説明

画像形成装置、省エネルギ移行復帰制御方法、及び省エネルギ移行復帰制御プログラム

【課題】省エネルギ制御を行うにつき、省エネルギ制御のための制御用のハーネス、コネクタを不要とし、あるいは本数を減じることにより小型化及び低コスト化を図る。
【解決手段】通常モードと省エネルギモードの2つの電力供給モードとが設定され、前記自装置内における通常モード時通信部14及び省エネモード時通信部13との通信を制御する第1のFax制御部12と、前記自装置全体を制御するコントローラ部31の制御部32と、Fax制御部12とコントローラ部31の制御部32とを接続するUSBケーブル21と、を備え、Fax制御部12は、USBケーブル12からの状態信号、ここではプルアップ電源の状態を示す信号に基づいて通常モードか省エネルギモードかを判定し、判定結果に基づいて有効バス切替部15により通常モード時通信部14あるいは省エネモード時通信部13へのバス54,53のいずれに切り替えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBインターフェイスを備え、かつ、省エネルギモード(以下、単に省エネモードと称す。)が設定される画像形成装置、省エネルギ移行復帰制御方法、及び省エネルギ移行復帰制御をコンピュータによって実行するための省エネルギ移行復帰制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から画像形成装置の操作部とコントローラとの間は同期シリアル伝送による双方向のデータ転送が行われていた。すなわち、双方向のデータ線とクロック穿の計4本の信号線が設けられ、これらの信号線を使用してデータ転送が行われていた。一方、画像形成装置に省エネモードの設定が可能となっているものでは、省エネ制御信号線のために制御用の信号線が設けられていた。
【0003】
図11は従来例に係る省エネモードが設定可能な画像形成装置の一例を示すブロック図である。同図において、従来例に係る画像形成装置1は、Fax部11とコントローラ(CTL)部31とを備え、両者はUSBケーブル21を介して接続されている。Fax部11は、Fax制御部12、省エネモード時通信部13、通常モード時通信部14、有効バス切替部15、及びUSBコネクタ20を備えている。Fax制御部12には省エネモード時通信部13、通常モード時通信部14及び有効バス切替部15が接続されている。有効バス切替部15とUSBコネクタ20は2本の信号線で接続されている。省エネモード時通信部13と通常モード時通信部14はそれぞれ2本の信号線で有効バス切替部15と接続されている。省エネ又は通常モードの切替判断に応じていずれかのバスが有効となり、有効になった側のバスが有効バス切替部15とUSBコネクタ20を接続している信号線と導通する。一方、コントローラ部31は、制御部32及びUSBコネクタ22を備え、このUSBコネクタ22にUSBケーブル21を介してFax部11のUSBコネクタ20が接続されている。
【0004】
また、Fax部11のFax制御部12と、コントローラ31の制御部32はそれぞれ制御信号用コネクタ41,43を介して制御信号用ハーネス42により接続され、この制御信号用ハーネス42を使用して省エネルギ制御を行っていた。すなわち、従来では省エネルギ制御にこの制御信号用ハーネス42が必須であった。
【0005】
一方、USBケーブルを使用した機器では、所定の制御について、このような制御信号
用ハーネスを使用しないで、制御することが知られている。例えば特許文献1(特開2006−048496号公報)には、USB接続システムのホストに、USB機器に動作指示する動作指示信号をUSBケーブル内のVBUS線により送信するVBUS線信号送信手段を備え、USB接続システムのUSB機器に、送信された前記動作指示信号を検知する信号検知手段と、検知した前記動作指示信号に基づいて所定の動作を実行する動作実行手段とを備え、ホストからUSB機器に対してハードリセット等の強制動作制御を実行することができるようにした発明が開示されている。
【0006】
また、特許文献2(特開2003−131956号公報)には、相互に汎用インターフェイスで接続され、当該汎用インターフェイスを介してデータの授受を行うホスト機器とデバイス機器とを含むデバイス制御システムにおいて、ホスト機器とデバイス機器との間にリセット信号とウェイクアップ信号との少なくとも一方を送受するための専用線を設け、簡単な制御によってUSBインターフェイスのハングアップの復旧を可能とし、節電効率を向上させることができるようにした発明が開示されている。
【0007】
また、特許文献3(特開2002−373036号号公報)には、USBインターフェイスを有するUSB機器であって、前記USB機器の電源の立ち上げ時、暴走時及びUSBライン上のリセットステート検出時に、ワンチップマイクロコンピュータにリセット信号を供給して前記USB機器をリセットするリセット回路を備え、通信異常の状態を発見したときに、USBの信号ライン上のリセットステータスを検出し、自動的にUSB機器のリセットを実行するようにした発明が開示されている。
【0008】
さらに、特許文献4(特開2008−211761号公報)には、ユーザからの操作を受け付ける操作部と、画像形成装置全体を制御する制御部を有するコントローラと、操作部とコントローラとを接続し、差動式により操作部とコントローラとの間のデータの通信路となる伝送路と、を備え、前記操作部は、前記伝送路を介して前記コントローラとデータの送受信を行う第1転送部を有し、前記コントローラは、前記伝送路を介して前記操作部と前記データの送受信を行う第2転送部を有することにより、操作部とコントローラの間のデータ転送の高速化を図った発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記図11に示した従来例では、省エネルギ制御を行うために制御信号用ハーネス42が必須であった。そのため、この制御信号用ハーネス42を接続するための制御信号用コネクタ41,43も必須であった。その際、ハーネス42の本数が制御信号分必要となること、また、制御信号用ハーネス42を接続するコネクタが必要であること、また、前記ハーネス42を這わせるスペースも必要となることから、これらを取り付ける工数の増加も含めてコストが高くなる。
【0010】
