説明

画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】複数の可逆圧縮機能を搭載する必要がなく、可逆圧縮を巧みに利用して高圧縮を実現することができる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】文字線画、写真及び網点などが混在する原稿の画像から文字線画領域を含む前景マスクを生成し(S201)、文字線画領域以外の領域を含む背景レイヤを生成する。生成した前景レイヤの画素に対して画素が有する色成分を識別する識別子を付与するインデックス化を行い(S202)、識別子が付与された画素の2値画像を可逆圧縮すると共に、背景レイヤを非可逆圧縮する(S206)。また、付与した識別子が所定数を超える場合には、所定の条件に基づいて識別子を所定数以下に集約し、集約した識別子が付与された画素の2値画像を可逆圧縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像を分離してなる前景レイヤと背景レイヤとを夫々圧縮する画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル画像システムが目覚ましい発達を遂げ、デジタル画像処理技術の構築が進んでいる。例えば、電子写真方式又はインクジェット方式を用いた複写機又は複合機などの分野では、文書の原稿がスキャナにより読み取られて電子データである文書ファイルとして保存され、また、保存された文書ファイルが管理されている。更には、文書ファイルを圧縮してe-mailで送信することがなされている。
一般的に、スキャナにより読み取られた画像(以下、スキャナ画像という)はファイルサイズが大きいため、スキャナ画像を蓄積又は伝送するためにスキャナ画像を圧縮することが必須不可欠とされている。このような画像を高圧縮率で圧縮するための圧縮技術の1つとして、Mixed Raster Content(MRC)のような、レイヤ分離に基づく画像圧縮技術が実用化されている。
【0003】
レイヤ分離に基づく画像圧縮技術は、圧縮すべき画像から文字線画領域を含む前景レイヤと、それ以外の領域を含む背景レイヤとに分離し、夫々に適した圧縮技術を用いて前景レイヤと背景レイヤとを圧縮することによって最終的に高圧縮画像を生成するものである(特許文献1参照)。ここで、前景レイヤは、文字線画の領域を含む前景のレイヤであり、一般的に、JBIG(Joint Bilevel Image Group )、MMR(Modified Modified Read code )、ZIP(Phil Katz Zip )、LZW(Lempel Ziv Welch)などの可逆圧縮技術を用いて圧縮される。
一方、背景レイヤは、文字線画の領域以外の領域を画像コンテントとする背景のレイヤであり、一般的に、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の非可逆圧縮技術を用いて圧縮される。
【0004】
非可逆圧縮技術は、圧縮率の制御が簡易であり、圧縮画像の用途に応じてファイルサイズを優先するか、画質を優先するかを調整できるため、文字線画領域以外の領域、即ち印画紙写真などの画像コンテントに対して用いられる。
これに対して、可逆圧縮技術は、圧縮率の制御が難しく、圧縮率を向上させることが困難であるため、文字線画領域に対して用いられる。
【0005】
従来、かかる圧縮技術における圧縮率を向上させるため、複数の圧縮モードを備え、入力原稿に応じて圧縮モードを適宜選択する方法及びこれを実行するための装置が提案された(例えば、特許文献1)。従来の装置は、入力原稿の画像に文字領域が含まれている場合であって減色処理によって画像が1色になるとき、MMRによる可逆圧縮を行い、画像が所定の色数以下になるとき、ZIPによる可逆圧縮を行う。
【特許文献1】特開2004−229261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の装置にあっては、複数の可逆圧縮機能を搭載して制御していたので、ソフトウェアによる処理が複雑になり、圧縮用回路の肥大化するという問題を有している。また、複雑な処理を実行するため、高い能力を必要とするという問題を有している。
【0007】
更にまた、可逆圧縮は、処理可能な色数が限られていたため、多数色の画像を圧縮する場合には、可逆圧縮を諦めてJPEGによる非可逆圧縮を施す必要があり、画質の劣化を招くという問題を有している。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、文字線画、写真及び網点を含む複数の領域が混在する原稿の画像から文字線画領域を含む前景レイヤと文字線画領域以外の領域を含む背景レイヤとを生成し、生成した前景レイヤの画素に対し、画素が有する色成分を識別する識別子を付与して画素の2値画像を可逆圧縮し、生成した背景レイヤに対し、非可逆圧縮するものであって、前景レイヤの画素に付与した識別子が所定数を超える場合には、所定の条件に基づいて識別子を所定数以下に集約し、集約した識別子が付与された画素の2値画像を可逆圧縮することにより、複数の可逆圧縮機能を搭載する必要がなく、可逆圧縮を巧みに利用して高圧縮を実現することができる画像処理装置、この画像処理装置を備える画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この画像処理装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体は、文字線画、写真及び網点を含む複数の領域が混在する原稿の画像を入力し、入力画像を複数のレイヤに分離し、分離した各レイヤを圧縮する画像処理装置において、入力画像から文字線画領域を抽出し、該文字線画領域を含む前景レイヤを生成する前景レイヤ生成部と、前記前景レイヤの画素に、該画素が有する色成分を識別する識別子を付与する索引処理部と、入力画像のうち、文字線画領域以外の領域を含む背景レイヤを生成する背景レイヤ生成部と、前記識別子が付与された画素を2値化した2値画像を生成する2値画像生成部と、2値画像を可逆圧縮し、前記背景レイヤを非可逆圧縮する圧縮処理部とを備え、前記索引処理部は、更に、前記識別子の数が所定数を超えるか否かを判定する判定手段と、前記識別子の数が所定数を超えると判定した場合、入力原稿の種別に応じて各識別子に優先順位を付与し、該優先順位に従って前記識別子を所定数以下に集約する処理手段とを備えることを要件とする。
【0010】
また、この画像形成装置は、上述した画像処理装置と、この画像処理装置により圧縮された画像を形成する画像形成部とを要件とする。
【0011】
この画像処理装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体は、文字線画、写真及び網点を含む複数の領域が混在する原稿の画像から文字線画領域を含む前景レイヤと文字線画領域以外の領域を含む背景レイヤとを生成することにより、原稿画像を各レイヤに分離する。また、生成した前景レイヤの画素に対して画素が有する色成分を識別する識別子を付与することにより、前景レイヤの画素を色成分毎に統合する。また、識別子が付与された画素の2値画像を可逆圧縮することにより、文字領域に対して圧縮率の制御が困難な可逆圧縮を施す。また、背景レイヤを非可逆圧縮することにより、圧縮率の制御が簡易な非可逆圧縮を施す。また、前景レイヤの画素に付与した識別子が所定数を超える場合、所定の条件に基づいて識別子を所定数以下に集約し、集約した識別子が付与された画素の2値画像を可逆圧縮することにより、インデックス化により色成分を統合したにもかかわらず色成分が所定数を超える場合にはこれを集約し、文字領域に対する可逆圧縮を行いやすくする。
【0012】
また、この画像形成装置は、上述した画像処理装置と、この画像処理装置により圧縮された画像を形成する画像形成部とを備えることにより、圧縮された画像データを紙などの記録媒体に形成する。
【発明の効果】
【0013】
開示の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体は、複数の可逆圧縮機能を搭載する必要がないので、ソフトウェアによる複雑な処理と圧縮用回路の肥大化とを回避することができる。また、可逆圧縮を巧みに利用して高圧縮を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体について、その実施の形態を示す図面を用いて説明する。
【0015】
実施の形態1.
実施の形態1では、画像形成装置として、カラー圧縮技術を搭載するデジタルカラー複合機(MFP:Multi-Function Printer)を例に挙げて説明する。図1は実施の形態1における画像処理装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
実施の形態1における画像形成装置は、カラーコピー機能、カラープリント機能及びカラースキャナ機能を有するが、カラーコピー機能及びカラースキャナ機能において圧縮技術を用いる。具体的には、実施の形態1における画像形成装置は、カラーコピー機能又はカラースキャナ機能により得られたカラー画像を圧縮する圧縮技術を有する。
【0017】
更に、実施の形態1における画像形成装置は、圧縮データを外部へ出力するデータ送信機能及びデータ保存機能を有するので、データ送信機能及びデータ保存機能において圧縮技術を用いる。
【0018】
図1に示すように、実施の形態1における画像形成装置は、画像を入力するカラー画像入力装置1と、入力画像を処理するカラー画像処理装置2と、処理済み画像を出力するカラー画像出力装置3と、処理済み画像を送信する送信装置4と、これらを操作するための操作パネル5とを有する。
【0019】
カラー画像入力装置1は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を備えるスキャナ部(図示せず。)を有する。スキャナ部は、原稿からの反射光像をCCDを用いてRGB値のアナログ信号に変換してカラー画像処理装置2へ出力する。尚、RGB値は、Rが赤色、Gが緑色、Bが青色を示す。
【0020】
カラー画像処理装置2は、カラー画像入力装置1から出力されたRGB値のアナログ信号を受け付け、受け付けたRGB値のアナログ信号に自らが有する各部によって順次処理を施し、ストリームとしてカラー画像出力装置3へ出力する。
【0021】
カラー画像処理装置2は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部201と、画像の歪みを除去するシェーディング補正部202と、原稿の種別を判別する原稿種別判定部203と、下地除去やコントラストを調整する入力階調補正部204と、画像を所定領域毎に分離する領域分離処理部205と、CMY3色値のデジタル信号に変更する色補正部206と、CMYK4色値のデジタル信号に変更する黒生成下地除去部207と、画像のぼやけなどを補正する空間フィルタ処理部208と、出力信号に補正する出力階調補正部209と、中間調を生成する階調再現処理部210と、画像を圧縮する圧縮処理部211と、圧縮画像を一時記憶する記憶部212とを有する。各部は、通信線(図示せず。)を介して相互に接続し、CPU(図示せず。)によって制御される。尚、CMY3色値は、Cがシアン、Mがマゼンタ、Yがイエローを示し、CMYK4色値は、更にKが黒を示す。
