説明

画像処理装置、画像処理方法

【課題】 撮像断層画像中の撮像不明瞭領域を、3次元ボリュームデータに基づいて補完する為の技術を提供すること。
【解決手段】 画像生成部130は、超音波プローブ195の位置姿勢情報に基づいて、3次元ボリュームデータから超音波プローブ195が撮像した被検体の断層画像に対応する断層面の像を取得する。画像合成部140は、断層面の像と断層画像とを合成した合成画像を生成し、出力する。係る合成では、断層画像において撮像不明瞭領域としての領域を特定し、撮像不明瞭領域内の画像を、断層面の像において撮像不明瞭領域に対応する領域内の画像で置き換えることで、断層画像と前記断層面の像とを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像診断装置、磁気共鳴映像装置(MRI)、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)、光干渉断層計(OCT)等の医用画像収集装置(モダリティ)で撮像した画像を処理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、医師は被検体を撮像した医用画像をモニタに表示し、表示された医用画像を読影して病変部の状態や経時変化を観察する。これらの医用画像の多くに被検体内部の断層画像が用いられている。断層画像を撮像する医用画像収集装置(モダリティ)としては、超音波画像診断装置、磁気共鳴映像装置(MRI)、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)、光干渉断層計(OCT;Optical Coherence Tomography)等がある。
【0003】
これらのモダリティで撮像した個々の断層画像(撮像断層画像)を観察するだけでは、撮像断層画像に撮像不明瞭領域が存在する場合には、その領域の状態を把握することは困難である。
【0004】
ここで、図17を用いて、撮像不明瞭領域を説明する。撮像不明瞭領域とは、撮像断層画像の撮像領域内において、通常よりも輝度が低くまたは高くて不明瞭となっている領域である。例えば、撮像断層画像を撮像する医用画像収集装置として超音波画像診断装置を用いる場合には、シャドー領域や後方エコー領域などが、撮像不明瞭領域に相当する。ここでシャドー領域とは、撮像部としての超音波プローブが被検体表面に適切に接触しておらず、撮像断層画像に被検体内部の様子が描出されていない領域のことである。なお、超音波プローブが被検体表面に全く接触していない場合には、撮像断層画像の撮像領域全体がシャドー領域となる。また、後方エコー領域とは、撮像断層画像の撮像領域内において、被検体内部に存在する腫瘤等の影響によって、通常よりも輝度が低くまたは高くなり不明瞭となっている領域のことである。なお、以下の説明では、撮像断層画像の撮像領域の外側は、撮像不明瞭領域には含めないものとする。
【0005】
非特許文献1には、あるモダリティで撮像した断層画像と同じ断面の画像を、他のモダリティで取得した3次元形状ボリュームデータに基づいて生成し、両者を重ねて表示する手法が開示されている。この手法によれば、撮像断層画像に撮像不明瞭領域が存在する場合であっても、他のモダリティで取得した3次元形状ボリュームデータに基づいて生成した断層画像(生成断層画像)に対応する領域が描出されていれば、撮像不明瞭領域の状態は把握可能である。また、特許文献1には、撮像断層画像と生成断層画像を並べて表示する手法が開示されている。この手法によっても、非特許文献1の手法と同様の効果が得られる。
【0006】
また、上記のモダリティで撮影された個々の断層画像を観察するだけでは、病変部の3次元的な形状や拡がりを把握することは困難である。そこで、断層画像群から3次元形状データを復元する試みがなされている。3次元形状データが復元されれば、それに基づく解析や表示を行うことにより、病変部の3次元的な形状や拡がりを容易に把握することができる。
【0007】
MRI、X線CT、OCTなどの医用画像収集装置では、断層画像群が等間隔で撮影されるため、断層画像を単純に積み重ねることによって3次元形状データを容易に復元することができる。一方、超音波画像診断装置では、通常、医師や技師が超音波探触子(プローブ)を手に持って自由に動かしながら撮影を行うため、撮影した断層画像が人体を基準とした空間中のどの位置を撮影したものなのかが明らかではない。そこで、外部センサを用いて超音波探触子の位置姿勢を計測し、断層画像間の位置関係を求めて3次元形状データを復元する試みがなされている(非特許文献2)。また、外部センサを用いずに、断層画像中の画像特徴同士の相関に基づいて断層画像間の位置関係を推定し、3次元形状データを復元する試みもなされている(非特許文献3)。
【0008】
ここで、断層画像群の撮影はプローブを被検体に押し当てて行われるため、プローブによる圧力で被検体が変形し、復元した3次元形状データに歪みが発生することが問題となる。
【0009】
そこで、被検体の変形の無い形状を別途取得し、それに基づいて変形を補正する試みがなされている。例えば、非特許文献4に開示されている手法では、X線CTを用いて被検体の変形の無い3次元形状データを事前に取得し、それに基づいて超音波のシミュレーション画像を生成している。そして、実際に超音波画像診断装置で撮影した断層画像とシミュレーション画像とを画像情報に基づいて対応付けることにより、変形の補正を可能としている。
【0010】
また、プローブ圧力による被検体の変形量を推定して補正する試みもなされている。例えば、非特許文献5には、断層画像中の画像特徴と位置姿勢センサの計測値に基づいてプローブ圧力による変形量を推定し、補正する手法が開示されている。この手法では、プローブ圧力のかかる方向のみに変形が発生すると仮定している。そして、隣接する撮像時刻における断層画像の水平ライン同士の相関を取ることで、各断層画像の体表面からの深さに応じた変形量を推定し、補正している。その際に、撮影開始時と撮影終了時における、変形量の推定値と位置姿勢センサの計測値との整合が取れるように、各断層画像の変形量の推定値を調整して補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特登録03871747号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】W. Wein, A. Khamene, D-A. Clevert, O. Kutter, and N. Navab, “Simulation and fully automatic multimodal registration of medical ultrasound,” Proc. MICCAI'07, vol.1, pp.136-143, 2007.
【非特許文献2】A. Fenster, "3-Dimensional Ultrasound Imaging," Imaging Economics, 2004.
【非特許文献3】T.A. Tuthill, J.F. Krucker, J.B. Fowlkes, and P.L. Carson, "Automated three-dimensional US frame positioning computed from elevational speckle decorrelation," Radiology, vol.209, pp.575-582, 1998.
【非特許文献4】W. Wein, B. Roper, and N. Navab, "Automatic registration and fusion of ultrasound with CT for radiotherapy," Proc. MICCAI 2005, vol.2, pp.303-311, 2005.
【非特許文献5】G.M. Treece, R.W. Prager, A.H. Gee, and L. Berman, "Correction of probe pressure artifacts in freehand 3D ultrasound," Medical Image Analysis, vol.6, no.3, pp.199-214, 2002.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、非特許文献1の手法では、撮像断層画像中の明瞭に撮像されている領域(撮像明瞭領域)と撮像不明瞭領域とが明示的には区別されていなかった。そのため、撮像明瞭領域も生成断層画像によって覆い隠されてしまい、撮像明瞭領域の観察が妨げられていた。したがって、撮像明瞭領域に例えば生検用の針が写っていたとしても、それが見えにくくなっていた。
【0014】
また、特許文献1の手法では、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域は、生成断層画像中の対応する領域を観察して医師が頭の中で補完するしかなかった。その際に、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域が生成断層画像中でどの領域に対応するかを正確に判断することができず、撮像不明瞭領域の状態を把握することは依然として困難だった。
【0015】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域を、3次元ボリュームデータに基づいて補完する為の技術を提供することを目的とする。
【0016】
更に、非特許文献4の手法では、プローブの圧力による変形の無い被検体の基準形状を得るために、X線CT等の医用画像収集装置が別途必要であった。つまり、超音波画像診断装置で撮影した断層画像群のみからは歪みの無い3次元形状を復元することはできなかった。
【0017】
また、非特許文献5の手法では、位置姿勢センサによる計測値は変形後の体表の位置姿勢であるため、プローブの圧力による変形の正解値は分からなかった。そのため、変形を正確に補正することができず、変形の無い被検体の基準形状を得ることはできなかった。
【0018】
本発明の別の目的は、断層画像群から歪みの小さな3次元形状データを復元する為の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像処理装置は、以下の構成を備える。
【0020】
即ち、撮像部が撮像した被検体の断層画像を取得する手段と、
前記撮像部の位置姿勢情報を取得する手段と、
前記被検体の3次元ボリュームデータを取得する手段と、
前記位置姿勢情報に基づいて、前記3次元ボリュームデータから前記断層画像に対応する断層面の像を取得する手段と、
前記断層面の像と前記断層画像とを合成した合成画像を生成する生成手段と、
前記合成画像を出力する出力手段とを備え、
前記生成手段は、
前記断層画像において撮像不明瞭領域としての領域を特定し、
前記撮像不明瞭領域内の画像を、前記断層面の像において前記撮像不明瞭領域に対応する領域内の画像で置き換えることで、前記断層画像と前記断層面の像とを合成する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の構成によれば、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域を、3次元ボリュームデータに基づいて補完することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図2】コンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態のステップS3010における処理を示すフローチャートである。
【図5】撮像領域の一例を示す図である。
【図6】第1の実施形態のステップS3030における処理を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態のステップS3010における処理のフローチャートである。
【図8】第2の実施形態のステップS3030における処理のフローチャートである。
【図9】第3の実施形態のステップS3010における処理のフローチャートである。
【図10】第4の実施形態のステップS3010における処理のフローチャートである。
【図11】第4の実施形態のステップS3030における処理のフローチャートである。
【図12】第5の実施形態のステップS3010における処理のフローチャートである。
【図13】後方エコー領域を基準とする中央領域、左側領域、右側領域、を示す図である。
【図14】第5の実施形態のステップS3030における処理のフローチャートである。
【図15】第6の実施形態のステップS3020における処理のフローチャートである。
【図16】第6の実施形態のステップS3030における処理のフローチャートである。
【図17】撮像不明瞭領域を説明するための図である。
【図18】第8の実施形態に係る画像処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図19】第8の実施形態に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図20】第8の実施形態のステップS53010における処理のフローチャートである。
【図21】第8の実施形態のステップS53030における処理のフローチャートである。
【図22】第8の実施形態のステップS53040における処理のフローチャートである。
【図23】第9の実施形態に係る画像処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図24】被検体と超音波プローブ5195とが接触している状態を示す図である。
【図25】第9の実施形態のステップS53040における処理を示すフローチャートである。
【図26】第10の実施形態に係る画像処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図27】その他の実施形態における変形例3における接触判定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0024】
[第1の実施形態]
