説明

画像形成装置、印刷制御方法、及びプログラム

【課題】色情報が異なる画像データの集約印刷に際し適切な課金を行うことのできる画像形成装置、課金方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【解決手段】色情報の組み合わせごとに、当該色情報を有する画像データが同一ページに集約された場合の課金量を判定可能な情報を記憶する課金量記憶手段と、色情報が異なる画像データの集約印刷の実行指示に応じ、集約対象とされた各画像データの色情報と前記課金量記憶手段に記憶された情報とに基づいて課金量を判定する判定手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、印刷制御方法、及びプログラムに関し、特に集約印刷を実行可能な画像形成装置、印刷制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リース契約された画像形成装置やコンビニエンスストア等に設置されている画像形成装置においては、その使用状況に応じてユーザに対して課金が行われている。課金額は、コピー又は印刷等において指定される色情報に依存することが多い。例えば、一般的にカラーコピーの方が、モノクロコピーの場合よりも課金額は高い。
【0003】
他方において、近年では、特に複合機と呼ばれる画像形成装置において、スキャンした画像データを機器内の記憶装置に蓄積可能なものが提供されている。斯かる画像形成装置では、ユーザの必要なときに蓄積されている画像データを印刷して利用することができる。
【特許文献1】特開2007−041594号公報
【特許文献2】特開2008−112378号公報
【特許文献3】特許第3911897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓄積されている画像データを集約印刷する場合、各画像データの色情報が異なる場合がある。例えば、集約対象とされた二つの画像データの一方がモノクロ画像であり、他方がカラー画像であるといった場合がある。
【0005】
この場合、適切に課金が行われないと、課金元が正当な対価を得ることができなかったり、利用者は不当な金額を要求されたりするといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、色情報が異なる画像データの集約印刷に際し適切な課金を行うことのできる画像形成装置、課金方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、色情報の組み合わせごとに、当該色情報を有する画像データが同一ページに集約された場合の課金量を判定可能な情報を記憶する課金量記憶手段と、色情報が異なる画像データの集約印刷の実行指示に応じ、集約対象とされた各画像データの色情報と前記課金量記憶手段に記憶された情報とに基づいて課金量を判定する判定手段とを有する。
【0008】
このような画像形成装置では、色情報が異なる画像データの集約印刷に際し適切な課金を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、色情報が異なる画像データの集約印刷に際し適切な課金を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図1では、画像形成装置の具体例として、プリンタ、コピー、スキャナ、又は、ファクス等の複数の機能を一台の筐体において実現する複合機1のハードウェア構成が示されている。
【0011】
複合機1のハードウェアとしては、コントローラ601と、オペレーションパネル602と、ファクシミリコントロールユニット(FCU)603と、スキャナ604と、プロッタ605が存在する。
【0012】
コントローラ601は、CPU611、ASIC612、NB621、SB622、MEM−P631、MEM−C632、HDD(ハードディスクドライブ)633、メモリカードスロット634、NIC(ネットワークインタフェースコントローラ)641、USBデバイス642、IEEE1394デバイス643、セントロニクスデバイス644により構成される。
【0013】
CPU611は、種々の情報処理用のICである。ASIC612は、種々の画像処理用のICである。NB621は、コントローラ601のノースブリッジである。SB622は、コントローラ601のサウスブリッジである。MEM−P631は、複合機1のシステムメモリである。MEM−C632は、複合機1のローカルメモリである。HDD633は、複合機1のストレージである。メモリカードスロット634は、メモリカード235をセットするためのスロットである。NIC641は、MACアドレスによるネットワーク通信用のコントローラである。USBデバイス642は、USB規格の接続端子を提供するためのデバイスである。IEEE1394デバイス643は、IEEE1394規格の接続端子を提供するためのデバイスである。