説明

画像処理装置、電源切り替え制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】 動作部と共通の外部電源からの電力供給を受ける蓄電手段を補助電源として用いる際、補助電源を有効に利用できるようにし、従来に比べ省電力効果を高める。
【解決手段】 処理中の印刷ジョブにおける最終紙が印刷処理を抜けたことを検知し、印刷の終了を確認し(S101)、DC電源を今までの商用電源から補助電源に切り替える(S102)。補助電源から供給される電力を用いて、省エネモードへ移行するときに行う立ち下げ処理の動作を実行し(S103)、立ち下げ処理後このフローによる処理を終了する。このフローにより、負荷において大きな電力を必要とし、変換効率の高いときに蓄えた電力を、小さな電力しか必要としない電源供給状態で行う立ち下げ処理の動作に用いるように、DC電源を切り替える制御を行うことで、全体として電力の損失を少なくし、省電力化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理要求に応じて、画像データをもとにプリント出力等の画像出力を行う複写機、プリンタ、MFP(複合機)、ファクシミリ等の画像処理装置に関し、より詳しくは、画像処理装置が動作に用いる外部電源により充電される蓄電装置からの供給電力により省電力化を図るようにした画像処理装置、前記外部電源と蓄電装置の間で電源を切り替える制御を行う電源切り替え制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への意識の高まりから、プリンタ、MFP等の画像処理装置においても、省電力を高い目標のもとに実現することが求められている。
この種の画像処理装置では、従来から処理すべきジョブのないアイドル状態において、ユーザーI/F(インターフェース)、ネットワークI/F等を通して行われる入力に応答する制御部に必要な電源を除き、プリントエンジン等の他の動作部に供給される電源を停止する省電力(以下、「省エネルギー」もしくは「省エネ」ともいう)動作を行っている。
【0003】
また、上記省電力動作を外部電源(商用電源)のオン・オフで行う場合、外部電源オフ時に、キャパシタ等の蓄電手段を補助電源として用いる方法が知られている。
この補助電源を用いる方法については、特許文献1(特許第4336318号公報)が提案されている。特許文献1には、補助電源への充電電力の供給を、制御系の回路への電力の供給と共通の商用電源からの電源によって行い、省エネモードにおいては、商用電源からの電力供給を停止し、省エネモードで動作が必要な制御系の回路に対し、補助電源に充電された電力を供給する構成が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、補助電源に充電された電力のこれまでの利用形態は、例示した従来例に示すように、省エネモードの動作に用いるという発想しかなく、このため省電力効果をそれほど高めることができない。というのは、省エネモードの動作に移行する際の立ち下げ処理時における電源の変換効率はよくなく、変換効率のよくない状態で供給される電力が補助電源の充電に用いられるからである。
従来、こうした利用形態によって生じる省電力効果の低下に注目し、解決策が提案されるということはなかった。
【0005】
本発明は、外部電源から充電電力の供給を受ける蓄電手段を補助電源として用いる画像処理装置に生じる上述の従来技術の問題に鑑みてなされたもので、その解決課題は、上記補助電源を有効に利用できるようにし、従来技術によるよりも省電力効果を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、供給停止の制御が可能な外部電源により動作する制御手段と、前記外部電源により充電され、補助電源として利用する蓄電手段を有する画像処理装置であって、前記制御手段は、画像処理を終了する際に行う立ち下げ処理の開始前に前記外部電源の供給停止の制御を行うとともに、前記蓄電手段を放電することにより供給される電源により制御動作を維持する電源切り替え制御を行うことを特徴とする。
本発明は、供給停止の制御が可能な外部電源により動作する制御手段と、前記外部電源により充電され、補助電源として利用する蓄電手段を有する画像処理装置における前記外部電源と補助電源の間で電源を切り替える制御を行う電源切り替え制御方法であって、画像処理を終了する際に行う立ち下げ処理の開始前に前記外部電源の供給停止の制御を行うとともに、前記蓄電手段を充電から放電に切り替え、前記蓄電手段からの放電により供給される電源により前記制御手段の動作を維持するよう電源の切り替え制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蓄電手段を補助電源として用いる画像処理装置において、従来技術によるよりも省電力効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る画像処理装置の実施形態としての画像形成装置の構成の概要を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置に装備した定着器の構成を示す図である。
【図3】図1の画像形成装置に係るDC電源供給制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図4】AC/DC変換における電力と変換効率の関係の1例を示す線図である。
【図5】制御部が省エネモードへの移行時に行う動作の手順(実施形態1)を示すフロー図である。
【図6】制御部が省エネモードへの移行時に行う動作の手順(実施形態2)を示すフロー図である。
【図7】制御部が省エネモードへの移行時に行う動作の手順(実施形態3)を示すフロー図である。
【図8】制御部が省エネモードへの移行時に行う動作の手順(実施形態4)を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る画像処理装置の実施形態を説明する。
