説明

画像処理装置

【課題】処理時間を短縮することを課題とする。
【解決手段】画像処理装置は、管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データにおいて、該管腔臓器の口径の略中心を貫通する中心線上の点である中心点の指定を受け付ける。また、画像処理装置は、受け付けた中心点を略中心とする領域で区切られる代表時相の三次元画像データを用いて、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける中心点を特定する。また、画像処理装置は、代表時相の三次元画像データについては、指定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定し、該代表時相以外の時相の三次元画像データについては、特定した中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置)、超音波診断装置などの医用画像診断装置によって撮像された三次元画像データを表示する手法として、VE(Virtual Endoscopy)法やMPR(Multi Planar Reconstruction)法、カーブMPR(Curved MPR)法などが知られている。VE法は、視線方向及び視野角度で定まる範囲に対して視点位置から放射状に三次元画像データを透視投影することで、投影画像を生成し、表示する手法である。また、MPR法は、例えば等間隔や等角度などに設定された断面の画像を生成し、表示する手法である。また、カーブMPR法は、例えば曲線に沿って設定された断面の画像を生成し、表示する手法である。
【0003】
これらの手法は、複数の時相について撮像された三次元画像データ群を表示する場合にも活用される。例えば、これらの手法を実行する画像処理装置は、複数の時相について撮像された三次元画像データ群を時系列に沿って順に表示することにより、撮像対象物の時間経過を動画で表示する(例えば特許文献1など)。もっとも、このような表示を行う場合、各時相において撮像対象物の位置ずれが発生することがある。例えば、血管、気管支、大腸などの管腔臓器の位置ずれである。このため、従来の画像処理装置は、例えば、各時相の三次元画像データ毎に、管腔臓器の口径の略中心を示す中心点の設定を操作者から受け付け、受け付けた中心点を用いて管腔臓器の口径の略中心を貫通する中心線を求め、求めた中心線を用いて動画を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−187896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、操作者が各時相の三次元画像データ毎に中心点を設定しなければならず、操作者における負荷が高く、処理時間が長いという課題があった。なお、かかる課題は、中心点の設定に限られるものではない。例えば、従来の画像処理装置は、管腔臓器の内壁に形成された特定部位(例えば、石灰化部位やプラーク部位など)に対する探索始点の設定を操作者から受け付け、受け付けた始点から三次元画像データを探索して特定部位を抽出し、抽出した特定部位を三次元画像データから除いた画像(例えば、石灰化部位やプラーク部位などを除いた血管内壁の画像)を表示する。この設定も、各時相の三次元画像データ毎に行われるので、中心点の設定と同様、処理時間が課題となる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、処理時間を短縮することが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の本発明は、管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データにおいて、該管腔臓器の口径の略中心を貫通する中心線上の点である中心点の指定を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた中心点を略中心とする領域で区切られる前記代表時相の三次元画像データを用いて、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける中心点を特定する特定手段と、前記代表時相の三次元画像データについては、前記受付手段によって指定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定し、該代表時相以外の時相の三次元画像データについては、前記特定手段によって特定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の本発明は、管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データにおいて、該管腔臓器の内壁に形成された特定部位内の所定点の指定を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた所定点を始点として探索を行い、前記代表時相の三次元画像データから前記特定部位を抽出する代表時相抽出手段と、前記代表時相抽出手段によって抽出された特定部位の三次元画像データを用いて、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける前記所定点を特定する特定手段と、前記代表時相以外の時相の三次元画像データについて、前記特定手段によって特定された所定点を始点として探索を行い、該時相の三次元画像データから特定部位を抽出する他時相抽出手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1又は4に記載の本発明によれば、処理時間を短縮することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係る画像処理装置100の概要を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例1に係る画像処理装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施例1における中心線設定処理を説明するための図である。
