説明

画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラム

【課題】輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する画像信号について、色差信号の色に応じて色差信号に対するノイズ除去の強度を変更することで解像感の劣化を抑えることが可能な画像処理装置を提供すること。
【解決手段】所定の色空間を有する第1のカラー画像信号を輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する第2のカラー画像信号に変換する変換部と、前記第1のカラー画像信号または前記第2のカラー画像信号の各画素の色を判別する色判別部と、前記色差信号に対するノイズ除去の強度を前記色判別部で判別した色に応じて変更してノイズ除去を行うノイズ除去部と、を含む、画像処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラの撮像素子として用いられているCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)から出力されるRAWデータには各種のノイズが含まれている。ノイズを効果的に除去する方法として、人間の視覚特性を考慮してノイズ除去の強度を変更する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば、RAWデータから他のフォーマットの信号に変換することで画像を現像する場合には、変換後の信号に含まれるノイズを効果的に除去することが求められる。例えばRAWデータから、輝度信号と色差信号からなる画像データ(例えばYCCデータ)に変換する場合には、画像のノイズも輝度ノイズと色ノイズに分類される。そして、色ノイズを除去することによって画質を向上させることができることが広く知られている。
【0004】
従来においては、色ノイズを除去するために、輝度信号と色差信号からなる画像データに変換した後、色差信号に対してノイズを除去するノイズリダクション処理を行っていた。このようにノイズリダクション処理を行うことで、輝度信号はそのままに、色ノイズだけを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−151907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
RAWデータから、輝度信号と色差信号からなる画像データに変換すると、一般的には被写体の解像感に影響を与える信号が輝度信号の方に分離される。しかし、被写体によっては、被写体の解像感に影響を与える信号が輝度信号ではなく色差信号の方に分離される場合がある。このような被写体を撮影した場合に色差信号に対してノイズリダクションを行うと、被写体の解像感が劣化してしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する画像信号について、色差信号の色に応じて色差信号に対するノイズ除去の強度を変更することで解像感の劣化を抑えることが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、所定の色空間を有する第1のカラー画像信号を輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する第2のカラー画像信号に変換する変換部と、前記第1のカラー画像信号または前記第2のカラー画像信号の各画素の色を判別する色判別部と、前記色差信号に対するノイズ除去の強度を前記色判別部で判別した色に応じて変更してノイズ除去を行うノイズ除去部と、を含む、画像処理装置が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、変換部は所定の色空間を有する第1のカラー画像信号を輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する第2のカラー画像信号に変換し、色判別部は前記第1のカラー画像信号または前記第2のカラー画像信号の各画素の色を判別する。そして、ノイズ除去部は色差信号に対するノイズ除去の強度を前記色判別部で判別した色に応じて変更してノイズ除去を行う。その結果、輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する画像信号について、色差信号の色に応じて色差信号に対するノイズ除去を実行することで、解像感の劣化を抑えながらも画像信号のノイズを除去することができる。
【0010】
前記ノイズ除去部は、前記色判別部で判別した色に応じて、前記色差信号および前記色差信号からノイズを除去した信号との混合比率を変化させることでノイズ除去の強度を変更してもよい。
【0011】
前記ノイズ除去部は、前記色判別部で判別した色に応じて、ノイズの除去に用いる前記画像信号の領域の範囲を変化させることでノイズ除去の強度を変更してもよい。
【0012】
前記ノイズ除去部は、前記色判別部で判別した色に応じて、ノイズの除去に用いる閾値を変化させることでノイズ除去の強度を変更してもよい。
【0013】
前記変換部は前記第1のカラー画像信号を、前記輝度信号としてY信号に、前記色差信号としてCr信号及びCb信号に、それぞれ変換してもよい。
【0014】
前記変換部は前記第1のカラー画像信号を、前記輝度信号としてY信号に、前記色差信号としてU信号及びV信号に、それぞれ変換してもよい。
【0015】