【0022】
A/D変換部201は、カラー画像入力装置1から出力されたRGB値のアナログ信号受け付け、受け付けたRGB値のアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したRGB値のデジタル信号をシェーディング補正部202へ出力する。
【0023】
シェーディング補正部202は、A/D変換部201から出力されたRGB値のデジタル信号を受け付け、受け付けたRGB値のデジタル信号に対してカラー画像入力装置1の照明系、結像系、撮像系において生じた各種の歪みを取り除く処理を行う。シェーディング補正部202は、処理済みのRGB値のデジタル信号を原稿種別判定部203へ出力する。
【0024】
原稿種別判定部203は、シェーディング補正部202から出力されたRGB値のデジタル信号を受け付け、受け付けたRGB値のデジタル信号、即ちRGBの反射率信号を濃度信号に変換し、変換された濃度信号に基づいて文字、写真、印画紙などの原稿の種別を判別する処理を行う。原稿種別判定部203は、原稿種別を圧縮処理部211へ出力する。但し、原稿種別判定部203は、原稿の種別がユーザにより手動設定されている場合、RGBの反射率信号を濃度信号に変換し、原稿の種別を判別することなく、シェーディング補正部202から受け付けたRGB値のデジタル信号を入力階調補正部204へそのまま出力する。
【0025】
入力階調補正部204は、原稿種別判定部203又はシェーディング補正部202から出力されたRGB値のデジタル信号、即ちRGBの濃度信号に対して、下地色(下地色の濃度成分:下地濃度)の除去やコントラストなどの画質調整処理を施す。入力階調補正部204は、変換したRGB値のデジタル信号を領域分離処理部205へ出力する。
【0026】
領域分離処理部205は、入力階調補正部204から出力されたRGB値のデジタル信号を受け付け、受け付けたRGB値のデジタル信号に基づいて、画像の各画素を文字領域、網点領域及び写真領域のいずれかに分離する。領域分離処理部205は、分離結果に基づいて各画素がいずれの領域に属しているのかを示す領域識別信号を生成して黒生成下地除去部207、空間フィルタ処理部208及び階調再現処理部210へ出力する。また、領域分離処理部205は、入力階調補正部204から出力されたRGB値のデジタル信号を色補正部206及び圧縮処理部211へそのまま出力する。
【0027】
圧縮処理部211は、領域分離処理部205から出力されたRGB値のデジタル信号が示す画像データを圧縮する処理を行う。圧縮処理部211は、圧縮済みの画像データを記憶部212に格納する。圧縮処理部211は、レイヤ分離に基づく画像圧縮を行う。尚、圧縮処理部211の構成及び作用は、後述にて説明する。
【0028】
記憶部212は、例えば、磁気記憶方式のハードディスクが該当し、CPUにより制御される。記憶部212は、CPUが「Scan to e-mail」モードの要求を操作パネル5を介して受け付けた場合、CPUの制御に従い、格納してある画像データを読み出して通信装置4へ出力する。通信装置4は、操作パネル5を介して送信先を受け付けた場合、画像を添付した電子メールを送信先へ送信する。
【0029】
色補正部206は、画像の色再現性の忠実化を図るため、圧縮処理部211から出力されたRGB値のデジタル信号をCMY3色値のデジタル信号に変換する。色補正部206は、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りをデジタル信号から取り除く処理を行う。色補正部206は、処理済みのCMY3色値のデジタル信号を黒生成下地除去部207へ出力する。
【0030】
黒生成下地除去部207は、色補正部206から出力されたCMY3色値のデジタル信号を受け付け、受け付けたCMY3色値のデジタル信号から黒(K)信号を生成する黒生成を行い、黒生成で得たK信号を元のCMY3色値のデジタル信号から差し引いた新たなCMY3色値のデジタル信号を生成する処理を行う。黒生成下地除去部207は、新たなCMY3色値のデジタル信号にK信号を加えてCMYK4色値のデジタル信号に生成し、生成したCMYK4色値のデジタル信号を空間フィルタ処理部208へ出力する。
【0031】
黒生成下地除去処理の一例として、スケルトンブラックによる黒生成の方法を挙げる。この方法において、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)とし、入力データをC、M、Yとし、出力データをC’、M’、Y’、K’とし、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とする場合、これらの関係は、下式1〜4で表すことができる。
【0032】
K’=f{min(C,M,Y)} …(1)
C’=C−αK’ …(2)
M’=M−αK’ …(3)
Y’=Y−αK’ …(4)
【0033】
空間フィルタ処理部208は、黒生成下地除去部207から出力されたCMYK4色値のデジタル信号を受け付け、受け付けたCMYK4色値のデジタル信号が示す画像データに対して領域分離処理部205から受け付けた領域識別信号に基づくデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行う。空間フィルタ処理部208は、空間フィルタ処理によって空間周波数特性を補正して出力すべき画像のぼやけ、粒状性劣化を防ぐ。空間フィルタ処理部208は、処理済みのCMYK4色値のデジタル信号を出力階調補正部209へ出力する。尚、後述の階調再現処理部210も同様にCMYK4色値のデジタル信号に対して領域識別信号に基づく所定の処理を行う。
【0034】
また、空間フィルタ処理部208は、例えば、画像の画素が文字領域を示す領域識別信号を受け付けた場合、黒文字又は色文字の再現性を高めるために鮮鋭強調処理を行い、高周波数の強調量を大きくする。同時に階調再現処理部210は、高周波数の再現に最適な高解像度のスクリーンでの二値化又は多値化処理を行う。
【0035】
また、空間フィルタ処理部208は、例えば、画像の画素が網点領域を示す領域識別信号を受け付けた場合、入力網点成分を除去するためのローパスフィルタ処理を行う。出力階調補正部209は、濃度信号などの信号をカラー画像出力装置3の特性値に基づく出力階調補正処理(ガンマ補正処理)を行う。その後、階調再現処理部210は、画像を各画素に分離して夫々の階調を再現できるようにする中間生成処理を行う。
【0036】
また、空間フィルタ処理部208は、例えば、画像の画素が写真領域を示す領域識別信号を受け付けた場合、空間フィルタ処理を行う。同時に階調再現処理部210は、階調再現性を重視したスクリーンでの二値化又は多値化処理を行う。
【0037】
このように各部により処理されたデジタル信号が示す画像データは、記憶部212に格納され、所定のタイミングで記憶部212から読み出されてカラー画像出力装置3へ出力される。
【0038】
カラー画像出力装置3は、画像データを紙などの記録媒体に出力するものであり、例えば、電子写真方式又はインクジェット方式を用いたプリンタが該当する。尚、実施の形態1にあっては、カラー画像出力装置3としてプリンタを例に挙げて説明している。しかし、本発明にあっては、これに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ、プロジェクターなどであってもよい。
【0039】
送信装置4は、外部の通信網に接続する装置であり、例えば、モデム、ネットワークカードなどが該当する。
【0040】
送信装置4を有する画像形成装置は、ファクシミリ送信を行う場合、相手先との送信手続を行い、送信可能な状態が確保されたとき、記憶部212に記憶してある圧縮済みの画像データを読み出す。画像形成装置は、読み出した画像データに圧縮形式の変更など、必要な処理を施して相手先に順次送信する。
【0041】
一方、ファクシミリ受信を行う場合、画像形成装置は、通信手続を行いつつ、相手先から送信されてくる画像データを受信する。画像形成装置が有するカラー画像処理装置2は、受信した画像データに対して自らが有する圧縮/伸張処理部(図示せず)を用いて伸張処理を施す。カラー画像処理装置2は、伸張した画像データに対し、必要に応じて回転処理、解像度変換処理、出力階調補正及び階調再現処理を施し、処理済みの画像データをカラー画像出力装置3へ出力する。
【0042】
また、送信装置4を有する画像形成装置は、外部の通信網に接続し、通信網に接続する他のコンピュータ又はデジタルカラー複合機に上述した処理済みの画像データを送信する。
【0043】
操作パネル5は、入力原稿の種別、画像形成装置の動作方法を設定する設定ボタン及びテンキー、並びに設定情報を表示する液晶ディスプレイなどを有し、カラー画像入力装置1、カラー画像処理装置2、カラー画像出力装置3及び送信装置4へ信号を出力する。
【0044】
尚、上述した実施の形態では、画像形成装置としてデジタルカラー複合機を例に挙げて説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、画像形成装置がモノクロ複合機であってもよい。図23はグレースキャナを有するモノクロ複合機に該当する画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0045】
図23に示すように、画像形成装置は、モノクロ画像を入力するグレー画像入力装置10と、モノクロ画像を処理するモノクロ画像処理装置11と、処理済みのモノクロ画像を出力するためのモノクロ画像出力装置12と、処理済みのモノクロ画像を送信する送信装置4と、これらを操作するための操作パネル5とを有する。
【0046】
モノクロ画像入力装置10は、グリーン信号(G値の信号)を検出するモノクロ用CCDを備えるスキャナ部を有する。スキャナ部は、原稿からの反射光像をCCDを用いてG値のアナログ信号に変換してモノクロ画像処理装置11へ出力する。
【0047】
モノクロ画像処理装置11は、A/D変換部111と、シェーディング補正部112と、原稿種別判定部113と、入力階調補正部114と、領域分離処理部115と、空間フィルタ処理部116と、出力階調補正部117と、階調再現処理部118と、圧縮処理部119と、記憶部120とを有する。
【0048】
