説明

画像形成装置、画像形成システムおよび後処理装置

【課題】画質判定の開始をすばやく行うことができるとともに、使用者の要求に沿った画質判定を行うことのできる画像形成装置、画像形成システムおよび後処理装置を提供する。
【解決手段】連続画像形成を行う前処理で、画像形成装置を調整して得られたユーザーが求めた画質となっているサンプル画像を画像検知手段である画像検知センサユニット91で検知して、基準画像データを取得する。基準画像データを取得したら、連続画像形成を行い、連続画像形成時に転写紙に形成された出力画像を画像検知センサユニット91で検知し、検査用画像データを取得する。そして、基準画像データと検査用画像データとを比較して、出力画像の画質判定を行い、良品画像と判定された出力画像が形成された転写紙を、第2排紙トレイ82へ排紙し、不良画像と判定された出力画像が形成された転写紙を、第1排紙トレイ81へ排紙する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システムおよび後処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置では、画像データに基づいて感光体上に潜像を形成し、この潜像を現像手段によりトナー像化し、このトナー像を転写手段で記録媒体に転写し、定着手段で定着することで記録媒体上に画像形成を行う。
この種の画像形成装置においては、転写不良などによって白抜けやスジなどの異常画像が生じることがあった。このような異常画像は、排紙トレイに排紙された記録媒体に形成された画像をユーザーが一枚一枚チェックして確かめていた。このため、大量の枚数を連続でプリントするプロダクションプリンティング分野の画像形成装置においては、このようなチェックに大変な労力が必要になる。このため、出力画像の良・不良を自動的にチェックし、不良画像を選別・除外する機能が画像形成装置に求められている。
【0003】
特許文献1には、画像形成装置の後処理装置として印刷物検査制御装置を設置したものが記載されている。この印刷物検査制御装置は、ネットワークから原稿画像データを取得し、原稿画像データと、画像形成装置により原稿画像データに基づき記録媒体上に形成された画像から読み取った検査画像データとに基づいて、記録媒体上の画像の品質を判定する。そして、判定結果に基づいて、良品印刷物と不良印刷物とを分別して排出する。よって、良品印刷物が排紙される排紙箇所に排紙された印刷物は、良品質な画像が形成されているので、使用者が一枚、一枚目視で画像品質を確認する必要がなくなる。これにより、使用者の負荷軽減、チェックミスなどをなくすことができる。よって、プロダクションプリンティング分野の画像形成装置においては、印刷業者の満足度を向上させることができる。また、出力物に不良画像が混じる可能性が少なくなるため、印刷業者に業務を発注するクライアント側の満足度向上も得ることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−205797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原稿画像データは、パソコンなどに保存されたデータであるのに対して、検査画像データは、印刷物検査制御装置に配置された画像検知手段によって得られたデータであるため、データの形式などが異なる。このため、原稿画像データを検査画像データと比較できる形式に変換処理する必要がある。その結果、数十ページの原稿画像データを印刷する場合などにおいては、このような変換処理にかなりの時間を要してしまう。よって、印刷物検査が開始できるまでに時間を要してしまうという問題があった。
また、プロユース仕様の画像形成装置においては、印刷された印刷物を見て、オペレータが、装置をマニュアルで調整して出力画像を整える場合がある。その結果、オペレータが装置を調整して良品と判断した出力画像と原稿画像データとが一致しなくなる。このため、プロユース仕様の画像形成装置の後段に特許文献1の印刷物検査制御装置を用いた場合、オペレータが良品と判断した出力画像が、不良品と判定されてしまう。よって、使用者が得たい画質を良品として画質判定を行うことができず、使用者の要求に沿った画像判定を行うことのできない。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、画質判定の開始をすばやく行うことができるとともに、使用者の要求に沿った画質判定を行うことのできる画像形成装置、画像形成システムおよび後処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成手段と、記録媒体上の画像を検知する画像検知手段と、前記画像形成手段によって形成された記録媒体上の画像を前記画像検知手段で検知し、検査用画像データを取得し、該検査用画像データに基づいて、前記画像形成手段によって形成された記録媒体上の画像の画質判定を行う画質判定手段とを備えた画像形成装置において、前記画像検知手段で記録媒体上に形成された良品画像を検知して、画質判定の基準となる基準画像データを取得する基準画像データ取得モードを実行する制御手段を備え、前記基準画像データと、前記検査用画像データとに基づいて、前記画像形成手段によって形成された記録媒体上の画像の画質判定を行うよう前記画質判定手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記画像形成手段へ記録媒体を搬送する給紙部を備え、前記良品画像が形成された記録媒体を前記給紙部から供給して、前記画像検知手段で検知するよう構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記良品画像が形成された記録媒体を前記画像検知手段へ供給するための専用の供給部を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、前記画質判定手段で正常画像と判定された画像が記録されている記録媒体が排出される正規記録媒体排出部と、前記画質判定手段で異常画像と判定された画像が記録されている記録媒体が排出される異常記録媒体排出部と、前記画質判定手段の判定結果に基づいて、搬送中の記録媒体を前記正規記録媒体排出部へ排出するか、前記異常記録媒体排出部へ排出するかを切り替える切替手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、前記記録媒体にテストパターンを形成し、前記記録媒体上のテストパターンを検知するテストパターン検知手段で検知し、その検知結果に基づいて画像形成条件を調整する画像形成条件調整手段を備え、前記テストパターンが形成される専用の記録媒体を収容する専用記録媒体収納ユニットを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の画像形成装置において、前記テストパターン検知手段通過後の前記テストパターンが形成された専用の記録媒体を、前記専用記録媒体収納ユニットに収納するよう画像形成条件調整手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、前記テストパターン検知手段を、前記専用記録媒体収納ユニットに配置したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項5乃至7いずれかの画像形成装置において、前記専用記録媒体収納ユニット内の前記専用の記録媒体へのアクセスを禁止するアクセス禁止手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項5乃至7いずれかの画像形成装置において、前記専用記録媒体収納ユニットを通常の記録媒体を収納する給紙ユニットに置き換え可能に構成したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置と、画像形成装置で画像が形成された記録媒体の後処理を行う後処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、記録媒体上の画像を検知する画像検知手段と、前記画像検知手段で記録媒体上に形成された良品画像を検知して、画質判定の基準となる基準画像データを取得する基準画像データ取得モードを実行する制御手段と、前記画像形成装置によって形成された記録媒体上の画像を前記画像検知手段で検知し、検査用画像データを取得し、前記基準画像データと前記検査用画像データとに基づいて、前記画像形成装置によって形成された記録媒体上の画像の画質判定を行う画質判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成システムにおいて、前記後処理装置に前記画像検知手段が設けられており、前記良品画像が形成された記録媒体を前記画像検知手段へ供給するための専用の供給部を前記後処理装置に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成システムにおいて、前記後処理装置に前記基準画像データ取得モードを実行する