説明

画像印刷システム、画像印刷方法、およびプログラム

【課題】印刷途中で電源が断たれ停止し、その後、復電した場合にも正常待機状態にする印刷装置等を提供する。
【解決手段】復電処理部55は、印刷の開始および終了を示す印刷状態情報と、印刷サイズ情報を印刷状態記憶部56に記憶させる。復電処理部55は、印刷途中で電源が断たれ停止し、その後復電した際、印刷状態記憶部56を参照し、復電前に印刷途中であったか否かを判定し、印刷途中であったと判定した場合には、用紙1枚分の排紙制御処理を行う。停電前、印刷途中であった場合に排紙される用紙1枚分の長さは、通常の排紙量より長くなるため、個人情報保護の観点と、カットクズが確実に用紙受けポケットに収納されるようにするため、正規のカットクズ幅と同程度に細かく断裁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷途中で電源が断たれ停止し、その後、復電した場合にも正常待機状態にすることが可能な画像印刷システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、プリンタは、電源投入時に各種検知センサを用いて、所定位置にペーパやインクリボンがあるか否か、所定外の位置にペーパやインクリボンがあるか否かのチェックを行い、所定位置にペーパやインクリボンがない、あるいは、所定外の位置にペーパやインクリボンがあることを検知した場合、エラー表示、ペーパやインクリボンの初期の位置合わせ、所定外の位置にあるペーパやインクリボンの排除を行ったりして、正常待機状態となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、記録部材とインクリボンの走行状態を安定させ、印刷ムラの発生しない高品質な画像を得るようにした熱転写プリンタに関する技術が提案されている。
また、例えば、特許文献2には、停電から復帰後、停電ありと判断すると、印刷途中の用紙を、停電前に印刷し終わった用紙と区別できるように、排出トレイを変更して排出する複合機が開示されている。特許文献2に記載の複合機では、変換電圧が所定の基準値以下まで下がるかどうかを検知する停電検知手段によって、停電を検知する。停電を検知すると、停電があったことを示す停電情報を不揮発性の記憶部に記憶し、停電から復帰後に停電情報を参照することによって、停電ありと判断する。また、停電情報を記憶する時間を確保する為、変換された直流電圧を所定の時間遅延させる遅延回路を備える。
また、例えば、特許文献3には、ロール状の記録用紙に印刷を行い、印刷済みの記録用紙を所定長に切り離して排紙するプリンタにおいて、印刷状況を記憶する記憶手段を備え、電源投入時に、この記憶手段に記憶している印刷状況に基づいて、前回の印刷状況を参照し、前回印刷が未完了状態にある場合には、記録用紙を最大印刷分長分だけ排出して切断するプリンタが開示されている。このプリンタでは、メディアに添付されたRF−IDの情報に基づいて、排紙すべき1枚分の用紙の大きさを判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−315237号公報
【特許文献2】特開2010−107824号公報
【特許文献3】特開2008−137226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、電源投入時チェックによるエラー表示や正常待機状態となっても問題は発生しない。しかしながら、何らかの理由で、印刷途中に停電が起こると、復電時(電源再投入時)に電源投入時チェックを行っても、止まった時の状態によってはエラーが検出されない場合がある。また、エラーが検出されたとしても、位置合わせや、所定外の位置にあるペーパの排除だけを行って待機状態になってしまう。
【0006】
従って、熱転写プリンタやインクジェットプリンタでは、プリンタ内に印刷途中の印刷物の一部もしくは全部が残っているにも拘わらず、それを検知せずに、2重印刷してしまう課題があった。
【0007】
また、熱転写プリンタでは、例えば、止まった時保護層転写済みの場合、2重印刷すると、ペーパとリボンが熱融着を起こし、紙詰まりを引き起こしてしまう課題があった。
【0008】
また、ロール紙の場合、排紙された印刷途中の印刷物は、印刷サイズと同じとは限らないため、印刷システムに組み込まれたプリンタにおいては、システム内で紙詰まりエラーが発生し、結果として紙詰まりを引き起こすといった課題があった。
【0009】
さらに、排紙された印刷物が印刷システム内で紙詰まりエラーが発生しなかったとしても、復電のタイミングによっては、意図せぬ印刷物の排紙となり、次の顧客の印刷物に混入したり、画像によっては、個人情報が流出してしまったりするという課題があった。
例えば、特許文献2のように停電検知手段や遅延回路を備えることによって、前述した問題の一部を回避できる場合もあるが、コストが増大してしまう。高価格帯の複合機では製品価格に転嫁することもできるが、熱転写プリンタやインクジェットプリンタでは、製品価格に転嫁することは難しい。また、特許文献2に記載の技術であっても、個人情報が流出してしまうという問題は残る。
また、例えば、特許文献3のように、メディアに添付されたRF−IDの情報に基づいて、排紙すべき1枚分の用紙の大きさを判断する場合、停電時にインクリボン等のメディアがサイズ違いのものに交換されると、誤ったサイズ情報に基づいて1枚分の用紙を排紙してしまうという課題が残る。
