説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】車両周辺の監視の確実性を向上させた「画像処理装置」及び「画像処理方法」を提供する。
【解決手段】車両周辺画像提供装置100は、車両の周辺を撮影して画像データを生成する複数のカメラ152乃至158と、これら生成された画像データ毎に、当該画像データに基づいて、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように俯瞰画像を描画する視点変換部114と、描画された画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を描画する画像合成部116と、この俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体を検出する物体検出部122と、物体が検出された場合に、俯瞰画像のつなぎ目部分に対応するライン画像の幅を設定するライン幅設定部126と、一方の俯瞰画像の重複部分に、設定された幅のライン画像を付加するライン選択部134とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の安全性を向上させるべく、車両周辺を撮影して画像を表示することで、運転者が車両周辺を監視可能とする装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載された車両周囲監視装置は、複数のカメラによって車両周辺を撮影して、車両の上方を視点とする複数の俯瞰画像を得て、これらを1つの画像に合成するとともに、俯瞰画像のつなぎ目部分に境界線としてのマスクパターンを付加した上で表示する。図11は、従来の車両周辺監視装置における表示画像の一例を示す図である。図11では、車両の俯瞰画像201を中心に、前方の俯瞰画像212、右方の俯瞰画像214、後方の俯瞰画像216及び左方の俯瞰画像218が合成され、更に、前方の俯瞰画像212と右方の俯瞰画像214とのつなぎ目にマスクパターン252、右方の俯瞰画像214と後方の俯瞰画像216とのつなぎ目にマスクパターン254、後方の俯瞰画像216と左方の俯瞰画像218とのつなぎ目にマスクパターン256、左方の俯瞰画像218と前方の俯瞰画像212とのつなぎ目にマスクパターン258がそれぞれ付加されている。
【0003】
また、特許文献1に記載された車両周囲監視装置には、画像の死角となる部分である俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体(障害物)を検出する超音波センサが設けられており、当該超音波センサが障害物を検出した場合には、対応するつなぎ目部分のマスクパターンを点滅させる。例えば、図11において、後方の俯瞰画像216と左方の俯瞰画像218とのつなぎ目に対応する実空間に物体が存在する場合には、マスクパターン256が点滅する。運転者は、図11に示すような画像を見ることで、車両周辺の障害物の存在等を確認し得る。
【特許文献1】特開2003−169323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された車両周辺監視装置では、運転者は、つなぎ目のマスクパターンの点滅によって物体が存在することは認識可能であるが、どのような形状の物体が存在するか、及び、物体の詳細な位置については認識不能である。また、車両の姿勢が変化した場合、例えば、前方の座席に人が乗り込んで車両が前方に傾斜したような場合を考える。このような場合、車両に取り付けられたカメラの撮影範囲が変化し、図12に示すように、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間232の端部と実空間234の端部とが離れてしまうことで死角が生じ、その死角に物体202が存在する場合には、運転者は当該物体を認識不能である。従って、必ずしも、運転者は車両周辺を十分に監視可能であるとはいえない。
【0005】
本発明の目的は、上述した問題を解決するものであり、車両周辺の監視の確実性を向上させた画像処理装置及び画像処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理装置は、前記車両に取り付けられ、該車両の周辺を撮影して画像データを生成する複数の撮影手段と、前記撮影手段のそれぞれによって生成された前記画像データ毎に、該画像データに基づいて、前記車両の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する俯瞰画像描画手段と、前記画像描画手段により描画された前記画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を描画する画像合成手段と、前記画像合成手段により描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体を検出する物体検出手段と、前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分である重複部分のうち、一方の重複部分を境界線画像に設定するとともに、前記物体検出手段により重複部分に対応する実空間に存在する物体が検出された場合に、前記境界線画像の幅を変更する境界線幅設定手段と、前記画像合成手段により描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に、前記境界線幅設定手段により設定された幅の境界線画像を一方の俯瞰画像の重複部分に重畳して境界線付き俯瞰合成画像を描画する画像付加手段とを有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように俯瞰画像を描画して合成し、その一方の俯瞰画像の重複部分を境界線画像にするとともに、俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在する場合には、境界線画像の幅を変更することによって、その物体に対応する画像を表出させることが可能となり、運転者は、どのような形状の物体がどの位置に存在するのかを認識することが可能となる。
【0008】
