説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】画像処理装置が印刷可能な状態となった後に、中断された処理を容易に再開させる。
【解決手段】原稿を読み取って画像データへ変換するスキャナ部60と、この画像データを印刷するプリンタ部70と、プリンタ部70の状態を監視する状態監視部55と、状態監視部55によってプリンタ部70が印刷不可能な状態を検出したならば、この画像データに係るパスワードを生成するパスワード生成部56と、パスワードとこの画像データとを関連付けて記憶するバッファ53と、指定されたPC300にパスワードを送信するネットワーク制御部51と、状態監視部55によりプリンタ部70が印刷可能な状態を検出したならば、このパスワードの入力を受け付ける操作パネル部80とを有する画像処理装置は、パスワードの入力により、この画像データを印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取機能と印刷機能とを有する画像処理装置、及び画像処理方法、特に印刷不可能になった場合の処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理装置、及び画像処理方法では、画像処理装置が印刷不可能となった場合、外部装置を介してユーザにその旨を通知するという技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、使用者が保持する携帯電話機等の外部処理装置と通信可能な画像処理装置に於いて、この画像処理装置のエラーメッセージ等の画像処理装置の状態を示す情報を、この外部処理装置に近距離データ通信部を介して送信する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2008−238563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像処理装置及び画像処理方法では、画像処理装置が印刷不可能になったことを速やかに通知するのみであり、印刷可能状態に遷移した後に、中断された処理を容易に再開させることができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、原稿を読み取って画像情報へ変換する画像読取部と、前記画像情報を印刷する印刷部と、前記印刷部の状態を監視する状態監視部と、前記状態監視部によって前記印刷部が印刷不可能な状態を検出したならば、前記画像情報に係る認証情報を生成する認証情報生成部と、前記認証情報と前記画像情報とを関連付けて記憶する記憶部と、指定された外部装置に前記認証情報を送信する認証情報送信部と、前記状態監視部により前記印刷部が印刷可能な状態を検出したならば、前記認証情報の入力を受け付ける操作部とを有し、前記認証情報の入力により、前記画像情報を印刷することを特徴とする。
【0007】
本発明の画像処理方法は、印刷部が印刷可能な状態であるか否かを判断するステップと、前記印刷部が印刷不可能な状態を検出したならば、画像情報に係る認証情報を生成するステップと、指定された外部装置に前記認証情報を送信するステップと、前記画像情報と前記認証情報とを関連付けて記憶するステップと、前記印刷部が印刷可能な状態を検出したならば、前記認証情報の入力を受け付けるステップと、前記認証情報が入力されたならば、前記画像情報を前記印刷部で印刷するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像処理装置及び画像処理方法によれば、次の(1),(2)のような効果がある。
【0009】
(1) 原稿のコピー中に、画像処理装置が印刷不可能な状態になった場合でも原稿の読み取りを継続することが可能であり、且つ印刷可能状態へ復旧後に、印刷出来なかった原稿を改めて読み取らせる必要は無い。
【0010】
(2) 未出力となっている原稿のコピーを印刷するには、認証情報の入力が必要である。よって、画像処理装置が印刷可能状態に復旧した後に、画像処理装置が未出力の原稿のコピーを自動で印刷することはなく、原稿のコピーを他人に見られることはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施例1におけるデジタル複合機を示す概略の構成図である。
【図2】図2は、図1におけるプリンタ部を示す概略の構成図である。
【図3】図3は、図1の操作パネル部を示す概略の構成図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1における印刷ジョブリストを示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1におけるコピー動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施例1における読取継続の画面遷移を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1における電子メール送信処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施例1における印刷可能状態へ復旧したことを示す電子メールの例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施例1における印刷再開動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施例1における印刷再開の画面遷移を示す図である。
【図11】図11は、本発明の実施例2におけるデジタル複合機を示す概略の構成図である。
【図12】図12は、本発明の実施例2における印刷ジョブデータを示す概略の構成図である。
【図13】図13は、本発明の実施例2における電子メール送信処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の実施例2における電子メール送信確認画面の例を示す図である。
【図15】図15は、本発明の実施例2における印刷ジョブデータが添付された電子メールの例を示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施例2における印刷可能状態の復旧通知の電子メールの例を示す図である。
【図17】図17は、本発明の実施例2における印刷再開動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0013】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1におけるデジタル複合機を示す概略の構成図である。
