説明

画像処理装置及びカメラ

【課題】画像処理によって生じる不自然さを抑制しつつ、人物の顔の印象を積極的に改善する画像補正を実施可能な画像処理装置等を提供する。
【解決手段】デジタル画像から、人物の目が写っている領域である目領域を抽出する目抽出部44と、前記目領域に対して、黒目の白目に対する比率が大きくなるように、前記目領域に補正処理を実施する色補正処理部70と、強膜領域を抽出する第1領域抽出部50と、瞳孔及び虹彩を抽出する第2領域抽出部60と、境界を縁取りする形状を有する補正予定領域を算出する補正領域算出部66と、色補正処理部を有する画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
人物の映像、画像等において、人物の目及びその周辺に対して適切な画像補正を施すことにより、画像の見栄えが改善若しくは向上するという報告がある。また、処理前の画像が有する自然な特徴を維持しつつ、若干の補正を加えることで、被写体の印象を向上又は変化させる画像処理技術が、人物画像等に関する分野でも求められている。
【0003】
目や目周辺に対して画像処理を行う技術としては、例えば目の大きさを拡大する処理(特許文献1等参照)や、目の白目部分を無彩色へ近い方向へ補正する技術(特許文献2等参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−005660号公報
【特許文献2】特開2005−310068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、目の大きさを拡大する従来の画像処理技術では、顔全体の大きさ等に対するバランスが十分に考慮されず、処理後の画像が不自然な印象を生じる場合があった。また、白目部分を無彩色方向へ補正する従来技術では、目自体の見栄えが向上する効果は認められるものの、人物の顔全体の見栄えに与える効果は限定的である。したがって、従来技術は、被写体の自然な特徴を維持しつつも、より積極的に被写体の印象を向上させたいという要望には、十分に応えられていなかった。
【0006】
本発明に係る画像処理装置等は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像処理によって生じる不自然さを抑制しつつ、人物の顔の印象を積極的に改善する画像補正を実施可能な画像処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る画像処理装置は、
デジタル画像から、人物の目が写っている領域である目領域(80)を抽出する目抽出部(44)と、
前記目領域に対して、黒目の白目に対する比率が大きくなるように、前記目領域に補正処理を実施する色補正処理部(70)と、を有する。
【0008】
また、本発明の第2の観点に係る画像処理装置は、
デジタル画像から、人物の目が写っている領域である目領域(80)を抽出する目抽出部(44)と、
前記目領域から、強膜が写っている第1領域(82)を抽出する第1領域抽出部(50)と、
前記目領域から、瞳孔及び虹彩が写っている第2領域(85)を抽出する第2領域抽出部(60)と、
前記第1領域の一部であって前記第1領域と前記第2領域の境界を縁取りする形状を有する補正予定領域(92)を、算出する補正領域算出部(66)と、
前記補正予定領域の色を、前記第2領域と同一又は類似の色に変更する補正処理を実施する色補正処理部(70)と、を有する。
【0009】
また、例えば、本発明の第2の観点に係る画像処理装置は、
前記第1領域のサイズである第1サイズ(S1)を算出する第1サイズ算出部(52)と、
前記第2領域のサイズである第2サイズ(S2,L2)を算出する第2サイズ算出部(62)と、をさらに有しても良く、
前記補正領域算出部は、前記補正予定領域のサイズである補正サイズ(SH)を算出する補正サイズ算出部(68)を有しても良く、
前記補正サイズ算出部は、前記第1サイズと前記補正サイズの差である第1の値(α1)と、前記第2サイズと前記補正サイズの和である第2の値(α2)との比が、第1の所定値(V1)になるように、前記補正サイズを算出しても良い。
【0010】
また、例えば、本発明の第2の観点に係る画像処理装置は、
前記第2領域のサイズである第2サイズ(S2,L2)を算出する第2サイズ算出部(62)をさらに有しても良く、
前記補正領域算出部は、前記補正予定領域のサイズである補正サイズ(SH)を算出する補正サイズ算出部(62)を有しても良く、
前記補正サイズ算出部は、前記第2サイズと前記補正サイズとの比が、第2の所定値になるように、前記補正サイズを算出しても良い。
【0011】
また、例えば、本発明の第2の観点に係る画像処理装置は、
前記第1領域のうち、前記第2領域より顔の中心側に位置する内側部分(83)を抽出する内側抽出部(54)と、
前記第1領域のうち、前記第2領域を挟んで前記内側部分とは反対側に位置する外側部分(84)を抽出する外側抽出部(56)と、
前記内側部分のサイズ(S3,L3)と前記外側部分のサイズ(S4,L4)の比である第1領域内外比(β1)を算出する第1内外比算出部(58)と、を有しても良く、
前記補正領域算出部は、前記補正予定領域のうち前記内側部分に含まれる内側補正部分(92)のサイズ(S5)と、前記補正予定領域のうち前記外側部分に含まれる外側補正部分(94)のサイズ(S6)との比である補正領域内外比(β2)が、前記第1領域内外比に等しくなるように、前記補正予定領域を算出しても良い。
