説明

画像処理装置、画像処理方法、及び、プログラム

【課題】減色処理として用いるクラスタリング後の後処理で、線の途切れや画像の入力属性に依存せず、ベクトル化に適したノイズ統合処理を実現する。
【解決手段】入力画像を夫々が異なる色の複数の色領域に分割して減色する(S100〜S302)。色領域をラベリングして得た複数のラベルの形状の特徴に基づいてラベル統合を行うことで、色領域をベクトル化に適した処理単位にする(S410〜S470)。ベクトルデータを生成する(S500)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイラスト等、均等色領域で構成される画像に含まれるスキャンノイズを、ラベリング処理を行った後にラベル単位で統合していくことで、ベクトル化処理に適するよう効果的に除去する画像処理方法と装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が進み、紙文書をそのまま保存するのではなく、スキャナ等で読み取ったのち電子データとして保存したり、その電子データを他装置に送信したりするシステムが普及してきている。電子データの送信コスト削減のため、電子化文書には高圧縮性が要求されている。一方、ユーザの利便性のため、部分的に電子データ内のオブジェクトを編集できる再利用性と、変倍しても画質が劣化しない高画質性も要求されている。
【0003】
スキャン画像のベクトル化を行うには入力画像に含まれるスキャンノイズを低減し、原画像の輪郭を抽出する必要があるが、その前処理として減色処理が必要となる。クラスタリングを用いる場合、最初にクラスタリングで色数をある程度絞った後、後処理で類似色のクラスタ同士を統合することでより正確な色分離を行う手法が採られてきた。
【0004】
例えば特許文献1ではクラスタリングを行った結果に対し、所定の閾値よりも小さい面積を持つクラスタを削除する手法が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−344069号公報
【特許文献2】特開2004−126648号公報
【特許文献3】特開2008−146496号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】安居院、長尾著“C言語による画像処理入門”初版,ISBN4-7856-3124-4,昭晃堂,2000年11月20日発行,P.106-P.115,
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1によればサイズのみ参照するため、閾値よりも大きい面積を持つクラスタは統合されずに残ってしまう。特に、スキャンノイズが原因で発生する過分割になったクラスタデータは夫々ある程度の面積を持つためうまく処理できないことがあった。
【0008】
本発明の目的は、スキャン画像をクラスタリングすることで生じたノイズ成分をより精度良く除去することで高品位画像を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像処理装置は、入力画像を夫々が異なる色の複数の色領域に分割して減色する分割手段と、前記色領域をラベリングして得たラベルの形状の特徴に基づいてラベル統合を行うことで、前記色領域をベクトル化に適した処理単位にする統合手段と、該色領域をベクトルデータに変換する変換手段から構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スキャン画像をクラスタリングすることで生じたノイズ成分を、線の途切れが発生することなくより精度良く除去できる。また、線画・クリップアートといった画像の特性を予め判定する必要がなく、処理の効率化・簡素化を実現できる。
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定される訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における画像処理装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態における画像処理装置のメイン処理を示すフローチャートである。
【図3】クラスタリング結果とそれに対するラベリング結果を表す図である。
【図4】クラスタリング結果とラベリング結果の対応表を表す図である。
【図5】線形状判定を行う対象のラベルと抽出情報例を表す図である。
【図6】ラベルの形状情報を付加した対応表を表す図である。
【図7】メイン処理におけるノイズ統合判定処理を示すフローチャートである。
【図8】微小サイズのラベルを統合した処理結果例を表す図である。
【図9】微小サイズのラベルを統合した後の対応表を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本実施形態の画像処理装置の構成例について、図1のブロック図を参照して説明する。
【0014】
