説明

画像形成システム

【課題】画像形成装置に装備される用紙後処理装置において、中綴じ処理機能、各種折り処理機能を有しながらも装置システム全体の占有面積を増大させることを防止する。
【解決手段】用紙に対して画像を形成する画像形成装置100と、画像形成装置から搬送されてくる用紙に対して後処理を施す用紙後処理装置1と、を備え、用紙後処理装置は、用紙を整合トレイ11上に積載して用紙束を整合する整合手段10と、整合手段により整合された用紙束に対して綴じ処理を施す綴じ処理部20と、を有し、用紙後処理装置は、画像形成装置の下方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、印刷機等の画像形成装置に一体もしくは別体に設けられ、画像形成済みの用紙に対して所定の後処理を行って排紙する用紙処理装置及びこの用紙処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、印刷機等の画像形成装置に一体もしくは別体に設けられ、画像形成装置から排出されて来た画像形成済みの用紙(記録媒体)に対して、所定の後処理、例えば、スタック、整合、綴じ、中綴じ製本、折り等を行って排紙する用紙処理装置が知られている(特許文献1、2、3)。
用紙後処理装置を画像形成装置(本体)に対して組み付けることにより画像形成システムが構築される。
しかし、従来の用紙後処理装置は画像形成装置本体の横方向に配置されるのが一般であり、画像形成システム全体としての占有面積が増大するという問題があった。特に、中綴じ処理機能、各種折り処理機能を備えた後処理装置を組み込んだ場合には占有面積が大きくなるという不具合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、画像形成装置に装備される用紙後処理装置において、中綴じ処理機能、各種折り処理機能を有しながらも装置システム全体の占有面積を増大させることを防止した画像形成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る画像形成システムは、用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、該画像形成装置から搬送されてくる用紙に対して後処理を施す用紙後処理装置と、を備えた画像形成システムにおいて、前記用紙後処理装置は、用紙を整合トレイ上に積載して用紙束を整合する整合手段と、前記整合手段により整合された用紙束に対して綴じ処理を施す綴じ処理部と、を有し、前記用紙後処理装置は、前記画像形成装置の下方に配置されていることを特徴とする画像形成システム。
請求項2の発明は、前記綴じ処理部は、前記用紙束の端部を綴じる端綴じ部と、用紙束の中央部を綴じる中綴じ部と、を有し、前記後処理装置は、前記中綴じされた用紙束の用紙搬送方向中央部を中折りする中折り処理部と、前記端綴じされた用紙束を収容する第1排紙トレイと、前記中折りされた用紙束を収容する第2排紙トレイとをさらに備えたことを特徴とする。
請求項3の発明は、前記中折り処理部は、水平に保持された用紙束の中間部を上方に折り込む構成を備え、前記綴じ処理部は、着脱可能なステイプル針収容部、及び押し出し部を設けたドライバ部と、前記ステイプル針の先端を折り曲げるクリンチャ部とを備え、前記ドライバ部は、前記中折りスタックトレイの下方に配置され、該中折りスタックトレイ、若しくはその一部を開閉することにより、前記ステイプル針収容部を交換できるように構成したことを特徴とする。
【0005】
請求項4の発明は、前記綴じ処理部の綴じ位置から、装置前面に設けた開閉扉までの距離は、最大用紙長の略1/2に設定されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、前記中綴じ処理後の用紙束を前記中折りスタックトレイに導入する中折り排紙ローラ対のニップ部から装置前面に設けた開閉扉までの距離は、最大用紙長の略1/2以上に設定されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、前記整合手段の上流に折りユニットを配置し、前記画像形成装置から搬送されてきた用紙に対して折りを実施しない場合には前記整合手段に搬送する一方で、折りを実施する場合には前記折りユニット内に導入し、前記折りユニットによりZ折りを実施した場合には、Z折りした用紙を前記整合手段に搬送して整合を行った後、前記綴じ処理部によって端綴じ処理を行ってから、前記端綴じスタックトレイに排出し、前記折りユニットによってZ折り以外の折り処理を実施した場合には、折り処理した用紙を前記整合手段に搬送して整合を行った後、前記綴じ処理部によって綴じ処理を行ってから、前記中折りスタックトレイに排出することを特徴とする。
