説明

画像処理装置及びデータ配信方法

【課題】受信者クライアントのセキュリティを保ちつつ、送信者及び受信者の双方にとって使い勝手の良いデータ配信を実現可能な画像処理装置及びデータ配信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ネットワーク経由で接続されたクライアント2へデータを配信する画像処理装置1であって、クライアント2へデータを配信する為に必要なパラメータに基づき、配信許諾をクライアント2へ要求する配信許諾要求手段(S2)と、クライアント2から配信許諾が通知されると(S3)、クライアント2に作成されたパラメータに基づきデータの配信を許諾するデータ格納手段へデータを配信する配信手段(S4)と、データ格納手段へのデータの配信結果をクライアント3へ送信する配信結果送信手段(S5)とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びデータ配信方法に係り、特に受信者クライアントへデータを配信する画像処理装置及びデータ配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置の一例としての複合機には、PC(Personal Computer)等の外部の機器からネットワーク経由で受信した要求に応じて、プロッタやスキャナ等の搭載機能により処理を行うものがあった(例えば特許文献1及び2参照)。
【0003】
従来、複合機では操作者からの要求に応じて、スキャナ部でスキャンしたスキャン文書をPCに配信するスキャン文書配信が行われている。スキャン文書配信はSMB(サーバメッセージブロック)やFTP(File Transfer Protocol)を使用して行われる。ここでは送信者がスキャン文書配信に必要なパラメータ(配信情報)を設定し、配信(相手)先のPC(受信者PC)にスキャン文書を配信する例を説明する。受信者PCでは、例えばスキャン文書の配信をフォルダ(受信フォルダ)により受け付けていた。
【特許文献1】特開2002−215558号公報
【特許文献2】特開平07−105069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、受信者PCではセキュリティ面を考慮すると、受信フォルダにログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要である。このようにログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダへスキャン文書を配信する場合、送信者は配信の許諾に必要なログイン名やパスワードを複合機の操作パネル(オペレーションパネル)や送信者のPC(送信者PC)から設定しなければならない。
【0005】
しかしながら、配信の許諾に必要な受信フォルダへのログイン名やパスワードが日常的に使っているものである場合や変更頻度が低いものである場合、ログイン名やパスワードを送信者へ知らせることはリスクが大きかった。なお、スキャン文書が配信される度に送信者へ知らせたログイン名やパスワードを受信者が設定し直すことは、受信者の負担が大きく現実的でなかった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、受信者クライアントのセキュリティを保ちつつ、送信者及び受信者の双方にとって使い勝手の良いデータ配信を実現可能な画像処理装置及びデータ配信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為、本発明は、ネットワーク経由でデータ通信可能に接続された受信者クライアントへデータを配信する画像処理装置であって、前記受信者クライアントへデータを配信する為に必要なパラメータに基づき、配信許諾を前記受信者クライアントへ要求する配信許諾要求手段と、前記受信者クライアントから配信許諾が通知されると、前記受信者クライアントに作成された前記パラメータに基づき前記データの配信を許諾するデータ格納手段へ前記データを配信する配信手段と、前記データ格納手段への前記データの配信結果を送信者クライアントへ送信する配信結果送信手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ネットワーク経由でデータ通信可能に接続された受信者クライアントへデータを配信する画像処理装置におけるデータ配信方法であって、前記受信者クライアントへデータを配信する為に必要なパラメータに基づき、配信許諾を前記受信者クライアントへ要求する配信許諾要求ステップと、前記受信者クライアントから配信許諾が通知されると、前記受信者クライアントに作成された前記パラメータに基づき前記データの配信を許諾するデータ格納手段へ前記データを配信する配信ステップと、前記データ格納手段への前記データの配信結果を送信者クライアントへ送信する配信結果送信ステップとを有することを特徴とする。
