説明

画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、プログラム、記憶媒体、画像形成システム

【課題】白抜き文字以外の抜き文字について視認性が低下する。
【解決手段】画像データ(文字部背景)のRGB値が「255」でないか否かを判別し、画像データが第1の色である部分の背景部と第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるときには、文字部の彩度Stと背景部の彩度Sbとを比較してSb>Stであるか否かを判別して太字化処理の有無を決定し、文字彩度が背景彩度より低ければ、太文字化処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、プログラム、記憶媒体、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置(単なる液体吐出装置を含む)を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与する(単に液滴を媒体に着弾させる、即ち液滴吐出装置ないし液体吐出装置と称されるものを含む)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、DNA試料、パターニング材料などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。
【0004】
記録ヘッドとして用いる液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)としては、圧電アクチュエータ等により振動板を変位させ液室内の体積を変化させて圧力を高め液滴を吐出させる圧電型ヘッドや、液室内に通電によって発熱する発熱体を設けて、発熱体の発熱により生じる気泡によって液室内の圧力を高め、液滴を吐出させるサーマル型ヘッドが知られている。
【0005】
ところで、アプリケーションソフトで文書を作成する場合、その部分の文字を強調するために、背景部及び背景部と異なる色の文字部とで構成される抜き文字が使用されることがある。例えば、黒(黒以外の色でもよい。)の背景(背景部)の中に白又は白に近い色(白系の色)で形成された文字部からなる文字(「白抜き文字」という。)を使用することがある。
【0006】
このような白抜き文字をインクジェット記録装置のように液体の記録液(インク)を用いて記録する場合、インクの滲みにより黒塗り部のインクが白文字部に滲み、その結果、白抜き文字が細ってしまったり、一部がつぶれてしまったりするという課題がある。特に、小さな文字や、明朝体など細い文字の場合には、特に文字のつぶれが顕著に生じる傾向にある。
【0007】
そこで、画像が白又は白に近い色の白抜き文字であるとき、この文字画像を形成するドットに隣接する背景部に空白ドットを付加して白抜き文字を太らせる処理(太文字化処理)をするものが知られている(特許文献1)。空白ドットの付加処理としてはパターンマッチングが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−125826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した処理では白抜き文字の画像品質を向上することができるが、白抜き文字以外の抜き文字には太文字化処理がかからないために、文字つぶれが発生するという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、抜き文字の画像品質を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像処理方法は、
液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置で出力する前記画像の画像データを生成する画像処理方法において、
前記画像データが第1の色である部分の背景部と前記第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、
前記背景部及び文字部のRGB値に基づいて前記背景部及び前記文字部の特性を算出する特性算出工程と、
前記背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定する太字化決定工程と、
前記太文字決定に従って前記文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理実行工程と、を行う
構成とした。
【0012】
ここで、前記太字化決定工程では、前記背景部及び前記文字部の色相特性又は彩度特性と明度特性とに基づいて前記太字化処理の有無を決定する構成とできる。
【0013】
また、前記太字化決定工程では、前記背景部及び前記文字部の色相特性、彩度特性及び明度特性に基づいて前記太字化処理の有無を決定する構成とできる。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置で出力する前記画像の画像データを生成する画像処理装置において、
前記画像データが第1の色である部分の背景部と前記第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、
前記背景部及び文字部のRGB値に基づいて前記背景部及び前記文字部の特性を算出する特性算出手段と、
前記背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定する太字化決定手段と、
前記太文字決定に従って前記文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理実行手段と、を備えている
構成とした。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置において、
前記画像データが第1の色である部分の背景部と前記第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、
前記背景部及び文字部のRGB値に基づいて前記背景部及び前記文字部の特性を算出する特性算出手段と、
