説明

画像形成装置、画像形成装置の制御プログラム、印刷設定装置、印刷設定装置の制御プログラム、及び画像形成システム

【課題】タグ用紙に内蔵された複数のICタグのレイアウトと、面付け画像を構成する複数のページ画像のレイアウトとが一致させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】ICタグのレイアウトが異なる複数種類のタグ用紙を格納する給紙部を備えた画像形成装置は、給紙部に格納されたタグ用紙から各々のタグ用紙に内蔵されたICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を取得し、取得したレイアウト情報に基づき、ICタグのレイアウトが面付け画像を構成するページ画像のレイアウトと一致するタグ用紙を選択し(S204、S206、S208)、選択したタグ用紙に面付け画像を印刷する(S209)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のICタグが内蔵されたICタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷するための画像形成装置、当該画像形成装置の制御プログラム、当該画像形成装置の動作設定を行なうための印刷設定装置、当該印刷設定装置の制御プログラム、並びに当該画像形成装置及び当該印刷設定装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの画像形成装置は、印刷済みの記録用紙に中折りや中綴じ等の後処理を施して冊子を作成するための製本機能や、1ページ分のページ画像を縮小して1枚の記録用紙に繰り返し印刷するためのリピート印刷機能や、複数ページ分のページ画像を縮小して1枚の記録用紙に割り付けて印刷するためのN−up印刷機能を備えている。
【0003】
これらの機能は、複数ページ分のページ画像が均等にレイアウトされた「面付け画像」を印刷ページ画像とする点で共通している。このような面付け画像が印刷された記録用紙は、後処理装置により中折りや中綴じ等の後処理を施されると、個々のページ画像に相当する部分が見かけ上は別々のページとして仕上げられるか、又は裁断により別々の記録用紙に分離されることになる。
【0004】
また、多くの画像形成装置は、印刷用紙として通常の記録用紙の代わりにICタグが内蔵されたタグ用紙を用いることができる。例えば、以下の特許文献1には、コピー原稿にICタグが内蔵されているか否かをICタグリーダにより検出し、ICタグが内蔵されている場合には記録用紙としてタグ用紙を選択し、ICタグが内蔵されていない場合には通常の記録用紙を選択する画像形成装置が提案されている。
【0005】
しかし、上記のような面付け画像をタグ用紙に印刷しようとする場合、通常、1枚のタグ用紙にはICタグが1個しか内蔵されていないので、後処理済み印刷物における仕上がりページの多くにはICタグが配置されないことになる。また、印刷用紙として複数のICタグが内蔵されたタグ用紙を用いた場合であっても、面付け画像のレイアウトは無数に存在するので、これとタグ用紙上のICタグレイアウトとを一致させることは非常に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−225724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、タグ用紙に内蔵されたICタグのレイアウトと、面付け画像を構成するページ画像のレイアウトとを一致させることが可能な画像形成装置、当該画像形成装置の制御プログラム、当該画像形成装置の動作設定を行なう印刷設定装置、当該印刷設定装置の制御プログラム、並びに当該画像形成装置及び当該印刷設定装置を備えた画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷するための画像形成装置であって、ICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙を格納する給紙部と、前記給紙部に格納された前記タグ用紙から、各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を選択する選択部と、前記選択部が選択した前記タグ用紙に前記面付け画像を印刷する印刷部と、を有する画像形成装置。
【0010】
(2)前記取得部はICタグリーダであり、前記ICタグとの近距離通信により前記レイアウト情報を取得することを特徴とする上記(1)に記載の画像形成装置。
【0011】
(3)複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷するための画像形成装置の制御プログラムであって、前記画像形成装置の給紙部に格納されたICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙から、各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を取得する手順(A)と、前記手順(A)で取得された前記レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を選択する手順(B)と、前記手順(B)で選択された前記タグ用紙に前記面付け画像を印刷する手順(C)と、を前記画像形成装置に実行させる制御プログラム。
【0012】
(4)前記手順(A)では、ICタグリーダによる前記ICタグとの近距離通信により前記用紙レイアウト情報が取得されることを特徴とする上記(3)に記載の制御プログラム。
【0013】
(5)上記(3)または(4)に記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0014】
(6)複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷する画像形成装置の動作設定を行なうための印刷設定装置であって、前記画像形成装置の給紙部に格納されたICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙から取得された、各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を、前記画像形成装置から受信する通信部と、前記通信部が受信した前記レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を、前記画像形成装置が前記面付け画像を印刷するための記録用紙として選択する選択部と、を有する印刷設定装置。
【0015】
(7)前記通信部が受信した前記レイアウト情報に基づき、前記選択部が選択した前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトを視覚化した用紙プレビューを表示する表示部をさらに有することを特徴とする上記(6)に記載の印刷設定装置。
【0016】
