説明

画像処理装置とその制御方法並びに記憶媒体

【課題】 ルックアップテーブルを用いて画像データの色変換処理を行う画像処理装置において、不正なルックアップテーブルを受信したときに、白紙を排紙することで、不正なデータを受信したことをユーザに確実に通知する画像処理装置を提供する。
【解決手段】 受信したルックアップテーブルの機種別ID及び出力インク色数により、そのルックアップテーブルが使用可能かどうかを判断し、使用不可能な場合は白紙を排紙し、ユーザにその旨を通知する。また、本発明はカット紙の場合は用紙の再利用が可能という利点もある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルックアップテーブルを用いて画像データの色変換処理を行う画像処理装置およびその制御方法並びに記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ルックアップテーブルを用いて画像データの色変換を行う画像処理装置において、受信したルックアップテーブルがその画像処理装置では使用できない場合に、画像処理装置が保持する暫定的なルックアップテーブルを用いて色変換を行う場合があった。
【0003】
従来例としては、例えば特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2002-064716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の例では、暫定的なルックアップテーブルを用いるため、印字物の画質は保証されないものとなってしまう。また、それなりの印字物が出力されるため、ユーザが不正なルックアップテーブルを送ってしまったことに気づきにくいという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記従来技術の欠点を鑑みてなされたものであり、不正なルックアップテーブルが送られた場合に白紙を排紙することにより、不正なルックアップテーブルを受信したことを確実にユーザに通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
不正なデータを受信した場合に白紙を排紙することで、不正なデータである旨を確実にユーザに通知することができるとともに、カット紙の場合は用紙の再利用が可能になるという利点がある。また、画像処理装置をエラーにより停止させないため、エラー解除などのユーザ操作なしに次ジョブの処理が行えるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本実施例は、不正なルックアップテーブルを受信したときに白紙を排紙することにより、不正なデータを受信したことを確実にユーザに通知することができ、白紙を排紙することで用紙の再利用が可能であることを特徴とした実施例である。
【0008】
以下、本発明の実施形態(実施例)について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は、本発明に関わる好適な実施の形態における画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、画像処理装置100について説明する。CPU101は画像処理装置100全体の制御を司っている。ROM102は画像処理装置100全体の制御プログラムおよび各種データを格納している。RAM103は画像処理装置100の動作時に各種データの書き込みや読み出しが行われる。通信インタフェース104は外部と通信を行うための通信手段である。印字ヘッドホルダ106は着脱可能な印字ヘッド105を画像処理装置100に固定している。インクタンクホルダ108は着脱可能なインクタンク107を画像処理装置100に固定している。パネル109は画像処理装置100のユーザインタフェースである。各部はシステムバス110により接続されている。
【0010】
次に、外部装置であるホストコンピュータ200について説明する。CPU201はホストコンピュータ200全体の制御を司っている。HDD202、FDD203はブートプログラム、各種アプリケーションソフト、画像情報や印刷設定ファイル、プリンタドライバなどを格納している。ROM204は各種データやプログラムを記憶している。RAM205は各種データの書き込みや読み出しが行われる。VRAM206には画像表示や印刷設定画面をユーザに提供するCRT207が接続されている。また、通信インタフェース208は外部との通信を行うための通信手段である。システムバス209はホストコンピュータ200の各構成部を相互に接続している。
【0011】
ホストコンピュータ200と画像処理装置100は通信ケーブル300により接続されている。ここで、通信ケーブル300は、パラレルケーブル、SCSIケーブル、シリアルケーブル、ネットワークケーブル等の汎用ケーブルでも、専用のケーブルでも何れでも構わない。ホストコンピュータ200が印刷要求を送信することで、画像処理装置100は印刷を行う。
【0012】
図2は、本実施形態における画像処理装置100の基本的な動作を示すフローチャートであり、図3はルックアップテーブル(LUT)の内容を示す図である。画像処理装置100は、ホストコンピュータ200から画像データとともに送信されたLUTを受信する(ステップS401)。ルックアップテーブル判別手段により画像データの色変換に必要なLUTが揃っているかどうかを判定する(ステップS402)。ステップS402でLUTが揃っている場合には、ルックアップテーブル判別手段によりLUTの機種別IDチェックを行う(ステップS403)。ステップS403で、LUTの機種別IDが、画像処理装置100でサポートしているIDだった場合には、ルックアップテーブル判別手段によりLUTの出力インク色数のチェックを行う(ステップS404)。ステップS404において、出力インク色数がデータを受信した画像処理装置で印刷可能な色数だった場合には、受信したLUTを用いて画像データの色変換処理を行い、印刷を開始する(ステップS405)。その後、次の印刷ジョブがある場合には、ステップS401から同じ処理を繰り返す(ステップS409)。ステップS409で次の印刷ジョブがない場合は終了する。また、ステップS402、ステップS403、ステップS404の各LUTチェックにおいて、1回でも不正なLUTだと判断された場合には、外部装置に通知し(ステップS406)、パネル表示し(ステップS407)、白紙を排紙する(ステップS408)。その後、次の印刷ジョブがある場合には、ステップS401からの処理を繰り返し、次の印刷ジョブがない場合には終了する(ステップS409)。
【0013】
以上説明した本発明にかかわる印刷装置の制御プログラムは、CD−ROMやフラッシュメモリ、フレキシブルディスクなどの記憶媒体により、あるいは電子メールやパソコン通信などのネットワークを介して、外部の記憶媒体からPC等のデバイス上にロードされ、実行されてもよい。これらの場合でも本発明は適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例における画像処理装置の主要な動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例におけるルックアップテーブル(LUT)の内容を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
100 画像処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 通信インタフェース
105 印字ヘッド
106 印字ヘッドホルダ
107 インクタンク
108 インクタンクホルダ
109 パネル
110 システムバス
200 ホストコンピュータ