セントロニクスデバイス644は、セントロニクス仕様の接続端子を提供するためのデバイスである。オペレーションパネル602は、オペレータが複合機1に入力を行うためのハードウェア(操作部)であると共に、オペレータが複合機1から出力を得るためのハードウェア(表示部)である。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態の画像形成装置におけるソフトウェア構成例を示す図である。図2に示されるように、複合機1におけるソフトウェアは、アプリケーションメカニズム10、サービスメカニズム20、デバイスメカニズム30、及び運用部40等のレイヤによって構成される。図2におけるレイヤの上下関係は、レイヤ間の呼び出し関係に基づいている。すなわち、基本的に図中において上にあるレイヤが下のレイヤを呼び出す。
【0015】
アプリケーションメカニズム10は、複合機1が提供する機能又は情報(データ)等の資源をユーザに利用させるためのソフトウェア部品(プログラム)群が実装されているレイヤである。この中で、「XXXフィルタ」という名前を有するソフトウェア部品は、「フィルタ」として総称される。各フィルタは、ジョブの一部を実行するソフトウェア部品である。すなわち、各フィルタは、単独では一つのジョブを実行することはできない。複数のフィルタが接続されることにより、一つのジョブを実行するアプリケーションが構築される。
【0016】
画像データの入力を実現するフィルタを特に「入力フィルタ」という。画像データの加工を実現するフィルタを特に「加工フィルタ」という。画像データの出力を実現するフィルタを特に「出力フィルタ」という。なお、各フィルタは独立しており、フィルタ単位で追加(インストール)又は削除(アンインストール)が可能とされている。
【0017】
図2において、アプリケーションメカニズム10には、入力フィルタとして、読取フィルタ111、保管文書読出フィルタ112、メール受信フィルタ113、及びファクス受信フィルタ114等が含まれている。
【0018】
読取フィルタ111は、スキャナ604による画像データの読み取りを制御し、読み取られた画像データを次に接続されたフィルタ(以下、「次のフィルタ」という。)に出力する。保管文書読出フィルタ112は、複合機1の記憶装置に保管されている文書データ(画像データ)を読み出し、読み出されたデータを次のフィルタに出力する。メール受信フィルタ113は、電子メールを受信し、当該電子メールに含まれているデータを次のフィルタに出力する。ファクス受信フィルタ114は、ファクス受信を制御し、受信された印刷データを次のフィルタに出力する。
【0019】
また、加工フィルタとしては、編集フィルタ121及が示されている。編集フィルタ121は、入力されたデータに所定の画像変換処理(集約、拡大、又は、縮小等)を施し、次のフィルタに出力する。
【0020】
また、出力フィルタとしては、印刷フィルタ131、保管文書登録フィルタ132、メール送信フィルタ133、及びファクス送信フィルタ134等が示されている。
【0021】
印刷フィルタ131は、入力されたデータをプロッタに出力(印刷)させる。保管文書登録フィルタ132は、入力されたデータを複合機1内の記憶装置、例えば、HDD633に保存する。メール送信フィルタ133は、入力されたデータを電子メールに添付して送信する。ファクス送信フィルタ134は、入力されたデータをファクス送信する。
【0022】
一方、「XXXアクティビティ」という名前を有するソフトウェア部品は、「アクティビティ」として総称される。アクティビティは、複数のフィルタをどの順番で接続するかを管理し、その順番でフィルタを実行させることによりジョブを実行するソフトウェア部品である。基本的に、一つのアクティビティによって一つのアプリケーションが実現される。なお、アクティビティ間で同一のフィルタを共用することが可能である。
【0023】
図中には、アクティビティの一例として、コピーアクティビティ101、送信アクティビティ102、及びファクスアクティビティ103等が含まれる。例えば、コピーアクティビティ101は、読取フィルタ111又は保管文書読出フィルタ112と、編集フィルタ121と、印刷フィルタ131との組み合わせにより、コピージョブを実行する。入力フィルタとして読取フィルタ111が利用されるときは、一般的なコピージョブが実行される。入力フィルタとして保管文書読出フィルタ112が利用されるときは、蓄積文書印刷ジョブが実行される。蓄積文書印刷ジョブとは、複合機1に蓄積(保存)されている文書データを操作対象とされている複合機1において印刷するジョブをいう。本実施の形態では、コピーアクティビティ101が蓄積文書印刷ジョブを実行するケースについて説明する。
【0024】
