説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラム

【課題】ユーザの人体からのユーザ認証情報の読み取りと人体通信によるユーザが保有する装置との通信を少ない手順で実施することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置のUI部にはユニット101が設けられている。ユニット101は、人体通信ユニット103と、指紋センサ105とを有している。ユーザがユニット101のセンサ面101aに指61を触れると、CPU201が、人体通信ユニット103により、ユーザが保持する装置との間で人体通信を行う。人体通信により、ユーザが保持する装置とデータを送受信することができる。また、指紋センサ105により指紋が読み取られ、CPU201によりユーザの認証が行われる。これにより、画像形成装置の利便性を向上させ、また、データの取り違えを防止して高いセキュリティを確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムに関し、特に、認証装置によりユーザを認証することができる画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
認証装置によりユーザを認証することができる電子写真式の画像形成装置(スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなど)がある。
【0003】
下記特許文献1には、ユーザ認証装置を備えた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、ユーザの指紋情報や指静脈情報などの生体情報を読み取る。また、読み取った生体情報と装置内などに記憶されている情報とを照合することによりユーザの認証を行う。
【0004】
この画像形成装置は、ユーザの認証結果に応じて、装置動作の許可や、操作画面のカスタマイズなどを行う。ユーザ毎に操作画面のカスタマイズを行うための画面構成データは、装置内に格納されている。ユーザの生体情報を読み取って認証を行うので、容易に認証を行うことができる。また、ユーザの認証を確実に行うことができる。
【0005】
また、下記特許文献2には、ユーザの認証が完了すると、接続された認証キーとの間でデータの送受信を実行する画像形成装置が開示されている。
【0006】
認証キーには、ユーザの認証情報およびデータが格納されている。ユーザの認証は、ユーザの指紋を指紋センサで読み取って認証キーに格納されている認証情報と照合することにより行われる。ユーザ認証が完了することにより、画像形成装置が認証キー内のデータを印刷する。また、画像形成装置内のスキャンデータを認証キーに格納する。
【0007】
なお、特許文献3には、携帯型音楽再生装置とヘッドフォン間において人体通信技術による音声データの伝送を行う人体通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−13682号公報
【特許文献2】特開2004−355244号公報
【特許文献3】特開2006−303736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のような画像形成装置では、ユーザの認証を行う認証部とデータ通信を行う情報通信部とが異なって配置されている。このため、ユーザの認証結果に応じてデータ通信を実行する場合、ユーザ認証を行うための準備とデータ通信を行うための準備とを別途行う必要がある。すなわち、この場合、ユーザの認証に先だって、認証後に受渡しするデータの通信経路を確保し、その後ユーザの認証を行わなければならない。このように複数の手順を行ってユーザが認証されると、それをトリガにしてデータ通信が実行可能となる。
【0010】
例えば、特許文献2について、ユーザ認証とデータ通信とを行う場合について説明する。認証キーとしていわゆるUSBメモリ(USB flash drive)を採用しているとする。画像形成装置には、指紋認証などの認証装置が接続されている。この場合、ユーザの認証を行う前に、予めUSBメモリを装置のUSBポートに接続する。USBメモリの接続後、指紋を認証装置で読み取らせて認証を行う。ユーザの認証が完了して初めて、USBメモリ内のデータを送信または受信できる。
【0011】
画像形成装置内に設けられたHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置からデータを読み込む場合や、画像形成装置と画像形成装置にネットワーク接続されたサーバとの間でデータ通信を行う場合も、上述と同様である。すなわち、ユーザ認証を行う前に、記憶装置を画像形成装置に接続したり、画像形成装置およびサーバをネットワークに接続したりして、データを送受信するための経路を確保しておく必要がある。
【0012】
また、上記問題点とは別に、ユーザの認証結果に応じてデータ通信を実行する場合、セキュリティ上の問題が生じる。すなわち、ユーザの認証とデータの送受信が別々に行われるため、ユーザ認証された認証者とデータの保有者が異なっても、データ通信が行われる場合がある。
【0013】
例えば、上述の特許文献2について、認証キーとしてUSBメモリを使用するとき、あるユーザがUSBメモリを画像形成装置から取り外すことを忘れることが考えられる。この場合、接続されているUSBメモリの所有者とは別のユーザが認証を行うと、他人のUSBメモリと画像形成装置との間でデータの送受信を実行できてしまう。
【0014】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、ユーザの認証とデータの送受信とを少ない手順で実施することができ、利便性が高く、かつ、より高いセキュリティを確保することができる画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、画像形成装置は、ユーザの人体からのユーザ認証情報の読み取り、およびユーザの人体を介した人体通信を行うことが可能なユニットと、ユニットにより読み取られたユーザ認証情報によってユーザの認証を行う認証制御部と、人体通信によりユーザが保有する装置と通信するための人体通信制御部とを備える。
【0016】
