説明

画像形成方法

【課題】タッチダウン現像方式の現像装置を具備する画像形成装置を用いた画像形成方法において、トナー担持体上のトナー薄層を所定の厚さに制御して、長期の印刷においても安定した画像濃度が得られる画像形成方法を提供する。
【解決手段】電荷量検知手段29を用いてトナー担持体2上のトナー電荷量を測定し、前記トナー担持体2上に強く付着し、現像に寄与しないトナー電荷量に基づいて前記トナー担持体2と、二成分現像剤担持体1間の搬送バイアスを変化させることにより、前記トナー担持体2上のトナー層厚を所定の厚さに制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置を用いた画像形成方法に関し、特に、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる二成分現像剤を使用し、磁気ブラシを形成し、磁気ブラシにより現像ローラ上にトナー薄層を形成させ、トナー薄層のトナーを静電潜像に飛翔させ、該潜像を現像するようにした画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、乾式トナーを用いる現像方式としては、一成分現像方式および二成分現像方式が知られている。
一成分現像方式は、キャリアを含まないため、キャリアおよびトナーから形成される磁気ブラシによって感光体の静電潜像が乱されることがなく、高画質化に適している。しかし、一成分現像方式は、トナーの帯電量を安定して維持することが難しい。また、カラートナーの場合、透過性が求められるため、非磁性トナーである必要がある。そのため、フルカラー画像形成装置においては、トナーを帯電および搬送する媒体としてキャリアを用いる二成分現像方式を採用する場合が多い。
【0003】
二成分現像方式を用いた画像形成方法としては、従来の接触現像方式による画像形成方法と非接触現像方式による所謂タッチダウン現像(ハイブリッド現像ともいわれる。)による画像形成方法が知られている。従来の現像方式では、二成分現像剤をマグローラにより搬送し、現像バイアスによって感光体を現像する。この方式では、現像バイアスによって感光体へのトナー供給量が決まってくる。これは一定のトナー濃度を持つ現像剤が常にマグローラ上に搬送され、現像剤の供給元はマグローラに搬送される量に比べて多量に存在しているためである。
【0004】
一方、タッチダウン現像方式では、二成分現像剤を担持する磁気ローラからその表面に形成された磁気ブラシを介して、トナーを搬送し現像ローラ上にトナー薄層を形成させる。そして、このトナー薄層からトナーを飛翔させて感光体上の静電潜像を現像して可視化する。したがって、この方式では、感光体へのトナー供給量は現像ローラ上のトナー薄層(トナー量)への依存性が高くなる。また、現像ローラ上にかかる現像バイアスに加えて、トナーが帯びている電荷量から発生する電圧(トナー層電圧)が存在し、このトナー層電圧が大きいと、つまりトナー層厚が厚いと現像性能は高くなる。このことから、タッチダウン現像では現像ローラにかかる現像バイアス電圧よりも、トナー層厚で現像性能が決まるともいえる。したがって、現像ローラ上のトナー薄層が変動すると感光体上の現像量が変動し、その結果画質に影響を及ぼし、例えばトナー薄層のトナー量が少ない場合には画像濃度不良等が発生するといった問題があった。
このため、例えば特許文献1では、感光体ドラム上の現像量が適切な現像量になるように、感光体ドラム面上や転写ベルト上に濃度パッチを現像し、この濃度パッチの濃度をIDセンサー等で読み取って、その濃度に応じて現像ローラと磁気ローラ間の電位差を調整して現像ローラ上のトナー層厚をコントロールすることが提案されている。
【特許文献1】特開2005−55841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、現像ローラ上のトナー薄層には現像ローラと感光体ドラムの間に発生する電界に影響されにくいトナーが存在する。このようなトナーは現像ローラへの付着性が非常に強く、感光体ドラムへの現像のみならず、非印字時において磁気ローラに存在する現像剤に回収する際にもその回収が阻害されることになる。特に低印字率の原稿を頻繁に出力するときや、高温環境下での出力時などでは、そのような付着性の強いトナーの存在が次第に多くなる傾向がある。さらに、このトナーは強い電荷を帯びており、現像ローラの現像バイアスに加えて強い電荷から形成される電圧が存在するため、本来感光体ドラムへ現像すべきトナーの量が少なくなり、画像濃度不良や画像欠損が生じるといった問題があった。
