域へ搬送する。本実施形態では、現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分現像剤を用い、マグネットローラの磁力により現像領域でキャリアを穂立ちさせてブラシ状にして現像を行う磁気ブラシ現像方式を採用している。尚、現像剤としては、キャリアを用いずにトナーのみからなる一成分現像剤を用いてもよい。上記現像ローラには、現像バイアス電源から現像バイアスが印加される。これにより、現像領域において、現像ローラ表面の電位と感光体ドラム1の表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、現像剤中のトナーが静電潜像へ付着する。これにより感光体ドラム1上の静電潜像がトナー像になる。
【0026】
転写装置11は、感光体ドラム1上のトナー像を、図中矢印の方向に搬送されてくる記録材P上へ転写するものである。転写装置11では転写部材11aを感光体ドラム3の表面に所定の押圧力で接触させ、転写部材11aと感光体ドラム3との間に転写ニップを形成する。そして、この転写ニップで転写材Pを挟み込んだ状態で、転写バイアス電源からトナーとは逆極性の転写バイアスを転写部材11aに印加して形成される転写電界により、感光体ドラム3表面上のトナー像を転写材P上へ転写させる。尚、転写部材11aは、いわゆる転写ベルトであっても転写ローラであっても良い。さらに、転写装置11は転写部材11aから直接転写材Pに転写せず、複数のトナー像を転写部材に重ねてから転写材Pに転写を行う中間転写ベルトを用いても良い。
【0027】
クリーニング装置13は、転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーを、感光体ドラム1の表面から除去するものである。クリーニング装置13には感光体ドラム3表面上の転写残トナーを掻き取って除去するクリーニングブレード(図示せず)が用いられている。クリーニングブレードはポリウレタンのブレード部材を金属支持体に貼り付けたものであり、感光体ドラム1との当接方法は感光体ドラム1の回転方向Aに対してカウンタ方向に接触させる。クリーニングブレードは、感光体ドラム1表面のトナーを除去するのみならず、転写材Pとして紙を使用したときに発生する紙粉や、感光体ドラム3の放電により生成される放電生成物、トナーに添加されている添加剤などの不純物を感光体ドラム3から除去している。
【0028】
定着装置14は、加熱ローラ14a及び加圧ローラ14bを有しており、これらのローラ間にトナー像が転写された転写材を狭持しつつ搬送することによって、転写材にトナー像を定着する。又、この定着装置14によってトナー像が定着された転写材は、排紙装置16の排紙ローラ16a、16bによって、胴内排紙ストッカ16cに向けて排紙される。
【0029】
給紙部Cは、転写材が収納された給紙カセット15a、15bが上下に配置されており、給紙カセット15a、15bにはそれぞれ、大きさの異なる転写材が収納されている。操作部Dへの操作により、いずれかの給紙カセット15a、15bからの転写材が呼び出されて、画像形成部Bに向けて給紙されるようになっている。又、操作部Dは、操作パネルを有しており、使用者が操作パネルのボタン等を操作することによって、画像形成装置1に複写動作等を行わせるようになっている。
【0030】
スキャナ部Aは、原稿Pがセットされると共に画像形成装置1の前側(図2において左側)に配置された原稿載置部17と、原稿載置部17からの原稿の画像を読み取る読取センサ18と、原稿載置部17に載置された原稿Pを読取センサ(読取部)18に向けて搬送した後に排紙する原稿搬送装置(用紙搬送装置)19とを備えている。原稿載置部17の原稿載置面17aは、画像形成装置1の前側から後側(図2において右側)に向けて略水平に延びるように形成されており、原稿載置面17aに原稿を略水平に載置できるようになっている。
【0031】
図3及び図4に示すように、原稿搬送装置19は、原稿Pを搬送する搬送部21と、この搬送部21が搬送した原稿を画像形成装置1の後側及び上側(図3及び図4において上側)の2つの排紙方向に排紙可能な排紙部23とを備えている。
【0032】
搬送部21は、原稿載置部17にセットされた原稿Pを読取センサ18に向けて搬送する搬送駆動ローラ25a及びこの搬送駆動ローラ25aの上方に位置する搬送従動ローラ25bの対からなる搬送ローラ部25と、搬送ローラ部25の搬送方向下流側に位置する読取センサ18の下方でかつ読取センサ18に対向して配置され、搬送ローラ部25からの原稿Pを搬送方向下流側に向けて搬送する反射ローラ27と、この反射ローラ27の下流側に設けられ、反射ローラ27からの原稿Pを排紙する排紙駆動ローラ(排紙ローラ)29a及びこの排紙駆動ローラ29aの上方に位置する排紙従動ローラ(排紙ローラ)29bの対からなる排紙ローラ部29と、画像形成装置1の後側に配置され、排紙ローラ部29から排紙された原稿Pを受けてストックする後原稿ストッカ31と、画像形成装置1の上側に配置され排紙ローラ部29から排紙された原稿Pを受けてストックする上原稿ストッカ33と、排紙ローラ部29から排紙される原稿Pを上原稿ストッカ33に向けて案内する原稿ガイド(用紙ガイド)35とを備えている。