モノクロ画像処理装置11は、スキャナ部から出力されたG値のアナログ信号をA/D変換部111を用いて受け付け、受け付けたG値のアナログ信号をデジタル信号に変換する。モノクロ画像処理装置11は、シェーディング補正部112を用いてG値のデジタル信号に対して各種の歪みを取り除く処理を行い、原稿種別判定部113を用いて原稿の種別を判別し、判別結果を圧縮処理部112へ出力する。但し、原稿種別がユーザにより手動設定されている場合は、原稿の種別を判定することなくG値のデジタル信号をそのまま出力する。次に、入力階調補正部114において、下地の除去やコントラストなどの画質調整処理を施す。モノクロ画像処理装置11は、領域分離処理部115を用いてG値のデジタル信号に基づく画像の各画素を文字領域、網点領域及び写真領域のいずれかに分離し、分離結果を示す領域識別信号を生成し、生成した領域識別信号を空間フィルタ処理部116及び階調再現処理部118へ出力する。モノクロ画像処理装置11は、圧縮処理部119を用いてG値のデジタル信号が示す画像データを圧縮し、圧縮した画像データを記憶部120に記憶する。モノクロ画像処理装置11は、空間フィルタ処理部116を用いて領域識別信号に基づく空間フィルタ処理を行い、出力階調補正部117を用いて出力階調補正を行い、階調再現処理部118を用いて中間調生成処理を行う。なお、モノクロ画像処理装置11には、上述したカラー画像処理装置1が有する色補正部206、黒生成下色除去部207が設けられていない。
【0049】
また、本発明は、画像形成装置がデジタルカラー複合機であってモノクロ画像を出力するようにしてもよい。図24はモノクロ画像出力装置を有する画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0050】
図24に示すように、画像形成装置は、カラー画像を入力するカラー画像入力装置1と、カラー画像を処理するカラー画像処理装置13と、処理済みのカラー画像をモノクロ画像として出力するためのモノクロ画像出力装置12と、処理済みのカラー画像を送信するための送信装置4と、これらを操作するための操作パネル5とを有する。
【0051】
カラー画像入力装置1は、上述したカラー画像入力装置1の構成及び作用が同様であるから、その説明を省略する。
【0052】
カラー画像処理装置13は、A/D変換部131と、シェーディング補正部132と、原稿種別判定部133と、入力階調補正部134と、領域分離処理部135と、色補正部136と、黒生成下地除去部137と、空間フィルタ処理部138と、出力階調補正部139と、階調再現処理部140と、圧縮処理部141と、記憶部142とを有する。
【0053】
カラー画像処理装置13は、スキャナ部から出力されたRGB値のアナログ信号をA/D変換部131を用いて受け付け、受け付けたRGB値のアナログ信号をデジタル信号に変換する。カラー画像処理装置13は、シェーディング補正部132を用いてRGB値のデジタル信号に対して各種の歪みを取り除く処理を行い、原稿種別判定部133を用いて原稿の種別を判別し、判別結果を圧縮処理部141へ出力する。但し、原稿種別がユーザにより手動設定されている場合は、原稿の種別を判定することなくG値のデジタル信号をそのまま出力する。次に、入力階調補正部134において、下地の除去やコントラストなどの画質調整処理を施す。カラー画像処理装置13は、領域分離処理部135を用いてRGB値のデジタル信号に基づく画像の各画素を文字領域、網点領域及び写真領域のいずれかに分離し、分離結果を示す領域識別信号を生成し、生成した領域識別信号を黒生成下地除去部137、空間フィルタ処理部138及び階調再現処理部140へ出力する。カラー画像処理装置13は、圧縮処理部141を用いてRGB値のデジタル信号が示す画像データを圧縮し、圧縮した画像データを記憶部142に記憶する。カラー画像処理装置13は、色補正部136を用いてRGB値のデジタル信号からG値のデジタル信号を抽出し、黒生成下地除去部137で処理を行うことなく通過させる。カラー画像処理装置13は、空間フィルタ処理部138を用いて領域識別信号に基づく空間フィルタ処理を行い、出力階調補正部139を用いて出力階調補正を行う。カラー画像処理装置13は、階調再現処理部140を用いて中間調生成処理を行い、G値のデジタル信号をK値のデジタル信号としてモノクロ画像出力装置12へ出力する。なお、カラー画像処理装置13は、色補正部136を用いてRGB値のデジタル信号からG値のデジタル信号を抽出するのではなく、RGB信号を輝度信号に変換し、輝度信号を用いるようにしても良い。RGB信号を輝度信号に変換するには、例えば、下式5を用いて行えば良い。
【0054】
【数1】

【0055】
次に上述した圧縮処理部211が実行するレイヤ分離に基づく画像圧縮技術について説明する。図2はレイヤ分離に基づく画像圧縮技術を説明するための図、図3は前景レイヤの分解方法を説明するための図である。
【0056】
入力画像は、例えば、白地の上に緑色で描かれた「TEST画像」という太字の単語と、黄緑でべた塗りされた矩形領域と、多彩な色合いが有する風景画とが配された記録シートに関する画像であって、矩形領域には上から下へ黒色、青色、赤色、黒色、茶色の順で描かれた「この画像はTEST画像です。」という細字の一文が配されている。
【0057】
圧縮処理部211は、入力画像を太字の単語及び複数の細字の一文からなる文字線画領域を含む前景レイヤと、文字線画領域以外の領域、即ち風景画の領域を含む背景レイヤとに分離する(図2参照)。
【0058】
圧縮処理部211は、更に、前景レイヤの各画素に、各画素が有する色成分を識別する識別子(インデックス)を付与する索引処理(インデックス化)を行い、インデックス化された前景レイヤを生成する。インデックス化は、色成分毎に異なる識別子を付与し、色情報の集約を図る。言い換えれば、付与された識別子の数は、前景レイヤの画素が有する色数に相当する。
【0059】
圧縮処理部211は、更に、インデックス化された前景レイヤを、文字領域が2値化されることにより黒地に白文字を配してなるマスクと、文字の色情報を示す文字色情報とに分離する(図3参照)。圧縮処理部211は、可逆圧縮技術を用いてマスクを圧縮し、文可逆圧縮技術又は非可逆圧縮技術のいずれかを字色情報を用いて圧縮する。その結果、実施の形態1における画像形成装置は、可逆圧縮技術を用いてインデックス化された前景レイヤを直接圧縮する場合に比し、より高い圧縮率を実現することができる。また、実施の形態1における画像形成装置は、可逆圧縮技術と非可逆圧縮技術とを使い分けるので、複数の可逆圧縮機能を搭載する必要がない。
【0060】
但し、インデックス化により色情報を集約する場合であってもインデックス数が所定数を超え、圧縮効率が大幅に悪化する場合がある。
【0061】
そこで、圧縮処理部211は、インデックス数が所定数を超える場合、原稿種別判定部203から出力された原稿種別に基づいて前景レイヤの画素に付与されたインデックス毎に優先順位を付与し、優先順位の高いインデックスを単独で残し、優先順位の低いインデックスを他のインデックスに統合させるか、又は優先順位の低いインデックスを削除する。その結果、インデックス数を所定数に抑えることができる。そして、圧縮処理部211は、どのような種別の入力原稿であっても、可逆圧縮技術を用いて前景レイヤを圧縮し、非可逆圧縮技術を用いて背景レイヤを圧縮することができ、高圧縮と高画質とを同時に実現することができる。以上、圧縮処理部211が実行するレイヤ分離に基づく画像圧縮技術について説明した。
【0062】
次に上述した原稿種別判定部203の構成及び作用並びに原稿種別判定処理について説明する。原稿種別判定は、原稿種別判定部203により自動判別される場合と、ユーザにより手動設定される場合とがある。そこで、原稿種別判定部203による自動判別の一例を実施例1とし、ユーザによる手動設定の一例を実施例2として以下説明する。
【0063】
実施例1.
図4は原稿種別判定部203の構成を示すブロック図である。原稿種別判定部203は、デジタル信号が示す画像の画素の濃度値を算出する最小濃度値算出部220及び最大濃度値算出部221と、最小及び最大の濃度値の差を算出する最大濃度差算出部222と、隣接する画素の濃度差の和を算出する総和濃度繁雑度算出部223と、最大濃度差と閾値との比較及び濃度差の総和と閾値との比較を行って領域を判別する判定領域設定部224、最大濃度差閾値設定部225及び総和濃度繁雑度閾値設定部226と、文字領域であるか網点領域であるかを判別する文字・網点判定部227及び文字・網点判定閾値設定部229と、下地領域であるか印画紙領域であるかを判別する下地・印画紙判定部228及び下地・印画紙判定閾値設定部230と、文字領域の色を判別する色相判定部231及び色相判定閾値設定部234と、各領域の画素数を計測する文字画素計数部232、網点画素計数部233、下地画素計数部235及び印画紙画素計数部236と、原稿の種別を最終的に判定する原稿判定部237とを有する。各部は、通信線(図示せず。)を介して相互に接続されている。
【0064】
最小濃度値算出部220及び最大濃度値算出部221は、外部からRGB値のデジタル信号を夫々受け付ける。最小濃度値算出部220は、受け付けたRGB値のデジタル信号が示す画像から注目画素を含むn×mのブロックを抽出し、抽出したブロックの最小濃度値を算出する。最大濃度値算出部221は、受け付けたRGB値のデジタル信号が示す画像から注目画素を含むn×mのブロックを抽出し、抽出したブロックの最大濃度値を算出する。最小濃度値算出部220及び最大濃度値算出部221は、算出した最小及び最小の濃度値を最大濃度差算出部222へ出力する。
【0065】
最大濃度差算出部222は、受け付けた最小の濃度値と最大の濃度値との差を算出して判定領域設定部224へ出力する。
【0066】
総和濃度繁雑度算出部223は、外部からRGB値のデジタル信号を受け付ける。総和濃度繁雑度算出部223は、受け付けたRGB値のデジタル信号に基づいて隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度を算出し、算出した総和濃度繁雑度を判定領域設定部224へ出力する。総和濃度繁雑度は、例えば、主走査方向と副走査方向について算出した値の和が該当する。
【0067】
判定領域設定部224は、最大濃度差算出部222から出力された濃度差と、総和濃度繁雑度算出部223から出力された総和濃度繁雑度を受け付ける。判定領域設定部224は、自らに接続する最大濃度差閾値設定部225に記憶してある最大濃度差閾値(以下、「第1閾値」という)を読み出し、読み出した第1閾値と最大濃度差とを比較する。判定領域設定部224は、自らに接続する総和濃度繁雑度閾値設定部226に記憶してある総和濃度繁雑度閾値(以下、「第2閾値」という)を読み出し、読み出した第2閾値と総和濃度繁雑度を比較する。判定領域設定部224は、比較結果に基づいて注目画素が文字・網点領域であるのか、下地・印画紙領域であるのかを判別する。
【0068】
判定領域設定部224は、例えば、比較結果が最大濃度差<第1閾値となるか、総和濃度繁雑度<第2閾値となる場合、注目画素が下地・印画紙領域であると判別し、それ以外の比較結果の場合、注目画素が文字・網点領域であると判別する。
【0069】
判定領域設定部224は、注目画素が下地・印画紙領域であると判別した場合、判別結果、総和濃度繁雑度、最大濃度差及びRGB値のデジタル信号を下地・印画紙判定部228に出力する。また、判定領域設定部224は、注目画素が文字・網点領域であると判別した場合、判別結果、総和濃度繁雑度、最大濃度差及びRGB値のデジタル信号を文字・網点判定部227へ出力する。
【0070】
文字・網点判定部227は、自らに接続する文字・網点判定閾値設定部229に記憶してある文字・網点判定閾値(以下、「第3閾値」という)を読み出し、読み出した第3閾値と、判定領域設定部224から受け付けた総和濃度繁雑度及び最大濃度差とに基づいて注目画素が文字領域であるのか、注目画素が網点領域であるのかを判別する。