【図4】図4は、実施例1における基準を説明するための図である。
【図5】図5は、実施例1に係る画像処理装置100による処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施例2における中心線設定処理を説明するための図である。
【図7】図7は、実施例3における基準を説明するための図である。
【図8】図8は、実施例4における立方体領域を説明するための図である。
【図9】図9は、実施例5に係る画像処理装置200の概要を説明するための図である。
【図10】図10は、実施例5に係る画像処理装置200の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、実施例5における始点設定処理を説明するための図である。
【図12】図12は、実施例5に係る画像処理装置200による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像処理装置の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
[実施例1に係る画像処理装置100の概要]
まず、図1を用いて、実施例1に係る画像処理装置100の概要を説明する。図1は、実施例1に係る画像処理装置100の概要を説明するための図である。図1に例示するように、実施例1に係る画像処理装置100は、管腔臓器が複数の時相について撮像された三次元画像データ群を処理対象とする。管腔臓器とは、例えば、血管、気管支、大腸などである。なお、図1においては、説明の便宜上3つの時相を例示するが、本発明はこれに限られるものではなく、複数の時相について撮像された三次元画像データ群であれば、時相の数は任意である。
【0013】
まず、実施例1に係る画像処理装置100は、図1に例示するように、代表時相の三次元画像データにおいて中心点の指定を受け付ける。ここで、中心点とは、図1に例示するように、管腔臓器の口径の略中心を貫通する中心線上の点(図1において黒丸で示す)である。例えば、画像処理装置100は、図1に例示するように、6つの中心点の指定を操作者から受け付ける。なお、図1においては、説明の便宜上中心線を示すが、中心点の指定を操作者から受け付ける段階において、中心線は未だ設定されていない。
【0014】
次に、画像処理装置100は、中心点を略中心とする領域(例えば図1に例示するような立方体領域)で区切られる代表時相の三次元画像データを用いて、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける中心点を特定する。例えば、画像処理装置100は、図1に例示するように、中心点を略中心とする立方体領域で区切られる代表時相の三次元画像データを用いて、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれをパターン検索し、画像のパターンが一致する(又は類似度が高い)領域の略中心を中心点として特定する。
【0015】
また、画像処理装置100は、代表時相の三次元画像データについては、操作者から指定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する。また、画像処理装置100は、代表時相以外の時相の三次元画像データについては、代表時相の三次元画像データを用いて特定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する。
【0016】
このように、実施例1によれば、操作者は、少なくとも代表時相の三次元画像データに対して中心点を設定すればよく、各時相の三次元画像データ毎に中心点を設定する必要はないので、操作者における負荷が軽減され、処理時間が短縮される。
【0017】
[実施例1に係る画像処理装置100の構成]
次に、実施例1に係る画像処理装置100の構成を説明する。図2は、実施例1に係る画像処理装置100の構成を示すブロック図である。図2に例示するように、実施例1に係る画像処理装置100は、ネットワークを介して医用画像診断装置1と接続される。
【0018】
実施例1に係る医用画像診断装置1は、被検体の管腔臓器を複数時相について撮影し、三次元画像データ群を収集し、収集した三次元画像データ群を記憶部に格納する。例えば、医用画像診断装置1は、三次元X線CT画像を収集するX線CT装置、三次元MRI画像を収集するMRI装置、三次元超音波画像を収集する超音波診断装置などである。また、実施例1に係る医用画像診断装置1は、医用画像を管理するPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベース、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベースなどを備える。
【0019】
実施例1に係る画像処理装置100は、図2に例示するように、特に、三次元画像データ記憶部110と、中心点指定受付部120と、中心点特定部121と、中心線設定部122とを備える。
【0020】
三次元画像データ記憶部110は、医用画像診断装置1によって収集された三次元画像データを記憶する。具体的には、実施例1に係る画像処理装置100は、医師などの操作者から指定された三次元画像データを医用画像診断装置1の記憶部などから取得し、取得した三次元画像データを三次元画像データ記憶部110に格納する。また、三次元画像データ記憶部110が記憶する三次元画像データは、後述する中心点指定受付部120、中心点特定部121、及び中心線設定部122による処理に利用される。
【0021】
以下では、操作者が指定することにより、被検体Pの血管が複数時相について撮像された三次元X線CT画像が医用画像診断装置1から取得された場合を説明する。なお、被検体Pの血管が撮像された三次元MRI画像又は三次元超音波画像が取得された場合などにも、本発明を同様に適用することができる。また、血管以外の管腔臓器が撮影された場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0022】
