画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラム
【課題】バージョンによって異なるアクセス権を有するファイルに対して、より適切なアクセス制御を行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置であって、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、読取手段が生成した画像データから、原稿のバージョン情報を抽出する抽出手段とを備える。また、原稿に対応する電子データでありファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを抽出手段が抽出した原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定手段を備える。各手段は、システム制御部101がその機能を有する。
【解決手段】ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置であって、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、読取手段が生成した画像データから、原稿のバージョン情報を抽出する抽出手段とを備える。また、原稿に対応する電子データでありファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを抽出手段が抽出した原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定手段を備える。各手段は、システム制御部101がその機能を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラムに関し、特に、バージョン管理されたファイルに対してアクセス制御を行う技術に特徴のある画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿を読み込み、該原稿に情報として埋め込まれた元ファイルの情報を抽出した後、元ファイルをファイルサーバから取得し、印刷する画像形成装置が知られている。
【0003】
また、元ファイルの情報としてバージョン情報も埋め込み、最新バージョンかどうかに基づいて、その後の処理を切り替える画像形成装置も存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この画像形成装置においては、例えば、原稿が最新バージョンならばそのままコピーし、旧バージョンならば最新バージョンをファイルサーバから取得して印刷するというような処理が行われている。
【0005】
また、例えば、最新バージョンならば元ファイルをファイルサーバから取得して、より画質の優れたコピーを作成し、旧バージョンならば旧バージョンである旨を示すスタンプ画像を入れたコピーを作成するというような処理も行われている。
【特許文献1】特開2006−352284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記画像形成装置においては、原稿が最新バージョンかどうかに応じて処理を変更するものであった。このため、ファイルがバージョン管理され、バージョンによってアクセス権の異なるようなデータベースに適用した場合には、適切なアクセス制御を行うことが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、バージョンによって異なるアクセス権を有するファイルに対して、より適切なアクセス制御を行うことができる画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置であって、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、前記読取手段が生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出手段と、前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出手段が抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の制御方法は、ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置の制御方法であって、原稿を読み取って画像データを生成する読取工程と、前記読取工程で生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出工程と、前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出工程で抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置によれば、バージョンによって異なるアクセス権を有するファイルに対して、より適切なアクセス制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の画像形成装置のネットワークシステムの構成図である。
【0013】
図1において、ネットワークシステムは、画像形成装置10(10−1、10−2)、ファイルサーバ20及びクライアントPC30(30−1、30−2)がネットワーク40で互いに通信可能に接続されることで構成される。
【0014】
画像形成装置10は、スキャン、プリント、コピー等様々な機能を有する。本実施の形態では、画像形成装置10は、原稿をスキャンして埋め込まれたファイル情報を抽出し、ファイルサーバ20から該当ファイルに対する情報を取得し、更には、取得した情報に応じた処理の実行等を行う。
【0015】
ファイルサーバ20は、ユーザ情報やクライアントPC30で作成されたファイル等を管理する。本実施の形態のファイルサーバ20は、各ファイルをバージョン毎に管理することが可能である。
【0016】
クライアントPC30は、ユーザが各種操作を行うPCである。ユーザはファイルサーバ20に保存されたファイルの表示、編集、保存、印刷等をクライアントPC30上から行うことができる。
【0017】
図2は、図1における画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
【0018】
図2において、システム制御部101は、システムバス120を介して画像形成装置全体の動作を制御するものである。
【0019】
ROM102は、システム制御部101の制御プログラム等を格納するものである。ROM102に格納された制御プログラムは、システム制御部101に含まれるCPUが実行する。
【0020】
RAM103は、オペレータが登録した設定値や画像形成装置の管理データ、一時的な変数等を格納するためのものである。
【0021】
文書管理部104は、ハードディスク等のメモリで構成され、複数の画像データやジョブデータ、ジョブ管理情報等を格納可能とするものである。例えば、読取制御部108からの画像データや、インタフェース制御部110を介して入力されたプリントジョブデータ等を複数格納可能である。
【0022】
圧縮伸張部105は、画像データの圧縮伸張を行うものである。画像データを文書管理部104に記憶する際に、必要に応じて画像データを圧縮して格納し、逆に、圧縮して格納された画像データを読み出す際に元の画像データに伸張して戻す等の処理を行う。また、データがネットワーク40を経由する際には、JPEG、JBIG等、圧縮データを使用することも一般に知られており、データが画像形成装置10に入った後、この圧縮伸張部105にて解凍(伸張)される。
【0023】
操作部106は、各種キー等により構成され、オペレータが各種入力を行うものである。表示部(表示手段)107は、LCDやLED等により構成され、各種表示や音声による通知を行うものである。表示部107の高解像度化に伴い、文書管理部104にある画像データをプレビューし、確認後にプリントするといったこともできる。
【0024】
読取制御部(読取手段)108は、CCDやCS等のイメージセンサ、画像処理制御部等により構成され、原稿を光学的に読み取り、電気的な画像データに変換し、更に色処理、2値化処理、中間調処理等の各種画像処理を施して高精細な画像データを生成する。
【0025】
読取制御部108は、ADF上の原稿を1枚ずつ搬送しながら読み取りを行うADF方式と、原稿台ガラス上においてある原稿を静止したまま読み取りを行う原稿台方式のいずれか、もしくは、両方に対応するものである。本実施の形態では、原稿に埋め込まれている元ファイルの格納場所とバージョンを示す情報とを抽出する処理も読取制御部108にて行う。
【0026】
記録制御部(記録手段)109は、レーザ、インクジェット等のプリンタにより構成され、記録する画像データに対して、スムージング処理や記録濃度補正処理等の各種画像処理を施して高精細な画像データに変換し、記録紙上に出力するものである。
【0027】
インタフェース制御部110は、ネットワークやUSB等を介して接続されたファイルサーバ20等の情報処理装置と画像データや装置情報等の通信を行うためのものである。通信制御方法に関しては、公知の方法を使用するものとし、説明は省略する。
【0028】
RIP部111は、インタフェース制御部110から入力されたPDLデータに対してRIP(Raster Image Processing)処理を施すものである。更にRIP部111は、その際に作られる画像データの中間データやプリントレディデータ(プリントのためのビットマップデータやそれを圧縮したデータ)を必要に応じて、文書管理部104に再度格納することもできる。
【0029】
本実施の形態では、印刷時に、ファイルの格納場所とバージョンを示す情報とを画像データに埋め込むための処理もRIP部111にて行う。
【0030】
図3は、図1におけるファイルサーバの基本構成を示すブロック図である。
【0031】
図3において、CPU201は、ROM202、RAM203、または、ハードディスク220に記憶されたプログラムに従って、ファイルサーバ全体の動作を制御するものである。また、CPU201は、FDドライブ221、CD/DVDドライブ222から読み出されたプログラムに従って、ファイルサーバ全体の動作を制御するものである。