【0071】
文字・網点判定部227は、例えば、比較結果が総和濃度繁雑度<(最大濃度差×第3閾値)となる場合、注目画素が文字領域であると判別し、それ以外の比較結果の場合、注目画素が網点領域であると判別する。
【0072】
文字・網点判定部227は、判別結果、総和濃度繁雑度、最大濃度差及びRGB値のデジタル信号を色相判定部231、文字画素計数部232、網点画素計数部233に出力する。
【0073】
下地・印画紙判定部228は、自らに接続する下地・印画紙判定閾値設定部230に記憶してある下地・印画紙判定閾値(以下、「第4閾値」という)を読み出し、読み出した第4閾値と、判定領域設定部224から受け付けた総和濃度繁雑度及び最大濃度差とに基づいて注目画素が下地領域であるのか、注目画素が印画紙領域であるのかを判別する。
【0074】
下地・印画紙判定部228は、例えば、比較の結果が最大濃度差<第4閾値となる場合、注目画素が下地領域であると判別し、それ以外の比較結果の場合、注目画素が印画紙領域であると判別する。
【0075】
下地・印画紙判定部228は、判別結果、総和濃度繁雑度、最大濃度差及びRGB値のデジタル信号を下地画素計数部235又は印画紙画素計数部236に出力する。
【0076】
色相判定部231は、注目画素が文字領域であると判別した場合、RGB値のデジタル信号が示す画像データの色判別を行う。色相判定部231は、RGB値のデジタル信号の基準濃度値(Base Intensity)を下式6により算出する。
【0077】
Base Intensity =(R+G+B)/3 …(6)
但し、RはRGB値のRの画素値、GはRGB値のGの画素値、BはRGB値のBの画素値を示す。
【0078】
色相判定部231は、算出した基準濃度値と、デジタル信号が示す画像データの各色成分(R、G、B)の値とを比較し、各色成分の値が基準濃度値を超えるか否かに基づいて2値化を行う。色相判定部231は、2値化により各色成分(R、G、B)を(HR、HG、HB)の値へ変換する。色相判定部231は、(HR、HG、HB)の値を検出対象となるRGB信号の色相に対応付ける。色相判定部231は、例えば、(HR、HG、HB)=(1、0、0)であるときは色相を赤と判定し、以下、(HR、HG、HB)=(0、1、0)のときは緑、(HR、HG、HB)=(0、0、1)のときは青、(HR、HG、HB)=(0、1、1)のときはシアン、(HR、HG、HB)=(1、0、1)のときはマゼンダ、(HR、HG、HB)=(1、1、0)のときは色相を黄、(HR、HG、HB)=(1、1、1)のときは白、(HR、HG、HB)=(0、0、0)のときは黒として8つの色相を判定する。
【0079】
色相判定部231は、注目画素が文字領域であると判別した場合、文字・網点判定部227から出力された判別結果及びRGB値のデジタル信号を受け付け、8つの色相に属する画素数を夫々計測する。色相判定部231は、色相判定閾値設定部234に記憶してある各色相の画素数に対する閾値(以下、第5〜12閾値で表す)を読み出し、読み出した第5〜12閾値と各色相の画素数とを夫々比較し、「真」の数を計数する。尚、解像度300dpiの画像における6ptの文字は、100〜300画素で構成されるので、1文字を含む注目画素であっても真と判定できるよう、第5〜12閾値は、「300」に設定されることが好ましい。
【0080】
色相判定部231は、第1色相の画素数>第5閾値のとき、変数COLCNTをインクリメントする。同様に、第2色相の画素数>第6閾値のとき、第3色相の画素数>第7閾値のとき、第4色相の画素数>第8閾値のとき、第5色相の画素数>第9閾値のとき、第6色相の画素数>第10閾値のとき、第7色相の画素数>第11閾値のとき、第8色相の画素数>第12閾値のとき、変数COLCNTをインクリメントする。色相判定部231は、変数COLCNTを原稿判定部237へ出力する。
【0081】
文字画素計数部232は、注目画素が文字領域であると判別した場合、文字・網点判定部227から出力された判別結果及びRGB値のデジタル信号を受け付け、文字領域に属する画素数を計数する。文字画素計数部232は、文字領域の画素数を原稿判定部237へ出力する。
【0082】
網点画素計数部233は、注目画素が網点領域であると判別した場合、文字・網点判定部227から出力された判別結果及びRGB値のデジタル信号を受け付け、網点領域に属する画素数を計数する。網点画素計数部233は、網点領域の画素数を原稿判定部237へ出力する。
【0083】
下地画素計数部235は、注目画素が下地領域であると判別した場合、下地・印画紙判定部228から出力された判別結果及びRGB値のデジタル信号を受け付け、下地領域に属する画素数を計数する。下地画素計数部235は、下地領域の画素数を原稿判定部237へ出力する。
【0084】
印画紙画素計数部236は、注目画素が印画紙領域であると判別した場合、下地・印画紙判定部228から出力された判別結果及びRGB値のデジタル信号を受け付け、印画紙領域に属する画素数を計数する。印画紙画素計数部236は、印画紙領域の画素数を原稿判定部237へ出力する。
【0085】
原稿判定部237は、文字画素計数部232、網点画素計数部233、下地画素計数部235及び印画紙画素計数部236から出力された各領域の画素数、及び色相判定部231から出力された変数COLCNTを受け付け、受け付けた各領域の画素数及び変数COLCNTと、予め設定されている下地領域、印画紙領域、網点領域、文字領域及び色文字に対する閾値とを比較して原稿の種別を判定する。以下、下地領域に対する閾値を「第13閾値」と、印画紙領域に対する閾値を「第14閾値」と、網点領域に対する閾値を「第15閾値」と、文字領域に対する閾値を「第16閾値」と、色文字に対する閾値を「第17閾値」と表す。原稿判定部237は、例えば、以下のように原稿の種別を判定する。
【0086】
原稿判定部237は、文字領域の比率が第16閾値以上であり、且つ網点領域の比率が第15閾値以上であると判別した場合、原稿を文字/網点原稿(文字印刷写真原稿)であると判定する。
【0087】
更に原稿判定部237は、変数COLCNTが第17閾値以上であると判別した場合、原稿を文字/網点原稿(色文字原稿)であると判別する。
【0088】
尚、文字領域の比率は、文字領域の画素数を画像の総画素数で除算した値である。また、網点領域の比率は、網点領域の画素数を画像の総画素数で除算した値である。また、第17閾値は、例えば、全色相のうちの50%以上で「真」となるように「4」と設定されることが望ましい。また、色文字原稿とは、色文字が多く含まれた原稿をいい、例えば、文字のみか、文字と印刷写真とを含むか、文字と印画紙写真とを含む場合であってもよい。
【0089】
また、文字、網点及び印画紙写真の順で検出精度が高いので、入力原稿は、例えば、文字領域の比率が30%(第16閾値)以上の場合に文字原稿であると判別し、網点領域の比率が20%(第15閾値)以上の場合に網点領域であると判定し、印画紙領域の比率が10%(第14閾値)以上の場合に印画紙写真原稿であると判定する。
【0090】
原稿種別判定部203は、上述した各部を有することにより以下の処理を実行する。図5及び図6は原稿種別判定部203が実行する原稿種別判定処理の手順を示すフローチャートである。原稿種別判定部203は、外部からRGB値のデジタル信号を受け付け、受け付けたRGB値のデジタル信号が示す画像内のブロックの最大濃度値を算出する(S101)。原稿種別判定部203は、受け付けたRGB値のデジタル信号が示す画像内のブロックの最小濃度値を算出する(S102)。原稿種別判定部203は、算出した最大濃度値と最小濃度値との差である最大濃度差を算出する(S103)。
【0091】
原稿種別判定部203は、RGB値のデジタル信号が示す画像内において隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度を算出する(S104)。原稿種別判定部203は、算出した最大濃度差が第1閾値未満であるか否かを判定し(S105)、最大濃度差が第1閾値以上と判定した場合(S105でNO)、注目画素が文字・網点領域であると判別する(S107)。原稿種別判定部203は、後述するステップS112へ進む。
【0092】
一方、原稿種別判定部203は、最大濃度差が第1閾値未満であると判定した場合(S105でYES)、算出した総和濃度繁雑度が第2閾値未満であるか否かを判定する(S106)。その結果、原稿種別判定部203は、総和濃度繁雑度が第2閾値以上と判定した場合(S106でNO)、注目画素が文字・網点領域であると判別する(S107)。原稿種別判定部203は、後述するステップS112へ進む。
【0093】
一方、原稿種別判定部203は、総和濃度繁雑度が第2閾値未満であると判定した場合(S106でYES)、注目画素が下地・印画紙領域であると判別する(S108)。原稿種別判定部203は、最大濃度差が第4閾値未満であるか否かを判定する(S109)。その結果、原稿種別判定部203は、最大濃度差が第4閾値未満であると判定した場合(S109でYES)、注目画素が下地領域であると判別し、下地領域の画素数を計数する(S110)。原稿種別判定部203は、ステップS115へ進む。
【0094】
一方、原稿種別判定部203は、最大濃度差が第4閾値以上と判定した場合(S109でNO)、注目画素が印画紙領域であると判別し、印画紙領域の画素数を計数する(S111)。原稿種別判定部203は、ステップS115へ進む。
【0095】
原稿種別判定部203は、注目画素が文字・網点領域であると判別した場合(S107参照)、総和濃度繁雑度が最大濃度差と第3閾値との積算値未満であるか否かを判定する(S112)。その結果、原稿種別判定部203は、総和濃度繁雑度が積算値以上と判定した場合(S112でNO)、注目画素が網点領域であると判別し、網点領域の画素数を計数する(S113)。原稿種別判定部203は、ステップS115へ進む。
【0096】
一方、原稿種別判定部203は、総和濃度繁雑度が積算値未満であると判定した場合(S112でYES)、注目画素が文字領域であると判別し、色相判定及び文字領域画素数の計数を並行して実行する(S114)。具体的には、原稿種別判定部203は、文字領域の色相を判定し、判定した色相に属する画素数を夫々計測し、計測した各色相の画素数が第5〜12閾値を超えているときに変数COLCNTの値をインクリメントする。原稿種別判定部203は、ステップS115へ進む。
【0097】
原稿種別判定部203は、各領域の画素数を計数した後、全画素の処理が終了したか否かを判定し(S115)、全画素の処理が終了していないと判定した場合(S115でNO)、ステップS101へ戻り、処理を繰り返す。
【0098】
一方、原稿種別判定部203は、全画素の処理が終了したと判定した場合(S115でYES)、原稿種別を判定し(S116)、処理を終了する。
【0099】
尚、原稿種別判定部203による自動判別は、プレスキャンした画像のみならず、又は記録部212に一時記憶してある画像に対して実行してもよい。
【0100】
実施例2.