【0033】
図3及び図4を見ても明らかなように、搬送ローラ部25、反射ローラ27及び排紙ローラ部29は、画像形成装置1の前側から後側に向けて略水平にこの順に並んで配置されており、原稿載置部17の原稿Pを画像形成装置1の前側から後側に向けて略水平に搬送するようになっている。
【0034】
後原稿ストッカ31は、左右(図3及び図4において紙面を貫通する方向、言い換えれば、排紙される原稿Pの幅方向)に長い略長方形の板状に形成されていると共に、排紙ローラ部29よりもわずかに下方の位置から画像形成装置1の後側に向けて延びて段差状に形成されている。又、後原稿ストッカ31は、排紙ローラ29から図4の矢印Gaに示す後方(第二方向)に略水平に排紙された原稿Pを受けてストックする受け面31aを有している。
【0035】
上原稿ストッカ33は、左右に長い略長方形の板状に形成されていると共に、排紙ローラ部29よりも上方でかつわずかに前方の位置から図3で見て左斜め上方に向けて延びて形成されている。又、上原稿ストッカ33は、排紙ローラ29から図3の矢印Faに示す上方(第一方向)に排紙された原稿Pを受ける受け面33aを有している。さらに、上原稿ストッカ33は、図5に示すように、その中央部において略五角形の板状の切抜き部33bが、上原稿ストッカ33の長手方向に沿って略等間隔に3つ並んで形成されている。尚、切抜き部33bの数や形状は、上記3つや五角形に限定されず、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0036】
原稿ガイド35は、図5に示すように、左右に細長い長方形の板状に形成され、排紙ローラ部29から排紙される原稿Pを案内する案内面37aを有するガイド部37と、このガイド部37の下部両端にそれぞれ設けられた板状の支持部材39とを備えている。ガイド部37の上端の中央部には、略矩形板状の4つの切欠き41がガイド部37の長手方向(左右方向)に沿って略等間隔で並んで形成されている。その結果、隣り合う切欠き41の間には、略矩形板状の突起43が形成され、この突起43は合計で3つ形成されている。又、これらの突起43はそれぞれ、上原稿ストッカ33の各切抜き部33bに対向する位置に形成されている。尚、突起43の数は、上記3つに限定されず、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0037】
又、図3及び図4に示すように、原稿ガイド35の下部は、前方に向けて湾曲した弓形板状に形成されており、この下部の案内面35a側には、その先端が排紙ローラ部29に向けて突出した略三角状の爪部37が形成されている。この爪部37は、原稿ガイド35の下部の案内面35a側において、排紙ローラ部29に干渉しない位置に設けられており、爪部37の先端は、原稿ガイド35が後述する第一排紙位置にあるときに、図3で見て排紙駆動ローラ29aの途中まで食い込む程度まで延びている。又、この爪部37の上面は段差状に形成されて、排紙ローラ部29によって排紙された原稿Pの後端を受ける受け面37aとされている。
【0038】
支持部材39には、図示しない駆動源からの動力を受けて回動する駆動軸45が固定されている。したがって、原稿ガイド35は、駆動軸45の回動により駆動軸45を中心に回動するようになっている。
【0039】
具体的には、原稿ガイド35は、駆動軸45の回動により、原稿ガイド35の案内面37aと上原稿ストッカ33の受け面33aとが略平行となると共に、原稿ガイド35の爪部37が排紙駆動ローラ29a及び排紙従動ローラ25bのニップ間の後方を覆う第一排紙位置(図3に示す位置)と、この第一排紙位置から前方に回動して、原稿ガイド35の各突起43がそれぞれ、上原稿ストッカ33の各切抜き部33bに入り込んで、上原稿ストッカ33と原稿ガイド35とが交差すると共に、原稿ガイド35の爪部37が排紙駆動ローラ29a及び排紙従動ローラ25bのニップ間の後方を開放する第二排紙位置(図4に示す位置)とに回動可能になっている。
【0040】
次に、上述した構成に基づき、本実施の形態の作用を説明する。原稿載置部17にセットした原稿Pを後原稿ストッカ31に排紙するときには、操作部Dを操作することにより、画像形成装置1の動作を制御する制御部(図示せず)からの駆動信号によって、回動軸45が回動して、原稿ガイド35を図4に示す第二排紙位置に回動(移動)させる。これにより、排紙駆動ローラ29a及び排紙従動ローラ29bのニップ間の前方が開放されるため、搬送部21によって搬送されている原稿Pが排紙ローラ部29に到達すると、そのまま画像形成装置1の後方に略水平に排紙されて、後原稿ストッカ31の受け面31aに載置されてストックされる。