サービスメカニズム20は、アクティビティ又はフィルタ等が利用するプリミティブなサービスが実装され、アプリケーションが機種等のハード的な仕様に対して、非依存となるための仕組みを提供するレイヤである。図中において、サービスメカニズム20には、セッション管理部21、リクエスト管理部22、通信部23、UI部24、データ管理部25、スキャナサービス26、及びプロッタサービス27等が含まれている。
【0025】
セッション管理部21は、ユーザの認証状態(ログイン状態)を管理する。例えば、セッション管理部21は、ユーザによって入力される認証情報(ユーザ名及びパスワード等)に基づいてユーザ認証を行い、ログイン中のユーザを認識する。リクエスト管理部22は、ジョブの管理を行う。通信部23は、ネットワーク通信の制御を行う。UI部24は、オペレーションパネル602に表示される操作画面を介して入力されるユーザ要求を解釈し、ユーザ要求に応じたジョブの実行をリクエスト管理部22に要求する。データ管理部25は、スキャンされ、HDD633に保存されている画像データ及び当該画像データの書誌情報等を管理する。スキャナサービス26は、スキャナ604に画像データの読み取りを実行させるための処理を制御すると共に、画像データの読み取りに伴って必要となる処理(例えば、課金カウンタのカウントアップ等)を実行する。プロッタサービス27は、プロッタ605に画像データの出力(印刷)を実行させるための処理を制御すると共に、画像データの印刷に伴って必要となる処理(例えば、課金カウンタのカウントアップ等)を実行する。
【0026】
デバイスメカニズム30は、複合機1が有するデバイス毎に設けられたデバイスを制御するドライバプログラム等を含む。
【0027】
運用部40は、システムの運用管理に関するソフトウェア部品が実装される部分であり、アプリケーションメカニズム10、サービスメカニズム20、及びデバイスメカニズム30より横断的に利用される。図中において、運用部40には、プラグイン管理部41、アクセス制御部42、及び履歴管理部43が含まれている。プラグイン管理部41は、アクティビティ又はフィルタ等、自由に抜き差し(インストール・アンインストール)可能なソフトウェア部品(プラグイン)の情報を管理する。アクセス制御部42は、利用権限情報に基づいて、ユーザごとに各種機能利用の許否(利用権限の有無)を判断する。ここで、利用権限情報とは、ユーザごとに、各種機能に対する利用権限の有無が記録(定義)された情報をいい、例えば、HDD633に記録されている。履歴管理部43は、課金カウンタのカウントアップ等を行う。課金カウンタとは、課金に利用される各種のカウンタの総称である。本実施の形態では、特に、画像データの印刷時にカウントアップされる課金カウンタ(印刷カウンタ)に注目する。なお、印刷カウンタも含め、各課金カウンタは、例えば、HDD633に記録されている。
【0028】
以下、複合機1が蓄積文書印刷ジョブを実行する際の処理手順について説明する。図3は、第一の実施の形態における蓄積文書印刷ジョブ実行時の複合機の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0029】
UI部24がペレーションパネル602に表示させている蓄積文書印刷画面を介して、ユーザによって各フィルタに対する設定情報が設定された後にスタートボタンが押下されると、UI部24は、リクエスト管理部22に対して蓄積文書印刷ジョブの実行を要求する(S101)。
【0030】
蓄積文書印刷画面では、蓄積文書印刷ジョブにおいて利用されるフィルタのごとに設定情報を設定するための設定画面を呼び出すことができる。例えば、保管文書読出フィルタ112に対する設定画面では、HDD633に保存されている画像データ(蓄積文書)の一覧が表示され、当該一覧の中から読み出す画像データが選択される。本実施の形態では、2つの画像データが選択されたこととする。保管文書読出フィルタ112は、選択された画像データの識別子(画像ID)をコピーアクティビティ101に通知する。編集フィルタ121の設定画面では、画像データに対する画像変換処理に関する設定が行われる。本実施の形態では、少なくとも集約印刷の設定が行われたこととする。各フィルタは、自らに設定された設定情報をMEM−P631(以下、単に「メモリ」という。)に保持する。
【0031】
なお、蓄積文書印刷画面は、実行するジョブの種類がユーザによって選択されることにより表示される。蓄積文書印刷ジョブが実行対象として選択されたときに、コピーアクティビティ101が呼び出さる。コピーアクティビティ101は、自らが利用するフィルタ(保管文書読出フィルタ112、編集フィルタ121、及び印刷フィルタ131)の接続関係を構築する。具体的には、各フィルタに対して後ろに接続されるフィルタを通知する。
【0032】
続いて、リクエスト管理部22は、コピーアクティビティ101に対して蓄積文書印刷ジョブ101の実行を要求する(S102)。続いて、コピーアクティビティ101は、ジョブの対象(ここでは、印刷対象)とする画像データごとに当該画像データに関する情報を格納するためのページ属性データを履歴管理部43に生成させる。本実施の形態では二つの画像データが印刷対象として選択されているため、二つのページ属性データが履歴管理部43によって生成され、コピーアクティビティ101に返却される(S103、S104)。