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項10乃至12いずれかの画像形成システムにおいて、前記後処理装置は、前記画質判定手段で正常画像と判定された画像が記録されている記録媒体が排出される正規記録媒体排出部と、前記画質判定手段で異常画像と判定された画像が記録されている記録媒体が排出される異常記録媒体排出部と、前記画質判定手段の判定結果に基づいて、搬送中の記録媒体を前記正規記録媒体排出部へ排出するか、前記異常記録媒体排出部へ排出するかを切り替える切替手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、画像形成装置で画像が形成された記録媒体の後処理を行う後処理装置において、記録媒体上の画像を検知する画像検知手段と、前記画像検知手段で記録媒体上に形成された良品画像を検知して、画質判定の基準となる基準画像データを取得する基準画像データ取得モードを実行する制御手段と、前記画像形成装置によって形成された記録媒体上の画像を前記画像検知手段で検知し、検査用画像データを取得し、前記基準画像データと前記検査用画像データとに基づいて、前記画像形成装置によって形成された記録媒体上の画像の画質判定を行う画質判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、画像検知手段で記録媒体上に形成された良品画像を検知して、画質判定の基準となる基準画像データを取得することで、基準画像データと検査用画像データとのデータ形式を同じにすることができる。従って、特許文献1に記載のように、基準画像データを検査用画像データと比較できる形式に変換処理する必要がない。その結果、記録媒体上に形成された良品画像を画像検知手段で検知させるだけで、画質判定の準備を完了させることができる。よって、特許文献1に比べて、画質判定が開始できるまでの時間を短縮することができる。
さらに、画像検知手段で記録媒体上に形成された良品画像を検知して、画質判定の基準となる基準画像データを取得するよう構成したので、次の効果も得ることができる。すなわち、使用者が装置を調整して良品と判断した記録媒体に形成された画像を、画像検知手段で検知させれば、使用者が装置を調整して良品と判断した画像を基準画像データとして用いることができる。これにより、使用者が得たい画質を良品として画質判定を行うことが可能となり、使用者の要求に沿った画質判定を行うことができるという効果も得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[実施形態1]
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の感光体が並列に配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という。)の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。
この複写機は、プリンタ部100、給紙部200、スキャナ300などを備えている。また、このスキャナ300の上に固定された原稿自動搬送装置400なども備えている。
【0010】
画像形成手段たるプリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kからなる画像形成ユニット20と、転写手段たる中間転写ユニット17とを備えている。各符号の数字の後に付されたY、M、C、Kは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。
【0011】
画像形成ユニット20の上部には、光書込ユニット21が設けられている。光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。
【0012】
以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18について説明する。
プロセスカートリッジ18Yは、ドラム状の感光体1Y、帯電器2Y、現像装置4Y、ドラムクリーニング装置5Y、除電器6Yなどを有している。
帯電手段たる帯電器2Yによって、感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光Lyが照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。
Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト63に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング装置5Yによって転写残トナーがクリーニングされる。
Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置5Yによってクリーニングされた感光体1Yは、クエンチングランプなどの除電器6Yによって除電される。そして、帯電器2Yによって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M,18C,18Kについても同様である。
【0013】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト63やベルトクリーニング装置90などを有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62K、2次転写ローラ23なども有している。
中間転写ベルト63は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
4つの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62Kは、それぞれ中間転写ベルト63の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト63をその内周面側から感光体1Y,1M,1C,1Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1と一次転写バイアスローラ62との間に一次転写電界が形成される。
Y用の感光体1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト63上に一次転写される。このYトナー像の上には、M、C、K用の感光体1M,1C,1K上に形成されたM、C、Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト63上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0014】
2次転写ローラ23は、ベルトのおもて面に当接して2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ23には、図示しない2次転写電源により、2次転写バイアスが印加される。これに対し、2次転写バックアップローラ16は接地されている。これにより、2次転写バックアップローラ16と2次転写ローラ23との間に2次転写電界が形成されている。中間転写ベルト63のおもて面に形成された4色トナー像は、中間転写ベルト63の無端移動に伴って2次転写ニップに進入する。そして、図示しない記録媒体たる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト63の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0015】
給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な2段の給紙カセット44a、44bが、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44a、44bは、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42a、42bを押し当てている。そして、給紙ローラ42a、42bを回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出される。
【0016】
給紙ユニットたる給紙カセット44a、44bから送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト63上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト63上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、二次転写ニップを出た後、定着装置25に送られる。
【0017】
定着装置25は、定着ローラ26と、この定着ローラ26に向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ローラ26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、転写紙をここに挟み込む。定着ローラ26は、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ローラ26を加熱する。加熱された定着ローラ26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着せしめられる。