CPU(Central Processing Unit)7は本装置全体を制御する。ROM(Read Only Memory)6は変更不要のプログラムやパラメータを格納する。RAM(Random Access Memory)5は外部装置等から供給されるプログラムやデータを一時記憶する。スキャナ1は文書等を光電走査して電子的な画像データを得る。画像入出力インターフェース3はスキャナ1と本装置を接続する。画像メモリ2は、スキャナ1で読み取られた画像データ等を保持する。外部記憶装置12は、固定して設置されたハードディスクやメモリカード、あるいは着脱可能なフレキシブルディスク(FD)やCD(Compact Disk)等の光ディスク、磁気や光カード、ICカード、メモリカード等を媒体とする記憶装置である。
【0015】
入出力(Input/Output)インターフェース13は外部記憶装置12と本装置とのインターフェースである。入力インターフェース15は、ユーザの操作を受けデータを入力するマウス等のポインティングデバイス10やキーボード9等の入力デバイスとのインターフェースである。映像出力インターフェース14は本装置の保持するデータや供給されたデータを表示するためのディスプレイモニタ8とのインターフェースである。通信インターフェース4はインターネット等のネットワークに接続するためのネットワークインターフェースである。システムバス11は各ユニット1〜15を通信可能に接続する。
【0016】
以下、外部記憶装置12からRAM5にロードされてCPU7上で実行されるプログラムにより本発明を実現する処理手順を、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0017】
処理を開始すると、ステップS100で処理対象の画像領域を含む画像データを入力する。画像入力に関しては、スキャナ1で読み取った画像データを画像入出力I/O3を介して画像メモリ2に入力する。また、通信I/F4を介して処理対象となる画像領域を含む画像を装置外部から入力しても、外部記憶装置12に予め記憶される画像データをI/O13を介して読み込んでも良い。得られた入力画像は、画像メモリ2上に保持される。
【0018】
ステップS200では領域分割を行い、イラストを含むグラフィック領域を入力画像から抽出する。領域分割を行う方式は幾つか在るが、例えば特許文献2の方式を適用すると反転文字も考慮して文字・図・写真・表などの異なる性質を持つ部分領域に分割できる。
【0019】
ステップS300の色領域分割処理(S301,S302)では、抽出したグラフィック領域に対応する色別画像を生成する。まず、ステップS301においてクラスタリング処理を行い、同じ色を持つと思われる画素に対して同一のクラスタ番号を付与し、クラスタ番号を用いたインデックス画像を作成する。これにより、例えば、スキャン直後の段階では数万あった色数を数色から数十色に削減する。
【0020】
クラスタリング手法は幾つか在るが、例えば公知のNN(Nearest Neighbor)法を用いることができる(非特許文献1)。NN法では入力P1からPnをクラスタリングする際、まずP1を代表パターンとするクラスタC1を作成する。次にPi(i≧2)に着目し、Cj(jはクラスタ数)との距離を比較する。距離が予め定められた閾値未満の場合、最小距離のクラスタにPiを所属させる。閾値未満の距離にあるクラスタが見つからない場合、新たなクラスタを作成する。上記処理をすべての入力Pに対して実行することでクラスタリング処理を行う。
【0021】
減色処理として上記手法を適用する場合、入力を画素値(RGB値、または輝度値など)とし、距離をマンチェスター距離(シティーブロック距離)やユークリッド距離といった色距離にすれば良い。この場合、色距離の閾値を小さくすると処理後のクラスタ数(色数)が多くなり、減色効果が薄れてしまう傾向にある。
【0022】
上記クラスタリング処理に続いてステップS302では、背景領域を構成するクラスタ番号をクラスタリング結果から特定する。背景クラスタをベクトル化処理の対象から外し、その箇所のベクトルデータを出力しないことで、背景領域を透過したベクトルデータを生成できる。背景クラスタ番号は、例えば処理領域の最外周において占める割合が最多のクラスタ番号を選択することで一意に決定できる。
【0023】
上記色領域分割処理により、スキャンノイズは数万色から数色または数十色に減少されているものの、ベクトル化処理を適用するには色数が未だ多く、スキャンノイズが除去しきれていない。また、スキャンに起因する偽色も残っており、そのままベクトル化処理を施すにはデータサイズが大きく編集性も悪い。そこで、ノイズ領域を統合しベクトル化処理に適した色別画像を作成するため、ステップS400では、ベクトル化に適したノイズ統合処理(ベクトル化向けノイズ統合(S410〜S470))を行う。
【0024】
まずステップS410で、ステップS300で作成したクラスタリング処理結果の画像(インデックス画像)に対しラベリング処理する。ラベリング処理は連結する同じ値を持つ画素集合に同一番号を付す処理であり、各領域の情報(面積、形状)を取得するための前処理として良く用いられる。クラスタリング結果を番号で置き換えたインデックス画像と該インデックス画像に対しラベリング処理を行った結果の一例を示すと図3の通りである。但し、図3は入力画像30の一部31及び32を拡大して示したものであり、アルファベットBのクラスタは図示の範囲外にも繋がっている。
【0025】
また、ラベリング処理した際に、ラベリング結果とクラスタ番号を対応付ける図4に示すような対応表を作成しておく。
【0026】
