説明

画像形成装置、画質調整方法、プログラムおよびその記録媒体

【課題】記録材上に形成される画像に周期性の画質不良が生じることを防止する。
【解決手段】画質特性解析用パターンの画像を面積階調への変換処理を施すことなく画像出力装置400により記録材上に形成した結果を画像入力装置200によって読み取って画質解析用画像データを取得し、画質解析用画像データに含まれる各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出し、当該空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを示す指標を算出する。ディザパターン最適化部21は、階調再現処理18において画質調整後の階調再現処理で用いるディザパターン群を画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも上記指標が低くなるディザパターン群に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディザ法を用いて階調再現処理を行う画像形成装置、上記画像形成装置における画質調整方法、プログラムおよびその記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成装置においては、現像処理、転写処理、定着処理等の種々の画像形成プロセス、用紙給排紙時の搬送ガタツキ、スキャナの駆動ブレ等の様々な要因により、記録材上に形成される画像に、バンディング(画像のハーフトーン部に出現する帯状の濃度ムラ)や濃度ムラ等の周期性を有する画質不良が現れる場合があることが知られている。
【0003】
また、この種の画質不良は、画像処理技術によって軽減可能であることが知られている。例えば、電子写真方式で一般に使われるディザ法(中間調ディザ法式)を用いた階調再現処理を行う場合、ディザパターンの最適化によって画質を改善できることが知られている。
【0004】
また、周期性を有する画質不良の解析には、一般に空間周波数解析が有効な手段として知られている。例えば、特許文献1には、原稿を読み取って取得したR、G、B各色の読み取り信号値の離散フーリエ解析の結果に基づいて平滑化処理を行い、スキャンモアレ(スキャナで読み込む原稿に起因するモアレ)を低減する手法が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−263372号公報(平成4年9月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、スキャンモアレについてはある程度の画質改善効果が得られるものの、他の原因に起因する画質不良については十分に軽減できないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成装置によって記録材上に形成される画像に周期性の画質不良が生じることをより適切に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、上記の課題を解決するために、画像データに対してディザ法を用いた階調再現処理を行う階調再現処理部と、画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成部とを備えた画像形成装置であって、予め設定された画質特性解析用パターンの画像データであって面積階調への変換処理が施されていない画像データに応じた画像を上記画像形成部により記録材上に形成した結果を画像読取手段によって読み取って得られた画質解析用画像データを取得する画像入力部と、空間周波数特性が異なる複数のディザパターン群を記憶したディザパターン記憶部と、上記階調再現処理に用いるディザパターンを調整することにより上記画像形成部によって記録材上に形成される画像の画質調整を行う画質調整部とを備え、上記画質特性解析用パターンは階調レベルの異なる複数のパッチ画像を含んでおり、上記ディザパターン群は異なる階調レベルに対応する複数のディザパターンを含んでおり、上記画質調整部は、上記画質解析用画像データに含まれる各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出し、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを示す指標を算出し、上記階調再現処理に用いるディザパターン群を画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも上記指標が低くなるディザパターン群に設定することを特徴としている。
【0009】
また、本発明の画像処理方法は、画像データに対してディザ法を用いた階調再現処理を行う階調再現処理部と、画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成部とを備えた画像形成装置における画質調整方法であって、上記画像形成装置は、空間周波数特性が異なる複数のディザパターン群を記憶したディザパターン記憶部を備えており、上記ディザパターン群は異なる階調レベルに対応する複数のディザパターンを含んでおり、予め設定された階調レベルの異なる複数のパッチ画像を含む画質特性解析用パターンの画像データであって面積階調への変換処理が施されていない画像データに応じた画像を上記画像形成部により記録材上に形成する工程と、上記画像形成部により記録材上に形成された上記画質特性解析用パターンの画像を画像読取手段で読み取って画質解析用画像データを取得する工程と、上記画質解析用画像データに含まれる各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出する工程と、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを示す指標を算出する工程と、上記階調再現処理に用いるディザパターン群を画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも上記指標が低くなるディザパターン群に設定する工程とを含むことを特徴としている。
【0010】
上記の画像処理方法および画質調整方法によれば、上記画質解析用画像データに含まれる各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出し、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを示す指標を算出し、上記階調再現処理に用いるディザパターン群を画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも上記指標が低くなるディザパターン群に設定する。
【0011】
これにより、ディザ法による階調再現処理を行った画像データに応じた画像を記録材上に形成する際に画像出力部の出力特性に応じて記録材上に形成される画像に現れる空間周波数毎の信号強度の分布特性に対する空間周波数毎の信号強度の分布特性の一致度が低いディザパターンを用いて階調再現処理を行うことができる。したがって、濃度ムラやバンディング等の周期性の画質不良を低減し、高品質な階調再現処理を行うことができる。
【0012】
また、上記指標は、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致度を上記ディザパターン群毎に累計した累計値であり、上記画質調整部は、上記ディザパターン記憶部に記憶されているディザパターン群のうち上記累計値が画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも低くなるディザパターン群を上記階調再現処理に用いるディザパターン群として選択する構成としてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、ディザパターン記憶部に記憶されているディザパターン群のうち画質調整前よりも画像出力部の出力特性に応じて記録材上に形成される画像に現れる空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致度の累計値が低いディザパターン群を用いて階調再現処理を行えるので、濃度ムラやバンディング等の周期性の画質不良を適切に低減できる。また、予め記憶しているディザパターン群を用いて階調再現処理を行うので、隣接する階調レベル同士の間でトーンギャップが生じることを防止し、滑らかな階調再現処理を行うことができる。