【0018】
定着装置25の下方には、スイッチバック部85および反転経路86が配設されている。定着装置25から排出された転写紙は、揺動可能な第1切替爪87による搬送路切替位置までくると、切替爪87の揺動停止位置に応じて、排紙経路89、あるいはスイッチバック部85に向けて送られる。そして、排紙経路89に向けて送られた場合には、複数の排紙ローラ対84によって搬送され、機外へと排出された後に、第1排紙トレイ81または第2排紙トレイ82上にスタックされる。
【0019】
一方、スイッチバック部85に向けて送られた場合には、スイッチバック部85に設けられた反転ローラ対85aが逆回転し、かつ反転切替爪85bが揺動することで、転写紙はスイッチバック部85から反転経路86へ送られる。このようにして、スイッチバック部85によって上下反転せしめられた後、再びレジストローラ対49に向けて搬送される。そして、2次転写ニップに再び進入して、もう片面にもフルカラー画像が形成される。
【0020】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の不図示の原稿台上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、不図示のコンタクトガラス上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300の不図示のコンタクトガラスが露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0021】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないオペレーションパネルに設けられたコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿を不図示のコンタクトガラスまで自動移動させる。
【0022】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18K内の各機器や、中間転写ユニット17、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、スキャナ300によって構築された画像データに基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体1Y,1M,1C,1K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト63上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0023】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて反転給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。
【0024】
本複写機は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト63をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体1Y,1M,1C,1Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト63を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,1M,1Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,1M,1C,1Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1だけでなく、現像器も駆動を停止させて、感光体や現像剤の不要な消耗を防止する。
【0025】
また、本複写機の図中右側方には、手差しトレイ43が配置されており、手差しトレイ43上の転写紙を、レジストローラ対49へ給紙する。
【0026】
本実施形態においては、定着後の転写紙上の画像を検知する画像検知手段たる画像検知センサユニット91が、定着装置25の近傍に設けられている。画像検知センサユニット91としては、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを転写紙幅方向に一直線状に並べたものであり、画像情報を二次元的に検知できるものである。
【0027】
本複写機は、主に印刷業者が使用するプロユースの複写機であり、このような複写機においては、同じ画像の出力物を数十枚〜数百枚、数千枚出力する作業がメインタスクとなる。従来、このタスクの出力物の画像品質を目視チェックする必要があったため、作業者の多大な負担となっていた。このため本複写機では、自動的に画像不良(画像のキズ・抜け、色合い、色ずれ等)をチェックする機能(画質判定手段)を設け、作業者の負担軽減を実現した。
本複写機は、画像検知手段たる画像検知センサユニット91の検知結果に基づいて、定着後における転写紙上の画像の画質を判定する。そして、判定の結果、不良画像と判定された画像が形成されている転写紙は、異常記録媒体排出部たる第1排紙トレイ81へ排出され、正常画像と判定された画像が形成されている転写紙は、正規記録媒体排出部たる第2排紙トレイ82へ排出される。具体的には、画質判定手段で、不良画像と判定した場合は、切替手段たる第2切替爪83を揺動させて、転写紙が第1排紙トレイ81へ排出させる経路へ切り替える。一方、画質判定手段で、正常画像と判定した場合は、第2切替爪83を揺動させて、転写紙が第2排紙トレイ82へ排出させる経路へ切り替える。
【0028】
画像検知センサユニット91から第2切替爪83までの排紙経路89を、大きく蛇行させて、複写機が使用可能な最大用紙サイズの転写紙搬送方向長さよりも長くしている。このように構成することで、画像検知センサユニット91が転写紙の後端まで検知し終わるまでに転写紙の先端が第2切替爪83へ到達してしまうのを防止することができる。すなわち、画像検知センサユニット91が転写紙の後端まで検知して画質を判定して、第2切替爪83を判定結果に基づいて制御してから、転写紙の先端を第2切替爪83へ到達させることができる。これにより、確実に、不良画像が形成された転写紙を第1排紙トレイ81へ排出させることができる。図1では、排紙経路89の蛇行方向を下向きとして描いているが、この構成に拘るものではなく、排紙経路89の距離を機能上必要なだけ取ることができれば、上側に蛇行でも、水平方向に折返し搬送でも、若しくは横方向に長い直線搬送でも構わない。
【0029】
図2は、複写機の制御部を模式的に示した図である。
図に示すように、制御手段たる制御部は、メインコントロールボード101や各種機能を担当するボードから構成されている。メインコントロールボード101には、外部装置たるPC(パーソナルコンピュータ)106とデータ通信を行うための通信手段であるプリンタボード105、画像データに基づいて書込ユニット21を制御する書込ボード104が接続されている。また、メインコントロールボード101には、操作表示手段たるオペレーションパネル102やスキャナ300なども接続されている。また、画像検知センサユニット91や第1切替爪87を駆動する不図示の駆動装置や第2切替爪83を駆動する不図示の駆動装置などは、I/Oボード103を介してメインコントロールボード101に接続されている。
メインコントロールボード101は、演算手段たるCPU(Central Processing Unit)、データ記憶手段たるRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ、各種の処理回路や演算回路などを備えている。
【0030】
PC106やスキャナ300から送信された画像データ(以下、入力画像データという)がどういう経路で書込ボード104へ送信されるかは、電子回路基板の設計で決まるが、通常はメインコントロールボード101を介さない経路となっている。具体的には、PC106から送信された入力画像データは、プリンタボード105で受信して、書込ボード104へ送信される。また、スキャナ300によって構築された入力画像データが書込ボード104へ送信される。これは、入力画像データは重たい情報であり、特にメインコントロールボード101を介する必要がないからである。もちろん、メインコントロールボード101を中継して書込ボード104に入力画像データが送信される構成を取ってもよい。また、図示していない第三のボードを中継して書込ボード104に送信するという構成でもよい。
【0031】
画像検知センサユニット91から入力される転写紙上の画像に対応する画像データは、I/Oボード103を経由してメインコントロールボード101に入力される。若しくは不図示の専用のアナログデータ処理回路基板を介して、メインコントロールボード101に入力される。
