説明

画像処理方法、画像処理装置、および画像処理プログラム

【課題】 銀塩カメラから撮影された写真画像であっても、所定の画像ファイルフォーマットに準拠した形式で、上記撮影情報をタグとして画像ファイルに記録し、ユーザが画像データ管理を容易にできるようにする。
【解決手段】 イメージスキャナ400により銀塩カメラによって撮影されたフィルム300から画像を読み取り、PC200において画像ファイルを生成する。フィルムの画像イメージデータ、および該画像イメージに関する撮影情報を識別して取り出す。画像イメージデータから画像ファイルを生成する時、フィルムから得られた撮影情報を所定の画像ファイル規格、たとえばDCFないしExif規格を満足する撮影情報タグとして上記画像ファイルに付与する。該規格のバージョンはユーザ指定可能とし、また、該バージョンは撮影情報から自動設定し、さらに特定バージョンに不足の撮影情報はユーザに入力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀塩フィルムから読み取った画像から画像ファイルを生成する画像処理方法、画像処理装置、および画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの普及によって、PCなどの画像処理装置を用いてデジタル写真画像を管理するユーザが増えており、デジタル写真画像の管理を円滑に行なうために、写真で利用される情報を画像ファイルに付与するDCF規格、Exif2.2規格のような、画像ファイル内に付加情報をタグとして記録するフォーマットが規定されている。
【0003】
これらのうち、DCF(Design rule for Camera File system)はデジタルカメラの画像データフォーマットとしてISOで標準化された仕様であるが、JEIDA(日本電子工業振興協会)が策定したExif(Exchangeable Image File)形式が元になっており、これらDCF/Exif形式はほぼ同一のデータフォーマットといってよい。
【0004】
DCF/Exif形式の画像の構造は基本的には通常のJPEG画像形式そのものであり、サムネィル画像や撮影情報等の付加情報をJPEGの規約に準拠した形で画像ファイル内に埋め込むことができる。
【0005】
たとえば、Exif2.2では、原画像データの生成日時、画像入力機器のモデル名、露出時間、フラッシュ等の撮影に関する付加情報が規定されており、画像データに埋め込まれたこれらの付加情報を参照することにより、デジタル写真画像の管理を円滑に行なう効果が期待できる。
【0006】
ところで、フィルムに撮影画像を写しこむアナログカメラにおいても、APSのように撮影情報をフィルムに記録する方法が実用化されている。また、銀塩カメラにおいても、フィルムの画像間に文字やバーコードを写しこむことにより、撮影情報をフィルムに記録する方法が提案されている(下記の特許文献1)。
【0007】
上記フィルムに写し込まれた撮影情報は、フィルムの画像を写真としてプリントするときに利用可能であり、たとえばフィルムに写しこまれた撮影情報を読み取ることにより、最適な印刷結果を得ようとする提案もされている(下記の特許文献2あるいは特許文献3)。また、フィルムに写し込まれた撮影情報を参考に任意の撮影画像を選択しようとする提案も知られている(下記の特許文献4)。
【特許文献1】特開2001−066687号公報
【特許文献2】特開平07−159886号公報
【特許文献3】特開2002−368920号公報
【特許文献4】特開平08−146535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したようにデジタルカメラの普及により、ユーザは撮影情報の付与されたデジタル写真画像を管理する機会が増えているが、同様に、銀塩カメラで撮影された写真でもフィルムスキャナの普及によってデジタル化されたデジタル画像として管理する機会が増えている。このとき、スキャナから読み取られて作成された画像ファイルについても、デジタルカメラで撮影された画像と同様に豊富な撮影情報を付与しておくほうが、デジタル写真をPC等で管理する観点からは望ましい。
【0009】
しかしながら、従来の銀塩カメラによって写し込まれた撮影情報は、フィルム焼き付け時に画像補正用に利用されたり、日付やコメント等の文字情報を単に印刷物に付与するために利用されているのみであり、たとえば、上記の特許文献1においては、単にフィルムに撮影情報を写し込む手段が記載されているだけである。また、上記の特許文献2〜4においては、写真印刷時に写し込まれた撮影情報を読み取って、印刷を制御する技術が開示さているが、たとえば銀塩カメラによって撮影時に得られた撮影情報を付与した形でデジタル画像ファイルを生成する点については開示されていない。
【0010】
すなわち、従来の技術では、銀塩カメラからフィルムに写し込まれた撮影情報をフィルムスキャナ等から読み取ってDCF規格やExif規格に準拠した形式で画像ファイルに付与することは不可能であった。