【0032】
ROM202は、CPU201の制御プログラム等を格納している。RAM203は、一時的にプログラムや画像データを記憶し、ファイルサーバ20の処理を高速に動作させるためのものである。
【0033】
ハードディスク制御部204はハードディスク220を制御する。ハードディスク220には、オペレーティング・システム、各種アプリケーションソフト、ドライバソフトがインストールされ、また、ファイルや画像データ等が格納されるものとする。
【0034】
通常、これらのアプリケーションソフト及びドライバソフトは、これらが記憶された他のコンピュータ可読媒体からFDドライブ221、CD/DVDドライブ222等を介してハードディスク220にインストールされる。また、インタフェース制御部209を介してアプリケーションソフト及びドライバソフトをダウンロードして、ハードディスク220にインストールすることもできる。
【0035】
FDドライブ制御部205は、FDドライブ221を制御するものである。CD/DVDドライブ制御部206は、CD/DVDドライブ222を制御するものである。
【0036】
キーボード/マウス制御部207は、オペレータからの指示入力手段としてのキーボード/マウス230を制御するものである。
【0037】
ディスプレイ制御部208は、オペレータに各種表示を行うディスプレイ240を制御するものである。
【0038】
インタフェース制御部209は、ネットワークやUSB等を介して接続された画像形成装置10等の外部端末と通信するためのものである。通信制御方法に関しては、公知の方法を使用するものとし、説明は省略する。
【0039】
尚、図1におけるクライアントPC30も、ファイルサーバ20と同様の基本構成であってよい。
【0040】
図4は、図3のファイルサーバにおけるファイル・バージョン管理情報の一例を示す図である。
【0041】
図4において、ファイル・バージョン管理情報(ファイルの文書情報)400は、ファイルサーバ20のハードディスク220上に格納され、ファイルサーバ20で管理されるファイル毎に作成される。ファイル・バージョン管理情報400には、該当ファイルの各バージョンに関する情報が格納され、ファイルが保存されバージョン更新がある毎に情報が更新される。
【0042】
バージョン401は、該当ファイルが保存された時のバージョン情報である。本実施形態では、バージョン情報を、メジャー・バージョンと、マイナー・バージョンに分類するものとする。枝版(小数点一桁目)が0のバージョンをメジャー・バージョン、枝版(小数点一桁目)が0以外のバージョンをマイナー・バージョンと呼ぶことにする。
【0043】
更新日時402は、該当バージョンが保存された日時であり、更新者403は、該当バージョンを保存したユーザのログイン名を示す情報である。また、アクセス権404は、該当バージョンにアクセス可能なユーザの権限を示す情報である。
【0044】
本実施の形態では、メジャー・バージョンは、編集可能者と閲覧者のいずれもアクセス可能、マイナー・バージョンは、編集者のみアクセス可能となっている。例えば、編集者によってファイルが更新され、マイナー・バージョン2.1を保存済みであっても、閲覧者はそれにアクセスすることができない。このため、閲覧者はメジャー・バージョンである2.0と1.0しか閲覧することができない。
【0045】
本実施の形態では、ファイル・バージョン管理情報400で管理されているバージョン401、アクセス権404を使用して、適切なアクセス制御を行う。
【0046】
まず、ファイルサーバ20で管理されているファイルが印刷されると、ファイルの格納場所とバージョンを示す情報とが画像データと合わせて、画像形成装置10に送付される。
【0047】
画像形成装置10では、RIP部111において画像データに対してファイルの格納場所とバージョンを示す情報とを埋め込み、記録制御部109で印刷出力する。埋め込まれた情報は、バーコードのように目視可能な情報であってもいいし、透かし情報のように目視できない情報であってもいい。これらの情報埋め込み技術に関しては、公知の技術を使用するものとし、説明は省略する。
【0048】
その後、画像形成装置10の読取制御部108で、印刷出力された用紙を原稿として読み取る際に、埋め込まれている元ファイルの格納場所とバージョンを示す情報とが抽出される。これらの抽出された情報を使用することで、適切なアクセス制御が行われる。制御の詳細に関しては、後述する。
【0049】
図5は、図2の画像形成装置におけるバージョン・リスト情報の一例を示す図である。
【0050】
バージョン・リスト情報500は、画像形成装置10のRAM103に格納される。バージョン・リスト情報500は、ファイル・バージョン管理情報400の中から、読み取った原稿のバージョンが有するアクセス権に準じたアクセス権を有するバージョンの情報のみ抜き出された一覧情報である。
【0051】
図5では、閲覧者のアクセス権があると判断された場合のバージョン・リスト情報500を示す。判断の詳細は、図7、図8にて後述する。
【0052】
図6は、図2における表示部の表示画面の一例を示す図である。
【0053】
図6において、バージョン一覧601(選択手段)は、各バージョン情報の一覧を表示するものであり、チェックボックス602(切替手段)の状態に従って、バージョン・リスト情報500に格納されている情報の中から適切なバージョンのみを表示する。各バージョンの前にあるチェックボックスにチェックを入れた後、OKボタン603を押下することで、該当バージョンの印刷指示を行うことができる。
【0054】
チェックボックス602は、スキャン原稿より古いバージョンも表示するかどうかを指示するためのものである。操作部106を介してチェックボックス602の切り替えを行うことが可能である。
【0055】
チェックボックス602にチェックが入っている場合は、バージョン一覧601に原稿より古いバージョンも表示される。一方、チェックボックス602にチェックが入っていない場合は、バージョン一覧601には原稿より古いバージョンは表示されない。
【0056】
本実施の形態の場合、チェックボックス602にチェックが入っていない場合は、原稿より古いバージョンであるバージョン1.0は表示されない。このような構成をとることで原稿のバージョンより古いバージョンも表示するかどうかを切り替えることが可能となり、ユーザビリティの向上を図ることが可能となる。
【0057】
図7は、図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0058】
本フローチャートは、図2におけるシステム制御部101の制御の下に実行される。
【0059】
図7において、ステップS701では、システム制御部101での制御の下、読取制御部108は原稿を読み取り、読み取った原稿に埋め込まれている情報として、原稿のバージョン情報と、当該原稿に対応した電子データであるファイル(以下元ファイルという)が格納されている場所を示す情報とを抽出し、ステップS702に移行する。本実施形態では、元データを印刷出力したものが原稿ということになる。前述の通り、抽出するための情報はバーコードのように目視可能な情報であってもいいし、透かし情報のように目視できない情報であってもいい。
【0060】
ステップS702では、ファイルサーバ20から、元ファイルの各バージョンの情報を取得し、ステップS703に移行する。ステップS701で取得した元ファイルの格納場所をファイルサーバ20に渡すことで、該当ファイルに関するファイル・バージョン管理情報400に格納された各種情報を取得できる。
【0061】
ステップS703では、元ファイルの各バージョンの情報取得に成功したかどうかを判断し、取得できた場合には、ステップS704に進む。また、該当ファイルが存在しない等の理由で、取得できなかった場合は、ステップS713に進む。
【0062】
ステップS704では、ステップS701で読み取った原稿のバージョンに閲覧者のアクセス権があるかどうかを判断する。これは、ステップS701で抽出したバージョン情報とステップS702で取得したファイル・バージョン管理情報400とを参照することで判断できる。
【0063】
読み取った原稿のバージョンに閲覧者のアクセス権があると判断された場合は、ステップS705に進み、閲覧者のアクセス権がないと判断された場合は、ステップS706に進む。
【0064】
ステップS705では、閲覧者にアクセス権のあるバージョンのリストを作成する。ここではステップS702で取得したファイル・バージョン管理情報400から、原稿に埋め込まれていたバージョンと適合するバージョン情報を抜き出す。つまり、閲覧権限ユーザにアクセス権のあるバージョン(メジャー・バージョン)のみ抜き出して一覧を作成する処理である。
【0065】
作成された一覧は、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。図5に示すバージョン・リスト情報500は、閲覧者にアクセス権のあるバージョンのみ抜き出された場合の例である。
【0066】
ステップS706では、元ファイルの全バージョンのリストを作成し、ステップS707に移行する。これは、ステップS702で取得したファイル・バージョン管理情報400から全てのバージョンの一覧を作成する処理である。
【0067】
この場合は、図4に示すファイル・バージョン管理情報400と同様のリストが、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。
【0068】
ステップS707では、原稿より古いバージョンも表示するかどうかを判断する。これは、例えば、表示部107に、図6に示すような「スキャン原稿より古いバージョンも表示」というユーザ設定可能なチェックボックス602を表示し、このチェックボックス602の状態で判断すればいい。
【0069】
ステップS707で原稿より古いバージョンは表示しないと判断した場合は、ステップS708で、RAM103内のバージョン・リスト情報500から、原稿と同じバージョンと新しいバージョンの情報のみを表示部107に表示する(表示手段)。そして、ステップS710に移行する。
【0070】