【0032】
本実施形態の複写機においては、数百枚、数千枚の連続画像形成を行う前処理として、出力画像のチェックを行う。具体的には、まず、連続画像を行う画像をサンプル画像として、1枚出力する。このサンプル画像をユーザーが、所望の色が出ているか否かを目視でチェックする。このとき、例えば、赤の色味が足りないとユーザーが判断した場合は、オペレーションパネルやPCを操作して、赤の色味が増すよう複写機を調整する。調整後、再び、サンプル画像を出力し、サンプル画像が、ユーザー求めた画質(以下、良品画像という)となったら、このサンプル画像が形成された転写紙を、手差しトレイ43にセットする。手差しトレイ43に良品画像が形成された転写紙をセットしたら、オペレーションパネル102若しくはPC106から基準画像データ取得モードをスタートさせる。メインコントロールボード101がスタート指示信号を受信したら、I/Oボード103を介して、手差し給紙ローラ43aを駆動するための駆動モータなどを制御して、手差しトレイ43a上にセットされた転写紙を搬送する。そして、2次転写ニップ、定着装置25を素通りさせて、画像検知センサユニット91に達したら、転写紙上の良品画像を画像検知センサユニット91で検知する。このようにして検知された画像データ(以下、基準画像データという)は、I/Oボード103を経由してメインコントロールボード101に入力される。メインコントロールボード101に入力された基準画像データは、メインコントロールボード101上のメモリ、若しくはその周辺基板上のメモリに保存される。なお、基準画像データをそのままメモリに記憶してもよいし、後述する画質判定に用いる基準画像データの特徴量(エリア毎の色調値)を抽出してメモリに記憶して、情報量を少なくした上で、メモリに記憶するようにしてもよい。そして、良品画像が形成された転写紙を所定の排出先へ排出する。
以上が、連続画像形成を行う前処理である。
【0033】
このような、前処理が終了したら、画質判定を行いながら、連続画像形成を行う。転写紙上に画像を形成し、画像が形成された転写紙が、画像検知センサユニット91に到達したら、転写紙上に形成された画像(以下、出力画像という)を検知して、検知した画像データ(以下、検査用画像データという)をI/Oボード103を経由してメインコントロールボードに入力する。そして、メインコントロールボード101に入力された検査用画像データと、メモリに記憶された基準画像データとに基づいて、出力画像の画質判定を行う。
【0034】
出力画像の画質判定は、次のようにして行われる。
画質判定は、検査用画像データの特徴量と、メモリに記憶された基準画像データの特徴量とを抽出し、検査用画像データの特徴量と基準画像データの特徴量とを比較演算回路によって比較する。具体的には、基準画像データは、メインコントロールボード101に入力されてくる検査用画像データとタイミングを合わせてメモリ上から読み出され、特徴量抽出のための処理回路を通る。その後、基準画像データは、検査用画像データと比較演算回路によって比較される。なお、基準画像データを記憶する時に特徴量に変換している場合は、読み出した後の特徴量抽出処理は施さない。以上の様な特徴量抽出のための処理や、比較演算はハード回路を用いることを前提に記載している。これは画像データの情報量が大きいため、ソフトで処理するのは時間的に困難だからである。将来的にソフトで処理することが可能となった場合には、ソフトでの処理でも構わない。このように、本実施形態では、メインコントロールボード上のCPU、及びその周辺部のメモリ及び処理回路、比較演算回路で、画質判定手段を構築している。
【0035】
次に、基準画像データおよび検査用画像データの特徴量の抽出について、具体的に説明する。
図3は、特徴量の抽出を模式的に説明する図である。
図に示すように、画像データを複数のエリアに分割し、エリア毎の特徴量を抽出する。本実施形態においては、特徴量としてエリア毎の色調(R,G,B信号)を抽出する。基準画像データおよび検査用画像データのエリア毎の特徴量の抽出は、画像検知センサユニット91で検知した画像データから、エリア毎の色調値(R,G,B信号)を演算することによって抽出される。図3に示すようにエリアを区切った場合は、5×14の特徴量が抽出される。
【0036】
次に、画質判定について説明する。
本実施形態の画質判定は、以下のようにして行っている。
上述のような方法で抽出したエリアの基準画像データの色調値と、検査用画像データの色調値を比較し、大きくずれている場合には、そのエリアにおいて画像異常が発生していると判断している。
一例を挙げて説明すると、色調を表す値として,白をR=G=B=100と表現し、黒をR=G=B=0と表現するとすれば、例えば、あるエリアにおいて基準画像データの色調値がR=100,G=100,B=100のときは、このエリアに対応する出力画像は白紙となるはずである。しかし、このエリアに対応する検査用画像データがR=80,G=20,B=5の様な色調値となり、このエリアに対応する出力画像が赤っぽい画像であったとすると、基準画像に対して出力画像に色合いずれが発生していることがわかり、特定の色で転写不良が起きているのではないかと推測できる。また、このエリアに対応する検査用画像データがR=0,G=0,B=0の様な色調値であると出力画像のこのエリアに対応する箇所に汚れ等の欠陥が生じていると認識できる。
このように、画像をエリア分け(特に微小エリアに分けると効果的)してそのエリアにおける発色具合(色合い)を比較することによって、画像異常が生じているか否かを判断できる。
【0037】
また、図4に示すようにエリアをさらに微小に区分することで、縦スジのような異常画像も検知することが可能となる。
図4に示すような、モノクロの文字画像からなる場合、画像検知センサユニット91が検知した良品画像の文字画像がかかっているエリアの色調値は、例えばR=G=B=50となる。(これは、黒がそのエリアの半分を占めることを示している。すなわち、モノクロ画像の場合は、この色調値は、K色トナー濃度と言い換えることができる。)なお、モノクロ画像であれば、基本的にはR=G=Bとなるはずである。また、文字のかかっていないエリアは転写紙自体の色となり、転写紙の色が白色の場合は、基準画像データはR=G=B=100となる。これに対して、例えば、図4に示す様な縦スジが発生してしまった場合、このスジのかかったエリアにおける検査用画像データは、例えば、基準画像データがR=G=B=50(黒がそのエリアの半分を占める)のエリアに対して、R=G=B=30(黒がそのエリアの70%を占める)の様になる。この差でスジなどの画像不良が生じていることが検出できるのである。もし文字周辺部だけでこの様な現象が生じているとしたら、文字が太ったり潰れたりしている画像品質劣化と判断できる。また、文字がないエリアにある程度の濃度が連続的に検出されたとしたら、スジが発生している等と認識できる。また、黒スジではなく色スジであれば、R、G、Bのバランスが崩れた形で影響が出ることになり、色スジ発生が認識できる。
【0038】
また、基準画像データの色調値がR=G=B=50(黒がそのエリアの半分を占める)のエリアに対して、検出用画像データがR=G=B=100のときは、出力画像のそのエリアに対応する箇所に白抜けが発生していると認識できる。
【0039】
このように、本実施形態においては、基準画像データの特徴量(エリア毎の色調値)と検査用画像データの特徴量(エリア毎の色調値)とを比較して、画質判定することで、出力画像のスジや文字太りや潰れ、抜けなどの画像品質劣化や、色合い異常などを判定することができ、精度の高い異常画像判定を行うことができる。
【0040】
このようにして、転写紙上の画像に関して画質判定した結果、画像欠陥、色合い、濃度、スジ等の異常があると判定された場合、メインコントロールボード101は、I/Oボード103を介して、第2切替爪83を駆動させる図示しない駆動装置を制御して、転写紙が第1排紙トレイ81へ排出させる経路へ切り替える。これにより、異常画像が形成された転写紙は、正常画像が形成された転写紙が排出される第2排紙トレイ82とは別の第1排紙トレイ81へ排出される。よって、使用者が一枚、一枚目視で画像品質を確認する必要がなくなり、使用者の負荷を軽減させることができる。
【0041】
また、本実施形態は、出力画像の画質判定の基準となる基準画像データは、出力画像を検知する画像検知センサユニット91で良品画像を検知して得られたデータである。よって、出力画像を検知したときのデータ(検査用画像データ)と、基準画像データとそのまま比較して、判定することも可能であり、画質判定の際の演算処理を負荷なく、行うことができる。
さらに、出力画像の画質判定の基準となる基準画像データは、前処理でユーザーが求めた画質に調整された良品画像を画像検知センサユニット91が検知したデータである。よって、良品画像と判断される出力画像は、ユーザー得たい画質となっている。その結果、ユーザーの要求に沿った画像判定を行うことができる。
【0042】
次に、第1の実施形態の変形例について説明する。
【0043】
[変形例1]