中心点指定受付部120は、代表時相の三次元画像データにおいて中心点の指定を操作者から受け付ける。具体的には、中心点指定受付部120は、三次元画像データ記憶部110に記憶された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データを表示部(図示を省略)に表示する。また、中心点指定受付部120は、該代表時相の三次元画像データに対して入力部(図示を省略)を介して操作者から中心点の指定を受け付けると、中心点の指定を受け付けた旨を中心点特定部121に通知する。ここで、中心点とは、管腔臓器の口径の略中心を貫通する中心線上の点である。
【0023】
図3は、実施例1における中心線設定処理を説明するための図である。なお、図3において、(A)が、1つの時相の三次元画像データに対応し、(B)〜(D)が、1つの時相の三次元画像データに対応する。すなわち、(A)と(B)との間の矢印は、代表時相の三次元画像データである(A)を用いて(B)の三次元画像データにおける中心点の特定がなされることを示す。一方、(B)〜(D)の間の矢印は、ある時相の三次元画像データにおける中心線設定処理の変遷を示す。
【0024】
図3の(A)に例示するように、実施例1に係る中心点指定受付部120は、6つの中心点の指定を操作者から受け付ける。例えば、操作者は、複数時相の三次元画像データ群の中から代表時相の三次元画像データを選択し、画像処理装置100の表示部(図示を省略)に表示された代表時相の三次元画像データに対してマウスを用いてクリックすることで、中心点を指定する。
【0025】
中心点特定部121は、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける中心点を特定する。具体的には、中心点特定部121は、中心点の指定を受け付けた旨の通知を中心点指定受付部120から受け付けると、受け付けた中心点を略中心とする領域で区切られる代表時相の三次元画像データを用いて、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける中心点を特定し、中心点を特定した旨を中心線設定部122に通知する。
【0026】
なお、中心点特定部121は、1時相の三次元画像データについて中心点を特定する毎に、中心点を特定した旨を中心線設定部122に通知してもよいし、全時相の三次元画像データについて中心点を特定した後に、中心点を特定した旨を中心線設定部122に通知してもよい。
【0027】
図3の(A)に例示するように、実施例1に係る中心点特定部121は、中心点を略中心とする領域として、中心点を略中心とする立方体領域を用いる。すなわち、中心点特定部121は、代表時相の三次元画像データから、操作者から指定された中心点を略中心とする6つの立方体領域を抽出する。続いて、図3の(B)に例示するように、中心点特定部121は、抽出した6つの立方体領域それぞれを用いて、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれをパターン検索する。パターン検索は、画像間の類似度に基づき、該当する画像のパターンを他方の画像内で検索するものであり、公知の技術を用いて実現する。
【0028】
そして、図3の(C)に例示するように、中心点特定部121は、代表時相以外の時相の三次元画像データにおいて、立方体領域のパターンと画像のパターンが一致する(又は、最も類似度が高い位置において)6つの立方体領域を特定し、特定した立方体領域それぞれの略中心を、中心点として特定する。すなわち、中心点特定部121は、図3の(C)に例示するように、6つの中心点を特定する。
【0029】
中心線設定部122は、代表時相の三次元画像データについては、中心点指定受付部120によって受け付けられた中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する。また、中心線設定部122は、代表時相以外の時相の三次元画像データについては、中心点特定部121によって特定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する。具体的には、中心線設定部122は、中心点を特定した旨の通知を中心点特定部121から受け付けると、図3の(A)及び(D)に例示するように、三次元画像データそれぞれについて、中心点同士を結ぶように管腔臓器の中心線を設定し、処理を終了する。
【0030】
なお、実施例1に係る画像処理装置100は、中心線設定部122による処理の終了後、表示制御部(図示を省略)による制御の下、例えば、中心線が設定された三次元画像データそれぞれからカーブMPR画像を作成し、作成した画像群を時系列に沿って連続して表示することにより、撮像対象物の時間経過を動画で表示部(図示を省略)に表示する。
【0031】
ここで、実施例1においては、1つの代表時相の三次元画像データを、他の全ての三次元画像データ群の基準とする手法を採る。この点について図4を用いて説明する。図4は、実施例1における基準を説明するための図である。なお、図4においては、中心点特定済みの三次元画像データを白抜きの箱で示し、中心点特定前の三次元画像データを網掛けの箱で示す。
【0032】
図4に例示するように、実施例1においては、管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち、1つの三次元画像データを、代表時相の三次元画像データとする。例えば、操作者が、三次元画像データ群を閲覧しながら、造影剤の状況が最も良好な三次元画像データを代表時相の三次元画像データとして選択し、選択した代表時相の三次元画像データに対して中心点を指定する。
【0033】
また、図4に例示するように、実施例1においては、代表時相以外の他の時相の三次元画像データそれぞれは、いずれも、代表時相の三次元画像データから抽出された立方体領域を用いてパターン検索される。このように、実施例1においては、代表時相の三次元画像データを、他の全ての三次元画像データ群の基準とする手法を採るので、パターン検索において、誤差は、代表時相の三次元画像データと、その比較対象となる他の時相の三次元画像データとの間の誤差に限られる。この結果、誤差が少なくなるという効果が得られる。
【0034】
[実施例1に係る画像処理装置100による処理手順]
