説明

画像処理装置、画像供給装置、画像表示装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】立体感の強調を容易に行うことが可能な画像処理装置、画像供給装置、画像表示装置、画像処理方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】輪郭抽出部31は、入力画像中に含まれる輪郭線を抽出し、輪郭線で構成される輪郭画像を生成する。T字検出部32は、生成された輪郭画像から、輪郭線がT字状に交わる部位(T字部)を検出する。T字部は、第1の輪郭線と第2の輪郭線とを含んだ部位であり、第2の輪郭線は、一端が第1の輪郭線に接し、他端が第1の輪郭線から遠ざかる方向に延出する。画質制御部33は、第1の輪郭線を境界にして、第2の輪郭線が延出する側とは反対側の第1の領域と、第2の輪郭線が延出する側の第2の領域とを設定する。そして、調整処理部34に、第1の領域の輝度を高くするとともに、第2の領域の輝度を低くするような画質調整処理を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像供給装置、画像表示装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置等によって表示される2次元画像の立体感(遠近感、奥行き感)を強調する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1に記載の技術では、画像の輪郭線を抽出して、強い輪郭線部分はより強調し、弱い輪郭線部分や輪郭線の無い部分は入力信号を平均化することで、物体と周囲の背景との差を視覚的に大きくして、立体感を強調している。また、特許文献2に記載の技術では、画像を構成する画素毎、或いは複数の画素からなるブロック毎に奥行きを表す奥行きデータが入力され、この奥行きデータに基づいて輪郭補正、ぼけ補正、及び彩度補正を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−159148号公報
【特許文献2】特開2008−33897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、画像の全域が輪郭強調処理又は平均化処理の対象となるため、処理が重くなりやすいという問題を有している。また、特許文献2に記載の技術では、画像データとともに奥行きデータも用意しなければならないため、利用が容易ではないという問題を有している。このため、立体感の強調を容易に行うことが可能な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る画像処理装置は、画像に含まれる輪郭線を抽出する輪郭抽出部と、前記輪郭抽出部が抽出した前記輪郭線の中から、前記輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出するT字検出部と、前記T字部に、前記画像の立体感を強調させるための画質調整処理を施す調整処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この画像処理装置によれば、輪郭抽出部が、画像に含まれる輪郭線を抽出し、T字検出部が、輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出し、調整処理部が、画像の立体感を強調させる画質調整処理をT字部に施す。つまり、画質調整処理が局所的に施されることになるため、処理に伴う負荷を軽減することが可能となり、立体感の強調を容易に行うことが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る画像処理装置において、前記T字部は、第1の輪郭線と、前記第1の輪郭線に一端が接して前記第1の輪郭線から遠ざかる方向に他端が延出する第2の輪郭線とを含んでおり、前記調整処理部は、前記第1の輪郭線を境界にして、前記第2の輪郭線が延出する側とは反対側の第1の領域と、前記第2の輪郭線が延出する側の第2の領域とで異なる画質調整処理を施すことにより、前記画像の立体感を強調させることが望ましい。
【0009】
この画像処理装置によれば、第1の領域と第2の領域とで異なる画質調整処理を施している。通常、輪郭線がT字状に交わる部位(T字部)では、第1の領域が第2の領域よりも手前側であることが多いため、第1の領域には、手前側に適した画質調整処理を施し、第2の領域には、奥側に適した画質調整処理を施すことにより、立体感を強調させることが可能となる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係る画像処理装置において、前記調整処理部は、前記第1の領域の輝度を高くする処理、及び前記第2の領域の輝度を低くする処理の少なくとも一方を施すようにしてもよい。
【0011】
[適用例4]上記適用例に係る画像処理装置において、前記調整処理部は、前記第1の領域のシャープネスを高くする処理、及び前記第2の領域のシャープネスを低くする処理の少なくとも一方を施すようにしてもよい。
【0012】
[適用例5]上記適用例に係る画像処理装置において、前記調整処理部は、前記第1の領域の彩度を高くする処理、及び前記第2の領域の彩度を低くする処理の少なくとも一方を施すようにしてもよい。