【0014】
また、上記指標は、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致度であり、上記画質調整部は、上記各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンのうち、上記一致度が最も低いディザパターンを当該階調レベルについての最適ディザパターンとして選択し、階調レベル毎の最適ディザパターンを組み合わせて得られるディザパターン群を上記階調再現処理に用いるディザパターン群として設定する構成としてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、階調レベルに応じて最適なディザパターンの周波数特性が異なる場合であっても、各階調レベルに応じた最適なディザパターンを用いて階調再現処理を行うことができる。
【0016】
また、上記ディザパターン記憶部は、異なるディザパターン群に含まれるディザパターン同士の組み合わせを不可とする条件を記憶しており、上記画質調整部は、階調レベル毎の最適ディザパターンの中に他のディザパターン群に含まれるディザパターンとの組み合わせが不可であるディザパターンが存在する場合には、上記ディザパターン記憶部に記憶されているディザパターン群のうち上記一致度を上記ディザパターン群毎に累計した累計値が画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも低くなるディザパターン群を上記階調再現処理に用いるディザパターン群として選択する構成としてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、階調レベル毎の最適ディザパターンの中に他のディザパターン群に含まれるディザパターンとの組み合わせが不可であるディザパターンが含まれていない場合には階調レベル毎の最適ディザパターンを組み合わせて得られるディザパターン群を上記階調再現処理に用いるディザパターン群として設定し、組み合わせが不可であるディザパターンが含まれている場合には上記ディザパターン記憶部に記憶されているディザパターン群のうち上記一致度を上記ディザパターン群毎に累計した累計値が画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも低くなるディザパターン群を上記階調再現処理に用いるディザパターン群として選択することができる。これにより、隣接する階調レベル同士の間でトーンギャップが生じることがない滑らかな階調再現処理を行うとともに、階調レベルに応じて最適なディザパターンの周波数特性が異なる場合であっても各階調レベルに応じた最適なディザパターンを用いて階調再現処理を行うことができる。
【0018】
また、上記一致度は、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度との周波数毎の積を積分した積分値であってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを適切に評価することができ、周期性の画質不良を適切に低減することができる。
【0020】
また、上記一致度は、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度との周波数毎の積に当該各周波数に応じた視覚伝達係数を乗じた値を積分した積分値であってもよい。
【0021】
上記の構成によれば、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを適切に評価することができる。また、人間の視覚特性によりノイズとして認識されやすい周波数の重みを高くして評価することができる。これにより、周期性の画質不良が視認されることをより適切に防止することができる。
【0022】
また、上記画像読取手段は上記画像形成装置に備えられていてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、画像読取手段と画像形成部とを有する画像形成装置において、画像形成部の特性に起因する周期性の画質不良を防止するとともに、画像読取手段に起因する周期性の画質不良についても防止することができる。
【0024】
また、上記画像入力部は、当該画像形成装置に対して通信可能に接続される他の装置、または当該画像形成装置に対して着脱可能に装着される記録媒体から上記画質解析用画像データを取得する構成であってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、画像読取手段を備えない画像形成装置であっても周期性の画質不良を低減するための画質調整処理を行うことができる。また、画像読取手段を備えた画像形成装置においても、画像形成部の特性に起因する周期性の画質不良を低減できる。
【0026】
また、上記ディザパターン記憶部は、上記各ディザパターン群に含まれる各ディザパターンの画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出した結果を記憶している構成としてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、上記ディザパターン記憶部に記憶している上記各ディザパターン群に含まれる各ディザパターンの画像データについて空間周波数毎の信号強度を算出した結果をディザパターン記憶部に記憶している。したがって、当該結果に基づいて、周期性の画質不良を低減するための画質調整処理を行うことができる。また、画質調整処理を行う際に、各ディザパターンの画像データに対して空間周波数毎の信号強度を算出する処理を行う必要がないので、画質調整処理を簡略化するとともに、処理に要する時間を低減できる。
【0028】
また、上記画質調整部は、上記各ディザパターン群に含まれる各ディザパターンの画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出する構成としてもよい。
【0029】
上記の構成によれば、上記画質調整部が各ディザパターンの画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出し、その結果に基づいて周期性の画質不良を低減するための画質調整処理を行うことができる。また、ディザパターン記憶部に各ディザパターンの画像データについての空間周波数毎の信号強度を算出した結果を記憶させておく必要がないので、ディザパターン記憶部に要求される記憶容量を低減できる。
【0030】
なお、上記画像形成装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記画質調整部として動作させることにより、上記画像形成装置をコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明の画像形成装置および画質調整方法は、上記画質解析用画像データに含まれる各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出し、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを示す指標を算出し、上記階調再現処理に用いるディザパターン群を画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも上記指標が低くなるディザパターン群に設定する。
【0032】