一方、特許文献1記載の発明では、制御信号用ハーネスは不要であるが、USB機器に対する強制動作制御に使用されるもので省エネルギ制御に適用することはできない。特許文献2記載の発明では、ホスト機器とデバイス機器との間にリセット信号とウェイクアップ信号との少なくとも一方を送受するための専用線を設けることから、省エネルギ制御において信号線は余分に必要である。特許文献3記載の発明では、通信異常の状態を発見したときに、USBの信号ライン上のリセットステータスを検出し、自動的にUSB機器のリセットを実行するが、この制御を省エネルギ制御に適用することはできない。さらに、特許文献4記載の発明では、操作部が差動式の伝送路(USB−Universal Serial Bus)を介してコントローラとデータの送受信を行う第1転送部を有し、コントローラが伝送路を介して操作部とデータの送受信を行う第2転送部を有し、差動転送を行うことにより操作部とコントローラの間のデータ転送の高速化を図ってはいるが、省エネルギ制御に適用することはできない。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、省エネルギ制御を行うにつき、省エネルギ制御のための制御用のハーネス、コネクタを不要とし、あるいは本数を減じることにより装置の小型化及び低コスト化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、第1の手段は、自装置全体に電力が供給される通常モード、及び当該自装置の所定部分にのみ電力が供給される省エネルギモードを含む動作モードの少なくとも2つの電力供給モードが設定された画像形成装置であって、前記自装置内における複数の通信手段との通信を制御する第1の制御手段と、前記自装置全体を制御する第2の制御手段と、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とを接続する差動式の通信路からなる伝送路と、を備え、前記第1の制御手段は、前記伝送路からの状態信号に基づいて前記通常モードか省エネルギモードかを判定し、判定されたモードに対応した通信手段を選択することを特徴とする。
【0013】
第2の手段は、自装置内における複数の通信手段との通信を制御する第1の制御手段と、前記自装置全体を制御する第2の制御手段と、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とを接続する差動式の通信路からなる伝送路と、を備え、前記自装置全体に電力が供給される通常モード、及び当該自装置の所定部分にのみ電力が供給される省エネルギモードを含む動作モードの少なくとも2つの電力供給モードとが設定された画像形成装置の省エネルギ移行及び復帰制御方法であって、前記第1の制御手段によって実行される前記伝送路からの状態信号に基づいて前記通常モードか省エネルギモードかを判定する工程と、前記判定されたいずれかのモードに対応した通信手段を選択する工程と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
第3の手段は、自装置内における複数の通信手段との通信を制御する第1の制御手段と、前記自装置全体を制御する第2の制御手段と、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とを接続する差動式の通信路からなる伝送路と、を備え、前記自装置全体に電力が供給される通常モード、及び当該自装置の所定部分にのみ電力が供給される省エネルギモードを含む動作モードの少なくとも2つの電力供給モードが設定された画像形成装置の省エネルギ移行及び復帰制御をコンピュータによって実行するための省エネルギ移行及び復帰制御プログラムであって、前記第1の制御手段によって実行される前記伝送路からの状態信号に基づいて前記通常モードか省エネルギモードかを判定する手順と、前記判定されたいずれかのモードに対応した通信手段を選択する手順と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
なお、後述の実施形態では、自装置はFax部11及びコントローラ部31を含む画像形成装置1、あるいはこれにエンジン部61を加えた画像形成装置1に、複数の通信手段は省エネモード時通信部13及び通常モード時通信部14、第1の制御手段はFax部11に、第2の制御手段はコントローラ部31に、伝送路はUSBケーブル21に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、省エネルギ制御を行うにつき、省エネルギ制御のための制御用のハーネス、コネクタを不要とすること、あるいは本数を減じることにより小型化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における実施例1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2A】実施例1の省エネルギ制御の制御手順の前半部を示すフローチャートである。
【図2B】実施例1の省エネルギ制御の制御手順の後半部を示すフローチャートである。
【図3】実施例2の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4A】実施例3の省エネルギ制御の制御手順の前半部を示すフローチャートである。
【図4B】実施例3の省エネルギ制御の制御手順の後半部を示すフローチャートである。
【図5】実施例3の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図6A】実施例3の省エネルギ制御の制御手順の前半部を示すフローチャートである。
【図6B】実施例3の省エネルギ制御の制御手順の後半部を示すフローチャートである。
【図7】実施例4の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図8A】実施例4の省エネルギ制御の制御手順の前半部を示すフローチャートである。
【図8B】実施例4の省エネルギ制御の制御手順の後半部を示すフローチャートである。
【図9】実施例5の画像形成装置1の構成を示すブロック図である。
【図10A】実施例5の省エネルギ制御の制御手順の前半部を示すフローチャートである。
【図10B】実施例5の省エネルギ制御の制御手順の後半部を示すフローチャートである。
【図11】従来例における画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、USB信号を利用して省エネルギ制御を行うことにより、制御信号用ハーネスを省略し、あるいはハーネスの信号線の本数を減じ、装置の小型と低コスト化を意図したものである。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本実施形態における実施例1の構成を示すブロック図である。同図において、本実施例に係る画像形成装置1は、従来例と同様にFax部11とコントローラ部31を備え、両者はUSBケーブル21を介して接続されている。なお、ここで例示した画像形成装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能などを備えたデジタル複合機(MFP−Multi Function Peripheral)である。
【0020】
Fax部11は、Fax制御部12、省エネモード時通信部13、通常モード時通信部14、有効バス切替部15、及びUSBコネクタ20を備えている。Fax制御部12には省エネモード時通信部13、通常モード時通信部14及び有効バス切替部15がそれぞれバス55,56,57を介して接続されている。有効バス切替部15とUSBコネクタ20は2本の信号線51で接続されており、その2本はプルアップされていて、Fax制御部12がUSB信号の前記プルアップ電源の状態を前記USBケーブル21からの信号線52により監視している。