また、本発明に係る、車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理装置は、前記車両に取り付けられ、該車両の周辺を撮影して画像データを生成する複数の撮影手段と、前記撮影手段のそれぞれによって生成された前記画像データ毎に、該画像データに基づいて、前記車両の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する俯瞰画像描画手段と、前記画像描画手段により描画された前記画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を生成する画像合成手段と、前記車両の姿勢変化量を検出する姿勢変化検出手段と、前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分である重複部分のうち、一方の重複部分を境界線画像に設定するとともに、前記姿勢変化検出手段により検出された前記車両の姿勢変化量に基づいて、前記境界線画像の幅を変更する境界線幅設定手段と、前記画像合成手段により描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に、前記境界線幅設定手段により設定された幅の境界線画像を一方の俯瞰画像の重複部分に重畳して境界線付き俯瞰合成画像を描画する画像付加手段とを有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように俯瞰画像を描画して合成し、その一方の俯瞰画像の重複部分を境界線画像にするとともに、車両の姿勢が変化することによって、撮影手段による俯瞰画像に対応する撮影範囲が変化した場合には、その車両の姿勢変化量に応じて境界線画像の幅を変更することによって、そのつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在する場合には、その物体に対応する画像を表出させることが可能となり、運転者は、どのような形状の物体がどの位置に存在するのかを認識することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記境界線幅設定手段が、前記物体検出手段により前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体が検出された場合に、前記境界線画像の幅を初期値より小さくするようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在する場合には、そのつなぎ目部分に対応する境界線画像の幅を初期値(=重複部分の幅)より小さくすることで、そのつなぎ目部分その物体に対応する画像を表出させることが可能となり、運転者は、どのような形状の物体がどの位置に存在するのかを認識することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記物体検出手段が、前記俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間毎に設けられ、該実空間に存在する物体を検出するセンサを有するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記画像合成手段が、前記俯瞰画像の重複部分において、該俯瞰画像に対応する画像データを生成した前記撮影手段のうち、画角の小さい前記撮影手段によって生成された画像データに対応する俯瞰画像を他方の俯瞰画像として、重複部分を優先して描画するようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、画角の小さい撮影手段によって生成された画像データに基づく画像は、歪みが小さい俯瞰画像となるため、その歪みが小さい俯瞰画像が優先的に表出されるようにすることで、質の高い画像を提供することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る画像処理装置は、表示対象の画像に対応する画像データを記憶するフレームメモリを有し、前記画像合成手段が、前記画像描画手段により描画された前記俯瞰画像に対応する画像データを、前記俯瞰画像毎に定まる前記フレームメモリ内の所定の記憶領域に記憶させ、前記画像付加手段が、前記境界線画像に対応する画像データを、前記境界線画像毎に定まる前記フレームメモリ内の所定の記憶領域に記憶させるようにしてもよい。
【0016】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記画像描画手段により描画された前記俯瞰画像の画素位置と、前記フレームメモリ内の記憶領域との対応関係を示すマッピングテーブルを記憶するマッピングテーブルを記憶するマッピングメモリを有し、前記画像合成手段が、前記マッピングテーブルに基づいて、前記画像描画手段により描画された前記俯瞰画像に対応する画素毎の画像データを、前記フレームメモリの所定の記憶領域に記憶させるようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記フレームメモリに記憶された画像データに基づく画像を表示する画像表示手段を有するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係る画像処理装置は、前記複数の撮影手段が、前記車両の前方を撮影する第1の撮影手段と、前記車両の右方を撮影する第2の撮影手段と、前記車両の後方を撮影する第3の撮影手段と、前記車両の左方を撮影する第4の撮影手段とを有するようにしてもよい。
【0019】