デジタル複合機10は、例えば、コピー機、プリンタ、ファクシミリ(以下「FAX」という。)、スキャナ等の各種機能が統合されたMFP(Multi Function Peripheral)であり、画像情報としての画像データに対する種々の操作を行う画像処理装置である。デジタル複合機10は、このデジタル複合機10の画像読取部としてのスキャナ部60と、このデジタル複合機10の印刷部としてのプリンタ部70と、このデジタル複合機10の操作全般を制御する操作部としての操作パネル部80とを有している。更にデジタル複合機10は、ネットワーク200への通信全般を制御するネットワーク制御部51と、画像処理を行う画像処理部52と、データを記憶する記憶部としてのバッファ53と、ジョブ管理部54と、プリンタ部70の状態を監視する状態監視部55と、認証情報である後述する図4に示すパスワード92を生成する認証情報生成部としてのパスワード生成部56と、電子メールを生成する電子メール作成部57と、パスワード92が一致するか否かを判定するパスワード判定部58とを有している。
【0014】
スキャナ部60は、原稿を読み取って画像情報である画像データへ変換する機能を有している。画像処理部52は、この画像データに対し、プリンタ部70の印刷に適した画像処理を行い、後述する図4に示す印刷ジョブ90を生成する機能を有している。印刷ジョブ90は、原稿の画像を示す画像情報である。バッファ53は、RAM(Random Access Memory)やハードヂィスクドライブ等であり、印刷ジョブ90等のデータを記憶する機能を有している。ジョブ管理部54は、バッファ53に記憶されている印刷ジョブ90と、後述する図4に示すジョブ番号91とパスワード92とを関連付けて管理する機能を有している。
【0015】
印刷部であるプリンタ部70は、画像情報である印刷ジョブ90をジョブ管理部54から受信して印刷する。プリンタ部70は更に、上位装置から受信したデータの印刷機能や、このデジタル複合機10の状態を通知するレポート印刷機能を有している。
【0016】
状態監視部55は、プリンタ部70の状態を常時監視し、印刷可能状態/印刷不可能状態のいずれであるかを判断してジョブ管理部54に通知する。パスワード生成部56は、印刷ジョブ90を印刷するために必要なパスワード92を生成してジョブ管理部54に通知する。電子メール作成部57は、ジョブ管理部54からジョブ番号91とパスワード92とを受信し、指定された電子メールアドレスに対して、差出人がmfp100@abc.comである電子メールを生成する。ネットワーク制御部51は、この電子メールの送信を行うほか、印刷データの受信と、宛先がmfp100@abc.comである電子メールの受信とを行う。パスワード判定部58は、操作パネル部80を使って入力されたパスワード92が、印刷ジョブ90を印刷するためのパスワード92と一致しているか否かを判定する。ジョブ管理部54は更に、操作パネル部80に、各種設定画面を表示するように指示する。
【0017】
デジタル複合機10は、ネットワーク200を介して、外部装置であるパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)300及びメールサーバ301と相互に通信可能に接続されている。
【0018】
メールサーバ301は、ネットワーク200に接続されているPC300やデジタル複合機10等から送受信される電子メールを一時的に蓄える機能と、この電子メールを、外部装置に中継する機能とを有している。
【0019】
PC300は、図示しない表示装置とメールクライアントソフトウエアとを有している。このメールクライアントソフトウエアは、宛先がpc300@abc.comである電子メールを受信する機能と、差出人がpc300@abc.comである電子メールを送信する機能とを有している。
【0020】
認証情報送信部である電子メール作成部57とネットワーク制御部51とは、宛先がpc300@abc.comである電子メールを送信することにより、メールサーバ301を介して、指定された外部装置であるPC300に、認証情報であるジョブ番号91とパスワード92とを送信する。
【0021】
図2は、図1におけるプリンタ部を示す概略の構成図である。
プリンタ部70は、タンデム方式のプリンタ装置であり、記録媒体としての記録用紙100を供給する給紙部11と、記録用紙100に現像剤像であるトナー像を形成する画像形成部20と、記録用紙100にトナー像を定着させる定着装置40と、記録用紙100を排紙する用紙排出部とを有している。更にプリンタ部70は、各ローラ類を回すための図示しないモータと、給紙搬送路101Aや排出搬送路101Bへの各ローラへの動力伝達をオン/オフするクラッチと、後述する画像形成ユニット22の帯電ローラ24や転写ローラ21等に200V〜5000Vの高電圧を供給する図示しない高圧電源と、回路やモータに5V直流や24V直流を供給する図示しない低圧電源とを有している。
【0022】
給紙部11は、このプリンタ部70の下部に装着された用紙カセット110と、用紙カセット110に格納されている記録用紙100と、用紙カセット110内から1枚ずつ記録用紙100を分離して取り出すためのホッピングローラ12と、給紙ローラ13a及びリタードローラ13bと、給紙センサ14と、一対のレジストローラ15a,15bと、書き出し位置センサ16とを有している。
【0023】
用紙カセット110は、複数の記録用紙100を収容するカセットであり、プリンタ部70の下部に装抜可能に取り付けられている。記録用紙100は、モノクロ又はカラーの画像を記録するための所定の大きさの上質紙、再生紙、光沢紙、マット紙、又はOHP(OverHead Projector)フィルム等である。
【0024】
ホッピングローラ12は、記録用紙100に圧接して回転し、給紙搬送路101Aの下流側には、給紙ローラ13a及びリタードローラ13bが、記録用紙100を挟むように対向して配設され、その下流側には給紙センサ14が設けられている。
【0025】
レジストローラ15a,15bは、給紙センサ14の給紙搬送路101Aの下流側に記録用紙100を挟むように対向して配設され、その下流側には書き出し位置センサ16が設けられている。レジストローラ15aは、図示しないレジストモータによって駆動される。
【0026】
