説明

画像処理装置及び動作制御プログラム

【課題】印刷物の複写等を制限してセキュリティ性を確保しつつ、複写時に潜像文字が浮かび上がるかも簡単に確認できるようにする。
【解決手段】原稿画像を読み取る原稿画像読取部と、原稿画像読取部によって読み取られた画像データに出力禁止ドットパターンが含まれているか否かを検出するドットパターン検出部と、ドットパターン検出部によって出力禁止ドットパターンが検出された場合には、当該画像データの出力を禁止する制御部と、原稿画像読取部によって取得された画像データに出力禁止解除マークが含まれているか否かを検出する出力禁止解除マーク検出部とを備え、制御部は、出力禁止解除マーク検出部によって出力禁止解除マークが検出された場合には、画像データの出力を許可する(S4でYES,S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び動作制御プログラムに関し、特に、画像データの出力及び出力禁止を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機密文書の読取や印刷等の不正な出力を防止可能とした画像形成装置が提案されている。例えば、下記特許文献1及び2に示されるように、原稿を複写すると、複写物である画像の背景に文字が浮かび上がるようにした地紋処理技術を採用した画像形成装置が知られている。この地紋処理技術は、原稿中のごく小さなドットはスキャナ等の特性により画像読取時に消失することを利用して、当該小ドットの集まりで構成される潜像部と、大ドットの集まりで構成される背景部の2つの領域を用いて「COPY」や「複写禁止」などの潜像文字を、機密文書の背景に埋め込むことで、機密文書の複写時に当該文字が浮かび上がるようにしたものである。
【0003】
また、下記特許文献3に示されるように、機密文書等を出力する際の背景に特殊なドットパターンを埋め込み、複写時に読み取られた原稿画像中に当該特殊なドットパターンが検出されると、原稿画像の画像データの出力を禁止するコピーガード技術が採用された画像形成装置も提案されている。
【0004】
さらに、上記2つの技術を組み合わせて、例えば、地紋処理における背景部(複写時に消失しない領域)を、コピーガード技術を適用した特殊なドットパターンで形成する技術も提案されている。この技術の場合、当該特殊なドットパターンを検出できる複写機では不正な出力を禁止でき、当該特殊なドットパターンを検出できない複写機であっても複写物に上記潜像文字を浮かび上がらせて、悪意の第三者による不正出力を抑制できる。
【特許文献1】特開2005−94327号公報
【特許文献2】特開2005−236954号公報
【特許文献3】特開2004−274092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記2つの技術を組み合わせた技術の場合、当該特殊なドットパターンを検出できる複写機では、特殊なドットパターンが検出されると複写動作が禁止されるため、当該技術が適用されて印刷された印刷物の複写時に上記潜像文字が浮かび上がるか否かを確認できない。ここで、当該複写機の複写禁止の設定を簡単に解除可能にすると、悪意の第三者による不正出力を効果的に禁止できない虞が生じる。そのため、ユーザは、上記コピーガード技術が適用されて印刷された印刷物の複写時に潜像文字が浮かび上がるか否かの確認は、当該特殊なドットパターンを検出できない複写機を用いなければ確認できなかった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、印刷物の複写等を制限してセキュリティ性を確保しつつ、複写時に潜像文字が浮かび上がるかも簡単に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の発明は、画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、予め定められた出力禁止ドットパターンが含まれているか否かを検出するドットパターン検出部と、
前記ドットパターン検出部によって前記出力禁止ドットパターンが検出された場合には、当該画像データの出力を禁止する制御部と、
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、予め定められた出力禁止解除マークが含まれているか否かを検出する出力禁止解除マーク検出部とを備え、
前記制御部は、前記出力禁止解除マーク検出部によって前記出力禁止解除マークが検出された場合には前記画像データの出力を許可する画像処理装置である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記画像データ取得部によって取得された画像データに基づいて画像形成を行う画像形成部を更に備え、
前記制御部は、前記出力禁止解除マーク検出部によって前記出力禁止解除マークが検出された場合に、前記出力として前記画像形成部による画像形成を許可するものである。
