説明

画像形成装置、画像表示方法、プログラム及び記録媒体

【課題】通常表示データとカラーユニバーサル適合化表示データを同時に表示するマルチビューにより、色覚障害を持った人も健常者も表示モードの変更をすることなく、見る角度を変えるだけで良好にメニュー表示を確認することが可能である画像形成装置を提供する。
【解決手段】見る角度によって異なる画像を見ることができるマルチ画像表示手段を備えた画像形成装置であって、通常表示データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した表示データであるカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成する表示データ生成手段と、通常表示データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データに基づいてマルチビュー用の表示データに変換する表示画像変換手段と、を有し、前記マルチ画像表示手段は、前記表示画像変換手段にて得たマルチビュー用の表示データを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーユニバーサル機能を備えた画像形成装置、画像表示方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクセシビリティ、ユニバーサルデザイン、カラーユニバーサルデザイン(以下CUDとも記述する)などの言葉に代表されるように、標識・表示や装置・機器に関して、健常者や障害者の区別なく、認識しやすい、わかりやすい、使いやすい、ということが求められてきている。
【0003】
例えば、カラーユニバーサルデザインの観点から、公共の施設の標識・表示について、高齢者・眼性疾患者・色覚異常者でも認識・区別しやすくしたデザインのものに置き換えられる例が見受けられ始めている。
【0004】
また、画像形成システムに関わる分野でも同様に、装置・機器に関して、ボタン・操作パネルの配色や、文字の併記、LEDの色や配置あるいは点滅によって、高齢者・眼性疾患者・色覚異常者でも容易に認識・区別しやすくした、いわゆる「カラーユニバーサルデザイン」対応を謳った製品が出始めている。
【0005】
そこで、機器などの表示や操作パネルなどをカラーユニバーサルデザインに対応したものにすれば、名目上は誰にでも認識しやすい、わかりやすい、使いやすいものになっているはずであるが、実際はそうなっていないという問題がある。
【0006】
また、色覚異常の種類はいくつかあるために、1つの種類に対応したからといって、他の種類の色覚異常にも有効というわけではなく、オールマイティなカラーユニバーサルデザインというものはないのが実状である。
【0007】
また、機器操作者が色覚異常の種類を指定して、機器側では指定された種類に対応して用意された表示データに切替えたり、表示データに変換をかけたものに切替えるなど、随時対応しているものがほとんどである。
【0008】
例えば、特許文献1では、操作者の認識できる色の組み合わせと認識できない色の組み合わせを正確に反映させた色成分変換処理を行うことが可能な画像形成装置が開示されている。
【0009】
また特許文献2では、異なる方向に視野角を有するデュアルビュー液晶ディスプレイを使用して側方から下方向に視野角を与えることにより、通常の操作パネルを視認できない視線の低い利用者に対する操作性を改善した表示装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように従来は、色覚異常に対応した画像形成装置を使用する際に、どのような色覚異常か操作者が指定し、機器側で指定された種類に対応して用意された表示データに切換えたり、表示データに変換をかけて切換える等随時対応していたが、その都度指定する切り換え操作が面倒という問題があった。
【0011】
特許文献1に記載されている方法は、その都度に操作者が色の設定などを行う必要があるという問題があった。
【0012】
また特許文献2に記載されている方法は、身長の高低という個人差に配慮したものではあるが、色覚異常に対して配慮しているものではないという問題があった。
【0013】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、通常表示データとカラーユニバーサル適合化表示データを同時に表示するマルチビューにより、色覚障害を持った人も健常者も表示モードの変更をすることなく、見る角度を変えるだけで良好にメニュー表示を確認することが可能である画像形成装置、画像表示方法、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、見る角度によって異なる画像を見ることができるマルチ画像表示手段を備えた画像形成装置であって、通常表示データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した表示データであるカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成する表示データ生成手段と、通常表示データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データに基づいてマルチビュー用の表示データに変換する表示画像変換手段と、を有し、前記マルチ画像表示手段は、前記表示画像変換手段にて得たマルチビュー用の表示データを表示することを特徴とする。
【0015】
また本発明に係る画像表示方法は、見る角度によって異なる画像を見ることができるマルチ画像表示手段を備えた画像形成装置の画像表示方法であって、通常表示データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した表示データであるカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成する表示データ生成工程と、通常表示データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データに基づいてマルチビュー用の表示データに変換する表示画像変換工程と、前記表示画像変換工程にて得たマルチビュー用の表示データを表示するマルチ画像表示工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
また本発明に係るプログラムは、上記に記載の画像表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0017】
また本発明に係る記録媒体は、上記に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、カラーユニバーサルデザインに対応した、表示データの切り替え操作などが不要な画像形成装置、画像表示方法、プログラム及び記録媒体を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置(孔版印刷装置)の構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像形成装置制御部の内部構成図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係るマルチ画像表示手段を説明するための図である。
【図5】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作時にタッチパネルに表示される画面の例を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作時にタッチパネルに表示される画面の例と混同色検出を説明するための図である。
【図7】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