本実施形態は、省電力動作を行う電子写真方式の画像形成装置(複写機、プリンタ、複合機等)に係る。
本実施形態では、外部電源として商用電源を用いて、電源を必要とする動作部へ電力を供給するが、供給する電力の一部は商用電源のACからDCに変換される。変換されたDC電源は、制御部等の動作電力として直接使用されるほか、補助電源としての蓄電手段(例えば、キャパシタ)を充電するために使用される。
この商用電源からのDCへの変換は、変換効率が使用電力によって変わる(後記、図5、参照)。このため、本実施形態では、同じ電力を得るのに、低い変換効率による時間を短く、高い変換効率による時間を長くすることで、省電力を図ることができ、この原理に従って供給するDC電源を切り替える制御をする。
【0010】
具体的には、高い変換効率のときに補助電源の蓄電手段に充電した電力を低い変換効率のときに使用し、つまり、低い変換効率による時間を短く、高い変換効率による時間を長くする方法をとることで、全体として省電力化を図ることができる。
なお、上記のように用いられる蓄電手段は、例えば、従来から省エネモードとして行われている、機器が使用される可能性の低い状態にある場合に商用電源の供給停止の制御を行う省電力動作において、省エネモードの間、最低限必要なDC電源を所定の動作部に供給するために採用される蓄電手段が好適な実施対象である。
【0011】
ただ、この実施形態の手法は、従来技術における、立ち下げ処理時における変換効率のよくない状態で変換し供給されるDC電源を補助電源の充電に用いることが省電力にならない、という問題を解決するための手法であり、省エネモードの動作とは必ずしも関係なく、同様の状況の下にDC電源の供給を受けて充電をする蓄電手段を機器の補助電源として用いるどのような場合にも、適用できるものである。
省電力を意図して行う本実施形態のDC電源切り替え制御について、以下、添付図を参照して説明するが、この電源切り替え制御の詳細な説明に先立ち、先ず、本実施形態の画像形成装置の概要を説明する。
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の概要を示す図である。
ここでは、図1を参照して、画像形成に直接係る動作部を主に本画像形成装置に係る動作部の構成及びその動作の概要を説明する。なお、同図には、電子写真方式で画像を形成するタンデムタイプのカラー画像形成装置を例示するが、カラー機は単なる一実施形態であり、モノクロ機でもよい。また、電子写真方式以外の画像形成方式であってもよい。
また、画像形成装置のDC電源を必要とする動作部への電源供給を制御する制御系の構成については、後記[DC電源供給制御系の構成]にて説明する。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト5に沿ってカラー成分の色数のAIO(All In One)カートリッジが並べられた構成を備える。なお、AIOカートリッジとは、電子写真プロセス部を一体化したモジュールで、交換部品として扱えるようにしたものである。
中間転写ベルト5は、エンドレスのベルトで、ここでは反時計方向に(図1中、矢示にて示す)回転し、回転方向の上流側から順に、各カラー成分色のAIOカートリッジ6Bk、6M、6C、6Yが配列され、所謂、タンデムタイプの構成をなす。
これら複数のAIOカートリッジ6Bk、6M、6C、6Yの中、6Bkはブラックの画像を、6Mはマゼンダの画像を、6Cはシアンの画像を、6Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
ただし、各AIOカートリッジは形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。したがって、以下の説明では、AIOカートリッジ6Bkについて具体的に説明するが、他のAIOカートリッジ6M、6C、6Yについては、後述するAIOカートリッジ6Bkの説明を参照することとし、説明を省略する。
【0014】
中間転写ベルト5は、回転駆動される2次転写駆動ローラ7と転写ベルトテンションローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。2次転写駆動ローラ7は、不図示の駆動モータにより回転駆動され、この駆動モータと、2次転写駆動ローラ7と、転写ベルトテンションローラ8とが、中間転写ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
電子写真プロセス部としてのAIOカートリッジ6Bkは、ドラム外周を感光面とした感光体9Bk、この感光体9Bkの周囲に配置された帯電器10Bk、露光器11、現像器12Bk、クリーナーブレード13Bk、等から構成されている。
露光器11は、各AIOカートリッジ6Bk、6M、6C、6Yが形成するカラー成分色に対応する露光光であるレーザ光14Bk、14M、14C、14Yを照射するように構成されている。
【0015】
画像形成に際し、感光体9Bkの外周感光面は、暗中にて帯電器10Bkにより一様に帯電された後、ブラック画像に対応した画像データで点灯制御されるレーザ光源を有する露光器11から射出するレーザ光14Bkにより露光され、外周感光面に静電潜像が形成される。現像器12Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化する、即ち、感光体9Bk上にブラックのトナー画像を形成する。
この形成されたトナー画像は、感光体9Bkと中間転写ベルト5とが接する位置(1次転写位置)で、1次転写ローラ15Bkの働きにより中間転写ベルト5上に転写される。この転写により、中間転写ベルト5上にブラックのトナーによる画像が形成される。
トナー画像の転写が終了した感光体9Bkは、外周面に残留した不要なトナーをクリーナーブレード13Bkにより払拭された後、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、AIOカートリッジ6Bkでブラックのトナー画像は、中間転写ベルト5によって次のAIOカートリッジ6Mに搬送される。
【0016】