本発明に係る、車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理方法であって、前記車両に取り付けられた複数の撮影手段により前記車両の周辺を撮影して画像データを生成する撮影ステップと、前記撮影ステップによって前記撮影手段のそれぞれによって生成された前記画像データ毎に、該画像データに基づいて、前記車両の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する俯瞰画像描画ステップと、前記画像描画ステップにより描画された前記画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を描画する画像合成ステップと、前記前記画像合成ステップにより描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体を検出する物体検出ステップと、前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分である重複部分のうち、一方の俯瞰画像の重複部分を境界線画像に設定するとともに、前記物体検出ステップにより重複部分に対応する実空間に存在する物体が検出された場合に、前記境界線画像の幅を変更する境界線幅設定ステップと、前記画像合成ステップにより描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に、前記境界線幅設定ステップにより設定された幅の境界線画像を一方の俯瞰画像の重複部分に重畳して境界線付き俯瞰合成画像を描画する画像付加ステップとを有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る、車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理方法は、前記車両に取り付けられた複数の撮影手段により前記車両の周辺を撮影して画像データを生成する撮影ステップと、前記撮影ステップによって前記撮影手段のそれぞれによって生成された前記画像データ毎に、該画像データに基づいて、前記車両の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する俯瞰画像描画ステップと、前記画像描画ステップにより描画された前記画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を生成する画像合成ステップと、前記車両の姿勢変化量を検出する姿勢変化検出ステップと、前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分である重複部分のうち、一方の重複部分を境界線画像に設定するとともに、前記姿勢変化検出ステップにより検出された前記車両の姿勢変化量に基づいて、前記境界線画像の幅を変更する境界線幅設定ステップと、前記画像合成ステップにより描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に、前記境界線幅設定ステップにより設定された幅の境界線画像を一方の俯瞰画像の重複部分に重畳して境界線付き俯瞰合成画像を描画する画像付加ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在する場合、その物体に対応する画像を表出させることが可能となり、車両周辺の監視の確実性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置を適用した車両周辺画像提供装置の構成を示す図である。
【0023】
図1に示す車両周辺画像提供装置100は、車両に搭載されるものであり、カメラ152、154、156及び158と、制御部102と、マッピングメモリ104と、フレームメモリ106と、ディスプレイ108とにより構成される。これらのうち、制御部102は、画像描画部110及びライン描画部120により構成される。更に、画像描画部110は、画像データ取得部112、視点変換部114及び画像合成部116により構成され、ライン描画部120は、物体検出部122、ライン幅設定部124、ライン生成部126、姿勢変化検出部128、画像消失量算出部130、ライン生成部132及びライン選択部134により構成される。
【0024】
カメラ152乃至158は、車両の外部に取り付けられており、車両周辺を撮影して画像データを生成する。図2は、車両におけるカメラ152乃至158の取り付け位置を示す図である。図2において、カメラ152は、車両200の前部中央に取り付けられ、当該車両200の前方を撮影する。カメラ154は、車両200の右側面に取り付けられ、当該車両200の右方を撮影する。カメラ156は、車両200の後部中央に取り付けられ、当該車両200の後方を撮影する。カメラ158は、車両200の左側面に取り付けられ、当該車両200の左方を撮影する。これらカメラ152乃至158は、広角もしくは魚眼レンズ(図示せず)を内蔵し、広い画角を有しており、カメラ152乃至158によって車両200の周辺の全周を撮影可能となっている。
【0025】
再び、図1に戻って説明する。制御部102は、車両周辺画像提供装置100の全体を制御する。具体的には、制御部102内の画像データ描画部110において、画像データ取得部112は、カメラ152乃至158のそれぞれによる撮影によって生成された4つの画像データを取得する。視点変換部114は、画像データ取得部112によって取得された4つの画像データ毎に、当該画像データに基づいて、公知の手法による視点変換を行い、車両200の上方を視点とする俯瞰画像の画像データを生成する。この際、視点変換部114は、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように、俯瞰画像を描画する。例えば、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部における重複部分は300mm以上の幅となるようにする。この俯瞰画像の画像データは、画素毎の明度、彩度、色合い等を示す画素毎の画像データを含んで構成される。
【0026】
画像合成部116は、マッピングメモリ104に記憶されたマッピングテーブルに基づいて、4つの俯瞰画像の画像データのそれぞれについて一部を切り出して、フレームメモリ106に記憶させる。ここで、マッピングテーブルは、俯瞰画像毎に当該俯瞰画像を構成する画素の位置と、フレームメモリ106内の記憶領域とを対応付けるものである。画像合成部116は、このマッピングテーブルを参照することにより、4つの俯瞰画像の画像データに含まれる画素毎の画像データが記憶されるべきフレームメモリ106内の記憶領域を特定し、その特定した記憶領域に対応する画素毎の画像データを記憶させる。
【0027】
このようなフレームメモリ106への記憶処理によって、4つの俯瞰画像が合成されて1つの俯瞰画像(以下、「俯瞰合成画像」と称する)が描画されることになる。上述したように、視点変換部114が隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように俯瞰画像を描画することに対応して、俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像において、隣接する2つの俯瞰画像の端部には重複する部分が存在する。この重複部分は、マッピングテーブルにおいて、2つの俯瞰画像の端部を構成する画素の位置と、フレームメモリ106内の1つの記憶領域とを1対1に対応付けることによって実現される。