【0010】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、印刷途中で電源が断たれ停止し、その後、復電した場合にも正常待機状態にすることが可能な画像印刷システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、印刷装置とコンピュータとから構成される画像印刷システムであって、画像データの印刷開始または印刷終了を示す印刷状態情報と、現在印刷中の印刷サイズ情報とを記憶する記憶手段と、印刷途中で電源が絶たれ停止し、その後復電した場合、前記記憶手段に記憶されている印刷状態情報から、前記画像データの印刷途中であったか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記画像データの印刷途中であったと判定した場合、前記記憶手段に記憶されている印刷サイズ情報に基づいて、印刷途中の1枚分の用紙を排紙するように制御する排紙制御手段と、を備えることを特徴とする画像印刷システムである。
第1の発明によって、印刷途中で電源が断たれ停止し、その後、復電した場合にも正常待機状態にすることができる。特に、第1の発明では、記憶手段に記憶された印刷サイズ情報に基づいて排紙する用紙のサイズを決めるため、停電時にインクリボン等のメディアがサイズ違いのものに交換されたとしても、適切に排紙を行なう事ができる。
【0012】
前記排紙制御手段は、排紙する1枚分の用紙を細かく断裁するように制御する。
これにより、個人情報が流出してしまうのを防止することができ、用紙受けポケットを備えるプリンタに於いてはカットクズが確実に用紙受けポケットに収納される。
【0013】
前記排紙制御手段は、前記1枚分の用紙を排紙先端と平行に断裁するように制御する。
これにより、個人情報が流出してしまうのを防止することができ、用紙受けポケットを備えるプリンタに於いてはカットクズが確実に用紙受けポケットに収納される。
【0014】
前記排紙制御手段は、前記1枚分の用紙を断裁する断裁幅を、カットクズ幅とほぼ同じにするように制御する。
これにより、個人情報が流出してしまうのを防止することができ、用紙受けポケットを備えるプリンタに於いてはカットクズが確実に用紙受けポケットに収納される。
【0015】
第2の発明は、印刷装置とコンピュータとから構成される画像印刷システムにおける画像印刷方法であって、画像データの印刷開始または印刷終了を示す印刷状態情報と、現在印刷中の印刷サイズ情報とを記憶する記憶ステップと、印刷途中で電源が絶たれ停止し、その後復電した場合前記記憶ステップにおいて記憶されている印刷状態情報から、前記画像データの印刷途中であったか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記画像データの印刷途中であったと判定した場合、前記記憶ステップにおいて記憶されている印刷サイズ情報に基づいて、印刷途中の1枚分の用紙を排紙するように制御する排紙制御ステップと、を含むことを特徴とする画像印刷方法である。
【0016】
第3の発明は、コンピュータに、画像データの印刷開始または印刷終了を示す印刷状態情報と、現在印刷中の印刷サイズ情報とを記憶する記憶ステップと、印刷途中で電源が絶たれ停止し、その後復電した場合、前記記憶ステップにおいて記憶されている印刷状態情報から、前記画像データの印刷途中であったか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記画像データの印刷途中であったと判定した場合、前記記憶ステップにおいて記憶されている印刷サイズ情報に基づいて、印刷途中の1枚分の用紙を排紙するように制御する排紙制御ステップと、を実行させるためのプログラムである。
第3の発明に係るプログラムによって、第1の発明に係る画像印刷システムのコンピュータを得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、印刷途中で電源が断たれ停止し、その後、復電した場合にも正常待機状態にする画像印刷システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るロール紙印刷装置の概略の構成例を示す図である。
【図2】ロール紙印刷装置の主要な構成を説明するための図である。
【図3】断裁機の周辺の拡大図である。
【図4】画像印刷システムの外観斜視図である。
【図5】画像印刷システムのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【図6】画像印刷システムの機能構成例を示すブロック図である。
【図7】通常時処理を説明するフローチャートである。
【図8】復電処理を説明するフローチャートである。
【図9】用紙1枚分を排紙した際の正常待機位置について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
[本発明の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るロール紙印刷装置1の概略の構成例を示す図である。ロール紙印刷装置1は、熱転写方式により印刷を行う昇華型プリンタである。本実施の形態では、昇華型プリンタを例に説明するが、インクジェットプリンタでもよく、印刷方式は特に問わない。
【0021】
図1に示すように、枠体2には、印字用紙9(図2)およびインクリボン21(図2)を容易に交換可能とするための用紙ホルダーユニット3が、枠体2に対して開閉可能に取り付けられている。また、用紙ホルダーユニット3には、用紙排出口3aが設けられており、用紙排出口3aから排出された印字用紙9のカットクズを受けるための用紙受けポケット4が開閉もしくは取り外し可能に取り付けられている。また、図示は省略するが、用紙ホルダーユニット3を開くことにより印字用紙9およびインクリボン21が容易に着脱可能となっている。
【0022】
図2は、ロール紙印刷装置1の主要な構成を説明するための図である。
【0023】
枠体2には、用紙ホルダーユニット3が用紙ホルダーユニット軸3bによって回動可能に取り付けられており、図1に示す閉じた状態と開いた状態(図示せず)との間で回動可能になされている。
【0024】
