説明

画像セキュリティシステム

【課題】セキュリティ機能が強化されたセキュリティシステムを提供する。
【解決手段】個人情報入力装置31から入力されたユーザの個人情報は、ネットワーク40経由で権限照合部211に出力される。権限照合部211は個人ID記憶装置221に記憶された個人情報と照合を行うとともに、個人情報に対応する移動経路キーを移動経路キー記憶装置222から取得する。画像検索部212は、個人情報に対応するキー画像をキー画像記憶装置223から取得し、キー画像に基づいて複数の画像記憶装置12を検索し、カメラ11で撮影されたユーザの画像を複数取得する。移動経路生成部213は、検索されたユーザの画像に基づいてユーザの移動経路情報を生成する。解除判定部214は、生成された移動経路情報と移動経路キーとが一致する場合、電子ロック装置を解除させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される鍵情報と予め登録された解除キーとを電子的に照合し、照合結果に応じてセキュリティを管理する画像セキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力される鍵情報と予め登録された解除キーとを電子的に照合し、照合結果に基づいて電子ロックを解除したり、場合によっては警報装置を連動させたり等のセキュリティ管理が行われることがある。
【0003】
例えば、識別情報が書き込まれたICカード等を携行したユーザが、部屋の出入り口に設置された読取装置にICカード等の識別情報を読み取らせることにより、ユーザの入退室を管理する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−078954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、ユーザを識別するための鍵情報がICカード等に記憶されているため、このICカード等が紛失や盗難等された場合、第三者が簡単にユーザになりすますことができ、セキュリティ機能を果たさなくなる虞がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、セキュリティ機能を強化したセキュリティ管理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像セキュリティシステムは、所定空間を撮像する撮像手段からの画像情報に基づいて認証を行う画像セキュリティシステムであって、分散して設置された複数の前記撮像手段と、前記複数の撮像手段で撮像された前記画像情報から所定の移動体の移動経路情報を取得する経路取得手段と、前記移動経路情報と予め設定された所定の移動経路情報とが一致するときに正当であると認証する認証手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、セキュリティシステムのセキュリティ機能を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る実施形態の画像セキュリティシステムの全体構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明に係る実施形態の複数のカメラが分散して設置される様子を示したオフィスレイアウト図である。
【図3】本発明に係る実施形態のユーザインタフェース部の装置構成例である。
【図4】本発明に係る実施形態のある移動経路キーが移動経路キー記憶装置に登録されている様子を示したイメージ図である。
【図5】図4に示す移動経路キーに対応する移動経路を示した図である。
【図6】本発明に係る実施形態のユーザの移動経路を示した一例である。
【図7】本発明に係る実施形態の画像セキュリティシステムの全体の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の画像セキュリティシステムは、分散して設置された複数のカメラによる画像情報に基づいて、予め設定された移動体の移動経路情報を取得し、この移動経路情報を予め設定された移動経路情報に対応する解除コードと照合して正当なものであるかを判定する。これによれば、セキュリティを解除する解除キーが紛失及び盗難される虞がないため、高いセキュリティ効果を奏することができる。以下、図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