(8)前記表示部は、前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトを視覚化した画像プレビューを前記用紙プレビューに重ね合わせて表示することを特徴とする上記(7)に記載の印刷設定装置。
【0017】
(9)複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷する画像形成装置の動作設定を行なうための印刷設定装置の制御プログラムであって、前記画像形成装置の給紙部に格納されたICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙から取得された、各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を、前記画像形成装置から受信する手順(A)と、前記手順(A)で受信された前記レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を、前記画像形成装置が前記面付け画像を印刷するための記録用紙として選択する手順(B)と、を前記印刷設定装置に実行させる制御プログラム。
【0018】
(10)前記手順(A)で受信された前記レイアウト情報に基づき、前記手順(B)で選択された前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトを視覚化した用紙プレビューを表示する手順(C)をさらに前記印刷設定装置に実行させることを特徴とする上記(9)に記載の制御プログラム。
【0019】
(11)前記手順(C)では、前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトを視覚化した画像プレビューが前記用紙プレビューに重ね合わせて表示されることを特徴とする上記(10)に記載の制御プログラム。
【0020】
(12)上記(9)〜(11)のいずれか1つに記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0021】
(13)複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷するための画像形成システムであって、前記面付け画像を印刷するための印刷ジョブを生成するジョブ生成部を有する印刷設定装置、及びICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙を格納する給紙部と、前記給紙部に格納された前記タグ用紙から各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関する用紙レイアウト情報を取得する取得部と、前記ジョブ生成部により生成された前記印刷ジョブを前記印刷設定装置から受信するジョブ受信部と、前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブに基づき前記面付け画像を印刷する印刷部と、を有する画像形成装置を備え、前記印刷部が前記面付け画像を印刷するための記録用紙として、前記取得部が取得した前記用紙レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を選択する選択部を含む画像形成システム。
【0022】
(14)前記画像形成装置は、前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブを解析して、前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトに関する画像レイアウト情報を取得する解析部をさらに有し、前記選択部は、前記画像形成装置側に設けられており、さらに前記解析部が取得した前記画像レイアウト情報に基づき前記タグ用紙を選択することを特徴とする上記(13)に記載の画像形成システム。
【0023】
(15)前記印刷設定装置は、前記画像形成装置と通信して前記取得部により取得された前記用紙レイアウト情報を受信する通信部をさらに有し、前記選択部は、前記印刷設定装置側に設けられており、前記通信部が受信した前記用紙レイアウト情報に基づき前記タグ用紙を選択することを特徴とする上記(13)に記載の画像形成システム。
【0024】
(16)前記印刷設定装置は、前記通信部が受信した前記用紙レイアウト情報に基づき、前記選択部が選択した前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトを視覚化した用紙プレビューを表示する表示部をさらに有することを特徴とする上記(15)に記載の画像形成システム。
【0025】
(17)前記表示部は、前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトを視覚化した画像プレビューを前記用紙プレビューに重ね合わせて表示することを特徴とする上記(16)に記載の画像形成システム。
【0026】
(18)前記取得部はICタグセンサであり、前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグとの近距離通信により前記用紙レイアウト情報を取得することを特徴とする上記(13)〜(17)のいずれか1つに記載の画像形成システム。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、画像形成装置の給紙部に格納されたタグ用紙からICタグレイアウトに関する用紙レイアウト情報が取得され、その用紙レイアウト情報に基づき面付け画像を印刷するための記録用紙が選択される。従って、本発明によれば、タグ用紙に内蔵されたICタグのレイアウトと、面付け画像を構成するページ画像のレイアウトとを一致させることが可能となる。その結果、ユーザは「中折り」や「中綴じ」等の後処理による仕上がりページの各々に1個のICタグが配置された印刷物を容易に作成することができるので、タグ用紙に面付け画像を印刷する際の利便性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る印刷設定装置(PC)の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)の外観を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)の構成を示すブロック図である。
【図5A】本発明の一実施形態に係る印刷設定装置(PC)により表示される印刷設定用UI画面の一例を示す概略図である。
【図5B】本発明の一実施形態に係る印刷設定装置(PC)により表示される印刷設定用UI画面の一例を示す概略図である。
【図5C】本発明の一実施形態に係る印刷設定装置(PC)により表示される印刷設定用UI画面の一例を示す概略図である。
