画像処理装置
【課題】撮影装置からの画像データに付加された識別情報等に誤りが生じ、異なる識別情報の撮影画像が表示されていることを容易に認識し得る画像処理装置を提供する。
【解決手段】収集された撮影画像の画像データを副制御部6がエンコーダ8により他形式の画像情報に変換させ、かつ、この画像情報に識別情報を付加して1次メモリ7に記憶させた後、この1次メモリ7から画像情報を読み出し、その画像情報を前記識別情報に基づいてデコーダにより画像データに再変換させ、この復元された画像データを出力部に送出する。従って、この出力部に例えば、モニタを接続して撮像画像を視認する際、表示画像に変化があれば、前記1次メモリ7への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れて、本来の識別情報と異なった画像が表示されていることを認識することができる。
【解決手段】収集された撮影画像の画像データを副制御部6がエンコーダ8により他形式の画像情報に変換させ、かつ、この画像情報に識別情報を付加して1次メモリ7に記憶させた後、この1次メモリ7から画像情報を読み出し、その画像情報を前記識別情報に基づいてデコーダにより画像データに再変換させ、この復元された画像データを出力部に送出する。従って、この出力部に例えば、モニタを接続して撮像画像を視認する際、表示画像に変化があれば、前記1次メモリ7への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れて、本来の識別情報と異なった画像が表示されていることを認識することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮影装置からの画像データを情報処理してモニタ等に表示させる画像処理装置に係り、特に、画像データに識別情報を付加して伝送する際の誤りにより、画像データと識別情報との対応関係が崩れて異なる識別情報の画像が表示される問題を解消し得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影画像を収集して情報処理した後、モニタやプリンタに出力する画像処理装置の一例として、患者の撮影にX線平面検出器を用いて静止画を収集する医用の静止画撮影装置が普及している。この静止画撮影装置において、静止画の収集のみでなく複数の画像フレームを時系列的に収集する機構を備え、デュアルエネルギー撮影やトモシンセシス撮影等を可能にする装置が提案されている。
【0003】
静止画のみを収集する撮影装置においては、1回の撮影後、次の撮影までの間に画像収集処理、可視化処理、保存処理といった一連の情報処理を3秒〜10秒程度で行う能力があれば良い。これに対し、複数画像を連続して収集する撮影装置においては、多数の画像フレームを処理する必要があるために、より高度な情報処理能力が求められる。そこで、この撮影装置に1次メモリを備え、画像収集処理と可視化処理を行う前に画像フレームをこの1次メモリへ記憶しておくことにより、装置全体として高い情報処理能力を有さなくても、複数画像の連続収集を実現することが可能になる。
【0004】
ところで、これらの静止画撮影装置は、X線平面検出器が装置本体と一体になった据置タイプであるが、近時、可搬タイプも普及してきている。この可搬タイプは、平面検出器が装置本体とは独立した構成となっており、使用時にはケーブルを介して平面検出器を装置本体に接続する必要がある。このケーブルは、取り扱い易さが求められることから、一般に細いケーブルを用いるが、ケーブルが細くなると伝送路も狭くなるので、送信レートが低くなることを想定する必要もある。
【0005】
この送信レートが低くなると、複数画像を一時に連続して収集する場合、送信時間が長くなり、情報処理が非効率となって検査のスループットを上げられないという難点がある。そこで、この可搬タイプの平面検出器においても、前述の1次メモリを備えると、装置本体内に複数フレーム分のX線画像データを記憶しておくことができるので、検査のスループットを上げることが可能になる。なお、この可搬タイプの平面検出器を用いる画像装置においては、患者ID等の識別情報と1次メモリの画像データとの対応処理を装置本体側で行うことになる。
【0006】
ところが、このように1次メモリを採用する場合でも、静止画のみを収集する撮影装置では、1次メモリ上に1フレーム分の画像データしか記憶できない構成となっているので、1フレーム分の画像データを装置本体側へ伝送後にのみ次の撮影が可能になるという、一定の制約がある。この静止画撮影装置では、リアルタイムで情報処理が行われるので、前述の装置と異なり、画像データと付随情報との対応関係を装置本体側で管理する必要は生じない。
【0007】
すなわち、X線撮影後は、1フレーム分の画像データが撮影順に1次メモリへ記憶された後、順次読出されてゆくので、出力部としてモニタ等に画像フレームを伝送する場合には、順番通りに撮影画像が表示される。よって、このような1次メモリへの記憶、読み出し、伝送時に電子機器に特有のバグ等が発生することがあっても、伝送中に画像フレームの順番が狂うことは無いので、撮影順通りに画像が表示される。このため、X線撮影時に患者IDを識別情報として付与していると、この患者IDの番号を指定することにより撮影画像が選択されるので、現在の表示画像が当該患者のものであることを適正に認識することができる。
【0008】
しかし、1次メモリ上に複数フレーム分の画像データを記憶する撮影装置にあっては、画像データと付随情報との対応関係において情報処理上の信頼度が低下するという問題がある。つまり、X線撮影後、多数のフレーム分の画像データを1次メモリに記憶する必要がある場合、各フレームを識別するために、1フレーム毎に識別情報を対応させて記憶しなければならない。
【0009】
このような記憶と読み出し時に記憶手段に前述のバグが発生すると、患者のID番号が崩れることがあり、このID番号と画像フレームとの間にずれが生じる。 すると、画像フレームに本来とは異なるID番号が付随して伝送され、モニタ側に出力される。この結果、ある患者IDの番号を指定したときに、順番の異なる画像フレームが選択されるので、間違った撮影画像が表示される。この際、表示画像自体には変化が無く、画像を視認する利用者は指定したID番号通りの撮影画像が表示されていると認識するので、現在の表示画像が当該患者のもので無いことに全く気付かないという問題がある。
【0010】
また、装置本体にて画像データを管理する場合は、通常、データベースソフトウエアを用いて行われる。この画像データは、データベースソフトウエアにて直接管理するには容量が大きすぎるので、画像データをフレーム毎に電子ファイル化して格納している。そして、前記付随情報とともに各ファイルのファイル名等を付加してデータベースに保持する。 これにより、画像データと付随情報とが個別に管理されることから、前述のように、バグ等に起因する画像表示の問題が生じる。
【0011】
つまり、データベースに付随情報である患者ID番号を書込み、また、読み出す際にバグが発生すると、ID番号が崩れて画像フレームとの対応関係にずれが生じる。すると、画像フレームに本来とは異なるID番号が付随する。これにより、前述の如くある患者IDの番号を指定したときに、順番の異なる画像フレームが選択されるので、本来の撮影画像とは異なる画像がモニタに表示される。このときも、表示画像自体には変化が無いことから、現在の表示画像が異なる患者のものであることに気付かないという問題が残されている。
【0012】
ところで、前記画像処理装置と同じく、多数の撮影画像を収集して記録・再生後、モニタ等に表示する画像記録再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この画像記録再生装置は、所望の透視像を簡単に読み出して表示可能にすることを目的としたもので、主要部として管理データ作成部、インデックス画像作成部およびビデオレコーダ等を備えて構成されている。管理データ作成部は、テレビカメラから記録制御装置を介して連続的に入力する静止画像の各々に連続的にフレーム番号を付与する。また、その管理データに患者ID等の必要事項を登録する。インデックス画像作成部は、記録制御装置からの撮影像を縮小してインデックス画像を生成するようになっている。
【0013】
このように構成された画像記録再生装置は、操作卓にて透視開始指示を入力すると、被検体を透過した静止画像がテレビカメラで次々に撮像される。この透視期間中には、テレビカメラから記録制御装置へ動画像である透視像を構成する静止画像が連続的に出力され、各静止画像がビデオディスクレコーダに連続的に記録される。そして、管理データ作成部が、連続的に入力する静止画像の各々に連続的にフレーム番号を付与する。また、患者ID、透視開始時刻、透視終了時刻、透視開始信号を入力後最初に入力する静止画像に付加したフレーム番号、透視終了信号を入力後、最後に入力する静止画像に付加したフレーム番号等を管理データに登録する。
【0014】
さらに、インデックス画像作成部が、記録制御装置からの撮影像を例えば1/16に縮小し、その縮小画像を1フレーム範囲に順番に配列することで、インデックス画像を生成しメモリに保管する。この後、透視像の再生を開始させると、モニタの画面に縮小されたインデックス画像が表示される。マウスを操作してインデックス画像から所望の透視像を特定すると、再生制御装置が複数のフレームからなる静止画像群をビデオディスクレコーダから読み出し、各静止画像を所定のフレーム間隔で順番に切り替えながらモニタに供給し、動画像である透視像を表示する。これにより、選択した撮影像の直前に収集した透視像等を表示することができるので、従来、非常に手間の掛かっていた所望の透視像の検索を短時間のうちに行うことができる。
【特許文献1】特開平6−139287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記特許文献1の画像記録再生装置は、フレーム番号と患者IDとの対応関係にずれが生じ、間違った画像が表示される問題を回避することができない。すなわち、テレビカメラによる撮影後、各静止画像をビデオディスクレコーダに連続記録するとき、管理データ作成部が患者IDを順次登録し、かつインデックス画像作成部がフレーム番号を付与してメモリに保管するが、ID番号の登録時や読み出し時にバグ等が発生すると、患者のID番号が崩れることがあり、このID番号とフレーム番号との間にずれが生じる。すると、このフレーム番号に関わるインデックス画像に本来とは異なるID番号が付随して伝送され、モニタ側に出力される。
【0016】
この結果、ある患者IDの番号を指定したときに、順番の違うインデックス画像が選択されるので、本来の撮影画像とは異なる縮小画像が表示される。この際、縮小画像自体には変化が無いことから、画像を視認する利用者は指定したID番号通りの撮影画像が表示されていると認識するので、前述の各例と同様、現在の表示画像が当該患者のもので無いことに気付かないという問題が残されている。
【0017】
この発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、撮影装置からの画像データに付加された識別情報等に誤りが生じ、異なる識別情報の撮影画像が表示されていることを容易に認識して誤診断を防止することのできる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、収集された撮影画像の画像データにおける画像フレーム毎に識別情報を付加した後、この識別情報により前記撮影画像を識別する画像処理装置であって、前記画像データおよび識別情報を記憶する記憶手段と、前記識別情報に基づいて前記画像データを他形式の画像情報に変換する変換手段と、前記識別情報に基づいてこの変換手段からの画像情報を再変換して前記画像データを復元する再変換手段と、この再変換手段からの画像データを画像フレームとして出力する出力手段と、前記画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させ、かつ、この画像情報に前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から画像情報を読み出し、その画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により画像データに再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出する、あるいは前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から前記画像データを読み出し、当該画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させた後、この画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出する制御を行う制御手段と、を備えてなることを特徴としている。
