説明

画像形成装置、制御装置及びプログラム

【課題】互いに異なる位置に設けられた複数の検出手段を利用して特定の位置の画像濃度又はトナー濃度を求める場合に、複数の検出手段のいずれかの感度が正常な感度より低くても、特定の位置の画像濃度又はトナー濃度を複数の検出手段の感度が正常である場合の値に近づけることを目的とする。
【解決手段】画像形成装置100は、感光体11と中間転写体20と記録媒体Pのいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に、画像を光学的に検出する複数のセンサ24を有する。制御部4は、画像形成部7により形成面に調整用画像を形成し、センサ24の出力信号に基づいて調整用画像の濃度を算出し、複数のセンサ24の出力値の差が閾値を超えた場合に、複数のセンサ24のうち相対的に感度の低いセンサの感度の低さを補うように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、濃度の加重平均値を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で形成される画像の濃度が画像データに対応する濃度から乖離することがある。そのため、形成された画像の濃度を測定し、この濃度と画像データに対応する濃度との差が小さくなるように画像形成装置を調整する技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、反射光の光量を測定する2つのセンサを中間転写体の表面付近に設け、中間転写体上にトナー像がない状態で2つのセンサの出力値を比較し、出力値の大きい方のセンサを用いて画像の濃度を測定することが提案されている。
特許文献2では、反射光の光量を測定する2つのセンサを中間転写体の表面付近の、現像ローラに対するトナー供給方向の上流側と下流側に対応する位置に設け、定められた時間だけ現像装置にトナーを補給した後、2つのセンサの出力値を比較し、両者の出力値の差に基づいて中間転写体の汚れの有無を判断し、汚れの有無に応じてトナー濃度等を変更することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−17542号公報
【特許文献2】特許第4051533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、互いに異なる位置に設けられた複数の検出手段を利用して特定の位置の画像濃度又はトナー濃度を求める場合に、複数の検出手段のいずれかの感度が正常な感度より低くても、特定の位置の画像濃度又はトナー濃度を複数の検出手段の感度が正常である場合の値に近づけることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る画像形成装置は、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記表面に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面上の特定の位置における画像の濃度が前記互いに異なる位置の画像の濃度の加重平均によって求められるように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の検出手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段とを有することを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記変更手段は、前記複数の検出手段の出力値の和に対する各検出手段の出力値の比に基づいて各検出手段に対する重みを算出することを特徴とする。
請求項3に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記調整用画像は、前記互いに異なる位置で同じ面積率が定められていることを特徴とする。
請求項4に係る画像形成装置は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記調整用画像は、前記互いに異なる位置で互いに異なる面積率が定められており、当該位置の各々で段階的に異なる複数の面積率が定められていることを特徴とする。
【0007】
請求項5に係る画像形成装置は、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、外周面を前記表面と対向させて設けられた現像ローラの軸方向に沿う搬送路上を一方向に搬送されるトナーによって前記潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記搬送路上の互いに異なる位置に設けられた、前記トナーの濃度を測定する複数の測定手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記搬送路上の特定の位置におけるトナーの濃度が前記複数の位置のトナーの濃度の加重平均によって求められるように前記複数の位置に対して定められた重みを用いて、前記複数の測定手段で測定された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の測定手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の測定手段のうち相対的に感度の低い測定手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を目標値に近づけるための調整を前記現像装置に施す調整手段とを有することを特徴とする。
【0008】
請求項6に係る制御装置は、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記表面に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面上の特定の位置における画像の濃度が前記互いに異なる位置の画像の濃度の加重平均によって求められるように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の検出手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段とを有することを特徴とする。
請求項7に係る制御装置は、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、外周面を前記表面と対向させて設けられた現像ローラの軸方向に沿う搬送路上を一方向に搬送されるトナーによって前記潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記搬送路上の互いに異なる位置に設けられた、前記トナーの濃度を測定する複数の測定手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記搬送路上の特定の位置におけるトナーの濃度が前記複数の位置のトナーの濃度の加重平均によって求められるように前記複数の位置に対して定められた重みを用いて、前記複数の測定手段で測定された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の測定手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の測定手段のうち相対的に感度の低い測定手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を目標値に近づけるための調整を前記現像装置に施す調整手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項8に係るプログラムは、コンピュータを、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記表面に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面上の特定の位置における画像の濃度が前記互いに異なる位置の画像の濃度の加重平均によって求められるように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の検出手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段として機能させる。