【図5D】本発明の一実施形態に係る印刷設定装置(PC)により表示される印刷設定用UI画面の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る印刷設定装置(PC)により表示される印刷設定用UI画面の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るトレイ情報を示す概念図である。
【図8A】本発明の一実施形態に係るタグ用紙の外観を示す概略図である。
【図8B】本発明の一実施形態に係るタグ用紙の外観を示す概略図である。
【図8C】本発明の一実施形態に係るタグ用紙の外観を示す概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画像レイアウト/ICタグレイアウトについて説明するための概略図である。
【図10】本発明の一実施形態に係るICタグ位置について説明するための概略図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る印刷設定装置(PC)による印刷設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)による印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態に係る印刷ジョブの一例を示す概念図である。
【図14A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)の繰り返し印刷機能による出力結果の一例を示す概略図である。
【図14B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)の繰り返し印刷機能による出力結果の一例を示す概略図である。
【図14C】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)の繰り返し印刷機能による出力結果の一例を示す概略図である。
【図15A】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)の製本機能による出力結果の一例を示す概略図である。
【図15B】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)の製本機能による出力結果の一例を示す概略図である。
【図15C】本発明の一実施形態に係る画像形成装置(MFP)の製本機能による出力結果の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
−画像形成システムの構成(図1〜図4)
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムAの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムAは、印刷設定装置としてのPC1、及び画像形成装置としてのMFP2を備えており、これらは通信ネットワーク3を介して相互通信可能に接続されている。通信ネットワーク3は、LANやWAN等のコンピュータネットワークである。通信ネットワーク3に接続される機器の種類及び台数は、図1に示す例のみに限定されない。また、PC1とMFP2は、ネットワーク3を介することなくローカル接続されてもよい。
【0031】
特に、本実施形態に係るPC1は、均等にレイアウトされた複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷ページ画像とする印刷ジョブを生成してMFP2に送信することができる。そして、本実施形態に係るMFP2は、PC1から受信した印刷ジョブに基づく印刷ページ画像を記録用紙に印刷し、その印刷済み記録用紙に対して「中折り」や「中綴じ」等の後処理を施すことにより作成した印刷物を出力することができる。なお、面付け画像を構成する個々のページ画像はMFP2により出力された印刷物において個々の仕上がりページを構成することになるので、これを以下では「仕上がりページ画像」と呼ぶことにする。また、MFP2は、印刷ジョブに基づく印刷ページ画像を印刷するための記録用紙として通常の記録用紙のほかに1つ以上のICタグが内蔵されたタグ用紙を使用することができる。このタグ用紙との対比のため、ICタグが内蔵されていない通常の記録用紙を以下では「通常用紙」と呼ぶことにする。
【0032】
続いて、上記機器の構成について詳細に説明する。図2は、本実施形態に係るPC1の全体構成を示すブロック図である。図2に示すように、PC1は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、通信インタフェース15を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス16を介して相互に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0033】
制御部11は、CPUであり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。記憶部12は、各部の基本動作を制御するための制御プログラムやパラメータ等を格納するROM、作業領域として一時的に制御プログラムやパラメータ等を格納するRAM、及びOS(オペレーティングシステム、基本ソフトウェア)や制御プログラムやパラメータ等を格納するハードディスクを備えている。特に、記憶部12のハードディスクは、文書ファイルを作成するためのアプリケーション、及びアプリケーションにより作成された文書ファイルの印刷設定を行なうためのプリンタドライバを格納している。
【0034】
表示部13は、液晶表示装置であり、ユーザに各種情報を表示する。特に、表示部13は、前述のプリンタドライバによる印刷設定のための印刷設定用GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)画面Gを表示する。図5A〜図5D及び図6は、本実施形態に係る印刷設定用GUI画面Gの一例を示す概略図である。印刷設定用GUI画面Gについてはさらに後述する。操作部14は、キーボードやマウス等の入力装置であり、MFP2に対して設定すべき印刷設定情報を含む種々の操作指示をユーザから取得する。通信インタフェース15は、PC1をネットワーク3に接続し、MFP2を含むネットワーク3上の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0035】
以上の構成を有するPC1は、印刷設定用GUI画面Gによりユーザから取得した各種印刷設定情報に基づき印刷ジョブを生成し、それをネットワーク3経由でMFP2に送信することでMFP2に対する印刷指示を行なう。以下、図5A〜図5D及び図6を参照して、本実施形態に係る印刷設定用GUI画面Gの機能について説明する。各図に示すように、印刷設定用GUI画面Gは、マウス操作により相互に切り替え可能な「ジョブ情報」及び「装置情報」の2つのタブからなり、プリンタドライバ起動時には「ジョブ情報」のタブが表示されるように設計されている。これらのタブについて以下に順に説明する。
【0036】