好ましくはユニットは、ユーザの指または手からユーザ認証情報を読み取り、ユニットは、ユーザの指または手を介して人体通信を行い、ユーザが指または手をユニットに接触させるまたはかざすだけのワンアクションで、ユーザ認証情報の読み取り、およびユーザの指または手を介した人体通信を行う。
【0017】
好ましくは画像形成装置は、認証制御部によるユーザの認証動作と、人体通信制御部によるユーザが保有する装置との間でのデータの送信および受信の少なくとも一方とを並列に実行する。
【0018】
好ましくは画像形成装置は、認証制御部によるユーザの認証が成立したとき、人体通信制御部によりユーザが保有する装置との間でデータの送信および受信の少なくとも一方を行う。
【0019】
好ましくは画像形成装置は、人体通信制御部によりユーザが保有する装置との間でデータの送信および受信の少なくとも一方を行った後に、認証制御部によるユーザの認証動作を行う。
【0020】
好ましくは人体通信制御部により送信されたデータおよび受信されたデータの少なくとも一方は、認証制御部の判定によりユーザの認証が成立しなかった場合に破棄される。
【0021】
好ましくは画像形成装置は、人体通信制御部によりユーザが保有する装置に格納されている画像データを受信し、画像データに基づき画像形成を行う画像形成手段をさらに備える。
【0022】
好ましくは画像形成装置は、人体通信制御部によりユーザが保有する装置内に格納されている操作仕様設定および動作制限設定の少なくとも一方に関するカスタマイズ情報を受信し、カスタマイズ情報に基づいて画像形成装置のカスタマイズを行うカスタマイズ手段をさらに備える。
【0023】
好ましくは画像形成装置は、ファクシミリ送信先リストをユーザにより選択可能に表示する表示選択部と、人体通信制御部によりユーザが保有する装置内に格納されているファクシミリ送信先リストを受信し、ファクシミリ送信先リストを表示選択部に表示させる表示手段とをさらに備える。
【0024】
好ましくは画像形成装置は原稿を画像データとして読み取るスキャナ部と、人体通信制御部によりユーザが保有する装置内に格納されている送信先情報を受信し、送信先情報をスキャナ部で読み取られた画像データの送信先とする設定手段とをさらに備える。
【0025】
好ましくは画像形成装置は、原稿を画像データとして読み取るスキャナ部と、人体通信制御部によりスキャナ部で読み取られた画像データをユーザが保有する装置に送信する送信手段とをさらに備える。
【0026】
この発明の他の局面に従うと、ユーザの人体からのユーザ認証情報の読み取り、およびユーザの人体を介した人体通信を行うことが可能なユニットを備えた画像形成装置の制御方法は、ユニットにより読み取られたユーザ認証情報によってユーザの認証を行う認証ステップと、人体通信によりユーザが保有する装置と通信するための人体通信ステップとを備える。
【0027】
この発明のさらに他の局面に従うと、ユーザの人体からのユーザ認証情報の読み取り、およびユーザの人体を介した人体通信を行うことが可能なユニットを備えた画像形成装置の制御プログラムは、ユニットにより読み取られたユーザ認証情報によってユーザの認証を行う認証ステップと、人体通信によりユーザが保有する装置と通信するための人体通信ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0028】
これらの発明に従うと、ユーザの人体からのユーザ認証情報の読み取りと人体通信によるユーザが保有する装置との通信とを少ない手順で実施することができる。従って、利便性が高く、かつ、より高いセキュリティを確保することができる画像形成装置、画像形成装置の制御方法、および画像形成装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施の形態における画像形成装置を示す斜視図である。
【図2】画像形成装置および携帯端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】人体通信センサユニットを示す平面図である。
【図4】人体通信センサユニットのハードウェア構成を示す図である。
【図5】第1の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施の形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について説明する。
【0031】
画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。スキャナ機能では、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD等に蓄積する。複写機能では、さらにそれを用紙等に印刷(プリント)を行う。プリンタとしての機能では、PC等の外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う。ファクシミリ機能では、外部のファクシミリ装置等からファクシミリデータを受信してそれをHDD等に蓄積する。データ通信機能では、接続された外部機器との間でデータを送受信する。サーバ機能では、複数のユーザでHDD等に記憶したデータなどを共有可能にする。
【0032】
画像形成装置は、人体通信機能を備えた携帯端末(装置)を保有しているユーザによって操作されたとき、この携帯端末と連動して動作する。携帯端末は、例えばPDA(Personal Digital Assistant)であるが、これに限られるものではなく、携帯電話、ラップトップコンピュータ、腕時計、またはカメラなどであってもよい。
【0033】
[第1の実施の形態]
【0034】
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置を示す図である。
【0035】
図を参照して画像形成装置1は、給紙カセット11と、排紙トレイ13と、UI(ユーザインターフェイス)部(操作パネル)100と、ADF(Auto Document Feeder)部303とを備える。
【0036】
給紙カセット11には、画像を形成するための用紙が収容されている。用紙の有無は、センサにより検出される。用紙がセットされていない場合、または印字中に用紙が無くなった場合には、センサが状況を検出し、UI部100等を介してユーザに知らせる。
【0037】
排紙トレイ13は、画像形成装置1の側部に配置されている。画像形成装置1において印刷された印刷物は、画像形成装置1の内部から排紙トレイ13に排出される。