【0019】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、前記制御手段が、前記画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させ、かつ、この画像情報に前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から画像情報を読み出し、その画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により画像データに再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出するので、この出力手段に例えば、モニタを接続して撮像画像を視認する際、表示画像に何ら変化が無ければ、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れずに、本来の識別情報に応じた画像が表示されていることを確認することができる。
一方、表示画像に変化があれば、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れて、本来の識別情報と異なった画像が表示されていることを認識することができる。
【0020】
また、請求項1に記載の発明の場合、前記制御手段が、前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から前記画像データを読み出し、当該画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させた後、この画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出するので、前記モニタの表示画像に何ら変化が無ければ、前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶し、また読み出して伝送する際にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレームと識別情報との対応関係が保たれているので画像に変化が生じず、本来の識別情報に応じた画像表示がなされていることを確認することができる。
一方、表示画像に変化があれば、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れたことで画像に変化が生じ、間違った識別情報による画像表示がなされていることを認識することができる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記制御手段が、前記変換手段および再変換手段を制御し、前記識別情報を基準にして前記画像フレームのエリアを複数に分割し、分割された各々のエリアの並び順を入れ替えることで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記並び順を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させるものである。
【0022】
[作用・効果]請求項2に記載の発明によれば、前記制御手段が、前記識別情報を基準にして前記画像フレームのエリアを複数に分割し、分割された各々のエリアの並び順を入れ替えることで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記並び順を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させるので、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、前記分割された各々のエリアが原形を保たなくなり、モニタの表示画像に変化が生じるので、間違った識別情報による表示画像であることを認識することができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記画像フレームのエリア分割が、第1エリアと第2エリアとの2分割である。
【0024】
[作用・効果]請求項3に記載の発明によれば、前記画像フレームのエリア分割が、第1エリアと第2エリアとの2分割であるから、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、前記画像フレームの第1エリアと第2エリアとが原形を保たなくなり、モニタの表示画像に変化が生じるので、間違った識別情報による表示画像であることを認識することができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記制御手段が、前記変換手段および再変換手段を制御し、前記識別情報を数値に変換するとともに、この識別情報を基準にして前記画像データの各画素値を数値に変換することで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記数値を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させるものである。
【0026】
[作用・効果]請求項4に記載の発明によれば、前記制御手段が、前記識別情報を数値に変換するとともに、この識別情報を基準にして前記画像データの各画素値を数値に変換することで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記数値を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させるので、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、前記画像データの各画素値が異なる値となり、モニタの表示画像に変化が生じるので、間違った識別情報による表示画像であることを認識することができる。
【0027】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記記憶手段、前記変換手段および前記再変換手段が伝送路を介して接続されてなる。
【0028】
[作用・効果]請求項5に記載の発明によれば、前記記憶手段、前記変換手段および前記再変換手段が伝送路を介して接続されているので、この伝送路により多数の画像フレームが伝送されるときに誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、モニタ等の表示画像に変化が生じることから、間違った識別情報による画像表示となっていることを認識することができる。
【0029】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理装置において、前記記憶手段が、前記変換手段および再変換手段とは独立して設けられてなる。
【0030】
[作用・効果]請求項6に記載の発明によれば、前記記憶手段が、前記変換手段および再変換手段と独立して設けられているので、前記記憶手段への画像フレーム記憶時や読み出し時、また伝送路を介しての伝送時に誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、モニタの表示画像に変化が生じることから、間違った識別情報による画像表示となっていることを認識することができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明に係る画像処理装置によれば、出力手段に例えば、モニタを接続して撮像画像を視認する際、表示画像に何ら変化が無ければ、記憶手段への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れずに、本来の識別情報に応じた画像が表示されていることを確認することができる。一方、表示画像に変化があれば、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れて、本来の識別情報と異なった画像が表示されていることを認識することができる。よって、従来のように、誤りの発生により識別情報にずれが生じて画像フレームとの対応関係が崩れ、間違った識別情報に基づいて撮像画像が表示されても、この表示画像が他の識別情報による異なった撮像画像であること自体に気付かない、といった問題を回避することができる。
【0032】
また、請求項1に記載の発明の場合、前記モニタの表示画像に何ら変化が無ければ、前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶し、また読み出して伝送する際にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレームと識別情報との対応関係が保たれているので画像に変化が無く、本来の識別情報に応じた画像表示がなされていることを確認することができる。一方、表示画像に変化があれば、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れたことで画像に変化が生じ、間違った識別情報による画像表示がなされていることを認識することができる。よって、被検体を撮影してモニタにより視認する場合、表示画像の変化の有無で適正な判断が可能となり、誤診断を防止することが可能になる。
【実施例1】
【0033】
以下、この発明に係る画像処理装置の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施例に係る画像処理装置の概略構成を示す模式図であり、図2は、検出器制御PCの電気的構成を示すブロック図であり、図3は、コンソール制御PCの電気的構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施例では、画像処理装置としてディジタルX線撮影装置を例に採って説明する。
このディジタルX線撮影装置は、平面検出器1とコンソール2とからなり、平面検出器1、検出器制御PC(パーソナルコンピュータ)3およびコンソール制御PC11をケーブル4,5により接続して、医用検査装置を構成するようになっている。
【0035】
ディジタルX線撮影装置は、図示省略しているが、被検体にX線を照射するX線管と、X線の照射を制御するX線照射制御部と、X線検出信号からX線透視画像あるいはX線撮影画像を生成する信号処理部とを備えている。また、平面検出器1は、可搬型のフラットパネル型X線検出器(以下、「FPD」と略記する)を採用しており、前記X線管から照射されて被検体を透過したX線を検出するようになっている。
このディジタルX線撮影装置は、後述の検出器制御PC3からの指令に従い、X線照射制御部がX線管を制御し、被検体にX線を照射させると、FPD1が被検体の透過X線を検出して、ディジタル形式のX線検出信号を信号処理部に送出する。この信号処理部は、X線検出信号を受けてX線透視画像あるいはX線撮影画像のデータに変換処理し、検出器制御PC3側に送出する構成になっている。
【0036】
この検出器制御PC3は、図1に示す如く副制御部6、1次メモリ7、ネットワークインターフェース(以下、I/Fと略称する。)3b等を備えており、データバス3aにより相互に接続されている。なお、I/F3bには、イーサーネットLAN5を介してコンソール制御PC11が接続されている。イーサーネットLAN5は、この発明における伝送路に相当する。
【0037】
副制御部6は、図2に示すように、中央演算処理装置であるCPU6aと、メモリ部としてROM(Read-only Memory)6bやRAM(Random-Access Memory)6cに代表される記憶媒体等により構成されている。副制御部6は、この発明における制御手段に相当する。この副制御部6には、1次メモリ7およびエンコーダ8が双方向性に接続されている。
【0038】
1次メモリ7は、前記FPD1からの画像データを記憶するエリアと、被検体を識別するための患者ID番号等を記憶するエリアとを備えている。1次メモリ7は、この発明における記憶手段に相当する。この1次メモリ7は、ID番号と画像データとを対応させて記憶するが、複数画像フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有している。
【0039】
エンコーダ8は、画像フレームに該当する分の画像データおよびID番号をディジタルのデータにエンコードして出力する。このエンコードには、画像フレームのエリアを2分割して前後を入れ替える変換処理および画像フレームの画素を変換する処理を含んでいる。エンコーダ8および後述のエンコーダ15は、この発明における変換手段に相当する。
【0040】
