説明

画像処理装置

【課題】読み取った複数ページの原稿の画像データを分割して保存する際の利便性を向上する。
【解決手段】画像処理部3は、画像読取部2で読み取った複数ページの原稿の画像データをページごとに解析するとともにファイル化し、分割処理部61は、画像処理部3の解析結果に基づいて、画像読取部2で読み取った複数ページの原稿を分割してグループ化し、グループごとに各ページのファイルを関連付けて保存部7に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を電子化して保存する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の画像を読み取って画像データを保存する画像処理装置において、複数ページの原稿の画像データを所定ページ数ごとに分割して保存する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−143039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿の種類が混在している複数ページの原稿を読み取る場合、原稿の種類ごとに分割して保存したい場合がある。
【0005】
特許文献1の技術では、分割するページ数は固定であるため、ページ数が異なる複数種類の原稿が混在する場合、種類ごとに分割して保存するためには、種類ごとに分けて原稿の読み取り動作を行う必要があり、不便であった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、読み取った複数ページの原稿の画像データを分割して保存する際の利便性を向上することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る画像処理装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った複数ページの原稿の画像データをページごとに解析するとともにファイル化する画像処理部と、前記画像処理部の解析結果に基づいて、前記画像読取部で読み取った複数ページの原稿を分割してグループ化する分割処理部と、前記分割処理部により分割されたグループごとに各ページのファイルを関連付けて保存する保存部とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記画像処理部は、原稿の各ページに所定画像が含まれるか否かを判断し、前記分割処理部は、前記所定画像を含むページとその他のページとを異なるグループに分割することを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る画像処理装置は、原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った複数ページの原稿の画像データをページごとにファイル化する画像処理部と、ユーザ操作に応じて、前記画像読取部で読み取った原稿の各ページのグループ分けを指定する分割指定部と、前記分割指定部の指定に応じて、前記画像読取部で読み取った複数ページの原稿を分割する分割処理部と、前記分割処理部により分割されたグループごとに各ページのファイルを関連付けて保存する保存部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、読み取った原稿の画像データの解析結果に基づいて複数ページの原稿におけるグループ化を行い、グループごとに各ページのファイルを関連付けて保存するので、1回の読み取り動作で所望のグループ分けを行うことができ、読み取った複数ページの原稿の画像データを分割して保存する際の利便性を向上することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、所定画像を含むページとその他のページとを異なるグループに分割するので、ユーザが所望する画像を含むページをグループ化して保存することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、ユーザ操作によるグループ分けの指定に応じてグループ化を行うので、読み取った複数ページの原稿の画像データをユーザの希望どおりに分割して保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ページ分割条件設定画面を示す図である。
【図3】シンボル選択画面を示す図である。
【図4】コマンドシート選択画面を示す図である。
【図5】図1に示す画像処理装置の画像読み取り時の動作を示すフローチャートである。
【図6】サムネイル表示画面を示す図である。
【図7】サムネイル表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように本実施の形態に係る画像処理装置1は、画像読取部2と、画像処理部3と、操作入力部4と、用紙厚検出部5と、制御部6と、保存部7とを備える。
【0016】
画像読取部2は、複数のCCD(Charge Coupled Device)素子等の光電変換素子が配列されたイメージセンサを有し、原稿を光学的に読み取り、読み取った原稿の画像データを出力する。画像読取部2は、自動原稿送り装置(図示せず)を備え、この自動原稿送り装置により原稿を自動搬送しながら画像を読み取る。
【0017】
画像処理部3は、画像読取部2で読み取った原稿の画像データをページごとに解析するとともに、ファイル化する処理を行う。
【0018】
操作入力部4は、表示/入力パネル41と、各種操作キー(図示せず)とを備え、ユーザ操作に基づく操作信号を制御部6に出力する。
【0019】
表示/入力パネル41は、前面に配置された感圧式あるいは静電式の透明なタッチパネル(図示せず)と、このタッチパネルの裏面に配置された液晶表示パネル(図示せず)とを有している。ユーザは、液晶表示パネルの表示画面を見ながら、タッチパネルの表面を指などで直接触れることで入力操作を行うことができる。
【0020】
表示/入力パネル41は、後述するサムネイル表示画面50,60を表示し、ユーザ操作に応じて原稿の各ページのグループ分けを指定する分割指定部として機能する。
【0021】
用紙厚検出部5は、画像読取部2の自動原稿送り装置に設置されるセンサであり、読み取り対象の原稿の用紙の厚さを検出する。