【0038】
UI部100は、画像形成装置1の上部手前側に配置されている。ユーザは、UI部100を介して、画像形成装置1の動作を指示することができる。UI部100は、後述する人体通信センサユニット(以下、ユニットと称する)101と、タッチパネルディスプレイ107と、操作設定ボタン109とを有している。
【0039】
ADF部303は、画像形成装置1の上部に配置されている。ADF部303は、後述するスキャナ部300の一部である。ADF部303は、複数枚の原稿をスキャナ部300で読み取るために順次搬送する。原稿は、ADF部303の下方に配置されている原稿台(図示せず)に搬送され、読み取られた後、上方に排出される。
【0040】
タッチパネルディスプレイ107は、UI部100の中央付近に配置されている。タッチパネルディスプレイ107は、例えば、任意の文字や画像を表示することができるドットマトリクスの液晶パネルである。タッチパネルディスプレイ107は、後述するコントローラ部200が生成した画像形成装置1の動作状態などを示す画像を表示可能である。コントローラ部200の制御によって、タッチパネルディスプレイ107に表示する文字言語や文字サイズ、表示レイアウトなどは任意に変更することができる。また、タッチパネルディスプレイ107は、ボタンの画像などを含む操作画面を表示し、ユーザによる押下操作を受付可能である。タッチパネルディスプレイ107は、ユーザにより操作されると、当該操作に応じた信号を後述するコントローラ部200に伝送する。
【0041】
操作設定ボタン109は、タッチパネルディスプレイ107の側方に配置されている。操作設定ボタン109は、例えば、テンキー111、機能選択ボタン113、スタートボタン115、キャンセルボタン117などを有する。テンキー111は、コピー枚数設定やファクシミリ送信番号の設定などに用いられる。機能選択ボタン113は、画像形成装置1のコピーモード、ファクシミリ送信モード、スキャンモードなど、種々の機能を選択するために用いられる。また、スタートボタン115は、読み取りやコピー開始を指示するためなどに用いられる。キャンセルボタン117は、画像形成装置1で行われている動作を停止させるためなどに用いられる。
【0042】
図2は、画像形成装置1および携帯端末(PDA)50のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0043】
まず、画像形成装置1について説明する。
【0044】
図を参照して画像形成装置1は、UI部100のほか、さらに、コントローラ部200と、スキャナ部300と、エンジン部400とを備える。
【0045】
UI部100において、ユニット101は、人体通信ユニット103と、指紋センサ105とを有する。人体通信ユニット103は、後述するように、外部機器との間で人体通信を行うためのものである。指紋センサ105は、ユーザの指紋を読み取り可能である。
【0046】
スキャナ部300は、原稿を読み取る画像読み取り部301と、ADF部303とを有している。画像読み取り部301は、コンタクトイメージセンサ(図示せず)などを有している。画像読み取り部301は、例えば、原稿台に配置された原稿を走査して画像データとして読み取る。また、画像読み取り部301は、原稿トレイにセットされた複数枚の原稿をADF部303により順次取り込みながら画像データとして読み取る。
【0047】
エンジン部400は、レーザー走査系(図示せず)や電子写真プロセスを含む画像形成部401や、用紙を搬送する給紙・搬送部403を有している。給紙・搬送部403は、給紙カセット11から用紙を給紙して画像形成装置1の内部で搬送する。また、画像形成部401は、搬送される用紙に電子写真方式により画像を形成する。画像が形成された用紙は、給紙・搬送部403により排紙トレイ13に排出される。画像形成部401は、用紙にカラー画像を形成することができる。なお、画像形成部401は、用紙にモノクロの画像のみを形成可能に構成されていてもよい。
【0048】
コントローラ部200は、CPU201と、データ記憶領域203と、画像処理部205と、外部インターフェイス207とを備える。コントローラ部200は、UI部100、スキャナ部300、エンジン部400を統括的に制御し、種々のタスクを実行する。
【0049】
CPU201は、データ記憶領域203等に記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成装置1の種々の動作を制御する。CPU201は、例えば、UI部100から操作信号が送られたり、外部のPC85などから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じて所定の制御プログラムを実行する。これにより、UI部100になされた操作やPC85などからの指示に応じて、画像形成装置1の所定の動作が行われる。
【0050】
データ記憶領域203は、例えば、HDDやメモリである。データ記憶領域203は、例えば外部インターフェイス207などを介して送信された印刷ジョブ(JOB)やスキャナ部300で読み取ったデータを記憶する。また、データ記憶領域203は、後述のようにユーザの認証を行うための情報や、画像形成装置1の設定情報や、画像形成装置1の種々の動作を行うための制御プログラムなどを記憶する。
【0051】
画像処理部205は、画像処理を行う。画像処理部205は、外部インターフェイス207を介してネットワークや外部機器などから送られた画像データを読み込む。また、画像処理部205は、スキャナ部300で読み取られた画像データを読み込む。画像データの読み込みは、例えばUI部100でユーザにより設定されたタスクに従って行われる。読み込まれた画像データは、画像処理部205において、拡大や縮小、および回転など、さまざまな処理を加えられる。その後、画像データは、エンジン部400へ転送され、用紙への画像形成が行われる。
【0052】
外部インターフェイス207は、USBIF(USBインターフェイス)209と、ネットワークIF211とを有している。
【0053】
USBIF209は、USBケーブルを介して外部機器と画像形成装置1とを接続するために設けられている。CPU201は、例えば、接続された外部機器に記憶されている画像をプリントすることができる。
【0054】