【0021】
省エネモード時通信部13と通常モード時通信部14はそれぞれ2本のバス53,54で有効バス切替部15と接続されている。省エネモード又は通常モードの切替判断に応じていずれかのバスが有効となり、有効になった側のバスが有効バス切替部15とUSBコネクタ20を接続している信号線51とを導通する。電源オン時には通常モード時通信部14側のバス54が有効である。また、省エネモード時通信部13と有効バス切替部15間及び通常モード時通信部14と有効バス切替部15間にはプルダウン処理がなされているため省エネモード時通信部13と通常モード時通信部14が無効なバスである状態になっても電気的に不定状態になることはない。
【0022】
一方、コントローラ部31は、制御部32及びUSBコネクタ22を備え、USBケーブル21このUSBコネクタ22とFax部11のUSBコネクタ20間を接続する。
【0023】
なお、Fax制御部12及び制御部32はCPU、ROM及びRAMを備え、CPUはROMに格納されたプログラムコードをRAMに展開し、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義された制御を実行する。従って、CPU、ROM及びRAMはコンピュータに使用する資源に相当する。
【0024】
図2A及び図2Bは、このように大略構成された図1の画像形成装置のUSB信号を利用した省エネルギ制御の制御手順を示すフローチャートである。図2Aにおいて、画像形成装置1の電源がオンされると(ステップS101)、電源オン後の動作、スタンバイを含む通常モード時(ステップS102)にコントローラ部31が省エネモードへの移行可能と判断すると(ステップS103:YES)、コントローラ部31が2本の信号線(USB)におけるプルアップ電源を含む省エネ時に落とされる電源をオフして(ステップS104)省エネモードに移行する。
【0025】
Fax制御部12が前記USBケーブル21に接続された信号線52からプルアップ電源オフを検知し、省エネモードへの移行を確認すると、Fax制御部12は有効バス切替部15を切り替え、省エネモード時通信部13側のバス53を有効にし(ステップS105)、そのまま省エネモードで待機する(ステップS106)。
【0026】
省エネモードからの復帰には、Fax部11からの要求で復帰する場合と、コントローラ部31からの要求で復帰する場合がある。
【0027】
Fax部11からの要求で復帰する場合には、図2Bに示すように省エネモードで待機しているとき(ステップS106−a)に、Fax制御部12が省エネ復帰要因、例えば外部からのFax受信を検知すると(ステップS107−a:YES)、省エネモード時通信部13が省エネ復帰要求信号をコントローラ部31に送信し(ステップS108−a)、コントローラ部31が省エネ復帰要求信号を受信すると(ステップS110−a)、制御部32はUSBケーブル21の2本の信号線におけるプルアップ電源を含む省エネ時に落とされた電源をオンする(ステップS111)。この電源オンにより通常モードに移行すると、Fax制御部12はプルアップ電源がオンになったことを検知し、通常モードへの復帰を確認する。この確認によりFax制御部12は有効バス切替部15を切り替え、通常モード時通信部13側のバス54を有効にし(ステップS112)、通常モードに復帰する(ステップS113)。なお、ステップS113における通常モードへの復帰はステップS102の通常モードとなったことを意味し、この通常モード復帰からステップS103以降の処理が繰り返される。
【0028】
コントローラ部31からの要求で復帰する場合には、省エネモードで待機しているときに(ステップS106−b)コントローラ部31が省エネ復帰要因を検知すると(ステップS107−b:YES)、Fax部11に省エネ復帰要求信号を送信し(ステップS108−b)、省エネモード時通信部13が省エネ復帰要求信号を受信し、省エネ復帰準備完了通知をコントローラ部31に送信する(ステップS109−b)。コントローラ部31がFax部51から前記省エネ復帰準備完了通知を受信すると(ステップS110−b)、前述のステップS111の処理に移行し、制御部32はUSBケーブル21の2本の信号線におけるプルアップ電源を含む省エネ時に落とされた電源をオンする。通常モードに移行すると、Fax制御部12はプルアップ電源がオンになったことを検知し、通常モードへの復帰を確認する。この確認によりFax制御部12は有効バス切替部15を切り替え、通常モード時通信部14側のバス54を有効にし(ステップS12)、通常モードに復帰する(S113=S102)。
【0029】
省エネ制御信号の信号線が3本以上あり、前述の図11に示した従来例における制御信号用コネクタ41,43とハーネス42を削除する構成では、Fax制御部21が、優先度が高い信号線を判断し、順に送受信を行う処理を、ステップS108−aからステップS110−a又はステップS108−bからステップS110−b間で実行する。
【0030】
以上のように、本実施例によれば、従来は制御信号用コネクタ41,43とハーネス42を利用して省エネ制御を行っていたのに対し、省エネ移行のトリガ(ステップS103)に基づいて省エネモード時通信部13と有効バス切替部15とUSBのバス(USBケーブル21)を利用し、省エネ制御信号の送受信を行うため、制御信号用コネクタ41,43とハーネス42が不要となる。あるいは3本以上省エネ制御信号用の信号線が存在した場合に、ハーネス42の本数が減ることに伴い制御信号用コネクタ41,43を小型化することができる。
【0031】
USBバスは2本の信号線であるため、省エネ制御信号用の信号線が1本又は2本ならば全て共用でき、制御信号用コネクタ41,43と図1に点線で示すハーネス42が不要となる。省エネ制御信号が3本以上の場合には頻度が高い信号2本を共用対象とし、残りはハーネス42の本数を削減する。又は、Fax制御部12が、優先度が高い信号線から順に送受信を行い、制御信号用コネクタ41,43とハーネス42が不要となるように構成する。
【0032】
なお、ここでいう省エネ制御信号は、コントローラ部31の制御部32とFax部11との間で送受信される省エネモードから復帰することを指示する信号及び省エネ復帰準備が完了した旨を通知する信号、すなわち、省エネ復帰要求信号(ステップS108−a、ステップS108−b)及び省エネ復帰準備完了通知(ステップS109−b)に対応する。
【実施例2】
【0033】
図3は実施例2に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。この実施例2は、図1に示した実施例1におけるUSB信号のプルアップ監視用の信号線52を省略し、Fax制御部12にタイマ機能を内蔵させたものである。その他の各部は実施例1と同一なので、重複する各部には同一の参照符号を付し、説明は省略する。