【0009】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受信者クライアントのセキュリティを保ちつつ、送信者及び受信者の双方にとって使い勝手の良いデータ配信を実現可能な画像処理装置及びデータ配信方法を提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。なお、本実施例では画像処理装置の一例として複合機1を例に説明していくが、如何なる画像処理装置であってもよい。
【0012】
図1は本発明によるデータ配信システムの一例の構成図である。図1のデータ配信システムは複合機(MFP)1,受信者のPC(受信者PC)2及び送信者のPC(送信者PC)3がLAN等のネットワーク経由でデータ通信可能に接続されている。図1のデータ配信システムはスキャン文書配信サービスを提供するものである。
【0013】
スキャン文書配信サービスは送信者PC3からの要求に基づき、複合機1がスキャン文書を受信者PC2に配信するものである。図1に示すデータ配信システムは複合機1のSMB,FTPクライアント機能を使用してスキャン文書配信サービスを提供する。SMBとはネットワーク経由でファイル共有やプリンタ共有を実現するプロトコルである。FTPとはインターネットやイントラネットなどのTCP/IPネットワークでファイルを転送するときに使われるプロトコルである。
【0014】
図1に示すデータ配信システムの処理手順について図2のシーケンス図を参照しつつ説明する。図2は本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した一例のシーケンス図である。
【0015】
ステップS1に進み、送信者は送信者PC3を操作し、後述のようにWebページ又はemailでスキャン文書配信に必要な受信者PC2の名前やスキャン文書の配信方法等のパラメータ(配信情報)を複合機1に設定する。
【0016】
ステップS2に進み、複合機1は受信者PC2に対してスキャン文書配信の予定を通知すると共に、スキャン文書配信の許諾を要求する為のemail送信を行う。このemailには後述のようにスキャン文書の配信を受け付ける為の受信フォルダを作成し、返信を返すスクリプトが添付されている。スクリプトは送信者によって設定されたパラメータに含まれるログイン名(送信者ログイン名)及びパスワード(送信者パスワード)でアクセスが可能な受信フォルダを作成できるものとする。
【0017】
ここでは、受信者によってスキャン文書配信が許諾されたものとして説明を続ける。受信者PC2は複合機1からのemailに添付されていたスクリプトを実行し、送信者によって設定されたパラメータに含まれるログイン名及びパスワードでアクセスが可能な受信フォルダを作成する。受信フォルダを作成したあと、受信者PC2はステップS3に進み、スキャン文書配信の許諾を複合機1に返信する。
【0018】
ステップS4に進み、複合機1はスキャンしたスキャン文書又は既に蓄積されている蓄積文書を、送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信時刻に受信者PC2の受信フォルダへ配信する。ステップS4では、送信者によって設定されたパラメータに含まれるログイン名及びパスワードにより受信フォルダへのアクセスが可能である。
【0019】
そして、ステップS5に進み、複合機1はスキャン文書の配信結果をemailで送信者PC3へ送信する。なお、ステップS1においてWebページ又はemailの何れでパラメータを設定するか、ステップS4においてスキャン文書又は蓄積文書の何れを配信するかの組み合わせとしては、以下の4つのパターンがある。なお、SMBとFTPとはライブラリとしての使用なので同等と考える。
【0020】
第1のパターンは、email(email形式)でパラメータを設定し、スキャン文書を配信するものである。第2のパターンは、emailでパラメータを設定し、蓄積文書を配信するものである。
【0021】
第3のパターンは、Webページでパラメータを設定し、スキャン文書を配信するものである。第4のパターンは、Webページでパラメータを設定し、蓄積文書を配信するものである。以下、第1〜第4のパターンを実施例1〜4として詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図3は本発明によるデータ配信システムの詳細を示す第1実施例の構成図である。図3の複合機1はスキャナ部11,要求受付部12,データ保存部13,配信制御部14を有する構成である。なお、図3における複合機1は本発明によるデータ配信方法の説明に不要な部分を適宜省略している。
【0023】
図3に示すデータ配信システムの処理手順について図4のシーケンス図を参照しつつ説明する。図4は本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した第1実施例のシーケンス図である。
【0024】
ステップS11に進み、送信者は送信者PC3を操作し、図5のような内容のemailでスキャン文書配信に必要なパラメータ(配信情報)を複合機1の要求受付部12に送信する。図5はパラメータを設定する為のemailの内容を表した構成図である。図5ではパラメータを設定する為に必要なデータをXML形式で表している。
【0025】