前記所定の色空間はRGB色空間であってもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、所定の色空間を有する第1のカラー画像信号を輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する第2のカラー画像信号に変換する変換ステップと、前記第1のカラー画像信号または前記第2のカラー画像信号の各画素の色を判別する色判別ステップと、前記色差信号に対するノイズ除去の強度を前記色判別ステップで判別した色に応じて変更してノイズ除去を行うノイズ除去ステップと、を含む、画像処理方法が提供される。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、所定の色空間を有する第1のカラー画像信号を輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する第2のカラー画像信号に変換する変換ステップと、前記第1のカラー画像信号または前記第2のカラー画像信号の各画素の色を判別する色判別ステップと、前記色差信号に対するノイズ除去の強度を前記色判別ステップで判別した色に応じて変更してノイズ除去を行うノイズ除去ステップと、を実行させる、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する画像信号について、色差信号の色に応じて色差信号に対するノイズ除去の強度を変更することで解像感の劣化を抑えることが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態にかかる撮像装置100の構成について示す説明図である。
【図2】ベイヤー配列について示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120の構成について示す説明図である。
【図4】赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bの構成例について示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる周辺画素参照部126での、対象画素の周囲の周辺画素の参照の一例について示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる撮像装置100によるノイズリダクション処理について示す流れ図である。
【図7】ノイズリダクション処理の前後における、YCCデータの各信号の信号レベルの変化の一例について示す説明図である。
【図8】RAWデータの信号レベルの一例についてグラフで示す説明図である。
【図9】RAWデータをYCCデータに変換した場合の一例についてグラフで示す説明図である。
【図10】水平方向に対するRAWデータの信号レベルの一例についてグラフで示す説明図である。
【図11】図10に示したRAWデータをYCCデータに変換した場合の一例についてグラフで示す説明図である。
【図12】RAWデータから変換後のYCCデータの色差信号に対するノイズリダクション処理を概念的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
また、以下の順序に従って本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.撮像装置の構成]
[1−2.従来のノイズリダクション処理とその問題点]
[1−3.本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部の構成]
[1−4.ノイズリダクション処理]
<2.まとめ>
【0022】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.撮像装置の構成]
まず、本発明の一実施形態にかかる撮像装置の構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100の構成について示す説明図である。以下、図1を用いて本発明の一実施形態にかかる撮像装置100の構成について説明する。
【0023】
撮像装置100は、本発明の画像処理装置の一例である。撮像装置100は、レンズを通して集光した光を、撮像素子によって電気信号に変換してRAWデータを生成し、RAWデータから輝度信号と色差信号からなる画像データに変換して、画像データを記録するものである。図1に示したように、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100は、レンズ部102と、CMOSイメージセンサ104と、ガンマ変換部108と、YCC変換部110と、ノイズリダクション部120と、を含んで構成される。
【0024】
レンズ部102は、被写体からの光を集光するものである。レンズ部102は、焦点距離を変化させるためのズームレンズ及び被写体にピントを合わせるためのフォーカスレンズで構成されていてもよく、フォーカスレンズのみで構成されていても良い。レンズ部102で集光した光は、撮影者のシャッタボタン(図示せず)の押下によって、所定の時間、CMOSイメージセンサ104に照射される。
【0025】
CMOSイメージセンサ104は、レンズ部102が集光した光を、画素ごとに所定の波長の光を通過させるカラーフィルタに通し、光の強度に応じた電気信号に変換するものである。CMOSイメージセンサ104で生成された電気信号は、色情報を有するRAWデータとなる。本実施形態にかかるCMOSイメージセンサ104のカラーフィルタは、図2に示すような、いわゆるベイヤー配列を有するカラーフィルタである。
【0026】
図2は、ベイヤー配列について示す説明図である。図2に示したように、ベイヤー配列は、水平方向2画素×垂直方向2画素を基本ブロックとする画素配列である。ベイヤー配列は、この基本ブロックにおいて2つの緑画素(G)が一方の対角上に配置され、赤画素(R)と青画素(B)とが残りの対角上に配置されており、この基本ブロックが周期的に配置された画素配列である。
【0027】
CMOSイメージセンサ104で、レンズ部102が集光した光を光の強度に応じた電気信号に変換することにより、R、G、Bの色情報を有するRAWデータが生成される。CMOSイメージセンサ104により得られるRAWデータは、ゲイン調整、A/D変換等の処理が施されて、ガンマ変換部108に送られる。CMOSイメージセンサ104によってR、G、Bの色情報を有するRAWデータが生成されることから、CMOSイメージセンサ104は本発明のカラー画像信号入力部の一例である。なお、本発明においては、RAWデータは図2に示したベイヤー配列のようなモザイク状の配列を有するカラー画像信号に限られないことは言うまでも無く、その他の配列を有するものであってもよい。