【0028】
制御部102内のライン描画部120において、物体検出部122は、複数の超音波センサにより構成される。図3は、車両における超音波センサの取り付け位置を示す図である。図3において、4つの超音波センサ162乃至168は、上述した隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間を検出範囲とし、当該検出範囲に存在する物体を検出するものである。本実施形態では、隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分は4箇所存在する。従って、4つの超音波センサ162乃至168は、それぞれ1箇所のつなぎ目部分に対応する実空間を検出範囲とする。
【0029】
ライン幅設定部124は、上述した物体検出部122によって2つの俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間において物体が検出された場合、そのつなぎ目部分に対応する境界線(以下、「ライン」と称する)の画像の幅を設定する。ライン生成部126は、上述したライン幅設定部124によって設定された幅のラインの画像に対応する画像データを生成する。
【0030】
姿勢変化検出部128は、車両200の姿勢について初期状態からの変化量を検出する。具体的には、車両200内に乗員が存在しない場合の車両200の姿勢を初期状態とする。この場合、車両200は、前方の座席に人が乗り込むと前方に傾斜し、後方の座席に人が乗り込むと後方に傾斜するため、姿勢が初期状態から変化する。姿勢変化検出部128は、この車両200の初期状態からの変化を数値化し、姿勢変化量として検出、出力するものである。
【0031】
画像消失量算出部130は、上述した姿勢変化量算出部128によって算出された車両200の姿勢変化量に基づいて、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の重複部分の幅を算出する。車両200の姿勢が変化すると、カメラ152乃至158の撮影範囲が変化し、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の重複部分の幅が変化する。画像消失量算出部130は、このような車両200の姿勢変化と隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の重複部分の幅の変化との対応関係から、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の重複部分の幅を算出することが可能である。
【0032】
ライン生成部132は、上述した画像消失量算出部130によって算出された隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の重複部分の幅に基づいて、ライン画像の幅を設定し、その設定した幅のライン画像に対応する画像データを生成する。
【0033】
ライン選択部134は、上述したライン生成部126によって生成されたライン画像に対応する画像データと、上述したライン生成部132によって生成されたライン画像に対応する画像データとのいずれかを適宜選択し、その選択したライン画像に対応する画像データを、当該画像データに対応して予め定められたフレームメモリ106内の記憶領域に記憶させる。ここで、ライン画像に対応する画像データが記憶されるべきフレームメモリ106内の記憶領域は、上述した俯瞰合成画像を構成する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する記憶領域である。
【0034】
このようなフレームメモリ106への記憶処理によって、俯瞰合成画像を構成する隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分を構成する重複部分のうち、一方の俯瞰画像の重複部分にライン画像が重畳されて、ライン付き俯瞰合成画像が描画されることになる。モニタ108は、このフレームメモリ106に記憶された画像データを読み出して表示する。
【0035】
図1に示す車両周辺画像提供装置100において、カメラ152が第1の撮影手段、カメラ154が第2の撮影手段、カメラ156が第3の撮影手段、カメラ158が第4の撮影手段に対応し、視点変換部114が俯瞰画像描画手段に対応し、画像合成部116が画像合成手段に対応する。また、物体検出部122が物体検出手段に対応し、ライン幅設定部124、及び画像消失量算出部130が境界線幅設定手段に対応し、ライン生成部126、ライン生成部132及びライン選択部134が画像付加手段に対応し、姿勢変化検出部128が姿勢変化検出手段に対応する。更には、モニタ108が画像表示手段に対応する。
【0036】
次にフローチャートを参照しつつ、車両周辺画像提供装置100の動作を説明する。図4は、車両周辺画像提供装置100による俯瞰合成画像の描画動作を示すフローチャートである。
【0037】
カメラ152乃至158は、それぞれ車両200の周辺を撮影して画像データを生成する(S101)。更に、カメラ152乃至158は、それぞれ生成した画像データに、自身の識別情報(以下、「カメラ識別情報」と称する)を付加した上で制御部102内の画像描画部110における画像データ取得部112へ出力する。画像データ取得部112は、これらカメラ152乃至158によって生成された4つの画像データ、換言すれば、車両200の前方、右方、後方、左方のそれぞれに対応する画像データを取得し、視点変換部114へ出力する。
【0038】
視点変換部114は、入力した4つの画像データ毎に、当該画像データに基づいて、公知の手法による視点変換を行い、車両200の上方を視点とする俯瞰画像の画像データを生成することによって、車両200の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する(S102)。視点変換部114は、生成した4つの俯瞰画像の画像データ、換言すれば、車両200の前方、右方、後方、左方のそれぞれに対応する俯瞰画像の画像データについて、当該俯瞰画像の画像データの元となった画像データに付加されていたカメラ識別情報を付加した上で画像合成部116へ出力する。