【0009】
また、請求項9に記載の発明は、コンピュータを、
予め定められている出力禁止ドットパターンが画像データに含まれているか否かを検出するドットパターン検出部と、
前記ドットパターン検出部によって前記出力禁止ドットパターンが検出された場合には、当該画像データの出力を禁止する制御部と、
前記画像データに、予め定められている出力禁止解除マークが含まれているか否かを検出する出力禁止解除マーク検出部として機能させ、
前記制御部が、前記出力禁止解除マーク検出部によって前記出力禁止解除マークが検出された場合には出力を許可するように機能させる動作制御プログラムである。
【0010】
これらの発明によれば、制御部は、出力禁止解除マーク検出部によって出力禁止解除マークが検出されなければ画像データの出力を禁止し、出力禁止解除マーク検出部によって出力禁止解除マークが検出されると画像データの出力を許可するので、出力禁止解除マーク検出部によって出力禁止ドットパターンが検出された場合であっても、画像データの出力を許可するか否かを上記出力禁止解除マークの検出有無に応じて切り換え可能になる。このため、本発明によれば、出力禁止ドットパターンが含まれている画像データや、出力禁止ドットパターン埋込処理及び地紋処理の両方が行われている画像データについて、出力禁止解除マークの無い画像データについては、出力(例えば、印刷物の複写等)が禁止されてセキュリティ性を確保でき、一方、出力禁止解除マークの有る画像データについては出力が許可されることで、ユーザは複写時に潜像文字が浮かび上がるかを簡単に確認することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置であって、前記画像データ取得部によって取得された画像データに、前記出力禁止ドットパターンからなる背景画像を合成する出力禁止ドットパターン合成部を更に備えるものである。
【0012】
この発明によれば、出力禁止ドットパターン合成部による画像データへの出力禁止ドットパターンを有する背景画像の合成処理までが可能になる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置であって、前記画像データ取得部によって取得された画像データに、予め定められた透かしパターンを有する背景画像を合成する透かしパターン合成部を更に備えるものである。
【0014】
この発明によれば、透かしパターン合成部による画像データへの透かしパターンを有する背景画像の合成処理までが可能になる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置であって、前記画像データ取得部によって取得された画像データに、前記出力禁止解除マークを有する背景画像を合成する出力禁止解除マーク合成部と、
前記出力禁止解除マーク合成部による前記出力禁止解除マークを有する背景画像の合成処理を実行する旨の指示がユーザから入力される指示入力部とを更に備え、
前記制御部は、前記指示入力部によって前記出力禁止解除マークを有する背景画像の合成処理の実行指示が入力された場合に、前記画像データ取得部によって取得された画像データに対して前記出力禁止解除マーク合成部に前記出力禁止解除マークを有する背景画像の合成処理を行わせるものである。
【0016】
この発明によれば、ユーザは、指示入力部に上記出力禁止解除マークを有する背景画像の合成処理を指示するか否かで、画像データに出力禁止解除マークを有する背景画像を合成するか否かを切り替えることができ、これにより、ユーザは、出力禁止解除マークを埋め込んだ上で画像データを出力して当該出力物の複製を許可するか、出力禁止解除マークを埋め込まずに画像データを出力して当該出力物の複製を禁止するかを自在に使い分けることが可能になる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記制御部は、前記出力禁止解除マークが検出された場合に許可する出力回数を、予め定められた回数に制限するものである。
【0018】
この発明によれば、制御部は、画像データに出力禁止解除マークが検出された場合であっても、当該画像データの出力を予め定められた回数しか許可しないので、例えば、悪意の第三者によって、無制限に当該画像データが複製されたり、当該画像データにおける出力禁止解除マークが、上記出力禁止ドットパターンの埋め込まれた別の画像データに貼り付けられることで出力禁止が解除されてしまう悪用を防止可能になる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記制御部は、前記出力禁止解除マークが検出された場合に許可する出力時間を、予め定められた時間内に制限するものである。
【0020】
