画像形成装置、画像形成方法
【課題】副走査方向両端の各レンズ行のレンズが形成するスポットグループの形成位置の間に発生する段差を小さく抑える。
【解決手段】第1の方向に移動する潜像担持体と、第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行および第2のレンズ行と、第1のレンズ行のレンズにより結像される光を発光して第1・第2の光を照射する第1・第2の発光素子と、第2のレンズ行のレンズにより結像される光を発光して第3・第4の光を照射する第3・第4の発光素子と、第1ないし第4の発光素子を、潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させる制御部と、を備える。
【解決手段】第1の方向に移動する潜像担持体と、第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行および第2のレンズ行と、第1のレンズ行のレンズにより結像される光を発光して第1・第2の光を照射する第1・第2の発光素子と、第2のレンズ行のレンズにより結像される光を発光して第3・第4の光を照射する第3・第4の発光素子と、第1ないし第4の発光素子を、潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させる制御部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、露光ヘッドが有する発光素子からの光を潜像担持体に照射して潜像を形成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1あるいは2では、副走査方向に移動する潜像担持体の表面に対して、ラインヘッドを用いて潜像を形成する画像形成装置が記載されている。このラインヘッドは、主走査方向に並ぶ複数のレンズを備えるとともに、主走査方向に並ぶ複数の発光素子からなる発光素子グループをレンズ毎に配置している。したがって、発光素子グループの各発光素子が発光した光を対応するレンズが結像することで、複数の光のスポットからなるスポットグループが潜像担持体表面に照射される。
【0003】
なお、特許文献1、2のラインヘッドでは、これらレンズは主走査方向に千鳥状(3行千鳥状)に並べられており、その結果、複数のレンズを主走査方向に直線的に並べてなるレンズ行が副走査方向に複数行(3行)並ぶこととなる。したがって、異なるレンズ行に属する各レンズは、副走査方向の互いに異なる位置にスポットグループを形成する。そこで、特許文献1、2のラインヘッドは、発光素子の発光を制御することで、スポットグループの形成タイミングを次のように調整する。
【0004】
つまり、ある時刻T1において、副走査方向の上流側の一のレンズ行に属するレンズがスポットグループを潜像担持体に形成する。続いて、このスポットグループが形成された位置が潜像担持体の移動に伴って副走査方向の下流側の他のレンズ行の位置にまで移動してきた時刻T2で、当該他のレンズ行のレンズがスポットグループを潜像担持体に形成する。こうして、一のレンズ行のレンズが一のスポットグループを形成した位置と、他のレンズ行のレンズが形成した他のスポットグループの位置が、潜像担持体上において主走査方向に並ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−036937号公報
【特許文献2】特開2009−113472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、潜像担持体の表面速度は常に一定とは限らない。そのため、潜像担持体表面において、上述のような一のスポットグループと他のスポットグループの形成位置が副走査方向に互いにずれて、これらのスポットグループの形成位置の間に段差が生じることがあった。しかも、上述のように複数のレンズ行を副走査方向に配設した露光ヘッド(ラインヘッド)では、副走査方向の一端のレンズ行のレンズによるスポットグループの形成位置と、副走査方向の他端のレンズ行のレンズによるスポットグループの形成位置との間に、特に大きな段差が生じ、その結果、良好な潜像形成が実行できない場合があった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、潜像担持体の移動方向に複数行のレンズ行を配した露光ヘッドを用いて画像形成を行う場合に、副走査方向両端の各レンズ行のレンズが形成するスポットグループの形成位置の間に発生する段差を小さく抑えることができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、第1の方向に移動する潜像担持体と、第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行と、第1のレンズ行の第1の方向側で、第2の方向にレンズを配設した第2のレンズ行と、第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、潜像担持体に第1の光を照射する第1の発光素子と、第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第1の光の第2の方向の一方側に第2の光を潜像担持体に対して照射する第2の発光素子と、第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第2の光の第2の方向の一方側に第3の光を潜像担持体に対して照射する第3の発光素子と、第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第3の光の第2の方向の一方側に第4の光を潜像担持体に対して照射する第4の発光素子と、第1ないし第4の発光素子を、潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させる制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するために、第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行、第1のレンズ行の第1の方向側で、第2の方向にレンズを配設した第2のレンズ行、第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第1の方向に移動する潜像担持体に第1の光を照射する第1の発光素子、第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第1の光の第2の方向の一方側に第2の光を潜像担持体に対して照射する第2の発光素子、第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第2の光の第2の方向の一方側に第3の光を潜像担持体に対して照射する第3の発光素子、および第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第3の光の第2の方向の一方側に第4の光を潜像担持体に対して照射する第4の発光素子を有する露光ヘッドの第1ないし第4の発光素子を、潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明(画像形成装置、画像形成方法)では、潜像担持体の移動方向である第1の方向に、第1および第2のレンズ行がこの順番で配設されている。また、第1のレンズ行のレンズには第1および第2の発光素子が設けられ、第2のレンズ行のレンズには第3および第4の発光素子が設けられている。そして、第1および第2の発光素子からの光は、これらの発光素子に対応する第1のレンズ行のレンズに結像されて、第1および第2の光として潜像担持体に照射され、同様に、第3および第4の発光素子からの光は、これらの発光素子に対応する第2のレンズ行のレンズに結像されて、第3および第4の光として潜像担持体に照射される。このとき、これら第1〜第4の光の形成位置は、第2の方向の一方を向いてこの順番である。そして、このような構成では、潜像担持体表面において、第1の方向両端の各レンズ行(第1・第2のレンズ行)のレンズが形成するスポットグループの形成位置の間、換言すれば、第1のレンズ行のレンズが形成する第1および第2の光(スポットグループ)の形成位置と第2のレンズ行のレンズが形成する第3および第4の光(スポットグループ)の形成位置の間に、潜像担持体の速度変動に起因した段差が生じる場合があった。これに対して、この発明では、第1ないし第4の発光素子を、潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させている。したがって、かかる段差を小さく抑えることが可能となっている。
【0011】
より具体的に説明すると次のとおりである。なお、説明に先立って、第1の方向の上流側にある第1のレンズ行のレンズにより形成された第1および第2の光からなるグループを第1のスポットグループとし、第1の方向の下流側にある第2のレンズ行のレンズにより形成された第3および第4の光からなるグループを第2のスポットグループとしておく。このとき、潜像担持体の速度が所定の速度範囲にある場合は、潜像担持体表面において、第1のスポットグループと第2のスポットグループそれぞれの形成位置の間には、第1の方向に殆ど段差が無い。一方、潜像担持体の速度が所定の速度範囲より遅い場合は、潜像担持体表面において、第1のスポットグループの形成位置は第2のスポットグループの形成位置に対して第1の方向上流側にずれて、その結果、第1および第2のスポットグループの形成位置は第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向下流側に傾いて並ぶ。これに対して、潜像担持体の速度が所定の速度範囲より速い場合は、潜像担持体表面において、第1のスポットグループの形成位置は第2のスポットグループの形成位置に対して第1の方向下流側にずれて、その結果、第1および第2のスポットグループの形成位置は第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向上流側に傾いて並ぶ。そこで、潜像担持体の移動速度に応じて、次のような制御を行うことが好適となる。
【0012】
すなわち、制御部は、潜像担持体の移動速度が所定の速度範囲より遅い場合は、第1の発光素子が発光する後に第2の発光素子が発光するように第1および第2の発光素子を時分割駆動するとともに、第3の発光素子が発光する後に第4の発光素子が発光するように第3および第4の発光素子を時分割駆動するように構成しても良い。このような構成では、第1の光および第2の光が形成される潜像担持体上の位置は第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向下流側に傾いて並び、言わば、第1のスポットグループが第2の方向の一方向きに第1の方向下流側に傾いて形成される。また同様に、第3の光および第4の光が形成される潜像担持体上の位置は第2の方向の一方向きこの順番で第1の方向下流側に傾いて並び、言わば、第2のスポットグループが第2の方向の一方向きに第1の方向下流側に傾いて形成される。つまり、潜像担持体の移動速度が遅いために、第1および第2のスポットグループの形成位置が第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向下流側に傾いて並んでいるのに合わせて、第1および第2のスポットグループのそれぞれが、第2の方向の一方向きに第1の方向下流側に傾いている。その結果、第1のスポットグループの形成位置と第2のスポットグループの形成位置の間の段差が小さく抑えられている。
【0013】
あるいは、制御部は、潜像担持体の移動速度が所定の速度範囲より速い場合は、第2の発光素子が発光する後に第1の発光素子が発光するように第1および第2の発光素子を時分割駆動するとともに第4の発光素子が発光する後に第3の発光素子が発光するように第3および第4の発光素子を時分割駆動するように構成しても良い。このような構成では、第1の光および第2の光が形成される潜像担持体上の位置は第2の方向の一方向きこの順番で第1の方向上流側に傾いて並び、言わば、第1のスポットグループが第2の方向の一方向きに第1の方向上流側に傾いて形成される。また同様に、第3の光および第4の光が形成される潜像担持体上の位置は第2の方向の一方向きこの順番で第1の方向上流側に傾いて並び、言わば、第2のスポットグループが第2の方向の一方向きに第1の方向上流側に傾いて形成される。つまり、潜像担持体の移動速度が遅いために、第1および第2のスポットグループの形成位置は第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向上流側に傾いて並んでいるのに合わせて、第1および第2のスポットグループのそれぞれが、第2の方向の一方向きに第1の方向上流側に傾いている。したがって、第1のスポットグループの形成位置と第2のスポットグループの形成位置の間の段差が小さく抑えられている。
【0014】
また、第1の方向への第1のレンズ行と第2のレンズ行の間で、第2の方向にレンズを配設した第3のレンズ行と、第3のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第4の光の第2の方向の一方側に第4の光を潜像担持体に対して照射する第5の発光素子と、第3のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第5の光の第2の方向の一方側に第6の光を潜像担持体に対して照射する第6の発光素子と、を備えても良い。
【0015】
ちなみに、第3のレンズ行のレンズにより形成された第5および第6の光からなるグループを第3のスポットグループとしたとき、この第3のスポットグループを形成する第5および第6の発光素子に対しても、時分割駆動を適用することができる。ただし、時分割駆動の順序を、第1および第2のスポットグループを形成する発光素子と同様にした場合、潜像担持体表面において、第2のスポットグループの形成位置と第3のスポットグループの形成位置との間に多少の段差が生じる場合がある。
【0016】
そこで、制御部は、潜像担持体の移動速度が所定の速度範囲より遅い場合は、第6の発光素子が発光する後に第5の発光素子が発光するように第5および第6の発光素子を時分割駆動するように構成しても良い。これにより、潜像担持体表面における第2のスポットグループの形成位置と第3のスポットグループの形成位置との間の段差を小さく抑えることができる。
【0017】
あるいは、制御部は、潜像担持体の移動速度が所定の速度範囲より速い場合は、第5の発光素子が発光する後に第6の発光素子が発光するように第5および第6の発光素子を時分割駆動するように構成しても良い。これにより、潜像担持体表面における第2のスポットグループの形成位置と第3のスポットグループの形成位置との間の段差を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】ラインヘッドの一例を示す図。
【図4】ラインヘッドの一例を示す図。
【図5】ラインヘッドの一例を示す図。
