説明

画像処理装置

【課題】階調性を保持し、色の濁りを抑えた画像を形成し得る解像度変換を行うことである。
【解決手段】複数色からなる多値画像から中間階調の画像を生成する中間調処理部20aと、中間階調の画像をより高解像度の画像に変換する解像度変換部20bと、高解像度の画像の各画素に打点される各色のドットの打点位置を調整するドット調整部20cと、を備え、解像度変換部20bは、中間階調の画像の階調数に基づいて、中間階調の画像の各画素を細分化して所定の画素数からなる各画素群に変換し、ドット調整部20cは、各画素群における前記各色のドットの打点開始位置について、各画素群が互いに隣接する隣接画素には同一色のドットが打点され、かつ、当該打点される各色のドットが互いに異なる打点位置となるように調整する画像処理部20とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、MFP(Multifunction Peripheral)は、スキャナやプリンタ等を備えるとともに、画像処理装置を備えて構成される。
画像処理装置は、スキャナ等が読み取った画像に各種画像処理を施す。各種画像処理には、例えばモアレ除去処理やアーティファクト軽減処理、解像度変換等がある。
【0003】
特許文献1によれば、より多くの画素で基本パターンが構成された2値化ディサパターンで、モアレやアーティファクトの軽減を図る画像処理が開示されている。
【0004】
また、特許文献2によれば、多値画像データを高解像度の2値データに変換する際に、階調表現の再現性に影響を与えることなく、文字エッジ部及び画像エッジ部の高解像度を高速に行い得る画像処理が開示されている。
【特許文献1】特開2005−167492号公報
【特許文献2】特開2007−36895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、用紙上に形成される複数色からなる画像は、Y(黄)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(黒)の各色のドットが所定の打点位置に打点されることで構成される。各色のドットの打点位置は、画像処理装置により決定される。
【0006】
各色のドットの打点位置について、互いに隣接する画素には同一色のドットとすることで画像を形成する際にトナーが安定して乗りやすく、用紙上に形成される画像の階調性を保持することができる。
また、各色のドットを同一の打点位置に重複して打点すると色が濁ってしまうため、できるだけ各色のドットを異なる打点位置に打点することが望ましい。
【0007】
ここで、画像をより高解像度に変換する場合、画素数が増加するため各色のドットを打点する打点位置も増加する。よって、上述したように、互いに隣接する画素には同一色のドットが打点され、かつ、できるだけ異なる打点位置に各色のドットが打点されるように、各色のドットの打点位置を調整することが可能である。
【0008】
本発明の目的は、階調性を保持し、色の濁りを抑えた画像を形成し得る解像度変換を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、
複数色からなる多値画像から中間階調の画像を生成する中間調処理部と、
前記中間階調の画像をより高解像度の画像に変換する解像度変換部と、
前記高解像度の画像の各画素に打点される各色のドットの打点位置を調整するドット調整部と、を備え、
前記解像度変換部は、前記中間階調の画像の階調数に基づいて、前記中間階調の画像の各画素を細分化して所定の画素数からなる各画素群に変換し、
前記ドット調整部は、前記各画素群における前記各色のドットの打点開始位置について、前記各画素群が互いに隣接する隣接画素には同一色のドットが打点され、かつ、当該打点される各色のドットが互いに異なる打点位置となるように調整する画像処理装置蛾提供される。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記解像度変換部は、前記中間階調の画像の各画素を主走査方向と副走査方向とで同一の画素数となるように細分化して所定の画素数からなる各画素群に変換する画像処理装置が提供される。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明において、
前記ドット調整部は、前記各画素群において打点する前記各色のドットの数が前記各色につき2以上ある場合、打点順序2番目以降の各色のドットの打点位置について、重複する各色の数が各打点位置において同一となるように調整する画像処理装置が提供される。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明において、
