説明

画像形成装置、プログラム及び情報記録媒体

【課題】レーザプリンタ等における擬似輪郭の発生を抑制する。
【解決手段】分散型ディザ処理部201は、低濃度領域の各階調レベルに1対1に対応した分散型ディザ閾値マトリクス230を含み、低濃度領域の多階調画像信号の画素毎に、その階調レベルに対応した1の分散型ディザ閾値マトリクス内の、該画素の主,副走査方向位置に対応した閾値を選択して出力する閾値生成部220と、低濃度領域の多階調画像信号の画素毎に、網点サイズ制御値222と該画素について前記閾値生成部より出力された閾値を比較し、該閾値が該網点サイズ制御値より小さいときにドットオン信号を、そうでないときにドットオフ信号を出力する比較器223とからなる。低濃度領域の網点サイズが網点サイズ制御値に応じて複数段階に変化するように、分散型ディザ閾値マトリクス内の閾値が決定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係り、特に画像形成装置において多階調画像信号に対しディザ処理を施す中間調処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真方式の作像エンジンを用いるレーザプリンタ、デジタル複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、多階調画像データの中間調処理を行うのが一般的である。この中間調処理としてはディザ処理が広く用いられている。
【0003】
ディザ処理には、等密度で規則的に配置された網点の大きさを制御することにより階調を表現する集中型ディザ処理と、ランダムに配置された網点の密度を制御することにより階調を表現する分散型ディザ処理とがある。分散型ディザ処理においては、基本的には、網点の大きさは一定であるという条件の下に網点の密度・配置が決定される。
【0004】
集中型ディザ処理による低濃度部のパターン例(スクリーン角45゜)を図19に、分散型ディザ処理による低濃度部のパターン例を図20にそれぞれ示す。
【0005】
さて、オフィスで作成される文書等では、表の升目や文字等が網掛けやハッチングで装飾されることが少なくない。しかし、集中型ディザ処理では、図19に示すように網点が規則的に配置される関係から、低濃度部において、網掛けやハッチング等の模様が途切れたり不快なテクスチャが発生したりすることがある。一方、分散型ディザ処理では、図20に示すように網点の規則性が乏しいため、低濃度部で網掛けやハッチングの途切れ、不快なテクスチャ等は生じにくい。このような観点からは、低濃度部に対して分散型ディザ処理を適用するのが有利である。
【0006】
なお、ディザ処理に関して、特許文献1に、電子ドキュメントデータをハイライト領域、中濃度領域、シャドウ領域のいずれかにセグメント化し、ハイライト領域及びシャドウ領域に対しては分散ディザ処理を適用し、中濃度領域に対しては集中型ディザ処理を適用するハーフトーンレンダリングシステム及び方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−254439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子写真方式の作像エンジンの場合、トナーの付着状態は、周囲環境や現像器内のトナー残量等の影響を受ける。そのため、電子写真方式エンジンを用いる画像形成装置において、標準的な動作条件で、入力階調−出力階調特性が図21のL1のようになるようにディザ処理に用いるディザ閾値マトリクスを設計したとしても、動作条件の変化により、入力階調−出力階調特性は例えば図21のL2又はL3のように変動する。L2のような特性の場合、出力画像がやや淡い画像になるだけである。しかし、L3のような特性の場合、出力画像中の線が太くなるといった影響が出るほか、表現したい最も淡い入力階調レベルaでの出力階調レベルと用紙の地肌レベルとの差が大きくなりすぎ、これが擬似輪郭として見えるという不都合が起きる。
【0009】
この擬似輪郭の発生を防止するため、標準的な動作条件でL2のような特性になるように設計することも考えられる。しかし、これは表現したい最も淡い入力階調レベルをaからbへと上げるということであるので、表現可能な階調範囲が狭まるといった別の不都合がある。
【0010】
よって、本発明の目的は、作像エンジンの動作条件が変動しても擬似輪郭の発生を抑制することができ、かつ、低濃度部において網掛け等の消失や不快なテクスチャの発生が起きにくい、改良された画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、
階調レベル0〜Nをとる多階調画像信号に対しディザ処理を施す中間調処理装置を備え、該中間調処理装置の出力信号に従って作像エンジンを駆動する画像形成装置において、
前記中間調処理装置は、
低濃度領域である階調レベル1〜Mの前記多階調画像信号に対し分散型ディザ処理を施すための分散型ディザ処理手段と、
階調レベル0,M+1〜Nの前記多階調画像信号に対し集中型ディザ処理を施すための集中型ディザ処理手段とを有し、
前記分散型ディザ処理手段は、
前記低濃度領域の各階調レベルに1対1に対応したM個の分散型ディザ閾値マトリクスを含み、前記低濃度領域の前記多階調画像信号の画素毎に、その階調レベルに対応した1の前記分散型ディザ閾値マトリクス内の、該画素の主走査方向及び副走査方向の位置に対応した閾値を選択して出力する閾値生成手段と、
前記低濃度領域の前記多階調画像信号の画素毎に、網点サイズ制御値設定手段により設定された網点サイズ制御値と該画素について前記閾値生成手段より出力された閾値を比較し、該閾値が前記網点サイズ制御値より小さいときに前記作像エンジンで該画素のドットを形成させるドットオン信号を、そうでないときに前記作像エンジンに該画素のドットを形成させないドットオフ信号を前記分散型ディザ処理手段の出力信号として出力する比較手段とを有し、
前記低濃度領域の前記多階調画像信号に対する前記分散型ディザ処理手段の出力信号に従って前記作像エンジンにより形成される画像において、網点サイズが前記網点サイズ制御値に応じて複数段階に変化するように、前記分散型ディザ閾値マトリクス内の閾値が決定されていることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、低濃度領域については分散型ディザ処理が適用されるため網掛け等の飾りの消失や不快なテクスチャの発生が起こりにくく、また、作像エンジンが擬似輪郭の生じやすい動作条件となった場合に、網点サイズ制御値を変更して網点サイズを小さくすることにより、擬似輪郭の発生を防止しもしくは擬似輪郭を目立たなくすることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の画像形成装置において、