【0011】
しかしながら、写真のデジタル化が進み、Exif規格に準拠した画像ファイルをユーザが管理する機会が増えるなかで、スキャナ等から読み取って作成した画像ファイルについても、DCS(デジタルカメラシステム)などで作成した画像ファイルと同様のExif規格(あるいは他の特定の画像ファイル規格)に準拠して管理できるのが望ましいのはいうまでもない。
【0012】
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、銀塩カメラから撮影された写真画像であっても、所定の画像ファイルフォーマットに準拠した形式で、上記撮影情報をタグとして画像ファイルに記録し、ユーザが画像データ管理を容易にできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明においては、銀塩フィルムから読み取った画像から画像ファイルを生成する画像処理方法、画像処理装置、および画像処理プログラムにおいて、銀塩フィルムの画像データを読み取り、前記画像データから、銀塩フィルムの画像イメージデータ、および該画像イメージに関する撮影情報を識別して取り出し、前記画像イメージデータから画像ファイルを生成するに際して、前記画像データから得られた前記撮影情報を所定の画像ファイル規格を満足する撮影情報タグとして上記画像ファイルに付与する構成を採用した。
【0014】
あるいはさらに、画像ファイルにはDCFないしExif規格のファイルフォーマットを用い、前記撮影情報タグをExifタグ形式を用いて前記画像ファイルに付与する構成を採用した。
【0015】
あるいはさらに、前記画像データから得られた撮影情報によって、必要項目の条件を満足できる最上位のDCFないしExif規格のバージョンを前記画像ファイルに付与する構成を採用した。
【0016】
あるいはさらに、前記画像データから得られた撮影情報によって、特定のDCFないしExif規格のバージョンの必要項目の条件を満足できない場合、不足分の撮影情報をユーザに入力させ、前記撮影情報および得られた不足分の撮影情報を前記画像ファイルに付与する構成を採用した。
【0017】
あるいはさらに、前記画像ファイルに付与すべきDCFないしExif規格のバージョンをユーザに指定させる構成を採用した。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、なんらかの撮影情報を銀塩フィルムに写し込む手段を備えた銀塩カメラにより撮影された銀塩フィルムから撮影情報を取得し、撮影情報タグとして画像ファイルに記録することができ、これにより、銀塩カメラにより撮影された銀塩フィルムの画像を、デジタルカメラから撮影されたデジタル画像と同様の画像ファイルフォーマットを利用してユーザが極めて容易に管理することができる。
【0019】
あるいはさらに、画像ファイルフォーマットに、DCF/Exif規格を用いることにより、得られた画像ファイルは同規格に準拠した画像ファイルとしてユーザが極めて容易に管理することができる。
【0020】
あるいはさらに、銀塩フィルムから得られた撮影情報に基づき、その撮影情報が必要項目の条件を満足できる最上位のDCFないしExif規格のバージョンを自動的に選択することができる。
【0021】
あるいはさらに、銀塩フィルムから得られた撮影情報によって、特定のDCFないしExif規格のバージョンの必要項目の条件を満足できない場合、不足分の撮影情報をユーザに入力させ、前記撮影情報および得られた不足分の撮影情報を前記画像ファイルに付与することにより、確実に当該DCFないしExif規格のバージョンを満足する画像ファイルを生成することができる。
【0022】
あるいはさらに、前記画像ファイルに付与すべきDCFないしExif規格のバージョンをユーザに指定させる構成を採用することにより、他の画像処理機器の条件などに応じてユーザが所望のDCFないしExif規格のバージョンを指定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下では、画像処理装置としてのPC(パーソナルコンピュータ)およびイメージスキャナから成る画像処理システムにおける実施例を示す。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明を実施可能な画像処理システムの構成を示している。図1の画像処理システムは、PC200、およびイメージスキャナ400から構成されている。PC200はパーソナルコンピュータ(以下PC)で、USBインターフェース231を介して接続されたイメージスキャナ400から送信された画像データを受信し、画像データファイルとして記録する。PC200の詳細な構成は図2で説明する。
【0025】