300 通信ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルックアップテーブルを用いて、画像データの色変換を行う画像処理装置であって、外部装置から、画像データと共にルックアップテーブルを受信する受信手段と、受信したルックアップテーブルがその画像処理装置で使用可能なルックアップテーブルかどうかを判定するルックアップテーブル判別手段と、受信したルックアップテーブルを用いて画像データの色変換を行う色変換手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記ルックアップテーブル判別手段において、受信したルックアップテーブルが前記画像処理装置では使用不可能なルックアップテーブルだった場合に、白紙を排紙する例外処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ルックアップテーブル判別手段において、受信したルックアップテーブルが前記画像処理装置では使用不可能なルックアップテーブルだった場合に、外部装置に対して通知する通知手段と、画像処理装置のパネルにメッセージを表示する表示手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記例外処理手段において、カット紙の場合は給紙口にセットされている用紙を印刷データのページ数分、排紙する排紙手段と、ロール紙の場合は印刷データの用紙サイズおよびページ数分だけ排紙する排紙手段とをさらに有することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ルックアップテーブル判別手段は、画像データの色変換を行うために必要なルックアップテーブルが揃っているか否かによって判別することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記ルックアップテーブル判別手段は、前記外部装置から送信されたルックアップテーブルの機種別IDが、受信した画像処理装置でサポートするIDかどうかによって、判別することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ルックアップテーブル判別手段は、前記外部装置から送信されたルックアップテーブルの出力インク色数が、受信した画像処理装置で印刷可能な色数かどうかによって、判別することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項8】
ルックアップテーブルを用いて、画像データの色変換を行う画像処理装置の制御方法であって、外部装置から画像データと共にルックアップテーブルを受信する受信ステップと、受信したルックアップテーブルがその画像処理装置で使用可能なルックアップテーブルかどうかを判定するルックアップテーブル判別ステップと、受信したルックアップテーブルを用いて画像データの色変換を行う色変換ステップと、を有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
前記ルックアップテーブル判別ステップにおいて、受信したルックアップテーブルがその画像処理装置では使用不可能なルックアップテーブルだった場合に、白紙を排紙する例外処理ステップをさらに有することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項10】
前記ルックアップテーブル判別ステップにおいて、受信したルックアップテーブルがその画像処理装置では使用不可能なルックアップテーブルだった場合に、外部装置に対して通知する通知ステップと、画像処理装置のパネルにメッセージを表示する表示ステップと、をさらに有することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
前記例外処理ステップにおいて、カット紙の場合は給紙口にセットされている用紙を印刷データのページ数分、排紙する排紙ステップと、ロール紙の場合は印刷データの用紙サイズおよびページ数分、排紙する排紙ステップとをさらに有することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項12】
前記ルックアップテーブル判別ステップは、画像データの色変換を行うために必要なルックアップテーブルが揃っているか否かによって、判別することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項13】
前記ルックアップテーブル判別ステップは、前記外部装置から送信されたルックアップテーブルの機種別IDが、受信した画像処理装置でサポートするIDかどうかによって判別することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項14】
前記ルックアップテーブル判別ステップは、前記外部装置から送信されたルックアップテーブルの出力インク色数が、受信した画像処理装置で印刷可能な色数かどうかによって、判別することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置の制御方法。
【請求項15】
ルックアップテーブルを用いて、画像データの色変換を行うプログラムが記憶されている記録媒体であって、外部装置から画像データと共にルックアップテーブルを受信する受信ステップと、受信したルックアップテーブルがその画像処理装置で使用可能なルックアップテーブルかどうかを判定するルックアップテーブル判別ステップと、受信したルックアップテーブルを用いて画像データの色変換を行う色変換ステップと、を有することを特徴とするプログラムが記憶されている記憶媒体。
【請求項16】
前記ルックアップテーブル判別ステップにおいて、受信したルックアップテーブルがその画像処理装置では使用不可能なルックアップテーブルだった場合に、白紙を排紙する例外処理ステップをさらに有することを特徴とする請求項15記載のプログラムが記憶されている記憶媒体。
【請求項17】
前記ルックアップテーブル判別ステップにおいて、受信したルックアップテーブルがその画像処理装置では使用不可能なルックアップテーブルだった場合に、外部装置に対して通知する通知ステップと、画像処理装置のパネルにメッセージを表示する表示ステップと、をさらに有することを特徴とする請求項15記載のプログラムが記憶されている記憶媒体。
【請求項18】
前記例外処理ステップにおいて、カット紙の場合は給紙口にセットされている用紙を印刷データのページ数分、排紙する排紙ステップと、ロール紙の場合は印刷データの用紙サイズおよびページ数分、排紙する排紙ステップと、をさらに有することを特徴とする請求項16記載のプログラムが記憶されている記憶媒体。
【請求項19】
前記ルックアップテーブル判別ステップは、画像データの色変換を行うために必要なルックアップテーブルが揃っているか否かによって判別することを特徴とする請求項15記載のプログラムが記憶されている記憶媒体。
【請求項20】
前記ルックアップテーブル判別ステップは、前記外部装置から送信されたルックアップテーブルの機種別IDが、受信した画像処理装置でサポートするIDかどうかによって判別することを特徴とする請求項15記載のプログラムが記憶されている記憶媒体。
【請求項21】
前記ルックアップテーブル判別ステップは、前記外部装置から送信されたルックアップテーブルの出力インク色数が、受信した画像処理装置で印刷可能な色数かどうかによって、判別することを特徴とするプ請求項15記載のログラムが記憶されている記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−177771(P2008−177771A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8290(P2007−8290)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】