【0041】
一方、原稿載置部17にセットした原稿Pを上原稿ストッカ33に排紙するときには、操作部Dを操作することにより、原稿ガイド35を図3に示す第一排紙位置に回動させる。すると、排紙駆動ローラ29a及び排紙従動ローラ29bのニップ間の前方が覆われるため、排紙ローラ部29を介して排紙されている原稿Pは、その先端部が原稿ガイド35の爪部37に突き当てられて、原稿ガイド35の案内面35aに沿って上原稿ストッカ33と原稿ガイド35との間に進入し、そのまま上方に向けて案内される。そして、排紙ローラ部29によって原稿Pが排紙されると、図3に示すように、爪部37の受け面37aは原稿Pの後端を受けて原稿Pを保持する。
【0042】
以上、説明したように、本実施の形態では、原稿ガイド35が、原稿Pを上方に向けて排紙させる第一排紙位置及び原稿Pを後方に向けて排紙させる第二排紙位置に移動可能に設けられているので、従来のように専用の切り替え爪や排紙ローラ等を設けなくても、原稿ガイド35のみで、原稿Pを上原稿ストッカ33及び後原稿ストッカ31のいずれかに排紙することができる。したがって、構成が簡単であると共に、製造コストの低減を図ることができる。
【0043】
次に、本発明に係る第2実施の形態を説明するが、その説明にあたり上述と同様な部分には同一の符号を付することにより、その説明を簡略化する。尚、図6は本発明の第2実施の形態に係るスキャナ部Aを拡大して示す図、図7は図6のスキャナ部を矢印H方向から見た図である。
【0044】
図6及び図7に示すように、スキャナ部Aは、第一実施の形態と同様な上原稿ストッカ34と、原稿ガイド36とを備えている。上原稿ストッカ34の受け面33aの略中央部には、この受け面33aから後方に略垂直に突出するストッカ側押さえリブ(ストッカ側突出部材)47、言い換えれば、第一排紙位置に位置して上原稿ストッカ34と略平行に対向した原稿ガイド36に向けて突出するストッカ側押さえリブ47が、上原稿ストッカ34の左右に亘って等間隔で4つ設けられている。又、上原稿ストッカ34は、その下端部が、排紙従動ローラ29bに向けて折り曲げられた折り曲げ部38とされている。この折り曲げ部38は排紙従動ローラ29bまで平坦に延びて形成されており、この折り曲げ部38の上面は排紙ローラ部29から排紙された原稿Pを受ける原稿受け38aとされている。又、この折り曲げ部38には、後述する各ガイド側押さえリブ49に図7において対向する位置にそれぞれ、ガイド側押さえリブ49に押圧された原稿Pの逃げ部となる切欠き40が形成されている。
【0045】
又、原稿ガイド36が第一排紙位置にあるとき、原稿ガイド35の上部は原稿ガイド36の略中央部に対面して位置しており、この上部の案内面35a側には、案内面35aから前方に向けて突出するガイド側押さえリブ(ガイド側突出部材)49、言い換えれば、第一排紙位置にある原稿ガイド36に略平行に対向した上原稿ストッカ34に向けて突出するガイド側押さえリブ49が、原稿ガイド36の左右に亘って等間隔で4つ設けられている。
【0046】
本実施の形態では、上原稿ストッカ34のストッカ側押さえリブ47と原稿ガイド36のガイド側押さえリブ49とで、原稿Pの両面をそれぞれ押圧する押圧部50を構成している。これらのストッカ側押さえリブ47とガイド側押さえリブ49側とはそれぞれ、図7に示すように、左右方向に沿って互いに交互に位置するように配置されている。すなわち、ガイド側押さえリブ49の間に、ストッカ側押さえリブ47が位置するように配置されている。又、ガイド側押さえリブ49は、原稿ガイド36の案内面35aの前方に略直角な方向における原稿ガイド36と排紙従動ローラ29bまでの距離よりも長く形成されている。本実施の形態では、ガイド側押さえリブ49は、図7で見て排紙従動ローラ29bの途中まで食い込む程度の長さに設定されており、排紙ローラ部29から排紙されている原稿Pを、排紙従動ローラ29bに向かうように押圧するようになっている。
【0047】
次に本実施の形態の作用について説明する。第一排紙位置にある原稿ガイド36の爪部37は、排紙ローラ部29から排紙されている原稿Pを上方に向けて案内する。この原稿Pは、ストッカ側押さえリブ47とガイド側押さえリブ49との間に狭持されつつ排紙されていくため、原稿Pの両面がそれぞれ、各リブ47、49に押圧される。その結果、原稿Pは紙面を貫通する両方向に変形して波形になるため、原稿Pの座屈、特に原稿Pの後端の座屈を抑制されつつ排紙されていく。
【0048】