画像形成部20は、図の右側から黒色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の順に4台配設されている画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)と、これら画像形成ユニット22の下にそれぞれ配設されている転写ローラ21(=21−1〜21−4)と、ローラ31,32と、このローラ31,32に張架されている搬送ベルト30とを有している。黒色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色4色に対応した各画像形成ユニット22は、画像情報にもとづく静電潜像を担持する感光体ドラム23と、感光体ドラム23を帯電させる帯電ローラ24と、画像情報に対応した光を感光体ドラム23の表面に照射するLED(Light Emitting Diode)ヘッド25と、感光体ドラム23表面の静電潜像をトナーにより現像する現像ローラ26と、トナーを現像ローラ26に供給するトナー供給ローラ27と、現像剤を格納する現像剤容器であるトナーカートリッジ29と、図示しないトナー規制部材と、感光体ドラム23に残留したトナーを掻き落とすクリーニング装置28とを有している。
【0027】
画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)は、プリンタ部70と分離して交換することが可能である。同様に、LEDヘッド25(=25−1〜25−4)及びトナーカートリッジ29は、画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)と分離して交換することが可能である。
【0028】
搬送ベルト30は、記録用紙100を搬送すると共に、感光体ドラム23に形成されたトナー像を記録用紙100へ転写させる転写体である。搬送ベルト30を介して、感光体ドラム23と転写ローラ21とは当接している。
【0029】
感光体ドラム23は、アルミニウム等から成る導電性基層の上に光導電層と電荷輸送層からなる感光層を備え、形状は円筒であり、回転可能に支持されて配設されている。感光体ドラム23は、帯電ローラ24と、転写ローラ21と、現像ローラ26とが当接し、クリーニング装置28が接触するよう配設されている。感光体ドラム23は、表面に電荷を蓄えることによって、トナー像を担持する像担持体として機能し、図の時計回りの方向に回転する。以下、画像形成ユニット22の構成について感光体ドラム23の回転方向順に説明する。
【0030】
帯電ローラ24は、導電性の金属シャフトがシリコーン等の半導電性ゴムによって被覆され、形状は円筒であり、感光体ドラム23に圧接して回転可能に支持されて配設されている。帯電ローラ24は、図示しない高圧電源によって帯電し、感光体ドラム23に圧接して回転することにより、感光体ドラム23に所定の電圧を印加し、よって表面に一様に電荷を蓄える。
【0031】
LEDヘッド25は、LEDアレイチップと、レンズアレイと、LED駆動素子とを有し、感光体ドラム23の上方に配設されている。LEDヘッド25は、画像情報に対応した光を感光体ドラム23の表面に照射し、感光体ドラム23の表面に静電潜像を形成する。
【0032】
トナー供給ローラ27は、導電性を有する金属シャフトがゴムによって被覆されて作られ、形状は円筒であり、現像ローラ26に当接するよう配設されている。トナー供給ローラ27は、図示しない高圧電源によって帯電し、現像ローラ26に圧接することにより、現像ローラ26にトナーを供給する。
【0033】
現像ローラ26は、導電性を有する金属シャフトが半導電ウレタンゴム材等によって被覆されて作られ、形状は円筒である。現像ローラ26は、トナー供給ローラ27と感光体ドラム23とに当接し、図示しないトナー規制部材の先端部が接触するよう配設されている。現像ローラ26は、図示しない高圧電源によって帯電し、トナー供給ローラ27と圧接することによりトナーが供給される。
【0034】
図示しないトナー規制部材は、ステンレス等で作られ、形状は板状であり、先端部が現像ローラ26の表面に接触するよう配設されている。図示しないトナー規制部材は、現像ローラ26の表面の一定量を越えたトナーを掻き取ることで、現像ローラ26の表面に形成されるトナーの厚みを、常に均一となるように規制する。
【0035】
クリーニング装置28は、ゴム材等で作られ、感光体ドラム23の表面に接触するよう配設されている。クリーニング装置28は、感光体ドラム23上に形成されたトナー像を記録用紙100に転写した後において、感光体ドラム23に残留したトナーを掻き取ってクリーニングする。
【0036】
定着部である定着装置40は、定着ローラ41と、加圧ローラ42と、温度測定部である温度検出センサ43と、複数の熱源であるヒータ44とを備えている。定着ローラ41内部には、ハロゲンランプに代表されるヒータ44が配設されている。定着部である定着装置40は、熱源であるヒータ44を備えている。定着ローラ41の記録用紙100の排出搬送路101Bの上流側には、サーミスタによって構成されている温度検出センサ43が配設されており、この定着ローラ41の表面温度を検出する。
【0037】
用紙排出部は、定着搬送ローラ45a,45bと、排出ローラ46a,46bとを備えている。定着搬送ローラ45a,45bと、排出ローラ46a,46bは、定着装置40の記録用紙100の搬送方向に於ける上流に、記録用紙100を挟むように、それぞれ対向して配設されており、それぞれ図示しないモータによって駆動される。媒体積載部47は、排出ローラ46a,46bの記録用紙100の搬送方向に配置されており、排出された記録用紙100を積載する。
【0038】
図3は、図1の操作パネル部を示す概略の構成図である。
操作パネル部80は、設定項目や装置状態を表示する表示部81と、数字や文字を入力するテンキー82と、表示部81上に表示されているカーソルを上下左右に移動させるカーソルキー83と、カーソルが示している選択肢を確定する確定キー84と、複数のモード切替ボタン85と、各機能の実行を開始するスタートボタン86と、実行中の動作を中断させるストップボタン87を有している。
【0039】
操作パネル部80の右上に配置されているテンキー82は、0〜9の数字キーと、アスタリスク“*”キーと、シャープ“#”キーとを有している。確定キー84は、カーソルキー83の中央部に配置されている。カーソルキー83は、確定キー84の上側に設けられた上方向キーと、確定キー84の下側に設けられた下方向キーと、確定キー84の右側に設けられた右方向キーと、確定キー84の左側に設けられた左方向キーとを有している。カーソルキー83は、表示部81に表示されているカーソルを上下左右に移動させる機能を有している。確定キー84は、カーソルによって選択されている項目を確定させる機能を有している。
【0040】