前記背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定する太字化決定手段と、
前記太文字決定に従って前記文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理実行手段と、を備えている
構成とした。
【0016】
本発明に係るプログラムは、
液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置で出力する前記画像の画像データを生成する処理をコンピュータに行わせるプログラムにおいて、
前記画像データが第1の色である部分の背景部と前記第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、
前記背景部及び文字部のRGB値に基づいて前記背景部及び前記文字部の特性を算出する特性算出処理と、
前記背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定する太字化処理と、
前記太文字決定に従って前記文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理実行処理と、をコンピュータに行わせる
構成とした。
【0017】
本発明に係る記憶媒体は、本発明に係るプログラムを記憶しているものである。
【0018】
本発明に係る画像形成システムは、本発明に係る画像処理装置と液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置とを備えている構成とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、プログラム、記憶媒体、画像形成システムによれば、画像データが第1の色である部分の背景部と第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、背景部及び文字部のRGB値に基づいて背景部及び文字部の特性を算出し、背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定し、決定に従って文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行うようにしたので、白系以外の抜き文字についても視認性を向上できて画像品質を向上できるとともに、背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太文字化を決定するので、より視認性を向上できて画像品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る画像処理方法で生成された画像データを出力する本発明に係る画像形成装置の一例を示す外観斜視説明図である。
【図2】同装置の機構部の側面説明図である。
【図3】同じく平面説明図である。
【図4】同装置の制御部の概要を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る画像処理と画像形成装置で構成される画像形成システムの一例を示すブロック説明図である。
【図6】同システムにおける画像処理装置の一例を示すブロック説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態の説明に供するフロー図である。
【図8】本発明の第2実施形態の説明に供するフロー図である。
【図9】同実施形態の説明に供するテーブルの一例を示す説明図である。
【図10】同じく同実施形態の説明に供するテーブルの他の例を示す説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態の説明に供するフロー図である。
【図12】同実施形態の説明に供するテーブルの一例を示す説明図である。
【図13】RGB値から色相特性、彩度特性、明度特性の算出式の説明に供する説明図である。
【図14】本発明の第4実施形態の説明に供するフロー図である。
【図15】テーブル設定・判定パターン設定用チャートの説明に供する説明図である。
【図16】太文字化処理実行処理の一例を示すパターンマッチング処理の一例のフロー図である。
【図17】同じくパターンマッチングに用いるウインドウの具体例の説明に供する説明図である。
【図18】同ウインドウを用いたパターンマッチングの具体例の説明に供する説明図である。
【図19】太文字化処理実行処理の他の例の説明に供する説明図である。
【図20】太文字化を行なわない出力例の説明に供する説明図である。
【図21】太文字化を行なった出力例の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る画像処理方法を行う本発明に係るプログラムを含む本発明に係る画像形成装置の一例について図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の外観斜視説明図、図2は同装置の機構部の側面説明図、図3は同じく平面説明図である。
【0022】
この画像形成装置は、図1に示すように、画像形成を行う装置本体1の上部に画像を読取る画像読取り手段(スキャナ手段)2を備えている。装置本体1には、機構部に給紙する用紙をストックする給紙カセット3が着脱自在に装着され、給紙カセット3の上方には画像が形成されて排出される用紙をストックする排紙トレイ4が装着されている。また、装置本体1の前面側にはインクカートリッジを装着するカートリッジ装着部5を有し、更に各種操作信号の入力や表示情報を表示する操作/表示部(操作パネル)6が配置されている。
【0023】
そして、装置本体1の内部には、図2及び図3に示すように、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0024】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0025】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、記録ヘッド34としては、1つのノズル面に複数のノズルを並べた各色のノズル列を備えるものなどを用いることもできる。