副制御部6は、コンソール制御PC11からの指令に応じてFPD1の動作を制御し、順次入力するX線透視画像やX線撮影画像の画像データと、この画像データにおける画像フレームを識別するためのID番号とを対応させて1次メモリ7に記憶させる。また、指令に応じて1次メモリ7から前記画像データおよびID番号を読み出し、エンコーダ8に送出してエンコードさせた後、I/F3bを介してコンソール制御PC11側に送出する、といった動作制御を行う。
【0041】
コンソール2は、本体(図示省略)にキーボード、スイッチおよびマウス等からなる入力操作部9と、X線撮影画像や入力操作部9の入力内容等を表示するモニタ10と、装置全体を制御するコンソール制御PC11等を設けている。
このコンソール制御PC11は、図1に示す如く主制御部12、記憶部13、出力部16およびI/F11b等を備えており、データバス11aにより相互に接続されている。
【0042】
主制御部12は、図3に示すように、CPU12a,ROM12b,RAM12cにより構成されている。主制御部12は、この発明における制御手段に相当する。なお、ROM12bには、デコーダ14やエンコーダ15を制御して画像変換および画像再変換させるプログラムが予め設定されている。このプログラムとしては、画像位置変換および画素変換の2モードが含まれる。また、RAM12cには、入力操作部9からの入力情報が一時記憶される。
【0043】
この主制御部12には、記憶部13、デコーダ14、エンコーダ15、入力操作部9および出力部16が、その機能に応じて一方向性または双方向性に接続されている。記憶部13は、ハードディスクや不揮発性メモリ等により構成され、そのデータベースを管理するデータベースソフトウエアを備えている。
このデータベースソフトウエアは、主制御部12の制御に従って、データベースに前記検出器制御PC3から送出されてくる画像データを記憶し、それぞれの画像を画像ファイル化する。この画像ファイルには、入力操作部9で入力される付随情報が記憶される。この付随情報は、被検体である患者を特定するためのID番号、氏名、生年月日、性別等を含むが、ID番号を識別情報としてヘッダー部に記憶する。
【0044】
また、この画像ファイルを管理するデータベースに、レコードを新規作成し、画像ファイル名と患者ID番号とを記録する。さらに、データベースには、画像に付帯する各種情報を登録する。これにより、入力操作部9から画像の選択指令があると、主制御部12が指令に応じてデータベース上のレコードを特定し、画像ファイル名およびID番号を取得する。そして、その画像ファイルをオープンすることにより、モニタ10に表示可能となっている。
【0045】
デコーダ14は、主制御部12の制御により、検出器制御PC3でエンコードされたディジタルデータをデコードし、エンコーダ15や出力部16に送出する。このデコードには、前記エンコーダ8で処理された画像フレームの位置変換や画素変換等を再変換して復元する処理を含んでいる。デコーダ14は、この発明における再変換手段に相当する。
【0046】
出力部16には、モニタ10が接続されており、デコーダ14からの画像フレームを受けて、画面にX線撮影画像等を表示させる。また、入力操作部9により入力された操作内容をも表示する。出力部16は、この発明における出力手段に相当する。なお、この出力部16にプリンタを接続して、前記撮影画像を印刷するようにしてもよい。エンコーダ15は、前述のエンコーダ8と基本的構成が同一であり、主制御部12の制御によって、デコーダ14からの画像データ等をエンコードして出力する。
【0047】
このように構成された主制御部12は、入力操作部9の操作指令に従い、FPD1によるX線撮影に関した動作制御を実行する。この動作制御においては、予め設定されたプログラムにより画像位置変換モードまたは画素変換モードを選択的に実行可能となっている。
【0048】
次に、上記ディジタルX線撮影装置の動作について、図面を参照しつつ説明する。但し、このX線撮影においては、画像位置変換モードの動作から説明する。この画像位置変換モードは、エンコード時にID番号に基づいて、画像フレームの画像エリアを位置変換するプログラムである。
【0049】
まず、このX線撮影に際しては、操作者がコンソール2の入力操作部9により患者のID番号を含む付随情報を登録する。なお、このID番号は、数字の並び順に従うが、任意に設定した番号でもよい。この付随情報を入力すると、コンソール制御PC11の主制御部12が、入力内容をRAM12cおよび記憶部13に記憶させる。そして、識別情報であるID番号は、検出器制御PC3側にも送出する。この検出器制御PC3の副制御部6は、ID番号を受けると、1次メモリ7の所定エリアに格納する。これにより、共通のID番号が、コンソール制御PC11および検出器制御PC3のそれぞれに保持される。
【0050】
つぎに、前記FPD1により被検体のX線撮影を行う。このX線撮影においては、被検体を所定位置に配置した後、X線撮影に合わせて撮影位置をセットする。そして、操作者が入力操作部9の操作により撮影開始を指令する。この指令がコンソール制御PC11に与えられると、主制御部12が検出器制御PC3の副制御部6に撮影開始の制御信号を送出する。これに応じて、副制御部6がFPD1に画像要求指令を発する。すると、X線管から被検体にX線が照射された後にFPD1からX線検出信号が出力される。これにより、FPD1が被検体を透過したX線を検出し、ディジタルX線撮影が行われる。そして、このディジタルX線撮影による画像データが、検出器制御PC3側に送出される。
【0051】
この検出器制御PC3の副制御部6は、画像データを受けると、1次メモリ7に記憶されたID番号と対応させ、1枚の画像フレームとして所定エリアに記憶する。このように、X線撮影が行われる毎に、画像フレームには被検体である患者固有のID番号が付与され、付随情報として格納される。これにより、1次メモリ7には、複数フレーム分の画像データが順次蓄積される。
【0052】
続いて、操作者がコンソール2の入力操作部9により、患者ID番号に続き画像要求を入力すると、この指令がコンソール制御PC11の主制御部12に与えられる。この主制御部12は、指令を受けて画像位置変換モードに移行し、検出器制御PC3に画像位置変換の指令信号を送出する。副制御部6が、この指令を受けると、エンコーダ8に対し画像データの変換処理を行わせる。
【0053】
副制御部6は、1次メモリ7から1フレームに相当する画像データとID番号とを読み出し、エンコーダ8側に送出する。このエンコーダ8は、指定のID番号に基づいて画像フレーム17の分割位置を認識し、この画像フレーム17のエリアを前部側18(図4に示すA)と後部側19(図4に示すB)とに2分割したうえ、その前後を入れ替えるエンコードを行う。
【0054】
例えば、図4に示すように、画像フレーム17のエリアの始端から終端までの行数が2000有り、患者ID番号が“600”の場合、この600を基準にして前部側18と後部側19とに2分割する。そして、画像フレーム17の前部側18と後部側19とが逆転するように、データの変換処理を行う。すると、図5に示すように、画像フレーム17の始端が601行目となり、2000行目を境にして終端が600行目となる。
【0055】
この後、副制御部6は、エンコードされたデータをI/F3bへ転送し、イーサーネットLAN5を介してコンソール制御PC11側に供給する。主制御部12は、これを受けてデコーダ14に伝送し、前記画像フレーム17のエンコードデータをデコード処理させる。このデコーダ14は、送信されてきたID番号を基準にして、エンコードデータを元の画像フレーム17の配列に戻す処理を行う。
【0056】
すなわち、デコーダ14は、ID番号“600”を基準にしてデコードするので、図6に示すように、元の画像フレーム(図4参照)と同一の形状に戻される。続いて、主制御部12は、このようにデコードされた画像データを出力部16に送出する。この出力部16は、画像データをモニタ10に伝送するので、その画面にはX線撮影画像が表示される。
ここで、1次メモリ7から画像データとID番号とを読み出すときや、エンコーダ8でエンコードしたときに、所謂バグ等が発生していなければ、途中にID番号のずれが発生しないので、撮影画像がそのまま表示される。この結果、X線撮影からモニタ10への表示までの過程でID番号等に誤りが生じず、撮影したときの患者ID番号に対応した画像が表示されていることを確認することができる。
【0057】
ところが、画像データとID番号とを1次メモリ7に記憶させたり、読み出すとき、またエンコードの際にバグ等が発生した場合には変形画像が表示される。例えば、前記ID番号“600”がバグによって“500”になった場合、エンコーダ8で1フレーム分の画像データをエンコードするとき、図7の鎖線に示すように、500行目が基準位置となる。すると、本来の基準位置600行目から前部側18に100行目だけ寄った位置で2分割される。
【0058】
そして、画像フレーム17のエリアの前部側18と後部側19とを逆転させると、図8に示すように、画像フレーム17の始端が601行目となり、2000行目を境にして、後部側19の101行目が続き、その終端が600行目となる。続いて、副制御部6は、このようにエンコードされたデータをI/F3bへ転送し、コンソール制御PC11側に与える。
【0059】
主制御部12は、これを受けてデコーダ14にデコードさせる。このデコーダ14は、送信されてきたID番号、つまりバグにより変化したID番号500に基づいてエンコードデータをデコードする。すると、図9に示すように、画像フレーム17の始端が前部側18の一部18aである101行目となり、その500行目に後部側19の601行目が続き、この後部側19の2000行目に前部側18の残部18bが連続する。これにより、前部側18のエリアが18aと18bとに2分されて、後部側19の前後に貼付された形状となる。
【0060】
主制御部12が、このようにデコードされた画像データを出力部16に送出すると、モニタ10の画面には、図9に示したような画像が表示される。この画像は、不自然であることが明らかなので、バグの発生等によりID番号に誤りが生じ、撮影画像と患者IDとの間にずれがあることを容易に気付くことがことができる。
なお、この実施例では、画像位置変換モードにより1フレーム分の画像データを行で2分割する場合について説明したが、列で2分割する構成としてもよい。また、2分割に限らず、3分割以上の複数分割としてもよい。3分割以上の複数分割とする場合には、例えばID番号に基づいて第1エリアと第2エリアとに分割するとともに、ID番号に所定の数を加算したアドレスに基づいて第2エリアと第3エリアとに分割してもよい。何れの場合も、ID番号に基づいてエンコードした後、デコードする情報処理を行う。
【0061】
以上のように、上記ディジタルX線撮影装置によれば、モニタ10の表示画像に変化が無いと、1次メモリ7への画像フレーム17の記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れずに、本来の患者IDに応じた画像が表示されていることを確認することができる。一方、表示画像に変化があったときは、1次メモリ7への画像フレーム17の記憶時や読み出し時に誤りが発生し、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れて、本来の患者IDと異なった画像が表示されていることを認識することができる。
【0062】
この結果、従来のように、誤りの発生により患者IDにずれが生じて画像フレーム17との対応関係が崩れ、異なる患者IDに基づいて撮像画像が表示されても、この表示画像が他の患者IDによる間違った撮像画像であること自体に気付かない、といった問題を回避することができる。よって、被検体を撮影してモニタ10により視認する場合、表示画像の変化の有無で適正な判断が可能となり、誤診断を防止することが可能になる。
【実施例2】
【0063】
次に、画素変換モードによるディジタルX線撮影装置の動作について説明する。
この画素変換モードは、エンコード時にID番号に基づいて、画像フレームの画素を変換するプログラムである。なお、FPD1による被検体のX線撮影からエンコーダ8までの動作は、前述の画像位置変換モードと同じである。ここでは、コンソール2の入力操作部9から表示指令を受けたとき、主制御部12が副制御部6を制御し、画像フレームの全画素をID番号に基づいて変換させた後、再変換させる。
【0064】
すなわち、画像フレームの各画素は、明るさの度合いに応じた数値で表され、数値が大きいほど明るく、小さくなるに従って暗くなることを示す。よって、各画素について共通の数値でエンコードした後、同じ数値でデコードすることにより、X線撮影からモニタ10への表示までの過程でID番号等に誤りが生じたか否かをチェックすることが可能である。
【0065】