【0028】
ガンマ変換部108は、CMOSイメージセンサ104で得られるRAWデータに対してガンマ変換処理を行うものである。ガンマ変換部108におけるガンマ変換処理については様々な手法があり、本発明の内容と直接の関係は無いので、ここでは詳細な説明は省略する。ガンマ変換部108でガンマ変換処理が行われたRAWデータはYCC変換部110に送られる。
【0029】
YCC変換部110は、ガンマ変換部108から伝送されるRAWデータからYCC(YCrCb)データに変換するものである。YCC変換部110によって、RAWデータが、輝度信号(Y)と色差信号(Cr/Cb)に変換される。RAWデータからYCCデータへの変換については様々な手法があり、本発明の内容と直接の関係は無いので、ここでは詳細な説明は省略する。YCC変換部110によって得られたYCCデータはノイズリダクション部120に送られる。
【0030】
ノイズリダクション部120は、YCC変換部110によって得られたYCCデータに対してノイズリダクション処理を実行するものである。本実施形態にかかるノイズリダクション部120は、YCCデータの内の色差信号に対してノイズリダクション処理を実行する。輝度信号(Y)はノイズリダクション部120の前後で変わらないが、色差信号(Cr/Cb)は、ノイズリダクション部120に入力されると、ノイズが除去されて(Cr´及びCb´として)出力される。ノイズリダクション部120の内部の構成については後に詳述する。
【0031】
以上、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100の構成について説明した。なお、本実施形態では撮像素子としてCMOSイメージセンサを用いているが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、CMOSイメージセンサの替わりにCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いてもよい。次に、本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120の構成に入る前に、従来のノイズリダクション処理とその問題点について説明する。
【0032】
[1−2.従来のノイズリダクション処理とその問題点]
ここでは、図1に示したような、R、G、B三色のフィルタを有する撮像装置で、例えば緑色の毛糸玉のように緑一色の被写体を撮影した場合を考える。かかる場合において、RAWデータとしては、緑色のG信号は、他の色の信号と比較して大きな振幅を有する信号となる。一方、かかる場合において、赤色のR信号及び青色のB信号は、緑色のG信号と比較して振幅が少なくほぼ一定の値を有する信号となる。図8は、R、G、B三色のフィルタを有する撮像装置で緑一色の被写体を撮影した場合に、ある位置の水平方向に対するRAWデータの信号レベルの一例についてグラフで示す説明図である。
【0033】
図8に示したように、緑色の毛糸玉のように緑一色の被写体を撮影した場合には、RAWデータとしては、緑色のG信号は他の色の信号と比較して大きな振幅を有する信号となる。一方、赤色のR信号及び青色のB信号は、緑色のG信号と比較して振幅が少なくほぼ一定の値を有する信号となる。他の色の信号と比較して大きな振幅を有する緑色のG信号が緑色の解像感、すなわち、緑色の毛糸玉であれば緑色の毛糸であること認識の基になる。
【0034】
この図8に示したような特性を有するRAWデータを、輝度信号(Y)と色差信号(Cr/Cb)に変換すると、輝度信号は緑色のG信号と同様に、他の信号と比較して大きな振幅を有する信号となる。一方、色差信号は赤色のR信号及び青色のB信号と同様に、輝度信号と比較して振幅が少なくほぼ一定の値を有する信号となる。図9は、図8に示したような信号レベルを有するRAWデータをYCCデータに変換した場合の一例についてグラフで示す説明図である。
【0035】
図9に示したように、緑色の毛糸玉のように緑一色の被写体を撮影した場合のYCCデータは、輝度信号は緑色のG信号と同様に、他の信号と比較して大きな振幅を有する信号となる。一方、色差信号は、赤色のR信号及び青色のB信号と同様に、輝度信号と比較して振幅が少なくほぼ一定の値を有する信号となる。つまり、緑色の解像感に影響を与える信号は輝度信号の方に分離され、色差信号には緑色の解像感に影響を与える信号は分離されない。
【0036】
しかし、例えば赤色の毛糸玉のように赤一色の被写体を、R、G、B三色のフィルタを有する撮像装置で撮影した場合には、上述したような緑一色の被写体を撮影した場合とは違った結果となる。かかる場合において、RAWデータとしては、赤色のR信号は他の信号と比較して大きな振幅を有する信号となるが、緑色のG信号及び青色のB信号は、R信号と比較して振幅が少なくほぼ一定の値を有する信号となる。図10は、R、G、B三色のフィルタを有する撮像装置で赤一色の被写体を撮影した場合に、ある位置の水平方向に対するRAWデータの信号レベルの一例についてグラフで示す説明図である。
【0037】
赤色の毛糸玉のような赤一色の被写体は、赤色の光量は多いが、緑色及び青色の光量は少ない。従って、赤色の毛糸玉のように赤一色の被写体を撮影した場合には、図10に示したように、RAWデータとしては、赤色のR信号は他の信号と比較して大きな振幅を有する信号となるが、緑色のG信号及び青色のB信号は、R信号と比較して振幅が少なく、ほぼ一定の値を有する信号となる。他の信号と比較して大きな振幅を有する赤色のR信号が赤色の解像感、すなわち、赤色の毛糸玉であれば赤色の毛糸であるとの認識の基になる。
【0038】