イメージスキャナ400は、たとえばフラットベッド型のような任意のハードウェア構成を有する。本実施例では、イメージスキャナ400は、画像読み取りのためのイメージセンサを有し、このイメージセンサにより直接(あるいは適当なアダプタを用いることにより)、銀塩カメラによって撮影された銀塩フィルム(以下フィルムと記す)300を読み取れるよう構成されているものとする。イメージスキャナ400はフィルム300を読み取り、適当なデジタルデータ形式を用いてPC200へ転送する。イメージスキャナ400の詳細な構成は図4で説明する。
【0026】
図2は、図1のPC200の構成を示している。PC200は図2に示す各ブロックから構成されている。このうち、CPU201は、ROM202、RAM203、または、内部記憶装置204、外部記憶装置205から読み出されたプログラムにしたがって、システムバスを介してPC200全体の動作を制御する。
【0027】
ROM202は、CPU201の制御プログラム、特にシステムのブートアップに必要なデータやファームウェアを格納するために用いられる。また、RAM203は、一時的にプログラムや画像データを記憶し、PC200の処理を高速に動作させるために用いられる。内部記憶装置204、外部記憶装置205に記憶されたプログラムは通常、RAM203に展開されて実行される。
【0028】
内部記憶装置204は、オペレーティング・システム、各種アプリケーションプログラムや画像データ等が格納されている。この内部記憶装置204には、イメージスキャナ400に対する各種制御命令やデータの送受信を行なうためのアプリケーションソフト、プリンタドライバソフト、スキャナドライバソフト、ファクシミリドライバソフト、各機能毎のUSBクラスドライバソフトおよびUSBバスドライバソフト等がインストールされている。
【0029】
通常、これらのアプリケーションソフトおよびドライバソフトは、これらが記憶された他のコンピュータ可読媒体から外部記憶ディスク206(フレキシブルディスク、CD−ROMメディア)によりデータを受け取り、外部記憶装置205を制御することによりインストールを行なう。また、通信回線221によって通信部209(ネットワークやモデム)でアプリケーションソフトおよびドライバソフトを受け取り、内部記憶装置204にインストール(ネットワークインストール)することも可能である。
【0030】
操作部207は、オペレータからの指示入力手段としてのキーボードやマウス(不図示)を制御するものである。印刷の実行指令には、通常、操作部207のキーボードやマウス(あるいは類似のポインティングデバイス)が使用される。
【0031】
表示部208は、オペレータに各種表示を行なうものである。PC200で印刷の実行指令を行なう場合は、確認ダイヤログ等を表示部208に表示し、オペレータに入力を促す。また印刷動作の実行中は、印刷状況を示す情報をオペレータに提供する。
【0032】
通信部209は、不図示のネットワークに接続したり、通信回線221を通してインターネットプロバイダへの接続や、相手通信装置との間でのデータや画像情報等の通信を行なう。なお、ネットワークや通信回線221への接続に関しては、公知の方法を使用するものとし、本実施例では詳細な説明は省略する。
【0033】
USBホスト制御部210は、USBインターフェース231の通信制御を行なうものであり、USB通信規格にしたがってCPU201からのデータを、パケットに変換し、イメージスキャナ400にUSBパケットを送信したり、逆にイメージスキャナ400からのUSBパケットをデータに変換してCPU201に送信したりする。これらの通信制御方法に関しては、公知の方法を使用するものとし、本実施例では詳細な説明は省略する。
【0034】
図3は本実施例の画像ファイル作成方法を実現するためのフィルム300の構成を示したものである。
【0035】
図3のフィルム300は、一般に市販されている銀塩カメラ用のフィルムで、この画像301は、銀塩カメラで写し込まれたものである。また、フィルム300には、画像情報302が写し込まれている。
【0036】
この画像情報302は、画像301の撮影データなどの撮影情報を2次元バーコードなどで表現して写し込んだものである。この画像情報302を写し込むために、コマ送りを従来より長くしてもよいし、1コマの横の長さを3.6cm(35mmフィルムの場合。本発明がフィルムサイズを限定しないのはいうまでもない)より小さいものにしてもよい。また情報量が少なく、後述の画像情報302を微細に写し込むことができればコマの大きさ、コマ送り長ともそのままでも実現できる。画像情報302の記録フォーマットは、たとえばAPSフォーマット(ないしそれに準じたフォーマット)、あるいは他の任意の記録フォーマットでよく、当該フォーマットにより画像情報302としてDCF/Exif規格で必要な情報が記録されているものとする。
【0037】
図4は本実施例の画像ファイル作成方法を実現するためのイメージスキャナ400の構成を示している。
【0038】