前記エンコーダ8が、1フレーム分の画像データを受けたとき、全画素について10進数の画素値を2進数に変換させるとともに、ID番号も2進数に変換したうえ、副制御部6が共通の8bit単位で排他的論理和“Xor”(exclusive Or operation)の論理演算を行う。この演算では、入力が“1”と “0”または“0”と“1”ならば出力は“1”となり、それ以外ならば出力は“0”となる。
【0066】
図10は、画素変換演算の一例を示すものである。
例えば、画素番号1の画素値が“234”の場合、2進表記では“11101010”の8bitとなる。また、患者ID番号が例えば、“5”であると、2進表記では“101”となるので、8bitに満たない。このような条件の場合は、副制御部6が不足分の5bit“00000”を桁上げし、“10100000”にして8bitに揃える。そして、画素値234の2進表記を一方の入力、ID番号5の2進表記を他方の入力として、“Xor”による論理演算を行う。この演算結果は、“01001010”となり、10進数では“74”となる。
【0067】
以下、画素番号2以後も同様に演算してゆき、全画素が終了した時点で副制御部6は、このエンコード後のデータをI/F3bへ転送し、コンソール制御PC11に供給する。 主制御部12は、これを受けてデコーダ14に伝送し、デコード処理させる。このデコーダ14は、2進表記のデータを送信されてきたID番号に基づいてデコードする。また、前述の“Xor”による論理演算を実行する。
【0068】
このときは、図11に示すように、演算結果の“01001010”を一方の入力、ID番号の“10100000”を他方の入力として、“Xor”演算処理する。そして、この演算結果を10進数に変換する。ここで、“11101010”が得られると、10進表記では“234”となり、画素番号1の画素値“234”と等しくなる。このようなデコードは、画像データの全てについてなされ、その結果が出力部16に送出される。この際、画素値が元の値と等しいときは、モニタ10の画面に正常な濃淡でX線画像が表示される。よって、バグ等による問題が発生していないことを容易に確認することができる。
【0069】
ところが、画像データとID番号とを1次メモリ7から読み出すときや、エンコードしたときにバグが発生した場合には変形画像が表示される。すなわち、前記エンコーダ8が、1フレーム分の画像データを受けたとき、ID番号に変化がなければ、エンコードによる各変換値は、図12に示すように、図10に示した結果と同一になる。
【0070】
しかし、このエンコード時にバグによって、前記ID番号“5”が例えば、“4”に変わることがある。すると、デコーダ14は、図13に示すように、演算結果74の“01001010”を一方の入力、ID番号4の“10000000”を他方の入力として、“Xor”により演算処理する。なお、この“10000000” は、“4”が10進数では“100”となるので、前述の如く不足分の5bit“00000”を桁上げし8bitに揃えたものである。
【0071】
この演算結果は、 “11001010”となり、 10進数では“202”となるので、図11に示した結果の“234”とは異なっている。以下、画素番号2以後の各画素値も同じく変化し、図11に示した演算結果とは大きく異なってくる。すると、モニタ10の画面にX線画像が表示されたとき、明るさの度合いが変化することから、濃淡が不自然な画像となる。
【0072】
以上のように、モニタ10の表示画像に変化が無ければ、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れずに、本来の患者IDに応じた画像が表示されていることを確認することができる一方、表示画像に変化があったときは、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れて、本来の患者IDと異なった画像が表示されていることを認識することができる。これにより、誤った患者IDに基づいて撮像画像が表示されても、この表示画像が他の患者IDによる異なった撮像画像であること自体に気付かない、といった問題を回避することができる。よって、被検体を撮影してモニタにより視認する場合、表示画像の変化の有無で適正な判断が可能となり、誤診断を防止することが可能になる。
【0073】
なお、この実施例2では、10進数の画素値を2進数に変換させるとともに、ID番号を2進数に変換したうえ、排他的論理和“Xor”による論理演算を行ったが、2進数以外のn進数によっても前述の演算処理が可能であり、その演算結果に伴う表示画像の変化の有無で適正な判断を行うことができる。
また、この排他的論理和“Xor”は、演算処理を2回繰り返すことで元の値に復元されるので、エンコードおよびデコードの場合に有用であるが、この“Xor”に限定されることはなく、“OR”や“AND”の論理式によってエンコード、デコードの演算処理を行うようにしてもよい。
【0074】
さらに、2進数により“Xor”の論理演算を行う例について説明したが、画素値を直接表す10進数のみで加減乗除の何れかの演算を行い(エンコード)、その後に逆の演算を行うことにより(デコード)、得られる結果から表示画像に変化が生じる構成としてもよい。 例えば、変換時に加算した場合は、再変換時に減算処理し、また、変換時に乗算した場合は、再変換時に除算処理すると、前述のように、演算結果に応じて表示画像が変化するので、誤りの有無を適正に判断することができる。
【0075】
ところで、上記ディジタルX線撮影装置は、可搬型のFPD1をケーブル4により検出器制御PC3と接続したが、取り扱い易さの点等から据置用に比して細いケーブル4が使用される。しかし、ケーブルが細くなると伝送路も狭くなるので、送信レートが低くなって、複数の画像フレーム17を収集する場合に送信時間が長くなる不具合があったが、前記各実施例では1次メモリ7を備えているので、多数の画像フレーム17を一時記憶しておくことができ、検査のスループットを上げることが可能になる。
【0076】
この際、1次メモリ7への画像フレーム17の記憶時や読み出し時、またケーブル4を介しての伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れても、モニタ10の表示画像に変化が生じることから、間違った患者IDによる画像表示となっていることを容易に認識することができる。また、前述の1次メモリ7は、検出器制御PC3側に設けたが、コンソール制御PC11に備えてもよいし、これらと独立させてケーブルにより接続する構成としてもよい。
【0077】
この場合は、図1に示したコンソール制御PC11の主制御部12が、前記画像フレーム17に患者IDを付加して1次メモリ7に記憶させる。そして、この1次メモリ7から画像フレーム17を読み出し、図3に示すエンコーダ15によりエンコードさせる。この後、エンコードデータをデコーダ14によりデコードさせてから出力部16に送出させる。 これにより、画像フレーム17が検出器制御PC3側でなく、コンソール制御PC11にて情報処理され、モニタ10の画面に画像が表示される。よって、この表示画像に変化が有るか否かにより、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れたか否かを判別することができ、表示画像に変化が生じていれば、間違った患者IDによる画像表示となっていることを容易に認識することができる。
【0078】
なお、前記実施例では、1次メモリ7を検出器制御PC3側に設け、副制御部6によって画像フレーム17および患者IDを記憶したり、また読み出す動作について説明したが、図1に示したコンソール制御PC11側に接続し、その主制御部12により動作制御する構成としてもよい。これにより、1次メモリ7は、画像フレーム17や患者IDをデコードしたり、またエンコードするデコーダ14およびエンコーダ15と独立させることができる。
【0079】
よって、この1次メモリ7への前記情報記憶時や読み出し時、また伝送路を介しての伝送時にバグに起因した誤りが発生し、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れた場合には、モニタ10の表示画像に変化が生じることから、間違った識別情報による画像表示となっていることを容易に認識することができる。
【0080】
また、前記各実施例では、画像変換や画像再変換に関する2種のプログラムを予め設定したが、コンソール2のモニタ10に「画像位置変換」および「画素変換」の2種を表示させ、操作者が何れかを選択したときに、各動作を開始させる構成としてもよい。
【0081】
また、本発装置明は上記の各実施形態に限定されず、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施例に係る画像処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】検出器制御PCの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】コンソール制御PCの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】画像フレームのエリアを前後に分割する位置を表す模式図である。
【図5】画像フレームのエリアを位置変換した状態を表す模式図である。
【図6】画像フレームのエリアを位置変換後に復元した状態を表す模式図である。
【図7】画像フレームのエリアを前後に分割する位置がずれた状態を表す模式図である。
【図8】画像フレームのエリアをずれた位置で変換した状態を表す模式図である。
【図9】画像フレームのエリアを位置変換後に復元した状態を表す模式図である。
【図10】画像フレームの画素を基準の識別情報により変換した演算結果の図表である。
【図11】画像フレームの画素を基準の識別情報により再変換した演算結果の図表である。
【図12】画像フレームの画素を誤った識別情報により変換した演算結果の図表である。
【図13】画像フレームの画素を基準の識別情報により再変換した演算結果の図表である。
【符号の説明】
【0083】
6 … 副制御部(制御手段)
7 … 1次メモリ(記憶手段)
8 … エンコーダ(変換手段)
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮影装置からの画像データを情報処理してモニタ等に表示させる画像処理装置に係り、特に、画像データに識別情報を付加して伝送する際の誤りにより、画像データと識別情報との対応関係が崩れて異なる識別情報の画像が表示される問題を解消し得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影画像を収集して情報処理した後、モニタやプリンタに出力する画像処理装置の一例として、患者の撮影にX線平面検出器を用いて静止画を収集する医用の静止画撮影装置が普及している。この静止画撮影装置において、静止画の収集のみでなく複数の画像フレームを時系列的に収集する機構を備え、デュアルエネルギー撮影やトモシンセシス撮影等を可能にする装置が提案されている。
【0003】
静止画のみを収集する撮影装置においては、1回の撮影後、次の撮影までの間に画像収集処理、可視化処理、保存処理といった一連の情報処理を3秒〜10秒程度で行う能力があれば良い。これに対し、複数画像を連続して収集する撮影装置においては、多数の画像フレームを処理する必要があるために、より高度な情報処理能力が求められる。そこで、この撮影装置に1次メモリを備え、画像収集処理と可視化処理を行う前に画像フレームをこの1次メモリへ記憶しておくことにより、装置全体として高い情報処理能力を有さなくても、複数画像の連続収集を実現することが可能になる。
【0004】
ところで、これらの静止画撮影装置は、X線平面検出器が装置本体と一体になった据置タイプであるが、近時、可搬タイプも普及してきている。この可搬タイプは、平面検出器が装置本体とは独立した構成となっており、使用時にはケーブルを介して平面検出器を装置本体に接続する必要がある。このケーブルは、取り扱い易さが求められることから、一般に細いケーブルを用いるが、ケーブルが細くなると伝送路も狭くなるので、送信レートが低くなることを想定する必要もある。
【0005】
この送信レートが低くなると、複数画像を一時に連続して収集する場合、送信時間が長くなり、情報処理が非効率となって検査のスループットを上げられないという難点がある。そこで、この可搬タイプの平面検出器においても、前述の1次メモリを備えると、装置本体内に複数フレーム分のX線画像データを記憶しておくことができるので、検査のスループットを上げることが可能になる。なお、この可搬タイプの平面検出器を用いる画像装置においては、患者ID等の識別情報と1次メモリの画像データとの対応処理を装置本体側で行うことになる。
【0006】