操作パネル部80の左下に配置されているモード切替ボタン85は、コピーキーと、FAXキーと、スキャンキーと、設定キーとを有し、表示部81上に表示されている機能画面や設定画面を切り替える機能を有している。
【0041】
操作パネル部80の右下に配置されているスタートボタン86は、カラーボタンと白黒ボタンとを有している。カラーボタンは、カラー画像に係る処理の開始を指示する。白黒ボタンは、白黒画像に係る処理の開始を指示する。
【0042】
図4は、本発明の実施例1における印刷ジョブリストを示す図である。
印刷ジョブリスト95と印刷ジョブ90(=90−1〜90−99)とは、バッファ53に記憶されている。印刷ジョブリスト95には、印刷ジョブ90(=90−1〜90−99)を識別するためのジョブ番号91と、各印刷ジョブ90に対応しているパスワード92と、バッファ53に記憶されている印刷ジョブ90(=90−1〜90−99)のアドレス93とが関連付けて管理されている。パスワード92は、パスワード生成部56によって生成される。
【0043】
(実施例1の動作)
図2を元に、本実施例1のプリンタ部70の動作を説明する。
【0044】
記録用紙100は、給紙搬送路101Aと排出搬送路101Bに沿って上流側から下流側に搬送される。用紙カセット110が最も上流側で、排出ローラ46a,46bが最も下流側である。
【0045】
プリンタ部70は、デジタル複合機10の内部でジョブ管理部54と状態監視部55に接続されている。状態監視部55は、プリンタ部70の状態を常時監視し、印刷可能状態/印刷不可能状態のいずれであるかを判断してジョブ管理部54に通知する。ジョブ管理部54は、プリンタ部70が印刷可能状態であったならば、印刷ジョブ90をプリンタ部70に転送する。
【0046】
ジョブ管理部54から印刷ジョブ90の転送を受け印刷の指示を受けると、図示しないピックアップモータがホッピングローラ12を回転させ、複数の記録用紙100を1枚ずつ分離して、給紙搬送路101Aの下流側に送る。各画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)は、図の右側から黒色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の順に4台配設されている。これらの各画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)は、給紙開始とほぼ同時にローラ類の回転を開始し、感光体ドラム23に記録用紙100が到達するまでに、この感光体ドラム23を1周以上回転させる。
【0047】
図示しないモータが給紙ローラ13aを回転させると、給紙ローラ13aに接触しているリタードローラ13bは連れ回りする。ホッピングローラ12から搬送されてきた記録用紙100は、給紙ローラ13aとリタードローラ13bに挟持搬送され、給紙センサ14をオンする。そののち、記録用紙100は、給紙搬送路101Aの下流側のレジストローラ15a,15bに搬送されたのち、書き出し位置センサ16をオンする。書き出し位置センサ16がオンしたあと一定時間後に黒色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色4色の各画像形成ユニット22のLEDヘッド25が露光を開始し、それぞれの色に対応した静電潜像を感光体ドラム23上に形成する。
【0048】
記録用紙100は、給紙搬送路101Aの下流側の搬送ベルト30に搬送される。ローラ31が回転すると、ローラ31,32に張架されている搬送ベルト30は駆動される。記録用紙100は、搬送ベルト30の駆動によって、黒色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の順に4台配設されている画像形成ユニット22に順に搬送される。
【0049】
黒色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の4台の各画像形成ユニット22の感光体ドラム23は、時計方向に回転すると共に、最初に帯電ローラ24によって表面が一様に帯電する。一様に帯電した感光体ドラム23は、LEDヘッド25によってジョブ管理部54から受信した画像情報に基づく光を照射され、静電潜像を形成する。静電潜像を形成した感光体ドラム23は、トナー供給ローラ27と現像ローラ26とによってトナー像を現像する。トナー像を現像した感光体ドラム23は、転写ローラ21と共に搬送ベルト30と記録用紙100を挟持搬送する。更に、感光体ドラム23は、転写ローラ21に印加された+1000V〜+3000Vの電圧により、感光体ドラム23上のトナーを記録用紙100側に引き寄せ、トナー像を記録用紙100へ転写する。トナー像が転写された記録用紙100は、定着装置40に送られてトナー像を定着する。感光体ドラム23上に残留したトナーは、クリーニング装置28によって掻き取られ、新たなトナー像の形成に備えられる。
【0050】
黒色、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色の各トナー像が転写された記録用紙100は、定着装置40において、定着ローラ41と加圧ローラ42によって形成されたニップ領域を挟持搬送される。記録用紙100は、ニップ領域において定着ローラ41の熱と、加圧ローラ42の付勢力による圧力が加えられ、トナーが溶融することによってトナー像が定着する。
【0051】
トナー像が定着した記録用紙100は、定着搬送ローラ45a,45bと、排出ローラ46a,46bの回転によって搬送されて、媒体積載部47に排出される。
【0052】
図5は、本発明の実施例1におけるコピー動作を示すフローチャートである。
ユーザがスキャナ部60に原稿をセットして操作パネル部80を用いてコピー開始の操作を行うと、処理が開始する。ステップS10において、スキャナ部60は、原稿を読み取って画像データヘ変換する。
【0053】
ステップS11において、画像処理部52は、ユーザが期待する原稿のコピーが得られるよう、画像データに処理を行い、PDL(Page Description Language)等のプリンタ部70が印刷可能な書式の印刷ジョブ90へと変換する。ステップS12において、画像処理部52は、印刷ジョブ90を、バッファ53に記憶させる。
【0054】