【0033】
続いて、コピーアクティビティ101は、保管文書読出フィルタ112に対し処理の実行を要求する(S105)。このとき、コピーアクティビティ101は、二つのページ属性データを保管文書読出フィルタ112に引き渡す。
【0034】
保管文書読出フィルタ112は、メモリ内に保持されている設定情報に設定されている画像IDに対応する画像データ及び書誌情報をデータ管理部25より取得する。ここでは、二つの画像データ等が取得される(S106、S107)。
【0035】
図4は、画像データの書誌情報の構成例を示す図である。同図に示されるように、書誌情報310は、画像ID、色数、及び使用色等を有する。ここで、色数及び使用色は画像データの色情報に相当する。
【0036】
色数は、使用している色の数であり、Bk、1C、2C、又はFCによって示される。Bkは、白黒を意味する。1Cは、単色を意味する。単色とは、黒以外の1色をいい、当該1色と同時に黒が使用されている場合も含む。2Cは、2色を意味する。2色とは、黒以外の2色をいい、当該2色と同時に黒が使用されている場合も含む。FCは、フルカラーを意味する。フルカラーとは、少なくとも黒以外の3色を使用していることを意味する。
【0037】
使用色は、使用している色である。例えば、ブラック、イエロー、ベージュ、オレンジ、レッド、ライトグリーン、シアン、ピンク、マゼンタ、グリーン、マリンブルー、ブルー、及びパープルの中から使用している色の識別子が記録される。
【0038】
ステップS106及びS107では、図4に示されるような書誌情報310が画像データごとに取得される。保管文書読出フィルタ121は、取得された書誌情報310をそれぞれの画像データに対応するページ属性データに登録する。
【0039】
続いて、保管文書読出フィルタ112は、自らの後段に接続されている編集フィルタ121に対して処理の実行を要求する(S108)。この際、保管文書読出フィルタ112は、二つの画像データと二つのページ属性データとを編集フィルタ121に入力する。
【0040】
編集フィルタ121は、設定情報に基づき、入力された画像データに対して変換処理を行う(S109)。本実施の形態では集約印刷が設定されている。したがって、編集フィルタ121は、二つの画像データを1ページに集約した一つの画像データ(以下、「集約画像データ」という。)を生成する。続いて、編集フィルタ121は、二つのページ属性データのマージ(統合)を履歴管理部43に要求する(S110)。
【0041】
履歴管理部43は、二つのページ属性データ(すなわち、二つの画像データの書誌情報310)を一つのページ属性データに統合する(S111)。ページ属性データの統合に際し、履歴管理部43は、色情報については、HDD633に保存されているカラーマージ定義テーブルを参照して統合を行う。
【0042】
図5は、カラーマージ定義テーブルの例を示す図である。同図において、カラーマージ定義テーブル350は、色数A、色数B、集約後色数、及びカウント先等の項目を有する。
【0043】
色数Aは、集約される一方の画像データの色数である。色数Bは、集約される他方の画像データの色数である。集約後色数は、集約後の色数である。カウント先は、集約された画像データが印刷された場合にカウントアップするカウンタを示す情報である。すなわち、カラーマージ定義テーブル350には、集約される画像データの色数の組み合わせごとに、当該色数に係る画像データが同一ページに集約された場合の集約後の色数とカウント先とが定義されている。例えば、BkとBkとの集約後の色数はBkである。Bkと1Cとの集約後の色数は1Cである。
【0044】
ステップS111において、履歴管理部43は、一方のページ属性データに含まれている色数と、他方のページ属性データに含まれている色数との組み合わせをカラーマージ定義テーブル350に当てはめることにより、集約後色数を判定する。
【0045】
但し、色数を当てはめるだけでは集約後色数が一意に特定できない場合がある。例えば、カラーマージ定義テーブル350において、1Cと1Cとの集約後色数は1C or 2Cとされている。これは、双方の色が同じであれば集約後色数は1Cとなり、双方の色が異なれば2Cとなることを示す。1Cと2Cとの集約後色数が1C or 2Cとされ、2Cと2Cとの集約後色数が2C or FCとされているもの同趣旨である。したがって、この場合、履歴管理部43は、一方のページ属性データに含まれている使用色と他方のページ属性データに含まれている使用色とを参照し、使用色の重複の有無を判定して集約後色数を判定する。なお、集約後色数は、統合ページ属性データに登録される。
【0046】