図4において、圧板401は読み取る対象を後述のプラテンガラスに押し付けるものであり、後述のバックライトを内蔵している。プラテンガラス402は透明なガラス板などから構成され、プラテンガラス402上には読み取る対象を載置でき、プラテンガラス402の下側からCCDユニット403で画像を読み取ることができる。
【0039】
CCDユニット403は、自身を移動させるモータ、光学系、CCD、基板、フラットケーブルから構成され(もちろん機器の仕様によってはCCDユニット403側を固定し、読み取り対象を移動させる構成も可能である)、バックライト404で照明された読み取り対象からの透過光線を光学系でCCDユニット403のCCDへ結像させるようになっている。CCDから読み出された1ライン分の画像データは後述のメイン基板405へ送られる。
【0040】
バックライト404には、冷陰極管のような白く発光するものを用い、フィルム300のような透明な読み取る対象を、裏側(上側)から照らし透過した光線をCCDユニット403へ送る。
【0041】
メイン基板405には、画像処理回路(不図示)が塔載されており、CCDユニット403が読み取った画像データを適当な記録形式に変換してUSBインターフェースコネクタ406〜USBインターフェース231を介してPC200へ送る。このUSBインターフェース上のデータ転送では、スチルイメージクラスを用いる(他のクラスを用いることもできる)。
【0042】
次に、図5〜図8を参照して、本実施例の画像処理システムの動作につき説明する。ここでは、フィルムから読み取った画像データと撮影情報から、撮影情報をタグに付与して画像ファイルを生成するまでの処理を説明する。
【0043】
なお、以下に示す画像処理の各部は、製品仕様などの条件に応じて、PC200およびイメージスキャナ400のいずれにおいて行なわれてもよいが、以下では説明を容易にするため、画像処理の全てがPC200側で行なわれる例を示す。この場合、たとえばイメージスキャナ400は、撮影情報(図3の画像情報302)の部分も含め、フィルム300の全体の画像をPC200に送信できるよう構成されていればよい。
【0044】
図5は、本実施例において、イメージスキャナ400によりフィルムから読み取った画像データに基づき作成する画像ファイルのデータフォーマットを示している。
【0045】
本実施例では、画像ファイルのデータフォーマットとして、図5に示すような基本ファイルフォーマットを有するDCF/Exif形式の画像ファイルフォーマットを採用している。以下、このDCF/Exif形式の画像ファイルフォーマットにつき説明する。
【0046】
図5のSOI(501)はStart of Imageの略称で、圧縮画像データの先頭を示すマーカーコードである。EOI(504)はEnd of Imageの略称で、SOI(501)と対をなす圧縮画像データの終了を示すマーカーコードである。DCF/Exif規格においては、SOI(501)から始まりEOI(504)でデータが終わるように規定されている。
【0047】
APP1領域(502)はアプリケーションマーカーセグメントで、主画像の付加情報と低解像度の画像データであるサムネイル画像がこのAPP1の領域(502)に格納される。
【0048】
サムネイル画像は、DCF基本ファイルと同様にSOI501から始まりEOI504でデータが終わるように規定されている。すなわち、このサムネイル画像の部分(501〜504)もDCF基本ファイルと同様のファイルフォーマットであるが、多くの通常の用途では、後続の本体の主画像データ(503)よりもサムネイル画像(503a)の方が低解像度に構成されている。なお、サムネイル画像のAPP1(502a)は、DCF基本ファイルのAPP1(502)と同じデータを有してもよい。
【0049】
上記のサムネイル画像に対し、APP1領域(502)に続いて格納されるDCF基本主画像(503)は高解像度の画像データで構成される。
【0050】
このようなDCF/Exif規格に準拠した画像データは、低解像度のサムネイル画像と高解像度の主画像とを有しているので、画像の概要を知りたいときにはサムネイル画像を、画像の詳細を知りたいときには主画像を、それぞれ参照する、というような使い分けができる。たとえば、サムネイル画像は、デジタルカメラの小さなディスプレイで(単数あるいは複数の)画像を表示する、などの用途に利用し、主画像は記録や印刷出力に用いる、といった使い分けが行なわれている。
【0051】
さて、上記APP1領域(502/502a)には、当該画像に関する種々の制御情報、すなわち、画像の撮影日時や解像度、露出、フラッシュ、撮影モードなどに関する撮影情報が所定のフォーマットで記録することができ、これらの撮影情報を画像ファイルを管理するためのメタデータとして利用することができる。
【0052】
図6は、上記のAPP1領域に記録されるExifタグのデータ構成例を示している。
【0053】