この図10に示したような特性を有するRAWデータを、輝度信号(Y)と色差信号(Cr/Cb)に変換すると、輝度信号はCbデータと比較して大きな振幅を有する信号となる。色差信号は、Crデータは赤色のR信号と同様に、Cbデータと比較して振幅を有する信号となるが、Cbデータは青色のB信号と同様に、他の信号と比較して振幅が少なくほぼ一定の値を有する信号となる。図11は、図10に示したような信号レベルを有するRAWデータをYCCデータに変換した場合の一例についてグラフで示す説明図である。図11に示したように、赤一色の被写体を撮影した場合のYCCデータは、緑一色の被写体を撮影した場合と異なり、赤色の解像感に影響を与える信号は輝度信号の方には分離されず、色差信号の方に分離されることになる。これは赤一色の被写体を撮影した場合だけではなく、青一色の被写体を撮影した場合にも起こりうる現象である。
【0039】
そのため、YCCデータの色差信号に対して単に色ノイズを除去するノイズリダクション処理を行うと、被写体の色によってはその色の解像感が失われてしまう場合がある。図12は、RAWデータから変換後のYCCデータの色差信号に対するノイズリダクション処理を概念的に示す説明図である。図12(a)は、一般的な被写体を撮影した場合におけるYCCデータに対するノイズリダクション処理について示したものである。また図12(b)は、赤い毛糸玉のような赤一色の被写体を撮影した場合におけるYCCデータに対するノイズリダクション処理について示したものである。
【0040】
図12(a)に示したように、一般的な被写体を撮影した場合には、色差信号に対するノイズリダクション処理を実行すると、輝度信号の振幅を保ったまま色差信号のノイズを除去することができる。従って一般的な被写体を撮影した場合には、色差信号に対するノイズリダクション処理を実行することで解像感を保持したまま色ノイズを除去することができる。
【0041】
しかし、図12(b)に示したように、赤い毛糸玉のような赤一色の被写体を撮影した場合には、一般的な被写体を撮影した場合と同じようにノイズリダクション処理を実行してしまうと、色差信号の振幅が無くなり、小さな振幅を有する輝度信号はそのまま残る。従って、赤色の解像感に影響を与える色差信号の振幅が無くなってしまうことで、色ノイズは除去できるが、赤色の解像感は劣化してしまう。
【0042】
そこで、本実施形態におけるノイズリダクション部120によるノイズリダクション処理は、画素の色に応じてノイズリダクションの強度を変化させることを特徴とする。画素の色に応じてノイズリダクションの強度を変化させることで、その色の解像感の劣化を抑えながらも色ノイズを除去することを特徴とする。続いて、本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120の構成について説明する。
【0043】
[1−3.本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部の構成]
図3は、本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120の構成について示す説明図である。以下、図3を用いて本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120の構成について説明する。
【0044】
図3に示したように、本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120は、色判別部122と、赤ノイズリダクション部124aと、青ノイズリダクション部124bと、を含んで構成される。
【0045】
色判別部122は、YCCデータの輝度信号及び色差信号から各画素の色を判別するものである。色判別部122における各画素の色判別の結果は、赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bに送られる。
【0046】
色判別部122による色判別処理には様々な手法を用いることが可能である。例えば、色判別部122は、YCCデータの輝度信号及び色差信号の信号レベルから、各画素の色を判別してもよい。
【0047】
赤ノイズリダクション部124aは、YCCデータの色差信号の内、Cr信号に対するノイズリダクション処理を実行するものである。赤ノイズリダクション部124aによるノイズリダクション処理が行われると、赤ノイズリダクション部124aからはノイズが除去されたCr´信号が出力される。赤ノイズリダクション部124aは、色判別部122における色判別結果に応じてCr信号に対するノイズリダクションの強度を変化させる。
【0048】
青ノイズリダクション部124bは、YCCデータの色差信号の内、Cb信号に対するノイズリダクション処理を実行するものである。青ノイズリダクション部124bによるノイズリダクション処理が行われると、青ノイズリダクション部124bからはノイズが除去されたCb´信号が出力される。青ノイズリダクション部124bは、赤ノイズリダクション部124aと同様に色判別部122における色判別結果に応じてCb信号に対するノイズリダクションの強度を変化させる。
【0049】
赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bは、色判別部122における色判別結果に応じてそれぞれCr信号及びCb信号に対するノイズリダクションの強度を変化させている。赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bにおけるノイズリダクションの強度は様々な手法で変化させることができる。以下の説明においては、ノイズリダクションの前後の信号の混合比率を変化させることでノイズリダクションの強度を変化させる例を示す。
【0050】
赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bにおけるノイズリダクション処理については種々の手法を用いることが出来る。本実施形態では、ノイズリダクション処理の一例としてノイズを除去したい画素の周辺の画素の色を識別することによってノイズを除去するノイズリダクション処理を適用する。図4は、赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bの構成例について示す説明図である。図4には、赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bに関係する構成についても併せて図示している。以下、図4を用いて赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bの構成例について説明する。