【0013】
[適用例6]本適用例に係る画像供給装置は、上記適用例に係る画像処理装置と、前記画像処理装置で前記画質調整処理が施された画像の画像情報を外部に出力する画像情報出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この画像供給装置によれば、上記適用例に掛かる画像処理装置と同様の効果を得ることができる。
【0015】
[適用例7]本適用例に係る画像表示装置は、上記適用例に係る画像処理装置と、前記画像処理装置で前記画質調整処理が施された画像を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
この画像表示装置によれば、上記適用例に掛かる画像処理装置と同様の効果を得ることができる。
【0017】
[適用例8]本適用例に係る画像処理方法は、画像に含まれる輪郭線を抽出する輪郭抽出ステップと、前記輪郭抽出ステップで抽出した前記輪郭線の中から、前記輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出するT字検出ステップと、前記T字部に、前記画像の立体感を強調させるための画質調整処理を施す画質調整ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この画像処理方法によれば、輪郭抽出ステップで、画像に含まれる輪郭線を抽出し、T字検出ステップで、輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出し、画質調整ステップで、画像の立体感を強調させる画質調整処理をT字部に施す。つまり、画質調整処理が局所的に施されることになるため、処理に伴う負荷を軽減することが可能となり、立体感の強調を容易に行うことが可能となる。
【0019】
[適用例9]本適用例に係るプログラムは、コンピューターに、画像に含まれる輪郭線を抽出する輪郭抽出ステップと、前記輪郭抽出ステップで抽出した前記輪郭線の中から、前記輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出するT字検出ステップと、前記T字部に、前記画像の立体感を強調させるための画質調整処理を施す画質調整ステップと、を実行させる。
【0020】
このプログラムによれば、輪郭抽出ステップで、画像に含まれる輪郭線を抽出し、T字検出ステップで、輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出し、画質調整ステップで、画像の立体感を強調させる画質調整処理をT字部に施す。つまり、画質調整処理が局所的に施されることになるため、処理に伴う負荷を軽減することが可能となり、立体感の強調を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プロジェクターの概略構成を示すブロック図。
【図2】画質調整部の機能を説明するための機能ブロック図。
【図3】画質調整の対象となるT字部を示す図であり、(a)は、第1の輪郭線と第2の輪郭線が略直角に交わる場合の図、(b)、(c)は、第1の輪郭線と第2の輪郭線が斜めに交わる場合の図、(d)は、第1の領域及び第2の領域を説明するための図。
【図4】画質調整部による画質調整処理を説明するためのフローチャート。
【図5】画質調整処理を説明するための説明図であり、輪郭画像を示す図。
【図6】コンピューターの概略構成を示すブロック図。
【図7】画質調整プログラムに従って動作する際の制御装置の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の画像処理装置について、図面を参照して説明する。
本実施形態の画像処理装置は、画像表示装置としてのプロジェクターの内部に搭載されている。プロジェクターは、外部の画像供給装置から入力される画像情報に基づく画像(以降、「入力画像」と呼ぶ。)をスクリーンや壁面等に投写して表示する。
【0023】
図1は、プロジェクターの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクター1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、入力操作部22、画像情報入力部23、画像情報変換部24、画像処理装置としての画質調整部25を備えている。
【0024】
画像投写部10は、光源装置11、光変調装置としての液晶ライトバルブ12、投写光学系としての投写レンズ13、液晶駆動部14等で構成されている。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源装置11から射出された光を液晶ライトバルブ12で変調して画像(画像光)を形成し、この画像を投写レンズ13から拡大投写して、外部のスクリーンSC等に表示する。
【0025】
光源装置11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。
【0026】