Exifタグは600に示すようにExif IFD内に記録する。タグ番号には、Tiffのプライベートタグ番号を利用し、アドレスタグの内容を示すタグのValueは、Value of Exif IFD内に記録する。Valueの格納位置はアドレスタグのValueOffset以降に記録される。本実施例におけるアドレスタグのタグTag、Type、Count、ValueOffsetは特に規定せず、DCF/Exif規格(以下煩雑さを避けるため該規格についてはExifとのみ表記する)に定められている通りに付与すればよい。
【0054】
なお、Exif規格のバージョンを示すExifVersionタグは、たとえば図6の下部に示すように構成される。この例ではTagは“9000.h”Typeは“UNDEFINED”、Countは“4”、Defaultは“0220”(バージョン2.2に相当)である。
【0055】
本実施例では、以上の図5および図6で説明したExif規格に準拠したフォーマットにしたがってフィルムから読み取った画像を電子化する。なお、一般的にExif規格に準拠したDCS(デジタルカメラ)で作成された画像ファイルには、特定のExifバージョンの規格(いずれのバージョンかは製品やベンダによって任意)を満たすための撮影情報がExifの規定にしたがって記録されている。
【0056】
一方、従来では、フィルムスキャン等により光学的に読み取って作成される画像ファイルは、上述の通り、フィルムに撮影情報が付与されていない等の理由から、Exif規格を満たさない画像ファイルとして作成されるのが普通である。
【0057】
本実施例では、フィルムを読み取って作成する画像ファイルを、DCS等で作成されるExif規格に準拠した画像ファイルと同等のフォーマットで作成し、これによりユーザが画像管理を容易に行なえるようにする。
【0058】
図7は、本実施例において、読み取った画像から画像ファイルを作成するまでの手順を示している。図7の手順は、CPU201の制御プログラムとして構成しておき、上述の各種の経路(各種記憶媒体、あるいはネットワーク経由)でPC200に供給される。
【0059】
なお、説明を簡単にするため、図7はフィルム300の1フレームの画像の処理として記載されている。以下の説明における「画像」は35mmフィルム(あるいは4×5のような大判のフィルム)などから読み取られる1フレームの画像を指し、この画像には、この画像に関連する撮影情報(図3の画像情報302)が付与されているものとする。したがって、図7の処理を1フレームの画像ごとに繰り返すことにより35mmフィルムのような複数フレームのフィルムを処理できるが、その場合、後述の撮影情報の取得/解析や、不足分撮影情報の入力などは必要に応じて(たとえば1スキャンごとに)一括して行なうようにプログラムすることもできる。
【0060】
まず、ステップS701でフィルムの読取処理を行なう。本実施例ではフィルムの読取の方法について特に規定しないが、たとえば、本実施例では図1〜図4で説明した構成にしたがって、USBで接続されたイメージスキャナ400をスチルイメージクラスデバイスとしてPC200に認識させ、同スチルイメージクラスドライバからスキャナ装置がフィルムを読み取るものとする。本実施例では、上記のようにイメージスキャナ400は、撮影情報(図3の画像情報302)の部分も含め、フィルム300の全体の画像をPC200に送信する。
【0061】
次に、ステップS702で読みとった画像から画像イメージと撮影情報との識別を行なう。本実施例では画像イメージと撮影情報の識別の細部について特に規定しないが、たとえば図3に示した構成のフィルムから、画像イメージおよび、2次元バーコード化された撮影情報を識別するものとする。
【0062】
次に、ステップS703において、ステップS702で読み取った撮影情報の解析を行なう。本実施例では撮影情報の解析方法について特に規定しないが、たとえば、図3に示した画像情報302の2次元バーコードから任意の文字コードを解析して、あらかじめ定められた撮影情報項目の分類にしたがって、撮影情報を取得することが考えられる。なお、ここで読み取ったフィルムに撮影情報が付与されていなければ、撮影情報なしという解析結果を得ることとしてもよいのはいうまでもない。
【0063】
次に、ステップS704でExifバージョンを指定するか否かの判別を行なう。ここでExifバージョンを指定するとは、あらかじめユーザの指定またはデフォルトの設定で、特定のExifバージョンを付与して画像ファイルを生成することを示す。
【0064】
このように、Exifバージョンを指定できれば、たとえば本実施例で作成された画像データを他の機器で取り扱うことなどを考慮すると、その機器が要求するExifバージョンと同じバージョンを指定すればよいので便利である。
【0065】
ステップS704で特定のExifバージョンを指定するのであれば、ステップS705で指定されたExifバージョンにおいて必須とされる撮影情報の項目と、ステップS703で解析した撮影情報の項目との比較を行なう。
【0066】