続いて、図5を用いて、実施例1に係る画像処理装置100による処理手順を説明する。図5は、実施例1に係る画像処理装置100による処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
図5に例示するように、実施例1に係る画像処理装置100において、まず、中心点指定受付部120が、代表時相の三次元画像データに対する中心点の指定を受け付ける(ステップS101)。
【0036】
次に、中心点特定部121が、ステップS101において受け付けた中心点を略中心とする立方体領域で区切られる三次元画像データを用いて、代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれについて、パターン検索を行う(ステップS102)。
【0037】
続いて、中心点特定部121は、代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれにおける中心点を特定する(ステップS103)。
【0038】
そして、中心線設定部122が、代表時相の三次元画像データについては、ステップS101において指定された中心点を用いて中心線を設定し、代表時相以外の三次元画像データについては、ステップS103において特定された中心点を用いて中心線を設定する(ステップS104)。
【0039】
なお、処理手順は上記に限られるものではない。例えば、代表時相の三次元画像データにおける中心線の設定は、ステップS101の後、ステップS102などと併行して実行することができる。また、代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれについて行われるステップS103の処理やステップS104の処理は、三次元画像データ毎に連続して行われてもよいし、三次元画像データ群全てについてステップS103の処理を行い、続いて、三次元画像データ群全てについてステップS104の処理を行ってもよい。このように、本発明において、処理手順は任意に変更可能である。
【0040】
[実施例1の効果]
上述したように、実施例1に係る画像処理装置100においては、中心点指定受付部120が、管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データにおいて、該管腔臓器の口径の略中心を貫通する中心線上の点である中心点の指定を受け付ける。また、中心点特定部121が、中心点指定受付部120によって受け付けられた中心点を略中心とする領域で区切られる代表時相の三次元画像データを用いて、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける中心点を特定する。また、中心線設定部122が、代表時相の三次元画像データについては、中心点指定受付部120によって指定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定し、代表時相以外の時相の三次元画像データについては、中心点特定部121によって特定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する。
【0041】
このようなことから、実施例1によれば、操作者は、少なくとも代表時相の三次元画像データに対して中心点を設定すればよく、各時相の三次元画像データ毎に中心点を設定する必要はないので、操作者における負荷が軽減され、処理時間が短縮される。言い換えると、VE法やカーブMPR法などにおいて、画像の時間方向の観察を簡便に行うことが可能になる。
【0042】
また、中心点特定部121は、領域で区切られる代表時相の三次元画像データを用いて、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれをパターン検索し、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける該領域をパターン検索の結果に基づき特定し、特定した該領域の略中心を中心点であると特定する。このようなことから、実施例1によれば、簡便な手法により中心点の設定を自動化することができ、また、画像全体のパターン検索と比較した場合にも、処理時間が短縮される。
【実施例2】
【0043】
さて、実施例1においては、画像処理装置100が、複数の中心点(例えば6つの中心点)の指定を操作者から受け付ける例を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。代表時相の三次元画像データに対して操作者から受け付ける中心点の指定は、例えば、1つでもよい。この点について図6を用いて説明する。
【0044】
図6は、実施例2における中心線設定処理を説明するための図である。なお、図6において、(A)が、1つの時相の三次元画像データに対応し、(B)〜(D)が、1つの時相の三次元画像データに対応する。すなわち、(A)と(B)との間の矢印は、代表時相の三次元画像データである(A)を用いて(B)の三次元画像データにおける中心点の特定がなされることを示す。一方、(B)〜(D)の間の矢印は、ある時相の三次元画像データにおける中心線設定処理の変遷を示す。
【0045】
図6の(A)に例示するように、実施例2に係る中心点指定受付部120は、1つの中心点の指定を操作者から受け付ける。例えば、操作者は、複数時相の三次元画像データ群の中から代表時相の三次元画像データを選択し、画像処理装置100の表示部(図示を省略)に表示された代表時相の三次元画像データに対してマウスを用いてクリックすることで、1つの中心点を指定する。
【0046】
また、実施例2に係る中心点特定部121は、図6の(A)に例示するように、代表時相の三次元画像データから、操作者から指定された中心点を略中心とする1つの立方体領域を抽出する。続いて、図6の(B)に例示するように、中心点特定部121は、抽出した1つの立方体領域を用いて、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データをパターン検索する。そして、図6の(C)に例示するように、中心点特定部121は、代表時相以外の時相の三次元画像データにおいて、立方体領域のパターンと画像のパターンが一致する1つの立方体領域を特定し、特定した立方体領域の略中心を、中心点として特定する。すなわち、中心点特定部121は、図6の(C)に例示するように、1つの中心点を特定する。