一方、ステップS707で原稿より古いバージョンも表示すると判断した場合は、ステップS709で、RAM103内のバージョン・リスト情報500の全バージョン情報を表示部107に表示して(表示手段)、ステップS710に移行する。
【0071】
ステップS710では、特定バージョンの印刷指示があるかどうかを判断する。これは、例えば、表示部107に図6に示すようなバージョン一覧601を表示し、操作部106を介してユーザがOKボタン603を押下したと判断することで印刷指示と判断することが可能である。
【0072】
ステップS710で印刷指示があると判断した場合は、ステップS712(ファイル取得手段)で、指定されたバージョン、即ち、バージョン一覧601内でチェックされているバージョンをファイルサーバ20から取得し、印刷を行い、処理を終了する。
【0073】
原稿、及び元ファイルのバージョン情報は元ファイルに対するアクセス権が対応付けられている。
【0074】
一方、ステップS710で印刷指示がないと判断した場合は、ステップS711でキャンセル指示があるかどうかを判断する。これは、例えば、表示部107に、図6に示すようなバージョン一覧601を表示し、操作部106を介してユーザがキャンセルボタン604を押下したと判断することでキャンセル指示とみなすことが可能である。
【0075】
ステップS711でキャンセル指示があると判断した場合は、そのまま処理を終了し、キャンセル指示がないと判断した場合は、ステップS707に戻る。
【0076】
ステップS703で元ファイルの各バージョンの情報取得ができなかった場合は、ステップS713で、コピーが許可されているかどうかを判断する。許可するかどうかの判断は、画像形成装置10にて一意に決定された情報でもよいし、操作部106を介して変更可能なように構成してもよい。
【0077】
ステップS713でコピーが許可されていないと判断した場合は、ステップS714で、コピー中止の旨を表示部107に表示し、処理を終了する、一方、ステップS713でコピーが許可されていると判断した場合は、ステップS715で、原稿のコピーを行い、処理を終了する。
【0078】
図8は、図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第1の実施の形態の変形例の手順を示すフローチャートである。
【0079】
本フローチャートは、図2におけるシステム制御部101の制御の下に実行される。
【0080】
本例は、図7のステップS704で行っている各バージョンに対するアクセス権判断をファイルサーバ20側で行うものである。
【0081】
図8において、ステップS801(抽出手段)では、ステップS701と同様の処理を行う。
【0082】
ステップS802では、ステップS801で抽出(取得)した原稿のバージョン情報と元ファイルの格納場所を示す情報とをファイルサーバ20へ送信する。そしてその送信に対する応答として、原稿のバージョンに基づいて選択される適切なアクセス権のバージョン情報がファイルサーバ20から返送される。ファイルサーバ20では、原稿のバージョンがメジャー・バージョンであるか、マイナー・バージョンであるかに基づいて、閲覧者にもアクセス権があるか否かを判断することで決定する。
【0083】
ステップS803では、ステップS802でのバージョン情報の取得に成功したかどうかを判断し、取得できた場合には、ステップS804に進む。また、該当ファイルが存在しない等の理由で、取得できなかった場合は、ステップS811に進む。
【0084】
ステップS804では、取得したバージョンのリストを作成する。これは、ステップS802で取得したバージョンの一覧を作成する処理であり、作成された一覧は、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。そしてステップS805へ進む。
【0085】
ステップS805からステップS813では、図7のステップS707からステップS715と同様の処理を行う。
【0086】
以上説明したように本実施の形態によれば、読み取った原稿のバージョンのアクセス権に準じたバージョン群を表示し、選択/印刷させることができる。こうすることで、バージョンによって異なったアクセス権を有するファイルに対して、より適切なアクセス制御を行うことが可能となる。
【0087】
図9は、図3のファイルサーバにおけるユーザ管理情報の一例を示す図である。
【0088】
ユーザ管理情報900は、ファイルサーバ20のハードディスク220上に格納され、ファイルサーバ20で管理されるファイルに対する各ユーザのアクセス権情報等を格納する。
【0089】
ログイン名901は各ユーザのログイン名、パスワード902は各ユーザに対するパスワード、アクセス権903は各ユーザのアクセス権情報である。ファイルサーバ20は、各ログインユーザに対して、ユーザ管理情報900に格納された情報に従って、各ファイル/バージョンへのアクセス制御を行うことが可能となる。
【0090】
図10は、図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0091】
本フローチャートは、図2におけるシステム制御部101の制御の下に実行される。
【0092】
図10において、ステップS1001では、読取制御部108で読み取った原稿から、原稿に埋め込まれている情報として、原稿のバージョン情報と元ファイルが格納されている場所を示す情報とを抽出する。そしてステップS702に移行する。抽出するための情報は、バーコードのように目視可能な情報であってもいいし、透かし情報のように目視できない情報であってもいい。これらの情報埋め込み技術に関しては、公知の技術を使用するものとし、説明は省略する。
【0093】
ステップS1002では、操作ユーザのユーザ情報入力を行う(入力手段)。これは、例えば、表示部107にユーザのログイン名とパスワードとを入力する画面を表示し、操作部106を介してログイン名とパスワードとが入力されることで実現できる。これにより、システム制御部101は、画像形成装置10の操作者を識別することができる。
【0094】
なお、ステップS1001とステップS1002の処理の順番が逆であっても構わない。
【0095】
ステップS1003では、ファイルサーバ20から、元ファイルの各バージョンの情報とログインユーザのアクセス権情報とを取得し、ステップS1004に移行する。
【0096】
ステップS1001で取得した元ファイルの格納場所をファイルサーバ20に渡すことで、該当ファイルに関するファイル・バージョン管理情報400に格納された各種情報を取得できる。また、ステップS1002で入力されたログイン名とパスワードとをファイルサーバ20に渡すことで、該当ユーザに関するアクセス権情報を取得できる。
【0097】
ステップS1004では、各種情報の取得に成功したかどうかを判断し、取得できた場合には、ステップS1005に進む。また、該当ファイルが存在しなかったり、入力されたログイン名とパスワードがファイルサーバ20のユーザ管理情報900に登録されている情報に合致しなかったり等の理由で、各種情報を取得できなかった場合は、ステップS1016に進む。
【0098】
ステップS1005では、操作ユーザが編集可能者かどうかを判断する。これは、ステップS1003でファイルサーバ20から取得した該当ユーザに対するアクセス権情報から判断できる。操作ユーザが編集可能者であると判断した場合は、ステップS1006に移行し、編集可能者ではないと判断した場合は、ステップS1007に移行する。
【0099】
ステップS1006では、元ファイルの全バージョンのリストを作成し(作成手段)、ステップS1010に移行する。これは、ステップS1003でファイルサーバ20から取得したファイル・バージョン管理情報400から全てのバージョンの一覧を作成する処理である。
【0100】
この場合は、図4に示すファイル・バージョン管理情報400と同様のリストが、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。
【0101】
ステップS1007では、操作ユーザが閲覧者かどうか、即ち、閲覧者権限を有するユーザであるか否かを判断する。これは、ステップS1003でファイルサーバ20から取得した該当ユーザに対するアクセス権情報から判断できる。
【0102】
操作ユーザが閲覧者であると判断した場合は、ステップS1008に移行する。一方、閲覧者ではないと判断した場合は、編集可能者でも閲覧者でもないということになるため、アクセス権不正によるコピー中止の旨を表示し(ステップS1017)、処理を終了する。
【0103】
ステップS1008では、ステップS1001で読み取った原稿のバージョンに閲覧者のアクセス権があるかどうか、即ち、メジャー・バージョンであるか否かを判断する。これは、ステップS1001で抽出したバージョン情報とステップS1003で取得したファイル・バージョン管理情報400とを参照することで判断できる。
【0104】
読み取った原稿のバージョンに閲覧者のアクセス権があると判断された場合は、ステップS1009に移行する。一方、閲覧者のアクセス権がないと判断された場合は、読み取った原稿は操作ユーザにはアクセス権のないバージョンということになるため、アクセス権不正によるコピー中止の旨を表示し(ステップS1017)、処理を終了する。
【0105】
ステップS1009では、閲覧者にアクセス権のあるバージョンのリストを作成し(作成手段)、ステップS1010に移行する。これは、ステップS1003で取得したファイル・バージョン管理情報400から閲覧者にアクセス権のあるバージョン(メジャー・バージョン)のみ抜き出して一覧を作成する処理である。
【0106】
作成された一覧は、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。図5に示すバージョン・リスト情報500は、閲覧者にアクセス権のあるバージョンのみ抜き出された場合の例である。
【0107】
ステップS1010からステップS1015では、図7の第1の実施の形態のステップS707からステップS712と同様の処理を行う。
【0108】
ステップS1004で各種情報を取得できなかった場合は、ステップS1016で、コピーが許可されているかどうかを判断する。許可するかどうかの判断は、画像形成装置10にて一意に決定された情報でもいいし、操作部106を介して変更可能なように構成してもいい。