【図6】ラインヘッドによる露光動作の説明図。
【図7】感光体ドラム表面の速度変動とスポットグループの形成位置の関係を示す図。
【図8】発光素子グループを時分割駆動する回路構成の一例を示す図。
【図9】時分割駆動を説明するための図。
【図10】時分割駆動を説明するための図。
【図11】第1の時分割駆動例を示す図。
【図12】第1の時分割駆動例を示す図。
【図13】第2の時分割駆動例を示す図。
【図14】第2の時分割駆動例を示す図。
【図15】第3の時分割駆動例を示す図。
【図16】信号処理を実行する電気的構成を示すブロック図。
【図17】図16の電気的構成が実行する信号処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0020】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメーター値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0021】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0022】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MD(第2の方向)に直交もしくは略直交する副走査方向SD(第1の方向)に移動することとなる。
【0023】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0024】
帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0025】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がヘッド制御信号に基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29にヘッド制御信号を送信すると、このヘッド制御信号に基づいて各発光素子Eが発光する。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の構成および動作の詳細は後述する。
【0026】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図1紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0027】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0028】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性の液体現像剤、すなわち、樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0029】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0030】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー帯電コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー帯電コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー帯電コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー帯電コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、トナーの帯電が施される。なお、このトナー帯電には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるトナー帯電ローラーを用いてもよい。
【0031】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0032】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、スクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0033】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0034】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0035】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0036】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0037】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0038】
以上が画像形成装置の概略構成である。続いて、上記画像形成装置に適用可能なラインヘッド29の詳細について説明する。図3、図4および図5は、ラインヘッドの一例を示す図である。特に、図3は、ラインヘッド29が備える発光素子およびレンズの位置関係を、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaから見た平面図であり、図4は、ラインヘッド29の部分斜視図であり、図5は、ラインヘッド29のA−A線(図3の階段状の二点鎖線)における部分階段断面図であって、該断面をラインヘッド29の長手方向LGDから見た場合に相当する。図3では、レンズLS1、LS2が一点鎖線で記載されているが、これは、発光素子EとレンズLS1、LS2とが光軸方向Doaにおいて異なる位置にあることを考慮したものである。
【0039】
このラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺な全体構成を備える。そこで、図3〜図5および以下の図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGDおよび幅方向LTDを示す。また、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaについても、図3〜図5および以下の図面で適宜示すとともに、必要に応じて、光軸方向Doaの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、光軸方向Doaの矢印と反対側を「裏」「下」あるいは「底」と表現する。なお、これらの方向LGD、LTD、Doaは互いに直交もしくは略直交している。
【0040】
また、上述のとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面に対して露光を行なうものであり、しかも、感光体ドラム21表面の主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、感光体ドラム21表面の副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと一緒に、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0041】
ラインヘッド29では、複数(図3の例では36個)の発光素子Eを長手方向LGDに3行千鳥で並べて、1個の発光素子グループEGが構成されている。言い換えれば、12個の発光素子Eを長手方向LGDに直線状に並べた発光素子行が2行幅方向LTDに配置されて、1個の発光素子グループEGが構成されている。さらに、複数の発光素子グループEGが3行千鳥で長手方向LGDに並べられている。
【0042】
また、各発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有するボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である。つまり、各発光素子Eを構成する有機EL素子は、長手方向LGDに長く幅方向LTDに短いガラス平板であるヘッド基板293の裏面293−tに形成されて、ガラス製の封止部材294により封止されている。なお、この封止部材294は、ヘッド基板293の裏面293−tに接着剤により固定されている。
【0043】
また、ヘッド基板293に対しては、2枚のレンズアレイLA1、LA2が対向している。そして、レンズアレイLA1のレンズLS1およびレンズアレイLA2のレンズLS2で構成される結像光学系OSが、各発光素子グループEGに設けられることとなる。つまり、レンズアレイLA1に対しては、3行千鳥に配列された複数の発光素子グループEGに一対一で対応して、複数のレンズLS1が3行千鳥で配列されている。同様に、レンズアレイLA2に対しては、3行千鳥に配列された複数の発光素子グループEGに一対一で対応して、複数のレンズLS2が3行千鳥で配列されている。このようなレンズアレイLA1(LA2)におけるレンズLS1(LS2)の配列態様は、換言すれば次のようにも説明できる。つまり、主走査方向MDへ距離3×Dg毎にレンズLS1(LS2)を配置して、主走査方向MDに直線的に並ぶ複数のレンズLS1(LS2)から1行のレンズ行GRa等が構成される。さらに、3行のレンズ行GRa、GRb、GRcは、副走査方向SDに距離Dtを空けて配置されるとともに、主走査方向MDに距離Dgだけ互いにシフトされている。
【0044】
なお、図3、図5等では、レンズ行GRaのレンズLS1(LS2)に対向する発光素子グループEGに符号EGaが付され、レンズ行GRbのレンズLS1(LS2)に対向する発光素子グループEGに符号EGbが付され、レンズ行GRcのレンズLS1(LS2)に対向する発光素子グループEGに符号EGcが付されている。また、図4、図5では、発光素子グループEGとレンズLS1、LS2との間には遮光部材297が図示されているが、これについては結像光学系の説明の後に説明する。
【0045】
ちなみに、レンズアレイLA1(LA2)は、光透過製のガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を形成することで構成することができる。また、長手方向LGDに長尺なレンズアレイを一体的な構成で作成することは困難であることに鑑みて、比較的短尺なガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を3行千鳥で形成して1つの短尺なレンズアレイLA1(LA2)を作製し、この短尺レンズアレイLA1(LA2)を長手方向LGDに複数並べることで、長手方向LGDに長尺なレンズアレイを構成している。
【0046】
より具体的には、ヘッド基板表面293−hの幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP1が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP1、SP1に架設された状態で、複数のレンズアレイLA1が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。また、レンズアレイLA1からなる長尺レンズアレイ表面の幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP2が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP2、SP2に架設された状態で、複数のレンズアレイLA2が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。さらに、レンズアレイLA2からなる長尺レンズアレイ表面には平板状の支持ガラスSSが接着されており、複数のレンズアレイLA2は各スペーサーSP2のみならず、当該スペーサーSP2の反対側から支持ガラスSSによっても支持されている。また、この支持ガラスSSは、各レンズアレイLA2が外部に露出しないように、当該レンズアレイLA2を覆う機能も併せ持つ。
【0047】
つまり、上述のように構成された2枚レンズアレイLA1、LA2をヘッド基板293に対向させることで、発光素子グループEGの3行千鳥配置に対応して、2枚のレンズLS1、LS2で構成される結像光学系OSが3行千鳥で長手方向LGDに並ぶこととなる。そして、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光は、結像光学系OSおよび支持ガラスSSを透過して、感光体ドラム21表面に照射される。なお、図5では、発光素子グループ行GRaに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSaが併記されている。また、同様にして、発光素子グループ行GRb、GRcに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSb、OScが併記されている。すなわち、幅方向LTDに互いに異なる位置に配置された結像光学系OSに対して、異なる符合OSa、OSb、OScが付されている。なお、各結像光学系OSは、発光素子グループEGからの光を縮小させつつ倒立させる結像特性を有する。
【0048】
このように、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループEGそれぞれに対して専用の結像光学系OSが配置されている。このようなラインヘッド29では、発光素子グループEGからの光は、当該発光素子グループEGに設けられた結像光学系OSにのみ入射し、それ以外の結像光学系OSに入射しないことが望ましい。そこで、ヘッド基板293の表面293−hとレンズアレイLA1との間には、遮光部材297が設けられている。この遮光部材297は、発光素子グループEGから当該発光素子グループEGに対向する結像光学系OSに向かう光を制限する機能を果たす。具体的には、遮光部材297には、発光素子グループEGからこれに対向する結像光学系OSへと向かう導光孔2971が、光軸方向Doaに貫通形成されている。導光孔2971は円柱形状の孔であり、その中心軸は結像光学系OSの光軸OAと概ね一致している。したがって、発光素子グループEGから射出された光のうち、遮光部材297の底面で遮られることなく導光孔2971を通過した光が、結像光学系OSに入射することとなる。そして、結像光学系OSで結像された光が感光体ドラム21表面に照射されて、感光体ドラム21表面が露光される。続いて、ラインヘッド29による露光動作を説明する。
【0049】
図6は、ラインヘッドによる露光動作の説明図である。このラインヘッド29は、発光素子Eからの光をレンズLS1、LS2により結像して光のスポットSTを感光体ドラム21表面に形成するものである。特に、このラインヘッド29では、各レンズLS1、LS2に対して複数の発光素子Eからなる発光素子グループEGが設けられている。したがって、発光素子グループEGが発光することで、図6に示すような、主走査方向MDに3行千鳥で並ぶ複数(36個)のスポットSTからなるスポットグループSGが形成される。なお、3行千鳥で並ぶ複数のスポットSTの各行は、副走査方向にDst(=1画素)だけ離れている。また、図6では、レンズ行GRaのレンズLS1(LS2)により形成されるスポットグループSGに符号(SGa)が付され、レンズ行GRbのレンズLS1(LS2)により形成されるスポットグループSGに符号(SGb)が付され、レンズ行GRcのレンズLS1(LS2)により形成されるスポットグループSGに符号(SGc)が付されている。
