説明

画像処理装置

【課題】 事前の設定を要することなく、原稿に記載されている画像の任意の領域を任意の色に変更することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】 複合機1は、原稿を読取り画像データを生成する読取部13と、生成された画像データに含まれるカラーマーカー領域を検出する領域検出部30と、検出されたカラーマーカー領域の色を判別する色判別部31と、カラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像を抽出する画像抽出部32と、抽出されたグレースケール画像の色を、カラーマーカーの色に変換する色変換部33とを備える。また、色変換部33は、グレースケール画像を除くカラーマーカー領域の色を、該カラーマーカー領域の背景色と同じ色に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、カラーマーカー編集機能を有する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラーマーカーでマーキングされた領域の文書に対して特殊処理を施すカラーマーカー編集機能を有するカラー複写機が知られている。例えば、特許文献1には、複数のカラーマーカーの色に対応した複数の編集機能を提供するカラー複写機が開示されている。このカラー複写機では、予め、複数のカラーマーカーに対して、対応する文書編集機能を関係付けて記憶しておくことにより、複数の編集機能を利用することができる。このカラー複写機は、カラーマーカーでマーキングが施された原稿を読取り、カラーマーカーを検出するとともに、カラーマーカーの色を判別する。そして、カラーマーカーでマーキングされている領域に対して、判別されたカラーマーカーの色に対応して記憶されている文書編集作業を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−307660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1記載のカラー複写機では、文書編集機能を利用するには、カラーマーカーの色と文書編集機能とを事前に対応付けて記憶させておく必要があるため、使い勝手があまりよくなかった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、事前の設定を要することなく、原稿に記載されている画像の任意の領域を任意の色に変更することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像処理装置は、原稿を読取り画像データを生成する読取手段と、読取手段により生成された画像データに含まれるカラーマーカー領域を検出する検出手段と、検出手段により検出されたカラーマーカー領域の色を判別する判別手段と、カラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出されたグレースケール画像の色を、判別手段により判別されたカラーマーカー領域の色に変換する変換手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像処理装置によれば、カラーマーカーが付されているカラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像の色が、カラーマーカーの色に変換される。そのため、色を変更したい画像を、変更したい色のカラーマーカーでマーキングすることにより、該画像の色をマーキングしたカラーマーカーの色に変更することができる。よって、事前になんら設定をすることなく、原稿に記載されている画像の任意の領域を任意の色に変更することが可能となる。なお、画像には、文字および図形などを含む。
【0008】
本発明に係る画像処理装置では、カラーマーカー領域の色を判別する際に、判別手段が、カラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像を除いた部分の色を判別することが好ましい。このようにすれば、カラーマーカー領域の色(すなわちカラーマーカーの色)を正確に判別することができる。
【0009】
本発明に係る画像処理装置では、変換手段が、グレースケール画像を除くカラーマーカー領域の色を、該カラーマーカー領域の背景色と同じ色に変更することが好ましい。このようにすれば、グレースケール画像の色をカラーマーカーの色に変更するとともに、カラーマーカーを消去することが可能となる。
【0010】
本発明に係る画像処理装置は、検出手段により検出されたカラーマーカー領域とオーバーラップする文字を認識し、当該文字の位置情報を生成する生成手段をさらに備え、抽出手段が、生成手段により生成された文字の位置情報により示される位置にあるグレースケールの文字画像を抽出し、変換手段が、抽出手段により抽出されたグレースケールの文字画像の色を、カラーマーカー領域の色に変換することが好ましい。