図5は、変形例1の複写機の概略構成図である。
上記においては、良品画像が形成された転写紙を給紙部である手差しトレイ43から供給して、画像検知センサユニット91で検知するよう構成しているが、この変形例1の複写機は、良品画像が形成された転写紙を画像検知センサユニット91へ供給するための専用の供給部である良品画像供給トレイ111を設けたものである。
良品画像供給トレイ111は、第2排紙トレイ82の上部に設けられている。また、画像検知センサユニット91は、定着装置25を通過した転写紙が通る経路と、良品画像供給トレイ111から給紙された転写紙が通る経路との合流点よりも転写紙搬送方向下流側に設けられている。
良品画像供給トレイ111にセットされた良品画像が形成された転写紙が、2次転写ニップや定着装置を通ることなく画像検知センサユニット91に到達するよう構成されている。これにより、2次転写部でのトナー汚れや定着装置25での熱の影響により良品画像を劣化させる恐れがなくなり、基準画像データとしての信頼性を維持することができる。また、手差しトレイ43から良品画像が形成された転写紙を給紙する場合は、通常の画像形成動作と区別するため、画像形成動作を禁止させる制御など、特別な制御が必要となる。しかし、専用の給紙トレイを設けて、良品画像が形成された転写紙が2次転写ニップや定着装置25を通らないよう構成することで、基準画像データ取得モード実行時に、画像形成動作を禁止させる制御などを行わなくてもよくなる。
【0044】
また、手差しトレイ43から良品画像が形成された転写紙を給紙する場合は、通常の画像形成動作を行うのか、基準画像データ取得モードを行うのかをユーザーが操作で、指定する必要がある。しかし、良品画像供給トレイ111を設けることで、良品画像供給トレイ111に転写紙がセットされたときは、基準画像データ取得モードの実行しかあり得ないので、自動で基準画像データ取得モードを実行させることも可能となる。これにより、作業の手間や、手順間違えなどを抑制することができる。
【0045】
なお、画像形成装置の構成上、排紙トレイ側に良品画像供給トレイ111を設置できない場合は,手差しトレイ側に設けてもよい。この場合は、良品画像供給トレイ111にセットされた良品画像が形成された転写紙が、2次転写ニップや定着装置43を通ることなく画像検知センサユニット91に到達する構成がとれなくなる。しかし、良品画像供給トレイ111を設けることで、自動で基準画像データ取得モード実行させることが可能となる。
【0046】
[変形例2]
図6は、変形例2の複写機の概略構成図である。
この変形例2の複写機は、転写紙上のテストパターンを検知するテストパターン検知手段であるテストパターン検知センサユニット92が、画像検知センサユニット91の近傍に設けられている。また、反転経路86とスイッチバック部85との間にテストパターンのみが形成される専用の転写紙(以下、テスト用転写紙)が収納された専用記録媒体収納ユニットであるテスト用転写紙収納ユニット115が配設されている。
【0047】
この変形例2の複写機は、定期的に又は任意のタイミングでテストパターンを出力し、このテストパターンをテストパターン検知センサユニット92で検知し、その検知結果に基づいて定着温度、現像バイアス、帯電バイアスなどの画像形成条件を調整する画質調整モードを実行する。
例えば、メインスイッチをONにした直後や、一定動作時間間隔又は一定プリント枚数間隔で自動実行するとよい。
【0048】
画実調整モードが実行されると、テスト用転写紙収納ユニット115からテスト用転写紙を一枚給紙路へ搬送し、テスト用転写紙に所定のテストパターンを形成する。テストパターンが形成されたテスト用転写紙は、定着装置25を通過後、テストパターン検知センサユニット92に到達する。そして、テストパターン検知センサユニット92でテスト用転写紙に形成されたテストパターンを検知し、その検知結果に基づいて、定着温度、現像バイアス、帯電バイアスなどの画像形成条件が調整される。
【0049】
図7は、テストパターン検知センサユニット92の概略斜視図である。
図に示すように、テストパターン検知センサユニット92は、センサ基板92aに転写紙幅方向に等間隔で3箇所光センサ92bが取り付けられている。また、検知位置での転写紙の姿勢を安定させるために光センサ92bの対向位置に対向ローラ93が配置されている。また、搬送される転写紙の検知位置における姿勢を安定させることのできる機構であれば、対向ローラ以外の構成でも構わない。例えば、転写紙を搬送ベルト上に吸着して搬送する機構や、搬送されていく転写紙の裏側にガイド部材があって、かつセンサの上下流でローラが転写紙を抑えるという様な構成でも構わない。
【0050】
光センサ92bとして、反射型光センサを用いているが、場合によっては透過型光センサであっても構わない。反射型光センサを用いる場合、テストパターンから測定する画像特性の種類によって、センサ内の光学素子の配置が変わってくる。例えば、テストパターンから画像濃度や色味を検知する場合、市販の測色計等で用いられている『45deg投光、0deg受光』という様に配置し、拡散反射光を検知するよう構成する。また、テストパターンから画像の光沢度を検知する場合、『60deg投光、60deg受光』という様に配置し正反射光を検知する構成する。なお、光センサ内の光学素子の配置は、これらに限られるものではない。
また、図7においては光センサ92bを3個設けているが、転写紙上に形成するテストパターンの構成によって、個数はいくつでも良い。また、この図に示すような単眼の光センサ92bを複数個用いるという構成ではなく、CIS(Contact Image Sensor)の様なラインセンサを用いる構成としてもよい。また、画像検知センサユニット91をテストパターン検知センサユニット92と兼用させてもよい。
【0051】
また、先の図6では、転写紙上のテストパターンを検知するためのテストパターン検知センサユニット92を、定着装置25の直後に配置しているが、反転経路86にテストパターン検知センサユニット92を配置してもよい。また、定着後のテストパターンを検知するのが好ましい。これは、定着後のテストパターンを検知することで、最終的にユーザーの目にする定着後の転写紙上の画像特性を検知することができるからである。これにより、画像形成の途中段階の未定着状態のテストパターンから得られる画像特性(トナー付着量など)を検知して、画質調整を行うものに比べて、精度の高い画質調整を行うことができる。
【0052】
なお、反転経路86にテストパターン検知センサユニット92を配置すると、テストパターン検知センサユニット92でテストパターンを検知後、テストパターンが形成された転写紙を再度、2次転写部や定着装置25を通過させる必要が生じるというデメリットがある。しかし、反転経路周辺は定着装置25の直後よりはスペースがあり、テストパターン検知センサユニット92を設置しやすいというメリットもある。なお、テストパターン検知センサユニット92は、これらに限らず、テストパターン形成後の転写紙を検知できる位置であれば何処でも良い。
【0053】
テスト用転写紙収納ユニット115に収納されるテスト用転写紙は、装置の定期メンテナンスときにサービスマンによって補給される。また、補給するテスト用転写紙の種類を一種類に決めておけば、テストパターン形成時のバックグランドの状態が変化しないので、精度の高い画質調整を行うことができる。
【0054】
変形例2の複写機においては、画実調整モードに用いるテスト用転写紙を収納する専用の収納ユニットを設け、その中の転写紙を定期的にメンテナンスに訪れるサービスマンが補給するようにしている。よって、画質調整モード実行時におけるテストパターンの形成にユーザーの所有物である転写紙の使用が回避される。これにより、ユーザーの不満を取り除くことができる。
【0055】
また、図8に示すように、テストパターンが形成されたテスト用転写紙をテスト用転写紙収納ユニット115へ戻して、再利用するようにしてもよい。図に示すようにスイッチバック部85には、テスト用切替爪85cが設けられており、第1切替爪87によって、スイッチバック部85へ向かう経路へ搬送されたテスト用転写紙は、テスト用切替爪85cによって、テスト用転写紙収納ユニット115へ搬送される。これにより、テストパターンが形成されたテスト用転写紙をテスト用転写紙収納ユニット115へ戻すことができる。
【0056】
また、図8に示すように、テストパターン検知センサユニット92を、テスト用転写紙収納ユニット115に設けてもよい。この場合は、テストパターン検知センサユニット92を、テスト用転写紙が搬入する搬入部近傍(テスト用転写紙収納ユニット115の図中左側端部)に設ける。
また、テスト用転写紙収納ユニット内には複数枚のテスト用転写紙が収納されているが、テストパターン検知センサユニット92が配置された箇所には、テスト用転写紙が被さらよう構成し、テスト用転写紙収納ユニット内のテスト用転写紙が検知の妨げとならにようにしている。この様に、テスト用転写紙収納ユニット内にテストパターン検知センサユニット92を設置しておけば、画質調整モードを実行できる複写機にするためには、このテスト用転写紙収納ユニットのみを複写機に追加すれば良い。よって、細かい部品を単品で追加設置する必要がなくなる。その結果、オプションユニットとして取り扱いやすくなり、ユーザーがオプションユニットとして選択した際に、発生する追加作業の負荷を減らすことができる。
