説明

画像形成システム、方法並びにプログラム

【課題】N−up印刷において本来の用紙節約の目的を果たすこと。
【解決手段】PDLの解釈を行う(S2101)。ディスプレイリストの作成処理を行い、ディスプレイリストメモリに格納する(S2102)。閾値以下の文字サイズを持つページを非縮小画像として再構築する補填ページ作成処理を行う(S2103)。ここで、通常の縮小を施すと閾値以下のBboxサイズを持っていると判定され、補填ページリストに加えられる。補填ページリストに加えられたページは非縮小データとして再度描画データに変換されて、印刷データとして追加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−up印刷の指定に従って原稿データの縮小印刷処理を行うにあたり、ページの可読性に応じ補填ページ印刷を行うことに関する。
【背景技術】
【0002】
ドキュメントの印刷/複写において、紙の節約を目的に1枚の用紙面に複数ページを縮小レイアウトするN−up印刷が行われている。
【0003】
またN−up印刷において縮小印刷する場合に縮小画像の可読性を判定して、可読性不可と判断されたときは、指定されたN−up印刷をキャンセルするような印刷方法も“特許文献1”によって知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−134323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、可読性不可と判断されたページ以外のページについても非N−up印刷が適用されてしまうため、本来の用紙節約の目的を果たすことができない。例えば、図19の1901と1902の4ページ原稿を4−up印刷したとする。そのとき、ページ1902にレイアウトされている表形式のデータを縮小印刷すると、文字画像1903が可読性不可と判断されたとする。そのときは印刷データを全てのページについて非N−upに切り替えるため1904、1905の4ページデータで印刷が行われる。このときにページ1904の可読性は維持されたが、本来N−up印刷を行っても可読性が保持されていたページ1905についても非N−up印刷になってしまい、用紙節約ができなくなってしまう課題がある。
【0006】
本発明の目的は、N−up印刷において本来の用紙節約の目的を果たすことが可能な画像形成システム、方法並びにプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係るシステムは、ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させる画像形成システムにおいて、該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するリスト手段、該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断する判断手段、可読性がないページがあると判断した場合に、該ページのページ番号を補填ページリストに登録する登録手段、該ページリストに該ページ番号が登録された前記可読性がないページについて前記所定の縮小率を適用せずに前記ページ記述言語を再解釈し、前記1ページの出力用紙とは別の出力用紙のページに、該ページ上で前記可読性がないページが可読性を損なわれないように別の縮小率で出力させる出力手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、該ページの印刷属性について前記レイアウトにおいてレンダリングを間引くための間引き手段を備えていてよい。また、前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、前記レイアウトにおいて該ページの前記ページ番号を印刷属性に加えてレンダリングを行うための補填ページ参照手段を備えていてよい。また、前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、前記レイアウトにおいてレンダリングの対象から除外するためのページ除外手段を備えていてよい。また、前記別の縮小率は1であってよい。また、前記出力させる手段は、前記可読性がないページについて前記ページ記述言語を再解釈し、前記別の出力用紙のページ上で該ページが可読性を損なわれないような、1よりも小さく且つ前記所定の縮小率よりも大きい縮小率に補正して出力させる縮小率補正手段を備えていてよい。
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明に係る別のシステムは、ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させる画像形成システムにおいて、該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するリスト手段、該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断する手段、及び、可読性がないページがあると判断した場合に、該ページを前記出力用紙の余白を使って可能な限り拡大処理を施すページ拡大手段を備えることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記補填ページ参照手段、前記縮小率補正手段及び前記ページ拡大手段は、ユーザによって任意に適用するかしないかを切り替えることが可能であってよい。また、ユーザが前記閾値を任意に指定するための閾値設定手段を備えていてよい。
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明に係る方法は、ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させる画像形成方法において、該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するステップ、該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断するステップ、可読性がないページがあると判断した場合に、該ページのページ番号を補填ページリストに登録するステップ、該ページリストに該ページ番号が登録された前記可読性がないページについて前記所定の縮小率を適用せずに前記ページ記述言語を再解釈し、前記1ページの出力用紙とは別の出力用紙のページに、該ページ上で前記可読性がないページが可読性を損なわれないように別の縮小率で出力させる出力ステップを含むことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、該ページの印刷属性について前記レイアウトにおいてレンダリングを間引くためのステップを備えていてよい。また、前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、前記レイアウトにおいて該ページの前記ページ番号を印刷属性に加えてレンダリングを行うための補填ページ参照ステップを備えていてよい。また、前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、前記レイアウトにおいてレンダリングの対象から除外するためのステップを備えていてよい。また、前記別の縮小率は1であってよい。また、前記出力ステップは、前記可読性がないページについて前記ページ記述言語を再解釈し、前記別の出力用紙のページ上で該ページが可読性を損なわれないような、1よりも小さく且つ前記所定の縮小率よりも大きい縮小率に補正して出力させる縮小率補正ステップを含んでいてよい。
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明に係る別の方法は、ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させる画像形成方法において、該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するステップ、該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断するステップ、及び、可読性がないページがあると判断した場合に、該ページを前記出力用紙の余白を使って可能な限り拡大処理を施すページ拡大ステップを含むことを特徴とする。
【0014】
ここで、前記補填ページ参照ステップ、前記縮小率補正ステップ及び前記ページ拡大ステップは、ユーザによって任意に適用するかしないかを切り替えることが可能であってよい。また、ユーザが前記閾値を任意に指定するための閾値設定ステップを備えていてよい。
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明に係るプログラムは、コンピュータに、ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させるために、該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するステップ、該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断するステップ、可読性がないページがあると判断した場合に、該ページのページ番号を補填ページリストに登録するステップ、該ページリストに該ページ番号が登録された前記可読性がないページについて前記所定の縮小率を適用せずに前記ページ記述言語を再解釈し、前記1ページの出力用紙とは別の出力用紙のページに、該ページ上で前記可読性がないページが可読性を損なわれないように別の縮小率で出力させる出力ステップを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
可読性不可と判断されたページのみを補填ページとして非N-up印刷を行うので、N-up可能なページについてはN-upを適用させる効率的な印刷が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(MFPの構成)
図1を用いてMFP(Multi Function Peripheral:マルチファンクション周辺機器)の構成について説明する。
【0018】
同図において、入力画像処理部101は、紙原稿などをスキャナなどの画像読み取り装置で読み取り、読み取られた画像データを画像処理する。
【0019】
NIC(Network Interface Card)部102は、ネットワークを利用して入力された画像データ(主に、PDLデータ)をRIP部に渡したり、MFP内部の画像データや装置情報をネットワーク経由で外部に送信したりする。RIP部102は、入力されたPDL(Page Description Language)データを解読し、RIP(Raster Image Processor)展開する部分である。
【0020】
次に、入力された画像データは、MFP制御部103に送られる。MFP制御部103は、入力されるデータや出力するデータを制御する交通整理の役割を果たしている。
【0021】
また、MFP制御部103に入力された画像データは、一旦メモリ部104に格納される。格納された画像データは、一時的に格納されたり、必要に応じて呼び出されたりする。
【0022】
出力画像処理部105は、プリントするための画像処理が施され、プリンタ部106に送られる。
【0023】
プリンタ部106では、シートを給紙し、出力画像処理部105で作られた画像データをそのシート上に順次印字していく。プリントアウトされたシートは後処理部107へ送り込まれ、シートの仕分け処理やシートの仕上げ処理が行われる。
【0024】
更に、操作部108は、上記の様々なフローや機能を選択したり操作指示したりするためのものであるが、操作部108の表示装置の高解像度化に伴い、メモリ部104にある画像データをプレビューし、確認後OKならばプリントするといった使い方もできる。
【0025】
このように、MFPには様々な機能と利用方法があり、以下にその例を示す。
A)複写機能 :入力画像処理部→出力画像処理部→プリンタ部
B)ネットワークスキャン :入力画像処理部→NIC部