本実施形態に係る画像処理装置は、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域を検出し、検出した撮像不明瞭領域を、3次元ボリュームデータに基づいて補完する。なお、本実施形態では、シャドー領域を撮像不明瞭領域として取り扱い、3次元ボリュームデータを3次元画像データとして取り扱う場合について説明する。以下、本実施形態について説明する。
【0025】
先ず、図1を用いて、本実施形態に係る画像処理装置の構成と、その周辺機器について説明する。図1に示す如く、本実施形態に係る画像処理装置100は、データ入力部110、領域検出部120、画像生成部130、画像合成部140によって構成されている。更に、画像処理装置100には、断層画像を撮像する医用画像収集装置としての超音波画像診断装置190が接続されていると共に、被検体の3次元ボリュームデータを保持するデータサーバ200も接続されている。
【0026】
超音波画像診断装置190は、被検体の断層画像を実時間で撮像する。超音波画像診断装置190によって得られた断層画像(撮像断層画像)は、データ入力部110を介して画像処理装置100に入力される。
【0027】
通常、医師や技師は、超音波画像診断装置190の撮像部(不図示)としての超音波プローブを手に持って、これを自由に動かしながら被検体の撮像を行う。しかしながら、撮像した断層画像が被検体を基準とした空間中のどの位置を撮像したものなのかが明らかではないので、不図示の位置姿勢センサを撮像部に装着して、撮像部の位置姿勢を計測する。位置姿勢センサは、例えば、米国Polhemus社のFASTRAK等によって構成される。なお、位置姿勢センサは、撮像部の位置姿勢が計測できるのであれば、どのように構成されていてもよい。そして、如何なる取得方法を適用にするにせよ、撮像部の位置姿勢を示す位置姿勢情報は、データ入力部110を介して画像処理装置100に入力される。ここで、撮像部の位置姿勢は、例えば、基準座標系(被検体を基準とした空間上の1点を原点として定義し、この原点で互いに直交する3軸を夫々X軸、Y軸、Z軸として定義した座標系)における位置姿勢で表されている。なお、撮像部の位置姿勢は、不図示のキーボードやマウスなどを用いて操作者が入力してもよい。
【0028】
データサーバ200は、撮像断層画像と同一の被検体の3次元ボリュームデータを保持している。この3次元ボリュームデータは、例えば、超音波画像診断装置190によって被検体を事前に撮像して得られた断層画像群から予め復元したものである。例えば、上記非特許文献2に開示されている手法によれば、位置姿勢センサを用いて撮像部の位置姿勢を計測し、断層画像間の位置関係を求めて、3次元ボリュームデータを復元することができる。
【0029】
なお、この3次元ボリュームデータは、前述の基準座標系において表現されているものとする。被検体の3次元ボリュームデータは、データ入力部110を介して画像処理装置100に入力される。
【0030】
ここで、ある方向から被検体を撮像した断層画像における撮像不明瞭領域(ここでは後方エコー領域も含む)が、別の方向から撮像した断層画像では撮像明瞭領域となっている場合がある。そのような場合には、被検体を複数方向から撮像した断層画像群を用いれば、撮像不明瞭領域がある程度補完された3次元ボリュームデータを復元することができる。そしてその結果として、撮像不明瞭領域がある程度補完された生成断層画像を得ることができる。ここで、「生成断層画像」とは上述の通り、他のモダリティで取得した3次元形状ボリュームデータに基づいて生成した断層画像のことである。次に、画像処理装置100を構成する各部について説明する。
【0031】
データ入力部110は、超音波画像診断装置190から入力された撮像断層画像を必要に応じてデジタルデータに変換し、領域検出部120および画像合成部140へと出力する。またデータ入力部110は、データサーバ200から入力される、撮像断層画像と同一の被検体に関する3次元ボリュームデータを、画像生成部130へと出力する。また、データ入力部110は、超音波画像診断装置190から入力される撮像部の位置姿勢情報と、予め算出して保持している「撮像断層画像の撮像部座標系における位置姿勢情報」と、に基づいて、撮像断層画像の基準座標系における位置姿勢情報を求める。そしてデータ入力部110は、この求めた「撮像断層画像の基準座標系における位置姿勢情報」を、後段の画像生成部130に出力する。ここで撮像部座標系とは、撮像部上の1点を原点として定義し、この原点で互いに直交する3軸を夫々X軸、Y軸、Z軸として定義した座標系のことを表す。
【0032】
領域検出部120は、データ入力部110から入力された撮像断層画像中のシャドー領域を検出し、検出した領域を表すデータを画像合成部140へと出力する。本実施形態では、シャドー領域を表すデータとして、撮像断層画像と同サイズの画像であって、シャドー領域とそれ以外の領域とで異なる画素値を割り当てたマスク画像を用いる。
【0033】
画像生成部130は、データ入力部110から入力された3次元ボリュームデータと、撮像断層画像の基準座標系における位置姿勢情報と、を用いて生成断層画像を生成し、生成した生成断層画像を画像合成部140へと出力する。
【0034】
画像合成部140は、データ入力部110から入力された撮像断層画像と、領域検出部120から入力されたマスク画像と、画像生成部130から入力された生成断層画像と、を用いて、撮像断層画像のシャドー領域に生成断層画像を合成する。そして画像合成部140は、係る合成処理により得られた合成画像を、外部機器へと出力する。
【0035】
なお、図1に示したデータ入力部110、領域検出部120、画像生成部130、画像合成部140の少なくとも一部は、独立した装置として実現してもよい。また、夫々を1つもしくは複数のコンピュータにインストールし、コンピュータのCPUにより実行することで、その機能を実現するソフトウェアとして実現してもよい。本実施形態では、各部(データ入力部110、領域検出部120、画像生成部130、画像合成部140)は、それぞれソフトウェアにより実現され、同一のコンピュータにインストールされているものとする。
【0036】
図2を用いて、データ入力部110、領域検出部120、画像生成部130、画像合成部140の夫々の機能を、ソフトウェアを実行することで実現するためのコンピュータのハードウェア構成について説明する。
【0037】
CPU1001は、RAM1002やROM1003に格納されたコンピュータプログラムやデータを用いてコンピュータ全体の制御を行う。また、データ入力部110、領域検出部120、画像生成部130、画像合成部140の夫々に対応するソフトウェアの実行を制御して、各部の機能を実現する。
【0038】
RAM1002は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例であり、外部記憶装置1007や記憶媒体ドライブ1008からロードされたコンピュータプログラムやデータを一時的に記憶する為のエリアを有する。更にRAM1002は、I/F1009を介して外部から受信したデータを一時的に記憶するためのエリア、CPU1001が各種の処理を行うために必要とするワークエリアを備える。
【0039】
ROM1003は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例であり、一般にコンピュータのプログラムや設定データなどが格納されている。キーボード1004、マウス1005は何れも入力デバイスとして用いられるものであり、操作者はこれらを用いて各種の指示をCPU1001に入力することができる。
【0040】
表示部1006は、CRTや液晶ディスプレイなどにより構成されており、CPU1001による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる。例えば表示部1006には、撮像断層画像や合成画像等の各種の医用画像を表示したり、画像処理のために表示すべきメッセージ等を表示したりすることができる。
【0041】
外部記憶装置1007は、ハードディスクドライブに代表される大容量情報記憶装置である。外部記憶装置1007には、OS(オペレーティングシステム)や、本実施形態に係る画像処理装置が行うものとして後述する各処理をCPU1001に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが保存されている。係るコンピュータプログラムには、データ入力部110、領域検出部120、画像生成部130、画像合成部140のそれぞれの機能をCPU1001によって実現させるためのコンピュータプログラムが含まれている。また、係るデータには、以下の説明において既知の情報として説明するものが含まれている。外部記憶装置1007に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU1001による制御に従って適宜RAM1002にロードされ、CPU1001による処理対象となる。
【0042】
記憶媒体ドライブ1008は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶媒体に記憶されているコンピュータプログラムやデータをCPU1001からの指示に従って読み出して、RAM1002や外部記憶装置1007に出力する。
【0043】
I/F1009は、超音波画像診断装置190を接続するためのアナログビデオポートあるいはIEEE1394等のデジタル入出力ポートや、合成画像などの情報を外部へ出力するためのイーサネット(登録商標)ポート等によって構成される。また、I/F1009には、上記データサーバ200も接続される。I/F1009を介して外部から入力されたデータはRAM1002に取り込まれる。データ入力部110の機能の一部は、I/F1009によって実現される。上述した各構成要素は、バス1010によって相互に接続される。
【0044】
次に、図3を用いて、本実施形態に係る画像処理装置の動作について説明する。なお、以下の説明では、図1に示した各部を処理の主体としているが、上述の通り、本実施形態では、各部はコンピュータプログラムとしてCPU1001が実行するので、実際には、CPU1001が処理の主体となる。
【0045】
ステップS3000でデータ入力部110は、超音波画像診断装置190から、被検体の撮像断層画像と、超音波画像診断装置190が有する撮像部の位置姿勢情報とを取得すると共に、データサーバ200からこの被検体の3次元ボリュームデータを取得する。そしてデータ入力部110は、撮像部の位置姿勢情報と、予め算出して保持している「撮像断層画像の撮像部座標系における位置姿勢情報」と、に基づいて、撮像断層画像の基準座標系における位置姿勢情報を求める。そしてデータ入力部110は、撮像断層画像については領域検出部120と画像合成部140とに出力し、3次元ボリュームデータと「撮像断層画像の撮像部座標系における位置姿勢情報」とについては画像生成部130に出力する。
【0046】
ステップS3010で領域検出部120は、データ入力部110から受けた撮像断層画像から、撮像不明瞭領域としてのシャドー領域を検出する。なお、本ステップにおける処理の詳細については、図4に示すフローチャートを用いて後に詳しく説明する。
【0047】
ステップS3020で画像生成部130は、ステップS3000でデータ入力部110が求めた位置姿勢情報に基づいて、データ入力部110が取得した撮像断層画像と同じ断層面の像を、3次元ボリュームデータから切り出すことで生成断層画像を生成する。なお、3次元ボリュームデータにおいてシャドー領域に対応する部分のみを生成断層画像として生成しても良い。
【0048】
ステップS3030で画像合成部140は、データ入力部110から受けた撮像断層画像中のシャドー領域に対して、ステップS3020で生成された生成断層画像を合成する。なお、本ステップにおける処理の詳細については、図6に示すフローチャートを用いて後に詳しく説明する。
【0049】
ステップS3040で画像合成部140は、ステップS3030における合成処理で得られる合成画像を、I/F1009を介して外部機器へと出力する。あるいは、他のアプリケーションから利用可能な状態としてRAM1002上に格納する。
【0050】
以上説明した処理によって、撮像断層画像中のシャドー領域が、3次元ボリュームデータに基づいて補完される。
【0051】
次に、図4を用いて、上記ステップS3010における処理の詳細について説明する。なお、図4に示したフローチャートに従った処理は、CPU1001が領域検出部120の機能を実現するコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0052】
ステップS4000において、領域検出部120は、撮像断層画像をデータ入力部110から入力する。ステップS4010において、領域検出部120は、ステップS4000で入力した撮像断層画像と同じサイズの画像をマスク画像として生成する。なお、このマスク画像を構成する全ての画素の画素値には0を設定する。
【0053】
ステップS4020において、領域検出部120は、撮像断層画像の撮像領域を長方形に変換し、また、同一の変換をマスク画像に対して施す。例えば、超音波画像診断装置190の撮像部としてコンベックスプローブを用いる場合には、撮像領域が図5に示すように扇形となるため、例えば次式によって長方形に変換する。
【0054】
【数1】

【0055】
ここで(r,θ)は、図5に示すような、コンベックスプローブによる撮像領域の極座標を表す。rmax,θmaxはそれぞれ、撮像領域内におけるr及びθの最大値である。また(x,y)は変換後の直交座標を表す。なお、超音波画像診断装置190の撮像部としてリニアプローブを用いる場合には、撮像領域が長方形となるため、本ステップは不要となる。
【0056】
ステップS4030において、領域検出部120は、撮像断層画像の長方形領域内の未処理の縦ラインを、選択縦ラインとして選択する。ステップS4040において、領域検出部120は、選択縦ラインを構成する全ての画素の画素値(輝度値)が閾値よりも低いか否かを判定する。
【0057】
ここで、撮像領域の上端部付近は、超音波プローブが被検体表面に適切に接触していない場合であっても、輝度が低くならない場合がある。そこで、撮像領域の上端部を判定に用いないようにするために、所定のy座標値より大きなy座標における画素値が全て閾値よりも低いか否かの判定を行ってもよい。係る判定の結果、選択縦ラインを構成する全ての画素の画素値が閾値よりも低い場合にはステップS4050へと処理を進め、それ以外の場合にはステップS4060へと処理を進める。