この発明によれば、制御部は、画像データに出力禁止解除マークが検出された場合であっても、当該画像データの出力を予め定められた時間内しか許可しないので、例えば、悪意の第三者によって、無制限に当該画像データが複製されたり、当該画像データにおける出力禁止解除マークが、上記出力禁止ドットパターンの埋め込まれた別の画像データに貼り付けられることで出力禁止が解除されてしまう悪用を防止可能になる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記出力禁止解除マーク合成部は、前記画像データへの合成処理毎に異なる出力禁止解除マークを用い、
前記制御部は、前記出力禁止解除マーク合成部による合成処理に直近に用いられた出力禁止解除マークが前記画像データから検出された場合に、当該画像データの出力を許可するものである。
【0022】
この発明によれば、出力禁止解除マーク合成部が画像データへの前記合成処理毎に異なる出力禁止解除マークを用い、制御部は、直近の合成処理に用いられた出力禁止解除マークが画像データから検出された場合に当該画像データの出力を許可するので、例えば、悪意の第三者によって、無制限な当該画像データの複製や、上記出力禁止ドットパターンの埋め込まれた別の画像データに出力禁止解除マークが貼り付けられて出力禁止が解除されるといった悪用をより確実に防止可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本願発明によれば、出力禁止ドットパターンが含まれている画像データや、出力禁止ドットパターン埋込処理及び地紋処理の両方が含まれている画像データについて、出力禁止解除マークの無い画像データについては、出力(例えば、印刷物の複写等)が禁止されてセキュリティ性を確保でき、一方、出力禁止解除マークの有る画像データについては出力が許可されることで、ユーザは複写時に潜像文字が浮かび上がるかを簡単に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る画像処理装置及び動作制御プログラムについて説明する。尚、本実施形態で示す画像形成装置は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を備えており、当該画像形成装置として複写機を例にして説明する。当該画像形成装置としては、この他、コピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の機能を備えた複合機であってもよい。
【0025】
図1は、複写機1の電気的構成を示す機能ブロック図である。図2(a)(b)(c)は地紋処理がされた背景画像を説明する図である。複写機1は、制御部10、記憶部11、原稿読取部12、画像メモリ13、画像処理部14、給紙部15、画像形成部16、操作部17及びネットワークI/F部18を備えて構成されている。
【0026】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等によって構成され、複写機1の全体的な動作制御を司る。また、制御部10は、ドットパターン検出部101、出力禁止解除マーク検出部102、出力禁止解除マーク生成部103、出力禁止ドットパターン生成部104、透かしパターン生成部105、及び画像生成部106を有する。
【0027】
制御部10は、入力された指示信号等に応じて記憶部11に記憶された本発明の一実施形態に係る動作制御プログラムに従って、ドットパターン検出部101、出力禁止解除マーク検出部102、出力禁止解除マーク生成部103、出力禁止ドットパターン生成部104、透かしパターン生成部105、及び画像生成部106として機能するものであってもよいし、これら各部が回路等により構成されて備えられていてもよい。
【0028】
ドットパターン検出部101は、原稿読取部12によって読み取られた原稿画像のデータ、又は複写機1にネットワーク接続されているコンピュータ等からネットワークI/F部18によって取得された画像データに、出力禁止ドットパターンが含まれているか否かを検出する。例えば、ドットパターン検出部101は、予め定められた網点線数及び網点角度からなるドットパターンを、当該ドットパターンの網点領域を含む画像データについての出力禁止を示す出力禁止ドットパターンとして記憶している。ドットパターン検出部101は、原稿読取部12又はネットワークI/F部18によって取得された画像データが網点領域を有するか否かを検出し、当該網点領域の網点線数及び網点角度が、出力禁止ドットパターンの網点線数及び網点角度に一致した場合に、出力禁止ドットパターンが当該画像データに含まれていると検出する。
【0029】
制御部10は、ドットパターン検出部101が、画像形成部16による原稿読取部12又はネットワークI/F部18によって取得された画像データから上記出力禁止ドットパターンを検出すると、画像形成部16による当該画像データの画像形成を禁止し(いわゆるコピーガード技術)、ドットパターン検出部101が上記出力禁止ドットパターンを検出しなければ、画像形成部16による当該画像形成を許可する。
【0030】