【0006】
請求項7の発明は、前記折り処理部と前記綴じ処理部に代えて、大容量の端綴じスタックトレイを配置可能に構成すると共に、前記整合手段に対して端綴じユニットを着脱自在に構成したことを特徴とする。
請求項8の発明に係る用紙後処理装置は、前記整合手段において整合された用紙束を前記綴じ処理部へ搬送するために搬送経路を挟んで対向配置された一対の搬送ローラを備え、該各搬送ローラは駆動ローラであることを特徴とする。
【0007】
請求項9の発明に係る用紙後処理装置は、前記整合手段は、用紙後端部を位置決めする用紙後端フェンスを備え、前記用紙後端フェンスと前記中折り処理部による折り位置との間の距離は、最大用紙長さの略1/2に設定されていることを特徴とする。
請求項10の発明は、前記用紙後処理装置前面の開閉扉に用紙束の搬送の負荷にならないように穴、もしくは用紙束により内側から押し開くことの出る扉からなる端綴じ用紙束排出部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る本発明によれば、画像形成装置の設置面積内に中綴じ処理を行えた用紙後処理装置を配置できるようになり、余分な占有スペースのない画像形成システムを提供できる。
請求項2の発明によれば、画像形成装置の下に配置された後処理装置において、上流側に折り処理部、下流側に綴じ処理部を配置することにより、中綴じした用紙束のスタックトレイを内蔵できるスペースを確保できる。
請求項3の発明によれば、中折りスタックトレイの下にステイプラのステイプル針の収容部と押し出し部を設けたドライバ部を配置することにより、中折りスタックトレイを開閉することにより、ステイプル針収納部を交換することができ、後処理装置の前面からステイプル針を交換できる。
【0009】
請求項4の発明によれば、ステイプルユニットの綴じ位置から、用紙後処理装置の前面部に設けた開閉扉までの距離を、最大用紙長のほぼ1/2に設定することにより、中綴じ時には、用紙後処理装置の前面の扉を開閉せずに、中綴じ処理を行うことができる。
請求項5の発明によれば、中綴じ処理後の用紙束の排紙ローラニップ部から用紙後処理装置の前面部の開閉扉までの距離は、最大用紙長の1/2以上に設定することにより、中綴じ時には、用紙後処理装置の前面の扉を開閉せずに、中綴じ処理を行うことができる。
請求項6の発明によれば、折り処理時の用紙スタックと中綴じ時の用紙スタックを共通トレイに排出できるようにし、小型化を行うスタック方法を得ることができる。
【0010】
請求項7の発明によれば、端綴じ及び中綴じが可能な綴じ処理部と折り処理部とに代えて、大容量の端綴じスタックトレイを配置すると共に、整合手段に対して端綴じユニットを着脱可能に構成したので、両構成を相互に切り換えることが可能となり、端綴じのみの用紙後処理装置と中綴じ・端綴じ可能な用紙後処理装置を容易に作り出すことが可能となり、迅速且つ低コストにユーザーの要請を満たすことが出来る。
折りユニットと綴じ処理部を一体にし、着脱できるように構成し、紙整合手段の端部に着脱できる綴じ処理部を追加できるように構成することにより、端綴じ専用機の場合は、折りユニットと綴じ処理部を外し、端綴じ用のステイプラを追加することにより、コストダウンができ、端綴じ時に装置内に最大用紙束をスタックできる画像形成システムを提供する。
請求項8の発明によれば、用紙を束ねた状態で綴じ位置まで、搬送する搬送ローラは、搬送路を挟んで配置された、一対の搬送ローラであり、両搬送ローラを駆動することにより、水平搬送時の用紙束のずれを少なく搬送できる搬送方法を得ることができる。
請求項9の発明によれば、整合手段の用紙後端フェンスから折り位置までの距離を最大用紙長さの1/2に設定することにより、装置の奥行き長さを最小限にすることができる。