ところが、このように1次メモリを採用する場合でも、静止画のみを収集する撮影装置では、1次メモリ上に1フレーム分の画像データしか記憶できない構成となっているので、1フレーム分の画像データを装置本体側へ伝送後にのみ次の撮影が可能になるという、一定の制約がある。この静止画撮影装置では、リアルタイムで情報処理が行われるので、前述の装置と異なり、画像データと付随情報との対応関係を装置本体側で管理する必要は生じない。
【0007】
すなわち、X線撮影後は、1フレーム分の画像データが撮影順に1次メモリへ記憶された後、順次読出されてゆくので、出力部としてモニタ等に画像フレームを伝送する場合には、順番通りに撮影画像が表示される。よって、このような1次メモリへの記憶、読み出し、伝送時に電子機器に特有のバグ等が発生することがあっても、伝送中に画像フレームの順番が狂うことは無いので、撮影順通りに画像が表示される。このため、X線撮影時に患者IDを識別情報として付与していると、この患者IDの番号を指定することにより撮影画像が選択されるので、現在の表示画像が当該患者のものであることを適正に認識することができる。
【0008】
しかし、1次メモリ上に複数フレーム分の画像データを記憶する撮影装置にあっては、画像データと付随情報との対応関係において情報処理上の信頼度が低下するという問題がある。つまり、X線撮影後、多数のフレーム分の画像データを1次メモリに記憶する必要がある場合、各フレームを識別するために、1フレーム毎に識別情報を対応させて記憶しなければならない。
【0009】
このような記憶と読み出し時に記憶手段に前述のバグが発生すると、患者のID番号が崩れることがあり、このID番号と画像フレームとの間にずれが生じる。 すると、画像フレームに本来とは異なるID番号が付随して伝送され、モニタ側に出力される。この結果、ある患者IDの番号を指定したときに、順番の異なる画像フレームが選択されるので、間違った撮影画像が表示される。この際、表示画像自体には変化が無く、画像を視認する利用者は指定したID番号通りの撮影画像が表示されていると認識するので、現在の表示画像が当該患者のもので無いことに全く気付かないという問題がある。
【0010】
また、装置本体にて画像データを管理する場合は、通常、データベースソフトウエアを用いて行われる。この画像データは、データベースソフトウエアにて直接管理するには容量が大きすぎるので、画像データをフレーム毎に電子ファイル化して格納している。そして、前記付随情報とともに各ファイルのファイル名等を付加してデータベースに保持する。 これにより、画像データと付随情報とが個別に管理されることから、前述のように、バグ等に起因する画像表示の問題が生じる。
【0011】
つまり、データベースに付随情報である患者ID番号を書込み、また、読み出す際にバグが発生すると、ID番号が崩れて画像フレームとの対応関係にずれが生じる。すると、画像フレームに本来とは異なるID番号が付随する。これにより、前述の如くある患者IDの番号を指定したときに、順番の異なる画像フレームが選択されるので、本来の撮影画像とは異なる画像がモニタに表示される。このときも、表示画像自体には変化が無いことから、現在の表示画像が異なる患者のものであることに気付かないという問題が残されている。
【0012】
ところで、前記画像処理装置と同じく、多数の撮影画像を収集して記録・再生後、モニタ等に表示する画像記録再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この画像記録再生装置は、所望の透視像を簡単に読み出して表示可能にすることを目的としたもので、主要部として管理データ作成部、インデックス画像作成部およびビデオレコーダ等を備えて構成されている。管理データ作成部は、テレビカメラから記録制御装置を介して連続的に入力する静止画像の各々に連続的にフレーム番号を付与する。また、その管理データに患者ID等の必要事項を登録する。インデックス画像作成部は、記録制御装置からの撮影像を縮小してインデックス画像を生成するようになっている。
【0013】
このように構成された画像記録再生装置は、操作卓にて透視開始指示を入力すると、被検体を透過した静止画像がテレビカメラで次々に撮像される。この透視期間中には、テレビカメラから記録制御装置へ動画像である透視像を構成する静止画像が連続的に出力され、各静止画像がビデオディスクレコーダに連続的に記録される。そして、管理データ作成部が、連続的に入力する静止画像の各々に連続的にフレーム番号を付与する。また、患者ID、透視開始時刻、透視終了時刻、透視開始信号を入力後最初に入力する静止画像に付加したフレーム番号、透視終了信号を入力後、最後に入力する静止画像に付加したフレーム番号等を管理データに登録する。
【0014】
さらに、インデックス画像作成部が、記録制御装置からの撮影像を例えば1/16に縮小し、その縮小画像を1フレーム範囲に順番に配列することで、インデックス画像を生成しメモリに保管する。この後、透視像の再生を開始させると、モニタの画面に縮小されたインデックス画像が表示される。マウスを操作してインデックス画像から所望の透視像を特定すると、再生制御装置が複数のフレームからなる静止画像群をビデオディスクレコーダから読み出し、各静止画像を所定のフレーム間隔で順番に切り替えながらモニタに供給し、動画像である透視像を表示する。これにより、選択した撮影像の直前に収集した透視像等を表示することができるので、従来、非常に手間の掛かっていた所望の透視像の検索を短時間のうちに行うことができる。
【特許文献1】特開平6−139287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、前記特許文献1の画像記録再生装置は、フレーム番号と患者IDとの対応関係にずれが生じ、間違った画像が表示される問題を回避することができない。すなわち、テレビカメラによる撮影後、各静止画像をビデオディスクレコーダに連続記録するとき、管理データ作成部が患者IDを順次登録し、かつインデックス画像作成部がフレーム番号を付与してメモリに保管するが、ID番号の登録時や読み出し時にバグ等が発生すると、患者のID番号が崩れることがあり、このID番号とフレーム番号との間にずれが生じる。すると、このフレーム番号に関わるインデックス画像に本来とは異なるID番号が付随して伝送され、モニタ側に出力される。
【0016】
この結果、ある患者IDの番号を指定したときに、順番の違うインデックス画像が選択されるので、本来の撮影画像とは異なる縮小画像が表示される。この際、縮小画像自体には変化が無いことから、画像を視認する利用者は指定したID番号通りの撮影画像が表示されていると認識するので、前述の各例と同様、現在の表示画像が当該患者のもので無いことに気付かないという問題が残されている。
【0017】
この発明は、上記のような事情に鑑みてなされたもので、撮影装置からの画像データに付加された識別情報等に誤りが生じ、異なる識別情報の撮影画像が表示されていることを容易に認識して誤診断を防止することのできる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、収集された撮影画像の画像データにおける画像フレーム毎に識別情報を付加した後、この識別情報により前記撮影画像を識別する画像処理装置であって、前記画像データおよび識別情報を記憶する記憶手段と、前記識別情報に基づいて前記画像データを他形式の画像情報に変換する変換手段と、前記識別情報に基づいてこの変換手段からの画像情報を再変換して前記画像データを復元する再変換手段と、この再変換手段からの画像データを画像フレームとして出力する出力手段と、前記画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させ、かつ、この画像情報に前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から画像情報を読み出し、その画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により画像データに再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出する、あるいは前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から前記画像データを読み出し、当該画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させた後、この画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出する制御を行う制御手段と、を備えてなることを特徴としている。
【0019】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、前記制御手段が、前記画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させ、かつ、この画像情報に前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から画像情報を読み出し、その画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により画像データに再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出するので、この出力手段に例えば、モニタを接続して撮像画像を視認する際、表示画像に何ら変化が無ければ、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れずに、本来の識別情報に応じた画像が表示されていることを確認することができる。
一方、表示画像に変化があれば、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れて、本来の識別情報と異なった画像が表示されていることを認識することができる。
【0020】
また、請求項1に記載の発明の場合、前記制御手段が、前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から前記画像データを読み出し、当該画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させた後、この画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出するので、前記モニタの表示画像に何ら変化が無ければ、前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶し、また読み出して伝送する際にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレームと識別情報との対応関係が保たれているので画像に変化が生じず、本来の識別情報に応じた画像表示がなされていることを確認することができる。
一方、表示画像に変化があれば、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れたことで画像に変化が生じ、間違った識別情報による画像表示がなされていることを認識することができる。
【0021】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記制御手段が、前記変換手段および再変換手段を制御し、前記識別情報を基準にして前記画像フレームのエリアを複数に分割し、分割された各々のエリアの並び順を入れ替えることで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記並び順を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させるものである。
【0022】
[作用・効果]請求項2に記載の発明によれば、前記制御手段が、前記識別情報を基準にして前記画像フレームのエリアを複数に分割し、分割された各々のエリアの並び順を入れ替えることで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記並び順を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させるので、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、前記分割された各々のエリアが原形を保たなくなり、モニタの表示画像に変化が生じるので、間違った識別情報による表示画像であることを認識することができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記画像フレームのエリア分割が、第1エリアと第2エリアとの2分割である。
【0024】