出力禁止解除マーク検出部102は、原稿読取部12又はネットワークI/F部18によって取得された画像データに、予め定められた出力禁止解除マーク(後述)が含まれているか否かを検出する。
【0031】
出力禁止解除マーク生成部103は、原稿読取部12又はネットワークI/F部18によって取得された画像データに対して合成する出力禁止解除マークを生成する。当該出力禁止解除マークは、予め定められたイメージ画像、予め定められた網点線数及び角度(上記出力禁止ドットパターンのものとは異なる)からなるドットパターン、のいずれであっても構わない。なお、出力禁止解除マーク生成部103及び画像生成部106が、特許請求の範囲でいう出力禁止解除マーク合成部の一例となる。また、上記出力禁止解除マークの生成に必要なデータは、記憶部11又は出力禁止解除マーク生成部103が予め保有している。
【0032】
出力禁止ドットパターン生成部104は、原稿読取部12又はネットワークI/F部18によって取得された画像データに合成する出力禁止ドットパターンを生成する。出力禁止ドットパターン生成部104は、例えば、上記出力禁止ドットパターンを示す予め定められた網点線数及び網点角度の情報を保有しており、当該網点線数及び網点角度からなるドットパターンを背景画像として生成する。なお、出力禁止ドットパターン生成部104及び画像生成部106が、特許請求の範囲でいう出力禁止ドットパターン合成部の一例となる。また、上記出力禁止ドットパターンの生成に必要なデータは、記憶部11又は出力禁止ドットパターン生成部104が予め保有している。
【0033】
透かしパターン生成部105は、原稿読取部12又はネットワークI/F部18によって取得された画像データに合成する透かしパターン(電子透かし情報、潜像)を埋め込む地紋処理を行う。透かしパターン生成部105による透かしパターン生成処理(地紋処理)の例を説明する。透かしパターンは、原稿読取部12又はネットワークI/F部18によって取得された画像データに合成される背景画像の中に潜像として埋め込まれる。例えば、透かしパターン生成部105は、透かしパターンである潜像部分に、それ以外の背景部分とは種類の異なるディザパターンを使用し、一方のパターン密度を原稿読取部12による原稿読み取り時の分解能を上回るパターン密度とし、他方を原稿読取部12による原稿読み取り時の分解能以下のパターン密度とする。このとき、原稿(透かしパターンが埋め込まれた画像が画像形成されたもの)の原本を見ても、人には電子透かし情報を視認しづらいが、画像形成部16によりプリントアウトした場合は、原稿読取部12により原稿上の画像を光学的に読み取れば、この読み取った画像の中から、例えば制御部10が電子透かし情報を判別できるようになる。これにより、当該透かしパターンが埋め込まれた背景画像を有する原稿を当該複写機1で複写した場合、複写物が画像形成された記録紙上に、当該透かしパターンで形成されるパターン(例えば図2(c))を浮かび上がらせることができる。なお、上記透かしパターンの合成に必要なデータは、透かしパターン生成部105が予め保有している。なお、透かしパターン生成部105及び画像生成部106が、特許請求の範囲でいう透かしパターン合成部の一例となる。
【0034】
画像生成部106は、出力禁止解除マーク生成部103、出力禁止ドットパターン生成部104及び透かしパターン生成部105によって生成された背景画像(図2(b))を、原稿読取部12又はネットワークI/F部18によって取得された画像データ(図2(a))に重ね合わせる処理を行う(図2(c))。尚、対象画素に背景画像を重ね合わせて原稿画像を生成する方法の一例が、特開2003−101762号公報に記載されている為、詳しい説明は省略する。
【0035】
記憶部11は、複写機1の備える種々の機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する。本実施の形態では、記憶部11は動作制御プログラムや、複写機1の動作制御に必要なプログラム等を記憶している。
【0036】
原稿読取部(画像データ取得部)12は、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサによって原稿を読み取り、読み取った画像を画像データに変換する。
【0037】
画像メモリ13は、原稿読取部12から出力された画像データやネットワークI/F部18を介して外部装置から送信された画像データを一時的に記憶する。画像処理部14は、画像メモリ13に記憶されている画像データに対して画像補正や拡大・縮小等の画像処理を施す。給紙部15は、給紙カセットから記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部16に搬送する。
【0038】
画像形成部16は、画像メモリ13に記憶された画像データに基づいた画像を記録紙に形成する。操作部(指示入力部)17は、表示パネルや各種操作ボタンを備え、ユーザによって操作がなされると、操作信号を制御部10へ出力する。ネットワークI/F部(画像データ取得部)18は、LANボード等の通信モジュールから構成され、ネットワークI/F部18と接続されたネットワーク(不図示)を介して外部装置(例えば、コンピュータ等)と、印刷対象データ等の種々のデータの送受信を行う。