まず、図1を参照して、画像セキュリティシステム1000の構成を説明する。画像セキュリティシステム1000は、所定空間を撮影し記録する撮影情報記録部10と、認証要求を行ったユーザが撮影された画像情報に基づいて認証を行う認証制御部20と、ユーザからの認証要求を受け付けるとともに認証結果に応じて電子ロックを解除するユーザインタフェース部30とで構成される。
【0012】
撮影情報記録部10とユーザインタフェース部30とは、認証制御部20にプライベートなネットワーク40で接続されている。ただし、撮影情報記録部10とユーザインタフェース部30と認証制御部20とは、プライベートなネットワーク40による接続に限らず、それぞれの配置拠点が制限されないような接続形態であればよい。
【0013】
例えば、撮影情報記録部10とユーザインタフェース部30と認証制御部20との接続に公衆網を経由させる構成や、ユーザインタフェース部30と認証制御部20との接続に無線通信を用いるような構成も可能である。また、撮影情報記録部10の後述するカメラ11と画像記憶装置12との接続を無線で行ってもよい。
【0014】
撮影情報記録部10は、複数のカメラ11−1〜11−n(以降、各カメラを総称してカメラ11という)と、カメラ11による撮影画像を記憶する複数の画像記憶装置12−1〜12−n(以降、各画像記憶装置を総称して画像記憶装置12という)とで構成される。各カメラ11は、複数の拠点に分散して設置され、それぞれ互いに異なる撮影エリアを撮影するよう設定される。
【0015】
例えば、図2は、本実施形態の画像セキュリティシステム1000を1つのフロア内のオフィスに適用した一例である。図2では、黒い枠で表現された壁に囲まれた一つのフロアに複数の部屋が存在するオフィスを表している。オフィスの各部屋は一例として、「受付(2001)」、「応接室1(2002)」、「応接室2(2003)」、「会議室(2004)」、「倉庫(2005)」、「機密文書保管庫(2006)」、「社長室(2007)」、「秘書室(2008)」、「サーバ室(2009)」、「トイレ(2010)」、「待合室(2011)」、「事務室(2012)」、「設計室(2013)」としている。
【0016】
このオフィス内には、9台のカメラ11が分散して設置されている。ここでは、9台のカメラ11をそれぞれカメラ1〜カメラ9で表し、各カメラ11が撮影する領域を撮影エリア1〜撮影エリア9で表す。各カメラ11は、それぞれ異なるエリアを監視するよう設定されており、例えば、カメラ1は、撮影エリア1の撮影を担当し、カメラ2は、撮影エリア2の撮影を担当するよう設定される。各カメラ11は、必要に応じて撮影方向を変えられるよう構成されてもよい。
【0017】
図1に戻り、各カメラ11には、それぞれを識別するための固有のカメラIDが割り振られている。各カメラ11で撮影された画像情報は、その撮影時刻と撮影が行われたカメラ11のカメラIDとで関連付けられて画像記憶装置12に記憶される。撮影情報記録部10で記録された画像情報は、後述する認証制御部20により所定の移動体の移動経路を生成するために用いられる。この移動経路は、いずれの撮影エリアの区分で撮影されたかによって認識される。なお、図1では、各カメラ11と各画像記憶装置12とが1対1となる例を示しているが、カメラ11と画像記憶装置12の数が1対1以外になってもよい。
【0018】
ユーザインタフェース部30は、ユーザからの認証要求を受け付ける個人情報入力装置31−1〜31−m(以降、各個人情報入力装置を総称して個人情報入力装置31という)と、認証結果に応じて電子ロックを解除する電子ロック装置32−1〜32−m(以降、各電子ロック装置を総称して電子ロック装置32という)とから構成される。個人情報入力装置31と電子ロック装置32とは1対1に対応する。個人情報入力装置31は、ユーザからの認証要求を受け付ける際に、ユーザを識別するための個人情報の入力を受け付ける。
【0019】
個人情報としては、ユーザを識別可能なものであればよく、例えば、暗証コード(パスワード)や、身体的特徴(指紋、静脈、網膜、顔、音声、足音、匂い、DNA、筆跡等)などが適用可能である。例えば、ユーザは、テンキー等を介して暗証コードを個人情報入力装置31に直接入力してもよいし、予めキーやカード等に記憶された暗証コードを個人情報入力装置31の入力部に接触させることで送信してもよいし、携帯電話や非接触型電子キーにより暗証コードを個人情報入力装置31に無線送信してもよい。