C)ネットワークプリント :NIC部→RIP部→出力画像処理部→プリンタ部
D)ボックススキャン機能 :入力画像処理部→出力画像処理部→メモリ部
E)ボックスプリント機能 :メモリ部→プリンタ部
F)ボックス受信機能 :NIC部→RIP部→出力画像処理部→メモリ部
G)ボックス送信機能 :メモリ部→NIC部
H)プレビュー機能 :メモリ部→操作部
【0026】
(MFPの詳細構成)
次に、図2を用いてMFP(Multi Function Peripheral:マルチファンクション周辺機器)の詳細構成について説明する。
【0027】
MFPは、自装置内部に複数のジョブのデータを記憶可能なハードディスク等のメモリを具備し、スキャナから出力されたジョブデータに対し該メモリを介してプリンタ部106でプリント可能にするコピー機能具備した画像形成装置である。またさらに、MFPはコンピュータ等の外部装置から出力されたジョブデータに対し該メモリを介してプリント部でプリント可能にするプリント機能等の複数の機能を具備した画像形成装置である。
【0028】
MFPには、フルカラー機器とモノクロ機器があり、色処理や内部データなどを除いて、基本的な部分において、フルカラー機器がモノクロ機器の構成を包含することが多い。そのため、ここではフルカラー機器を主に説明し、必要に応じて随時モノクロ機器の説明を加えることとする。
【0029】
また、本システムの構成に関し、上記の如く、複数の機能を具備した複合機能型の画像形成装置を有する。それと共にプリント機能のみを具備した単一機能型の画像形成装置等のSFP(Single Function Peripheral:単一機能周辺機器)を具備する構成でも良い。また、いずれか一方のタイプの画像形成装置のみを具備する構成でも良い。さらに、何れのタイプの画像形成装置であっても、複数台具備する構成でも良い。いずれにしても、本形態の制御が実現可能な構成であればよい。
【0030】
図2に示すように、MFPは紙原稿などの画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理する入力画像処理部101と、ファクシミリなどに代表される電話回線を利用した画像の送受信を行うFAX部201とを備える。さらに、ネットワークを利用して画像データや装置情報をやりとりするNIC(Network Interface Card)部202と、外部装置と画像データなどの情報交換を行う専用インターフェース部203を備える。あるいは、USB(Universal Serial Bus)メモリ(リムーバブルメディアの一種)に代表されるUSB機器と画像データなどを送受するUSBインターフェース(USB I/F)部204を備えている。
【0031】
そして、MFP制御部103は、MFPの用途に応じて画像データを一時保存したり、経路を決定したりといった交通整理の役割を担っている。
【0032】
次に、文書管理部205は、複数の画像データを格納可能なハードディスク等のメモリを具備する。例えば、画像形成装置が具備する制御部(例えばMFP制御部103のCPUなど)が主体となって、入力画像処理部101からの画像データを、該ハードディスクに複数格納可能に制御する。゛該画像データは、FAX部201を介して入力されたファクシミリジョブの画像データや、NIC部202を介して入力されたコンピュータ等の外部装置からの画像データであってよい。また、専用I/F部203やUSB I/F部204を介して入力された様々な画像データ等の複数種類の画像データであってもよい。そして、該ハードディスクに格納された画像データを適宜読み出して、プリンタ部106等の出力部に転送して、該プリンタ部106によるプリント処理等の出力処理を実行可能に制御する。また、オペレータからの指示により、ハードディスクから読み出した画像データを、コンピュータや他の画像形成装置等の外部装置に転送可能に制御する。
【0033】
画像データを文書管理部205に記憶する際には、必要に応じて、画像データを圧縮して格納したり、逆に圧縮して格納された画像データを読み出す際に元の画像データに伸張して戻したりするなどの処理に対して圧縮伸張部206を介して行っている。また、データがネットワークを経由する際には、JPEG、JBIG、ZIPなど圧縮データを使用することも一般知られており、データがMFPに入った後、この圧縮伸張部206にて解凍(伸張)される。
【0034】
また、リソース管理部207は、フォント、カラープロファイル、ガンマテーブルなど共通に扱われる各種パラメータテーブルなどが格納されており、必要に応じて呼び出すことができる。それと共に、新しいパラメータテーブルを格納したり、修正して更新したりすることができる。
【0035】
次に、MFP制御部103では、PDLデータが入力された場合には、RIP部208でRIP(Raster Image Processor)処理を施す。また、プリントする画像に対して、必要に応じて出力画像処理部105でプリントのための画像処理を行ったりする。更に、その際に作られる画像データの中間データやプリントレディデータ(プリントのためのビットマップデータやそれを圧縮したデータ)を必要に応じて、文書管理部205に再度格納することもできる。
【0036】
そして、画像形成を行うプリンタ部106に送られる。プリンタ部106でプリントアウトされたシートは後処理部107へ送り込まれ、シートの仕分け処理やシートの仕上げ処理が行われる。
【0037】
ここで、MFP制御部103は円滑にジョブを流す役割を担っており、MFPの使い方に応じて、以下のようにパス切り替えが行われている。但し、中間データとして画像データを必要に応じて格納することは一般に知られているが、ここでは文書管理部205が始点、終点になる以外のアクセスは表記しない。また、必要に応じて利用される圧縮伸張部206と後処理部107、あるいは、全体のコアとなるMFP制御部103などの処理は省略して、おおよそのフローがわかるように記載する。
【0038】
A)複写機能 :入力画像処理部→出力画像処理部→プリンタ部
B)FAX送信機能 :入力画像処理部→FAX部
C)FAX受信機能 :FAX部→出力画像処理部→プリンタ部
D)ネットワークスキャン :入力画像処理部→NIC部
E)ネットワークプリント :NIC部→RIP部→出力画像処理部→プリンタ部
F)外部装置へのスキャン :入力画像処理部→専用I/F部
G)外部装置からのプリント :専用I/F部→出力画像処理部→プリンタ部
H)外部メモリへのスキャン :入力画像処理部→USB I/F部
I)外部メモリからのプリント:USB I/F部→RIP部→出力画像処理部→プリンタ部
J)ボックススキャン機能 :入力画像処理部→出力画像処理部→文書管理部
K)ボックスプリント機能 :文書管理部→プリンタ部
L)ボックス受信機能 :NIC部→RIP部→出力画像処理部→文書管理部
M)ボックス送信機能 :文書管理部→NIC部
N)プレビュー機能 :文書管理部→操作部108
【0039】
上記以外にも、E−mailサービスやWebサーバ機能を初めとして、様々な機能との組み合わせが考えられるが、ここでは割愛する。
【0040】
また、ボックススキャン、ボックスプリント、ボックス受信、あるいは、ボックス送信とは、文書管理部205を利用したデータの書き込みや読み出しを伴うMFPの処理機能である。詳細には、ジョブ毎やユーザ毎に文書管理部205内のメモリを分割して一次的にデータを保存して、ユーザIDやパスワードを組み合わせてデータの入出力を行う機能である。
【0041】
更に、操作部108は、上記の様々なフローや機能を選択したり操作指示したりするためのものであるが、操作部108の表示装置の高解像度化に伴い、文書管理部205にある画像データをプレビューし、確認後OKならばプリントするといったこともできる。
【0042】
(入力画像処理部(カラー系)の構成)
図3は、スキャナ入力部内の画像データのフローと構成を、カラー系について示すブロック図である。
【0043】
カラースキャナによって読み込まれた画像は、CCDセンサ301により電気信号に変換される。CCDセンサ301はRGB3ラインのカラーセンサであり、R(Red)、G(Green)、B(Blue)それぞれの画像データとしてA/D変換部302に入力される。
【0044】
A/D変換部302では、ゲイン調整、オフセット調整がされた後、色信号毎に8ビットのディジタル画像データに変換される。
【0045】
シェーディング補正部303で基準白色板の読み取り信号を用いて、CCDセンサ301の各画素の感度のばらつきや原稿照明ランプの光量のばらつきなどを色毎に補正する。
【0046】
さらに、CCDセンサ301の各色ラインセンサは、相互に所定の距離を隔てて配置されているため、色オフセット部304でCCDのRGBの並びに起因する副走査方向(紙送り方向)の空間的ずれをラインディレイ調整回路(図示せず)により補正される。それと共に、副MTF(Modulation Transfer Function:変調伝達関数)補正部304により、センサのムラなどから生じるずれの補正を行う。特に、白と黒の間隔が狭まることで生じるコントラストの低下や画像のボケも補正する。
【0047】
入力ガンマ補正部305は、RGBの各入力に対し、露光量と輝度が線形関係になるように補正を行う一次元のルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)である。
【0048】
入力ダイレクトマッピング部306は、色空間を統一するため、入力されたRGB信号からデバイス内のRGB信号に変換する三次元のLUTである。ここは、CCDセンサ301のRGBフィルタの分光特性で決まる読取色空間を、sRGBなどの標準色空間に変換する部分であり、CCDセンサ301の感度特性や照明ランプのスペクトル特性等の諸特性なども吸収することができる。
【0049】
主MTF補正部307では、注目画素と左右それぞれの画素に対して加重平均をとることで主走査方向のMTF補正を実現している。
【0050】
像域判定部308は、文字判定部と無彩色判定部からなっている。文字判定部はRGB画像データから文字領域や線画輪郭領域の画素判定を行い、その結果を像域データZAとして出力する。無彩色判定部は、RGB空間の画像データをL*a*b*やYUVといった輝度色差空間の画像データに変換した後、低彩度領域や黒文字、色文字領域を判定し、その結果を像域データZBとして出力する。ここでは、像域データZA及びZBを併せて像域データと呼ぶこととする。
【0051】
次に、空間フィルタ部309では、像域データを用いて、輝度成分に対してフィルタリングを行う。具体的には、文字領域にエッジ強調を行い、写真領域にはスムージングか弱いエッジ強調といった異なるシャープネスフィルタを適用する。
【0052】
彩度抑圧部310は、像域データから低彩度と判定された領域に対し、彩度の抑圧を行う。黒文字領域をK(Black)単色で表現するため、色差をゼロにして処理する。
【0053】
ACS(Auto Color Select)部311は、像域判定の結果から低彩度の画素をカウントし、白黒画像かカラー画像かを判定することができる。
【0054】
BE(下地除去:Background Erase)サンプリング部312では、下地を検出するため、指定された矩形領域の画素を離散的にサンプリングし、輝度のヒストグラムを作成し、これをプリント時の下地除去に利用する。
(入力画像処理部(白黒系)の構成)
図4は、スキャナ入力部内の画像データのフローと構成を、白黒系について示すブロック図である。
【0055】
モノクロスキャナ入力の場合は、単色の1ラインCCDセンサ301を用いて、読み込まれた画像は、電気信号に変換し、単色の画像データとしてA/D変換部302に入力される。
【0056】
A/D変換部302は、ゲイン調整とオフセット調整を行い、8ビットの画像データに変換される。
【0057】
シェーディング補正部303では、基準白色板の読み取り信号を用いて、CCDセンサ301の各画素の感度のばらつきや原稿照明ランプの光量のばらつきなどを色毎に補正する。
【0058】
フィルタ処理部401では、注目画素と複数の周辺画素を含めて畳み込み積分を行い、CCDセンサ301から取り込まれた画像をより鮮鋭にみせる処理を施す。
【0059】