ネットワークIF211は、例えばLANケーブルなどを介して外部ネットワークに接続されている。外部ネットワークには、例えば、外部サーバ80やPC85などが接続されている。すなわち、画像形成装置1は、外部サーバ80やPC85と通信可能である。
【0055】
次に、携帯端末50について説明する。
【0056】
ユーザが所有する携帯端末50は、データ記憶領域51と、指紋センサ53と、人体通信ユニット55と、CPU57とを備えている。
【0057】
データ記憶領域51は、例えばフラッシュメモリである。CPU57は、携帯端末50内のデータ記憶領域51にアクセスし、データを読み書き可能である。CPU57は、携帯端末50の動作の制御を行う。
【0058】
指紋センサ53は、ユーザの指紋を読み取り可能である。CPU57は、指紋センサ53により読み取ったユーザの指紋情報に基づいて、ユーザを認証する。CPU57は、指紋センサ53で指紋情報を読み取ると、指紋情報を、例えばデータ記憶領域51に保管する。また、CPU57は、その指紋情報を、予めデータ記憶領域51に記憶されている認証情報と比較する。そして、指紋情報が認証情報と適合した場合、そのユーザを認証する。なお、携帯端末50は、指紋センサ53を備えていなくてもよい。
【0059】
人体通信ユニット55は、外部機器との間で人体通信を行うためのものである。人体通信ユニット55は、画像形成装置1のユニット101と同様に、微弱電流の送受信により、人体通信を行うことができる。
【0060】
ここで、人体通信について説明する。人体通信は、人体60を導線として用いる通信方法である。人体60の表面または人体60の近傍に人体通信ユニット55,103があるとき、人体通信を行うことができる。人体通信ユニット55,103は、人体60の指61や皮膚63に微弱電流を送出したり、その電流を検出したりすることにより、人体通信を行う。人体通信は、基本的に、人体通信ユニット55,103が人体60のうちのどこに接触(または近接)していても、行うことができる。
【0061】
すなわち、ユーザが携帯端末50を保有しているとき、携帯端末50は、画像形成装置1のユニット101との間で人体通信を行うことができる。人体通信を行うためには、ユーザは、携帯端末50を保有する。その状態で、ユーザは、後述するように、画像形成装置1のユニット101に指61などで触れればよい。このとき、人体通信は、ユーザの人体60のうち、携帯端末50が近接している皮膚63、およびユニット101に触れた指61を介して行われる。CPU57は、人体通信ユニット55による人体通信により、データ記憶領域51内のデータを含む情報を、通信先に送信することができる。
【0062】
一般に無線通信を行う場合において、近傍に複数の通信者がいるときは、混信が生じるという問題がある。他方、このように人体通信を行う場合には混信が発生せず、画像形成装置1や携帯端末50は確実に通信を行うユーザを特定することができる。
【0063】
図3は、画像形成装置1のユニット101を示す平面図である。
【0064】
ユニット101は、上面に、センサ面(センサ接点)101aを有している。センサ面101aは導電性の素材で構成されているため、人体通信の微弱電流の接点として機能する。センサ面101aは、接触した(または近接した)指61の指紋を読み取るのに用いられる。すなわち、ユーザは、センサ面101aに指61を乗せる(またはかざす)と、指紋センサ105に指紋を読み取らせることができる。
【0065】
図4は、ユニット101のハードウェア構成を示す図である。図4では、指61がセンサ面101aに触れ、指紋認識と人体通信とを同時に実施している様子を示している。
【0066】
ユニット101は、ユーザの認証および上述のような人体通信に用いられる。
【0067】
指紋センサ105は、センサ面101aからの指紋情報を入手すると、その指紋情報をCPU201に送信する。CPU201は、送信された指紋情報を指紋情報データベース中のレコードと比較することにより、ユーザの認証を行う。指紋情報データベースは、例えば、予めデータ記憶領域203に記憶されている。CPU201は、ユーザの認証を行うと、そのユーザのセキュリティレベルに従って、情報アクセスレベルやタスク実行レベルなどを設定する。これにより、ユーザは、画像形成装置1の動作指示を許可される。各ユーザのセキュリティレベルに関する情報は、例えば、データ記憶領域203に記憶されている。
【0068】
ユーザの認証により、次に示すような動作をセキュリティレベルに応じて制限することができる。例えば、データ記憶領域203に記憶されている機密情報を取り出す動作や、外部サーバ80など、ネットワーク上の機密データを取り出す動作などである。また、セキュリティレベルに応じて、画像形成装置1の種々の機能に利用制限をかけることもできる。セキュリティレベルに応じて、ユーザ毎に、利用可能なカラープリント数等の上限を設定したり、印刷、複写機能に制限をかけることもできる。
【0069】
このように、指紋などのユーザの生体情報により認証を行う場合、パスワード等による認証を行う場合と比較して、より高いセキュリティを確保することができる。
【0070】
なお、指紋情報データベースや各ユーザのセキュリティレベルに関する情報は、ネットワークIF211を介して画像形成装置1に接続された外部サーバ80や、USBIF209を介して画像形成装置1に接続された外部機器などから取得可能とされていてもよい。
【0071】
他方、人体通信ユニット103は、センサ面101aに触れられたユーザの指61を通して、人体通信を行う。すなわち、そのユーザが保有する携帯端末50から、指61を介して微弱電流を受信する。微弱電流を受信すると、人体通信ユニット103は、シリアルパラレル変換などのデコード処理を施し、CPU201に情報を送信する。また、人体通信ユニット103は、逆に、CPU201から送信されたデータについてパラレルシリアル変換等のエンコード処理を施す。その後、人体通信ユニット103は、センサ面101aに触れているユーザの指61を介して、携帯端末50にそのデータを送信する。
【0072】
図5は、第1の実施の形態における画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。画像形成装置1は、ユーザの指61がセンサ面101aに触れたとき、指紋読み取りによるユーザの認証、およびユーザが保有する携帯端末50との人体通信を並列に実行する。