また、枠体2には、先端部にプリントヘッド7が固着されているプリントヘッドホルダーユニット6が、プリントヘッドホルダーユニット軸6aによって回動可能に取り付けられており、プリントヘッドホルダーユニット6は、図示せぬプリントヘッドホルダーユニット駆動手段によって、図2に示す待機位置から回動させられて、プリントヘッド7が、インクリボン21と印字用紙9を重ねてプラテン12に圧接する。
【0025】
用紙ホルダーユニット3の枠体を構成する用紙ホルダーユニット枠体5には、用紙ホルダ8が回転自在に取り付けられており、用紙ホルダ8には、ロール状に巻回された印字用紙9が装着されている。また、用紙ホルダーユニット枠体5には、下グリップローラ10と上グリップローラ11が互いにその間を通る印字用紙9を挟持するように回転自在に取り付けられている。下グリップローラ10と上グリップローラ11に隣接してプラテン12が回転可能に取り付けられている。
【0026】
プラテン12に隣接して印字用紙9を搬送するためのフィードローラ13が回転可能に取り付けられ、フィードローラ13は、図示せぬ伝動手段を介して原動手段である用紙搬送モータに連結され、用紙搬送モータは、図示せぬ制御回路に接続されている。また、フィードローラ13の外周上面には、ピンチローラ14がフィードローラ13との間に印字用紙9を挟持するように回転自在に取り付けられている。
【0027】
フィードローラ13と用紙排出口3aとの間には、印字用紙9をフィードローラ13から用紙排出口3aに案内するための用紙ガイド板15が設けられており、用紙ガイド板15の上方には印字用紙9が通過するための通路を隔てて第1ローラホルダ16および第2ローラホルダ18が設けられている。
【0028】
用紙ホルダ8に巻回された印字用紙9の端部9aは、引き出されて下グリップローラ10と上グリップローラ11との間を通り、プラテン12の外周の一部に巻き付いて、フィードローラ13とピンチローラ14との間を通り、用紙ガイド板15と、第1ローラホルダ16、巻き癖矯正ローラ17、第2ローラホルダ18との間に形成されている通路を通って用紙排出口3aから排出されるように装着されている。
【0029】
さらに、用紙ホルダーユニット枠体5には、インクリボンホルダ20が回転自在に取り付けられており、インクリボンホルダ20にはロール状に巻回されたインクリボン21が装着されている。インクリボンホルダ20からプラテン12を隔てた反対側にはインクリボン巻き取り軸19が回転自在に取り付けられており、インクリボン巻き取り軸19には、インクリボン巻き軸19に装着されたインクリボン21の端部が引き出されて巻き取り可能に取り付けられている。インクリボン21には、イエロー、マゼンタ、シアンのインクがそれぞれ所定の領域を持って順次繰り返し塗布されている。断裁機(カッタ)22は、印刷が行われた印字用紙9を所定の長さに断裁する。
【0030】
図3は、断裁機22の周辺の拡大図である。
【0031】
図3(a)に示すように、印字用紙9は、通路を通って用紙排出口3aから排出されるが、断裁機22が印字用紙9を切断する際にカットクズが出る。そのカットクズを受けるための用紙受けポケット4が断裁機22の下部に位置するように設けられている。
【0032】
通常、カットクズを出す印刷方式を想定した印刷装置は、図1、図2、および図3(a)に示すようなカットクズを受けるための用紙受けポケット4を装備している場合が多い。そのため、カットクズを排出する、または、カットクズを排出しない、のシークエンスに依らず、本発明における印刷途中の1枚分の用紙を排紙する際の断裁幅は、その印刷装置で設計されたカットクズ幅で断裁することが好ましい。
【0033】
例えば、図3(b)に示すように、排紙量が長い場合、印字用紙9の自重によって、カットクズが用紙排出口3aに落ちてしまうが(図中矢印A参照)、図3(c)に示すように、細かく断裁する場合、印字用紙9の自重によって、カットクズが用紙受けポケット4に落ちる(図中矢印B参照)。つまり、設計時、カットクズ幅であれば、カットクズが用紙受けポケット4に収納され、用紙排出口3aには排出されないように設計されている。従って、画像印刷システムの中に搭載された印刷装置であっても、次の顧客の印刷物に細断くずが混じったり、細断した用紙が印刷装置内に残ったりするといった、新たな紙詰まりを引き起こす危険がなく好ましい。
【0034】
以上のような構成を有するロール紙印刷装置1は、主に、店舗等に設置される画像データの印刷を行う画像印刷システムに搭載される。画像印刷システムは、印刷装置とコンピュータとから構成されるものや、更にデジタルカメラなどの撮影装置を備えて構成されるものがある。利用者は、コンピュータを操作することにより、デジタルカメラ等で撮影した画像の印刷を指示し、その印刷指示を受けたコンピュータが、印刷装置に印刷実行を指示するものである。
【0035】
図4は、印刷装置とコンピュータとから構成される画像印刷システムの外観斜視図である。画像印刷システム100は、入力メディア(記憶媒体)や携帯端末に記憶されている画像データの印刷を受け付け、印刷を行うシステムである。画像印刷システム100は、予め画像データが記憶された入力メディアや携帯端末(いずれも不図示)から画像データを取得し、内部に保持する。
【0036】
入力メディアは、例えば、DVD-ROM/CD-ROM/CD-R/CD-RW、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SD(Secure Digital)カード、ミニSDカード、マイクロSDカード、xD−ピクチャーカード、Smart Media(登録商標)、MEMORY STICK(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等である。
【0037】