本発明の課題は、タッチダウン現像方式の画像形成装置を用いた画像形成方法において、トナー担持体上のトナー層厚を所定の厚さに制御して、長期の印刷においても安定した画像濃度を維持できる画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、電荷量検知手段を用いてトナー担持体上のトナー電荷量を測定し、前記トナー担持体上のトナー薄層が二成分現像剤担持体に回収された後の状態の前記トナー担持体表面の電荷量も測定することにより、前記トナー担持体上に強く付着し現像に寄与しないトナーの電荷量を考慮することができ、この現像に寄与しないトナーの電荷量を除いたトナー電荷量に基づいて前記トナー担持体と二成分現像剤担持体間の搬送バイアスを変化させることにより、前記トナー担持体上のトナー層厚を所定の厚さに制御することができ、長期の印刷においても安定した画像濃度を維持できるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の画像形成方法は、以下の構成を有する。
(1)キャリアとトナーからなる現像剤を担持し、表面に磁気ブラシを形成した二成分現像剤担持体と、該二成分現像剤担持体と近接して配設されたトナー担持体とを用いて、前記二成分現像剤担持体と前記トナー担持体との間に搬送バイアスを印加し該二成分現像剤担持体の磁気ブラシを介して前記トナーを移送して前記トナー担持体の表面にトナー薄層を形成して、前記トナー担持体および/または前記二成分現像剤担持体に現像バイアスを印加し、前記トナー担持体上のトナー薄層からトナーを飛翔させて、静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像の現像を行い、現像後前記トナー担持体上のトナー薄層を二成分現像剤担持体に回収する画像形成方法であって、電荷量検知手段を用いて、初期状態において前記トナー担持体上にトナー薄層が形成されていない状態の前記トナー担持体表面の電荷量を測定する第1工程と、所定のタイミングで、前記トナー担持体上のトナー薄層が前記二成分現像剤担持体に回収された後の状態の前記トナー担持体表面の電荷量を測定する第2工程と、トナー薄層を形成した状態の前記トナー担持体表面の電荷量を測定する第3工程と、前記第1、第2及び第3工程で得られた電荷量の差に基づいて前記搬送バイアスを決定する第4工程と、を含む画像形成方法。
(2)前記電荷量検知手段は表面電位センサーであることを特徴とする(1)に記載の画像形成方法。
(3)前記電荷量検知手段は前記トナー担持体と接地点の間に設けたコンデンサを含み、前記トナー担持体表面の電荷量を測定する際、前記トナー担持体に接続されたバイアス電圧を供給する電源を切り離し、前記トナー担持体を前記コンデンサに接続して前記トナー担持体の電荷量を測定することを特徴とする(1)に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電荷量検知手段を用いてトナー担持体上のトナー電荷量を検知し、前記トナー担持体表面に強く付着し現像に寄与しないトナーの電荷量を考慮したトナー電荷量検知情報に基づいて前記トナー担持体と二成分現像剤担持体間の搬送バイアスを変化させるので、前記トナー担持体上のトナー薄層を適正な厚さに維持することができる。その結果長期の印刷においても安定した画像濃度を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るタッチダウン現像方式の画像形成装置の概略構成を示す説明図である。図2は図1の現像手段の一部を示す概略構成図である。図3は図1に示す現像手段を用いたタンデム式カラー画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【0010】