【0057】
この図8に示す複写機においては、次のような制御を行うことで、テスト用転写紙の再利用を行っている。
まず、テストパターンが形成されてないテスト用転写紙にテストパターンを形成し、画質調整モードを実行した後、制御部でカウント値を1にする。次の画質調整モードが実行されたとき、カウント値を参照し、カウント値が1の場合は、テスト用転写紙の用紙搬送方向下流側の余白部にテストパターンが形成されるよう制御する。そして、画質調整モード実行後、カウント値を一つインクリメントする。このようにして、画質調整モードを実行し、カウント値が所定値を越え、テスト用転写紙のおもて面にテストパターンが形成できる余白が無くなったときは、転写紙収納ユニット115からテスト用転写紙を図中左側から搬送し、反転経路86を通して、テスト用転写紙を反転させて、テスト用転写紙の裏面にテストパターンを形成するよう制御する。その後は、テスト用転写紙収納ユニット115からテスト用転写紙を図中右側から搬送し、テスト用転写紙の裏面の余白部にテストパターンを形成する。そして、カウント値が所定値を越え、この画質調整モード実行後、テスト用転写紙の裏面にテストパターンが形成できる余白が無くなった場合は、カウント値をリセットし、画質調整モード後、テスト用転写紙を排紙トレイへ排紙する。このとき、テスト用転写紙を不良画像が形成された転写紙が非出される第1排紙トレイ81へ排出することで、良品画像が形成された転写紙からテストパターンの描かれた転写紙を探す手間などを省くことができる。また、テストパターンの形成をもう行うことのできないテスト用転写紙を収納するテスト用転写紙廃棄ユニットを装置内に備えてもよい。定期的にメンテナンスに訪れるサービスマンがテスト用転写紙を補給するときに、テスト用転写紙廃棄ユニットに廃棄されたテスト用転写紙を回収する。これにより、テストパターンの形成をもう行うことのできないテスト用転写紙をユーザーが廃棄する手間も削減でき、好ましい。また、テストパターンの形成をもう行うことのできないテスト用転写紙をテスト用転写紙収納ユニット115に回収するようにしてもよい。この場合は、画質調整モードに用いることのできるテスト用転写紙を積載する底板を昇降可能に構成する。再利用可能なテスト用転写紙をテスト用転写紙収納ユニット115へ戻すときは、底板を下降させて、底板上に積載されたテスト用転写紙上に戻す。一方、テストパターンの形成をもう行うことのできないテスト用転写紙を転写紙収納ユニット115へ戻すときは、底板を上昇させて、底板の下に回収する。
【0058】
また、この複写機においては、ジャム処理を容易に行うことができるよう、2次転写ローラ23、定着装置25、スイッチバック部85、反転経路86を搬送ユニットとしてユニット化して、装置本体に対して引き出し可能に構成している。この搬送ユニットは、不図示の前扉を開けた後に不図示レバーを動かすことにより、引き出すことができる。このように、二次転写ローラ23と定着装置25共に、スイッチバック部85、反転経路86も引き出せる様にすることで、ジャム紙を取り除く際に作業しやすくなるので好ましい。この様な構成においては、スイッチバック部85と反転経路86との間に配置したテスト用転写紙収納ユニット115を搬送ユニットに設けた方が、装置構成が複雑とならず、好ましい。しかし、テスト用転写紙収納ユニット115を装置本体に対して引き出し可能に構成すると、例えば、テスト用転写紙収納ユニット115が給紙カセット44a、44bと同じような構成で、上部が開放したような構成の場合、テスト用転写紙が装置外部へ露出してテスト用転写紙収納ユニット内のテスト用転写紙にアクセスされてしまうおそれがある。ユーザーがテスト用転写紙収納ユニット内にアクセスして、転写紙を取り替えるなどしてしまうと、テストに用いる転写紙の種類が変わってしまい、精度の高い画質調整を行うことができなくなってしまうおそれがある。
このため、テスト用転写紙収納ユニット115の上部開放部を蓋部材などで覆い、蓋部材をネジによってテスト用転写紙収納ユニット115に固定する。これにより、一般ユーザーが容易にテスト用転写紙収納ユニット内部にアクセスすることができない。さらに、ネジの位置を分かりづらくしておけば、ユーザーは余程必要性に迫られない限り、ネジを探り当てて蓋部材を外して、テスト用転写紙収納ユニット内のテスト用転写紙にアクセスすることはない。もし絶対にユーザーに触れさせたくない場合には、警告文を複写機や搬送ユニット、上記蓋部材などに貼っておくか、特殊ネジを使って蓋部材をテスト用転写紙収納ユニット115に締結し特殊工具でないとネジが外れない様にすればよい。
【0059】
また、ジャム紙を取り除く際の作業性を考えると、テスト用転写紙収納ユニット115が簡単に取り外せる構成とした方が良い場合も考えられる。その場合は、搬送ユニットからのテスト用転写紙収納ユニット115の脱着をレバーのみで簡単に行なえるようにする。
【0060】
また、搬送ユニットの構成で、テスト用転写紙収納ユニットを覆い、テスト用転写紙収納ユニット115内のテスト用転写紙にアクセスできないようにしてもよい。この場合は、テスト用転写紙収納ユニット115を搬送ユニットにネジ止めしているが、そのネジの位置を分かりづらくしたり、特殊ネジを使って転写紙収納ユニット115を搬送ユニットにネジ止めしたりして、テスト用転写紙収納ユニット115を搬送ユニットから取り外されにくくしてもよい。
【0061】
この様に、蓋部材で覆ってネジ止めや警告文貼付などのアクセス禁止手段でテスト用転写紙収納ユニット内部へのアクセスを回避することにより、テスト用転写紙収納ユニット内のテスト用転写紙収容状態をきちんと管理できるようになる。これにより、一枚の転写紙の繰り返し使用を含めテスト用転写紙紙の管理にエラーが生じづらくなり、かつ、テスト用転写紙の種類を確実に固定化できるため、安定した画質調整モードを実行することができる。
【0062】
また、図9に示すように、通常の給紙カセット44aからテスト用転写紙収納ユニット115に置き換えることができるよう、装置を構成してもよい。
図9に示すように、この複写機は、テスト用転写紙収納ユニット115を通常の給紙カセット44aと外観上ほぼ同じ構成としている。テスト用転写紙収納ユニット115は、給紙カセット44aを引き出し自在に支持するためのスライドレールに支持される。また、複写機は、排紙路に、2段ある給紙カセット収容部のうち、上段の給紙カセット収容部と繋がるテスト用搬送路を設けている。また、転写紙が搬送される経路をテスト用搬送路と排紙路89とに切り替える切替爪116を有している。なお、テスト用転写紙を再利用せずに、そのまま、排紙トレイへ排出する場合は、テスト用搬送路と切替爪は、不要である。また、図9では、定着装置の近傍に、テストパターン検知センサユニット92を配置しているが、先の図8のように、テスト用転写紙収納ユニット115にテストパターン検知センサユニット92を配置してもよい。
【0063】
複写機には、給紙カセット内の転写紙を給紙するためにピックアップローラが設置されているが、テスト用転写紙収納ユニット115は、上述したようにテスト用転写紙収納ユニット内のテスト用転写紙にユーザーが容易にアクセスできない構成とする必要がある。このため、テスト用転写紙収納ユニット115を、蓋部材で覆ってテスト用転写紙収納ユニット115を閉空間にしている。このため、ピックアップローラを、テスト用転写紙収納ユニット内のテスト用転写紙の搬送に用いることができない。このため、テスト用転写紙収納ユニット内に、給紙機構を設ける必要がある。もちろん、このピックアップローラ42aを利用できるように、テスト用転写紙収納ユニット115に穴を空けておき,ピックアップローラ42aがテスト用転写紙に当たるように構成しても良い。
【0064】
通常、複写機に設置されている給紙カセットは、普通紙が500枚程度積載可能とした構成が多い。このため少量の枚数を収容できればよいテスト用転写紙収納ユニット115においては、給紙カセット同様な構成にすると、テスト用転写紙収納ユニット115の収容枚数としては、かなり多すぎることになる。しかし、テスト用転写紙収納ユニット内に一度使った転写紙を収容して、この転写紙を再び給紙することを考慮すると、テスト用転写紙収納ユニット内に少し空間的な余裕があった方がよい。これは、ユニット内部のスペースが狭すぎると、ユニット内部に転写紙を搬入する際にジャムが生じる可能性が高くなる。また、上述したように、ユニット内部に給紙機構を設けるとなると、厚み方向のスペースが必要だからある。
【0065】
この様に、テスト用転写紙収納ユニット115を給紙カセット44aと置き換え可能にした場合、給紙段が一段潰れてしまうというデメリットはあるが、複写機内部にスペースの余裕がなく、テスト用転写紙収納ユニット115が設置できない場合には有効な手段である。この構成により、画像品質の安定性をより重視するユーザーには,給紙カセット一段分をつぶして、画像品質安定化ユニット(記録媒体収納ユニットのこと)と称してオプションとして提供することができる。