【0026】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するための第2インク供給部としてのサブタンクであるサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色の記録液が補充供給される。
【0027】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0028】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送する搬送ベルト51を備えている。
【0029】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0030】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0031】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。
【0032】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0033】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0034】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。そして、帯電された搬送ベルト51に用紙42が吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0035】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0036】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0037】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部100は、この装置全体の制御を司るCPU101と、CPU101が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM102と、画像データ等を一時格納するRAM103と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ104と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC105、スキャナ手段2を制御するスキャナ制御部116とを備えている。
【0038】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部108と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)109と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ154、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ155、維持回復機構81の維持回復モータ156を駆動するためのモータ駆動部110と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部111などを備えている。
【0039】
また、この制御部100には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル114が接続されている。
【0040】
この制御部100は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F106を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト200側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F106で受信する。また、スキャナ2からの原稿画像の読取り情報をスキャナ制御部116を介して取り込む。
【0041】
そして、制御部100のCPU101は、ホスト側からの受信データに関しては、I/F106に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、本発明に係るプログラムによって本発明に係る抜き文字に関する処理を含めた画像データの生成処理を行い、ASIC105にてその他の必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部108に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト200側のプリンタドライバ101で行っている。また、スキャナ2からの原稿画像の読取りデータについては、必要な入力補正処理、出力処理を行って画像データを生成し、印刷制御部108に転送する。
【0042】
印刷制御部108は、上述した画像データをヘッドドライバ109にシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ109に出力する以外にも、ROM102に格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ109に対して出力する。
【0043】
ヘッドドライバ109は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部108から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド34の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド34を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0044】
I/O部113は、装置に装着されている各種のセンサ群115からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部108やモータ制御部110、ACバイアス供給部111の制御に使用する。センサ群115は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部113は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0045】