ステップS13において、ジョブ管理部54は、プリンタ部70が印刷可能な状態であるか否かを状態監視部55に確認する。プリンタ部70が印刷可能な状態であったならば、ステップS27の処理を行う。プリンタ部70が印刷不可能な状態であったならば、ステップS14の処理を行う。プリンタ部70が印刷不可能な状態とは、例えば、記録用紙100が格納されていないこと、記録用紙100に現像剤像を形成する画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)のいずれかが未装着であること、露光装置であるLEDヘッド25(=25−1〜25−4)のいずれかが未装着であること、トナーカートリッジ29(=29−1〜29−4)のいずれかが未装着であること、前記現像剤像を形成するトナーのいずれかの枯渇を検知したこと、記録用紙100を搬送する搬送機構の異常を検知したこと、又は、記録用紙100の搬送位置を検出するセンサである給紙センサ14や書き出し位置センサ16等によって異常を検知したことである。
【0055】
ステップS27において、スキャナ部60は、原稿の読取が完了したか否かを判断し、まだ読取が完了していないならば、ステップS10の処理に戻る。全ての原稿の読取りが完了した場合、ステップS28において、読み取った画像データの印刷が完了するまで待ち、図5の処理を終了する。
【0056】
ステップS14において、ジョブ管理部54は、プリンタ部70への印刷ジョブ90の送信を停止すると共に、操作パネル部80の表示部81に、後述する図6(a)に示す読取継続確認画面を表示させる。
【0057】
ステップS15において、ジョブ管理部54は、ユーザが原稿の読取継続を選択したことを検知したならば、ステップS16の処理を行う。ユーザが原稿の読取継続を選択しないことを検知したならば、ステップS29において、印刷ジョブ90を破棄し、図5の処理を終了する。
【0058】
ステップS16において、ジョブ管理部54は、操作パネル部80の表示部81に、後述する図6(b)に示す電子メールアドレス一覧画面を表示する。電子メールアドレス一覧画面には、予めデジタル複合機10に登録されている複数の電子メールアドレスが一覧表示されている。ステップS17において、ジョブ管理部54は、電子メールアドレスのいずれかが選択されるまで待つ。
【0059】
ステップS18において、スキャナ部60は、原稿の読取を再開して画像データを生成する。ステップS19において、画像処理部52は、画像データを処理して印刷ジョブ90を生成し、ステップS20において、この印刷ジョブ90をバッファ53に記憶させる。
【0060】
ステップS21において、スキャナ部60は、原稿の読取が完了したか否かを判断し、まだ読取が完了していないならば、ステップS18の処理に戻る。全ての原稿の読取りが完了した場合、ステップS22の処理を行う。
【0061】
ステップS22において、ジョブ管理部54は、操作パネル部80に、後述する図6(c)に示すパスワード設定確認画面を表示するよう制御し、ステップS23において、操作パネル部80は、パスワード92の設定が選択されなかったならば、図5の処理を終了する。この場合には、デジタル複合機10が印刷可能状態に復旧した後、自動的にバッファ53に記憶された印刷ジョブ90の印刷が再開される。
【0062】
ステップS24において、パスワード生成部56は、ジョブ管理部54からの要求に応じて、パスワード92を生成する。パスワード92は、アルファベットと数字が混在している8桁の文字列である。
【0063】
ステップS25において、後述する図7に示す電子メール送信処理を行う。
ステップS26において、ジョブ管理部54は、ジョブ番号91と、パスワード生成部56が生成したパスワード92と、バッファ53に記憶されている印刷ジョブ90のアドレス93とを関連付けて記憶する。
【0064】
認証情報生成部であるパスワード生成部56は、プリンタ部70が画像データを印刷中に、状態監視部55によって印刷不可能な状態を検出したならば、未印刷の画像情報である印刷ジョブ90に係るパスワード92を生成し、バッファ53は、ジョブ番号91とパスワード92と前記未印刷の画像情報である印刷ジョブ90とを関連付けて記憶し、ジョブ番号91とパスワード92の入力により、前記未印刷の画像情報である印刷ジョブ90を印刷する。
【0065】
図6(a)〜(c)は、本発明の実施例1における読取継続の画面遷移を示す図である。
【0066】
図6(a)に示す読取継続確認画面は、画面上部に「Kトナーがなくなりました。Kトナーを交換するまで印刷できません。原稿の読み取りを継続しますか?」の文字列が表示されている。読取継続確認画面は更に、画面中央部に、「はい」と「いいえ」の選択肢が、カーソルで選択可能に表示されている。カーソルキー83の押下により「はい」の選択肢が選択され、確定キー84が押下されることにより、図6(b)に示す電子メールアドレス一覧画面に遷移する。カーソルキー83の押下により「いいえ」の選択肢が選択され、確定キー84が押下されることにより、印刷ジョブ90を破棄してコピー動作を終了する。
【0067】
図6(b)に示す電子メールアドレス一覧画面は、画面上部に「電子メールアドレスを選択してください。印刷可能状態になったら電子メールで通知されます。」の文字列が表示されている。電子メールアドレス一覧画面は更に、画面下部に、複数の電子メールアドレスがカーソルで選択可能に表示されている。カーソルキー83の押下により所定の電子メールアドレスが選択されたのち、確定キー84が押下されることにより、デジタル複合機10の印刷ジョブ90に係る電子メールの送信先が設定される。図6(b)においては、「pc300@abc.com」が、カーソルキーで選択された状態である。
【0068】
図6(c)に示すパスワード設定確認画面は、画面上部に「原稿の読取を継続します。復旧後の出力条件としてパスワードを設定しますか?」の文字列が表示されている。パスワード設定確認画面は更に、画面中央部に、「はい」と「いいえ」の選択肢が、カーソルで選択可能に表示されている。カーソルキー83の押下により「はい」の選択肢が選択され、確定キー84が押下されることにより、デジタル複合機10は、パスワード92を生成し、復旧後の出力条件として設定する。カーソルキー83の押下により「いいえ」の選択肢が選択され、確定キー84が押下されることにより、復旧後の出力条件にパスワード92は設定されなくなる。
【0069】
図7は、本発明の実施例1における電子メール送信処理を示すフローチャートである。
【0070】
ステップS40において、状態監視部55は、プリンタ部70の状態を監視し、ステップS41において、プリンタ部70が印刷不可能な状態から、印刷可能な状態に復旧するまで待つ。
【0071】
ステップS42において、状態監視部55はジョブ管理部54へ印刷可能状態に復旧したことを通知する。
【0072】
ステップS43において、電子メール作成部57は、ジョブ管理部54からの要求に応じて、ジョブ番号91とパスワード92とが本文に記載されている電子メールデータを生成する。