前記低濃度領域の前記多階調画像信号に対する前記分散型ディザ処理手段の出力信号に従って前記作像エンジンにより形成される画像において、前記網点サイズ制御値が所定の基準値に設定された場合には前記低濃度領域の全ての階調レベルについて網点サイズが均一の基準サイズとなり、また、前記網点サイズ制御値が前記基準値より小さい所定の非基準値に設定された場合には、網点サイズが前記基準サイズより減少し、かつ、網点サイズの前記基準サイズからの変化量が階調レベル1について最大となり階調レベルが上がるにつれ小さくなるように、前記分散型ディザ閾値マトリクス内の閾値が決定されていることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、作像エンジンが標準的な動作条件の場合に、網点サイズ制御値を基準値に設定することにより図21のL1に示すような理想的な入力階調−出力階調特性を実現し、入力階調−出力階調特性が図21のL2のように変化するような動作条件の変動が生じた場合には、網点サイズ制御値を非基準値に変更することにより、擬似輪郭の原因となる低い階調レベルほど大幅に網点サイズを減少させ、ハイライト部での出力階調レベルの上昇を強く抑制して擬似輪郭の発生を効果的に防止することができる。そして、標準的な動作条件において図21のL2のような特性に設定した場合と違い、表現可能な階調範囲が狭まるという不都合も避けられる。なお、網点サイズ制御値を非基準値に設定した場合の網点サイズの変化量は階調レベルが上がるにつれて小さくなるが、このようにすると分散型ディザ処理に網点サイズの制御を導入したことによる副作用が生じにくいという効果がある。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の画像形成装置において、
前記網点サイズ制御値は前記非基準値として所定の複数の値をとることができ、
前記低濃度領域の前記多階調画像信号に対する前記分散型ディザ処理手段の出力信号に従って前記作像エンジンにより形成される画像において、網点サイズの前記基準サイズからの変化量を前記網点サイズ制御値に応じて2段階以上に制御可能であることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、作像エンジンの動作条件の変動に対し、入力階調−出力階調特性をよりきめ細かく調整することができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の画像形成装置において、
前記網点サイズ制御値設定手段は、当該画像形成装置の操作部からの指定又は当該画像形成装置に接続された外部装置からの指定に従って前記網点サイズ制御値を設定することを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、画像形成装置のユーザは、例えば出力画像の観察結果に基づき、適切な網点サイズ制御値を設定することができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の画像形成装置において、
前記作像エンジンは電子写真方式のエンジンであって、現像ローラ上のトナー濃度を測定するための濃度センサを有し、
前記網点サイズ制御値設定手段は、前記濃度センサにより測定された前記現像ローラ上のトナー濃度に応じて前記網点サイズ制御値を設定することを特徴とする。
【0020】
かかる構成によれば、現像ローラ上のトナー濃度に応じて自動的に適切な網点サイズ制御値を設定することができる。
【0021】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の画像形成装置において、
前記作像エンジンは電子写真方式のエンジンであって、現像器にトナーを補給するトナー補給手段を備え、
前記網点サイズ制御値設定手段は、前記トナー補給手段によるトナー補給動作からの時間経過に応じて前記網点サイズ制御値を設定することを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、トナー補給が行われた際の現像ローラ上のトナー濃度の変動に合わせて適切な網点サイズ制御値を自動的に設定することができる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の画像形成装置において、
前記作像エンジンは電子写真方式のエンジンであって、感光体上のトナー像の濃度を測定するための濃度センサを有し、
前記網点サイズ制御値設定手段は、前記感光体上に形成されたテストパターンのトナー像の前記濃度センサにより測定された濃度に応じて前記網点サイズ制御値を設定することを特徴とする。
【0024】
かかる構成によれば、作像エンジンの動作条件に合わせて適切な網点サイズ制御値を自動的に設定することができる。
【0025】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の画像形成装置の中間調処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【0026】
かかるプログラムを利用することにより、コンピュータを当該中間調処理装置として動作させることができる。
【0027】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の画像形成装置の中間調処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体である。
【0028】
かかる情報記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み取らせることにより、コンピュータを当該中間調処理装置として動作させることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上の通り、本発明によれば、作像エンジンの動作条件が変動しても擬似輪郭の発生を効果的に抑制することができ、かつ、低濃度部において網掛け等の消失や不快なテクスチャの発生が起きにくい画像形成装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの概略構成図である。このレーザプリンタ100はワークステーションやパーソナルコンピュータ等の外部装置190と接続され、この外部装置190から送られる情報に基づき印刷を実行する。