請求項9に係るプログラムは、コンピュータを、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、外周面を前記表面と対向させて設けられた現像ローラの軸方向に沿う搬送路上を一方向に搬送されるトナーによって前記潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記搬送路上の互いに異なる位置に設けられた、前記トナーの濃度を測定する複数の測定手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記搬送路上の特定の位置におけるトナーの濃度が前記複数の位置のトナーの濃度の加重平均によって求められるように前記複数の位置に対して定められた重みを用いて、前記複数の測定手段で測定された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の測定手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の測定手段のうち相対的に感度の低い測定手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を目標値に近づけるための調整を前記現像装置に施す調整手段として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、6、8に係る発明によれば、互いに異なる位置に設けられた複数の検出手段を利用して特定の位置の画像濃度を求める場合に、複数の検出手段のいずれかの感度が正常な感度より低くても、特定の位置の画像濃度を複数の検出手段の感度が正常である場合の値に近づけることができる。
請求項2に係る発明によれば、複数の検出手段の感度の違いを反映させて重みを定めることができる。
請求項3に係る発明によれば、互いに異なる面積率が定められている場合と比べて、計算量を抑えることができる。
請求項4に係る発明によれば、同じ面積率が定められている場合と比べて、調整用画像の数が少なくて済む。
請求項5、7、9に係る発明によれば、互いに異なる位置に設けられた複数の検出手段を利用して特定の位置のトナー濃度を求める場合に、複数の検出手段のいずれかの感度が正常な感度より低くても、特定の位置のトナー濃度を複数の検出手段の感度が正常である場合の値に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置100のハードウェア構成を示す図である。
【図2】画像形成エンジン10の構成を画像形成装置100の正面側から示した図である。
【図3】現像装置14の内部構造を画像形成装置100の正面側から示した図である。
【図4】現像装置14の内部構造を画像形成装置100の上側から示した図である。
【図5】トナー濃度センサ17の構成を示す図である。
【図6】第1センサ24Aと第2センサ24Bが設けられた位置を示す図である。
【図7】センサ24の構成を示す図である。
【図8】調整用画像25を示す図である。
【図9】画像形成装置で形成された画像濃度の分布を示す図である。
【図10】センサ24を構成する部品に起因する感度異常の例を示す図である。
【図11】調整用画像25の白抜けに起因する感度異常の例を示す図である。
【図12】第1センサ24Aの感度が正常な場合と低い場合の濃度を示す図である。
【図13】制御部4が実行する処理の手順を示す図である。
【図14】画像形成装置100の機能構成を示すブロック図である。
【図15】面積率に応じて重みを設定した例を示す図である。
【図16】制御装置200及び画像形成装置300の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態の基本構成
図1は、画像形成装置100のハードウェア構成を示す図である。
記憶部5は、例えばハードディスク記憶装置であり、OS(Operating System)、アプリケーションプログラム等が記憶されている。制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有する(いずれも図示省略)。ROMには、ハードウェアやOSの起動の手順を記述したファームウェアが記憶されている。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のデータの記憶に用いられる。
指示受付部1は、ユーザが画像形成装置100に指示を入力するための種々の操作子を有する。指示受付部1で受け付けられた指示は制御部4に送られ、制御部4はこの指示に従って画像形成装置100の動作を制御する。
通信I/F(Interface)6は、LAN(Local Area Network)等の通信手段(図示省略)に接続されており、画像形成装置100と他の装置との通信を仲介する。
【0013】
画像読取部2は、原稿を光学的に読み取って画像信号を生成する。具体的には、画像読取部2は、プラテンガラス、光源、光学系及び撮像素子を備え(いずれも図示省略)、プラテンガラス上に載せられた原稿に対して光源が光を照射し、原稿で反射された反射光が光学系を介してR(Red)色、G(Green)色、B(Blue)色に分解されて撮像素子に入射する。撮像素子は、入射した光を画像信号に変換し、画像信号を画像処理部3に供給する。
画像処理部3は、画像読取部2から供給された画像信号をA/D変換し、ノイズ除去、ガンマ補正、R色、G色、B色からY(Yellow)色、M(Magenta)色、C(Cyan)色、K(Black)色への変換、スクリーン処理等を施す。こうして、色毎、画素毎の階調を表す画像データが生成される。
【0014】
画像形成部7の主な構成要素は、画像形成エンジン10Y、10M、10C、10K、中間転写体20、媒体搬送部30、定着装置50である。
画像形成エンジン10Y、10M、10C、10Kは、画像処理部3から供給された画像データに基づいて、電子写真方式により、それぞれY色、M色、C色、K色のトナー像を中間転写体20の表面に重ねて形成する。各画像形成エンジンの構成は共通であるから、各画像形成エンジンを区別する必要のない場合には、画像形成エンジン10と総称する。また、その場合、画像形成エンジン10の構成要素についても、Y、M、C、Kの表記を省略する。
【0015】
図2は、画像形成エンジン10の構成を画像形成装置100の正面側から示した図である。画像形成エンジン10は、感光体11の周囲に、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、1次転写装置15等を設けて構成されている。
感光体11は、矢印Aの方向に回転駆動されるローラであり、その表面には、光の照射によって電位が変化する半導体で作製された感光層が設けられている。
帯電装置12は、例えば、コロトロン型帯電装置、ローラ式帯電装置等であり、感光体11の表面を予め定められた電位に帯電させる。
露光装置13は、感光体11の表面に潜像を書き込む。具体的には、画像処理部3から供給された画像データで表される各画素の階調に対応するレーザビームLBを生成し、このレーザビームLBで感光体11の表面を定められた主走査方向(例えば、感光体11の軸方向)に走査する。すると、感光体11の表面では、レーザビームLBの照射された部分の電位が低下することによって潜像が形成される。感光体11が回転駆動されることによって主走査方向の走査線単位での潜像の書き込みが周方向(副走査方向)に繰り返される。
【0016】
現像装置14は、感光体11の表面に形成された潜像を現像する。図3は、現像装置14の内部構造を画像形成装置100の正面側から示した図である。図4は、現像装置14の内部構造を画像形成装置100の上側から示した図である。筐体141の内部には、感光体11側から順に、現像ローラ142、第1搬送部材143、第2搬送部材144が設けられている。現像ローラ142は、磁力により磁性体を吸着するローラである。第1搬送部材143と第2搬送部材144は、軸の周りにらせん状の羽根を設けたスクリューである。筐体141の感光体11に面した部分には、現像ローラ142の外周面を露出させるように開口部141Aが設けられており、これによって現像ローラ142と感光体11の互いの外周面が対向させられている。第1搬送部材143と第2搬送部材144の間には両部材の軸方向に延びる隔壁145が設けられており、隔壁145の長手方向の両端と筐体141の側壁との間には空隙145A、145Bが設けられている。隔壁145を境として第1搬送部材143側の空間を第1搬送路143A、第2搬送部材144側の空間を第2搬送路144Aと呼ぶ。