請求項10の発明によれば、用紙後処理装置の前面の開閉扉の端綴じ排出部に、用紙の搬送の負荷にならないように穴、もしくは用紙束により内側から押し開くことの出る扉が設けることにより、最大長の端綴じを行った際に用紙後処理装置の前面の扉を開くことなく用紙束を排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成システムの構成を示す全体構成説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る画像形成システムの構成を示す全体構成説明図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る画像形成システムの構成を示す全体構成説明図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る画像形成システムの構成を示す全体構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る用紙後処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す正面縦断面図である。
用紙後処理装置1と、画像形成装置(複写機、プリンタ、印刷装置等)100は、画像形成システムを構成している。
画像形成装置100は、装置前面(図面右側)に設けた開閉扉101を開閉することにより内部に配置された用紙補給のための操作(給紙トレイの引出しによる補給等)や、消耗品の交換、補給等の操作を行うことができるタイプである。画像形成装置100は、給紙トレイ105、画像形成部106、光書込みユニット107、排紙経路108等を備えている。
用紙後処理装置1は、画像形成装置100の下方に配置され、画像形成装置の後下部に設けた排出口102から搬送されてくる用紙Pを導入する導入口2、及び入口搬送ローラ3と、導入経路4の下流側に配置されて整合トレイ11上に順次用紙を搬送、積層して用紙束を形成する整合手段10と、用紙束に端綴じ処理、もしくは中綴じ処理を施してから装置前方(図面右方)へ排出する綴じ処理部20と、綴じ処理部20において綴じ処理(端綴じ、中綴じ)を受けた用紙束に折り処理を行う折り処理部(中折り処理部)30と、これらを制御する制御手段と、を概略備えている。中折り処理部は、用紙束の用紙搬送方向中央部を中折りする手段である。
【0013】
整合手段10は、用紙の搬送方向及び幅方向(搬送方向と直交する方向)を整合する。
綴じ処理部20は、用紙束の端部を綴じる端綴じ部と、用紙束の中央部を綴じる中綴じ部と、を有している。また、整合手段は、上側にステイプル針の収容部と押し出し部を設けたドライバ部21を備え、下方にステイプル針の先端を折り曲げるクリンチャ部22とを備えている。
綴じ処理部20により端綴じされた端綴じ用紙束は端綴じスタックトレイ(第1排紙トレイ)25に収容され、中綴じされた用紙束は中折りされた後で中綴じスタックトレイ(第2排紙トレイ)26に収容され、両トレイ25、26は、別体構成である。即ち、端綴じスタックトレイ25は綴じ処理部20の下流側(右側)に配置され、中折りスタックトレイ26は端綴じスタックトレイ25の上方に配置されている。
折り処理部30は、綴じ処理を受けた用紙束を中折りするために綴じ処理部20より上流側に配置された中折り処理部であり、中折り処理を行う場合には、中綴じを受けた用紙束を綴じ処理部20から中折り処理部へ逆搬送する。
【0014】
用紙後処理装置1は、画像形成装置100の下部に取付けられており、画像形成装置の後下部から排出された記録媒体(用紙)は、用紙後処理装置1内に導かれる。入口搬送ローラ3によって整合トレイ11上に搬送された用紙は整合トレイ上で、手前側及び奥側の各ジョガ−フェンス12により用紙搬送方向と直交する方向(幅方向)に整合され、搬送方向への整合は戻しコロ13により後端フェンス14を基準として実施される。
用紙束は整合トレイ11上で搬送方向及び幅方向位置が揃えられた後、上方に位置する可動束搬送ローラ40が下側に位置する固定束搬送ローラ41側に寄り、両ローラ間で用紙束を挟んで保持し、下流の綴じ処理部20に搬送する。ここで束搬送ローラ対40、41は共にモータからの駆動力を受けて駆動する駆動ローラであり、搬送品質(送り精度・用紙束の位置ズレ精度)を向上している。ここで可動束搬送ローラ40は固定束搬送ローラ41に向けて昇降自在となっており、用紙が両ローラ40、41のニップ位置を過ぎてから、用紙に搬送力を与えるように、可動束搬送ローラが固定束搬送ローラとニップするように構成している。