[作用・効果]請求項3に記載の発明によれば、前記画像フレームのエリア分割が、第1エリアと第2エリアとの2分割であるから、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、前記画像フレームの第1エリアと第2エリアとが原形を保たなくなり、モニタの表示画像に変化が生じるので、間違った識別情報による表示画像であることを認識することができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記制御手段が、前記変換手段および再変換手段を制御し、前記識別情報を数値に変換するとともに、この識別情報を基準にして前記画像データの各画素値を数値に変換することで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記数値を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させるものである。
【0026】
[作用・効果]請求項4に記載の発明によれば、前記制御手段が、前記識別情報を数値に変換するとともに、この識別情報を基準にして前記画像データの各画素値を数値に変換することで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記数値を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させるので、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、前記画像データの各画素値が異なる値となり、モニタの表示画像に変化が生じるので、間違った識別情報による表示画像であることを認識することができる。
【0027】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記記憶手段、前記変換手段および前記再変換手段が伝送路を介して接続されてなる。
【0028】
[作用・効果]請求項5に記載の発明によれば、前記記憶手段、前記変換手段および前記再変換手段が伝送路を介して接続されているので、この伝送路により多数の画像フレームが伝送されるときに誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、モニタ等の表示画像に変化が生じることから、間違った識別情報による画像表示となっていることを認識することができる。
【0029】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理装置において、前記記憶手段が、前記変換手段および再変換手段とは独立して設けられてなる。
【0030】
[作用・効果]請求項6に記載の発明によれば、前記記憶手段が、前記変換手段および再変換手段と独立して設けられているので、前記記憶手段への画像フレーム記憶時や読み出し時、また伝送路を介しての伝送時に誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れた場合には、モニタの表示画像に変化が生じることから、間違った識別情報による画像表示となっていることを認識することができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明に係る画像処理装置によれば、出力手段に例えば、モニタを接続して撮像画像を視認する際、表示画像に何ら変化が無ければ、記憶手段への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れずに、本来の識別情報に応じた画像が表示されていることを確認することができる。一方、表示画像に変化があれば、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れて、本来の識別情報と異なった画像が表示されていることを認識することができる。よって、従来のように、誤りの発生により識別情報にずれが生じて画像フレームとの対応関係が崩れ、間違った識別情報に基づいて撮像画像が表示されても、この表示画像が他の識別情報による異なった撮像画像であること自体に気付かない、といった問題を回避することができる。
【0032】
また、請求項1に記載の発明の場合、前記モニタの表示画像に何ら変化が無ければ、前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶し、また読み出して伝送する際にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレームと識別情報との対応関係が保たれているので画像に変化が無く、本来の識別情報に応じた画像表示がなされていることを確認することができる。一方、表示画像に変化があれば、前記記憶手段への情報記憶時や読み出し時、また伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレームと識別情報との対応関係が崩れたことで画像に変化が生じ、間違った識別情報による画像表示がなされていることを認識することができる。よって、被検体を撮影してモニタにより視認する場合、表示画像の変化の有無で適正な判断が可能となり、誤診断を防止することが可能になる。
【実施例1】
【0033】
以下、この発明に係る画像処理装置の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施例に係る画像処理装置の概略構成を示す模式図であり、図2は、検出器制御PCの電気的構成を示すブロック図であり、図3は、コンソール制御PCの電気的構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施例では、画像処理装置としてディジタルX線撮影装置を例に採って説明する。
このディジタルX線撮影装置は、平面検出器1とコンソール2とからなり、平面検出器1、検出器制御PC(パーソナルコンピュータ)3およびコンソール制御PC11をケーブル4,5により接続して、医用検査装置を構成するようになっている。
【0035】
ディジタルX線撮影装置は、図示省略しているが、被検体にX線を照射するX線管と、X線の照射を制御するX線照射制御部と、X線検出信号からX線透視画像あるいはX線撮影画像を生成する信号処理部とを備えている。また、平面検出器1は、可搬型のフラットパネル型X線検出器(以下、「FPD」と略記する)を採用しており、前記X線管から照射されて被検体を透過したX線を検出するようになっている。
このディジタルX線撮影装置は、後述の検出器制御PC3からの指令に従い、X線照射制御部がX線管を制御し、被検体にX線を照射させると、FPD1が被検体の透過X線を検出して、ディジタル形式のX線検出信号を信号処理部に送出する。この信号処理部は、X線検出信号を受けてX線透視画像あるいはX線撮影画像のデータに変換処理し、検出器制御PC3側に送出する構成になっている。
【0036】
この検出器制御PC3は、図1に示す如く副制御部6、1次メモリ7、ネットワークインターフェース(以下、I/Fと略称する。)3b等を備えており、データバス3aにより相互に接続されている。なお、I/F3bには、イーサーネットLAN5を介してコンソール制御PC11が接続されている。イーサーネットLAN5は、この発明における伝送路に相当する。
【0037】
副制御部6は、図2に示すように、中央演算処理装置であるCPU6aと、メモリ部としてROM(Read-only Memory)6bやRAM(Random-Access Memory)6cに代表される記憶媒体等により構成されている。副制御部6は、この発明における制御手段に相当する。この副制御部6には、1次メモリ7およびエンコーダ8が双方向性に接続されている。
【0038】
1次メモリ7は、前記FPD1からの画像データを記憶するエリアと、被検体を識別するための患者ID番号等を記憶するエリアとを備えている。1次メモリ7は、この発明における記憶手段に相当する。この1次メモリ7は、ID番号と画像データとを対応させて記憶するが、複数画像フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有している。
【0039】
エンコーダ8は、画像フレームに該当する分の画像データおよびID番号をディジタルのデータにエンコードして出力する。このエンコードには、画像フレームのエリアを2分割して前後を入れ替える変換処理および画像フレームの画素を変換する処理を含んでいる。エンコーダ8および後述のエンコーダ15は、この発明における変換手段に相当する。
【0040】
副制御部6は、コンソール制御PC11からの指令に応じてFPD1の動作を制御し、順次入力するX線透視画像やX線撮影画像の画像データと、この画像データにおける画像フレームを識別するためのID番号とを対応させて1次メモリ7に記憶させる。また、指令に応じて1次メモリ7から前記画像データおよびID番号を読み出し、エンコーダ8に送出してエンコードさせた後、I/F3bを介してコンソール制御PC11側に送出する、といった動作制御を行う。
【0041】
コンソール2は、本体(図示省略)にキーボード、スイッチおよびマウス等からなる入力操作部9と、X線撮影画像や入力操作部9の入力内容等を表示するモニタ10と、装置全体を制御するコンソール制御PC11等を設けている。
このコンソール制御PC11は、図1に示す如く主制御部12、記憶部13、出力部16およびI/F11b等を備えており、データバス11aにより相互に接続されている。
【0042】
主制御部12は、図3に示すように、CPU12a,ROM12b,RAM12cにより構成されている。主制御部12は、この発明における制御手段に相当する。なお、ROM12bには、デコーダ14やエンコーダ15を制御して画像変換および画像再変換させるプログラムが予め設定されている。このプログラムとしては、画像位置変換および画素変換の2モードが含まれる。また、RAM12cには、入力操作部9からの入力情報が一時記憶される。
【0043】
この主制御部12には、記憶部13、デコーダ14、エンコーダ15、入力操作部9および出力部16が、その機能に応じて一方向性または双方向性に接続されている。記憶部13は、ハードディスクや不揮発性メモリ等により構成され、そのデータベースを管理するデータベースソフトウエアを備えている。
このデータベースソフトウエアは、主制御部12の制御に従って、データベースに前記検出器制御PC3から送出されてくる画像データを記憶し、それぞれの画像を画像ファイル化する。この画像ファイルには、入力操作部9で入力される付随情報が記憶される。この付随情報は、被検体である患者を特定するためのID番号、氏名、生年月日、性別等を含むが、ID番号を識別情報としてヘッダー部に記憶する。
【0044】
また、この画像ファイルを管理するデータベースに、レコードを新規作成し、画像ファイル名と患者ID番号とを記録する。さらに、データベースには、画像に付帯する各種情報を登録する。これにより、入力操作部9から画像の選択指令があると、主制御部12が指令に応じてデータベース上のレコードを特定し、画像ファイル名およびID番号を取得する。そして、その画像ファイルをオープンすることにより、モニタ10に表示可能となっている。
【0045】
デコーダ14は、主制御部12の制御により、検出器制御PC3でエンコードされたディジタルデータをデコードし、エンコーダ15や出力部16に送出する。このデコードには、前記エンコーダ8で処理された画像フレームの位置変換や画素変換等を再変換して復元する処理を含んでいる。デコーダ14は、この発明における再変換手段に相当する。
【0046】
出力部16には、モニタ10が接続されており、デコーダ14からの画像フレームを受けて、画面にX線撮影画像等を表示させる。また、入力操作部9により入力された操作内容をも表示する。出力部16は、この発明における出力手段に相当する。なお、この出力部16にプリンタを接続して、前記撮影画像を印刷するようにしてもよい。エンコーダ15は、前述のエンコーダ8と基本的構成が同一であり、主制御部12の制御によって、デコーダ14からの画像データ等をエンコードして出力する。
【0047】
このように構成された主制御部12は、入力操作部9の操作指令に従い、FPD1によるX線撮影に関した動作制御を実行する。この動作制御においては、予め設定されたプログラムにより画像位置変換モードまたは画素変換モードを選択的に実行可能となっている。
【0048】
次に、上記ディジタルX線撮影装置の動作について、図面を参照しつつ説明する。但し、このX線撮影においては、画像位置変換モードの動作から説明する。この画像位置変換モードは、エンコード時にID番号に基づいて、画像フレームの画像エリアを位置変換するプログラムである。
【0049】