【0034】
図4A及び図4Bは実施例2における画像形成装置のUSB信号を利用した省エネルギ制御の制御手順を示すフローチャートである。図4Aにおいて、画像形成装置1の電源がオンされると同時にFax制御部12のタイマ機能が有効になる(ステップS201)とともに、画像形成装置1はスタンバイ状態になり(ステップS202)、Fax制御部12又はコントローラ部31が通信動作要因を検知しない(ステップS203:NO)まま一定期間が過ぎると(ステップS204:YES)、省エネモードに移行する。そのとき、Fax制御部12は有効バス切替部15を切り替え、省エネモード時通信部13側のバス53を有効にし(ステップS205)、そのまま省エネモードで待機する(ステップS206)。
【0035】
省エネモードからの復帰には、実施例1と同様にFax部11からの要求で復帰する場合と、コントローラ部31からの要求で復帰する場合がある。
【0036】
Fax部11からの要求で復帰する場合には、省エネモードで待機しているとき(ステップS206−a)に、Fax制御部12が省エネ復帰要因、例えば外部からのFax受信を検知すると(ステップS207−a:YES)、省エネモード時通信部13がコントローラ31に省エネ復帰要求を送信し(ステップS208−a)、コントローラ部31は省エネ復帰完了通知をFax部11に送信する(ステップS209−a)。Fax部11がコントローラ部31から送信された省エネ復帰準備完了通知を受信し(ステップS210−a)、一定期間が経過すると(ステップS211)、Fax制御部12は有効バス切替部15を切り替え、通常モード時通信部14側のバス54を有効にする(ステップS212)。その後、タイマ機能をリセットし(ステップS213)、スタンバイ状態(通常モード)に復帰する(ステップS214)。なお、ステップS214における通常モードへの復帰はステップS202の通常モードとなったことを意味し、この通常モード復帰からステップS203以降の処理が繰り返される。
【0037】
一方、コントローラ部31からの要求で復帰する場合には、図4Bに示すように省エネモードで待機しているときに(ステップS206−b)コントローラ部31が省エネ復帰要因を検知すると(ステップS207−b:YES)、Fax部11に省エネ復帰要求信号を送信する(ステップS208−b)。コントローラ部31がFax部11から省エネ復帰準備完了通知を受信すると(ステップS210−b)、前述のステップS211の処理に移行し、一定期間が経過すると、Fax制御部12は有効バス切替部15を切り替え、通常モード時通信部14側のバス54を有効にする(ステップS212)。その後、タイマ機能をリセットし(ステップS213)、スタンバイ状態(通常モード)に復帰する(ステップS214=ステップS202)。
【0038】
本実施例においても、省エネ制御信号が3本以上あり、制御信号用コネクタ41,43とハーネス42を削除する構成においては、Fax制御部21が、優先度が高い信号線を判断し、順に送受信を行う処理を、ステップS208−aからステップS210−a、又はステップS208−bからステップS210−b間で実行する。
【0039】
他方、スタンバイ状態において(ステップS202)Fax制御部12又はコントローラ部31が通信動作要因を検知すると(ステップS203:YES)、通信動作を行い(ステップS217)、データの送受信を行う。なお、データと併せてテータ送信完了通知信号を送信することができることはいうまでもない。
【0040】
Fax部11が外部からデータ受信をしてコントローラ部31にデータを送信した場合は、通常モード時通信部14がそのデータ送信完了通知信号を送信し(ステップS218)、タイマ機能をリセットして(ステップ219)スタンバイ状態となる(ステップ202)。また、Fax部11が外部へデータ送信をするためにコントローラ部31からデータを受信した場合は、通常モード時通信部14がそのデータ送信完了通知信号を受信(ステップS218)し、タイマ機能をリセット(ステップS219)してスタンバイ状態となる(ステップS202)。
【0041】
このように構成すると、実施例1と同様に省エネ移行のトリガをもとに省エネモード時通信部13と有効バス切替部15とUSBのバスを利用して省エネ制御信号の送受信を行うので、制御信号用コネクタ41,43とハーネス42が不要となる。あるいは、ハーネス42の本数が減ることに伴い制御信号用コネクタ41,43の小型化を図ることができる。その際、USBバスは2本の信号線であるため、省エネ制御信号が1本又は2本ならば全て共用でき、制御信号用コネクタ41,43とハーネス42が不要となる。省エネ制御信号が3本以上の場合には頻度が高い信号2本を共用対象とし、残りはハーネス42の本数を削減した構成となる。又は、Fax制御部12が、優先度が高い省エネ制御信号から順に送受信を行うことにより、制御信号用コネクタ41,43とハーネス42を不要とする構成とすることができる。
【0042】
なお、ここでいう省エネ制御信号も実施例1と同様に、コントローラ部31の制御部32とFax部11との間で送受信される省エネモードから復帰することを指示する信号及び省エネ復帰準備が完了した旨を通知する信号、すなわち、省エネ復帰要求信号(ステップS208−a、ステップS208−b)及び省エネ復帰準備完了通知(ステップS209−a)に対応する。
【実施例3】
【0043】
図5は実施例3に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。この実施例3は、図1に示した実施例1に対してエンジン部61を設け、また、USB信号のプルアップ監視用の信号線52を省略し、エンジン部61のエンジン制御部62とコントローラ部31の制御部32間の省エネ制御信号59を監視するようにした例である。なお、省エネ制御信号59の監視は矢印58で示すようにFax制御部12によって行われる。その他の各部は実施例1と同一なので、重複する各部の説明は省略する。また、エンジン部61は、具体的には、画像形成エンジンあるいはスキャナエンジンを指す。画像形成エンジンは電子写真方式のエンジン、液滴噴出方式のエンジンなど、公知のエンジンが使用される。
【0044】
図6A及び図6Bは実施例3における画像形成装置のUSB信号を利用した省エネルギ制御の制御手順を示すフローチャートである。図6Aにおいて、画像形成装置1の電源がオンされると(ステップS301)、電源オン後の動作、スタンバイを含む通常モード時(ステップS302)にエンジン部61が省エネ移行準備完了通知をコントローラ部31に送信したことをFax制御部12が検知すると(ステップS303:YES)、Fax制御部12は有効バス切替部15を切り替え、省エネモード時通信部13側のバス53を有効にし(ステップS304)、そのまま省エネモードで待機する(ステップS305)。
【0045】
省エネモードからの復帰には、実施例1と同様にFax部11からの要求で復帰する場合と、コントローラ部31からの要求で復帰する場合がある。