前記ドット調整部は、前記打点順序2番目以降の各色のドットの打点位置について、前記打点開始位置と主走査方向、副走査方向又は斜め方向のうち何れかの方向において隣接する位置が打点位置となるように各色で調整し、重複する各色の数が各打点位置において同一となるように調整する画像処理装置が提供される。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3又は4に記載の発明において、
前記打点順序2番目以降の各色のドットの打点位置を色ごとに設定するための第1入力部を備え、
前記ドット調整部は、前記第1入力部により設定された打点位置に基づいて、前記打点順序2番目以降の各色のドットの打点位置が前記打点開始位置と主走査方向、副走査方向又は斜め方向のうち何れかの方向において隣接する位置となるように各色で調整する画像処理装置が提供される。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記解像度変換部は、前記中間階調の画像の各画素を主走査方向と副走査方向とで異なる画素数となるように細分化して所定の画素数からなる各画素群に変換し、
前記ドット調整部は、前記各画素群における前記各色のドットの打点開始位置について、前記各画素群が互いに隣接する隣接画素には同一色のドットが打点され、かつ、当該打点される各色のドットが互いに異なる位置となるように調整できない場合、前記各画素群が主走査方向又は副走査方向のうち何れか一方において互いに隣接する隣接画素には前記複数色のうち特定色のドットが打点され、かつ、当該打点される特定色のドットの打点開始位置と異なる打点位置に前記特定色以外の各色のドットが打点されるように調整する画像処理装置が提供される。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明において、
前記ドット調整部は、前記特定色を前記複数色のうちC又はM、K、Yの順で決定する画像処理装置が提供される。
【0016】
請求項8に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明において、
前記特定色を設定するための第2入力部を備え、
前記ドット調整部は、前記第2入力部により設定された特定色に基づいて、当該特定色のドットの打点位置を調整する画像処理装置が提供される。
【0017】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1〜8の何れか一項に記載の発明において、
前記中間調処理部は、前記複数色からなる多値画像から5階調の画像を生成し、
前記解像度変換部は、前記5階調の画像の各画素を細分化して少なくとも4画素からなる各画素群に変換する画像処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高解像度変換した後の画像における各色のドットの打点開始位置について、各画素群が互いに隣接する隣接画素には同一色のドットが打点され、かつ、各画素群における各画素には互いに異なる色のドットが打点されるように調整することができる。よって、解像度変換後に用紙上に形成した画像について、階調性を保持しつつ、色の濁りを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による画像処理装置について、最適な実施形態の構成及び動作について図面を用いて詳細に説明する。
なお、本実施形態では、本発明をMFPに適用した例を説明するが、画像処理装置全般に適用することが可能である。また、本発明は、ハードウェア又はソフトウェアの何れにおいても実現可能である。
【0020】
<第1実施形態>
まず、図1を参照して、第1実施形態におけるMFP100について説明する。
MFP100は、コントローラ10a、スキャナ部10b、画像処理部20、画像形成部30、入力部40、表示部50、制御部60を備えて構成されている。
【0021】
また、外部PC(Personal Computer)200はMFP100と接続されており、PDL(Page Description Language)形式のデータをMFP100に出力する。MFP100は、PDL形式のデータを受信してデジタルの画像(以下、単に「画像」という)に変換し、これを画像処理して用紙上に画像を形成することになる。
以下、MFP100の各部について説明する。
【0022】