【0012】
また、例えば、本発明の第2の観点に係る画像処理装置は、
前記第2領域において前記虹彩が写っている虹彩領域(86)を抽出する虹彩領域抽出部(64)と、
前記虹彩領域の色を抽出する色抽出部(75)と、を有しても良く、
前記色補正処理部は、前記色抽出部による抽出結果に基づき、前記補正処理を実施しても良い。
【0013】
また、例えば、前記色抽出部は、前記虹彩領域の平均色である虹彩平均色を算出する平均色算出部(76)と、前記虹彩領域の一部であって前記補正予定領域と接触する虹彩外周部(95)の色である虹彩外周部色を算出する外周色算出部(77)と、を有しても良く、
前記色補正処理部は、前記虹彩平均色に対して所定の彩度上昇又は明度低下処理を施した補正基準色を算出する補正基準色算出部(72)を有しても良く、
前記色補正処理部は、前記補正予定領域の外縁部(96)の色を、前記補正基準色とし、前記外縁部と前記虹彩外周部との間の部分に対して、前記補正基準色から前記虹彩外周部色へ変化するグラデーション処理を施しても良い。
【0014】
また、例えば、前記色抽出部は、前記虹彩領域で最も濃い色である虹彩最濃色を算出する最濃色算出部(78)と、前記虹彩領域の一部であって前記補正予定領域と接触する虹彩外周部の色である虹彩外周部色(95)を算出する外周色算出部(77)と、を有しても良く、
前記色補正処理部は、前記虹彩最濃色に対して所定の彩度上昇又は明度低下処理を施した補正基準色を算出する補正基準色算出部(72)を有しても良く、
前記色補正処理部は、前記補正予定領域の外縁部の色を、前記補正基準色とし、前記外縁部と前記虹彩外周部との間の部分に対して、前記補正基準色から前記虹彩外周部色へ変化するグラデーション処理を施しても良い。
【0015】
また、例えば、本発明に係るカメラは、上記いずれかに記載の画像処理装置を搭載する。
【0016】
なお上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を搭載したカメラの概略ブロック図である。
【図2】図2は、画像処理装置の演算部として機能するCPUのブロック図である。
【図3】図3は、目領域に対する画像処理の一例を表すフローチャートの前半部分である。
【図4】図4は、目領域に対する画像処理の一例を表すフローチャートの後半部分である。
【図5】図5は、目抽出部によって抽出された目領域を表す概念図である。
【図6】図6は、画像処理後における目領域を表す概念図である。
【図7】図7は、補正予定領域の算出過程を説明するための模式図である。
【図8】図8は、補正領域算出部によって算出される補正予定領域を表す模式図である。
【図9】図9は、色抽出部及び色補正処理部での処理を説明した概念図であり、目領域の一部を拡大した図である。
【図10】図10は、画像処理前後における処理対象画像の一例を、並べて表示したものである。
【図11】図11は、第1及び第2サイズ算出部によるサイズ算出の他の例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を搭載するカメラ10の概略ブロック図である。カメラ10は、撮影光学系12、撮像素子14、画像信号処理回路16、レンズ駆動制御回路18、CPU40、LCDモニタ22及び各種のスイッチ24〜32等を有する。
【0019】
カメラ10の撮影光学系12は、通常複数のレンズ群によって構成されており、撮像素子14に被写体光を導く。また、撮影光学系12は、撮影光学系12の合焦距離を変化させるためのフォーカシングレンズや、像ブレを抑制するための振れ補正レンズを含んでいても良い。フォーカシングレンズや補正レンズの移動は、レンズ駆動制御回路18によって制御される。レンズ駆動制御回路18は、CPU40を介して、カメラ10に備えられる各種センサ(不図示)からの情報を取得し、撮影光学系12に含まれるレンズ群の移動を制御する。
【0020】
撮像素子14は、撮影光学系12によって導かれた被写体光を光電変換し、画像信号を生成する。撮像素子14は、例えばCCDやCMOS等の固体撮像素子で構成されるが特に限定されない。撮像素子14は、生成した画像信号を、画像信号処理回路16へ出力する。画像信号処理回路16は、画像信号に対して増幅やノイズ除去等の処理を実施する。画像信号処理回路16によって処理された画像信号は、A/D変換された後、画像データとしてCPU40に送られる。
【0021】
CPU40は、カメラ10で行われる電子制御や画像処理に関する各種の演算処理を実施する。例えば、CPU40は、LCDモニタ22等に画像を表示させる処理や、不図示のメモリカード等に画像データを保存する処理を行うことができる。また、CPU40は、各種センサ(不図示)、電源ボタン24、及び各種スイッチ26〜32等からの入力信号を処理し、撮影者の意図をカメラ10の動作に反映する。さらに、CPU40は、撮影後の画像等に対して画像補正を行うことができる。この場合、CPU40は、画像処理を行う画像処理装置の演算部として機能する。CPU40における画像処理については、後ほど詳述する。
【0022】
LCDモニタ22は、CPU40からの制御を受けて、撮影した画像や、メニュー選択画面等を表示する。メニュースイッチ30やOKスイッチ32は、使用者が撮影条件や画像処理条件を設定できるようにするための入力部である。例えば、メニュースイッチ30やOKスイッチ32は、十字キー又はボタン等を有しており、使用者の操作に応じて、CPU40に出力する信号を変化させる。CPU40は、メニュースイッチ30やOKスイッチ32からの信号に応じて、LCDモニタ22に表示するメニュー選択画面等を変化させることによって使用者とコミュニケートし、使用者から情報を取得することができる。