続いて、履歴管理部43は、統合ページ属性データを編集フィルタ121に返却する(S121)。当該統合ページ属性データは、集約画像データに対するページ属性データとされる。続いて、編集フィルタ121は、自らの後段に接続されている印刷フィルタ131に対して処理の実行を要求する(S122)。この際、編集フィルタ121は、集約画像データと統合ページ属性データとを印刷フィルタ131に入力する。
【0047】
印刷フィルタ131は、プロッタサービス27に対して集約画像データと統合ページ属性データとを入力し、印刷の実行を要求する(S123)。プロッタサービス27は、カレントユーザのユーザ名と統合ページ属性データとを指定して、集約画像データに対する印刷権限がカレントユーザに有るか否かをアクセス制御部42に問い合わせる(S124)。なお、カレントユーザのユーザ名は、セッション管理部21に問い合わせることによって取得される。
【0048】
プロッタサービス27からの問い合わせに応じ、アクセス制御部42は、アクセス制御テーブルを参照し、権限の有無を判定する。
【0049】
図6は、アクセス制御テーブルの例を示す図である。同図において、アクセス制御テーブル400は、少なくともユーザごとに印刷可能色数が定義されている。印刷可能色数は、印刷可能な色数の制限を示し、Bk、1C、2C、又はFCが登録されている。したがって、アクセス制御部42は、統合ページ属性データに含まれている色数(集約後色数)とカレントユーザの使用可能色数とを比較することにより、カレントユーザの印刷権限の有無を判定する。なお、権限の包含関係は、Bk<1C<2C<FCとなっている。例えば、カレントユーザの使用可能色数が2Cの場合、統合ページ属性データの色数が2C、1C、又はBkであれば印刷権限は有ると判定される。
【0050】
続いて、アクセス制御部42は、判定結果をプロッタサービス27に返却する(S125)。判定結果において印刷権限が有ることが示されている場合、プロッタサービス27は、集約画像データの印刷をプロッタ605に実行させる(S126)。印刷に成功すると、プロッタサービス27は、印刷カウンタのカウントアップを履歴管理部43に要求する(S127)。この際、プロッタサービス27は、統合ページ属性データを履歴管理部43に入力する。
【0051】
履歴管理部43は、統合ページ属性データに含まれている色数と、カラーマージ定義テーブル350とに基づいて、カウントアップすべき印刷カウンタ(カウント先)を判定し、当該カウンタをカウントアップする(S128)。
【0052】
図7は、印刷カウンタの構成例を示す図である。同図に示されるように、印刷カウンタは、モノカラーカウンタとフルカラーカウンタとに分類されている。これは、モノカラー印刷とフルカラー印刷との違いによって、課金額が異なるからである。
【0053】
履歴管理部43は、統合ページ属性データに含まれている色数に対応するカウント先がカラーマージ定義テーブル350においてモノカラーである場合は、モノカラーカウンタをカウントアップする。当該色数に対応するカウント先がフルカラーである場合は、フルカラーカウンタをカウントアップする。
【0054】
なお、モノカラー印刷とフルカラー印刷とによってカウンタを分けるのではなく、同一の印刷カウンタのカウントアップ数を変えるようにしてもよい。この場合、カラーマージ定義テーブル350のカウント先の列は、カウントアップ数とすればよい。カウント先及びカウントアップ数は、いずれについても、課金量を判定可能な情報に相当する。
【0055】
図8は、第一の実施の蓄積文書印刷ジョブにおけるページ属性データの流れを示す図である。同図のステップ番号は、図3のステップ番号に対応している。
【0056】
まず、コピーアクティビティ101によって生成された二つのページ属性データは、保管文書読出フィルタ112に入力される(S105)。保管文書読出フィルタ112によって、集約対象とされた画像データの書誌情報310がそれぞれのページ属性データに対して登録された後、各ページ属性データは編集フィルタ121に入力される(S108)。編集フィルタ121は、二つのページ属性データの統合を履歴管理部43に要求する(S110)。履歴管理部43は、二つのページ属性データを統合し、統合ページ属性ページデータを生成する。この際、統合後(集約後)の色数はカラーマージ定義テーブル350に基づいて判定される。統合ページ属性データは編集フィルタ121に返却され(S121)、編集フィルタ121及び印刷フィルタ131を経てプロッタサービス27に入力される(S122、S123)。プロッタサービス27は、統合ページ属性データをアクセス制御部42に入力する(S124)。アクセス制御部42は、統合ページ属性データの色数とカラーマージ定義テーブル350とに基づいて印刷権限の有無を判定する。印刷権限が有る場合、プロッタサービス27は、統合ページ属性データを履歴管理部43に入力する(S127)。履歴管理部43は、統合ページ属性データとカラーマージ定義テーブル350とに基づいて、統合ページ属性データの色数に応じた印刷カウンタ(モノカラーカウンタ又はフルカラーカウンタ)をカウントアップする。