【0058】
なお、シャドー領域か否かを判定する処理は上述の処理に限らず、例えば、選択縦ラインを構成する全ての画素の画素値の平均が閾値以下でかつ分散が閾値以下であるか否かなどによって判定してもよい。
【0059】
ステップS4050において、領域検出部120は、マスク画像において上記選択縦ラインに対応するライン上の各画素の画素値を1に設定し、ステップS4060へと処理を進める。
【0060】
ステップS4060において、領域検出部120は、ステップS4030で全ての縦ラインを選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない縦ラインが存在する場合にはステップS4030へと処理を戻す。一方、全ての縦ラインを選択したのであれば、ステップS4070へと処理を進める。
【0061】
ステップS4070において、領域検出部120は、長方形領域内の全ての画素位置におけるマスク画像の画素値が1に設定されたか否かを判定する。係る判定の結果、全ての画素値が1に設定されていない場合には、超音波プローブが被検体表面に全く接触していないかどうかを示すプローブ非接触フラグを0に設定する。一方、全ての画素値が1に設定されているのであれば、プローブ非接触フラグを1に設定する。
【0062】
ステップS4080において、領域検出部120は、マスク画像に対して、上記式1の変換の逆変換を施す。なお、超音波画像診断装置190の撮像部としてリニアプローブを用いる場合には、本ステップは不要となる。
【0063】
ステップS4090において、領域検出部120は、ステップS4000からステップS4080の処理によって得られたシャドー領域を表すマスク画像、及びプローブ非接触フラグを画像合成部140へと出力する。
【0064】
以上説明した処理によって、撮像断層画像からシャドー領域を検出することができる。そして検出したシャドー領域は、マスク画像において画素値が1の画素群で構成する領域として反映されている。
【0065】
次に、図6を用いて、上記ステップS3030における処理の詳細について説明する。なお、図6に示したフローチャートに従った処理は、CPU1001が画像合成部140の機能を実現するコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0066】
ステップS6000において、画像合成部140は、撮像断層画像をデータ入力部110から入力し、シャドー領域を表すマスク画像およびプローブ非接触フラグを領域検出部120から入力する。また、生成断層画像を画像生成部130から入力する。
【0067】
ステップS6010において、画像合成部140は、プローブ非接触フラグが0か1かを判定する。係る判定の結果、プローブ非接触フラグが0の場合にはステップS6020へと処理を進める。一方、プローブ非接触フラグが1の場合にはステップS6050へと処理を進める。
【0068】
ステップS6020において、画像合成部140は、マスク画像において画素値が1の領域に対応する、撮像断層画像内の領域、即ちシャドー領域内(撮像不明瞭領域内)で未だ選択していない画素を選択画素として選択する。
【0069】
ステップS6030において、画像合成部140は、選択画素の画素値を、生成断層画像において対応する画素位置の画素値で置き換える。ステップS6040において、画像合成部140は、ステップS6020でシャドー領域内の全ての画素を選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない画素がある場合にはステップS6020へと処理を戻す。一方、シャドー領域内の全ての画素を選択したのであれば、ステップS6060へと処理を進める。
【0070】
一方、ステップS6050において、画像合成部140は、撮像断層画像を構成する全ての画素の画素値を、生成断層画像において対応する画素位置の画素値で置き換える。ステップS6060において、画像合成部140は、ステップS6000からステップS6050の処理によって更新された撮像断層画像を、撮像断層画像と生成断層画像との合成画像としてRAM1002上に格納する。
【0071】
以上説明した処理によって、撮像断層画像中のシャドー領域に対して生成断層画像を合成することができる。
【0072】
以上の説明により、本実施形態によれば、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域であるシャドー領域に対して、3次元ボリュームデータから生成された断層画像と同一断面の画像を合成することができる。その結果として、断層画像中の撮像明瞭領域の観察を妨げることなく、撮像不明瞭領域を3次元ボリュームデータに基づいて補完することができる。
【0073】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、シャドー領域を撮像不明瞭領域として取り扱う場合について説明した。しかし、撮像不明瞭領域はシャドー領域に限らず、後方エコー領域であってもよい。本実施形態では、後方エコー領域を撮像不明瞭領域として取り扱う場合について説明する。
【0074】
以下、本実施形態について、第1の実施形態との相違部分についてのみ説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置の構成は図1と同様であり、領域検出部120および画像合成部140の機能のみが第1の実施形態と異なっている。
【0075】
領域検出部120は、データ入力部110から撮像断層画像を入力する。そして、撮像断層画像中の後方エコー領域を撮像不明瞭領域として検出し、検出した領域を表すデータを画像合成部140へと出力する。本実施形態では、後方エコー領域を表すデータとして、後方エコー領域を表すマスク画像を用いる。
【0076】
画像合成部140は、データ入力部110の出力である撮像断層画像と、領域検出部120の出力である後方エコー領域を表すマスク画像と、画像生成部130の出力である生成断層画像とを入力する。そして、これらのデータに基づいて、撮像断層画像の後方エコー領域に生成断層画像を合成し、得られた合成画像を外部へと出力する。
【0077】
次に、図7を用いて、上記ステップS3010において本実施形態に係る領域検出部120が行う処理について説明する。図7において図4と同じ処理ステップには同じ参照番号を付けており、その説明は省略する。
【0078】
ステップS7030において、領域検出部120は、撮像断層画像における後方エコー領域を、例えば以下の(文献2)に開示されている方法を用いて検出する。
【0079】
(文献2) 福岡, "乳腺超音波画像におけるCADシステム", 日本放射線技術学会雑誌, vol.63, no.12, pp.1429-1434, 2007.
すなわち、垂直エッジの検出に基づく方法によって腫瘤候補領域を検出し、その後方(下方)を後方エコー領域とする。
【0080】
ステップS7040において、領域検出部120は、ステップS7030で検出された後方エコー領域に対応するマスク画像内の領域を構成する各画素の画素値を1に設定し、ステップS7050へと処理を進める。
【0081】
ステップS7050において、領域検出部120は、マスク画像に対して、上記式1の変換の逆変換を施す。なお、超音波画像診断装置190の撮像部としてリニアプローブを用いる場合には、本ステップは不要となる。
【0082】
ステップS7060において、領域検出部120は、以上の処理によって得られた後方エコー領域を表すマスク画像を画像合成部140へと出力する。以上説明した処理によって、撮像断層画像から後方エコー領域を検出することができる。
【0083】
次に、図8を用いて、上記ステップS3030において本実施形態に係る画像合成部140が行う処理について説明する。ステップS8000において、画像合成部140は、撮像断層画像をデータ入力部110から入力し、後方エコー領域を表すマスク画像を領域検出部120から入力する。また、生成断層画像を画像生成部130から入力する。
【0084】
ステップS8010において、画像合成部140は、マスク画像において画素値が1の領域に対応する、撮像断層画像内の領域、即ち後方エコー領域内で未だ選択していない画素を選択画素として選択する。
【0085】
ステップS8020において、画像合成部140は、選択画素の画素値を生成断層画像において対応する画素位置の画素値で置き換える。ステップS8030において、画像合成部140は、ステップS8010で後方エコー領域内の全ての画素を選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない画素がある場合にはステップS8010へと処理を戻す。一方、後方エコー領域内の全ての画素を選択したのであれば、ステップS8040へと処理を進める。
【0086】
ステップS8040において、画像合成部140は、ステップS8000からステップS8030の処理によって更新された撮像断層画像を、撮像断層画像と生成断層画像との合成画像として出力する。出力先については第1の実施形態と同様、特に限定するものではない。以上説明した処理によって、撮像断層画像中の後方エコー領域に対して生成断層画像を合成することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、断層画像中の撮像不明瞭領域である後方エコー領域に対して、3次元ボリュームデータから生成された断層画像と同一断面の画像を合成することができる。その結果として、断層画像中の撮像明瞭領域の観察を妨げることなく、撮像不明瞭領域を3次元ボリュームデータに基づいて補完することができる。
【0088】
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、シャドー領域を撮像不明瞭領域として取り扱う場合について説明した。また、第2の実施形態では、後方エコー領域を撮像不明瞭領域として取り扱う場合について説明した。しかし、撮像不明瞭領域はシャドー領域または後方エコー領域のどちらか一方に限らず、シャドー領域と後方エコー領域の両方であってもよい。本実施形態では、シャドー領域と後方エコー領域の両方を撮像不明瞭領域として取り扱う場合について説明する。
【0089】
以下、本実施形態について、第1の実施形態との相違部分についてのみ説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置の構成は図1と同様であり、領域検出部120および画像合成部140の機能のみが異なっている。
【0090】
領域検出部120は、データ入力部110の出力である撮像断層画像を入力する。そして、撮像断層画像中のシャドー領域と後方エコー領域とを合わせた領域を検出し、検出した領域を表すデータを画像合成部140へと出力する。本実施形態では、シャドー領域と後方エコー領域とを合わせた領域を表すデータとして、シャドー領域と後方エコー領域とを合わせた領域を表すマスク画像を用いる。
【0091】
画像合成部140は、データ入力部110の出力である撮像断層画像と、領域検出部120の出力であるシャドー領域と後方エコー領域とを合わせた領域を表すマスク画像と、画像生成部130の出力である生成断層画像とを入力する。そして、これらのデータに基づいて、撮像断層画像のシャドー領域と後方エコー領域とを合わせた領域に生成断層画像を合成し、得られた合成画像を外部へと出力する。
【0092】
次に、図9を用いて、上記ステップS3010において本実施形態に係る領域検出部120が行う処理について説明する。図9において図4と同じ処理ステップには同じ参照番号を付けており、その説明は省略する。
【0093】
ステップS9080において、領域検出部120は、マスク画像において画素値が0である画像領域に対応する、撮像断層画像の長方形領域内の画像領域から、後方エコー領域を、例えば上記(文献2)に開示されている方法を用いて検出する。
【0094】
ステップS9090において、領域検出部120は、ステップS9080で検出された後方エコー領域に対応するマスク画像内の領域を構成する各画素の画素値を1に設定し、ステップS9100へと処理を進める。
【0095】
ステップS9100において、領域検出部120は、マスク画像に対して、上記式1の変換の逆変換を施す。なお、超音波画像診断装置190の撮像部としてリニアプローブを用いる場合には、本ステップは不要となる。
【0096】
ステップS9110において、領域検出部120は、以上の処理によって得られた、シャドー領域と後方エコー領域とを合わせた領域を表すマスク画像、およびプローブ非接触フラグを、画像合成部140へと出力する。以上の処理によって、撮像断層画像からシャドー領域と後方エコー領域を合わせた領域を検出することができる。
【0097】
画像合成部140が行う処理手順は、図6に示すフローチャートの処理と同様であり、図6に示すフローチャートにおけるシャドー領域を、シャドー領域と後方エコー領域とを合わせた領域に置き換えればよい。
【0098】
以上説明したように、本実施形態によれば、断層画像中の撮像不明瞭領域であるシャドー領域と後方エコー領域を合わせた領域に対して、3次元ボリュームデータから生成された断層画像と同一断面の画像を合成することができる。その結果として、断層画像中の撮像明瞭領域の観察を妨げることなく、撮像不明瞭領域を3次元ボリュームデータに基づいて補完することができる。
【0099】
[第4の実施形態]
本実施形態では、撮像不明瞭領域の性質に応じた方法で撮像断層画像内の領域の撮像明瞭度を算出し、撮像明瞭度に応じて3次元ボリュームデータから生成した生成断層画像と合成する。なお、本実施形態では、シャドー領域を撮像不明瞭領域として取り扱い、3次元ボリュームデータを3次元画像データとして取り扱う場合について説明する。
【0100】
以下、本実施形態について、第1の実施形態との相違部分についてのみ説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置の構成は図1と同様であり、領域検出部120および画像合成部140の機能のみが異なっている。
【0101】