【0023】
電源ボタン24は、使用者がカメラ10の主電源をON及びOFFにするためのボタンである。CPU40は、電源ボタン24からの信号に応じて、カメラ10全体の制御を開始及び終了する。半押しスイッチ26は、オートフォーカス動作など、撮影準備動作の開始を制御するためのスイッチである。また、レリーズスイッチ28は、撮像素子14による画像信号取得動作の開始を制御するためのスイッチである。CPU40は、半押しスイッチ26及びレリーズスイッチ28からの信号に基づき、オートフォーカス動作や画像信号取得動作を実施する。なお、半押しスイッチ26とレリーズスイッチ28は、共通のシャッターボタン(不図示)に連動しており、使用者は、シャッターボタンの押し込み量を変化させることで、半押しスイッチ26及びレリーズスイッチ28のON・OFFを調整できる。
【0024】
CPU40は、カメラ10で撮影された画像や、外部からカメラ10に入力された画像について、各種の画像処理を行うことができる。特に、本実施形態に係るCPU40は、画像から人物の目が写っている部分を検出し、必要に応じて目が写っている部分に補正を加え、被写体の見栄えを向上させる画像処理を行うことができる。
【0025】
図2は、画像処理装置の演算部として機能するCPU40のブロック図である。図2は、画像処理においてCPU40で行われる各演算処理を、各ブロックに対応させて表したものである。本実施形態に係るCPU40では、画像処理に関係する全ての演算処理が実施されるが、一部の演算処理がCPU40以外で実施される態様であってもかまわない。
【0026】
CPU40は、処理対象画像に対する一連の画像処理において、顔検出部42、目抽出部44、基準比率決定部46、判定部48、第1領域抽出部50、第1サイズ算出部52、内側抽出部54、外側抽出部56、第1内外比算出部58等として機能する。また、CPU40は、第2領域抽出部60、第2サイズ算出部62、虹彩領域抽出部64、補正領域算出部66、色抽出部75、色補正処理部70等として機能する。以下では、CPU40における具体的処理を説明した図2〜図11を用いて、図2に示す各ブロックの機能及び処理を説明する。
【0027】
図3及び図4は、本実施形態に係る画像処理の一例を表すフローチャートである。図3はフローチャートの前半部分であり、図4はフローチャートの後半部分である。CPU40における画像処理は、大きく分けて4つの処理群に分類することができる。第1の処理群は、主として、処理対象となるデジタル画像に対して、白目と黒目の比を認識した上で、目領域に対して補正処理を行うべきか否かを判断するために、実施される処理群である。第1の処理群は、フローチャートにおけるステップS003〜ステップS007(図3)までの各処理を含む。
【0028】
第2の処理群は、目に対する補正処理の対象となる補正予定領域を決定するための処理群である。第2の処理群は、目領域に対する補正処理のための補正準備処理の一部であり、フローチャートにおけるステップS008〜ステップS010(図3)までの各処理を含む。第3の処理群は、補正処理に必要な色に関する情報を抽出及び算出するための処理群である。第3の処理群は、第2の処理群と同様に、目領域に対する補正処理のための補正準備処理の他の一部であり、フローチャートにおけるステップS011〜ステップS013(図4)の各処理を含む。第4の処理群は、デジタル画像の補正予定領域に対して、実際に補正処理(彩色処理)を行う処理群である。第4の処理群は、フローチャートにおけるステップS014の処理を含む。
【0029】
図3に示すステップS001では、図1に示すカメラ10のCPU40が、一連の画像処理を開始する。処理を開始するタイミングは特に限定されないが、カメラ10で画像を取得した直後に行われても良いし、メニュースイッチ30やOKスイッチ32等を介して入力された使用者の意志を反映して開始されても良い。また、フローチャートに示す処理は、単独の処理として実施されても良く、他の画像処理と合わせて行われても良い。なお、各ステップに示す処理はCPU40において行われ、処理結果は必要に応じて不図示の記憶部に保存される。
【0030】
図3に示すステップS002では、画像処理のための準備処理が実施される。ステップS002において、CPU40は、処理対象となるデジタル画像を特定する。補正対象となる画像は、図1に示す画像信号処理回路16から入力された撮影直後の画像であっても良く、不図示の記憶部等に保存されていた画像であって、使用者によって指定されたものであっても良い。補正対象となる画像は、特に限定されず、例えば図10の左側に示すような画像98を、処理対象画像として特定する。
【0031】
(1)第1の処理群
フローチャートにおけるステップS003〜ステップS007では、図2に示す目抽出部44、第1領域抽出部50、第2領域抽出部60による領域の抽出や、第1サイズ算出部52及び第2サイズ算出部62による面積の算出や、判定部48による補正処理の実施・不実施の決定が行われる。
【0032】