【0057】
ところで、図3では、アクセス制御部42によって印刷権限が無いと判定された場合のプロッタサービス27の処理について説明していない。続いて、この点について説明する。
【0058】
図9は、印刷権限の判定結果に応じたプロッタサービスの第一の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【0059】
印刷権限が有ると判定された場合(S201でYes)、上述したように、集約画像データの印刷を実行する(S202)。したがって、この場合、集約印刷が実行される。
【0060】
印刷権限が無いと判定された場合(S202でNo)、分割印刷を実行する(S203)。本実施の形態において、分割印刷とは、集約対象とされた各画像データを個別に(集約せずに)印刷することをいう。分割印刷において、プロッタサービス27は、画像データごとに印刷権限の有無をアクセス制御部42に問い合わせ、印刷権限の有るものを印刷する。
【0061】
なお、集約印刷の権限が無くとも、個別に印刷すれば全ての画像データを印刷可能な場合がある。例えば、一方の画像データの色数が1Cで他方の画像データの色数が1Cであって、双方の使用色が異なる場合、集約後の色数は2Cとなる。カレントユーザに1Cまでの権限しか無い場合、集約後の2Cについては権限が無いと判定されるが、個別の1Cについては権限は有ると判定される。
【0062】
ところで、分割印刷を行う場合、画像データごとに個別に印刷権限をチェックし、個別に印刷を行う必要がある。したがって、統合ページ属性データ及び集約画像データと共に、集約前の各ページ属性データ及び各画像データも編集フィルタ121から印刷フィルタ131へ入力され、更に、印刷フィルタ131からプロッタサービス27に入力されるようにするとよい。
【0063】
なお、分割印刷の結果は、集約を希望した結果と異なるものである。したがって、分割印刷を行うか否かをオペレーションパネル602を介してユーザに問い合わせるようにしてもよい。
【0064】
続いて、図10は、印刷権限の判定結果に応じたプロッタサービスの第二の処理手順を説明するためのフローチャートである。図10中、図9と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0065】
図10では、印刷権限が無い場合(S201でNo)、権限が無いことをオペレーションパネル602に表示させ(S204)、印刷を中止する。
【0066】
上述したように、第一の実施の形態の複合機1によれば、色数が異なる画像データについて集約印刷が行われる場合であっても、集約後の色数とカラーマージ定義テーブル350とに基づいて適切にカウント先を判定することができる。したがって、色数が異なる画像データの集約印刷に対して合理的な課金を行うことができる。
【0067】
また、集約後の色数とカラーマージ定義テーブル350とに基づいて印刷権限の有無を判定することにより、本来であれば権限の無い色数(カラーモード)に対する印刷が集約印刷の際に許可されてしまうといった不整合の発生を防止することができる。
【0068】
次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態において特に言及しない点については第一の実施の形態と同様でよい。
【0069】
図11は、第二の実施の形態における蓄積文書印刷ジョブ実行時の複合機の処理手順を説明するためのシーケンス図である。図11中、図3と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。
【0070】
図11において、履歴管理部43は、ページ属性データの統合(S111)後に、カレントユーザ名と統合ページ属性データとをアクセス制御部42に入力し、印刷権限の有無を問い合わせる(S112)。アクセス制御部42は、アクセス制御テーブル400を参照し、統合ページ属性データの色数に基づく印刷権限の有無を判定する。続いて、アクセス制御部42は、印刷権限の有無の判定結果を履歴管理部43に返却する(S113)。
【0071】
判定結果において印刷権限が無いことが示されている場合、履歴管理部43は、ステップS121においてカレントユーザに印刷権限が無いことを編集フィルタ121に通知する。編集フィルタ121は、当該通知に応じてジョブを中止させる。
【0072】
図12は、第二の実施の形態の蓄積文書印刷ジョブにおけるページ属性データの流れを示す図である。同図のステップ番号は、図11のステップ番号に対応している。なお、図12中、図8と同一ステップの説明は省略する。
【0073】
図12では、図11のステップS112に対応する矢印が追加されている。すなわち、ステップS112において、履歴管理部43からアクセス制御部42に対して統合ページ属性データが入力される。