次に、本発明に係る画像処理装置を含む本発明に係る画像形成システムについて図5を参照して説明する。
この印刷システム(画像形成システム)は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなる1又は複数台の画像処理装置400と、インクジェット記録装置500とが、所定のインターフェイス又はネットワークで接続されて構成されている。
【0046】
画像処理装置400は、図6に示すように、CPU401と、メモリ手段である各種のROM402やRAM403とが、バスラインで接続されている。このバスラインには、所定のインターフェイスを介して、ハードディスクなどの磁気記憶装置を用いた記憶装置406と、マウスやキーボードなどの入力装置404と、LCDやCRTなどのモニタ405と、図示しないが、光ディスクなどの記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置が接続され、また、インターネットなどのネットワークやUSBなどの外部機器と通信を行なう所定のインターフェイス(外部I/F)407が接続されている。
【0047】
画像処理装置400の記憶装置406には、本発明に係るプログラムを含む画像処理プログラムが記憶されている。この画像処理プログラムは、本発明に係る記憶媒体から記憶媒体読取装置により読み取って、あるいは、インターネットなどのネットワークからダウンロードするなどして、記憶装置406にインストールしたものである。このインストールにより画像処理装置400は、画像処理を行なうために動作可能な状態となる。なお、この画像処理プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよい。また、特定のアプリケーションソフトの一部をなすものであってもよい。
【0048】
インクジェット記録装置500は、前述した画像形成装置であってもよいし、インクジェット記録装置側単独では、画像の描画又は文字印刷命令によりドットパターンを発生させるような機能を持たないものでもよい。
【0049】
ここで、ホストとなる画像処理装置400で実行されるアプリケーションソフト等からのプリント命令は、画像処理装置400(ホストコンピュータ)内にソフトウェアとして組み込まれたプリンタドライバで画像処理されてインクジェット記録装置500が出力可能な多値のドットパターンのデータ(印刷画像データ)が生成される。
【0050】
そして、そのデータがラスタライズされてインクジェット記録装置500に転送され,インクジェット記録装置500が印刷出力されるようになされているものとする。
【0051】
具体的には、画像処理装置400内では、アプリケーションやオペレーティングシステムからの画像の描画又は文字の記録命令(例えば記録する線の位置と太さと形などを記述したものや、記録する文字の書体と大きさと位置などを記述したもの)は描画データメモリに一時的に保存される。
【0052】
なお、これらの命令は、特定のプリント言語で記述されたものである。そして、描画データメモリに記憶された命令は、ラスタライザによって解釈され、線の記録命令であれば、指定された位置や太さ等に応じた記録ドットパターンに変換される。また、文字の記録命令であれば画像処理装置400内に保存されているフォントアウトラインデータから対応する文字の輪郭情報を呼び出し、指定された位置や大きさに応じた記録ドットパターンに変換され、イメージデータであれば、そのまま記録ドットのパターンに変換されるようになされている。
【0053】
その後、これらの記録ドットパターン(画像データ)に対して画像処理を施してラスタデータメモリに記憶する。このとき、画像処理装置400は、直交格子を基本記録位置として、記録ドットパターンのデータにラスタライズする。画像処理としては、例えば色を調整するためのカラーマネージメント処理(CMM)やγ補正処理、ディザ法や誤差拡散法などの中間調処理、さらには下地除去処理、インク総量規制処理等がある。
【0054】
そして、ラスタデータメモリに記憶された記録ドットパターンがインターフェイスを経由してインクジェット記録装置500へ転送される。
【0055】
本発明に係るプログラムは、上述した図1ないし図4で説明した画像形成装置のROM102に格納され、あるいは、画像処理装置400のROM402などに格納されて、CP101、401などによって本発明に係る抜き文字に関する処理を実行させる。
【0056】
次に、本発明に係る画像処理方法、画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、プログラム、記憶媒体、画像形成システムで行なう抜き文字に関する画像処理について、前述したようにプログラムがコンピュータに実行させる例で説明する。
【0057】
本発明に係る画像処理では、画像データが第1の色である部分の背景部と第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、背景部及び文字部のRGB値に基づいて背景部及び文字部の特性を算出し、背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定し、太文字決定に従って文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理を行うものである。
【0058】
つまり、本発明に係る画像処理で対象とする画像データの画像は、背景部と文字部により構成され、背景部と文字部とは異なる色による構成されているものである。一例としては、背景部(有色)、文字部(背景部と異なる色)が挙げられる。
【0059】
そこで、本発明の第1実施形態について図7のフロー図を参照して説明する。
まず、画像データ(文字部背景)のRGB値が「255」でないか否かを判別し、RGB値が「255」であれば抜き文字ではないので、この処理を抜ける。つまり、画像データが第1の色である部分の背景部と第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるときに以下の処理が開始される。