これにより、濃度ムラやバンディング等の周期性の画質不良を低減し、高品質な階調再現処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】図1に示した画像形成装置における画質調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図1に示した画像形成装置における画質調整処理で用いられる画質特性解析用パターンの一例を示す説明図である。
【図4】(a)は画質特性解析用パターンに含まれるパッチ画像の一例を示す説明図である。(b)は(a)に示したパッチ画像の信号値を主走査方向の座標毎に副走査方向について合計した結果をプロットした結果を示すグラフである。(c)は(b)をFFT(fast Fourier transform;高速フーリエ変換)変換した結果を示すグラフである。
【図5】(a)はディザ処理前の濃度変調されたモノクロの階調パターンの例を示す説明図である。(b)および(c)は、(a)に示した各階調パターンを互いに異なるディザパターン群に属するディザパターンを用いてディザ処理した結果を示す説明図である。
【図6】(a)はディザ処理前の多色階調パターンの例を示す説明図である。(b)は(a)に示した各階調パターンに対して当該各階調パターンに対応する色のディザパターンを適用してディザ処理した結果を示している。(c)は(a)に示したディザ処理後の階調パターンをグレースケールに変換した結果を示している。
【図7】同じ階調レベルに対応する複数のディザパターンと、各ディザパターンの信号値を主走査方向の座標毎に副走査方向について合計した結果をプロットした結果を示すグラフ、および上記グラフをFFT変換した結果を示すグラフを示す説明図である。
【図8】図4(c)に示したパッチ画像の周波数変換結果と図7に示した各ディザパターンの周波数変換結果との空間周波数毎の積を示すグラフである。
【図9】(a)は最適化ディザパターン群の生成方法を示す説明図である。(b)は異なるディザパターン群のディザパターンを組み合わせることによってトーンギャップが発生する場合の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の一実施形態について説明する。
【0035】
(1−1.画像形成装置100の構成)
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置100の概略構成を示す説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、画像入力装置200、画像処理装置300、画像出力装置400、操作パネル500、制御部600、および画質特性解析用パターン記憶部700を備えている。
【0036】
画像入力装置200は、原稿の画像を読み取って画像データ(原稿画像データ)を生成するものであり、例えばCCD(Charge Coupled Device )ラインセンサなどの光学情報を電気信号に変換するデバイス(光電変換手段)を備えたスキャナ部より構成されている。本実施形態では、画像入力装置200は、原稿からの反射光像を、RGB(R:赤・G:緑・B:青)のアナログ信号として画像処理装置300に出力する。なお、画像入力装置200が、ネットワークを介して接続された他の装置から受信した画像データ、あるいは画像形成装置100に対して着脱可能に装着される各種記憶媒体または画像形成装置100に備えられる記憶部から読み出した画像データを画像処理装置300に出力するようにしてもよい。
【0037】
画像処理装置300は、画像入力装置200から入力された画像データに種々の画像処理を施して得られるCMYKの画像データを画像出力装置400に出力するものである。
【0038】
具体的には、画像処理装置300は、図1に示したように、A/D変換部10、シェーディング補正部11、原稿種別自動判定部12、入力階調補正部13、領域分離処理部14、色補正・黒生成部15、空間フィルタ処理部16、出力階調補正部17、階調再現処理部(中間調生成部)18、ディザパターン記憶部19、画質調整部22および画質特性解析用パターン記憶部700を備えている。また、画質調整部22は、画質解析部20およびディザパターン最適化部21を備えている。
【0039】
A/D変換部10は、画像入力装置200から入力されたRGBのアナログ信号をデジタル信号に変換してシェーディング補正部11に出力する。
【0040】
シェーディング補正部11は、A/D変換部10から送られてきたデジタルのRGB信号に対して、画像入力装置200の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施し、原稿種別自動判定部12に出力する。
【0041】
原稿種別自動判定部12は、シェーディング補正部11から入力されたRGB信号(RGBの反射率信号)に基づいて、入力された原稿画像が、文字原稿、写真原稿、あるいはそれらを組み合わせた文字/写真原稿のいずれであるか等、原稿種別の判別を行う。そして、原稿種別自動判定部12は、シェーディング補正部11から入力されたRGB信号、および原稿種別の判定結果を入力階調補正部13に出力する。
【0042】
入力階調補正部13は、シェーディング補正部11にて各種の歪みが取り除かれたRGB信号に対して、カラーバランスを整えると同時に、濃度信号など画像処理装置300に採用されている画像処理システムの扱い易い信号に変換する処理を施す。また、入力階調補正部13は、原稿種別自動判定部12の判定結果に基づいて下地濃度の除去やコントラストなどの画質調整処理を行う。そして、入力階調補正部13は、上記処理を施したRGB信号を領域分離処理部14に出力する。
【0043】
領域分離処理部14は、原稿種別自動判定部12の判定結果に基づいて各画素を画素ごとに文字、網点、写真領域の何れかに分離し、各画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を、色補正・黒生成部15、空間フィルタ処理部16、および階調再現処理部18に出力する。また、領域分離処理部14は、入力階調補正部13から入力されたRGB信号をそのまま色補正・黒生成部15に出力する。色補正・黒生成部15、空間フィルタ処理部16、および階調再現処理部18では、入力された領域分離信号に基づいて、各領域に適した処理が行われる。領域分離処理の方法は特に限定されるものではなく、従来から公知の方法を用いることができる。
【0044】
色補正・黒生成部15は、領域分離処理部14から入力されたRGB信号を、RGB信号の補色であるCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)信号に変換するとともに、色再現性を高める処理を行う。また、色補正・黒生成部15は、色補正後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理を行う。これにより、RGBの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。色補正・黒生成部15は、生成したCMYK信号を空間フィルタ処理部16に出力する。
【0045】
空間フィルタ処理部16は、色補正・黒生成部15より入力されるCMYK信号の画像データに対して、領域識別信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理および/または平滑化処理)を行い、空間周波数特性を補正する。これにより、出力画像の先鋭度強調やモアレ改善を行う。また、空間フィルタ処理部16は、空間フィルタ処理を施したCMYK信号を出力階調補正部17に出力する。
【0046】
出力階調補正部17は、空間フィルタ処理部16から入力されたCMYK信号に対し、画像出力装置400の出力特性に応じて補正する出力γ補正処理を行い、出力γ補正処理後の画像データを階調再現処理部18に出力する。
【0047】
階調再現処理部18は、出力階調補正部17から入力されたCMYKの濃度信号を、ディザ法を用いて画像出力装置400の特性値に応じた網点面積率(面積階調)に変換する出力階調補正処理を行うものである。