【0073】
ステップS44において、ネットワーク制御部51は、生成された電子メールデータを、メールサーバ301を介して、電子メールアドレス一覧画面で指定された電子メールアドレスへ送信する。本実施例1では、電子メールアドレスpc300@abc.comに送信するものとする。
【0074】
図8は、本発明の実施例1における印刷可能状態へ復旧したことを示す電子メールの例を示す図である。
【0075】
この電子メールには、差出人と、宛先と、件名と、本文とが記載されている。
差出人には、デジタル複合機10から送信されたことを示すmfp100@abc.comが記載されている。宛先には、PC300のメールクライアントソフトウエアに送信したことを示すpc300@abc.comが記載されている。件名には「印刷可能となりました。」が記載されている。本文には、「下記ジョブ番号とパスワードを入力すると、コピー結果が出力されます。」の文字列が表示されている。この文字列に続いて「ジョブ番号:」の文字列と、未印刷の画像情報に係る認証情報であるジョブ番号91を示す「01」の文字列が表示されている。更に、「パスワード:」の文字列と、パスワード92を示す「ab012345」の文字列とが記載されている。この認証情報は、アルファベットの文字及び/又は数字で構成されている。
【0076】
ユーザは、この電子メールに記載されているジョブ番号91とパスワード92とをデジタル複合機10の操作パネル部80から入力すると、バッファ53に記憶されている印刷ジョブ90の処理が開始し、未印刷の画像情報を印刷することが可能となる。
【0077】
図9は、本発明の実施例1における印刷再開動作を示すフローチャートである。
状態監視部55により印刷可能な状態を検知し、且つユーザが所定の操作を行うと、処理が開始する。ステップS50において、ジョブ管理部54は、操作パネル部80に、後述する図10(a)に示すジョブ番号とパスワード入力画面を表示するよう制御する。
【0078】
ユーザは、このジョブ番号とパスワード入力画面において、テンキー82と、カーソルキー83と、確定キー84とを用いて、ジョブ番号91とパスワード92を入力可能である。
【0079】
ステップS51において、操作パネル部80は、ジョブ番号91とパスワード92が入力されるまで待つ。
【0080】
ステップS52において、パスワード判定部58は、入力されたジョブ番号91とパスワード92が、ジョブ管理部54で管理されているジョブ番号91とパスワード92と一致するかどうかを判定する。一致したならばステップS54の処理を行う、一致しなかったならばステップS56の処理を行う。
【0081】
ステップS54において、ジョブ管理部54は、バッファ53に記憶されている印刷ジョブ90を、プリンタ部70へ送信する。
【0082】
ステップS55において、プリンタ部70が、印刷ジョブ90の印刷を完了すると、図9の処理は終了する。
【0083】
ステップS56において、ジョブ管理部54は、操作パネル部80に、後述する図10(b)に示すジョブ不一致画面を表示するよう制御する。操作パネル部80は、「再入力」と「終了」のいずれかの選択肢が選択されるまで待つ。「再入力」の選択肢が選択されたならば、ステップS50の処理に戻り、「終了」の選択肢が選択されたならば、図9の処理を終了する。
【0084】
図10(a),(b)は、本発明の実施例1における印刷再開の画面遷移を示す図である。
【0085】
図10(a)に示すジョブ番号とパスワード入力画面は、画面上部に「ジョブ番号とパスワードを入力してください。」の文字列が表示されている。ジョブ番号とパスワード入力画面は更に、画面中央部に、「ジョブ番号」の文字列とジョブ番号91の入力フィールドとが設けられ、その下には「パスワード」の文字列とパスワード92の入力フィールドとが設けられている。ジョブ番号91は、例えば「01」の文字列であり、2桁の数字からなる文字列で構成されている。パスワード92は、例えば「ab012345」の文字列であり、アルファベットの文字又は/及び数字が混在した8桁の文字列で構成されている。
【0086】
図10(b)に示すジョブ不一致画面は、画面上部に「ジョブ番号とパスワードに対応する印刷ジョブが見つかりません。」の文字列が表示されている。ジョブ不一致画面は更に、画面中央部に、「再入力」と「終了」の選択肢が、カーソルで選択可能に表示されている。カーソルキー83の押下により「再入力」の選択肢が選択され、確定キー84が押下されることにより、図10(a)に示すジョブ番号とパスワード入力画面に再び遷移する。カーソルキー83の押下により「終了」の選択肢が選択され、確定キー84が押下されることにより、図9に示す印刷再開動作を終了する。
【0087】
(実施例1の効果)
本実施例1のデジタル複合機10及び画像処理方法によれば、次の(A),(B)のような効果がある。
【0088】
(A) 原稿のコピー中に、デジタル複合機10が印刷不可能な状態になった場合でも原稿の読み取りを継続することが可能であり、且つ印刷可能状態へ復旧後に、印刷出来なかった原稿を改めて読み取らせる必要は無い。
【0089】
(B) 未出力となっている原稿のコピーを印刷するにはパスワード92の入力が必要である。よって、デジタル複合機10が印刷可能状態に復旧した後に、デジタル複合機10が未出力の原稿のコピーを自動で印刷することはなく、原稿のコピーを他人に見られることはない。
【実施例2】
【0090】
(実施例2の構成)
図11は、本発明の実施例2におけるデジタル複合機を示す概略の構成図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0091】
本発明の実施例2のデジタル複合機10Aは、図1に示す実施例1のデジタル複合機10と同一の構成を有し、更に印刷ジョブデータ96を生成するジョブデータ生成部59を有している。ジョブデータ生成部59が生成した後述する図12に示す印刷ジョブデータ96は、ジョブ管理部54を介して電子メール作成部57に送信される。
【0092】
図12は、本発明の実施例2における印刷ジョブデータを示す概略の構成図である。
【0093】
印刷ジョブデータ96は、印刷ジョブ90と、印刷ジョブ90を識別するためのジョブ番号91と、印刷ジョブ90のサイズを示すデータサイズ94とを有している。印刷ジョブデータ96の先頭には、ジョブ番号91が配置されている。ジョブ番号91に続いて、印刷ジョブ90とデータサイズ94とが順に配置されている。
【0094】
(実施例2の動作)
図13は、本発明の実施例2における電子メール送信処理を示すフローチャートである。