【0051】
図4に示したように、赤ノイズリダクション部124aは、平均部128aと、混合部129aと、を含んで構成される。同様に、青ノイズリダクション部124bは、平均部128bと、混合部129bと、を含んで構成される。また、図4に示したように、ノイズリダクション部120は、さらに周辺画素参照部126を含んで構成される。
【0052】
周辺画素参照部126は、ノイズを除去したい画素(以下、ノイズを除去したい画素のことを「対象画素」とも称する)の周囲の所定範囲の画素(以下、対象画素の周囲の所定範囲の画素のことを「周辺画素」とも称する)を参照するものである。そして、周辺画素参照部126は、参照した周辺画素の色情報を取得するものである。周辺画素参照部126で対象画素の周囲の周辺画素の色情報を取得すると、周辺画素参照部126は、取得した周辺画素の色情報を赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bに送る。
【0053】
周辺画素参照部126には、YCC変換部110によって変換されたYCCデータが入力される。周辺画素参照部126は、YCC変換部110によって変換されたYCCデータを用いて、対象画素の周辺画素の色情報を取得する。周辺画素参照部126において周辺画素の色情報を取得することで、対象画素と色が近似する画素の位置や数を取得することができる。なお、周辺画素のある画素が対象画素と色が近似する画素であるかどうかは、例えば2つの画素のYCCデータの信号レベルを比較することで判別してもよい。具体的には、例えば、対象画素のYCCデータの信号レベルと当該画素のYCCデータの信号レベルとの差が所定の範囲内に収まっているかどうかによって判別してもよい。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態にかかる周辺画素参照部126での、対象画素の周囲の周辺画素の参照の一例について示す説明図である。図5では、対象画素A1を中心に、上下左右それぞれ5画素を周辺画素として参照する例について示している。もちろん、周辺画素参照部126が参照する周辺画素の範囲は図5に示した例に限られないことは言うまでも無い。
【0055】
周辺画素参照部126で周辺画素の色情報を参照することで、対象画素A1の周囲の色の状況を把握することができる。また、周辺画素参照部126で周辺画素の色情報を参照することでエッジの位置や方向を識別することができる。
【0056】
平均部128aは、周辺画素参照部126における周辺画素の色情報と、YCC変換部110によって変換されたYCCデータに含まれているCr信号とが入力され、各Cr信号の対象画素とCr信号の周辺画素の平均値を演算して出力するものである。平均部128aは、対象画素と色が近似する周辺画素の画素レベルを加算し、加算された画素レベルの合計を加算数で除算することで色の平均値を演算してもよい。平均部128aにおいてCr信号に対して色の平均値を演算することで、Cr信号に対するノイズが除去される。平均部128aが出力するノイズが除去された信号を、ここではCr´´信号とする。
【0057】
平均部128bは、周辺画素参照部126における周辺画素の色情報と、YCC変換部110によって変換されたYCCデータに含まれているCb信号とが入力され、各Cb信号の対象画素とCb信号の周辺画素の平均値を演算して出力するものである。平均部128bは、平均部128aと同様に、対象画素と色が近似する周辺画素の画素レベルを加算し、加算された画素レベルの合計を加算数で除算することで色の平均値を演算してもよい。平均部128bにおいてCb信号に対して色の平均値を演算することで、Cb信号に対するノイズが除去される。平均部128bが出力するノイズが除去された信号を、ここではCb´´信号とする。
【0058】
混合部129aは、YCC変換部110によって変換されたYCCデータに含まれているCr信号と、平均部128aが出力するCr´´信号とが入力され、画素単位で、所定の比率で混合して出力するものである。混合部129aが出力する信号を、ここではCr´信号とする。同様に、混合部129bは、YCC変換部110によって変換されたYCCデータに含まれているCb信号と、平均部128bが出力するCb´´信号とが入力され、画素単位で、所定の混合比率で混合して出力するものである。混合部129bが出力する信号を、ここではCb´信号とする。
【0059】
混合部129a、129bにおける所定の混合比率は、色判別部122における対象画素の色判別の結果に応じて変更される。例えば、色判別部122で対象画素の色判別を実行した結果、対象画素の色が赤色であったとする。この場合には、混合部129aは、Cr信号とCr´´信号とを所定の比率で混合する。所定の比率は、例えば1:1であってもよい。混合部129aは、ノイズが除去されていないCr信号と、ノイズが除去されたCr´´信号とを所定の割合で混合すると、混合した結果得られるCr´信号を出力する。一方、混合部129bはCb´´信号をそのままCb´信号として出力する。すなわち、色判別部122で対象画素の色判別を実行した結果、対象画素の色が赤色であった場合には、Cr信号に対するノイズ除去の強度を弱めてCr´信号を出力する。Cr信号に対するノイズ除去の強度は、Cr´´信号の比率を増やす方向に混合することで強まっていき、Cr信号の比率を増やす方向に混合することで弱まっていく。一方、Cb信号に対してはそのままの強度でノイズを除去してCb´信号を出力する。なお、対象画素の色が赤色であった場合には、混合部129bはCb´´信号をそのままCb´信号として出力してもよく、Cb信号とCb´´信号とを混合して出力してもよい。ここで、Cb信号とCb´´信号とを混合する場合には、Cb´´信号の比率が多くなるように(たとえば3:7の比率で)混合してもよい。
【0060】