先ず、図5A〜図5Dに示すように、「ジョブ情報」タブは、「給紙部指定」「ICタグ用紙」「片面・両面」のプルダウンメニューm1〜m3、及び「画像プレビュー」「用紙プレビュー」のトグルボタンb1、b2を備えている。ここで、「給紙部指定」のプルダウンメニューm1は、現在設定中の印刷ページ画像を印刷する記録用紙の種類を指定するために用いられる。より具体的に、ユーザのマウス操作によりプルダウンメニューm1中のいずれかのトレイが選択されると、それに連動して当該トレイに格納されている記録用紙のサイズ、紙種、斤量、ICタグ有無に関する情報が、それぞれ「用紙サイズ」「用紙種類」「斤量」「ICタグ」のテキストボックスに表示されることになる。これらの情報はプリンタドライバ起動時にMFP2から送信されるトレイ情報Iに基づいて表示される。このトレイ情報Iについてはさらに後述する。
【0037】
以上のように、図5A〜図5Dの例においては、MFP2のトレイ2には、A3サイズの普通紙からなる分割タグ用紙(斤量:74g/m)が格納されていることが分かる。ここで、「分割タグ用紙」とは、複数のICタグが内蔵されており、中折りや裁断等の後処理の結果、個々のICタグが別々の仕上がりページに配置されることになるタグ用紙のことである。なお、本GUI画面Gは、プリンタドライバ起動直後の初期状態においては、現在設定中の印刷ページ画像を構成する仕上がりページ画像レイアウトに対応するトレイが前述のトレイ情報Iに基づき自動選択されるよう設計されている。
【0038】
また、「画像レイアウト」のプルダウンメニューm2は、現在設定中の印刷ページ画像が面付け画像である場合に、その面付け画像を構成する個々の仕上がりページ画像のレイアウトを指定するために用いられる。図9は、本実施形態における画像レイアウトの指定方法について説明するための概略図である。同図のように、本実施形態では、横向きにした記録用紙の左右方向に配置されるページ画像の個数をNとし、上下方向に配置されるページ画像の個数をMとしたときの「N×M」により画像レイアウトを指定するものとする。画像レイアウトとしては、図5A〜図5Dのような「2×1」のほかにタグ用紙上のICタグのレイアウトに応じて「1×1」や「4×2」等を指定することができる。「片面・両面」のプルダウンメニューm3は、現在設定中の印刷ページ画像を記録用紙に片面印刷するか、又は両面印刷するかを指定するために用いられる。
【0039】
また、「画像プレビュー」及び「用紙プレビュー」のトグルボタンb1、b2は、現在設定中の印刷ページ画像の印刷結果を視覚化した画像プレビュー、及び「給紙部指定」プルダウンメニューm1により指定されたタグ用紙上のICタグレイアウトを視覚化した用紙プレビューの表示の有無を切り替えるために用いられる。図5Aは画像プレビュー及び用紙プレビューの両方が表示された状態を、図5Bは用紙プレビューのみが表示された状態を、図5Cは、画像プレビューのみが表示された状態を、図5cはどちらのプレビューも表示されていない状態を示す。なお、これらのプレビューは印刷設定用GUI画面Gによりユーザから取得した各種設定情報、及び通信インタフェース15によりMFP2から取得したトレイ情報Iに基づいて生成される。
【0040】
以上のように、本実施形態に係る印刷設定用GUI画面Gの「ジョブ情報」タブに移動したユーザは、画像プレビュー及び用紙プレビューを表示させることで、ICタグのレイアウトに対する仕上がりページ画像のレイアウトを視覚的に確認しながら印刷設定を行うことができる。そのため、タグ用紙に面付け画像を印刷する際の利便性が大幅に向上する。また、特に図示しないが、「画像レイアウト」のプルダウンメニューm2により指定された仕上がりページ画像のレイアウトと、「給紙部指定」のプルダウンメニューm1により指定されたタグ用紙上のICタグのレイアウトが一致するか否かを自動的に判別し、両者が一致しない場合に所定のエラーメッセージを表示するように印刷設定用GUI画面Gを設計することも可能である。
【0041】
続いて、図6に示すように、「装置情報」タブは、個々のトレイに格納された記録用紙に関する詳細情報を前述の用紙プレビューとともに表示する。図6に示す例では、MFP2のトレイ1には、A3サイズの普通紙からなるICタグレイアウトが「1×1」の非分割タグ用紙(斤量:74g/m)が、トレイ2には、A3サイズの普通紙からなるICタグレイアウトが「1×2」の分割タグ用紙(斤量:74g/m)が、トレイ3には、A3サイズの普通紙からなるICタグレイアウトが「4×2」の分割タグ用紙(斤量:74g/m)が、トレイ4には、A3サイズの普通紙からなる通常用紙(斤量:74g/m)が、トレイ5には、A4サイズのコート紙からなるICタグレイアウトが「1×1」の非分割タグ用紙(斤量:120g/m)が、トレイ6には、A4サイズのコート紙からなる通常用紙(斤量:120g/m)が、それぞれ格納されていることになる。なお、図中のトレイ1〜6は、後述するMFP2の給紙トレイ271a〜271fに等しい。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る印刷設定用GUI画面Gの「装置情報」タブに移動したユーザは、各々の給紙トレイに格納された記録用紙のサイズ、ICタグの有無、ICタグのレイアウト等を一度に確認することができるので、タグ用紙に面付け画像を印刷する際の利便性がさらに向上する。
【0043】
続いて、図3は本実施形態に係るMFP2の外観を示す概略図であり、図4はMFP2の全体構成を示すブロック図である。図3及び図4に示すように、MFP(Multi−Functional Peripheral)2は、制御部21、記憶部22、操作部23、画像読取部24、印刷部25、給紙部26、通信インタフェース27、及び後処理部30を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス28を介して相互に接続されている。これらの構成要素について以下に順に説明する。
【0044】
制御部21は、CPUであり、プログラムに従って各部の動作を制御するとともに各種演算処理を実行する。記憶部22は、各部の基本動作を制御するための制御プログラムやパラメータ等を格納するROM、作業領域として一時的に制御プログラムやパラメータ等を格納するRAM、及びOS(オペレーションシステム、基本ソフトウェア)や制御プログラムやパラメータ等を格納するハードディスクを備えている。特に、本実施形態に係る記憶部22は、給紙部26の給紙トレイに格納された記録用紙に関する詳細情報である前述のトレイ情報Iを保持している。このトレイ情報Iについて以下に説明する。
【0045】
図7は本実施形態に係るトレイ情報Iの一例を示す概念図である。図7のように、トレイ情報Iは、各々の給紙トレイ内の記録用紙に関する「用紙サイズ」「用紙種類」「用紙斤量」「ICタグ有無」等の情報を包含し、給紙トレイ内の記録用紙がタグ用紙である場合には「ICタグ個数」「ICタグレイアウト」「ICタグ位置」等の情報をさらに包含するテーブル群である。
【0046】