【図8】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
【図9】第2の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図10】第2の実施形態に係るマルチ画像表示手段を説明するための図である。
【図11】第2の実施形態に係る画像形成システムの動作時にタッチパネルに表示される画面の例を示す図である。
【図12】第2の実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
【図13】第3の実施形態に係る画像形成装置制御部の内部構成図である。
【図14】第3の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図15】第3の実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
【図16】第4の実施形態に係る画像形成装置制御部の内部構成図である。
【図17】第4の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図18】第4の実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
【図19】第1の実施形態に係る画像形成装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して順に説明する。各実施形態において、第1の実施形態と同一の機能を有する構成要素には、第1の実施形態と同一の符号を付し、第2の実施形態以降での重複説明は極力省略する。
【0021】
本発明にかかる画像形成装置は、画像形成装置の一形態であるデジタル式の孔版印刷装置に適用したものである。各実施形態で説明する画像形成装置としては、孔版印刷装置に限定されるものではなく、MFPやプリンタにも無論適用可能であり、また、電子写真方式やインクジェット方式などの画像形成方法にも基本的に依存しないものである。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、画像形成装置である孔版印刷装置100の基本構成を示す図である。
【0023】
孔版印刷装置100は、装置本体100Aの内部に、マスタ107が外周面に巻着される印刷ドラム101と、印圧手段となるプレスローラ102と、製版装置となるプロッタ103と、排版手段104とを備え、装置本体100Aの右側に配置された給紙手段105から給紙される記録紙106をプレスローラ102で印刷ドラム101に押し当てることで、巻着されたマスタ107の画像を記録紙106に転写し、画像転写された記録紙106を搬送手段108で装置本体100Aの左側に配置された排紙手段109へと搬送する周知の構成をとる。
【0024】
装置本体100Aの上部には、画像読取手段となるカラースキャナ110が配置されていて、原稿画像を読み取り、製版に用いる画像データを取得している。
【0025】
装置本体100の上部正面には、孔版印刷装置100の操作部となる操作パネル111が配設されている。操作パネル111には、印刷や製版の切り替えキー113、スタートキー114、表示部となるタッチパネル115、初期設定/プリンタ設定キー116、印刷位置調整キー117、プリントスピード設定キー118などが配備されている。
【0026】
表示部115は、LCDのタッチパネルで構成されていて、その画面には、各種案内情報や各種操作画面が適宜表示され、操作画面が、装置使用者(操作者/ユーザ)によって操作されると、各画面に表示されたスイッチに対応した内容が制御装置20や孔版印刷装置100に設定される。
【0027】
図2は、装置本体100内に設置されている、孔版印刷装置100の各部を制御する制御装置20の構成を示す図である。
【0028】
制御装置20は、図2に示すように、実装基板となるACU200(Application Control Unit)とECU300(Engine Control Unit)の二つに大きく分かれている。
【0029】
ACU200は、孔版印刷装置の操作パネル111が接続される操作パネル用インターフェース205、携帯型大容量記憶メディアであるSDメモリーカード201やUSBメモリ203などが接続されるインターフェース(SD I/F 206、USB I/F 209A、209B)、大容量記憶装置となるハードディスク(以下「HDD」などと称す)207が接続されるインターフェース208、パソコンなどの情報端末に対し、LANやインターネットなどのネットワークを介してアクセスするためのネットワークインターフェースカード(NIC)202や無縁LANカード204を接続するための通信インターフェース(NIC I/F 212、無線LAN I/F 214)、外部画像表示装置である電子ペーパー400や液晶ディスプレイ500を接続するためのI/Oインターフェース221、FAXモジュールを接続するためのFAXインターフェース222、ECU300側が接続されるECUインターフェース215、中央演算回路となるCPU216、記憶手段となるRAM217とROM218が、ASIC220(Application Specific lntegrated Circuit)を具備している。
【0030】
ACU200は、孔版印刷装置の製版/蓄積の制御等を行い、スキャナあるいはネットワーク経由で転送されてくる文書を蓄積文書としてHDDに蓄積したり、スキャナあるいはHDDに蓄積された蓄積文書あるいはネットワーク経由で転送された文書データから、最終的に製版データを作成したのち、ECU300に転送するという働きを受け持つ。本発明の機能は、主にこのACU200に属する。
【0031】
ECU300は、中央演算回路となるCPU321、記憶手段となるRAM322とROM323、ACU200が有するECUインターフェース215と接続されるACUインターフェース324、スキャナ110が接続されるスキャナインターフェース326、プロッタ103が接続されるプロッタインターフェース328、ASIC329を具備している。
【0032】
ECU300は、ACU200により作成された製版データをもとに、プロッタ103により、周知の孔版原紙となるマスクの感熱孔版フィルム119に、熱的プロセスによって穿孔を行うことにより、製版済みのマスタを作成し、この製版済みのマスタ107を印刷ドラム101となる版胴の外周面に巻装し、ドラム内部に設置されたインキパック120から、インキを供給しながら印刷ドラム101を回転させ、それに呼応させるように記録紙(印刷用紙)106を給紙することにより印刷成果物を得る、という一連のデジタル式の孔版印刷装置の製版から印刷に至る動作全般を制御するものである。
【0033】
尚、孔版印刷装置としては、片面印刷機や両面印刷機の何れであってもよい。
【0034】
本実施形態における画像形成装置は、図3に示すように、当該画像形成装置の表示・操作に関して、カラー表示可能なタッチ機能を具備したものであって、かつ、見る角度によって異なる画像を見ることができるいわゆるマルチビューや立体視と呼ばれる機能を有するマルチ画像表示手段2(2D−3Dディスプレイ115)と、前記マルチ画像表示手段の表示において、CUDに対応した表示を行わせるか否かを指定するCUD適合化表示有無指定手段3(2D−3Dディスプレイ115)と、前記CUD適合化表示有無指定手段による指定が、CUD適合化表示をさせるという旨の設定である場合、どのようなCUD適合ルールによる適合化を行うかを指定するCUD適合化ルール指定手段4(2D−3Dディスプレイ115)と、通常の表示データから、前記CUD適合化ルール指定手段によって指定されたCUD適合化表示データを生成するCUD適合化手段5(ACU上で動作するプログラム)と、前記通常表示データとCUD適合化表示データをマルチビュー用の表示データに変換する表示画像変換手段6(ACU上で動作するプログラム)と、CUD適合化表示有無設定手段による指定が、CUD適合化表示をさせるという旨の設定である場合、CUD適合化手段により、通常の表示データからCUD適合化ルール指定手段によって指定されたCUD適合化表示データを生成し、表示画像変換手段によって、通常表示データとCUD適合化表示データをマルチビュー用の表示データに変換し、マルチ画像表示手段により、通常表示データとCUD適合化表示データとを表示させ、見る角度により、前記どの表示データでも視認できるように制御する制御手段20(ACU上で動作するプログラム)と、を備えている(注:カッコ内は実現手段を示す)。