【0046】
Fax部11からの要求で復帰する場合には、図6Bに示すように省エネモードで待機しているとき(ステップS305−a)、Fax制御部12が省エネ復帰要因(外部からのFax受信)を検知し(ステップS306−a)、省エネモード時通信部13がコントローラ部31に省エネ復帰要求信号を送信する(ステップS307−a)。コントローラ部31が省エネ復帰要求信号を受信した後(ステップS309−a)、エンジン部61が省エネ復帰準備完了通知をコントローラ部31に送信したことをFax制御部12が検知すると(ステップS310)、Fax制御部12が有効バス切替部15を切替えて、通常モード時通信部13側のバス54を有効にし(ステップS311)、通常モードに復帰する(ステップS312)。なお、ステップS312における通常モードへの復帰はステップS302の通常モードとなったことを意味し、この通常モード復帰からステップS303以降の処理が繰り返される。
【0047】
一方、コントローラ部31からの要求で復帰する場合には、省エネモードで待機しているときに(ステップS305−b)コントローラ部31の制御部32が省エネ復帰要因を検知し(ステップS306−b:YES)、Fax部11に省エネ復帰要求信号を送信し(ステップS307−b)、省エネモード時通信部13がFax制御部12から省エネ復帰要求信号を受信し、省エネ復帰準備完了通知をコントローラ部31に送信する(ステップS308−b)。コントローラ部31が省エネ復帰完了通知を受信し(ステップS309−b)、エンジン部61が省エネ復帰準備完了通知をコントローラ部31に送信したことをFax制御部12が検知すると(ステップS310)、Fax制御部12が有効バス切替部15を切替えて、通常モード時通信部13側のバス54を有効にし(ステップS311)、通常モードに復帰する(ステップS312=ステップS302)。
【0048】
本実施例においても、省エネモードにおいて(ステップS305−b)コントローラ部31の制御部32が省エネ復帰要因を検知し(ステップS306−b)、Fax部11に省エネ復帰要求信号を送信する(ステップS307−b)。省エネ制御信号用の信号線が3本以上あり、制御信号用コネクタ41,43とハーネス42を削除する構成においては、Fax制御部12が、優先度が高い省エネ制御信号の信号線を判断し、順に送受信を行う処理を、ステップS307−aからステップS309−a、又はステップS307−bからステップS309−b間で実行する。
【0049】
このように構成すると、実施例1及び2と同様に、省エネ移行のトリガをもとに省エネモード時通信部13と有効バス切替部15とUSBのバスを利用して省エネ制御信号の送受信を行うため、制御信号用コネクタ41,43とハーネス42が不要となる、又はハーネス42の本数が減ることに伴い制御信号用コネクタ41,43を小型化することができる。
【0050】
なお、ここでいう省エネ制御信号も実施例1と同様に、コントローラ部31の制御部32とFax部11との間で送受信される省エネモードから復帰することを指示する信号及び省エネ復帰準備が完了した旨を通知する信号、すなわち、省エネ復帰要求信号(ステップS307−a、ステップS307−b)及び省エネ復帰準備完了通知(ステップS309−b)に対応する。
【実施例4】
【0051】
図7は実施例4に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。この実施例4は、図1に示した実施例1のFax部51に代えて操作部71とし、Fax制御部12を操作制御部72に置き換え、さらに、操作制御部72に接続される操作検知部73を設けたものである。その他の各部は図1と同一の構成である。
【0052】
すなわち、操作部71は操作制御部72、省エネモード時通信部13、通常モード時通信部14、有効バス切替部15、操作検知部73、及びUSBコネクタ20を備え、操作制御部72は省エネモード時通信部13、通常モード時通信部14、有効バス切替え部15、及び操作検知部73に接続されている。有効バス切替部15とUSBコネクタ20は2本の信号線で接続されており、その2本にはプルアップされていて、そのプルアップ電源を操作制御部72が監視している。その他各部の接続状態及びバスの切替状態は実施例1と同様である。
【0053】
なお、操作制御部12及び制御部32はCPU、ROM及びRAMを備え、CPUはROMに格納されたプログラムコードをRAMに展開し、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義された制御を実行する。従って、CPU、ROM及びRAMはコンピュータに使用する資源に相当する。
【0054】
従来は操作部71により省エネモードから復帰するには操作部71の実際の操作が必須であった。その操作を受けてCTL部31と通信を行い、省エネ復帰のステップを踏んでいたが、本実施例では、操作検知部73によりユーザの画像形成装置の利用意思を検知し、省エネ復帰のステップに移ることによりユーザが利用するまでのタイムラグを低減するようにしている。
【0055】
図8A及び図8Bは、このように大略構成された実施例4における省エネルギ制御の制御手順を示すフローチャートである。なお、図8A及び図8Bのフローチャートは図2A及び図2Bのフローチャートに対してFax部11の処理を操作部71の処理に置き換えたものであり、図2のフローチャートに対して異なる処理について主に説明する。
【0056】
電源がオンされた(ステップS101)後、ステップS104までは図2Aのフローチャートと同様に、スタンバイを含む通常モード時(ステップS102)にコントローラ部31が省エネモードへの移行可能と判断し(ステップS103)、2本の信号線におけるプルアップ電源を含む省エネ時に落とされる電源をオフして(ステップS104)省エネモードに移行すると、操作制御部72がプルアップ電源オフを検知し、省エネモードへの移行と判断して有効バス切替部15を切替え、省エネモード時通信部13側のバスを有効にし(ステップS105’)省エネモードで待機する(ステップS106)。
【0057】
省エネモードからの復帰には、操作部71からの要求で復帰する場合と、コントローラ部31からの要求で復帰する場合がある。
【0058】
操作部71からの要求で復帰する場合には、図8Bに示すように省エネモードにおいて(ステップS106−a’)、操作検知部73は、ユーザが操作部71から一定距離内に接近した際に省エネ復帰要因と検知し(ステップS107−a’)、操作制御部71から省エネモード時通信部13を通じて省エネ復帰要求信号をコントローラ部31へ送信し(ステップS108−a’)、コントローラ部31が省エネ復帰要求信号を受信し(ステップS110−a’)、2本の信号線におけるプルアップ電源を含む省エネ時に落とされた電源をオンする(ステップS111)。この電源オンにより通常モードに移行すると、操作制御部72はプルアップ電源がオンになったことを検知し、通常モードへの復帰を確認する。この確認により操作制御部72は有効バス切替部15を切り替え、通常モード時通信部13側のバス54を有効にし(ステップS112’)、通常モードに復帰する(ステップS113)。なお、ステップS113における通常モードへの復帰はステップS102の通常モードとなったことを意味し、この通常モード復帰からステップS103以降の処理が繰り返される。