階調補正部402は、文字モード、写真モード、その混在モードなど3つの画像モードに応じて、最適な階調補正を行うための一次元のルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)である。これを利用して画像形成ごとに異なる出力画像データのリニアリティ補正(ガンマ補正)が保たれる。ここで、文字モードは、文字をくっきり再現するために低濃度から中濃度にかけては入力画像を極端に白か黒かで再現するようなカーブになっている。一方、写真モードは原稿を忠実に再現するためにほぼリニアなカーブ、混在モードはその中間的な位置づけとなっている。
【0060】
ハーフトーン処理部403は、MFP機能に応じて、異なる種類のスクリーニングを択一的に適用することができる。一般に、複写動作などでは、モアレの起きにくい誤差拡散系(一般的に、注目画素とその周辺画素に対して誤差フィルタで重み付けする)の処理を利用する。一方プリント動作では、文字や細線の再現性を考えてスクリーン系(一般的に、ディザマトリックスを用いて、入力画像を閾値と比較して出力画像を決定する)の処理を用いることが多い。いずれの場合も、多値画像から二値画像へ変換して擬似的に中間調を表現している。
【0061】
更に、ノッチ処理部404では、注目画素とその周辺画素に対してウィンドウを用いて不要なノッチ(ギザギザ)を補正する方法で、予め用意されたパターンと一致した場合にはその注目画素を変化させる。
【0062】
(FAX部の構成)
図5を用いてFAX(ファクシミリ)部の動作について説明する。
【0063】
まず、FAX送信を行う際には、読み取った原稿の画像信号(ディジタル信号)を電話回線(アナログ回線)で相手に送る必要がある。そのため、MFP制御部103よりやってきたラスタイメージのディジタル画像信号に対して、エンコード部501で圧縮(一般にFAXでの圧縮伸張にはランレングス法などが用いられることが多い)を施した後、ディジタル信号からアナログ信号に変換を行う。この変換を変調(モジュレーション:MODULATION)操作と呼ぶ。その後、NCU(Network Control Unit)部502を介して電話回線へと送られる。
【0064】
逆に、受信時には、電話回線を通して送られてきたアナログ信号(変調された信号)からディジタル信号に変換する必要がある。電話回線から入力されたデータをNCU部502で受け取り、電圧の変換を行い、復調部で復調(デモジュレーション:Demodulation)と呼ばれるA/D変換を行った後、デコード部503でランレングスなどの圧縮データをラスタデータに展開する。ラスタデータに変換された画像は、メモリ部504に一時保管され、画像データに転送エラーがないことを確認後、MFP制御部103へ送られる。
【0065】
また、変調と復調の両方ができるものをモデム(MODEM:Modulator and Demodulator:変復調装置)部505と呼ぶ。
【0066】
(NIC部の構成)
図6を用いてNIC部について説明する。
ネットワークに対してのインターフェースの機能を持つのが、このNIC部202である。Ethernetケーブルなどを利用して、10Base−Tなどの規格で外部からの情報を入手したり、外部へ情報を流したりする役割を果たす。10Base−T以外には、100Base−TX(Fast Ethernet)あるいは、1000Base−TX(Gigabit Ethernet)などがある。
【0067】
外部より情報を入手する場合は、まず、トランス部601で電圧変換され、LANコントローラ部602に送られる。LANコントローラ部602は、その内部に第1バッファメモリ(不図示)を持っており、その情報が必要な情報か否かを判断した上で、第2バッファメモリ(不図示)に送った後、MFP制御部103に信号を流す。
【0068】
次に、外部に情報を提供する場合には、MFP制御部103より送られてきたデータは、LANコントローラ部602で必要な情報を付加して、トランス部601を経由してネットワークに接続される。
【0069】
(MFP制御部の構成)
図7を用いてMFP制御部103について説明する。
【0070】
同図は、大きく分けて4つの部分から成っている。すなわち、入力デバイスを管理する入力デバイス管理部701、入力されたジョブを解釈する入力ジョブ制御部702、ジョブの設定情報を整理する出力ジョブ制御部703、そして、出力デバイスを割り当てる出力デバイス管理部704である。
【0071】
入力デバイス管理部701は、図1における各入力部からの入力信号を整理したり、切り替えの順序を決定したりする役割を果たす。入力デバイス管理部701内には、入力デバイス制御部705が存在する。各インターフェースを介して送られてくる入力信号は、紙原稿のスキャン画像信号やネットワークからのPDLデータといったMFPの外部から入力された信号だけでない。文書管理部205に保管してあった画像データの再プリントやRIP部208、出力画像処理部105との連携といったMFP内部で処理された信号なども含まれる。
【0072】
次に、入力ジョブ制御部702は、プロトコル解釈部706とジョブ生成部707から構成されている。入力デバイス制御部705から送られてくる一連の操作要求は、コマンド(プロトコル)と呼ばれる命令信号で受信され、プロトコル解釈部76でその操作要求の概要が解釈されて、MFP内部で理解できる操作手順に変換される。一方、ジョブ生成部707はプリントジョブ、スキャンジョブ、PDL展開ジョブ、ファックス受信ジョブ等様々なジョブを生成する。生成されたジョブは、MFP内部でどのような処理を施して、どこに送られるかといったそれぞれのシナリオが定義付けされて、そのシナリオに従ってMFP内部を流れることとなる。
【0073】
出力ジョブ制御部703では、ジョブ解析部708、バインダ解析部709、ドキュメント解析部710及び、ページ解析部711)において、ジョブの設定情報(俗に、ジョブチケットと呼ばれる)と画像情報が作成される。ジョブ解析部708は、印刷する文書名や印刷部数、出力先の排紙トレイ指定、複数バインダで構成されるジョブのバインダ順などジョブ全体に関わる設定情報712の詳細が解析される。バインダ解析部709は、製本方式の設定やステープルの位置、複数ドキュメントで構成されるバインダのドキュメント順などバインダ全体に関わる設定情報713の詳細が解析される。ドキュメント解析部710は、複数ページで構成されるドキュメントのページ順、両面印刷の指定、表紙や合紙の付加などドキュメント全体に関わる設定情報714の詳細が解析される。ページ解析部711は、画像の解像度、画像の向き(ランドスケープ/ポートレイト)等の各種設定ページ全体に関する設定情報715の詳細が解析されると共に、PDLデータが入力された場合にはRIP部208を呼び出してラスタライズ処理を施す。なお、画像情報を生成するに当たっては、RIP部208を呼び出して、ラスタライズ処理にてページ画像情報716が生成される。ページ画像情報は、圧縮伸張部206において圧縮された後、文書管理部205に設定情報と関連付けされて格納される。
【0074】
出力デバイス管理部704は、デバイス割り当て部718と出力デバイス制御部717で構成されている。文書管理部205に保存された画像情報は圧縮伸張部206にて伸張され、関連付けられていた設定情報と一緒に読み出され、設定情報と画像情報は一対になってデバイス割り当て部718に送られてくる。デバイス割り当て部718は、定義付けされたそれぞれのジョブのシナリオに基づいて、出力デバイスを割り当てる際に、複数のジョブが同時に処理を進めるとデバイスの競合が発生するため、それを調停する役割を果たす。出力デバイス制御部717は、プリンタ部106、後処理部107などどのデバイスを利用するかをスケジューリングする。
【0075】
(文書管理部の構成)
ここで、文書の格納において、3つの格納方式を定義し、それぞれ以下のように呼ぶ。
1つ目は、一時的な保管方式で、ジョブが終了した時点、予め決められた容量(メモリとハードディスクの両方の場合がある)を超えた時点、電源をオフした時点などで消滅してしまう。このような、ある限られた時間内でのみ有効となる格納方式の場合、ホールドジョブと呼ぶこととする。
【0076】
2つ目は、ユーザが意図的にMFP内部のハードディスクに保存しておき、ユーザの意思で保存の有無や保存期間あるいは、セキュリティパスワードなどを設定できる格納方式の場合、ボックスジョブと呼ぶこととする。
【0077】
3つ目は、MFP外部のリムーバブルメディアやファイルサーバに設定情報(ジョブチケット)と画像情報を一緒にして保存しておく格納方式の場合、アーカイブジョブと呼ぶこととする。
【0078】
図8は、文書管理部205の管理構造を示す概念図であり、上記いずれの格納方式の場合も、概ね以下に述べる同様な管理方式で管理することが可能である。
【0079】
文書管理部205は、フォルダ管理部801、ジョブ管理部802、バインダ管理部803、ドキュメント管理部804、ページ管理部805といったそれぞれ設定情報を持った管理部と、各ページの画像情報806とから構成されている。文書管理部205は、1つまたは複数のフォルダ管理部で構成され、フォルダ管理部の管理情報が格納されている。
【0080】
フォルダ管理部は、1つまたは複数のジョブ管理部で構成され、ジョブ管理部の設定情報が格納されている。ジョブ管理部は、1つまたは複数のバインダ管理部で構成され、バインダ管理部の設定情報が格納されている。更に、バインダ管理部は、1つまたは複数のドキュメント管理部で構成され、ドキュメント管理部の設定情報が格納されている。そして、ドキュメント管理部は、1つまたは複数のページ管理部で構成され、ページ管理部の設定情報が格納されている。それぞれの設定情報は、図7におけるそれぞれの設定情報(ジョブチケット情報)であり、ジョブを処理するために必要な様々な属性値(パラメータ)などの情報が保存・格納されている。また、ページ管理部に関連付けされて、それぞれのページ画像情報も格納されている。このページ画像情報は、スキャナで読込んだ1ページ分の画像データ、ホストコンピュータから送信されたPDLを展開した1ページ分の画像データ、FAXで受信した1ページ分の画像データなどを意味する。ただし、圧縮伸張部にて圧縮された画像データでも、圧縮されていない生の画像データでもかまわない。
【0081】
(RIP部の構成)
図9を用いて、RIP部208の構成について説明する。
【0082】
RIPとは、PDLで記述された画像走査線情報などを同時にページ上に再現するために、それぞれのオブジェクト情報をメモリ上にビットマップ(ラスタイメージ)展開するプロセッサである。RIPとはRaster Image Processorの略語である。また、PDLとはPage Description Languageの略語である。画像走査線情報には、文字、線画、図形などのベクトル情報、あるいは、色、パターン、写真などが含まれる。元来、ハードウェアとして出力装置側に搭載されていたが、現在では、CPUの高速化によりソフトウェアで実現されている。
【0083】
RIP部208は、一般に、インタプリタ部901とレンダリング部902の2つの部分から成り立っている。インタプリタ部は、PDLの翻訳を行うPDL解釈部903と、解釈したPDLデータからディスプレイリストと呼ばれる中間ファイルを生成するDL(Display List)生成部904とで構成されている。一方、レンダリング部902は、ディスプレイリストに対してカラーマッチングを行うCMM(Color Matching Module)部905と、ディスプレイリストをビットマップ(ラスタイメージ)に展開するDL展開部906とで構成されている。
【0084】