ステップS12に進み、要求受付部12は受信した図5のemailに含まれていたパラメータを配信制御部14に通知する。配信制御部14は要求受付部12から通知されたパラメータに不正があれば、ステップS13に進み、その旨をemailにて送信者PC3に通知する。
【0026】
要求受付部12から通知されたパラメータに不正がなければ、配信制御部14はステップS14に進み、要求受付部12から通知されたパラメータを利用して図6に示すような内容のemailを受信者PC2に送信する。図6はスキャン文書配信の許諾を要求する為のemailの内容を表した構成図である。
【0027】
図6(A)はスキャン文書配信の許諾を要求する為のemailの作成に必要なデータを表している。図6(B)はスキャン文書配信の許諾を要求する為のemailの内容を表している。
【0028】
図6(B)のemailを送信することで、配信制御部14は、受信者PC2に対してスキャン文書配信の予定を通知すると共に、スキャン文書配信の許諾を要求することができる。なお、図6(B)のemailには、スキャン文書の配信を許諾する場合に実行するスクリプトとスキャン文書の配信を許諾しない場合に実行するスクリプトとが添付されている。
【0029】
スキャン文書の配信を許諾する場合、受信者は受信者PC2でスキャン文書の配信を許諾する場合に実行するスクリプトを実行する。このスクリプトは、受信者により実行されると、スキャン文書の配信を受け付ける為の受信フォルダを作成し、要求受付部12へスキャン文書配信を許諾する旨(スキャン文書配信許可)を返信する。この受信フォルダは送信者によって設定されたパラメータに含まれるログイン名及びパスワードでアクセスが可能である。
【0030】
また、スキャン文書の配信を許諾しない場合、受信者は受信者PC2でスキャン文書の配信を許諾しない場合に実行するスクリプトを実行する。このスクリプトは、受信者により実行されると、要求受付部12へスキャン文書配信を許諾しない旨(スキャン文書配信拒否)を返信する。
【0031】
ステップS15に進み、受信者PC2は要求受付部12へスキャン文書配信許可またはスキャン文書配信拒否を返信する。ステップS16に進み、要求受付部12は受信者PC2から返信された返信内容を配信制御部14に通知する。要求受付部12から通知された返信内容がスキャン文書配信拒否であれば、配信制御部14はステップS17に進み、スキャン文書配信拒否をemailにて送信者PC3に通知する。
【0032】
要求受付部12から通知された返信内容がスキャン文書配信許可であれば、配信制御部14は送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信時刻になった後、ステップS18に進む。配信制御部14は送信者によって設定されたパラメータに含まれるスキャンに関するパラメータ(スキャンパラメータ)を指定してスキャナ部11に原稿のスキャンを要求する。スキャンパラメータは、送信者によって設定されたパラメータに含まれるスキャン文書枚数,保存形式,解像度等である。
【0033】
ステップS19に進み、スキャナ部11はスキャンしたスキャン文書をデータ保存部13に保存する。スキャナ部11によるスキャンが終了し、データ保存部13へのスキャン文書の保存が完了すると、データ保存部13はステップS20に進み、スキャン完了を配信制御部14へ通知する。
【0034】
ステップS21に進み、配信制御部14は送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信に関するパラメータに従って、データ保存部13に保存したスキャン文書を受信者PC2の受信フォルダへ配信する。送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信に関するパラメータは、相手先PC,配信時刻,再送回数,送信者ログイン名,送信者パスワード,配信方法等である。ステップS21の処理は、スキャン文書の配信失敗時に再送回数分、繰り返し行われる。なお、ステップS21では送信者によって設定されたパラメータに含まれるログイン名及びパスワードにより受信フォルダへのアクセスが可能である。
【0035】
そして、ステップS22に進み、配信制御部14はステップS12で要求受付部12から通知されたパラメータを利用してスキャン文書の配信結果をemailで送信者PC3に通知する。また、ステップS23に進み、配信制御部14はステップS12で要求受付部12から通知されたパラメータを利用してスキャン文書の配信結果を図7に示すような内容のemailで受信者PC2に通知する。図7はスキャン文書の配信結果を通知する為のemailの内容を表した構成図である。
【0036】
図7(A)はスキャン文書の配信結果を通知する為のemailの作成に必要なデータを表している。図7(B)はスキャン文書の配信結果を通知する為のemailの内容を表している。なお、図7(B)のemailには、受信フォルダのアクセス権を削除する場合に実行するスクリプトが添付されている。
【0037】