液晶ライトバルブ12は、一対の透明基板間に液晶が封入された透過型の液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12には、マトリクス状に配列された複数の画素からなる画素領域が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。そして、液晶駆動部14の駆動により、入力される画像情報に応じた駆動電圧が各画素に印加されると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源装置11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12を透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が形成される。形成された画像光は、投写レンズ13から拡大投写される。
【0027】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクター1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピューターとして機能する。
【0028】
記憶部21は、マスクROM(Read Only Memory)や、フラッシュメモリー、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の不揮発性のメモリーにより構成されている。記憶部21には、プロジェクター1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクター1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
【0029】
入力操作部22は、ユーザーの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。入力操作部22が備える操作キーとしては、電源のオンとオフとを切り替えるための電源キー、各種設定用のメニュー画像を表示させるメニューキー等がある。ユーザーが入力操作部22の各種操作キーを操作すると、入力操作部22は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。なお、入力操作部22として、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発信し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0030】
画像情報入力部23には、コンピューターや各種映像再生装置等、外部の画像供給装置Cから画像情報が入力される。画像情報入力部23は、入力された画像情報を画像情報変換部24に出力する。
【0031】
画像情報変換部24は、制御部20の指示に基づいて、画像情報入力部23から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12の各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、液晶ライトバルブ12のすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出される光の輝度が規定される。画像情報変換部24で変換された画像情報は、画質調整部25に出力される。
【0032】
図2は、画質調整部25の機能を説明するための機能ブロック図であり、図3(a)〜(d)は、画質調整の対象となるT字部を示す図である。
図2に示すように、画質調整部25は、画像の立体感を強調するために、画像の一部に画質調整処理を施すものであり、輪郭抽出部31、T字検出部32、画質制御部33、調整処理部34を備えている。なお、画質調整部25が有するこれらの機能は、CPUが制御プログラムに従って動作することによって実現してもよいし、専用のハードウェアで実現してもよい。
【0033】
輪郭抽出部31は、入力された画像情報に対して、ラプラシアンフィルター等を用いたフィルター処理を施す。そして、入力画像中に含まれる輪郭線を抽出し、輪郭線で構成される輪郭画像を生成する。
【0034】
T字検出部32は、輪郭抽出部31が生成した輪郭画像から、画質調整の対象とすべき部位として、輪郭線がT字状に交わる部位(T字部)を検出する。
【0035】
図3(a)に示すように、T字部40は、第1の輪郭線41と、第2の輪郭線42とを含んだ部位であり、第2の輪郭線42は、一端が第1の輪郭線41に接し、他端が第1の輪郭線41から遠ざかる方向に延出する。
【0036】
T字部40の検出には、例えば、T字部40の画像パターンをテンプレート画像とするテンプレートマッチングの技術を用いることができる。なお、様々な向きのT字部40を検出するためには、T字の向きが異なる複数のテンプレート画像を用いる必要がある。また、T字部40は、第1の輪郭線41と第2の輪郭線42とが略垂直に交わる態様(図3(a)参照)に限定されず、図3(b)、(c)に示すように、第1の輪郭線41と第2の輪郭線42とが斜めに交わる態様もT字部40に含まれる。
【0037】