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、磁性キャリア4とトナー5からなる二成分現像剤を用いて磁気ローラ1上に担持された二成分現像剤により現像ローラ2上にトナー薄層9を形成し、トナー薄層9からトナー5を飛翔させて、感光体3(静電潜像担持体)上に形成された静電潜像を現像する、所謂タッチダウン現像方式による画像形成装置である。図1に示すように、該画像形成装置は、前記感光体3を備え、この感光体3の周囲には帯電手段8、露光手段16、現像手段18、一次転写手段22、二次転写手段25、定着手段26およびクリーニング手段24等が配置されている。
【0011】
前記画像形成装置による画像形成は以下のようにして行われる。即ち、前記感光体3の表面が帯電手段8により均一に帯電され、この帯電された表面を露光手段16により露光して静電潜像が形成される。得られた静電潜像には現像手段18からトナー5を付着させることによりトナー像として現像される。このトナー像は一次転写手段としての一次転写ローラ22によって、中間転写体(中間転写ベルト)20上に感光体3から転写される。そして、複数色のトナー像を中間転写体20上に重ねて転写した後、二次転写手段としての二次転写ローラ25により、給紙カセット27から二次転写位置に搬送された被転写体にトナー像を転写する。この被転写体は定着手段としての定着ローラ26に搬送されて、ここでトナー像が被転写体上に定着された後、例えば、排紙トレー(不図示)に排紙される。転写後に感光体3表面に残った未現像のトナーはクリーニング手段24により除去される。
【0012】
感光体3としては、セレン、アモルファスシリコン等の無機感光体、導電性基体上に電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を含有する単層または積層の感光層が形成された有機感光体(OPC)等が挙げられる。帯電手段8としては、スコロトロン方式、帯電ローラ、帯電ブラシ等が挙げられる。露光手段16は、露光光としてLEDまたは半導体レーザー等が挙げられる。また、クリーニング手段24としては例えばドクターブレード式等が挙げられ、それぞれ公知のものを用いることができる。
【0013】
現像手段18は、内部に複数の磁性部材が固定して配設され、該磁性部材の外周部を回転するスリーブ状の磁気ローラ1(二成分現像剤担持体)と、内部に前記磁気ローラ1とは異極の磁性部材が固定して配設され、該磁性部材の外周部を回転するスリーブ状の現像ローラ2(トナー担持体)と、前記磁気ローラ1と前記現像ローラ2の互いに異なる磁極の磁力により磁界が形成され、この磁界により磁気ローラ1上に形成された磁気ブラシ6の高さを一定に保つための規制ブレード7とから構成されている。さらに、磁気ローラ1に印加する交流(AC)バイアス電源11aおよび直流(DC:Vdc1)バイアス電源11bからなるバイアス電源11と、現像ローラ2に印加する交流(AC)バイアス電源12aおよび直流(DC:Vdc2)バイアス電源12bからなるバイアス電源12とを備えている。そして、本発明に係る前記現像ローラ2上のトナー電荷量を検知する電荷量検知手段29を備えている。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、トナー5が収納されたトナーコンテナ(不図示)と、該トナーコンテナから二成分現像剤を収容する二成分現像剤収容部45に供給されたトナー5を、キャリア4とともに攪拌し帯電させる攪拌スクリュー40と攪拌スクリュー44を有し、仕切板42の両端部で連通し、その一端側を通って攪拌スクリュー40から攪拌スクリュー44に供給された二成分現像剤を磁気ローラ1へ供給し、攪拌スクリュー44は前記一端とは他端側から攪拌スクリュー40側へと二成分現像剤を循環してなる、磁気ローラ1、現像ローラ2、攪拌スクリュー40および攪拌スクリュー44が収納されたハウジング46とを備えている。
【0015】
本発明の画像形成装置は、図3に示すように、4つの感光体3A,3B,3C,3Dが中間転写体20上に配列されたタンデム式(間接転写タンデム方式)のカラー画像形成装置に好適に用いることができる。そこでは、上記した現像手段18を用いて、マゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各トナーをそれぞれ収容した現像装置18A,18B,18C,18Dにより前記感光体3A,3B,3C,3D上の静電潜像が可視像化されトナー像がそれぞれ形成される。そして中間転写体20の表面に、前記感光体3A,3B,3C,3D上に可視像化されたトナー像が、上流側の感光体3Aから順に転写される。この中間転写体20上に転写されたフルカラー画像は、給紙カセット27から搬送されてきた被転写体に二次転写ローラ25により転写され、次いで定着ローラ26で定着された後、この被転写体が排出される。