【0066】
[実施形態2]
次に、実施形態2について説明する。
図10は、画像形成システムの概略構成図である。
図に示すようにこの画像形成システムは、複写機と、後処理装置110とで構成されている。後処理装置110には、画像検知センサユニット91、良品画像が形成された転写紙を給紙するための良品画像供給トレイ111、画像が形成された転写紙を排出するための第1排紙トレイ81、第2排紙トレイ82などを備えている。
【0067】
まず、本画像形成システムも、実施形態1と同様、数百枚、数千枚の連続画像形成を行う前処理として、出力画像のチェックを行う。まず、連続画像を行う画像をサンプル画像として出力し、このサンプル画像が所望の画質となるように複写機を調整する。そして、所望の画質となったサンプル画像(良品画像)が形成された転写紙を、良品画像供給トレイ111にセットする。良品画像が形成された転写紙を、良品画像供給トレイ111にセットしたら、後処理装置110に設けられた不図示の操作パネルを操作して、基準画像データ取得モードをスタートさせる。基準画像データ取得モードがスタートすると、後処理装置110で良品画像供給トレイ111にセットされた良品画像が形成された転写紙を画像検知センサユニット91へ搬送する。そして、画像検知センサユニット91で良品画像を検出して、画質判定の基準として用いる基準画像データを取得する。
本画像形成システムにおいては、後処理装置110のみで、画質判定のための下準備を行えることができ、複写機に余計な制御モードを有さなくて済む。
【0068】
上記した前処理が終了したら、画質判定を行いながら、数百枚、数千枚の連続画像形成を行う。複写機で画像が形成され、複写機から排出された転写紙は、後処理装置110へ搬入される。後処理装置110へ搬入された転写紙は、画像検知センサユニット91で画像が検知される。そして、基準画像データと比較して、異常画像と判定された場合は、第2切替爪83が揺動して、転写紙を第1排紙トレイ81へ排出する。
【0069】
この画像品質判定動作は、複写機の制御部で行ってもよいし、後処理装置110で行ってもよい。複写機の制御部で判定を行う場合は、基準画像データ取得モードを実行して取得した基準画像データを後処理装置110から複写機へ送り、複写機は、後処理装置110から送信された基準画像データをメモリに保存する。そして、連続画像形成時における画質判定は、後処理装置110で出力画像を検知して得られた検査用画像データを複写機に送信し、複写機でメモリに保存した基準画像データと、検査用画像データとを比較して、出力画像の画質判定を行う。出力画像が良品である場合は、複写機から後処理装置110へ、転写紙を第2排紙トレイ82へ搬送するよう制御信号を送信する。出力画像が不良品である場合は、複写機から後処理装置110へ、転写紙を第1排紙トレイ81へ搬送するよう制御信号を送信する。
【0070】
また、後処理装置110で画像品質判定動作を行う場合は、後処理装置110に画質判定手段(CPU、基準画像データ保存するメモリ、処理回路、比較演算回路)を設ける。基準画像データ取得モードを実行して取得した基準画像データを後処理装置110が備えるメモリに保存する。後処理装置110が備える処理回路で、後処理装置で出力画像を検知して得られた検査用画像データの特徴量および基準画像データの特徴量を抽出し、後処理装置110が備える比較演算回路で、抽出した特徴量を比較して、画質判定を行う。
【0071】
このように、後処理装置110に画質判定手段を設けることで、画像品質判定動作を後処理装置110単独で実施できる。これにより、画像形成装置本体側に画像品質判定の為の動作モードを準備する必要がなくなる。また、基準画像読込動作モードを後処理装置110単独で実施可能としておくことにより、画像品質判定の為の準備及び実動作を全て後処理装置側で行うことができる。この様な構成にしておくことにより、例えば、画像品質判定動作に対応していない旧型の複写機やプリンタでも、この後処理装置110を接続することが出来さえすれば、後処理装置単独の機能によって画像品質判定動作が可能となる。また、旧型の複写機やプリンタなどの画像形成装置に限らず、画像品質判定に関する動作モードを一切装備していない画像形成装置においても、この後処理装置110を接続することにより画像品質判定動作を行うことができる。つまり、どんな画像形成装置にも画像品質判定動作を簡単に追加することができるようになり、ユーザーにとって大きな利点となる。
【0072】
また、図10に示す後処理装置110には、通常の後処理装置110が有しているソート、ステープル、製本等を行うための構成が記載されていないが、これらの構成要素も当然、後処理装置110内に含まれていて構わない。
【0073】
なお、上述の画像形成装置は、4連タンデム型中間転写方式のフルカラー機であるが、4連タンデム型直接転写方式や1ドラム型中間転写方式等のフルカラー機でもよい。また、1ドラム型直接転写方式等のモノクロ機でもよい。また、上記では、電子写真式画像形成装置について説明したが、インクジェット方式の画像形成装置でもよい。また、上記の画像形成装置では、転写紙にトナー像を静電転写しているが、転写紙にトナー像に熱転写してもよい。
【0074】
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、転写紙上に形成された良品画像を画像検知センサユニットで検知して取得した基準画像データと、連続画像形成時に画像検知センサユニットで転写紙上の出力画像を検知して取得した検査用画像データとに基づいて画質判定を行う。これにより、基準画像データの形式を検査用画像データの形式と同じにでき、基準画像データを検査用画像データと比較できる形式に変換処理する必要がない。よって、画質判定が開始できるまでの時間を短縮することができる。
さらに、使用者が装置を調整して良品と判断した記録媒体に形成された画像を、画像検知センサユニットで検知して画質判定の基準となる基準画像データとして用いることができる。これにより、使用者が得たい画質を良品として画質判定を行うことが可能となり、使用者の要求に沿った画質判定を行うことができるという効果も得ることができる。
【0075】
また、良品画像が形成された転写紙を給紙部たる手差しトレイから供給して、画像検知センサユニットで検知するよう構成している。これにより、良品画像が形成された転写紙を画像検知センサユニットへ供給するための専用の供給部を設けずとも、良品画像を画像検知センサユニットで検知することができる。よって、基準画像データ取得モードを実行するためのプログラムなどのソフトをインストールするのみで基準画像データ取得モードや画質判定動作を行うことができる。
【0076】
また、変形例1のように良品画像が形成された転写紙を画像検知センサユニットへ供給するための専用の供給部たる良品画像供給トレイを設けてもよい。手差しトレイ43から良品画像が形成された転写紙を給紙する場合は、通常の画像形成動作を行うのか、基準画像データ取得モードを行うのかをユーザーが操作で、指定する必要がある。しかし、良品画像供給トレイ111を設けることで、良品画像供給トレイ111に転写紙がセットされたときは、基準画像データ取得モードの実行しかあり得ないので、自動で基準画像データ取得モード実行させることも可能となる。これにより、作業の手間や、手順間違えなどを抑制することができる。
また、良品画像供給トレイ111を排紙側に設ければ、良品画像を形成された転写紙を2次転写部や定着装置を通過させずに、画像検知センサユニットに到達させることが可能となる。これにより、2次転写部における汚れや定着装置の熱などによって良品画像の劣化を抑制することができる。
【0077】
また、正常画像と判定された画像が形成されている転写紙が排出される正規記録媒体排出部たる第2排紙トレイと、異常画像と判定された画像が形成されている転写紙が排出される異常記録媒体排出部たる第1排紙トレイと、画質判定手段の判定結果に基づいて、搬送中の転写紙を第1排紙トレイへ排出するか、第2排紙トレイへ排出するかを切り替える切替手段たる第2切替爪とを備えている。これにより、異常画像と判定された転写紙を、正常画像の転写紙と区別して排出することができる。その結果、出力物をユーザーが目視で検品し、不良画像を取り除く作業を行う手間を省くことができる。これにより、ユーザーの負荷を低減させることができ、ユーザーの満足度向上も得られる。また、異常画像が形成された転写紙を正常画像が形成された転写紙とを別の排紙トレイに排出することにより、ユーザーが確実に異常画像の転写紙を識別することができる。
【0078】
また、変形例2では、画像形成条件調整手段たる画質調整モード実行時にテストパターンが形成されるテスト用転写紙を収納する専用記録媒体収納ユニットたるテスト用転写紙収納ユニットを設けている。そして、このユニット内へのテスト用転写紙の供給をサービスマンが行うことにより、ユーザーの所有物である通常給紙カセット内の転写紙をテストパターン形成用に使用する必要がなくなる。このため、画質調整モード時に無駄に転写紙が消費されることに起因するユーザーの不満を解消することができる.