又、各リブ47、49に両面を押圧されている原稿Pは、図7に示すように、原稿Pは、その幅方向における断面形状が波形となって腰を付けられて、その強度が高められる。その結果、原稿Pはバランスよく強度を保つため、まっすぐに排紙されていく。
【0049】
そして、排紙ローラ部29によって排紙された原稿Pは、排紙従動ローラ29bの途中まで食い込む程度の長さに設定されたガイド側押さえリブ49によって、排紙従動ローラ29bに向けて(上原稿ストッカ34の受け面33aに向けて)押し付けられる。これにより、原稿Pの後端が排紙従動ローラ29bに押し上げられ、原稿Pは排紙従動ローラ29bの回転によって、効率よく原稿受け38aに移動する。二枚目以降の原稿も上述と同様にして原稿受け38aに移動し、複数の原稿Pがストック可能となる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態では、ストッカ側押さえリブ47及びガイド側押さえリブ49で構成される押圧部50を設けたので、各リブ47、49によって原稿Pが腰付けされて原稿Pの座屈、特に原稿Pの後端の座屈を防止することができ、原稿Pの後端を排紙従動ローラ29bにスムーズに押し上げることができる。このため、排紙従動ローラ29bによってストック位置である上原稿ストッカ34の原稿受け38aに効率よく送ることができ、複数枚の原稿Pを挿入順(搬送順)にストックすることができる。
【0051】
又、ストッカ側押さえリブ47とガイド側押さえリブ49とを互いに交互に配置しただけの簡単な構成で、これらのリブ47、49に狭持されている原稿Pの幅方向の断面形状を波形にして、原稿Pの幅方向に亘ってバランスよく容易に腰付けでき、原稿Pの強度の向上を図ることができる。その結果、斜め排出などの不具合を抑制することができ、原稿Pをまっすぐに排出することができる。
【0052】
さらに、ガイド側押さえリブ49の長さを、排紙従動ローラ29bの途中まで食い込む程度に設定して、排紙ローラ部29から排紙されている原稿Pを、排紙従動ローラ29bに向かうように押圧するようにしたので、排紙従動ローラ29bに原稿Pを容易に押し上げることができ、排紙従動ローラ29bの回転によって、原稿Pをスムーズに上原稿ストッカ34の原稿受け38aに送り出すことができる。この結果、原稿Pの安定したストック性を維持することができる。
【0053】
本発明は、上述した両実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。
【0054】
たとえば、本発明は、画像形成装置1のスキャナ部Aに適用したが、これに限定されず、画像形成装置1の画像形成部Bに本発明を適用することも可能である。これは、次のように構成すれば実現可能である。すなわち、図2に示す画像形成装置1の上部のスキャナ部Aを取り外した状態において、画像形成部Bの排紙装置16の胴内排紙ストッカ16cの上方等に、上記両実施の形態の原稿ストッカ33、34のいずれかと同様なストッカを設けると共に、排紙ローラ16a、16bの前方に、上記両実施の形態の原稿ガイド35、36と同様な転写材ガイドを設けるようにすれば良い。この場合、転写材ガイドの回動角度によって、排紙ローラ16a、16bから排紙される転写材は、胴内排紙ストッカ16c、あるいは、このストッカ16cの上方等に設けられたストッカのいずれかに排紙されることとなり、上記両実施の形態と同様な作用効果を奏する。尚、この場合、排紙装置16が排紙部を構成し、排紙装置16に向けて転写材を搬送する加熱ローラ14a、14b等が搬送部を構成することは言うまでもない。
【0055】
又、上述の両実施形態において、排紙部23による原稿Pの排紙方向は、画像形成装置1の後方及び上方の2方向としたが、これに限定されず、3方向以上に分けて排紙するようにしても良いし、原稿Pの排紙方向も後方や上方に限定されず、前方や横方向に設定するようにしても良い。
【0056】
さらに、上方への排紙に際して、原稿ガイド35、36の回動角度を調整することによって、たとえば、画像形成装置1に対して略垂直上方及び斜め上方というように、複数の方向に排紙するようにしても良い。この場合、それぞれの排紙方向に対応して、上原稿ストッカ33及び34のいずれかと同様な上原稿ストッカを設けるのが好ましい。このように構成しても、上記両実施の形態と同様な作用効果を奏する。
【0057】