【0020】
図3は、ユーザインタフェース部30の装置構成例である。ここでは、図2に示す「機密文書保管庫(2006)」の入室にセキュリティが掛けられているものとする。部屋名称が機密文書保管庫である部屋のドアレバー321には、電子ロック装置32が装備されており、ネットワーク40経由で正当なユーザであると認証された場合のみ、電子ロックが解除されてドアレバー321が回転可能になりドア322が開くよう制御されている。また、個人情報入力装置31は、電子ロック装置32の近傍に設けられており、例えば機密文書保管庫(2006)のドア322の横に位置する壁に設置される。
【0021】
個人情報入力装置31は、ステータス表示部311と個人情報入力部312とドアロック解除スイッチ313とを有している。ここでは、顔認識技術により個人情報を認証制御部20に通知するものとして説明する。このことから、個人情報入力部312は、ユーザの顔を撮影するための撮影用カメラ3121と、撮影される顔画像を表示する撮影画像ディスプレイ3122とで構成される。
【0022】
ユーザは、認証要求を行う場合、ドアロック解除スイッチ313を押下する。これにより、個人情報入力装置31は、ステータス表示部311の表示を無表示から撮影処理中を示す表示に切り替えるとともに、撮影用カメラ3121にユーザの顔を撮影させ、撮影中の画像を撮影画像ディスプレイ3122に表示させる。ユーザは撮影画像ディスプレイ3122を確認することで、撮影用カメラ3121に正対できているかを確認することができる。
【0023】
個人情報入力装置31は、撮影が終了すると、取得した個人情報(ユーザの顔画像)とロック解除を要求する電子ロック装置32の識別情報(例えば、電子ロック装置32が装備された部屋名称等)とを含む認証要求をネットワーク40経由で認証制御部20に送信する。また、個人情報入力装置31は、ステータス表示部311の表示を電子ロックの解除可否判定処理中であることを示す表示に切り替える。個人情報入力装置31は、解除可否判定処理が終わり、ネットワーク40経由で解除が許可された場合、ステータス表示部311にロック解除を示す旨を表示させ、電子ロックを解除する。一方、個人情報入力装置31は、解除可否判定処理の結果、解除が許可されなかった場合、ステータス表示部311にロック解除拒否を示す表示をさせ、電子ロックの解除を行わない。
【0024】
図1に戻り、認証制御部20の説明を行う。認証制御部20は、認証処理部21と利用者情報記憶部22とで構成される。
【0025】
利用者情報記憶部22は、個人情報に関連付けられた各種情報を記憶しており、個人ID記憶装置221と移動経路キー記憶装置222とキー画像記憶装置223とで構成される。ここでは、個人ID記憶装置221と移動経路キー記憶装置222とキー画像記憶装置223とを別体で構成しているが、それぞれの記憶内容を関連付けて1つの記憶装置として構成してもよい。
【0026】
個人ID記憶装置221は、個人情報入力装置31にユーザにより入力される個人情報と照合される予め設定された個人情報を各ユーザに固有に割り当てられた個人IDに関連付けて記憶する。個人情報としては、前述したとおり、例えば、暗証コード(パスワード)や、身体的特徴(指紋、静脈、網膜、顔、音声、足音、匂い、DNA等)などが適用可能である。
【0027】
移動経路キー記憶装置222は、電子ロック装置32のロックを解除するための解除キーとして用いる予め決められた所定の移動体の移動経路情報(以降、移動経路キー)を記憶する。移動経路キーは、個人IDと電子ロック装置32の識別情報とに関連付けられて記憶される。例えば、電子ロック装置32により制御される各部屋の電子ロックを解除可能なユーザを制限し、そのそれぞれのユーザについて異なる移動経路キーを設定することが可能である。そのため、同じ部屋であっても、個人IDが異なる場合、同一経路をたどっても電子ロックを解除不可能にすることができる。なお、本実施形態では、電子ロック装置32の識別情報を電子ロック装置32によりドア322の開閉が制御される部屋名称として説明する。
【0028】
図4は、ある移動経路キーが移動経路キー記憶装置222に登録されている様子を示したイメージ図である。ここでは、一例として、部屋名称「機密文書保管庫」と個人ID「国際太郎」と移動経路キーを表す撮影エリア番号リストとが関連付けられて管理されている。
【0029】