なお、色判別部122で対象画素の色判別を実行した結果、対象画素の色が青色であった場合には、Cb信号に対するノイズ除去の強度を弱めてCb´信号を出力してもよい。Cb信号に対するノイズ除去の強度は、Cb´´信号の比率を増やす方向に混合することで強まっていき、Cb信号の比率を増やす方向に混合することで弱まっていく。一方、Cr信号に対してはそのままの強度でノイズを除去してCr´信号を出力してもよい。また、混合部129a、129bは、Cr信号やCb信号の信号レベルに応じて、2つの信号の混合比率を変化させてもよい。
【0061】
このように、色判別部122で対象画素の色を判別し、判別結果によってノイズ除去の強度を変化させることで、解像感の劣化を抑えながらもノイズの除去を行うことができる。なお、本実施形態にかかるノイズリダクション部120におけるノイズリダクション処理の結果、解像感の劣化を抑えながらもノイズの除去が行われている様子については後述する。
【0062】
以上、図4及び図5を用いて、本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100によるノイズリダクション処理について説明する。
【0063】
[1−4.ノイズリダクション処理]
図6は、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100によるノイズリダクション処理について示す流れ図である。以下、図6を用いて本発明の一実施形態にかかる撮像装置100によるノイズリダクション処理について説明する。
【0064】
撮影者の撮影操作によって撮像装置100で撮像処理が行われると、レンズ部102を通してCMOSイメージセンサ104に被写体からの光が照射される。CMOSイメージセンサ104で光電変換が行われ、図2に示したようなベイヤー配列を有するカラーフィルタを有する、CMOSイメージセンサ104で光電変換が行われることで、R、G、Bの色情報を有するRAWデータが生成される。
【0065】
生成されたRAWデータは、ガンマ変換部108でガンマ変換処理が施された後に、YCC変換部110で、RAWデータから輝度信号(Y)と色差信号(Cr/Cb)とからなるYCCデータに変換する(ステップS102)。
【0066】
YCC変換部110でRAWデータをYCCデータに変換すると、YCC変換部110は変換したYCCデータをノイズリダクション部120に送る。ノイズリダクション部120は、YCC変換部110からYCCデータを受け取り、受け取ったYCCデータに対するノイズリダクション処理を実行する。
【0067】
ノイズリダクション部120は、色判別部122において、ノイズリダクション部120に入力されたYCCデータを用いて、各画素の色を判別する(ステップS104)。色判別部122における色判別の結果は、それぞれ赤ノイズリダクション部124a及び青ノイズリダクション部124bに送られる。
【0068】
図6では、赤色を表示する画素に対するノイズリダクション処理を実行する場合について示している。そこで、色判別部122において、ノイズリダクション処理の対象となる画素(対象画素)が赤色を表示する画素かどうかを判別する(ステップS106)。対象画素が赤色を表示する画素であるかどうかは、例えば、Y信号、Cr信号、Cb信号の信号レベルが所定の範囲内にあるかどうかで判別してもよい。
【0069】
上記ステップS106における判別の結果、ノイズリダクション処理の対象となる画素が赤色を表示する画素であると判断した場合には、色判別部122は混合部129aにCr信号とCr´´信号との混合比率を変化させるよう指示する。すなわち、色判別部122は赤ノイズリダクション部124aに対して、ノイズリダクションの強度を弱めるよう指示する(ステップS108)。色判別部122からの指示を受けた混合部129aは、指示に応じてCr信号とCr´´信号との混合比率を、Cr信号の比率が増える方向に変化させる。色判別部122からの指示に応じてCr信号とCr´´信号との混合比率を、Cr信号の比率が増える方向に変化させることで、ノイズ除去の強度を弱めることができる。
【0070】
また、上記ステップS106における判別の結果、ノイズリダクション処理の対象となる画素が赤色を表示する画素であると判断した場合には、色判別部122は混合部129bに対してはCb´´信号をそのまま出力するよう指示する。Cb信号に対しては、平均部128bでノイズが除去された信号(Cb´´信号)をそのまま出力しても赤色の解像感には影響を与えないからである。
【0071】
一方、上記ステップS106における判別の結果、ノイズリダクション処理の対象となる画素が赤色を表示する画素ではないと判断した場合には、色判別部122は混合部129a、129bに対してCr´´信号、Cb´´信号を出力するよう指示する。すなわち、色判別部は混合部129a、129bに対して、平均部128a、128bでノイズが除去された信号(Cr´´信号、Cb´´信号)をそのままCr´信号、Cb´信号として出力するよう指示する。つまり、色判別部122は赤ノイズリダクション部124a、青ノイズリダクション部124bに対して、通常の強度でノイズリダクションを実行するよう指示する(ステップS110)。
【0072】
このように、ノイズリダクション処理の対象となる画素が赤色を表示する画素であるかどうかによって、赤ノイズリダクション部124aにおけるノイズリダクションの強度を変化させる。画素の表示色に応じて赤ノイズリダクション部124aにおけるノイズリダクションの強度を変化させることで、赤色の解像感を損なうことなくノイズを取り除くことができる。なお、上記ステップS110では、平均部128a、128bでノイズが除去された信号(Cr´´信号、Cb´´信号)をそのままCr´信号、Cb´信号として出力していたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、Cr´´信号やCb´´信号の比率が多くなるようにCr信号とCr´´信号とを混合部129aで、Cb信号とCb´´信号とを混合部129bで、それぞれ混合してもよい。
【0073】