【0048】
また、階調再現処理部18は、出力階調補正処理を施した画像データを画像形成装置100に備えられる画像記憶部(図示せず)に一旦記憶させる。この画像記憶部に記憶された画像データは、所定のタイミングで読み出されて画像出力装置400に入力される。
【0049】
ディザパターン記憶部19は、周波数特性の異なる複数のディザパターン群(ドット配置アルゴリズムの異なる複数のディザパターン群)を記憶するメモリである。本実施形態では、10種類のディザパターン群(集中型ディザパターン)がディザパターン記憶部19に格納されている。また、各ディザパターン群には、異なる階調レベルに対応する複数(本実施形態では256階調分)のディザパターンが含まれている。ディザパターン記憶部19の構成は特に限定されるものではないが、例えばRAMなどの一時記憶メモリを用いることができる。
【0050】
画質調整部22は、階調再現処理部18において行われるディザ法を用いた階調再現処理最適で用いられるディザパターン群を設定(調整)することにより、画像出力装置400で出力される画像の画質調整を行うものであり、画質解析部20とディザパターン最適化部21とを備えている。
【0051】
画質解析部20は、後述する画質調整処理を行う場合に、画質特性解析用パターンを印字した結果をスキャナで読み取って得られた画像データにおける上記パターンに含まれる各パッチ画像の周波数解析、およびディザパターン記憶部19に格納されている各ディザパターンの周波数解析を行う。また、画質解析部20は、これらの解析結果をディザパターン最適化部21に出力する。なお、各ディザパターンの周波数特性の解析結果をディザパターン記憶部19に予め記憶しておいてもよく、その場合には画質解析部20における各ディザパターンの周波数特性の解析を省略してもよい。
【0052】
ディザパターン最適化部21は、画質調整処理を行う場合、上記各パッチ画像の周波数解析結果と上記各ディザパターンの周波数解析結果とに基づいて、上記各パッチ画像の階調レベルに対応する最適なディザパターン群を階調再現処理部18におけるその後の階調再現処理で用いるディザパターン群として設定する。なお、ディザパターン最適化部21は、ディザパターン記憶部19に記憶されているディザパターン群の中のうちのいずれかを階調再現処理に用いるディザパターン群として選択するか、あるいは、ディザパターン記憶部19に記憶されている複数のディザパターン群から階調レベル毎に最適なディザパターンを抽出して組み合わせる(合成する)ことによって生成したディザパターン群を階調再現処理に用いるディザパターン群として設定する。そして、ディザパターン最適化部21は、階調再現処理で用いるディザパターン群として設定したディザパターン群、あるいはそれを特定するための情報をディザパターン記憶部19に記憶させる。
【0053】
また、ディザパターン最適化部21は、通常の画像形成処理を行う場合、画像形成を行う画像データの階調レベルに対応する最適なディザパターンをディザパターン記憶部19から読み出して階調再現処理部18に伝達する。あるいは、階調再現処理部18が画像形成を行う画像データの階調レベルに対応する最適なディザパターンをディザパターン記憶部19から直接読み出すようにしてもよい。
【0054】
画像出力装置(画像出力部)400は、画像処理装置300から入力された画像データを記録材(例えば紙等)上に出力するものである。画像出力装置400の構成は特に限定されるものではなく、例えば、電子写真方式あるいはインクジェット方式を用いた画像出力装置を用いることができる。
【0055】
操作パネル500は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示部と設定ボタンなどからなる操作入力部により構成されている(いずれも図示せず)。そして、操作パネル500は、制御部600の指示に応じた情報を上記表示部に表示するとともに、上記操作入力部を介してユーザから入力される情報を制御部600に伝達する。なお、操作パネル500として表示部と操作入力部とが一体化されたタッチパネルを用いてもよい。
【0056】
制御部600は、例えばCPU(Central Processing Unit)等からなり、図示しないROM等に格納されたプログラムや各種データ、操作パネル500から入力される情報、画像入力装置200および画像出力装置400に備えられる各種センサの検知結果等に基づいて、画像形成装置100の各部の動作を制御する。
【0057】
画質特性解析用パターン記憶部700は、後述する画質調整処理を行う場合に用いる画質特性解析用パターンの画像データを記憶している。画質特性解析用パターンは、RGB信号値(R;赤、G;緑、B;青)で色指定された、階調レベルが互いに異なる複数のパッチ画像を含んでいる。本実施形態では、各パッチ画像は主走査方向および副走査方向の座標が予め指定された矩形形状からなり、各パッチ画像のサイズは1024画素×1024画素(43mm×43mm)に設定されている。
【0058】
なお、画質特性解析用パターンは、後述する周波数解析に使用できるものであればよく、各パッチ画像の色、および各パッチ画像のレイアウトは特に限定されるものではない。ただし、濃度(階調レベル)の異なる多数のパッチ画像を含むことが好ましく、2次色(RGBのうちの2色の組み合わせによって表現される色)、および3次色(RGB3色の組み合わせによって表現される色)のパッチ画像を含むことがより好ましい。また、各パッチ画像のサイズは、画像出力装置400のバンディング等の周期ムラを反映させることができる程度の大きさを有していればよく、特に限定されるものではないが、周期ムラを確実に反映させるためには大きいほどよい。
【0059】
また、本実施形態では、画質調整処理を行う場合には画質特性解析用パターンが画像入力装置200を介して画像処理装置300に入力されるようになっているが、これに限るものではない。例えば、画質特性解析用パターン記憶部700から画像処理装置300に直接入力するようにしてもよい。また、画質特性解析用パターン記憶部700を画像処理装置300の内部に設けてもよい。また、画質特性解析用パターン記憶部700は、画像形成装置100に対して着脱可能に装着されるものであってもよく、画像形成装置100に対して通信可能に接続される他の装置に備えられるものであってもよい。この場合、画像入力装置200(画像入力部)、あるいは画像処理装置300に備えられる画像取得部(画像入力部)が、画質特性解析用パターン記憶部700、あるいは画質特性解析用パターン記憶部700を備えた装置から画質特性解析用パターンを取得する。また、本実施形態では、画質特性解析用パターンとしてRGB信号からなる画像データを記憶させておくものとしているが、これに限らず、例えばRGBを反転させたC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の信号からなる画像データを記憶させておいてもよい。
【0060】
(1−2.画質調整処理)
次に、画像形成装置100において行われる画質調整処理について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、この画質調整処理は、画像形成装置100の製造時、出荷時、サービスマンによる調整時、あるいは、画像形成装置100の構成ユニット、部品、消耗品の交換等により画像形成装置100の出力特性が変化する時などに必要に応じて適宜行われる。
【0061】
図2に示すように、まず、制御部600は、画像処理装置300に画質特性解析用パターンを読み込ませる(S1)。具体的には、画像入力装置200を制御して画質特性解析用パターン記憶部700から画質特性解析用パターンを読み出させ、読み出した画質特性解析用パターンに補正等を施すことなくそのまま画像処理装置300に出力させる。A/D変換部10、シェーディング補正部11、原稿種別自動判定部12、入力階調補正部13、および領域分離処理部14では画質特性解析用パターンに対する処理は行われず、画質特性解析用パターンはこれら各部を通過(スルー)して色補正・黒生成部15に入力される。