図8A〜図8Cは、図7のトレイ情報Iに含まれるトレイ1〜3のテーブルに対応するタグ用紙の外観を示す概略図である。ここで、本実施形態に係るトレイ情報IにおけるICタグレイアウトの表現方法は、図9を参照して説明した画像レイアウトの指定方法と同様である。また、図10は、本実施形態に係るトレイ情報IにおけるICタグ位置の表現方法について説明するための概略図である。図10のように、タグ用紙上のICタグ位置は、横向きに配置された記録用紙の左上隅を原点とし、記録用紙の横方向をX方向、縦方向をY方向としたときの(X,Y)座標で表される。つまり、「ICタグレイアウト」が「2×1」であるタグ紙は、その横方向(長手方向)に沿ってICタグが2つ配置された記録用紙である。そして、「ICタグレイアウト」が「4×2」であるタグ紙は、その横方向(長手方向)に沿って4つずつ、縦方向に沿って2つずつ、合計8つのICタグが配置された記録用紙である。なお、図8A〜図8Cの注釈欄に示すように、個々のICタグには、ICタグ位置、ICタグ個数、ICタグレイアウト等の当該ICタグに関する詳細情報が格納されているものとする。
【0047】
操作部23は、各種情報を表示するとともにユーザから各種設定情報を取得するためのタッチパネル、コピー枚数等を設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー、各種設定条件を初期化するリセットキー等の各種固定キー、表示ランプ等を含むタッチパネルである。画像読取部24は、原稿台の所定の読取位置にセットされた原稿、又はADF(Auto Document Feeder;自動原稿搬送装置)により所定の読取位置に搬送された原稿に蛍光ランプ等の光源から光を当て、その反射光をCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の受光素子で光電変換することで得られる電気信号からページ画像データ(ビットマップデータ)を生成する。
【0048】
印刷部25は、画像読取部24により生成したページ画像データ又はPC1等から受信した印刷ジョブに基づく印刷ページ画像を電子写真方式により記録用紙に印刷する。より具体的に、印刷部25は、感光体ドラムを帯電させる帯電工程、レーザ光により感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する現像工程、感光体ドラム上のトナー画像を転写ベルトにより記録用紙に転写する転写工程、記録用紙に転写されたトナー画像を定着ローラにより加熱・定着させる定着工程を順次実行することにより印刷ページ画像を記録用紙に印刷する。なお、ここでいう記録用紙とは通常用紙又はタグ用紙である。また、印刷部25が採用する印刷方式は、上述の電子写真方式以外に、インパクト方式、熱転写方式、及びインクジェット方式等であってもよい。印刷部25による印刷済みの記録用紙は後処理部26に搬送される。
【0049】
また、本実施形態に係る印刷部25は、1つの印刷ページ画像を縮小して1枚の記録用紙に繰り返し印刷するためのリピート印刷機能や、複数ページ分の印刷ページ画像を縮小して1枚の記録用紙に割り付けて印刷するためのN−up印刷機能を備えている。図14A〜図14Cは、リピート印刷機能、及びN−up印刷機能による出力結果の一例を示す概略図である。より具体的に、図14Aは、印刷ページ画像を1/2に縮小して1枚の記録用紙に2回ずつ繰り返し印刷した印刷結果を示し、図14Bは、印刷ページ画像を1/8に縮小して1枚の記録用紙に8回ずつ繰り返し印刷した出力結果を示す。図14Cは、1〜6ページ分の印刷ページ画像をそれぞれ1/2に縮小して1枚の記録用紙にカット&スタック方式で割り付けて印刷した出力結果を示す。
【0050】
後処理部26は、印刷部25から搬送された記録用紙に対してユーザ指定の後処理を施して出力用の印刷物を作成する。特に、本実施形態に係る後処理部26は、印刷済み記録用紙に中折り及び中綴じを施すことにより冊子を作成する製本機能を備えている。後処理部26により作成された印刷物は、後処理部26の側面に設置された排紙トレイ262に排出される。なお、後処理部26に設置されたもう一つの排紙トレイ261は、後処理の指定がなされていない場合に印刷済み記録用紙をそのまま排出するための排紙トレイである。
【0051】
ここで、図15A〜図15Cは、本実施形態に係る後処理部26の製本機能による出力結果の一例を示す概略図である。より具体的に、図15Aは、中折りにした3枚の記録用紙をまとめて中綴じにした出力結果を示し、図15Bは、中折りにした4枚の記録用紙を2枚ずつ中綴じにした出力結果を示し、図15Cは、中折りにした4枚の記録用紙を1枚ずつ中綴じにした出力結果を示す。各図中の破線は折り曲げ位置を表し、記録用紙上の数字は製本後の印刷物のページ番号を表す。
【0052】
給紙部27は、複数種類の記録用紙を種類ごとに格納する6つの給紙トレイ271〜276を備えている。ただし、本実施形態に係る給紙トレイの数はこれに限定されない。なお、図3中では簡略化のために給紙トレイ271〜273のみを示している。また、それぞれの給紙トレイ271〜276は、タグ用紙に内蔵されたICタグから前述のICタグ情報iを読み取るためのICタグリーダ271a〜276aを備えている。ICタグリーダ271a〜276aについてはさらに後述する。通信インタフェース27は、MFP2をネットワーク3に接続し、PC1を含むネットワーク3上の他の機器と通信するためのインタフェースである。
【0053】
本実施形態に係るICタグリーダ271a〜276aは、一般的なICタグリーダであり、給紙トレイ271〜276に格納された記録用紙がタグ用紙であるか否かを判定するとともに、当該記録用紙がタグ用紙である場合にはそれに内蔵されたICタグから前述のICタグ情報iを読み取るために用いられる。より具体的に、ICタグリーダ271a〜276aは給紙トレイ271〜276内の記録用紙に向かって電波を発信し、それに対する返信の有無に応じて当該記録用紙がタグ用紙であるか否かを判定する。そして、給紙トレイ内の記録用紙がタグ用紙である場合にはそれに内蔵されたICタグとの近距離通信により当該ICタグ内に保持されたICタグ情報iを取得する。ICタグリーダ271a〜276aは、ICタグ内のICタグ情報iを一度に読み取ることもできるし、これを所定単位ごとに読み取ることもできる。
【0054】
また、ICタグリーダ271a〜276aとタグ用紙内のICタグとの間の近距離通信には、135kHz、13.56MHz、2.45GHzの周波数帯のいずれかが採用されるが、13.56MHzが最も一般的であり、そのときの最大通信可能距離は30cm程度である。タグ用紙内のICタグとの通信可能距離を伸ばすために、各々の給紙トレイ271〜276には複数のICタグリーダ271a〜276aが設けられてもよい。ICタグリーダとICタグとの間の通信方式は例えば国際標準規格のISO14443やISO15693等に規定されたものがあるが、本実施形態は必ずしもこれに限定されない。
【0055】