【0109】
ステップS1016でコピーが許可されていないと判断した場合は、ステップS1017で、コピー中止の旨を表示部107に表示し、処理を終了する、一方、ステップS1016でコピーが許可されていると判断した場合は、ステップS1018で原稿のコピーを行い、処理を終了する。
【0110】
図11は、図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第2の実施の形態の変形例の手順を示すフローチャートである。
【0111】
本フローチャートは、図2におけるシステム制御部101の制御の下に実行される。
【0112】
本例は、図10のステップS1005、ステップS1007、ステップS1008で行っているアクセス権判断をファイルサーバ20側で行うものである。
【0113】
ステップS1101(抽出手段)、ステップS1102(入力手段)では、ステップS1001、ステップS1002と同様の処理を行う。
【0114】
ステップS1103では、ファイルサーバ20のファイル・バージョン管理情報400に格納された各種情報の中から適切なアクセス権のバージョンのみを取得する(取得手段)。これは、ステップS1101で取得した元ファイルの格納場所とバージョン情報、及び、ステップS1102で入力されたユーザのログイン名とパスワードとをファイルサーバ20に渡すことで実現できる。
【0115】
ファイルサーバ20でのアクセス権判断は、図10のステップS1005、ステップS1007、ステップS1008と同様の判断をファイルサーバ20上で行うことで実現可能である。
【0116】
ステップS1104では、元ファイルに関する適切なアクセス権のバージョン情報取得に成功したかどうかを判断し、取得できた場合には、ステップS1105に進む。また、また、該当ファイルが存在しなかったり、入力されたログイン名とパスワードがファイルサーバ20のユーザ管理情報900に登録されている情報に合致しなかったり等の理由で、各種情報を取得できなかった場合は、ステップS1112に進む。
【0117】
ステップS1105では、ファイルサーバ20から取得したバージョンのリストを作成し(作成手段)、ステップS1106に移行する。これは、ステップS1103で取得したバージョンの一覧を作成する処理であり、作成された一覧は、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。
【0118】
ステップS1106からステップS1114では、ステップS1010からステップS1018と同様の処理を行う。
【0119】
以上説明したように、本実施の形態によれば、読み取った原稿のバージョンのアクセス権に加えて、操作ユーザのアクセス権も考慮した処理が可能となり、よりきめ細やかなアクセス制御を行うことが可能となる。
【0120】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0121】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0122】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0123】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOステップS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0124】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の画像形成装置のネットワークシステムの構成図である。
【図2】図1における画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
【図3】図1におけるファイルサーバの基本構成を示すブロック図である。
【図4】図3のファイルサーバにおけるファイル・バージョン管理情報の一例を示す図である。
【図5】図2の画像形成装置におけるバージョン・リスト情報の一例を示す図である。
【図6】図2における表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図7】図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図8】図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第1の実施の形態の変形例の手順を示すフローチャートである。
【図9】図3のファイルサーバにおけるユーザ管理情報の一例を示す図である。
【図10】図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図11】図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第2の実施の形態の変形例の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0126】
10 画像形成装置、
101 システム制御部、
102 ROM
103 RAM
104 文書管理部、
106 操作部
107 表示部
108 読取制御部
109 記録制御部
110 インタフェース制御部
111 RIP部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラムに関し、特に、バージョン管理されたファイルに対してアクセス制御を行う技術に特徴のある画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿を読み込み、該原稿に情報として埋め込まれた元ファイルの情報を抽出した後、元ファイルをファイルサーバから取得し、印刷する画像形成装置が知られている。
【0003】
また、元ファイルの情報としてバージョン情報も埋め込み、最新バージョンかどうかに基づいて、その後の処理を切り替える画像形成装置も存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この画像形成装置においては、例えば、原稿が最新バージョンならばそのままコピーし、旧バージョンならば最新バージョンをファイルサーバから取得して印刷するというような処理が行われている。
【0005】
また、例えば、最新バージョンならば元ファイルをファイルサーバから取得して、より画質の優れたコピーを作成し、旧バージョンならば旧バージョンである旨を示すスタンプ画像を入れたコピーを作成するというような処理も行われている。
【特許文献1】特開2006−352284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記画像形成装置においては、原稿が最新バージョンかどうかに応じて処理を変更するものであった。このため、ファイルがバージョン管理され、バージョンによってアクセス権の異なるようなデータベースに適用した場合には、適切なアクセス制御を行うことが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、バージョンによって異なるアクセス権を有するファイルに対して、より適切なアクセス制御を行うことができる画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置であって、原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、前記読取手段が生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出手段と、前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出手段が抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の制御方法は、ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置の制御方法であって、原稿を読み取って画像データを生成する読取工程と、前記読取工程で生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出工程と、前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出工程で抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置によれば、バージョンによって異なるアクセス権を有するファイルに対して、より適切なアクセス制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の画像形成装置のネットワークシステムの構成図である。
【0013】
図1において、ネットワークシステムは、画像形成装置10(10−1、10−2)、ファイルサーバ20及びクライアントPC30(30−1、30−2)がネットワーク40で互いに通信可能に接続されることで構成される。
【0014】
画像形成装置10は、スキャン、プリント、コピー等様々な機能を有する。本実施の形態では、画像形成装置10は、原稿をスキャンして埋め込まれたファイル情報を抽出し、ファイルサーバ20から該当ファイルに対する情報を取得し、更には、取得した情報に応じた処理の実行等を行う。
【0015】
ファイルサーバ20は、ユーザ情報やクライアントPC30で作成されたファイル等を管理する。本実施の形態のファイルサーバ20は、各ファイルをバージョン毎に管理することが可能である。
【0016】
クライアントPC30は、ユーザが各種操作を行うPCである。ユーザはファイルサーバ20に保存されたファイルの表示、編集、保存、印刷等をクライアントPC30上から行うことができる。
【0017】
図2は、図1における画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
【0018】
図2において、システム制御部101は、システムバス120を介して画像形成装置全体の動作を制御するものである。
【0019】
ROM102は、システム制御部101の制御プログラム等を格納するものである。ROM102に格納された制御プログラムは、システム制御部101に含まれるCPUが実行する。