【0062】
次に、制御部600は、色補正・黒生成部15を制御し、RGB信号からなる画質特性解析用パターンの画像データをCMYKの画像データに変換させ(S2)、空間フィルタ処理部16に出力する。空間フィルタ処理部16は、色補正・黒生成部15から入力された画質特性解析用パターンの画像データをそのまま出力階調補正部17に出力(スルー)する。
【0063】
なお、色補正・黒生成部15は、通常の画像形成時には色補正テーブルおよび黒生成テーブルを用いて色変換処理を行うが、画質調整処理ではこれらの補正テーブルを用いずに画質特性解析用パターンの画像データを単純な信号反転方式(反転変換)により色変換処理する。具体的には、色補正・黒生成部15は、C=255−R、M=255−G、Y=255−B、K=0(ただしR=G=Bの場合はK=255−R)に基づいて色変換処理を行う。
【0064】
次に、制御部600は、出力階調補正部17を制御し、空間フィルタ処理部16から入力される画質特性解析用パターンの画像データの階調を画像出力装置400の特性に合わせて補正する出力階調補正処理を行わせる(S3)。ここでの出力階調補正処理は、通常の画像形成時と同様の処理でよい。
【0065】
次に、制御部600は、階調再現処理部18を制御し、出力階調補正部17から入力される画質特性解析用パターンの画像データに対して階調再現処理を行わせる(S4)。なお、階調再現処理部18は、通常の画像形成時にはディザパターンを用いた面積階調への変換処理を行うが、画質調整処理では面積階調への変換を行わずに濃度変換処理を行う。すなわち、画質特性解析用パターンを用いて印字する画像(パッチ画像)は、画像出力装置400のバンディングや濃度ムラ等の画質不良を解析するためのものであるが、ディザ、網点、誤差拡散等の面積変調方式で中間調処理(階調再現処理)すると、画質不良が軽減されてしまって後述する解析結果に反映されにくくなる。このため、S4の処理では、面積階調への変換処理は行わず、画像出力装置400の出力特性を反映しやすい画素濃度変調方式による中間調処理を行う。
【0066】
次に、制御部600は、画像出力装置400を制御し、階調再現処理部18によって階調再現処理が施された画質特性解析用パターンを記録材上に印字(画像形成)させる(S5)。
【0067】
図3は、記録材上に印字された画質特性解析用パターンの一例を示す説明図である。この図に示す例では、階調レベル(濃度レベル)の異なる3種類のパッチ画像群(低濃度(低階調レベル)のパッチ画像P11〜P17からなるパッチ画像群、中濃度(中階調レベル)のパッチ画像P21〜P27からなるパッチ画像群、および高濃度(高階調レベル)のパッチ画像P31〜P33からなるパッチ画像群)が形成されている。パッチ画像P11,P21,P31は、M,Yの2色を重ね合わせた2次色のパッチ画像である。パッチ画像P12,P22,P32は、C,Yの2色を重ね合わせた2次色のパッチ画像である。パッチ画像P13,P23,P33は、C,Mの2色を重ね合わせた2次色のパッチ画像である。パッチ画像P14,P24,P34は、Cの単色からなる1次色のパッチ画像である。パッチ画像P15,P25,P35は、Mの単色からなる1次色のパッチ画像である。パッチ画像P16,P26,P36は、Yの単色からなる1次色のパッチ画像である。パッチ画像P17,P27,P37は、C,M,Yの3色を重ね合わせた3次色のパッチ画像である。
【0068】
次に、制御部600は、画像入力装置200を制御し、S5で記録材上に形成された画質特性解析用パターン(印字パターン)をスキャン(画像読取)させ、画質特性解析用パターンの画像データ(画質特性解析用画像データ)を取得させる(S6)。スキャンによって取得された画質特性解析用画像データは、画像処理装置300に入力され、A/D変換部10、シェーディング補正部11、原稿種別自動判定部12、および入力階調補正部13を介して(スルーして)領域分離処理部14に入力される。
【0069】
なお、本実施形態では記録材上に形成された画質特性解析用パターンを画像入力装置(画像読取手段)200によってスキャンしているが、これに限らず、他のスキャナ(画像読取手段)で読み取った画像データを画像入力装置200(画像入力部)あるいは画像処理装置300に備えられる画像入力部(図示せず)を介して画像処理装置300に入力するようにしてもよい。ただし、画像形成装置100に備えられる画像入力装置200を用いてスキャンする場合、画像入力装置200に起因するバンディング、濃度ムラが読み込み結果に反映されるので、その後の処理において画像処理装置200に起因するバンディング、濃度ムラを補正することができる。また、上記スキャンによって取得する画像は、画質調整処理を行う色に応じて、グレースケール画像としてもよく、RGB画像としてもよい。また、上記スキャンの読み込み解像度は、画像出力装置400の出力解像度に合わせることが好ましい。
【0070】
次に、制御部600は、領域分離処理部14を制御し、画質特性解析用パターンに含まれる各パッチ画像の画像領域を抽出させる(S7)。領域分離処理部14は、画像領域の抽出結果を示す領域分離信号、および画質特性解析用パターンを画質解析部20に出力する。なお、領域分離処理部14が領域分離信号および画質特性解析用パターンを一時記憶メモリやHDDなどの記憶装置に記憶し、画質解析部20がそれを読み出すようにしてもよい。また、画質特性解析用パターンにおける各パッチ画像の位置およびサイズを示す情報を予め画質特性解析用パターン記憶部700あるいは他の記憶装置に記憶しておき、画質解析部20がそれを読み出すようにしてもよく、その場合にはS7の処理を省略してもよい。
【0071】
次に、制御部600は、画質解析部20を制御し、領域分離信号およびスキャンによって取得した画質特性解析用画像データに基づいて、各パッチ画像の周波数変換処理を行わせ(S8)、周波数変換処理の結果を一時記憶メモリ(図示せず)に記憶させる(S9)。
【0072】
図4(a)はパッチ画像の一例を示す説明図である。また、図4(b)は、図4(a)に示したパッチ画像の信号値(RGB)を主走査方向の座標毎に副走査方向について合計した結果をプロットした結果(主走査方向の座標と副走査方向についての信号強度の合計値との関係)を示すグラフである。また、図4(c)は図4(b)をFFT変換(周波数変換)した結果を示すグラフである。このような周波数変換処理を各パッチ画像について行う。
【0073】
なお、周波数変換処理の方法は特に限定されるものではなく、例えばFFTやDCT(Dicsrete Cosine Transform;離散コサイン変換)などの一般的なアルゴリズムを用いて行うことができる。また、周波数変換処理は、2次元の処理でも1次元の処理でもよいが、以下に示す(1)〜(3)の理由から1次元の処理にすることがより好ましい。
(1)電子写真方式におけるバンディングや濃度ムラなどの画質不良は、その原理から搬送方向に対して水平な方向または垂直な方向に表れることがほとんどであり、1次元の処理で十分である。
(2)1次元の処理の方が周波数変換結果を記憶する一時記憶メモリの記憶容量が少なくでき、また処理を高速にできる。
(3)1次元の場合は主走査方向および副走査方向のそれぞれについて画素値を合計した結果を用いて後の処理を行うのでノイズが軽減される。
【0074】
次に、制御部600は、画質解析部20を制御してディザパターン記憶部19から各ディザパターンを読み出させ(S10)、読み出した各ディザパターンについて周波数変換処理を行わせる(S11)。
【0075】
具体的には、制御部600は、階調再現処理部18を制御し、各階調レベル(例えば各色8bit(256階調))の濃度変調された階調パターンを当該階調レベルに対応する各ディザパターンを用いて中間調処理させる。そして、制御部600は、画質解析部20を制御し、中間調処理された各階調パターンの画像について周波数変換処理を行わせる。
【0076】