AIOカートリッジ6Mでは、AIOカートリッジ6Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体9M上にマゼンタのトナー画像を形成し、そのトナー画像は、中間転写ベルト5上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
中間転写ベルト5は、さらに下流のAIOカートリッジ6C及び6Yへと次々に搬送され、同様の動作により、感光体9C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体9Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、中間転写ベルト5上に重畳されて転写される。こうして、中間転写ベルト5上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね合わされた画像が形成された中間転写ベルト5は、2次転写ローラ16の位置まで搬送される。
なお画像形成に際して、ブラックのみの印刷の場合は1次転写ローラ15M、15C、15Yは、それぞれ感光体9M、9C、9Yから離間された位置に退避し、前述の画像形成プロセスをブラックの場合のみ行なう。
【0017】
画像形成時の用紙搬送動作の際、給紙トレイ1に収納された印刷用紙(以下、単に「用紙」という)4は、上のものから給紙ローラ2を反時計回りに回転駆動することにより順に送り出され、レジストローラ3の位置にて待機する。
レジストローラ3の駆動開始は、中間転写ベルト5により搬送されるトナー画像と2次転写ローラ16上で、トナー画像と用紙4の位置が重なり合うタイミングで行なわれる。この時、レジストローラ3は反時計方向に回転駆動することで用紙4を送り出す。
【0018】
レジストローラ3にて送り出された用紙4は、2次転写ローラ16にて中間転写ベルト5上のトナー画像を用紙4に転写した後、定着器17(後記で詳述)にてトナー画像を熱および圧力にて定着し、反時計回りに回転駆動された排紙ローラ18にて画像形成装置100の外部に排紙される。
両面印刷を行なう場合は、用紙4が排紙ローラ18を通過する手前で、排紙ローラ18を時計回りに回転駆動し、用紙4を両面搬送経路22に搬送する。両面搬送経路22に搬送された用紙4は両面ローラ19を経由し、再びレジストローラ3まで搬送される。レジストローラ3に到達した用紙4は再びレジストローラ3から再給紙され、2次転写ローラ16にて先ほどと逆側の用紙面にトナー画像を転写後、定着器17にてトナー画像を熱および圧力にて定着し、反時計回りに回転駆動された排紙ローラ18にて画像形成装置の外部に排紙される。
【0019】
〈定着器の構成〉
図1の画像形成装置100の全体構成に示した定着器17について、説明を加える。
図2は、図1のカラー画像形成装置100に装備した定着器17の構成を示す図である。
図2に示すように、定着器17は、定着ローラ27、加圧ローラ28、前記定着ローラ27内に設けた加熱用のヒータ29,30及び定着ローラ27の表面に設けた温度を検出するサーミスタ31を有する。なお、加熱用のヒータ29,30は、ACヒータ29とDCヒータ30の2要素よりなる。
定着ローラ27と加圧ローラ28とは、圧接した状態で回転可能であり、定着ローラ27と加圧ローラ28を回転させることにより、定着ローラ27内のヒータ29,30で発生する熱を加圧ローラ28に供給し温めて、用紙上のトナーを定着しながら、図2中の矢印の方向に用紙を搬送する。
【0020】
ヒータ29,30は、サーミスタ31が検出した温度に応じて前記定着ローラ27の表面温度が目標温度になるように点灯/消灯(オン/オフ)制御される。前記目標温度は、印刷要求時には定着に最適な温度を設定するほか、省電力動作においても、待機温度(目標温度)を保つようにヒータ29,30のオン/オフ制御を行う。
なお、本実施形態では、後述するように、商用電源から補助電源への電源切り替え制御における切り替えタイミングを、定着器17の温度に応じて変更する。このためにも、定着ローラ27の表面に設けた温度を検出するサーミスタ31の検出結果が利用される。
【0021】
[DC電源供給制御系の構成]
上記画像形成装置1(図1)におけるDC電源の供給制御をする制御系(以下「DC電源供給制御系」という)の構成について説明する。
図3は、本実施形態の画像形成装置に係るDC電源供給制御系の概略構成を示すブロック図である。なお、図3中における電源線は、信号線よりも太目の線(例えば、商用電源32から伸びる線)で表している。
図3に実施形態として示すDC電源供給制御系は、画像形成装置全体の制御を司るメインコントローラとしての制御部40が構成する制御系の一部をなし、商用電源のACから各負荷で使用する電源であるDCへ変換し、供給する電源回路、DC電源の供給を受ける補助電源としての蓄電手段、負荷を構成要素として有する。よって、DC電源供給制御系の制御動作には、補助電源に係る切り替え制御を含む。
【0022】
DC電源供給制御系は、図3に示すように、電源回路部33、補助電源部50、制御部40、各種センサ47、定着部49の各要素を有する。
なお、制御部40は、メインコントローラとして機能するので、上記各要素のほか、操作パネル60、画像形成部48及び用紙搬送部46を制御下におき、印刷ジョブを受付けてから印刷を終了するまでのジョブを管理し、また印刷ジョブの無いときに省エネモードへ移行して印刷ジョブの発生に対応する省電力動作等の機器の動作を管理する。
【0023】
電源回路部33は、商用電源32を制御信号によりON/OFFするAC入力開閉部35と、AC入力開閉部35を通し入力されるAC電源(以下単に「AC」ともいう)をDC生成回路部36等のACを用いる各負荷に出力するAC回路部34と、AC回路部34を通し入力されるACから負荷で用いるDC電源(以下単に「DC」ともいう)を生成するDC生成回路部36と、DC生成回路部36で生成したDCを制御部40等のDCを用いる各負荷に出力するDC出力部37と、DC出力部37を通して入力されるDCを制御信号によりON/OFFし補助電源部50へ出力するDC出力開閉部38と、DC出力部37を通して入力されるDCを制御信号によりON/OFFし定着部49へ出力する定着用出力開閉部39を構成要素として有する。