撮影エリア番号リストは、撮影情報記録部10の各カメラ11の撮像範囲である撮影エリア番号が所定順序で並べられてリスト形式にされたものである。つまり、移動経路キーは、所定順序で並べられた撮影エリア番号で構成される。図4では、撮影エリア番号が、「9」「8」「7」「6」「5」「4」「5」「6」「1」「2」の順で並べられており、各撮影エリア番号に1〜10のリスト番号(No.)が振られている。このリスト番号が大きいほど、リスト番号に対応する撮影エリアを通過する時刻が古いことを意味する。つまり、例えば、リスト番号「10」に対応する撮影エリア「2」は、一連の移動経路の中で最初に通過するエリアである。なお、ここでは、撮影エリア番号で移動経路キーを構成しているが、各撮影エリアが識別できればよく、例えば撮影エリア番号に対応するカメラIDで移動経路キーを構成してもよい。
【0030】
図5は、図4に示す移動経路キーに対応する移動経路を示した図である。ここでは、各撮影エリアを撮影するカメラ11を省略して示している。図4に示す移動経路キーは、撮影時刻が古い順から撮影エリア番号が「2」「1」「6」「5」「4」「5」「6」「7」「8」「9」である。したがって、図5におけるオフィスレイアウトでは、撮影エリア2が移動経路の最初のスタート地点になる。例えば、所定の移動体がユーザとして設定されている場合、ユーザは、撮影エリア2→撮影エリア1→撮影エリア6→撮影エリア5→撮影エリア4の順で移動し、撮影エリア4でUターンして引き返し、撮影エリア5→撮影エリア6→撮影エリア7→撮影エリア8→撮影エリア9の順序で進んだときに、移動経路キーと同一の移動経路を移動したことになる。なお、この移動経路キーは、1つのフロア内だけでなく複数階のフロアや複数施設に亘る移動経路に基づいて設定されてもよい。
【0031】
図1に戻り、キー画像記憶装置223は、移動経路を移動する移動体が写った画像であるキー画像を記憶する。キー画像は、撮影情報記録部10の画像記憶装置12に記憶された撮影画像から移動体の画像を検索するための基準となる。キー画像記憶装置223は、キー画像を個人IDに関連付けて記憶する。以下では、移動経路を移動する所定の移動体がユーザであるものとして説明する。この場合、キー画像は、例えばユーザの顔画像等としてもよい。
【0032】
認証処理部21は、権限照合部211と画像検索部212と移動経路生成部213と解除判定部214とで構成される。
【0033】
権限照合部211は、個人情報入力装置31を介して取得する個人情報について、個人ID記憶装置221を参照して個人情報の照合を行う。ここでは、個人を識別可能であれば、どのような手法で行ってもよい。権限照合部211は、個人情報入力装置31を介して取得した個人情報と個人ID記憶装置221に記憶された個人情報とが一致した場合、個人ID記憶装置221に記憶された個人情報に関連付けられた個人IDを取得する。なお、権限照合部211は、それぞれの個人情報が一致しない場合、認証要求を行ったユーザにロック解除の権限がないとして、ネットワーク40経由で個人情報入力装置31に認証エラーを返す。
【0034】
また、権限照合部211は、移動経路キー記憶装置222を参照し、個人IDに対応する移動経路キーを取得する。このとき、権限照合部211は、移動経路キーを取得できない場合、ユーザにロック解除の権限がないと判断し、ネットワーク40経由で個人情報入力装置31に認証エラーを返す。権限照合部211は、取得した個人IDと移動経路キーとを画像検索部212に出力する。
【0035】
画像検索部212は、キー画像記憶装置223を参照し、権限照合部211で取得された個人IDに対応するキー画像を取得する。画像検索部212は、キー画像に基づいて画像記憶装置12に記憶された撮影画像の検索を行う。具体的には、画像検索部212は、キー画像を分析してキー画像の特徴量を抽出し、この特徴量に類似する画像を画像記憶装置12内から検索する。これにより、画像検索部212は、各カメラ11でユーザが撮影された画像を各画像記憶装置12から収集し、移動経路キーとともに移動経路生成部213に出力する。なお、キー画像に基づいて類似画像を検索する技術については、公知の技術を用いることができる。
【0036】
移動経路生成部213は、画像検索部212から取得する複数の画像に基づいて、ユーザの移動経路情報を生成する。具体的には、まず、移動経路生成部213は、複数の画像を撮影時刻順に時系列に並び替える。これにより、各画像は、ユーザの移動順に並び替えられたことになる。次に、移動経路生成部213は、各画像に対応付けられたカメラIDに基づいて、各カメラIDのカメラ11が担当する撮影エリア番号により、所定順序の撮影エリア番号で構成される移動経路情報を生成し、画像検索部212から取得した移動経路キーとともに解除判定部214に出力する。