上記ラベリング処理に続いてステップS420において、ラベル形状の解析処理をして、ベクトル化に不向きな領域を検出するために、各ラベルの面積やラベルの形状が線形状か否かといった特徴を判断する。クラスタリング処理の結果、主にスキャンノイズの影響により、ベクトル化に不向きな面積が非常に小さなラベルや線形状のラベルが生じ、これらの領域はデータ量の増加と編集性の低下を招来する。そのため、これらの領域がクラスタリング処理の結果として異なる色領域と判定されても、他のラベル領域と統合可能か判断し、可能なものは統合してベクトル化に適した処理単位にする必要がある。
【0027】
ラベルの面積は、ラベル番号と番号に対応するラベルの面積の集計表を用意しておくことで、画像全体に対する1回のラスタ走査で得られる。ラスタスキャン後に各ラベルの画素数を第1の閾値と比較することで、着目するラベルが微小サイズか否か判断できる。第1の閾値は幾つに設定しても良いが、入力スキャン画像が300dpiの解像度とすると、5画素未満のラベルは目視での確認が困難であり、他の領域に統合されても視覚的な劣化を生じることが少ない。そこで、以降の処理では第1の閾値を5とし、5画素未満の画素数のラベルを微小サイズと判断する。第1の閾値は入力解像度や入力画像サイズに応じて異なる値を用いても良い。例えば入力解像度や入力画像サイズが大きい場合、視覚的な劣化が検知できない画素数の上限値はより大きくなるため、大きい値を用いたほうが良い。
【0028】
ここで、図5に示したラベルを例に、ラベルが線形状か否かの幾つかの判断手法を説明する。このラベルの外接矩形のサイズは横幅が100画素、縦幅が15画素であり、画素数が150画素であり、黒のラベルと白のラベルの境界に位置する画素数(境界線の長さ)が200とする。
【0029】
第一の手法では外接矩形の縦横比を用いる。長辺と短辺の長さの比を求め、所定の縦横比閾値よりも大きい値であれば外接矩形が細長い形状をしていためラベルが線形状であると判断する。縦横比閾値を例えば5とすると、図5に示したラベルの場合、次式により閾値5よりも大きい縦横比が求められるため、線形状のラベルであると判定できる。
100(外接矩形の長辺の長さ)÷15(外接矩形の短辺の長さ)=6.67
【0030】
第二の手法では外接矩形の面積とラベルの画素数の比を用いる。外接矩形の面積と実際のラベルの面積の比を求め、所定の外接矩形閾値以下であれば、外接矩形中で占めるラベルの面積が少ないことから、線形状のラベルと判断する。外接矩形閾値を例えば7とすると、図5に示したラベルの場合、次式により閾値7よりも大きい比が求められるため、線形状のラベルであると判定できる。
100×15(外接矩形の面積)÷150(ラベルの面積)=10
【0031】
第三の手法ではラベル同士の境界に位置する画素数(境界線の長さ)とラベルの面積の比を用いる。ラベルに接している境界線の長さとラベルの面積の比を求め、所定の境界閾値以上であれば、境界線が長いことから、着目したラベルが線形状であると判断する。境界閾値を例えば1.0とすると、図5に示したラベルの場合、次式により閾値1.0よりも大きい比が求められるため、線形状のラベルであると判定できる。
200(他のラベルとの境界線の数)÷150(ラベルの画素数)=1.33
【0032】
図5は、以上のラベル形状判断手法を組み合わせて調査した各ラベルの形状情報を、図4の対応表に付加した例を表わす。
【0033】
上記ラベル形状解析処理に続いてステップS430では、ステップS420で微小サイズと判定されたラベルを優先的に、隣接する背景クラスタ番号を持たないラベルに統合する。微小サイズのラベルが密集している場合、ラベルが例えば誤って背景ラベルに統合されると線が途切れてしまうことがあるが、微小サイズのラベルを予め背景以外の他のラベルに統合することで線の途切れが起こらないようにする。スキャンノイズによって発生した微小サイズのラベルが背景画像中の孤立点となることも有り得るが、以降の処理で背景クラスタ番号を持ったラベルに統合することができるため問題にはならない。
【0034】
上記微小ラベル統合処理に続いてステップS440では統合元ラベルを選択する。画像の左上から右下に向かってラスタ走査して順次、統合元ラベルを選択していき、右方向と下方向に異なるラベルが隣接していないか確認する。右方向、下方向が共に同じラベル番号ならば次の画素を着目点に選ぶ。右方向、下方向の少なくとも一方が異なるラベルと隣接している場合、そのラベルをステップS450で統合先ラベルとして選択する。
【0035】
ステップS460では、図13のフローチャートに示されたノイズ統合判断処理の手順に従って、ステップS440,S450で選択した2つのラベルを統合するか否か判定する。判定基準として、該2つのラベルの色相と色距離の差を用いる。
【0036】
ノイズ統合判断処理では複数の閾値を用いるが、まずステップS461で少なくとも一方のラベルの面積が第1の閾値以下か判定する。判定の結果、少なくとも一方のラベルが微小サイズの場合、統合し易い閾値をステップS466で第3の閾値として設定する。現段階で微小サイズとして残っているラベルは、スキャンノイズが原因で発生した、周囲を背景クラスタに囲まれた孤立点であると考えられるからので、閾値を緩めに設定することでスキャンノイズをなくすことができる。したがって、ステップS461で少なくとも一方のラベルの面積が第1の閾値以下の場合、色相差を見ずに、ステップS467で2つのラベル間の色距離を第3の閾値と比較する。