PDL解釈部903は、入力されてきた様々な種類のPDLデータを解析する部分である。入力フォーマットとしては、Adobe(登録商標)社のPostScript(登録商標)言語やHP(Hewlett-Packard)(登録商標)社のPCL(Printer Control Language)言語などが有名である。これらは、ページ単位の画像を作成するためのプリンタ制御コードで記載されており、単純な文字コードのほか、図形描画のコードや写真画像のコードなども含まれている。また、PDF(Portable Document Format)というAdobe(登録商標)社の開発した文書表示用ファイル形式も様々な業界で多用されており、ドライバを使用せず直接MFPに投げ込まれたこのフォーマットも対象としている。そのほか、PPML(Personalized Print Markup Language)と呼ばれるVDP(Variable Data Print)向けフォーマットなどにも対応している。さらに、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やTIFF(Tagged Image File Format)と呼ばれるカラー画像の圧縮フォーマットなどにも対応している。
【0085】
また、CMM部905では、グレースケール、RGB、CMYKなど様々な画像データの入力が可能である。その他の色空間の場合には、一度CRD(Color Rendering Dictionary)にてCMYK空間に変換された後、カラーマッチングが施される。CMM部において、ICCプロファイルによる色調整が行われる。ICCプロファイルは、ソースプロファイル907とプリンタプロファイル908とがある。ソースプロファイルは、RGB(またはCMYK)データを一度規格化されたL*a*b*空間に変換し、このL*a*b*データを再度ターゲットとなるプリンタに適したCMYK空間に変換する。このとき、ソースプロファイルは、RGBプロファイルとCMYKプロファイルから形成されている。入力画像がRGB系画像(Microsoft(登録商標)社のアプリケーションソフトやJPEG、TIFF画像等)の場合は、RGBプロファイルが選択される。CMYK系画像(Adobe(登録商標)社のPhotoshop(登録商標)やIllustrator(登録商標)の一部データなど)の場合にはCMYKプロファイルが選択される。次に、プリンタプロファイルは、各プリンタの色特性に合わせて作られている。RGB系画像の場合は、Perceptual(色味優先)やSaturation(鮮やかさ優先)を選択するのが好ましく、CMYK系画像の場合は、Colorimetric(色差最小)を選んで最適画像を出力することが多い。また、ICCプロファイルは、一般にルックアップテーブル形式で作られている。ソースプロファイルでは、RGB(またはCMYK)データが入力されると、一意にL*a*b*データに変換され、逆にプリンタプロファイルでは、L*a*b*データからプリンタにマッチしたCMYKデータに変換される。なお、カラーマッチングを必要としないRGBデータは、デフォルトの色変換によりCMYKデータに変換されて出力され、カラーマッチングを必要としないCMYKデータに対しては、そのまま出力される。
【0086】
(出力画像処理部(カラー系)の構成)
図10を用いて出力画像処理部105について説明する。
【0087】
出力画像処理部(カラー系)に入力される画像データは、大きく分けて複写動作など入力画像処理部101からの出力データを扱うRGB系データと、ネットワークプリント動作などRIP部208からの出力データを扱うCMYK系データとに分かれている。
【0088】
前者の場合、下地除去部1001に入力され、後者の場合は、出力ガンマ補正部1002に入力される。
【0089】
まず、下地除去部1001(図示せず)では、スキャナで読み取ったRGB画像データに対して、BEサンプリング部(図示せず)の結果に基づいて、下地部を除去するための非線形変換を行う。
【0090】
次に出力ダイレクトマッピング部1003において、RGB画像データからCMYK画像データに変換される。変換においては、RGBそれぞれの値をルックアップテーブルに入力し、その出力値の総和からC(Cyan)成分を作る。同様に、M(Magenta)、Y(Yellow)、K(black)それぞれの成分もルックアップテーブルとその加算演算で形成している。このとき、入力画像処理部101にて検出された像域データに基づいて、3次元のルックアップテーブルが利用されており、文字領域と写真領域ではそれぞれ異なる種類のルックアップテーブルが適用されている。
【0091】
出力ガンマ補正部1002では、プリンタに対応した出力画像の濃度補正を行っている。CMYKそれぞれ一次元のルックアップテーブルを利用して、画像形成ごと異なる出力画像データのリニアリティを保つ役割を果たしており、一般的にカラーキャリブレーションの結果は、このルックアップテーブルに反映される。
【0092】
ハーフトーン処理部1004は、MFP機能に応じて、異なる種類のスクリーニングを択一的に適用することができる。一般に、複写動作などでは、モアレの起きにくい誤差拡散系のスクリーニングを利用し、プリント動作では、文字や細線の再現性を考えてディザマトリクスなどを利用した多値スクリーン系のスクリーニングを用いることが多い。前者は、注目画素とその周辺画素に対して誤差フィルタで重み付けし、階調数を保ちながら多値化の誤差を配分して補正していく方法である。一方、後者は、ディザマトリックスの閾値を多値に設定し、擬似的に中間調を表現する方法で、CMYK独立に変換し、入力画像データによって低線数と高線数とを切り替えて再現する。
【0093】
更に、スムージング処理部1005では、CMYKそれぞれに対し、エッジ部分をパターンマッチングにより検出し、より滑らかに再現されるパターンに変換することでジャギーを軽減する方法である。
【0094】
(出力画像処理部(白黒系)の構成)
図11を用いて出力画像処理部105について説明する。
スムージング処理部1101では、エッジ部分をパターンマッチングにより検出し、より滑らかに再現されるパターンに変換することでジャギーを軽減している。
【0095】
変倍時濃度誤差補正部1102は、FAX受信などの際に解像度を変換(例えば、200dpiで入力した画像データを600dpiで出力)する場合、濃度情報が保存されないことがある。これを解消するため、画像をブロックに分割し、パターンマッチングを行う。これで、マッチしたブロックは濃度が保存されない恐れがあるため、この発生誤差を一次元拡散処理して、濃度が保たれるように補正する方法がとられる。
【0096】
トナーセーブ部1103は、入力画像の黒画素を、周期的に白画素に置き換えて、省トナーを実現する部分である。置き換えパターンや、省トナーの度合いを選択する事が可能で、PDLプリント時には、エッジ部を検出し、非エッジ部のみ選択的にトナーセーブして画像を鮮明に再現する。
【0097】
(操作部の構成)
図12を用いて操作部108について説明する。
【0098】
同図はMFPの操作部108を表しており、キー入力部1201とタッチパネル部1202から成っている。それぞれの詳細を示したものが、図13及び図14であり、以下にそれぞれの詳細を説明する。
【0099】
まず、図13は、定常的な操作設定を行うことができるキー入力部分1201である。
【0100】
操作部電源スイッチ1301は、スタンバイモード(通常動作状態)とスリープモードを切り替えるものである。スリープモードとはメインコントローラが、ネットワークプリントやファクシミリなどに備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止して、消費電力を抑えている状態である。システム全体の電源供給を行う主電源スイッチがON状態で制御することができる。
【0101】
節電キー1302は、スタンバイモード時の定着器の制御温度を下げて、プリント可能な状態まで時間は要するが、消費電力を抑えるためことができるキーである。節電率の設定により制御温度を下げることもできる。
【0102】
スタートキー1303は、コピーや送信などの開始を指示するキーであり、ストップキー1304は、それを中断するキーである。
【0103】
テンキー1305は、各種設定の置数を行うためのキーであり、クリアキー1306は、その置数を解除するためのキーである。IDキー1307は、MFPの操作者を認証するために、予め設定された暗証番号を入力させるためのキーである。
【0104】
リセットキー1308は、各種設定を無効にし、デフォルト状態に戻すためのキーである。ヘルプキー1309は、ガイダンスやヘルプを表示させるためのキーであり、ユーザモードキー1310は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。
【0105】
カウンタ確認キー1311は、MFP内に設けてあるプリント枚数などをカウントするソフトカウンタに記憶されている出力済み枚数を表示させるためのキーである。コピー/プリント/スキャン/ファックスなどの動作モード、カラー/白黒といった色モード、ラージ/スモールといった紙サイズなどに応じて、それぞれの出力済み枚数を表示させることができる。
【0106】
画像コントラストダイヤル1312は、タッチパネル部1202の液晶表示のバックライトを調光するなどして、画面の見易さを調整するためのダイヤルである。
【0107】
実行/メモリランプ1313は、ジョブの実行中やメモリへのアクセス中に点滅して知らせるランプである。エラーランプ1314は、ジョブの実行ができない場合やサービスマンコールなどのエラー、あるいは、ジャムや消耗品切れなどを知らせるオペレータコールなどの際に点滅して知らせるランプである。
【0108】
次に、図14は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示部)とその上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを表した模式図である。LCDに表示されるキー相当の部分の透明電極を指で触れると、それを検知して別の操作画面を表示するなど予めプログラムされている。同図は、スタンバイモード時の初期画面であり、設定操作に応じて様々な操作画面を表示することができる。
【0109】
コピータブ1401は、コピー動作の操作画面に遷移するためのタブキーである。送信タブ1402は、ファックスやE−mail送信など送信(Send)動作を指示する操作画面に遷移するためのタブキーである。ボックスタブ1403は、ボックス(ユーザごとにジョブを格納する記憶手段)にジョブを入出力操作するための画面に遷移するためのタブキーである。オプションタブ1404は、スキャナ設定など拡張機能を設定するためのタブキーである。システムモニタキー1405は、MFPの状態や状況を表示するためのキーであり、各タブを選択することで、それぞれの操作モードに遷移することができる。
【0110】
色選択設定キー1406は、カラーコピー、白黒コピー、あるいは自動選択かを予め選択するためのキーである。倍率設定キー1407は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定を行う画面に遷移するキーである。後処理設定キー1408はステープルやパンチなどの有無、個数、位置などを設定する画面に遷移するキーである。両面設定キー1409は、片面印刷か両面印刷かを選択する画面に遷移するキーである。紙サイズ設定キー1410は、給紙段や紙サイズ、メディアタイプを選択する画面に遷移するキーである。画像モード設定キー1411は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像モードを選択するためのキーである。濃度設定キー1412は、出力画像を濃くしたり薄くしたり調整するためのキーである。
【0111】
次に、ステータス表示部1413は、スタンバイ状態、ウォームアップ中、ジャム、エラー等の簡易的な状態表示を行う表示部である。倍率表示部1414は、倍率設定キー1415で設定された倍率を表示する。紙サイズ表示部1416は、紙サイズ設定キーで設定された紙サイズやモードを表示する。枚数表示部1420は、テンキーで指定された枚数を表示したり、動作中に何枚目を印刷中かを表示したりする。
【0112】
更に、割り込みキー1417は、コピー動作中に別のジョブを割り込ませる場合に利用する。応用モードキー1418は、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行う画面に遷移するためのキーである。
【0113】
(外部コントローラの構成)