したがって、受信フォルダのアクセス権を削除する場合、受信者は受信者PC2で受信フォルダのアクセス権を削除する場合に実行するスクリプトを実行する。受信フォルダのアクセス権を削除する場合に実行するスクリプトが実行されることにより、受信者PC2は受信フォルダへのアクセス権を削除する。
【0038】
なお、配信制御部14はステップS12で要求受付部12から通知されたパラメータに含まれるパラメータ「実行後文書」に「DELETE」が設定されている場合、ステップS24に進み、データ保存部13に保存したスキャン文書を削除する。
【0039】
更に、配信制御部14の処理手順について図8のフローチャートを参照しつつ説明していく。図8は配信制御部の処理手順を表した実施例1のシーケンス図である。
【0040】
ステップS31に進み、配信制御部14はemailを受信する。emailを受信すると、配信制御部14はステップS32に進み、送信者からのemailであるか受信者からのemailであるかを判定する。
【0041】
送信者からのemailであれば、配信制御部14はステップS33に進み、要求受付部12から通知されたパラメータに不正(エラー)があるか否かを判定する。要求受付部12から通知されたパラメータに不正がなければ、ステップS34に進み、配信制御部14は要求受付部12から通知されたパラメータを利用して図6に示すような内容のemailを受信者PC2に送信したあと、図8のフローチャートの処理を終了する。
【0042】
なお、要求受付部12から通知されたパラメータに不正がある場合、配信制御部14はステップS35に進み、その旨を表すemail(エラーメール)を送信者PC3に送信したあと、図8のフローチャートの処理を終了する。
【0043】
ステップS32において受信者からのemailであると判定すると、配信制御部14はステップS36に進み、送信者によって設定されたパラメータに含まれるスキャンに関するパラメータに従ってスキャナ部11に原稿をスキャンさせる。
【0044】
ステップS37に進み、配信制御部14は送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信に関するパラメータを確認する。ステップS38に進み、配信制御部14は配信に関するパラメータの一つであるパラメータ「配信方法」に従い、SMB又はFTPライブラリを用いて、データ保存部13に保存したスキャン文書を受信者PC2の受信フォルダへ配信する。
【0045】
ステップS39に進み、配信制御部14はスキャン文書の配信に失敗したか否かを判定する。スキャン文書の配信に失敗した場合、配信制御部14は再送回数分まではステップS37の処理に戻り、スキャン文書の配信を繰り返し行う。なお、スキャン文書の配信失敗が再送回数分を超えると、配信制御部14はステップS35に進み、エラーメールを送信者PC3へ送信する。
【0046】
スキャン文書の配信に成功した場合、配信制御部14はステップS40に進み、スキャン文書の配信結果をemailで送信者PC3に通知すると共に、図7に示すような内容のemailで受信者PC2に通知する。
【0047】
ステップS41に進み、配信制御部14は要求受付部12から通知されたパラメータに含まれるパラメータ「実行後文書」に「DELETE」が設定されている場合、ステップS42に進み、データ保存部13からスキャン文書を削除し、図8のフローチャートの処理を終了する。なお、配信制御部14は要求受付部12から通知されたパラメータに含まれるパラメータ「実行後文書」に「DELETE」が設定されていない場合、そのまま図8のフローチャートの処理を終了する。
【0048】
このように、本発明による複合機1によれば、送信者により設定されたログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダを作成し、送信者により設定されたログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダへスキャン文書を配信するようにしたため、受信者PC2のセキュリティを保ちつつ、送信者及び受信者の双方にとって使い勝手の良いデータ配信システムを実現できる。
【実施例2】
【0049】
図9は本発明によるデータ配信システムの詳細を示す第2実施例の構成図である。図9の複合機1はスキャナ部11を有していない点で図3の構成図と異なる。図9のデータ配信システムの処理手順について図10のシーケンス図を参照しつつ説明する。図10は本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した第2実施例のシーケンス図である。
【0050】
ステップS51に進み、送信者は送信者PC3を操作し、図11のような内容のemailで蓄積文書配信に必要なパラメータ(配信情報)を複合機1の要求受付部12に送信する。図11はパラメータを設定する為のemailの内容を表した構成図である。図11ではパラメータを設定する為に必要なデータをXML形式で表している。
【0051】
ステップS52に進み、要求受付部12は受信した図11のemailに含まれていたパラメータを配信制御部14に通知する。配信制御部14は要求受付部12から通知されたパラメータに不正があれば、ステップS53に進み、その旨をemailにて送信者PC3に通知する。