【0039】
画像合成部116は、4つの俯瞰画像の画像データを入力すると、当該画像データに付加されているカメラ識別情報に基づいて、当該画像データが車両200の前方、右方、後方、左方のいずれに対応する俯瞰画像のものであるかを特定する。更に、画像合成部116は、マッピングメモリ104に記憶されたマッピングテーブルを参照することによって、車両200の前方、右方、後方、左方に対応する俯瞰画像の画像データ毎に、当該画像データを構成する画素毎の画像データが記憶されるべきフレームメモリ106内の記憶領域を特定する。そして、画像合成部116は、特定した記憶領域に、画素毎の画像データを記憶させる。これにより、車両200の前方、右方、後方、左方に対応する俯瞰画像が合成されて、1つの俯瞰合成画像が描画されることになる(S104)。
【0040】
図5は、俯瞰合成画像の一例を示す図である。図5に示す俯瞰合成画像は、車両200の前方に対応する俯瞰画像212、右方に対応する俯瞰画像214、後方に対応する俯瞰画像216、及び、左方に対応する俯瞰画像218を合成して得られる。この俯瞰合成画像において、前方に対応する俯瞰画像212と右方に対応する俯瞰画像214との重複部分222では、フレームメモリ106における所定の記憶領域に、前方に対応する俯瞰画像212の端部に対応する画像データ222bと右方に対応する俯瞰画像214の端部に対応する画像データ222aとが記憶された後、右方に対応する俯瞰画像214の端部に対応する画像データ222aが後述するライン画像で上書きされることで、前方に対応する俯瞰画像212が優先して表出している。これは、以下の理由による。すなわち、図6(a)に示す車両200の前方を撮影するカメラ152の画角θ1と、図6(b)に示す車両200の右方を撮影するカメラ154の画角θ2とを比較すると、カメラ152の画角θ1の方が撮影範囲が狭いために小さい。このため、カメラ152によって生成された画像データに対応する俯瞰画像は、カメラ154によって生成された画像データに対応する俯瞰画像よりも歪みが小さい。従って、カメラ152によって生成された画像データに対応する俯瞰画像、すなわち、前方に対応する俯瞰画像212を優先して表出させることが望ましいことによる。
【0041】
再び、図5に戻って説明する。上述と同様に、車両200の前方を撮影するカメラ152の画角が車両200の左方を撮影するカメラ158の画角より小さいことに鑑み、前方に対応する俯瞰画像212と左方に対応する俯瞰画像218との重複部分228では、フレームメモリ106における所定の記憶領域に、前方に対応する俯瞰画像212の端部に対応する画像データ228bと左方に対応する俯瞰画像218の端部に対応する画像データ228aとが記憶された後、左方に対応する俯瞰画像218の端部に対応する画像データ228aが後述するライン画像で上書きされることで、前方に対応する俯瞰画像212が優先して表出している。更には、車両200の後方を撮影するカメラ156の画角が車両200の右方を撮影するカメラ154の画角より小さいことに鑑み、後方に対応する俯瞰画像212と右方に対応する俯瞰画像214との重複部分224では、フレームメモリ106における所定の記憶領域に、後方に対応する俯瞰画像216の端部に対応する画像データ224bと右方に対応する俯瞰画像214の端部に対応する画像データ224aとが記憶された後、右方に対応する俯瞰画像214の端部に対応する画像データ224aが後述するライン画像で上書きされることで、後方に対応する俯瞰画像216が優先して表出している。また、車両200の後方を撮影するカメラ156の画角が車両200の左方を撮影するカメラ158の画角より小さいことに鑑み、後方に対応する俯瞰画像216と左方に対応する俯瞰画像218との重複部分226では、フレームメモリ106における所定の記憶領域に、後方に対応する俯瞰画像216の端部に対応する画像データ226bと左方に対応する俯瞰画像218の端部に対応する画像データ226aとが記憶された後、左方に対応する俯瞰画像218の端部に対応する画像データ226aが後述するライン画像で上書きされることで、後方に対応する俯瞰画像216が優先して表出している。
【0042】
再び図4に戻って説明する。俯瞰合成画像が描画されると、更に、画像合成部116は、車両200についての上方を視点とする画像に対応する画像データを、フレームメモリ106における、俯瞰合成画像によって囲まれた部分に対応する記憶領域に記憶させる。これにより、図7に示すように、車両200の前方に対応する俯瞰画像212、右方に対応する俯瞰画像214、後方に対応する俯瞰画像216、及び、左方に対応する俯瞰画像218、並びに、格俯瞰画像のつなぎ目部分に境界線画像を有してなる俯瞰合成画像によって囲まれた部分に、車両200に対応する車両画像201が描画されることになる。
【0043】
このようにして、俯瞰合成画像と車両画像が描画された後、ライン画像が描画される。図8は、車両周辺画像提供装置100によるライン画像の描画動作を示すフローチャートである。
【0044】
制御部102内のライン描画部120において、物体検出部122は、隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体を検出する。ここで、物体検出部122による4つの検出範囲と、俯瞰合成画像に4箇所存在する隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分とは1対1に対応する。物体検出部122は、後段において検出結果がどのつなぎ目部分に対応するものであるかを特定可能とすべく、検出結果に、対応する隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分の識別情報を付加した上でライン幅設定部124へ出力する。ライン幅設定部122は、入力した検出結果に基づいて、隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在するか否かを判定する(S201)。
【0045】
隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在する場合、ライン幅設定部122は、そのつなぎ目部分に対応するライン画像の幅を初期値よりも狭く設定する(S202)。ここで、ラインの幅の初期値は、例えば、隣接する2つの俯瞰画像の重複部分の幅である。また、ラインの幅を初期値よりも小さくするとは、ライン画像の幅をゼロにすることを含む。