【0017】
筐体141の内部には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤が収容されている。トナーは、樹脂製の粉体をY色、M色、C色、K色のいずれかの色材で着色したものである。キャリアは、磁性体で作製された粉体である。第1搬送部材143と第2搬送部材144が回転駆動されると、2成分現像剤は、撹拌によって摩擦帯電させられるとともに、第1搬送路143Aでは矢印J方向へ、第2搬送路144Aでは矢印K方向へと互いに逆方向に搬送されるが、第1搬送路143Aと第2搬送路144Aは空隙145A、145Bにより互いの両端がつなげられて周回路を形成しているため、2成分現像剤はこの周回路に沿って循環させられる。
2成分現像剤は、第1搬送路143Aに沿って搬送される際、回転駆動される現像ローラ142の外周面に磁力によって付着する。現像ローラ142には現像バイアス電圧が印加されており、これによってトナーが潜像と逆極性に帯電させられる。その結果、トナーが感光体11上に移送されて潜像が現像され、トナー像が形成される。トナーを奪われたキャリアは、第1搬送路143Aに沿って引き続き搬送される。
【0018】
筐体141の天板の第2搬送路144Aに対応する位置にはトナー補給口141Bが設けられており、トナーを収容したトナー補給装置146がパイプ146Aによってトナー補給口141Bに接続されている。筐体141の天板の現像ローラ142に対向する面には、第1トナー濃度センサ17Aと第2トナー濃度センサ17Bが設けられている。第1トナー濃度センサ17Aと第2トナー濃度センサ17Bは、現像ローラ142の外周面の互いに異なる2点に対向させて設けられている。互いに異なる2点とは、例えば、現像ローラ142の軸方向の2点であり、現像ローラ142の軸の中点をはさんで画像形成装置100の背面側に第1トナー濃度センサ17Aが位置し、正面側に第2トナー濃度センサ17Bが位置する。
【0019】
第1トナー濃度センサ17Aと第2トナー濃度センサ17Bとは同一の構成を有するため、両者を区別する必要のない場合には、トナー濃度センサ17と総称する。図5は、トナー濃度センサ17の構成を示す図である。筐体171の現像ローラ142に対向する側には開口部172が設けられており、光源173が発生した光が開口部172を通過して現像ローラ142に照射されると、現像ローラ142の表面又はトナーが光を反射する。受光素子174は、拡散反射光を受光し、拡散反射光の強さを表す信号を制御部4に出力する。受光素子175は、鏡面反射光を受光し、鏡面反射光の強さを表す信号を制御部4に出力する。受光素子174は、C色、M色、Y色のトナー濃度を測定するために用いられ、受光素子175は、K色のトナー濃度を測定するために用いられる。
【0020】
制御部4は、トナー濃度センサ17の出力信号から反射率を算出し、この反射率をトナー濃度に換算する。制御部4は、トナー濃度が目標値を下回った場合に、トナー補給装置146に対してトナー補給の指示を出す。この指示を受け取ると、トナー補給装置146は、パイプ146Aを介して筐体141内にトナーを吐出する。
制御部4は、1回のトナー補給に費やす時間の長さ(以下、「トナー補給時間」という。)を調整することによって、1回当たりのトナー補給量を調整する。制御部4は、トナー補給時間をトナーの消費の速さに応じて決定する。例えば、定められた期間内のイメージカウント値の1ページ当たりの平均値が高いほどトナー補給時間を長くする。イメージカウント値は、トナーで現像された画素数の累積値である。
【0021】
中間転写体20は、駆動ローラ21とローラ22に架け回された無端のベルトであり、駆動ローラ21が回転駆動されることによって、中間転写体20が矢印Bの方向に循環する。中間転写体20を挟んで感光体11と対向する位置には1次転写装置15が設けられている。1次転写装置15は、例えば、コロトロン型帯電装置であり、中間転写体20にトナー像と逆極性の転写バイアス電圧を印加する。転写バイアス電圧によって中間転写体20がトナー像と逆極性に帯電させられ、トナー像が中間転写体20に転写される。この転写動作を1次転写という。
以上が画像形成エンジン10の構成である。画像形成エンジン10Y、10M、10C、10Kで形成されたトナー像は、中間転写体20に重ねて転写される。
【0022】
媒体搬送部30は、記録媒体Pを搬送する。具体的には、媒体収容部31には、紙等の記録媒体Pが積み重ねて収容されており、送り出しローラ32が、中間転写体20上のトナー像の移動と同期させて回転駆動されることにより、記録媒体Pを1枚ずつ搬送路34に送り出す。搬送路34上に設けられた搬送ローラ33が回転駆動されることにより、記録媒体Pが搬送路34に沿って搬送される。
2次転写装置23は、記録媒体Pに中間転写体20と逆極性の転写バイアス電圧を印加するローラであり、2次転写装置23の外周面は、中間転写体20を挟んでローラ22の外周面に突き当てられている。2次転写装置23と中間転写体20とが接触する位置に記録媒体Pが進入すると、転写バイアス電圧によって記録媒体Pが中間転写体20と逆極性に帯電させられ、トナー像が記録媒体Pの表面に転写される。この転写動作を2次転写という。
トナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置50に搬送される。定着装置50は、トナー像に対して加熱および加圧を行うことによって、トナー像を記録媒体Pの表面に定着させる。トナー像が定着された記録媒体Pは、排出部37に排出される。
【0023】
要するに、本実施形態に係る画像形成部7は、光を照射すると外周面の電位が変化するローラである感光体と、前記感光体を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記感光体に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記感光体に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記感光体に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段の一例である。なお、転写装置は、本実施形態の1次転写装置15と2次転写装置23とを含む概念である。像保持体は、本実施形態の中間転写体20と記録媒体Pとを含む概念である。中間転写体20は、ベルトに限定されるものではなく、例えば、ローラであってもよい。要するに、像保持体は、感光体に形成された画像が転写される全ての対象物を含む概念である。
【0024】
画像形成エンジン10Kの中間転写体20駆動方向下流側には、第1センサ24Aと第2センサ24Bが設けられている。図6は、第1センサ24Aと第2センサ24Bが設けられた位置を示す図である。第1センサ24Aと第2センサ24Bは、中間転写体20の表面の互いに異なる2点に対向させて設けられている。互いに異なる2点とは、中間転写体20の駆動方向と交差する方向の2点であり、中間転写体20の中心線を挟んで画像形成装置100の背面側に第1センサ24Aが位置し、正面側に第2センサ24Bが位置する。
【0025】
第1センサ24Aと第2センサ24Bとは同一の構成を有するため、両者を区別する必要のない場合には、センサ24と総称する。図7は、センサ24の構成を示す図である。筐体241の記録媒体Pに対向する側には開口部242が設けられており、光源243が発生した光が開口部242を通過して中間転写体20に照射されると、中間転写体20の表面又はトナーが光を反射する。受光素子244は、拡散反射光を受光し、拡散反射光の強さを表す信号を制御部4に出力する。受光素子245は、鏡面反射光を受光し、鏡面反射光の強さを表す信号を制御部4に出力する。受光素子244は、C色、M色、Y色で形成された画像の検出に用いられ、受光素子245は、K色で形成された画像の検出に用いられる。
要するに、センサ24は、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段の一例である。
制御部4は、センサ24の出力信号を、画像濃度調整と、画像形成位置調整の2つの用途に用いる。具体的には、次のとおりである。
【0026】
(1.1)画像濃度調整