図3に示すステップS003では、図2に示す顔検出部42が、処理対象画像の中から、人物の顔が写っている領域である顔エリアを抽出する。顔検出部42は、例えばテンプレートマッチング法などによって、画像の中から顔エリアを抽出することができるが、人物の顔を抽出する具体的な方法は特に限定されない。
【0033】
ステップS003において顔検出部42が人物の顔を抽出した場合は、フローチャート(図3)におけるステップS004の処理へ進む。これとは逆に、人物の顔を抽出できなかった場合は、フローチャート(図4)におけるステップS015へ進み、処理を終了する。
【0034】
図3に示すステップS004では、図2に示す目抽出部44が、人物の目が写っている領域である目領域を抽出する。目抽出部44による抽出方法は特に限定されないが、顔検出部42によって抽出された人物の顔が写っている領域に対して、テンプレートマッチングを行う方法や、顔が写っている領域に含まれるエッジの形状及び位置関係から検出する方法が挙げられる。
【0035】
図5は、目抽出部44によって抽出された目領域80を表す概念図である。本実施形態において、目抽出部44は、上瞼ライン88aと下瞼ライン88bの間に挟まれた領域を目領域80であると認識する。なお、目抽出部44によって複数の目領域が抽出された場合は、それぞれの目領域に対して、ステップS005以下の処理を行う。
【0036】
ステップS005では、図2に示す第1領域抽出部50が、目領域から、目の強膜が写っている領域である第1領域を抽出する。さらに、図2に示す第1サイズ算出部52が、第1領域抽出部50によって抽出された第1領域の面積である第1面積を算出する。
【0037】
図5に示すように、強膜が写っている第1領域82は、白色又は白色に近い淡色の領域として認識される。目領域80において、白色に見える部分は、白目とも呼ばれる。これに対して、第1領域82と伴に目領域80を構成する第2領域85は、虹彩が写っている虹彩領域86と瞳孔が写っている瞳孔領域87を含む。第1領域82の形状は、眼球の動きによって変化するものの、円形に近い第2領域85の周辺を囲むように広がるという特徴を有する。第1領域抽出部50は、例えば、白目の一般的な色及び形状の特徴に基づくマッチングを行うことにより、第1領域82を特定することができる。
【0038】
第1領域82は、人物を正面から撮影したような画像においては、第2領域85を挟んで顔の中心側に位置する内側部分83と、第2領域85を挟んで内側部分83とは反対側に位置する外側部分84とに分かれている場合がある(図5は、右目部分を目領域80として抽出した場合を表している)。また、人物を側方から撮影したような画像においては、第1領域82は、内側部分83か外側部分84のいずれか一方のみによって構成される場合もある。ただし、第1領域抽出部50は、内側部分83と外側部分84とを区別して認識する必要はなく、目領域80に含まれる第1領域82全体を認識できれば良い。
【0039】
図7は、図2に示す第1領域抽出部50,内側抽出部54,外側抽出部56及び第2領域抽出部60が、図5に示す目領域80をどのように認識するのかを説明した模式図である。ステップS005において、第1領域抽出部50は、図7においてハッチングを施している内側部分83及び外側部分84を第1領域82として抽出する。さらに、ステップS005では、図2の第1サイズ算出部52が、第1領域82の面積である第1面積S1を算出する。第1面積S1は、内側部分83の面積である第3面積S3と、外側部分84の面積である第4面積S4の和に等しい。
【0040】
ステップS006では、図2に示す第2領域抽出部60が、目領域から、瞳孔及び虹彩が写っている領域である第2領域を抽出する。さらに、図2に示す第2サイズ算出部62が、第2領域抽出部によって抽出された第2領域の面積を算出する。
【0041】
図5に示すように、第2領域85は、第2領域85の中心部分に位置する瞳孔領域87と、瞳孔領域87の周辺に広がる虹彩領域86とを含み、瞳孔領域87と虹彩領域86が略同心円状に配置されている。瞳孔領域87は黒色又は黒色に近い濃色の領域として認識される。また、虹彩領域86は、濃褐色、淡褐色、琥珀色、緑色、灰色、青色等であって、解像度が高ければ複雑な模様を有する領域として認識される。なお、目領域80において、瞳孔領域87及び虹彩領域86を含む色の濃い部分は、白色(淡い色)の白目と対比して黒目とも呼ばれるが、本実施形態において、黒目に含まれる虹彩の色は限定されない。第2領域抽出部60は、例えば、黒目の一般的な色及び形状に基づくマッチングを行うことにより、第2領域85を特定することができる。
【0042】
第2領域抽出部60は、瞳孔領域87と虹彩領域86とを区別して認識する必要はなく、目領域80に含まれる第2領域85全体を認識できれば良い。第2領域抽出部60は、図7において目領域80の中央に位置しておりグレーで表されている部分を、第2領域85として抽出する。さらに、ステップS006では、図2の第2サイズ算出部62が、第2領域85の面積である第2面積S2を算出する。
【0043】
ステップS007では、図2に示す判定部48が、ステップS006で算出された第2領域の面積(第2面積)と、ステップS005で算出された第1領域の面積(第1面積)との比が、第1の所定値V1以上であるか否かを判定する。図7に示すように、第1領域82の面積を第1面積S1とし、第2領域85の面積を第2面積S2とした場合、判定部48は、第1面積S1及び第2面積S2が以下の数式(1)を満たすか否かを判断する。
S2/S1 ≧ V1 ・・・数式(1)