MFP内部のPDL部にて満足な画質やパフォーマンス(プリントスピードに見合うだけの十分な画像処理スピード)が得られない場合にRIP(Raster Image Processor)処理に専念するパワフルなコントローラが必要となる。そこで、外部コントローラについて図15を用いて説明する。
【0114】
外部コントローラのハードウェアは、様々な接続方法や、様々なバスやインターフェースを有した構成が一般に知られており、ここで紹介するハードウェア構成は一例に過ぎない。
【0115】
まず、点線で囲まれた部分がマザーボード1501と呼ばれる基板で、この上に以下に説明する機能が搭載されている。2つのCPU1502は、この外部コントローラのソフトウェア全体を制御しており、CPUバス1503を経由してキャッシュメモリ1504と接続される。更にノースブリッジ1505、サウスブリッジ1506と呼ばれるLSI(Large Scale Integration)チップによって、マザーボード1501上の様々なバスの制御を行っている。ノースブリッジ1505とサウスブリッジ1506のデータのやり取りを初めとして外部コントローラ内部でのデータの一次保存などのためSDRAM1507などのメモリが使用されている。
【0116】
次に、ノースブリッジ1505は、高速PCI(Peripheral Component Interconnect)バス1508を持っている。32ビット/66MHz仕様のものが広く知られているが、更に高速なPCI ExpressやPCI−Xといったバスを持つものもある。ここでは、ビデオデータを直接プリンタに送るようなビデオインターフェースカード1509が接続され、高解像度の画像データなどを一気にプリンタに送ったり、MFPによってスキャンされた画像データを外部コントローラに取り入れたりすることができる。
【0117】
更に、サウスブリッジ1506は、汎用PCIバス(32ビット/33MHz)1510が接続されており、EthernetなどのNIC(Network Interface Card)1511が接続される。また、サウスブリッジ1506は、IDE(Integrated Disk Electronics)バス1512も持っている。それにより、ハードディスクドライブやCD−ROM、DVDドライブなどが接続される。ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)1513は、外部コントローラの制御ソフトウェアを初め様々なデータを格納しておくのに役に立つ。CD−ROM(または、CD−R、CD−R/W)ドライブ1514は、外部コントローラのインストール時などのデータ読み出しや大量データのデータ保存(アーカイブ)などに役立つ。DVD(または、DVD−R、DVD−R/W、DVD−RAM)ドライブも同様である。また、USBポート1515は、USBメモリに代表されるUSB外部装置1515にアクセスすることが可能になる。このUSB外部装置には、ドングルと呼ばれるソフトウェアを不正に複製することを防止するためのハードウェアキーも含まれる。ドングルを接続しないと外部コントローラのソフトウェアが動作せず、他のコンピュータにソフトウェアを複製したとしてもドングルを接続しない限り起動しない仕組みになっているものもある。
【0118】
そして、スーパーI/O部1516を経由してキーボード1517やマウス1518あるいは、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(F/Dドライブ)1519につながって、データの入出力を行うこともできる。
【0119】
(プリンタドライバの設定画面)
印刷アプリケーションからMFP等のプリントデバイスにプルーフ出力したり、最終成果物を出力したりするための一手段として、プリンタドライバが使用される。
【0120】
図16は、プリンタドライバの設定画面構成の一例を示す図である。
【0121】
プリンタドライバの設定画面は、作業者がMFP等のプリントデバイスに印刷データを印刷する場合に、一般的に印刷アプリケーションの印刷メニューを選択することにより表示される画面である。
【0122】
まず作業者は、この設定画面の「プリンタ名」プルダウンリストボックス1601により、使用するプリントデバイスを選択する。すると、その下の「状態」1602にプリントデバイスの状態が表示される。そして、「種類」1603にプリンタドライバの種類が、「場所」1604にプリントデバイスの設置場所情報が表示される。さらに、「コメント」1605にプリントデバイス管理者からのコメント情報が表示される。印刷データをプリントデバイスに印刷せずにファイルに出力したい場合は、「ファイルへ出力」チェックボックス1606を選択状態にする。
【0123】
「印刷範囲」では、「全て」,「現在のページ」,「選択したページ」,「ページ指定」のいずれかをラジオボタン1607で選択することにより、印刷したいページを指定する。「ページ指定」を選択した場合は、エディットボックス1608に印刷したいページ番号を入力する。
【0124】
さらに「印刷対象」プルダウンリストボックス1609により、印刷対象となる文書の属性を選択し、「印刷指定」プルダウンリストボックス1610により、全てのページを印刷するのか、奇数あるいは偶数ページだけを印刷するのかを指定する。
【0125】
「印刷部数」では、「部数」スピンボックス1611に印刷したい部数を入力するとともに、複数部数をページ単位ではなく部単位で印刷する場合は、「部単位で印刷」チェックボックス1612を選択状態にする。
【0126】
「拡大/縮小」では、まず「1枚あたりのページ数」プルダウンリストボックス1613により、N−up印刷(1つの印刷面に複数ページをレイアウトする印刷)を指定する。そして、「用紙サイズの指定」プルダウンリストボックス1614により、原稿サイズに対する用紙サイズを選択する。
【0127】
「プロパティ」ボタン1615を押下することにより、さらに詳細な印刷属性を設定することができる。
【0128】
作業者がプリンタドライバの設定画面の設定を終了したならば、「OK」ボタン1616を押下することにより、印刷データをMFP等のプリントデバイスに印刷したり、ファイルに出力したりすることができる。印刷やファイル出力を止める場合は、「キャンセル」ボタン1617を押下すればよい。
【0129】
図17は、プリンタドライバのページ設定処理に関連したプロパティ設定画面1の一構成例を示す図である。
【0130】
プリンタドライバのプロパティ設定画面1は、プリンタドライバの設定画面のプロパティボタン1615を押下したときのデフォルト画面として表示される。もしくはプリンタドライバのプロパティ設定画面の「ページ設定」タブ1701を選択することにより表示される。
【0131】
「お気に入り」プルダウンリストボックス1702では、予め決められたページ設定モードの中から最適なページ設定を選択する。その右に位置する2つのボタン1703により、お気に入りの選択項目を追加したり編集したりすることができる。
【0132】
また、「設定確認」ボタン1704を押下することにより、プロパティ設定画面で設定した内容を一覧表示することができ、プロパティ設定画面で設定した内容は、その上に表示されているページイメージに反映される。
【0133】
「出力方法」プルダウンリストボックス1705では、MFP等のプリントデバイスに通常印刷あるいはセキュア印刷をするのかといったような出力方法を指定する。さらに、プリントデバイスのハードディスクに保存するのか、プリントデバイスで編集とプレビューを実行するのかといったような出力方法も指定可能である。
【0134】
「原稿サイズ」,「出力用紙サイズ」プルダウンリストボックス1706では、印刷対象となる原稿サイズとプリントデバイスの出力用紙サイズを選択する。
【0135】
「部数」スピンボックス1707では、印刷したい部数を入力し、「印刷の向き」ラジオボタン1708では、「縦」,「横」といったようなプリントデバイスの出力用紙の向きを選択する。
【0136】
「ページレイアウト」プルダウンリストボックス1709では、まずN−up印刷(1つの印刷面に複数ページをレイアウトする印刷)を指定する。そして「倍率を指定する」チェックボックス1710を選択状態にした場合は、「倍率」スピンボックス1711に拡大/縮小の倍率を%単位で入力する。
【0137】
「スタンプ」チェックボックス1712を選択状態にした場合は、プルダウンリストボックスで予め決められたスタンプの種類を選択する。「スタンプ編集」ボタン1713を押下することにより、スタンプの種類を追加したり編集したりすることができる。
【0138】
「ユーザ定義用紙」ボタン1714を押下することにより、ユーザ定義用紙を定義したり、「ページオプション」ボタン1715を押下することにより、さらに詳細なページオプションを設定したりすることができる。また、「標準に戻す」ボタン1716を押下することにより、これらの設定をデフォルトに戻すことができる。
【0139】
作業者がプリンタドライバのプロパティ設定画面の設定を終了したならば、「OK」ボタン1717を押下することにより、これらの印刷属性を実際の印刷に反映することができる。プロパティ設定画面の設定を止める場合は、「キャンセル」ボタン1718を押下すればよい。「ヘルプ」ボタン1719は、プロパティ設定画面のヘルプ画面を表示するものである。
【0140】
図18は、プリンタドライバの仕上げ処理に関連したプロパティ設定画面2の一構成例を示す図である。
【0141】
プリンタドライバのプロパティ設定画面2は、プリンタドライバのプロパティ設定画面の「仕上げ」タブ1801を選択することにより表示される画面である。
【0142】
「お気に入り」プルダウンリストボックス1802では、予め決められたページ設定モードの中から最適なページ設定を選択する。その左に位置する2つのボタン1803により、お気に入りの選択項目を追加したり編集したりすることができる。
【0143】
また、「設定確認」ボタン1804を押下することにより、プロパティ設定画面で設定した内容を一覧表示することができ、プロパティ設定画面で設定した内容は、その上に表示されているページイメージに反映される。
【0144】
「出力方法」プルダウンリストボックス1805では、MFP等のプリントデバイスに通常印刷あるいはセキュア印刷をするのかといったような出力方法を指定する。また、プリントデバイスのハードディスクに保存するのか、プリントデバイスで編集とプレビューを実行するのかといったような出力方法の指定も可能である。
【0145】
「印刷方法」プルダウンリストボックス1806では、「片面印刷」,「両面印刷」,「製本印刷」といったような印刷方法を選択する。
【0146】
サイズや向きが異なる用紙を組み合わせる場合は、「サイズや向きが異なる用紙を組み合わせる」チェックボックス1807を選択状態にして、用紙の組み合わせや揃え方やとじしろの幅を指定する。
【0147】
「印刷方法」プルダウンリストボックスで「製本印刷」を選択した場合、「製本詳細」ボタン1808を押下して、製本印刷の方法やページの開き方向や製本とじしろの幅を指定する。
【0148】
「印刷方法」プルダウンリストボックスで「片面印刷」,「両面印刷」のいずれかを選択し、かつ「サイズや向きが異なる用紙を組み合わせる」チェックボックスを選択しなかった場合は次の通りの指定になる。まず「とじ方向」プルダウンリストボックス1809で、「長辺とじ(左)」,「長辺とじ(右)」,「短辺とじ(上)」,「短辺とじ(下)」といったようなとじ方向を選択する。さらに「とじしろ」ボタン1810を押下して、とじしろの幅を指定する。
【0149】
「排紙方法」プルダウンリストボックス1811では、まず「ソート」,「グループ」,「ステープル」といったような排紙方法を選択する。そして「シフト」,「回転」,「パンチ穴」,「Z折り」チェックボックス1812により、それぞれの仕上げ方法を指定する。それと同時に、強制的に排紙先を固定する場合は、「強制的に排紙先を固定する」チェックボックス1813を選択状態にする。
【0150】
「排紙方法」プルダウンリストボックスで「ステープル」を選択した場合、「ステープル位置指定」ボタン1814を押下して、ステープル位置を指定する。
【0151】