画質制御部33は、制御部20の指示に基づいて、検出したT字部40に画質調整処理を施すための制御を行う。具体的には、図3(d)に示すように、画質制御部33は、第1の輪郭線41を境界にして、第2の輪郭線42が延出する側とは反対側の所定の範囲内に第1の領域43を設定し、第2の輪郭線42が延出する側の所定の範囲内に第2の領域44を設定する。そして、調整処理部34に、第1の領域43の輝度を高く(明るく)するとともに、第2の領域44の輝度を低く(暗く)するような画質調整処理(輝度調整処理)を行わせる。なお、輝度を調整する領域(第1の領域43及び第2の領域44)と調整しない領域(第1の領域43及び第2の領域44の外側の領域)との境界が明瞭になって不自然にならないように、第1の輪郭線41と第2の輪郭線42の交点から遠ざかるに従って輝度の調整量(変化量)を小さくすること、言い換えれば、第1の輪郭線41と第2の輪郭線42の交点に近づくに従って輝度の調整量(変化量)を大きくすることが望ましい。
【0038】
調整処理部34は、画質制御部33の指示に基づき、画像情報変換部24から入力される画像情報に対して、上記の画質調整処理を実施する。そして、調整後の画像情報を液晶駆動部14に出力する。
【0039】
図1に戻って、液晶駆動部14が、画質調整部25から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12を駆動すると、液晶ライトバルブ12は、画像情報に応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0040】
図4は、画質調整部25による画質調整処理を説明するためのフローチャートである。また、図5は、画質調整処理を説明するための説明図であり、輪郭画像を示す図である。
【0041】
図4に示すように、ステップS101では、輪郭抽出部31が、入力画像に含まれる輪郭線を抽出し、輪郭線で構成される輪郭画像を生成する。例えば、互いに重なり合った2つの円状の物体が入力画像に含まれている場合には、図5に示すように、2つの物体の輪郭線L1,L2を含む輪郭画像Eが生成される。
【0042】
ステップS102では、T字検出部32が、輪郭抽出部31が生成した輪郭画像からT字部40を検出する。例えば、図5に示した輪郭画像Eの場合には、輪郭線L1,L2が交わる2ヶ所でT字部40が検出される。
【0043】
ステップS103では、画質制御部33が、検出されたT字部40のそれぞれについて第1の領域43と第2の領域44を設定し(図3(d)参照)、第1の領域43を明るく、第2の領域44を暗くするよう調整処理部34に指示をする。
【0044】
ステップS104では、調整処理部34が、画質制御部33の指示に基づき、画像情報変換部24から入力される画像情報に対して上記の画質調整処理を実施し、フローを終了する。この結果、画質調整が施された画像が画像投写部10から投写される。
【0045】
図5に示すように、輪郭画像Eにおいて、T字部40は、2つ以上の物体が重なり合った位置に形成されやすく、多くの場合には、第1の領域43が第2の領域44の手前側、即ち第2の領域44が第1の領域43の奥側となる。このため、本実施形態の画質調整部25のように、第1の領域43を明るくし、第2の領域44を暗くすることにより、物体間の奥行き方向の位置関係が強調され、入力画像の立体感が強調される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0047】
本実施形態のプロジェクター1によれば、輪郭抽出部31が入力画像に含まれる輪郭線を抽出し、T字検出部32が、輪郭線同士がT字状に交わるT字部40を検出し、調整処理部34が、このT字部40に、画像の立体感を強調させる画質調整処理を施す。つまり、画質調整処理が局所的に施されるため、処理に伴う負荷を軽減することが可能となり、立体感の強調を容易に行うことが可能となる。
【0048】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の画像処理装置について、図面を参照して説明する。
本実施形態の画像処理装置は、画像供給装置としてのコンピューターの内部に搭載されている。コンピューターは、外部の画像表示装置に画像情報を供給し、画像情報に基づく画像を画像表示装置に表示させる。
【0049】
図6は、コンピューター2の概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、コンピューター2は、CPUやRAM等からなる制御装置50、内蔵するハードディスクドライブ等からなる記憶装置51、液晶ディスプレイ等の表示装置52、キーボードやマウス等の入力装置53、DVD等の外部の記憶媒体との間でデータの授受を行う外部記憶装置54、ネットワーク等を介して外部の機器とデータの授受を行う通信装置55、外部の画像表示装置Dに画像情報を出力する画像情報出力部56を備えている。コンピューター2としては、例えば、パーソナルコンピューターを用いることができる。ここで、ノート型のパーソナルコンピューターを用いる場合には、コンピューター2は、制御装置50、記憶装置51、表示装置52、入力装置53、外部記憶装置54、通信装置55を一体的に備えて構成され得る。また、デスクトップ型のパーソナルコンピューターのように、表示装置52、入力装置53、外部記憶装置54、通信装置55の全部又は一部が外付けで接続される構成のコンピューターを用いてもよいし、携帯型の情報端末を用いてもよい。
【0050】