【0059】
一方、コントローラ部31側の要求で復帰する場合には、省エネモードで待機しているときに(ステップS106−b)コントローラ部31が省エネ復帰要因を検知すると(ステップS107−b:YES)、操作部71に省エネ復帰要求信号を送信し(ステップS108−b)、省エネモード時通信部13が省エネ復帰要求信号を受信し、省エネ復帰準備完了通知をコントローラ部31に送信する(ステップS109−b’)。コントローラ部31が操作部71から前記省エネ復帰準備完了通知を受信すると(ステップS110−b)、前述のステップS111の処理に移行し、制御部32はUSBケーブル21の2本の信号線におけるプルアップ電源を含む省エネ時に落とされた電源をオンする。通常モードに移行すると、操作制御部72はプルアップ電源がオンになったことを検知し、通常モードへの復帰を確認する。この確認により操作制御部72は有効バス切替部15を切り替え、通常モード時通信部14側のバス54を有効にし(ステップS112’)、通常モードに復帰する(S113=S102)。
【0060】
以上のように、本実施例によれば、実際に操作部71で操作する前のユーザの移動中に省エネ復帰を始めるので、装置の前での省エネ復帰の待機時間を小さくすることができる。従来では、実際に操作部71から操作した後でないと、省エネ復帰が開始されないことに比べて大きく待ち時間を短くすることができる。
【0061】
また、ユーザが操作部71から一定距離内に接近した際に省エネ復帰要因と検知するので、ユーザの動作を省エネ復帰の明確な基準とすることができる。これにより、ユーザの意図に沿った使い易いシステムとすることができる。さらに、操作制御部72がプルアップ電源のオンをトリガとして有効バスを切り換えるので、ユーザの操作なしに確実に通常モードに復帰することができる。
【0062】
さらに、省エネモードに移行すると、操作制御部72がプルアップ電源オフを検知し、省エネモードへの移行と判断して有効バス切替部15を切り替え、電源オンにより通常モードに移行すると、操作制御部72はプルアップ電源がオンになったことを検知し、通常モードへの復帰し、有効バス切替部15を切り替えるので、通常モード時の転送と省エネモード時の省エネ制御信号が混在せずに通信が可能となる。
【実施例5】
【0063】
図9は実施例5に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図である。この実施例5は図7に示した実施例4の操作部71及びコントローラ部31に図5に示した実施例3のエンジン部61を付加した例である。この実施例は、実施例3と同様にエンジン部61のエンジン制御部62とコントローラ部31の制御部32間の省エネ制御信号59を監視するようにした例である。なお、省エネ制御信号59の監視は矢印58で示すように操作制御部12によって行われる。その他の各部は実施例4と同一なので、重複する各部の説明は省略する。また、エンジン部61は、実施例3と同様に、画像形成エンジンあるいはスキャナエンジンを指す。画像形成エンジンは電子写真方式のエンジン、液滴噴出方式のエンジンなど、公知のエンジンが使用される。
【0064】
図10A及び図10Bは、このように大略構成された実施例5における省エネルギ制御の制御手順を示すフローチャートである。なお、図10A及び図10Bのフローチャートは図8A及び図8Bのフローチャートに対して省エネ制御信号59を使用する点に関する処理が異なるだけなので、図8A及び図8Bのフローチャートに対して異なる処理について主に説明する。
【0065】
図10Aにおいて、電源がオンされた(ステップS101)後、ステップS102及びステップS103の処理を実行し、省エネモードへの移行可能と判断すると(ステップS103−YES)、コントローラ部31の制御部32がエンジン制御部62に省エネ制御信号59を送信し(ステップS104’)、省エネモードに移行すると、操作制御部12が省エネ制御信号59を検知し、省エネモードへの移行を確認すると、有効バス切替部15を切替えて省エネモード時通信部13側のバスを有効にし(ステップS105”)省エネモードで待機する(ステップS106)。
【0066】
省エネモードの復帰には、前述のように操作部71からの要求で復帰する場合と、コントローラ部31からの要求で復帰する場合がある。操作部71からの要求で復帰する場合には、図10Bに示すように図8Bと同様にしてステップS106−a’からステップS110−a’までの処理を実行し、ステップS110−a’でコントローラ部31が省エネ復帰要求を受信すると、コントローラ部31はエンジン制御部62に省エネ制御信号59を送信し、通常モードに移行する(ステップS111’)。次いで、コントローラ部31がエンジン制御部62に省エネ制御信号59を送信したことを操作部制御部12が確認し、有効バス切替部15を切替え(ステップS112”)、通常モード時通信部14側のバスを有効にし、通常モードに復帰する(ステップS113)。この場合も、ステップS113における通常モードへの復帰はステップS102の通常モードとなったことを意味し、この通常モード復帰からステップS103以降の処理が繰り返される。
【0067】
一方、コントローラ部31側の要求で復帰する場合には、図8Bの場合と同様にしてステップS106−bからステップS110−bまでの処理を実行し、ステップS110−bで、コントローラ部31が省エネ復帰要求信号を受信すると、前述のようにコントローラ部31はエンジン制御部62に省エネ制御信号59を送信し、通常モードに移行する(ステップS111’)。次いで、コントローラ部31がエンジン制御部62に省エネ制御信号59を送信したことを操作部制御部12が確認し、有効バス切替部15を切替え(ステップS112”)、通常モード時通信部14側のバスを有効にし、通常モードに復帰する(ステップS113)。
【0068】
以上のように本実施例によれば、実施例4の効果に加えて、コントローラ部31の制御部32がエンジン制御部62に省エネ制御信号を送信したことを操作制御部72で確認し、この信号の確認をトリガとして有効バスを切り替えることができる。
【0069】
なお、このようなことから、本発明に係る画像形成装置は、
1)自装置全体に電力が供給される通常モード、及び当該自装置の所定部分にのみ電力が供給される省エネルギモードを含む動作モードの少なくとも2つの電力供給モードが設定された画像形成装置であって、前記自装置内における複数の通信手段との通信を制御する第1の制御手段と、前記自装置全体を制御する第2の制御手段と、前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とを接続する差動式の通信路からなる伝送路と、を備え、前記第1の制御手段は、前記伝送路からの状態信号に基づいて前記通常モードか省エネルギモードかを判定し、判定されたモードに対応した通信手段を選択すること、を特徴として構成しているが、この画像形成装置は、さらに、以下のように構成することができる。