【0035】
本実施形態では、図2のACUハードウェア構成図に示す操作パネルのタッチパネル115が、図4に示されるような、視差バリア方式を使用した立体画像表示装置(2D−3Dディスプレイ)である。2D−3Dとは、2次元−3次元のことである。
【0036】
このディスプレイは、表示させようとする複数の画像を、3D(次元)表示用に変換させ、当該2D−3Dディスプレイで表示させることにより、1の方向から見た場合は、(G1,R1,B1)の画像が見え、2の方向から見た場合は、(R2,B2,G2)の画像が見える、というような、見る方向によって異なる画像が見えるという使い方、あるいは、左右の目に上記画像を両眼の視差を考慮したものを設定することにより、立体的に見せるいわゆる立体表示、というような使い方がなされる。
【0037】
これを応用し、表示させるデータを、見る方向によって、通常表示データやCUD適合化表示データを見られるように割り振れば、視点を変えるだけでどちらの表示も確認できるようになり、健常者、色覚異常者別の表示切り替えをする必要がない。
【0038】
尚、上記立体画像表示装置は、マルチビュー表示あるいは立体表示以外に、前記のような特殊な表示をしない、いわゆる通常(2次元)の表示も行えるが、本発明の主旨ではないので、説明を省略する。
【0039】
次に、CUD適合化有無指定手段とCUD適合ルール指定手段について、図5及び図6を参照して説明する。
【0040】
図5及び図6は、孔版印刷装置の操作/表示用タッチパネル(以下、単に「操作パネル」、「タッチパネル」などと呼称する)に表示される操作/表示画面の一例である。
【0041】
図5は、図示しない「システム初期値設定」−「動作設定」項目の仮想ボタンを選択した時の画面を表している。ここにおいて、ユーザは、孔版印刷装置の動作に関する設定を行うことができる。
【0042】
尚、図5においては、「CUD表示」項目が『する』となっているが、これは後述する操作により設定された結果が反映されたものである。
【0043】
当該画面において、「CUD表示」仮想ボタンを選択すると、図6(A)に示すサブメニューが表示される。
【0044】
当該サブメニューにおいては、当該孔版印刷装置のメニュー表示において、『する』、『しない』の仮想ボタンの下に羅列されているCUD適合化ルールにもとづいてメニュー表示をするかどうかの指定を行う。
【0045】
本実施形態では、図示のとおり、『する』を選択しており、そしてCUD適合化ルールには、『P型』を指定している。
【0046】
P型とは、色覚異常における1型2色覚3色覚を示している。異常3色覚とは、赤・緑・青の視細胞が一般の人と違う働きをしており(いわゆる色弱といわれるものである)、1型とは、赤の視細胞が正常でないことを示している。また2色型色覚とは、青、緑、赤いずれかの視細胞が働いていないタイプであり(いわゆる色盲といわれるものである)、1型とは、赤の視細胞が働いていないということを表している。ちなみに、D型とは、2型2色覚3色覚の色覚異常を示しており、2型とは、緑の視細胞に障害があることを示している。
【0047】
よって、この実施形態では、赤の視細胞に障害をもつ人にとって、区別・認識しやすい配色がなされているメニュー表示と通常のメニュー表示(健常者向けのメニュー表示)とが表示されることを示している。
【0048】
メニュー表示の中の、CUD適合化ルールに適合しない箇所を検出する方法は、混同色線による混同色検出によって行う。色盲の種類により、xy色度図上の異なる場所に、混同色中心と呼ばれる座標を有することが知られている。
【0049】
混同色中心の座標は、P型ではx=0.747,y=0.253である(図6(B))。この混同色中心から無数に引かれる線のグループが、混同色線である。同一直線の混同色線上に位置する個々の色は、色覚異常者にとって別の色であるとする色弁別が難しいことが知られている。これにより、同一混同色線上に異なる色が位置するか否かを判定することにより、色覚異常者により識別が困難な混同色となる色の組み合わせを判定することが可能である。
【0050】
本実施形態では、混同色の検出方法や混同する色を分別できるように振り分ける方法として混同色線による手法を用いているが、輝度差をつけるなど他の方法によってもよい。
【0051】
これらの手法は、よく知られた公知の技術であり、本発明の主たる要件をなすものではないので、説明を省略する。
【0052】
尚、本実施形態では、色覚異常について、カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)の表現に倣っているが、他の表現形式になっていてもよく、この実施例に制限されるものではない。
【0053】
また、本実施形態では、CUD適合ルールとして、図6(A)に示す項目を挙げているが、これ以外のものが列挙されていてもよく、本実施形態に限定されるものではない。
【0054】
以上のような設定がなされた場合の制御の詳細について、図7及び図8のフローチャート、図19の概略図を参照して説明する。
【0055】
孔版印刷装置の制御部は、当該孔版印刷装置のメニュー表示を行う場合、まず通常表示用のデータを取得する(ステップS1)。
【0056】
この後、CUD適合化表示有無指定を参照し(ステップS2)、CUD適合化表示を判断する(ステップS3)。CUD適合化表示しない旨の設定の場合(ステップS3、NO)、通常表示データの表示を行い(ステップS8)、表示する旨の設定の場合(ステップS3、YES)は、さらにCUD適合化ルール指定を参照する(ステップS4)。
【0057】
本実施形態では、『P型』を指定しているので、通常表示データに対して混同色線による混同色検出を行い、もし同一混同色線に乗る複数の色が使われている場合は、同一混同色線に乗らないように、表示データの色味を変えて、P型に対応した表示データを生成する(ステップS5、図19(B))。
【0058】
この後、通常表示データとCUD適合化表示データを、マルチビュー表示に適合させたフォーマットに変換して(ステップS6、図19(C))、表示する(ステップS7)。
【0059】
図19(C)に示されるように、マルチビュー表示に適合させたフォーマットに変換するために、間引き処理と画素の配置換えを行っている。
【0060】
もともと表示させる画像データサイズ=画像表示装置の画素サイズであったが、P型画像データも同時に表示させる必要があるため、横方向について間引き処理をしている。
【0061】
図8は、当該孔版印刷装置のメニュー画面をマルチビューさせた例を簡易的に示したものである。
【0062】
例えば、CUDを考慮していない配色の通常の画面表示を、P型色覚異常者が見た場合、(A)のように見えづらい部分がでて、操作に支障をきたすことがある。
【0063】
しかしながら、メニュー画面を眺める角度を変えて、P型に対応したCUD適合化表示が見えるポジションをとると、(B)のように見えづらい部分が改善されるため、上記のような不具合が解消される。
【0064】
しかも、このとき従来のように表示切替のためにスイッチを操作するようなことは不要である。
【0065】
孔版印刷装置が具備するタッチパネルは、サイズが小さく、画素数もそれほど多くはないため、本来1つの表示データを表示するのに対し、複数のデータを表示させるようにすると、実質的な表示解像度が落ちてしまう。
【0066】