【0037】
両方のラベルが第1の閾値より大きかった場合はステップS462に進んで、少なくとも一方のラベルが線形状であるか確認する。両方のラベルが線形状でない場合はステップS463に進む。
【0038】
ステップS463では少なくとも一方のラベルが第4の閾値以下か調べる。これは大面積のラベルの統合を防ぐためである。両方のラベルの面積が第4の閾値よりも大きい場合、ラベルの統合処理は行わないようにノイズ統合判断処理を終了する。少なくとも一方の面積が第4の閾値以下の場合はステップS465に進む。
【0039】
ところで、ステップS462の判断で一方のラベルが線形状であった場合はステップS464に進み、少なくとも一方のラベルの幅が出力ベクトルフォーマットの種類により定まる第2の閾値以下か判断する。肯定判定の場合、ベクトル化したデータをレンダラで表示すると着目しているラベルが正確な幅で表示されず、画質劣化の要因になる。そこで、少なくとも一方が第2の閾値以下の場合はステップS465の色相差確認を省略し、ステップS466に進みラベル同士を統合するための色距離の閾値を緩く設定して、着目しているラベルを統合し易くする。第2の閾値は、入力画像のサイズ及び/または解像度に応じて決定することもできる。
【0040】
第2の閾値として1または2を用いる場合、実施形態1で述べたようなラベルの画素数とラベルの境界線の比を用いて検出を行える。第2の閾値が表わすのはラベル幅の下限値なので、ラベル幅が1または2のラベルが解れば良い。このようなラベルはラベルの画素数とラベルの境界線の比を求めた場合、ラベルの境界線がラベルの画素数以上存在する特徴がある。また第2の閾値が3以上の場合、本出願人による線幅検知方法を用いることで各ラベルの線幅を求め、ステップS440での判断に用いることができる。
【0041】
ステップS464で否定判定の場合及びステップS463で肯定判定の場合にステップS465において、着目した2つのラベルの色相差を調べる。色相差は、着目画素のラベルの色空間をHSVに変換し、Hの値を参照することで求められる。この差が第5の閾値以下のときは色距離を判定するステップS467に進み、第5の閾値よりも大きい場合、ラベルの統合処理は行わずノイズ統合判断処理を終了する。このときHの値を参照し、両ラベルが黒に近い色である場合、後に行う色距離判断に用いる第3の閾値をステップS466において緩く設定することができる。これは、黒画像は色距離が遠く出る傾向にあり、他の色と同じように統合するには閾値を緩くとる必要があるためである。両ラベルが黒に近いか否かは両方のラベルのHの値が第6の閾値以下か否か調べることで判断できる。
【0042】
ステップS467では着目した2つのラベルの色距離を調べる。色距離にはRGBのマンハッタン距離(シティーブロック距離)やユークリッド距離を用いることができる。この色距離が第3の閾値以下のときはステップS468でノイズ統合フラグを設定する。そうでない場合は2つのラベルの統合はせず、ノイズ統合判断処理を終了する。
【0043】
以上の判断処理によりノイズ統合を行うと判断した場合は図2のステップS470で、選択した2つのラベルを統合する。統合処理では、面積が大きいラベル番号で面積が小さいほうのラベル番号を書き換え、ラベルに関する形状情報を更新する。
【0044】
上記統合処理を図3のラベリング結果に対して行った結果を図8に示す。同図の通り、まず、図3においてラベル番号4(微小サイズ)のラベル300が右上のラベル305と統合されてラベル番号3(微小サイズ)に更新される。次に、図3においてラベル番号5(微小サイズ)のラベル310が右上の更新されたラベル300と統合されてラベル番号3(微小サイズ)に更新され、同様に、ラベル320及びラベル350が右上の更新されたラベルと統合される。この結果、クラスタリング結果とラベリング結果の統合処理後の対応表は図9に示される通りとなる。
【0045】
統合処理の必要が無かった場合及び統合処理が終了した場合はステップS500において、公知のベクトル化手法(例えば特許文献3)によりベクトルデータへの変換処理を行う。生成した色別画像の輪郭を抽出し、夫々の輪郭を関数近似して出力フォーマットに合わせて出力する。この際、各ラベルの輪郭を個別に関数近似しても良いし、輪郭を境界線毎に分割し境界を共有するラベルには同一の関数近似結果を適用しても良い。
【0046】
(実施形態2)
実施形態1では、ステップS450においてラベルの統合先を選択する場合、条件を満たすラベルが最初に見つかったときに統合する例を挙げたが、本発明が含む範囲はこれに限らない。例えば隣接するラベル同士を統合できるか全ての組み合わせに対して確認し、最も色距離が近いラベル同士を統合しても良い。この場合、実施形態1で述べたやり方と比較して処理時間は長くなるが、より正確な色別画像を生成することができる。
【0047】
また、着目しているラベルが線形状の場合、端点箇所に接続先として相応しいラベルが接していることも多い。そこで、着目ラベルの端点箇所に接続しているラベルの中で、最も色距離が近いラベル同士を統合しても良い。
【0048】
(実施形態3)