【0031】
このレーザプリンタ100の作像エンジンや用紙搬送系等の構成は一般的なものである。すなわち、画像の記録媒体としての用紙は、本体のトレイ101又は手差し用トレイ102にセットされる。トレイ101又は102にセットされた用紙は、給紙ローラ103又は104によって作像エンジン側へ給紙される。給紙ローラ103による用紙の給紙に先立って、像担持体としてのドラム状感光体66の回転が始まる。回転する感光体66の表面は、クリーニングブレード105によってクリーニングされた後、帯電ローラ106で一様に帯電され、レーザ光学系ユニット107より出射する、画像信号により変調されたレーザ光で走査露光されることにより静電潜像を形成される。この静電潜像は現像器125の現像ローラ108を通過することでトナー像に現像される。給紙された用紙は、感光体66の回転とタイミングをとられて搬送され、感光体66と転写ローラ109とに挟まれて移動する際に感光体66上のトナー像を転写される。用紙に転写されずに感光体66上に残留したトナーは、クリーニングブレード105で掻き落とされる。トナー像を転写された用紙は搬送路に沿って定着ユニット111に搬送されてトナー像の定着が行われた後、排紙ローラ112によって記録面を下にして排出される。
【0032】
クリーニングブレード105の手前に、感光体66上に形成されたトナー像の濃度を測定するための濃度センサ110が設けられている。また、現像ローラ108の近傍に、現像ローラ108上のトナー濃度を測定するための濃度センサ110Aが設けられている。
【0033】
現像器125内でトナーおよび現像剤は攪拌スクリュー67により攪拌されてから現像ローラ108に供給される。濃度センサ110Aによって測定されたトナー濃度が目標濃度より下がると、一定時間だけトナー補給手段であるエアーポンプ(不図示)が駆動され、トナーカートリッジ(図示せず)から現像器125へのトナーの補給が行われる。このようなトナー補給等のシーケンス制御、その他の制御や処理を行うためのマイクロコンピュータ(不図示)が制御ボード113に備えられている。制御ボード113に設けられたバイアス回路114により現像ローラ108に高圧のバイアス電圧が印加されている。外部装置190又はレーザプリンタ100の操作部(不図示)から指示することにより、マイクロコンピュータでバイアス回路114により印加されるバイアス電圧を制御し、記録画像の全体的な濃度等を調整することが可能である。ユーザは、レーザプリンタ100の操作部を操作することにより、上記マイクロコンピュータに各種の指示を入力することができる。また、外部装置190から上記マイクロコンピュータに各種の指示を入力することができる。上記マイクロコンピュータからレーザプリンタ100のステータス情報等を外部装置190へ送信することもできる。
【0034】
レーザ光学系ユニット107は、不図示のレーザダイオード(LD)より出力されるレーザ光を回転多面鏡123で偏向したのち折り返しミラー121,122、f−θレンズやトロイダルレンズ等の結像レンズ系124を介し感光体66に結像し、感光体66の表面を走査露光する一般的な構成のものである。
【0035】
レーザプリンタ100は、図2に示すように、外部装置190から与えられる描画コマンドの画像信号への展開処理等を行うコマンド処理装置151、この画像信号のディザ処理を行う中間調処理装置152、ディザ処理された画像信号に従って変調したLD駆動信号を生成し、このLD駆動信号によりレーザ光学系ユニット107内のレーザダイオード154(図1には不図示)を駆動するLD駆動装置153を備える。コマンド処理装置151及び中間調処理装置152は図1中のビデオ制御ボード71に実装される。ビデオ制御ボード71には、画素クロック信号や走査同期信号等の各種タイミング信号を生成する回路、主走査方向及び副走査方向の画素位置情報を生成するための主走査カウンタ及び副走査カウンタ、テストパターン信号を発生する回路等も実装されている。LD駆動装置153は図1中のLD駆動ボード72に実装される。
【0036】
図3は中間調処理装置152を説明するためのブロック図である。ここに示す中間調処理装置152は、集中型ディザ処理部201、分散型ディザ処理部202、処理選択部203からなる。上述したようにビデオ制御ボード71に主走査カウンタ205及び副走査カウンタ206が設けられている。主走査カウンタ205は、画素クロックをカウントすることにより、主走査方向の画素位置情報を生成するカウンタである。副走査カウンタ206は、走査同期信号をカウントすることにより副走査方向の画素位置情報を生成するカウンタである。これらカウンタ205,206で生成される画素位置情報も中間調処理部152に入力される。
【0037】
中間調処理装置152への入力画像信号207は多階調画像信号であり、ここでは8ビット/画素の256階調(階調レベル0〜255)の画像信号であるとして説明する。
【0038】
処理選択部203は、入力画像信号203の各画素の階調レベルに応じて集中型ディザ処理又は分散型ディザ処理のいずれかを選択する手段であり、選択結果に従って集中型ディザ処理選択信号208又は分散型ディザ処理選択信号209をオンにする。ここでは、入力画像信号207の各画素の階調レベルが0,33〜255の場合に集中型ディザ処理選択信号208をオンし、入力画像信号207の階調レベルが1〜32(低濃度領域)の場合に分散型ディザ処理選択信号209をオンするものとして説明する。
【0039】
分散型ディザ処理部202には、分散型ディザ処理における網点サイズを制御するための網点サイズ制御値222も入力される。この網点サイズ制御値222の設定手段については後述する。
【0040】
集中型ディザ処理部201は、集中型ディザ処理のための集中型ディザ閾値マトリクス210を格納しているROM等の記憶装置211と、この記憶装置211から読み出された閾値212と入力画像信号207を比較する比較器213とから構成される。集中型ディザ閾値マトリクス210は例えば図4に示すような16×16のマトリクスである。主走査カウンタ205により生成される主走査方向画素位置情報の下位5ビット分を横方向のアドレスとして、副走査カウンタ206により生成される副走査方向画素位置情報の下位5ビット分を縦方向のアドレスとして、集中型ディザ閾値マトリクス210内の画素位置に対応した1つの閾値が記憶装置211より読み出される。比較器213は、入力画像信号207の値(当該画素の階調レベル)が、記憶装置211から読み出された閾値212より大きい時に出力信号214として、作像エンジンで当該画素のドットを形成させるドットオン信号(”1”信号)を出力し、そうでない時に出力信号214として当該画素のドットを形成させないドットオフ信号(”0”信号)を出力する。