【0073】
まず、ユーザの認証動作の流れについて説明する。
【0074】
ステップS101において、ユーザの指61がユニット101のセンサ面101aに触れると、処理が開始される。指紋センサ105は、ユーザの指61から、指紋情報(ユーザ認証情報)を読み取る。
【0075】
ステップS103において、CPU201は、ユーザから読み取られた指紋情報と予め記憶されている指紋情報とを比較して認証を行う。認証判定は、両指紋情報の特徴の一致度合いを判定することにより行われる。
【0076】
ステップS103でユーザの認証が成立した場合、ステップS105において、CPU201は、そのユーザについてのセキュリティレベルの設定を行う。これにより、そのユーザについて、画像形成装置1の各機能へのアクセスの制限が解除される。このように認証が完了すると、ユーザは、許可された機能を利用することができる。
【0077】
他方、ステップS103でユーザの認証が成立しなかった場合、ステップS107において、CPU201は、認証不成立処理を行う。CPU201は、認証不成立処理として、例えば、タッチパネルディスプレイ(表示部)107へ認証できなかった理由を表示する。また、CPU201は、ユーザを、操作が許可されていない人物であると判定する。CPU201は、画像形成装置1の各機能へのアクセスの制限を継続または実施する。
【0078】
ステップS109において、CPU201は、認証不成立処理を行った後、後述する人体通信による受信データがあった場合には、その受信データを破棄する。これにより、受信データについてのセキュリティが確保される。また、CPU201は、人体通信による送信データがあった場合には、携帯端末50に制御コマンド等を送信し、その送信データを破棄するように構成されていてもよい。
【0079】
なお、CPU201は、ユーザの認証が不成立であった場合に、タッチパネルディスプレイ107にその旨の表示を行わなくてもよい。また、人体通信による受信データや送信データを破棄しなくてもよい。
【0080】
次に、人体通信動作の流れについて説明する。
【0081】
ステップS111において、ユーザの指61がセンサ面101aに触れると、処理が開始される。CPU201は、人体通信ユニット103を通じ、人体通信の接続確認を開始する。
【0082】
ステップS113において、CPU201は、人体通信の可否を判断する。人体通信が可能であるかどうかは、画像形成装置1側からの通信に対する応答の成立、不成立で判断する。正しい応答があった場合、ユーザが人体通信に対応した携帯端末50を正しく保有しており通信可能である。また、正しく応答がなされなかったり、応答そのものがない場合には、ユーザが人体通信に対応した携帯端末50を正しく保有していないので通信不可能である。
【0083】
ステップS113で人体通信可能と判断した場合、ステップS115において、CPU201は、人体通信ユニット103を介し、人体通信を行う。すなわち、CPU201は、所望のデータなどを携帯端末50と画像形成装置1との間で送受信する。データを携帯端末50から受信した場合、CPU201は、データ記憶領域203内の所定のデータフォルダ内にそのデータを保存する。このとき、CPU201は、例えば、読み取った指紋情報に応じたデータフォルダ(ディレクトリ)を作成し、ダウンロードしたデータを当該フォルダに格納してもよい。これにより、ユーザ毎に整理された状態でデータを保管することができる。
【0084】
ステップS117において、CPU201は、必要なデータの送受信が完了するまで人体通信動作を継続する。
【0085】
ステップS117で通信が完了した場合、ステップS119において、CPU201は、送受信したデータの反映動作を行い、人体通信動作を完了する。なお、このとき、データの反映動作は、上記のようにユーザの認証が成立し画像形成装置1のアクセス制限が解除されてから行われる。または、アクセス制限が解除される前にデータを反映させ、認証不成立となったときに、反映をキャンセルしてもよい。
【0086】
なお、人体通信により受信したデータは、画像形成装置1内に継続して保存されてもよい。または、CPU201は、所定時間の経過またはリセットボタンの押下操作などをトリガとして、受信したデータを破棄してもよい。また、ユーザの指61がセンサ面101aから離れたことをトリガとして、受信したデータを破棄してもよい。これにより、画像形成装置1および受信したデータのセキュリティを確保することができる。また、次に操作を行う別のユーザに影響を与えないようにすることができる。
【0087】
ステップS113で人体通信不可能と判断した場合、ステップS121において、CPU201は、人体通信不成立処理を実施する。このとき、CPU201は、タッチパネルディスプレイ107上に人体通信が不成立であった旨のメッセージを表示し、ユーザに注意を促す。また、CPU201は、人体通信によるデータが存在しないとして、人体通信動作に基づく動作を行わない。この場合、画像形成装置1は、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能などの通常の動作を継続する。
【0088】
なお、CPU201は、人体通信が不可能であった場合に、タッチパネルディスプレイ107にその旨の表示を行わなくてもよい。
【0089】
このように、本実施の形態では、ユーザがセンサ面101aに指61を触れるだけで、ユーザの認証動作と人体通信動作とを実行することができる。従って、ユーザの認証とデータの送受信とをワンアクションで実施することができ、画像形成装置1の利便性が高くなる。また、画像形成装置1と携帯端末50との通信経路の確立および通信は、ユーザがセンサ面101aに触れているときにのみ行われるので、より高いセキュリティが確保される。
【0090】
また、ユーザの認証動作と人体通信動作とは並列に実行されるので、両者の動作を短時間で終了させることができる。
【0091】
なお、以下に、本実施の形態において人体通信動作により送受信されるデータとそのデータについての反映動作とを例示する。
【0092】
例えば、携帯端末50に画像形成装置1で印刷するための画像データが格納されているとする。この場合、人体通信により印刷ジョブとなる画像データが画像形成装置1に転送される。転送完了後、CPU201は、エンジン部400に画像データを送信する。これにより、エンジン部400で人体通信で受信した画像データに基づく画像形成が行われる。ユーザは、ワンアクションで容易に画像データの印刷を行うことができる。