【0024】
補助電源部50は、蓄電手段としてのキャパシタなどの蓄電素子よりなり、電源回路部33のDC出力開閉部38を通して入力されるDCを充電に用いる。なお、本実施形態に用いる蓄電手段としてのキャパシタは、大容量電力を蓄積することが望ましく、キャパシタバンクが好適である。キャパシタバンクは、電気二重層コンデンサよりなる蓄電セル複数個を直列に接続した構成で、本実施形態の動作に適応する性能を有する。
また、補助電源部50は、出力側に制御信号によりON/OFFし、放電によりDCを制御部40及び定着部49へ出力する出力開閉部51を有する。なお、この実施形態では、一つの出力開閉部51により制御部40及び定着部49への出力をON/OFFしているが、制御部40、定着部49それぞれに出力開閉部を設けてもよい。また、補助電源部50の充電電圧を検出する電圧検出部52を設け、検出結果をキャパシタなどの蓄電素子の動作を管理し、制御を行う制御部40に通知する。
【0025】
制御部40は、メインコントローラとして機能する。本実施形態では、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)43、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)41、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)44、外部I/F45の各要素で構成するコンピュータをハードウェアとして有する。
ROM42には、本実施形態に係るDC電源供給制御等の電源制御を実現するためのプログラムを含め、画像形成装置100が持つ機能を実現するためのプログラムが格納され、CPU43はROM42に格納された前記プログラムを読み取って実行する。RAM41は、プログラムを実行するときに必要なデータを格納するためのワークメモリとして使用される。
【0026】
また、制御部40は、外部I/F45を介して、制御の対象とする動作部である、上述のDC電源供給制御に係る電源回路部33、補助電源部50、定着部49のサーミスタ及び補助電源部50の電圧検出部52、並びに用紙搬送部46、各種センサ47、画像形成部48及び操作パネル60との制御データ(信号)等のデータ交換を行う。なお、DC電源供給制御の制御動作については、後記で制御手順を示すフロー図をもとに詳述する。また、制御部40は、ホスト装置とデータ交換を行うための手段として、図示していないが、ネットワークI/Fを有していてもよい。
ASIC44は、外部I/F45を介して制御対象の動作部を制御するために必要なデータ(信号)を生成する。
【0027】
定着部49は、図3に示したように、DC電源で駆動するDCヒータ30(図2)を有しており、このヒータへは、補助電源部50と電源回路部33のどちらからも電源が供給可能であり、制御部40により電源供給が制御される。
画像形成部48は、図1に示した電子写真方式で用紙に転写する画像を形成する手段であり、制御部40により動作が制御される。
用紙搬送部46は、トレイから用紙を給紙し、機外へ用紙を搬送する手段であり、制御部40により動作が制御される。
【0028】
次に、上記DC電源供給制御系(図3)が省電力を意図して行う動作の実施形態について、説明する。
DC電源供給制御系を上述の構成とし、制御部40からの制御により、商用電源32から変換したDCを負荷へ直接供給する状態から補助電源部50に蓄電した電源を供給する状態へDC電源を切り替えるタイミング及び商用電源32から変換したDCによって補助電源部50の蓄電を行うタイミングを選ぶことができるので、高い変換効率のときに補助電源の蓄電手段に充電した電力を低い変換効率のときに使用することが可能になり、意図した省電力化が可能になる。
【0029】
ここで、商用電源32のACから負荷で用いるDCを生成するDC生成回路部36における変換効率について説明する。
図4は、DC生成回路部36のAC/DC変換における電力と変換効率の関係の1例を示す線図である。図4の線図は、定格出力Wrに達しない低電力で出力するときには、変換効率は100%より低く、出力電力が大きくなるに連れて単純に変換効率が上がり、定格出力Wrで100%となる、同図示の曲線で表される関係であることを示している。
よって、定着部49や制御部40で必要とされる電力が大きい時(図4中、W1にて示す)と、小さい時(図4中、W2にて示す)で比較した場合、W1の時のほうが変換の効率が高く、電力を効率的に蓄えることができる。そのため、使用電力がW1の時に蓄えた電力を使用電力がW2の時の動作に用いることで、全体として電力の損失を少なくし、省電力が図れる。
【0030】
上記の省電力を意図して行うDC電源の切り替えは、本実施形態では、印刷ジョブを終了し、処理すべき印刷ジョブがなくなったときに遷移する省エネモードへの移行時とし、移行の際に行う立ち下げ処理を、商用電源32から直接供給されていたDCから補助電源部50の蓄電されたDCに電源を切り替え、切り替えた電源を用いて行う。
即ち、使用電力が少なくて済む省エネモードへ移行するための立ち下げ処理を開始するタイミングで、商用電源32の供給停止の制御を行うとともに、補助電源部50に蓄電された電力を放電することにより供給される電源により制御動作を維持する電源切り替え制御を行う。
なお、上記省エネモードは、例えば、印刷ジョブがなくなり、定着温度を下げた状態で待機する状態もしくはさらに定着温度を下げてスリープ(休眠)する状態をとる動作モードである。
【0031】
したがって、本実施形態は、継続する印刷ジョブの有無を判断し、無いと判断したときに基本的には商用電源OFFをするので、そのときから省エネモードが始まっている。つまり、商用電源32のみが供給されるACヒータ29(図2)等の動作部は駆動を停止する。
また、印刷ジョブが無いので、DC電源を必要とする画像形成部48や用紙搬送部46等で用いる駆動モータ(不図示)への電源供給は行われていないので、DCの使用電力が少ない状態となっている。