【0015】
綴じ処理部20によって端綴じが行われる場合は所定の位置でステイプル処理が行われてから下流側に搬送され、端綴じ排紙ローラ対45により、端綴じスタックトレイ25に排紙され積載される。
綴じ処理部20によって中綴じが行われる場合には、用紙束が揃えられた後で、同様に可動束搬送ローラ40が固定束搬送ローラ41上に下降し、両ローラ間で用紙束を挟んで保持し、下流の綴じ処理部20に搬送されて中綴じ位置で綴じ処理が行われる。そして、中綴じ処理が終了すると、束搬送ローラ40、41により上流の折り位置まで戻し搬送が実施され、折り処理部30を構成する折りプレート31と折りローラ対32によって中折り処理がされ、中折り排紙ローラ33によって中折りスタックトレイ26に排紙され、積載される。即ち、折りプレート31は中折り位置において上下動自在に構成されており、用紙束の上面に並置された折りローラ対32間に向けて突出することにより用紙束の中間位置を中折りするように構成されている。
このように本発明では、画像形成装置100の下に用紙後処理装置1を配置することができ、しかも設置面積を拡大せずに配置できるため、スペースの少ない場所にも設置できる。
【0016】
また、端綴じスタックトレイ25と中折りスタックトレイ26を別体構成とし、端綴じスタックトレイ25の上に中折りスタックトレイ26を配置したので、綴じ状態や折り状態の異なる用紙束が混在することが防止され、また装置の占有面積の拡大を防ぐことができる。
折り処理部30(折りプレート31、折りローラ32等)を綴じ処理部20の上流側に配置することにより、折り処理を装置前後方向中間位置よりも後方で行えるため、折り処理部30よりも前方のスペースを大きくすることができ、中綴じ処理や、折り処理を行った後の用紙束をスタックするためのトレイ25、26を当該前方のスペース内に設けることが可能となる。
また、中折りスタックトレイ26の下方に綴じ処理部20のステイプル針の収容部を配置しており、中折りスタックトレイの少なくとも一部を破線で示すように開閉することにより、装置の前面部からステイプル針収容部を交換できるように構成している。ここでは中折りスタックトレイの一部を開閉しているが、中折りスタックトレイ全体を開閉するようにしてもよい。
【0017】
また、綴じ処理部20の綴じ位置から、用紙後処理装置の前面部の開閉扉6までの距離L1を、後処理対象となる最大用紙長のほぼ1/2にすることにより、後処理可能な最大用紙サイズの中綴じ時にも、前面部の開閉扉6を開放せずに中綴じ処理を行うことができる。
同様に中折り排紙ローラ33のニップ位置から用紙後処理装置の開閉扉6までの距離L2を、最大用紙長の1/2以上に設定することにより、開閉扉6を閉めた状態で中綴じした用紙束、または折った用紙を夫々中折りスタックトレイ26内にスタックすることができる。
また、整合手段10の用紙後端フェンス14から折り位置までの距離L3は、少なくとも最大用紙長さの1/2の長さがあれば中折りが可能であり、距離L3に設定することにより装置の小型化(前後寸法の短尺化)が可能である。
【0018】
次に図2は折りユニットを用紙後処理装置内に配置した構成例を示している。
この用紙後処理装置1にあっては、整合手段10の上流(導入経路4の途中)に折りユニット50を配置し、画像形成装置100から搬送されてきた用紙に対して折り処理を実施しない場合には整合手段10に搬送する一方で、折りを実施する場合には折りユニット50内に導入するように制御する。
折りユニット50によりZ折りを実施した場合には、Z折りした用紙を整合手段10に搬送して整合を行った後、綴じ処理部20によって端綴じ処理を行ってから、端綴じスタックトレイ25に排出する。
折りユニット50によってZ折り以外の折り処理を実施した場合には、折り処理した用紙を整合手段10に搬送して整合を行った後、綴じ処理部20によって綴じ処理を行ってから、中折りスタックトレイ26に排出する。
【0019】
以上の構成において、画像形成装置100の後下部から用紙後処理装置1内に排出された大サイズ(例えば、A3サイズ)の用紙Pは、入口搬送ローラ3により、折りユニット50内に導かれる。折り処理の必要が無い場合はそのまま下方に搬送されて整合手段10に搬送される。