【0060】
これに対し、画像データのRGB値が「255」でなければ、文字部の彩度(文字彩度)Stと背景部の彩度(背景彩度)SbとをRGB値に基づいて算出する。ここで、文字彩度St:0〜1、背景彩度Sb:0〜1をとる値である。つまり、ここでは、背景部及び文字部のRGB値に基づいて背景部及び文字部の特性を算出する(特性算出工程、特性算出手段、特性算出処理)。なお、RGB値に基づく彩度特性の算出については後述する。
【0061】
そして、文字彩度Stと背景彩度Sbとを比較して、Sb>Stであるか否かを判別して、太字化処理の有無を決定する。なお、文字彩度St:0〜1、背景彩度Sb:0〜1をとる値である。つまり、ここでは、算出した背景部及び文字部の彩度特性に基づいて太字化処理の有無を決定する(太文字化決定工程、太文字化決定手段、太文字化決定処理)。
【0062】
このとき、Sb>Stでなければ、つまり文字彩度が背景彩度より高ければ、この処理を抜ける。
【0063】
これに対し、Sb>Stであれば、つまり文字彩度が背景彩度より低ければ、太文字化処理(太文字化処理実行工程、太文字化処理実行手段太文字化処理実行処理、以下同様)。
【0064】
つまり、この実施形態では、背景部と文字部の彩度特性から太文字化処理の有無を決定するもので、背景部と文字部の彩度特性を比較し、文字部の方が彩度の高い場合は文字太らせを行わず、逆に彩度の低い場合は太文字化処理を行う。このとき、背景部と文字部の彩度の差に応じて太文字化処理を行う度合い(レベル)を変化させるようにすることもできる。
【0065】
次に、本発明の第2実施形態について図8のフロー図を参照して説明する。
まず、画像データ(文字部背景)のRGB値が「255」でないか否かを判別し、RGB値が「255」であれば抜き文字ではないので、この処理を抜ける。
【0066】
これに対し、画像データのRGB値が「255」でなければ、文字部の彩度(文字彩度)Stと背景部の彩度(背景彩度)SbとをRGB値に基づいて算出する。つまり、ここでは、背景部及び文字部のRGB値に基づいて背景部及び文字部の特性を算出する(特性算出工程、特性算出手段、特性算出処理)。なお、RGB値に基づく彩度特性の算出については後述する。
【0067】
そして、文字色相Htと背景色相Hbを算出して、色相差ΔHを求め、図9に示すようなΔH→A変換テーブルを参照して値(定数)Aを得て、文字彩度Stと背景彩度Sbとの差が、値Aより大きい(Sb−St>A)か否かを判別し、太文字化処理の有無を決定する。つまり、ここでは、算出した背景部及び文字部の彩度特性、色相特性に基づいて太字化処理の有無を決定する(太文字化決定工程、太文字化決定手段、太文字化決定処理)。なお、RGB値に基づく色相特性の算出については後述する。
【0068】
このとき、Sb−St>Aでなければ、つまり文字彩度と背景彩度との差が値Aより大きくなければ、この処理を抜ける。
【0069】
これに対し、Sb−St>Aであれば、つまり文字彩度と背景彩度との差が値Aより大きければ、文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太文字化処理を行う。
【0070】
つまり、この実施形態においては、背景部の彩度と文字部の彩度の差と、背景部と文字部の色相の差から決定される定数との差に応じて太文字化処理を行う度合い(レベル)を変化させるようにしている。
【0071】
ここで、図9に示すΔH→A変換テーブルは、文字色相Ht(0〜359degrees)、背景色相Hb(0〜359degrees)から予め求められる色相差ΔHに対応する強調係数としての値Aを予め定めて作成したものである。色相差ΔHは、
ΔH=|Ht−Hb|(Ht−Hb|≦180の場合)
ΔH=359―|Ht−Hb|(Ht−Hb|>180の場合)
で求められる。
【0072】
この場合、前記の値A(定数)は、図10に示すように、色相の差が大きくなるほど、小さくなる様に設定されていることが好ましい。また、設定の条件は、文字部、背景部を任意のRGB値、フォント、フォントサイズとした場合の視認性から実験的に求め、更に高解像度のモードと低解像度のモードとで異ならせることが好ましい。図10は解像度600×300dpi、600×600dpi、1200×1200dpiにおける色相差ΔHを色相差強調係数Ah(値A)、彩度差ΔSを彩度差強調係数As(値A)に変換する変換テーブルの一例を示している。
【0073】
ここで、A:強調係数、Ah:色相差強調係数、As:彩度差強調係数、A:max(Ah、As)、ΔH:色相差(0〜180degrees)、Ht:文字部色相(0〜359degrees)、Hb:背景部色相(0〜359degrees)、ΔS:彩度差(0〜1)、St:文字部彩度(0〜1)、Sb:背景部彩度(0〜1)としたとき、色相差ΔH、彩度差ΔSは、次のようにして求められる。
【0074】
ΔH=|max(Ht,Hb)−min(Ht,Hb)|(Ht−Hb|≦180の場合)
ΔH=360―|max(Ht,Hb)−min(Ht,Hb)|(Ht−Hb|>180の
【0075】
ΔS=|max(St,Sb)−min(St,Sb)|(St−Sb|≦0.5の場合)
ΔS=360―|max(St,Sb)−min(St,Sb)|(St−Sb|>0.5の場合)
【0076】
次に、本発明の第3実施形態について図11のフロー図を参照して説明する。
まず、画像データ(文字部背景)のRGB値が「255」でないか否かを判別し、RGB値が「255」であれば抜き文字ではないので、この処理を抜ける。
【0077】
これに対し、画像データのRGB値が「255」でなければ、文字彩度St、背景サイドSb、文字部の明度(文字明度)Lt、背景部の明度(背景明度)LbをRGB値に基づいて算出する。つまり、ここでは、背景部及び文字部のRGB値に基づいて背景部及び文字部の特性を算出する(特性算出工程、特性算出手段、特性算出処理)。なお、RGB値に基づく明度特性の算出については後述する。
【0078】
そして、文字彩度Stと背景彩度Sbとを比較してSb>Stか否かを判定するとともに、文字明度Ltと背景明度Lbとを比較してLb<Ltか否かを判定する。なお、文字明度Lt:0〜1、背景明度Ls:0〜1の値をとる。つまり、ここでは、算出した背景部及び文字部の彩度特性、色相特性に基づいて太字化処理の有無の第1段階の決定を行なう。