【0095】
処理が開始すると、ステップS60において、ジョブ管理部54は、操作パネル部80に、図14に示す送信確認画面を表示させるよう制御する。
【0096】
ステップS61において、操作パネル部80は、「はい」か「いいえ」が選択されるまで待つ。「はい」が選択されたならば、ステップS62の処理を行い、「いいえ」が選択されたならば、図13の処理を終了する。
【0097】
ステップS62において、ジョブデータ生成部59は、ジョブ管理部54の要求に応じ、印刷ジョブデータ96を生成する。
【0098】
ステップS63において、電子メール作成部57は、ジョブ管理部54の要求に応じ、印刷ジョブデータ96を添付した電子メールデータを生成する。
【0099】
ステップS64において、ネットワーク制御部51は、生成された電子メールデータを、メールサーバ301を介してPC300へ送信し、図13の処理を終了する。
【0100】
図14は、本発明の実施例2における電子メール送信確認画面の例を示す図である。
【0101】
電子メール送信確認画面は、画面上部に、「印刷ジョブデータを電子メール送信しますか?装置が印刷可能状態へ復旧後、添付の印刷ジョブデータを装置へ送信し、未取得ページの印刷を行ってください。」の文字列が表示されている。電子メール送信確認画面は更に、画面中央部に、「はい」と「いいえ」の選択肢が、カーソルで選択可能に表示されている。
【0102】
カーソルキー83の押下により「はい」の選択肢を選択し、確定キー84を押下することにより、印刷ジョブデータ96を電子メールで送信する。カーソルキー83の押下により「いいえ」の選択肢を選択し、確定キー84を押下することにより、図13の処理を終了する。
【0103】
図15は、本発明の実施例2における印刷ジョブデータが添付された電子メールの例を示す図である。
【0104】
この電子メールには、差出人と、宛先と、添付と、件名と、本文とが記載されている。差出人には、デジタル複合機10Aから送信されたことを示すmfp100@abc.comが記載されている。宛先には、PC300のメールクライアントソフトウエアに送信したことを示すpc300@abc.comが記載されている。添付には、Printjob.prnファイルが添付されていることを示すPrintjob.prnが記載されている。件名には、「印刷ジョブデータ添付」の文字列が記載されている。本文には、「装置が印刷可能状態となったことを通知する電子メールを受信したら、添付ファイルを送信してください。」の文字列が表示されている。この電子メールには更に、印刷ジョブデータ96であるPrintjob.prnファイルが添付されている。
【0105】
図16は、本発明の実施例2における印刷可能状態の復旧通知の電子メールの例を示す図である。
【0106】
実施例2でのデジタル複合機10Aが印刷不可能な状態から印刷可能状態に復旧した場合、実施例1と同様の動作に加えて、印刷可能状態へ復旧したことを通知する電子メールを、指定されたメールアドレスに送信する。
【0107】
この電子メールには、差出人と、宛先と、件名と、本文とが記載されている。
差出人には、デジタル複合機10Aから送信されたことを示すmfp100@abc.comが記載されている。宛先には、PC300のメールクライアントソフトウエアに送信したことを示すpc300@abc.comが記載されている。件名には、「印刷可能となりました。」の文字列が記載されている。本文には、「装置が印刷可能状態へ復旧しました。受信済みの印刷ジョブデータを装置へ送信し、下記に記載されているジョブ番号とパスワードを入力すると、コピー結果が出力されます。」の文字列と、「ジョブ番号:01」の文字列と、「パスワード:ab012345」の文字列とが記載されている。
【0108】
図17は、本発明の実施例2における印刷再開動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図9中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0109】
状態監視部55により印刷可能な状態を検知し、外部装置であるPC300から印刷ジョブ90のファイルをデジタル複合機10Aに送信し、且つユーザが所定の操作を行うと、処理が開始する。
【0110】
ステップS70において、ネットワーク制御部51は、印刷ジョブデータ96を受信する。
【0111】
ステップS71において、ジョブ管理部54は、ネットワーク制御部51から印刷ジョブデータ96を受信する。
【0112】
ステップS72において、ジョブ管理部54は、この印刷ジョブ90のサイズと、データサイズ94の値が一致しているかを確認する。一致していればステップS50の処理を行い、一致していなければ図17の処理を終了する。
【0113】
ステップS50〜S57の処理は、実施例1を示す図9中のステップS50〜57の処理と同様である。
【0114】
(実施例2の効果)
本実施例2のデジタル複合機10A及び画像形成方法によれば、多量の原稿をコピー中に印刷不可能な状態となった場合において、印刷ジョブ90を全てデジタル複合機10Aの装置内に記憶しなくても良い。よって、バッファ53の容量の少ない低価格のデジタル複合機10Aでも実現可能という効果を奏する。
【0115】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0116】
(a) 実施例1,2では、画像処理装置としてのデジタル複合機10,10Aの例を説明した。しかし、これに限定されず、コピー機能及び電子メール送信機能を有しているFAX装置への適用も可能である。
【0117】
(b) 実施例1,2のデジタル複合機10,10Aでは、スキャナ部60によって原稿を読み取って画像情報である画像データへ変換し、画像処理部52によって印刷ジョブ90を生成し、プリンタ部70によって印刷ジョブ90を印刷した。しかし、これに限定されず、原稿を読み取って直接に印刷ジョブ90を生成するようにスキャナ部60を構成しても良く、更に画像データを直接に印刷するようにプリンタ部70を構成しても良い。
【0118】
(c) 実施例1では、アルファベットの文字と数字とが混在する8桁のパスワード92を例として使用した。しかし、これに限定されず、アルファベットの文字と数字以外に、漢字やカタカナや平仮名等に代表される非アルファベットの文字の利用、及び記号の利用も可能であり、更に8桁以外の桁数の利用も可能である。
【0119】