ユーザによる手動設定の一例を説明する。ユーザは、操作パネル5を介して原稿に最適と思われる種別を手動設定する。画像処理装置のCPUは、受け付けた種別に従って原稿の種別を判別する。この場合の画像処理装置は、原稿判定部237を備えていなくともよい。以上、原稿種別判定部203の構成及び作用並びに原稿種別判定処理を説明した。
【0101】
次に上述した圧縮処理部211の構成及び作用並びに圧縮処理について説明する。図7は圧縮処理部211の構成を示すブロック図、図8は圧縮処理装置211が実行する圧縮処理の手順を示すフローチャート、図9はインデックステーブルの格納例を示す模式図、図10は前景色インデックス化処理部241が実行する処理の手順を示すフローチャートである。圧縮処理部211は、入力画像から前景マスクを生成する前景マスク生成処理部240と、前景マスクからインデックス化された前景レイヤとインデックステーブルとを生成する前景色インデックス化処理部241と、入力画像から背景レイヤを生成する背景レイヤ生成処理部242と、インデックス化された前景レイヤを2値化する2値画像生成処理部243と、データを圧縮する画像圧縮処理部244とを有する。各部は、通信線(図示せず。)を介して相互に接続されている。
【0102】
圧縮処理装置211は、上述した各部を有することにより以下の処理を実行する。圧縮処理装置211は、図8に示すように、前景マスク生成処理部240を用いて入力画像から前景マスク(インデックス化されていない前景レイヤ)を生成する(S201)。圧縮処理装置211は、前景色インデックス化処理部241を用いて前景マスクから前景レイヤを抽出し、前景レイヤの画像のインデックス化を行い(S202)、インデックステーブルを生成する(S203)。
【0103】
圧縮処理装置211は、背景レイヤ生成処理部242を用いて入力画像から前景の画素(文字領域)を取り除いた穴あきの背景レイヤを生成し、生成した背景レイヤの穴あき領域に対する穴埋め処理を行う(S204)。圧縮処理装置211は、2値画像生成処理部243を用いてインデックス化された前景レイヤの2値画像を生成する(S205)。圧縮処理装置211は、可逆圧縮技術を用いて前景レイヤ(2値画像)、インデックステーブルを圧縮し、非可逆圧縮技術を用いて背景レイヤを圧縮し(S206)、圧縮処理を終了する。
【0104】
上述した処理を実行する圧縮処理装置211の各部を以下詳細に説明する。前景マスク生成処理部240は、入力画像から文字線画領域を含む前景マスクを生成する。具体的には、前景マスク生成処理部240は、入力画像を2値化して文字の画素を抽出することにより、文字線画領域を含む前景マスクを生成する。前景マスク生成処理部240は、入力画像及び抽出した前景マスクを前景色インデックス化処理部241へ出力する。尚、領域分離処理の手順は、上述した原稿種別判定部203が実行する原稿種別判定の手順と同様であるので、その説明を省略する。
【0105】
前景色インデックス化処理部241は、前景マスク生成処理部240から出力された入力画像及び前景マスクを受け付け、受け付けた前景マスクから前景レイヤを抽出し、抽出した前景レイヤの画素をインデックス化する。前景色インデックス化処理部241は、インデックス化された前景レイヤ及びインデックステーブルを生成する。
【0106】
インデックステーブルは、各文字のアドレス、インデックス、最小のX座標値minx、最小のY座標値miny、最大のX座標値maxx、最大のY座標値maxy、文字色(R値、G値、B値)及び画素数を対応付けて格納する(図9(a))。
【0107】
前景色インデックス化処理部241は、インデックステーブル内のデータを更新することにより、前景レイヤの画素に、画素が有する色成分を識別するインデックスを夫々付与する。前景色インデックス化処理部241は、画素の色成分に対して新規のインデックスを付与し、インデックステーブルに登録する。但し、前景色インデックス化処理部241は、インデックステーブルに同一の色成分が登録されていると判断した場合、最も近い色成分に付すべきインデックスを付与する。前景色インデックス化処理部241は、インデックスの付与を繰り返し、全ての画素のインデックス化を行う。
【0108】
尚、インデックステーブルにおいて、インデックスの番号は、アドレスに対応付けられることにより省略されてもよい(図9(b)参照)。また、インデックステーブルは、各座標値、各文字色又は各画素数に分けられて生成されてもよい。
【0109】
前景色インデックス化処理部241は、前景レイヤの画素をインデックス化した後、各
インデックスの統合を行う。ここで原稿種別が色文字原稿であるか否かに応じてインデックスの統合を行う一例を説明する。前景色インデックス化処理部241は、図10に示すように、前景レイヤの画素のインデックス化を行う(S301)。前景色インデックス化処理部241は、全画素についてのインデックス化が終了したか否かを判定し(S302)、インデックス化が終了していないと判定した場合(S302でNO)、ステップS301へ戻り、未処理の画素のインデックス化を行う。
【0110】
一方、前景色インデックス化処理部241は、インデックス化が終了したと判定した場合(S302でYES)、インデックステーブルに登録してあるインデックス数IDXNUMを計測し、インデックス数IDXNUMが閾値TH_IDXNUMを超えるか否かを判定する(S303)。その結果、前景色インデックス化処理部241は、インデックス数IDXNUMが閾値TH_IDXNUM以下であると判定した場合(S303でNO)、処理を終了する。尚、閾値TH_IDXNUMは、例えば、前景レイヤを16枚の2値画像で表現する場合に「16」がセットされるが、高圧縮方式などにより圧縮率を高めたい場合には例えば「4」がセットされてもよい。
【0111】
一方、前景色インデックス化処理部241は、インデックス数IDXNUMが閾値TH_IDXNUMを超えると判定した場合(S303でYES)、原稿種別を受け付け(S304)、受け付けた原稿種別が色文字原稿を示すか否かを判定する(S305)。その結果、前景色インデックス化処理部241は、受け付けた原稿種別が色文字原稿を示していないと判定した場合(S305でNO)、第2最終統合処理を実行し(S306)、処理を終了する。
【0112】
一方、前景色インデックス化処理部241は、受け付けた原稿種別が色文字原稿を示すと判定した場合(S305でYES)、第1最終統合処理を実行し(S307)、処理を終了する。
【0113】
第1及び第2最終統合処理において、前景色インデックス化処理部241は、原稿種別に基づいてインデックスに優先順位を付与し、付与した優先順位の高いインデックスを単独で残し、優先順位の低いインデックスを他のインデックスと統合することにより、インデックス数IDXNUMを閾値TH_IDXNUMに抑える。また、前景色インデックス化処理部241は、優先順位の低いインデックスを前景レイヤから削除することにより、インデックス数IDXNUMを閾値TH_IDXNUMに抑える。例えば、前景色インデックス化処理部241は、最終統合処理の手順を以下のように実行する。
【0114】
前景色インデックス化処理部241は、原稿種別が色文字原稿を示すと判定した場合(図10のS305でYESを参照)、第1最終統合処理を実行して各インデックスの優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、上位から色文字のインデックス、黒文字のインデックス、背景色と類似した色相のインデックス及び背景色との色差が大きいインデックスの順番に優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、画素数にかかわらず、色文字のインデックスの優先順位を上げて単独で残すことにより、小さな文字であっても視認性を向上させる。即ち、文字の読みやすさを優先する。尚、前景色インデックス化処理部241は、インデックスが所定数に収まるよう、色文字のインデックス以外のインデックスを相互に集約して統合する。
【0115】
これに対して、前景色インデックス化処理部241は、原稿種別が色文字原稿以外を示すと判定した場合(図10のS305でNOを参照)、第2最終統合処理を実行して各インデックスの優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、上位から色文字のインデックス、黒文字のインデックス、背景色と類似した色相のインデックス及び背景色との色差が大きいインデックスの順番に優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、画素数にかかわらず、背景色との色差が大きいインデックスの優先順位を最下位とする。前景色インデックス化処理部241は、最下位のインデックスを前景レイヤから削除して背景レイヤとして扱うか、又は最下位のインデックスを色文字のインデックス以外のインデックスに統合することにより、インデックスを所定数に収める。但し、前景色インデックス化処理部241は、インデックスが所定数に収まらない場合、最下位より1つ上位のインデックスを前景レイヤから削除して背景レイヤとして扱うか、又はこのインデックスを色文字のインデックス以外のインデックスに統合する。前景色インデックス化処理部241は、インデックスが所定数に収まるまでこの処理を繰り返す。
【0116】
以上、原稿種別が色文字原稿を示すか否かに応じて前景色インデックス化処理部241がインデックスを統合する一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでない。以下、その他の統合処理例を実施例3〜8として説明する。
【0117】
実施例3.
実施例3における前景色インデックス化処理部241は、原稿種別が色文字以外の文字原稿であると判定した場合、第1最終統合処理を実行して各インデックスの優先順位を変更する。具体的には、前景色インデックス化処理部241は、上位から黒文字のインデックス、色文字のインデックス、背景色と類似した色相のインデックス及び背景色との色差が大きいインデックスの順番に優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、画素数にかかわらず、黒文字のインデックスの優先順位を上げて単独で残すことにより、小さな文字の視認性を向上させる。尚、前景色インデックス化処理部241は、所定値に収まるよう、黒文字のインデックス以外のインデックスを統合する。
【0118】
これに対して、前景色インデックス化処理部241は、原稿種別が文字原稿でないと判定した場合、第2最終統合処理を実行して各インデックスの優先順位を変更する。具体的には、前景色インデックス化処理部241は、上位から黒文字のインデックス、色文字のインデックス、背景色と類似した色相のインデックス及び背景色との色差が大きいインデックスの順番に優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、画素数にかかわらず、背景色との色差が大きいインデックスの優先順位を最下位とする。前景色インデックス化処理部241は、最下位のインデックスを前景レイヤから削除するか、又は最下位のインデックスを黒文字のインデックス以外のインデックスに統合することにより、インデックスを所定数に収める。以上、実施例3について説明した。
【0119】
実施例4.
実施例4における前景色インデックス化処理部241は、原稿種別が網点原稿であると判定した場合、第1最終統合処理を実行して各インデックスの優先順位を変更する。具体的には、前景色インデックス化処理部241は、上位から背景色と類似した色相のインデックス、背景色との色差が大きいインデックス、色文字のインデックス及び黒文字のインデックスの順番に優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、画素数にかかわらず、背景色と類似した色相のインデックスの優先順位を上げて単独で残すことにより、背景色に埋もれて視認性が低下することを回避すると共に、画質の向上を図る。即ち、網点の再現性を高める。尚、前景色インデックス化処理部241は、背景色と類似した色相のインデックス以外のインデックスを統合する。
【0120】
これに対して、前景色インデックス化処理部241は、原稿種別が網点原稿でないと判定した場合、第2最終統合処理を実行して各インデックスの優先順位を変更する。具体的には、前景色インデックス化処理部241は、上位から背景色と類似した色相のインデックス、背景色との色差が大きいインデックス、色文字のインデックス及び黒文字のインデックスの順番に優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、画素数にかかわらず、黒文字のインデックスの優先順位を最下位とする。前景色インデックス化処理部241は、最下位のインデックスを前景レイヤから削除するか、又は最下位のインデックスを背景色と類似した色相のインデックス以外のインデックスに統合することにより、インデックスを所定数に収める。以上、実施例4について説明した。
【0121】
実施例5.
実施例5における前景色インデックス化処理部241は、原稿種別が印画紙写真原稿であると判定した場合、第1最終統合処理を実行して各インデックスの優先順位を変更する。具体的には、前景色インデックス化処理部241は、上位から背景色との色差が大きいインデックス、背景色と類似した色相のインデックス、色文字のインデックス及び黒文字のインデックスの順番に優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、画素数にかかわらず、背景色との色差が大きいインデックスの優先順位を上げて単独で残すことにより、強調される部分を残すことができ、視認性を向上させる。尚、前景色インデックス化処理部241は、所定値に収まるよう、背景色との色差が大きいインデックス以外のインデックスを統合する。また、背景色(Rbg、Gbg、Bbg)とインデックスに対応する色成分(R、G、B)との差異は、例えば、背景色及び対象となるインデックスとの色空間距離を代入した下式7を用いて算出することができる。
【0122】
【数2】

【0123】
これに対して、前景色インデックス化処理部241は、原稿種別が印画紙写真原稿ではないと判定した場合、第2最終統合処理を実行して各インデックスの優先順位を変更する。具体的には、前景色インデックス化処理部241は、上位から背景色との色差が大きいインデックス、背景色と類似した色相のインデックス、色文字のインデックス及び黒文字のインデックスの順番に優先順位を変更する。前景色インデックス化処理部241は、画素数にかかわらず、黒文字のインデックスを最下位とする。前景色インデックス化処理部241は、最下位のインデックスを前景レイヤから削除するか、又は最下位のインデックスを背景色との色差が大きいインデックス以外のインデックスに統合することにより、インデックスを所定数に収める。以上、実施例5について説明した。
【0124】
実施例3〜5にあっては、第2最終統合処理を実行することにより、優先順位が最下位となるインデックスを前景レイヤから削除するか、又はその他のインデックスに統合する例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでない。以下、その他の統合処理について、実施例6〜8として説明する。
【0125】
実施例6.