【0022】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、CPUの制御プログラム等を格納するメモリ(図示せず)等から構成され、CPUが制御プログラムに応じた処理を行うことによって、画像処理装置1全体の動作を制御するものである。制御部6は、画像処理部3の解析結果に基づいて、画像読取部2で読み取った複数ページの原稿を分割してグループ化する分割処理部61としての機能を有する。
【0023】
保存部7は、不揮発性の記録媒体を有し、分割処理部61により分割されたグループごとに各ページのファイルを関連付けて保存する。
【0024】
次に、画像処理装置1の動作について説明する。
【0025】
画像処理装置1においては、ユーザが操作入力部4を操作することにより、画像読取部2で読み取った複数ページの原稿をページ分割して保存するための条件を予め設定することができるようになっている。
【0026】
ユーザ操作によりページ分割条件を設定する指示信号が入力されると、制御部6は、図2に示すようなページ分割条件設定画面10を表示/入力パネル41に表示させる。
【0027】
図2に示すように、ページ分割条件設定画面10には、「テキスト/写真」、「シンボル」等の各種の条件の項目と、それぞれの条件を無効にするための「無効」ボタン11と、それぞれの条件を有効にするための「有効」ボタン12とが表示される。このページ分割条件設定画面10上でユーザは、各ページ分割条件の有効、無効の設定操作を行うことができる。
【0028】
ページ分割条件設定画面10において、「テキスト/写真」条件が有効とされた場合、画像中に写真領域を含むページとその他のページとを異なるグループに分割する設定となる。
【0029】
「シンボル」条件が有効とされた場合、画像中にシンボルである所定画像を含むページとその他のページとを異なるグループに分割する設定となる。シンボルとして読み取る画像は、予め登録される複数の画像から選択することができる。
【0030】
「シンボル」条件の「有効」ボタン12が選択されると、制御部6は、図3に示すようなシンボル選択画面20を表示/入力パネル41に表示させる。シンボル選択画面20には、予め登録されたシンボルを示す画像21A,21B,…が一覧表示される。画像21A,21B,…としては、例えば自社のロゴマーク等を登録することができる。登録された画像は、制御部6のメモリに記憶されている。ユーザは、画像21A,21B,…から、シンボルとして設定する画像を選択することができる。
【0031】
シンボルとして複数の画像を選択してもよい。この場合、選択した複数のシンボルのうち少なくともいずれか1つが含まれるページを1つのグループとするようにしてもよいし、シンボルごとに分けてグループ化するようにしてもよい。
【0032】
「サムネイル」条件が有効とされた場合、原稿読み取り後に、後述するサムネイル表示画面50,60上でユーザ操作により指定されたグループ分けを行う設定となる。
【0033】
「用紙種類」条件が有効とされた場合、原稿の各ページの用紙の種類により分割を行う設定となる。用紙種類は、用紙厚検出部5の検出結果により判断される。
【0034】
「コマンドシート」条件が有効とされた場合、コマンドシートから次のコマンドシートの前のページまでを1つのグループとしてグループ化する設定となる。コマンドシートは、原稿の種類の区切りを示すために、原稿の用紙間に挿入されている用紙であり、コマンドシートであることを示す識別画像が描かれている。コマンドシートとして読み取る識別画像は、予め登録される複数の画像から選択することができる。
【0035】
「コマンドシート」条件の「有効」ボタン12が選択されると、制御部6は、図4に示すようなコマンドシート選択画面30を表示/入力パネル41に表示させる。コマンドシート選択画面30には、予め登録された識別画像31A,31B,…が一覧表示される。登録された識別画像は、制御部6のメモリに記憶されている。ユーザは、識別画像31A,31B,…から、コマンドシートとして設定する識別画像を選択することができる。複数の識別画像を選択してもよい。
【0036】
「最適用紙サイズ」条件が有効とされた場合、最適用紙サイズが同じページごとにグループ化する分割を行う設定となる。最適用紙サイズとは、そのページに含まれる画像を印刷するのに必要な最小の用紙サイズである。例えば、あるページの画像の存在する領域の周囲に大きな余白があり、画像データにおける用紙サイズよりも1回り小さなサイズの用紙でも画像領域が印刷可能な場合、この1回り小さなサイズが最適用紙サイズとなる。
【0037】
上記の各ページ分割条件は、それぞれ単独で用いてもよいし、複数を組み合わせてもよい。
【0038】
次に、画像処理装置1の画像読み取り時の動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0039】
まず、ステップS10において、画像読取部2は、複数ページの原稿の画像を読み取り、画像データを出力する。
【0040】
次いで、ステップS20において、制御部6は、画像処理部3に画像読取部2で読み取った原稿の画像データをページごとに解析させ、ファイル化処理させる。ここで行う画像データの解析処理は、予め設定されたページ分割条件に応じた以下のような処理を含む。
【0041】
「テキスト/写真」条件が有効である場合、画像処理部3は、周知の領域分離処理により、各ページの画像に写真で構成される写真領域が存在するか否かを判断する。「シンボル」条件が有効である場合、画像処理部3は、各ページの画像に予め設定されたシンボルの画像が存在するか否かを判断する。「コマンドシート」条件が有効である場合、画像処理部3は、各ページの画像に予め設定されたコマンドシートの識別画像が存在するか否かを判断する。「最適用紙サイズ」条件が有効である場合、画像処理部3は、各ページの画像データにおいて画像の存在する領域の位置および大きさを検出し、最適用紙サイズを判断する。画像処理部3における上記の処理は、いずれも周知の画像処理技術により行うことができる。
【0042】
ステップS30では、制御部6は、「サムネイル」条件が有効であるか否かを判断する。「サムネイル」条件が有効である場合(ステップS30:YES)、ステップS40に進み、「サムネイル」条件が無効である場合(ステップS30:NO)、ステップS50に進む。