【0046】
更に、ライン幅設定部122は、この設定したラインの幅に、当該ライン画像に対応する画像データを記憶すべきフレームメモリ106内の記憶領域の情報を付加した上で、ライン生成部126へ出力する。ここで、ライン画像に対応する画像データを記憶すべきフレームメモリ106内の記憶領域は、隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分と1対1に対応する。従って、ライン幅設定部122は、検出結果に付加された隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分の識別情報に基づいて、ラインの画像に対応する画像データを記憶すべきフレームメモリ106内の記憶領域を特定可能である。
【0047】
ライン生成部126は、入力したライン画像の幅に基づいて、第1のライン画像に対応する画像データを生成することにより、当該第1のライン画像を描画する(S203)。生成された第1のライン画像に対応する画像データは、当該第1のライン画像に対応する画像データを記憶すべきフレームメモリ106内の記憶領域の情報とともに、ライン選択部134へ出力される。
【0048】
S203における第1のライン画像の描画後、あるいは、S201において隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在しないと判定された後、次に、姿勢変化検出部128は、車両200の初期状態からの変化を示す姿勢変化量を検出する(S204)。検出された姿勢変化量は、画像消失量算出部130へ出力される。
【0049】
画像消失量算出部130は、入力した姿勢変化量に基づいて、2つの俯瞰画像の隣接する俯瞰画像に対応する実空間の重複部分の幅を画像消失量として算出する。例えば、車両200が前方に傾斜した場合、車両200の後方を撮影するカメラ156の撮影範囲と、車両200の右方を撮影するカメラ154及び車両200の左方を撮影する158の撮影範囲との重複部分は減少する。このことは、車両200の後方に対応する俯瞰画像の実空間と車両200の右方に対応する俯瞰画像の実空間との重複部分の幅、及び、車両200の後方に対応する俯瞰画像の実空間と車両200の左方に対応する俯瞰画像の実空間との重複部分の幅が、車両200の姿勢が初期状態の場合よりも狭くなることを意味する。
【0050】
更に、画像消失量算出部130は、算出した画像消失量に基づいて、ライン画像の幅を設定する(S205)。具体的には、画像消失量算出部130は、算出した画像消失量が所定値以上の場合には、ライン画像の幅を第1の所定値に設定する。一方、画像消失量算出部130は、算出した画像消失量が所定値以下の場合には、その画像消失量にライン画像の幅を比例させて第1の所定値以下の幅とする。これにより、ライン画像の幅は常に第1の所定値以下とすることができる。
【0051】
更に、画像消失量算出部130は、この設定したライン画像の幅に、当該ライン画像に対応する画像データを記憶すべきフレームメモリ106内の記憶領域の情報を付加した上で、ライン生成部126へ出力する。
【0052】
ライン生成部126は、入力したライン画像の幅に基づいて、第2のライン画像に対応する画像データを生成することにより、当該第2のライン画像を描画する(S206)。生成された第2のライン画像に対応する画像データは、当該第2のライン画像に対応する画像データを記憶すべきフレームメモリ106内の記憶領域の情報とともに、ライン選択部134へ出力される。
【0053】
ライン選択部134は、利用者による図示しない操作部を用いた操作指示等に応じて、S203においてライン生成部126によって生成されて入力した第1のライン画像に対応する画像データと、S206においてライン生成部132によって生成されて入力した第2のライン画像に対応する画像データとのいずれかを選択して、当該画像データを記憶すべきフレームメモリ106内の記憶領域に記憶させる(S207)。なお、S201において、隣接する2つの俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在しないと判定された場合には、S203における第1のライン画像の描画は行われない。この場合には、ライン選択部134は、S206においてライン生成部132によって生成されて入力した第2のライン画像に対応する画像データを、当該画像データを記憶すべきフレームメモリ106内の記憶領域に記憶させる。
【0054】
このようにして、俯瞰合成画像、車両画像に加えてライン画像が描画されると、ディスプレイ108は、フレームメモリ106に記憶された、これら俯瞰合成画像、車両画像及びライン画像に対応する画像データを読み出して、画像を表示する。
【0055】
上述したように、本実施形態の車両周辺画像提供装置100は、撮影によって得られた車両200の前方、右方、後方、左方のそれぞれに対応する画像データに基づいて、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように、車両200の上方を視点とする俯瞰画像を描画して合成した上で、その俯瞰合成画像を構成する各俯瞰画像のつなぎ目部分に境界線の画像を付加するようにする。更に、車両周辺画像提供装置100は、俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在する場合には、つなぎ目部分に対応するラインの画像の幅を変更することによって、その物体に対応する画像を表出させることを可能とし、車両の姿勢が変化することによって、俯瞰画像に対応する撮影範囲が変化した場合には、その車両の姿勢変化量に応じてラインの画像の幅を変更することによって、そのつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在する場合には、当該物体に対応する画像を表出させることを可能とする。
【0056】