【0039】
次に、複写機1による複写制限処理の第1実施形態を説明する。図3は、複写機1による複写制限処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【0040】
ユーザによる操作部17の操作で複写動作の実行指示が入力されると(S1でYES)、制御部10は、原稿読取部12に原稿を読み取らせる(S2)。ドットパターン検出部101は、原稿読取部12によって読み取られた原稿画像が、出力禁止ドットパターンを含むかを判断する(S3)。すなわち、ドットパターン検出部101は、原稿読取部12によって読み取られた原稿画像に網点領域があるか否かを判別し、網点領域が存在する場合には当該網点領域の網点線数及び網点角度を検出し、当該検出した網点線数及び網点角度が、記憶部11に複写禁止の対象として記憶されている出力禁止ドットパターンの網点線数及び網点角度に一致するか否かを判断する。
【0041】
ここで、ドットパターン検出部101が、上記原稿画像に出力禁止ドットパターンが含まれないと判断した場合(S3でNO)、すなわち、上記原稿画像に網点領域がない場合や、網点領域の網点線数及び網点角度が、上記複写禁止対象の網点線数及び網点角度に一致しない場合には、制御部10は、画像形成部16による上記原稿画像の画像形成を許可し(S7)、画像形成部16に上記原稿画像の画像形成を行わせる(S8)。
【0042】
一方、ドットパターン検出部101が、上記原稿画像に出力禁止ドットパターンが含まれると判断した場合(S3でYES)、すなわち、上記原稿画像に含まれる網点領域の網点線数及び網点角度が、上記複写禁止を示す出力禁止ドットパターンの網点線数及び網点角度に一致する場合は、出力禁止解除マーク検出部102が、上記原稿画像に出力禁止解除マークが含まれるか否かを判断する(S4)。例えば、出力禁止解除マーク検出部102は、出力禁止解除マークが所定のイメージ画像とされる場合には、上記原稿画像に、出力禁止解除マークとしてのイメージ画像を構成する画素値を有する各画素が存在するか、又はこれに加えて、当該イメージ画像の面積等と一致する画像が存在するかを判定する。また、ドットパターン検出部101は、出力禁止解除マークが所定の網点線数及び網点角度からなる網点領域である場合は、上記原稿画像に、出力禁止解除マークとしての網点領域の網点線数及び網点角度が存在するか、又はこれに加えて、当該網点領域の面積等と一致する網点領域が存在するか否かを判定する。
【0043】
ここで、出力禁止解除マーク検出部102が上記原稿画像に出力禁止解除マークが含まれると判断した場合(S4でYES)、制御部10は、画像形成部16による上記原稿画像の画像形成を許可し(S7)、画像形成部16に上記原稿画像の画像形成を行わせる(S8)。すなわち、制御部10は、S3において上記原稿画像に出力禁止ドットパターンが含まれると判断した場合であっても、当該原稿画像に出力禁止解除マークが含まれていれば、当該原稿画像の画像形成を許可する。
【0044】
また、ここで、出力禁止解除マーク検出部102が上記原稿画像に出力禁止解除マークが含まれないと判断した場合は(S4でNO)、制御部10は、画像形成部16による上記原稿画像の画像形成を禁止し(S5)、操作部17に設けられているLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部に、当該原稿画像の画像形成が禁止される旨のメッセージを表示させる(S6)。
【0045】
当該一連の処理によれば、出力禁止ドットパターンが含まれている画像データや、出力禁止ドットパターン埋込処理及び地紋処理の両方が含まれている画像データについて、出力禁止解除マークの無い画像データについては、出力(例えば、印刷物の複写等)が禁止されてセキュリティ性を確保できる一方、出力禁止解除マークが含まれる画像データについては出力が許可されるため、ユーザは、出力禁止解除マークが含まれる画像の複写については、当該複写機1での原稿複写により、コピーガード技術が施された背景画像を有する画像を複写した場合に、複写された記録紙に潜像文字が浮かび上がるかを確認できる。
【0046】
次に、複写機1による複写制限処理の第2実施形態を説明する。図4は、複写機1による複写制限処理の第2実施形態を示すフローチャートである。なお、図3に示した第1実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0047】
本第2実施形態では、制御部10又は記憶部11に、上記各出力禁止解除マーク毎に、許可される複写回数が記憶されている。制御部10は、操作者からの複写動作実行指示があった場合に、出力禁止解除マーク検出部102によって上記原稿画像から出力禁止解除マークが検出されると、当該原稿画像についての複写回数が、当該出力禁止解除マークについて許可された複写制限回数以内であれば、当該原稿画像の画像形成を許可する。