コントローラ10aは、PDL形式に変換されたドキュメントデータをラスタライズして画像を生成する。そして、コントローラ10aは、生成した画像を画像処理部20に出力する。なお、コントローラ10aが出力する画像は、Y(黄)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(黒)の4色から構成される画像形成用の複数色の画像である。
【0023】
一方、スキャナ部10bは、まずスキャナ部10bが備える光学系により原稿を読み取り、アナログの画像(アナログ信号)を生成する。そして、スキャナ部10bは、生成したアナログ信号をA、D変換してR(赤)、G(緑)、B(青)の3色から構成される画像に変換して、これを画像処理部20に出力する。なお、スキャナ部10bが出力するR、G、Bからなる画像は表示用として用いられる。
【0024】
画像処理部20は、コントローラ10aから出力された画像に対して、各種画像処理を施す。また、画像処理部20は、スキャナ部10bから出力されたR、G、Bからなる画像をY、M、C、Kの各色で構成される画像に変換した後に各種画像処理を施す。
各種画像処理には、例えばモアレ除去処理、アーティファクト軽減処理、誤差拡散処理、解像度変換等がある。
第1実施形態では、誤差拡散処理を施した後に解像度変換を行う場合について詳細に後述する。
【0025】
画像形成部30は、画像処理部20から出力された画像を受信して、制御部60からの制御信号に従い用紙上に画像を形成する。画像形成処理に際して、画像形成部30はY、M、C、Kの各色のドットを用紙上に打点する。
【0026】
入力部40は、ユーザの操作指示を入力するためのものであり、各種キーや表示部50と一体に構成されるタッチパネル等を備える。入力部40は、入力に応じた入力信号を生成し、生成した入力信号を制御部60に出力する。
【0027】
表示部50は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される。
表示部50は制御部60から出力される制御信号を受信し、受信した制御信号に従って、LCD上に各種設定情報や動作状況等を表示する。
【0028】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されているシステムプログラムや各種制御プログラムを読み出して、RAMに展開する。そして、展開した各種プログラムとの協働により、MFP100の各部を集中制御する。なお、制御部60は、画像処理部20の構成要素として画像処理部20に含まれるものとしてもよい。
【0029】
次に、図2を参照して、画像処理部20が行う処理の概要について説明する。なお、解像度変換前の画像は、一例として600×600dpi(dot per inch)、256階調の画像とする。
【0030】
まず、中間調処理部20aは、コントローラ10a等から取得したY、M、C、Kの各色の画像D1に対して誤差拡散処理を施す。誤差拡散処理を施すことで、中間階調の処理における画像を滑らかに表現することができる。なお、ここで行う中間調処理は、誤差拡散処理に限らず、例えばディザ法を用いた中間調処理であってもよい。
【0031】
誤差拡散処理においては、256階調の画像D1が5階調の画像D2に変換される。256階調から5階調に変換するのは、以下に説明する解像度変換で画素数が増加するとともに打点する各色のドットも増えるためである。
誤差拡散処理後の階調数の上限は、解像度変換後の1つの画素群における画素数に依存する。1つの画素群とは、解像度変換前の1つの画素に相当する。つまり、1つの画素群が、例えば4画素で構成される場合、表現可能な階調数の上限は5階調となる。同様に、例えば9画素で構成される場合、表現可能な階調数の上限は10階調となる。
【0032】
次に、解像度変換部20bは、画像D2に対して解像度変換を行う。
解像度変換においては、600×600dpi、5階調の画像D2が1200×1200dpi、2階調の画像D3に変換される。主走査及び副走査方向において2倍の解像度変換が行われることで、解像度変換前の1つの画素が、4つの画素から構成される1つの画素群に変換されることになる。なお、第1実施形態では主走査及び副走査方向において2倍の解像度変換を行った場合について述べるが、これに限らず、3倍、4倍としてもよい。
【0033】
ドット調整部20cは、解像度変換後の画像D3において、各色のドットの打点位置を調整する処理を行う。以下、図3を参照して、ドット位置調整処理について説明する。
【0034】
図3に、各色のドットの打点位置を調整した画像D4を示す。
画像D4は、画像D3の各画素群における各画素に、Y、M、C、Kの各色のドットの打点位置を調整して決定した画像である。なお、説明の便宜上、図3の画像D4は画素群ごとに示されているが、画像D4は複数の画素群から構成されるものである。