【0041】
ここに示す例では、比較器213は3ステート出力のものであり、集中型ディザ処理選択信号208がイネーブル信号として比較器213に入力される。当該イネーブル信号がオンの時のみ出力信号214が有効であり、当該イネーブル信号がオフの時には比較器213の出力はフローティング状態になる。したがって、比較器213の出力信号214が有効となるのは、すなわち、集中型ディザ処理部201が有効に動作するのは、入力画像信号207の階調レベルが0,33〜255の場合のみである。
【0042】
分散型ディザ処理部202は、分散型ディザ処理のための閾値を生成する閾値生成部220と、この閾値生成部220で生成された閾値221と網点サイズ制御値222とを比較する比較器223から構成される。比較器223は、閾値221が網点サイズ制御値222より小さい時に出力信号224としてドットオン信号(”1”信号)を出力し、そうでない時に出力信号224としてドットオフ信号(”0”信号)を出力する。ここに示す例では、比較器223は3ステート出力のものであり、分散型ディザ処理選択信号209がイネーブル信号として比較器222に入力される。当該イネーブル信号がオンの時のみ出力信号224が有効であり、当該イネーブル信号がオフの時には比較器223の出力はフローティング状態になる。したがって、比較器223の出力信号224が有効となるのは、すなわち、分散型ディザ処理部202が有効に動作するのは、入力画像信号207の階調レベルが1〜32の場合のみである。
【0043】
上に述べたように比較器213,223は3ステート出力のものであるため、それぞれの出力信号214,224をワイヤードORしたものが中間調処理装置152の処理結果信号225として外部へ出力される。
【0044】
なお、最終段にマルチプレクサを設け、集中型ディザ処理部201の出力信号214と分散型ディザ処理部202の出力信号224を当該マルチプレクサ(セレクタ)に入力し、集中型ディザ処理選択信号208又は分散型ディザ処理選択信号209に応じて当該マルチプレクサの入力選択を制御するようにしてもよい。このような構成によっても、入力画像信号の階調レベルが0,33〜255の場合に集中型ディザ処理部201の出力信号214を処理結果信号225として出力させることができ(つまり集中型ディザ処理を選択させる)、入力画像信号の階調レベルが1〜32の場合に分散型ディザ処理部202の出力信号224を処理結果信号225として出力させることができる(つまり分散型ディザ処理を選択させる)。この場合には、比較部213,2123は2ステート出力のものでよく、そのイネーブル制御を省くことも可能である。
【0045】
さて、閾値生成部220は、低濃度領域の階調レベル1〜32それぞれに1対1に対応した32個の分散型ディザ閾値マトリクス230を備える。閾値生成部220には、入力画像信号207のほかに主,副走査カウンタ205,206で生成された主,副走査方向の画素位置情報も入力される。閾値生成部220は、入力画像信号207の画素毎に、その階調レベルに対応した1つの分散型ディザ閾値マトリクス内の、主,副走査方向の画素位置情報により示される位置の閾値を選択し、それを閾値221として出力する。
【0046】
分散型ディザ閾値マトリクス230は、図7に模式的に示すように、網点形成のための所定サイズの閾値マトリクス231(ここでは網点マスクと呼ぶ)をランダムに配置し、これら網点マスク以外の領域の閾値を比較器223の出力信号224がドットオン信号になることのない値(例えば254)に設定したものであり、網点マスク231の配置密度は対応した階調レベルが上がるほど密になるように決定されている。
【0047】
図7(a)は階調レベル1に対応する分散型ディザ閾値マトリクス230_1であり、その網点マスクの配置密度は32個中で最も粗い。図7(b)は階調レベル32に対応する分散型ディザ閾値マトリクス230_32であり、その網点マスクの配置密度は32個中で最も高密度である。
【0048】
なお、分散型ディザ閾値マトリクス230は、印刷されるページサイズ以上のサイズを有するが、図7にはその一部のみが模式的に示されている。
【0049】
分散型ディザ閾値マトリクス230に用いられる網点マスク231内の閾値は、分散型ディザ処理信号に従って作像エンジンで形成される画像において、各階調レベル(1〜32)についての網点サイズ(網点の面積)が、網点サイズ制御値222に応じて図8に模式的に示すような変化をするように決定されている。すなわち、網点サイズ制御値222が基準値である「100」に設定された場合に、特性L11のように、階調レベル1〜32のいずれのレベルでも網点サイズが均一な基準サイズ(これを100%サイズと呼ぶ)となる。網点サイズ制御値222が非基準値の一つである「70」に設定された場合に、特性L13のように、階調レベル1では網点サイズが約70%のサイズとなり、階調レベルが上がるに従って網点サイズが徐々に増加し、階調レベル30では100%サイズに近づき、階調レベル31,32では100%サイズとなる。網点サイズ制御値222がもう一つの非基準値である「85」に設定された場合には、特性L12のように、階調レベル1で網点サイズが約85%のサイズとなり、階調レベルが上がるに従って網点サイズが徐々に増加し、階調レベル30ではほぼ100%サイズとなり、階調レベル31,32で100%サイズとなる、ように各階調レベルに対応した分散型ディザ閾値マトリクスに用いられる網点マスク上の閾値が決定されている。このように、網点サイズ制御値が「85」又は「70」に設定された場合の網点サイズの基準サイズからの変化量が、階調レベル1で最大となり、階調レベルが上がるにつれて減少するように、それぞれの網点マスクの閾値が、換言すれば分散型ディザ閾値マトリクスの閾値が決定される。ただし、階調レベル31,32については、この場合でも網点サイズが100%である。すなわち、階調レベル31,32に対応した分散型ディザ閾値マトリクスについては、網点サイズ制御値222が非基準値に設定された場合の網点サイズの基準サイズからの変化量が0となるように、その閾値が決定されている。
【0050】