【0050】
同図に示すように、感光外ドラム21表面では、スポットグループSGa、SGb、SGcが主走査方向MDに3行千鳥で並んで形成される。これらスポットグループSGa、SGb、SGcは、副走査方向SDには互いに距離Dsg(=160画素)だけ離れている一方、主走査方向MDには互いに隣接している。つまり、スポットグループSGaの主走査方向MDの一方端にあるスポットSTalは、スポットグループSGcの主走査方向MDの他方端にあるスポットSTcrと主走査方向MDに隣接し、スポットグループSGcの主走査方向MDの一方端にあるスポットSTclは、スポットグループSGbの主走査方向MDの他方端にあるスポットSTbrと主走査方向MDに隣接し、スポットグループSGbの主走査方向MDの一方端にあるスポットSTblは、スポットグループSGaの主走査方向MDの他方端にあるスポットSTarと主走査方向MDに隣接している。
【0051】
そして、このラインヘッド29は、特許文献1あるいは2と同様に、感光体ドラム21の表面の移動速度に応じて各スポットグループSGの形成タイミングを制御することで、スポットグループSGa、スポットグループSGbおよびスポットグループSGbを感光体ドラム21表面において主走査方向MDに並べて形成する。具体的には、副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面に対して、ある時刻T1でスポットグループSGaが形成される。そして、スポットグループSGaが距離Dsgだけ副走査方向SD下流側に移動した時刻T2でスポットグループSGbが形成される。こうして、スポットグループSGa、SGbが主走査方向MDに並んで形成される。さらに、スポットグループSGa、SGbが距離Dsgだけ副走査方向SD下流側に移動した時刻T3でスポットグループSGcが形成される。こうして、スポットグループSGa、SGb、SGcが主走査方向MDに並んで形成される。
【0052】
ところで、図7に示すように、感光体ドラム21表面の速度が変動してしまうことで、スポットグループSGa、SGb、SGcの形成位置が副走査方向SDにずれてしまう場合があった。ここで、図7は、感光体ドラム表面の速度変動とスポットグループの形成位置との関係を示す図である。同図に示すように、感光体ドラム21の表面速度が所定の速度範囲(例えば、感光体ドラム21の平均速度に対して数%の範囲)で一定しているときは、各スポットグループSGa、SGb、SGcに段差は生じない(同図の「定速時」の欄参照)。
【0053】
これに対して、同図の「減速時」の欄に示すように、感光体ドラム21の表面速度が所定の速度範囲より遅い場合は、感光体ドラム21表面において、スポットグループSGa、SGb、SGcの形成位置は副走査方向SDにずれて、その結果、副走査方向SD上流側からこの順番で並ぶこととなる。特に、スポットグループSGa(第1のスポットグループ)の形成位置は、スポットグループSGc(第2のスポットグループ)の形成位置に対して、副走査方向SDの上流側に大きくずれて、その結果、スポットグループSGaおよびスポットグループSGcの形成位置は主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いてこの順番で並ぶ(同欄の矢印)。こうして、副走査方向SDの上流端のレンズ行GRaのレンズLS1、LS2によるスポットグループSGaの形成位置と、副走査方向SDの下流端のレンズ行GRcのレンズLS1、LS2によるスポットグループSGcの形成位置との間に大きな段差Δlが生じている。
【0054】
一方、同図の「加速時」の欄に示すように、感光体ドラム21の表面速度が所定の速度範囲より速い場合は、感光体ドラム21表面において、スポットグループSGa、SGb、SGcの形成位置は副走査方向SDにずれて、その結果、副走査方向SD下流側からこの順番で並ぶこととなる。特に、スポットグループSGa(第1のスポットグループ)の形成位置は、スポットグループSGc(第2のスポットグループ)の形成位置に対して、副走査方向SDの下流側に大きくずれて、その結果、スポットグループSGaおよびスポットグループSGcの形成位置は主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いてこの順番で並ぶ(同欄の矢印)。こうして、副走査方向SDの上流端のレンズ行GRaのレンズLS1、LS2によるスポットグループSGaの形成位置と、副走査方向SDの下流端のレンズ行GRcのレンズLS1、LS2によるスポットグループSGcの形成位置との間に大きな段差Δlが生じている。
【0055】
このラインヘッド29は、このような大きな段差Δlを小さく抑えるために、発光素子グループEGの発光素子Eを時分割駆動するといった構成を備える(図8)。図8は、発光素子グループの各を時分割駆動する回路構成の一例を示す図である。図8の回路図は、1/6マトリックス駆動を行うものである。同図において、発光素子Eはダイオード記号で表記されている。同図に示すように、発光素子グループEGa、EGb、EGcのそれぞれに対しては、6つのアノード電極A1〜A6および6つのカソード電極C1〜C6が接続されている。具体的には、アノード電極A1〜A6のそれぞれは、主走査方向MDに6個置きに並ぶ合計6個の発光素子Eに結線されている。一方、カソード電極C1〜C6のそれぞれは、主走査方向MDに連続して並ぶ6個の発光素子Eに結線されている。
【0056】
そして、ドライバーIC295(図16)がアノード電極A1〜A6にビデオデータVDに応じて電流を供給しつつ、カソード電極C1〜C6をスイッチングすることで、カソード電極単位で発光素子Eを発光駆動することができる。つまり、一例を挙げれば、電極C1のスイッチをオンにした場合、カソード電極C1に接続された6個の発光素子E(図6において、各発光素子グループEGの左端から6個の発光素子E)が発光する。これにより、6個のスポットSTからなる小スポットグループSt(図9〜図15において、符号C1が付された小スポットグループSt)が形成される。また、その他のカソード電極C2〜C6についても同様の動作が実行可能である。
【0057】
図9は、時分割駆動を説明するための図であり、特にカソード電極C1〜C6の順番にスイッチをオンした場合を示している。この場合、カソード電極C1〜C6の順番に小スポットグループStを感光体ドラム21表面に形成する。その結果、カソード電極C1〜C6が形成する各小スポットグループStは、主走査方向MDの一方向きにこの順番で副走査方向下流側に傾いて並び、その結果、これらの小スポットグループStで構成されるスポットグループSGは、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成される(図9において、左斜め下に傾いて形成される)。
【0058】
図10も、時分割駆動を説明するための図であり、特にカソード電極C6〜C1の順番にスイッチをオンした場合を示している。この場合、カソード電極C6〜C1の順番に小スポットグループStを感光体ドラム21表面に形成する。その結果、カソード電極C1〜C6が形成する各小スポットグループStは、主走査方向MDの一方向きにこの順番で副走査方向上流側に傾いて並び、その結果、これらの小スポットグループStで構成されるスポットグループSGは、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成される(図10において、左斜め上に傾いて形成される)。
【0059】
このように、カソード電極をC1〜C6の順番に点灯させると、スポットグループSGは主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成される(図9において、左斜め下に傾いて形成される)。一方、カソード電極をC6〜C1の順番に点灯させると、スポットグループSGは主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成される(図10において、左斜め上に傾いて形成される)。つまり、カソード電極C1〜C6の点灯順序を変えることで、スポットグループSGの傾き方を変えることができる。
【0060】
そこで、以下に説明する時分割駆動例は、このような時分割駆動の特性を活用して、上述した大きな段差Δlを小さく抑えるものである。具体的には、感光体ドラム21に設けられたエンコーダーECD(図16)の出力値に基づいて、ヘッドコントローラーHCが感光体ドラム21の表面速度を求めて、この速度結果から時分割駆動における点灯順序を決定する。
【0061】
A.第1の時分割駆動例
図11および図12は、第1の時分割駆動例を示す図である。特に、図11は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より遅い場合の第1の時分割駆動例を示しており、図12は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より速い場合の第1の時分割駆動例を示している。
【0062】
図7を用いて説明したとおり、感光体ドラム21表面の移動速度が所定の速度範囲より遅い場合は、スポットグループSGa(第1のスポットグループ)の形成位置は、スポットグループSGc(第2のスポットグループ)の形成位置に対して、副走査方向SDの上流側に大きくずれて、その結果、スポットグループSGaおよびスポットグループSGcの形成位置は主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いてこの順番で並ぶ。その結果、スポットグループSGaの形成位置とスポットグループSGcの形成位置との間に大きな段差Δlが生じていた。
【0063】
これに対して、第1の時分割駆動例では、図11に示すように、ヘッドコントローラーHCは、カソード電極C1〜C6の順番に各カソード電極をオンしている。そのため、スポットグループSGa、SGb、SGcのそれぞれは、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成される(左斜め下に傾いて形成される)。つまり、スポットグループSGa、SGcの形成位置が主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いてこの順番で並ぶのに合わせて、スポットグループSGa、SGcそれぞれが、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いている。その結果、図11では、図7に示したような段差Δlが小さく抑えられている。
【0064】
また、図7を用いて説明したとおり、感光体ドラム21表面の移動速度が所定の速度範囲より遅い場合は、スポットグループSGa(第1のスポットグループ)の形成位置は、スポットグループSGc(第2のスポットグループ)の形成位置に対して、副走査方向SDの下流側に大きくずれて、その結果、スポットグループSGaおよびスポットグループSGcの形成位置は主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いてこの順番で並ぶ。その結果、スポットグループSGaの形成位置とスポットグループSGcの形成位置との間に大きな段差Δlが生じていた。
【0065】
これに対して、第1の時分割駆動例では、図12に示すように、ヘッドコントローラーHCは、カソード電極C6〜C1の順番に各カソード電極をオンしている。そのため、スポットグループSGa、SGb、SGcのそれぞれは、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成される(左斜め上に傾いて形成される)。つまり、スポットグループSGa、SGcの形成位置が主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いてこの順番で並ぶのに合わせて、スポットグループSGa、SGcそれぞれが、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いている。その結果、図12では、図7に示したような段差Δlが小さく抑えられている。
【0066】
なお、感光体ドラム21表面の移動速度が所定の速度範囲にある場合は、図7で説明したような大きな段差Δlは生じないため、カソード電極C1〜C6のスイッチング順序は特に限定されない。そこで、例えば、カソード電極C1〜C6の順番に各カソード電極をオンするように構成しても良い。
【0067】
B.第2の時分割駆動例
図13および図14は、第2の時分割駆動例を示す図である。特に、図13は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より遅い場合の第1の時分割駆動例を示しており、図14は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より速い場合の第1の時分割駆動例を示している。
【0068】
上述した第1の時分割駆動例では、スポットグループSGbの形成位置と、その両端のスポットグループSGa、SGcの形成位置との間に、小さな段差Δsが生じていた。この段差Δsは上述の大きな段差Δlと比較して小さいため、特に問題とならない場合が多い。ただし、特に高解像度化を図るような場合には、この小さな段差Δsをさらに小さく抑えるように構成しても良い。そこで、第2の時分割駆動例では、スポットグループSGa、SGcに対応するカソード電極C1〜C6のスイッチング順序に対して、スポットグループSGbに対応するカソード電極C1〜C6のスイッチング順序を反対にしている。
【0069】
ちなみに、第2の時分割駆動例と第1の時分割駆動例の違いは、スポットグループSGbに対応するカソード電極C1〜C6のスイッチング順序であるので、以下では、この差異部分について主に説明することとし、共通部分については適宜説明を省略する。なお、第2の時分割駆動例においても、第1の時分割駆動例と共通の構成を具備することで、第1の時分割駆動例と同様の効果が奏されるものである。
【0070】
図13に示すように、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より遅い場合は、スポットグループSGbに対応するカソード電極は、カソード電極C6〜C1の順番でオンしており、その結果、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成される(左斜め上に傾いて形成される)。したがって、図11で示した小さい段差Δsをさらに小さく抑制することが可能となっている。
【0071】