まず、このX線撮影に際しては、操作者がコンソール2の入力操作部9により患者のID番号を含む付随情報を登録する。なお、このID番号は、数字の並び順に従うが、任意に設定した番号でもよい。この付随情報を入力すると、コンソール制御PC11の主制御部12が、入力内容をRAM12cおよび記憶部13に記憶させる。そして、識別情報であるID番号は、検出器制御PC3側にも送出する。この検出器制御PC3の副制御部6は、ID番号を受けると、1次メモリ7の所定エリアに格納する。これにより、共通のID番号が、コンソール制御PC11および検出器制御PC3のそれぞれに保持される。
【0050】
つぎに、前記FPD1により被検体のX線撮影を行う。このX線撮影においては、被検体を所定位置に配置した後、X線撮影に合わせて撮影位置をセットする。そして、操作者が入力操作部9の操作により撮影開始を指令する。この指令がコンソール制御PC11に与えられると、主制御部12が検出器制御PC3の副制御部6に撮影開始の制御信号を送出する。これに応じて、副制御部6がFPD1に画像要求指令を発する。すると、X線管から被検体にX線が照射された後にFPD1からX線検出信号が出力される。これにより、FPD1が被検体を透過したX線を検出し、ディジタルX線撮影が行われる。そして、このディジタルX線撮影による画像データが、検出器制御PC3側に送出される。
【0051】
この検出器制御PC3の副制御部6は、画像データを受けると、1次メモリ7に記憶されたID番号と対応させ、1枚の画像フレームとして所定エリアに記憶する。このように、X線撮影が行われる毎に、画像フレームには被検体である患者固有のID番号が付与され、付随情報として格納される。これにより、1次メモリ7には、複数フレーム分の画像データが順次蓄積される。
【0052】
続いて、操作者がコンソール2の入力操作部9により、患者ID番号に続き画像要求を入力すると、この指令がコンソール制御PC11の主制御部12に与えられる。この主制御部12は、指令を受けて画像位置変換モードに移行し、検出器制御PC3に画像位置変換の指令信号を送出する。副制御部6が、この指令を受けると、エンコーダ8に対し画像データの変換処理を行わせる。
【0053】
副制御部6は、1次メモリ7から1フレームに相当する画像データとID番号とを読み出し、エンコーダ8側に送出する。このエンコーダ8は、指定のID番号に基づいて画像フレーム17の分割位置を認識し、この画像フレーム17のエリアを前部側18(図4に示すA)と後部側19(図4に示すB)とに2分割したうえ、その前後を入れ替えるエンコードを行う。
【0054】
例えば、図4に示すように、画像フレーム17のエリアの始端から終端までの行数が2000有り、患者ID番号が“600”の場合、この600を基準にして前部側18と後部側19とに2分割する。そして、画像フレーム17の前部側18と後部側19とが逆転するように、データの変換処理を行う。すると、図5に示すように、画像フレーム17の始端が601行目となり、2000行目を境にして終端が600行目となる。
【0055】
この後、副制御部6は、エンコードされたデータをI/F3bへ転送し、イーサーネットLAN5を介してコンソール制御PC11側に供給する。主制御部12は、これを受けてデコーダ14に伝送し、前記画像フレーム17のエンコードデータをデコード処理させる。このデコーダ14は、送信されてきたID番号を基準にして、エンコードデータを元の画像フレーム17の配列に戻す処理を行う。
【0056】
すなわち、デコーダ14は、ID番号“600”を基準にしてデコードするので、図6に示すように、元の画像フレーム(図4参照)と同一の形状に戻される。続いて、主制御部12は、このようにデコードされた画像データを出力部16に送出する。この出力部16は、画像データをモニタ10に伝送するので、その画面にはX線撮影画像が表示される。
ここで、1次メモリ7から画像データとID番号とを読み出すときや、エンコーダ8でエンコードしたときに、所謂バグ等が発生していなければ、途中にID番号のずれが発生しないので、撮影画像がそのまま表示される。この結果、X線撮影からモニタ10への表示までの過程でID番号等に誤りが生じず、撮影したときの患者ID番号に対応した画像が表示されていることを確認することができる。
【0057】
ところが、画像データとID番号とを1次メモリ7に記憶させたり、読み出すとき、またエンコードの際にバグ等が発生した場合には変形画像が表示される。例えば、前記ID番号“600”がバグによって“500”になった場合、エンコーダ8で1フレーム分の画像データをエンコードするとき、図7の鎖線に示すように、500行目が基準位置となる。すると、本来の基準位置600行目から前部側18に100行目だけ寄った位置で2分割される。
【0058】
そして、画像フレーム17のエリアの前部側18と後部側19とを逆転させると、図8に示すように、画像フレーム17の始端が601行目となり、2000行目を境にして、後部側19の101行目が続き、その終端が600行目となる。続いて、副制御部6は、このようにエンコードされたデータをI/F3bへ転送し、コンソール制御PC11側に与える。
【0059】
主制御部12は、これを受けてデコーダ14にデコードさせる。このデコーダ14は、送信されてきたID番号、つまりバグにより変化したID番号500に基づいてエンコードデータをデコードする。すると、図9に示すように、画像フレーム17の始端が前部側18の一部18aである101行目となり、その500行目に後部側19の601行目が続き、この後部側19の2000行目に前部側18の残部18bが連続する。これにより、前部側18のエリアが18aと18bとに2分されて、後部側19の前後に貼付された形状となる。
【0060】
主制御部12が、このようにデコードされた画像データを出力部16に送出すると、モニタ10の画面には、図9に示したような画像が表示される。この画像は、不自然であることが明らかなので、バグの発生等によりID番号に誤りが生じ、撮影画像と患者IDとの間にずれがあることを容易に気付くことがことができる。
なお、この実施例では、画像位置変換モードにより1フレーム分の画像データを行で2分割する場合について説明したが、列で2分割する構成としてもよい。また、2分割に限らず、3分割以上の複数分割としてもよい。3分割以上の複数分割とする場合には、例えばID番号に基づいて第1エリアと第2エリアとに分割するとともに、ID番号に所定の数を加算したアドレスに基づいて第2エリアと第3エリアとに分割してもよい。何れの場合も、ID番号に基づいてエンコードした後、デコードする情報処理を行う。
【0061】
以上のように、上記ディジタルX線撮影装置によれば、モニタ10の表示画像に変化が無いと、1次メモリ7への画像フレーム17の記憶時や読み出し時にバグ等に起因した誤りが発生せず、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れずに、本来の患者IDに応じた画像が表示されていることを確認することができる。一方、表示画像に変化があったときは、1次メモリ7への画像フレーム17の記憶時や読み出し時に誤りが発生し、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れて、本来の患者IDと異なった画像が表示されていることを認識することができる。
【0062】
この結果、従来のように、誤りの発生により患者IDにずれが生じて画像フレーム17との対応関係が崩れ、異なる患者IDに基づいて撮像画像が表示されても、この表示画像が他の患者IDによる間違った撮像画像であること自体に気付かない、といった問題を回避することができる。よって、被検体を撮影してモニタ10により視認する場合、表示画像の変化の有無で適正な判断が可能となり、誤診断を防止することが可能になる。
【実施例2】
【0063】
次に、画素変換モードによるディジタルX線撮影装置の動作について説明する。
この画素変換モードは、エンコード時にID番号に基づいて、画像フレームの画素を変換するプログラムである。なお、FPD1による被検体のX線撮影からエンコーダ8までの動作は、前述の画像位置変換モードと同じである。ここでは、コンソール2の入力操作部9から表示指令を受けたとき、主制御部12が副制御部6を制御し、画像フレームの全画素をID番号に基づいて変換させた後、再変換させる。
【0064】
すなわち、画像フレームの各画素は、明るさの度合いに応じた数値で表され、数値が大きいほど明るく、小さくなるに従って暗くなることを示す。よって、各画素について共通の数値でエンコードした後、同じ数値でデコードすることにより、X線撮影からモニタ10への表示までの過程でID番号等に誤りが生じたか否かをチェックすることが可能である。
【0065】
前記エンコーダ8が、1フレーム分の画像データを受けたとき、全画素について10進数の画素値を2進数に変換させるとともに、ID番号も2進数に変換したうえ、副制御部6が共通の8bit単位で排他的論理和“Xor”(exclusive Or operation)の論理演算を行う。この演算では、入力が“1”と “0”または“0”と“1”ならば出力は“1”となり、それ以外ならば出力は“0”となる。
【0066】
図10は、画素変換演算の一例を示すものである。
例えば、画素番号1の画素値が“234”の場合、2進表記では“11101010”の8bitとなる。また、患者ID番号が例えば、“5”であると、2進表記では“101”となるので、8bitに満たない。このような条件の場合は、副制御部6が不足分の5bit“00000”を桁上げし、“10100000”にして8bitに揃える。そして、画素値234の2進表記を一方の入力、ID番号5の2進表記を他方の入力として、“Xor”による論理演算を行う。この演算結果は、“01001010”となり、10進数では“74”となる。
【0067】
以下、画素番号2以後も同様に演算してゆき、全画素が終了した時点で副制御部6は、このエンコード後のデータをI/F3bへ転送し、コンソール制御PC11に供給する。 主制御部12は、これを受けてデコーダ14に伝送し、デコード処理させる。このデコーダ14は、2進表記のデータを送信されてきたID番号に基づいてデコードする。また、前述の“Xor”による論理演算を実行する。
【0068】
このときは、図11に示すように、演算結果の“01001010”を一方の入力、ID番号の“10100000”を他方の入力として、“Xor”演算処理する。そして、この演算結果を10進数に変換する。ここで、“11101010”が得られると、10進表記では“234”となり、画素番号1の画素値“234”と等しくなる。このようなデコードは、画像データの全てについてなされ、その結果が出力部16に送出される。この際、画素値が元の値と等しいときは、モニタ10の画面に正常な濃淡でX線画像が表示される。よって、バグ等による問題が発生していないことを容易に確認することができる。
【0069】
ところが、画像データとID番号とを1次メモリ7から読み出すときや、エンコードしたときにバグが発生した場合には変形画像が表示される。すなわち、前記エンコーダ8が、1フレーム分の画像データを受けたとき、ID番号に変化がなければ、エンコードによる各変換値は、図12に示すように、図10に示した結果と同一になる。
【0070】
しかし、このエンコード時にバグによって、前記ID番号“5”が例えば、“4”に変わることがある。すると、デコーダ14は、図13に示すように、演算結果74の“01001010”を一方の入力、ID番号4の“10000000”を他方の入力として、“Xor”により演算処理する。なお、この“10000000” は、“4”が10進数では“100”となるので、前述の如く不足分の5bit“00000”を桁上げし8bitに揃えたものである。
【0071】
この演算結果は、 “11001010”となり、 10進数では“202”となるので、図11に示した結果の“234”とは異なっている。以下、画素番号2以後の各画素値も同じく変化し、図11に示した演算結果とは大きく異なってくる。すると、モニタ10の画面にX線画像が表示されたとき、明るさの度合いが変化することから、濃淡が不自然な画像となる。
【0072】
以上のように、モニタ10の表示画像に変化が無ければ、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れずに、本来の患者IDに応じた画像が表示されていることを確認することができる一方、表示画像に変化があったときは、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れて、本来の患者IDと異なった画像が表示されていることを認識することができる。これにより、誤った患者IDに基づいて撮像画像が表示されても、この表示画像が他の患者IDによる異なった撮像画像であること自体に気付かない、といった問題を回避することができる。よって、被検体を撮影してモニタにより視認する場合、表示画像の変化の有無で適正な判断が可能となり、誤診断を防止することが可能になる。