例えば、第2最終統合処理を実行することにより、所定領域外にある画素に付与されたインデックスの優先順位を最下位とし、インデックスを前景レイヤから削除し、背景レイヤとして扱うようにしてもよい。そこで、実施例6において、この統合処理例を説明する。
【0126】
実施例6における前景色インデックス化処理部241は、注目画素の座標値minx、miny、maxx及びmaxyと、所定領域、即ち前景となる領域の座標値を示す閾値TH_MINX、TH_MINY、TH_MAXX及びTH_MAXYとを夫々比較する。前景色インデックス化処理部241は、比較の結果、注目インデックス(インデックス化された注目画素を示す。以下同じ)が所定領域外にあると判定した場合、更に注目インデックスの画素数が所定の閾値(以下「第18閾値」という)以下であるか否かを判定する。その結果、前景色インデックス化処理部241は、注目インデックスの画素数が第18閾値以下であると判定した場合、該当する注目インデックスに付与されたインデックスの値を「0」として前景レイヤから削除する。即ち、該当する注目インデックスからなる画像は、前景レイヤから削除されて背景レイヤとして圧縮される。
【0127】
例えば、注目インデックスが300dpiのA3原稿の画素数が3,508(画素)×4,961(画素)とした場合であって主走査画素数及び副走査画素数の5%領域に存在する、即ち前景となる領域外に存在するとき、注目インデックスに付与されたインデックスの優先順位を下げるためには、閾値TH_MINXが175と、閾値TH_MINYが248と、閾値TH_MAXXが3,333と、閾値TH_MAXYが4,713と設定されることが好ましい。また、第18閾値を1,500(画素)とした場合、5文字程度の文字群より小さな注目インデックスが削除されることになる。以上、実施例6について説明した。
【0128】
実施例7.
例えば、前景色インデックス化処理部241が第2最終統合処理を実行して注目インデックスの矩形面積が小さく、且つ注目インデックスの画素数が所定の閾値(以下「第19閾値」という)以下である場合、注目インデックスに付与されたインデックスの優先順位を最下位とし、インデックスを前景レイヤから削除し、背景レイヤとして扱ってもよい。そこで、実施例7において、この統合処理例を説明する。
【0129】
実施例7における前景色インデックス化処理部241は、第2最終統合処理を実行して注目インデックスの座標値に基づいて注目インデックスの矩形面積を算出し、算出した矩形面積を分類する。その結果、前景色インデックス化処理部241は、矩形面積が小さく、且つ注目インデックスの画素数が所定の閾値以下であると判定した場合、該当する注目インデックスに付与されたインデックスの値を「0」として前景レイヤから削除する、該当する注目インデックスからなる画像は、前景レイヤから削除されて背景レイヤとして圧縮される。尚、注目インデックスの画素数の判定を行わずに最小の矩形面積をなす注目インデックスに付与されたインデックスを削除するようにしてもよい。以上、実施例7について説明した。
【0130】
実施例8.
更にまた、前景色インデックス化処理部241が第2最終統合処理を実行することにより、画素数が最小の注目インデックスに付与されたインデックスの優先順位を最下位とし、インデックスを前景レイヤから削除し、背景レイヤとして扱ってもよい。そこで、実施例8において、この統合処理例を説明する。
【0131】
実施例8における前景色インデックス化処理部241は、注目インデックスの画素数を分類する。その結果、前景色インデックス化処理部241は、画素数の小さな注目インデックスから順にインデックスの値を「0」として前景レイヤから削除する。即ち、該当する注目インデックスからなる画像は、前景レイヤから削除されて背景レイヤとして圧縮される。以上、実施例8について説明した。上述した実施例6〜8における統合処理の手順について、実施例9〜11に分けて以下説明する。
【0132】
実施例9.
実施例3における黒文字のインデックスの優先順位を上げる第1最終統合処理の手順について説明する。図11は第1最終統合処理の手順の一例を示すフローチャート、図12及び図13は第1最終統合処理の一例を説明するための図である。前景色インデックス化処理部241は、インデックステーブルから黒色成分のインデックスを抽出する(S401)。前景色インデックス化処理部241は、インデックス数IDXNUMが閾値TH_IDXNUMを超過している場合、超過分を変数cntにセット、即ち、cnt=(IDXNUM−TH_IDXNUM)をセットし(S402)、変数cntが0であるか否かを判定する(S403)。その結果、前景色インデックス化処理部241は、変数cntが0である場合(S403でYES)、第1最終統合処理を終了する。
【0133】
一方、前景色インデックス化処理部241は、変数cntが0でないと判定した場合(S403でNO)、黒色成分以外のインデックス同士を統合し(S404)、変数cntをデクリメント(cnt=cnt−1)する(S405)。前景色インデックス化処理部241は、ステップS403へ戻り、処理を繰り返す。
【0134】
前景色インデックス化処理部241は、例えば、閾値TH_IDXNUMが4と設定されている場合であって前景レイヤのインデックス数IDXNUMが8のとき(図12参照)、インデックス数IDXNUMが閾値TH_IDXNUMを超えるので(図10のS303でYESを参照)、最終統合処理を行う。前景色インデックス化処理部241は、黒色成分以外のインデックス同士を統合するため、以下の方法を用いる。
【0135】
図21はインデックステーブルの格納例を示す模式図、図22は統合後のインデックステーブルの格納例を示す模式図である。前景色インデックス化処理部241は、分離した8つのマスクについてのインデックステーブルを図21のように生成した場合、生成時のインデックス数IDXNUM=8であるから、閾値TH_IDXNUM=4になるまで統合処理を繰り返す。前景色インデックス化処理部241は、上位から黒文字のインデックス、色文字のインデックス、背景色と類似した色相のインデックス及び背景色との色差が大きいインデックスの順番に優先順位を変更するので、最上位となる黒文字のインデックス「2」(図21参照)を残し、その他のインデックスを統合する。前景色インデックス化処理部241は、各インデックスの色差を比較して閾値以内であると判定したときに該当するインデックスを統合する。前景色インデックス化処理部241は、インデックスの統合に合わせてインデックステーブルを更新する(図22参照)。
【0136】
このように、前景色インデックス化処理部241は、黒文字のインデックスの優先順位を上げたので、黒文字のインデックスを単独で残し、優先順位の低い、黒文字以外のインデックス同士を統合して集約することができ(図13参照)、最終的にインデックス数IDXNUMを4にできる。以上、実施例9について説明した。
【0137】
実施例10.
実施例6における所定領域外に存在する画素に付与されたインデックスの優先順位を下げる第2最終統合処理の手順について説明する。図14及び図15は第2最終統合処理の手順の一例を示すフローチャート、図16は第2最終統合処理の一例を説明するための図である。前景色インデックス化処理部241は、注目インデックスの座標値を所定の閾値と夫々比較することにより、前景となる領域外に注目インデックスが存在すると判定した場合、注目インデックスに付与されたインデックスの優先順位を最下位にする。即ち、実施例6における第2最終統合処理は、所定領域外に存在する注目インデックスを前景レイヤから削除するフローである。前景色インデックス化処理部241は、前景レイヤから削除した注目インデックスを背景レイヤとして扱う。
【0138】
前景色インデックス化処理部241は、インデックス数IDXNUMを変数iにセット、即ち、i=IDXNUMをセットし(S501)、インデックス数IDXNUMが閾値TH_IDXNUMを超過している場合、超過分を変数cntにセット、即ち、cnt=(IDXNUM−TH_IDXNUM)をセットする(S502)。前景色インデックス化処理部241は、変数iが0であるか否かを判定し(S503)、変数iが0であると判定した場合(S503でYES)、第2最終統合処理を終了する。
【0139】
一方、前景色インデックス化処理部241は、変数iが0でないと判定した場合(S503でNO)、更に変数cntが0であるか否かを判定する(S504)。その結果、前景色インデックス化処理部241は、変数cntが0であると判定した場合(S504でYES)、第2最終統合処理を終了する。
【0140】
一方、前景色インデックス化処理部241は、変数cntが0でないと判定した場合(S504でNO)、注目インデックスの座標値maxyが閾値TH_MINY未満であるか否かを判定する(S505)。その結果、前景色インデックス化処理部241は、注目インデックスの座標値maxyが閾値TH_MINY未満であると判定した場合(S505でYES)、注目インデックスが入力原稿の領域A、即ち前景となる領域外であると判断する(図16参照)。前景色インデックス化処理部241は、該当する注目インデックスに付与されたインデックスの値を「0」にセットし(S506)、変数cntをデクリメント(cnt=cnt−1)する(S507)。前景色インデックス化処理部241は、変数iをデクリメント(i=i−1)し(S508)、ステップS503へ戻り、処理を繰り返す。
【0141】
一方、前景色インデックス化処理部241は、注目インデックスの座標値maxyが閾値TH_MINY以上であると判定した場合(S505でNO)、第1条件及び第2条件を同時に満たすか否かを更に判定する(S509)。ここで第1条件は、注目インデックスの座標値maxxが閾値TH_MINX未満であるか、又は座標値minxが閾値TH_MAXXを超えるかのいずれかを満たすことであり、第2条件は、座標値minyが閾値TH_MINY以上であるか、又は座標値maxyが閾値TH_MAXY以下であるかのいずれかを満たすことである。その結果、前景色インデックス化処理部241は、第1条件及び第2条件を同時に満たすと判定した場合(S509でYES)、注目インデックスが入力原稿の領域B、即ち前景となる領域外であると判断する(図16参照)。前景色インデックス化処理部241は、該当する注目インデックスに付与されたインデックスの値を「0」にセットし(S506)、変数cntをデクリメント(cnt=cnt−1)する(S507)。前景色インデックス化処理部241は、変数iをデクリメント(i=i−1)し(S508)、ステップS503へ戻り、処理を繰り返す。
【0142】
一方、前景色インデックス化処理部241は、第1条件及び第2条件のいずれかを満たしていないと判定した場合(S509でNO)、注目インデックスの座標値minyが閾値TH_MAXYを超えるか否かを更に判定し(S510)、座標値minyが閾値TH_MAXYを超えると判定した場合(S510でYES)、注目インデックスが入力原稿の領域C、即ち前景となる領域外であると判断する(図16参照)。前景色インデックス化処理部241は、該当する注目インデックスに付与されたインデックスの値を「0」にセットし(S506)、変数cntをデクリメント(cnt=cnt−1)する(S507)。前景色インデックス化処理部241は、変数iをデクリメント(i=i−1)し(S508)、ステップS503へ戻り、処理を繰り返す。
【0143】
一方、前景色インデックス化処理部241は、座標値minyが閾値TH_MAXY以下であると判定した場合(S510でNO)、入力原稿の前景となる領域内に注目インデックスが存在すると判断し(図16参照)、変数cntをデクリメント(i=i−1)し(S508)、ステップS503へ戻り、処理を繰り返す。
【0144】
その結果、前景色インデックス化処理部241は、該当する注目インデックスに付与されたインデックスの値を「0」として前景レイヤから削除する。以上、実施例10について説明した。
【0145】
実施例11.