画像濃度調整は、画像形成装置100で形成される画像の濃度が目標値に近づくように画像形成装置100を調整する処理である。制御部4は、画像濃度調整を実行する契機として定められた事象を検知した場合に、画像濃度調整を実行する。定められた事象とは、例えば、画像形成装置100への電源投入、指示受付部1による画像形成の指示の受け付け、当該指示に対応した画像形成の終了、前回の画像濃度調整後のイメージカウント値の閾値への到達、画像形成装置100内部の温度又は湿度の、前回の画像形成位置調整後の変化量の閾値への到達、トナー補給装置146へのトナー充填、搬送路34に詰まった記録媒体Pの除去、指示受付部1による画像濃度調整の指示の受け付け等である。イメージカウント値は、トナーで現像された画素数の累積値である。制御部4は、記憶部5に記憶されたプログラムで記述された手順に従って画像濃度調整を実行する。
【0027】
記憶部5には、調整用画像データが記憶されている。図8(a)は、調整用画像データに基づいて中間転写体20上に形成される調整用画像25を示す図である。調整用画像25は、調整用画像25Y、25M、25C、25Kからなり、それぞれY色、M色、C色、K色のトナーで形成される。中間転写体20上の第1センサ24Aと第2センサ24Bに対応する位置に同一の調整用画像25が形成される。図8(b)は、調整用画像25Yを示す図である。調整用画像25Yは、複数の矩形画像を中間転写体20の駆動方向に沿って並べたものであり、各矩形画像には100%、80%、60%、40%、20%というように段階的に異なる面積率が指定されている。調整用画像25M、25C、25Kも、トナーの色が異なる以外は調整用画像25Yと同様である。
【0028】
画像濃度調整を実行する契機として定められた上記事象のいずれかを検知した場合、制御部4は、調整用画像データを記憶部5から読み出して露光装置13に供給し、中間転写体20上に調整用画像25を形成させ、調整用画像25で反射された反射光を第1センサ24Aと第2センサ24Bに読み取らせる。制御部4は、第1センサ24Aと第2センサ24Bから出力された信号からそれぞれの反射率を算出し、この反射率を画像濃度(光学濃度)に換算し、この2つの画像濃度の加重平均値を算出することによって、比較位置24Cにおける画像濃度を求める。これに対して、調整用画像データで指定された面積率に対応する画像濃度を目標値と呼ぶ。比較位置24Cは、加重平均値と目標値とを比較する位置として予め定められた特定の位置である。加重平均値の算出方法については後述する。そして、制御部4は、加重平均値と目標値との差に基づいて、加重平均値を目標値に近づけるための調整を実行する。調整の内容は、例えば、トナー補給装置146からのトナー補給量の調整、帯電装置12の帯電電位の調整、露光装置13の露光量の調整、現像装置14の現像バイアス電位の調整、画像データを補正するルックアップテーブルの書き換え等のいずれか又は2つ以上の組み合わせであるが、この調整については周知の技術を適用するため、具体的な手順についての説明は省略する。
【0029】
(1.2)画像形成位置調整
画像形成位置調整は、画像形成装置100で形成される画像の記録媒体P上の位置が画像データで指定された位置に近づくように画像形成装置100を調整する処理である。制御部4は、画像形成位置調整を実行する契機として定められた事象を検知した場合に、画像形成位置調整を実行する。定められた事象とは、例えば、画像形成装置100への電源投入、指示受付部1による画像形成の指示の受け付け、当該指示に対応した画像形成の終了、前回の画像形成位置調整後のイメージカウント値の閾値への到達、画像形成装置100内部の温度又は湿度の、前回の画像形成位置調整後の変化量の閾値への到達、搬送路34に詰まった記録媒体Pの除去、指示受付部1による画像形成位置調整の指示の受け付け等である。制御部4は、記憶部5に記憶されたプログラムで記述された手順に従って画像形成位置調整を実行する。
【0030】
画像形成位置調整には、中間転写体20駆動方向における画像形成位置の調整、中間転写体20駆動方向と交差する方向における画像形成位置の調整、画像の傾きの調整が含まれる。例えば、中間転写体20駆動方向における調整の場合、制御部4は、中間転写体20上に調整用画像25を形成させ、調整用画像25の前端が検出された時期と、調整用画像25の前端がセンサ24の測定位置に到達する目標時期との差に基づいて、中間転写体20駆動方向の形成位置のずれ量を求める。そして、制御部4は、このずれ量を少なくするための調整を実行する。調整の内容は、例えば、露光装置13による潜像の書き込みの開始時期の調整であるが、この調整については周知の技術を適用するため、具体的な手順についての説明は省略する。
以上が画像形成装置100の基本構成である。
【0031】
(2)加重平均値の算出
次に、比較位置24Cにおける加重平均値の算出について説明する。
最初に、画像濃度の加重平均値を求める理由について説明する。
図9は、画像形成装置で形成された画像濃度の分布を示す図である。具体的には、主走査方向に均一な面積率を指定した画像データを画像形成部7に入力し、記録媒体P上に形成された画像の光学濃度を濃度計で測定したものである。縦軸は画像濃度を表し、横軸は主走査方向の位置を表す。100A、100Bは、それぞれ画像形成装置100A、100Bの測定結果を示す。画像形成装置100Aと100Bは、上述の画像形成装置100と同一の構成を有する装置である。
【0032】
図示されているとおり、画像形成装置100Aと100Bで形成された画像の濃度は、一部を除いて目標値と異なっている。また、画像形成装置100Aと100Bが同一の構成を有するにも関わらず、両者で形成された画像濃度の分布は異なっている。画像濃度が目標値と乖離する原因は様々であるが、例えば、画像形成部7の構成要素に由来する原因として、次のものが挙げられる。
・感光体11の感光層の厚さの主走査方向のムラ。
・帯電装置12の帯電電圧の主走査方向のムラ。
・露光装置13の光量の主走査方向のムラ。
・現像装置14のトナー濃度の主走査方向のムラ。
・現像装置14の現像バイアス電圧の主走査方向のムラ。
・1次転写装置15、2次転写装置23の転写バイアス電圧の主走査方向のムラ。
・定着装置50の熱、圧力の主走査方向のムラ。
・感光体11、現像ローラ142、中間転写体20、2次転写装置23等の変形。
これらのムラや変形の大きさは画像形成装置100の個体毎に異なるから、画像濃度の分布や、画像濃度の目標値との乖離の程度も、画像形成装置100の個体毎に異なるものとなる。
【0033】
さて、画像形成位置調整を目的としたセンサは、通常、図6、図8で示したように、中間転写体20の中心線を挟む2点に設けられる。これに対して、画像濃度調整は、通常、中間転写体20の中心線付近の画像濃度に基づいて行うが、画像形成位置調整用のセンサを画像濃度調整用にも使用するように構成すれば、コスト面で有利である。このような理由から、本実施形態では、第1センサ24Aと第2センサ24Bの測定位置の画像濃度に基づいて比較位置24Cの画像濃度を算出するのであるが、その算出においては、2つの測定位置の画像濃度の加重平均値を求める。その理由は、次のとおりである。
図9に示した画像形成装置100Aの例では、第1センサ24Aと第2センサ24Bの測定位置における画像濃度は、それぞれ0.8と1.0である。第1センサ24Aと第2センサ24Bが比較位置24Cから等距離の位置に設けられているとすると、この例では画像濃度の変化が直線的であるので、比較位置24Cの濃度は、第1センサ24Aと第2センサ24Bの測定位置の画像濃度の相加平均値0.9に等しい。従って、例えば目標値を0.95とすると、制御部4は、形成される画像の濃度を0.05だけ増加させるように画像濃度の調整を実行する。
【0034】
一方、図9に示した画像形成装置100Bの例では、第1センサ24Aと第2センサ24Bの測定位置における画像濃度はそれぞれ0.8と1.0で、画像形成装置100Aの例と同じであるが、画像濃度の変化が曲線的であるため、比較位置24Cにおける画像濃度は、第1センサ24Aと第2センサ24Bの測定位置の画像濃度の相加平均値0.9とは異なる値となる。この例では、0.86である。仮に相加平均値0.9に基づいて画像濃度調整を実行すると、0.05しか濃度が増加しないから、調整後の比較位置24Cにおける画像濃度は、0.86+0.05=0.91となり、目標値0.95に届かなくなる。
【0035】