しかし、メニュー表示など画質劣化をあまり問題視しないものであれば、十分実用に耐えうるし、また、今後の技術の進歩により、より高精細なものが普及すれば、必然的にその恩恵を被ることができるので、大きな問題とはならない。
【0067】
尚、本発明において「マルチビュー」や「マルチ画像表示」などという用語を使用しているが、これは1つの画面を複数の領域に分割して、各々の領域に別々の画像を表示させるという、いわゆる画面分割表示の意味で使用しているのではないので注意を要する。
【0068】
本発明でいう「マルチビュー」とは、同一の画像表示装置に対し、視点を変えることで異なる画像を見られること、あるいはその機能を意味している。
【0069】
さらに本実施形態では、通常表示データから逐次CUD適合化表示データを生成しているが、あらかじめ用意されたものを使用してもよい。
【0070】
本実施形態で、逐次生成させている理由は、表示メニューデータが少ないうちはあらかじめ生成して格納しておいても、そのデータの格納サイズが小さければよいが、メニュー数がだんだん増えてくると、それに伴い格納サイズが肥大化するのと、用意のための手間が増えるためである。
【0071】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施形態を説明する。なお、上記の第1の実施形態と同一または同様の部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既に説明した構成上及び機能上の説明は省略して、要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じである)。
【0072】
実施形態では、第1の実施形態のブロック図をベースにして、図9に示すように、画像形成装置が、前記生成されたCUD適合化表示データの表示のさせ方を指定する見え指定手段7(タッチパネル115)と、CUD適合化表示有無設定手段による指定が、CUD適合化表示をさせるという旨の設定である場合、CUD適合化手段により、通常の表示データからCUD適合化ルール指定手段によって指定されたCUD適合化表示データを生成し、前記生成された表示データが、見え指定手段により指定された見えになるように、表示画像変換手段によって、通常表示データとCUD適合化表示データをマルチビュー用の表示データに変換し、マルチ画像表示手段により、通常表示データとCUD適合化表示データを表示させ、見る角度により、前記どの表示データでも視認できるように制御する制御手段20(ACU上で動作するプログラム)と、を有している(注:カッコ内は実現手段を示す)。
【0073】
また、本実施形態では、図2のACUハードウェア構成図に示す操作パネルのタッチパネル115が、図10に示されるような、レンチキュラレンズ方式を使用した2D−3Dディスプレイである。
【0074】
このディスプレイは、表示させようとする複数の画像を、3D表示用に変換させ、当該2D−3Dディスプレイで表示させることにより、2の方向から見た画像は(B2,G2,R2)が見え、1の方向から見た画像は(G1,R1,B1)が見える、というような、見る角度によって異なる画像が見えるという使い方がなされる。
【0075】
このような立体画像表示装置では、さらに、ある物体の見えを少しずつ変えたものを表示させることにより、あたかも物体を立体的に眺めているかのような、いわゆる立体表示にも使われる。
【0076】
これを応用し、表示させるデータを、見る方向によって、通常表示データやCUD適合化表示データを見られるように割り振れば、視点を変えるだけでどちらの表示も確認できるようになり、健常者、色覚異常者別の表示切り替えをする必要がない。
【0077】
次に、CUD適合化有無指定手段とCUD適合ルール指定手段について、図11を使用して説明する。
【0078】
CUD適合化有無指定手段は、第1の実施形態と同様であり、図5に示されるものであるが、当該画面において、「CUD表示」仮想ボタンを選択すると、図11に示すサブメニューが表示される。
【0079】
当該サブメニューにおいては、CUD表示を『する』/『しない』の仮想ボタンの下に、サポートしている色覚の型があり、その見えに関する指定を行う。
【0080】
本実施例では、図示のとおり、『する』を選択しており、そしてCUD適合化ルールには、サポートしているすべてを指定している。即ち、見えに『非表示』以外を設定するとCUD適合化ルールと見えを指定したことになる。
【0081】
そして、その見えには、『C型』は『中央ビュー』に、『P型』は『左ビュー』に、『D型』は『右ビュー』を指定している。
【0082】
よって、この実施形態では、赤の視細胞に障害をもつ人にとって、区別・認識しやすい配色がなされているメニュー表示が左ビューに、通常のメニュー表示が中央ビューに、緑の視細胞に障害をもつ人にとって、区別・認識しやすい配色がなされているメニュー表示が右ビューに表示されることを示している。
【0083】
尚、C型とは、すべての視細胞が働いているタイプである。また、同一のビューに対して、複数のタイプは指定できないが、タイプ指定のないビューが存在してもよい。
【0084】
以上のような設定がなされた場合の制御の詳細を図12の流れ図に示すが、その基本的な流れは、第1の実施形態と同様である。
【0085】
ステップS1からステップS5までは第1の実施形態と同様である。異なるのは、通常表示データから、P型、D型に対応した表示データを生成(ステップS5)した後、見え指定を参照することである(ステップS10)。第1の実施形態では、見え方は、制御部が適当にビューを割り振っていたが、本実施形態では、操作者が任意に指定できるので、この指定に従って、通常表示データとCUD適合化表示データをマルチビュー表示に適合させたフォーマットに変換し(ステップS6)、表示する(ステップS7)ことになる。
【0086】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、上記の第1及び第2の実施形態と同一または同様の部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既に説明した構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する。
【0087】
これまでの第1の実施形態、第2の実施形態は、画像形成装置(孔版印刷装置)の操作パネルのメニュー表示について、マルチ画像表示手段を使ってカラーユニバーサルデザインに適用させたものであった。
【0088】
しかし、メニュー表示ではなく、カラーの文書データに対しても同様に適用できる。
【0089】
この場合、例えば孔版印刷装置が具備するカラースキャナで読み取った文書データ、あるいは、蓄積文書として孔版印刷装置が具備するハードディスクに格納された文書データ、あるいは、通信インターフェースを介してパーソナルコンピュータ(PC)などから転送された文書データ、に同様の処理をして表示させることになる。
【0090】
しかし、文書データとメニュー表示では画像サイズが大きく異なり、A3またはA4サイズの文書データをそのままメニュー表示用の2D−3Dディスプレイに表示するには、かなり無理がある。
【0091】
スクロール機能を使えば出来なくもないが、そのための煩雑な操作が必要であり、なにより一覧性に欠ける。
【0092】
そこで、本実施形態では、図13に示すように、A3/A4など文書データ表示に適した大表示サイズの外付けマルチ画像手段として、2D−3D表示が可能な液晶ディスプレイ(LCD)を接続し、画像データについても無理のない表示を可能にしている。
【0093】