ステップS705で、ステップS704で指定されたExifバージョンの規格を満たすために必要な撮影情報項目が不足していれば、ステップS706で不足分の撮影情報項目を入力する処理を行なう。なお、この不足分撮影情報の入力方法については本実施例では特に規定しないが、たとえば操作部207および表示部208で特定のユーザーインターフェースを起動し、メニューや文字入力ダイアログを介して不足分の撮影情報をユーザに入力させればよい。
【0067】
なお、ステップS705で判別される不足撮影情報項目は、たとえば、図8の表図の左側に示すようなExifバージョンに対して必要な撮影情報項目の一覧から判別することができる。各Exifバージョンに対して必要な撮影情報項目は、電子情報技術産業協会に規定されたExif規格に準拠することとするが、たとえば図8左側に列挙されたタグ、たとえばバージョン名、画像データの生成日時、色空間情報等の項目はExifバージョン2.2においては、必須であるとされており、もしこれらが欠けていた時には該当項目は不足情報として取り扱えばよい。このためには、図8左側のような必須撮影情報をあらかじめテーブルとして作成しておき、図8右側のようにフィルムから実際に取得できた値と照合することにより、不足している撮影情報を判別することができる。
【0068】
たとえば、図8の例では、画像データの生成日時は、フィルムから撮影情報として取得することができたが、それ以外の値は取得できなかったことを示している。したがって、読み取った画像をExif2.2に準拠した画像ファイルとして作成する場合、図8の例では画像データの生成日時を除いた取得不能であった項目の値については、ステップS706のような不足撮影情報の入力処理をおこなって、補充する必要がある。なお、ステップS706で行なうような不足撮影情報の入力を省略するために、フィルムを作成するカメラ側ができる限り撮影情報を付与することが望ましいのはいうまでもない。
【0069】
再び図7において、ステップS704で任意のExifバージョンを指定しない場合、ステップS705で不足撮影情報がない場合、あるいはステップS706で不足分撮影情報の入力が終了した場合は、ステップS707で対象画像ファイルのExifバージョンを確定する。本実施例では、Exifバージョンの確定ルールについて特に規定しないが、ステップS704で任意のExifバージョンが指定されていれば、そこで指定されたバージョンをExifバージョンとすることができる。
【0070】
また、ステップS704でExifバージョンの指定がされていなければ、ステップS703で解析して得られた撮影情報に基づきExifバージョンのうち最も上位のバージョンを対象画像ファイルのExifバージョンとして確定する、すなわち、ステップS703で得られた撮影情報により上記の必須項目の条件を満足できる最上位のExifバージョンを自動的に選択することもできる。ステップS704でExifバージョンの指定がされておらず、このようなExifバージョンの自動選択を行なう場合でも、ステップS705およびS706の処理、すなわち、不足撮影情報があればそれをユーザに入力させる処理を行なうようにしてもよい。
【0071】
次に、ステップS708で確定したExifバージョンおよび解析された撮影情報をExifの規定にしたがってExifタグとして生成し、画像ファイルに付与することにより画像ファイルを生成する(ステップS709)。ここで作成される画像ファイルは、図5および図6で説明したファイルフォーマットにしたがうものとなり、上記のExifバージョンおよび解析された撮影情報はAPP1領域のExif情報に格納される。
【0072】
以上のようにして、撮影情報の付与された(あるいは撮影情報の付与されていない)フィルムから、任意のExifバージョンに準拠した画像ファイルを生成することができる。本実施例によれば、出力される画像ファイルには、特定のExifバージョンに準拠した必須の情報が完備されており、該Exifバージョンを要求する他の機器で間違いなく処理することができる。もちろん、従来装置におけるようにフィルムからスキャンされた情報については撮影情報を利用できない、という問題は本実施例においては解決され、Exif情報として記録された撮影情報を用いてユーザは画像データを容易かつ効率的に管理することができる。
【0073】
なお、図7のステップS704〜ステップS707は、任意のExifバージョンを撮影情報として画像ファイルに付与するために行われるが、この手順は必ずしも必須ではない。たとえばステップS704からステップS707の手順を省略して、Exif規格に準拠しないが、解析された撮影情報はタグとして付与する、といった構成をとってもよい。このとき、拡張タグ番号を用いるなど、あらかじめ定めておいた適当な拡張形式を利用するのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上の実施例では、画像処理システムをPCおよびイメージスキャナから構成する例を示したが、PCおよびイメージスキャナとして示した構成が一体化されたスタンドアローンの製品(たとえばイメージスキャナ)として構成することもできる。