【0079】
このとき、Sb−St>A及びLb<Ltでなければ、この処理を抜ける。
【0080】
これに対し、Sb−St>A及びLb<Ltであれば、前記第2実施形態と同様に、文字彩度Stと背景彩度Sbとの差が、図12に示すΔH→A変換テーブルを参照して得られた値Aより大きいか否かを判別する。つまり、ここでは、算出した背景部及び文字部の彩度特性、色相特性に基づいて太字化処理の有無の第2段階の決定を行なう(上述した彩度及び明度の判定処理と合せて、太文字化決定工程、太文字化決定手段、太文字化決定処理)。
【0081】
このとき、Sb−St>Aでなければ、つまり文字彩度と背景彩度との差が値A以上でなければ、この処理を抜ける。
【0082】
これに対し、Sb−St>Aであれば、つまり文字彩度と背景彩度との差が値Aより大きければ、太文字化処理を行う。
【0083】
つまり、この実施形態では、背景部と文字部の彩度特性、色相、明度特性から太文字化処理の有無の判定を行っている。背景部の彩度が文字部の彩度に比較して高いとき、かつ、背景部の明度が文字部の明度に比較して低いとき、それらの差を背景部と文字部の色相の差から決定される定数と比較し、小さくなるとき文字太らせを行わず、大きくなるとき太文字化処理を行う。
【0084】
ここで、図12に示すΔH→A変換テーブルは、文字色相Ht(0〜359degrees)、背景色相Hb(0〜359degrees)から予め求められる色相差ΔHに対応する強調係数としての値Aを予め定めて作成したものである。ここで、
ΔH=|Ht−Hb|(Ht−Hb|≦180の場合)
ΔH=359―|Ht−Hb|(Ht−Hb|>180の場合)
で求められる。
【0085】
このとき、前述したと同様に、前記の定数は背景部と文字部の色相の差が大きくなるほど、小さくなる様に設定される。この設定の条件は、文字、背景を任意のRGB値、フォント、フォントサイズとした場合の視認性から実験的に求め、高解像度のモードと低解像度のモードとで異ならせることができる。また、背景部の彩度と文字部の彩度の差と、前記定数との差、背景部の明度と文字部の明度の差と、前記定数との差、に応じて太文字化処理を行う度合い(レベル)を変化させるようにすることもできる。
【0086】
このように、文字部と背景部の色相特性、彩度特性のいずれか、また、明度特性を含むいずれか2つ以上を検出し、これらを比較して、所望の位置に後述するとうにドット付加(太らせ処理)の制御を行うようにする。
【0087】
このとき、色相特性、彩度特性、明度特性は、図13に示す変換式を用いて、RGB値より算出を行うことで検出することができ、特別な検出装置を設ける必要がない。
【0088】
なお、図13において、H:色相(0〜359degrees、ただし赤が0degrees)、L:明度(0〜1)、S:彩度(0〜1)、R:0〜1、G:0〜1、B:0〜1である。
【0089】
このように、画像データが第1の色である部分の背景部と第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、背景部及び文字部のRGB値に基づいて背景部及び文字部の特性を算出し、背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定し、決定に従って文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行うようにすることで、白系以外の抜き文字についても視認性を向上できて画像品質を向上できる。
【0090】
次に、本発明の第4実施形態について図14のフロー図を参照して説明する。
まず、当該画像データの文字部のフォントが予め定めた種類(グループAとする)か否かを判別する。
【0091】
このとき、フォントがグループAの種類であれば、フォントサイズが例えば7ポイントより大きいか否かを判別し、7ポイントより大きければ、前述した第1実施形態の処理(太文字化処理パターンA)を行い、7ポイント以下であれば、前述した第2実施形態の処理(太文字化処理パターンB)を行う。
【0092】
これに対し、フォントがグループAの種類でなければ、フォントサイズが例えば7ポイントより大きいか否かを判別し、7ポイントより大きければ、前述した第2実施形態の処理(太文字化処理パターンB)を行い、7ポイント以下であれば、前述した第3実施形態の処理(太文字化処理パターンC)を行う。
【0093】
つまり、ここでは、文字のフォント種類、サイズに応じて、前述した第1ないし第3実施形態の処理を選択して行っている。この場合の条件は、前述した図14に示すように、文字、背景を任意のRGB値、フォント、フォントサイズとした場合の視認性から実験的に求める。
【0094】
具体的には、図15に示すように、背景部の色相Hb(0〜359degrees)に対し、ΔHを0〜0.5となるような色相Htの文字を配置した評価画像(フォントサイズ:3〜8ポイント、1ポイント間隔)(Hb:0〜359degrees、10degrees間隔)の印字サンプル(テーブル設定・判定パターン設定用チャート)において、30cmの距離にて複数人の視認性を評価し、前述した値A(定数)を100%視認できるように決定する。
【0095】
次に、上述した処理における太文字化処理について説明する。
太文字化処理では、文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより当該文字部を太らせる。この太文字化処理としては、例えばパターンマッチング処理で行うことができる。
【0096】
このパターンマッチング処理の一例について図16のフロー図を参照して説明する。
先ず、フォントデータの先頭に注目画素をセットし、注目画素を中心に、ウインドウに相当するフォントデータのビットマップデータを取得する。そして、パターンマッチングにより、取得したデータと、あらかじめ設定していた文字データ(文字部のデータ)を付加するパターン(以下「参照パターン」という。)のデータを比較し、マッチした場合に、注目画素にドットを付加する。これらの処理は、1画素を1バイトのデータとして扱ってもよいし、1ビットのデータとして扱っても良い。
【0097】