携帯端末は、例えば、スマートフォン、iPhone(登録商標)、カメラ付き携帯電話機、iPad(登録商標)、携帯型パーソナルコンピュータ等である。通信方法は、例えば、blue
tooth(登録商標)、IR(赤外線通信)等である。
【0038】
画像印刷システム100の上部正面には、タッチパネル付ディスプレイ111が配置されている。タッチパネル付ディスプレイ111は、操作の案内、操作の状況、読み込んだ画像データ等を表示するとともに、利用者からの指示を受け付ける。利用者は、タッチパネル付ディスプレイ111を介して、印刷注文する画像データの選択、画像データの画像処理の指示等を行う。
【0039】
タッチパネル付ディスプレイ111の下部には、メディア投入口112および通信口113が設けられている。メディア投入口112は、各メディアの挿入口であり、複数の挿入口が1箇所にまとめて配置されている。通信口113は、各携帯端末と通信を行うための通信ポートであり、複数の通信ポート(赤外線ポートやUSB(Universal Serial Bus)ポートなど)が1箇所にまとめて配置されている。
【0040】
画像印刷システム100の下段部の前面板114には、レシート取出口115、硬貨投入口116および紙幣挿入口117のような料金投入口、つり銭返却口118、印刷物取出口119、ドア開閉キー120、メンテナンスキー121等が設けられている。
【0041】
レシート取出口115、硬貨投入口116、紙幣挿入口117、つり銭返却口118は、利用者による印刷物の注文内容に応じた入金を要求する課金手段として機能する。利用者は、硬貨投入口116に硬貨を投入したり、紙幣挿入口117に紙幣を挿入したりすることにより、印刷物の料金を支払う。つり銭がある場合には、つり銭返却口118から放出される。また、料金徴収後、徴収金額や注文内容等が印刷されたレシートがレシート取出口115から放出される。
【0042】
印刷物取出口119には、画像印刷システム100の筐体内に設置されるロール紙印刷装置1により印刷された印刷物が排出される。ドア開閉キー20は、画像印刷システム100の前面板14を開閉するためのキーである。メンテナンスキー21は、利用者が画像印刷システム100を利用可能な運転モードと、管理者が画像印刷システム100のメンテナンスや設定、レシートの再印刷等を行う管理モードを切り替えるためのキーである。
【0043】
画像印刷システム100の基本的動作は次の通りである。画像印刷システム100は、入力メディアから読み込んだ画像データを液晶ディスプレイ等のタッチパネル付ディスプレイ111に表示する。利用者は、タッチパネル付ディスプレイ111に設けられたタッチパネルにより、入力メディアや携帯端末等から読み込んだ画像の中から印刷注文する画像を選択する。
【0044】
利用者は、タッチパネル付ディスプレイ111に表示された画面上で、印刷注文する画像を選択した後、印刷の実行を指示すると、画像印刷システム100内のコンピュータがロール紙印刷装置1に画像データを転送する。
【0045】
画像印刷システム100は、利用者に印刷物の印刷注文に応じた料金を算出、表示し、必要に応じてレシートプリンタによりレシート(引換券)を発行し、利用者に支払いを要求する。画像印刷システム100は、課金手段により利用者の入金が完了すると、印刷データの印刷を開始する。印刷された印刷物は、印刷物取出口119から排出され、利用者に提供される。
【0046】
なお、画像印刷システム100は、料金算出、レシート(引換券)の発行を行うだけでなく、課金機を装備しているため、利用者に入金を要求して現金による課金処理を行うようにすることもできる。
【0047】
図5は、画像印刷システムのハードウエアの構成例を示すブロック図である。コンピュータ30は、制御部31、記憶部32、入出力部33、通信部34等から構成され、各種メディア読取部41、通信部42、シャッタ43、モニタ44、コインメック45、ビルバリ46、レシートジャーナル処理部47、およびロール紙印刷装置1を制御する。
【0048】
制御部31は、プログラムの実行を行うCPU(Central processing Unit)と、プログラム命令あるいはデータ等を格納するためのRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成される。制御部31は、記憶部32等に格納されたプログラムに従って、バス35を介して接続された各装置を制御する。
【0049】
記憶部32には、制御部31が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS(Operating System)等が格納される。プログラムは、例えば、画像入力プログラム、課金処理プログラム、レシート印刷処理プログラム、保守プログラム等である。データは、例えば、画像データや印刷データ等である。
【0050】
プログラムのコードは、制御部31により必要に応じて読み出され、RAMに移され、CPUに読み出されて各種機能として実行される。
【0051】
入出力部33は、記憶部32に格納されているプログラム等の更新や、画像印刷システム100の設定等を行うメンテナンス時に用いられる。
【0052】
通信部34は、通信制御装置、通信ポート等を有し、画像印刷システム100と図示せぬネットワーク間の通信を媒介する通信インターフェースである。通信部34は、ネットワークを介して画像印刷システム100と他の外部装置間の通信制御を行う。
【0053】
各種メディア読取部41は、メディア投入口112の各メディアの挿入口に対応して画像印刷システム100内部に設けられ、挿入された入力メディアに予め記憶されている画像データを読み込む。通信部42は、通信口113の各通信ポートに対応して設置されており、通信中の携帯端末に予め記憶されている画像データを読み込む。
【0054】