「仕上げ詳細」ボタン1815を押下することにより、さらに詳細な仕上げ方法を設定することができる。また、「標準に戻す」ボタン1816を押下することにより、これらの設定をデフォルトに戻すことができる。
【0152】
作業者がプリンタドライバのプロパティ設定画面の設定を終了したならば、「OK」ボタン1817を押下することにより、これらの印刷属性を実際の印刷に反映することができる。プロパティ設定画面の設定を止める場合は、「キャンセル」ボタン1818を押下すればよい。「ヘルプ」ボタン1819は、プロパティ設定画面のヘルプ画面を表示するものである。
【0153】
〔実施形態〕
(全体構成)
図20は本発明に係る画像形成システムの全体構成を示している。
【0154】
本発明に係る画像形成システムは複数のクライアントPC2003及び画像形成装置及び画像を読み取る読み取り装置(スキャナ)2002がLAN等のネットワーク2001により接続される構成で実現される。また、本発明の各処理を実現するために、次のコンポーネントが必要である。ひとつはクライアントPC2003上にインストールされる印刷体裁を指定するアプリケーションソフトである。もうひとつはクライアントPC2003で生成された印刷データをページ記述言語(PDL)に変換して、画像形成装置2004に送信するプリンタドライバである。さらにPDLデータを受信して解析してラスタデータに展開するRIP処理を行う画像形成装置2004内、または画像形成装置2004に付属するコントローラである。以下に示す[全体フロー](図21)、[補填ページ作成処理](図23)、[描画データ間引き処理](図20)、[補填ページ参照処理](図25)は何れのコンポーネントでも最良な形態で実現可能である。そのため本実施形態では画像形成装置2004内のRIP処理で実現する方法について詳細に説明する。以下に示す[ページ除外処理](図31)、[補填ページN−up適用処理](図33)、[可読不可ページ拡大処理](図36)については、クライアントPC2003上のアプリケーションソフトまたはプリンタドライバで実現する方法が最良な形態である。そのため本実施形態ではこれらをクライアントPC2003上のアプリケーションソフトで実現する方法を詳細に説明する。
【0155】
(全体フロー)
図21は本発明の全体フローを示している。ここで示している処理は前述した図9のRIP部208で処理されることを仮定している。
【0156】
S2101はPDLの解釈を行う処理ステップである。具体的にはPDFで指定されたページ記述データをディスプレイリストメモリ上に1ページごと展開していく処理である。S2102は、ディスプレイリストの作成処理を行う処理ステップである。
【0157】
図22はディスプレイリストメモリを示している。ディスプレイリストは印刷に関連する描画データを1用紙面単位で保持している。したがって、ディスプレイリスト上の描画データは既に縮小処理などが施されたものである。一つのメモリブロックに図形の描画パスデータや外接矩形(BBox)と位置データ、文字の描画パスデータや外接矩形(BBox)と位置データ、または文字のビットマップデータへの参照データ、ROPやカラーの情報などを保持している。
【0158】
上記S2101でPDLを解釈して、これらの描画データへ落とし込み、ディスプレイリストメモリに格納する。本発明で特徴的な処理としては、PDL解釈時にページ番号を保持して置き、ディスプレイリストに描画データを格納する際に、どのページの描画データなのかを記憶させる。たとえば、2201や2202や2203で示すページ番号「1」,「2」,「4」をディスプレイリストメモリに格納することにより、その後に続く描画データが何ページ目のデータなのかを判断できる状態にしておく。この処理により、N−upが指定されているとき、ディスプレイリストを解析することにより元のページ番号をトレースすることが可能になる。
【0159】
S2103は閾値以下の文字サイズを持つページを非縮小画像として再構築する補填ページ作成処理を行う処理ステップである。詳細は後述する。S2104は生成されたディスプレイリストに対してカラーマッチング処理を行う処理ステップである。S2105は、カラーマッチングを行った印刷データをビットマップ上にレンダリング処理を行う処理ステップである。
【0160】
(補填ページ作成処理)
図23は全体フローのS2103で示した補填ページ作成処理の詳細処理ステップを示しているフローチャートである。
【0161】
S2301は補填ページに指定するページ番号を格納する補填ページリストHoten[]を定義する処理ステップである。S2302は、変数XとNを定義する処理ステップである。変数Xはディスプレイリストを解析する処理で、どのページを解析しているかを示す変数であり、変数Nは補填ページリストの番号を示す変数である。Xページというのは、図22のディスプレイメモリを例にとると、2201、2202や2203で示した格納したページ番号を指し示す。したがって、印刷用紙の番号ではなくページ番号である。S2303は補填ページリストHoten[N]にNullを格納する処理ステップである。Nullは補填ページリストの終了を意味する。S2304は変数Xに1を代入する処理ステップである。S2305はXページにおけるディスプレイリストを解析する処理ステップである。ディスプレイメモリのXページに続く描画データを解析していく処理である。
【0162】
S2306は、S2305で文字データの解析を行い、その文字のBBoxが可読性可能の閾値以下のサイズであるかどうかを判断する処理ステップである。もし閾値よりも小さいサイズが存在すればS2307へ進み、閾値より小さいサイズが存在しなければS2309へ進む。S2307は補填ページリストHoten[N]にページ番号Xを格納する処理ステップである。文字サイズで閾値以下のものがあれば、本発明の補填ページ作成処理に該当するページと判断されるため、そのページ番号を補填ページリストに格納する。S2308は、変数Nをインクリメントする処理である。S2309は変数Xをインクリメントする処理である。S2310は、全てのページについてディスプレイリスト解析が終了したかどうかを判定する処理ステップである。まだ未解析のページがあればS2305へ戻って処理を繰り返し、全てのページについて解析が終了していればS2311へ進む。S2311は、補填ページリストHoten[N]にNullを格納する処理ステップである。S2312は変数Nに0を代入する処理である。
【0163】
S2313は補填ページリストHoten[N]がNullと等しいかどうかを判断する処理である。もし補填ページリストHoten[N]がNullと等しかったら、補填ページの作成が終了していることを意味するため、図23で示している補填ページ作成処理は終了となる。一方、補填ページリストHoten[N]がNullと等しくなかったらS2314へ進む。S2314は補填ページリストHoten[N]に格納されているページ番号のPDLを非縮小画像として再解釈する。図21のS2101で処理したPDL解釈ではN−upとして縮小処理が施されて解釈されていたページを、この処理では非縮小画像として再解釈する。ここで記述している非縮小とは、N−up指定による縮小率を適用しないという意味である。S2315はS2314で解釈した描画データをディスプレイリストに追加する処理である。この処理により、補填ページリストに格納されたページが再度描画されてディスプレイリストに追加される。S2316は変数Nをインクリメントする処理である。S2313〜S2316を実行することで、補填ページリストに格納された全ての補填ページについてPDLの再解釈およびディスプレイリストへの追加が行われる。
【0164】
図24は補填ページ作成処理を実行した場合の印刷例を示している。
【0165】
2401と2402で示す4ページデータを4−upで印刷する例である。通常の4−upを施すとページ2403にレイアウトされている表データ内の文字描画データが閾値以下のBboxサイズを持っていると判定され、補填ページリストに加えられる。補填ページリストに加えられたページは非縮小データとして再度描画データに変換されて、印刷データ2404として追加される。このように、可読性不可と判断されたページのみを非N−upで出力することが可能になる。
【0166】
(描画データ間引き処理)
図25は、本発明の描画データ間引き処理を示すフローチャートである。
【0167】
基本的な処理の流れは図23で示した補填ページ作成処理と同様であり、図23におけるS2307とS2308の間にS2501が追加されたのみである。
【0168】
図23で可読性不可と判断されたページを補填ページとして追加する処理を説明したが、可読性不可と判断したページもN−upページとして併せて出力される。しかし、可読性不可のページは補填ページとして追加されるため、N−upページでは、ページ順を示すだけで特に内容を確認させる必要はない。したがって、可読性不可と判断したN−upページについては、閾値以下に判断された描画データを削除して、ページの描画データ量を少なくする。この処理を描画データ間引き処理と呼ぶ。この処理によって、ディスプレイリストからレンダリングしてビットマップデータを生成する処理の負担を軽減することができる。
【0169】
S2501は、S2306で閾値以下と判断された描画データをディスプレイリストメモリから削除する処理である。この処理を加えることにより、描画データの間引き処理を入れたディスプレイリストが生成される。
【0170】
図26は描画データの間引き処理を実行した場合の印刷例を示している。
【0171】
この例では、ページ2601にレイアウトされている表データ内の文字データにおいて、閾値以下と判定されているため、描画データ間引き処理を実行すると、ページ2602にレイアウトされている表内の文字データが削除される。
【0172】
(補填ページ参照処理)
図27は、本発明の描画データ間引き処理を示すフローチャートである。
【0173】
基本的な処理の流れは図23で示した補填ページ作成処理と同様であり、図23におけるS2307とS2308の間にS2701を追加されたのみである。
【0174】
図23で可読性不可と判断されたページを補填ページとして追加する処理を説明したが、その追加の補填ページが全体の出力用紙の何番目にあるのかを、縮小描画されたページに参照情報として付加するのが補填ページ参照処理である。
【0175】
S2701は、S2306で閾値以下と判断された描画データが格納されているディスプレイリストメモリに、「“出力用紙枚数+変数N+1”ページ目を参照」という付加情報の描画データを格納する処理である。「“出力用紙枚数+変数N+1”ページ目を参照」の文言は特に規定せず、これに限らない。描画データに対する位置データとしては、ディスプレイリストメモリブロックの前後の情報を参照して、それらの位置付近を自動的に入れる。この処理を加えることにより、補填ページの参照場所を付加情報として印刷データに入れることが可能になる。しかし、ディスプレイリストではページの概念は失われているため、厳密な位置の計算はできない。N−upのページ間(余白)に参照情報を付加したい場合は、本処理はRIP部208ではなくクライアントPC2003上のアプリケーションやプリンタドライバで行うほうがより良い結果が得られる。
【0176】
図28は補填ページ参照処理を実行した場合の印刷例を示している。
【0177】
この例では8ページデータを4−upしたときに、2ページ目と7ページ目が補填ページ生成に該当している。4−up時の出力用紙枚数は2であるため、2ページ目2801には“P3を参照”という参照情報が、4ページ目2802には“P4を参照”という参照情報が付加される。
【0178】
(ページ除外処理)
前述した通り、ページ除外処理以降はクライアントPC2003上にインストールされるアプリケーションソフトで実現する方法について詳細に説明する。
【0179】
図29はアプリケーションソフトのUI例を示している。このUIのメインウインドウ2901には、印刷対象とするページデータリスト2902、印刷対象とするページデータに印刷体裁を掛け合わせたプレビューデータ2903が示されている。
【0180】
図30はアプリケーションソフトから印刷データを生成してプリンタドライはもしくは画像形成装置へ送信するまでの全体のフローを示している。