【0052】
要求受付部12から通知されたパラメータに不正がなければ、配信制御部14はステップS54に進み、要求受付部12から通知されたパラメータを利用して図12に示すような内容のemailを受信者PC2に送信する。図12は蓄積文書配信の許諾を要求する為のemailの内容を表した構成図である。
【0053】
図12(A)は蓄積文書配信の許諾を要求する為のemailの作成に必要なデータを表している。図12(B)は蓄積文書配信の許諾を要求する為のemailの内容を表している。図12(B)のemailを送信することで、配信制御部14は、受信者PC2に対して蓄積文書配信の予定を通知すると共に、蓄積文書配信の許諾を要求することができる。
【0054】
なお、図12(B)のemailには、蓄積文書の配信を許諾する場合に実行するスクリプトと蓄積文書の配信を許諾しない場合に実行するスクリプトとが添付されている。
【0055】
蓄積文書の配信を許諾する場合、受信者は受信者PC2で蓄積文書の配信を許諾する場合に実行するスクリプトを実行する。このスクリプトは、受信者により実行されると、蓄積文書の配信を受け付ける為の受信フォルダを作成し、要求受付部12へ蓄積文書配信を許諾する旨(蓄積文書配信許可)を返信する。この受信フォルダは送信者によって設定されたパラメータに含まれるログイン名及びパスワードでアクセスが可能である。
【0056】
また、蓄積文書の配信を許諾しない場合、受信者は受信者PC2で蓄積文書の配信を許諾しない場合に実行するスクリプトを実行する。このスクリプトは受信者により実行されると、要求受付部12へ蓄積文書配信を許諾しない旨(蓄積文書配信拒否)を返信する。
【0057】
ステップS55に進み、受信者PC2は要求受付部12へ蓄積文書配信許可または蓄積文書配信拒否を返信する。ステップS56に進み、要求受付部12は受信者PC2から返信された返信内容を配信制御部14に通知する。要求受付部12から通知された返信内容が蓄積文書配信拒否であれば、配信制御部14はステップS57に進み、蓄積文書配信拒否をemailにて送信者PC3に通知する。
【0058】
要求受付部12から通知された返信内容が蓄積文書配信許可であれば、配信制御部14は送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信時刻になった後、ステップS58に進む。配信制御部14は送信者によって設定されたパラメータに含まれる蓄積文書名を指定してデータ保存部13から蓄積文書を取得する。
【0059】
ステップS60に進み、配信制御部14は送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信に関するパラメータに従って、データ保存部13から取得した蓄積文書を受信者PC2の受信フォルダへ配信する。送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信に関するパラメータは、相手先PC,配信時刻,再送回数,送信者ログイン名,送信者パスワード,配信方法等である。ステップS60の処理は、蓄積文書の配信失敗時に再送回数分、繰り返し行われる。ステップS60では送信者によって設定されたパラメータに含まれるログイン名及びパスワードにより受信フォルダへのアクセスが可能である。
【0060】
そして、ステップS61に進み、配信制御部14はステップS52で要求受付部12から通知されたパラメータを利用して蓄積文書の配信結果をemailで送信者PC3に通知する。また、ステップS62に進み、配信制御部14はステップS52で要求受付部12から通知されたパラメータを利用して蓄積文書の配信結果を図13に示すような内容のemailで受信者PC2に通知する。図13は蓄積文書の配信結果を通知する為のemailの内容を表した構成図である。
【0061】
図13(A)は蓄積文書の配信結果を通知する為のemailの作成に必要なデータを表している。図13(B)は蓄積文書の配信結果を通知する為のemailの内容を表している。なお、図13(B)のemailには、受信フォルダのアクセス権を削除する場合に実行するスクリプトが添付されている。
【0062】
したがって、受信フォルダのアクセス権を削除する場合、受信者は受信者PC2で受信フォルダのアクセス権を削除する場合に実行するスクリプトを実行する。受信フォルダのアクセス権を削除する場合に実行するスクリプトが実行されることにより、受信者PC2は受信フォルダへのアクセス権を削除する。
【0063】
なお、配信制御部14はステップS52で要求受付部12から通知されたパラメータに含まれるパラメータ「実行後文書」に「DELETE」が設定されている場合、ステップS63に進み、データ保存部13に保存した蓄積文書を削除する。
【0064】
更に、配信制御部14の処理手順について図14のフローチャートを参照しつつ説明していく。図14は配信制御部の処理手順を表した実施例2のシーケンス図である。
【0065】
ステップS71に進み、配信制御部14はemailを受信する。emailを受信すると、配信制御部14はステップS72に進み、送信者からのemailであるか受信者からのemailであるかを判定する。