【0093】
また例えば、携帯端末50にタッチパネルディスプレイ107のユーザカスタマイズ情報(操作仕様設定に関するカスタマイズ情報)が格納されているとする。この場合、人体通信によりユーザカスタマイズ情報が画像形成装置1に転送される。CPU201は、受信したユーザカスタマイズ情報に基づいて、種々のカスタマイズを行う。タッチパネルディスプレイ107のカスタマイズとしては、表示言語の変更や、文字サイズ、色、および表示レイアウトの変更や、種々の機能毎に表示可能な画面の設定などを行うことができる。これにより、画像形成装置1を操作するユーザ毎に、タッチパネルディスプレイ107をカスタマイズすることができる。事前に画像形成装置1や外部サーバ80などにユーザカスタマイズ情報を登録する必要がなく、利便性を向上させることができる。
【0094】
また例えば、携帯端末50に画像形成装置1の動作制限設定に関するカスタマイズ情報が格納されているとする。この場合、人体通信によりカスタマイズ情報が画像形成装置1に転送される。CPU201は、受信したカスタマイズ情報に基づいて、人体通信を行っているユーザすなわち認証されたユーザの動作制限設定を行う。動作制限設定によれば、例えば、ユーザ毎の印刷枚数制限や、カラー印刷の制限や、外部へのファクシミリ送信の制限などを行うことができる。この動作制限設定が行われると、一時的にユーザに関する動作制限が変更される。これにより、画像形成装置1を操作するユーザ毎に、動作制限設定を行うことができる。例えば画像形成装置1や外部サーバ80などに画像形成装置1のアクセス制限などに関する情報が詳細に設定されていなくても、個々のユーザについて詳細な動作制限設定を行うことが可能になる。
【0095】
また例えば、携帯端末50にファクシミリ送信先リスト(電話帳)が格納されているとする。この場合、人体通信によりファクシミリ送信先リストが画像形成装置1に転送される。CPU201は、受信したファクシミリ送信先リストの情報をタッチパネルディスプレイ107上に表示する。ファクシミリ送信先リストは、ユーザが送信先を選択可能になるように表示される。これにより、ユーザは、タッチパネルディスプレイ107を操作して容易にファクシミリ送信先を指定することができる。また、個々のユーザについて、画像形成装置1や外部サーバ80にファクシミリ送信先リストを保存する必要がない。従って、画像形成装置1の利便性が向上し、また、ユーザ毎のファクシミリ送信先リストについてセキュリティを確保することができる。
【0096】
また例えば、携帯端末50にE−mailのメールアドレスデータ(送信先情報)が格納されているとする。この場合、人体通信によりメールアドレスデータが画像形成装置1に転送される。CPU201は、受信したメールアドレスデータに基づいてメールアドレスをタッチパネルディスプレイ107上に表示する。表示されたメールアドレスは、スキャン画像の送信先として選択可能に表示される。これにより、ユーザは、タッチパネルディスプレイ107を操作して容易にスキャン画像の送信先を指定することができる。また、個々のユーザについて、画像形成装置1や外部サーバ80に送信先となるメールアドレスデータを保存する必要がない。従って、画像形成装置1の利便性が向上し、また、ユーザ個々に設定可能な送信先メールアドレスについてセキュリティを確保することができる。なお、送信先情報は、メールアドレスデータに限られない。例えば、CPU201は、IPアドレスデータなどを受信し、そのIPアドレスなどを送信先として設定可能にしてもよい。
【0097】
また例えば、スキャナ部300で読み取られた画像データが画像形成装置1にあるとする。この場合、CPU201は、人体通信により、画像データを画像形成装置1から携帯端末50に転送する。これにより、ユーザは、容易な操作により画像データを手元の携帯端末50に格納して持ち歩くことができる。従って、画像形成装置1の利便性が向上する。なお、CPU201は、スキャナ部300で読み取られた画像データに限らず、例えばデータ記憶領域203に記憶されている所定のデータ、例えば課金情報などを携帯端末50に転送してもよい。
【0098】
[第2の実施の形態]
【0099】
第2の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。また、人体通信動作により送受信されるデータの例およびそのデータについての反映動作の例も、第1の実施の形態のそれと同様である。第2の実施の形態においては、ユーザの認証が成立してから人体通信動作を行う点が第1の実施の形態と異なる。
【0100】
図6は、第2の実施の形態における画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。
【0101】
図中、ステップS201からステップS205は、第1の実施の形態におけるステップS101からステップS105と同様である。すなわち、ユーザの指61がセンサ面101aに触れると、指紋情報が読み取られる(S201)。CPU201は、ユーザから読み取られた指紋情報と予め記憶されている指紋情報とを比較して認証を行う(S203)。ユーザの認証が成立した場合、CPU201は、セキュリティレベルの設定を行い、画像形成装置1のアクセスの制限が解除される(S205)。その後、人体通信動作が開始される。
【0102】
ここで、ステップS203でユーザの認証が成立しなかった場合、ステップS207において、CPU201は、認証不成立処理を行う。認証不成立処理は、第1の実施の形態と同様に行われる。ユーザの認証が成立しなかった場合には、その後、人体通信動作を開始せず、動作を終了する。
【0103】
ユーザの認証が完了すると、人体通信動作が行われる。図中、ステップS209からステップS213の動作は、第1の実施の形態におけるステップS113からステップS117の動作と同様である。すなわち、CPU201は、人体通信の可否を判断する(S209)。人体通信可能であれば、CPU201は、人体通信により所望のデータなどを携帯端末50と画像形成装置1との間で送受信する(S211)。CPU201は、必要なデータの送受信が完了するまで人体通信動作を継続する(S213)。
【0104】