【0075】
あるいは、本発明の画像処理方法は、PCやイメージスキャナのみならず任意の画像処理装置で実施できる。たとえば、イメージスキャナ、プリンタ(あるいはさらにファクシミリのような通信機能)などが一体化されたMFP(多機能プリンタ)においても本発明の画像処理方法が実施できるのはいうまでもない。
【0076】
また、上記実施例では画像処理はPC側で行なうよう説明したが、もちろん、画像処理の各部はPCとイメージスキャナのいずれで行なってもよい。
【0077】
USBのようなPCとイメージスキャナ間のインターフェースも必須ではなく、他の任意のインターフェース(SCSIやIEEE1394など)を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の画像処理システムの構成を示した説明図である。
【図2】図1のPCの構成を示したブロック図である。
【図3】本発明でスキャンされるフィルムの構成を示した説明図である。
【図4】読み取り装置の構成を示した説明図である。
【図5】本発明で作成する画像ファイルフォーマットの一例を示した説明図である。
【図6】本発明で用いるExifタグの構成を示した説明図である。
【図7】本発明の画像ファイル作成処理を示したフローチャート図である。
【図8】Exif規格において必須の撮影情報の項目(左側)と実際にフィルムから取得できた撮影情報項目の例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0079】
200 PC
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 内部記憶装置
207 操作部
210 USBホスト制御部
231 USBインターフェース
300 フィルム
302 画像情報
400 イメージスキャナ
401 圧板
402 プラテンガラス
403 CCDユニット
404 バックライト
405 メイン基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀塩フィルムから読み取った画像から画像ファイルを生成する画像処理方法において、
銀塩フィルムの画像データを読み取る画像読み取り工程と、
前記画像データから、銀塩フィルムの画像イメージデータ、および該画像イメージに関する撮影情報を識別して取り出す画像解析工程と、
前記画像イメージデータから画像ファイルを生成する画像ファイル作成工程を含み、
画像ファイル作成工程において、前記画像解析工程により得られた前記撮影情報を所定の画像ファイル規格を満足する撮影情報タグとして上記画像ファイルに付与することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理方法において、前記画像ファイルがDCFないしExif規格のファイルフォーマットを有し、前記撮影情報タグをExifタグ形式を用いて前記画像ファイルに付与することを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理方法において、前記画像解析工程により得られた撮影情報によって、必要項目の条件を満足できる最上位のDCFないしExif規格のバージョンを前記画像ファイルに付与することを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理方法において、前記画像解析工程により得られた撮影情報によって、特定のDCFないしExif規格のバージョンの必要項目の条件を満足できない場合、不足分の撮影情報をユーザに入力させ、前記撮影情報および得られた不足分の撮影情報を前記画像ファイルに付与することを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項2に記載の画像処理方法において、前記画像ファイル作成工程において前記画像ファイルに付与すべきDCFないしExif規格のバージョンをユーザに指定させることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理方法を実施するハードウェアを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理方法を所定の画像処理ハードウェアを用いて実施することを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−140857(P2006−140857A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329904(P2004−329904)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】