【0073】
なお、この実施例2では、10進数の画素値を2進数に変換させるとともに、ID番号を2進数に変換したうえ、排他的論理和“Xor”による論理演算を行ったが、2進数以外のn進数によっても前述の演算処理が可能であり、その演算結果に伴う表示画像の変化の有無で適正な判断を行うことができる。
また、この排他的論理和“Xor”は、演算処理を2回繰り返すことで元の値に復元されるので、エンコードおよびデコードの場合に有用であるが、この“Xor”に限定されることはなく、“OR”や“AND”の論理式によってエンコード、デコードの演算処理を行うようにしてもよい。
【0074】
さらに、2進数により“Xor”の論理演算を行う例について説明したが、画素値を直接表す10進数のみで加減乗除の何れかの演算を行い(エンコード)、その後に逆の演算を行うことにより(デコード)、得られる結果から表示画像に変化が生じる構成としてもよい。 例えば、変換時に加算した場合は、再変換時に減算処理し、また、変換時に乗算した場合は、再変換時に除算処理すると、前述のように、演算結果に応じて表示画像が変化するので、誤りの有無を適正に判断することができる。
【0075】
ところで、上記ディジタルX線撮影装置は、可搬型のFPD1をケーブル4により検出器制御PC3と接続したが、取り扱い易さの点等から据置用に比して細いケーブル4が使用される。しかし、ケーブルが細くなると伝送路も狭くなるので、送信レートが低くなって、複数の画像フレーム17を収集する場合に送信時間が長くなる不具合があったが、前記各実施例では1次メモリ7を備えているので、多数の画像フレーム17を一時記憶しておくことができ、検査のスループットを上げることが可能になる。
【0076】
この際、1次メモリ7への画像フレーム17の記憶時や読み出し時、またケーブル4を介しての伝送時にバグ等に起因した誤りが発生し、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れても、モニタ10の表示画像に変化が生じることから、間違った患者IDによる画像表示となっていることを容易に認識することができる。また、前述の1次メモリ7は、検出器制御PC3側に設けたが、コンソール制御PC11に備えてもよいし、これらと独立させてケーブルにより接続する構成としてもよい。
【0077】
この場合は、図1に示したコンソール制御PC11の主制御部12が、前記画像フレーム17に患者IDを付加して1次メモリ7に記憶させる。そして、この1次メモリ7から画像フレーム17を読み出し、図3に示すエンコーダ15によりエンコードさせる。この後、エンコードデータをデコーダ14によりデコードさせてから出力部16に送出させる。 これにより、画像フレーム17が検出器制御PC3側でなく、コンソール制御PC11にて情報処理され、モニタ10の画面に画像が表示される。よって、この表示画像に変化が有るか否かにより、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れたか否かを判別することができ、表示画像に変化が生じていれば、間違った患者IDによる画像表示となっていることを容易に認識することができる。
【0078】
なお、前記実施例では、1次メモリ7を検出器制御PC3側に設け、副制御部6によって画像フレーム17および患者IDを記憶したり、また読み出す動作について説明したが、図1に示したコンソール制御PC11側に接続し、その主制御部12により動作制御する構成としてもよい。これにより、1次メモリ7は、画像フレーム17や患者IDをデコードしたり、またエンコードするデコーダ14およびエンコーダ15と独立させることができる。
【0079】
よって、この1次メモリ7への前記情報記憶時や読み出し時、また伝送路を介しての伝送時にバグに起因した誤りが発生し、画像フレーム17と患者IDとの対応関係が崩れた場合には、モニタ10の表示画像に変化が生じることから、間違った識別情報による画像表示となっていることを容易に認識することができる。
【0080】
また、前記各実施例では、画像変換や画像再変換に関する2種のプログラムを予め設定したが、コンソール2のモニタ10に「画像位置変換」および「画素変換」の2種を表示させ、操作者が何れかを選択したときに、各動作を開始させる構成としてもよい。
【0081】
また、本発装置明は上記の各実施形態に限定されず、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施例に係る画像処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】検出器制御PCの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】コンソール制御PCの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】画像フレームのエリアを前後に分割する位置を表す模式図である。
【図5】画像フレームのエリアを位置変換した状態を表す模式図である。
【図6】画像フレームのエリアを位置変換後に復元した状態を表す模式図である。
【図7】画像フレームのエリアを前後に分割する位置がずれた状態を表す模式図である。
【図8】画像フレームのエリアをずれた位置で変換した状態を表す模式図である。
【図9】画像フレームのエリアを位置変換後に復元した状態を表す模式図である。
【図10】画像フレームの画素を基準の識別情報により変換した演算結果の図表である。
【図11】画像フレームの画素を基準の識別情報により再変換した演算結果の図表である。
【図12】画像フレームの画素を誤った識別情報により変換した演算結果の図表である。
【図13】画像フレームの画素を基準の識別情報により再変換した演算結果の図表である。
【符号の説明】
【0083】
6 … 副制御部(制御手段)
7 … 1次メモリ(記憶手段)
8 … エンコーダ(変換手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集された撮影画像の画像データにおける画像フレーム毎に識別情報を付加した後、この識別情報により前記撮影画像を識別する画像処理装置であって、前記画像データおよび識別情報を記憶する記憶手段と、前記識別情報に基づいて前記画像データを他形式の画像情報に変換する変換手段と、前記識別情報に基づいてこの変換手段からの画像情報を再変換して前記画像データを復元する再変換手段と、この再変換手段からの画像データを画像フレームとして出力する出力手段と、前記画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させ、かつ、この画像情報に前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から画像情報を読み出し、その画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により画像データに再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出する、あるいは前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から前記画像データを読み出し、当該画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させた後、この画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出する制御を行う制御手段と、を備えてなる画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、前記制御手段が、前記変換手段および再変換手段を制御し、前記識別情報を基準にして前記画像フレームのエリアを複数に分割し、分割された各々のエリアの並び順を入れ替えることで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記並び順を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、前記画像フレームのエリア分割が、第1エリアと第2エリアとの2分割であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理装置において、前記制御手段が、前記変換手段および再変換手段を制御し、前記識別情報を数値に変換するとともに、この識別情報を基準にして前記画像データの各画素値を数値に変換することで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記数値を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理装置において、前記記憶手段、前記変換手段および前記再変換手段が伝送路を介して接続されてなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置において、前記記憶手段が、前記変換手段および再変換手段とは独立して設けられてなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項1】
収集された撮影画像の画像データにおける画像フレーム毎に識別情報を付加した後、この識別情報により前記撮影画像を識別する画像処理装置であって、前記画像データおよび識別情報を記憶する記憶手段と、前記識別情報に基づいて前記画像データを他形式の画像情報に変換する変換手段と、前記識別情報に基づいてこの変換手段からの画像情報を再変換して前記画像データを復元する再変換手段と、この再変換手段からの画像データを画像フレームとして出力する出力手段と、前記画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させ、かつ、この画像情報に前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から画像情報を読み出し、その画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により画像データに再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出する、あるいは前記画像データに前記識別情報を付加して前記記憶手段に記憶させた後、この記憶手段から前記画像データを読み出し、当該画像データを前記変換手段により他形式の画像情報に変換させた後、この画像情報を前記識別情報に基づいて前記再変換手段により再変換させ、この復元された画像データを前記出力手段に送出する制御を行う制御手段と、を備えてなる画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、前記制御手段が、前記変換手段および再変換手段を制御し、前記識別情報を基準にして前記画像フレームのエリアを複数に分割し、分割された各々のエリアの並び順を入れ替えることで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記並び順を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、前記画像フレームのエリア分割が、第1エリアと第2エリアとの2分割であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理装置において、前記制御手段が、前記変換手段および再変換手段を制御し、前記識別情報を数値に変換するとともに、この識別情報を基準にして前記画像データの各画素値を数値に変換することで前記変換手段による前記他形式の画像情報に変換させた後、前記識別情報に基づいて前記数値を元に戻させることで前記再変換手段による画像データに再変換させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理装置において、前記記憶手段、前記変換手段および前記再変換手段が伝送路を介して接続されてなることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置において、前記記憶手段が、前記変換手段および再変換手段とは独立して設けられてなることを特徴とする画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−22702(P2010−22702A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189828(P2008−189828)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
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