例えば図17(a)〜(c)に示すm×n(3×3)の参照パターンを使用して、図18(a)に示すフォントデータとパターンマッチングを行った場合、図18(a)に示すように、フォントデータの画素位置(ドット位置)D45を注目画素としたときのウインドウWに含まれるドットの状態は、図17(c)の参照パターンと一致することになるので、注目画素D45が図18(b)に示すように背景部データから文字部データに置換される(図示の都合上、背景部を黒、文字部を白で示しているが、実際には文字部は白以外の色データである。)。
【0098】
同様に、ウインドウWが1つ右に移動して、注目画素がD46となった場合、図示しないが、図17(b)の参照パターンと一致するので、注目画素D46が背景部データから文字部データに置換され、更にはウインドウWが1つ右に移動して、注目画素がD47となった場合、図17(a)の参照パターンと一致するので、注目画素D47が背景部データから文字部データに置換される。
【0099】
ここで、ウインドウ及び参照パターンのサイズは、ドット置換をどこまで実施する必要があるか、処理時間が印字速度に対して間に合うかを適宜判断して決定される。詳細には、参照パターンのサイズが大きくなると、パターンマッチングするデータが大きくなるため、パターンマッチングに時間を要する。そのため、処理時間からは、そのサイズとしてはできるだけ小さいほうがよいことになる。
【0100】
一方、輪郭部の前後いくつのドットを置換すれば良いかは、文字のつぶれをどの程度改善して追求する文字品質によって決定される。すなわち処理速度と、文字品質の双方の観点から最適サイズを決定される。
【0101】
また、太文字化処理は、パターンマッチングを用いないで行うこともできる。すなわち、パターンマッチングを行わずに文字部に対して一律にドットを付加することで太文字化する処理である。この処理は、例えば図19に示すように、同図(a)に示す画像データに対して、同図(b)に示すように右に1ドット、下に1ドットのドット付加を行い文字部を太らせる。
【0102】
この場合、左右、または上下にそれぞれドットを付加すると、文字の間隔が狭い小サイズの文字(例えば6ポイント)においては、文字そのものがつぶれてしまうおそれもあるため、上記の例においては片側のみにドット付加を行ったが、文字サイズに応じて付加パターンを変更するように調節できるものとする。
【0103】
また、上述したパターンマッチングと同様に文字サイズ、文字種、画像の解像度に応じて付加パターンを変更できるようにしてもよいし、低解像度はパターンマッチングを用いて文字を太らせ、高解像度は一律太らせと切り替えられるようにしてもよい。
【0104】
また、背景部と文字部を比較して文字太らせのレベルを変更できるようにすることも可能である。
【0105】
次に、上述した太文字化を行なわない場合と行なった場合の具体例について図20及び図21を参照して説明する。
図20(a)は太文字化を行わない場合の出力例であり、この出力例のドットサイズでの部分拡大図を同図(b)に示している。なお、図20においては、画像の解像度は、副走査方向にはノズルピッチと同じ解像度(この例では300dpi)で形成され、主走査方向には副走査方向より高密度に(この例では、副走査方向の2倍の600dpi)で形成しているものとする。この場合、主走査方向は副走査方向の2倍の解像度であるので、主走査方向の2つのドット分が副走査方向の1ドット分に相当するが、図示の都合上、主走査方向は副走査方向に対して2倍に拡大して図示している。
【0106】
この図20に示すように、太文字化を行わないと、その文字の形状に応じて機械的に幅選択を行ってドット着弾が行われているので、背景部の黒インクが滲んだ場合、文字部に浸透してしまい、輪郭部がぼやけて良好な視認性が得られなくなってしまう。
【0107】
これに対し、図21(a)は太文字化を行った場合の出力例であり、この出力例のドットサイズでの部分拡大図を同図(b)に示している。
【0108】
この図20に示すように、文字部を形成するドットに隣接する背景部のドットに、副走査方向に1ドット、主走査方向に1ドット、大滴の(大きな)ドットを、文字部と同色のインクを使用して付加し、太文字化処理を行っている。
【0109】
この処理により、背景部のドット部分の、文字部との境界部が太文字化されていることとなり、背景部のインクが滲んだとしても、抜きの文字部が太くなっているため、つぶれて見えなくなることがなく、良好な画像品質が得られるのである。
【0110】
なお、付加するドットは、解像度に応じて、サイズを変化させてもよい。また、文字部に付加する付加ドットの数は1ドットに限らず2ドット以上とすることもできる。解像度が高い場合には、1ドットの付加では、抜き文字の太り方が少なく、背景部のにじみを十分解消するだけの太り方にならない場合があるため、ドットを付加は適宜制御することが好ましい。
【0111】
すなわち、背景部と文字部の境界において、背景部のにじみの量は、解像度によらずにほぼ一定であるが、これに対し、1ドット付加による文字部の太さは解像度に応じて変化してしまうので、その解像度に応じて付加するドット数を制御・調節するようにすれば、解像度に応じた適切な太文字化を実行できるのである。
【0112】
上述した太字化に関する処理は全てをプログラムとしてコンピュータ上で処理しても良く、また、一部をプログラム化してコンピュータ上で処理し、残りをハードウェア化して処理しても良い。
【0113】
このように、本発明に係る画像処理方法、画像処理装置、画像形成装置、プログラム、記憶媒体、画像形成システムにおいては、画像データが第1の色である部分の背景部と第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、背景部及び文字部のRGB値に基づいて背景部及び文字部の特性を算出し、背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定し、決定に従って文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行うようにしているので、白系以外の抜き文字についても視認性を向上できて画像品質を向上できるとともに、背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太文字化を決定するので、より視認性を向上できて画像品質を向上できる。