シャッタ43は、メディア投入口112の各挿入口に設けられ、入力メディアの挿入口を開閉し、読取処理の最中や、課金処理が完了するまで、入力メディアを取り出せないようにする。モニタ44は、タッチパネル付ディスプレイ111である。
【0055】
コインメック45、ビルバリ46、レシートジャーナル処理部47は、課金機能の役割を果たす。コインメック45は、硬貨投入口116に対応して画像印刷システム100内部に設けられ、硬貨の入出力を管理する。ビルバリ46は、紙幣挿入口117に対応して画像印刷システム100内部に設けられ、紙幣の入出力を管理する。
【0056】
レシートジャーナル処理部47は、レシート取出口115に対応して画像印刷システム100内部に設けられ、利用者の徴収金額や注文内容に応じたレシートを印刷する。
【0057】
ロール紙印刷装置1は、印刷物取出口119に対応して画像印刷システム100内部に設けられ、印刷物を印刷する。ロール紙印刷装置1の構成は前述した通りである。
【0058】
図6は、画像印刷システムの機能構成例を示すブロック図である。図6に示す機能部のうちの少なくとも一部は、コンピュータ30の制御部31により画像印刷プログラム及び復電処理プログラムが実行されることによって実現される。このような構成によって、画像印刷システム100に供給される電力が安定しない場合であっても、供給電力に応じた動作を行うことができる。例えば、3台のロール紙印刷装置1を備える画像印刷システム100が、1台のロール紙印刷装置1だけが動作できる電力しか供給されていない場合、制御部31が1台のロール紙印刷装置1に対してだけ動作指示を出すことによって、システム全体の運用を継続することができる。
【0059】
画像印刷システム100は、入力制御部51、表示制御部52、課金部53、印刷実行部54、復電処理部55、および印刷状態記憶部56の機能を有する。
【0060】
入力制御部51は、メディア読取部(図示せず)で読み込まれた画像データの入力を制御したり、利用者からの画像印刷指示等の入力を制御したりする。表示制御部52は、入力制御部51に入力された画像データの一覧表示画面、画像データの印刷サービスを利用者に提供するための画像出力サービス案内画面等の各種画面の表示を制御する。
【0061】
課金部53は、利用者からの印刷注文に応じた料金を算出し、その算出結果をモニタ表示させ、利用者に支払いを要求する。また課金部53は、金銭の入出力を管理する。印刷実行部54は、課金部53によって課金処理が完了すると、印刷対象の画像データを所定位置に配した後、印刷データに変換し、ロール紙印刷装置1に対して印刷データの印刷実行を指示する。
【0062】
復電処理部55は、印刷の開始および終了を示す印刷状態情報を印刷状態記憶部56に記憶させる。復電処理部55は、印刷途中で電源が断たれ停止し、その後復電した際、印刷状態記憶部56の印刷状態情報を参照し、復電前に印刷途中であったか否かを判定し、印刷途中であったと判定した場合には、用紙1枚分の排紙制御処理を行う。
【0063】
また、ロール紙印刷装置1が複数の印刷サイズを印刷することができる場合、復電処理部55は、現在印刷中の印刷サイズも印刷状態記憶部56に記憶させる。例えば、Lサイズ(89mm×127mm)、ポストカードサイズ(101mm×152mm)、2Lサイズ(127mm×178mm)、8×12サイズ(254mm×203mm)等の情報を印刷状態記憶部56に記憶させる。
【0064】
印刷状態記憶部56は、書き換え可能、かつ、停電しても消去されない記憶領域を有する不揮発性メモリであって、コンピュータ30の記憶部32でもよいし、ロール紙印刷装置1内に実装されてもよいし、着脱可能な記録メディアであってもよい。印刷状態記憶部56は、印刷が開始されると、印刷状態情報として印刷開始を示す情報を記憶し、印刷が終了すると、印刷状態情報として印刷終了を示す情報を記憶する。印刷開始と終了を同じ記憶領域に記憶する場合は、印刷開始時に(印刷中フラグ1)を記憶し、印刷終了後に(印刷中フラグ0)に書き換える。印刷開始と終了を異なる記憶領域に記憶する場合は、印刷開始時に(印刷開始フラグ1)を記憶し、印刷終了後に(印刷終了フラグ1)を記憶し、次の印刷ではそれぞれ(印刷開始フラグ0)(印刷開始フラグ0)を記憶すると両方のフラグが同じであれば印刷は完了しており、異なれば印刷中となる。また、上述したように、ロール紙印刷装置1が複数の印刷サイズを印刷することができる場合、印刷状態記憶部56は、現在印刷中の印刷サイズも記憶する。
【0065】
<通常時処理について>
次に、図7のフローチャートを参照して、画像印刷システム100の復電処理部55が実行する通常時処理について説明する。
【0066】
ステップS1において、画像印刷システム100の復電処理部55は、印刷実行部54から印刷開始指示があったか否かを判定し、印刷開始指示があったと判定するまで待機する。そして、ステップS1において、復電処理部55は、印刷開始指示があったと判定した場合、ステップS2に進み、印刷状態記憶部56に印刷状態情報として印刷開始を示す情報を記憶させる。また、ロール紙印刷装置1が複数の印刷サイズを印刷することができる場合、復電処理部55は、現在印刷中の印刷サイズも印刷状態記憶部56に記憶させる。
【0067】
ステップS3において、復電処理部55は、印刷が終了したか否か、つまり、断裁機22により印字用紙9の断裁が行われ、排出口3aから排出されたか否かを判定し、印刷が終了したと判定するまで待機する。そして、ステップS3において、復電処理部55は、印刷が終了したと判定した場合、ステップS4に進み、印刷状態記憶部56に印刷状態情報として印刷終了を示す情報を記憶させる。
【0068】
以上のように、画像印刷システム100では、通常時、上述したステップS1〜S4の処理が繰り返し実行される。
【0069】
<復電処理について>
次に、図8のフローチャートを参照して、画像印刷システム100の復電処理部55が実行する復電処理について説明する。なお、この処理は、電源投入(復電を含む)が発生すると開始される。