網点サイズ制御値222を基準値「100」に設定した場合、階調レベル1〜32の全てで網点サイズは均一の100%サイズとなり、網点サイズを固定し網点の密度を制御することより階調を表現する純粋な分散型ディザ処理が行われる。一方、網点サイズ制御値222を非基準値に設定した場合には、分散型ディザ処理に網点サイズの制御が導入される。このように分散型ディザ処理に網点サイズの制御を導入すると、その副作用が生じる恐れがある。上述したように、網点サイズ制御値222が非基準値に設定された場合における網点サイズの100%サイズからの変化量を、階調レベルが上がるにつれて減少させ、中濃度領域に近い階調レベル(ここでは階調レベル31,32)で変化量を0にすると、そのような副作用の抑制に効果的である。また、擬似輪郭の発生を効果的に抑制できるようにするため、擬似輪郭の発生に関係する低い階調レベルで網点サイズの変化量を大きくしている。
【0051】
階調レベル1に対応した分散型ディザ閾値マトリクス用の網点マスクの閾値配置の例を図9に、階調レベル30に対応した分散型ディザ閾値マトリクス用の網点マスクの閾値配置の例を図10にそれぞれ示す。図中の数字は閾値の値を示している。
【0052】
図9の網点マスクにおいては、網点サイズ制御値222が「100」に設定されたときには、閾値が「99」,「84」,「69」に設定された位置の画素について比較器223の出力信号224がオンドット信号となり、これら画素群で1つの網点が形成される。このときの網点サイズが100%サイズである。なお、網点の100%サイズは、全ての階調レベルに対応した分散ディザ閾値マトリクス用の網点マスクで同一である。網点サイズ制御値222が「85」に設定されたときには、閾値が「84」,「69」に設定された位置の画素群で1つの網点が形成され、このときの網点サイズは100%サイズから12画素分だけ減少し、約85%のサイズとなる。網点サイズ制御値222が「70」に設定されたときには、閾値が「69」に設定された位置の画素群で1つの網点が形成され、このときの網点サイズは100%サイズから23画素分だけ減少し、約70%のサイズとなる。
【0053】
図10の網点マスクにおいては、網点サイズ制御値222が「100」に設定されたときには、閾値が「99」,「84」,「69」に設定された位置の画素群で1つの網点が形成される。このときの網点サイズが100%サイズである。網点サイズ制御値222が「85」に設定されたときには、閾値が「84」,「69」に設定された位置の画素群で1つの網点が形成され、このときの網点サイズは100%サイズから5画素分だけ減少する。網点サイズ制御値222が「70」に設定されたときには、閾値が「69」に設定された位置の画素群で1つの網点が形成され、このときの網点サイズは100%サイズから9画素分だけ減少する。
【0054】
なお、階調レベル31,32に対応したディザ閾値マトリクス用の網点マスクは、図10に示した網点マスクの閾値「99」と「84」を「69」に置き換えたものである。したがって、階調レベル31,32の場合には、網点サイズ制御値222が「100」,「85」,「70」のいずれに設定されたときにも網点サイズは100%サイズとなる。
【0055】
図5は、分散型ディザ処理部202内の閾値生成部220の一実施例を説明するためのブロック図である。本実施例に係る閾値生成部220は、32個のROM等の記憶装置240と、これら記憶装置240に対するイネーブル信号242を制御するイネーブル制御回路241を有する。32個の記憶装置240は階調レベル1〜32に1対1に対応付けられており、各記憶装置240には対応した階調レベルの分散型ディザ閾値マトリクス230が格納されている。イネーブル制御回路241は、入力画像信号220の階調レベルに対応した分散型ディザ閾値マトリクスが格納されている記憶装置240に対するイネーブル信号242のみをオンにする。イネーブル信号242がオンした記憶装置240に記憶されている分散型ディザ閾値マトリクス内の、主,副走査カウンタ205,206から与えられる画素位置情報で示される位置に対応した閾値が読み出される。各記憶装置240は3ステート出力のものであり、そのイネーブル信号242がオフのときに出力がフローティング状態となる。32個の記憶装置240の出力信号はビット毎にワイヤードORされて比較器223に入力される。
【0056】
図6は、閾値生成部220の他の実施例を説明するためのブロック図である。本実施例に係る閾値生成部220では、階調レベル1〜32それぞれに対応した32個の分散型ディザ閾値マトリクスが1つのROM等の記憶装置250に格納される。主,副走査カウンタ205,206で生成される画素位置情報及び入力画像信号207をアドレス情報として記憶装置250がアクセスされ、入力画像信号207の階調レベルに対応した1つの分散型ディザ閾値マトリクス内の、画素位置情報で示される位置に対応した閾値が読み出される。
【0057】
次に、網点サイズ制御値の設定手段について説明する。
【0058】
一実施例によれば、レーザプリンタ100の操作部(不図示)又は外部装置190から指定することにより網点サイズ制御値222が設定される。より具体的には、その指定が入力されると、制御ボード113上のマイクロコンピュータが、網点サイズ制御値保持用のレジスタ(不図示)に、指定された網点サイズ制御値222を設定する。したがって、ユーザは、印刷結果を観察し、かなり濃いと判断したときには網点サイズ制御値を「70」に設定させ、やや濃いと判断したときには網点サイズ制御値を「85」に設定させ、それ以外のときには網点サイズ制御値「100」に設定させることができる。
【0059】
図21と関連させて説明する。現像ローラ108上のトナー濃度が目標濃度に近い条件において、網点サイズ制御値222を基準値の「100」に設定したときに、図21のL1のような入力階調−出力階調特性となるように分散型ディザ閾値マトリクスの閾値が決定されているものとする。トナー補給等により現像ローラ108上のトナー濃度が上昇し、擬似輪郭が発生するような条件となった場合においては、網点サイズ制御値222を非基準値の「85」又は「70」に変更すると、擬似輪郭に関係する低い階調レベルで優先的に網点サイズが減少してハイライト部での出力階調レベルの上昇が抑えられるため、擬似輪郭の発生を効果的に抑制することができる。そして、標準的な条件においてL2のような特性に設定した場合と違い、表現可能な階調範囲が狭まるという不都合はない。
【0060】