図7は、本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120によるノイズリダクション処理の前後における、YCCデータの各信号の信号レベルの変化の一例について示す説明図である。図7は、図12の(b)に示した場合と同じく、赤い毛糸玉のような赤一色の被写体を撮影した場合における、ノイズリダクション部120によるノイズリダクション処理について示したものである。
【0074】
図7に示したように、本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120によるノイズリダクション処理を実行することで、Cb信号は図12の(b)に示した場合と同様にノイズが除去されて、どの横座標においてもフラットな信号レベルを有している。一方、Cr信号については図12の(b)とは異なり、ノイズは除去されず、信号レベルは座標によって異なる値を示している。このようにCr信号の信号レベルの波形を保つことで、赤色の解像感は損なわれない。従って、本発明の一実施形態にかかるノイズリダクション部120によるノイズリダクション処理を実行することで、画像の解像感を高めながらも、赤色の解像感は損なわれない画像を得ることができる。
【0075】
以上、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100によるノイズリダクション処理について説明した。なお、上記の説明では、赤い毛糸玉のような赤一色の被写体を撮像した場合のノイズリダクション処理について説明したが、青い毛糸玉のような青一色の被写体を撮像した場合にも同様に撮像装置100によるノイズリダクション処理を適用することができる。
【0076】
<2.まとめ>
以上説明したように本発明によれば、YCC変換部110でRAWデータからYCCデータに変換し、YCCデータをノイズリダクション部120に送って、YCCデータに対するノイズリダクション処理を実行する。ノイズリダクション処理の実行の際には、色判別部122がYCCデータを用いて各画素の色を判別する。そして、色判別部122の色判別の結果、対象画素が赤色を表示する画素であった場合には、赤ノイズリダクション部124aにおいて、ノイズリダクションの強度を弱めてCr信号を出力する。その結果、本発明の一実施形態にかかる撮像装置100を用いたノイズリダクション処理によれば、従来のノイズリダクション処理において失われていた赤色の解像感を損なわずに、画質の解像感を高めることができる。本発明の一実施形態にかかる撮像装置100を用いたノイズリダクション処理は、CMOSイメージセンサ104のRフィルタの分光の赤、Bフィルタの分光の青に関して特に顕著な効果をもたらす。
【0077】
なお、本実施形態においては、CMOSイメージセンサ104のカラーフィルタはR、G、Bの三色からなるカラーフィルタを用いていたが、本発明においては、イメージセンサのカラーフィルタはかかる例に限られない。R、G、Bの三色からなるカラーフィルタではないカラーフィルタを用いる場合には、当該フィルタの色に応じてノイズリダクション処理を弱めることで、解像感を損なわずに画質の解像感を高めることができる。
【0078】
なお、上述した本発明の一実施形態にかかる撮像装置100を用いたノイズリダクション処理は、ハードウェアによって実行されるようにしてもよく、ソフトウェアによって実行されるようにしてもよい。ノイズリダクション処理をソフトウェアによって実行されるようにする場合には、例えばプログラムが格納された記録媒体を撮像装置100に内蔵してもよい。そして、かかるプログラムを、撮像装置100に内蔵したCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)その他の制御装置が読み出して順次実行するようにしてもよい。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0080】
例えば、上記実施形態では、撮像装置100の内部にノイズリダクション部120を設け、撮像装置100で撮像した画像データに対するノイズリダクション処理を撮像装置100の内部で行うものとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、撮像装置の撮像処理によって得られるRAWデータを、パーソナルコンピュータその他の情報処理装置に設けるカラー画像信号入力部に、RAWデータが保存された記録媒体を介して、またはネットワークを介して入力する。そして、RAWデータを入力した情報処理装置の内部に、上記実施形態で説明したYCC変換部110及びノイズリダクション部120を備え、当該情報処理装置においてノイズリダクション処理を実行してもよい。
【0081】
また、例えば、上記実施形態では、YCCデータが色判別部122に入力され、色判別部122での色判別の結果、対象画素が赤色(または青色)を表示する画素であった場合には、赤ノイズリダクション部124a(または青ノイズリダクション部124b)に対して、ノイズ除去の強度を弱めるように指示していたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、色判別部122での色判別の結果、対象画素が赤色を表示する画素であった場合には、色判別部122は青ノイズリダクション部124bに対してノイズ除去の強度を強めるように指示してもよい。すなわち、色判別部122は、赤ノイズリダクション部124aでのノイズ除去の強度が相対的に弱くなるように青ノイズリダクション部124bに対して指示を送出してもよい。
【0082】
また、例えば、上記実施形態では、周辺画素参照部126は対象画素A1を中心に、上下左右それぞれ5画素を周辺画素として参照していたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、色判別部122での色判別結果に応じて、周辺画素として参照する範囲を変化させてもよい。色判別部122での色判別の結果、対象画素が赤色(または青色)を表示する画素であった場合には、周辺画素として参照する範囲を狭めることでノイズ除去の強度を弱めてもよい。