【0020】
RAM103は、オペレータが登録した設定値や画像形成装置の管理データ、一時的な変数等を格納するためのものである。
【0021】
文書管理部104は、ハードディスク等のメモリで構成され、複数の画像データやジョブデータ、ジョブ管理情報等を格納可能とするものである。例えば、読取制御部108からの画像データや、インタフェース制御部110を介して入力されたプリントジョブデータ等を複数格納可能である。
【0022】
圧縮伸張部105は、画像データの圧縮伸張を行うものである。画像データを文書管理部104に記憶する際に、必要に応じて画像データを圧縮して格納し、逆に、圧縮して格納された画像データを読み出す際に元の画像データに伸張して戻す等の処理を行う。また、データがネットワーク40を経由する際には、JPEG、JBIG等、圧縮データを使用することも一般に知られており、データが画像形成装置10に入った後、この圧縮伸張部105にて解凍(伸張)される。
【0023】
操作部106は、各種キー等により構成され、オペレータが各種入力を行うものである。表示部(表示手段)107は、LCDやLED等により構成され、各種表示や音声による通知を行うものである。表示部107の高解像度化に伴い、文書管理部104にある画像データをプレビューし、確認後にプリントするといったこともできる。
【0024】
読取制御部(読取手段)108は、CCDやCS等のイメージセンサ、画像処理制御部等により構成され、原稿を光学的に読み取り、電気的な画像データに変換し、更に色処理、2値化処理、中間調処理等の各種画像処理を施して高精細な画像データを生成する。
【0025】
読取制御部108は、ADF上の原稿を1枚ずつ搬送しながら読み取りを行うADF方式と、原稿台ガラス上においてある原稿を静止したまま読み取りを行う原稿台方式のいずれか、もしくは、両方に対応するものである。本実施の形態では、原稿に埋め込まれている元ファイルの格納場所とバージョンを示す情報とを抽出する処理も読取制御部108にて行う。
【0026】
記録制御部(記録手段)109は、レーザ、インクジェット等のプリンタにより構成され、記録する画像データに対して、スムージング処理や記録濃度補正処理等の各種画像処理を施して高精細な画像データに変換し、記録紙上に出力するものである。
【0027】
インタフェース制御部110は、ネットワークやUSB等を介して接続されたファイルサーバ20等の情報処理装置と画像データや装置情報等の通信を行うためのものである。通信制御方法に関しては、公知の方法を使用するものとし、説明は省略する。
【0028】
RIP部111は、インタフェース制御部110から入力されたPDLデータに対してRIP(Raster Image Processing)処理を施すものである。更にRIP部111は、その際に作られる画像データの中間データやプリントレディデータ(プリントのためのビットマップデータやそれを圧縮したデータ)を必要に応じて、文書管理部104に再度格納することもできる。
【0029】
本実施の形態では、印刷時に、ファイルの格納場所とバージョンを示す情報とを画像データに埋め込むための処理もRIP部111にて行う。
【0030】
図3は、図1におけるファイルサーバの基本構成を示すブロック図である。
【0031】
図3において、CPU201は、ROM202、RAM203、または、ハードディスク220に記憶されたプログラムに従って、ファイルサーバ全体の動作を制御するものである。また、CPU201は、FDドライブ221、CD/DVDドライブ222から読み出されたプログラムに従って、ファイルサーバ全体の動作を制御するものである。
【0032】
ROM202は、CPU201の制御プログラム等を格納している。RAM203は、一時的にプログラムや画像データを記憶し、ファイルサーバ20の処理を高速に動作させるためのものである。
【0033】
ハードディスク制御部204はハードディスク220を制御する。ハードディスク220には、オペレーティング・システム、各種アプリケーションソフト、ドライバソフトがインストールされ、また、ファイルや画像データ等が格納されるものとする。
【0034】
通常、これらのアプリケーションソフト及びドライバソフトは、これらが記憶された他のコンピュータ可読媒体からFDドライブ221、CD/DVDドライブ222等を介してハードディスク220にインストールされる。また、インタフェース制御部209を介してアプリケーションソフト及びドライバソフトをダウンロードして、ハードディスク220にインストールすることもできる。
【0035】
FDドライブ制御部205は、FDドライブ221を制御するものである。CD/DVDドライブ制御部206は、CD/DVDドライブ222を制御するものである。
【0036】
キーボード/マウス制御部207は、オペレータからの指示入力手段としてのキーボード/マウス230を制御するものである。
【0037】
ディスプレイ制御部208は、オペレータに各種表示を行うディスプレイ240を制御するものである。
【0038】
インタフェース制御部209は、ネットワークやUSB等を介して接続された画像形成装置10等の外部端末と通信するためのものである。通信制御方法に関しては、公知の方法を使用するものとし、説明は省略する。
【0039】
尚、図1におけるクライアントPC30も、ファイルサーバ20と同様の基本構成であってよい。
【0040】
図4は、図3のファイルサーバにおけるファイル・バージョン管理情報の一例を示す図である。
【0041】
図4において、ファイル・バージョン管理情報(ファイルの文書情報)400は、ファイルサーバ20のハードディスク220上に格納され、ファイルサーバ20で管理されるファイル毎に作成される。ファイル・バージョン管理情報400には、該当ファイルの各バージョンに関する情報が格納され、ファイルが保存されバージョン更新がある毎に情報が更新される。
【0042】
バージョン401は、該当ファイルが保存された時のバージョン情報である。本実施形態では、バージョン情報を、メジャー・バージョンと、マイナー・バージョンに分類するものとする。枝版(小数点一桁目)が0のバージョンをメジャー・バージョン、枝版(小数点一桁目)が0以外のバージョンをマイナー・バージョンと呼ぶことにする。
【0043】
更新日時402は、該当バージョンが保存された日時であり、更新者403は、該当バージョンを保存したユーザのログイン名を示す情報である。また、アクセス権404は、該当バージョンにアクセス可能なユーザの権限を示す情報である。
【0044】
本実施の形態では、メジャー・バージョンは、編集可能者と閲覧者のいずれもアクセス可能、マイナー・バージョンは、編集者のみアクセス可能となっている。例えば、編集者によってファイルが更新され、マイナー・バージョン2.1を保存済みであっても、閲覧者はそれにアクセスすることができない。このため、閲覧者はメジャー・バージョンである2.0と1.0しか閲覧することができない。
【0045】
本実施の形態では、ファイル・バージョン管理情報400で管理されているバージョン401、アクセス権404を使用して、適切なアクセス制御を行う。
【0046】
まず、ファイルサーバ20で管理されているファイルが印刷されると、ファイルの格納場所とバージョンを示す情報とが画像データと合わせて、画像形成装置10に送付される。
【0047】
画像形成装置10では、RIP部111において画像データに対してファイルの格納場所とバージョンを示す情報とを埋め込み、記録制御部109で印刷出力する。埋め込まれた情報は、バーコードのように目視可能な情報であってもいいし、透かし情報のように目視できない情報であってもいい。これらの情報埋め込み技術に関しては、公知の技術を使用するものとし、説明は省略する。
【0048】
その後、画像形成装置10の読取制御部108で、印刷出力された用紙を原稿として読み取る際に、埋め込まれている元ファイルの格納場所とバージョンを示す情報とが抽出される。これらの抽出された情報を使用することで、適切なアクセス制御が行われる。制御の詳細に関しては、後述する。
【0049】
図5は、図2の画像形成装置におけるバージョン・リスト情報の一例を示す図である。
【0050】
バージョン・リスト情報500は、画像形成装置10のRAM103に格納される。バージョン・リスト情報500は、ファイル・バージョン管理情報400の中から、読み取った原稿のバージョンが有するアクセス権に準じたアクセス権を有するバージョンの情報のみ抜き出された一覧情報である。
【0051】
図5では、閲覧者のアクセス権があると判断された場合のバージョン・リスト情報500を示す。判断の詳細は、図7、図8にて後述する。
【0052】
図6は、図2における表示部の表示画面の一例を示す図である。
【0053】
図6において、バージョン一覧601(選択手段)は、各バージョン情報の一覧を表示するものであり、チェックボックス602(切替手段)の状態に従って、バージョン・リスト情報500に格納されている情報の中から適切なバージョンのみを表示する。各バージョンの前にあるチェックボックスにチェックを入れた後、OKボタン603を押下することで、該当バージョンの印刷指示を行うことができる。
【0054】
チェックボックス602は、スキャン原稿より古いバージョンも表示するかどうかを指示するためのものである。操作部106を介してチェックボックス602の切り替えを行うことが可能である。
【0055】
チェックボックス602にチェックが入っている場合は、バージョン一覧601に原稿より古いバージョンも表示される。一方、チェックボックス602にチェックが入っていない場合は、バージョン一覧601には原稿より古いバージョンは表示されない。
【0056】
本実施の形態の場合、チェックボックス602にチェックが入っていない場合は、原稿より古いバージョンであるバージョン1.0は表示されない。このような構成をとることで原稿のバージョンより古いバージョンも表示するかどうかを切り替えることが可能となり、ユーザビリティの向上を図ることが可能となる。
【0057】
図7は、図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0058】
本フローチャートは、図2におけるシステム制御部101の制御の下に実行される。
【0059】