このような不都合を解消するために、本実施形態では、次の方法によって比較位置24Cにおける画像濃度を算出する。
第1センサ24A、第2センサ24Bの出力信号から得られた画像濃度をそれずれV1、V2とすると、比較位置24Cにおける加重平均値Vwは、次式で求められる。
[数1]
Vw=(W1・V1+W2・V2)/(W1+W2) 式(1)
ただし、W1、W2はそれそれV1、V2に対する重み。
【0036】
重みW1、W2は、いかなる方法で決定してもよいが、一例を示すと、次のとおりである。W1+W2=1として、式(1)を変形すると、
[数2]
W1=(Vw−V2)/(V1−V2) 式(2)
となる。主走査方向に均一な面積率を指定した画像データを画像形成装置100の画像形成部7に入力し、中間転写体20上に形成された画像の濃度を、第1センサ24Aの測定位置と第2センサ24Bの測定位置と比較位置24Cとで測定し、式(2)に代入する。例えば、図9に示した画像形成装置100Bの場合、画像濃度V1=0.8、V2=1.0、Vw=0.86を代入することによって重みW1=0.7、W2=0.3が得られる。このようにして決定した重みを用いて式(1)で算出された加重平均値は、比較位置24Cにおける実際の画像濃度に近似した値となる。
【0037】
なお、重みの決定方法は、いかなる方法を用いてもよい。前述のとおり、画像濃度が目標値と乖離する原因として、感光体11の感光層の厚さのムラ等、画像形成部7の構成要素に由来する原因がいくつか考えられるので、例えば、感光体11の感光層の厚さと画像濃度分布との関係が既知である場合、感光層の厚さの測定値に基づいて画像濃度分布を予測し、予測した画像濃度分布における画像濃度V1、V2、Vwを式(2)に代入して重みを決定してもよい。
また、画像形成装置100の動作中に画像濃度分布が変動することがあり得る。例えば、2成分現像剤は、第2搬送路144Aから空隙145Bを通過して第1搬送路143Aに進入するが、空隙145Bを通過する前後で2成分現像剤の搬送方向が変わるため、空隙145B付近で2成分現像剤が滞留と流動を交互に繰り返す。そのため、第1搬送路143Aでは、上流側ほど画像濃度が変動しやすくなるので、加重平均値もこの変動の影響を受けることになる。この変動が加重平均値に与える影響を抑制するために、上流側の重みW2を下流側の重みW1よりも小さい値に定めてもよい。
【0038】
(3)重みの変更
次に、センサ24の感度に応じた重みの変更について説明する。
図10は、センサ24を構成する部品に起因する感度異常の例を示す図である。この図は、中間転写体20に形成された調整用画像25の濃度を測定した結果を表す。横軸は、調整用画像の面積率であり、縦軸は、センサ24の出力値である。この例では、拡散反射光の出力値に基づいて濃度を求める。この場合、面積率が高いほど拡散反射光の光量が増加するので、センサ24の出力値が上昇する。
この例は、第1センサ24Aと第2センサ24Bとで同一の調整用画像25を測定したものである。従って、第1センサ24Aと第2センサ24Bの出力値の差は、専ら第1センサ24Aの感度が第2センサ24Bよりも低いことによるものである。センサ24の感度が低くなる原因としては、受光素子244の出力信号を増幅する増幅器(図示省略)のマイナス側オフセット電圧や光源243の光量が設計上の値よりも低いことが挙げられる。このような、センサ24の部品に起因する感度異常の場合、面積率が低いほどセンサ24の出力値と正常値との差が大きくなるという傾向がある。
【0039】
図11は、調整用画像25の白抜けに起因する感度異常の例を示す図である。現像装置14内で異常帯電や撹拌不足によってトナーが凝集すると、凝集トナーは現像ローラ142から感光体11へ移送されにくいため、凝集トナーに対応する部分が現像されない白抜けが発生することがある。白抜けが発生すると拡散反射光の光量が低下するので、センサ24の感度が正常であっても、センサ24の出力値が正常値よりも低くなる。つまり、センサ24の見かけの感度が低いことになる。この例では、第1センサ24A側の調整用画像25に白抜けが発生したため、第1センサ24Aの出力値は、第2センサ24Bの出力値を下回っている。このような白抜けに起因する感度異常の場合、面積率が高いほどセンサ24の出力値と正常値との差が大きくなる。
上記2例のような感度異常は、時間の経過とともに進行して無視できない大きさに達する場合もあるし、画像形成装置100の設置当初から無視できない大きさである場合もある。なお、ここでは、第1センサ24Aの感度が第2センサ24Bの感度よりも低い例を示したが、その逆もあり得る。
【0040】
図12は、第1センサ24Aの感度が正常な場合と低い場合の濃度を示す図である。第1センサ24Aの感度が低い場合、その測定値を用いて式(1)で求められる加重平均値は、比較位置24Cにおける実際の画像濃度よりも低くなる。この加重平均値を用いて画像濃度調整を行うと、加重平均値と目標値との差が実際よりも大きくなってしまうため、調整後の画像濃度が必要以上に高くなってしまう。従って、相対的に感度の低い第1センサ24Aの感度の低さを補うように、重みを変更することが必要となる。そこで、本実施形態では、第1センサ24Aと第2センサ24Bの感度差が閾値に達した場合に、制御部4が第1センサ24Aの出力値と第2センサ24Bの出力値とに基づいて加重平均の重みを変更する。
【0041】
図13は、制御部4が実行する処理の手順を示す図である。制御部4は、記憶部5に記憶されているプログラムで記述された手順に従ってこの処理を実行する。制御部4は、画像濃度調整を実行する契機として定められた事象を検知した場合に、この処理を開始する。記憶部5には、前述の方法で決定された重みW1、W2が、それぞれ初期値Wini1、Wini2として記憶されている。
ステップS11では、制御部4は、調整用画像データを記憶部5から読み出して露光装置13に供給し、中間転写体20上に調整用画像25を形成させ、調整用画像25で反射された反射光を第1センサ24Aと第2センサ24Bに読み取らせる。
ステップS12では、制御部4は、第1センサ24Aの出力値と第2センサ24Bの出力値との差を求め、この差と閾値とを比較する。ここで、2つの出力値のうち高い方をUH、低い方をULとし、UHとULとの差が閾値Tよりも大きい場合(ステップS12:YES)には、ステップS13に進み、UHとULとの差が閾値Tよりも小さい場合(ステップS12:NO)には、ステップS14に進む。
【0042】
ステップS13では、制御部4は、次のようにして重みを算出する。出力値の高い方のセンサ24に対する重みをWH、出力値の低い方のセンサ24に対する重みをWLとする。
[数3]
WH=UH/(UH+UL)
WL=1−WH 式(3)
例えば、UH=500、UL=400が得られた場合、WH=0.56、WL=0.44となる(小数第3位四捨五入)。
一方、ステップS14では、制御部4は、記憶部5から初期値Wini1、Wini2を読み出し、重みW1、W2として、それぞれWini1、Wini2を設定する。
【0043】
ステップS15では、制御部4は、このようにして決定した重みを用いて画像濃度の加重平均値を求め、この加重平均値を用いて画像濃度調整を実行する。具体的には、制御部4は、第1センサ24Aと第2センサ24Bから出力された信号からそれぞれの反射率を算出し、この反射率を画像濃度に換算する。制御部4は、このようにして得られた画像濃度V1、V2と、ステップS13又はS14で決定した重みW1、W2とを式(1)に代入することによって、比較位置24Cにおける加重平均値を算出する。このようにして算出された加重平均値は、比較位置24Cにおける実際の画像濃度に近似した値となる。そして、制御部4は、この加重平均値を目標値に近づけるための調整を画像形成部7に施す。例えば、制御部4は、トナー補給装置146からのトナー補給量の調整、帯電装置12の帯電電位の調整、露光装置13の露光量の調整、現像装置14の現像バイアス電位の調整、画像データを補正するルックアップテーブルの書き換え等の調整指示を画像形成部7に与える。
【0044】
図14は、画像形成装置100の機能構成を示すブロック図である。
画像形成装置100は、画像形成手段101と検出手段102と濃度算出手段103と加重平均値算出手段104と調整手段105と変更手段106とを有する。
画像形成手段101は、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記表面に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段である。