本実施形態では領域検出部120は撮像断層画像内の領域の撮像明瞭度を算出する。なお、例えば撮像明瞭度が0の領域を撮像明瞭領域、撮像明瞭度が0より大きい領域を撮像不明瞭領域とすれば、撮像明瞭度を算出することにより領域の検出も行われることになる。
【0102】
次に、図10を用いて、上記ステップS3010において本実施形態に係る領域検出部120が行う処理について説明する。図10において図4と同じ処理ステップには同じ参照番号を付けており、その説明は省略する。
【0103】
ステップS10040において、領域検出部120は、選択縦ラインのシャドー領域らしさ(撮像明瞭度)を0〜1の範囲の値として算出する。例えば次式によって撮像明瞭度R1を算出する。
【0104】
【数2】

【0105】
ただし、R<0の場合には、R=0とする。ここで、y0は所定のy座標値、ymaxはy座標の最大値、I0は閾値、I(Y)は選択縦ラインにおいてy座標がYである画素の輝度値を表す。y0としては、例えばy座標の最小値を用いればよい。また、I0としては、例えば撮像領域の全画素の平均値を予め算出して用いればよい。
【0106】
換言すれば、撮像明瞭度とは、断層画像から順次選択された選択縦ラインを構成する各画素の画素値と閾値との差分をそれぞれの画素について加算した値を、閾値と選択縦ラインの画素数(y=0の場合)との積で除した値である。そして、選択縦ラインがシャドー領域を構成する場合、選択縦ラインを構成する画素の画素値I(y)は比較的小さい値となるため、結果としてR1は大きい値となる。
【0107】
ステップS10050において、領域検出部120は、選択縦ラインに対応するマスク画像内のライン上の各画素の画素値を、選択縦ラインについてステップS10040で求めた撮像明瞭度に基づいて設定する。例えば、選択縦ラインに対応するマスク画像内のライン上の各画素の画素値を、選択縦ラインについてステップS10040で求めた撮像明瞭度に設定する。
【0108】
ステップS10060において、領域検出部120は、ステップS4030で全ての縦ラインを選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない縦ラインが存在する場合にはステップS4030へと処理を戻す。一方、全ての縦ラインを選択したのであれば、ステップS10070へと処理を進める。
【0109】
ステップS10070において、領域検出部120は、マスク画像に対して、上記式1の変換の逆変換を施す。なお、超音波画像診断装置190の撮像部としてリニアプローブを用いる場合には、本ステップは不要となる。
【0110】
ステップS10080において、領域検出部120は、以上の処理によって得られた撮像不明瞭領域およびその撮像明瞭度を表すマスク画像を画像合成部140へと出力する。以上説明した処理によって、撮像断層画像から撮像不明瞭領域が検出されるとともに、その撮像明瞭度を算出することができる。
【0111】
次に、図11を用いて、上記ステップS3030において本実施形態に係る画像合成部140が行う処理について説明する。ステップS11000において、画像合成部140は、撮像断層画像をデータ入力部110から入力し、撮像不明瞭領域およびその撮像明瞭度を表すマスク画像を領域検出部120から入力する。また、生成断層画像を画像生成部130から入力する。
【0112】
ステップS11010において、画像合成部140は、撮像断層画像内で未だ選択していない画素を選択画素として選択する。ステップS11020において、画像合成部140は、選択画素の画素値と、生成断層画像において対応する画素位置の画素値とを、マスク画像において選択画素に対応する画素位置の画素値に基づいて合成する。例えば、マスク画像において選択画素に対応する画素位置の画素値がαである場合、選択画素の画素値Isと、生成断層画像において対応する画素位置の画素値Igとの合成は、以下の式3に基づいて行われる。
【0113】
【数3】

【0114】
ここで、Iは画素値Isと画素値Igとの合成結果としての画素値である。そして、選択画素の画素値Isを、係る合成処理により得られる画素値Iに置き換える。係る合成処理により、撮像断層画像と生成断層画像とを、合成率α1でもって合成することができる。
【0115】
ステップS11030において、画像合成部140は、ステップS11010で撮像断層画像内の全ての画素を選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない画素がある場合にはステップS11010へと処理を戻す。一方、撮像断層画像内の全ての画素を選択したのであれば、ステップS11040へと処理を進める。
【0116】
ステップS11040において、画像合成部140は、ステップS11000からステップS11030の処理によって更新された撮像断層画像を、撮像断層画像と生成断層画像との合成画像として出力する。以上説明した処理によって、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域に対して、生成断層画像を撮像明瞭度に応じて合成することができる。
【0117】
以上の説明により、本実施形態によれば、断層画像中の撮像不明瞭領域を検出し、その撮像明瞭度に応じて3次元ボリュームデータから生成された断層画像と合成することができる。その結果として、断層画像中の撮像明瞭領域の観察を妨げることなく、撮像不明瞭領域を3次元ボリュームデータに基づいて補完することができる。なお、本実施形態では、シャドー領域を撮像不明瞭領域として取り扱う場合について説明したが、撮像不明瞭領域はシャドー領域に限らず、後方エコー領域であってもよい。
【0118】
[第5の実施形態]
本実施形態では、撮像不明瞭領域の性質に応じた複数の方法で撮像断層画像内の領域の撮像明瞭度を算出し、夫々の撮像明瞭度に応じて3次元ボリュームデータから生成した生成断層画像と合成する。なお、本実施形態では、シャドー領域と後方エコー領域を撮像不明瞭領域として取り扱い、3次元ボリュームデータを3次元画像データとして取り扱う場合について説明する。
【0119】
以下、本実施形態について、第1の実施形態との相違部分についてのみ説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置の構成は図1と同様であり、領域検出部120および画像合成部140の機能のみが異なっている。本実施形態では領域検出部120は、撮像断層画像内の領域の撮像明瞭度を算出する。
【0120】
次に、図12を用いて、上記ステップS3010において本実施形態に係る領域検出部120が行う処理について説明する。ステップS12000において、領域検出部120は、撮像断層画像をデータ入力部110から取得する。ステップS12010において、領域検出部120は、ステップS12000で入力した撮像断層画像と同じサイズの画像を2つ生成し、一方を第1のマスク画像、他方を第2のマスク画像と呼称する。なお、このマスク画像を構成する全ての画素の画素値には0を設定する。
【0121】
ステップS12020において、領域検出部120は、撮像断層画像の撮像領域を長方形に変換し、また、同一の変換を第1のマスク画像、第2のマスク画像に対して施す。超音波画像診断装置の撮像部としてコンベックスプローブを用いる場合には、例えば上記式1によって長方形に変換する。一方、超音波画像診断装置の撮像部としてリニアプローブを用いる場合には、撮像領域が長方形となるため、本ステップは不要となる。
【0122】
ステップS12030において、領域検出部120は、撮像断層画像の長方形領域内の未処理の縦ラインを、選択縦ラインとして選択する。ステップS12040において、領域検出部120は、選択縦ラインのシャドー領域らしさ(第1の撮像明瞭度)を0〜1の範囲の値として算出する。例えば上記式2によって第1の撮像明瞭度R1を算出する。ただし、R1<0の場合には、R1=0とする。
【0123】
ステップS12050において、領域検出部120は、選択縦ラインに対応するマスク画像内のライン上の各画素の画素値を、選択縦ラインについてステップS12040で求めた第1の撮像明瞭度R1に基づいて設定する。例えば、選択縦ラインに対応するマスク画像内のライン上の各画素の画素値を、選択縦ラインについてステップS12040で求めた第1の撮像明瞭度R1に設定する。
【0124】
ステップS12060において、領域検出部120は、ステップS12030で全ての縦ラインを選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない縦ラインが存在する場合にはステップS12030へと処理を戻す。一方、全ての縦ラインを選択したのであれば、ステップS12070へと処理を進める。
【0125】
ステップS12070において、領域検出部120は、撮像断層画像の撮像領域内の後方エコー領域を検出する。その際に、後方エコー領域らしさ(第2の撮像明瞭度)を0〜1の範囲の値として算出する。
【0126】
例えば先ず、長方形に変換した撮像領域中から着目部位領域としての腫瘤候補領域を、例えば上記文献2に開示されている垂直エッジの検出に基づく方法によって検出する。次に、腫瘤候補領域を内包する矩形領域を設定し、その後方(下方)に図13に示すような3つの領域を設定する。この中央領域(腫瘤候補領域の直下の領域)と腫瘤候補領域より後方(下方)の矩形領域を合わせた領域が後方エコー領域である。そして、左側領域と右側領域の平均輝度値(腫瘤候補領域の直下の領域の左右に隣接する領域内の平均画素値)と、中央領域の平均輝度値とに基づいて、次式によって第2の撮像明瞭度R2を算出する。
【0127】
【数4】

【0128】
ここで、Ilrは左側領域と右側領域の平均輝度値、Iは中央領域の平均輝度値、Imaxは輝度値の取り得る最大輝度値を表す。即ち、係る式は、IとIlrとの差分を、Ilr若しくはImaxからIlrを引いた値で除した値を求める式である。
【0129】
ステップS12080において、領域検出部120は、ステップS12070で検出した後方エコー領域に対応する第2のマスク画像内の領域を構成する各画素の画素値を、ステップS12070で算出した第2の撮像明瞭度R2に基づいて設定する。例えば、ステップS12070で検出した後方エコー領域に対応する第2のマスク画像内の領域を構成する各画素の画素値に、ステップS12070で算出した第2の撮像明瞭度R2を設定する。
【0130】
ステップS12090において、領域検出部120は、第1のマスク画像、第2のマスク画像に対して、上記式1の変換の逆変換を施す。なお、超音波画像診断装置の撮像部としてリニアプローブを用いる場合には、本ステップは不要となる。
【0131】
ステップS12100において、領域検出部120は、ステップS12000からステップS12090の処理によって得られた第1のマスク画像、第2のマスク画像を画像合成部140へと出力する。以上説明した処理によって、撮像断層画像から性質の異なる撮像不明瞭領域を検出することができると共に、その撮像明瞭度を算出することができる。
【0132】
次に、図14を用いて、上記ステップS3030において本実施形態に係る画像合成部140が行う処理について説明する。ステップS14000において、画像合成部140は、撮像断層画像をデータ入力部110から入力し、撮像不明瞭領域およびその撮像明瞭度を表す第1のマスク画像、第2のマスク画像を領域検出部120から入力する。また、生成断層画像を画像生成部130から入力する。
【0133】
ステップS14010において、画像合成部140は、撮像断層画像において未だ選択されていない画素を1つ、選択画素として選択する。ステップS14020で画像合成部140は選択画素の画素値を決定する。より詳しくは、選択画素の画素値と、生成断層画像内の対応する画素位置の画素値とを、第1のマスク画像内で選択画素に対応する画素位置の画素値R1、第2のマスク画像内で選択画素に対応する画素位置の画素値R2に基づいて合成する。
【0134】
例えば、R1=α1、R2=α2の場合、選択画素の画素値Isと、生成断層画像において対応する画素位置の画素値Igとの合成は、以下の式5に基づいて行われる。
【0135】
【数5】

【0136】
ここで、Iは画素値Isと画素値Igとの合成結果としての画素値である。そして、選択画素の画素値Isを、係る合成処理により得られる画素値Iに置き換える。係る合成処理により、撮像断層画像と生成断層画像とを、合成率α1、α2でもって合成することができる。
【0137】
ステップS14030において、画像合成部140は、ステップS14010で撮像断層画像内の全ての画素を選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない画素がある場合にはステップS14010へと処理を戻す。一方、撮像断層画像内の全ての画素を選択したのであれば、ステップS14040へと処理を進める。
【0138】
ステップS14040において、画像合成部140は、ステップS14000からステップS14030の処理によって更新された撮像断層画像を、撮像断層画像と生成断層画像との合成画像として出力する。以上説明した処理によって、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域に対して、撮像明瞭度に応じて生成断層画像が合成される。
【0139】
以上の説明により、本実施形態によれば、断層画像中の撮像不明瞭領域を複数の方法で検出し、夫々の撮像明瞭度に応じて3次元ボリュームデータから生成された断層画像と合成することができる。その結果として、断層画像中の撮像明瞭領域の観察を妨げることなく、撮像不明瞭領域を3次元ボリュームデータに基づいて補完することができる。なお、本実施形態ではシャドー領域を検出した後に後方エコー領域を検出したが、検出の順番は逆でもよいし、並列処理で検出してもよい。
【0140】
[第6の実施形態]
本実施形態では、撮像不明瞭領域の性質に応じた方法で撮像断層画像中の領域の撮像明瞭度を算出する。また、3次元画像データの信頼度の3次元分布に基づいて、3次元画像データから生成した断層画像中の信頼度分布を算出する。そして、撮像断層画像の撮像明瞭度および生成断層画像中の信頼度分布に基づいて、撮像断層画像と生成断層画像とを合成する。なお、本実施形態では、シャドー領域を撮像不明瞭領域として取り扱い、3次元ボリュームデータを3次元画像データとして取り扱う場合について説明する。