また、図14のブロック図に示すように、本実施形態の画像形成装置は、当該画像形成装置から自由に脱着可能で、カラー表示可能であり、A3/A4表示が可能な大表示サイズの画像表示用のものであって、かつ、見る角度によって異なる画像を見ることができるいわゆるマルチビューや立体視と呼ばれる機能を有する外付けマルチ画像表示手段8(2D−3Dディスプレイ500)と、CUD適合化表示有無設定手段による指定が、CUD適合化表示をさせるという旨の設定である場合、CUD適合化手段により、通常の文書データからCUD適合化ルール指定手段によって指定されたCUD適合化文書データを生成し、前記生成された文書データが、見え指定手段により指定された見えになるように、表示画像変換手段によって、通常文書データとCUD適合化文書データをマルチビュー用の文書データに変換し、外付けマルチ画像表示手段により、通常文書データとCUD適合化文書データとを表示させ、見る角度により、前記どの表示画像でも視認できるように制御する制御手段20(ACU上で動作するプログラム)と、を有している(注:カッコ内は実現手段を示す)。
【0094】
このような構成の画像形成装置では、第1の実施形態または第2の実施形態で行った設定や処理を、メニュー表示用の2D−3Dディスプレイ115ではなく、画像表示用2D−3Dディスプレイ500に対して、同様に行えばよいので、詳細な説明は省略する。
【0095】
尚、文書データを孔版印刷装置のタッチパネルに表示するか、外付けマルチ画像表示装置に出力するかは、図示しないメニュー画面で、予め設定されている。
【0096】
図15は、オリジナル(原稿)のカラー文書データ(A)をマルチビューさせた例を簡易的に示したものである。
【0097】
この例では、例えば、CUDを考慮していない配色の文書データ表示(B)をP型色覚異常者が見た場合、図中α、βのように見えづらい部分が存在し、画像確認がしにくいことがある。
【0098】
しかしながら、メニュー画面を眺める角度を変えて、P型に対応したCUD適合化表示が見えるポジションをとると、(C)のように見えづらい部分が改善されるため、上記のような不具合が解消される。
【0099】
しかも、このとき従来のように表示切替のためにスイッチを操作するようなことは不要である。
【0100】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。なお、上記第1〜第3の実施形態と同一または同様の部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既に説明した構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する。
【0101】
本実施形態は、第3の実施形態をベースに、さらにその機能を拡張したものである。
【0102】
即ち、図16のACUハードウェア構成図に示すように、CUD適合化手段により、修正・変更された文書または画像データを保存するため、HDD207と、USBメモリ203を具備している。
【0103】
また、図17のブロック図に示すように、画像形成装置は、前記CUD適合化手段によって適合化された文書または画像を、画像形成装置自身に蓄積するための内部蓄積装置、または、画像形成装置にスロットを介して装着されている携帯型大容量記憶メディア、に蓄積する蓄積手段9(HDD207、USBメモリ203)と、操作者の明示的な指示、または、予め指定された設定、により、前記CUD適合化手段によって適合化された文書または画像を、前記蓄積手段により、画像形成装置自身に蓄積するための内部蓄積装置、または、画像形成装置にスロットを介して装着されている携帯型大容量記憶メディア、に蓄積するように制御する制御手段20(ACU上で動作するプログラム)と、を有している(注:カッコ内は実現手段を示す)。
【0104】
このような構成の孔版印刷装置における制御の詳細について、図18の流れ図を使用して説明する。
【0105】
尚、使用する原稿やCUD適合化有無指定、CUD適合ルール指定、見え指定などについては、これまでの実施形態と同様なので、設定やそれらに関連する動作の流れについては簡略して説明する。
【0106】
孔版印刷装置のスキャナに、図15(A)に示すようなカラー原稿をセットして、製版キーを押下すると(ステップS20)、原稿が読取られる(ステップS21)。
【0107】
その後、CUD適合化表示指定有無を参照し(ステップS2)、表示する旨の設定がなされている場合(ステップS3、YES)、さらにCUD適合化ルールを参照する(ステップS4)。
【0108】
本実施形態では、『P型』と『D型』を指定しているので、通常表示データから、P型、D型に対応した表示データを生成する(ステップS4)。但し、『C型』は、本実施形態では、通常の文書データと同義であるので、生成はされるものの、このデータに関して特別に言及することはしない。
【0109】
通常表示データから、P型、D型に対応した表示データを生成した後、見え指定を参照する(ステップS10)。
【0110】
制御部は、この指定に従って、通常表示データとCUD適合化表示データをマルチビュー表示に適合させたフォーマットに変換し(ステップS6)、表示する(ステップS7)。
【0111】
ここで、孔版印刷装置のタッチパネルには、操作者に対し、今後どのような処置を行うかの図示しないメニューが表示される(ステップS22)。
【0112】
『文書蓄積』の仮想ボタンを選択すると(ステップS23、YES)、どの見えの文書データを、どのような文書名で、どのような属性(例えばアクセス制限を設けるかなど)をもって保存するかの図示しないメニューが表示され、必要事項の設定が行われた後は、当該文書または画像は、蓄積文書として保存される(ステップS24)。
【0113】
次に製版を継続するかを判断する(ステップS25)。『製版中止』仮想ボタンを選択することで、後に続く処理は中止される(ステップS25、NO)。
【0114】
これにより、CUD適合化された文書データを単に表示に使用するだけでなく、蓄積文書として保存するため、カラーユニバーサルデザインを考慮した文書として再利用可能である。
【0115】
即ち、当該孔版印刷装置を一種の文書変換機として使用することが出来る。
【0116】
さらに一方、『製版続行』の仮想ボタンを選択すると(ステップS25、YES)、引き続き製版処理を続行する。
【0117】
その後の色分版処理を行い(ステップS26)、次に製版処理(ステップS27)を行い、続いて印刷処理(ステップS28)を行う。そして未製版があるかを判断し(ステップS29)、未製版がある場合は(ステップS29、YES)ステップS27に戻り、無い場合は(ステップS29、NO)終了する。
【0118】
尚、本発明では、文書データに対し、CUD適合化を行い、表示、色分版、製版、印刷までを行っているが、その前段階ともいえる、文書作成者などが作成した文書データが、色覚障害者から見て、どういう見えになるかというシミュレータとしても使うことが出来る。
【0119】
従来は、カラーユニバーサルデザインに対応した文書データを作成する場合、まず作成したオリジナルの文書に対し、特殊なソフトウェアなどを使って、色覚障害者の見えをシミュレーションしたり、特殊なめがねを使用することにより、色覚障害者の見えを疑似体験できるようになっていた。
【0120】
一方、そもそもCUD適合化手段は、いってみれば色(空間)変換処理であるので、CUD適合化対象の文書において、混同色線などによるチェックを行い、CUD不適合箇所に対して適合化処理を行わず、同一色を割り当てる処理を行い、マルチビュー表示することにより、健常者でも色覚障害者の見えを体験することができる。
【0121】
また、本発明では、マルチ画像表示手段を用いて、カラーユニバーサルデザインに関連したデータを表示させるという使い方をしているが、さらに応用として、色分版データを表示させるということも可能であり、種々の応用が考えられる。
【0122】
また上記の実施形態によれば、マルチビューを備えた画像形成装置において、通常表示データとカラーユニバーサル適合化表示データを同時に表示することが可能になる。マルチビューにより、角度によって見え方が異なるので、一度指定さえすれば、色覚障害を持った人も健常者も表示モードの変更をいちいちすることなく、少し見る角度を変えるだけで良好にメニュー表示を確認することが可能になる。