検出手段102は、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段である。
濃度算出手段103は、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段である。
加重平均値算出手段104は、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面上の特定の位置における画像の濃度が前記互いに異なる位置の画像の濃度の加重平均によって求められるように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段である。
変更手段106は、前記複数の検出手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段である。
調整手段105は、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段である。
【0045】
(4)変形例
上記の実施形態を以下に示す変形例のように変形してもよい。また、各変形例を組み合わせても良い。
(4.1)変形例1
実施形態では、2つのセンサ24の出力値の差が閾値を超えた場合に制御部4がセンサ24の出力値に基づいて重みを算出する例を示したが、2つのセンサ24の出力値の差が閾値を超えた場合の重みとして固定値を用いるようにしてもよい。この場合、適正な重みを実験によって求め、この重みを記憶部5に記憶させておけばよい。
(4.2)変形例2
面積率に応じて重みを異ならせるようにしてもよい。具体的には、次のとおりである。
図10、図11に示したように、面積率によってセンサ24の感度差が異なることがある。ここでは、一例として、図10の場合について説明する。図15は、面積率に応じて重みを設定した例を示す図である。Cin1乃至Cin4は図10に示した4つの面積率である。UHは、各面積率におけるセンサ24の高い方の出力値、ULは低いほうの出力値である。この出力値に基づいて式(3)で算出した重みがWH、WLである。画像濃度調整においては、図8で示したように、段階的に異なる面積率の調整用画像25を用いるので、調整用画像25の面積率に応じた重みを用いて画像濃度調整を実行すればよい。
【0046】
(4.3)変形例3
実施形態では、図8のように、第1センサ24Aと第2センサ24Bに対応する位置に同一の面積率の調整用画像を形成する例を示したが、第1センサ24Aと第2センサ24Bに対応する位置に互いに異なる面積率の調整用画像を形成するようにしてもよい。例えば、第1センサ24A側に面積率100%、70%、40%の調整用画像を形成し、第2センサ24B側に面積率85%、55%、25%の調整用画像を形成し、第1センサ24A側と第2センサ24B側とで別個に面積率と出力値の関係を表す近似曲線を描き、この近似曲線から調整用画像25の面積率以外の面積率に対応する出力値を求める。
また、このような面積率と出力値との関係を表す近似曲線を予め関数で近似し、その係数を記憶部5等に記憶しておき、その係数を用いて調整用画像25の面積率以外の面積率に対応する出力値を求めてもよい。
要するに、前記調整用画像は、前記複数の位置で同じ面積率が定められていてもよいし、前記複数の位置で互いに異なる面積率が定められており、当該位置の各々で段階的に異なる複数の面積率が定められていてもよい。
【0047】
(4.4)変形例4
鏡面反射光の出力値に基づいて濃度を求める場合、面積率が低いほど鏡面反射光の光量が増加するので、センサ24の出力値が上昇するが、センサ24の感度が低いと、出力値が正常値よりも低くなるため、本来の値よりも高い画像濃度が算出されてしまう。つまり、感度が正常な場合と感度が低い場合との関係が、図12とは逆になる。そのため、鏡面反射型のセンサの場合には、次式により重みを算出する。
[数4]
WH=UL/(UH+UL)
WL=1−WH 式(4)
【0048】
(4.5)変形例5
実施形態では、中間転写体20に対向させてセンサ24を設けた例を示したが、センサ24を感光体11上でトナー像が形成される形成面に対向させて設けてもよい。この場合、例えば、感光体11の軸の中点を挟んで画像形成装置100の背面側と正面側にセンサ24を設ける。
あるいは、センサ24を搬送路34上の記録媒体Pに対向させるように設けてもよい。この場合、搬送路34上の2次転写位置よりも下流側で、記録媒体P上でトナー像が形成される形成面に対向させるとともに、搬送路の中心線を挟んで画像形成装置100の背面側と正面側にセンサ24を設ける。
実施形態では、中間転写体20のトナー像が転写される面の互いに異なる2点に2つのセンサ24を設けた例を示したが、画像形成位置調整のためにセンサが3つ以上設けられている場合もあり得るので、その場合には、3つ以上のセンサに対応する位置に調整用画像を形成し、この調整用画像を測定して得られた画像濃度の加重平均値を求めるようにしてもよい。この場合、第1搬送路143Aの搬送方向上流側ほど、重みを大きくする。
要するに、実施形態及び本変形例に係るセンサ24は、前記感光体と前記転写体のいずれかにおいて前記画像が形成される形成面の移動方向と交差する方向の複数の位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段の一例である。
【0049】
(4.6)変形例6
センサ24の出力信号を基準値により補正するようにしてもよい。基準値とは、例えば、中間転写体20の表面にトナー像がない場合の測定値でもよいし、センサ24内に設けた基準板の測定値でもよいし、反射光がない場合の暗電流に起因する成分でもよい。
(4.7)変形例7
無条件にセンサ24の出力値に基づいて重みを決定するようにしてもよい。具体的には、図13のステップS12、S14を省略し、ステップS11に続いて無条件でステップS13の処理に進むようにすればよい。この場合、センサ24の出力値だけに基づいて重みが決定される。例えば、センサ24の感度が低いことによる測定誤差と比べて、図9の画像形成装置100Bの例で示した濃度分布に起因する測定誤差が無視できるほど小さい場合が、本変形例の適用対象となる。
要するに、本変形例に係る画像形成装置は、光を照射すると外周面の電位が変化するローラである感光体と、前記感光体を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記感光体に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記感光体に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記感光体に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って移動させられる転写体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記感光体と前記転写体のいずれかにおいて前記画像が形成される形成面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記形成面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段と、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段とを有することを特徴とする画像形成装置の一例である。
【0050】
(4.8)変形例8
実施形態では、画像濃度の加重平均値に基づいて画像濃度を調整する例を示したが、現像装置14内のトナー濃度の加重平均値に基づいてトナー濃度を調整するようにしてもよい。具体的には、次のとおりである。
画像濃度調整を実行する契機として定められた事象のいずれかを検知した場合、制御部4は、第1トナー濃度センサ17Aと第2トナー濃度センサ17Bからの出力信号に基づいてトナー濃度を算出し、この2つのトナー濃度の加重平均値を算出することによって、比較位置における加重平均トナー濃度を求める。比較位置は、トナー濃度の加重平均値と目標値とを比較する位置として予め定められた位置であり、例えば、第1トナー濃度センサ17Aと第2トナー濃度センサ17Bとを通る直線上の1点である。加重平均値を求めるための重みは、例えば、現像ローラ142上のトナー濃度の分布を実験により測定し、この分布に基づいて、上述の式(2)と同様の手法で算出したものである。そして、制御部4は、加重平均トナー濃度と目標トナー濃度との差に基づいて、トナー補給装置146からのトナー補給量の調整を行う。