【0016】
(現像方法)
図2に本発明にかかる現像手段の一部を模式的に示し、それを参照しながら、現像方法について説明する。
磁気ローラ1に内包されている固定マグネットで磁気的に拘束されているキャリア4(磁性体粒子)と、その表面と帯電保持しているトナー5とからなる磁気ブラシ6が、磁気ローラ1表面を回動し現像ローラ2へ搬送される。磁気ローラ1の表面はブラスト処理や溝加工を施したものを用いることで磁気ブラシ6の搬送をよりスムーズに行える。
【0017】
図2に示すように、現像ローラ2には直流電圧(DC:Vdc2)12bに交流電圧(AC)12aを重畳させた現像バイアス電圧12が印加され、磁気ローラ1には直流電圧(DC:Vdc1)11bに交流電圧(AC)11aを重畳させた現像バイアス電圧11が印加される。そして、磁気ローラ1上には前記磁気ブラシ6が形成され、磁気ローラ1上の磁気ブラシ6は規制ブレード7によって層規制されて、磁気ローラ1と現像ローラ2との間の電位差(搬送バイアス)ΔV(=|Vdc1−Vdc2|)によって、搬送された磁気ブラシ6を介してトナー5が現像ローラ2に移動しトナー薄層9を形成する。そして、感光体3と現像ローラ2間に現像バイアスをかけることにより、現像ローラ2上のトナー薄層9からトナー5を飛翔させて、感光体3上の静電潜像を現像する。
【0018】
現像が行われた後、残留トナー層を有する現像ローラ2はその対向位置において磁気ブラシ6を有する磁気ローラ1と最接近し、この対向位置で磁気ブラシ6による機械的な力によって、現像ローラ2上のトナー薄層9が掻き取られ、回収される。それと同時に、磁気ローラ1と現像ローラ2との間に印加される搬送バイアスに応じて磁気ローラ1上の現像剤層からトナー5が現像ローラ2側に供給され、新たなトナー薄層9が形成されることになる。
【0019】
現像終了時に交流バイアス12aを印加したまま、直流バイアス(Vdc2)11bを変化させて現像ローラ2上のトナー薄層9を磁気ブラシ6に回収してもよい。この場合、回収中は磁気ローラ1上の現像剤層からトナー5を現像ローラ2側に供給することはできない。現像終了ごとに現像ローラ2からトナー5を剥ぎ取れば常にリフレッシュされるが、再度安定なトナー薄層9を形成するのに時間を要し、十分な印刷速度を達成できない。良好な印刷速度を維持するためには、用紙間隔を調整して一定期間に現像ローラ2上のトナー薄層9を剥離・形成する時間を調整すればよい。用紙間隔を大きくしないで感光体ドラム3上の潜像に十分なトナーを供給するためには、感光体ドラム3に対して現像ローラ2の周速を1.5倍以上に設定すると、短時間にトナーの出し入れが可能になる。また、磁気ローラ1を現像ローラ2に対して1倍を超え2倍以下の速度に設定すると、トナー薄層9の入れ替えが促進される。この時、磁気ローラ1の回転方向が現像ローラ2に対して逆方向であることが好ましい。
【0020】
本発明では、前記現像ローラ2上のトナー層厚を所定の厚さにするために、電荷量検知手段29を用いて磁気ローラ1に印加するバイアス電圧11および/または現像ローラ2に印加するバイアス電圧12を制御し、前記現像ローラ2と前記磁気ローラ1の電位差、つまり搬送バイアスを変化させる。即ち、前記バイアス電圧11,12の制御は、前記電荷量検知手段29により前記現像ローラ上2上に形成されたトナー薄層9のトナー電荷量を検知し、該トナー電荷量に応じて前記磁気ローラ1と前記現像ローラ2間の搬送バイアスΔVを制御するものである。特に、後述するように、前記現像ローラ2上のトナー薄層9が磁気ローラ1に回収された後の電荷量を測定することにより、前記現像ローラ2表面に強固に付着したトナーを考慮することができる。つまり、現像ローラ2に固着したトナーの電荷量を全体の電荷量から差し引くことにより、現像に実際に寄与するトナー層厚を評価することができる。
【0021】