実施例7における最小の矩形面積をなす注目インデックスに付与されたインデックスの優先順位を下げる第2最終統合処理の手順について説明する。図17は第2最終統合処理の手順の一例を示すフローチャートである。前景色インデックス化処理部241は、注目インデックスの矩形面積を算出し、算出した矩形面積を分類する。その結果、前景色インデックス化処理部241は、矩形面積が小さく、且つ画素数が所定閾値以下となる注目インデックスに付与されたインデックスの優先順位を最下位にする。即ち、実施例11における第2最終統合処理は、最小の矩形面積をなす注目インデックスを前景レイヤから削除するフローである。前景色インデックス化処理部241は、前景レイヤから削除した注目インデックスを背景レイヤとして扱う。
【0146】
前景色インデックス化処理部241は、注目インデックスの座標値に基づいて注目インデックスの矩形面積を算出し(S601)、算出した矩形面積を分類する(S602)。前景色インデックス化処理部241は、変数iにインデックス数IDXNUMをセット、即ち、i=IDXNUMをセットし(S603)、インデックス数IDXNUMが閾値TH_IDXNUMを超過している場合、超過分を変数cntにセット、即ち、cnt=(IDXNUM−TH_IDXNUM)をセットする(S604)。前景色インデックス化処理部241は、変数iが0であるか否かを判定し(S605)、変数iが0であると判定した場合(S605でYES)、第2最終統合処理を終了する。
【0147】
一方、前景色インデックス化処理部241は、変数iが0でないと判定した場合(S605でNO)、更に変数cntが0であるか否かを判定し(S606)、変数cntが0であると判定した場合(S606でYES)、第2最終統合処理を終了する。
【0148】
一方、前景色インデックス化処理部241は、変数cntが0でないと判定した場合(S606でNO)、注目インデックスの画素数が第19閾値、即ち、閾値TH_PIXNUM未満であるか否かを判定する(S607)。その結果、注目インデックスの画素数が閾値TH_PIXNUM以上であると判定した場合(S607でNO)、変数iをデクリメント(i=i−1)とし(S610)、ステップS605へ戻り、処理を繰り返す。
【0149】
一方、前景色インデックス化処理部241は、注目インデックスの画素数が閾値TH_PIXNUM未満であると判定した場合(S607でYES)、該当する注目インデックスに付与されたインデックスに0をセットし(S608)、変数cntをデクリメント(cnt=cnt−1)する(S609)。前景色インデックス化処理部241は、更に変数iをデクリメント(i=i−1)し(S610)、ステップS605へ戻り、処理を繰り返す。
【0150】
その結果、前景色インデックス化処理部241は、該当する注目インデックスに付与されたインデックスを前景レイヤから削除する。以上、実施例11について説明した。
【0151】
前景色インデックス化処理部241は、原稿種別がユーザにより手動設定されている場合(実施例2参照)、ユーザにより選択入力された原稿種別(文字形式、文字写真形式、写真形式又は地図形式など)を操作パネル5を介して受け付け、受け付けた原稿種別を用いて第1及び第2最終統合処理を行う。第1及び第2最終統合処理の手順は、上述した自動判別された原稿種別を用いた第1及び第2最終統合処理の手順と同様であるので、その説明を省略する。
【0152】
背景レイヤ生成処理部242は、前景色インデックス化処理部241から出力された入力画像、前景レイヤ及びインデックステーブルを受け付け、受け付けた入力画像から前景の画素を取り除いて背景レイヤを生成する。背景レイヤ生成処理部242は、背景レイヤの圧縮率を向上させるため、前景の周辺にある背景画素を用いて背景レイヤの穴埋め処理を行う。背景レイヤ生成処理部242は、原則として背景画素の平均値を用いて背景レイヤの穴あき領域を埋めるが、近傍に背景画素が存在していない場合、近傍する他の穴あき領域に対する穴埋め処理結果を用いて背景レイヤの穴埋め処理を行う。
【0153】
2値画像生成処理部243は、背景レイヤ生成処理部242から出力された背景レイヤ、前景レイヤ及びインデックステーブルを受け付け、受け付けた前景レイヤ及びインデックステーブルに基づいて各インデックスの2値画像を出力する。図18は2値画像生成処理を説明するための図である。2値画像生成処理部243は、例えば、インデックスの値が「4」となる注目インデックスを「1」とし、インデックスの値が「4」以外の注目インデックスを「0」として出力することにより、前景レイヤへの2値画像生成処理を行う(図18参照)。
【0154】
画像圧縮処理部244は、2値画像生成処理243から出力された背景レイヤ、前景レイヤ(2値画像)及びインデックステーブルを受け付け、受け付けた各レイヤを適切な圧縮技術を用いて圧縮する。画像圧縮処理部244は、前景レイヤ、インデックステーブル及び2値画像をMMRなどの可逆圧縮技術を用いて圧縮し、背景レイヤをJPEGなどの非可逆圧縮技術を用いて圧縮する。
【0155】
尚、上述した実施の形態1にあっては、インデックス数IDXNUMが閾値TH_IDXNUMを超える場合、インデックスを集約するか、又は削除する一例を説明する。しかし、本発明は、これに限定されることなく、例えば、インデックスを集約するか、削除するか又は何も行わないかをユーザが手動で選択できるようにしてもよい。この場合、ユーザは、操作パネル5が有する「画質優先」、「ファイルサイズ優先」などの設定ボタンを用いて入力する。
【0156】
また、上述した実施の形態1は、モノクロ複合機に該当する画像形成装置(図23参照)の内容について、「原稿種別判定部203」を「原稿種別判定部113」と、「圧縮処理部211」を「圧縮処理部119」と夫々読み替えて説明する。
【0157】
また、上述した実施の形態1は、モノクロ画像を出力するデジタルカラー複合機に該当する画像形成装置(図24参照)の内容について、「原稿種別判定部203」を「原稿種別判定部133」と、「圧縮処理部211」を「圧縮処理部141」と夫々読み替えて説明する。
【0158】
このように、実施の形態1における画像形成装置にあっては、インデックス数IDXNUMが所定の閾値を超える場合、インデックスに優先順位を付与し、付与した優先順位の高いインデックスを単独で残し、優先順位の低いインデックスを他のインデックスと統合するか、又は優先順位の低いインデックスを前景レイヤから削除することにより、インデックス数IDXNUMを抑えることができる。
【0159】
従って、実施の形態1における画像形成装置にあっては、複数の可逆圧縮技術を必要とせず、また色数が所定の閾値を超える場合であっても、入力画像をJPEGにより直接圧縮する必要はない。即ち、本発明は、色数が多い原稿について圧縮方式を変更していた従来と異なり、原稿に適した形態にてインデックスの最終統合処理を行い、所定の色数に抑えることができるため、どのような入力原稿に対しても、可逆圧縮技術を用いて前景レイヤを圧縮し、非可逆圧縮技術を用いて背景レイヤを圧縮することができる。また、入力原稿をJPEGにより直接圧縮しないので、画質の劣化を招くことはない。また、実施の形態1における画像形成装置にあっては、複数の可逆圧縮機能を搭載する必要がないので、これらを制御及び実行する回路の規模の肥大化を抑えることができる。以上、実施の形態1について説明した。
【0160】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、画像形成装置がデジタルカラー複合機である一例を説明したが、本発明は、これに限定されることなく、例えば、フラッドヘッドスキャナであってもよい。そこで、実施の形態2では、画像形成装置がフラッドヘッドスキャナである一例を説明する。図19は実施の形態2における画像処理装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0161】
図19に示すように、フラッドヘッドスキャナは、画像を入力するカラー画像入力装置1と、入力画像を処理するカラー画像処理装置6と、これらを操作するための操作パネル5とを有する。
【0162】
カラー画像入力装置1は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を有するスキャナ部(図示せず。)を有する。スキャナ部は、CCDを用いて原稿からの反射光像をRGB値のアナログ信号に変換することにより原稿を読み取ってカラー画像処理装置6へ出力する。
【0163】
カラー画像処理装置6は、カラー画像入力装置1から出力されたRGB値のアナログ信号を受け付け、受け付けたRGB値のアナログ信号を自らが有する各部にて順次処理してストリームとして出力する。
【0164】
カラー画像処理装置6は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部601と、画像の歪みを除去するシェーディング補正部602と、原稿の種別を判別する原稿種別判定部603と、下地除去やコントラストを調整する入力階調補正部604と、画像を所定領域毎に分離する領域分離処理部605と、画像を圧縮する圧縮処理部606とを有する。各部は、通信線(図示せず。)を介して相互に接続し、CPU(図示せず。)によって制御される。
【0165】
A/D変換部601は、カラー画像入力装置1から受け付けたRGB値のアナログ信号をデジタル信号に変換するものであり、変換したRGB値のデジタル信号をシェーディング補正部602へ出力する。
【0166】
シェーディング補正部602は、A/D変換部601から出力されたRGB値のデジタル信号を受け付け、受け付けたRGB値のデジタル信号に対してカラー画像入力装置1の照明系、結像系、撮像系にて生じた各種の歪みを取り除くための処理を施すものである。シェーディング補正部602は、処理済みのRGB値のデジタル信号を原稿種別判定部603へ出力する。
【0167】
原稿種別判定部603は、シェーディング補正部602から出力されたRGB値のデジタル信号を受け付け、受け付けたRGB値のデジタル信号、即ちRGBの反射率信号を濃度信号に変換し、変換された濃度信号に基づいて文字、写真、印画紙などの原稿の種別を判別する処理を行う。原稿種別判定部603は、原稿種別を圧縮処理部606へ出力する。但し、原稿種別判定部603は、原稿の種別がユーザにより手動設定されている場合、RGBの反射率信号を濃度信号に変換し、原稿の種別を判別することなく、シェーディング補正部602から受け付けたRGB値のデジタル信号を入力階調補正部604へそのまま出力する。
【0168】
入力階調補正部604は、原稿種別判定部603又はシェーディング補正部602から出力されたRGB値のデジタル信号、即ちRGBの濃度信号に対して下地色(下地色の濃度成分:下地濃度)の除去やコントラストなどの画質調整処理を施す。入力階調補正部604は、変換したRGB値のデジタル信号を領域分離処理部605へ出力する。
【0169】
領域分離処理部605は、入力階調補正部604から出力されたRGB値のデジタル信号に基づいて、画像の各画素を文字領域、網点領域、及び写真領域のいずれかに分離する。領域分離処理部605は、分離の結果に基づいて、画素がいずれの領域に属しているのかを示す領域識別信号を生成し、入力階調補正部604から入力されたRGB値のデジタル信号をそのまま圧縮処理部606へ出力する。
【0170】
圧縮処理部606は、領域分離処理部605から出力されたRGB値のデジタル信号が示す画像データを圧縮する処理を行う。圧縮処理部606は、圧縮済みの画像データを記憶部(図示せず)に格納する。
【0171】
記憶部は、例えば、磁気記憶方式のハードディスクが該当し、CPUにより制御される。記憶部は、操作パネル5を介して受け付けた「Scan to e-mail」モードの要求をCPUが受け付けた場合、CPUの制御に従い、格納してある画像データを読み出して出力する。
【0172】
その他のハードウェアの作用については、実施の形態1で示すハードウェアと同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0173】
尚、上述した実施の形態2では、画像形成装置がフラッドヘッドスキャナである一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されることなく、例えば、デジタルスチルカメラ又はデジタルビデオカメラであってもよい。画像形成装置が有するハードウェア及びハードウェアの作用については、実施の形態2で示すハードウェアと同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。以上、実施の形態2について説明した。
【0174】
実施の形態3.