【0141】
以下、本実施形態について、第4の実施形態との相違部分についてのみ説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置の構成は図1と同様であり、画像生成部130および画像合成部140の機能のみが異なっている。本実施形態では、画像生成部130は、3次元ボリュームデータの信頼度の3次元分布に基づいて、生成断層画像中の信頼度分布を算出する。
【0142】
次に、図15を用いて、上記ステップS3020において本実施形態に係る画像生成部130が行う処理について説明する。
【0143】
ステップS15000において、画像生成部130は、3次元ボリュームデータと、予め算出した3次元ボリュームデータの信頼度の3次元分布と、撮像断層画像の基準座標系における位置姿勢情報と、をデータ入力部110から入力する。
【0144】
ここで、3次元ボリュームデータは、超音波画像診断装置190によって撮像した断層画像群から復元したものであるため、その信頼度は3次元ボリュームデータを構成する各ボクセルで一様ではない。例えば、超音波プローブを低速で動かしながら撮像した、断層画像群が密集している領域は、信頼度が高いと言える。一方、超音波プローブを高速に動かしながら撮像した、断層画像群が疎な領域は、信頼度が低いと言える。そこで、例えば、断層画像群から3次元ボリュームデータの各ボクセル値を復元する際に使用した断層画像の枚数を、使用枚数の最大値で割って0〜1の範囲に正規化した値を、各ボクセルの信頼度Lvとする。
【0145】
ステップS15010において、画像生成部130は、ステップS15000で取得した位置姿勢情報に基づいて、データ入力部110が取得した撮像断層画像と同じ断層面の像を、3次元ボリュームデータから切り出すことで生成断層画像を生成する。
【0146】
ステップS15020において、画像生成部130は、生成断層画像の各画素の信頼度Lpを、生成断層画像の各画素の生成に使用した各ボクセルの信頼度Lvに基づいて算出する。例えば、各画素の値を最近傍のボクセルの値に設定する場合には、ある画素の信頼度Lpは最近傍のボクセルの信頼度Lvに設定すればよい。
【0147】
ステップS15030において、画像生成部130は、生成断層画像および生成断層画像を構成する各画素の信頼度(信頼度分布)を、画像合成部140へと出力する。以上説明した処理によって、生成断層画像および生成断層画像中の信頼度分布を算出することができる。
【0148】
次に、図16を用いて、上記ステップS3030において本実施形態に係る画像合成部140が行う処理について説明する。ステップS16000において、画像合成部140は、撮像断層画像をデータ入力部110から入力し、撮像不明瞭領域およびその撮像明瞭度を表すマスク画像を領域検出部120から入力する。また、生成断層画像および生成断層画像中の信頼度分布を画像生成部130から入力する。
【0149】
ステップS16010において、画像合成部140は、撮像断層画像内で未だ選択していない画素を選択画素として選択する。ステップS16020で画像合成部140は、選択画素の画素値と生成断層画像において対応する画素位置の画素値を、生成断層画像において選択画素に対応する画素位置の信頼度と、マスク画像において選択画素に対応する画素位置の画素値に基づいて合成する。例えば、生成断層画像において選択画素に対応する画素位置の信頼度がLp、マスク画像において選択画素に対応する画素位置の画素値がαであるとする。この場合、選択画素の画素値Isと、生成断層画像において対応する画素位置の画素値Igとの合成は、以下の式6に基づいて行われる。
【0150】
【数6】

【0151】
ここで、Iは画素値Isと画素値Igとの合成結果としての画素値である。そして、選択画素の画素値Isを、係る合成処理により得られる画素値Iに置き換える。
【0152】
ステップS16030において、画像合成部140は、ステップS16010で撮像断層画像内の全ての画素を選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない画素がある場合にはステップS16010へと処理を戻す。一方、撮像断層画像内の全ての画素を選択したのであれば、ステップS16040へと処理を進める。
【0153】
ステップS16040において、画像合成部140は、ステップS16000からステップS16030の処理によって更新された撮像断層画像を、撮像断層画像と生成断層画像との合成画像として出力する。以上説明した処理によって、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域の撮像明瞭度および生成断層画像中の信頼度分布に応じて撮像断層画像と生成断層画像とを合成することができる。
【0154】
以上の説明により、本実施形態によれば、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域の撮像明瞭度と、生成断層画像中の信頼度分布とに応じて、両者を合成することができる。その結果として、断層画像中の撮像明瞭領域の観察を妨げることなく、撮像不明瞭領域を3次元ボリュームデータに基づいて補完することができる。なお、本実施形態では、シャドー領域を撮像不明瞭領域として取り扱う場合について説明したが、撮像不明瞭領域はシャドー領域に限らず、後方エコー領域であってもよい。
【0155】
[第7の実施形態]
(変形例1)
上記の実施形態の夫々において、断層画像を撮影する医用画像収集装置として超音波画像診断装置190を用いる場合を例に述べたが、断層画像を撮影する医用画像収集装置はこれに限るものではない。例えば、磁気共鳴映像装置(MRI)、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)、光干渉断層計(OCT)などの断層画像を撮影可能な医用画像収集装置を用いる場合にも、上記の実施形態の手法が適用可能である。
【0156】
(変形例2)
上記の実施形態の夫々において、超音波画像診断装置190で断層画像を撮影する場合を例に述べたが、医用画像収集装置で取得するデータはこれに限られるものではない。例えば、3次元の超音波プローブでMPR(Multi Planar Reformat)像を取得する場合にも、上記の実施形態の手法が適用可能である。すなわち、複数の切断面の夫々に対して上記の実施形態の手法をそのまま適用すればよい。
【0157】
(変形例3)
上記の実施形態の夫々において、3次元画像データとして、超音波画像診断装置190によって被検体を予め撮像して得られた断層画像群から予め復元した輝度値配列データを用いる場合を例に述べた。しかし、使用する3次元画像データはこれに限られるものではない。例えば、3次元の超音波プローブで取得した3次元ボリュームデータを用いてもよい。また、取得磁気共鳴映像装置(MRI)、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT)、光干渉断層計(OCT)などによって被検体を予め撮像して得られた断層画像群から予め復元した輝度値配列データを用いることも可能である。さらに、それらの輝度値配列データを、超音波画像診断装置によって撮像されたかのような輝度値配列データに変換して用いてもよい。また、標準形状モデルなどの3次元CGデータを用いてもよい。
【0158】
なお、予め撮像して得られた断層画像群から予め復元した輝度値配列データを用いるのではなく、実時間で撮像して得られた断層画像群から実時間で輝度値配列データを復元して用いてもよい。その場合には、輝度値配列データの復元に用いる断層画像群から、最新の撮像断層画像を除外してもよい。
【0159】
また、3次元画像データとして、予めまたは実時間で撮像して得られた断層画像群から輝度値配列データを復元せずに、断層画像群をそのまま用いてもよい。その場合には、例えば以下に示す文献に開示されている方法を用いて、撮像断層画像と略同一の断面を有する生成断層画像を断層画像群から直接生成すればよい。
【0160】
R.W. Prager, A.H. Gee, and L. Berman, “Stradx: real-time acquisition and visualisation of freehand 3D ultrasound,” Technical report CUED/F-INFENG/TR 319, Cambridge University Department of Engineering, April 1998.
(変形例4)
上記の実施形態の夫々において、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域を検出してから、検出した領域を3次元ボリュームデータに基づいて補完する場合について説明した。しかし、撮像不明瞭領域が既知の場合には、撮像不明瞭領域を検出する処理が不要となる。例えば、超音波プローブを構成する圧電素子(振動子)の一部が破損している場合には、撮像領域内の特定の領域が常に、シャドー領域と同様に通常よりも輝度が低くて不明瞭となる。このような場合には、上記の特定の領域を予め手作業等で指定しておき、指定された領域に対して、上記の実施形態の夫々におけるシャドー領域に対する処理と同様の処理を行えばよい。その際に、撮像不明瞭領域の撮像明瞭度を予め算出しておき、撮像明瞭度に基づいて撮像不明瞭領域に対する合成を行ってもよい。
【0161】
(変形例5)
上記の実施形態の夫々において、撮像断層画像中の撮像不明瞭領域を3次元ボリュームデータに基づいて補完する場合について説明した。しかし、撮像明瞭領域に対しても、その観察を妨げない程度の比率で生成断層画像の画素値を混合してもよい。例えば、マスク画像の画素値が0.1以下の領域を全て画素値0.1に置換した上で、ステップS11020における式3、またはステップS14020における式5によって撮像断層画像の画素値と生成断層画像の画素値を混合すればよい。以上によって、撮像明瞭領域の観察が妨げられることなく、生成断層画像の全体像を把握することが可能となる。
【0162】
(変形例6)
第1の実施形態において、撮像明瞭領域と撮像不明瞭領域を夫々異なる表示属性で表示してもよい。例えば、撮像明瞭領域を256階調の青色で表示し、撮像不明瞭領域を256階調の赤色で表示してもよい。また、撮像不明瞭領域のみを点滅させて表示してもよい。さらに、撮像明瞭領域と撮像不明瞭領域の境界線を描画してもよい。
【0163】
即ち、合成画像を表示する際、撮像不明瞭領域とそれ以外の領域とを識別可能に表示する為の表示形態であれば、如何なる表示形態を採用しても良い。以上によって、撮像明瞭領域と撮像不明瞭領域とを混同せずに把握することが可能となる。
【0164】
(変形例7)
第3の実施形態において、撮像不明瞭領域の性質毎に異なる表示属性で表示してもよい。例えば、シャドー領域を256階調の赤色で表示し、後方エコー領域を256階調の緑色で表示してもよい。即ち、撮像不明瞭領域を表示する際、それぞれの種別の撮像不明瞭領域を識別可能に表示する為の表示形態であれば、如何なる表示形態を採用しても良い。その際に、撮像明瞭領域を256階調の青色で表示してもよい。
【0165】
さらに、撮像明瞭度、すなわちマスク画像の画素値に応じて各色の混合比率を変更してもよい。シャドー領域を表す第1のマスク画像の画素値がα1、後方エコー領域を表す第2のマスク画像の画素値がα2である場合には、例えば次式によって青色、赤色、緑色の混合比率B:R:Gを算出することが可能である。
【0166】
【数7】

【0167】
即ち、合成画像を構成する各画素を、対応する撮像明瞭度と信頼度とに基づく値に応じた表示形態でもって表示するのであれば、如何なる表示形態を採用しても良い。更に、以上説明した各実施形態、変形例はその一部若しくは全部を適宜組み合わせて用いても良い。
【0168】
[第8の実施形態]
本実施形態に係る画像処理装置は、超音波画像診断装置から被検体の断層画像を時系列的に(時間的に連続して)取得し、得られた断層画像群から被検体の3次元形状データを復元する。このとき、超音波プローブと被検体が接触した直後の時点で撮像された断層画像及びこの接触が解除される直前(非接触となる直前)の時点で撮像された断層画像と、それ以外の断層画像とを異なる方法で処理する。これにより、プローブ圧力による変形の影響を軽減する。
【0169】
ここで、接触した直後の時点で撮像された断層画像は、1枚の断層画像に限らず、指定した枚数の断層画像であってもよい。または、例えば接触後に所定の距離および/または角度だけプローブが移動するまでの間の全ての断層画像を、接触した直後の断層画像として扱ってもよい。なお、プローブの移動は後述の位置姿勢センサによって計測することができる。また、非接触となる直前の断層画像も、接触した直後の断層画像と同様に、1枚の断層画像に限られるものではない。
【0170】
本実施形態では、3次元形状データとして、3次元のボクセルメッシュを構成する各ボクセルに輝度値が格納されたボリュームデータ(以下、輝度値配列データと呼ぶ)を復元する。以下、本実施形態について説明する。
【0171】
先ず、図18を用いて、本実施形態に係る画像処理装置の機能構成例について説明する。図18に示す如く、本実施形態に係る画像処理装置5100は、データ入力部5110、データ記憶部5120、位置姿勢算出部5130、接触判定部5140、変形判定部5150、変形補正部5160、3次元形状復元部5170によって構成される。そして更に、画像処理装置5100には、断層画像を撮像する医用画像収集装置である超音波画像診断装置5190が接続されている。
【0172】
超音波画像診断装置5190は、被検体の断層画像を時系列的に撮像する。超音波画像診断装置5190には、断層画像群を取得するための超音波プローブ5195が接続されている。そして、この超音波プローブ5195を被検体に接触させることで、断層画像の撮像が行われる。超音波画像診断装置5190によって得られた断層画像群は、データ入力部5110を介して画像処理装置5100に入力される。更に、この超音波プローブ5195には、第1の実施形態と同様、その位置姿勢を計測するための位置姿勢センサが装着されている。もちろん、本実施形態においても、超音波プローブ5195の位置姿勢を取得することができるのであれば、その手法は如何なるものであっても良い。如何なる手法を用いるにせよ、超音波プローブ5195の位置姿勢情報は、データ入力部5110を介して画像処理装置5100に入力される。ここで、超音波プローブ5195の位置姿勢情報は、上記の基準座標系における位置姿勢で表されているものとする。なお、超音波プローブ5195の位置姿勢は、不図示のキーボードやマウスなどのユーザインタフェースを用いて操作者が入力してもよい。