(d) 実施例2では、認証情報送信部は、指定された外部装置であるPC300に、電子メールの添付ファイルとして、画像情報である印刷ジョブ90をPC300に送信した。しかし、これに限定されず、PC300がアクセス可能な記憶装置であるファイルサーバに印刷ジョブ90を送信することにより、指定された外部装置であるPC300に送信しても良い。この場合には、更に電子メールによって、認証情報であるジョブ番号91及びパスワード92と、前記ファイルサーバを示す情報を送信する。更に、PC300が有している共有フォルダに印刷ジョブ90を書き込むことにより、指定された外部装置であるPC300に送信しても良い。この場合には、更に電子メールによって、認証情報であるジョブ番号91及びパスワード92と、前記共有フォルダを示す情報を送信する。
【符号の説明】
【0120】
10,10A デジタル複合機
51 ネットワーク制御部
52 画像処理部
53 バッファ
54 ジョブ管理部
55 状態監視部
56 パスワード生成部
57 電子メール作成部
58 パスワード判定部
59 ジョブデータ生成部
60 スキャナ部
70 プリンタ部
80 操作パネル部
81 表示部
82 テンキー
83 カーソルキー
84 確定キー
85 モード切替ボタン
86 スタートボタン
87 ストップボタン
90 印刷ジョブ
91 ジョブ番号
92 パスワード
93 アドレス
94 データサイズ
95 印刷ジョブリスト
96 印刷ジョブデータ
100 記録用紙
101A 給紙搬送路
101B 排出搬送路
110 用紙カセット
300 PC
200 ネットワーク
301 メールサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って画像情報へ変換する画像読取部と、
前記画像情報を印刷する印刷部と、
前記印刷部の状態を監視する状態監視部と、
前記状態監視部によって前記印刷部が印刷不可能な状態を検出したならば、前記画像情報に係る認証情報を生成する認証情報生成部と、
前記認証情報と前記画像情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
指定された外部装置に前記認証情報を送信する認証情報送信部と、
前記状態監視部により前記印刷部が印刷可能な状態を検出したならば、前記認証情報の入力を受け付ける操作部とを有し、
前記認証情報の入力により、前記画像情報を印刷することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記認証情報送信部は、指定された前記外部装置に前記認証情報と前記画像情報とを送信し、
前記操作部は、前記状態監視部により前記印刷部が印刷可能な状態を検出し、且つ前記外部装置から前記画像情報が送信されたならば、前記認証情報の入力を受け付けることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記認証情報生成部は、前記印刷部が前記画像情報を印刷中に、前記状態監視部によって前記印刷部が印刷不可能な状態を検出したならば、未印刷の画像情報に係る前記認証情報を生成し、
前記記憶部は、前記認証情報と前記未印刷の画像情報とを関連付けて記憶し、
前記認証情報の入力により、前記未印刷の画像情報を印刷することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記認証情報送信部は、指定された前記外部装置に前記認証情報と前記未印刷の画像情報とを送信し、
前記操作部は、前記状態監視部によって前記印刷部が印刷可能な状態を検出し、且つ前記外部装置から前記未印刷の画像情報が送信されたならば、前記認証情報の入力を受け付けることを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記認証情報は、文字又は/及び数字からなる文字列であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記認証情報は、ジョブ番号とパスワードであることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記認証情報送信部は、電子メールによって前記外部装置に前記認証情報を送信することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記認証情報送信部は、前記外部装置がアクセス可能な記憶装置への書き込みによって、前記外部装置に前記認証情報を送信することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記認証情報送信部は、前記外部装置が有している共有フォルダへの書き込みによって、前記外部装置に前記認証情報を送信することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記印刷部が印刷不可能な状態とは、記録媒体が格納されていないこと、前記記録媒体に現像剤像を形成する画像形成ユニットの未装着を検知したこと、露光装置の未装着を検知したこと、現像剤を格納する現像剤容器の未装着を検知したこと、前記現像剤像を形成する前記現像剤の枯渇を検知したこと、前記記録媒体を搬送する搬送機構の異常を検知したこと、前記記録媒体の搬送位置を検出するセンサによって異常を検知したことのうちのいずれかであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
印刷部が印刷可能な状態であるか否かを判断するステップと、
前記印刷部が印刷不可能な状態を検出したならば、画像情報に係る認証情報を生成するステップと、
指定された外部装置に前記認証情報を送信するステップと、
前記画像情報と前記認証情報とを関連付けて記憶するステップと、
前記印刷部が印刷可能な状態を検出したならば、前記認証情報の入力を受け付けるステップと、
前記認証情報が入力されたならば、前記画像情報を前記印刷部で印刷するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
請求項11記載の画像処理方法は、更に、
指定された前記外部装置に前記認証情報と前記画像情報とを送信するステップと、
前記印刷部が印刷可能な状態を検出し、且つ前記外部装置から前記画像情報が送信されたならば、前記認証情報の入力を受け付けるステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−147254(P2012−147254A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4163(P2011−4163)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】