【0181】
S3001はアプリケーションソフトで指定された印刷体裁の情報を取得する処理である。印刷体裁とは、例えばN−upや製本印刷などである。S3002は本発明の補填ページ作成処理である。S3003は生成されたページデータをプリンタDC上に展開する処理である。S3004はS3003で生成されたプリンタDCをプリンタドライバへ送信する処理である。S3004でプリンタドライバではなく、画像形成装置へ送信する場合は、予めS3003の処理で画像形成装置が受信できる形に、例えばビットマップデータや画像形成装置側で解釈可能なファイルフォーマットに展開しておく必要がある。
【0182】
図31はS3002の補填ページ作成処理を詳細に示しているフローチャートである。図23で説明した処理と同様のものは説明を省く。
【0183】
S2304で変数Xに1を代入するとS3101において、Xページ目のページデータを解析する処理をする。ページデータ内に含まれる各種描画命令(テキストやオブジェクトなど)を解析する。S3102は、S3101の解析処理により文字列に適用されているフォントサイズと印刷体裁により指定されたN−up数によるページの縮小率とを乗じた値と、閾値とを比較する処理である。比較の結果、フォントサイズに縮小率を乗じた値が、閾値よりも小さい値であった場合はS2307に移行し、補填ページリストへ追加する処理へ進む。
【0184】
S2312で変数Nに0を代入するとS3103において、補填ページリストHoten[N]に格納されたページ数に該当するページデータを非N−upデータとして生成する処理をする。S3104はS3103で生成された非N−upデータを全体のページデータの後(X+1ページ目)に追加する処理である。S3105はX+1ページ目の印刷体裁を非N−upに設定する処理である。ページ例外処理などにより補填ページの印刷体裁は非N−upに設定する。S3106は補填ページリストHoten[N]ページ目のページデータを削除する処理である。この削除処理により補填ページとして生成された元のページデータは削除され、N−up指定で出力される印刷データには含まれなくなる。
【0185】
図32はページ除外処理を実行した場合の印刷例を示している。
【0186】
通常の補填ページ作成処理を実行した場合は補填ページの元になったページ3201もN−up印刷として出力される。ページ除外処理を行った場合は、3202で示すように元になったページは削除され、後続するページが詰められて印刷が行われる。
【0187】
(補填ページN−up適用処理)
図33は本発明の補填ページN−up適用処理を示すフローチャートである。基本的な処理の流れは図23や図31で示した補填ページ作成処理と同様であり、追加した処理のみを説明する。
【0188】
S2301に続くS3301は変数Mを定義する処理である。変数Mは後で動的に変更したN−up数を格納するために使用する。S3302は変数Fontを定義する処理である。変数Fontは補填ページ生成の元になったページデータに含まれている最小フォントサイズを格納するために使用する。S3303は変数Fontの初期化処理である。S3303では仮に100という数を代入しているが、そのシステムで指定できる最大のフォントサイズを指定していても良い。
【0189】
S2307に続くS3304はFont_tempにフォントサイズを代入する処理である。S3305は変数FontをFont_tempに格納されたフォントサイズと比較する処理である。もしFont_tempのほうが小さかったら、S3306へ進む。S3306は変数FontにFont_tempを代入する処理である。この処理により、変数Fontには補填ページ作成を行ったときの最小フォントサイズが代入されて、S2308の変数Nインクリメントに進む。
【0190】
S2312に続くS3307は補填ページリストHoten[N]がNullと等しいかどうかを比較する処理である。もしNullと等しかったら図33の処理フローは終了となる。等しくなければS3308へ進む。S3308は変数Fontに格納されたフォントサイズが閾値以上になるような縮小率を計算する処理である。したがって、フォントサイズ×縮小率>閾値となるような縮小率を計算する。S3309はS3308で計算した縮小率を満たすN−up数を計算する処理である。4−upであれば25%、2−upであれば50%という縮小率が適用されるが、元々の印刷体裁が4−upであったときは25%が指定されておりフォントサイズ×0.25の縮小を行っていた。これを非N−upの100%で補填ページを作成しなくても、例えば2−upの50%(フォントサイズ×0.5)の縮小率に補正して補填ページを作成して閾値以上の値になる場合であれば、この処理で2−upが計算される。S3310ではS3309で計算したN−up数を変数Mに代入する処理をして、補填ページリスト判断処理(S2313)に進む。
【0191】
S104に続くS3311は補填されたページの印刷体裁に変数Mで指定されるN−upを指定する処理である。この処理により、最小限の縮小率で補填ページを作成することを可能として、変数X及びNのインクリメント(S3107,2317)に進む。
【0192】
図34は補填ページN−up適用処理を実行した場合の印刷例を示している。
【0193】
3401のように4−upで補填ページ作成が適用されたときに、非N−upではなく2−upでページデータを作成することで可読性を保てると判断されるため、3402のように縮小率補正をして2−upで補填ページが作成される。この処理により、補填ページについても可能な限りN−upを適用させることが可能になる。
【0194】
(可読不可ページ拡大処理)
図35は本発明の可読不可ページ拡大処理を追加した全体処理のフローチャートである。S3501は可読不可ページ拡大処理を行う処理ステップである。詳細な処理については後述する。前述した補填ページ作成処理(S3002)より前に本処理を追加する。
【0195】
図36は、本発明の可読不可ページ拡大処理の詳細を示しているフローチャートである。
【0196】
S3601は変数XとNを定義する処理ステップである。変数Xはページデータを解析するときのページ数を格納するために使用する。変数Nは可読不可ページ拡大処理においても可読不可と判定された場合にカウントするために使用する。S3602は変数Nに0を代入する処理である。S3603は変数Xに1を代入する処理である。
【0197】
S3604は、Xページ目のページデータを解析する処理である。この処理はS3101と同様である。S3605は、S3604の解析処理により文字列に適用されているフォントサイズと印刷体裁により指定されたN−up数によるページの縮小率とを乗じた値と、閾値とを比較する処理である。この処理はS3102と同様である。S3606はS3605で可読性不可と判断されたときに、Xページ目のページデータをN−up時のページ間に生じる余白分拡大処理を行う処理である。つまり用紙内の他のページに重ならないようにページデータ全体を拡大する処理である。
【0198】
余白分拡大に続いて、S3607はS3606で拡大したことにより変更になった縮小率を用いて、S3605の処理を再度行う処理である。変更した縮小率で可読性不可でなければS3608へ進む。変更した縮小率でも可読性不可であればS3609へ進む。S3608はXページ目のページデータを余白分拡大したページデータに変更する処理である。S3609は変数Nをインクリメントする処理である。S3610で変数Xをインクリメントして終了判定に進む。S3611は全ページデータについて解析が終了したかどうかを判断する処理である。全ページ終了していなければS3604へ戻り処理を繰り返す。
【0199】
一方、全ページ終了していれば、S3612へ進む。S3612は変数Nが0と等しいかどうかを判定する処理である。変数Nが0と等しいということは、可読性不可のページが存在しなかったか、あるいは拡大処理により可読性が保証されたことを意味するので、全体フローのS3003(図30)へ進む。補填ページ作成処理は行う必要がない。変数Nが0と等しくなければ、図36の本処理を終了して、補填ページ作成処理S3002(図30)へ進む。この可読性不可ページ拡大処理により、ページデータを余白分拡大することにより、可読性が保証できれば、補填ページを作成することなくN−up印刷を行うことができる。
【0200】
図37は、可読不可ページ拡大処理を実行した場合の印刷例を示している。
【0201】
ページ3701はN−up印刷により可読性不可と判断されたページであ。可読性不可のページ3701に対して余白分の拡大処理を施すと3702で示すページデータとなり、これで可読性が保証されれば、補填ページを作成せずともN−up印刷を行うことが可能になる。
【0202】
(補填ページ作成処理指定方法)
前述した補填ページ作成処理の指定方法について説明する。図38(A)は補填ページ作成処理を実行するための指定ダイアログを示している。ダイアログボックス3801は、補填ページ作成処理指定チェックボックス3802、閾値設定エディットボックス3803、それぞれ設定内容を適用するOKボタン3804、無効にするキャンセルボタン3805を備える。ユーザはチェックボックス3802をONにして、OKボタン3804を押下することで補填ページ作成処理を指定することが可能である。また、閾値についてはエディットボックス3803でユーザにより任意で指定されても良いし、システムが内部で規定値を保持していても構わない。
【0203】
また、本指定UIについては、同様の指定が可能であれば、形状などは異なっていても構わない。図38(A)はプリンタドライバやアプリケーションソフトに適用しやすい形状をしているが、画像形成装置のパネルに装備しやすい形状に変更して、適用しても可能なことはいうまでもない。
【0204】
図38(B)は本発明の補填ページ参照処理、補填ページN−up適用処理、可読不可ページ拡大処理および、描画データ間引き処理とページ除外処理を実行するための指定ダイアログを示している。ダイアログボックス3806は、補填ページ参照処理の実行を指定するチェックボックス3807、補填ページN−up適用処理の実行を指定するチェックボックス3808、可読不可ページ拡大処理の実行を指定するチェックボックス3809を備えている。ダイアログボックス3806は更に、描画データ間引き処理の実行を指定するラジオボタン3810、ページ除外処理の実行を指定するラジオボタン3811、それぞれ設定内容を適用するOKボタン3812、無効にするキャンセルボタン3812を備えている。ユーザはチェックボックス3807〜3809をONにして、OKボタン3812を押下することでそれぞれの処理の実行を指定することができる。描画データ間引き処理とページ除外処理は互いに排他の関係であるためどちらか一方のみを指定することが可能である。そのため、ラジオボタン3810と3811の一方のみを指定することができる。
【0205】
また、本指定UIについては、同様の指定が可能であれば、形状などは異なっていても構わない。図38(B)はプリンタドライバやアプリケーションソフトに適用しやすい形状をしているが、画像形成装置のパネルに装備しやすい形状に変更して、適用しても可能なことはいうまでもない。
【0206】
<他の実施形態>
本発明は上述のように、複数の機器(たとえばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても一つの機器(たとえば複写機、ファクシミリ装置)からなる装置に適用してもよい。
【0207】
また、前述した実施形態の機能を実現するように各種のデバイスを動作させるように該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、前記実施形態機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
【0208】
またこの場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
【0209】
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0210】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0211】