【0074】
すなわち、第二の実施の形態は、集約後の色数が判明した時点で権限判断を行ってしまうというものである。そうすることにより、集約後の色数に対してカレントユーザが印刷権限を有していないことを早期に検出することができ、レスポンスを高速化させることができる。
【0075】
なお、図11及び図12において、プリンタサービス27からの権限判断の要求に対応するステップS124は残されたままとなっている。これは、実際には色数以外でも権限の有無の判定は行われる必要があるためである。
【0076】
ところで、上記では、画像データの色情報として色数を用いて説明した。しかし画像データの色情報は色数に限定されない。例えば、使用する色のプレーン(例えば、CMYKのプレーン)に関する情報であってもよい。この場合、画像データの書誌情報は、例えば、以下のように構成される。
【0077】
図13は、画像データの書誌情報の第二の構成例を示す図である。同図の書誌情報310aは、色情報として、プレーン数及び使用プレーンを含む。
【0078】
プレーン数は、CMYKの4プレーンのうち使用しているプレーンの数であり、Bk、1P、2P、及びFCによって示される。Bkは、Kプレーン1つを意味する。1Pは、K以外の1プレーンをいい、当該1プレーンと同時にKが使用されている場合も含む。2Pは、K以外の2プレーンをいい、当該2プレーンと同時にKが使用されている場合も含む。FCは、CMYK全てのプレーンを使用していることを意味する。
【0079】
使用プレーンは、使用しているプレーンである。CMYKのうち、使用しているプレーンを示す識別子(例えば、C、M、Y、K)記録される。
【0080】
この場合、カラーマージ定義テーブル350は、図14に示されるように構成すればよい。図14は、カラーマージ定義テーブルの第二の例を示す図である。同図において、カラーマージ定義テーブル350aは、プレーン数A、プレーン数B、集約後プレーン数、及びカウント先等の項目を有する。
【0081】
プレーン数Aは、集約される一方の画像データのプレーン数である。プレーン数Bは、集約される他方の画像データのプレーン数である。集約後プレーン数は、集約後のプレーン数である。カウント先は、集約された画像データが印刷された場合にカウントアップするカウンタを示す情報である。すなわち、カラーマージ定義テーブル350aでは、集約される画像データのプレーン数の組み合わせごとに集約後のプレーン数とカウント先とが定義されている。
【0082】
なお、書誌情報310a及びカラーマージ定義テーブル350aに対応するアクセス制御テーブルの構成は、図3より自明であるため、その図示は省略する。すなわち、アクセス制御テーブル350の印刷可能色数を印刷可能プレーン数に置き換えればよい。
【0083】
また、この場合の処理手順は、図3又は図11より自明であるため省略する。
【0084】
なお、本実施の形態では、集約される双方の画像データが予めHDD633に保存されているものである例について説明したが、一方は、ジョブの実行時にスキャナ604によって原稿より読み取られたものであってもよい。この場合も、二つの画像データの色情報は必ずしも一致するとは限らない。したがって、本発明を有効に適用することができる。
【0085】
また、本実施の形態では、二つの画像データが集約される例について説明したが、本発明の実施に際し、集約対象の画像データは二つに限られない。例えば、四つの場合は、二つずつの組ごとにカラーマージ定義テーブル350等に基づいて集約後の色情報を判定し、二つの集約後の色情報を更にカラーマージ定義テーブル350に当てはめて集約後の色情報を判定すればよい。集約数が8以上の場合も考え方は同じである。
【0086】
但し、集約数ごとにカラーマージ定義テーブル350を作成してもよい。すなわち、集約数が2の場合、4の場合、8の場合等、それぞれについてカラーマージ定義テーブル350を作成してもよい。
【0087】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の画像形成装置におけるソフトウェア構成例を示す図である。
【図3】第一の実施の形態における蓄積文書印刷ジョブ実行時の複合機の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図4】画像データの書誌情報の構成例を示す図である。
【図5】カラーマージ定義テーブルの例を示す図である。
【図6】アクセス制御テーブルの例を示す図である。
【図7】印刷カウンタの構成例を示す図である。
【図8】第一の実施の形態の蓄積文書印刷ジョブにおけるページ属性データの流れを示す図である。