【0066】
送信者からのemailであれば、配信制御部14はステップS73に進み、要求受付部12から通知されたパラメータに不正(エラー)があるか否かを判定する。要求受付部12から通知されたパラメータに不正がなければ、ステップS74に進み、配信制御部14は要求受付部12から通知されたパラメータを利用して図12に示すような内容のemailを受信者PC2に送信したあと、図14のフローチャートの処理を終了する。
【0067】
なお、要求受付部12から通知されたパラメータに不正がある場合、配信制御部14はステップS75に進み、その旨を表すemail(エラーメール)を送信者PC3に送信したあと、図14のフローチャートの処理を終了する。
【0068】
ステップS72において受信者からのemailであると判定すると、配信制御部14はステップS76に進み、データ保存部13から蓄積文書を読み出す。ステップS77に進み、配信制御部14は送信者によって設定されたパラメータに含まれる配信に関するパラメータを確認する。ステップS78に進み、配信制御部14は配信に関するパラメータの一つであるパラメータ「配信方法」に従い、SMB又はFTPライブラリを用いて、読み出した蓄積文書を受信者PC2の受信フォルダへ配信する。
【0069】
また、ステップS79に進み、配信制御部14は蓄積文書の配信に失敗したか否かを判定する。蓄積文書の配信に失敗した場合、配信制御部14は再送回数分まではステップS77の処理に戻り、蓄積文書の配信を繰り返し行う。なお、蓄積文書の配信失敗が再送回数分を超えると、配信制御部14はステップS75に進み、エラーメールを送信者PC3へ送信する。
【0070】
蓄積文書の配信に成功した場合、配信制御部14はステップS80に進み、蓄積文書の配信結果をemailで送信者PC3に通知すると共に、図13に示すような内容のemailで受信者PC2に通知する。
【0071】
ステップS81に進み、配信制御部14は要求受付部12から通知されたパラメータに含まれるパラメータ「実行後文書」に「DELETE」が設定されている場合、ステップS82に進み、データ保存部13から蓄積文書を削除し、図14のフローチャートの処理を終了する。なお、配信制御部14は要求受付部12から通知されたパラメータに含まれるパラメータ「実行後文書」に「DELETE」が設定されていない場合、そのまま図14のフローチャートの処理を終了する。
【0072】
このように、本発明による複合機1によれば、送信者により設定されたログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダを作成し、送信者により設定されたログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダへ蓄積文書を配信するようにしたため、受信者PC2のセキュリティを保ちつつ、送信者及び受信者の双方にとって使い勝手の良いデータ配信システムを実現できる。
【実施例3】
【0073】
第3実施例のデータ配信システムの詳細は図3と同様である為、説明を省略する。第3実施例のデータ配信システムの処理手順について図15のシーケンス図を参照しつつ説明する。図15は本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した第3実施例のシーケンス図である。
【0074】
ステップS91に進み、送信者は送信者PC3を操作し、複合機1の要求受付部12へwebによるアクセスを行う。ステップS92に進み、要求受付部12は送信者PC3に図16のようなweb画面を表示させる。図16はスキャン文書配信に必要なパラメータを送信者に設定させるweb画面の一例のイメージ図である。
【0075】
ステップS93に進み、送信者は送信者PC3を操作し、図16のようなweb画面にスキャン文書配信に必要なパラメータを設定することで、スキャン文書配信に必要なパラメータを複合機1の要求受付部12に送信する。ステップS94に進み、要求受付部12は受信したスキャン文書配信に必要なパラメータを配信制御部14に通知する。
【0076】
なお、ステップS95〜S105の処理は図4のステップS14〜S24と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
更に、配信制御部14の処理手順について図17のフローチャートを参照しつつ説明していく。図17は配信制御部の処理手順を表した実施例3のシーケンス図である。
【0078】
ステップS111に進み、配信制御部14はweb画面からのパラメータ又はemailを受信する。web画面からのパラメータ又はemailを受信すると、配信制御部14はステップS112に進み、web画面からのパラメータ(送信者)であるかemail(受信者)であるかを判定する。
【0079】