【0083】
また、例えば、上記実施形態では、周辺画素参照部126は対象画素A1の周辺の画素を参照し、平均部128a、128bにおいて対象画素A1と色が近似する画素の平均値を算出していた。ここで、本発明においては、色判別部122での色判別結果に応じて、平均部128a、128bにおいて対象画素A1と色が近似していると判別するための閾値を変化させてもよい。色判別部122での色判別の結果、対象画素が赤色(または青色)を表示する画素であった場合には、対象画素A1と色が近似していると判別するための閾値を変化させ、より色が近い画素のみを演算対象とするようにしてもよい。
【0084】
また、例えば、上記実施形態ではRGB色空間を有するRAWデータから、YCrCb色空間を有するYCCデータに変換し、YCCデータに対してノイズリダクション処理を実行していたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、YCbCr以外の、YUV、Labその他の色空間を有するカラー画像信号に対して、対象画素の色を判別し、判別結果に応じて所定の色を弱めるようなノイズリダクション処理を実行しても良い。
【0085】
また、例えば、上記実施形態ではYCCデータが色判別部122に入力され、YCCデータを用いて各画素に対する色判別処理を実行していたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、各画素に対する色判別処理はRAWデータを用いて実行してもよい。RAWデータを用いて色判別を行い、RAWデータから輝度及び色差信号からなるカラー画像信号(例えばYUVの色空間を有するカラー画像信号)に変換し、当該カラー画像信号における各画素の色として、RAWデータを用いた色判別の結果を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラムに適用可能であり、特にカラー画像信号に含まれるノイズを除去する画像処理装置、画像処理方法及びコンピュータプログラムに適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
100 撮像装置
102 レンズ部
104 CMOSイメージセンサ
108 ガンマ変換部
110 YCC変換部
120 ノイズリダクション部
122 色判別部
124a 赤ノイズリダクション部
124b 青ノイズリダクション部
126 周辺画素参照部
128a、128b 平均部
129a、129b 混合部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の色空間を有する第1のカラー画像信号を輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する第2のカラー画像信号に変換する変換部と、
前記第1のカラー画像信号または前記第2のカラー画像信号の各画素の色を判別する色判別部と、
前記色差信号に対するノイズ除去の強度を前記色判別部で判別した色に応じて変更してノイズ除去を行うノイズ除去部と、
を含む、画像処理装置。
【請求項2】
前記ノイズ除去部は、前記色判別部で判別した色に応じて、前記色差信号および前記色差信号からノイズを除去した信号との混合比率を変化させることでノイズ除去の強度を変更する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ノイズ除去部は、前記色判別部で判別した色に応じて、ノイズの除去に用いる前記画像信号の領域の範囲を変化させることでノイズ除去の強度を変更する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ノイズ除去部は、前記色判別部で判別した色に応じて、ノイズの除去に用いる閾値を変化させることでノイズ除去の強度を変更する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記変換部は前記第1のカラー画像信号を、前記輝度信号としてY信号に、前記色差信号としてCr信号及びCb信号に、それぞれ変換する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記変換部は前記第1のカラー画像信号を、前記輝度信号としてY信号に、前記色差信号としてU信号及びV信号に、それぞれ変換する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記所定の色空間はRGB色空間である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
所定の色空間を有する第1のカラー画像信号を輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する第2のカラー画像信号に変換する変換ステップと、
前記第1のカラー画像信号または前記第2のカラー画像信号の各画素の色を判別する色判別ステップと、
前記色差信号に対するノイズ除去の強度を前記色判別ステップで判別した色に応じて変更してノイズ除去を行うノイズ除去ステップと、
を含む、画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
所定の色空間を有する第1のカラー画像信号を輝度信号及び色差信号からなる色空間を有する第2のカラー画像信号に変換する変換ステップと、
前記第1のカラー画像信号または前記第2のカラー画像信号の各画素の色を判別する色判別ステップと、
前記色差信号に対するノイズ除去の強度を前記色判別ステップで判別した色に応じて変更してノイズ除去を行うノイズ除去ステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−213086(P2010−213086A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58251(P2009−58251)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】