【0070】
2)前記第1の制御手段は、ユーザの近接状態を検知する操作検知部と備え、当該操作検知部の検知出力に基づいて通常モードか省エネルギモードかを判定する。
【0071】
3)その際、前記操作検知部はユーザと前記操作検知部との間の距離を監視し、当該距離から近接状態を検知する。なお、操作検知部は符号73に対応し、前記判定は操作制御部72で実行する。
【0072】
4)前記通信手段は、前記省エネルギモード時に、前記第2の制御手段と間の制御信号の送受信を行う省エネモード時通信部と、前記通常モード時に、前記第2の制御手段との信号の送受信を行う通常モード時通信部と、を含む。ここでは、省エネモード時通信部は符号14に、通常モード時通信部は符号13にそれぞれ対応する。
【0073】
5)前記4)の場合に、前記伝送路を介して前記第2の制御手段との信号の送受信を行うインターフェイス部と、前記省エネルギモードと前記通常モードとの切り替えによって変わる前記状態信号を検出する制御部と、前記制御部への前記状態信号に応じて、前記省エネモード時通信部及び前記通常モード時通信部の前記第2の制御手段との信号の送受信を切り替え、前記インターフェイス部に接続する切替部と、を備える。インターフェイス部はUSBコネクタ20に、制御部はFax制御部12に、切替部は有効バス切替部15に、それぞれ対応する。
【0074】
6)前記1)〜5)の場合に、前記第1の制御手段が前記伝送路の電圧レベルを監視し、前記通信手段を選択する。電圧レベルはプルアップ電源の電圧レベルに対応する。
【0075】
7)前記1)〜5)の場合に、前記第1の制御手段は省エネ制御信号に対して優先順位をつけ、高いものから送受信する。
【0076】
8)前記1)〜7)の場合に、省エネルギモードにおいて、前記第1の制御手段は、外部からの省エネ復帰要因を検知し、前記第2の制御手段との間で省エネ制御信号を送受信し、前記伝送路の電圧レベルを監視し、前記電圧レベルの状態変化をもって省エネ復帰完了のトリガと判断する。
【0077】
9)前記1)〜7)の場合において、省エネモードにおいて、前記第2の制御手段は、外部からの省エネ復帰要因を検知し、第1の制御手段との間で省エネ制御信号を送受信し、前記第1の制御手段が伝送路の電圧レベルを監視し、前記電圧レベルの状態変化をもって省エネ復帰完了のトリガと判断する。
【0078】
10)前記1)〜7)の場合に、通常モードにおいて、前記第1の制御手段は、前記伝送路の電圧レベルを監視し、前記電圧レベルの状態変化をもって省エネ移行完了のトリガと判断する。
【0079】
11)前記1)〜5)の場合において、前記第1の制御手段にタイマ機能を内蔵させる。タイマ機能は実施例2におけるFax制御部12に内蔵される。
【0080】
12)前記11)の場合に、省エネモードにおいて、前記第1の制御手段は、外部からの省エネ復帰要因を検知し、前記第2の制御手段との間の省エネ制御信号の送受信完了後にタイマが一定期間経過したことを確認したことをもって省エネ復帰完了のトリガと判断する。
【0081】
13)前記11)の場合に、省エネモードにおいて、前記第2の制御手段は、外部からの省エネ復帰要因を検知し、前記第1の制御手段との間の省エネ制御信号の送受信完了後にタイマが一定期間経過したことを確認したことをもって省エネ復帰完了のトリガと判断する。
【0082】
14)前記11)の場合に、通常モードにおいて、前記第1の制御手段は、前記タイマによって一定期間通信がなく経過したことを確認したことをもって省エネ移行完了のトリガと判断する。
【0083】
15)前記7)、8)、9)、12)及び13)の場合に、前記省エネルギ制御信号は省エネルギ復帰要求信号又は省エネルギ復帰準備完了通知である。
【0084】
16)前記5)の場合に、前記切替部はモード変化をトリガとして切り替える。
【0085】
17)前記1)〜16)の場合に、前記伝送路はUSBである。
【0086】
18)前記5)の場合に、前記インターフェイス部はUSBインターフェイスである。
【0087】
以上のように本実施形態によれば、
・通常モードにおいてデータ転送を行っている2本の信号線の差動信号を省エネ制御信号として利用する。そのためにデータ転送のバス53,54を通常モードと省エネモードに応じて切替える。これによりこれまでに別途必要としていた省エネ制御信号線のためのハーネス、コネクタが不要になり、あるいは本数を減らずことが可能となる。その結果、装置の小型化、低コスト化が可能となり、組み付け及び実装工数の低減を図ることができる。
・操作検知部73はユーザが近接したときにユーザが画像形成装置を使用する意志があると判断し、実際に操作する前の移動中に省エネ復帰処理を開始する。これにより、ユーザが装置の前での省エネ復帰の待機時間を短くすることができる。
・使用の意志の確認にユーザとの距離を使用することにより、確実に使用する前に省エネ復帰処理を開始することができる。
・通常モードから省エネモードへの変更、あるいは省エネモードから通常モードへの変更を検知したとき、この検知タイミングを有効バス切替部15による有効バスの切り替えトリガにすることができる。
・省エネ制御信号が3本以上ある際にUSBの2本のバスへの割り当てに優先順位を設定し、その優先順位に基づいて省エネモードに移行あるいは復帰することにより、バスの競合、優先信号の未送受信を防止することができる。
・省エネモードにおいてFax制御部12が外部からの省エネ復帰要因を検知した場合にコントローラ部31の制御部32との省エネ復帰制御信号の送受信、省エネ復帰完了のトリガ確認が可能となる。
・省エネモードにおいてコントローラ部31の制御部32が外部からの省エネ復帰要因を検知した場合にFax部11のFax制御部12との省エネ復帰制御信号の送受信、省エネ復帰完了のトリガ確認が可能となる。
・通常モードにおいてFax制御部12が 伝送路の電圧レベル変化を検知することにより省エネ移行完了のトリガ確認が可能となる。
・省エネモードにおいてFax制御部12が外部からの省エネ復帰要因を検知した場合にコントローラ部31の制御部32との省エネ復帰制御信号の送受信、省エネ復帰完了のトリガ確認が可能となる。
・省エネモードにおいてコントローラ31の制御部32が外部からの省エネ復帰要因を検知した場合にFax制御部12との省エネ復帰制御信号の送受信、省エネ復帰完了のトリガ確認が可能となる。
・通常モードにおいてFax制御部12が 一定期間通信なきことを検知することで省エネ移行完了のトリガ確認が可能となる。
・モード変化のトリガをもって切替えられることで通常モード時の転送と省エネモード時の省エネ制御信号が混在せずに通信が可能となる。
・USBは汎用規格であり広範囲での対応が可能となる。
等の効果を奏する。