また、図14に示すように、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より速い場合は、スポットグループSGbに対応するカソード電極は、カソード電極C1〜C6の順番でオンしており、その結果、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成される(左斜め下に傾いて形成される)。したがって、図12で示した小さい段差Δsをさらに小さく抑制することが可能となっている。
【0072】
C.第3の時分割駆動例
図15は、第3の時分割駆動例を示す図であり、特に感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲にある場合の時分割駆動の例を示している。なお、第3の時分割駆動例は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲にある場合の時分割駆動を示すものであり、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲外にある場合の時分割駆動は、第1あるいは第2の時分割駆動例で説明したものを用いることができる。
【0073】
図15に示すように、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲にある場合には、主走査方向MDに並ぶスポットグループSG一つ毎に、各スポットグループSGに対応するカソード電極C1〜C6のスイッチング順序が反転している。その結果、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成されるスポットグループSGと、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成されるスポットグループSGとが、主走査方向MDに交互に並んでいる。その結果、主走査方向MDに隣接するスポットグループSGの形成位置を滑らかに接続することができ、より良好な潜像形成が可能となっている。
【0074】
D.信号処理の一例
続いて、上述の実施形態で実行される信号処理、および当該信号処理を実行する電気的構成の一例について説明する。図16は、信号処理を実行する電気的構成を示すブロック図である。図17は、図16の電気的構成が実行する信号処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
図16に示す電気的構成は、ラインヘッド29の構成に合わせて、ビデオデータVDの補正や並び換え等を実行するために、特開2009−139449号公報等に記載されているような信号処理を実行可能である。そして、図16に示す電気的構成は、この信号処理の一つとして、図17に示す補正情報取得フローを実行するように構成されている。まずは、図16の詳細の説明の前に、図17に示すフローについて説明する。
【0076】
ステップS101では、ヘッドコントローラーHCは、レジスター106に記憶されている発光素子行補正情報、発光素子グループ補正情報を読み出す。ここで、発光素子行補正情報は、図6に示した距離Dstに相当するものであり、発光素子グループ補正情報は、図6に示した距離Dsgに相当するものである。つまり、スポットグループSG内部においてスポットSTは副走査方向SDに距離Dstだけずれて形成されるとともに、各スポットグループSGa、SGb、SGcは副走査方向SDに距離Dsgだけ離れて形成される。そこで、ヘッドコントローラーHCは、このようなスポット形成位置の副走査方向SDへのずれを考慮しつつ、ビデオデータVDの並び換え等を行なうために、これらの補正情報をレジスター106から読み出す。
【0077】
そして、これら補正情報に基づいて、感光体ドラム21表面にレジストマークを形成して、これを光学センサーにより検出するとともに、この検出結果に基づいて各レジストマークの副走査方向SDへのずれを補正する補正量を求める(ステップS102)。また、ラインヘッド29の結像光学系OSは倒立像を形成するものであるため、発光素子グループEGからの光は反転されてスポットグループSGとして感光体ドラム21表面に照射される。したがって、このような結像光学系OSの特性に合わせて、ビデオデータVDを並び替えるために、ステップS103が実行される。さらに、レジストマークの検出結果から、主走査方向MDへの色ずれが検出され(ステップS104)、この検出結果に基づいて主走査方向へのレジスト補正情報が算出される(ステップS105)。そして、上記ステップで求めた情報に基づいて、レジスター106内に記憶されている、発光素子行補正情報、発光素子グループ補正情報および主走査レジスト補正情報が更新される(ステップS106)。以上が、図17のフローチャートの内容である。続いて、図16の電気的構成の詳細について説明する。
【0078】
図16に示すように、ヘッドコントローラーは、Video I/F部101、リクエスト信号生成部102、ヘッド制御信号生成部103、副走査ずれ補正部104、書込アドレス生成部105、レジスター106および時分割駆動順序設定部107を備える。
【0079】
画像形成装置に電源が投入されると、ヘッドコントローラーは、図17を用いて説明した補正情報取得処理を行う。なお、エンジンコントローラーECとヘッドコントローラーHC間の主走査レジスト情報の転送は、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信により実行される。
【0080】
印刷が開始されると、エンジンコントローラーECは紙端を検出して、垂直同期信号VsyncをヘッドコントローラーHCのリクエスト信号生成部102に送信する。また、印刷の開始に伴ない、感光体ドラム21が回転を始めるため、感光体ドラム21に設けられたエンコーダーECDが感光体ドラム21の回転速度を検出し、エンコーダーパルスを時分割駆動順序設定部107に送信する。そして、時分割駆動順序設定部107は、エンコーダーパルスのピッチから、上述した分割駆動例に示したような分割駆動順序を決定して、ラインヘッド29のドライバーICに通知する。
【0081】
リクエスト信号生成部ではリクエスト信号VREQ(ビデオデータリクエスト信号)とリクエスト信号HREQ(ラインデータリクエスト信号)を生成し、Video I/F101を経由して、メインコントローラーMCへ送信する。また、リクエスト信号HREQは、主走査レジストずれ補正部104、書込アドレス生成部105、副走査ずれ補正部104、ヘッド制御信号生成部103に送られ、各モジュール間の同期が取られる。
【0082】
メインコントローラーMCは、受信したリクエスト信号VREQ、HREQをトリガーとして、画像処理済みのビデオデータVDをヘッドコントローラーのVideo I/F部101へ送信する。このとき、配線コスト低減および配線の取り回しを容易にするために、パラレルのビデオデータをシリアルデータひ変換し、高速シリアル通信で送信することが望ましい。Video I/F部101はビデオデータVDをシリアルからパラレルに変換して主走査レジストずれ補正部108へと送信する。
【0083】
主走査レジストずれ補正部108では、レジスター106に格納されている、主走査レジスト情報に基づいて、主走査方向MDの端部に挿入される余白部分をドット単位で調整する。余白部分を調整する際は、リクエスト信号HREQからラインデータの先頭データが出力されるまでの時間を遅延回路1081(フリップフロップ)によって制御する。そして、主走査レジストずれ補正済のビデオデータVDを副走査ずれ補正部104へ送信する。
【0084】
図16では、遅延回路(フリップフロップ)によって余白部分を調整しているが、最大の主走査レジストずれ量分のメモリーを加えたラインバッファーを用いて余白部分を調整しても良い。すなわち、Video I/F部101から送られてきた1ラインデータをラインバッファーへ格納する際に、ラインデータの先頭に検出された主走査レジストずれ量分のダミーデータ(0データ)を加えることで、主走査方向MDの端部に挿入される余白部分を調整する。
【0085】
副走査ずれ補正部104では、書込アドレス生成部105で生成された書込アドレスに従って、主走査レジストずれ補正済ビデオデータをSRAM1041に書き込むことで、ラインヘッド特有の発光素子配置による副走査方向のずれ(Dst、Dsg)を補正する。書込アドレス生成部105では、レジスター106に格納されている発光素子行補正情報と発光素子グループ行補正情報に基づいて書込アドレスを生成する。なお、書込アドレスの生成方法は、特開2009−139449号公報等に記載のとおりである。
【0086】
副走査ずれ補正部104のSRAM1041に記憶されている副走査方向ずれ補正済みビデオデータVDを読み出すときに、倒立像を形成する結像光学系OSの負の光学倍率に対応して発光順序にビデオデータVDを並び換える(レンズ内データ順序変換)。また、同時にヘッド制御信号生成部103では、各種のヘッド制御信号(クロック、スタート信号、リセット信号など)を生成してラインヘッド29へ送信する。
【0087】
E.その他
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、レンズ行の行数は3行であったが、レンズ行の行数はこれに限られない。
【0088】
また、時分割駆動の態様も種々の変更が可能であり、時分割する個数も適宜変更できる。したがって、1個のカソード電極に6個の発光素子Eを接続していたが、1個のカソード電極に対して、これ以上あるいはこれ以下の個数の発光素子Eを接続してもよい。
【0089】
また、結像光学系OSの構成についても種々の変更が可能である。そこで、上記実施形態のように、縮小像や倒立像を結像させるものはもちろん、拡大像や正立像を結像させるものを結像光学系OSとして採用することも可能である。
【0090】
また、副走査方向SDに異なる位置に配置される結像光学系OSの個数(換言すれば、レンズ行の行数)は3個に限られず、2個あるいは4個以上であっても良い。
【0091】
また、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数や、配置態様も種々の変更が可能である。
【0092】
また、上述の有機EL素子以外に、LED(Light Emitting Diode)等の光源を、発光素子Eとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0093】
21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 ST…スポット、 SG、SGa、SGb、SGc…スポットグループ、 LS1、LS2…レンズ、 OS、OSa、OSb、OSc…結像光学系、 MC…メインコントローラー、 HC…ヘッドコントローラー、 MD…主走査方向(第2の方向)、 SD…副走査方向(第1の方向)
【技術分野】
【0001】
この発明は、露光ヘッドが有する発光素子からの光を潜像担持体に照射して潜像を形成する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1あるいは2では、副走査方向に移動する潜像担持体の表面に対して、ラインヘッドを用いて潜像を形成する画像形成装置が記載されている。このラインヘッドは、主走査方向に並ぶ複数のレンズを備えるとともに、主走査方向に並ぶ複数の発光素子からなる発光素子グループをレンズ毎に配置している。したがって、発光素子グループの各発光素子が発光した光を対応するレンズが結像することで、複数の光のスポットからなるスポットグループが潜像担持体表面に照射される。
【0003】
なお、特許文献1、2のラインヘッドでは、これらレンズは主走査方向に千鳥状(3行千鳥状)に並べられており、その結果、複数のレンズを主走査方向に直線的に並べてなるレンズ行が副走査方向に複数行(3行)並ぶこととなる。したがって、異なるレンズ行に属する各レンズは、副走査方向の互いに異なる位置にスポットグループを形成する。そこで、特許文献1、2のラインヘッドは、発光素子の発光を制御することで、スポットグループの形成タイミングを次のように調整する。
【0004】
つまり、ある時刻T1において、副走査方向の上流側の一のレンズ行に属するレンズがスポットグループを潜像担持体に形成する。続いて、このスポットグループが形成された位置が潜像担持体の移動に伴って副走査方向の下流側の他のレンズ行の位置にまで移動してきた時刻T2で、当該他のレンズ行のレンズがスポットグループを潜像担持体に形成する。こうして、一のレンズ行のレンズが一のスポットグループを形成した位置と、他のレンズ行のレンズが形成した他のスポットグループの位置が、潜像担持体上において主走査方向に並ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−036937号公報
【特許文献2】特開2009−113472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、潜像担持体の表面速度は常に一定とは限らない。そのため、潜像担持体表面において、上述のような一のスポットグループと他のスポットグループの形成位置が副走査方向に互いにずれて、これらのスポットグループの形成位置の間に段差が生じることがあった。しかも、上述のように複数のレンズ行を副走査方向に配設した露光ヘッド(ラインヘッド)では、副走査方向の一端のレンズ行のレンズによるスポットグループの形成位置と、副走査方向の他端のレンズ行のレンズによるスポットグループの形成位置との間に、特に大きな段差が生じ、その結果、良好な潜像形成が実行できない場合があった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、潜像担持体の移動方向に複数行のレンズ行を配した露光ヘッドを用いて画像形成を行う場合に、副走査方向両端の各レンズ行のレンズが形成するスポットグループの形成位置の間に発生する段差を小さく抑えることができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、第1の方向に移動する潜像担持体と、第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行と、第1のレンズ行の第1の方向側で、第2の方向にレンズを配設した第2のレンズ行と、第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、潜像担持体に第1の光を照射する第1の発光素子と、第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第1の光の第2の方向の一方側に第2の光を潜像担持体に対して照射する第2の発光素子と、第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第2の光の第2の方向の一方側に第3の光を潜像担持体に対して照射する第3の発光素子と、第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第3の光の第2の方向の一方側に第4の光を潜像担持体に対して照射する第4の発光素子と、第1ないし第4の発光素子を、潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させる制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するために、第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行、第1のレンズ行の第1の方向側で、第2の方向にレンズを配設した第2のレンズ行、第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第1の方向に移動する潜像担持体に第1の光を照射する第1の発光素子、第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第1の光の第2の方向の一方側に第2の光を潜像担持体に対して照射する第2の発光素子、第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第2の光の第2の方向の一方側に第3の光を潜像担持体に対して照射する第3の発光素子、および第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第3の光の第2の方向の一方側に第4の光を潜像担持体に対して照射する第4の発光素子を有する露光ヘッドの第1ないし第4の発光素子を、潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明(画像形成装置、画像形成方法)では、潜像担持体の移動方向である第1の方向に、第1および第2のレンズ行がこの順番で配設されている。