【0035】
各色の画像D4の各画素内において示すアルファベット及び数字は、ドットの色及びドットの打点順序を示す。「Y1」であれば、Yのドットの打点開始位置を示す。ドットの打点順序は各色ごとに異なり、また、各画素群の位置ごとにも異なる。各画素群の位置とは、解像度変換後の画像D3又はD4における各画素群の位置をいう。各画素群の位置によってドットの打点位置を異なることとすることで、各画素群が互いに隣接する隣接画素のドットの色を同一とすることができる。
【0036】
また、各色のドットの打点順序は、各色同士で重複しないように調整される。よって、Y、M、C、Kの各色の打点開始位置(打点順序1番目の打点位置)は、それぞれ重複しない。
このようにして調整された各色のドットの打点開始位置では、各画素群が隣接する隣接画素に同一色のドットが打点され、かつ、各画素群の各画素には異なる色のドットが打点される。
【0037】
図4に、各色のドットを打点開始位置に打点した場合の画像D4の概念図を示す。
図4に示す画像D4は、解像度変換後の画像D3の各画素のうち、打点開始位置に、各色のドットが打点された場合の画像である。
図4によれば、各画素群が互いに隣接する隣接画素には同一色のドットが打点され、かつ、各画素群においては各色のドットが互いに異なる打点開始位置で打点される。
【0038】
図5に、用紙上に画像形成された画像D5の概念図を示す。
画像D5は、打点開始位置にのみ、各色のドットが打点された画像D4を実際に用紙上に形成した場合の画像の概念図である。つまり、画像D5は、各色の階調が全て1のときの画像である。
図5によれば、各色のドットの打点開始位置は、各画素群に隣接する隣接画素同士で同一色のドットが打点されるように調整される。また、各画素群において各色のドットが同一の打点開始位置とならないように調整される。
次に、図6A、図6Bを参照し、打点順序2番目の打点位置に各色のドットを打点した場合、つまり各色の階調が全て2の場合について説明する。
【0039】
図6Aに示すように、打点順序2番目の打点位置は、打点開始位置と主走査方向又は副走査方向において隣接する。具体的には、C及びKは主走査方向、Y及びMは副走査方向にドットの打点位置が隣接する。各色のドットは同一の打点位置に重複して打点されることになるが、各打点位置では重複する色の数は均一となる。
なお、打点順序2番目の打点位置は、打点開始位置と主走査方向又は副走査方向において隣接するとは限られず、例えば斜め方向とすることも可能である。
【0040】
図6Bに示すように、打点順序2番目の打点位置は、打点開始位置と斜め45°方向において隣接する位置としてもよい。
なお、上記図6A、図6Bに示す打点順序2番目の打点位置は、入力部40を介してユーザが任意に切り替え可能であり、かつ、設定可能である。
【0041】
以上のように、第1実施形態によれば、各色のドットの打点開始位置について、隣接画素には同一色のドットが打点され、かつ、互いに異なる位置に各色のドットが打点されるように調整することができる。よって、用紙上に形成された解像度変換後の画像において、階調性を保持しつつ色の濁りを抑えることができる。
【0042】
また、各画素群における画素数を主走査方向及び副走査方向において同一の画素数となるように解像度変換する場合であれば、上述のように各色のドットの打点位置を調整することができる。
【0043】
また、打点順序2番目の打点位置には、重複して打点される色の数を各打点位置で同じくすることができる。つまり、用紙上に画像を形成する際に各色のドットが均一に打点される。よって、干渉の発生を防止することができる。
【0044】
また、打点順序2番目の打点位置を打点開始位置と主走査方向、副走査方向又は斜め方向の何れかにおいて隣接する位置に各色で調整することで、重複して打点される色の数を各色で同じくすることができる。
【0045】
また、入力部40の入力操作によってユーザの任意に、打点順序2番目の打点位置を打点開始位置と主走査方向、副走査方向又は斜め方向の何れかにおいて隣接する位置に各色で調整することができる。
【0046】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態における各色のドットの打点位置の調整について説明する。
なお、第2実施形態では、中間調処理部20aが600×600dpi、5階調の画像D2に変換する誤差拡散処理までは第1実施形態と同様である。
【0047】
解像度変換部20bは、主操作方向又は副走査方向の何れか一方向のみを高解像度に変換する。第2実施形態では、副走査方向のみを高解像度にして、600×2400dpiとした画像D6について説明する。