A3サイズをA4サイズに揃えて端綴じを行う場合には、A3の用紙はZ折りしてA4サイズに折り畳む必要があり、入口搬送ローラから導入されたA3用紙は切替爪51による切替え動作により折りユニット50に搬送される。切替え爪51は図示しないバネにより用紙を整合手段10へ案内する姿勢に保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより回動し、用紙を折りユニット50に搬送する方向へ切り替わる。ソレノイドがOFFならば、そのまま下方向に搬送するように用紙を振り分ける。
折りユニット50は、第1搬送部52、第2搬送部53、第3搬送部54、及び第4搬送部55と、第2及び第353、54に夫々設けた上端ストッパ53a、後端ストッパ54aと、第1及び第3の折りローラ56、57、58、加圧ローラ59、分岐爪60を有する。
【0020】
まず折りサイズ及び折り種類の違いに応じて上端ストッパ53a、後端ストッパ54aが、各搬送部53、54内における所定の位置に図示していないステッピングモータにより移動させられる。用紙は加圧ローラ59と第1の折りローラ56により上端ストッパ53aを設けた第2搬送部53内に搬送され、用紙先端が上端ストッパ53aに当接した後も搬送を継続することにより用紙に撓み部が生じる。形成された撓み部は最後には第1の折りローラ56と第2の折りローラ57にくわえ込まれることにより1回目の折りが行われ、この折り部は後端ストッパ54aを設けた第3搬送部54へ向けて搬送される。折られて搬送された用紙の折り部が後端ストッパ54aに突き当たった後も搬送を継続することにより、1回目の折りと同様、後方部に撓みが生じる。撓み部が最終的には、第2の折りローラ57と第3の折りローラ58にくわえ込まれ、2回目の折りが行われる。このような手順によりZ折りが終了した用紙は、分岐爪60により第4搬送部55に導かれ、整合手段10に搬送され整合され、端綴じ処理を受けた後で後、端綴じスタックトレイ25に排出される。
【0021】
なお、折りユニット50によって外3折り、内3折り、2つ折り、4つ折りを行う際には、入口搬送ローラから折りユニットに搬送した用紙を切替爪により折り部に搬送し、用紙サイズ及び折り種類により、上端ストッパ53a、後端ストッパ54aを夫々所定の位置に移動し、Z折りと同様の折り動作により折り処理を行う。折り処理後の用紙は、分岐爪により中折りスタックトレイ26側に搬送され中折り排紙ローラ33によって中折りスタックトレイに排紙され、積載される。
このように、用紙後処理装置1内スペースの上部に折りユニット50を配置し、下部に綴じ処理部20を配置し、折り処理部30による中折り時の折り方向を上側とすることにより、用紙の単独折り時(外3折り、内3折り、2つ折り、4つ折り等)のスタックトレイを中綴じ折り時の中折りスタックトレイ26にて共通化することができ、小型化が可能となる。
【0022】
次に、図3は本発明の他の実施形態に係る用紙後処理装置を備えた画像形成システムを示しており、図2に示した構成(折り処理部30、プラス、端綴じ及び中綴じ可能な綴じ処理部20)と、図3に示した構成(端綴じ処理部専用)を交互に作り分けることが可能であることを示している。
即ち、図2の構成では、折り処理部30に加えて端綴じ及び中綴じが可能な綴じ処理部20を装置底面に沿って前後方向に配置しているが、端綴じのみを必要とするユーザーにとっては端綴じスタックトレイ25のスペースが狭くなると言うデメリットがある。そこで、全く同じ用紙後処理装置の筐体、その他の構成をそのまま流用しつつ、折り処理部30と綴じ処理部20を除去して大容量の端綴じスタックトレイ25を配置しつつ、整合手段10の後端フェンス14に対して端綴じユニット23を着脱自在に構成した。このため、図2の構成と図3の構成を相互に切り換えることが可能となり、端綴じのみの用紙後処理装置と中綴じ・端綴じ可能な用紙後処理装置を容易に作り出すことが可能となり、迅速且つ低コストにユーザーの要請を満たすことが出来る。なお、図3の装置構成においても、折りユニット50を利用すれば、中折りは可能である。
【0023】
また、図2に示した中綴じ及び端綴じできる用紙後処理装置の場合、綴じ位置から用紙後処理装置の前面部の開閉扉までの距離が、用紙の最大サイズより短いため、端綴じ後の用紙束を端綴じスタックトレイ25にスタックするためには、前面の開閉扉6を開けておく必要があるが、前面の開閉扉に端綴じした用紙束が干渉しないように、穴をあけるか、もしくは図4のように、用紙束に押されて開く小扉6aを配置することにより、端綴じした用紙束を前面の開閉扉を閉めた状態でスタックすることが可能となる。