制御装置50は、記憶装置51に記憶されているOS(Operating System)やアプリケーションプログラム等に従って動作し、入力装置53を用いてなされるユーザーの指示に応じて様々な処理を行い、処理結果等を表示装置52や外部の画像表示装置Dに表示させる。また、本実施形態の記憶装置51には、画像の一部に画質調整処理を施して画像の立体感を強調させるアプリケーションプログラム(画質調整プログラム)がインストールされており、制御装置50は、この画質調整プログラムに従って動作することにより、画像の立体感を強調させるための画像処理装置として機能する。
【0051】
図7は、画像処理装置、即ち画質調整プログラムに従って動作する際の制御装置50の機能ブロック図である。
図7に示すように、制御装置50は、第1実施形態の画質調整部25と同様の構成を有しており、輪郭抽出部61、T字検出部62、画質制御部63、調整処理部64を備えている。
【0052】
輪郭抽出部61には、記憶装置51、外部記憶装置54、或いは通信装置55から画像情報が入力される。輪郭抽出部61は、入力された画像情報に対して、ラプラシアンフィルター等を用いたフィルター処理を施す。そして、入力された画像情報に基づく画像(入力画像)中に含まれる輪郭線を抽出し、輪郭線で構成される輪郭画像を生成する。
【0053】
T字検出部62は、輪郭抽出部61が生成した輪郭画像から、画質調整の対象とすべきT字部40を検出する。
【0054】
画質制御部63は、検出したT字部40に画質調整処理を施すための制御を行う。具体的には、画質制御部63は、第1実施形態と同様、第1の輪郭線41を境界にして、第2の輪郭線42が延出する側とは反対側の第1の領域43と、第2の輪郭線42が延出する側の第2の領域44とを設定する。そして、調整処理部64に、第1の領域43の輝度を高く(明るく)するとともに、第2の領域44の輝度を低く(暗く)するような画質調整処理(輝度調整処理)を行わせる。
【0055】
調整処理部64は、画質制御部63の指示に基づき、制御装置50に入力される画像情報に対して、上記の画質調整処理を実施する。そして、調整後の画像情報を、画像情報出力部56を介して外部の画像表示装置Dに出力する。画像表示装置Dがこの画像情報に基づく画像を表示すると、画像は、立体感が強調されて表示される。なお、この制御装置50の動作(フローチャート)は、第1実施形態における画質調整部25の動作(図4参照)と同等であるため、その説明は省略する。また、画質調整を施した画像情報を画像表示装置Dに逐次出力するようにしてもよいが、記憶装置51又は外部記憶装置54に一旦記憶しておくようにして、一連の画像情報に対する画質調整処理がすべて完了した後で、画像表示装置Dに出力するようにしてもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のコンピューター2によれば、第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0058】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、調整処理部34,64は、第1の領域43の輝度を高くして、第2の領域44の輝度を低くしているが、調整処理部34,64による画質の調整は、輝度の調整に限定されない。例えば、第1の領域43の彩度を高く(鮮やかに)して、第2の領域44の彩度を低くするようにしても、画像の立体感を強調することができる。また、第1の領域43(第1の輪郭線41を含む)のシャープネス(輪郭強調度)を高く(鮮鋭に)して、第2の領域44(第2の輪郭線42を含む)のシャープネスを低くするようにしてもよい。つまり、第1の領域43には、手前側に適した画質調整処理を施し、第2の領域44には、奥側に適した画質調整処理を施すことにより、画像の立体感を強調することができる。
また、画質調整処理は、第1の領域43と第2の領域44の双方に施す必要はなく、第1の領域43の輝度(彩度、シャープネス)を高くする処理と、第2の領域44の輝度(彩度、シャープネス)を低くする処理のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0059】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、輪郭画像からT字部40を検出するために、テンプレートマッチングの技術を利用しているが、これに限定されず、他の技術を利用するようにしてもよい。
【0060】
上記第1実施形態において、プロジェクター1は、3つの液晶ライトバルブ12を利用してカラー画像を形成する3板式のプロジェクターであってもよい。
【0061】
上記第1実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12を用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0062】
上記第1実施形態では、光源装置11は、放電型の光源ランプ11aを備えて構成されているが、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【0063】