【0044】
第2領域85の面積S2と第1領域82の面積S1が数式(1)を満たす場合、すなわち黒目の比率が所定の閾値より大きいと認められる場合は、補正処理を行わず、ステップS015へ進んで画像処理を終了する。それとは反対に、面積S2と面積S1が数式(1)を満たさず、黒目の比率が所定の閾値より小さいと認められる場合は、ステップS008へ進み、補正処理を実施する。
【0045】
ここで、第1の所定値V1は、例えばユーザーが最も好ましいと感じる黒目の比率の統計結果から求められる平均値とすることができ、例えば1程度とすることができる。また、ユーザーが最も好ましいと感じる黒目の比率は、一般人の現実の黒目の比率より大きい、という傾向が見られる。そこで、本実施形態に係る画像処理装置は、黒目の白目に対する比率が所定の閾値より小さい場合にのみ、当該比率が大きくなるように補正処理を実施し、黒目の比率が大きい場合は、補正処理を行わない。
【0046】
(2)第2の処理群
フローチャートにおけるステップS008〜ステップS010では、図2に示す内側抽出部54及び外側抽出部56による領域の抽出や、第1内外比算出部58及び補正サイズ算出部68による面積および面積比の算出や、補正領域算出部66による補正予定領域の決定等が行われる。
【0047】
図3に示すステップS008では、図2の補正領域算出部66の補正サイズ算出部68が、補正予定領域の面積である補正面積を算出する。ここで、補正予定領域とは、ステップS005で抽出された第1領域の一部であって、後述するステップS014(図4)での処理において、色補正処理(彩色処理)が行われる領域である。
【0048】
図7に示すように、補正サイズ算出部68は、ステップS005で算出した第1領域82の面積(第1面積S1)と、ステップS006で算出した第2領域85の面積(第2面積S2)と、ステップS007で用いた第1の所定値V1から、補正面積SHを求める。ここで、補正サイズ算出部68は、第1面積S1と補正面積SHとの差である第1の値α1と、第2面積S2と補正面積の和である第2の値α2との比が、第1の所定値V1になるように、補正面積SHを算出する。
【0049】
言い換えると、補正サイズ算出部68は、以下の数式(2)〜(4)を満たす補正面積SHを算出する。
α1=S1−SH・・・数式(2)
α2=S2+SH・・・数式(3)
α2/α1=V1・・・数式(4)
補正面積SHをこのように算出した後、補正予定領域の色を第2領域と同一又は類似の色に変更する補正処理を行うことによって、補正後の画像から認識される黒目の比率を、第1の所定値V1とすることができる。
【0050】
ステップS009では、図2の内側抽出部54及び外側抽出部56が第1領域の内側部分と外側部分とを区別して抽出する。さらに、第1内外比算出部58は、内側部分のサイズと外側部分のサイズの比である第1領域内外比を算出する。第1領域内外比は、ステップS010において、補正予定領域を算出する際に用いられる。
【0051】
図5に示すように、ステップS009では、まず内側抽出部54が、内側部分83を抽出する。内側抽出部54は、第1領域82のうち、第2領域85より顔の中心側に位置する内側部分83を、外側部分84とは区別して抽出する。内側抽出部54は、例えば、第1領域82のうち、瞳孔領域87の中心を通る垂直線Aを境界線として、垂直線Aより顔の中心側の部分を、内側部分83として認識することができる。この場合、垂直線Aに平行な方向は、鼻筋の方向や、両目を繋ぐラインに垂直な方向や、上瞼ライン88aと下瞼ライン88bとの交点を繋ぐラインに垂直な方向等から認識することができるが、特に限定されない。
【0052】
また、図7に示すように、第2領域85が、上瞼ライン88aと下瞼ライン88bの両方に接触している場合は、内側抽出部54は、内側境界ライン90aと、上瞼ライン88aと、下瞼ライン88bによって囲まれた領域(右下がりハッチングされた領域)を、内側部分83として認識することができる。なお、内側境界ライン90aは、第2領域85と第1領域82が接触する境界線のうち、垂直線A(図5)より顔の中心側の部分である。
【0053】
次に、ステップS009では、図2の外側抽出部56が、図5に示す外側部分84を抽出する。外側抽出部56は、第1領域82のうち、第2領域85を挟んで内側部分83とは反対側に位置する外側部分84を、内側部分83とは区別して抽出する。外側抽出部56が内側部分83と外側部分84とを区別する基準は、内側抽出部54と同様である。
【0054】
図7に示す例では、外側抽出部56は、外側境界ライン90bと、上瞼ライン88aと、下瞼ライン88bによって囲まれた領域(右上がりハッチングされた領域)を、外側部分84として認識することができる。なお、外側境界ライン90bは、第2領域85と第1領域82が接触する境界線のうち、垂直線A(図5)より顔の側方側の部分である。
【0055】
さらに、ステップS009では、図2の第1内外比算出部58が、内側部分83の面積(第3面積S3)と外側部分84の面積(第4面積S4)との比である第1領域内外比β1を算出する(図7)。第1内外比算出部58は、内側抽出部54及び外側抽出部56の抽出結果に基づき、内側部分83及び外側部分84の面積S3,S4をそれぞれ算出し、その算出結果を用いて、第1領域内外比β1を求める。第1内外比算出部58は、例えば以下の数式(5)を用いて、第1領域内外比β1を算出することができる。
β1=S4/S3・・・数式(5)