【図9】印刷権限の判定結果に応じたプロッタサービスの第一の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】印刷権限の判定結果に応じたプロッタサービスの第二の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】第二の実施の形態における蓄積文書印刷ジョブ実行時の複合機の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図12】第二の実施の形態の蓄積文書印刷ジョブにおけるページ属性データの流れを示す図である。
【図13】画像データの書誌情報の第二の構成例を示す図である。
【図14】カラーマージ定義テーブルの第二の例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
1 複合機
10 アプリケーションメカニズム
20 サービスメカニズム
21 セッション管理部
22 リクエスト管理部
23 通信部
24 UI部
25 データ管理部
26 スキャナサービス
27 プロッタサービス
30 デバイスメカニズム
40 運用部
41 プラグイン管理部
42 アクセス制御部
43 履歴管理部
101 コピーアクティビティ
102 送信アクティビティ
103 ファクスアクティビティ
111 読取フィルタ
112 保管文書読出フィルタ
113 メール受信フィルタ
114 ファクス受信フィルタ
121 編集フィルタ
131 印刷フィルタ
132 保管文書登録フィルタ
133 メール送信フィルタ
134 ファクス送信フィルタ
601 コントローラ
602 オペレーションパネル
603 ファクシミリコントロールユニット
604 スキャナ
605 プロッタ
611 CPU
612 ASIC
621 NB
622 SB
631 MEM−P
632 MEM−C
633 HDD
634 メモリカードスロット
235 メモリカード
641 NIC
642 USBデバイス
643 IEEE1394デバイス
644 セントロニクスデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色情報の組み合わせごとに、当該色情報を有する画像データが同一ページに集約された場合の課金量を判定可能な情報を記憶する課金量記憶手段と、
色情報が異なる画像データの集約印刷の実行指示に応じ、集約対象とされた各画像データの色情報と前記課金量記憶手段に記憶された情報とに基づいて課金量を判定する判定手段とを有する画像形成装置。
【請求項2】
前記色情報は、前記画像データが使用する色数である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記色情報は、前記画像データが使用する色のプレーン数である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
色情報の組み合わせごとに、当該色情報を有する画像データが同一ページに集約された場合に使用される色情報を記憶する集約色情報記憶手段と、
ユーザごとに色情報に応じた印刷権限の有無を示す情報を記憶する権限情報記憶手段と、
集約対象とされた画像データの色情報と前記集約色情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて集約後の色情報を判定する集約後色情報判定手段と、
前記集約後の色情報と前記権限情報記憶手段とに基づいて操作者による印刷権限の有無を判定する権限有無判定手段とを有し、
前記権限有無判定手段による判定結果に応じて集約された画像データの印刷を行う請求項1乃至3いずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記権限有無判定手段によって印刷権限が無いと判定されたときに、集約対象とされた画像データを集約せずに印刷する請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置が実行する印刷制御方法であって、
色情報が異なる画像データの集約印刷の実行指示に応じ、色情報の組み合わせごとに、当該色情報を有する画像データが同一ページに集約された場合の課金量を判定可能な情報を記憶する課金量記憶手段と集約対象とされた各画像データの色情報とに基づいて課金量を判定する判定手順を有する印刷制御方法。
【請求項7】
画像形成装置に、
色情報が異なる画像データの集約印刷の実行指示に応じ、色情報の組み合わせごとに、当該色情報を有する画像データが同一ページに集約された場合の課金量を判定可能な情報を記憶する課金量記憶手段と集約対象とされた各画像データの色情報とに基づいて課金量を判定する判定手順を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−167661(P2010−167661A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11922(P2009−11922)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】