【0047】
また、実施例2に係る中心線設定部122は、代表時相の三次元画像データについては、中心点指定受付部120によって受け付けられた1つの中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する。また、中心線設定部122は、代表時相以外の時相の三次元画像データについては、中心点特定部121によって特定された1つの中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する。具体的には、中心線設定部122は、中心点を特定した旨の通知を中心点特定部121から受け付けると、図6の(A)及び(D)に例示するように、三次元画像データ群それぞれについて、1つの中心点を始点として公知の技術を用いた探索を行うことにより、管腔臓器の中心線それぞれを設定する。
【実施例3】
【0048】
続いて、実施例1においては、図4に例示したように、代表時相の三次元画像データを、他の全ての三次元画像データ群の基準とする手法を採ったが、本発明はこれに限られるものではない。実施例3に係る画像処理装置100は、代表時相の三次元画像データを基準に、時系列上隣り合う三次元画像データ同士でパターン検索を行う手法を採る。この点について図7を用いて説明する。
【0049】
図7は、実施例3における基準を説明するための図である。なお、図7においては、中心点特定済みの三次元画像データを白抜きの箱で示し、中心点設定前の三次元画像データを網掛けの箱で示す。
【0050】
図7に例示するように、実施例3においては、実施例1と同様、管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち、1つの三次元画像データを、代表時相の三次元画像データとする。例えば、操作者が、三次元画像データ群を閲覧しながら、造影剤の状況が最も良好な三次元画像データを代表時相の三次元画像データとして選択し、選択した代表時相の三次元画像データに対して中心点を指定する。
【0051】
また、図7に例示するように、実施例3においては、まず、代表時相の三次元画像データと時系列上隣り合う三次元画像データについて、代表時相の三次元画像データから抽出された立方体領域を用いたパターン検索が行われる。すると、図7に例示するように、代表時相の三次元画像データと時系列上隣り合う2つの三次元画像データについて、中心点特定済みとなる。
【0052】
次に、実施例3に係る画像処理装置100は、中心点特定済みとなった三次元画像データを新たな基準として、新たな基準となった時相の三次元画像データと時系列上隣り合う三次元画像データについて、新たな基準となった時相の三次元画像データから抽出された立方体領域を用いたパターン検索が行われる。すなわち、画像処理装置100は、新たな基準となった時相の三次元画像データにおいて、特定された中心点を略中心とする立方体領域をさらに抽出し、抽出した立方体領域を用いて、時系列上さらに隣り合う三次元画像データについてパターン検索を行う。すると、図7に例示するように、新たな基準となった時相の三次元画像データと時系列上隣り合う三次元画像データについて、中心点特定済みとなる。
【0053】
すなわち、例えば造影剤による影響を考慮すると、隣り合う三次元画像データ同士の方が造影剤の状況は近似する。例えば、造影剤は、撮像開始とともに徐々に注入され、ある時点を境に徐々に排出される。このように、造影剤が「徐々に」注入され「徐々に」排出されるものであることに鑑みると、隣り合う三次元画像データ同士の方が造影剤の状況は近似するといえる。そうであるとすると、2つの三次元画像データ同士のパターン検索を行う場合、類似度は、パターンの類似度以外の要因、すなわち造影剤の状況の違いなどの要因を取り除いて計測されるべきである。言い換えると、類似度はさほど相違しないにもかかわらず、造影剤の状況が大きく異なると、2つの三次元画像データ間の類似度は低い値を示すことになり、パターン検索が正しく行われない。この点、実施例3の手法によれば、造影剤の状況が近似する、隣り合う三次元画像データ同士でパターン検索が行われるので、より精度良く中心点の特定を行うことが可能になる。
【実施例4】
【0054】
さて、実施例1〜3においては、立方体領域の大きさは、例えば予め設定されているものを想定したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、被検体毎に、あるいは撮像部位毎にも異なるであろう撮像対象に応じて、立方体領域の大きさを適宜変更してもよい。この点について図8を用いて説明する。図8は、実施例4における立方体領域を説明するための図である。
【0055】
実施例4に係る画像処理装置100は、図8に例示するように、例えば血管の口径に応じて立方体の領域を変更する。例えば、画像処理装置100は、CT値の閾値処理などを用いて血管壁を抽出し、血管壁をちょうど含む程度の大きさの立方体領域、言い換えると、血管の口径とほぼ同一の面積を一面に有する立方体領域を、中心点毎に設定する。すると、図8に例示するように、血管が太いところでは立方体領域の大きさも大きくなり、血管が細いところでは立方体領域の大きさが小さくなる。
【0056】
このように、実施例4によれば、画像処理装置100は、血管以外の画像データをできるだけ含まない適切な大きさの領域を用いることになるので、パターン検索の精度がさらに上がることになる。
【実施例5】
【0057】
さて、これまで実施例1〜4として、三次元画像データの中心点の設定について説明してきたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、従来の画像処理装置は、管腔臓器の内壁に形成された特定部位(例えば、石灰化部位やプラーク部位など)に対する探索始点の設定を操作者から受け付け、受け付けた始点から三次元画像データを探索して特定部位を抽出し、抽出した特定部位を三次元画像データから除いた画像(例えば、石灰化部位やプラーク部位などを除いた血管内壁の画像)を表示するなどしていた(セグメンテーションとも称する)。この設定も、各時相の三次元画像データ毎に行われるので、中心点の設定と同様、処理時間が課題となっていた。実施例5に係る画像処理装置200は、このような始点の設定について課題を解決するものである。