以上のように本発明によれば、画像形成装置の設置面積内に中綴じ処理を行えた用紙後処理装置を配置できるようになり、余分な占有スペースのない用紙後処理装置、画像形成システムを提供できる。
【0024】
また、画像形成装置の下に配置された後処理装置において、上流側に折り処理部、下流側に綴じ処理部を配置することにより、中綴じした用紙束のスタックトレイを内蔵できるスペースを確保できる。
また、中折りスタックトレイの下にステイプラのステイプル針の収容部と押し出し部を設けたドライバ部を配置することにより、中折りスタックトレイを開閉することにより、ステイプル針収納部を交換することができ、後処理装置の前面からステイプル針を交換できる。
また、ステイプルユニットの綴じ位置から、用紙後処理装置の前面部に設けた開閉扉までの距離を、最大用紙長のほぼ1/2に設定することにより、中綴じ時には、用紙後処理装置の前面の扉を開閉せずに、中綴じ処理を行うことができる。
また、中綴じ処理後の用紙束の排紙ローラニップ部から用紙後処理装置の前面部の開閉扉までの距離は、最大用紙長の1/2以上に設定することにより、中綴じ時には、用紙後処理装置の前面の扉を開閉せずに、中綴じ処理を行うことができる。
また、折り処理時の用紙スタックと中綴じ時の用紙スタックを共通トレイに排出できるようにし、小型化を行うスタック方法を得ることができる。
【0025】
また、端綴じ及び中綴じが可能な綴じ処理部と折り処理部とに代えて、大容量の端綴じスタックトレイを配置すると共に、整合手段に対して端綴じユニットを着脱可能に構成したので、両構成を相互に切り換えることが可能となり、端綴じのみの用紙後処理装置と中綴じ・端綴じ可能な用紙後処理装置を容易に作り出すことが可能となり、迅速且つ低コストにユーザーの要請を満たすことが出来る。
また、折りユニットと綴じ処理部を一体にし、着脱できるように構成し、紙整合手段の端部に着脱できる綴じ処理部を追加できるように構成することにより、端綴じ専用機の場合は、折りユニットと綴じ処理部を外し、端綴じ用のステイプラを追加することにより、コストダウンができ、端綴じ時に装置内に最大用紙束をスタックできる。
また、用紙を束ねた状態で綴じ位置まで、搬送する搬送ローラは、搬送路を挟んで配置された、一対の搬送ローラであり、両搬送ローラを駆動することにより、水平搬送時の用紙束のずれを少なく搬送できる搬送方法を得ることができる。
また、前記綴じ処理部の上流に配置した折り処理部は、用紙束の略中央部で折ることにより、中綴じの中央で中折りする用紙後処理装置を得ることができる。
また、整合手段の用紙後端フェンスから折り位置までの距離を最大用紙長さの1/2に設定することにより、装置の奥行き長さを最小限にすることができる。
また、用紙後処理装置の前面の開閉扉の端綴じ排出部に、用紙の搬送の負荷にならないように穴、もしくは用紙束により内側から押し開くことの出る扉が設けることにより、最大長の端綴じを行った際に用紙後処理装置の前面の扉を開くことなく用紙束を排出できる。
【符号の説明】
【0026】
1…用紙後処理装置、2…導入口、3…入口搬送ローラ、4…導入経路、6…開閉扉、10…整合手段、11…整合トレイ、12…フェンス、13…コロ、14…後端フェンス、20…綴じ処理部、21…ドライバ部、22…クリンチャ部、25…端綴じスタックトレイ、26…中折りスタックトレイ(中綴じスタックトレイ)、30…折り処理部、31…折りプレート、32…折りローラ、33…中折り排紙ローラ、40、41…束搬送ローラ対、45…排紙ローラ対、50…折りユニット、51…切替爪、52…搬送部、53…搬送部、53a…上端ストッパ、54…搬送部、54a…後端ストッパ、55…搬送部、56、57、58…折りローラ、59…加圧ローラ、60…分岐爪、100…画像形成装置、101…開閉扉、102…排出口、105、…給紙トレイ、106…画像形成部、107…ユニット、108…排紙経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特許第3940008号
【特許文献2】特開2007−161468公報
【特許文献3】特許第3973973号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、該画像形成装置から搬送されてくる用紙に対して後処理を施す用紙後処理装置と、を備えた画像形成システムにおいて、