前記電荷量検知手段29としては、例えば表面電位センサを用いることができる。該表面電位センサは感光体3と現像ローラ2の最近接位置から前記現像ローラ2の回転方向上流側または下流側で現像ローラ2上の対向する位置に備える。好ましくは前記現像ローラ2の回転方向上流側に配置するのがよい。これによりトナー薄層9が形成された後の層厚を常に検知することができる。該表面電位センサ29により測定される現像ローラ2表面の電位と、予め分かっている現像ローラ2の静電容量とから電荷量が求まる。そして、予め設定された電荷量と搬送バイアスΔVとの関係から、測定された電荷量に対応して所定の電荷量になるよう補正された搬送バイアスΔVが決定される。
【0022】
図4に搬送バイアスΔVの制御の一例を、磁気ローラ1に印加するバイアス電圧を変化させた場合についてフローチャートに示した。まず、電源をONにした後の初期状態で、現像ローラ2にトナー薄層9を形成していない状態で表面電位センサ29により現像ローラ2表面の電位を測定し、そのときの電荷量(1)を求める(第1工程)。次に印字がはじまり、所定条件に到達したとき、例えば印刷枚数あるいは印字率等の設定条件と比較して、現像ローラ2上のトナー層厚の制御が必要かどうかを判断する。トナー層厚の制御が必要な場合、紙間等の非印字時において、現像ローラ2上のトナー薄層9が磁気ブラシ6を介して磁気ローラ1に回収され、表面のトナー薄層9が剥離された状態で現像ローラ2表面の電位を測定し、そのときの電荷量(2)を求める(第2工程)。この電荷量(2)の測定により、トナー薄層9を剥離・回収した後も回収されずに現像ローラ2に付着しているトナーの電荷量を知ることができる。次いで、トナー薄層9が形成された後の状態で現像ローラ2表面の電位を測定し、そのときの電荷量(3)を求める(第3工程)。そして、得られた電荷量の差[(3)−(2)−(1)]と予め設定した電荷量との間に差がある場合、現像ローラ2の直流バイアスVdc2を固定したまま、磁気ローラ1の直流バイアスVdc1を変化させることにより、現像ローラ2と磁気ローラ1間の搬送バイアスΔVを補正する(第4工程)。これより現像に実際に寄与する、現像ローラ2上のトナー層厚が適正に調整される。
【0023】
なお、前記搬送バイアスΔVの補正は、磁気ローラ1の直流バイアスVdc1を固定し、現像ローラ2の直流バイアスVdc2を変化させる、あるいは磁気ローラ1の直流バイアスVdc1および現像ローラ2の直流バイアスVdc2を同時に変化させてもよい。また、前記搬送バイアスΔVの補正は、前記所定の印刷枚数に到達したときに行うのがよく、所定枚数としては50〜200枚であるのがよい。
【0024】
感光体3上の前記静電潜像は、感光体3の表面に帯電手段8により+250〜800Vに帯電したところへ、露光手段16を用いて形成することができる。OPC感光体を用いると、全露光で+70〜220Vが得られ、アモルファスシリコン感光体では10〜50Vの露光後電位が得られる。露光には、半導体レーザーおよびLEDのどちらも用いることができる。
【0025】
現像時、現像バイアス条件は、例えばトナーに正規の正帯電トナーを用いた場合、磁気ローラ1に+300〜500Vを、現像ローラ2に+100Vを印加するのがよい。薄層形成の電位差としては、200〜400Vが適正でトナー5の帯電量とのバランスで調整すればよい。
【0026】
交流条件は、磁気ローラ1に現像ローラ2と同周波数、同周期で逆位相のVP-P(ピーク交流バイアス)=0.1〜2.0kV、周波数=2〜4kHz、DUTY比=60〜80%を、現像ローラ2にはVP-P=1.0〜2.0kV、周波数=2〜4kHz、DUTY比=20〜40%が好ましい。VP-Pを高めると薄層形成がより瞬時に行われるが、反面耐リーク性が弱くなりノイズの発生原因になる。これらの点については、磁気ローラ1や現像ローラ2の表面にアルマイト処理等で絶縁性を高めることはマージンが広がるので好ましい。周波数については、トナー5の帯電量で調整すればよい。
【0027】
トナー5は、正帯電トナーおよび負帯電トナーのいずれも用いることができる。トナー5の体積平均粒子径は4.0〜7.5μmであるのがよい。4.0μm未満では非静電的な付着力の影響が大きくなり現像性、回収性が低下し、7.5μmより大きいと画質の滑らかさなど高画質な画像が得られにくい。また、トナー5の帯電量は6〜30μC/g程度が好ましい。これよりも低い帯電量では、磁気ブラシ6からトナー5が舞って周辺を汚してしまい、またこれよりも高いと薄層形成が弱くなる。