【0123】
また上記の実施形態によれば、画像形成装置が、当該画像形成装置の表示・操作に関し、カラー表示可能なタッチ機能を具備したものであって、かつ、見る角度によって異なる画像を見ることができるいわゆるマルチビューや立体視と呼ばれる機能を有するマルチ画像表示手段と、前記マルチ画像表示手段の表示において、カラーユニバーサルデザインに対応した表示を行わせるか否かを指定するCUD適合化表示有無指定手段と、前記CUD適合化表示有無指定手段による指定が、CUD適合化表示をさせるという旨の設定である場合、どのようなCUD適合ルールによる適合化を行うかを指定するCUD適合化ルール指定手段と、通常の表示データから、前記CUD適合化ルール指定手段によって指定されたCUD適合化表示データを生成するCUD適合化手段と、前記通常表示データとCUD適合化表示データをマルチビュー用の表示データに変換する表示画像変換手段と、CUD適合化表示有無設定手段による指定が、CUD適合化表示をさせるという旨の設定である場合、CUD適合化手段により、通常の表示データからCUD適合化ルール指定手段によって指定されたCUD適合化表示データを生成し、表示画像変換手段によって、通常表示データとCUD適合化表示データをマルチビュー用の表示データに変換し、マルチ画像表示手段により、通常表示データとCUD適合化表示データとを表示させ、見る角度により、前記どの表示データでも視認できるように制御する制御手段と、を有しているので、立体画像表示機能を応用することにより、通常の表示とCUD適合化表示のための複数の表示装置を必要とせず、かつ、切替操作などをも必要とせずに、カラーユニバーサルデザインに対応した表示を1つの表示装置で同時に実現できる。
【0124】
また上記の実施形態によれば、前記マルチ画像表示手段が、レンチキュラレンズ方式を使用した2D−3D表示装置であるので、特殊なデバイスを独自に用意する必要がなく、立体表示に使用されるデバイスを転用することができるので、安価に実現できる。
【0125】
また上記の実施形態によれば、前記マルチ画像表示手段が、視差バリア方式を使用した2D−3D表示装置であるので、特殊なデバイスを独自に用意する必要がなく、立体表示に使用されるデバイスを転用することができるので、安価に実現できる。
【0126】
また上記の実施形態によれば、前記CUD適合化ルール指定手段において、列挙される項目は、C型、P型、D型、T型、もしくは、他の分類における同等なカテゴリーのうち、少なくとも1つ以上含んでいるので、種々の色覚障害に対応することができる。
【0127】
また上記の実施形態によれば、画像形成装置が、前記生成されたCUD適合化表示データの表示のさせ方を指定する見え指定手段と、CUD適合化表示有無設定手段による指定が、CUD適合化表示をさせるという旨の設定である場合、CUD適合化手段により、通常の表示データからCUD適合化ルール指定手段によって指定されたCUD適合化表示データを生成し、前記生成された表示データが見え指定手段により指定された見えになるように、表示画像変換手段によって、通常表示データとCUD適合化表示データをマルチビュー用の表示データに変換し、マルチ画像表示手段により、通常表示データとCUD適合化表示データとを表示させ、見る角度により、前記どの表示データでも視認できるように制御する制御手段と、を有しているので、カラーユニバーサルデザインに対応した表示を自由・柔軟に行うことができる。
【0128】
また上記の実施形態によれば、画像形成装置が、当該画像形成装置から自由に脱着可能で、カラー表示可能であり、A3/A4表示が可能な大表示サイズの画像表示用のものであって、かつ、見る角度によって異なる画像を見ることができるいわゆるマルチビューや立体視と呼ばれる機能を有する外付けマルチ画像表示手段と、CUD適合化表示有無設定手段による指定が、CUD適合化表示をさせるという旨の設定である場合、CUD適合化手段により、通常の文書データからCUD適合化ルール指定手段によって指定されたCUD適合化文書データを生成し、前記生成された文書データが見え指定手段により指定された見えになるように、表示画像変換手段によって、通常文書データとCUD適合化文書データをマルチビュー用の文書データに変換し、外付けマルチ画像表示手段により、通常文書データとCUD適合化文書データとを表示させ、見る角度により、前記どの表示画像でも視認できるように制御する制御手段と、を有しているので、画像形成装置のメニュー表示だけでなく、一般文書に関しても、画像切替操作などをせずに、カラーユニバーサルデザインに対応した表示を行うことができる。
【0129】
また上記の実施形態によれば、画像形成装置が、前記CUD適合化手段によって適合化された文書または画像を、画像形成装置自身に蓄積するための内部蓄積装置、または、画像形成装置にスロットを介して装着されている携帯型大容量記憶メディア、に蓄積する蓄積手段と、操作者の明示的な指示、または、予め指定された設定、により、前記CUD適合化手段によって適合化された文書または画像を、前記蓄積手段により、画像形成装置自身に蓄積するための内部蓄積装置、または、画像形成装置にスロットを介して装着されている携帯型大容量記憶メディア、に蓄積するように制御する制御手段と、を有しているので、文書作成者あるいは文書配布者が作成し、ユニバーサルデザインに適合したものに変更・修正された文書を、内部蓄積装置または携帯型大容量記憶メディアに蓄積できる。
これにより、ユニバーサルデザインに適合した文書の再利用が可能となる。特に、携帯型大容量記憶メディアに記録した場合、他の画像形成装置に装着して、読込ませ、製版・印刷を行うことができるので、可搬性に富んだものとなる。しかも、すでにCUD適合化が行われているので、装着先で再びCUD適合化を行う必要がなく、作業効率性にも寄与する。
【0130】
また本発明に係る画像形成装置は、前記カラーユニバーサルデザインに対応した表示をするか否かを指定するカラーユニバーサルデザイン適合化表示有無指定手段と、前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示有無指定手段によりカラーユニバーサルデザイン適合化表示を指定された場合、どのようなカラーユニバーサルデザイン適合ルールによる適合化を行うかを指定するカラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定手段と、を有し、前記表示データ生成手段は、前記カラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定手段の指定に基づいてカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成することを特徴とする。
【0131】
また本発明に係る画像形成装置は、生成された前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データの見え方を指定する見え指定手段を有し、前記見え指定手段により指定された見え方となるように前記マルチ画像表示手段は、前記表示画像変換手段にて得たマルチビュー用の表示データを表示することを特徴とする。
【0132】
また本発明に係る画像形成装置は、前記マルチ画像表示手段は、視差バリア方式を使用した2D−3D表示装置であることを特徴とする。
【0133】
また本発明に係る画像形成装置は、前記マルチ画像表示手段は、レンチキュラレンズ方式を使用した2D−3D表示装置であることを特徴とする。
【0134】
また本発明に係る画像形成装置は、前記カラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定手段における指定項目は、色覚異常の型であるC型、P型、D型、T型、又は他の分類における同等なカテゴリーにおいて、前記色覚異常の型を少なくとも1つ以上含むことを特徴とする。