web画面からのパラメータであれば、配信制御部14はステップS113に進み、要求受付部12から通知されたパラメータに不正(エラー)があるか否かを判定する。要求受付部12から通知されたパラメータに不正がなければ、ステップS114に進み、配信制御部14は、要求受付部12から通知されたパラメータを利用して図6に示したような内容のemailを受信者PC2に送信したあと、図17のフローチャートの処理を終了する。要求受付部12から通知されたパラメータに不正がある場合、配信制御部14はステップS115に進み、その旨を表すemail(エラーメール)を送信者PC3に送信したあと、図17のフローチャートの処理を終了する。
【0080】
なお、ステップS112において受信者からのemailであると判定すると、配信制御部14はステップS116に進む。なお、ステップS116〜S122の処理は図8のステップS36〜S42と同様であるため、説明を省略する。
【0081】
このように、本発明による複合機1によれば、送信者により設定されたログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダを作成し、送信者により設定されたログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダへスキャン文書を配信するようにしたため、受信者PC2のセキュリティを保ちつつ、送信者及び受信者の双方にとって使い勝手の良いデータ配信システムを実現できる。
【実施例4】
【0082】
第4実施例のデータ配信システムの詳細は図9と同様である為、説明を省略する。第4実施例のデータ配信システムの処理手順について図18のシーケンス図を参照しつつ説明する。図18は本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した第4実施例のシーケンス図である。
【0083】
ステップS111に進み、送信者は送信者PC3を操作し、複合機1の要求受付部12へwebによるアクセスを行う。ステップS112に進み、要求受付部12は送信者PC3に図19のようなweb画面を表示させる。図19は蓄積文書配信に必要なパラメータを送信者に設定させるweb画面の一例のイメージ図である。
【0084】
ステップS113に進み、送信者は送信者PC3を操作し、図19のようなweb画面から蓄積文書の検索指示を行う。送信者PC3は複合機1の要求受付部12へ蓄積文書の検索指示を行う。ステップS114に進み、要求受付部12はデータ保存部13に保存されている蓄積文書の一覧を要求する。ステップS115に進み、データ保存部13は保存している蓄積文書の一覧を要求受付部12に応答する。
【0085】
ステップS116に進み、要求受付部12は図19のweb画面に蓄積文書の一覧を表示する。ステップS117に進み、送信者は送信者PC3を操作し、図19のようなweb画面に蓄積文書配信に必要なパラメータを設定することで、蓄積文書配信に必要なパラメータを複合機1の要求受付部12に送信する。なお、ステップS118〜S129の処理は図10のステップS52〜S63と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
また、実施例4における配信制御部14の処理手順は図14のステップS76〜S82及び図17のステップS111〜S115と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
このように、本発明による複合機1によれば、送信者により設定されたログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダを作成し、送信者により設定されたログイン名やパスワードなどによる配信の許諾が必要な受信フォルダへ蓄積文書を配信するようにしたため、受信者PC2のセキュリティを保ちつつ、送信者及び受信者の双方にとって使い勝手の良いデータ配信システムを実現できる。
【0088】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。なお、特許請求の範囲に記載した配信許諾要求手段がステップS2の処理に相当し、配信手段がステップS4の処理に相当し、配信結果送信手段がステップS5の処理に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明によるデータ配信システムの一例の構成図である。
【図2】本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した一例のシーケンス図である。
【図3】本発明によるデータ配信システムの詳細を示す第1実施例の構成図である。
【図4】本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した第1実施例のシーケンス図である。
【図5】パラメータを設定する為のemailの内容を表した構成図である。
【図6】スキャン文書配信の許諾を要求する為のemailの内容を表した構成図である。
【図7】スキャン文書の配信結果を通知する為のemailの内容を表した構成図である。
【図8】配信制御部の処理手順を表した実施例1のシーケンス図である。
【図9】本発明によるデータ配信システムの詳細を示す第2実施例の構成図である。
【図10】本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した第2実施例のシーケンス図である。