よって、この時期をとらえて、上述のDC電源の切り替えを行い、切り替えた補助電源部50に蓄電された電力により立ち下げ処理を行い、その電源のまま省エネモードの動作を保ち続けることになる。
【0032】
ここで、省エネモードへの移行時に制御部40が行うDC電源の切り替え等の上述の動作の手順をフロー図により説明する。
以下には、[実施形態1]として基本動作手順を、また、[実施形態2]〜[実施形態4]として、[実施形態1]の基本動作手順に付加条件を考慮した実施形態を示す。
【0033】
[実施形態1]
本実施形態は、制御部40が省エネモードへの移行時に基本動作として行う、商用電源OFF・DC電源切り替え動作及び立ち下げ処理の手順を示すものである。
図5は、本実施形態において、制御部が省エネモードへの移行時に行う動作の手順を示すフロー図である。このフローは、メインコントローラとして機能する制御部40が、省エネモードへの移行制御を行う際に、その一環として行う動作である。
【0034】
図5のフローによると、先ず印刷の終了を確認する(ステップS101)。この確認は、例えば、処理中の印刷ジョブにおける最終紙、即ち、ページ単位で順に画像形成プロセスを経て処理される印刷ジョブが途切れた状態になるとき最後に処理される用紙が、2次転写ローラ16を抜けたか否かを確認することによる。最終紙の2次転写ローラ16の通過は、このローラの出口に設けた用紙有無の検知センサ(図3の各種センサ47の1つ)の出力により用紙の通過を知り、通過時における後続する印刷ジョブの有無を調べることにより判断することができる。
ステップS101で印刷の終了が確認できなければ、つまり、未処理部分があれば(ステップS101-NO)、引き続き印刷を行うので、直ちにこのフローを抜ける。
【0035】
ステップS101で印刷の終了が確認できれば(ステップS101-YES)、印刷終了後に電源を今までの商用電源から補助電源に切り替える(ステップS102)。
この電源の切り替えは、電源回路部33のAC入力開閉部35を開き、商用電源32の供給を停止(商用電源OFF)することで、これまでDC出力部37を通して行っていた負荷(制御部40、定着部49)へのDC電源の供給を止め、また、同時に補助電源部50の出力開閉部51を閉じ、補助電源部50のキャパシタからの放電を行い、蓄電したDCを前記負荷に供給することで、DC電源の切り替えを行う。
【0036】
次に、DC電源の切り替えにより補助電源部50から供給される電力を用いて、省エネモードへ移行するときに行う立ち下げ処理の動作を実行する(ステップS103)。なお、省エネモードへ移行時に行う立ち下げ処理そのものは、既存の技術であり、ここでは詳述しないが、例えば、スリープ状態をとる省エネモードとして、制御部の全部或いは一部の電源供給を停止する動作を行う場合、省エネモードからの復帰時に現状を再現するために、移行直前の機器の設定等の情報を一旦不揮発性の記憶手段に保存する処理等を行う。
立ち下げ処理を済ませて、このフローによる処理を終了する。
上記のように、図5のフローの処理手順を行うことにより、負荷において大きな電力を必要とし、変換効率の高いときに蓄えた電力を、小さな電力しか必要としない電源供給状態で行う立ち下げ処理の動作に用いるように、DC電源を切り替える制御を行うことで、全体として電力の損失を少なくし、省電力化を図ることができる。
【0037】
[実施形態2]
この実施形態は、商用電源をOFFし省エネモードへ移行する際に行う上記[実施形態1]の基本手順において、DC電源切り替え制御を行うタイミングを早めることを可能にする手順を付加した実施形態である。
ここでは、切り替え判定条件として、下記(1)〜(5)を採用し、この判定条件が満たされれば、早期に切り替えを行う。
(1) 判定の対象とする印刷ジョブは、後に印刷ジョブが続いていない、即ち、途切れた状態となるジョブ(以下、「最終ジョブ」という)であることを条件とする。
(2)〜(4)の条件はいずれも、温度検出手段(サーミスタ31(図2))によって検出された定着器17の現在温度と最終ジョブに係る要素との関係である。前記要素は、定着器17の温度に影響する要素であり、定着器17のヒータを切った状態を続けても、定着に必要な温度を保った状態で印刷ジョブを終了できることを予測するためのデータを提供する要素である。
【0038】
(2) 最終ジョブに係る要素である用紙紙種と使用枚数との関係、即ち所定範囲内の紙種と使用枚数であることを条件とする。
(3) 最終ジョブに係る要素である用紙サイズとの関係、即ち所定範囲内の用紙サイズであることを条件とする。
(4) 最終ジョブに係る要素である画像情報との関係、即ち所定範囲内の画像情報を有することを条件とする。なお、前記画像情報は、画像形成に用いる画像データの内容や画像形成条件であり、例えば、カラー/モノクロ(黒)画像の種別、解像度、濃度、画素ドット数がここで参照される情報である。
(5) 上記(1)〜(4)に加え、定着器17の温度に影響する要素として、現在の環境温度を条件とする。環境温度が低いと定着器17の温度が速く低下するので、この点を考慮する。なお、環境温度を検出する手段が必要になるが、この種の機器においては、機器を管理するために環境温度を監視する機能を備えている場合もあり、この監視データを利用することができる。
【0039】
図6は、本実施形態において、制御部が省エネモードへの移行時に行う動作の手順を示すフロー図である。このフローは、メインコントローラとして機能する制御部40が、省エネモードへの移行制御を行う際に、その一環として行う動作である。
図6のフローによると、DC電源切り替え制御を行うか否かを判定する手順を行う前に現行の印刷ジョブの状態を確認する。その手順として、先ず、受付けた印刷ジョブがあるか、即ち印刷中であるか否かを確認する(ステップS201)。
ここで、印刷中のジョブがあれば(ステップS201-YES)、次に複数の印刷ジョブが未処理で待機している場合もあるので、後段の判定処理の対象となる最終ジョブであるか否かを、ジョブの受信完了をチェックすることで確認する(ステップS202)。