これにより、車両200の姿勢が変化することに伴って、当該車両100に取り付けられたカメラ152乃至158の撮影範囲が変化した場合であっても、図9に示すように、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間232及び234の端部が離れて死角が生じることが防止され、運転者は、俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に物体202が存在すること、及び、その物体202の形状を認識することが可能となる。また、図10に示すように、俯瞰画像216と俯瞰画像218のつなぎ目部分に対応する実空間に物体が存在する場合は、俯瞰画像212と俯瞰画像214のつなぎ目部分に対応するライン画像242、俯瞰画像214と俯瞰画像216のつなぎ目部分に対応するライン画像244、俯瞰画像216と俯瞰画像218のつなぎ目部分に対応するライン画像246、俯瞰画像218と俯瞰画像212のつなぎ目部分に対応するライン画像248のうち、俯瞰画像216と俯瞰画像218のつなぎ目部分に対応するライン画像246の幅を小さくする、あるいは、車両200の姿勢変化量に応じてライン画像246の幅を変更することで、その物体に対応する画像203を表出させることが可能となり、運転者は、どのような形状の物体がどの位置に存在するのかを認識することが可能となる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、図8に示すように、第1のライン画像を描画するとともに第2のライン画像を描画して、これらのいずれかを選択するようにしたが、S201乃至S203の動作のみにより第1のライン画像のみを描画してもよく、S204乃至206の動作によって第2のライン画像のみを描画してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上、説明したように、本発明に係る画像処理装置は、車両周辺の監視の確実性を向上させることが可能であり、画像処理装置及び画像処理方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係る車両周辺画像提供装置の構成を示す図である。
【図2】車両に対するカメラの取り付け状態の一例を示す図である。
【図3】車両に対する超音波センサの取り付け状態の一例を示す図である。
【図4】車両周辺画像提供装置による俯瞰合成画像の描画動作を示すフローチャートである。
【図5】俯瞰合成画像の一例を示す図である。
【図6】カメラの画角の一例を示す図である。
【図7】俯瞰合成画像と車両画像の一例を示す図である。
【図8】車両周辺画像提供装置によるライン画像の描画動作を示すフローチャートである。
【図9】車両周辺画像提供装置による隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の一例を示す図である。
【図10】俯瞰合成画像、車両画像及びライン画像の一例を示す図である。
【図11】従来の車両周辺監視装置による隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の一例を示す図である。
【図12】従来の俯瞰合成画像、車両画像及びマスクパターン画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
100 車両周辺画像提供装置
102 制御部
104 マッピングメモリ
106 フレームメモリ
108 ディスプレイ
110 画像描画部
120 ライン描画部
112 画像データ取得部
114 視点変換部
116 画像合成部
122 物体検出部
124 ライン幅設定部
126 ライン生成部
128 姿勢変化検出部
130 画像消失量算出部
132 ライン生成部
134 ライン選択部
152、154、156、158 カメラ
162、164、166、168 超音波センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理装置であって、
前記車両に取り付けられ、該車両の周辺を撮影して画像データを生成する複数の撮影手段と、
前記撮影手段のそれぞれによって生成された前記画像データ毎に、該画像データに基づいて、前記車両の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する俯瞰画像描画手段と、
前記画像描画手段により描画された前記画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を描画する画像合成手段と、
前記画像合成手段により描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体を検出する物体検出手段と、
前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分である重複部分のうち、一方の重複部分を境界線画像に設定するとともに、前記物体検出手段により重複部分に対応する実空間に存在する物体が検出された場合に、前記境界線画像の幅を変更する境界線幅設定手段と、
前記画像合成手段により描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に、前記境界線幅設定手段により設定された幅の境界線画像を一方の俯瞰画像の重複部分に重畳して境界線付き俯瞰合成画像を描画する画像付加手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理装置であって、
前記車両に取り付けられ、該車両の周辺を撮影して画像データを生成する複数の撮影手段と、
前記撮影手段のそれぞれによって生成された前記画像データ毎に、該画像データに基づいて、前記車両の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する俯瞰画像描画手段と、
前記画像描画手段により描画された前記画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を生成する画像合成手段と、
前記車両の姿勢変化量を検出する姿勢変化検出手段と、
前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分である重複部分のうち、一方の重複部分を境界線画像に設定するとともに、前記姿勢変化検出手段により検出された前記車両の姿勢変化量に基づいて、前記境界線画像の幅を変更する境界線幅設定手段と、