【0048】
すなわち、ドットパターン検出部101が、上記原稿画像に出力禁止ドットパターンが含まれると判断し(S13でNO)、出力禁止解除マーク検出部102が当該原稿画像に出力禁止解除マークが含まれると判断した場合(S14でYES)、制御部10は、当該検出された出力禁止解除マークについて許可された複写制限回数Nを読み出す(S15)。
【0049】
そして、制御部10は、制御部10又は記憶部11に記憶されている当該出力禁止解除マークを含む原稿画像について既に行われた画像形成回数Mを読み出し(S16)、画像形成回数M≦複写制限回数Nであれば(S17でYES)、画像形成部16による上記原稿画像の画像形成を許可し(S20)、画像形成部16に上記原稿画像の画像形成を行わせる(S21)。この後、制御部10は、当該出力禁止解除マークを含む原稿画像についての画像形成回数Mをカウントアップする(S22)。
【0050】
一方、制御部10は、S17において画像形成回数M≦複写制限回数Nでなければ(S17でNO)、すなわち、画像形成回数Mが複写制限回数Nを超えていれば、画像形成部16による当該出力禁止解除マークを含む原稿画像の画像形成を禁止する(S18)。
【0051】
これによれば、悪意の第三者によって、無制限に当該原稿画像が複製されたり、当該画像における出力禁止解除マークが、上記出力禁止ドットパターンの埋め込まれた別の画像に貼り付けられることで出力禁止が解除される悪用を効果的に防止可能となる。
【0052】
次に、複写機1による複写制限処理の第3実施形態を説明する。図5は、複写機1による複写制限処理の第3実施形態を示すフローチャートである。なお、図3に示した第1実施形態、図4に示した第2実施形態と同様の処理は説明を省略する。
【0053】
本第3実施形態では、制御部10又は記憶部11に、各出力禁止解除マーク毎に、複写が許可される複写制限時間T(例えば、10分、1週間等の単位)が記憶されている。この複写制限時間Tは、各出力禁止解除マークが含まれる原稿画像が画像形成された時刻を起算時となる。制御部10は、操作者からの複写動作実行指示があった場合に、出力禁止解除マーク検出部102によって上記原稿画像から出力禁止解除マークが検出されると、当該原稿画像の画像形成時からの経過時間tが、上記複写制限時間T以内であれば、当該原稿画像の画像形成を許可する。
【0054】
すなわち、ドットパターン検出部101が、上記原稿画像に出力禁止ドットパターンが含まれると判断し(S33でYES)、出力禁止解除マーク検出部102が当該原稿画像に出力禁止解除マークが含まれると判断した場合(S34でYES)、制御部10は、当該検出された出力禁止解除マークについて許可された複写制限時間Tを読み出す(S35)。
【0055】
そして、制御部10は、制御部10又は記憶部11に記憶されている当該出力禁止解除マークを含む原稿画像が画像形成された時刻の情報を読み出し、当該画像形成時刻からS21において当該原稿画像の複写動作実行指示が入力された時刻までの時間、すなわち当該原稿画像が画像形成されてからの経過時間tを、内蔵タイマを参照して算出する(S36)。すなわち、この第3実施形態では、複写機1は、出力禁止解除マークを含む原稿画像の画像形成時に、当該原稿画像が画像形成された時刻の情報を制御部10又は記憶部11に記憶しておくことが前提となる(後述)。
【0056】
制御部10は、経過時間t≦複写制限時間Tであれば(S37でYES)、画像形成部16による上記原稿画像の画像形成を許可し(S40)、画像形成部16に上記原稿画像の画像形成を行わせる(S41)。
【0057】
一方、制御部10は、S27において経過時間t≦複写制限時間Tでなければ(S37でNO)、すなわち、経過時間tが複写制限時間Tを超えていれば、画像形成部16による当該出力禁止解除マークを含む原稿画像の画像形成を禁止する(S38)。
【0058】
これによれば、悪意の第三者によって、無制限に当該原稿画像が複製されたり、当該画像における出力禁止解除マークが、上記出力禁止ドットパターンの埋め込まれた別の画像に貼り付けられることで出力禁止が解除される悪用を。上記画像形成許可期間の制限により、効果的に防止可能となる。
【0059】
次に、複写機1による地紋処理及び出力禁止解除マークの埋込処理について説明する。図6は、複写機1による地紋処理及び出力禁止解除マークの埋込処理を示すフローチャートである。
【0060】
ユーザによる操作部17の操作で複写動作の実行指示が入力されると(S50でYES)、ユーザによる操作部17の操作で背景画像の印刷指示が入力されているか否かを判断する(S51)。制御部10は、ユーザにより背景画像の印刷指示が入力されていない場合には(S51でNO)、背景画像を合成しない原稿画像そのままの画像形成を画像形成部16に行わせる(S60)。
【0061】