【0040】
ステップS202で最終ジョブであることが確認できれば(ステップS202-YES)、次に、定着器17の温度制御が、処理中の最終印刷ジョブに対して定められた制御条件の下で行われる温度制御であるか否かを確認する(ステップS203)。
ここで、最終印刷ジョブに対する条件の下に行う温度制御であることが確認できれば(ステップS203-YES)、DC電源切り替え制御を行うか否かを判定するステップS204以降の手順に進む。
なお、ステップS201、S202及びS203で、判定処理の対象とならないジョブもしくは判定処理の対象とすべき条件を満たさないジョブである場合(ステップS201-NO,S202-NO,S203-NO)、直ちにこのフローによる処理を終了する。
【0041】
DC電源切り替え制御を行うか否かを判定する処理の始めに、定着器17の現在温度として、定着器17に設けたサーミスタ31が検出した温度をサーミスタ31から取得する(ステップS204)。
次いで、最終ジョブの紙種と印刷枚数を取得する(ステップS205)。
次いで、画像形成装置100の現在の環境温度を、環境温度を検出するために装備したセンサ(不図示)から取得する(ステップS206)。
次いで、最終ジョブの用紙サイズを取得する(ステップS207)。
次いで、最終ジョブの画像情報を取得する(ステップS208)。
なお、最終ジョブの紙種と印刷枚数、用紙サイズ及び画像情報は、制御部40自身がジョブを管理する機能を持ち、ジョブに設定された処理条件もしくは動作条件を管理情報として保管しているので、この情報を参照する。また、画像情報の中には、画像データを解析することにより得られる情報もあり、この場合には、必要とする解析機能を備え、解析結果を予め管理情報として求めておくとよい。
【0042】
ステップS204〜S208によって、切り替え判定条件として説明した上述の(1)〜(4)の条件を確認するための情報を取得したので、ここで、これらの情報に基づき、定着器17のヒータを切り続ける制御条件の下で、最終ジョブが処理できるか否かを判断する(ステップS209)。
ステップS209の判断の結果、ヒータを切り続ける制御条件の下で、最終ジョブが処理できる場合(ステップS209−YES)、電源切り替え制御を行う条件を満たすので、商用電源から補助電源へのDC電源切り替えを行う(ステップS210)。なお、ここで行うDC電源切り替えは、図5のステップS102で説明したとおりの動作を行う。
【0043】
ここで、上記ステップS209で行う、ヒータを切り続ける制御条件の下で、最終ジョブが処理できる、つまり電源切り替え条件が成立するか否かを判断する処理の処理例を示す。
〈条件が成立する例〉
(a)ステップS204で検出された定着器の現在温度T2[℃]:180℃
(b)ステップS205〜S208で定着器の温度に影響する最終ジョブに係る要素として取得した、最終ジョブの用紙の紙種、現在の環境温度、最終ジョブの用紙サイズ、最終ジョブの画像情報に基づいて算出した温度T1[℃]:160℃
(c)1枚通紙時の定着器における下降温度T3[℃]:5℃
(d)ステップS205で取得した印刷枚数n[枚]:3枚
とすると、これらの変量、T2[℃]、T1[℃]、T3[℃]及びn[枚]の間において以下の条件式、
T3×n ≦ T2−T1
が成り立つ場合、電源切り替え条件が成立する。つまり、この条件式が成立すれば、ヒータを切り続けてn[枚]印刷した後でも、T1[℃]よりも定着器の温度が低下せず、全ての枚数の印刷を完了することができることを意味する。
【0044】
なお、上記T1[℃]及びT3[℃]は、実験等を行うことにより得られる経験値に基づいて求められた関係式に現行のジョブの情報を適用することで算出することができる。用紙の紙種は定着目標温度という形で定着器の温度と関係付ける量で表され、また、画像情報は、例えば、画素のドットカウントにより定着器の温度と関係付ける量で表される。
上記(a)〜(d)それぞれの末尾に示した数値、即ち、
T2[℃]:180℃
T1[℃]:160℃
T3[℃]:5℃
n[枚]:3枚
によって表される状態は、上記条件式の左辺:T3×n=15、右辺:T2−T1=20となり、上記条件式が成立、即ち電源切り替え条件が成立する。よって、ステップS210で商用電源から補助電源へのDC電源切り替えを行う。
【0045】
〈条件が成立しない例〉
上記の成立する例に対し、上記(a)〜(d)それぞれの数値が、
T2[℃]:180℃
T1[℃]:160℃
T3[℃]:5℃
n[枚]:5枚
によって表される状態では、上記条件式の左辺:T3×n=25、右辺:T2−T1=20となり、上記条件式が成立しない、即ち電源切り替え条件が不成立となる。この例は、上記の成立例と比べ、印刷枚数n[枚]が3枚から5枚に増えたために、5枚印刷したとすると、4枚目以上でT1「℃」よりも定着器の温度が低下していまい、正常な印刷が可能ではない、と予測される。よって、ステップS210のDC電源切り替えを行わず、このフローによる処理を終了する。
【0046】
ステップS210で商用電源から補助電源へのDC電源切り替えを行った後、印刷の終了を確認する(ステップS211)。
ステップS211では、DC電源切り替えを行った後、ヒータを切り続ける制御条件の下に低電力動作で最終ジョブの印刷を行っているので、印刷の終了が確認できなくてもループ処理によって、印刷の終了を確認するまで、処理を繰り返す。
印刷終了の確認は、例えば、処理中の印刷ジョブにおける最終紙、即ち、ページ単位で順に画像形成プロセスを経て処理される印刷ジョブが途切れた状態になるとき最後に処理される用紙が、2次転写ローラ16を抜けたか否かを確認することによる。
【0047】
ステップS211で印刷の終了が確認できれば(ステップS211−YES)、省エネモードヘ移行するときに行う立ち下げ処理の動作を実行する(ステップS212)。このときの動作も、引き続いて補助電源部50から供給されるDC電源を用いて行う。なお、省エネモードヘ移行時に行う立ち下げ処理そのものは、既存の技術であり、ここでは詳述しないが、例えば、スリープ状態をとる省エネモードとして、制御部の全部或いは一部の電源供給を停止する動作を行う場合、省エネモードからの復帰時に現状を再現するために、移行直前の機器の設定等の情報を一旦不揮発性の記憶手段に保存する処理等を行う。