前記用紙後処理装置は、用紙を整合トレイ上に積載して用紙束を整合する整合手段と、前記整合手段により整合された用紙束に対して綴じ処理を施す綴じ処理部と、を有し、
前記用紙後処理装置は、前記画像形成装置の下方に配置されていることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記綴じ処理部は、前記用紙束の端部を綴じる端綴じ部と、用紙束の中央部を綴じる中綴じ部と、を有し、
前記後処理装置は、前記中綴じされた用紙束の用紙搬送方向中央部を中折りする中折り処理部と、前記端綴じされた用紙束を収容する第1排紙トレイと、前記中折りされた用紙束を収容する第2排紙トレイとをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記中折り処理部は、水平に保持された用紙束の中間部を上方に折り込む構成を備え、
前記綴じ処理部は、着脱可能なステイプル針収容部、及び押し出し部を設けたドライバ部と、前記ステイプル針の先端を折り曲げるクリンチャ部とを備え、
前記ドライバ部は、前記中折りスタックトレイの下方に配置され、該中折りスタックトレイ、若しくはその一部を開閉することにより、前記ステイプル針収容部を交換できるように構成したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記綴じ処理部の綴じ位置から、装置前面に設けた開閉扉までの距離は、最大用紙長の略1/2に設定されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記中綴じ処理後の用紙束を前記中折りスタックトレイに導入する中折り排紙ローラ対のニップ部から装置前面に設けた開閉扉までの距離は、最大用紙長の略1/2以上に設定されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記整合手段の上流に折りユニットを配置し、前記画像形成装置から搬送されてきた用紙に対して折りを実施しない場合には前記整合手段に搬送する一方で、折りを実施する場合には前記折りユニット内に導入し、
前記折りユニットによりZ折りを実施した場合には、Z折りした用紙を前記整合手段に搬送して整合を行った後、前記綴じ処理部によって端綴じ処理を行ってから、前記端綴じスタックトレイに排出し、
前記折りユニットによってZ折り以外の折り処理を実施した場合には、折り処理した用紙を前記整合手段に搬送して整合を行った後、前記綴じ処理部によって綴じ処理を行ってから、前記中折りスタックトレイに排出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記折り処理部と前記綴じ処理部に代えて、大容量の端綴じスタックトレイを配置可能に構成すると共に、前記整合手段に対して端綴じユニットを着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記整合手段において整合された用紙束を前記綴じ処理部へ搬送するために搬送経路を挟んで対向配置された一対の搬送ローラを備え、該各搬送ローラは駆動ローラであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記整合手段は、用紙後端部を位置決めする用紙後端フェンスを備え、
前記用紙後端フェンスと前記中折り処理部による折り位置との間の距離は、最大用紙長さの略1/2に設定されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に画像形成システム。
【請求項10】
前記用紙後処理装置前面の開閉扉に用紙束の搬送の負荷にならないように穴、もしくは用紙束により内側から押し開くことの出る扉からなる端綴じ用紙束排出部を設けたことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−231175(P2010−231175A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202468(P2009−202468)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】