【0043】
ステップS40では、制御部6は、図6に示すようなサムネイル表示画面50を表示/入力パネル41に表示させる。サムネイル表示画面50には、読み取った原稿の各ページのサムネイル画像51A,51B,…が一覧表示される。
【0044】
ユーザは、このサムネイル表示画面50において、同じグループに分割したいページのサムネイル画像を選択する。例えば、サムネイル画像51A,51B,51C,51F,51Lをユーザが選択すると、これらに対応するページのグループ化が指定される。すると、制御部6は、残りのページに対応するサムネイル画像51D,51E,…を表示するサムネイル表示画面60に表示/入力パネル41の表示を切り換える。ユーザは、サムネイル表示画面60において、同じグループに分割したいページのサムネイル画像を選択する。これを繰り返すことにより、グループ分けが指定される。
【0045】
ステップS50では、分割処理部61は、読み取った原稿の複数ページを分割してグループ化する。「サムネイル」条件が無効である場合は、分割処理部61は、画像処理部3の解析結果に基づいて、「サムネイル」条件以外の他のページ分割条件に応じたグループ化を行う。「用紙種類」条件が有効の場合は、分割処理部61は、用紙種類ごとに予め設定された用紙厚さの範囲と、用紙厚検出部5で検出された原稿の用紙厚さとを比較して、原稿の各用紙の種類を判断し、その結果により用紙種類ごとにグループ化する。
【0046】
一方、「サムネイル」条件が有効であり、ユーザ操作によりサムネイル表示画面50,60上でグループ分けが指定された場合は、分割処理部61は、他のページ分割条件に関わらず、ユーザに指定されたグループ分けを行う。このようにすることで、他のページ分割条件によるグループ分けがユーザの希望と異なっていた場合に、ユーザが修正することができる。
【0047】
なお、「サムネイル」条件以外の他のページ分割条件が指定されている場合、サムネイル表示画面50,60において、他のページ分割条件によるグループ化の結果が分かるように、グループごとにサムネイル画像51A,51B,…の表示形態を変えて表示するようにしてもよい。例えば、グループごとに異なる色の画面枠をサムネイル画像51A,51B,…に表示したり、グループごとにサムネイル画像51A,51B,…の大きさを変えて表示したりしてもよい。
【0048】
そして、ステップS60において、分割処理部61は、分割したグループごとに各ページのファイルを関連付けて保存部7に保存する。
【0049】
上記説明のように本実施の形態では、予め設定されたページ分割条件に応じて原稿の画像解析結果に基づいて複数ページの原稿におけるグループ化を行い、また、サムネイル表示画面50,60上でユーザによりグループ分けが指定された場合は、その指定に従ってグループ化を行う。これにより、グループごとに分けて読み取り動作を行うことなく、1回の読み取り動作で所望のグループ分けを行うことができるので、読み取った複数ページの原稿の画像データを分割して保存する際の利便性を向上することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態では、「テキスト/写真」条件が有効である場合、画像中に写真領域を含むページとその他のページとを異なるグループに分割するとしたが、写真領域を含むページを、写真のみからなるページと、写真領域とテキスト領域とが混在するページとにさらに分割するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態では、用紙種類を用紙厚検出部5の検出結果により判断するとしたが、画像処理部3において画像データの濃度分布を示すヒストグラムを作成し、これに基づいて原稿の用紙種類を判断してもよい。これによれば、例えば、原稿の用紙の色によりグループ化することができる。
【0052】
上記実施の形態では、スキャナで読み取った画像を処理して保存する画像処理装置について説明したが、デジタルカメラ等の画像を保存する機器にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 画像処理装置
2 画像読取部
3 画像処理部
4 操作入力部
5 用紙厚検出部
6 制御部
7 保存部
10 ページ分割条件設定画面
20 シンボル選択画面
30 コマンドシート選択画面
50,60 サムネイル表示画面
41 表示/入力パネル
61 分割処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った複数ページの原稿の画像データをページごとに解析するとともにファイル化する画像処理部と、
前記画像処理部の解析結果に基づいて、前記画像読取部で読み取った複数ページの原稿を分割してグループ化する分割処理部と、
前記分割処理部により分割されたグループごとに各ページのファイルを関連付けて保存する保存部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、原稿の各ページに所定画像が含まれるか否かを判断し、
前記分割処理部は、前記所定画像を含むページとその他のページとを異なるグループに分割することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った複数ページの原稿の画像データをページごとにファイル化する画像処理部と、
ユーザ操作に応じて、前記画像読取部で読み取った原稿の各ページのグループ分けを指定する分割指定部と、
前記分割指定部の指定に応じて、前記画像読取部で読み取った複数ページの原稿を分割する分割処理部と、
前記分割処理部により分割されたグループごとに各ページのファイルを関連付けて保存する保存部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−66820(P2011−66820A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217529(P2009−217529)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】