立ち下げ処理を済ませて、このフローによる処理を終了する。
【0048】
上記のように、図6のフローの処理手順を行うことにより、図5のフローにおけると同様に、全体として電力の損失を少なくし、省電力化を図ることができる。また、定着器17のヒータを切り続ける制御条件で最終ジョブを処理可能であることが予測できる場合に、DC電源の切り替えを行うようにし、補助電源からの電力供給を早めることで、更なる省電力化に繋がる。
【0049】
[実施形態3]
この実施形態は、上述のDC電源切り替え制御機能をユーザーの意思により有効にするか、無効にするかを選ぶことができるようにする。
上述のDC電源切り替え制御機能は、先に説明したように、省電力効果が得られるが、常にこの機能を働かせていると、印刷終了時に補助電源のキャパシタからの電源で立ち下げ処理の動作を行うことになり、蓄電量が限られていることから、機器の使用状況等によっては、必ずしも電源が確保できなくなることが考えられる。もし、電源が確保できなくなった場合、修復する機能を働かせることになるが、状況によっては、安定性を損なう結果に繋がる可能性がある。
【0050】
そこで、このような場合に対応することを可能にする手段として、DC電源切り替え制御機能の有効/無効を設定できるようにし、設定に従った動作が得られるようにする。
DC電源切り替え制御機能の有効/無効の設定は、操作パネル60からのユーザーの設定操作を受付けることにより実施する。
制御部40側では、操作パネル60で受付けた有効/無効の設定条件をDC電源切り替え制御の動作に反映させる。
【0051】
図7は、本実施形態において、制御部が省エネモードヘの移行時に行う動作の手順を示すフロー図である。このフローは、上記[実施形態1]の基本手順(図5)において、DC電源切り替え制御機能の有効/無効の設定条件を反映させる手順を付加した実施形態である。
図7のフローは、メインコントローラとして機能する制御部40が、省エネモードヘの移行制御を行う際に、その一環として行う動作である。
図7のフローによると、先ず、省エネモードヘの移行制御を行う際に、実行する立ち下げ処理にDC電源切り替え制御機能を働かせるか否か、即ち当該機能の有効/無効の設定の確認をする(ステップS301)。DC電源切り替え制御機能の有効/無効の確認は、制御部40自身が機器を管理する機能を持っており、操作パネル60を通して機器に設定された当該機能の設定を管理情報として保管しているので、この情報を参照することにより行うことができる。
【0052】
ステップS301でDC電源切り替え制御機能を無効にすることを確認した場合(ステップS301−NO)、直ちにこのフローを抜ける。
他方、ステップS301でDC電源切り替え制御機能を有効にすることを確認した場合(ステップS301−YES)、次の印刷の終了を確認するステップS302へ進め、このステップ以降のDC電源切り替え制御機能を働かせた本フローの処理を続ける。
なお、ステップS302以降、フローを終了するまでの手順は、上記[実施形態1]の基本手順(図5)において記載した説明と同じである。よって、上記説明を参照することとし、ここでは記載を省略する。
【0053】
上記のように、図7のフローの処理手順を行うことにより、DC電源切り替え制御機能を有効に設定すれば、図5のフローにおけると同様に、全体として電力の損失を少なくし、省電力化を図ることができる。また、DC電源切り替え糾御機能を無効に設定すれば、状況によっては、安定性を損なう結果に繋がる可能性のある補助電源の蓄電不足を懸念することがなくなる。
【0054】
[実施形態4]
この実施形態は、上述のDC電源切り替え制御機能が意図した通りに働かなくなる可能性が補助電源の蓄電不足により生じることへの対応を可能とした実施形態である。
上述のDC電源切り替え制御機能は、先に説明したように、省電力効果が得られるが、立ち下げ処理の動作に用いる補助電源のキャパシタは、機器の使用状況等によっては、必ずしも100%の蓄電量が確保できるとは限らない。もし、電源が確保できなくなった場合、修復する機能を働かせることになるが、状況によっては、安定性を損なう結果に繋がる可能性がある。
【0055】
そこで、このような場合に対応することを可能にする手段として、補助電源として利用するキャパシタの電圧を検出することで、未然に蓄電不足により立ち下げ処理の動作ができなくなる状況に陥ることを回避することで、安定した動作が得られるようにする。
補助電源として利用するキャパシタの電圧は、補助電源部50に設けた電圧検出部52により検出する。
制御部40側では、電圧検出部52の検出結果を取得し、DC電源切り替え制御の動作に反映させる。
【0056】
図8は、本実施形態において、制御部が省エネモードヘの移行時に行う動作の手順を示すフロー図である。このフローは、上記[実施形態1]の基本手順(図5)において、補助電源として利用するキャパシタの検出電圧を動作に反映させる手順を付加した実施形態である。
図8のフローは、メインコントローラとして機能する制御部40が、省エネモードヘの移行制御を行う際に、その一環として行う動作である。
図8のフローによると、先ず、図5の基本手順で行ったと同様に、印刷の終了を確認する(ステップS401)。
ここで、印刷の終了が確認できれば(ステップS401−YES)、次に、補助電源部50に設けた電圧検出部52により検出された補助電源部50のキャパシタの電圧を取得する(ステップS402)。
次いで、取得した電圧が、補助電源を用いて行う立ち下げ処理等の動作に必要な蓄電量に当たる所定の電圧以上であり、十分足りるか否かを確認する(ステップS403)。
【0057】
ステップS403で必要な蓄電量に当たる所定の電圧以上あることが確認できない場合(ステップS403−NO)、直ちにこのフローを抜ける。