このようにすれば、文字又は文字列が全体的にカラーマーカーでマーキングされていない場合であっても、すなわち、文字又は文字列の一部にカラーマーカーが付されていない部分があったとしても、文字又は文字列全体の色を変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、事前の設定を要することなく、原稿に記載されている画像の任意の領域を任意の色に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る複合機による画像色変換処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】カラーマーカーによるマーキングが付された原稿と、該原稿に対して画像色変換処理が施された後の原稿の例を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る複合機の構成を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態に係る複合機による画像色変換処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】カラーマーカーによるマーキングが付された原稿と、該原稿に対して画像色変換処理が施された後の原稿の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。なお、ここでは、実施形態に係る画像処理装置として複合機(MFP:Multi Functional Peripheral)を例にして説明する。
【0014】
まず、図1を用いて、第1実施形態に係る複合機1の構成について説明する。図1は、複合機1の構成を示すブロック図である。
【0015】
複合機1は、スキャナ、プリンタ、コピー、及びファクシミリ(FAX)の各機能を有している。また、複合機1は、カラーマーカーでマーキングが付された原稿などを読取って、カラーマーカーでマーキングされた文字や図形などの画像を抽出するとともに、カラーマーカーの色を判別し、抽出した画像の色をカラーマーカーの色に変更する機能を有している。これらの機能を実現するために複合機1は、制御部10、操作部11、表示部12、読取部13、記憶部14、記録部16、コーデック17、モデム18、NCU19、IFAX制御部20、Webサーバ21、NIC22、及び、領域検出部30、色判別部31、画像抽出部32、色変換部33等を備えている。なお、各部はバス(通信路)23で相互に通信可能に接続されている。続いて、各構成要素について詳細に説明する。
【0016】
制御部10は、演算を行うマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM、及びデータがバックアップされているバックアップRAM等により構成されている。制御部10は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、以下に説明する複合機1を構成する各部の機能を実現するとともに、複合機1を構成するハードウェアを統合的に制御する。
【0017】
操作部11は、複合機1の各機能を利用するために用いられる複数のキー、例えば、テンキー、短縮キー、スタートキー、ストップキー、及び各種のファンクションキー等を備えている。操作部11は、例えば、カラーマーカーでマーキングが付された原稿を読取って、マーキングが付されている文字又は図形の色を、カラーマーカーの色に変換する操作をユーザから受け付ける。
【0018】
表示部12は、LCD等を用いた表示装置であり、複合機1の動作状態及び/又は各種設定内容等を表示する。また、表示部12は、読取部13により読み取られて色が変換された後の画像データ、及び変換される前の画像データを表示する。
【0019】
読取部13は、光源、及び、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタが貼り付けられた単板CCD等によって構成されており、例えば、カラーマーカーでマーキングが付された紙文書等の原稿を、設定された副走査線密度に応じてライン毎に読み取り、RGB各色の画像データを生成する。すなわち、読取部13は、特許請求の範囲に記載の読取手段として機能する。なお、カラーフィルタが貼り付けられた単板CCDに代えて、レンズからの光を分光プリズム内のダイクロック膜の反射によってRGBの3原色に分光し、それぞれの分光を3つのCCDによって光電変換する構成(3CCD方式)を用いてもよい。読取部13で生成された原稿の画像データは、領域検出部30に出力される。なお、通常のコピーを行う場合には、読取部13で生成された画像データは、記録部16に出力され、FAXを送信するときには、生成された画像データは、コーデック17に出力される。
【0020】
領域検出部30は、読取部13により生成された画像データに含まれる1以上のカラーマーカー領域を検出する。すなわち、領域検出部30は、特許請求の範囲に記載の検出手段として機能する。より詳細には、領域検出部30は、まず、読取部13によって生成された赤(R)緑(G)青(B)の画像データを、該画像データの画素(ピクセル)毎に、HLS色空間に変換する。なお、RGB信号からHLS色空間への変換には、公知の手法を用いることができる。ここで、HLS色空間は、色相(Hue)、彩度(Saturation)、輝度(Lightness/Luminance)の3つの成分からなる色空間である。次に、領域検出部30は、画像データを構成する各画素のHLS色空間中の位置に基づいて、画素毎に当該画素がカラーかグレースケールかを判別する。
【0021】
ここで、彩度(S)は、ゼロが無彩色であり、ゼロに近いほどグレースケールに近いことを示す。よって、領域検出部30は、画素の彩度(S)に基づいて、該画素が、カラー(有彩色)かグレースケールかを判別する。そして、領域検出部30は、カラーと判別された画素が存在している領域を、カラーマーカーでマーキングされたカラーマーキング領域として検出し、該カラーマーキング領域の4隅の位置座標を生成する。なお、領域検出部30により検出されたカラーマーカー領域の位置座標は、色判別部31及び画像抽出部32に出力される。