【0114】
なお、上述した画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムは、記憶媒体に記録することによって、容易に大量配布や複製が可能となり、プログラムの保存の点でも、不揮発性の記憶媒体に保存することで長期の保存が可能となる。更に、現在のコンピュータは、フロッピディスクドライブやCD/DVDドライブといった外部記憶媒体読み取り手段を標準若しくはオプションで備えているため、これらの記憶媒体を用いて簡易にコンピュータに導入することが可能となる。さらに、インターネットを用いたダウンロード方法によって画像処理装置側や画像形成装置に提供することもできる。
【0115】
また、上記実施形態においては、本発明をインクジェット記録装置に適用した例で説明したが、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機などにも適用することができ、また、インク以外のインクを用いた画像形成装置やこの画像形成装置に印刷データ(画像データ)を与える画像処理装置及びこの画像処理装置に搭載されるプリンタドライバなどのプログラムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0116】
1 装置本体
2 スキャナ
3 給紙トレイ
33 キャリッジ
34 記録ヘッド
208 印刷制御部
400 画像処理装置
500 インクジェット記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置で出力する前記画像の画像データを生成する画像処理方法において、
前記画像データが第1の色である部分の背景部と前記第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、
前記背景部及び文字部のRGB値に基づいて前記背景部及び前記文字部の特性を算出する特性算出工程と、
前記背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定する太字化決定工程と、
前記太文字決定に従って前記文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理実行工程と、を行う
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記太字化決定工程では、前記背景部及び前記文字部の色相特性又は彩度特性と明度特性とに基づいて前記太字化処理の有無を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記太字化決定工程では、前記背景部及び前記文字部の色相特性、彩度特性及び明度特性に基づいて前記太字化処理の有無を決定することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項4】
液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置で出力する前記画像の画像データを生成する画像処理装置において、
前記画像データが第1の色である部分の背景部と前記第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、
前記背景部及び文字部のRGB値に基づいて前記背景部及び前記文字部の特性を算出する特性算出手段と、
前記背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定する太字化決定手段と、
前記太文字決定に従って前記文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理実行手段と、を備えている
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置において、
前記画像データが第1の色である部分の背景部と前記第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、
前記背景部及び文字部のRGB値に基づいて前記背景部及び前記文字部の特性を算出する特性算出手段と、
前記背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定する太字化決定手段と、
前記太文字決定に従って前記文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理実行手段と、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置で出力する前記画像の画像データを生成する処理をコンピュータに行わせるプログラムにおいて、
前記画像データが第1の色である部分の背景部と前記第1の色とは異なる第2の色である部分の文字部により構成される文字画像データであるとき、
前記背景部及び文字部のRGB値に基づいて前記背景部及び前記文字部の特性を算出する特性算出処理と、
前記背景部及び文字部の色相特性と彩度特性の少なくともいずれか一方に基づいて太字化処理の有無を決定する太字化処理と、
前記太文字決定に従って前記文字部の輪郭部に、当該文字部と同色のドットを付加することにより太字化処理を行う太字化処理実行処理と、をコンピュータに行わせる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記憶していることを特徴とする記憶媒体。
【請求項8】
請求項4に記載の画像処理装置と液滴を吐出する記録ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置とを備えていることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−61328(P2011−61328A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206401(P2009−206401)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】