【0135】
また本発明に係る画像形成装置は、見る角度によって異なる画像を見ることができる、着脱可能な外付けマルチ画像表示手段と、通常の文書データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した文書データであるカラーユニバーサルデザイン適合化文書データを生成する文書データ生成手段と、通常文書データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化文書データに基づいてマルチビュー用の文書データに変換する表示画像変換手段と、を有し、前記外付けマルチ画像表示手段は、カラー表示と、A3サイズまでの表示と、が可能であり前記表示画像変換手段にて得たマルチビュー用の文書データを表示することを特徴とする。
【0136】
また本発明に係る画像形成装置は、前記適合化文書データと前記適合化表示データとを記憶する場所と方法とを指示入力する指示入力手段と、前記適合化文書データと前記適合化表示データとを外部の携帯型大容量記憶メディアに記憶するための各インターフェース接続手段と、前記カラーユニバーサルデザイン適合化文書データと前記適合化表示データとを記憶するデータ記憶手段と、を有し、前記データ記憶手段は、予め設定された方法又は指示入力された方法により各前記データを記憶することを特徴とする。
【0137】
また本発明に係る画像表示方法は、前記カラーユニバーサルデザインに対応した表示をするか否かを指定するカラーユニバーサルデザイン適合化表示有無指定工程と、前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示有無指定工程によりカラーユニバーサルデザイン適合化表示を指定された場合、どのようなカラーユニバーサルデザイン適合ルールによる適合化を行うかを指定するカラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定工程と、前記カラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定工程の指定に基づいてカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成する表示データ生成工程と、を有することを特徴とする。
【0138】
また本発明に係る画像表示方法は、生成された前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データの見え方を指定する見え指定工程と、前記見え指定工程により指定された見え方となるように前記表示画像変換工程にて得たマルチビュー用の表示データを表示するマルチ画像表示工程と、を有することを特徴とする。
【0139】
また本発明に係る画像表示方法は、視差バリア方式を使用した2D−3D表示するマルチ画像表示工程を有することを特徴とする。
【0140】
また本発明に係る画像表示方法は、レンチキュラレンズ方式を使用した2D−3D表示するマルチ画像表示工程を有することを特徴とする。
【0141】
また本発明に係る画像表示方法は、色覚異常の型であるC型、P型、D型、T型、又は他の分類における同等なカテゴリーにおいて、前記色覚異常の型を少なくとも1つ以上含む項目を指定するカラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定工程を有することを特徴とする。
【0142】
また本発明に係る画像表示方法は、見る角度によって異なる画像を見ることができる、着脱可能な外付けマルチ画像表示手段を備えた画像形成装置の画像表示方法であって、通常の文書データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した文書データであるカラーユニバーサルデザイン適合化文書データを生成する文書データ生成工程と、通常文書データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化文書データに基づいてマルチビュー用の文書データに変換する表示画像変換工程と、前記マルチビュー用の文書データをカラー表示する工程と、前記マルチビュー用の文書データをA3サイズまでの表示をする工程と、前記表示画像変換工程にて得たマルチビュー用の文書データを表示する外付けマルチ画像表示工程と、を有することを特徴とする。
【0143】
また本発明に係る画像表示方法は、前記適合化文書データと前記適合化表示データとを記憶する場所と方法とを指示入力する指示入力工程と、前記適合化文書データと前記適合化表示データとを外部の携帯型大容量記憶メディアに記憶するための各インターフェース接続工程と、前記カラーユニバーサルデザイン適合化文書データと前記適合化表示データと、を予め設定された方法又は指示入力された方法により記憶するデータ記憶工程と、を有することを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明によれば、複写機(PPC)、複合機能プリンタ(MFP)、画像形成装置などの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0145】
1 画像形成装置
2 マルチ画像表示手段
3 CUD適合化表示有無指定手段
4 CUD適合化ルール指定手段
5 CUD適合化手段
6 表示画像変換手段
7 見え指定手段
8 外付けマルチ画像表示手段
9 蓄積手段
20 制御装置
100 画像形成装置(孔版印刷装置)
101 印刷ドラム
102 プレスローラ
103 製版部(プロッタ)
104 排版手段
105 給紙手段
106 記録紙
107 マスタ
108 搬送手段
109 排紙手段
110 画像読取り部(スキャナ)
111 操作部(操作パネル)
113 切り替えキー
114 スタートキー
115 タッチパネル(2D−3Dディスプレイ)
116 初期設定/プリンタ設定キー
117 印刷位置調整キー
118 プリントスピード調整キー
200 ACU
201 SDカード
202 NIC
205 操作パネル I/F
206 SD I/F
208 HDD I/F
209B USB I/F
212 NIC I/F
214 無線LAN I/F
215 ECU I/F
216 CPU
217 RAM
218 ROM(フラッシュROM)
220 ASIC
221 I/O I/F
222 FAX I/F
300 ECU
321 CPU
322 RAM
323 ROM
324 ACU I/F
326 スキャナ I/F
328 プロッタ I/F
329 ASIC
500 外付け液晶ディスプレイ(2D−3Dディスプレイ)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0146】
【特許文献1】特開2007−4310号公報
【特許文献2】特開2008−9064号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
見る角度によって異なる画像を見ることができるマルチ画像表示手段を備えた画像形成装置であって、
通常表示データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した表示データであるカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成する表示データ生成手段と、
通常表示データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データに基づいてマルチビュー用の表示データに変換する表示画像変換手段と、
を有し、
前記マルチ画像表示手段は、前記表示画像変換手段にて得たマルチビュー用の表示データを表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カラーユニバーサルデザインに対応した表示をするか否かを指定するカラーユニバーサルデザイン適合化表示有無指定手段と、