【0022】
色判別部31は、領域検出部30により検出されたカラーマーカー領域の色(すなわちカラーマーカーの色)を判別する。ここで、カラーマーカー領域の色を判別する際に、色判別部31は、カラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像を除いた部分の色を判別する。すなわち、色判別部31は、特許請求の範囲に記載の判別手段として機能する。より具体的には、色判別部31は、まず、グレースケール画像を除くカラーマーカー領域を構成する各画素のHLS色空間中の位置に基づいて、画素毎に当該画素の色(すなわちカラーマーカーの色)を判別する。そして、色判別部31は、例えば、1つのカラーマーカー領域中に含まれる複数の画素の色の内もっとも多い色、又は、すべての認識された色の中間色をカラーマーカーの色とする。なお、色判別部31により判別されたカラーマーカーの色は、色変換部33に出力される。
【0023】
画像抽出部32は、領域検出部30により検出されたカラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像を抽出する。すなわち、画像抽出部32は、特許請求の範囲に記載の抽出手段として機能する。上述したように、HLS色空間の彩度(S)は、ゼロが無彩色であり、ゼロに近いほどグレースケールに近いことを示す。よって、画像抽出部32は、画素の彩度(S)に基づいて、該画素が、グレースケールか否かを判別することにより、グレースケール画像を抽出する。なお、画像抽出部32により抽出されたグレースケール画像は、色変換部33に出力される。
【0024】
色変換部33は、画像抽出部32により抽出されたグレースケール画像の色を、色判別部31により判別されたカラーマーカーの色に変換する。また、色変換部33は、グレースケール画像を除くカラーマーカー領域の色を、該カラーマーカー領域の周囲の色(背景色すなわち原稿の用紙の色)と同じ色に変換する。すなわち、色変換部33は、特許請求の範囲に記載の変換手段として機能する。なお、カラーマーカー領域の周囲の色の判別は、上述したカラーマーカー領域の色の判別と同様の手法により行われる。色変換部33により色が変換された後の画像データは、ユーザの操作に応じて、例えば、記録部16、表示部12、又は記憶部14などに出力される。
【0025】
記憶部14は、FAX又はIFAXで受信された画像データ(FAXデータ)、コーデック17で符号化された画像データ、及び外部のパーソナルコンピュータから受信されて符号化圧縮された画像データ等を記憶する。また、記憶部14は、色変換が施された画像データを記憶する。なお、記憶部14としては、例えば、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))又はHD(ハードディスク)などが好適に用いられる。
【0026】
記録部16は、電子写真方式のプリンタであり、読取部13により読取られ、色が変換された画像データを用紙にプリントアウトする。また、記録部16は、パーソナルコンピュータなどから入力されるPCプリントデータ、及び、FAX、IFAX等で受信された画像データを用紙にプリントアウトする。
【0027】
その他、コーデック17は、読取部13で読取られた画像データを符号化圧縮(以下、単に「符号化」という)するとともに符号化されている画像データを復号する。モデム(変復調器)18は、ディジタル信号とアナログ信号との間の変復調を行なう。また、モデム18は、ディジタル命令信号(DCS)等の各種機能情報の発生及び検出を行なう。NCU(Network Control Unit)19は、モデム18と接続されており、モデム18と公衆交換電話網(PSTN)50との接続を制御する。また、NCU19は、送信先のFAX番号に対応した呼出信号の送出、及びその着信を検出する機能を備えている。
【0028】
IFAX制御部20は、インターネット環境を利用したIFAX機能を司る。IFAX制御部20は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に従って電子メールを送信する機能、及び、POP(Post Office Protocol)に従って電子メールを受信する機能を有している。IFAX制御部20は、送信原稿をTIFF形式等の画像データとして電子メールに添付し、メールアドレス(SMTPサーバ)宛てに送信する。また、IFAX制御部20は、設定された時間毎にPOPサーバから電子メールを受信する。
【0029】
Webサーバ21は、例えばHTMLで記述されたホームページ、ログインページ、及びファクシミリ操作ページ等のデータに対して、パーソナルコンピュータ等からアクセスして所定のHTTPタスクを実行することを可能にする。NIC22は、各種通信プロトコルの送受信制御処理、及び各種通信プロトコル上のデータ解析処理及びデータ作成処理を行なうネットワークインターフェースである。
【0030】
次に、図2を参照しつつ、複合機1の動作について説明する。図2は、複合機1による画像色変換処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、図3の上段に示される原稿を読取り、図3の下段に示される色変換された画像を出力する場合を例にして説明する。
【0031】