【0079】
また、テストパターン検知手段たるテストパターン検知センサユニット通過後のテストパターンが形成されたテスト用転写紙を、テスト用転写紙収納ユニットに収納するよう構成してもよい。このように構成することで、一度使用したテスト用転写紙の未使用領域を次の画質調整モードで再利用することが可能となる。その結果、テスト用転写紙の消費を抑制することができ、資源の節約に繋がる。また、テストパターンが形成されたテスト用転写紙を排紙トレイへ排紙せずに、テスト用転写紙収納ユニットに戻すことで、テストパターンが形成された転写紙を廃棄するという手間をユーザーに負わせることがなくなり、ユーザーの不満項目を削減することができる。
【0080】
また、テストパターン検知センサユニットをテスト用転写紙収納ユニットに配置することで、画質調整モードを実行するためのハード構成をひとつのユニット内にまとめることができる。これにより、オプションユニットとして独立に設置することが可能となる。その結果、経時的により安定した画像を望まれるお客様へのオプションユニットとして、提供することができる。
【0081】
また、テスト用転写紙収納ユニット内のテスト用転写紙へのアクセスを禁止するアクセス禁止手段(蓋部材によるネジ止め、警告文など)を設けることで、ユーザーのテスト用転写紙収納ユニット内のテスト用転写紙へのアクセスを抑制することができる。これにより、テスト用転写紙収納ユニット内に収納されているテスト用転写紙を取り替えるなどの行為をユーザーが実行するのを抑制することができる。これにより、所定の種類のテスト用転写紙で、画質調整モードを実行でき、良好な画質調整を行うことができる。また、同一のテスト用転写紙を繰り返し使用している際に、テストパターン形成履歴が分からなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0082】
また、テスト用転写紙収納ユニットを、通常の給紙カセットと同じサイズにして置き換え可能とすることにより、画像品質安定のためのオプションユニットとして提供することができる。その結果、経時的により安定した画像品質を望まれるユーザーには、このオプションユニットを給紙カセット一段分の代わりに設置してもらい、画質調整モードが実行可能ないする。また,画像品質としては通常品質で構わないユーザーに対しては、給紙カセットを装着し、画質調整モードができない仕様とする。この様にユーザーの要望を反映する構成が可能となり、性能・コストの両面でユーザーの満足度を高めることができる。
【0083】
また、後処理装置に画像検知センサユニットと、良品画像供給トレイとを備えることで、後処理装置で、基準画像データ取得モードを実行することができる。これにより、基準画像データ取得に関して、画像形成装置本体側を介する必要がなくなる。つまり、画像形成装置本体側に基準画像データ取得モードのための付加的な機能を設ける必要がない。
【0084】
さらに、後処理装置に画像品質判定手段を備えることで、画像形成装置本体側のコストを上げることなく、後処理装置を設置するのみで画像品質判定機能を付加することができる。これにより、画像形成装置本体を介在せずに画像品質判定ができるため、幅広い画像形成装置への対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施形態1に係る複写機の概略構成図。
【図2】複写機の制御部を模式的に示した図。
【図3】特徴量の抽出を模式的に説明する図。
【図4】特徴量を抽出するためのエリアをさらに微小化した場合における特徴量の抽出を模式的に説明する図。
【図5】変形例1に係る複写機の概略構成図。
【図6】変形例2に係る複写機の一例を示す概略構成図。
【図7】テストパターン検知センサユニットの概略斜視図。
【図8】変形例2に係る複写機の他の例を示す概略構成図。
【図9】変形例2に係る複写機の別の他の例を示す概略構成図。
【図10】実施形態2に係る画像形成システムの概略構成図。
【符号の説明】
【0086】
17:中間転写ユニット
20:画像形成ユニット
43:手差しトレイ
81:第1排紙トレイ
82:第2排紙トレイ
83:第2切替爪
87:第1切替爪
89:排紙経路
91:画像検知センサユニット
110:後処理装置
111:良品画像供給トレイ
115:テスト用転写紙収納ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成手段と、
記録媒体上の画像を検知する画像検知手段と、
前記画像形成手段によって形成された記録媒体上の画像を前記画像検知手段で検知し、検査用画像データを取得し、該検査用画像データに基づいて、前記画像形成手段によって形成された記録媒体上の画像の画質判定を行う画質判定手段とを備えた画像形成装置において、
前記画像検知手段で記録媒体上に形成された良品画像を検知して、画質判定の基準となる基準画像データを取得する基準画像データ取得モードを実行する制御手段を備え、
前記基準画像データと、前記検査用画像データとに基づいて、前記画像形成手段によって形成された記録媒体上の画像の画質判定を行うよう前記画質判定手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記画像形成手段へ記録媒体を搬送する給紙部を備え、
前記良品画像が形成された記録媒体を前記給紙部から供給して、前記画像検知手段で検知するよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置において、
前記良品画像が形成された記録媒体を前記画像検知手段へ供給するための専用の供給部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの画像形成装置において、
前記画質判定手段で正常画像と判定された画像が記録されている記録媒体が排出される正規記録媒体排出部と、
前記画質判定手段で異常画像と判定された画像が記録されている記録媒体が排出される異常記録媒体排出部と、
前記画質判定手段の判定結果に基づいて、搬送中の記録媒体を前記正規記録媒体排出部へ排出するか、前記異常記録媒体排出部へ排出するかを切り替える切替手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、
前記記録媒体にテストパターンを形成し、前記記録媒体上のテストパターンを検知するテストパターン検知手段で検知し、その検知結果に基づいて画像形成条件を調整する画像形成条件調整手段を備え、
前記テストパターンが形成される専用の記録媒体を収容する専用記録媒体収納ユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5の画像形成装置において、
前記テストパターン検知手段通過後の前記テストパターンが形成された専用の記録媒体を、前記専用記録媒体収納ユニットに収納するよう画像形成条件調整手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
前記テストパターン検知手段を、前記専用記録媒体収納ユニットに配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5乃至7いずれかの画像形成装置において、
前記専用記録媒体収納ユニット内の前記専用の記録媒体へのアクセスを禁止するアクセス禁止手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項5乃至7いずれかの画像形成装置において、
前記専用記録媒体収納ユニットを通常の記録媒体を収納する給紙ユニットに置き換え可能に構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置と、
画像形成装置で画像が形成された記録媒体の後処理を行う後処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
記録媒体上の画像を検知する画像検知手段と、
前記画像検知手段で記録媒体上に形成された良品画像を検知して、画質判定の基準となる基準画像データを取得する基準画像データ取得モードを実行する制御手段と、
前記画像形成装置によって形成された記録媒体上の画像を前記画像検知手段で検知し、検査用画像データを取得し、前記基準画像データと前記検査用画像データとに基づいて、前記画像形成装置によって形成された記録媒体上の画像の画質判定を行う画質判定手段とを備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項10の画像形成システムにおいて、
前記後処理装置に前記画像検知手段が設けられており、
前記良品画像が形成された記録媒体を前記画像検知手段へ供給するための専用の供給部を前記後処理装置に設けたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
請求項11の画像形成システムにおいて、
前記後処理装置に前記基準画像データ取得モードを実行する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
請求項10乃至12いずれかの画像形成システムにおいて、
前記後処理装置は、
前記画質判定手段で正常画像と判定された画像が記録されている記録媒体が排出される正規記録媒体排出部と、
前記画質判定手段で異常画像と判定された画像が記録されている記録媒体が排出される異常記録媒体排出部と、
前記画質判定手段の判定結果に基づいて、搬送中の記録媒体を前記正規記録媒体排出部へ排出するか、前記異常記録媒体排出部へ排出するかを切り替える切替手段とを備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
画像形成装置で画像が形成された記録媒体の後処理を行う後処理装置において、
記録媒体上の画像を検知する画像検知手段と、
前記画像検知手段で記録媒体上に形成された良品画像を検知して、画質判定の基準となる基準画像データを取得する基準画像データ取得モードを実行する制御手段と、
前記画像形成装置によって形成された記録媒体上の画像を前記画像検知手段で検知し、検査用画像データを取得し、前記基準画像データと前記検査用画像データとに基づいて、前記画像形成装置によって形成された記録媒体上の画像の画質判定を行う画質判定手段とを備えたことを特徴とする後処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−66516(P2010−66516A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232735(P2008−232735)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】