トナー体積平均粒子径はマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)を用い、アパチャー径100μm(測定範囲2.0〜60μm)で測定することができる。
また、トナー帯電量は、QMメータ(TREK社製、MODEL 210HS)で測定することができる。
【0028】
キャリア4は、公知のものを用いることができるが、好ましくはフェライトのコアを用いて表面に樹脂のコーティングを施したものを用いるのがよい。コーティング樹脂はシリコーン、フッ素エポキシ、フッ素シリコーン、ポリアミド、ポリアミドイミドなど既知のものでよい。また、キャリア粒子径(重量平均粒子径)は25〜50μmのものを用いるのが好ましい。25μm未満であると磁力による保持力が弱まるため、現像ローラ2へキャリア4が移行してしまうキャリア飛び等が発生し、50μmを超えると、磁気ブラシ6の密さが適度でなく、またトナー薄層9の形成が滑らかではなく、比表面積が小さいためトナー5の回収性も低下する。さらにキャリア4の飽和磁化は35〜90emu/gのものが好ましい。飽和磁化が35emu/gより低いと顕著にキャリア飛びが悪くなり、90emu/gより高いと磁気ブラシ6が疎になり均一な薄層形成ができなくなる。
キャリア4の飽和磁化は、TOEI社製「VSM−P7」を用いて、磁場79.6kA/m(1kOe)で測定することができる。
【0029】
磁気ローラ1と現像ローラ2間のギャップは200〜600μm、好ましくは300〜400μmである。ギャップは薄層形成を瞬時に行うために最も効果的な因子である。その幅が広いとその効率が低下し、現像ゴースト等の問題が生じる。また狭いとブレードギャップを通過する磁気ブラシ6がギャップを通過できずにトナー薄層9を乱してしまう等の問題が生じる。
【0030】
(他の実施形態)
前記一実施形態における電荷量検知手段としての前記表面電位センサ29に代えて、コンデンサを含む電荷量検知手段29’を用いてもよい。すなわち、図2に示すように、該電荷量検知手段29’は現像ローラ2と接地点の間にコンデンサCを設け、前記現像ローラ2の電位を測定する際、前記現像ローラ2にバイアス電圧を供給する電源12を現像ローラ2から切り離し、該現像ローラ2を前記コンデンサCに接続してなる。そして、充電されるコンデンサCの電位とコンデンサCの静電容量から現像ローラ2の電荷量が得られる。
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
以下に示す仕様により、図1に示す本発明の画像形成装置を作製した。感光体3、現像ローラ2、磁気ローラ1の各スリーブの寸法は、下記の通りである。
感光体3:外径30mm
現像ローラ2:外径20mm
磁気ローラ1:外径25mm
感光体3ドラムにはアモルファスシリコンを使用し、各ローラのスリーブには、それぞれアルミニウムを使用した
また、各ドラムの周速は下記の通りである
感光体3:300mm/sec
現像ローラ2:450mm/sec
磁気ローラ1:675mm/sec
電荷量検知手段29としては、Trek社製の表面電位センサまたは静電容量1μFのコンデンサCを用いた。
【0033】
上記で作製した画像形成装置を用いて下記画像形成時の条件により、連続印字動作における画像性能確認試験を行った。
感光体表面電位:+310V
現像剤中のトナーのQ/m:20μC/g
トナー粒径(体積平均粒子径):6.7μm
キャリア粒径(重量平均粒子径):35μm
磁気ローラと現像ローラ間距離:350μm
現像ローラ印加電圧:Vdc2=100V、VP-P=1.6kV,周波数f=3.7kHz、Duty比=30%
磁気ローラ印加電圧:Vdc1=300V(層厚制御時の可変幅±50V)、現像ローラと同周期で逆位相のVP-P=300V,周波数f=3.7kHz、Duty比=70%
【0034】