【0037】
図6は、ユーザの移動経路を示した一例である。ここでは、ユーザは、会議室(2004)から出ると、撮影エリア4→撮影エリア3→撮影エリア2→撮影エリア1→撮影エリア6→撮影エリア5に移動し、撮影エリア5でUターンして引き返し、撮影エリア6→撮影エリア7→撮影エリア8→撮影エリア9と移動して、電子ロック装置32により電子ロックがかけられた機密文書保管庫(2006)の前に移動している。
【0038】
このとき、移動経路生成部213は、古い時刻から順に、「4」「3」「2」「1」「6」「5」「6」「7」「8」「9」という一連の撮影エリアの番号による移動経路情報を生成する。
【0039】
移動経路生成部213で生成された移動経路情報は、解除判定部214で照合される。解除判定部214は、移動経路情報と移動経路キーとを比較し、一致する場合に正当なユーザであると認証し、ロックを解除して電子ロック装置32の解除を許可する解除信号をネットワーク40経由で電子ロック装置32に送信する。また、解除判定部214は、ネットワーク40経由で個人情報入力装置31のステータス表示部311にロック解除を示す旨のメッセージを表示させ、ユーザにドア322を開けさせることを促す。なお、ここで、移動経路情報と移動経路キーとが一致するとは、移動経路キーのすべてが移動経路情報に含まれることをいう。
【0040】
一方、解除判定部214は、移動経路情報と移動経路キーとが異なる場合、不当なユーザであると判定する。この場合、解除判定部214は、電子ロック装置32に対し解除信号の出力を行わず、ネットワーク40経由で個人情報入力装置31のステータス表示部311にロック解除拒否を示すメッセージを表示させる。
【0041】
例えば、あるユーザ「国際太郎」が、図5に示すオフィスレイアウト上の「機密文書保管庫(2006)」の電子ロックを解除する権限を有しており、その解除キーとして図4に示す移動経路キーを設定していたものとする。
【0042】
「国際太郎」が、「機密文書保管庫(2006)」の電子ロックを解除するために、「会議室(2004)」から「機密文書保管庫(2006)」に至るまでに、上述した図6に示す移動経路を通ったとする。この場合、移動経路生成部213により生成される移動経路情報は、「4」「3」「2」「1」「6」「5」「6」「7」「8」「9」であり、予め設定された移動経路キー「2」「1」「6」「5」「4」「5」「6」「7」「8」「9」と一致しない。これは、「国際太郎」が、図6において、撮影エリア5から撮影エリア4に進んでから引き返すはずが、撮影エリア4に進む前に撮影エリア5で引き返してしまったためである。そのため、解除判定部214は、「国際太郎」を不当なユーザであると判定し、「機密文書保管庫(2006)」の電子ロックを解除しない。
【0043】
仮に、「国際太郎」が、「機密文書保管庫(2006)」の電子ロックを解除するために、「会議室(2004)」から「機密文書保管庫(2006)」に至るまでに、撮影エリア4→撮影エリア3→撮影エリア2→撮影エリア1→撮影エリア6→撮影エリア5→撮影エリア4に移動し、撮影エリア4でUターンして引き返し、撮影エリア5→撮影エリア6→撮影エリア7→撮影エリア8→撮影エリア9と進んだとする。この場合、移動経路生成部213で生成される移動経路情報は、「4」「3」「2」「1」「6」「5」「4」「5」「6」「7」「8」「9」であり、設定された移動経路キー「2」「1」「6」「5」「4」「5」「6」「7」「8」「9」と一致する。そのため、解除判定部214は、「国際太郎」を正当なユーザであると判定し、「機密文書保管庫(2006)」の電子ロックを解除する。
【0044】
次に、図7を参照して画像セキュリティシステム1000における全体の流れを説明する。
【0045】
まず、ユーザは、入室したいドア322の前に移動する際に、予め移動経路キー記憶装置222に記憶された移動経路キーに対応する移動経路となるように、複数のカメラ11で予め決められた順番に撮影されるように移動する。上記のようにユーザが移動することで、画像記憶装置12には、ユーザの移動経路に対応する各カメラ11で撮影された画像情報が記憶される(ステップA10)。言い換えれば、画像記憶装置12には、ユーザが「どのような経路で移動してきたか」が記憶される。