上記第1実施形態では、画像処理装置としての画質調整部25がプロジェクター1に搭載され、上記第2実施形態では、コンピューター2に搭載されている制御装置50が画像処理装置として機能するようになっているが、これらの態様に限定されない。例えば、画像処理装置(画質調整部25、制御装置50)を、プロジェクター1以外の画像表示装置(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等)に搭載するようにしてもよいし、コンピューター以外の画像供給装置(例えば、各種映像再生装置等)に搭載するようにしてもよい。また、画質調整処理(輝度調整処理)を施した画像情報を、直接画像表示装置に出力せずに、記憶媒体に記憶させる態様の装置に適用してもよい。この場合には、記憶媒体に記憶された画像情報を映像再生装置で再生して画像表示装置に出力するようにすれば、立体感が強調された画像が画像表示装置によって表示される。
【符号の説明】
【0064】
1…プロジェクター、2…コンピューター、10…画像投写部、11…光源装置、11a…光源ランプ、11b…リフレクター、12…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…液晶駆動部、20…制御部、21…記憶部、22…入力操作部、23…画像情報入力部、24…画像情報変換部、25…画質調整部、31…輪郭抽出部、32…T字検出部、33…画質制御部、34…調整処理部、40…T字部、41…第1の輪郭線、42…第2の輪郭線、43…第1の領域、44…第2の領域、50…制御装置、51…記憶装置、52…表示装置、53…入力装置、54…外部記憶装置、55…通信装置、56…画像情報出力部、61…輪郭抽出部、62…T字検出部、63…画質制御部、64…調整処理部、C…画像供給装置、D…画像表示装置、L1,L2…輪郭線、SC…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に含まれる輪郭線を抽出する輪郭抽出部と、
前記輪郭抽出部が抽出した前記輪郭線の中から、前記輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出するT字検出部と、
前記T字部に、前記画像の立体感を強調させるための画質調整処理を施す調整処理部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記T字部は、第1の輪郭線と、前記第1の輪郭線に一端が接して前記第1の輪郭線から遠ざかる方向に他端が延出する第2の輪郭線とを含んでおり、
前記調整処理部は、前記第1の輪郭線を境界にして、前記第2の輪郭線が延出する側とは反対側の第1の領域と、前記第2の輪郭線が延出する側の第2の領域とで異なる画質調整処理を施すことにより、前記画像の立体感を強調させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記調整処理部は、前記第1の領域の輝度を高くする処理、及び前記第2の領域の輝度を低くする処理の少なくとも一方を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記調整処理部は、前記第1の領域のシャープネスを高くする処理、及び前記第2の領域のシャープネスを低くする処理の少なくとも一方を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記調整処理部は、前記第1の領域の彩度を高くする処理、及び前記第2の領域の彩度を低くする処理の少なくとも一方を施すことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で前記画質調整処理が施された画像の画像情報を外部に出力する画像情報出力部と、
を備えたことを特徴とする画像供給装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で前記画質調整処理が施された画像を表示する表示部と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
画像に含まれる輪郭線を抽出する輪郭抽出ステップと、
前記輪郭抽出ステップで抽出した前記輪郭線の中から、前記輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出するT字検出ステップと、
前記T字部に、前記画像の立体感を強調させるための画質調整処理を施す画質調整ステップと、
を備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
コンピューターに、
画像に含まれる輪郭線を抽出する輪郭抽出ステップと、
前記輪郭抽出ステップで抽出した前記輪郭線の中から、前記輪郭線同士がT字状に交わるT字部を検出するT字検出ステップと、
前記T字部に、前記画像の立体感を強調させるための画質調整処理を施す画質調整ステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−42709(P2012−42709A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183713(P2010−183713)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】