実施形態1では、ステップS430において微小サイズのラベルを隣接する背景ラベル以外のラベルに統合する例を示したが、本発明が含む範囲はこれに限らない。ステップS430では微小ラベル同士が隣接している場合、隣接する微小ラベルとひとまとまりに統合し、以降の処理では全体として1つのラベル領域として扱っても良い。この場合、微小ラベル同士が統合されることで、微小ラベルが背景クラスタ番号を持つラベルに誤って統合されることを防ぐことができ、線が途切れる問題が起きなくなる。
【0049】
(本発明の他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶し、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。また、前述のプログラムを記憶した記憶媒体は勿論そのプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を夫々が異なる色の複数の色領域に分割して減色する分割手段と、
前記色領域をラベリングして得た複数のラベルの形状の特徴に基づいてラベル統合を行うことで、前記色領域をベクトル化に適した処理単位にする統合手段と、
該色領域をベクトルデータに変換する変換手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記統合手段は、
前記複数のラベルの形状の特徴を表す情報を取得する取得手段と、
前記複数のラベルについて取得した複数の情報を参照して、該情報の少なくとも1つに基づいて決定した第1の閾値未満の面積のラベルを隣接するラベルに統合する第1の統合手段と、
該情報に基づき統合が必要な統合元のラベルを選択する選択手段と、
前記抽出したラベルについて統合先のラベルを選択して該2つのラベルを統合する第2の統合手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記分割手段は、前記入力画像からグラフィック領域を抽出する手段を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記第1の統合手段は、前記第1の閾値未満の面積のラベルが隣接する場合、他のラベルより先に統合することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記第1の統合手段は、前記第1の閾値未満の面積のラベルが背景クラスタ番号を持つラベル以外に隣接する場合、他のラベルより先に統合することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記選択手段は、出力ベクトルフォーマットの種類、または、前記入力画像のサイズ及び/または解像度に応じて決定される最小のラベル幅を第2の閾値として設定し、該閾値未満の幅のラベルを前記統合元のラベルとして選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記第2の統合手段は、前記統合元のラベルとの色距離が第3の閾値未満のラベルの中で、最初に見つかった前記統合先のラベルに統合することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記第2の統合手段は、前記統合元のラベルとの色距離が第3の閾値未満のラベルの中で、最も色距離が近い前記統合先のラベルに統合することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記第2の統合手段は、前記統合元のラベルとの色距離が第3の閾値未満のラベルの中で、線形状のラベルの端点に接続しているラベルを優先して統合することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
前記第3の閾値は、前記選択手段または前記第2の統合手段でそれぞれ選択された、ラベルの幅、ラベルのサイズ、隣接する画素数に基づいて決定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記取得手段は、ラベルの画素数、幅、外接矩形の情報のうち少なくとも1つを取得することを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
入力画像を夫々が異なる色の複数の色領域に分割するステップと、
前記色領域をラベリングして得たラベルの形状の特徴に基づいてラベル統合を行うことで、前記色領域をベクトル化に適した処理単位にするステップと、
該色領域をベクトルデータに変換するステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
コンピュータ装置を、
入力画像を夫々が異なる色の複数の色領域に分割する分割手段、
前記色領域をラベリングして得たラベルの形状の特徴に基づいてラベル統合を行うことで、前記色領域をベクトル化に適した処理単位にする統合手段、及び、
該色領域をベクトルデータに変換する変換手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−13898(P2011−13898A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156972(P2009−156972)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】