別の実施例によれば、濃度センサ110A(図1)により測定された現像ローラ108上のトナー濃度に応じて網点サイズ制御値が自動的に設定される。このような網点サイズ制御値の自動設定操作を行う手段のブロック構成を図11に示す。図11において、ブロック301は濃度センサ110Aで測定されたトナー濃度の情報を取得するブロックである。ブロック302は、そのトナー濃度を2つの判定閾値th1,th2と比較することにより網点サイズ制御値22を決定するブロックである。すなわち、ブロック302は、トナー濃度がth1を超えているときには「かなり濃い」と判断して網点サイズ制御値を「70」に設定し、トナー濃度がth1以下でth2(<th1)を超えているときには「やや濃い」と判断して網点サイズ制御値を「85」に設定し、トナー濃度がth2以下のときには「正常な濃度」と判断し網点サイズ制御値を「100」に設定する。
【0061】
同様の網点サイズ制御値の自動設定操作は、制御ボード113に実装されているマイクロコンピュータを利用しプログラムにより行うことも可能である。この場合の処理フローの一例を図12に示す。すなわち、ステップ311で濃度センサ110Aにより測定されたトナー濃度を取得する。ステップ312でトナー濃度が判定閾値th1より大きいか判定する。その判定結果がYesならば、ステップ313で網点サイズ制御値を「70」に設定する。ステップ312の判定結果がNoならば、ステップ314でトナー濃度が判定閾値th2(<th1)より大きいか判定する。この判定結果がYesならば、ステップ315で網点サイズ制御値を「85」に設定する。ステップ314の判定結果がNoならば、ステップ316で網点サイズ制御値を「100」に設定する。
【0062】
このような網点サイズ制御値の自動設定操作は、レーザプリンタ100の操作部又は外部装置190からの指示に応じて実行させることも、一定時間間隔で実行させることも、あるいは、印刷動作の開始時等に実行させることも可能である。
【0063】
さらに別の実施例によれば、現像器125へのトナー補給動作からの時間経過に応じて網点サイズ制御値が自動的に設定される。前述したように、濃度センサ110Aにより現像ローラ108上のトナー濃度が測定され、トナー濃度が目標濃度より下がるとマイクロコンピュータの制御によりエアーポンプ(不図示)が一定時間だけ駆動されてトナー補給が行われる。このトナー補給の前後のトナー濃度の変動の様子を図13に模式的に示す。エアーポンプを駆動するトナー補給信号が一定時間だけオンしトナー補給が行われると、現像器内でトナーが攪拌され現像ローラ108上のトナー濃度が徐々に上昇する。トナー補給信号がオフした時刻T1の前後でトナー濃度は目標濃度を超え始めるため網点サイズ制御値を「85」に切り換えるのが望ましい。時刻T2から時刻T3の期間はトナー濃度が目標濃度をかなり大きく超えるため、網点サイズ制御値を「70」に切り換えるのが望ましい。目標濃度に近いトナー濃度に安定する時刻T4以降は網点サイズ制御値を「100」に切り換えるのが望ましい。
【0064】
このようなトナー補給動作からの時間経過に応じて網点サイズ制御値の自動設定を行う手段のブロック構成を図14に示す。図14において、ブロック321はトナー補給信号がオフした時点からの経過時間を測定する。ブロック322は、ブロック321より出力される時間情報に基づき網点サイズ制御値を図13に示すように切り換える。
【0065】
同様の網点サイズ制御値の自動設定操作は、制御ボード113上のマイクロコンピュータを利用しプログラムにより行うことも可能である。この場合の処理フローの一例を図15に示す。この処理は、トナー補給の終了時点すなわちトナー補給信号がオンからオフへ変化した時点で始動する。ステップ331で網点サイズ制御値を「85」に設定し、ステップ332でタイマーにΔT1(図13参照)をセットし、ステップ333でタイマーのタイムアウトを待つ。タイマーがタイムアウトすると、ステップ334で網点サイズ制御値を「70」に設定し、ステップ335でタイマーにΔT2(図13参照)をセットし、ステップ336でタイマーのタイムアウトを待つ。タイマーがタイムアウトすると、ステップ337で網点サイズ制御値を「85」に設定し、ステップ338でタイマーにΔT3(図13参照)をセットし、ステップ339でタイマーのタイムアウトを待つ。タイマーがタイムアウトすると、ステップ340で網点サイズ制御値を「100」に設定する。
【0066】
別の実施例によれば、感光体上に濃度チェックのためのテストパターン(パッチ)のトナー像を形成し、その濃度を濃度センサ110(図1参照)で測定した結果に基づいて網点サイズ制御値が自動的に設定される。
【0067】
このような網点サイズ制御値の自動設定操作を行う手段のブロック構成を図16に示す。レーザプリンタ100の操作部又は外部装置190から、当該自動設定操作の指示が与えられると、制御ボード113上のマイクロプロセッサは、ビデオ制御ボード71上のテストパターン信号発生手段(不図示)でテストパターン信号を発生させ、中間調処理装置152(図2,図3参照)に入力させる。なお、マイクロプロセッサの指示により、ブロック352は網点サイズ制御値を「100」に設定する。中間調処理後のテストパターン信号に従ってLD駆動装置153によりレーザ光学系ユニット107のレーザダイオードが駆動され、感光体66上にテストパターンの静電潜像が形成され、この静電潜像は現像ローラ198によりトナー像に現像される。マイクロプロセッサは、転写ローラ109に転写バイアス電圧を印加させず、また用紙を給紙させないように制御する。したがって、現像されたテストパターン像はそのまま濃度センサ110の位置まで移動し、その濃度が濃度センサ110で測定される。テストパターン像は、その濃度測定後に、クリーニングブレード105により感光体66から除去される。ノイズ等の影響を考慮し、このようなテストパターン像の記録と濃度測定は好ましくは少なくとも2回繰り返される。ブロック351は、各回に測定された濃度の情報を取り込み、各回の濃度値を平均した濃度値をブロック352に入力する。ブロック352は、ブロック351より入力された濃度値を2つの判定閾値th11,th12と比較することにより網点サイズ制御値を設定する。すなわち、ブロック352は、濃度値がth11を超えているときには「かなり濃い」と判断して網点サイズ制御値を「70」に設定し、濃度値がth11以下でth12(<th1)を超えているときには「やや濃い」と判断して網点サイズ制御値を「85」に設定し、濃度値がth12以下のときには「正常な濃度」と判断し網点サイズ制御値を「100」に設定する。
【0068】