図5(a)は中間調処理(ディザ処理)前の濃度変調されたモノクロの階調パターンの例を示す説明図である。実際の処理では各色8bit(256段階)の階調を取り得るが、ここでは4階調のグレー部を例示している。
【0077】
図5(b)および図5(c)は、図5(a)に示した各階調パターンを互いに異なるディザパターン群に属するディザパターンを用いてディザ処理した結果を示している。なお、図5(c)では2種類のディザパターンを用いた場合の例を図示しているが、実装している各ディザパターン群(本実施形態では10種類)についてディザ処理を実施する。また、ディザ処理の方法としては、一般的なディザ処理のアルゴリズム、例えば予め保存しておいたディザ閾値アレイデータと画像データの信号値とを比較して行う方法を用いることができる。
【0078】
図6(a)は、中間調処理(ディザ処理)前の多色の階調パターンの例を示す説明図である。また、図6(b)は、図6(a)に示した各階調パターンに対して当該各階調パターンに対応する色のディザパターンを適用してディザ処理した結果を示している。この図に示すように、ディザパターン記憶部19には各色に対応するディザパターン群が格納されており、黒以外の色や複数色の場合には当該各色に対応するディザパターンを用いて中間調変換が行われる。図6(c)は、図6(a)に示したディザ処理後の階調パターンをグレースケールに変換した結果を示している。この図に示すように、多色の階調パターン(CMYK4色の変換結果)は、画質調整処理においては、その後の周波数解析処理を容易にするためにグレースケールに変換される。この際のグレースケールへの変換方法は特に限定されるものではなく、例えば、NTSC(National Television System Committee)係数による混合やカラープロファイル等を用いた色変換方法を用いることができる。なお、人間の視覚特性を考慮した変換方法であることが好ましく、その場合にはグレースケールに対する解析結果で4色それぞれの解析結果を代用できる。
【0079】
周波数変換処理の方法としては、S8における処理と同様の方法を用いることができる。なお、S10における周波数変換処理の結果を一時記憶メモリに格納するようにしてもよい。また、各ディザパターンに対する周波数変換結果を予めメモリに格納しておいてもよく、その場合にはS10およびS11の処理を省略してもよい。また、S10およびS11の処理は、S1〜S9と並行して行ってもよく、S1〜S9の処理に先立って行ってもよい。
【0080】
図7は、同じ階調レベルに対応する複数のディザパターン(それぞれディザパターン群No.1〜No.5に属するディザパターン)と、各ディザパターンの信号値を主走査方向の座標毎に副走査方向について合計した結果をプロットした結果を示すグラフ(横軸:主走査方向座標、縦軸:信号強度)、および上記グラフをFFT変換(周波数変換)した結果を示すグラフ(横軸:空間周波数、縦軸:信号強度)を示す説明図である。FFT変換した結果を示すグラフは、信号強度の値が大きいほど該当する周波数成分が多いことを示している。なお、この図には、5つのディザパターンの例を示しているが、本実施形態では10種類のディザパターン群がディザパターン記憶部19に記憶されており、画質解析部20は、これら各ディザパターン群に含まれるディザパターンについてそれぞれ周波数解析処理を行う。
【0081】
次に、制御部600は、画質解析部20を制御し、各パッチ画像の周波数変換結果と、各ディザパターンの周波数変換結果とに基づいて各パッチ画像に対応する最適なディザパターン群を生成または選択するディザパターン最適化処理を行わせる(S12)。また、制御部600は、画質解析部20を制御し、ディザパターン最適化処理の結果をディザパターン記憶部19に記憶させ、(S13)処理を終了する。
【0082】
具体的には、画質解析部20は、各パッチ画像の周波数変換結果と当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの周波数変換結果とに基づいて、各パッチ画像の周波数特性と当該各パッチ画像に対応する各ディザパターンの周波数特性との一致度を算出し、この一致度が最も低いディザパターンを当該パッチ画像に対応する階調レベルについての最適なディザパターン(最適ディザパターン)として検出する。そして、各ディザパターンについて算出した上記一致度と検出した最適ディザパターンとをディザパターン記憶部19に記憶させる。なお、一致度に代えて、一致度が低いほど高い値に設定させる適正度合いを算出し、適正度合いの最も高いディザパターンを最適ディザパターンとして検出し、各ディザパターンについて算出した上記適正度合いと検出した最適ディザパターンとをディザパターン記憶部19に記憶させるようにしてもよい。
【0083】
上記一致度としては、例えば、各パッチ画像の周波数変換結果と当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの周波数変換結果との空間周波数毎の積を算出し、上記積を空間周波数について積分した積分値を用いることができる。なお、積分範囲に空間周波数0を含めるとDC成分を含んでしまうため、積分範囲の空間周波数の下限値を0よりも大きい値に設定することが好ましい。本実施形態では、積分範囲を空間周波数10〜130の範囲とした。また、積分値を信号強度のピーク値で正規化した値を用いてもよい。また、積分演算の方法は特に限定されるものではなく、従来から用いられている一般的な数値演算方法を用いればよい。
【0084】
図8は、図4(c)に示したパッチ画像の周波数変換結果と図7に示した各ディザパターンの周波数変換結果との空間周波数毎の積を示すグラフである。この積の積分値(一致度)が大きいほど、当該ディザパターンの空間周波数と画像出力装置400が有する濃度ムラ、バンディング等の周波数との一致度が高いことを示している。
【0085】
上記一致度が高いディザパターンを用いて中間調処理(階調再現処理)を施すと、画像出力装置400における周期性の画質不良を軽減できず、逆に増幅されてしまう場合がある。これに対して、上記一致度が低いディザパターンを用いて中間調処理(階調再現処理)を施すことにより、画像出力装置400における周期性の画質不良を軽減できる。このため、本実施形態では、上記一致度が最も低いディザパターンを最適ディザパターンとして検出する。
【0086】
図8に示した例の場合、各ディザパターンについての上記積分値は、ディザパターンNo.1=9200、ディザパターンNo.2=1800、ディザパターンNo.3=124300、ディザパターンNo.4=56500、ディザパターンNo.5=32900である。このため、上記積分値に基づいて最適ディザパターンを検出する場合、積分値が最も小さいディザパターンNo.2がディザパターンNo.1〜No.5の中ではバンディング軽減に最も効果的であると判断される。
【0087】
なお、上記の積を算出する際、人間の視覚特性を考慮して、ノイズとして認識されやすい周波数の重みを高くして評価するために、VTF(visual transfer function;視覚伝達係数)を掛け合わせてもよい。
【0088】
ところで、階調(濃度)レベルに応じて最適ディザパターンが属するディザパターン群が異なる場合がある。このため、本実施形態では、各パッチ画像の階調レベルに対応する最適ディザパターンをディザパターン群にかかわらずに検出し、階調レベル毎に検出した最適ディザパターンを組み合わせた最適化ディザパターン群を生成する。
【0089】
図9(a)は、最適化ディザパターン群の生成方法を示す説明図である。この図に示す例では、各階調レベルにおける最適ディザパターンを破線で囲んで示している。すなわち、階調レベル1についてはディザパターン群Aに属するディザパターンが最適ディザパターンであり、階調レベル2,3についてはディザパターン群Bに属するディザパターンが最適ディザパターンであり、階調レベル4,5についてはディザパターン群Cに属するディザパターンが最適ディザパターンである。
【0090】