図7において、ステップS701では、システム制御部101での制御の下、読取制御部108は原稿を読み取り、読み取った原稿に埋め込まれている情報として、原稿のバージョン情報と、当該原稿に対応した電子データであるファイル(以下元ファイルという)が格納されている場所を示す情報とを抽出し、ステップS702に移行する。本実施形態では、元データを印刷出力したものが原稿ということになる。前述の通り、抽出するための情報はバーコードのように目視可能な情報であってもいいし、透かし情報のように目視できない情報であってもいい。
【0060】
ステップS702では、ファイルサーバ20から、元ファイルの各バージョンの情報を取得し、ステップS703に移行する。ステップS701で取得した元ファイルの格納場所をファイルサーバ20に渡すことで、該当ファイルに関するファイル・バージョン管理情報400に格納された各種情報を取得できる。
【0061】
ステップS703では、元ファイルの各バージョンの情報取得に成功したかどうかを判断し、取得できた場合には、ステップS704に進む。また、該当ファイルが存在しない等の理由で、取得できなかった場合は、ステップS713に進む。
【0062】
ステップS704では、ステップS701で読み取った原稿のバージョンに閲覧者のアクセス権があるかどうかを判断する。これは、ステップS701で抽出したバージョン情報とステップS702で取得したファイル・バージョン管理情報400とを参照することで判断できる。
【0063】
読み取った原稿のバージョンに閲覧者のアクセス権があると判断された場合は、ステップS705に進み、閲覧者のアクセス権がないと判断された場合は、ステップS706に進む。
【0064】
ステップS705では、閲覧者にアクセス権のあるバージョンのリストを作成する。ここではステップS702で取得したファイル・バージョン管理情報400から、原稿に埋め込まれていたバージョンと適合するバージョン情報を抜き出す。つまり、閲覧権限ユーザにアクセス権のあるバージョン(メジャー・バージョン)のみ抜き出して一覧を作成する処理である。
【0065】
作成された一覧は、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。図5に示すバージョン・リスト情報500は、閲覧者にアクセス権のあるバージョンのみ抜き出された場合の例である。
【0066】
ステップS706では、元ファイルの全バージョンのリストを作成し、ステップS707に移行する。これは、ステップS702で取得したファイル・バージョン管理情報400から全てのバージョンの一覧を作成する処理である。
【0067】
この場合は、図4に示すファイル・バージョン管理情報400と同様のリストが、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。
【0068】
ステップS707では、原稿より古いバージョンも表示するかどうかを判断する。これは、例えば、表示部107に、図6に示すような「スキャン原稿より古いバージョンも表示」というユーザ設定可能なチェックボックス602を表示し、このチェックボックス602の状態で判断すればいい。
【0069】
ステップS707で原稿より古いバージョンは表示しないと判断した場合は、ステップS708で、RAM103内のバージョン・リスト情報500から、原稿と同じバージョンと新しいバージョンの情報のみを表示部107に表示する(表示手段)。そして、ステップS710に移行する。
【0070】
一方、ステップS707で原稿より古いバージョンも表示すると判断した場合は、ステップS709で、RAM103内のバージョン・リスト情報500の全バージョン情報を表示部107に表示して(表示手段)、ステップS710に移行する。
【0071】
ステップS710では、特定バージョンの印刷指示があるかどうかを判断する。これは、例えば、表示部107に図6に示すようなバージョン一覧601を表示し、操作部106を介してユーザがOKボタン603を押下したと判断することで印刷指示と判断することが可能である。
【0072】
ステップS710で印刷指示があると判断した場合は、ステップS712(ファイル取得手段)で、指定されたバージョン、即ち、バージョン一覧601内でチェックされているバージョンをファイルサーバ20から取得し、印刷を行い、処理を終了する。
【0073】
原稿、及び元ファイルのバージョン情報は元ファイルに対するアクセス権が対応付けられている。
【0074】
一方、ステップS710で印刷指示がないと判断した場合は、ステップS711でキャンセル指示があるかどうかを判断する。これは、例えば、表示部107に、図6に示すようなバージョン一覧601を表示し、操作部106を介してユーザがキャンセルボタン604を押下したと判断することでキャンセル指示とみなすことが可能である。
【0075】
ステップS711でキャンセル指示があると判断した場合は、そのまま処理を終了し、キャンセル指示がないと判断した場合は、ステップS707に戻る。
【0076】
ステップS703で元ファイルの各バージョンの情報取得ができなかった場合は、ステップS713で、コピーが許可されているかどうかを判断する。許可するかどうかの判断は、画像形成装置10にて一意に決定された情報でもよいし、操作部106を介して変更可能なように構成してもよい。
【0077】
ステップS713でコピーが許可されていないと判断した場合は、ステップS714で、コピー中止の旨を表示部107に表示し、処理を終了する、一方、ステップS713でコピーが許可されていると判断した場合は、ステップS715で、原稿のコピーを行い、処理を終了する。
【0078】
図8は、図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第1の実施の形態の変形例の手順を示すフローチャートである。
【0079】
本フローチャートは、図2におけるシステム制御部101の制御の下に実行される。
【0080】
本例は、図7のステップS704で行っている各バージョンに対するアクセス権判断をファイルサーバ20側で行うものである。
【0081】
図8において、ステップS801(抽出手段)では、ステップS701と同様の処理を行う。
【0082】
ステップS802では、ステップS801で抽出(取得)した原稿のバージョン情報と元ファイルの格納場所を示す情報とをファイルサーバ20へ送信する。そしてその送信に対する応答として、原稿のバージョンに基づいて選択される適切なアクセス権のバージョン情報がファイルサーバ20から返送される。ファイルサーバ20では、原稿のバージョンがメジャー・バージョンであるか、マイナー・バージョンであるかに基づいて、閲覧者にもアクセス権があるか否かを判断することで決定する。
【0083】
ステップS803では、ステップS802でのバージョン情報の取得に成功したかどうかを判断し、取得できた場合には、ステップS804に進む。また、該当ファイルが存在しない等の理由で、取得できなかった場合は、ステップS811に進む。
【0084】
ステップS804では、取得したバージョンのリストを作成する。これは、ステップS802で取得したバージョンの一覧を作成する処理であり、作成された一覧は、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。そしてステップS805へ進む。
【0085】
ステップS805からステップS813では、図7のステップS707からステップS715と同様の処理を行う。
【0086】
以上説明したように本実施の形態によれば、読み取った原稿のバージョンのアクセス権に準じたバージョン群を表示し、選択/印刷させることができる。こうすることで、バージョンによって異なったアクセス権を有するファイルに対して、より適切なアクセス制御を行うことが可能となる。
【0087】
図9は、図3のファイルサーバにおけるユーザ管理情報の一例を示す図である。
【0088】
ユーザ管理情報900は、ファイルサーバ20のハードディスク220上に格納され、ファイルサーバ20で管理されるファイルに対する各ユーザのアクセス権情報等を格納する。
【0089】
ログイン名901は各ユーザのログイン名、パスワード902は各ユーザに対するパスワード、アクセス権903は各ユーザのアクセス権情報である。ファイルサーバ20は、各ログインユーザに対して、ユーザ管理情報900に格納された情報に従って、各ファイル/バージョンへのアクセス制御を行うことが可能となる。
【0090】
図10は、図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0091】
本フローチャートは、図2におけるシステム制御部101の制御の下に実行される。
【0092】
図10において、ステップS1001では、読取制御部108で読み取った原稿から、原稿に埋め込まれている情報として、原稿のバージョン情報と元ファイルが格納されている場所を示す情報とを抽出する。そしてステップS702に移行する。抽出するための情報は、バーコードのように目視可能な情報であってもいいし、透かし情報のように目視できない情報であってもいい。これらの情報埋め込み技術に関しては、公知の技術を使用するものとし、説明は省略する。
【0093】
ステップS1002では、操作ユーザのユーザ情報入力を行う(入力手段)。これは、例えば、表示部107にユーザのログイン名とパスワードとを入力する画面を表示し、操作部106を介してログイン名とパスワードとが入力されることで実現できる。これにより、システム制御部101は、画像形成装置10の操作者を識別することができる。
【0094】
なお、ステップS1001とステップS1002の処理の順番が逆であっても構わない。
【0095】
ステップS1003では、ファイルサーバ20から、元ファイルの各バージョンの情報とログインユーザのアクセス権情報とを取得し、ステップS1004に移行する。
【0096】
ステップS1001で取得した元ファイルの格納場所をファイルサーバ20に渡すことで、該当ファイルに関するファイル・バージョン管理情報400に格納された各種情報を取得できる。また、ステップS1002で入力されたログイン名とパスワードとをファイルサーバ20に渡すことで、該当ユーザに関するアクセス権情報を取得できる。
【0097】