【0056】
ステップS010では、図2の補正領域算出部66が、補正予定領域を決定する。図7に示すように、補正予定領域92は、第1領域82の一部であって、第1領域82と第2領域85との境界(内側境界ライン90a,外側境界ライン90b)を縁取りする形状を有する。第1領域82が内側部分83と外側部分84を含む場合、補正予定領域92も、内側部分83に含まれる内側補正部分93と、外側部分84に含まれる外側補正部分94を含む。補正領域算出部68は、内側境界ライン90a又は外側境界ライン90bに沿ってそれぞれ所定の幅W1,W2(図8)を有するように、内側補正部分93と外側補正部分94を決定する。
【0057】
図8は、図7から補正予定領域92を抜き出して表示したものである。補正予定領域92を算出する際、補正領域算出部66は、内側補正部分93と外側補正部分94の面積の合計を、ステップS008において算出された補正面積SHと一致させる。また、補正予定領域92の内側補正部分93の面積(第5面積S5)と外側補正部分94の面積(第6面積S6)の比(補正領域内外比β2)は、ステップS009において算出された第1領域内外比β1(内側部分83の面積と外側部分84の面積の比)に一致させる。
【0058】
例えば、補正領域算出部66は、以下の数式(6)〜(8)を用いて、内側補正部分93の面積である第5面積S5と、外側補正部分94の面積である第6面積S6を決定することができる。
S5+S6=SH・・・数式(6)
S6/S5=β2・・・数式(7)
β2=β1・・・数式(8)
【0059】
このように、内側補正部分93の面積と外側補正部分94の面積の比を、内側部分83の面積と外側部分84の面積の比と一致させることにより、補正処理前後における白目の内外比を維持することができる。これにより、本実施形態による画像処理装置は、補正処理により被写体の目線が変化することを抑制することができる。
【0060】
(3)第3の処理群
フローチャートにおけるステップS011からステップS013(図4)では、図2に示す虹彩領域抽出部64による領域の抽出や、平均色算出部76、外周色算出部77及び補正基準色算出部72による色の抽出及び算出等、が行われる。
【0061】
図4に示すステップS011では、図2の虹彩領域抽出部64が、第2領域85において虹彩が写っている部分である虹彩領域を抽出する。さらに図2の色抽出部75における平均色算出部76が、虹彩領域の平均色である虹彩平均色を算出する。
【0062】
図5に示すように、第2領域85は、瞳孔領域87と虹彩領域86を含むが、虹彩領域抽出部64は、虹彩領域86を瞳孔領域87とは区別して認識する。虹彩領域抽出部64は、虹彩領域86の色、模様及び形状的な特徴に基づき、虹彩領域86を抽出する。また、平均色算出部76は、虹彩領域86に含まれる画素の色に関する情報(RGBデータ等)を取得し、平均値を求めることによって、虹彩平均色を算出する。
【0063】
図4に示すステップS012では、図2の色補正処理部70の補正基準色算出部72が、補正基準色を算出する。補正基準色は、ステップS014における補正処理において、補正予定領域の外縁部の色として使用される。補正基準色算出部72は、ステップS011で算出された虹彩平均色に対して所定の彩度上昇又は明度低下処理を施し、補正基準色とする。補正予定領域の外縁部の色として使用される補正基準色を、虹彩平均色と類似の色であって虹彩平均色よりやや目立つ色とすることによって、補正処理による黒目強調効果を高めることができる。
【0064】
図4に示すステップS013では、図2の色抽出部75の外周色算出部77が、虹彩外周部の色である虹彩外周色を取得する。図9は、図5に示す目領域80の一部を拡大した拡大図である。図9に示すように、虹彩領域86は、第2領域85における外周側の一部分であり、虹彩領域86と接触する第1領域82には、帯状の補正予定領域92が形成されている。外周色算出部77は、虹彩領域86の一部であって、補正予定領域92と接触する部分を、虹彩外周部95と認定し、当該虹彩外周部95の色を取得し、その色を虹彩外周色とする。また、外周色算出部77は、虹彩外周部95を、ある程度の幅を有する領域として設定し、虹彩外周部95の平均色を虹彩外周色としても良い。
【0065】
(4)第4の処理群
図4に示すステップS014では、図2の色補正処理部70が、ステップS010で決定された補正予定領域に対して、補正処理を実施する。図9に示すように、色補正処理部70は、補正予定領域92の外縁部96の色を、ステップS012で算出した補正基準色に置き換える。次に、色補正処理部70は、外縁部96と虹彩外周部95との間の中間部分97に対して、補正基準色から虹彩外周色へ変化するグラデーション処理を施し、中間部分97の色を変更する。なお、図8に示すように、外縁部96は、補正予定領域92の周93a,93b,94a,94bのうち、第2領域85から遠い側(曲率が小さい側)の周93b,94bにそって形成される帯状の領域である。
【0066】
図6は、ステップS014に示す補正処理を実施した後の目領域80aを表す概念図である。図6は、図5に示す目領域80に対して、図7及び図8に示される補正予定領域92を算出し、ステップS014に示す補正処理を実施した状態を表したものである。ステップS014において、色補正処理部70は、補正予定領域92に含まれる内側補正部分93及び外側補正部分94の両方に、同様の補正処理を行う。また、色補正処理部70は、第2領域85を縁取りするように算出された補正予定領域92に対して、虹彩領域86から抽出された色に基づいて、補正予定領域92の色を置換する処理を行う。これにより、補正後の目領域80aは、補正前の目領域80に比べて黒目の比率が大きくなる。