同様の網点サイズ制御値の自動設定操作は、制御ボード113のマイクロコンピュータを利用しプログラムにより行うことも可能である。この場合の処理フローの一例を図17に示す。当該自動設定操作の指示が入力されると、マイクロプロセッサは網点サイズ制御値を「100」に設定し(ステップ361)、上に述べたようなテストパターン像記録及び濃度測定の動作を実行させる制御を行い(ステップ362)、濃度センサ110で測定された濃度値を保存する(ステップ363)。同様の動作を再度実行させ(ステップ364)、測定された濃度値を保存する(ステップ365)。次に、ステップ363,365で保存した濃度値を平均した濃度値を算出し(ステップ366)、該濃度値と判定閾値th11,th12との比較により網点サイズ制御値を設定する。すなわち、濃度値がth11を超えているならば(ステップ367,Yes)、網点サイズ制御値を「70」に設定し(ステップ368)、濃度値がth11以下(ステップ367,No)でth12(<th1)を超えている(ステップ369,Yes)ならば網点サイズ制御値を「85」に設定し(ステップ370)、濃度値がth12以下(ステップ369,No)ならば網点サイズ制御値を「100」に設定する(ステップ371)。
【0069】
図3乃至図10を参照して説明した中間調処理装置152と同等の機能を、制御ボード113上のマイクロコンピュータ、その他のコンピュータを利用し、プログラムにより実現することも可能である。そのためのプログラム、すなわち、中間調処理装置152の各要素としてコンピュータを機能させるプログラム、及び、同プログラムが記録された半導体記憶素子、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な各種情報記録(記憶)媒体も本発明に包含される。
【0070】
そのようなプログラムの処理フローの一例を図18に示す。なお、図18は入力画像信号の1画素に対する処理内容を示しており、入力画像信号の各画素について同じ処理が繰り返される。また、集中型ディザ閾値マトリクスと分散型ディザ閾値マトリクスは、コンピュータのメモリに予め格納されているものとする。また、網点サイズ制御値は前述したような手段により設定されるものとする。
【0071】
まず、入力画像信号の1画素の階調レベル及び画素位置情報を取り込む(ステップ401)。当該画素の階調レベルが0であるか調べ(ステップ402)、0でないならば33以上であるか調べる(ステップ403)。
【0072】
階調レベルが0であるか33以上である場合(ステップ402又は403,Yes)、集中型ディザ処理を選択する。すなわち、集中型ディザ閾値マトリクス内の画素位置情報で示される画素位置の閾値を読み出し(ステップ404)、当該閾値と階調レベルとの比較判定を行う(ステップ405)。階調レベルが閾値より大きいときには(ステップ405,Yes)、当該画素の処理結果としてドットオン信号すなわち”1”信号を出力する(ステップ406)。階調レベルが閾値以下のときは(ステップ405,No)、当該画素の処理結果としてドットオフ信号すなわち”0”信号を出力する(ステップ407)。
【0073】
階調レベルが1〜32の場合(ステップ402及び403,No)、分散型ディザ処理を選択する。まず、網点サイズ制御値を読み込む(ステップ408)。32個の分散型ディザ閾値マトリクス中の当該画素の階調レベルに対応した分散型ディザ閾値マトリクスを選択し、該マトリクス内の画素位置情報で示される位置の閾値を読み出し(ステップ409)、当該閾値と網点サイズ制御値との比較判定を行う(ステップ410)。網点サイズ制御値が閾値より大きいときには(ステップ410,Yes)、当該画素の処理結果として”1”信号すなわちドットオン信号を出力する(ステップ411)。網点サイズ制御値が閾値以下であるときには(ステップ410,No)、当該画素の処理結果としてドットオフ信号すなわち”0”信号を出力する(ステップ412)。
【0074】
以上、電子写真方式の作像エンジンを用いたレーザプリンタを例に、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はディジタル複写機やファクシミリ装置等にも同様に適用し得ることは明らかであり、そのような機器も本発明に包含される。また、本発明は電子写真方式以外の作像エンジンを用いる画像形成装置にも応用可能であり、そのような画像形成装置も本発明に包含される。また、前記実施形態においては、網点サイズ制御値を3段階に切り換えることができたが、4段階以上に切り換えることができるようにしてもよく、そのようにすれば低濃度領域における網点サイズをよりきめ細かく制御可能となる。かかる態様も当然に本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの概略構成図である。
【図2】ビデオ制御ボード及びLD駆動ボードの構成を説明するためのブロック図である。
【図3】中間調処理装置を説明するためのブロック図である。
【図4】集中型ディザ処理用のディザ閾値マトリクスの一例を示す図である。
【図5】分散型ディザ処理部内の閾値生成部の一実施例を示すブロック図である。
【図6】分散型ディザ処理部内の閾値生成部の他の実施例を示すブロック図である。
【図7】階調レベル1及び32に対応した分散型ディザ処理用のディザ閾値マトリクスの模式図である。
【図8】網点サイズ制御値による網点サイズの制御を説明するための図である。
【図9】階調レベル1に対応したディザ閾値マトリクス用の網点マスクの一例を示す図である。
【図10】階調レベル30に対応したディザ閾値マトリクス用の網点マスクの一例を示す図である。
【図11】現像ローラ上のトナー濃度に応じて網点サイズ制御値を自動設定する手段を説明するためのブロック図である。
【図12】現像ローラ上のトナー濃度に応じて網点サイズ制御値を自動設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図13】トナー補給動作による現像ローラ上のトナー濃度の変動と網点サイズ制御値の設定との関連を説明する図である。
【図14】トナー補給動作からの時間経過に応じて網点サイズ制御値を自動設定する手段を説明するためのブロック図である。
【図15】トナー補給動作からの時間経過に応じて網点サイズ制御値を自動設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図16】テストパターンを記録したトナー像の濃度に応じて網点サイズ制御値を自動設定する手段を説明するためのブロック図である。