また、第1のレンズ行のレンズには第1および第2の発光素子が設けられ、第2のレンズ行のレンズには第3および第4の発光素子が設けられている。そして、第1および第2の発光素子からの光は、これらの発光素子に対応する第1のレンズ行のレンズに結像されて、第1および第2の光として潜像担持体に照射され、同様に、第3および第4の発光素子からの光は、これらの発光素子に対応する第2のレンズ行のレンズに結像されて、第3および第4の光として潜像担持体に照射される。このとき、これら第1〜第4の光の形成位置は、第2の方向の一方を向いてこの順番である。そして、このような構成では、潜像担持体表面において、第1の方向両端の各レンズ行(第1・第2のレンズ行)のレンズが形成するスポットグループの形成位置の間、換言すれば、第1のレンズ行のレンズが形成する第1および第2の光(スポットグループ)の形成位置と第2のレンズ行のレンズが形成する第3および第4の光(スポットグループ)の形成位置の間に、潜像担持体の速度変動に起因した段差が生じる場合があった。これに対して、この発明では、第1ないし第4の発光素子を、潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させている。したがって、かかる段差を小さく抑えることが可能となっている。
【0011】
より具体的に説明すると次のとおりである。なお、説明に先立って、第1の方向の上流側にある第1のレンズ行のレンズにより形成された第1および第2の光からなるグループを第1のスポットグループとし、第1の方向の下流側にある第2のレンズ行のレンズにより形成された第3および第4の光からなるグループを第2のスポットグループとしておく。このとき、潜像担持体の速度が所定の速度範囲にある場合は、潜像担持体表面において、第1のスポットグループと第2のスポットグループそれぞれの形成位置の間には、第1の方向に殆ど段差が無い。一方、潜像担持体の速度が所定の速度範囲より遅い場合は、潜像担持体表面において、第1のスポットグループの形成位置は第2のスポットグループの形成位置に対して第1の方向上流側にずれて、その結果、第1および第2のスポットグループの形成位置は第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向下流側に傾いて並ぶ。これに対して、潜像担持体の速度が所定の速度範囲より速い場合は、潜像担持体表面において、第1のスポットグループの形成位置は第2のスポットグループの形成位置に対して第1の方向下流側にずれて、その結果、第1および第2のスポットグループの形成位置は第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向上流側に傾いて並ぶ。そこで、潜像担持体の移動速度に応じて、次のような制御を行うことが好適となる。
【0012】
すなわち、制御部は、潜像担持体の移動速度が所定の速度範囲より遅い場合は、第1の発光素子が発光する後に第2の発光素子が発光するように第1および第2の発光素子を時分割駆動するとともに、第3の発光素子が発光する後に第4の発光素子が発光するように第3および第4の発光素子を時分割駆動するように構成しても良い。このような構成では、第1の光および第2の光が形成される潜像担持体上の位置は第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向下流側に傾いて並び、言わば、第1のスポットグループが第2の方向の一方向きに第1の方向下流側に傾いて形成される。また同様に、第3の光および第4の光が形成される潜像担持体上の位置は第2の方向の一方向きこの順番で第1の方向下流側に傾いて並び、言わば、第2のスポットグループが第2の方向の一方向きに第1の方向下流側に傾いて形成される。つまり、潜像担持体の移動速度が遅いために、第1および第2のスポットグループの形成位置が第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向下流側に傾いて並んでいるのに合わせて、第1および第2のスポットグループのそれぞれが、第2の方向の一方向きに第1の方向下流側に傾いている。その結果、第1のスポットグループの形成位置と第2のスポットグループの形成位置の間の段差が小さく抑えられている。
【0013】
あるいは、制御部は、潜像担持体の移動速度が所定の速度範囲より速い場合は、第2の発光素子が発光する後に第1の発光素子が発光するように第1および第2の発光素子を時分割駆動するとともに第4の発光素子が発光する後に第3の発光素子が発光するように第3および第4の発光素子を時分割駆動するように構成しても良い。このような構成では、第1の光および第2の光が形成される潜像担持体上の位置は第2の方向の一方向きこの順番で第1の方向上流側に傾いて並び、言わば、第1のスポットグループが第2の方向の一方向きに第1の方向上流側に傾いて形成される。また同様に、第3の光および第4の光が形成される潜像担持体上の位置は第2の方向の一方向きこの順番で第1の方向上流側に傾いて並び、言わば、第2のスポットグループが第2の方向の一方向きに第1の方向上流側に傾いて形成される。つまり、潜像担持体の移動速度が遅いために、第1および第2のスポットグループの形成位置は第2の方向の一方向きにこの順番で第1の方向上流側に傾いて並んでいるのに合わせて、第1および第2のスポットグループのそれぞれが、第2の方向の一方向きに第1の方向上流側に傾いている。したがって、第1のスポットグループの形成位置と第2のスポットグループの形成位置の間の段差が小さく抑えられている。
【0014】
また、第1の方向への第1のレンズ行と第2のレンズ行の間で、第2の方向にレンズを配設した第3のレンズ行と、第3のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第4の光の第2の方向の一方側に第4の光を潜像担持体に対して照射する第5の発光素子と、第3のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、第5の光の第2の方向の一方側に第6の光を潜像担持体に対して照射する第6の発光素子と、を備えても良い。
【0015】
ちなみに、第3のレンズ行のレンズにより形成された第5および第6の光からなるグループを第3のスポットグループとしたとき、この第3のスポットグループを形成する第5および第6の発光素子に対しても、時分割駆動を適用することができる。ただし、時分割駆動の順序を、第1および第2のスポットグループを形成する発光素子と同様にした場合、潜像担持体表面において、第2のスポットグループの形成位置と第3のスポットグループの形成位置との間に多少の段差が生じる場合がある。
【0016】
そこで、制御部は、潜像担持体の移動速度が所定の速度範囲より遅い場合は、第6の発光素子が発光する後に第5の発光素子が発光するように第5および第6の発光素子を時分割駆動するように構成しても良い。これにより、潜像担持体表面における第2のスポットグループの形成位置と第3のスポットグループの形成位置との間の段差を小さく抑えることができる。
【0017】
あるいは、制御部は、潜像担持体の移動速度が所定の速度範囲より速い場合は、第5の発光素子が発光する後に第6の発光素子が発光するように第5および第6の発光素子を時分割駆動するように構成しても良い。これにより、潜像担持体表面における第2のスポットグループの形成位置と第3のスポットグループの形成位置との間の段差を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】ラインヘッドの一例を示す図。
【図4】ラインヘッドの一例を示す図。
【図5】ラインヘッドの一例を示す図。
【図6】ラインヘッドによる露光動作の説明図。
【図7】感光体ドラム表面の速度変動とスポットグループの形成位置の関係を示す図。
【図8】発光素子グループを時分割駆動する回路構成の一例を示す図。
【図9】時分割駆動を説明するための図。
【図10】時分割駆動を説明するための図。
【図11】第1の時分割駆動例を示す図。
【図12】第1の時分割駆動例を示す図。
【図13】第2の時分割駆動例を示す図。
【図14】第2の時分割駆動例を示す図。
【図15】第3の時分割駆動例を示す図。
【図16】信号処理を実行する電気的構成を示すブロック図。
【図17】図16の電気的構成が実行する信号処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0020】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメーター値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0021】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0022】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MD(第2の方向)に直交もしくは略直交する副走査方向SD(第1の方向)に移動することとなる。
【0023】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0024】
帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0025】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がヘッド制御信号に基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29にヘッド制御信号を送信すると、このヘッド制御信号に基づいて各発光素子Eが発光する。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の構成および動作の詳細は後述する。
【0026】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図1紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0027】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0028】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性の液体現像剤、すなわち、樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0029】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0030】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー帯電コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー帯電コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー帯電コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー帯電コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、トナーの帯電が施される。なお、このトナー帯電には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるトナー帯電ローラーを用いてもよい。
【0031】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0032】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、スクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0033】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0034】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0035】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0036】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0037】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0038】
以上が画像形成装置の概略構成である。続いて、上記画像形成装置に適用可能なラインヘッド29の詳細について説明する。図3、図4および図5は、ラインヘッドの一例を示す図である。特に、図3は、ラインヘッド29が備える発光素子およびレンズの位置関係を、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaから見た平面図であり、図4は、ラインヘッド29の部分斜視図であり、図5は、ラインヘッド29のA−A線(図3の階段状の二点鎖線)における部分階段断面図であって、該断面をラインヘッド29の長手方向LGDから見た場合に相当する。図3では、レンズLS1、LS2が一点鎖線で記載されているが、これは、発光素子EとレンズLS1、LS2とが光軸方向Doaにおいて異なる位置にあることを考慮したものである。
【0039】
このラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺な全体構成を備える。そこで、図3〜図5および以下の図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGDおよび幅方向LTDを示す。また、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaについても、図3〜図5および以下の図面で適宜示すとともに、必要に応じて、光軸方向Doaの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、光軸方向Doaの矢印と反対側を「裏」「下」あるいは「底」と表現する。なお、これらの方向LGD、LTD、Doaは互いに直交もしくは略直交している。
【0040】
また、上述のとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面に対して露光を行なうものであり、しかも、感光体ドラム21表面の主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、感光体ドラム21表面の副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと一緒に、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0041】
ラインヘッド29では、複数(図3の例では36個)の発光素子Eを長手方向LGDに3行千鳥で並べて、1個の発光素子グループEGが構成されている。言い換えれば、12個の発光素子Eを長手方向LGDに直線状に並べた発光素子行が2行幅方向LTDに配置されて、1個の発光素子グループEGが構成されている。さらに、複数の発光素子グループEGが3行千鳥で長手方向LGDに並べられている。
【0042】
また、各発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有するボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である。つまり、各発光素子Eを構成する有機EL素子は、長手方向LGDに長く幅方向LTDに短いガラス平板であるヘッド基板293の裏面293−tに形成されて、ガラス製の封止部材294により封止されている。なお、この封止部材294は、ヘッド基板293の裏面293−tに接着剤により固定されている。
【0043】
また、ヘッド基板293に対しては、2枚のレンズアレイLA1、LA2が対向している。そして、レンズアレイLA1のレンズLS1およびレンズアレイLA2のレンズLS2で構成される結像光学系OSが、各発光素子グループEGに設けられることとなる。つまり、レンズアレイLA1に対しては、3行千鳥に配列された複数の発光素子グループEGに一対一で対応して、複数のレンズLS1が3行千鳥で配列されている。同様に、レンズアレイLA2に対しては、3行千鳥に配列された複数の発光素子グループEGに一対一で対応して、複数のレンズLS2が3行千鳥で配列されている。このようなレンズアレイLA1(LA2)におけるレンズLS1(LS2)の配列態様は、換言すれば次のようにも説明できる。つまり、主走査方向MDへ距離3×Dg毎にレンズLS1(LS2)を配置して、主走査方向MDに直線的に並ぶ複数のレンズLS1(LS2)から1行のレンズ行GRa等が構成される。さらに、3行のレンズ行GRa、GRb、GRcは、副走査方向SDに距離Dtを空けて配置されるとともに、主走査方向MDに距離Dgだけ互いにシフトされている。
【0044】
なお、図3、図5等では、レンズ行GRaのレンズLS1(LS2)に対向する発光素子グループEGに符号EGaが付され、レンズ行GRbのレンズLS1(LS2)に対向する発光素子グループEGに符号EGbが付され、レンズ行GRcのレンズLS1(LS2)に対向する発光素子グループEGに符号EGcが付されている。また、図4、図5では、発光素子グループEGとレンズLS1、LS2との間には遮光部材297が図示されているが、これについては結像光学系の説明の後に説明する。
【0045】
ちなみに、レンズアレイLA1(LA2)は、光透過製のガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を形成することで構成することができる。また、長手方向LGDに長尺なレンズアレイを一体的な構成で作成することは困難であることに鑑みて、比較的短尺なガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を3行千鳥で形成して1つの短尺なレンズアレイLA1(LA2)を作製し、この短尺レンズアレイLA1(LA2)を長手方向LGDに複数並べることで、長手方向LGDに長尺なレンズアレイを構成している。
【0046】
より具体的には、ヘッド基板表面293−hの幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP1が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP1、SP1に架設された状態で、複数のレンズアレイLA1が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。また、レンズアレイLA1からなる長尺レンズアレイ表面の幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP2が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP2、SP2に架設された状態で、複数のレンズアレイLA2が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。さらに、レンズアレイLA2からなる長尺レンズアレイ表面には平板状の支持ガラスSSが接着されており、複数のレンズアレイLA2は各スペーサーSP2のみならず、当該スペーサーSP2の反対側から支持ガラスSSによっても支持されている。また、この支持ガラスSSは、各レンズアレイLA2が外部に露出しないように、当該レンズアレイLA2を覆う機能も併せ持つ。
【0047】
つまり、上述のように構成された2枚レンズアレイLA1、LA2をヘッド基板293に対向させることで、発光素子グループEGの3行千鳥配置に対応して、2枚のレンズLS1、LS2で構成される結像光学系OSが3行千鳥で長手方向LGDに並ぶこととなる。そして、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光は、結像光学系OSおよび支持ガラスSSを透過して、感光体ドラム21表面に照射される。なお、図5では、発光素子グループ行GRaに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSaが併記されている。また、同様にして、発光素子グループ行GRb、GRcに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSb、OScが併記されている。すなわち、幅方向LTDに互いに異なる位置に配置された結像光学系OSに対して、異なる符合OSa、OSb、OScが付されている。なお、各結像光学系OSは、発光素子グループEGからの光を縮小させつつ倒立させる結像特性を有する。
【0048】
このように、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループEGそれぞれに対して専用の結像光学系OSが配置されている。このようなラインヘッド29では、発光素子グループEGからの光は、当該発光素子グループEGに設けられた結像光学系OSにのみ入射し、それ以外の結像光学系OSに入射しないことが望ましい。そこで、ヘッド基板293の表面293−hとレンズアレイLA1との間には、遮光部材297が設けられている。この遮光部材297は、発光素子グループEGから当該発光素子グループEGに対向する結像光学系OSに向かう光を制限する機能を果たす。具体的には、遮光部材297には、発光素子グループEGからこれに対向する結像光学系OSへと向かう導光孔2971が、光軸方向Doaに貫通形成されている。導光孔2971は円柱形状の孔であり、その中心軸は結像光学系OSの光軸OAと概ね一致している。したがって、発光素子グループEGから射出された光のうち、遮光部材297の底面で遮られることなく導光孔2971を通過した光が、結像光学系OSに入射することとなる。そして、結像光学系OSで結像された光が感光体ドラム21表面に照射されて、感光体ドラム21表面が露光される。続いて、ラインヘッド29による露光動作を説明する。
【0049】
図6は、ラインヘッドによる露光動作の説明図である。このラインヘッド29は、発光素子Eからの光をレンズLS1、LS2により結像して光のスポットSTを感光体ドラム21表面に形成するものである。特に、このラインヘッド29では、各レンズLS1、LS2に対して複数の発光素子Eからなる発光素子グループEGが設けられている。したがって、発光素子グループEGが発光することで、図6に示すような、主走査方向MDに3行千鳥で並ぶ複数(36個)のスポットSTからなるスポットグループSGが形成される。なお、3行千鳥で並ぶ複数のスポットSTの各行は、副走査方向にDst(=1画素)だけ離れている。また、図6では、レンズ行GRaのレンズLS1(LS2)により形成されるスポットグループSGに符号(SGa)が付され、レンズ行GRbのレンズLS1(LS2)により形成されるスポットグループSGに符号(SGb)が付され、レンズ行GRcのレンズLS1(LS2)により形成されるスポットグループSGに符号(SGc)が付されている。
【0050】
同図に示すように、感光外ドラム21表面では、スポットグループSGa、SGb、SGcが主走査方向MDに3行千鳥で並んで形成される。これらスポットグループSGa、SGb、SGcは、副走査方向SDには互いに距離Dsg(=160画素)だけ離れている一方、主走査方向MDには互いに隣接している。つまり、スポットグループSGaの主走査方向MDの一方端にあるスポットSTalは、スポットグループSGcの主走査方向MDの他方端にあるスポットSTcrと主走査方向MDに隣接し、スポットグループSGcの主走査方向MDの一方端にあるスポットSTclは、スポットグループSGbの主走査方向MDの他方端にあるスポットSTbrと主走査方向MDに隣接し、スポットグループSGbの主走査方向MDの一方端にあるスポットSTblは、スポットグループSGaの主走査方向MDの他方端にあるスポットSTarと主走査方向MDに隣接している。
【0051】
そして、このラインヘッド29は、特許文献1あるいは2と同様に、感光体ドラム21の表面の移動速度に応じて各スポットグループSGの形成タイミングを制御することで、スポットグループSGa、スポットグループSGbおよびスポットグループSGbを感光体ドラム21表面において主走査方向MDに並べて形成する。具体的には、副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面に対して、ある時刻T1でスポットグループSGaが形成される。そして、スポットグループSGaが距離Dsgだけ副走査方向SD下流側に移動した時刻T2でスポットグループSGbが形成される。こうして、スポットグループSGa、SGbが主走査方向MDに並んで形成される。さらに、スポットグループSGa、SGbが距離Dsgだけ副走査方向SD下流側に移動した時刻T3でスポットグループSGcが形成される。こうして、スポットグループSGa、SGb、SGcが主走査方向MDに並んで形成される。
【0052】
ところで、図7に示すように、感光体ドラム21表面の速度が変動してしまうことで、スポットグループSGa、SGb、SGcの形成位置が副走査方向SDにずれてしまう場合があった。ここで、図7は、感光体ドラム表面の速度変動とスポットグループの形成位置との関係を示す図である。同図に示すように、感光体ドラム21の表面速度が所定の速度範囲(例えば、感光体ドラム21の平均速度に対して数%の範囲)で一定しているときは、各スポットグループSGa、SGb、SGcに段差は生じない(同図の「定速時」の欄参照)。
【0053】
これに対して、同図の「減速時」の欄に示すように、感光体ドラム21の表面速度が所定の速度範囲より遅い場合は、感光体ドラム21表面において、スポットグループSGa、SGb、SGcの形成位置は副走査方向SDにずれて、その結果、副走査方向SD上流側からこの順番で並ぶこととなる。特に、スポットグループSGa(第1のスポットグループ)の形成位置は、スポットグループSGc(第2のスポットグループ)の形成位置に対して、副走査方向SDの上流側に大きくずれて、その結果、スポットグループSGaおよびスポットグループSGcの形成位置は主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いてこの順番で並ぶ(同欄の矢印)。こうして、副走査方向SDの上流端のレンズ行GRaのレンズLS1、LS2によるスポットグループSGaの形成位置と、副走査方向SDの下流端のレンズ行GRcのレンズLS1、LS2によるスポットグループSGcの形成位置との間に大きな段差Δlが生じている。
【0054】
一方、同図の「加速時」の欄に示すように、感光体ドラム21の表面速度が所定の速度範囲より速い場合は、感光体ドラム21表面において、スポットグループSGa、SGb、SGcの形成位置は副走査方向SDにずれて、その結果、副走査方向SD下流側からこの順番で並ぶこととなる。特に、スポットグループSGa(第1のスポットグループ)の形成位置は、スポットグループSGc(第2のスポットグループ)の形成位置に対して、副走査方向SDの下流側に大きくずれて、その結果、スポットグループSGaおよびスポットグループSGcの形成位置は主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いてこの順番で並ぶ(同欄の矢印)。こうして、副走査方向SDの上流端のレンズ行GRaのレンズLS1、LS2によるスポットグループSGaの形成位置と、副走査方向SDの下流端のレンズ行GRcのレンズLS1、LS2によるスポットグループSGcの形成位置との間に大きな段差Δlが生じている。
【0055】
このラインヘッド29は、このような大きな段差Δlを小さく抑えるために、発光素子グループEGの発光素子Eを時分割駆動するといった構成を備える(図8)。図8は、発光素子グループの各を時分割駆動する回路構成の一例を示す図である。図8の回路図は、1/6マトリックス駆動を行うものである。同図において、発光素子Eはダイオード記号で表記されている。同図に示すように、発光素子グループEGa、EGb、EGcのそれぞれに対しては、6つのアノード電極A1〜A6および6つのカソード電極C1〜C6が接続されている。具体的には、アノード電極A1〜A6のそれぞれは、主走査方向MDに6個置きに並ぶ合計6個の発光素子Eに結線されている。一方、カソード電極C1〜C6のそれぞれは、主走査方向MDに連続して並ぶ6個の発光素子Eに結線されている。
【0056】