なお、実施形態では、トナー濃度センサ17として、反射光の強さを表す信号を出力するセンサを用いる例を示したが、透磁率を測定するセンサを設け、測定された透磁率からトナー濃度を算出するようにしてもよい。
【0051】
要するに、本変形例に係る画像形成装置100は、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、外周面を前記表面と対向させて設けられた現像ローラの軸方向に沿う搬送路上を一方向に搬送されるトナーによって前記潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記搬送路上の互いに異なる位置に設けられた、前記トナーの濃度を測定する複数の測定手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記搬送路上の特定の位置におけるトナーの濃度が前記複数の位置のトナーの濃度の加重平均によって求められるように前記複数の位置に対して定められた重みを用いて、前記複数の測定手段で測定された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の測定手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の測定手段のうち相対的に感度の低い測定手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を目標値に近づけるための調整を前記現像装置に施す調整手段とを有することを特徴とする画像形成装置の一例である。
【0052】
(4.9)変形例9
指示受付部1、画像処理部3、制御部4、記憶部5を画像形成部7と分離して画像形成装置と別体の制御装置として構成し、制御装置と画像形成装置とを通信手段で接続し、この通信手段を介して制御装置が画像形成装置を制御するようにしてもよい。つまり、この制御装置は、コンピュータとして構成されている。
図16は、制御装置200及び画像形成装置300の機能構成を示すブロック図である。制御装置200は、実施形態に係る画像形成装置100の機能のうち、濃度算出手段103と加重平均値算出手段104と調整手段105と変更手段106を有し、さらに、画像形成装置300との間で通信を行う通信手段201を有する。画像形成装置300は、実施形態に係る画像形成装置100の機能のうち、画像形成手段101と検出手段102を有し、さらに、制御装置200との間で通信を行う通信手段301を有する。通信手段201、301は、具体的には通信I/F6である。制御装置200は、通信手段201を介して、画像形成装置300における画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知し、画像形成装置300に調整用画像25の形成を指示し、センサ24の出力信号を取得し、画像形成装置300の調整の内容を示す情報を画像形成装置300に送信する。
【0053】
要するに、本変形例に係る制御装置200は、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記表面に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面上の特定の位置における画像の濃度が前記互いに異なる位置の画像の濃度の加重平均によって求められるように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の検出手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段とを有することを特徴とする制御装置の一例である。
【0054】
本変形例と同様の変更を変形例8に対して施した場合、係る画像形成装置100は、光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、外周面を前記表面と対向させて設けられた現像ローラの軸方向に沿う搬送路上を一方向に搬送されるトナーによって前記潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記搬送路上の互いに異なる位置に設けられた、前記トナーの濃度を測定する複数の測定手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記搬送路上の特定の位置におけるトナーの濃度が前記複数の位置のトナーの濃度の加重平均によって求められるように前記複数の位置に対して定められた重みを用いて、前記複数の測定手段で測定された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、前記複数の測定手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の測定手段のうち相対的に感度の低い測定手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を目標値に近づけるための調整を前記現像装置に施す調整手段とを有することを特徴とする制御装置として特定される。
【0055】
(4.10)変形例10
実施形態では、2成分現像剤を用いた例を示したが、キャリアを含まない1成分現像剤を用いてもよい。
実施形態では、画像形成装置100が複写機である例を示したが、通信I/F6を介して外部からビットマップ形式又はベクタ形式のデータを受信し、このデータに基づいて画像を形成する装置でもよい。
複数の実施形態を組み合わせてもよい。また、実施形態と変形例を組み合わせてもよい。
実施形態では、制御部4がプログラムを実行することによって処理を実行する例を示したが、同様の機能をハードウェアで実装するようにしてもよい。また、このプログラムを、光記録媒体、半導体メモリ等、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供し、この記録媒体からプログラムを読み取って画像形成装置100の記憶部5に記憶させるようにしてもよい。また、このプログラムを電気通信回線経由で提供してもよい。
【符号の説明】
【0056】
100…画像形成装置、1…指示受付部、2…画像読取部、3…画像処理部、4…制御部、5…記憶部、6…通信I/F、7…画像形成部、10Y、10M、10C、10K…画像形成エンジン、11…感光体、12…帯電装置、13…露光装置、14…現像装置、141…筐体、142…現像ローラ、143…第1搬送部材、144…第2搬送部材、145…隔壁、146…トナー補給装置、141A…開口部、141B…トナー補給口、143A…第1搬送路、144A…第2搬送路、145A、145B…空隙、15…転写装置、17A…第1トナー濃度センサ、17B…第2トナー濃度センサ、20…中間転写体、24A…第1センサ、24B…第2センサ、30…媒体搬送部、101…画像形成手段、102…検出手段、103…濃度算出手段、104…加重平均値算出手段、105…調整手段、106…変更手段、200…制御装置、300…画像形成装置、201、301…通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記表面に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、
前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段と、
画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段と、
前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面上の特定の位置における画像の濃度が前記互いに異なる位置の画像の濃度の加重平均によって求められるように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、
前記複数の検出手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、