【0067】
ステップS015では、図2に示すCPU40が、補正後の画像を不図示の記憶部に保存するなど、必要な終了準備処理を行ったのち、一連の画像処理を終了する。
【0068】
図10は、画像処理前後における処理対象画像の一例を、並べて表示したものである。画像98は処理前の状態を表しており、画像99は、図3及び図4に示す一連の画像処理を実施した後の状態を表している。図10に示すように、上述した目領域に対する補正処理を伴う画像処理は、人物の目における黒目の比率を、ユーザーが最も好ましいと感じる比率まで増加させることができる。これにより、本実施形態に係る画像処理は、画像中の被写体の印象を積極的に向上させることができる。また、本実施形態に係る画像処理は、目そのものの大きさを変えるのではなく、黒目の白目に対する比率を変更する補正であるため、顔の他の部位とのバランスを悪化させる恐れが少なく、被写体の自然な特徴を維持することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る画像処理装置は、1つの目領域において、黒目を挟んで左と右に存在する白目の比率を、補正前後で維持することができる。したがって、本実施形態に係る画像処理装置は、画像中における人物の視線の方向が画像補正の前後で変化することを抑制し、画像処理によって生じる違和感を抑制することができる。
【0070】
本実施形態に係る画像装置は、ユーザーからの入力に応じて、補正後の画像から認識される黒目の比率を変更することも可能である。図2に示す基準比率決定部46は、図1に示すメニュースイッチ30及びOKスイッチ32を介してユーザーからの入力信号を取得し、ステップS008で使用される第1の所定値V1を変更し、補正予定領域の面積を変更することができる。また、CPU40は、ユーザーから第1の所定値V1を変更する旨の信号を受け取った直後に、処理後の画像のプレビューを、LCDモニタ22に表示させても良い。
【0071】
また、図4のステップS011では、図2の平均色算出部76が虹彩平均色を算出するが、これに替えて、図2の最濃色算出部78が、図5に示す虹彩領域86で最も濃い色である虹彩最濃色を算出しても良い。この場合、ステップS012では、直前に算出した虹彩最濃色そのもの又は虹彩最濃色をさらに強調色側にシフトさせた色を、補正基準色とすることができる。
【0072】
また、図2の補正サイズ算出部68、第1サイズ算出部52、第2サイズ算出部62、第1内外比算出部58によって算出され、補正予定領域の大きさ及び形状を決定するために用いられるサイズは、面積に限られない。図11に示すように、補正サイズ算出部68、第1サイズ算出部52、第2サイズ算出部62、第1内外比算出部58は、目領域の中心を通る水平線H1に沿って計測された内側部分83の長さL3、第2領域85の長さL2、外側部分84の長さL4を用いて、補正予定領域の大きさ及び形状を決定しても良い。
【0073】
また、ステップS008において、図2の補正サイズ算出部68は、第2領域85の面積である第2面積(S2)と補正予定領域の面積である補正面積SHの比が、第2の所定値となるように、補正面積SHを算出しても良い。第2の所定値(V2=SH/S2)は、例えば実際の平均的な黒目の比率と、最も好まれる黒目の比率との比を考慮して決定することができ、例えば10%程度とすることができる。なお、CPU40は、ステップS015において処理後の画像を保存する際、目領域に対する補正を実施済みであることを示す情報を、処理後の画像に関連付けて保存しても良い。これにより、繰り返し補正が実施されることを防止し、黒目の比率が不自然に大きくなることを防止できる。
【0074】
また、ステップS014において、図2の色補正処理部70は、虹彩領域86から取得した色で補正予定領域の色を置換等する処理に替えて、第2領域85の画像を切り取り、拡大、貼り付け等することによって、黒目の比率を変更しても良い。また、ステップS014において、色補正処理部70は、虹彩部領域86の一部又は全体に対して、色をシフトさせる透過性のレイヤーを重ねるなどの処理を行い、さらに積極的に被写体の印象を変更することも可能である。
【0075】
本実施形態では、カメラ10に搭載される画像処理装置を例に説明を行ったが、本発明に係る画像処理装置はこれに限定されず、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯通信端末等に搭載されていても良い。また、画像処理装置の処理対象画像には、静止画だけでなく、動画も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10…カメラ
12…撮影光学系
14…撮像素子
22…LCDモニタ
24…電源ボタン
30…メニュースイッチ
32…OKスイッチ
40…CPU
42…顔検出部
44…目抽出部
46…基準比率決定部
48…判定部
50…第1領域抽出部
52…第1サイズ算出部
54…内側抽出部
56…外側抽出部
58…第1内外比算出部
60…第2領域抽出部
62…第2サイズ算出部
64…虹彩領域抽出部
66…補正領域算出部
68…補正サイズ算出部
70…色補正処理部