他方、ステップS403で必要な蓄電量に当たる所定の電圧以上あることが確認できた場合(ステップS403−YES)、次の「商用電源から補助電源への切り替え」のステップS404へ進め、このステップ以降のDC電源切り替え制御機能を働かせた本フローの処理を続ける。
なお、ステップS404以降、フローを終了するまでの手順は、上記[実施形態1]の基本手順(図5)において記載した説明と同じである。よって、上記説明を参照することとし、ここでは記載を省略する。
【0058】
上記のように、図8のフローの処理手順を行うことにより、補助電源に十分な蓄電量があれば、DC電源切り替え制御機能を働かせた本フローの処理を安定して行い、図5のフローにおけると同様に、全体として電力の損失を少なくし、省電力化を図ることができる。
また、補助電源に十分な蓄電量がなければ、DC電源切り替え制御機能を働かせた本フローの処理を行わないので、安定性を損なう結果に繋がる可能性のある動作を懸念することがなくなる。
【符号の説明】
【0059】
6Y、6C、6M、6Bk・・AIOカートリッジ、9Y、9C、9M、9Bk・・感光体、5・・中間転写ベルト、4・・用紙、17・・定着器、27・・定着ローラ、31・・サーミスタ、32・・商用電源、33・・電源回路部、40・・制御部、43・・CPU、45・・外部I/F、47・・各種センサ、48・・画像形成部、49・・定着部、50・・補助電源部、60・・操作パネル、100・・画像形成装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第4336318号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給停止の制御が可能な外部電源により動作する制御手段と、前記外部電源により充電され、補助電源として利用する蓄電手段を有する画像処理装置であって、
前記制御手段は、画像処理を終了する際に行う立ち下げ処理の開始前に前記外部電源の供給停止の制御を行うとともに、前記蓄電手段を放電することにより供給される電源により制御動作を維持する電源切り替え制御を行う
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、
前記外部電源から供給される電源によって動作し、記録材を用い用紙に画像を形成し、形成した画像を用紙に加熱・定着する画像形成手段と、定着に用いる加熱部の温度を検出する定着温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記電源切り替え制御を行うか否かを、後にジョブが続いていないジョブであり、前記定着温度検出手段によって検出された温度と、定着に用いる加熱部の温度に影響する当該ジョブに係る要素とが所定の関係にあるか否かを確認し、その結果により判定する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像処理装置において、
定着に用いる加熱部の温度に影響する当該ジョブに係る前記要素が、用紙の紙種と使用枚数であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載された画像処理装置において、
定着に用いる加熱部の温度に影響する当該ジョブに係る前記要素が、用紙のサイズであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項2乃至4に記載された画像処理装置において、
定着に用いる加熱部の温度に影響する当該ジョブに係る前記要素が、前記画像形成手段で用いる画像データの内容と画像形成条件であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項2乃至5に記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、前記電源切り替え制御を行うか否かの判定時における環境温度を、定着に用いる加熱部の温度に影響する要素に加えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載された画像処理装置において、
前記制御手段が有する電源切り替え制御機能の有効/無効を設定できるようにしたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載された画像処理装置において、
前記補助電源として利用する蓄電手段の電圧を検出する蓄電電圧検出手段を備え、
前記制御手段は、前記蓄電電圧検出手段によって検出された電圧が所定電圧を越えるときのみ前記電源切り替え制御を実行する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載された画像処理装置において、
前記蓄電手段は、キャパシタバンクであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
コンピュータを請求項1乃至9のいずれかに記載された画像処理装置が有する前記制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項12】
供給停止の制御が可能な外部電源により動作する制御手段と、前記外部電源により充電され、補助電源として利用する蓄電手段を有する画像処理装置における前記外部電源と補助電源の間で電源を切り替える制御を行う電源切り替え制御方法であって、
画像処理を終了する際に行う立ち下げ処理の開始前に前記外部電源の供給停止の制御を行うとともに、前記蓄電手段を充電から放電に切り替え、前記蓄電手段からの放電により供給される電源により前記制御手段の動作を維持するよう電源の切り替え制御を行う
ことを特徴とする電源切り替え制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−3257(P2013−3257A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132338(P2011−132338)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】