ステップS1004では、各種情報の取得に成功したかどうかを判断し、取得できた場合には、ステップS1005に進む。また、該当ファイルが存在しなかったり、入力されたログイン名とパスワードがファイルサーバ20のユーザ管理情報900に登録されている情報に合致しなかったり等の理由で、各種情報を取得できなかった場合は、ステップS1016に進む。
【0098】
ステップS1005では、操作ユーザが編集可能者かどうかを判断する。これは、ステップS1003でファイルサーバ20から取得した該当ユーザに対するアクセス権情報から判断できる。操作ユーザが編集可能者であると判断した場合は、ステップS1006に移行し、編集可能者ではないと判断した場合は、ステップS1007に移行する。
【0099】
ステップS1006では、元ファイルの全バージョンのリストを作成し(作成手段)、ステップS1010に移行する。これは、ステップS1003でファイルサーバ20から取得したファイル・バージョン管理情報400から全てのバージョンの一覧を作成する処理である。
【0100】
この場合は、図4に示すファイル・バージョン管理情報400と同様のリストが、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。
【0101】
ステップS1007では、操作ユーザが閲覧者かどうか、即ち、閲覧者権限を有するユーザであるか否かを判断する。これは、ステップS1003でファイルサーバ20から取得した該当ユーザに対するアクセス権情報から判断できる。
【0102】
操作ユーザが閲覧者であると判断した場合は、ステップS1008に移行する。一方、閲覧者ではないと判断した場合は、編集可能者でも閲覧者でもないということになるため、アクセス権不正によるコピー中止の旨を表示し(ステップS1017)、処理を終了する。
【0103】
ステップS1008では、ステップS1001で読み取った原稿のバージョンに閲覧者のアクセス権があるかどうか、即ち、メジャー・バージョンであるか否かを判断する。これは、ステップS1001で抽出したバージョン情報とステップS1003で取得したファイル・バージョン管理情報400とを参照することで判断できる。
【0104】
読み取った原稿のバージョンに閲覧者のアクセス権があると判断された場合は、ステップS1009に移行する。一方、閲覧者のアクセス権がないと判断された場合は、読み取った原稿は操作ユーザにはアクセス権のないバージョンということになるため、アクセス権不正によるコピー中止の旨を表示し(ステップS1017)、処理を終了する。
【0105】
ステップS1009では、閲覧者にアクセス権のあるバージョンのリストを作成し(作成手段)、ステップS1010に移行する。これは、ステップS1003で取得したファイル・バージョン管理情報400から閲覧者にアクセス権のあるバージョン(メジャー・バージョン)のみ抜き出して一覧を作成する処理である。
【0106】
作成された一覧は、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。図5に示すバージョン・リスト情報500は、閲覧者にアクセス権のあるバージョンのみ抜き出された場合の例である。
【0107】
ステップS1010からステップS1015では、図7の第1の実施の形態のステップS707からステップS712と同様の処理を行う。
【0108】
ステップS1004で各種情報を取得できなかった場合は、ステップS1016で、コピーが許可されているかどうかを判断する。許可するかどうかの判断は、画像形成装置10にて一意に決定された情報でもいいし、操作部106を介して変更可能なように構成してもいい。
【0109】
ステップS1016でコピーが許可されていないと判断した場合は、ステップS1017で、コピー中止の旨を表示部107に表示し、処理を終了する、一方、ステップS1016でコピーが許可されていると判断した場合は、ステップS1018で原稿のコピーを行い、処理を終了する。
【0110】
図11は、図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第2の実施の形態の変形例の手順を示すフローチャートである。
【0111】
本フローチャートは、図2におけるシステム制御部101の制御の下に実行される。
【0112】
本例は、図10のステップS1005、ステップS1007、ステップS1008で行っているアクセス権判断をファイルサーバ20側で行うものである。
【0113】
ステップS1101(抽出手段)、ステップS1102(入力手段)では、ステップS1001、ステップS1002と同様の処理を行う。
【0114】
ステップS1103では、ファイルサーバ20のファイル・バージョン管理情報400に格納された各種情報の中から適切なアクセス権のバージョンのみを取得する(取得手段)。これは、ステップS1101で取得した元ファイルの格納場所とバージョン情報、及び、ステップS1102で入力されたユーザのログイン名とパスワードとをファイルサーバ20に渡すことで実現できる。
【0115】
ファイルサーバ20でのアクセス権判断は、図10のステップS1005、ステップS1007、ステップS1008と同様の判断をファイルサーバ20上で行うことで実現可能である。
【0116】
ステップS1104では、元ファイルに関する適切なアクセス権のバージョン情報取得に成功したかどうかを判断し、取得できた場合には、ステップS1105に進む。また、また、該当ファイルが存在しなかったり、入力されたログイン名とパスワードがファイルサーバ20のユーザ管理情報900に登録されている情報に合致しなかったり等の理由で、各種情報を取得できなかった場合は、ステップS1112に進む。
【0117】
ステップS1105では、ファイルサーバ20から取得したバージョンのリストを作成し(作成手段)、ステップS1106に移行する。これは、ステップS1103で取得したバージョンの一覧を作成する処理であり、作成された一覧は、RAM103内のバージョン・リスト情報500として保存され、以降の処理で使用される。
【0118】
ステップS1106からステップS1114では、ステップS1010からステップS1018と同様の処理を行う。
【0119】
以上説明したように、本実施の形態によれば、読み取った原稿のバージョンのアクセス権に加えて、操作ユーザのアクセス権も考慮した処理が可能となり、よりきめ細やかなアクセス制御を行うことが可能となる。
【0120】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0121】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0122】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0123】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOステップS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0124】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の画像形成装置のネットワークシステムの構成図である。
【図2】図1における画像形成装置の基本構成を示すブロック図である。
【図3】図1におけるファイルサーバの基本構成を示すブロック図である。
【図4】図3のファイルサーバにおけるファイル・バージョン管理情報の一例を示す図である。
【図5】図2の画像形成装置におけるバージョン・リスト情報の一例を示す図である。
【図6】図2における表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図7】図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図8】図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第1の実施の形態の変形例の手順を示すフローチャートである。
【図9】図3のファイルサーバにおけるユーザ管理情報の一例を示す図である。
【図10】図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図11】図2の画像形成装置によって実行されるバージョン管理印刷処理の第2の実施の形態の変形例の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0126】
10 画像形成装置、
101 システム制御部、
102 ROM
103 RAM
104 文書管理部、
106 操作部
107 表示部
108 読取制御部
109 記録制御部
110 インタフェース制御部
111 RIP部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置であって、
原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、
前記読取手段が生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出手段と、
前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出手段が抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記抽出手段は更に、前記画像データから前記元ファイルを特定する情報を抽出し、
前記特定手段は、前記抽出手段が抽出した前記元ファイルを特定する情報に基づいて前記ファイルサーバから取得した前記元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記原稿のバージョン情報に基づいて前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョン情報を特定することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記抽出手段は更に、前記画像データから前記元ファイルを特定する情報を抽出し、