ステップS213で通信が完了した場合、ステップS215において、CPU201は、送受信したデータの反映動作を行い、人体通信動作を完了する。なお、第2の実施の形態においては、人体通信動作の完了時にユーザの認証が成立しているため、データの反映動作をすぐに行うことができる。
【0105】
なお、ステップS209で人体通信不可能と判断した場合、ステップS217において、CPU201は、人体通信不成立処理を実施する。人体通信不成立処理は、第1の実施の形態と同様に行われる。人体通信が不可能である場合には、その後、動作を終了する。
【0106】
このように、第2の実施の形態でも、指がセンサに触れている間に、ユーザの認証動作と人体通信動作とが共に完了する。従って、ユーザは、第1の実施の形態と同様に、ワンアクションで容易に両動作を実行させることができる。また、人体通信動作に先立ってユーザの認証動作を完了させるので、画像形成装置1のセキュリティをより確実に確保することができる。
【0107】
[第3の実施の形態]
【0108】
第3の実施の形態における画像形成装置の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。また、人体通信動作により送受信されるデータの例およびそのデータについての反映動作の例も、第1の実施の形態のそれと同様である。第3の実施の形態においては、人体通信動作が終了してからユーザの認証動作を行う点が第1の実施の形態と異なる。
【0109】
図7は、第3の実施の形態における画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。
【0110】
図中、ステップS301からステップS305は、第1の実施の形態におけるステップS113からステップS117の動作と同様である。すなわち、CPU201は、人体通信の可否を判断する(S301)。人体通信可能であれば、CPU201は、人体通信により所望のデータなどを送受信する(S303)。CPU201は、必要なデータの受信が完了するまで人体通信動作を継続する(S305)。データの送受信が完了すると、人体通信動作が終了する。このとき、データの反映は、ユーザの認証が成立していないのでまだ行われない。その後、ユーザの認証動作が開始される。
【0111】
ステップS301で人体通信不可能と判断した場合、ステップS307において、CPU201は、人体通信不成立処理を実施する。人体通信不成立処理は、第1の実施の形態と同様に行われる。人体通信が不可能である場合には、人体通信動作が終了され、ユーザの認証動作が開始される。
【0112】
人体通信動作が終了すると、ユーザの認証動作が行われる。図中、ステップS309からステップS313の動作は、第1の実施の形態におけるステップS101からステップS105と同様である。すなわち、ユーザの指61がセンサ面101aに触れると、指紋情報が読み取られる(S309)。CPU201は、ユーザから読み取られた指紋情報と予め記憶されている指紋情報とを比較して認証を行う(S311)。ユーザの認証が成立した場合、CPU201は、セキュリティレベルの設定を行い、画像形成装置1のアクセスの制限が解除される(S313)。
【0113】
ユーザの認証が成立し、アクセス制限が解除されると、ステップS315において、CPU201は、人体通信により送受信されたデータの反映動作を行う。これにより、データの反映動作がセキュリティを確保した状態で行われる。なお、携帯端末50にデータを送信したときは、この反映動作により、データの送信を確定する。
【0114】
なお、ステップS311でユーザの認証が成立しなかった場合、ステップS317において、CPU201は、認証不成立処理を行う。認証不成立処理は、第1の実施の形態と同様に行われる。
【0115】
また、ユーザの認証が成立しなかった場合、ステップS319において、CPU201は、人体通信により送受信したデータを破棄する。これにより、画像形成装置1のセキュリティと共に、送受信したデータのセキュリティも確保される。なお、CPU201は、ステップS305でデータ通信が完了した後にデータを反映させ、認証不成立となったときに、反映をキャンセルしてもよい。
【0116】
このように、第3の実施の形態では、上述と同様に、指がセンサに触れている間に、ユーザの認証動作と人体通信動作とが共に完了する。従って、ユーザは、第1の実施の形態と同様に、ワンアクションで容易に両動作を行うことができる。また、人体通信動作によるデータの送受信をユーザの認証動作よりも先に完了させるので、送受信するデータ量が多かったり、人体通信が不安定であるような場合でも、確実にデータを送受信することができる。
【0117】
[実施の形態における効果]
【0118】
以上のように構成された画像形成装置では、ユーザが指をユニットに触れるだけで、ユーザの認証動作と人体通信動作とが行われる。すなわち、指は認証と人体通信との共通の媒介となる。従って、両動作を行うためにこれまで必要であった複数手順の操作をワンアクションにして簡易化することができ、画像形成装置1の利便性が高くなる。また、ユーザの認証の成立と同時期にデータを送受信するため、ユーザ認証された認証者と送受信されるデータの所有者とが確実に同一となる。これにより、送受信するデータと他人のデータとの取り間違えが発生しない。従って、画像形成装置1と携帯端末との間で送受信する情報について高いセキュリティが確保される。また、指紋の読み取りと人体通信とを行うためのユニットは一体のハードウェアとして構成されているので、故障が発生するリスクを低くすることができる。
【0119】
特に、ユーザの認証をユーザの生体情報に基づいて行うため、人体通信動作が、高いセキュリティを確保して行われる。
【0120】
[その他]
【0121】
指紋センサの代わりに指や手のひらの静脈の情報を生体情報として読み取る静脈認証センサを用いてもよい。また、その他の人体の特徴を判断する別の認証センサを用いてもよい。これらの場合、人体通信ユニットは、生体情報の読み取りが行われる程度に認証センサに指や手のひらなどが近接した場合または接触した場合に、人体通信を行うことができるように構成すればよい。ユーザは、指や手のひらなどを認証センサに接触させるかまたはかざすだけのワンアクションで、同様に、ユーザの認証動作と人体通信動作とを実行することができる。
【0122】
また、画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。