【0046】
入室したいドア322の前に移動したユーザは、個人情報入力装置31に対し、自分を識別させるための個人情報を入力する(ステップA20)。個人情報入力装置31は、取得した個人情報とユーザが入室を所望するドア322に係る電子ロック装置32の識別情報とを認証要求に含めて認証制御部20にネットワーク40経由で通知する(ステップA30)。
【0047】
権限照合部211は、認証要求に含まれる個人情報と個人ID記憶装置221内の個人情報を照合する(ステップA40)。権限照合部211は、認証要求に含まれる個人情報と個人ID記憶装置221内の個人情報とが異なる場合(ステップA40でNo)、ネットワーク40経由で個人情報入力装置31に認証エラーを返し、電子ロック解除の手順を中止する(ステップA50)。一方、権限照合部211は、個人情報が一致する場合、個人ID記憶装置221から個人情報に対応する個人IDを取得する(ステップA60)。
【0048】
次に、権限照合部211は、移動経路キー記憶装置222を参照し、個人IDと電子ロック装置32の識別情報とに対応する移動経路キーを取得する(ステップA70でYes)。一方、権限照合部211は、個人IDと電子ロック装置32の識別情報とに対応する移動経路キーを取得できない場合(ステップA70でNo)、ユーザにロック解除の権限がないと判断し、ネットワーク40経由で個人情報入力装置31に認証エラーを返し、電子ロック解除の手順を中止する(ステップA80)。
【0049】
なお、このように、権限照合部211が、ステップA40だけでなくステップA70においても権限照合処理を行っているのは、電子ロックがかけられたドア322毎にそれを解除可能なユーザを設定可能であるためである。つまり、ステップA40における個人情報の照合により人物の身元を照合できたからといって、その人物にそのドア322の電子ロックを解除する権限があるとは限らないからである。
【0050】
次に、画像検索部212は、キー画像記憶装置223を参照し、個人IDに関連付けられたキー画像を取得する(ステップA90)。そして、画像検索部212は、撮影情報記録部10の複数の画像記憶装置12に対し、キー画像に類似する画像の検索を行う(ステップA100)。なお、ここで、キー画像に類似する画像とは、キー画像に写ったユーザと同一人物が写った画像をいう。また、画像検索部212は、ユーザが移動経路を移動する時間を考慮して所定時間帯に撮影された画像を検索するようにしてもよい。次に、画像検索部212は、複数の画像記憶装置12に対し、検索結果に該当する画像の送信要求を行う(ステップA110)。画像検索部212は、複数の画像記憶装置12から該当画像を取得して、権限照合部211から取得した移動経路キーとともに移動経路生成部213に出力する(ステップA120)。
【0051】
移動経路生成部213は、キー画像に対応する画像に付随する時刻情報とカメラIDとに基づいて移動経路情報を生成し、移動経路キーとともに解除判定部214に出力する(ステップA130)。
【0052】
解除判定部214は、移動経路情報と移動経路キーとを比較して、移動経路が一致する場合(ステップA140でYes)、電子ロック装置32に解除信号を通知する(ステップA150)。電子ロック装置32は、解除信号を取得すると、電子ロックが掛けられたドア322のロックを解除する(ステップA160)。一方、解除判定部214は、移動経路が異なると判定した場合(ステップA140でNo)、個人情報入力装置31に認証エラーを通知する(ステップA170)。この際、解除判定部214は、電子ロック装置32に解除信号を通知しないため、電子ロックの解除は行われない。
【0053】
このように、本実施形態では、撮影情報記録部10と認証制御部20とユーザインタフェース部30との連携動作により、電子ロックを掛けられた予め決められた部屋のドア322について、予めその電子ロックの解除を許可された人が、予め決められた移動経路をたどってきたときに限り、その電子ロックを解除できる。そのため、その部屋に不正侵入しようとする第三者が、鍵やパスワード等により電子ロックを解除することができなくなるため、セキュリティ性能を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、電子ロックが掛かったドア322の前で個人情報入力装置に対し明示的な個人認証を行うことにより、個人認証を行うまでの移動経路という暗示的な解除キーをカモフラージュできるため、第三者に解除キーの存在を知覚されにくくすることができる。つまり、解除キーは、少なくとも移動経路の最終地点が個人情報入力装置が設置された地点にするとよい。