前記特定手段は、前記抽出手段が抽出した前記元ファイルを特定する情報と、前記原稿のバージョン情報とを前記ファイルサーバへ送信し、当該送信に応答して前記ファイルサーバから返送されるバージョン情報に基づいて前記画像形成装置が画像形成することが可能な元ファイルのバージョン情報を特定することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、前記ファイルサーバから前記特定手段が特定したバージョン情報の元ファイルを取得するファイル取得手段と、
当該取得した元ファイルに基づき画像形成を行う画像形成手段と、を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
更に、前記特定手段が前記元ファイルの複数のバージョン情報を特定した場合、前記複数のバージョン情報を表示する表示手段を備え、
前記ファイル取得手段は、前記表示手段に表示された複数のバージョン情報のうち選択されたバージョンの元ファイルを取得することを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記原稿、及び前記元ファイルのバージョン情報は前記元ファイルに対するアクセス権が対応付けられており、
前記特定手段は、前記原稿のバージョン情報に対応する前記元ファイルに対するアクセス権に適合する前記元ファイルのバージョン情報を特定することを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
更に、前記画像形成装置を操作するユーザを識別する識別手段と、
前記識別手段が識別したユーザの前記元ファイルに対するアクセス権を決定する決定手段と、を備え、
前記特定手段は、更に、前記識別手段が識別したユーザの前記元ファイルに対するアクセス権に基づいて前記画像形成装置が画像形成することが可能な前記元ファイルのバージョン情報を特定することを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
更に、前記抽出手段が抽出した前記原稿のバージョン情報に対応付けられた前記元ファイルに対するアクセス権と、前記識別手段が識別したユーザの前記元ファイルに対するアクセス権とが適合しない場合、前記元ファイルに基づく画像形成を中止する中止手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記元ファイルのバージョン情報および前記原稿のバージョン情報のそれぞれは、マイナー・バージョンまたはメジャー・バージョンのいずれかに分類され、マイナー・バージョン、およびメジャー・バージョンの各々に対してアクセス権が対応付けられていることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載に画像形成装置。
【請求項10】
ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置の制御方法であって、
原稿を読み取って画像データを生成する読取工程と、
前記読取工程で生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出工程と、
前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出工程で抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定工程と、を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項11】
ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置に制御方法を実行させるための制御プログラムであって、前記制御方法は、
原稿を読み取って画像データを生成する読取工程と、
前記読取工程で生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出工程と、
前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出工程で抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定工程と、を備えることを特徴とする制御プログラム。
【請求項1】
ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置であって、
原稿を読み取って画像データを生成する読取手段と、
前記読取手段が生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出手段と、
前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出手段が抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記抽出手段は更に、前記画像データから前記元ファイルを特定する情報を抽出し、
前記特定手段は、前記抽出手段が抽出した前記元ファイルを特定する情報に基づいて前記ファイルサーバから取得した前記元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記原稿のバージョン情報に基づいて前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョン情報を特定することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記抽出手段は更に、前記画像データから前記元ファイルを特定する情報を抽出し、
前記特定手段は、前記抽出手段が抽出した前記元ファイルを特定する情報と、前記原稿のバージョン情報とを前記ファイルサーバへ送信し、当該送信に応答して前記ファイルサーバから返送されるバージョン情報に基づいて前記画像形成装置が画像形成することが可能な元ファイルのバージョン情報を特定することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、前記ファイルサーバから前記特定手段が特定したバージョン情報の元ファイルを取得するファイル取得手段と、
当該取得した元ファイルに基づき画像形成を行う画像形成手段と、を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
更に、前記特定手段が前記元ファイルの複数のバージョン情報を特定した場合、前記複数のバージョン情報を表示する表示手段を備え、
前記ファイル取得手段は、前記表示手段に表示された複数のバージョン情報のうち選択されたバージョンの元ファイルを取得することを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記原稿、及び前記元ファイルのバージョン情報は前記元ファイルに対するアクセス権が対応付けられており、
前記特定手段は、前記原稿のバージョン情報に対応する前記元ファイルに対するアクセス権に適合する前記元ファイルのバージョン情報を特定することを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
更に、前記画像形成装置を操作するユーザを識別する識別手段と、
前記識別手段が識別したユーザの前記元ファイルに対するアクセス権を決定する決定手段と、を備え、
前記特定手段は、更に、前記識別手段が識別したユーザの前記元ファイルに対するアクセス権に基づいて前記画像形成装置が画像形成することが可能な前記元ファイルのバージョン情報を特定することを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
更に、前記抽出手段が抽出した前記原稿のバージョン情報に対応付けられた前記元ファイルに対するアクセス権と、前記識別手段が識別したユーザの前記元ファイルに対するアクセス権とが適合しない場合、前記元ファイルに基づく画像形成を中止する中止手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記元ファイルのバージョン情報および前記原稿のバージョン情報のそれぞれは、マイナー・バージョンまたはメジャー・バージョンのいずれかに分類され、マイナー・バージョン、およびメジャー・バージョンの各々に対してアクセス権が対応付けられていることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載に画像形成装置。
【請求項10】
ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置の制御方法であって、
原稿を読み取って画像データを生成する読取工程と、
前記読取工程で生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出工程と、
前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出工程で抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定工程と、を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項11】
ファイルサーバと通信可能に接続する画像形成装置に制御方法を実行させるための制御プログラムであって、前記制御方法は、
原稿を読み取って画像データを生成する読取工程と、
前記読取工程で生成した画像データから、前記原稿のバージョン情報を抽出する抽出工程と、
前記原稿に対応する電子データであり前記ファイルサーバに格納された元ファイルの1つ以上のバージョン情報のうち、前記画像形成装置が画像形成することが可能なバージョンを前記抽出工程で抽出した前記原稿のバージョン情報に基づいて特定する特定工程と、を備えることを特徴とする制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−218787(P2009−218787A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59400(P2008−59400)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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