【図17】テストパターンを記録し、そのトナー像の濃度に応じて網点サイズ制御値を自動設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図18】図3の中間調処理装置の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図19】集中型ディザ処理による低濃度部のパターン例を示す図である。
【図20】分散型ディザ処理された低濃度部のパターン例を示す図である。
【図21】入力階調−出力階調特性の変動とその影響を説明するための図である。
【符号の説明】
【0076】
66 感光体
71 ビデオ制御ボード
72 LD駆動ボード
105 クリーニングブレード
106 帯電ローラ
107 レーザ光学系ユニット
108 現像ローラ
109 転写ローラ
110 濃度センサ
110A 濃度センサ
113 制御ボード
151 コマンド処理装置
152 中間調処理装置
153 LD駆動装置
154 レーザ光学系ユニット内のレーザダイオード
201 集中型ディザ処理部
202 分散型ディザ処理部
203 処理選択部
205 主走査カウンタ
206 副走査カウンタ
207 入力画像信号
210 集中型ディザ処理用ディザ閾値マトリクス
213 比較器
220 閾値生成部
222 網点サイズ制御値
223 比較器
230_1〜230_32 分散型ディザ閾値マトリクス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調レベル0〜Nをとる多階調画像信号に対しディザ処理を施す中間調処理装置を備え、該中間調処理装置の出力信号に従って作像エンジンを駆動する画像形成装置において、
前記中間調処理装置は、
低濃度領域である階調レベル1〜Mの前記多階調画像信号に対し分散型ディザ処理を施すための分散型ディザ処理手段と、
階調レベル0,M+1〜Nの前記多階調画像信号に対し集中型ディザ処理を施すための集中型ディザ処理手段とを有し、
前記分散型ディザ処理手段は、
前記低濃度領域の各階調レベルに1対1に対応したM個の分散型ディザ閾値マトリクスを含み、前記低濃度領域の前記多階調画像信号の画素毎に、その階調レベルに対応した1の前記分散型ディザ閾値マトリクス内の、該画素の主走査方向及び副走査方向の位置に対応した閾値を選択して出力する閾値生成手段と、
前記低濃度領域の前記多階調画像信号の画素毎に、網点サイズ制御値設定手段により設定された網点サイズ制御値と該画素について前記閾値生成手段より出力された閾値を比較し、該閾値が前記網点サイズ制御値より小さいときに前記作像エンジンで該画素のドットを形成させるドットオン信号を、そうでないときに前記作像エンジンに該画素のドットを形成させないドットオフ信号を前記分散型ディザ処理手段の出力信号として出力する比較手段とを有し、
前記低濃度領域の前記多階調画像信号に対する前記分散型ディザ処理手段の出力信号に従って前記作像エンジンにより形成される画像において、網点サイズが前記網点サイズ制御値に応じて複数段階に変化するように、前記分散型ディザ閾値マトリクス内の閾値が決定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記低濃度領域の前記多階調画像信号に対する前記分散型ディザ処理手段の出力信号に従って前記作像エンジンにより形成される画像において、前記網点サイズ制御値が所定の基準値に設定された場合には前記低濃度領域の全ての階調レベルについて網点サイズが均一の基準サイズとなり、また、前記網点サイズ制御値が前記基準値より小さい所定の非基準値に設定された場合には、網点サイズが前記基準サイズより減少し、かつ、網点サイズの前記基準サイズからの変化量が階調レベル1について最大となり階調レベルが上がるにつれ小さくなるように、前記分散型ディザ閾値マトリクス内の閾値が決定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記網点サイズ制御値は前記非基準値として所定の複数の値をとることができ、
前記低濃度領域の前記多階調画像信号に対する前記分散型ディザ処理手段の出力信号に従って前記作像エンジンにより形成される画像において、網点サイズの前記基準サイズからの変化量を前記網点サイズ制御値に応じて2段階以上に制御可能であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記網点サイズ制御値設定手段は、当該画像形成装置の操作部からの指定又は当該画像形成装置に接続された外部装置からの指定に従って前記網点サイズ制御値を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作像エンジンは電子写真方式のエンジンであって、現像ローラ上のトナー濃度を測定するための濃度センサを有し、
前記網点サイズ制御値設定手段は、前記濃度センサにより測定された前記現像ローラ上のトナー濃度に応じて前記網点サイズ制御値を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記作像エンジンは電子写真方式のエンジンであって、現像器にトナーを補給するトナー補給手段を備え、
前記網点サイズ制御値設定手段は、前記トナー補給手段によるトナー補給動作からの時間経過に応じて前記網点サイズ制御値を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記作像エンジンは電子写真方式のエンジンであって、感光体上のトナー像の濃度を測定するための濃度センサを有し、
前記網点サイズ制御値設定手段は、前記感光体上に形成されたテストパターンのトナー像の前記濃度センサにより測定された濃度に応じて前記網点サイズ制御値を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置の中間調処理装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置の中間調処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2009−147739(P2009−147739A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323882(P2007−323882)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】