上述した実施の形態では、画像形成装置がデジタルカラー複合機、フラッドヘッドスキャナなどの専用機である一例を説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、カラー画像入力装置及びカラー画像出力装置を接続した、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータであってもよい。汎用コンピュータは、画像処理装置に該当し、コンピュータプログラムに従って上述した各種処理を行う。そこで、実施の形態3では、コンピュータプログラムに従って処理を実行する汎用コンピュータの一例を説明する。図20は実施の形態3における画像処理装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0175】
コンピュータプログラムは、汎用コンピュータに上述した処理を実行させるための実行形式プログラム、中間コードプログラム又はソースプログラムである。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体Mに記録されている。その結果、コンピュータプログラムは、汎用コンピュータの設置場所への持ち運びが自在になる。
【0176】
記録媒体Mは、例えば外部記憶装置801に挿入して読み書きがなされるプログラムメディアが該当する。プログラムメディアは、例えば、磁気テープ又はカセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスク、ハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、MD(Minidisk)、DVDなどの光ディスク系又はメモリカードを含むICカード及び光カード系が該当する。また、記録媒体Mは、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体素子であってもよい。
【0177】
汎用コンピュータであるカラー画像処理装置8は、記録媒体Mの内容を読取る外部記憶装置801と、通信網に接続するための通信部802と、各種データを記憶する補助記憶装置803と、メモリ804と、ユーザによる操作を受け付ける操作部805と、画像を入力する入力インタフェース806と、画像を出力する出力インタフェース807と、これらを制御すると共に、各種処理を行うCPU800とを有する。
【0178】
外部記憶装置801は、挿入口(図示せず。)を有し、挿入口に記録媒体Mが挿入されたとき、挿入された記録媒体Mに記録してあるプログラムを読み取って補助記憶装置803へ出力する。
【0179】
通信部802は、例えば、ネットワークカード又はモデムなどが該当する。通信部802は、インタネット又はイントラネットなどの通信網に接続する。通信部802は、通信網に接続する他の汎用コンピュータから転送されたプログラムを受信したとき、受信したプログラムを補助記憶装置803へ出力する。
【0180】
補助記憶装置803は、例えば、ハードディスクなどの磁気記憶方式の記憶装置である。補助記憶装置803は、外部記憶装置801又は通信部802から出力されたプログラム並び入力インタフェース806から出力された入力画像を受け付けて記憶する。補助記憶装置803は、記憶してあるプログラム又は入力画像を適宜読み出してメモリ804へ出力する。
【0181】
メモリ804は、補助記憶装置803から出力されたプログラム又は各種データを一時的に記憶してCPU800へ適宜出力する。メモリ804は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)が該当する。
【0182】
操作部805は、上述した操作パネル5と同様の構成及び作用を有するので、その説明を省略する。
【0183】
入力インタフェース806は、カラー画像入力装置7に接続し、カラー画像入力装置7から出力された入力画像を受け付けて補助記憶装置803へ出力する。カラー画像入力装置7は、スキャナ、デジタルスチルカメラ又はデジタルビデオカメラが該当する。またカラー画像入力装置7は、上述したカラー画像入力装置1の構成と同様の構成及び作用を有するので、その説明を省略する。
【0184】
出力インタフェース807は、カラー画像出力装置9に接続し、後述するCPU800にて処理された画像を示す信号、例えばCMYK値のデジタル信号をカラー画像出力装置9へ出力する。またカラー画像出力装置9は、カラー画像出力装置3の構成と同様の構成及び作用を有するので、その説明を省略する。
【0185】
CPU800は、補助記憶装置803に記憶してあるプログラムに従って上述したカラー画像処理装置2が実行する処理と同様の処理を実行する。即ち、CPU800は、プログラムに従うことにより、A/D変換部201(又は601)、シェーディング補正部202(又は602)、原稿種別判定部203(又は603)、入力階調補正部204(又は604)、領域分離処理部205(又は605)、色補正部206、黒生成下地除去部207、空間フィルタ処理部208、出力階調補正部209、階調再現処理部210又は圧縮処理部211(又は606)と同様の機能を有する。以上、実施例3について説明した。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】実施の形態1における画像処理装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】レイヤ分離に基づく画像圧縮技術を説明するための図である。
【図3】前景レイヤの分解方法を説明するための図である。
【図4】原稿種別判定部の構成を示すブロック図である。
【図5】原稿種別判定部が実行する原稿種別判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】原稿種別判定部が実行する原稿種別判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】圧縮処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】圧縮処理部が実行する圧縮処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】インデックステーブルの格納例を示す模式図である。
【図10】前景色インデックス化処理部が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第1最終統合処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】第1最終統合処理の一例を説明するための図である。
【図13】第1最終統合処理の一例を説明するための図である。
【図14】第2最終統合処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】第2最終統合処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】第2最終統合処理の一例を説明するための図である。
【図17】第2最終統合処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図18】2値画像生成処理を説明するための図である。
【図19】実施の形態2における画像処理装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図20】実施の形態3における画像処理装置を備える画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図21】インデックステーブルの格納例を示す模式図である。
【図22】統合後のインデックステーブルの格納例を示す模式図である。
【図23】グレースキャナを有するモノクロ複合機に該当する画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図24】モノクロ画像出力装置を有する画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0187】
1 カラー画像入力装置
2 カラー画像処理装置
201 A/D変換部
202 シェーディング補正部
203 原稿種別判定部
204 入力階調補正部
205 領域分離処理部
206 色補正部
207 黒生成下地除去部
208 空間フィルタ処理部
209 出力階調補正部
210 階調再現処理部
211 圧縮処理部
212 記憶部
220 最小濃度値算出部
221 最大濃度値算出部
222 最大濃度差算出部
223 総和濃度繁雑度算出部
224 判定領域設定部
225 最大濃度差閾値設定部
226 総和濃度繁雑度閾値設定部
227 文字・網点判定部
228 下地・印画紙判定部
229 文字・網点判定閾値設定部
230 下地・印画紙判定閾値設定部
231 色相判定部
232 文字画素計数部
233 網点画素計数部
234 色相判定閾値設定部
235 下地画素計数部
236 印画紙画素計数部
237 原稿判定部
240 前景マスク生成処理部
241 前景色インデックス化処理部
242 背景レイヤ生成処理部
243 2値画像生成処理部
244 画像圧縮処理部
3 カラー画像出力装置
4 送信装置
5 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字線画、写真及び網点を含む複数の領域が混在する原稿の画像を入力し、入力画像を複数のレイヤに分離し、分離した各レイヤを圧縮する画像処理装置において、
入力画像から文字線画領域を抽出し、該文字線画領域を含む前景レイヤを生成する前景レイヤ生成部と、
前記前景レイヤの画素に、該画素が有する色成分を識別する識別子を付与する索引処理部と、
入力画像のうち、文字線画領域以外の領域を含む背景レイヤを生成する背景レイヤ生成部と、
前記識別子が付与された画素を2値化した2値画像を生成する2値画像生成部と、
2値画像を可逆圧縮し、前記背景レイヤを非可逆圧縮する圧縮処理部と
を備え、
前記索引処理部は、更に、
前記識別子の数が所定数を超えるか否かを判定する判定手段と、
前記識別子の数が所定数を超えると判定した場合、入力原稿の種別に応じて各識別子に優先順位を付与し、該優先順位に従って前記識別子を所定数以下に集約する処理手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記優先順位の低い識別子を他の識別子に統合させるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記優先順位の低い識別子を削除するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記文字線画領域の黒色成分を有する画素に付与された識別子の優先順位を高くするようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記文字線画領域の色成分を有する画素に付与された識別子の優先順位を高くするようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記処理手段は、前記背景レイヤの色相に類似する色成分を有する画素に付与された識別子の優先順位を高くするようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記処理手段は、前記背景レイヤとの色差が大きい色成分を有する画素に付与された識別子の優先順位を高くするようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記処理手段は、前記前景レイヤのうち、所定領域外にある画素に付与された識別子の優先順位を低くするようにしてあることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記処理手段は、同一の色成分を有する隣合う画素がなす面積を夫々算出し、最小面積をなす画素に付与された識別子の優先順位を低くするようにしてあることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の画像処理装置と、
該画像処理装置により圧縮された画像を形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
文字線画、写真及び網点を含む複数の領域が混在する原稿の画像を入力し、入力画像を複数のレイヤに分離し、分離した各レイヤを圧縮する画像処理方法において、
入力画像から文字線画領域を抽出し、該文字線画領域を含む前景レイヤを生成し、
前記前景レイヤの画素に、該画素が有する色成分を識別する識別子を付与し、
入力画像のうち、文字線画領域以外の領域を含む背景レイヤを生成し、
前記識別子が付与された画素を2値化した2値画像を生成し、
2値画像を可逆圧縮し、前記背景レイヤを非可逆圧縮し、
前記識別子の数が所定数を超えるか否かを判定し、
前記識別子の数が所定数を超えると判定した場合、入力原稿の種別に応じて各識別子に優先順位を付与し、該優先順位に従って前記識別子を所定数以下に集約することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、文字線画、写真及び網点を含む複数の領域が混在する原稿の画像を入力し、入力画像を複数のレイヤに分離し、分離した各レイヤを圧縮させるコンピュータプログラムにおいて、
入力画像から文字線画領域を抽出し、該文字線画領域を含む前景レイヤを生成させるステップと、
前記前景レイヤの画素に、該画素が有する色成分を識別する識別子を付与させるステップと、
入力画像のうち、文字線画領域以外の領域を含む背景レイヤを生成させるステップと、
前記識別子が付与された画素を2値化した2値画像を生成させるステップと、
2値画像を可逆圧縮し、前記背景レイヤを非可逆圧縮させるステップと、
前記識別子の数が所定数を超えるか否かを判定させるステップと、
前記識別子の数が所定数を超えると判定した場合、入力画像の種別に応じて各識別子に優先順位を付与し、該優先順位に従って前記識別子を所定数以内に集約させるステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のコンピュータプログラムを記憶してあることを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−45537(P2010−45537A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207384(P2008−207384)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】