上記確認試験では、現像ローラ2表面から1〜4mm離れた位置に表面電位センサ29を設け、現像ローラ2上のトナー薄層9から発生する電圧を測定したケースを実施例1とした。また、現像ローラ2と接地点との間にコンデンサCを設けた場合を実施例2とし、搬送バイアスΔVの補正動作時に、現像ローラ2上に印加される直流バイアスの電源12bを開放し、コンデンサCにかかる電圧を測定した。実施例1,2共に搬送バイアスΔVの補正動作は所定枚数(100枚)ごとに行った。比較例として、電荷量検知手段を用いない以外は実施例と同様の条件とした。結果を表1に示した。
なお、画像濃度は、グレタグマクベス社製分光光度計SpectroEyeを用いて測定を行った
【表1】

【0035】
表1に示すように、電荷量検知手段29,29’を用いてトナー層厚を制御した実施例1,2は5000枚印刷後および2万枚印刷後においても良好な画像濃度を示し、長時間の印字にわたって画像濃度が安定するという結果が得られた。これに対して、電荷量検知手段を用いない比較例1では、5000枚印刷後は良好な画像濃度を維持できたが、2万枚印刷後では画像濃度は大きく低下し画像濃度不良となった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係るタッチダウン現像方式の画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】図1の現像手段の一部を示す概略構成図である。
【図3】図1に示す現像手段を用いたタンデム式カラー画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】現像ローラ上のトナー層厚を制御するための制御方法の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1 二成分現像剤担持体(磁気ローラ)
2 トナー担持体(現像ローラ)
3 静電潜像担持体(感光体)
4 キャリア
5 トナー
6 磁気ブラシ
7 規制ブレード
8 帯電手段
9 トナー薄層
11a 交流電源
11b 直流電源
12a 交流電源
12b 直流電源
16 露光手段
22 一次転写手段
24 クリーニング手段
25 二次転写手段
26 定着手段
29,29’ 電荷量検知手段
C コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーからなる現像剤を担持し、表面に磁気ブラシを形成した二成分現像剤担持体と、該二成分現像剤担持体と近接して配設されたトナー担持体とを用いて、前記二成分現像剤担持体と前記トナー担持体との間に搬送バイアスを印加し該二成分現像剤担持体の磁気ブラシを介して前記トナーを移送して前記トナー担持体の表面にトナー薄層を形成し、前記トナー担持体および/または前記二成分現像剤担持体に現像バイアスを印加し、前記トナー担持体上のトナー薄層からトナーを飛翔させて、静電潜像担持体の表面に形成された静電潜像の現像を行い、現像後前記トナー担持体上のトナー薄層を前記二成分現像剤担持体に回収する画像形成方法であって、
電荷量検知手段を用いて、初期状態において前記トナー担持体上にトナー薄層が形成されていない状態の前記トナー担持体表面の電荷量を測定する第1工程と、所定のタイミングで、前記トナー担持体上のトナー薄層が前記二成分現像剤担持体に回収された後の状態の前記トナー担持体表面の電荷量を測定する第2工程と、トナー薄層を形成した状態の前記トナー担持体表面の電荷量を測定する第3工程と、前記第1、第2及び第3工程で得られた電荷量の差に基づいて前記搬送バイアスを決定する第4工程と、を含む画像形成方法。
【請求項2】
前記電荷量検知手段は表面電位センサーであることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記電荷量検知手段は前記トナー担持体と接地点の間に設けたコンデンサを含み、前記トナー担持体表面の電荷量を測定する際、前記トナー担持体に接続されたバイアス電圧を供給する電源を切り離し、前記トナー担持体を前記コンデンサに接続して前記トナー担持体の電荷量を測定することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−8833(P2009−8833A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169250(P2007−169250)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】