そして、ドライバーIC295(図16)がアノード電極A1〜A6にビデオデータVDに応じて電流を供給しつつ、カソード電極C1〜C6をスイッチングすることで、カソード電極単位で発光素子Eを発光駆動することができる。つまり、一例を挙げれば、電極C1のスイッチをオンにした場合、カソード電極C1に接続された6個の発光素子E(図6において、各発光素子グループEGの左端から6個の発光素子E)が発光する。これにより、6個のスポットSTからなる小スポットグループSt(図9〜図15において、符号C1が付された小スポットグループSt)が形成される。また、その他のカソード電極C2〜C6についても同様の動作が実行可能である。
【0057】
図9は、時分割駆動を説明するための図であり、特にカソード電極C1〜C6の順番にスイッチをオンした場合を示している。この場合、カソード電極C1〜C6の順番に小スポットグループStを感光体ドラム21表面に形成する。その結果、カソード電極C1〜C6が形成する各小スポットグループStは、主走査方向MDの一方向きにこの順番で副走査方向下流側に傾いて並び、その結果、これらの小スポットグループStで構成されるスポットグループSGは、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成される(図9において、左斜め下に傾いて形成される)。
【0058】
図10も、時分割駆動を説明するための図であり、特にカソード電極C6〜C1の順番にスイッチをオンした場合を示している。この場合、カソード電極C6〜C1の順番に小スポットグループStを感光体ドラム21表面に形成する。その結果、カソード電極C1〜C6が形成する各小スポットグループStは、主走査方向MDの一方向きにこの順番で副走査方向上流側に傾いて並び、その結果、これらの小スポットグループStで構成されるスポットグループSGは、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成される(図10において、左斜め上に傾いて形成される)。
【0059】
このように、カソード電極をC1〜C6の順番に点灯させると、スポットグループSGは主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成される(図9において、左斜め下に傾いて形成される)。一方、カソード電極をC6〜C1の順番に点灯させると、スポットグループSGは主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成される(図10において、左斜め上に傾いて形成される)。つまり、カソード電極C1〜C6の点灯順序を変えることで、スポットグループSGの傾き方を変えることができる。
【0060】
そこで、以下に説明する時分割駆動例は、このような時分割駆動の特性を活用して、上述した大きな段差Δlを小さく抑えるものである。具体的には、感光体ドラム21に設けられたエンコーダーECD(図16)の出力値に基づいて、ヘッドコントローラーHCが感光体ドラム21の表面速度を求めて、この速度結果から時分割駆動における点灯順序を決定する。
【0061】
A.第1の時分割駆動例
図11および図12は、第1の時分割駆動例を示す図である。特に、図11は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より遅い場合の第1の時分割駆動例を示しており、図12は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より速い場合の第1の時分割駆動例を示している。
【0062】
図7を用いて説明したとおり、感光体ドラム21表面の移動速度が所定の速度範囲より遅い場合は、スポットグループSGa(第1のスポットグループ)の形成位置は、スポットグループSGc(第2のスポットグループ)の形成位置に対して、副走査方向SDの上流側に大きくずれて、その結果、スポットグループSGaおよびスポットグループSGcの形成位置は主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いてこの順番で並ぶ。その結果、スポットグループSGaの形成位置とスポットグループSGcの形成位置との間に大きな段差Δlが生じていた。
【0063】
これに対して、第1の時分割駆動例では、図11に示すように、ヘッドコントローラーHCは、カソード電極C1〜C6の順番に各カソード電極をオンしている。そのため、スポットグループSGa、SGb、SGcのそれぞれは、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成される(左斜め下に傾いて形成される)。つまり、スポットグループSGa、SGcの形成位置が主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いてこの順番で並ぶのに合わせて、スポットグループSGa、SGcそれぞれが、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いている。その結果、図11では、図7に示したような段差Δlが小さく抑えられている。
【0064】
また、図7を用いて説明したとおり、感光体ドラム21表面の移動速度が所定の速度範囲より遅い場合は、スポットグループSGa(第1のスポットグループ)の形成位置は、スポットグループSGc(第2のスポットグループ)の形成位置に対して、副走査方向SDの下流側に大きくずれて、その結果、スポットグループSGaおよびスポットグループSGcの形成位置は主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いてこの順番で並ぶ。その結果、スポットグループSGaの形成位置とスポットグループSGcの形成位置との間に大きな段差Δlが生じていた。
【0065】
これに対して、第1の時分割駆動例では、図12に示すように、ヘッドコントローラーHCは、カソード電極C6〜C1の順番に各カソード電極をオンしている。そのため、スポットグループSGa、SGb、SGcのそれぞれは、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成される(左斜め上に傾いて形成される)。つまり、スポットグループSGa、SGcの形成位置が主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いてこの順番で並ぶのに合わせて、スポットグループSGa、SGcそれぞれが、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いている。その結果、図12では、図7に示したような段差Δlが小さく抑えられている。
【0066】
なお、感光体ドラム21表面の移動速度が所定の速度範囲にある場合は、図7で説明したような大きな段差Δlは生じないため、カソード電極C1〜C6のスイッチング順序は特に限定されない。そこで、例えば、カソード電極C1〜C6の順番に各カソード電極をオンするように構成しても良い。
【0067】
B.第2の時分割駆動例
図13および図14は、第2の時分割駆動例を示す図である。特に、図13は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より遅い場合の第1の時分割駆動例を示しており、図14は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より速い場合の第1の時分割駆動例を示している。
【0068】
上述した第1の時分割駆動例では、スポットグループSGbの形成位置と、その両端のスポットグループSGa、SGcの形成位置との間に、小さな段差Δsが生じていた。この段差Δsは上述の大きな段差Δlと比較して小さいため、特に問題とならない場合が多い。ただし、特に高解像度化を図るような場合には、この小さな段差Δsをさらに小さく抑えるように構成しても良い。そこで、第2の時分割駆動例では、スポットグループSGa、SGcに対応するカソード電極C1〜C6のスイッチング順序に対して、スポットグループSGbに対応するカソード電極C1〜C6のスイッチング順序を反対にしている。
【0069】
ちなみに、第2の時分割駆動例と第1の時分割駆動例の違いは、スポットグループSGbに対応するカソード電極C1〜C6のスイッチング順序であるので、以下では、この差異部分について主に説明することとし、共通部分については適宜説明を省略する。なお、第2の時分割駆動例においても、第1の時分割駆動例と共通の構成を具備することで、第1の時分割駆動例と同様の効果が奏されるものである。
【0070】
図13に示すように、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より遅い場合は、スポットグループSGbに対応するカソード電極は、カソード電極C6〜C1の順番でオンしており、その結果、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成される(左斜め上に傾いて形成される)。したがって、図11で示した小さい段差Δsをさらに小さく抑制することが可能となっている。
【0071】
また、図14に示すように、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲より速い場合は、スポットグループSGbに対応するカソード電極は、カソード電極C1〜C6の順番でオンしており、その結果、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成される(左斜め下に傾いて形成される)。したがって、図12で示した小さい段差Δsをさらに小さく抑制することが可能となっている。
【0072】
C.第3の時分割駆動例
図15は、第3の時分割駆動例を示す図であり、特に感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲にある場合の時分割駆動の例を示している。なお、第3の時分割駆動例は、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲にある場合の時分割駆動を示すものであり、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲外にある場合の時分割駆動は、第1あるいは第2の時分割駆動例で説明したものを用いることができる。
【0073】
図15に示すように、感光体ドラム21表面速度が所定の速度範囲にある場合には、主走査方向MDに並ぶスポットグループSG一つ毎に、各スポットグループSGに対応するカソード電極C1〜C6のスイッチング順序が反転している。その結果、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD上流側に傾いて形成されるスポットグループSGと、主走査方向MDの一方向きに副走査方向SD下流側に傾いて形成されるスポットグループSGとが、主走査方向MDに交互に並んでいる。その結果、主走査方向MDに隣接するスポットグループSGの形成位置を滑らかに接続することができ、より良好な潜像形成が可能となっている。
【0074】
D.信号処理の一例
続いて、上述の実施形態で実行される信号処理、および当該信号処理を実行する電気的構成の一例について説明する。図16は、信号処理を実行する電気的構成を示すブロック図である。図17は、図16の電気的構成が実行する信号処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
図16に示す電気的構成は、ラインヘッド29の構成に合わせて、ビデオデータVDの補正や並び換え等を実行するために、特開2009−139449号公報等に記載されているような信号処理を実行可能である。そして、図16に示す電気的構成は、この信号処理の一つとして、図17に示す補正情報取得フローを実行するように構成されている。まずは、図16の詳細の説明の前に、図17に示すフローについて説明する。
【0076】
ステップS101では、ヘッドコントローラーHCは、レジスター106に記憶されている発光素子行補正情報、発光素子グループ補正情報を読み出す。ここで、発光素子行補正情報は、図6に示した距離Dstに相当するものであり、発光素子グループ補正情報は、図6に示した距離Dsgに相当するものである。つまり、スポットグループSG内部においてスポットSTは副走査方向SDに距離Dstだけずれて形成されるとともに、各スポットグループSGa、SGb、SGcは副走査方向SDに距離Dsgだけ離れて形成される。そこで、ヘッドコントローラーHCは、このようなスポット形成位置の副走査方向SDへのずれを考慮しつつ、ビデオデータVDの並び換え等を行なうために、これらの補正情報をレジスター106から読み出す。
【0077】
そして、これら補正情報に基づいて、感光体ドラム21表面にレジストマークを形成して、これを光学センサーにより検出するとともに、この検出結果に基づいて各レジストマークの副走査方向SDへのずれを補正する補正量を求める(ステップS102)。また、ラインヘッド29の結像光学系OSは倒立像を形成するものであるため、発光素子グループEGからの光は反転されてスポットグループSGとして感光体ドラム21表面に照射される。したがって、このような結像光学系OSの特性に合わせて、ビデオデータVDを並び替えるために、ステップS103が実行される。さらに、レジストマークの検出結果から、主走査方向MDへの色ずれが検出され(ステップS104)、この検出結果に基づいて主走査方向へのレジスト補正情報が算出される(ステップS105)。そして、上記ステップで求めた情報に基づいて、レジスター106内に記憶されている、発光素子行補正情報、発光素子グループ補正情報および主走査レジスト補正情報が更新される(ステップS106)。以上が、図17のフローチャートの内容である。続いて、図16の電気的構成の詳細について説明する。
【0078】
図16に示すように、ヘッドコントローラーは、Video I/F部101、リクエスト信号生成部102、ヘッド制御信号生成部103、副走査ずれ補正部104、書込アドレス生成部105、レジスター106および時分割駆動順序設定部107を備える。
【0079】
画像形成装置に電源が投入されると、ヘッドコントローラーは、図17を用いて説明した補正情報取得処理を行う。なお、エンジンコントローラーECとヘッドコントローラーHC間の主走査レジスト情報の転送は、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信により実行される。
【0080】
印刷が開始されると、エンジンコントローラーECは紙端を検出して、垂直同期信号VsyncをヘッドコントローラーHCのリクエスト信号生成部102に送信する。また、印刷の開始に伴ない、感光体ドラム21が回転を始めるため、感光体ドラム21に設けられたエンコーダーECDが感光体ドラム21の回転速度を検出し、エンコーダーパルスを時分割駆動順序設定部107に送信する。そして、時分割駆動順序設定部107は、エンコーダーパルスのピッチから、上述した分割駆動例に示したような分割駆動順序を決定して、ラインヘッド29のドライバーICに通知する。