【0070】
本実施の形態でいう「停電」とは、以下のような状態である。
1.電力会社からの電力供給が停止された場合
2.プラグが抜けた、または故意に電源スイッチを切ったなどの偶発的ないし人為的なものによる電源停止
3.電圧不安定によるシャットダウン
特に、家電量販店やスーパーなどの店舗では、時間帯によって電圧が不安定になる。例えば、画像印刷システム100を構成するコンピュータ30やロール紙印刷装置1については、コンピュータ30の電圧が90V、ロール紙印刷装置1の電圧が30V程度になると停止するように設計されている。また、UPS(無停電電源装置)を備える画像印刷システム100では、電圧降下を検知すると、安全の為に、システム全体をシャットダウンさせる。さらに、昇華型プリンタでは、サーマルヘッドにおいて熱エネルギーが急激に使われることがあり、多くの電流が消費されるため一時的に電圧降下が発生し、必要な電圧が確保されずロール紙印刷装置1単体が停止したり、システム全体がシャットダウンしたりして、印刷途中で停止してしまうこともある。以上、いずれの場合も「停電」の状態である。
【0071】
ステップS11において、画像印刷システム100の復電処理部55は、復電したか否かを判定し、復電したと判定するまで待機する。そして、ステップS11において、復電処理部55は、復電したと判定した場合、ステップS12に進み、印刷状態記憶部56の印刷状態情報を参照する。ステップS13において、復電処理部55は、ステップS12の処理で参照した印刷状態記憶部56の印刷状態情報から、印刷途中であるか否かを判定し、印刷途中であると判定した場合、ステップS14に進む。また復電処理部55は、印刷状態記憶部56に現在印刷中の印刷サイズも記憶されていれば、その情報を取得する。
【0072】
ステップS14において、復電処理部55は、印刷状態記憶部56の印刷サイズに基づいて用紙1枚分を排紙するように制御する。
【0073】
用紙1枚分とは、1回の印刷動作で使用する用紙量をいう。ロール紙の場合、用紙の先端から、少なくとも停電前までに印刷されている領域までを指すが、次の印刷動作時の印刷領域と重ならない程度に印刷領域が残っていても構わない。あるいは、停電前の印刷領域より広く切り出すようにしても構わない。ただし、多く排紙し過ぎると、用紙とインクの量が合わなくなり、インクが余る等の無駄が生じるため、停電せず正常終了した後の待機状態と同じ位置(正常待機位置)まで排紙することが好ましい。
【0074】
<正常待機位置と用紙1枚分の排紙との関係について>
ここで、図9を参照して、用紙1枚分を排紙した際の正常待機位置について説明する。図中、斜線で囲まれた領域が印画中の印刷領域である。
【0075】
図9(a)は、縁なし印刷により1回の印刷動作で1画像印刷する場合の正常待機位置を示す図である。
【0076】
縁なし印刷の場合、印刷領域とほぼ同じ位置でカットすればよいが、用紙送り精度マージンが全くないと白縁(余白)ができてしまう恐れがあるため、印刷領域を少し残した位置P1でカットし、次の印刷後に印刷領域の先端を少し含めて位置P2でカットすることによりカットクズとして切り出す方法が採られる。この場合、正常待機位置P3は、印刷領域を少し残した位置となる。図中、位置P2の左側の領域が正常時のカットクズ幅である。カットクズ幅は、例えば、5mm、10mmなどロール紙印刷装置1によって所定の幅であることが一般的である。
【0077】
従って、縁なし印刷における用紙1枚分の排紙制御処理では、正常待機位置P3まで排紙することが好ましいが、位置P4まで、またはそれ以上の位置まで排紙するようにしてもよい。
【0078】
図9(b)は、縁あり印刷により1回の印刷動作で1画像印刷する場合の正常待機位置を示す図である。
【0079】
縁あり印刷の場合、印刷領域より印字用紙9の巻回側に正常待機位置P11がある。ここで言う縁あり印刷とは先端をカットクズとして切り出さないための印刷シークエンスを言う。この場合、次の印刷物に停電前の途中印刷画像を残さないためにも、正常待機位置P11でカットすることが好ましい。また正常待機位置P11であれば、用紙とインクとの分量のずれも生じない。
【0080】
従って、縁あり印刷における用紙1枚分の排紙制御処理では、正常待機位置P11まで排紙することが好ましいが、それ以上の位置まで排紙するようにしてもよい。
【0081】
図9(c)、図9(d)は、1回の印刷動作で複数画像印刷する場合の正常待機位置を示す図である。これらの説明をする前に、1回の印刷動作で複数画像印刷する場合の例について説明する。
【0082】
1.「2Lサイズ」に対応したロール紙がセットされており、ユーザにより「Lサイズ」の用紙サイズが選択された場合、用紙1枚分にLサイズの画像を2回印刷し、それを半分にカットして、Lサイズ×2枚を排紙する。
【0083】
2.「Lサイズ」に対応したロール紙がセットされており、ユーザにより「Lサイズ」の用紙サイズが選択された場合、連続する用紙2枚分にLサイズの画像を2回印刷し、それを1枚ずつにカットして、Lサイズ×2枚を排紙する。
【0084】
3.「ポストカード」に対応したロール紙がセットされており、ユーザにより「ポストカード」の用紙サイズが選択された場合、連続する用紙2枚分にポストカード2枚分のサイズの画像を1回印刷し、それを用紙1枚分としてカットして、ポストカード2枚分のサイズ×1枚を排紙する。
【0085】
以上、1〜3のいずれの印刷動作においても、印字用紙9の巻回側から印刷する場合と、印字用紙9の先端側から印刷する場合が考えられる。
【0086】
図9(c)は、縁なし印刷により1回の印刷動作で3画像印刷する場合の正常待機位置を示す図例である。ただし、印字用紙9の巻回側から先端方向に印刷されている。
【0087】