【0058】
[実施例5に係る画像処理装置200の概要]
まず、図9を用いて、実施例5に係る画像処理装置200の概要を説明する。図9は、実施例5に係る画像処理装置200の概要を説明するための図である。図9に例示するように、実施例5に係る画像処理装置200は、管腔臓器が複数の時相について撮像された三次元画像データ群を処理対象とする。管腔臓器とは、例えば、血管、気管支、大腸などである。なお、図9においては、説明の便宜上3つの時相を例示するが、本発明はこれに限られるものではなく、複数の時相について撮像された三次元画像データ群であれば、時相の数は任意である。
【0059】
まず、実施例5に係る画像処理装置200は、図9の(A)に例示するように、代表時相の三次元画像データにおいて、管腔臓器の内壁に形成された特定部位内の所定点の指定を受け付ける。ここで、所定点とは、図9の×印で例示するように、特定部位内の点であればどの位置に指定されてもよい。なお、所定点の指定を操作者から受け付ける段階において、特定部位は未だ抽出されていない。
【0060】
次に、画像処理装置200は、受け付けられた所定点を始点として探索を行い、代表時相の三次元画像データから特定部位を抽出する。例えば、画像処理装置200は、CT値の閾値処理などを用いて探索を行い、特定部位を抽出する。
【0061】
そして、画像処理装置200は、抽出された特定部位の三次元画像データを用いて、代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれについて、特定部位内の所定点を特定する。例えば、画像処理装置200は、まず、代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれについて2値化処理を行う。
【0062】
そして、図9の(B)及び(C)に例示するように、画像処理装置200は、抽出された特定部位の三次元画像データ(図9の(B)及び(C)において点線で例示)を、2値化処理後の代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれに重畳し、抽出された特定部位と、例えば「1」の値を有する領域とが重なり合う領域(図9の(B)及び(C)において斜線で例示)を特定し、特定した領域内の点(図9の(B)及び(C)において×印で例示)を所定点として特定する。
【0063】
また、画像処理装置200は、代表時相以外の時相の三次元画像データについて、代表時相の三次元画像データを用いて特定された所定点を始点として探索を行い、特定部位を抽出する。
【0064】
このように、実施例5によれば、操作者は、少なくとも代表時相の三次元画像データに対して始点を設定すればよく、各時相の三次元画像データ毎に始点を設定する必要はないので、操作者における負荷が軽減され、処理時間が短縮される。
【0065】
[実施例5に係る画像処理装置200の構成]
次に、実施例5に係る画像処理装置200の構成を説明する。図10は、実施例5に係る画像処理装置200の構成を示すブロック図である。図10に例示するように、実施例5に係る画像処理装置200は、ネットワークを介して医用画像診断装置1と接続される。
【0066】
実施例5に係る医用画像診断装置1は、被検体の管腔臓器を複数時相について撮影し、三次元画像データ群を収集し、収集した三次元画像データ群を記憶部に格納する。例えば、医用画像診断装置1は、三次元X線CT画像を収集するX線CT装置、三次元MRI画像を収集するMRI装置、三次元超音波画像を収集する超音波診断装置などである。また、実施例5に係る医用画像診断装置1は、医用画像を管理するPACSのデータベース、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベースなどを備える。
【0067】
実施例5に係る画像処理装置200は、図10に例示するように、特に、三次元画像データ記憶部210と、始点指定受付部220と、代表時相特定部位抽出部221と、始点特定部222と、特定部位抽出部223とを備える。
【0068】
三次元画像データ記憶部210は、医用画像診断装置1によって収集された三次元画像データを記憶する。具体的には、実施例5に係る画像処理装置200は、医師などの操作者から指定された三次元画像データを医用画像診断装置1の記憶部などから取得し、取得した三次元画像データを三次元画像データ記憶部210に格納する。また、三次元画像データ記憶部210が記憶する三次元画像データは、後述する始点指定受付部220、代表時相特定部位抽出部221、始点特定部222、及び特定部位抽出部223による処理に利用される。
【0069】
以下では、操作者が指定することにより、被検体Pの血管が複数時相について撮像された三次元X線CT画像が医用画像診断装置1から取得された場合を説明する。なお、被検体Pの血管が撮像された三次元MRI画像又は三次元超音波画像が取得された場合などにも、本発明を同様に適用することができる。また、血管以外の管腔臓器が撮影された場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0070】
始点指定受付部220は、代表時相の三次元画像データにおいて所定点の指定を操作者から受け付ける。具体的には、始点指定受付部220は、三次元画像データ記憶部210に記憶された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データを表示部(図示を省略)に表示する。また、始点指定受付部220は、該代表時相の三次元画像データに対して入力部(図示を省略)を介して操作者から所定点の指定を受け付けると、所定点の指定を受け付けた旨を代表時相特定部位抽出部221に通知する。ここで、所定点とは、管腔臓器の内壁に形成された特定部位を探索するための始点となる点である。
【0071】