以上のようにICタグリーダ271a〜276aにより取得されたICタグ情報iは制御部21により読み取られて記憶部22に展開される。これにより図8のようなトレイ情報Iが生成される。トレイ情報Iが生成されるタイミングは特に限定されないが、例えばMFP2の電源投入時又はユーザによる給紙トレイの開閉時であることが好ましい。
【0056】
−印刷設定装置の処理(図11)
次に、本実施形態に係る印刷設定装置(PC1)の動作の概要について説明する。図11は、PC1による印刷設定処理の一部をなす「トレイ情報表示処理」の手順を示すフローチャートである。なお、図11のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部12に制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際に制御部11により読み出されて実行される。
【0057】
先ず、PC1は、プリンタドライバが起動されるまで待機する(S101のNO)。なお、プリンタドライバは、ユーザがPC1に実装されたアプリケーション上で所定の操作を行なったときに起動される。そして、PC1は、プリンタドライバが起動されたら(S101のYES)、ネットワーク3を介してMFP2に接続し、MFP2から前述のトレイ情報Iを取得する(S102)。このとき、PC1は、MFP2の記憶部22に保持されているトレイ情報Iを丸ごと取得するのではなく、トレイ情報Iのうち本処理に必要な情報のみを取得してもよい。つまり、S102で取得される情報量(パラメータ数)よりもMFP2側に保持されている情報量の方が大きい場合がある。なお、前述のように、プリンタドライバ起動されると、PC1の表示部13には印刷設定用GUI画面Gが表示されるものとする。
【0058】
また、S102におけるトレイ情報Iの取得方法は特に限定されないが、例えば、PC1とMFP2が通信プロトコルとしてSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて通信を行う場合、PC1はMFP2側に設けられたMIB(Management Information Base)テーブルからトレイ情報Iを取得する。そして、S102で取得したトレイ情報Iを記憶部12のRAM上に展開する(S103)。これにより、トレイ情報Iの内容が表示部23に表示中の印刷設定用GUI画面Gに反映される(図5A〜図5D参照)。
【0059】
続いて、PC1は、ユーザ操作により印刷設定用GUI画面Gが「装置情報」のタブに切り替えられるまで待機する(S104のNO)。そして、同GUI画面が「装置情報」タブに切り替えられたら(S104のYES)、S103でRAMに展開済みのトレイ情報に基づき各々の記録用紙に対応する用紙プレビューを作成し、それを「装置情報」タブ内に表示する(S105)。その後、PC1は一連の処理を終了する。
【0060】
−画像形成装置の処理(図12)
次に、本実施形態に係る画像形成装置(MFP2)の動作の概要について説明する。図12は、MFP2による印刷処理の手順を示すフローチャートである。図12のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、記憶部22に制御プログラムとして記憶されており、動作開始の際に制御部21により読み出されて実行される。なお、本処理の前提条件として、ICタグセンサ271a〜276aにより取得されたICタグ情報iに基づき、図7のようなトレイ情報Iが生成され、記憶部22に保持されているものとする。
【0061】
先ず、MFP2はPC1から印刷ジョブを受信するまで待機する(S201のNO)。ここで、本実施形態に係る印刷ジョブについて説明する。
【0062】
本実施形態に係る印刷ジョブは、シアン(C)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の4色からなる画像データ、及びユーザ指定の各種設定情報からなる印刷ジョブ情報を含む。図13は、本実施形態に係る印刷ジョブの印刷ジョブ情報Jを示す概念図である。図13のように、印刷ジョブ情報Jは、全ての印刷ページに共通の設定情報を格納するジョブ情報j1、及び個々の印刷ページに特有の設定情報を格納するページ情報j2から構成される。図13に例示したジョブ情報j1を参照すると、当該ジョブのジョブIDは「00009317」であり、その合計ページ数は「120」であることが分かる。また、個々のページ情報j2を参照すると、1ページ目の画像レイアウトは「2×1」であり、タグ用紙の指定は「On(分割)」であることが分かる。同様に、2ページ目の画像レイアウトは「4×2」であり、タグ用紙の指定は「On(分割)」であり、3ページ目の画像レイアウトは「2×1」であり、タグ用紙の指定は「On(非分割)」であり、4ページ目の画像レイアウトは「2×1」であり、タグ用紙の指定は「Off」であり、5ページ目の画像レイアウトは「1×1」であり、タグ用紙の指定は「Off」であることが分かる。
【0063】
続いて、MFP2は、PC1から印刷ジョブを受信したら(S201のYES)、印刷ジョブに含まれる印刷ページごとにS202〜S210の処理を繰り返し実行する。先ず、MFP2は、受信した印刷ジョブ内のページ情報j2を解析して(S202)、現在処理中の印刷ページに対してタグ用紙の指定がなされているか否かを判定する(S203)。
【0064】
より具体的に、MFP2は「ICタグ用紙」の値に「On」と「Off」のどちらが含まれるかを判定する。そして、タグ用紙の指定がなされていない場合(S203のNO)、すなわち、「ICタグ用紙」の値に「Off」が含まれている場合、MFP2はトレイ情報Iを参照して指定サイズの通常用紙が格納されている給紙トレイを選択し、その給紙トレイ内の記録用紙を印刷部25に給紙する(S204)。ここで、指定サイズとは、ページ情報j2の「用紙サイズ」の値に対応する記録用紙サイズである。この点は後述のS206及びS208においても同様である。例えば、現在処理中の印刷ページが図7に例示された印刷ジョブの4ページ目である場合、MFP2は、A3サイズの普通紙からなる通常用紙が格納された給紙トレイ、すなわち、図6及び図8に例示されたトレイ4(給紙トレイ274)を選択する。
【0065】
他方、タグ用紙の指定がなされている場合(S203のYES)、すなわち、「ICタグ用紙」の値に「ON」が含まれている場合、MFP2は指定されたタグ用紙が非分割タグ用紙と分割タグ用紙のどちらであるかをさらに判定する(S205)。より具体的に、MFP2は「ICタグ用紙」の値に「非分割」と「分割」のどちらが含まれるかを判定する。そして、非分割タグ用紙が指定されている場合(S205のNO)、MFP2はトレイ情報Iを参照して指定サイズの非分割タグ用紙が格納されている給紙トレイを選択し、その給紙トレイ内の記録用紙を印刷部25に給紙する(S206)。例えば、現在処理中の印刷ページが図7に例示された印刷ジョブの3ページ目である場合、MFP2は、A3サイズの普通紙からなる非分割タグ用紙が格納された通常用紙が格納された給紙トレイ、すなわち、図6及び図8に例示されたトレイ1(給紙トレイ271)を選択する。