前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示有無指定手段によりカラーユニバーサルデザイン適合化表示を指定された場合、どのようなカラーユニバーサルデザイン適合ルールによる適合化を行うかを指定するカラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定手段と、
を有し、
前記表示データ生成手段は、前記カラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定手段の指定に基づいてカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
生成された前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データの見え方を指定する見え指定手段を有し、
前記見え指定手段により指定された見え方となるように前記マルチ画像表示手段は、前記表示画像変換手段にて得たマルチビュー用の表示データを表示することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記マルチ画像表示手段は、視差バリア方式を使用した2D−3D表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記マルチ画像表示手段は、レンチキュラレンズ方式を使用した2D−3D表示装置であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定手段における指定項目は、色覚異常の型であるC型、P型、D型、T型、又は他の分類における同等なカテゴリーにおいて、前記色覚異常の型を少なくとも1つ以上含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
見る角度によって異なる画像を見ることができる、着脱可能な外付けマルチ画像表示手段と、
通常の文書データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した文書データであるカラーユニバーサルデザイン適合化文書データを生成する文書データ生成手段と、
通常文書データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化文書データに基づいてマルチビュー用の文書データに変換する表示画像変換手段と、
を有し、
前記外付けマルチ画像表示手段は、カラー表示と、A3サイズまでの表示と、が可能であり前記表示画像変換手段にて得たマルチビュー用の文書データを表示することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記適合化文書データと前記適合化表示データとを記憶する場所と方法とを指示入力する指示入力手段と、
前記適合化文書データと前記適合化表示データとを外部の携帯型大容量記憶メディアに記憶するための各インターフェース接続手段と、
前記カラーユニバーサルデザイン適合化文書データと前記適合化表示データとを記憶するデータ記憶手段と、
を有し、
前記データ記憶手段は、予め設定された方法又は指示入力された方法により各前記データを記憶することを特徴とする請求項1または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
見る角度によって異なる画像を見ることができるマルチ画像表示手段を備えた画像形成装置の画像表示方法であって、
通常表示データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した表示データであるカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成する表示データ生成工程と、
通常表示データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データに基づいてマルチビュー用の表示データに変換する表示画像変換工程と、
前記表示画像変換工程にて得たマルチビュー用の表示データを表示するマルチ画像表示工程と、
を有することを特徴とする画像表示方法。
【請求項10】
前記カラーユニバーサルデザインに対応した表示をするか否かを指定するカラーユニバーサルデザイン適合化表示有無指定工程と、
前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示有無指定工程によりカラーユニバーサルデザイン適合化表示を指定された場合、どのようなカラーユニバーサルデザイン適合ルールによる適合化を行うかを指定するカラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定工程と、
前記カラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定工程の指定に基づいてカラーユニバーサルデザイン適合化表示データを生成する表示データ生成工程と、
を有することを特徴とする請求項9に記載の画像表示方法。
【請求項11】
生成された前記カラーユニバーサルデザイン適合化表示データの見え方を指定する見え指定工程と、
前記見え指定工程により指定された見え方となるように前記表示画像変換工程にて得たマルチビュー用の表示データを表示するマルチ画像表示工程と、
を有することを特徴とする請求項9または10に記載の画像表示方法。
【請求項12】
視差バリア方式を使用した2D−3D表示するマルチ画像表示工程を有することを特徴とする請求項9に記載の画像表示方法。
【請求項13】
レンチキュラレンズ方式を使用した2D−3D表示するマルチ画像表示工程を有することを特徴とする請求項9に記載の画像表示方法。
【請求項14】
色覚異常の型であるC型、P型、D型、T型、又は他の分類における同等なカテゴリーにおいて、前記色覚異常の型を少なくとも1つ以上含む項目を指定するカラーユニバーサルデザイン適合化ルール指定工程を有することを特徴とする請求項10に記載の画像表示方法。
【請求項15】
見る角度によって異なる画像を見ることができる、着脱可能な外付けマルチ画像表示手段を備えた画像形成装置の画像表示方法であって、
通常の文書データを変換してカラーユニバーサルデザインに対応した文書データであるカラーユニバーサルデザイン適合化文書データを生成する文書データ生成工程と、
通常文書データ及び前記カラーユニバーサルデザイン適合化文書データに基づいてマルチビュー用の文書データに変換する表示画像変換工程と、
前記マルチビュー用の文書データをカラー表示する工程と、
前記マルチビュー用の文書データをA3サイズまでの表示をする工程と、
前記表示画像変換工程にて得たマルチビュー用の文書データを表示する外付けマルチ画像表示工程と、
を有することを特徴とする画像表示方法。
【請求項16】
前記適合化文書データと前記適合化表示データとを記憶する場所と方法とを指示入力する指示入力工程と、
前記適合化文書データと前記適合化表示データとを外部の携帯型大容量記憶メディアに記憶するための各インターフェース接続工程と、
前記カラーユニバーサルデザイン適合化文書データと前記適合化表示データと、を予め設定された方法又は指示入力された方法により記憶するデータ記憶工程と、
を有することを特徴とする請求項9または15に記載の画像表示方法。
【請求項17】
請求項9から16に記載の画像表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−43711(P2011−43711A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192404(P2009−192404)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】