さらに、上記両実施の形態では、押圧部50をストッカ側押さえリブ47とガイド側押さえリブ49とで構成したが、これに代えて、ストッカ側押さえリブ47及びガイド側押さえリブ49の一方のみで押圧部を構成するようにしても良い。この場合であっても、原稿Pの片面がいずれかのリブ47、49によって押圧されて原稿Pに腰付けを行うことができる。尚、いずれか一方のリブ47、49のみで押圧部を構成する場合には、上原稿ストッカ33、34へのスムーズな原稿Pの送り出しを考慮すると、ガイド側押さえリブ47のみで押圧部を構成するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る画像形成装置を概略的に示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の内部を概略的に示す図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る原稿ガイドの動作を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係る原稿ガイドの動作を説明する図である。
【図5】図5は第1の実施の形態に係る原稿ガイドとその周囲を拡大して示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施の形態に係るスキャナ部を拡大して示す図である。
【図7】図6のスキャナ部を矢印H方向から見た図である。
【図8】従来例に係る用紙搬送装置を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
18 読取センサ(読取部)
19 原稿搬送装置(用紙搬送装置)
21 搬送部
23 排紙部
29a 排紙駆動ローラ(排紙ローラ)
29b 排紙従々ローラ(排紙ローラ)
33、34 上原稿ストッカ(用紙ストッカ)
35、36 原稿ガイド(用紙ガイド)
47 ストッカ側押さえリブ(ストッカ側突出部材)
49 ガイド側押さえリブ(ガイド側突出部材)
50 押圧部
A スキャナ部(読取装置)
B 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送部と、この搬送部からの用紙を複数の排紙方向に排紙可能な排紙部とを備え、排紙部は、用紙を排紙する一対の排紙ローラと、この排紙ローラから排紙される用紙を複数の排紙方向のうち、第一方向に案内する用紙ガイドを備えている用紙搬送装置であって、
用紙ガイドは、用紙を第一方向に向けて排紙させる第一排紙位置及び用紙を第一方向とは異なる第二方向に向けて排紙させる第二排紙位置に移動可能に設けられていることを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
排紙部には、用紙ガイドが第一排紙位置に位置しているときに、排紙ローラから排紙されている用紙の両面の少なくとも一方を押圧する押圧部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
排紙部は、第一方向に排紙される用紙をストックすると共に、第一排紙位置に位置している用紙ガイドと対面する用紙ストッカを備え、押圧部は、用紙ストッカから第一排紙位置に位置している用紙ガイドに向けて突出するストッカ側突出部材と、第一排紙位置に位置している用紙ガイドから用紙ストッカに向けて突出するガイド側突出部材とを備え、ストッカ側突出部材及びガイド側突出部材はそれぞれ、排紙される用紙の幅方向に沿って互いに交互に位置するように複数個配置されていることを特徴とする請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
押圧部のガイド側突出部は、一対の排紙ローラから排紙されている用紙を、一対の排紙ローラの一方に向かうように押圧することを特徴とする請求項3に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
用紙の画像を読み取る読取部と、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の用紙搬送装置とを備え、搬送部によって搬送される用紙は、読取部によって読み取られた後、排紙部を介して排紙されることを特徴とする読取装置。
【請求項6】
用紙に画像を形成する画像形成部と、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の用紙搬送装置とを備え、搬送部によって搬送される用紙は、画像形成部によって用紙に画像形成が行われた後、排紙部を介して排紙されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
用紙に画像を形成する画像形成部と、請求項5に記載の読取装置とを備え、画像形成部は読取装置が読み取った画像を用紙に形成することを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−308248(P2007−308248A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138074(P2006−138074)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】