【0066】
また、分割タグ用紙が指定されている場合(S205のYES)、MFP2はページ情報j2中の「画像レイアウト」の値を参照して、現在処理中の印刷ページ上での画像レイアウトを特定する(S207)。そして、MFP2は、トレイ情報Iを参照して、S207で特定した画像レイアウトとICタグレイアウトが一致する分割タグ用紙が格納されている給紙トレイを選択し、その給紙トレイ内の記録用紙を印刷物25に給紙する(S208)。例えば、現在処理中の印刷ページが図7に例示された印刷ジョブの2ページ目である場合、MFP2は、A3サイズの普通紙からなりICタグレイアウトが「4×2」である分割タグ用紙が格納された給紙トレイ、すなわち、図6及び図8に例示されたトレイ3(給紙トレイ273)を選択する。
【0067】
続いて、MFP2は、印刷部25により、S204、S206、S208のいずれかで給紙された記録用紙に対して現在処理中の印刷ページ画像を印刷する(S209)。そして、MFP2は、必要に応じて後処理部26による各種後処理を実行してから記録用紙を給紙トレイ261、262のいずれかに排出する(S210)。その後、MFP2は一連の処理を終了する。なお、本フローチャートでは、MFP2側で印刷ジョブ及びトレイ情報Iに基づき給紙トレイが選択される構成について説明したが、前述のようにPC1側の印刷設定用GUI画面G上で給紙トレイが選択される場合もある。その場合、GUI画面G上での選択結果が印刷ジョブに含まれることになるので、MFP2はS204、S206、S208のように主体的に給紙トレイを選択するのではなく、単に印刷ジョブの指示に従って記録用紙を給紙することになる。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システムAは、MFP2の給紙トレイ271〜276に格納されたタグ用紙からICタグレイアウトに関する用紙レイアウト情報(トレイ情報I)を取得し、その用紙レイアウト情報に基づき面付け画像を印刷するための記録用紙を選択する。これにより、本実施形態に係る画像形成システムAは、タグ用紙に内蔵されたICタグのレイアウトと、面付け画像を構成するページ画像のレイアウトとを一致させることが可能となる。その結果、ユーザは「中折り」や「中綴じ」等の後処理による仕上がりページの各々に1個のICタグが配置された印刷物を容易に作成することができるので、タグ用紙に面付け画像を印刷する際の利便性が大幅に向上する。
【0069】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内容に応じて種々改変することができる。例えば、上記実施形態において、画像形成装置により処理される印刷ジョブは印刷設定装置側で生成されネットワークを介して画像形成装置側に送信されるものとして説明したが本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、本発明に係る印刷ジョブは、画像形成装置側の画像読取部により生成されたスキャン画像データの印刷指令であってもよい。
【0070】
本発明に係る画像形成装置及び印刷設定装置は、上記手順を実行するための専用のハードウェア回路によっても、上記手順を記述したプログラムをCPUが実行することによっても実現可能である。後者により本発明を実現する場合、画像処理装置又は印刷設定装置を動作させるプログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送され記録される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置又は印刷設定装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 PC、
11 制御部、
12 記憶部、
13 表示部、
14 操作部、
15 通信インタフェース、
2 MFP、
21 制御部、
22 記憶部、
23 操作部、
24 画像読取部、
25 印刷部、
26 後処理部、
27 給紙部、
271 給紙トレイ、
271a ICタグセンサ、
272 給紙トレイ、
272a ICタグセンサ、
273 給紙トレイ、
273a ICタグセンサ、
A 画像形成システム、
G 印刷設定用GUI画面
I トレイ情報、
i ICタグ情報
J 印刷ジョブ情報、
j1 ジョブ情報、
j2 ページ情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷するための画像形成装置であって、
ICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙を格納する給紙部と、
前記給紙部に格納された前記タグ用紙から、各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を選択する選択部と、
前記選択部が選択した前記タグ用紙に前記面付け画像を印刷する印刷部と、を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記取得部はICタグリーダであり、前記ICタグとの近距離通信により前記レイアウト情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷するための画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置の給紙部に格納されたICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙から、各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を取得する手順(A)と、
前記手順(A)で取得された前記レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を選択する手順(B)と、
前記手順(B)で選択された前記タグ用紙に前記面付け画像を印刷する手順(C)と、を前記画像形成装置に実行させる制御プログラム。
【請求項4】
前記手順(A)では、ICタグリーダによる前記ICタグとの近距離通信により前記用紙レイアウト情報が取得されることを特徴とする請求項3に記載の制御プログラム。
【請求項5】
請求項3または4に記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項6】
複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷する画像形成装置の動作設定を行なうための印刷設定装置であって、