さらに供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】本発明の実施形態におけるMFPのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるMFPの詳細ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における入力画像処理部(カラー系)のブロック図である。
【図4】本発明の実施形態における入力画像処理部(白黒系)のブロック図である。
【図5】本発明の実施形態におけるFAX部のブロック図である。
【図6】本発明の実施形態におけるNIC部のブロック図である。
【図7】本発明の実施形態におけるMFP制御部のブロック図である。
【図8】本発明の実施形態における文書管理部の概念図である。
【図9】本発明の実施形態におけるRIP部のブロック図である。
【図10】本発明の実施形態における出力画像処理部(カラー系)のブロック図である。
【図11】本発明の実施形態における出力画像処理部(白黒系)のブロック図である。
【図12】本発明の実施形態における操作部の模式図である。
【図13】本発明の実施形態におけるキー入力部の模式図である。
【図14】本発明の実施形態におけるタッチパネル部(コピータブ)の模式図である。
【図15】本発明の実施形態における外部コントローラの構成図である。
【図16】本発明の実施形態におけるプリンタドライバの設定画面を示す図である。
【図17】本発明の実施形態におけるプリンタドライバのプロパティ設定画面(ページ設定タブ)を示す図である。
【図18】本発明の実施形態におけるプリンタドライバのプロパティ設定画面(仕上げタブ)を示す図である。
【図19】本発明における課題を説明する図である。
【図20】本発明の実施形態におけるシステム構成図である。
【図21】本発明の実施形態における全体処理(画像形成装置系)を示すフローチャートである。
【図22】本発明の実施形態におけるディスプレイリストメモリの概念図である。
【図23】本発明の実施形態における補填ページ作成処理のフローチャートである。
【図24】本発明の実施形態における補填ページ作成処理を施した場合を説明する図である。
【図25】本発明の実施形態における描画データ間引き処理のフローチャートである。
【図26】本発明の実施形態における描画データ間引き処理を施した場合を説明する図である。
【図27】本発明の実施形態における補填ページ参照処理のフローチャートである。
【図28】本発明の実施形態における補填ページ参照処理を施した場合を説明する図である。
【図29】本発明の実施形態におけるアプリケーションソフトの概観図である。
【図30】本発明の実施形態における全体処理(アプリケーションソフト系)を示すフローチャートである。
【図31】本発明の実施形態におけるページ除外処理のフローチャートである。
【図32】本発明の実施形態におけるページ除外処理を施した場合を説明する図である。
【図33】本発明の実施形態における補填ページN-up適用処理のフローチャートである。
【図34】本発明の実施形態における補填ページN-up適用処理を施した場合を説明する図である。
【図35】本発明の実施形態における可読不可ページ拡大処理を加えた全体フローチャートである。
【図36】本発明の実施形態における可読不可ページ拡大処理の詳細フローチャートである。
【図37】本発明の実施形態における可読不可ページ拡大処理を施した場合を説明する図である。
【図38】本発明の実施形態における補填ページ作成処理の設定UI例(A)、及び、補填ページ参照処理、補填ページN-up適用処理、可読不ページ拡大処理、描画データ間引き処理、ページ除外処理の適用を指定する設定UI例(B)を示す図である。
【符号の説明】
【0213】
102、208 RIP部
103 MFP制御部
104 メモリ部
901 インタプリタ部
902 レンダリング部
903 PDL解釈部
904 DL生成部
905 CMM部
906 DL展開部
1201、1202 操作部
2001 ネットワーク
2002 画像読み取り装置(スキャナ)
2003 クライアントPC
2004 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させる画像形成システムにおいて、
該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するリスト手段、
該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断する判断手段、
可読性がないページがあると判断した場合に、該ページのページ番号を補填ページリストに登録する登録手段、
該ページリストに該ページ番号が登録された前記可読性がないページについて前記所定の縮小率を適用せずに前記ページ記述言語を再解釈し、前記1ページの出力用紙とは別の出力用紙のページに、該ページ上で前記可読性がないページが可読性を損なわれないように別の縮小率で出力させる出力手段
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、該ページの印刷属性について前記レイアウトにおいてレンダリングを間引くための間引き手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、前記レイアウトにおいて該ページの前記ページ番号を印刷属性に加えてレンダリングを行うための補填ページ参照手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、前記レイアウトにおいてレンダリングの対象から除外するためのページ除外手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記別の縮小率は1であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記出力させる手段は、前記可読性がないページについて前記ページ記述言語を再解釈し、前記別の出力用紙のページ上で該ページが可読性を損なわれないような、1よりも小さく且つ前記所定の縮小率よりも大きい縮小率に補正して出力させる縮小率補正手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させる画像形成システムにおいて、
該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するリスト手段、
該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断する手段、及び、
可読性がないページがあると判断した場合に、該ページを前記出力用紙の余白を使って可能な限り拡大処理を施すページ拡大手段
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
前記補填ページ参照手段、前記縮小率補正手段及び前記ページ拡大手段は、ユーザによって任意に適用するかしないかを切り替えることが可能なことを特徴とする請求項4、6、7のいずれかに記載の画像形成システム。
【請求項9】
ユーザが前記閾値を任意に指定するための閾値設定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させる画像形成方法において、
該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するステップ、
該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断するステップ、
可読性がないページがあると判断した場合に、該ページのページ番号を補填ページリストに登録するステップ、
該ページリストに該ページ番号が登録された前記可読性がないページについて前記所定の縮小率を適用せずに前記ページ記述言語を再解釈し、前記1ページの出力用紙とは別の出力用紙のページに、該ページ上で前記可読性がないページが可読性を損なわれないように別の縮小率で出力させる出力ステップ
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、該ページの印刷属性について前記レイアウトにおいてレンダリングを間引くためのステップを備えたことを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、前記レイアウトにおいて該ページの前記ページ番号を印刷属性に加えてレンダリングを行うための補填ページ参照ステップを備えたことを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記補填ページリストに前記ページ番号が登録された前記可読性がないページについて、前記レイアウトにおいてレンダリングの対象から除外するためのステップを備えたことを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記別の縮小率は1であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項15】
前記出力ステップは、前記可読性がないページについて前記ページ記述言語を再解釈し、前記別の出力用紙のページ上で該ページが可読性を損なわれないような、1よりも小さく且つ前記所定の縮小率よりも大きい縮小率に補正して出力させる縮小率補正ステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項16】
ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させる画像形成方法において、
該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するステップ、
該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断するステップ、及び、
可読性がないページがあると判断した場合に、該ページを前記出力用紙の余白を使って可能な限り拡大処理を施すページ拡大ステップ
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
前記補填ページ参照ステップ、前記縮小率補正ステップ及び前記ページ拡大ステップは、ユーザによって任意に適用するかしないかを切り替えることが可能なことを特徴とする請求項13、15、16のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項18】
ユーザが前記閾値を任意に指定するための閾値設定ステップを備えたことを特徴とする請求項10乃至17に記載の画像形成方法。
【請求項19】
コンピュータに、ページ記述言語から複数ページの原稿を1ページの出力用紙にレイアウトして出力させるために、
該ページ記述言語を入力及び解釈して、該レイアウトのための所定の縮小率で縮小した前記複数ページの原稿をディスプレイリストに格納するステップ、
該ディスプレイリストを解析して、前記複数ページの原稿に前記レイアウトにおいて可読性がないページがあるか否かを、該原稿の印刷属性と所定の閾値を比較することで判断するステップ、
可読性がないページがあると判断した場合に、該ページのページ番号を補填ページリストに登録するステップ、
該ページリストに該ページ番号が登録された前記可読性がないページについて前記所定の縮小率を適用せずに前記ページ記述言語を再解釈し、前記1ページの出力用紙とは別の出力用紙のページに、該ページ上で前記可読性がないページが可読性を損なわれないように別の縮小率で出力させる出力ステップ
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2009−88592(P2009−88592A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251536(P2007−251536)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】