図11は、実施例5における始点設定処理を説明するための図である。図11の(A)に例示するように、実施例5に係る始点指定受付部220は、所定点の指定を操作者から受け付ける。例えば、操作者は、複数時相の三次元画像データ群の中から代表時相の三次元画像データを選択し、画像処理装置200の表示部(図示を省略)に表示された代表時相の三次元画像データに対してマウスを用いてクリックすることで、所定点(図11の(A)において×印で例示)を指定する。
【0072】
代表時相特定部位抽出部221は、代表時相の三次元画像データから特定部位を抽出する。具体的には、代表時相特定部位抽出部221は、所定点の指定を受け付けた旨の通知を始点指定受付部220から受け付けると、図11の(B)に例示するように、受け付けた所定点を始点として代表時相の三次元画像データを探索し、代表時相の三次元画像データから特定部位を抽出する。探索は、例えばCT値の閾値処理などの公知技術によって実現する。そして、代表時相特定部位抽出部221は、特定部位を抽出した旨を始点特定部222に通知する。
【0073】
始点特定部222は、代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける所定点を特定する。具体的には、始点特定部222は、特定部位を抽出した旨の通知を代表時相特定部位抽出部221から受け付けると、図11の(C)に例示するように、代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれについて2値化処理を行う。
【0074】
そして、始点特定部222は、図11の(D)に例示するように、代表時相特定部位抽出部221によって抽出された特定部位の三次元画像データ(図11の(D)において点線で例示)を、2値化処理後の代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれに重畳し、抽出された特定部位と、例えば「1」の値を有する領域とが重なり合う領域(図11の(D)において黒色で例示)を特定し、特定した領域内の点を所定点として特定する。そして、始点特定部222は、所定点を特定した旨を特定部位抽出部223に通知する。
【0075】
特定部位抽出部223は、代表時相以外の時相の三次元画像データから特定部位それぞれを抽出する。具体的には、特定部位抽出部223は、所定点を特定した旨の通知を始点特定部222から受け付けると、図11の(E)に例示するように、代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれについて、始点特定部222によって特定された所定点を始点として探索を行い、それぞれの三次元画像データから特定部位を抽出する。
【0076】
[実施例5に係る画像処理装置200による処理手順]
続いて、図12を用いて、実施例5に係る画像処理装置200による処理手順を説明する。図12は、実施例5に係る画像処理装置200による処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
図12に例示するように、実施例5に係る画像処理装置200において、まず、始点指定受付部220が、代表時相の三次元画像データにおいて、特定部位(例えば、石灰化部位)内の所定点の指定を受け付ける(ステップS201)。
【0078】
次に、代表時相特定部位抽出部221が、ステップS201において受け付けた所定点を始点として探索を行い、代表時相の三次元画像データから特定部位(例えば、石灰化部位)を抽出する(ステップS202)。
【0079】
続いて、始点特定部222が、ステップS202において抽出された特定部位(例えば、石灰化部位)を、2値化後の他時相の三次元画像データそれぞれに重畳し、特定部位の三次元画像データと、2値のうちの所定値を有する領域とが重なり合う領域を特定し、特定した領域内の点を所定点として特定する(ステップS203)。
【0080】
そして、特定部位抽出部223が、代表時相以外の三次元画像データについて、ステップS203において特定された所定点を始点として探索を行い、該時相の三次元画像データから特定部位(例えば、石灰化部位)を抽出する(ステップS204)。
【0081】
なお、処理手順は上記に限られるものではない。代表時相以外の時相の三次元画像データそれぞれについて行われるステップS203の処理やステップS204の処理は、三次元画像データ毎に連続して行われてもよいし、三次元画像データ群全てについてステップS203の処理を行い、続いて、三次元画像データ群全てについてステップS204の処理を行ってもよい。このように、本発明において、処理手順は任意に変更可能である。
【0082】
また、実施例1や実施例3において、三次元画像データ間の基準をどのように設定するかについて図4や図7を用いて説明したが、図4の手法(1つの代表時相の三次元画像データを基準とする手法)及び図7の手法(時系列上隣り合う三次元画像データ同士を基準とする手法)のいずれも、実施例5に係る画像処理装置200にも同様に適用することができる。
【0083】
[実施例5の効果]
上述したように、実施例5に係る画像処理装置200においては、始点指定受付部220が、管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データにおいて、該管腔臓器の内壁に形成された特定部位内の所定点の指定を受け付ける。また、代表時相特定部位抽出部221が、始点指定受付部220によって受け付けられた所定点を始点として探索を行い、代表時相の三次元画像データから特定部位を抽出する。また、始点特定部222が、代表時相特定部位抽出部221によって抽出された特定部位の三次元画像データを用いて、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける所定点を特定する。また、特定部位抽出部223が、代表時相以外の時相の三次元画像データについて、始点特定部222によって特定された所定点を始点として探索を行い、該時相の三次元画像データから特定部位を抽出する。
【0084】
このようなことから、実施例5によれば、操作者は、少なくとも代表時相の三次元画像データに対して始点を設定すればよく、各時相の三次元画像データ毎に始点を設定する必要はないので、操作者における負荷が軽減され、処理時間が短縮される。言い換えると、VE法やカーブMPR法などにおいて、画像の時間方向の特定部位(例えば石灰化部位)の観察を簡便に行うことが可能になる。