ここで、制御部10は、ユーザにより背景画像の印刷指示が入力されている場合には(S51でYES)、当該背景画像の印刷指示の内容を解析する(S52)。すなわち、制御部10は、当該背景画像の印刷指示が、コピーガード処理の実行を要求するか、地紋処理の実行を要求するか、出力禁止解除マークの埋込処理の実行を要求するかを判別する。
【0062】
制御部10が、当該背景画像の印刷指示はコピーガード処理の実行を要求すると判別した場合は(S53でYES)、出力禁止ドットパターン生成部104が、出力禁止ドットパターンとして予め定められている上記網点線数及び網点角度からなる網点領域で構成された背景画像を生成する(S54)。
【0063】
また、制御部10は、当該背景画像の印刷指示が地紋処理の実行を要求すると判別した場合は(S55でYES)、透かしパターン生成部105が、透かしパターンを有する背景画像を生成する(S56)。すなわち、透かしパターン生成部105は、当該背景画像において透かしパターンである潜像部分に、それ以外の背景部分とは種類の異なるディザパターンを使用し、一方のパターン密度を原稿読取部12による原稿読み取り時の分解能を上回るパターン密度とし、他方を原稿読取部12による原稿読み取り時の分解能以下のパターン密度とすることで、例えば、図2に示した様な「禁複写」等の透かしパターンを埋め込んだ背景画像を生成する。なお、透かしパターン生成部105は、上記S54の処理が行われている場合には、S54で生成された出力禁止ドットパターンからなる背景画像中に上記透かしパターンを生成する。
【0064】
さらに、制御部10は、当該背景画像の印刷指示が出力禁止解除マークの埋込処理の実行を要求すると判別した場合は(S57でYES)、出力禁止解除マーク生成部103が、出力禁止解除マークを有する背景画像を生成する(S58)。すなわち、出力禁止解除マーク生成部103は、上記S54又はS56で生成された背景画像を構成する画像データの一部を、出力禁止解除マークを示す画像データに置き換えることで、背景画像に出力禁止解除マークを埋め込む。
【0065】
続いて、画像生成部106は、S54、S56又はS58で生成された背景画像を原稿画像に重ね合わせる(S59)。この後、制御部10は、画像形成部16に、S59で背景画像が重ね合わされた原稿画像の画像形成を行わせる(S60)。
【0066】
なお、第3実施形態に係る複写制限処理に適した地紋処理及び出力禁止解除マークの埋込処理としては、制御部10は、上記S60の処理後に、S60の処理を実行した時刻を制御部10又は記憶部11に記憶させておくようにする。
【0067】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、図6に示した地紋処理及び出力禁止解除マークの埋込処理のS58において、記憶部11には、複数の出力禁止解除マークについての画像データが記憶されており、出力禁止解除マーク生成部103は、出力禁止解除マークの背景画像への合成処理の度に異なる出力禁止解除マークを用いる(又は、少なくとも前回合成した出力禁止解除マークとは異なる出力禁止解除マークを用いる)ようにする。そして、制御部10は、第1実施形態に係る複写制限処理において、出力禁止解除マーク生成部103及び画像生成部106によって直近に埋込の行われた出力禁止解除マークが出力禁止解除マーク検出部102により原稿画像から検出された場合に、当該原稿画像の出力を許可するようにしてもよい。これにより、例えば、悪意の第三者によって、無制限な当該画像データの複製や、上記出力禁止ドットパターンの埋め込まれた別の画像データに出力禁止解除マークが貼り付けられて出力禁止が解除されるといった悪用をより確実に防止できる。
【0068】
また、上記実施形態では、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を複写機として説明したが、例えば、パソコン等のコンピュータが本発明の一実施形態としての画像処理装置であってもよい。つまり、ユーザがパーソナルコンピュータから画像データの印刷を、当該パーソナルコンピュータに接続されたプリンタ等に指示する場合に、当該パーソナルコンピュータの制御部が、上記複写機1の制御部10と同様に、制御部10、ドットパターン検出部101、出力禁止解除マーク検出部102、出力禁止解除マーク生成部103、出力禁止ドットパターン生成部104、透かしパターン生成部105、及び画像生成部106として機能し、上記印刷指示により印刷対象とされる印刷対象データに対して印刷制限を行うものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】複写機の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図2】(a)(b)(c)は地紋処理がされた背景画像を説明する図である。