【0048】
ドット調整部20cは、解像度変換後の画像D6において、各色のドットの打点位置を調整する処理を行う。以下、図7を参照して、ドット位置調整処理について説明する。
【0049】
図7に、各色のドットの打点位置を調整した画像D6を示す。
画像D6は、解像度変換後の各画素群における各画素に、Y、M、C、Kの各色のドットの打点位置を調整して決定した画像である。なお、説明の便宜上、図7の画像D6は画素群ごとに示されているが、画像D6は複数の画素群から構成されるものとする。
【0050】
各色の画像D6の各画素内において示すアルファベット及び数字は、ドットの色及びドットの打点順序を示す。ドットの打点順序は各色ごとに異なり、また、特定色については各画素群の位置ごとで異なる。特定色とは、階調性が重視される色であって、人の目につきやすい色である。具体的には、第2実施形態においてM及びCを特定色としている。
【0051】
特定色のドットの打点位置については、各画素群が互いに副走査方向において隣接する隣接画素のドットの色が同一となるように調整される。
【0052】
また、各色のドットの打点順序は、各色同士で重複しないように調整される。よって、Y、M、C、Kの各色の打点開始位置(打点順序1番目の打点位置)は、それぞれ重複しない。
このようにして調整された各色のドットの打点開始位置は、特定色については各画素群が互いに副走査方向において隣接する隣接画素で同一となり、かつ、各画素群における各画素では各色で互いに異なる。
【0053】
図8に、用紙上に形成された画像D7の概念図を示す。
画像D7は、打点開始位置にのみ、各色のドットが打点された画像D6を実際に用紙上に形成した場合の画像の概念図である。つまり、画像D7は、各色の階調が全て1のときの画像である。
【0054】
図8によれば、特定色のドットの打点開始位置については、各画素群に副走査方向において隣接する隣接画素同士で同一色のドットが打点されるように調整される。具体的には、M及びCのドットの打点開始位置は、副走査方向において隣接する隣接画素同士で同一色のドットが打点されるように調整される。また、特定色を含む各色のドットの打点開始位置は、各画素群において同一の打点開始位置とならないように調整される。
なお、特定色は、入力部40を介してユーザが任意に設定可能である。よって、例えばY又はKを特定色として設定した場合、Y又はKのドットの打点開始位置が副走査方向において隣接する隣接画素同士で同一色のドットとなるように調整される。
【0055】
以上のように、第2実施形態によれば、各画素群における画素数を主走査方向と副走査方向とで異なる画素数となるような解像度変換を行う場合であっても、用紙上に形成された解像度変換後の画像において、階調性を保持しつつ色の濁りを抑えることができる。
なお、第2実施形態では、副走査方向のみ高解像度に変換し、副走査方向において隣接する隣接画素同士で同一色のドットとなるように各色のドットの打点開始位置を調整することとしたが、これを主走査方向に置き換えてもよい。つまり、主走査方向においてのみ、高解像度に変換した場合であっても、同様に、主走査方向において隣接する隣接画素同士で同一色のドットとなるように各色のドットの打点開始位置を調整することとしてもよい。
【0056】
また、特定色をC又はM、K、Yの順とすることで、用紙上に形成された解像度変換後の画像における階調性を保持することができる。
【0057】
また、入力部40の入力操作によって、特定色を任意に設定することができる。よって、画像形成に用いる用紙の種類や色によっては解像度変換後の画像の階調性が保持できなかったり色の濁りを防止できなかったりすることを防ぐことができる。
【0058】
また、中間調処理部20aにより処理された画像の階調が5階調の場合、解像度変換部20bは解像度変換前の各画素を少なくとも4画素から構成される各画素群に変換する。少なくとも4画素から構成される各画素群に変換することで、解像度変換前の中間階調の画像で表現される階調を解像度変換後の画像で表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】MFPの機能ブロック図である。
【図2】画像処理部が行う処理の概念図である。
【図3】各色のドットの打点位置を調整した画像の概念図である。
【図4】各色のドットを打点開始位置に打点した画像の概念図である。
【図5】用紙上に画像形成された画像の概念図である。
【図6A】打点順序2番目の打点位置に各色のドットを打点した画像の概念図である。
【図6B】打点順序2番目の打点位置に各色のドットを打点した画像の概念図である。