前記画像形成装置の給紙部に格納されたICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙から取得された、各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を、前記画像形成装置から受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を、前記画像形成装置が前記面付け画像を印刷するための記録用紙として選択する選択部と、を有する印刷設定装置。
【請求項7】
前記通信部が受信した前記レイアウト情報に基づき、前記選択部が選択した前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトを視覚化した用紙プレビューを表示する表示部をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の印刷設定装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトを視覚化した画像プレビューを前記用紙プレビューに重ね合わせて表示することを特徴とする請求項7に記載の印刷設定装置。
【請求項9】
複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷する画像形成装置の動作設定を行なうための印刷設定装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置の給紙部に格納されたICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙から取得された、各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関するレイアウト情報を、前記画像形成装置から受信する手順(A)と、
前記手順(A)で受信された前記レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を、前記画像形成装置が前記面付け画像を印刷するための記録用紙として選択する手順(B)と、を前記印刷設定装置に実行させる制御プログラム。
【請求項10】
前記手順(A)で受信された前記レイアウト情報に基づき、前記手順(B)で選択された前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトを視覚化した用紙プレビューを表示する手順(C)をさらに前記印刷設定装置に実行させることを特徴とする請求項9に記載の制御プログラム。
【請求項11】
前記手順(C)では、前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトを視覚化した画像プレビューが前記用紙プレビューに重ね合わせて表示されることを特徴とする請求項10に記載の制御プログラム。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1つに記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】
複数のICタグが内蔵されたタグ用紙に複数のページ画像から構成された面付け画像を印刷するための画像形成システムであって、
前記面付け画像を印刷するための印刷ジョブを生成するジョブ生成部を有する印刷設定装置、及び
ICタグのレイアウトが異なる複数種類の前記タグ用紙を格納する給紙部と、前記給紙部に格納された前記タグ用紙から各々の前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトに関する用紙レイアウト情報を取得する取得部と、前記ジョブ生成部により生成された前記印刷ジョブを前記印刷設定装置から受信するジョブ受信部と、前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブに基づき前記面付け画像を印刷する印刷部と、を有する画像形成装置を備え、
前記印刷部が前記面付け画像を印刷するための記録用紙として、前記取得部が取得した前記用紙レイアウト情報に基づき、前記ICタグのレイアウトが前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトと一致する前記タグ用紙を選択する選択部を含む画像形成システム。
【請求項14】
前記画像形成装置は、前記ジョブ受信部が受信した前記印刷ジョブを解析して、前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトに関する画像レイアウト情報を取得する解析部をさらに有し、
前記選択部は、前記画像形成装置側に設けられており、さらに前記解析部が取得した前記画像レイアウト情報に基づき前記タグ用紙を選択することを特徴とする請求項13に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記印刷設定装置は、前記画像形成装置と通信して前記取得部により取得された前記用紙レイアウト情報を受信する通信部をさらに有し、
前記選択部は、前記印刷設定装置側に設けられており、前記通信部が受信した前記用紙レイアウト情報に基づき前記タグ用紙を選択することを特徴とする請求項13に記載の画像形成システム。
【請求項16】
前記印刷設定装置は、前記通信部が受信した前記用紙レイアウト情報に基づき、前記選択部が選択した前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグのレイアウトを視覚化した用紙プレビューを表示する表示部をさらに有することを特徴とする請求項15に記載の画像形成システム。
【請求項17】
前記表示部は、前記面付け画像を構成する前記ページ画像のレイアウトを視覚化した画像プレビューを前記用紙プレビューに重ね合わせて表示することを特徴とする請求項16に記載の画像形成システム。
【請求項18】
前記取得部はICタグセンサであり、前記タグ用紙に内蔵された前記ICタグとの近距離通信により前記用紙レイアウト情報を取得することを特徴とする請求項13〜17のいずれか1つに記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5B】
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【図5D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図5A】
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【図5C】
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【図6】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【公開番号】特開2011−79140(P2011−79140A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230613(P2009−230613)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】