【0173】
データ入力部5110には、断層画像と、この断層画像を撮像した時点での超音波プローブ5195の位置姿勢情報と、が時系列的に超音波画像診断装置5190から入力される。データ入力部5110は、入力された断層画像を必要に応じてデジタルデータに変換し、この断層画像を撮像した時点での超音波プローブ5195の位置姿勢情報と関連付けてデータ記憶部5120に格納する。
【0174】
位置姿勢算出部5130は、データ記憶部5120から、超音波プローブ5195の位置姿勢情報を読み出す。更に位置姿勢算出部5130は、予め算出してデータ記憶部5120内で管理している「超音波プローブ座標系における断層画像の位置姿勢情報」を読み出す。そして位置姿勢算出部5130は、これらの位置姿勢情報を用いて、基準座標系における断層画像の位置姿勢情報を算出し、データ記憶部5120に格納する。ここで、超音波プローブ座標系とは、超音波プローブ5195上の1点を原点として定義し、この原点で互いに直交する3軸を夫々X軸、Y軸、Z軸として定義した座標系のことを表す。
【0175】
接触判定部5140は、データ記憶部5120から断層画像を読み出し、読み出した断層画像を用いて、この断層画像の撮像時点での超音波プローブ5195と被検体との接触の有無を判定する。そして接触判定部5140は、この判定結果(接触の有無)を示す情報をデータ記憶部5120に格納する。
【0176】
変形判定部5150は、データ記憶部5120から、断層画像と、この断層画像を用いて判定した接触の有無を示す情報と、を読み出す。そして変形判定部5150は、読み出した断層画像と接触の有無を示す情報とを用いて、この断層画像が超音波プローブ5195の圧力による変形の小さな断層画像(小変形断層画像)であるのか、変形の大きな断層画像(変形断層画像)であるのかを判定する。そして変形判定部5150は、この判定の結果を示す情報を、データ記憶部5120に格納する。
【0177】
変形補正部5160は、データ記憶部5120から、断層画像と、この断層画像の基準座標系における位置姿勢情報と、この断層画像について変形判定部5150が判定した結果を示す情報と、を読み出す。そして変形補正部5160は、読み出したこれらの情報に基づいて、変形断層画像の変形を補正し、変形を補正した断層画像をデータ記憶部5120に格納する。なお、以下では、変形を補正した断層画像を補正断層画像と呼称する。
【0178】
3次元形状復元部5170は、データ記憶部5120から、小変形断層画像群と、補正断層画像群と、それぞれの基準座標系における位置姿勢情報と、を読み出す。そして3次元形状復元部5170は、読み出したこれらの情報を用いて、輝度値配列データを復元し、外部機器へと出力する。
【0179】
データ記憶部5120には、以下に挙げるデータが格納されることになる。
【0180】
(1) 時系列的に取得した被検体の断層画像と、それに関する情報
(1−1) データ入力部5110から入力される、被検体の断層画像
(1−2) 位置姿勢算出部5130から入力される、基準座標系における断層画像の位置姿勢情報
(1−3) 接触判定部5140から入力される、接触の有無を示す情報
(1−4) 変形判定部5150から入力される、変形判定部5150による判定結果を示す情報
(1−5) 変形補正部5160から入力される、補正断層画像
(2) 予め算出された、超音波プローブ座標系における断層画像の位置姿勢情報
そして、必要に応じてこれらのデータはデータ記憶部5120に対して入出力される。なお、図1に示したデータ入力部5110、データ記憶部5120、位置姿勢算出部5130、接触判定部5140、変形判定部5150、変形補正部5160、3次元形状復元部5170の少なくとも一部は、独立した装置として実現してもよい。また、夫々1つもしくは複数のコンピュータにインストールし、コンピュータのCPUにより実行することで、その機能を実現するソフトウェアとして実現してもよい。本実施形態では、画像処理装置5100を構成する上記各部は、それぞれソフトウェアにより実現され、同一のコンピュータにインストールされているものとする。係るコンピュータとしては、第1の実施形態と同様、図2に示した構成例を有するコンピュータを適用すればよい。
【0181】
次に、図19を用いて、本実施形態に係る画像処理装置5100が行う処理について説明する。なお、以下の説明では、図19に示した各部を処理の主体としているが、上述の通り、本実施形態では、各部はコンピュータプログラムとしてCPU1001が実行するので、実際には、CPU1001が処理の主体となる。
【0182】
上述の通り、超音波画像診断装置5190からは、被検体の断層画像と、この断層画像を撮像した時点での超音波プローブ5195の位置姿勢情報と、が順次出力される。従って、ステップS53000においてデータ入力部5110は、被検体の断層画像と、この断層画像を撮像した時点における超音波プローブ5195の位置姿勢情報と、を順次取得し、データ記憶部5120に格納する。
【0183】
次に、位置姿勢算出部5130は、データ記憶部5120から、超音波プローブ5195の位置姿勢情報を読み出す。更に位置姿勢算出部5130は、予め算出してデータ記憶部5120に格納されている「超音波プローブ座標系における断層画像の位置姿勢情報」を読み出す。そして位置姿勢算出部5130は、これらの位置姿勢情報を用いて、基準座標系における断層画像の位置姿勢情報を算出し、データ記憶部5120に格納する。
【0184】
ステップS53010において、接触判定部5140は、ステップS53000でデータ記憶部5120に格納した断層画像群に基づいて、夫々の断層画像を撮像した時刻における超音波プローブ5195と被検体との接触の有無(接触か非接触か)を判定する。そして接触判定部5140は、それぞれの断層画像を撮像した時刻における接触の有無を示す情報を、データ記憶部5120に格納する。なお、本ステップにおける処理の詳細については、図20に示すフローチャートを用いて後に詳しく説明する。
【0185】
ステップS53020において、変形判定部5150は、ステップS53010で得られた接触の判定結果に基づいて、ステップS53000で得た断層画像の夫々について、小変形断層画像であるのか変形断層画像であるのかを判定する。具体的には、接触の直後の時点で撮像された断層画像及び接触が解除される直前の時点で撮像された断層画像を小変形断層画像と判定し、それ以外を変形断層画像と判定する。そして変形判定部5150は、それぞれの断層画像についての判定結果を示す情報をデータ記憶部5120に格納する。
【0186】
ステップS53030において、変形補正部5160は、ステップS53020で変形断層画像と判定された断層画像の夫々について変形の補正処理を施し、補正断層画像を生成する。そして変形補正部5160は、得られた補正断層画像をデータ記憶部5120に格納する。なお、本ステップにおける処理の詳細は、図21に示すフローチャートを用いて後に詳しく説明する。
【0187】
ステップS53040において、3次元形状復元部5170は、ステップS53020で小変形断層画像と判定された断層画像群(補正対象外)と、ステップS53030で生成された補正断層画像群とを用いて、被検体の輝度値配列データを復元する。なお、本ステップにおける処理の詳細は、図22に示すフローチャートを用いて後に詳しく説明する。
【0188】
ステップS53050において、3次元形状復元部5170は、ステップS53040で復元した輝度値配列データを、I/F1009を介して外部へと出力する、若しくは、他のアプリケーションから利用可能な状態としてRAM1002上に格納する。以上説明した処理によって、取得した断層画像群から3次元形状データを復元することができる。 次に、図20に示すフローチャートを用いて、ステップS53010において接触判定部5140が実行する処理の手順を説明する。ステップS54000において、接触判定部5140は、断層画像群をデータ記憶部5120から読み出す。ステップS54010において、接触判定部5140は、読み出した断層画像群のうち未だ選択していない断層画像を選択断層画像として選択する。
【0189】
ステップS54020において、接触判定部5140は、上記式1に従って選択断層画像の撮像領域を長方形に変換する。なお、超音波プローブ5195としてリニアプローブを用いる場合には、撮像領域が長方形となるため、本ステップは不要となる。
【0190】
ステップS54030において、接触判定部5140は、長方形領域内の全ての縦ラインについて、接触状態を表すフラグを、接触を表す1に設定する。ステップS54040において、接触判定部5140は、長方形領域内で未だ選択していない縦ラインを選択縦ラインとして選択する。
【0191】
ステップS54050において、接触判定部5140は、選択縦ラインを構成する全ての画素の画素値が閾値よりも低いか否かを判定する。ここで、撮像領域の上端部付近は、超音波プローブ5195が被検体表面に適切に接触していない場合であっても、輝度が低くならない場合がある。そこで、撮像領域の上端部を判定に用いないようにするために、所定のy座標値より大きなy座標における全ての画素の画素値が閾値よりも低いか否かの判定を行ってもよい。係る判定の結果、全て閾値よりも低い場合にはステップS54060へと処理を進め、それ以外の場合にはステップS54070へと処理を進める。
【0192】
なお、選択縦ラインを構成する全ての画素の画素値が閾値よりも低いか否かを判定する処理は、上述の処理に限定されるものではない。例えば、選択縦ラインを構成する全ての画素の画素値の平均が閾値以下でかつ分散が閾値以下であるか否かなどによって判定してもよい。
【0193】
ステップS54060において、接触判定部5140は、選択縦ラインの接触状態を表すフラグを、非接触を表す0に設定し、ステップS54070へと処理を進める。ステップS54070において接触判定部5140は、ステップS54040で全ての縦ラインを選択したか否かを判定する。係る判定の結果、選択断層画像について未だ選択していない縦ラインがある場合にはステップS54040へと処理を戻す。一方、選択断層画像について全ての縦ラインを選択したのであればステップS54080へと処理を進める。
【0194】
ステップS54080において、接触判定部5140は、全ての縦ラインの接触状態を表すフラグ(フラグ値)が0であるか否かを判定する。係る判定の結果、全ての縦ラインの接触状態を表すフラグが0であれば、超音波プローブ5195と被検体とは接触していないと判定し、それ以外の場合は接触していると判定する。
【0195】
ステップS54090において、接触判定部5140は、ステップS54010で未だ選択されていない断層画像があるか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択されていない断層画像がある場合にはステップS54010へと処理を戻す。一方、ステップS54000においてデータ記憶部5120から読み出された全ての断層画像についてステップS54010で選択されたのであれば、ステップS54100へと処理を進める。
【0196】
ステップS54100において、接触判定部5140は、それぞれの断層画像についてステップS54080で判定した結果を示す情報を、データ記憶部5120に格納する。以上説明した処理によって、夫々の断層画像を撮像した時刻において超音波プローブ5195と被検体とが接触しているか否かを判定することができる。
【0197】
次に、図21のフローチャートを用いて、ステップS53030において変形補正部5160が実行する処理の手順を説明する。ステップS56000において、変形補正部5160は、断層画像の夫々と、基準座標系における各断層画像の位置姿勢情報と、それぞれの断層画像について変形判定部5150が判定した結果を示す情報と、をデータ記憶部120から入力する。
【0198】
ステップS56010において、変形補正部5160は先ず、それぞれの断層画像について変形判定部5150が判定した結果を示す情報を参照して、断層画像群のうち、変形断層画像を特定する。そして特定した変形断層画像群のうち、未だ選択していない変形断層画像を選択変形断層画像として選択する。
【0199】
ステップS56020において、変形補正部5160は、例えば上記非特許文献5に開示されている手法によって、選択変形断層画像の体表面からの深さyに応じた変形量d(y)を推定する。そして、推定結果に基づいて変形を補正した補正断層画像を生成する。
【0200】
なお、補正断層画像を生成する処理は、上述の処理に限定されるものではない。例えば、超音波プローブ5195の圧力による変形を単純な剛体変換(平行移動)であると仮定して、スカラー値である変形量を推定して補正してもよい。または、超音波プローブ5195の圧力による体表面の押し込み量をパラメータとした変形モデルを作成しておき、例えば体表面が滑らかであると仮定した上で押し込み量を推定して、変形モデルに基づいて変形を補正してもよい。本ステップの処理により、変形量d(y)の初期値が推定され、変形が大まかに補正された補正断層画像が生成される。
【0201】
ステップS56030において、変形補正部5160は、ステップS56020の処理によって変形が大まかに補正された補正断層画像と、小変形断層画像群との交差を判定する。交差の判定には、例えば、以下の文献に開示されている、2枚の画像の画素値を比較して交線を探索する方法を用いる。
【0202】
R.F. Chang, W-J. Wu, D-R. Chen, W-M Chen, W. Shu, J-H. Lee, and L-B. Jeng, "3-D US frame positioning using speckle decorrelation and image registration," Ultrasound in Med. & Biol., Vol.29, No.6, pp.801-812, 2003.