【図7】各色のドットの打点位置を調整した画像の概念図である。
【図8】用紙上に画像形成された画像の概念図である。
【符号の説明】
【0060】
100 MFP
10a コントローラ
10b スキャナ部
20 画像処理部
30 画像形成部
40 入力部
50 表示部
60 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色からなる多値画像から中間階調の画像を生成する中間調処理部と、
前記中間階調の画像をより高解像度の画像に変換する解像度変換部と、
前記高解像度の画像の各画素に打点される各色のドットの打点位置を調整するドット調整部と、を備え、
前記解像度変換部は、前記中間階調の画像の階調数に基づいて、前記中間階調の画像の各画素を細分化して所定の画素数からなる各画素群に変換し、
前記ドット調整部は、前記各画素群における前記各色のドットの打点開始位置について、前記各画素群が互いに隣接する隣接画素には同一色のドットが打点され、かつ、当該打点される各色のドットが互いに異なる打点位置となるように調整する画像処理装置。
【請求項2】
前記解像度変換部は、前記中間階調の画像の各画素を主走査方向と副走査方向とで同一の画素数となるように細分化して所定の画素数からなる各画素群に変換する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ドット調整部は、前記各画素群において打点する前記各色のドットの数が前記各色につき2以上ある場合、打点順序2番目以降の各色のドットの打点位置について、重複する各色の数が各打点位置において同一となるように調整する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ドット調整部は、前記打点順序2番目以降の各色のドットの打点位置について、前記打点開始位置と主走査方向、副走査方向又は斜め方向のうち何れかの方向において隣接する位置が打点位置となるように各色で調整し、重複する各色の数が各打点位置において同一となるように調整する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記打点順序2番目以降の各色のドットの打点位置を色ごとに設定するための第1入力部を備え、
前記ドット調整部は、前記第1入力部により設定された打点位置に基づいて、前記打点順序2番目以降の各色のドットの打点位置が前記打点開始位置と主走査方向、副走査方向又は斜め方向のうち何れかの方向において隣接する位置となるように各色で調整する請求項3又は4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記解像度変換部は、前記中間階調の画像の各画素を主走査方向と副走査方向とで異なる画素数となるように細分化して所定の画素数からなる各画素群に変換し、
前記ドット調整部は、前記各画素群における前記各色のドットの打点開始位置について、前記各画素群が互いに隣接する隣接画素には同一色のドットが打点され、かつ、当該打点される各色のドットが互いに異なる位置となるように調整できない場合、前記各画素群が主走査方向又は副走査方向のうち何れか一方において互いに隣接する隣接画素には前記複数色のうち特定色のドットが打点され、かつ、当該打点される特定色のドットの打点開始位置と異なる打点位置に前記特定色以外の各色のドットが打点されるように調整する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記ドット調整部は、前記特定色を前記複数色のうちC又はM、K、Yの順で決定する請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記特定色を設定するための第2入力部を備え、
前記ドット調整部は、前記第2入力部により設定された特定色に基づいて、当該特定色のドットの打点位置を調整する請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記中間調処理部は、前記複数色からなる多値画像から5階調の画像を生成し、
前記解像度変換部は、前記5階調の画像の各画素を細分化して少なくとも4画素からなる各画素群に変換する請求項1〜8の何れか一項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−231943(P2009−231943A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71931(P2008−71931)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】