72…補正基準色算出部
75…色抽出部
76…平均色算出部
77…外周色算出部
78…最濃色算出部
80…目領域
82…第1領域
83…内側部分
84…外側部分
85…第2領域
86…虹彩領域
87…瞳孔領域
92…補正予定領域
93…内側補正部分
94…外側補正部分
95…虹彩外周部
96…外周縁
97…中間部分
SH…補正面積
α1…第1の値
α2…第2の値
β1…第1領域内外比
β2…補正領域内外比
V1…第1の所定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル画像から、人物の目が写っている領域である目領域を抽出する目抽出部と、
前記目領域に対して、黒目の白目に対する比率が大きくなるように、前記目領域に補正処理を実施する色補正処理部と、を有する画像処理装置。
【請求項2】
デジタル画像から、人物の目が写っている領域である目領域を抽出する目抽出部と、
前記目領域から、強膜が写っている第1領域を抽出する第1領域抽出部と、
前記目領域から、瞳孔及び虹彩が写っている第2領域を抽出する第2領域抽出部と、
前記第1領域の一部であって前記第1領域と前記第2領域の境界を縁取りする形状を有する補正予定領域を、算出する補正領域算出部と、
前記補正予定領域の色を、前記第2領域と同一又は類似の色に変更する補正処理を実施する色補正処理部と、を有する画像処理装置。
【請求項3】
前記第1領域のサイズである第1サイズを算出する第1サイズ算出部と、
前記第2領域のサイズである第2サイズを算出する第2サイズ算出部と、を有し、
前記補正領域算出部は、前記補正予定領域のサイズである補正サイズを算出する補正サイズ算出部を有し、
前記補正サイズ算出部は、前記第1サイズと前記補正サイズの差である第1の値と、前記第2サイズと前記補正サイズの和である第2の値との比が、第1の所定値になるように、前記補正サイズを算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2領域のサイズである第2サイズを算出する第2サイズ算出部を有し、
前記補正領域算出部は、前記補正予定領域のサイズである補正サイズを算出する補正サイズ算出部を有し、
前記補正サイズ算出部は、前記第2サイズと前記補正サイズとの比が、第2の所定値になるように、前記補正サイズを算出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1領域のうち、前記第2領域より顔の中心側に位置する内側部分を抽出する内側抽出部と、
前記第1領域のうち、前記第2領域を挟んで前記内側部分とは反対側に位置する外側部分を抽出する外側抽出部と、
前記内側部分のサイズと前記外側部分のサイズの比である第1領域内外比を算出する第1内外比算出部と、を有し、
前記補正領域算出部は、前記補正予定領域のうち前記内側部分に含まれる内側補正部分のサイズと、前記補正予定領域のうち前記外側部分に含まれる外側補正部分のサイズとの比である補正領域内外比が、前記第1領域内外比に等しくなるように、前記補正予定領域を算出することを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2領域において前記虹彩が写っている虹彩領域を抽出する虹彩領域抽出部と、
前記虹彩領域の色を抽出する色抽出部と、を有し、
前記色補正処理部は、前記色抽出部による抽出結果に基づき、前記補正処理を実施することを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記色抽出部は、前記虹彩領域の平均色である虹彩平均色を算出する平均色算出部と、前記虹彩領域の一部であって前記補正予定領域と接触する虹彩外周部の色である虹彩外周部色を算出する外周色算出部と、を有し、
前記色補正処理部は、前記虹彩平均色に対して所定の彩度上昇又は明度低下処理を施した補正基準色を算出する補正基準色算出部を有し、
前記色補正処理部は、前記補正予定領域の外縁部の色を、前記補正基準色とし、前記外縁部と前記虹彩外周部との間の部分に対して、前記補正基準色から前記虹彩外周部色へ変化するグラデーション処理を施すことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記色抽出部は、前記虹彩領域で最も濃い色である虹彩最濃色を算出する最濃色算出部と、前記虹彩領域の一部であって前記補正予定領域と接触する虹彩外周部の色である虹彩外周部色を算出する外周色算出部と、を有し、
前記色補正処理部は、前記虹彩最濃色に対して所定の彩度上昇又は明度低下処理を施した補正基準色を算出する補正基準色算出部を有し、
前記色補正処理部は、前記補正予定領域の外縁部の色を、前記補正基準色とし、前記外縁部と前記虹彩外周部との間の部分に対して、前記補正基準色から前記虹彩外周部色へ変化するグラデーション処理を施すことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかに記載の画像処理装置を搭載するカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−58165(P2013−58165A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197466(P2011−197466)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】