そして、小変形断層画像のいずれかと交差していると判定されればステップS56040へと処理を進め、それ以外の場合にはステップS56050へと処理を進める。ステップS56040において、変形補正部5160は、補正断層画像の推定変形量d(y)の更新を、補正断層画像と交差する小変形断層画像を参照して行う。すなわち、両者の交線上にある画素値の類似度が最大となるように、補正断層画像の推定変形量d(y)を繰り返し計算によって更新する。例えば、補正断層画像の推定変形量d(y)に対して1.0に近い数種類の係数を掛け合わせた変形量の候補群を生成し、その候補群の中から類似度が最大となる候補を選択して更新する。そして、求められた推定変形量を用いて補正断層画像を再度生成し、生成された補正断層画像に更新済みのフラグを付加する。以下では、生成された補正断層画像を補正更新断層画像と呼ぶ。
【0203】
ステップS56050において、変形補正部5160は、ステップS56010において全ての変形断層画像を選択したか否かを判定する。係る判定の結果、未だ選択していない変形断層画像がある場合には、ステップS56010へと処理を戻す。一方、全ての変形断層画像を選択した場合には、ステップS56060へと処理を進める。
【0204】
ステップS56060において、変形補正部5160は、更新済みのフラグが付加されていない補正断層画像を選択する。すなわち、小変形断層画像のいずれとも交差しておらず、推定変形量の更新が行われていない補正断層画像を選択する。
【0205】
ステップS56070において、変形補正部5160は、選択された補正断層画像の推定変形量を、補正更新断層画像の推定変形量に基づいて更新する。例えば、選択された補正断層画像の撮影時刻をtとし、t以前の最も近い時刻に撮影された補正更新断層画像の撮影時刻をt1、その推定変形量をd1(y)とする。また、t以降の最も近い時刻に撮影された補正更新断層画像の撮影時刻をt2、その推定変形量をd2(y)とする。このとき、選択された補正断層画像の新たな推定変形量d’(y)を、例えば次式に従って算出する。
【0206】
【数8】

【0207】
なお、推定変形量の更新は上述の方法に限られるものではない。例えば、選択された補正断層画像の更新前の推定変形量d(y)と推定変形量d’(y)との両者に基づいて、両者の平均を取るなどして、新たな推定変形量を算出してもよい。
【0208】
ステップS56080において、変形補正部5160は、更新済みのフラグが付加されていない全ての補正断層画像に対して処理を終えたか否かの判定を行い、処理を終えていない場合にはステップS56060へと処理を戻す。一方、処理を終えているのであればステップS56090へと処理を進める。
【0209】
ステップS56090において、変形補正部5160は、ステップS56000からステップS56080の処理によって得られた補正断層画像群をデータ記憶部5120に格納する。
【0210】
以上の処理によって、変形の少ない小変形断層画像群を手がかりとして、変形断層画像群の変形を効果的に補正することができる。すなわち、小変形断層画像群を、変形の補正を行わずに基準として用いることにより、基準なしで全ての断層画像群の変形を補正する場合よりも変形の影響が軽減された補正断層画像群を得ることができる。
【0211】
次に、図22のフローチャートを用いて、ステップS53040において3次元形状復元部5170が実行する処理の手順を説明する。ステップS57000において、3次元形状復元部5170は、小変形断層画像群と、補正断層画像群と、それらの基準座標系における位置姿勢情報とを、データ記憶部5120から読み出す。
【0212】
ステップS57010において、3次元形状復元部5170は、輝度値配列データを格納するための、例えば256×256×256のボクセルからなるボクセルメッシュを生成する。ボクセルメッシュのサイズは、その内部に全ての断層画像が含まれる大きさにする。そして、ボクセルメッシュ座標系は、例えば、ある断層画像の中央位置を原点として定義し、この原点で互いに直交する3軸を基準座標系と一致するように定義する。
【0213】
ステップS57020において、3次元形状復元部5170は、基準座標系における各断層画像の位置姿勢情報に基づいて、各断層画像の各画素のボクセルメッシュ座標系における位置を算出する。
【0214】
ステップS57030において、3次元形状復元部5170は、輝度値配列データの復元、すなわち、全ボクセルの輝度値の算出を行う。各ボクセルの輝度値は、例えば、注目ボクセルの近傍に位置する複数の画素における輝度値の、ボクセルから各画素までの距離の逆数を重みとした加重平均によって算出する。
【0215】
ステップS57040において、3次元形状復元部5170は、ステップS57030で得られた輝度値配列データを、I/F1009を介して外部へと出力する。あるいは、他のアプリケーションから利用可能な状態としてRAM1002上に格納する。以上説明した処理によって、変形が補正された断層画像群から、歪みの小さな3次元形状データとして輝度値配列データが復元される。
【0216】
以上説明したように、本実施形態によれば、超音波プローブ5195と被検体との接触直後および非接触となる直前の断層画像とそれ以外の断層画像とを異なる方法で処理することで、断層画像群から歪みの小さな3次元形状データを復元することができる。すなわち、本実施形態では、小変形断層画像群を、超音波プローブ5195の圧力による変形が小さいものとして、補正を行わずに基準として用いている。そのため、基準なしで断層画像群の変形を補正する場合よりも、超音波プローブ5195の圧力による変形の影響が軽減された3次元形状データを復元することができる。
【0217】
[第9の実施形態]
第8の実施形態では、3次元形状データとして被検体のボリュームデータ(輝度値配列データ)を復元していたが、本実施形態では、3次元形状データとして、被検体のサーフェスモデル(表面形状モデル)を復元する。以下、本実施形態について、第8の実施形態との相違部分についてのみ説明する。
【0218】
図23を用いて、本実施形態に係る画像処理装置5800の機能構成について説明する。なお、図23において、図18と同じ部分については同じ参照番号を付けており、その説明は省略する。
【0219】
位置姿勢算出部5830は、データ記憶部5120から、基準座標系における超音波プローブ5195の位置姿勢と、予め算出して記憶された超音波プローブ座標系における超音波プローブ5195の接点の位置情報とを読み出す。本実施形態では、図24に示すように、被検体と超音波プローブ5195との接触面の重心位置を接点とする。そして位置姿勢算出部5830は、読み出したこれらの情報に基づいて、基準座標系における接点の位置情報を算出し、算出した位置情報をデータ記憶部5120に格納する。
【0220】
次に、図25に示すフローチャートを用いて、3次元形状復元部5870が上記ステップS53040において行う処理について説明する。ステップS6100において、3次元形状復元部5870は、断層画像の夫々を撮像した時刻における接点の位置情報と、夫々の断層画像についての超音波プローブ5195と被検体との接触判定結果を示す情報とを、データ記憶部5120から読み出す。
【0221】
ステップS6200において、3次元形状復元部5870は、接触の判定結果が切り替わる時点での接点の位置情報に基づいて、被検体表面を表す点群を得る。具体的には、接触した直前および直後の接点の位置を平均して、接触した瞬間の接点の位置を算出する。同様に、非接触となる直前および直後の接点の位置を平均して、非接触となる瞬間の接点の位置を算出する。これらの接点群が被検体表面を表す点群となる。
【0222】
ステップS6300において、3次元形状復元部5870は、被検体表面を表す点群からサーフェスモデルを復元する。例えば、被検体表面を表す点群を頂点とする三角形パッチを生成して、その集合をサーフェスモデルとする。
【0223】
ステップS6400において、3次元形状合成部5870は、ステップS6300で得られたサーフェスモデルを、I/F1009を介して外部へと出力する。あるいは、他のアプリケーションから利用可能な状態としてRAM1002上に格納する。以上説明した処理によって、超音波プローブ5195と被検体との接触の判定結果に基づいて、歪みの小さな3次元形状データとしてサーフェスモデルが復元される。
【0224】
以上の説明により、本実施形態によれば、超音波プローブ5195と被検体との接触判定結果が切り替わる時の超音波プローブ5195の位置姿勢に基づいて、歪みの小さな3次元形状データを復元することができる。すなわち、本実施形態では被検体との接触判定結果が切り替わる時の、超音波プローブ5195の圧力による被検体の変形が小さい時の位置姿勢のみを用いている。そのため、全ての位置姿勢を用いる場合よりも、超音波プローブ5195の圧力による変形の影響が軽減された3次元形状データを復元することができる。
【0225】
[第10の実施形態]
本実施形態に係る画像処理装置は、超音波プローブと被検体との接触圧力が弱い時の断層画像と、それ以外の断層画像とを異なる方法で処理し、断層画像群から歪みの小さな3次元形状データを復元する。本実施形態では、圧力センサ5200を超音波プローブ5195に装着し、超音波プローブ5195と被検体との接触圧力を計測する。また、本実施形態では、3次元形状データとして輝度値配列データを復元する。以下、本実施形態について、第8の実施形態との相違部分についてのみ説明する。
【0226】
図26を用いて、本実施形態に係る画像処理装置5900の機能構成について説明する。なお、図26において、図18と同じ部分については同じ参照番号を付けており、その説明は省略する。
【0227】
データ入力部51110は、超音波プローブ5195が撮像した断層画像を第8の実施形態と同様に取得してデータ記憶部5120に格納すると共に、この断層画像を撮像した時点で圧力センサ5200が計測した圧力値をデータ記憶部5120に格納する。
【0228】
変形判定部51150は、データ記憶部5120から圧力センサ5200による計測値としての圧力値を読み出すと、読み出した圧力値を用いて、それぞれの断層画像が小変形断層画像であるのか変形断層画像であるのかを判定する。具体的には、圧力センサ5200の圧力値が閾値未満である場合には、この圧力値を計測した時点で撮像された断層画像を小変形断層画像と判定し、圧力値が閾値以上である場合には、この圧力値を計測した時点で撮像された断層画像を変形断層画像と判定する。そして、係る判定の結果を、第8の実施形態と同様に、データ記憶部5120に格納する。
【0229】
以上説明したように、本実施形態によれば、超音波プローブ5195と被検体との接触圧力が弱い時の断層画像とそれ以外の断層画像とを異なる方法で処理することで、断層画像群から歪みの小さな3次元形状データを復元することができる。
【0230】
[他の実施形態]
(変形例1)
第8の実施形態以降の夫々において、超音波画像診断装置5190で2次元の断層画像を取得する場合を例に述べたが、医用画像収集装置で取得するデータはこれに限られるものではない。例えば、3次元断層画像の取得が可能な2Dアレイの超音波プローブを用いてもよい。この場合、接触判定部5140による判定処理は、2次元断層画像の場合の処理(図20のフローチャート)を容易に拡張することができる。また、プローブのヘッドが自動でスキャンした範囲の断層画像群を取得する場合であっても、第8の実施形態以降で説明した手法が適用可能である。
【0231】
(変形例2)
第8の実施形態において、超音波プローブ5195と被検体との接触直後および非接触直前の情報とそれ以外の情報とを異なる方法で処理して、断層画像群から歪みの小さな3次元形状データを復元する場合について説明した。しかし、超音波プローブ5195と被検体との接触直後および非接触となる直前の情報が十分にあれば、それ以外の情報は利用しなくてもよい。この場合、変形断層画像の補正は行う必要がなく、小変形断層画像群と、それらの基準座標系における位置姿勢に基づいて、輝度値配列データを復元すればよい。
【0232】
(変形例3)
第8および第9の実施形態において、断層画像の撮像領域のうち、全ての縦ラインの接触状態を表すフラグが0であれば、超音波プローブ5195と被検体とが接触していないと判定し、それ以外の場合は接触していると判定していた。すなわち、断層画像全体が非接触状態か否かを判定していた。しかし、接触の判定方法はこれに限らず、断層画像の部分領域毎に非接触状態か否かを判定してもよい。例えば、図27に示す撮像領域2703のうち、2701で示す部分領域を非接触領域と判定し、それ以外の部分領域を接触領域と判定することができる。
【0233】
ここで、非接触領域の近傍の接触領域については、プローブの圧力による変形が小さいと考えられる。そこで、このような部分領域(以下では、小変形部分領域と呼ぶ)2702を、小変形断層画像と同時に利用して、変形補正部5160における変形の補正処理に利用することができる。小変形部分領域も利用することにより、変形補正部5160における変形の補正の精度を向上させることができる。
【0234】
(変形例4)