ステップS100では、カラーマーカーでマーキングが付された紙文書等の原稿が読み取られ、RGB各色の画像データが生成される。続いて、ステップS102では、ステップS100で生成された画像データに含まれるカラーマーカー領域の検出が行われる。また、ステップS102においてカラーマーカー領域の検出が行われる際には、検出されたカラーマーカー領域の数がカウントされる。なお、カラーマーカー領域の検出方法は、上述した通りであるので、ここでは詳細な説明は省略する。ここで、図3に示した例では、黄色のカラーマーカー領域100、青色のカラーマーカー領域101、及び、赤色のカラーマーカー領域102の3つのカラーマーカー領域が検出され、カラーマーカー領域のカウント数として「3」がセットされる。
【0032】
次に、ステップS104では、ステップS102において、カラーマーカー領域の検出が行われた結果、カラーマーカー領域が検出されたか否かについての判断が行われる。ここで、カラーマーカー領域が検出された場合には、ステップS106に処理が移行する。一方、カラーマーカー領域が検出されなかったときには、ステップS100で生成された画像データがそのまま出力又は印刷される(ステップS114)。その後、本処理から一旦抜ける。
【0033】
ステップS106では、ステップS102において検出されたカラーマーカー領域の色、すなわちカラーマーカーの色(図3の例では、黄色、青色、又は赤色)が判別される。なお、カラーマーカーの色の判別方法は上述した通りであるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0034】
続いて、ステップS108では、グレースケール画像を除くカラーマーカー領域の色が、該カラーマーカー領域の周囲の色(背景色すなわち原稿の用紙の色)と同じ色に変換される。これにより、画像データからカラーマーカーが消去される。
【0035】
続くステップS110では、カラーマーカー領域内のグレースケール画像(図3の例では、「山田 太郎」「XXXYYYZZZ」又は「26」)が抽出されるとともに、抽出されたグレースケール画像の色が、ステップS106で判別されたカラーマーカーの色に変換される。
【0036】
次に、ステップS112では、すべて(図3の例では3つ)のカラーマーカー領域に対して、グレースケール画像をカラーマーカーの色に変換する画像色変換処理が終了したか否かについての判断が行われる。ここで、すべてのカラーマーカー領域に対して画像データの色変換処理が終了した場合には、ステップS114に処理が移行する。一方、まだすべてのカラーマーカー領域に対して画像色変換処理が終了していないとき、すなわち、画像色変換処理が行われていない画像データが残っている場合には、ステップS106に処理が移行する。そして、次のカラーマーカー領域に対して、上述したステップS106以降の処理が引き続いて実行される。このようにして、図3に示された例では、赤色のカラーマーカーでマーキングされた「山田 太郎」の文字が赤色に変換され、青色のカラーマーカーでマーキングされた「XXXYYYZZZ」の文字が青色に変換され、緑色のカラーマーカーでマーキングされた「26」の文字が緑色に変換される(図3の下段を参照)。
【0037】
すべての画像データに対して色変換処理が終了した場合、ステップS114では、色が変換された画像データが、ユーザの操作に応じて、例えば、記録部16、表示部12、又は記憶部14などに出力される。そして、出力された画像データは、記録部16で印刷され、表示部12で表示され、又は、記憶部14に保存される。
【0038】
本実施形態によれば、カラーマーカーが付されているカラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像の色が、カラーマーカーの色に変換される。そのため、ユーザは、色を変更したい画像を、変更したい色のカラーマーカーでマーキングすることにより、該画像の色をマーキングしたカラーマーカーの色に変更することができる。よって、事前になんら設定をすることなく、原稿に記載されている画像の任意の領域を任意の色に変更することが可能となる。
【0039】
本実施形態によれば、カラーマーカー領域の色を判別する際に、カラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像を除いた領域の色が判別されるため、カラーマーカー領域の色、すなわちカラーマーカーの色を正確に判別することができる。
【0040】
本実施形態によれば、グレースケール画像を除くカラーマーカー領域の色が、該カラーマーカー領域の背景色と同じ色に変更されるため、グレースケール画像の色をカラーマーカーの色に変更すると同時に、カラーマーカーを消去することが可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
続いて、図4を参照しつつ、第2実施形態に係る複合機2について説明する。図4は、複合機2の構成を示すブロック図である。なお、図4において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。複合機2は、カラーマーカー領域を含む画像データから文字を認識し、当該文字の位置情報を生成する文字認識部15をさらに有している点で上述した複合機1と異なっている。その他の構成は、複合機1と同一又は同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0042】