【図3】複写機による複写制限処理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図4】複写機による複写制限処理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図5】複写機による複写制限処理の第3実施形態を示すフローチャートである。
【図6】複写機による地紋処理及び出力禁止解除マークの埋込処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1 複写機
10 制御部
101 ドットパターン検出部
102 出力禁止解除マーク検出部
103 出力禁止解除マーク生成部
104 出力禁止ドットパターン生成部
105 パターン生成部
106 画像生成部
11 記憶部
12 原稿読取部
16 画像形成部
17 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、予め定められた出力禁止ドットパターンが含まれているか否かを検出するドットパターン検出部と、
前記ドットパターン検出部によって前記出力禁止ドットパターンが検出された場合には、当該画像データの出力を禁止する制御部と、
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、予め定められた出力禁止解除マークが含まれているか否かを検出する出力禁止解除マーク検出部とを備え、
前記制御部は、前記出力禁止解除マーク検出部によって前記出力禁止解除マークが検出された場合には、前記画像データの出力を許可する画像処理装置。
【請求項2】
前記画像データ取得部によって取得された画像データに基づいて画像形成を行う画像形成部を更に備え、
前記制御部は、前記出力禁止解除マーク検出部によって前記出力禁止解除マークが検出された場合に、前記出力として前記画像形成部による画像形成を許可する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、前記出力禁止ドットパターンからなる背景画像を合成する出力禁止ドットパターン合成部を更に備える請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、予め定められた透かしパターンを有する背景画像を合成する透かしパターン合成部を更に備える請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、前記出力禁止解除マークを有する背景画像を合成する出力禁止解除マーク合成部と、
前記出力禁止解除マーク合成部による前記出力禁止解除マークを有する背景画像の合成処理を実行する旨の指示がユーザから入力される指示入力部とを更に備え、
前記制御部は、前記指示入力部によって前記出力禁止解除マークを有する背景画像の合成処理の実行指示が入力された場合に、前記画像データ取得部によって取得された画像データに対して前記出力禁止解除マーク合成部に前記出力禁止解除マークを有する背景画像の合成処理を行わせる請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記出力禁止解除マークが検出された場合に許可する出力回数を、予め定められた回数に制限する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記出力禁止解除マークが検出された場合に許可する出力時間を、予め定められた時間内に制限する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記出力禁止解除マーク合成部は、前記画像データへの合成処理毎に異なる出力禁止解除マークを用い、
前記制御部は、前記出力禁止解除マーク合成部による合成処理に直近に用いられた出力禁止解除マークが前記画像データから検出された場合に、当該画像データの出力を許可する請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、予め定められている出力禁止ドットパターンが含まれているか否かを検出するドットパターン検出部と、
前記ドットパターン検出部によって前記出力禁止ドットパターンが検出された場合には、前記画像形成部による画像形成を禁止する制御部と、
前記画像データ取得部によって取得された画像データに、予め定められている出力禁止解除マークが含まれているか否かを検出する出力禁止解除マーク検出部として機能させ、
前記制御部が、前記出力禁止解除マーク検出部によって前記出力禁止解除マークが検出された場合に出力を許可するように機能させる動作制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−260728(P2009−260728A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108178(P2008−108178)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】