【図11】パラメータを設定する為のemailの内容を表した構成図である。
【図12】蓄積文書配信の許諾を要求する為のemailの内容を表した構成図である。
【図13】蓄積文書の配信結果を通知する為のemailの内容を表した構成図である。
【図14】配信制御部の処理手順を表した実施例2のシーケンス図である。
【図15】本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した第3実施例のシーケンス図である。
【図16】スキャン文書配信に必要なパラメータを送信者に設定させるweb画面の一例のイメージ図である。
【図17】配信制御部の処理手順を表した実施例3のシーケンス図である。
【図18】本発明によるデータ配信システムの処理手順を表した第4実施例のシーケンス図である。
【図19】蓄積文書配信に必要なパラメータを送信者に設定させるweb画面の一例のイメージ図である。
【符号の説明】
【0090】
1 複合機(MFP)
2 受信者のPC(受信者PC)
3 送信者のPC(送信者PC)
11 スキャナ部
12 要求受付部
13 データ保存部
14 配信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク経由でデータ通信可能に接続された受信者クライアントへデータを配信する画像処理装置であって、
前記受信者クライアントへデータを配信する為に必要なパラメータに基づき、配信許諾を前記受信者クライアントへ要求する配信許諾要求手段と、
前記受信者クライアントから配信許諾が通知されると、前記受信者クライアントに作成された前記パラメータに基づき前記データの配信を許諾するデータ格納手段へ前記データを配信する配信手段と、
前記データ格納手段への前記データの配信結果を送信者クライアントへ送信する配信結果送信手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記パラメータには、送信者ログイン名及び送信者パスワードが含まれており、
前記配信手段は、前記受信者クライアントに作成された前記送信者ログイン名及び前記送信者パスワードに基づき前記データの配信を許諾するデータ格納手段へ前記データを配信することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記パラメータには、前記データの配信時刻が含まれており、
前記配信手段は、前記データの配信時刻に、前記受信者クライアントに作成された前記データ格納手段へ前記データを配信することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記送信者クライアントから前記パラメータを含むメールを受信し、前記パラメータを受け付ける第1パラメータ受付手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記送信者クライアントに前記パラメータを設定させる為の画面を表示させ、送信者により前記画面に設定された前記パラメータを受け付ける第2パラメータ受付手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記配信許諾要求手段は、前記パラメータに基づき前記データの配信を許諾するデータ格納手段を前記受信者クライアントに作成するスクリプトを添付したメールにて、配信許諾を前記受信者クライアントへ要求することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記データは前記パラメータに含まれる前記データの配信時刻に前記スキャナ部によりスキャンされたスキャン文書であることを特徴とする請求項1乃至6何れか一項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記データ格納手段は、前記パラメータに基づき前記データの配信を許諾するフォルダであることを特徴とする請求項1乃至7何れか一項記載の画像処理装置。
【請求項9】
ネットワーク経由でデータ通信可能に接続された受信者クライアントへデータを配信する画像処理装置におけるデータ配信方法であって、
前記受信者クライアントへデータを配信する為に必要なパラメータに基づき、配信許諾を前記受信者クライアントへ要求する配信許諾要求ステップと、
前記受信者クライアントから配信許諾が通知されると、前記受信者クライアントに作成された前記パラメータに基づき前記データの配信を許諾するデータ格納手段へ前記データを配信する配信ステップと、
前記データ格納手段への前記データの配信結果を送信者クライアントへ送信する配信結果送信ステップと
を有することを特徴とするデータ配信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2009−134613(P2009−134613A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311136(P2007−311136)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】