文字認識部15は、読取部13により読み取られて生成された原稿の画像データから、カラーマーカーでマーキングが付された文字を認識して、文字コードを生成するとともに、該文字の位置情報を生成する。より詳細には、文字認識部15は、領域検出部30により検出されたカラーマーカー領域を含む(すなわちカラーマーカー領域とオーバーラップする)画像データから文字を認識し、文字コードを生成するとともに、該文字が記載されている原稿上の位置情報(文字又は文字列が記載されている矩形領域の四隅のXY座標)を生成する。すなわち、文字認識部15は、特許請求の範囲に記載の生成手段として機能する。なお、文字認識部15で生成された位置情報は画像抽出部32に出力される。
【0043】
画像抽出部32は、文字認識部15により生成された文字の位置情報により示される位置にあるグレースケールの文字又は文字列の画像を抽出する。また、色変換部33は、画像抽出部32により抽出されたグレースケールの文字又は文字列の画像の色を、カラーマーカーの色に変換する。
【0044】
次に、図5を参照しつつ、複合機2の動作について説明する。図5は、複合機2による画像色変換処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図5では、上述した図2と同一又は同等のステップについては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。すなわち、ステップS100〜S108、S112、及びS114は、上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略し、第1実施形態と異なるステップS210について説明する。
【0045】
ステップS210では、文字認識部15により文字の位置情報が生成され、該位置情報により示される位置にあるグレースケールの文字又は文字列の画像が抽出される。そして、抽出されたグレースケールの文字又は文字列の画像の色が、ステップS106で判別されたカラーマーカーの色に変換される。
【0046】
本実施形態によれば、カラーマーカー領域とオーバーラップする画像データから文字/文字列が認識され、当該文字/文字列の位置情報が生成される。そして、生成された位置情報により示される位置にあるグレースケールの文字/文字列の画像の色が、カラーマーカーの色に変換される。そのため、図6に示されるように、文字/文字列が全体的にカラーマーカーでマーキングされていない場合であっても、すなわち、文字/文字列の一部にカラーマーカーが付されていない部分があったとしても(図6の上段を参照)、文字/文字列全体の色を変更することが可能となる(図6の下段を参照)。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、文字/文字列の色を変換する場合を例にして、複合機1又は複合機2の動作を説明したが、文字/文字列に代えて、又は加えて図形の色を変換することもできる。
【0048】
また、上記実施形態では、HLS色空間を利用してカラーマーカーの色を判別したが、HLS色空間に代えて、他の色空間、例えばHSV色空間、HSB色空間などを利用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1,2 複合機
10 制御部
11 操作部
12 表示部
13 読取部
14 記憶部
15 文字認識部
16 記録部
17 コーデック
18 モデム
19 NCU
20 IFAX制御部
21 Webサーバ
22 NIC
23 バス
30 領域検出部
31 色判別部
32 画像抽出部
33 色変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読取り画像データを生成する読取手段と、
前記読取手段により生成された画像データに含まれるカラーマーカー領域を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記カラーマーカー領域の色を判別する判別手段と、
前記カラーマーカー領域内に位置するグレースケール画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記グレースケール画像の色を、前記判別手段により判別された前記カラーマーカー領域の色に変換する変換手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記カラーマーカー領域の色を判別する際に、前記カラーマーカー領域内に位置する前記グレースケール画像を除いた部分の色を判別することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変換手段は、前記グレースケール画像を除く前記カラーマーカー領域の色を、該カラーマーカー領域の背景色と同じ色に変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記検出手段により検出された前記カラーマーカー領域とオーバーラップする文字を認識し、当該文字の位置情報を生成する生成手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記生成手段により生成された前記文字の位置情報により示される位置にあるグレースケールの文字画像を抽出し、
前記変換手段は、前記抽出手段により抽出された前記グレースケールの文字画像の色を、前記カラーマーカー領域の色に変換することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−223074(P2011−223074A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86599(P2010−86599)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】