図9(a)で説明したように、縁なし印刷では、印刷領域とほぼ同じ位置でカットすればよいが、用紙送り精度マージンが全くないと白縁(余白)ができてしまう恐れがあるため、印刷領域を少し残してカットし、次の印刷後に印刷領域の先端を少し含めてカットクズとして切り出す方法が採られる。図9(c)の例では、正常待機位置P21は、印刷領域を少し残した位置となる。
【0088】
従って、縁なし印刷による1回の印刷動作で複数画像印刷する場合における用紙1枚分の排紙制御処理では、先端の未印字部を含めた正常待機位置P21まで排紙することが好ましいが、位置P22まで、またはそれ以上の位置まで排紙するようにしてもよい。
【0089】
図9(d)は、縁なし印刷により1回の印刷動作で3画像印刷する場合の正常待機位置を示す図である。ただし、印字用紙9の先端側から巻回方向に印刷されている。
【0090】
図9(a)、図9(c)で説明したように、縁なし印刷では、印刷領域を少し残してカットし、次の印刷後に印刷領域の先端を少し含めてカットクズとして切り出す方法が採られる。図9(d)の例では、正常待機位置P33は、予定印画領域の印刷領域を少し残した位置となる。
【0091】
従って、縁なし印刷による1回の印刷動作で複数画像印刷する場合における用紙1枚分の排紙制御処理では、正常待機位置P33まで排紙することになるが、複数画面の各印字済み若しくは印字中の画像数を別途記憶させておき、位置P31まで排紙するようにすることが好ましく、位置P32まで、予定印刷領域を含む正常待機位置P33まで、またはそれ以上の位置まで排紙するようにしてもよい。つまり、予定されていた印刷領域分まで印刷が始まっていなかった場合、印刷状態記憶部56から取得した印刷サイズに基づいて、予定印刷領域まで排紙してもよいが、印刷途中の領域までの位置P31まで排紙する方が、無駄がなく好ましい。
【0092】
以上のように、停電前、印刷途中であった場合には、復電後に用紙1枚分が排紙される。なお、印刷サイズは、印刷開始前または印刷開始時に印刷状態記憶部56に記憶されるため、その情報から判断して用紙1枚分(1回の印刷動作で使用する印刷サイズ分)が排紙される。また印刷方法が限定されているロール紙印刷装置1では、セットされているメディア(印字用紙およびインクリボン)から判断することができる。通常、メディアには、IC(Integrated Circuit)タグなどが取り付けられており、そこにサイズ情報等が記憶され、用紙サイズを特定することができる。また、メディアの軸形やフランジに特定のコードによる用紙サイズ情報を組み込んだり、インクカセットやインクリボンのパネル間にサイズ情報を入れておくことで、用紙サイズを特定することができる。
【0093】
一方、メディアからサイズ情報を得られない場合には、ロール紙印刷装置1が1回の印刷動作で使用する最大サイズ分を排紙させればよい。
【0094】
また、停電前、印刷途中であった場合に排紙される用紙1枚分の長さは、通常の排紙量より長くなるため、個人情報保護の観点と、カットクズが確実に用紙受けポケット4に収納されるようにするため、細かく断裁する方が好ましい。断裁方法については、断裁機22とは別の断裁機構を設けるようにしてもよいし、断裁機22を流用して千切り状(排紙先端と平行)に断裁するようにしてもよく、特に問わない。しかしながら、コンパクト性やコストを考慮すると、断裁方向が用紙カットと同じ方向のみに限定されるものの、断裁機22を流用する方が好ましい。
【0095】
<断裁幅について>
断裁する幅は、細かすぎると断裁機22の耐久に影響が出たり、紙粉が大量に出て印刷の印画抜けを起こしたり、断裁したカットクズがロール紙印刷装置1内に残り、新たな紙詰まりを引き起こす恐れがあるため、ほぼ2mm〜15mm程度の幅が好ましい。
【0096】
また、断裁幅は、正規のカットクズ幅と同程度が好ましい。例えば、正規のカットクズ幅が10mm±1mm(精度)のロール紙印刷装置1の場合、断裁幅は9mm〜11mm程度、正規のカットクズ幅が5mm±1mm(精度)のロール紙印刷装置1の場合、断裁幅は4mm〜6mm程度とすることが好ましい。なお、正規のカットクズ幅は、印刷サイズ(L、2L、ポストカード等)に依らず一般には一定である。
【0097】
さらに、用紙先端から正常待機位置までの長さが、カットくずの幅の倍数にならない場合は、細断幅をカットクズ幅に近い倍数となる幅に調整するか、あるいは用紙先端から正常待機位置までの長さを最初に超えるまで断裁することが好ましい。
【0098】
<断裁幅の具体例について>
1.用紙先端から正常待機位置までの長さが、正規のカットクズ幅の倍数の場合、復電時の断裁幅を正規のカットクズ幅とする。例えば、正規のカットクズ幅=5mm、ロール紙の1枚分の搬送方向の幅(ただし、印刷サイズ、余白などを考慮した幅)=100mmの場合、100mm÷5mm=20、余りなしなので、20回カットする。
【0099】
2.ロール紙先端から正常待機位置までの長さが、正規のカットクズ幅の倍数ではない場合、復電時の断裁幅を、正規のカットクズ幅とし、余り分を1回多く切る。例えば、正規のカットクズ幅=9mm、ロール紙の1枚分の搬送方向の幅(ただし、印刷サイズ、余白などを考慮した幅)=100mmの場合、100mm÷9mm=11、余り1mmなので、12回カットする。
【0100】
3.ロール紙先端から正常待機位置までの長さが、正規のカットクズ幅の倍数ではない場合、復電時の断裁幅を、最後の1回を除いて正規のカットクズ幅とし、最後の1回だけ異なる長さでカットする。最後の1回だけ異なる長さは、上述したように、2mm〜15mmの範囲に入るようにする。例えば、正規のカットクズ幅=9mm、ロール紙の1枚分の搬送方向の幅(ただし、印刷サイズ、余白などを考慮した幅)=100mmの場合、100mm÷9mm=11、余り1mmなので、10回目までは9mmでカットし、最後の1回(=11回目)は、10mmでカットする。なお、11回目までは9mmでカットし、最後の1回(=12回目)を1mmでカットすると、最後の1回が2mm〜15mmの範囲に入らないため、このような設定にはしない。