前記画像合成手段により描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に、前記境界線幅設定手段により設定された幅の境界線画像を一方の俯瞰画像の重複部分に重畳して境界線付き俯瞰合成画像を描画する画像付加手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記境界線幅設定手段は、前記物体検出手段により前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体が検出された場合に、前記境界線画像の幅を初期値より小さくすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記物体検出手段は、前記俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間毎に設けられ、該実空間に存在する物体を検出するセンサを有することを特徴とする請求項1又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像合成手段は、前記俯瞰画像の重複部分において、該俯瞰画像に対応する画像データを生成した前記撮影手段のうち、画角の小さい前記撮影手段によって生成された画像データに対応する俯瞰画像を他方の俯瞰画像として、重複部分を優先して描画することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
表示対象の画像に対応する画像データを記憶するフレームメモリを有し、
前記画像合成手段は、前記画像描画手段により描画された前記俯瞰画像に対応する画像データを、前記俯瞰画像毎に定まる前記フレームメモリ内の所定の記憶領域に記憶させ、
前記画像付加手段は、前記境界線画像に対応する画像データを、前記境界線画像毎に定まる前記フレームメモリ内の所定の記憶領域に記憶させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像描画手段により描画された前記俯瞰画像の画素位置と、前記フレームメモリ内の記憶領域との対応関係を示すマッピングテーブルを記憶するマッピングテーブルを記憶するマッピングメモリを有し、
前記画像合成手段は、前記マッピングテーブルに基づいて、前記画像描画手段により描画された前記俯瞰画像に対応する画素毎の画像データを、前記フレームメモリの所定の記憶領域に記憶させることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記フレームメモリに記憶された画像データに基づく画像を表示する画像表示手段を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記複数の撮影手段は、
前記車両の前方を撮影する第1の撮影手段と、
前記車両の右方を撮影する第2の撮影手段と、
前記車両の後方を撮影する第3の撮影手段と、
前記車両の左方を撮影する第4の撮影手段とを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理方法であって、
前記車両に取り付けられた複数の撮影手段により前記車両の周辺を撮影して画像データを生成する撮影ステップと、
前記撮影ステップによって前記撮影手段のそれぞれによって生成された前記画像データ毎に、該画像データに基づいて、前記車両の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する俯瞰画像描画ステップと、
前記画像描画ステップにより描画された前記画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を描画する画像合成ステップと、
前記前記画像合成ステップにより描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に対応する実空間に存在する物体を検出する物体検出ステップと、
前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分である重複部分のうち、一方の俯瞰画像の重複部分を境界線画像に設定するとともに、前記物体検出ステップにより重複部分に対応する実空間に存在する物体が検出された場合に、前記境界線画像の幅を変更する境界線幅設定ステップと、
前記画像合成ステップにより描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に、前記境界線幅設定ステップにより設定された幅の境界線画像を一方の俯瞰画像の重複部分に重畳して境界線付き俯瞰合成画像を描画する画像付加ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
車両の周辺を撮影して得られる画像を処理する画像処理方法であって、
前記車両に取り付けられた複数の撮影手段により前記車両の周辺を撮影して画像データを生成する撮影ステップと、
前記撮影ステップによって前記撮影手段のそれぞれによって生成された前記画像データ毎に、該画像データに基づいて、前記車両の上方を視点とする俯瞰画像を、隣接する2つの俯瞰画像に対応する実空間の端部が重複するように描画する俯瞰画像描画ステップと、
前記画像描画ステップにより描画された前記画像データ毎の俯瞰画像を所定の配置で合成して俯瞰合成画像を生成する画像合成ステップと、
前記車両の姿勢変化量を検出する姿勢変化検出ステップと、
前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分である重複部分のうち、一方の重複部分を境界線画像に設定するとともに、前記姿勢変化検出ステップにより検出された前記車両の姿勢変化量に基づいて、前記境界線画像の幅を変更する境界線幅設定ステップと、
前記画像合成ステップにより描画された前記俯瞰合成画像に含まれる俯瞰画像のつなぎ目部分に、前記境界線幅設定ステップにより設定された幅の境界線画像を一方の俯瞰画像の重複部分に重畳して境界線付き俯瞰合成画像を描画する画像付加ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−100095(P2009−100095A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267886(P2007−267886)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】