【実施例6】
【0085】
その他、本発明は、上記実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0086】
上記実施例においては、画像処理装置100や画像処理装置200が、医用画像診断装置1とは別の筐体として備えられる例を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、画像処理装置100や画像処理装置200は、医用画像診断装置1内に備えられてもよい。
【0087】
また、上記実施例においては、医用画像診断装置1が、PACSのデータベースや電子カルテシステムのデータベースなどを備え、画像処理装置100や画像処理装置200が、医用画像診断装置1から三次元画像データを取得する構成を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。PACSのデータベースや電子カルテシステムのデータベースなどが医用画像診断装置1とは別の装置として備えられ、画像処理装置100や画像処理装置200が、これらのデータベースから三次元画像データを取得する構成でもよい。また、画像処理装置100や画像処理装置200が、ネットワークに接続されていない装置であり、操作者によって別途入力されることにより三次元画像データを取得する構成でもよい。
【0088】
また、上記実施例においては、画像処理装置100や画像処理装置200が、三次元画像データ記憶部110や三次元画像データ記憶部210を備える構成を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。画像処理装置100や画像処理装置200は、医用画像診断装置1などから取得した三次元画像データ群を一時的に記憶することができればよい。
【0089】
また、上記実施例1及び2においては、パターン検索に用いる領域として立方体領域を想定したが、本発明はこれに限られるものではなく、中心点近傍の領域で、かつ適度な大きさの領域(例えば、対象となる管腔臓器以外の部分を多く含みすぎない大きさ)であれば、直方体領域や球形領域など、他の形態の領域であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 医用画像診断装置
100 画像処理装置
110 三次元画像データ記憶部
120 中心点指定受付部
121 中心点特定部
122 中心線設定部
210 三次元画像データ記憶部
220 始点指定受付部
221 代表時相特定部位抽出部
222 始点特定部
223 特定部位抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データにおいて、該管腔臓器の口径の略中心を貫通する中心線上の点である中心点の指定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた中心点を略中心とする領域で区切られる前記代表時相の三次元画像データを用いて、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける中心点を特定する特定手段と、
前記代表時相の三次元画像データについては、前記受付手段によって指定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定し、該代表時相以外の時相の三次元画像データについては、前記特定手段によって特定された中心点を用いて管腔臓器の中心線を設定する設定手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記領域で区切られる前記代表時相の三次元画像データを用いて、前記代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれをパターン検索し、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける該領域をパターン検索の結果に基づき特定し、特定した該領域の略中心を中心点であると特定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記領域として、前記管腔臓器の口径と略同一の面積を一面に有する立方体領域を用いることにより、中心点を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
管腔臓器が複数時相について撮像された三次元画像データ群のうち代表時相の三次元画像データにおいて、該管腔臓器の内壁に形成された特定部位内の所定点の指定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた所定点を始点として探索を行い、前記代表時相の三次元画像データから前記特定部位を抽出する代表時相抽出手段と、
前記代表時相抽出手段によって抽出された特定部位の三次元画像データを用いて、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データそれぞれにおける前記所定点を特定する特定手段と、
前記代表時相以外の時相の三次元画像データについて、前記特定手段によって特定された所定点を始点として探索を行い、該時相の三次元画像データから特定部位を抽出する他時相抽出手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記特定手段は、前記代表時相抽出手段によって抽出された特定部位の三次元画像データを、該代表時相以外の時相について撮像された三次元画像データであって二値化後の三次元画像データそれぞれに重畳し、該特定部位の三次元画像データと二値のうちの所定値を有する領域とが重なり合う領域を特定し、特定した該領域内の点を前記所定点として特定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−40196(P2012−40196A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184275(P2010−184275)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】