【0055】
なお、本実施形態では、所定の移動経路を移動する移動体がユーザであるものとして説明したが、移動体がユーザとは異なる人物や物であってもよい。この場合、ユーザが個人情報入力装置で個人認証を行った際に、移動体として定められた人物や物について予め設定された所定時間内の移動経路情報と移動経路キーとを比較して解除判定するとよい。
【0056】
また、本実施形態では、電子ロックを掛ける対象を部屋のドア322として説明したが、電子ロックを掛ける対象が鍵を必要としているものであれば適用可能であり、例えば、自動車や、金庫やロッカーの扉の電子ロックを解除するよう構成してもよい。
【0057】
また、セキュリティが掛けられた所定の情報(例えば、データやフォルダ、ネットワーク40等)に本実施形態を適用してもよい。この場合、所定の情報にアクセスするための情報処理装置に入力されるログインパスワードにより個人認証を行い、その情報処理装置に至るまでの移動経路が解除キーに一致した場合に、所定の情報に対するセキュリティ解除を行い、その情報に対するアクセスを許可してもよい。
【0058】
以上、本実施形態を概説すると、本実施形態の画像セキュリティシステムは、所定空間を撮像する撮像手段からの画像情報に基づいて認証を行う画像セキュリティシステムであって、分散して設置された複数の前記撮像手段と、前記複数の撮像手段で撮像された前記画像情報から所定の移動体の移動経路情報を取得する経路取得手段と、前記移動経路情報と予め設定された所定の移動経路情報とが一致するときに正当であると認証する認証手段とを備えたことを特徴とする。
入力される個人情報を予め設定された個人情報と照合して個人認証を行う権限照合手段を備え、前記所定の移動経路情報は、前記予め設定された個人情報に関連付けられていてもよい。
また、認証手段によって正当であると認証されたときに、電子ロックを解錠する電子ロック手段とを備えてもよい。
前記個人情報の入力を受け付けて前記権限照合手段に個人情報を照合させる個人情報入力手段を備え、前記個人情報入力手段は、前記電子ロック手段の近傍に設けられ、前記所定の移動経路情報は、前記個人情報入力手段が設けられた地点が移動経路の最終地点であってもよい。
【0059】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々様々に変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0060】
10:撮影情報記録部
11−1〜11−n(11):カメラ
12−1〜12−n(12):画像記憶装置
20:認証制御部
21:認証処理部
22:利用者情報記憶部
30:ユーザインタフェース部
31−1〜31−m(31):個人情報入力装置
32−1〜32−m(32):電子ロック装置
40:ネットワーク
211:権限照合部
212:画像検索部
213:移動経路生成部
214:解除判定部
221:個人ID記憶装置
222:移動経路キー記憶装置
223:キー画像記憶装置
311:ステータス表示部
312:個人情報入力部
313:ドアロック解除スイッチ
321:ドアレバー
322:ドア
3121:撮影用カメラ
3122:撮影画像ディスプレイ
1000:画像セキュリティシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間を撮像する撮像手段からの画像情報に基づいて認証を行う画像セキュリティシステムであって、
分散して設置された複数の前記撮像手段と、
前記複数の撮像手段で撮像された前記画像情報から所定の移動体の移動経路情報を取得する経路取得手段と、
前記移動経路情報と予め設定された所定の移動経路情報とが一致するときに正当であると認証する認証手段とを備えた
ことを特徴とする画像セキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−68717(P2012−68717A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210808(P2010−210808)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】