【0101】
以上、図8のステップS14における復電時の排紙制御処理について説明したが、ステップS13において、復電処理部が印刷途中ではないと判定した場合には、ステップS15に進み、排紙制御処理は行わない。
【0102】
以上、ロール紙印刷装置1を例に説明したが、枚葉紙に印刷する印刷装置の場合にも、断裁機(カッタ)を備えるようにすれば、本発明を適用することができる。これにより、例えば、枚葉紙の半分のサイズの印刷物を提供することができる。なお、枚葉紙に印刷する印刷装置の場合、ステップS14の排紙制御処理において、用紙1枚分を排紙するようにする。
【0103】
[発明の実施の形態における効果]
1.印刷途中で電源が断たれ停止し、その後復電した場合、電源投入時チェックにより1枚分を排紙することで、復電後に刷を開始しても正しく印刷することができ、さらには、細断処理することで次の顧客の印刷物に混入したり個人情報の流出を防止することができる。
【0104】
2.用紙1枚分を排紙することで、復電後の正常待機位置で印刷を開始しても紙詰まりを起こさず、正常待機状態にすることが可能となる。
【0105】
[変形例]
1.以上においては、細断処理することにより個人情報の流出を防止するようしたが、これに限らず、印刷途中で電源が断たれ、その後復電した場合、本発明の復電処理後に、(1)印刷途中の画像の印刷を中断する、(2)断裁処理した画像を含む加増の再印刷を開始する、(3)その印刷途中の画像の印刷を継続せず、図4の画像出力受付端末30の課金部33が返金するといった処理を使用用途に合わせて行ってもよい。
【0106】
2.インクリボンに取り付けられたICタグに印刷サイズを記憶させるようにしたが、総印刷枚数も記憶させるようにしてもよい。これにより、印刷途中で電源が断たれた場合、復電後に総印刷枚数のカウントを用紙断裁処理数分だけデクリメントする。
【0107】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像印刷システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0108】
1………ロール紙印刷装置
22………断裁機
100………画像印刷システム
30………コンピュータ
55………復電処理部
56………印刷状態記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置とコンピュータとから構成される画像印刷システムであって、
画像データの印刷開始または印刷終了を示す印刷状態情報と、現在印刷中の印刷サイズ情報とを記憶する記憶手段と、
印刷途中で電源が絶たれ停止し、その後復電した場合、前記記憶手段に記憶されている印刷状態情報から、前記画像データの印刷途中であったか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記画像データの印刷途中であったと判定した場合、前記記憶手段に記憶されている印刷サイズ情報に基づいて、印刷途中の1枚分の用紙を排紙するように制御する排紙制御手段と、
を備えることを特徴とする画像印刷システム。
【請求項2】
前記排紙制御手段は、排紙する1枚分の用紙を細かく断裁するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像印刷システム。
【請求項3】
前記排紙制御手段は、前記1枚分の用紙を排紙先端と平行に断裁するように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像印刷システム。
【請求項4】
前記排紙制御手段は、前記1枚分の用紙を断裁する断裁幅を、カットクズ幅とほぼ同じにするように制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像印刷システム。
【請求項5】
印刷装置とコンピュータとから構成される画像印刷システムにおける画像印刷方法であって、
画像データの印刷開始または印刷終了を示す印刷状態情報と、現在印刷中の印刷サイズ情報とを記憶する記憶ステップと、
印刷途中で電源が絶たれ停止し、その後復電した場合前記記憶ステップにおいて記憶されている印刷状態情報から、前記画像データの印刷途中であったか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記画像データの印刷途中であったと判定した場合、前記記憶ステップにおいて記憶されている印刷サイズ情報に基づいて、印刷途中の1枚分の用紙を排紙するように制御する排紙制御ステップと、
を含むことを特徴とする画像印刷方法。
【請求項6】
コンピュータに、
画像データの印刷開始または印刷終了を示す印刷状態情報と、現在印刷中の印刷サイズ情報とを記憶する記憶ステップと、
印刷途中で電源が絶たれ停止し、その後復電した場合、前記記憶ステップにおいて記憶されている印刷状態情報から、前記画像データの印刷途中であったか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記画像データの印刷途中であったと判定した場合、前記記憶ステップにおいて記憶されている印刷サイズ情報に基づいて、印刷途中の1枚分の用紙を排紙するように制御する排紙制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−71431(P2013−71431A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214443(P2011−214443)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】