【0081】
リクエスト信号生成部ではリクエスト信号VREQ(ビデオデータリクエスト信号)とリクエスト信号HREQ(ラインデータリクエスト信号)を生成し、Video I/F101を経由して、メインコントローラーMCへ送信する。また、リクエスト信号HREQは、主走査レジストずれ補正部104、書込アドレス生成部105、副走査ずれ補正部104、ヘッド制御信号生成部103に送られ、各モジュール間の同期が取られる。
【0082】
メインコントローラーMCは、受信したリクエスト信号VREQ、HREQをトリガーとして、画像処理済みのビデオデータVDをヘッドコントローラーのVideo I/F部101へ送信する。このとき、配線コスト低減および配線の取り回しを容易にするために、パラレルのビデオデータをシリアルデータひ変換し、高速シリアル通信で送信することが望ましい。Video I/F部101はビデオデータVDをシリアルからパラレルに変換して主走査レジストずれ補正部108へと送信する。
【0083】
主走査レジストずれ補正部108では、レジスター106に格納されている、主走査レジスト情報に基づいて、主走査方向MDの端部に挿入される余白部分をドット単位で調整する。余白部分を調整する際は、リクエスト信号HREQからラインデータの先頭データが出力されるまでの時間を遅延回路1081(フリップフロップ)によって制御する。そして、主走査レジストずれ補正済のビデオデータVDを副走査ずれ補正部104へ送信する。
【0084】
図16では、遅延回路(フリップフロップ)によって余白部分を調整しているが、最大の主走査レジストずれ量分のメモリーを加えたラインバッファーを用いて余白部分を調整しても良い。すなわち、Video I/F部101から送られてきた1ラインデータをラインバッファーへ格納する際に、ラインデータの先頭に検出された主走査レジストずれ量分のダミーデータ(0データ)を加えることで、主走査方向MDの端部に挿入される余白部分を調整する。
【0085】
副走査ずれ補正部104では、書込アドレス生成部105で生成された書込アドレスに従って、主走査レジストずれ補正済ビデオデータをSRAM1041に書き込むことで、ラインヘッド特有の発光素子配置による副走査方向のずれ(Dst、Dsg)を補正する。書込アドレス生成部105では、レジスター106に格納されている発光素子行補正情報と発光素子グループ行補正情報に基づいて書込アドレスを生成する。なお、書込アドレスの生成方法は、特開2009−139449号公報等に記載のとおりである。
【0086】
副走査ずれ補正部104のSRAM1041に記憶されている副走査方向ずれ補正済みビデオデータVDを読み出すときに、倒立像を形成する結像光学系OSの負の光学倍率に対応して発光順序にビデオデータVDを並び換える(レンズ内データ順序変換)。また、同時にヘッド制御信号生成部103では、各種のヘッド制御信号(クロック、スタート信号、リセット信号など)を生成してラインヘッド29へ送信する。
【0087】
E.その他
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、レンズ行の行数は3行であったが、レンズ行の行数はこれに限られない。
【0088】
また、時分割駆動の態様も種々の変更が可能であり、時分割する個数も適宜変更できる。したがって、1個のカソード電極に6個の発光素子Eを接続していたが、1個のカソード電極に対して、これ以上あるいはこれ以下の個数の発光素子Eを接続してもよい。
【0089】
また、結像光学系OSの構成についても種々の変更が可能である。そこで、上記実施形態のように、縮小像や倒立像を結像させるものはもちろん、拡大像や正立像を結像させるものを結像光学系OSとして採用することも可能である。
【0090】
また、副走査方向SDに異なる位置に配置される結像光学系OSの個数(換言すれば、レンズ行の行数)は3個に限られず、2個あるいは4個以上であっても良い。
【0091】
また、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数や、配置態様も種々の変更が可能である。
【0092】
また、上述の有機EL素子以外に、LED(Light Emitting Diode)等の光源を、発光素子Eとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0093】
21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 ST…スポット、 SG、SGa、SGb、SGc…スポットグループ、 LS1、LS2…レンズ、 OS、OSa、OSb、OSc…結像光学系、 MC…メインコントローラー、 HC…ヘッドコントローラー、 MD…主走査方向(第2の方向)、 SD…副走査方向(第1の方向)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に移動する潜像担持体と、
前記第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行と、
前記第1のレンズ行の前記第1の方向側で、前記第2の方向にレンズを配設した第2のレンズ行と、
前記第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記潜像担持体に第1の光を照射する第1の発光素子と、
前記第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第1の光の前記第2の方向の一方側に第2の光を前記潜像担持体に対して照射する第2の発光素子と、
前記第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第2の光の前記第2の方向の一方側に第3の光を前記潜像担持体に対して照射する第3の発光素子と、
前記第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第3の光の前記第2の方向の一方側に第4の光を前記潜像担持体に対して照射する第4の発光素子と、
前記第1ないし第4の発光素子を、前記潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させる制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記潜像担持体の移動速度が前記所定の速度範囲より遅い場合は、前記第1の発光素子が発光する後に前記第2の発光素子が発光するように前記第1および前記第2の発光素子を時分割駆動するとともに、前記第3の発光素子が発光する後に前記第4の発光素子が発光するように前記第3および第4の発光素子を時分割駆動する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記潜像担持体の移動速度が前記所定の速度範囲より速い場合は、前記第2の発光素子が発光する後に前記第1の発光素子が発光するように前記第1および前記第2の発光素子を時分割駆動するとともに前記第4の発光素子が発光する後に前記第3の発光素子が発光するように前記第3および第4の発光素子を時分割駆動する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の方向への前記第1のレンズ行と前記第2のレンズ行の間で、前記第2の方向にレンズを配設した第3のレンズ行と、
前記第3のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第4の光の前記第2の方向の一方側に第4の光を前記潜像担持体に対して照射する第5の発光素子と、
前記第3のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第5の光の前記第2の方向の一方側に第6の光を前記潜像担持体に対して照射する第6の発光素子と、
を備える請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記潜像担持体の移動速度が前記所定の速度範囲より遅い場合は、前記第6の発光素子が発光する後に前記第5の発光素子が発光するように前記第5および前記第6の発光素子を時分割駆動する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記潜像担持体の移動速度が前記所定の速度範囲より速い場合は、前記第5の発光素子が発光する後に前記第6の発光素子が発光するように前記第5および前記第6の発光素子を時分割駆動する請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行、前記第1のレンズ行の前記第1の方向側で、前記第2の方向にレンズを配設した第2のレンズ行、前記第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第1の方向に移動する潜像担持体に第1の光を照射する第1の発光素子、前記第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第1の光の前記第2の方向の一方側に第2の光を前記潜像担持体に対して照射する第2の発光素子、前記第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第2の光の前記第2の方向の一方側に第3の光を前記潜像担持体に対して照射する第3の発光素子、および前記第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第3の光の前記第2の方向の一方側に第4の光を前記潜像担持体に対して照射する第4の発光素子を有する露光ヘッドの前記第1ないし第4の発光素子を、前記潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
第1の方向に移動する潜像担持体と、
前記第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行と、
前記第1のレンズ行の前記第1の方向側で、前記第2の方向にレンズを配設した第2のレンズ行と、
前記第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記潜像担持体に第1の光を照射する第1の発光素子と、
前記第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第1の光の前記第2の方向の一方側に第2の光を前記潜像担持体に対して照射する第2の発光素子と、
前記第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第2の光の前記第2の方向の一方側に第3の光を前記潜像担持体に対して照射する第3の発光素子と、
前記第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第3の光の前記第2の方向の一方側に第4の光を前記潜像担持体に対して照射する第4の発光素子と、
前記第1ないし第4の発光素子を、前記潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させる制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記潜像担持体の移動速度が前記所定の速度範囲より遅い場合は、前記第1の発光素子が発光する後に前記第2の発光素子が発光するように前記第1および前記第2の発光素子を時分割駆動するとともに、前記第3の発光素子が発光する後に前記第4の発光素子が発光するように前記第3および第4の発光素子を時分割駆動する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記潜像担持体の移動速度が前記所定の速度範囲より速い場合は、前記第2の発光素子が発光する後に前記第1の発光素子が発光するように前記第1および前記第2の発光素子を時分割駆動するとともに前記第4の発光素子が発光する後に前記第3の発光素子が発光するように前記第3および第4の発光素子を時分割駆動する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の方向への前記第1のレンズ行と前記第2のレンズ行の間で、前記第2の方向にレンズを配設した第3のレンズ行と、
前記第3のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第4の光の前記第2の方向の一方側に第4の光を前記潜像担持体に対して照射する第5の発光素子と、
前記第3のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第5の光の前記第2の方向の一方側に第6の光を前記潜像担持体に対して照射する第6の発光素子と、
を備える請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記潜像担持体の移動速度が前記所定の速度範囲より遅い場合は、前記第6の発光素子が発光する後に前記第5の発光素子が発光するように前記第5および前記第6の発光素子を時分割駆動する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記潜像担持体の移動速度が前記所定の速度範囲より速い場合は、前記第5の発光素子が発光する後に前記第6の発光素子が発光するように前記第5および前記第6の発光素子を時分割駆動する請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向にレンズを配設した第1のレンズ行、前記第1のレンズ行の前記第1の方向側で、前記第2の方向にレンズを配設した第2のレンズ行、前記第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第1の方向に移動する潜像担持体に第1の光を照射する第1の発光素子、前記第1のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第1の光の前記第2の方向の一方側に第2の光を前記潜像担持体に対して照射する第2の発光素子、前記第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第2の光の前記第2の方向の一方側に第3の光を前記潜像担持体に対して照射する第3の発光素子、および前記第2のレンズ行のレンズに対して設けられるとともに当該レンズにより結像される光を発光して、前記第3の光の前記第2の方向の一方側に第4の光を前記潜像担持体に対して照射する第4の発光素子を有する露光ヘッドの前記第1ないし第4の発光素子を、前記潜像担持体に速度に基づいた順序で時分割駆動して発光させることを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−135877(P2012−135877A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287637(P2010−287637)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]