【0123】
また、画像形成装置と人体通信を行うことが可能な装置としては、上述の例えばPDAのような携帯端末に限られない。画像形成装置は、例えば、テレビジョン放送受像機や、同様の構成を有する他の画像形成装置など、人体通信機能によりデータを送信または受信可能な装置と通信可能である。
【0124】
また、上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
【0125】
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0126】
なお、上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
1 画像形成装置
50 携帯端末(ユーザが保有する装置)
60 人体
61 指
63 皮膚
101 人体通信センサユニット
103 人体通信ユニット
105 指紋センサ
107 タッチパネルディスプレイ(表示選択部)
200 コントローラ部
201 CPU
300 スキャナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの人体からのユーザ認証情報の読み取り、および前記ユーザの人体を介した人体通信を行うことが可能なユニットと、
前記ユニットにより読み取られたユーザ認証情報によって前記ユーザの認証を行う認証制御部と、
前記人体通信により前記ユーザが保有する装置と通信するための人体通信制御部とを備えた、画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニットは、前記ユーザの指または手からユーザ認証情報を読み取り、
前記ユニットは、前記ユーザの指または手を介して人体通信を行い、
前記ユーザが指または手を前記ユニットに接触させるまたはかざすだけのワンアクションで、ユーザ認証情報の読み取り、および前記ユーザの指または手を介した人体通信を行う、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記認証制御部による前記ユーザの認証動作と、前記人体通信制御部による前記ユーザが保有する装置との間でのデータの送信および受信の少なくとも一方とを並列に実行する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記認証制御部による前記ユーザの認証が成立したとき、前記人体通信制御部により前記ユーザが保有する装置との間でデータの送信および受信の少なくとも一方を行う、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記人体通信制御部により前記ユーザが保有する装置との間でデータの送信および受信の少なくとも一方を行った後に、前記認証制御部による前記ユーザの認証動作を行う、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記人体通信制御部により送信されたデータおよび受信されたデータの少なくとも一方は、前記認証制御部の判定により前記ユーザの認証が成立しなかった場合に破棄される、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記人体通信制御部により前記ユーザが保有する装置に格納されている画像データを受信し、前記画像データに基づき画像形成を行う画像形成手段をさらに備えた、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記人体通信制御部により前記ユーザが保有する装置内に格納されている操作仕様設定および動作制限設定の少なくとも一方に関するカスタマイズ情報を受信し、前記カスタマイズ情報に基づいて画像形成装置のカスタマイズを行うカスタマイズ手段をさらに備えた、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
ファクシミリ送信先リストを前記ユーザにより選択可能に表示する表示選択部と、
前記人体通信制御部により前記ユーザが保有する装置内に格納されているファクシミリ送信先リストを受信し、前記ファクシミリ送信先リストを前記表示選択部に表示させる表示手段とをさらに備えた、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
原稿を画像データとして読み取るスキャナ部と、
前記人体通信制御部により前記ユーザが保有する装置内に格納されている送信先情報を受信し、前記送信先情報を前記スキャナ部で読み取られた画像データの送信先とする設定手段とをさらに備えた、請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
原稿を画像データとして読み取るスキャナ部と、
前記人体通信制御部により前記スキャナ部で読み取られた画像データを前記ユーザが保有する装置に送信する送信手段とをさらに備えた、請求項1から9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
ユーザの人体からのユーザ認証情報の読み取り、および前記ユーザの人体を介した人体通信を行うことが可能なユニットを備えた画像形成装置の制御方法であって、
前記ユニットにより読み取られたユーザ認証情報によって前記ユーザの認証を行う認証ステップと、
前記人体通信により前記ユーザが保有する装置と通信するための人体通信ステップとを備えた、画像形成装置の制御方法。
【請求項13】
ユーザの人体からのユーザ認証情報の読み取り、および前記ユーザの人体を介した人体通信を行うことが可能なユニットを備えた画像形成装置の制御プログラムであって、
前記ユニットにより読み取られたユーザ認証情報によって前記ユーザの認証を行う認証ステップと、
前記人体通信により前記ユーザが保有する装置と通信するための人体通信ステップとをコンピュータに実行させる、画像形成装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−164663(P2010−164663A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5291(P2009−5291)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】