第8および第9の実施形態では、断層画像に基づいて超音波プローブ5195と被検体との接触を判定していた。しかし、接触の判定方法はこれに限らず、超音波プローブ5195または被検体に装着した接触センサに基づいて判定してもよい。接触センサを用いる場合には、上記の接触判定部5140が不要となる。
【0235】
(変形例5)
第8および第9の実施形態において、断層画像に基づいて超音波プローブ5195と被検体との接触を判定していた。しかし、接触の判定方法はこれに限らず、位置姿勢センサの計測値に基づいて判定してもよい。予め被検体の形状情報が分かっていれば、超音波プローブ5195と被検体とが接触しているか否かは、位置姿勢センサの計測値と被検体の形状情報に基づいて容易に判定することができる。
【0236】
(変形例6)
第8の実施形態において、位置姿勢センサを用いて超音波プローブ5195の位置姿勢を計測し、断層画像間の位置関係を求めて3次元形状データを復元する方法について説明した。しかし、断層画像間の位置関係を算出する方法はこれに限らず、位置姿勢センサを用いずに算出してもよい。例えば、上記の非特許文献3に開示されている方法によって、断層画像中の画像特徴同士の相関に基づいて断層画像間の位置関係を推定し、3次元形状データを復元してもよい。
【0237】
(変形例7)
第10の実施形態において、超音波プローブ5195と被検体との接接触圧力が弱い時の情報とそれ以外の情報とを異なる方法で処理して、断層画像群から歪みの小さな3次元形状データを復元する場合について説明した。しかし、超音波プローブ5195と被検体との接触圧力が弱い時の情報が十分にあれば、それ以外の情報は利用しなくてもよい。この場合、変形断層画像の補正は行う必要がなく、小変形断層画像群と、それらの基準座標系における位置姿勢に基づいて、輝度値配列データを復元すればよい。
【0238】
(変形例8)
第9の実施形態において、超音波プローブ5195の代わりに、指示部として、例えばペンなどの一般的なポインティングデバイスを用いてもよい。この場合には、ポインティングデバイス座標系における、ポインティングデバイスと被検体との接点の位置を予め算出して記憶しておけば、被検体表面を表す点群を得ることができる。ここでポインティングデバイス座標系とは、ポインティングデバイス上の1点を原点として定義し、この原点で互いに直交する3軸を夫々X軸、Y軸、Z軸として定義した座標系のことを表す。
【0239】
ポインティングデバイスと被検体の接触は、その他の実施形態における変形例4と同様に、ポインティングデバイスまたは被検体に装着した接触センサに基づいて判定すればよい。または、その他の実施形態における変形例5と同様に、位置姿勢センサの計測値と被検体の形状情報に基づいて判定してもよい。または、第10の実施形態と同様に、圧力センサをポインティングデバイスに装着して、被検体との接触圧力が弱い時の位置姿勢センサの計測値のみを利用して3次元形状モデルを復元してもよい。
【0240】
本変形例によれば、ポインティングデバイスによる被検体の変形の影響が軽減された3次元形状モデルを復元することができる。もちろん、第8の実施形態以降の各実施形態及び変形例は、その一部若しくは全部を適宜組み合わせて用いても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部が撮像した被検体の断層画像を取得する手段と、
前記撮像部の位置姿勢情報を取得する手段と、
前記被検体の3次元ボリュームデータを取得する手段と、
前記位置姿勢情報に基づいて、前記3次元ボリュームデータから前記断層画像に対応する断層面の像を取得する手段と、
前記断層面の像と前記断層画像とを合成した合成画像を生成する生成手段と、
前記合成画像を出力する出力手段とを備え、
前記生成手段は、
前記断層画像において撮像不明瞭領域としての領域を特定し、
前記撮像不明瞭領域内の画像を、前記断層面の像において前記撮像不明瞭領域に対応する領域内の画像で置き換えることで、前記断層画像と前記断層面の像とを合成する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記断層画像において撮像不明瞭領域を示すマスク画像を生成し、
前記断層画像において前記マスク画像が示す撮像不明瞭領域内の画像を、前記断層面の像において前記撮像不明瞭領域に対応する領域内の画像で置き換えることで、前記断層画像と前記断層面の像とを合成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記断層画像を構成する各画素について、画素値が低いほど高い値を取る撮像明瞭度を求め、
画素ごとに、前記断層画像と前記断層面の像とを、対応する前記撮像明瞭度が示す比率に応じて合成することで、前記断層画像と前記断層面の像とを合成する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮像明瞭度は、断層画像から順次選択された選択縦ラインを構成する各画素の画素値と閾値との差分をそれぞれの画素について加算した値を、前記閾値と前記選択縦ラインの画素数との積で除した値であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、
前記断層画像を構成する各画素について、画素値が低いほど高い値を取る第1の撮像明瞭度を求め、
前記断層画像内の着目部位領域の直下の領域内の平均画素値と、当該直下の領域の左右に隣接する領域内の平均輝度値との差分を、前記左右に隣接する領域内の平均輝度値若しくは輝度値が取りうる最大輝度値から前記左右に隣接する領域内の平均輝度値を引いた値で除した値を第2の撮像明瞭度として求め、
画素ごとに、前記断層画像と前記断層面の像とを、対応する前記第1の撮像明瞭度及び前記第2の撮像明瞭度に基づいて算出される比率に応じて合成することで、前記断層画像と前記断層面の像とを合成する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、
前記断層画像を構成する各画素について、画素値が低いほど高い値を取る撮像明瞭度を求め、
画素ごとに、前記断層画像と前記断層面の像とを、対応する前記撮像明瞭度と対応する信頼度とに基づく比率に応じて合成することで、前記断層画像と前記断層面の像とを合成し、
前記信頼度は、前記断層面の像を構成する各画素について予め定められた値であり、当該各画素を生成する為に用いた、前記3次元ボリュームデータを構成するボクセルについて予め求めた値である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
更に、
前記出力手段が出力した合成画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記合成画像を表示する際、前記撮像不明瞭領域とそれ以外の領域とを識別可能に表示することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
更に、
前記出力手段が出力した合成画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記合成画像を表示する際、種別ごとの撮像不明瞭領域を識別可能に表示することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
更に、
前記出力手段が出力した合成画像を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記合成画像を構成する各画素を、対応する前記撮像明瞭度と前記信頼度とに基づく値に応じた表示形態でもって表示することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項10】
撮像部が撮像した被検体の断層画像を取得する工程と、
前記撮像部の位置姿勢情報を取得する工程と、
前記被検体の3次元ボリュームデータを取得する工程と、
前記位置姿勢情報に基づいて、前記3次元ボリュームデータから前記断層画像に対応する断層面の像を取得する工程と、
前記断層面の像と前記断層画像とを合成した合成画像を生成する生成工程と、
前記合成画像を出力する出力工程とを備え、
前記生成工程では、
前記断層画像において撮像不明瞭領域としての領域を特定し、
前記撮像不明瞭領域内の画像を、前記断層面の像において前記撮像不明瞭領域に対応する領域内の画像で置き換えることで、前記断層画像と前記断層面の像とを合成する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
撮像部によって撮像された被検体の断層画像を時系列的に取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した断層画像が、前記撮像部が前記被検体と接触した状態で撮像された断層画像であるか否かを判定する判定手段と、
前記取得手段が取得した断層画像群のうち、前記接触の直後の時点で撮像された断層画像及び前記接触が解除される直前の時点で撮像された断層画像をのぞく他の断層画像群の変形を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された断層画像群に基づいて、前記被検体の3次元形状データを生成する生成手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
前記判定手段は、断層画像から縦ラインを選択し、選択した縦ラインを構成する全ての画素の画素値が閾値よりも低いか否かを判定し、低いと判定した場合には前記選択した縦ラインに対するフラグ値を0に設定し、高いと判定した場合には前記選択した縦ラインに対するフラグ値を1に設定し、フラグ値が1である縦ラインが存在する場合には、この断層画像は、前記撮像部と前記被検体との接触圧力が小さい状態で撮像された断層画像であると判定することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記判定手段は、前記撮像部と前記被検体との接触圧力を計測するセンサが計測した圧力値が閾値未満である場合には、この圧力値を計測した時点で撮像された断層画像は、前記撮像部と前記被検体との接触圧力が小さい状態で撮像された断層画像であると判定することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記生成手段は、前記補正手段による補正対象外の断層画像群を更に用いて、前記被検体の3次元形状データを生成することを特徴とする請求項11乃至13の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記3次元形状データは、3次元のボクセルメッシュを構成する各ボクセルに輝度値が格納されたボリュームデータであることを特徴とする請求項11乃至14の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項16】
撮像部によって撮像された被検体の断層画像と、当該撮像部の位置姿勢情報と、を時系列的に取得する手段と、
前記取得手段が取得した断層画像が、前記撮像部が前記被検体と接触した状態で撮像された断層画像であるか否かを判定する判定手段と、
前記接触の直前および直後の時点での前記位置姿勢情報、前記接触が解除される直前および直後の時点での前記位置姿勢情報、を用いて、前記被検体の3次元形状データを生成する生成手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項17】
前記3次元形状データは、被検体表面を表す点群に基づくサーフェスモデルであることを特徴とする請求項16に記載の画像処理装置。
【請求項18】
撮像部によって撮像された被検体の断層画像を時系列的に取得する取得工程と、
前記取得工程で取得した断層画像が、前記撮像部が前記被検体と接触した状態で撮像された断層画像であるか否かを判定する判定工程と、
前記取得工程で取得した断層画像群のうち、前記接触の直後の時点で撮像された断層画像及び前記接触が解除される直前の時点で撮像された断層画像をのぞく他の断層画像群の変形を補正する補正工程と、
前記補正工程で補正された断層画像群に基づいて、前記被検体の3次元形状データを生成する生成工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
撮像部によって撮像された被検体の断層画像と、当該撮像部の位置姿勢情報と、を時系列的に取得する工程と、
前記取得工程で取得した断層画像が、前記撮像部が前記被検体と接触した状態で撮像された断層画像であるか否かを判定する判定工程と、
前記接触の直前および直後の時点での前記位置姿勢情報、前記接触が解除される直前および直後の時点での前記位置姿勢情報、を用いて、前記被検体の3次元形状データを生成する生成工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1乃至9、請求項11乃至17、の何れか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−233961(P2010−233961A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87835(P2009−87835)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】