このため、画質解析部20は、階調レベル毎の最適ディザパターンをディザパターン群にかかわらずに抽出し、それらを組み合わせた最適化ディザパターン群を生成する。そして、最適化ディザパターン群、あるいは各階調レベルと当該階調レベルに対応する最適ディザパターンとの対応関係を示す情報をディザパターン最適化処理の結果としてディザパターン記憶部19に記憶させる。
【0091】
なお、本実施形態では、階調レベル毎の最適ディザパターンをディザパターン群にかかわらずに抽出して組み合わせた最適化ディザパターン群を生成しているが、これに限るものではない。例えば、ディザパターン記憶部19に記憶しているディザパターン群の中から最適なディザパターン群を選択するようにしてもよい。選択方法としては、例えば、各ディザパターンについて、各階調レベルについての上記一致度を累計した累計値に応じてディザパターン記憶部19に記憶しているディザパターン群に順位を付け、この順位に応じて最適なディザパターン群(画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも低くなるディザパターン群)を選択することができる。
【0092】
また、階調レベル毎の最適ディザパターンを抽出して組み合わせた最適化ディザパターンを生成する方法と、ディザパターン記憶部19に記憶しているディザパターン群の中から最適化ディザパターン群を選択する方法とを組み合わせて用いてもよい。
【0093】
図9(b)に示すように、階調レベル毎の最適ディザパターンの中にディザを形成するドットの配置周期が一定あるいは整数倍ではないディザパターン群のディザパターンが含まれる場合などには、当該ディザパターンを他のディザパターン群のディザパターンと組み合わせると、ドットゲインの変動によりトーンギャップが発生する場合がある。
【0094】
このため、異なるディザパターン群に含まれるディザパターン同士の組み合わせを不可とする条件(例えば、他のディザパターン群と組み合わせるとトーンギャップが生じる可能性のあるディザパターン群、あるいはトーンギャップが生じる可能性のあるディザパターン群の組み合わせ)を予め記憶しておき、階調レベル毎の最適ディザパターンの中にこれに該当するディザパターン群のディザパターンが含まれるか否かに応じて、(i)階調レベル毎の最適ディザパターンを抽出して組み合わせることで最適化ディザパターン群を生成するか、あるいは(ii)ディザパターン記憶部19に記憶しているディザパターン群の中から最適化ディザパターン群を選択するかを切り替えるようにしてもよい。他のディザパターン群と組み合わせるとトーンギャップが生じる可能性のあるディザパターン群としては、例えば、ディザを形成するドットの配置周期が一定あるいは整数倍ではないディザパターン群などが挙げられる。
【0095】
また、各階調レベルに対応する最適ディザパターンはパッチ画像の色によって異なる場合がある。例えば、(i)1次色、2次色、3次色のいずれであるか、あるいは(ii)CMYKの色の組み合わせによって各階調レベルに対応する最適ディザパターンが異なる場合がある。このため、パッチ画像の色によって最適ディザパターンが異なる場合にいずれの色に対応するディザパターンを採用するか(あるいはパッチ画像の色毎の優先度)を予め設定しておき、その設定に応じてディザパターンを選択するようにしてもよい。例えば、上記の優先度を、色再現テーブルにおける出現頻度に応じて、C,M,Y,K>CM>CY,MY>CMK>CMK,CYK>CK,MK>YKとなるように設定してもよい。
【0096】
また、モノクロモードのための最適化ディザパターンと、カラーモードのための最適化ディザパターンとをそれぞれ生成あるいは選択するようにしてもよい。この場合、モノクロモードについては、Kのディザパターンを最適化すればよい。一方、カラーモードにおいては、C,M,Y,Kを個別に最適化してもよいが、その場合は、複数の色のディザを重ね合わせると2次的な周期性が発生する場合がある。このため、2次色(CとM、MとY、CとY、CとK、MとK、あるいはYとKを重ねた色)、3次色(CMY、KCM、KMY、あるいはKCYを重ねた色)の周波数解析結果に基づいて最適ディザパターンを生成あるいは選択することが好ましい。なお、4次色(CMYKを重ねた色)の組み合わせも存在するが、実使用上、4色を重ね合わせて色を作る頻度は少なく、また、2次色および3次色で周波数特性が最適化されていれば4次色でも問題発生しない場合が多い。
【0097】
以上のように、本実施形態にかかる画像形成装置100では、予め設定された画質特性解析用パターンの画像を当該画質特性解析用パターンの画像データに対して面積階調への変換処理を施すことなく画像出力装置400により記録材上に形成した結果を画像入力装置200によって読み取って画質解析用画像データを取得する。そして、画質解析部20(画質調整部22)が、画質解析用画像データに含まれる各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出し、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを示す指標を算出する。そして、ディザパターン最適化部21(画質調整部22)が、階調再現処理18において画質調整後の階調再現処理で用いるディザパターン群を画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも上記指標が低くなるディザパターン群に設定する。
【0098】
これにより、画像出力部の出力特性に応じて記録材上に形成される画像に現れる空間周波数毎の信号強度の分布特性に対する空間周波数毎の信号強度の分布特性の一致度が低いディザパターンを用いて階調再現処理を行うことができる。したがって、濃度ムラやバンディング等の周期性の画質不良を低減し、高品質な階調再現処理を行うことができる。
【0099】
なお、画質解析用パターンに含まれるパッチ画像の階調レベルの数と、各ディザパターン群に含まれるディザパターンの階調レベルの数とは必ずしも一致している必要はない。各ディザパターン群に含まれるディザパターンの階調レベルに対応する階調レベルのパッチ画像が存在しない場合には、当該階調レベルに近い階調レベルのパッチ画像に対する解析結果を参照して当該階調レベルに対応する最適ディザパターンを選択すればよい。例えば、各パッチ画像のうち、当該階調レベルに最も近い階調レベルのパッチ画像の階調レベルに対応するディザパターンとして設定されたディザパターンと同じディザパターン群に属するディザパターンを当該階調レベルに対応するディザパターンとして設定してもよい。
【0100】
なお、本実施形態において、画像形成装置100に備えられる各部(各ブロック)、特に制御部600および画像処理装置300の各部を、CPU等のプロセッサを用いてソフトウェアによって実現してもよい。この場合、画像形成装置100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を画像形成装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって達成される。
【0101】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0102】
また、画像形成装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0103】
また、画像形成装置100の各ブロックは、ソフトウェアを用いて実現されるものに限らず、ハードウェアロジックによって構成されるものであってもよく、処理の一部を行うハードウェアと当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うソフトウェアを実行する演算手段とを組み合わせたものであってもよい。
【0104】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、ディザ法を用いて階調再現処理を行う画像形成装置、および上記画像形成装置における画質調整方法に適用できる。
【符号の説明】
【0106】
18 階調再現処理部