前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記複数の検出手段の出力値の和に対する各検出手段の出力値の比に基づいて各検出手段に対する重みを算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整用画像は、前記互いに異なる位置で同じ面積率が定められていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記調整用画像は、前記互いに異なる位置で互いに異なる面積率が定められており、当該位置の各々で段階的に異なる複数の面積率が定められていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、外周面を前記表面と対向させて設けられた現像ローラの軸方向に沿う搬送路上を一方向に搬送されるトナーによって前記潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、
前記搬送路上の互いに異なる位置に設けられた、前記トナーの濃度を測定する複数の測定手段と、
画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記搬送路上の特定の位置におけるトナーの濃度が前記複数の位置のトナーの濃度の加重平均によって求められるように前記複数の位置に対して定められた重みを用いて、前記複数の測定手段で測定された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、
前記複数の測定手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の測定手段のうち相対的に感度の低い測定手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、
前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を目標値に近づけるための調整を前記現像装置に施す調整手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記表面に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、
画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段と、
前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面上の特定の位置における画像の濃度が前記互いに異なる位置の画像の濃度の加重平均によって求められるように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、
前記複数の検出手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、
前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段と
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、外周面を前記表面と対向させて設けられた現像ローラの軸方向に沿う搬送路上を一方向に搬送されるトナーによって前記潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記搬送路上の互いに異なる位置に設けられた、前記トナーの濃度を測定する複数の測定手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、
画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記搬送路上の特定の位置におけるトナーの濃度が前記複数の位置のトナーの濃度の加重平均によって求められるように前記複数の位置に対して定められた重みを用いて、前記複数の測定手段で測定された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、
前記複数の測定手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の測定手段のうち相対的に感度の低い測定手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、
前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を目標値に近づけるための調整を前記現像装置に施す調整手段と
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項8】
コンピュータを、
光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、前記表面に書き込まれた潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面の移動方向と交差する方向の互いに異なる位置に設けられた、前記画像を光学的に検出する複数の検出手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、
画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記画像形成手段により前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面に調整用画像を形成し、前記複数の検出手段の出力信号に基づいて前記調整用画像の濃度を算出する濃度算出手段と、
前記感光体と前記像保持体のいずれかの表面上の特定の位置における画像の濃度が前記互いに異なる位置の画像の濃度の加重平均によって求められるように前記互いに異なる位置に対して定められた重みを用いて、前記濃度算出手段で算出された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、
前記複数の検出手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の検出手段のうち相対的に感度の低い検出手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、
前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を前記調整用画像に対応する目標値に近づけるための調整を前記画像形成手段に施す調整手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
光を照射すると表面の電位が変化するローラである感光体と、前記表面を帯電させる帯電装置と、帯電させられた前記表面に画像データに基づく露光により潜像を書き込む露光装置と、外周面を前記表面と対向させて設けられた現像ローラの軸方向に沿う搬送路上を一方向に搬送されるトナーによって前記潜像を現像する現像装置と、現像によって前記表面に形成された画像を、前記感光体の回転に伴って表面が移動させられる像保持体に転写する転写装置とを有する画像形成手段と、前記搬送路上の互いに異なる位置に設けられた、前記トナーの濃度を測定する複数の測定手段とを有する画像形成装置との間で通信を行う通信手段と、
画像の濃度を調整する契機として定められた事象を検知した場合に、前記搬送路上の特定の位置におけるトナーの濃度が前記複数の位置のトナーの濃度の加重平均によって求められるように前記複数の位置に対して定められた重みを用いて、前記複数の測定手段で測定された濃度の加重平均値を算出する加重平均値算出手段と、
前記複数の測定手段の出力値の差が閾値を超えた場合に、前記重みを、前記複数の測定手段のうち相対的に感度の低い測定手段の感度の低さを補うように定められた重みに変更する変更手段と、
前記加重平均値算出手段で算出された加重平均値を目標値に近づけるための調整を前記現像装置に施す調整手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−41162(P2013−41162A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178536(P2011−178536)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】