19 ディザパターン記憶部
20 画質解析部
21 ディザパターン最適化部
22 画質調整部
100 画像形成装置
200 画像入力装置(画像入力部、画像読取手段)
300 画像処理装置
400 画像出力装置(画像出力部)
500 操作パネル
600 制御部
700 画質特性解析用パターン記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対してディザ法を用いた階調再現処理を行う階調再現処理部と、画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成部とを備えた画像形成装置であって、
予め設定された画質特性解析用パターンの画像データであって面積階調への変換処理が施されていない画像データに応じた画像を上記画像形成部により記録材上に形成した結果を画像読取手段によって読み取って得られた画質解析用画像データを取得する画像入力部と、
空間周波数特性が異なる複数のディザパターン群を記憶したディザパターン記憶部と、
上記階調再現処理に用いるディザパターンを調整することにより上記画像形成部によって記録材上に形成される画像の画質調整を行う画質調整部とを備え、
上記画質特性解析用パターンは階調レベルの異なる複数のパッチ画像を含んでおり、
上記ディザパターン群は異なる階調レベルに対応する複数のディザパターンを含んでおり、
上記画質調整部は、
上記画質解析用画像データに含まれる各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出し、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを示す指標を算出し、上記階調再現処理に用いるディザパターン群を画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも上記指標が低くなるディザパターン群に設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記指標は、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致度を上記ディザパターン群毎に累計した累計値であり、
上記画質調整部は、上記ディザパターン記憶部に記憶されているディザパターン群のうち上記累計値が画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも低くなるディザパターン群を上記階調再現処理に用いるディザパターン群として選択することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記指標は、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致度であり、
上記画質調整部は、
上記各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンのうち、上記一致度が最も低いディザパターンを当該階調レベルについての最適ディザパターンとして選択し、
階調レベル毎の最適ディザパターンを組み合わせて得られるディザパターン群を上記階調再現処理に用いるディザパターン群として設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記ディザパターン記憶部は、異なるディザパターン群に含まれるディザパターン同士の組み合わせを不可とする条件を記憶しており、
上記画質調整部は、階調レベル毎の最適ディザパターンの中に他のディザパターン群に含まれるディザパターンとの組み合わせが不可であるディザパターンが存在する場合には、上記ディザパターン記憶部に記憶されているディザパターン群のうち上記一致度を上記ディザパターン群毎に累計した累計値が画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも低くなるディザパターン群を上記階調再現処理に用いるディザパターン群として選択することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
上記一致度は、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度との周波数毎の積を積分した積分値であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
上記一致度は、上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度との周波数毎の積に当該各周波数に応じた視覚伝達係数を乗じた値を積分した積分値であることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
上記画像読取手段を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
上記画像入力部は、当該画像形成装置に対して通信可能に接続される他の装置、または当該画像形成装置に対して着脱可能に装着される記録媒体から上記画質解析用画像データを取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
上記ディザパターン記憶部は、上記各ディザパターン群に含まれる各ディザパターンの画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出した結果を記憶していることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
上記画質調整部は、上記各ディザパターン群に含まれる各ディザパターンの画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像データに対してディザ法を用いた階調再現処理を行う階調再現処理部と、画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成部とを備えた画像形成装置における画質調整方法であって、
上記画像形成装置は、空間周波数特性が異なる複数のディザパターン群を記憶したディザパターン記憶部を備えており、上記ディザパターン群は異なる階調レベルに対応する複数のディザパターンを含んでおり、
予め設定された階調レベルの異なる複数のパッチ画像を含む画質特性解析用パターンの画像データであって面積階調への変換処理が施されていない画像データに応じた画像を上記画像形成部により記録材上に形成する工程と、
上記画像形成部により記録材上に形成された上記画質特性解析用パターンの画像を画像読取手段で読み取って画質解析用画像データを取得する工程と、
上記画質解析用画像データに含まれる各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度を算出する工程と、
上記各パッチ画像の画像データにおける空間周波数毎の信号強度の分布特性と上記ディザパターン記憶部に記憶しているディザパターンのうち当該各パッチ画像の階調レベルに対応する各ディザパターンの空間周波数毎の信号強度の分布特性との一致の度合いを示す指標を算出する工程と、
上記階調再現処理に用いるディザパターン群を画質調整前に設定されていたディザパターン群よりも上記指標が低くなるディザパターン群に設定する工程とを含むことを特徴とする画質調整方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置を動作させるプログラムであって、コンピュータを上記画質調整部として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−182751(P2012−182751A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45714(P2011−45714)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】