【0088】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となる。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成装置
11 Fax部
12 Fax制御部
13 省エネモード時通信部
14 通常モード時通信部
15 有効バス切替部
20,22 USBコネクタ
21 USBケーブル
31 コントローラ部
32 制御部
51,52 信号線
53,54,55,56,57 バス
59 省エネ制御信号
61 エンジン部
62 エンジン制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2006−048496号公報
【特許文献2】特開2003−131956号公報
【特許文献3】特開2002−373036号公報
【特許文献4】特開2008−211761号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置全体に電力が供給される通常モード、及び当該自装置の所定部分にのみ電力が供給される省エネルギモードを含む動作モードの少なくとも2つの電力供給モードが設定された画像形成装置であって、
前記自装置内における複数の通信手段との通信を制御する第1の制御手段と、
前記自装置全体を制御する第2の制御手段と、
前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とを接続する差動式の通信路からなる伝送路と、
を備え、
前記第1の制御手段は、前記伝送路における状態信号に基づいて前記通常モードか省エネルギモードかを判定し、判定されたモードに対応した通信手段を選択することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記第1の制御手段は、ユーザの近接状態を検知する操作検知部と備え、当該操作検知部の検知出力に基づいて通常モードか省エネルギモードかを判定すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記操作検知部はユーザと前記操作検知部との間の距離を監視し、当該距離から近接状態を検知すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記通信手段が、
前記省エネルギモード時に、前記第2の制御手段と間の制御信号の送受信を行う省エネモード時通信部と、
前記通常モード時に、前記第2の制御手段との信号の送受信を行う通常モード時通信部と、
を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置であって、
前記伝送路を介して前記第2の制御手段との信号の送受信を行うインターフェイス部と、
前記省エネルギモードと前記通常モードとの切り替えによって変わる前記状態信号を検出する制御部と、
前記制御部への前記状態信号に応じて、前記省エネモード時通信部及び前記通常モード時通信部の前記第2の制御手段との信号の送受信を切り替え、前記インターフェイス部に接続する切替部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記状態信号が電圧レベルを示す信号であり、
前記第1の制御手段は前記伝送路の電圧レベルを監視し、前記通信手段を選択すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記第1の制御手段は省エネルギ制御信号に対して優先順位をつけ、高いものから送受信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
省エネルギモードにおいて、前記第1の制御手段は、
外部からの省エネ復帰要因を検知し、
前記第2の制御手段と省エネルギ制御信号を送受信し、
前記伝送路の電圧レベルを監視し、前記電圧レベルの状態変化をもって省エネ復帰完了のトリガと判断すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
省エネモードにおいて、前記第2の制御手段は、
外部からの省エネ復帰要因を検知し、
第1の制御手段と省エネルギ制御信号を送受信し、
前記第1の制御手段が伝送路の電圧レベルを監視し、前記電圧レベルの状態変化をもって省エネ復帰完了のトリガと判断すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
通常モードにおいて、前記第1の制御手段は、
前記伝送路の電圧レベルを監視し、前記電圧レベルの状態変化をもって省エネ移行完了のトリガと判断すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記第1の制御手段はタイマ機能を内蔵していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成装置であって、
省エネモードにおいて、前記第1の制御手段は、
外部からの省エネ復帰要因を検知し、
前記第2の制御手段との間の省エネルギ制御信号の送受信完了後にタイマが一定期間経過したことを確認したことをもって省エネ復帰完了のトリガと判断すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項11に記載の画像形成装置であって、
省エネモードにおいて、前記第2の制御手段は、
外部からの省エネ復帰要因を検知し、
前記第1の制御手段との間の省エネルギ制御信号の送受信完了後にタイマが一定期間経過したことを確認したことをもって省エネ復帰完了のトリガと判断すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項11に記載の画像形成装置であって、
通常モードにおいて、前記第1の制御手段は、
前記タイマによって一定期間通信がなく経過したことを確認したことをもって省エネ移行完了のトリガと判断すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項7、8、9、12、及び13のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記省エネルギ制御信号が省エネモードから復帰することを指示する信号又は省エネ復帰準備が完了した旨を通知する信号であること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記切替部はモード変化をトリガとして切り替えること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記伝送路はUSBであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項5に記載の画像形成装置であって、
前記インターフェイス部はUSBインターフェイスであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項19】
自装置内における複数の通信手段との通信を制御する第1の制御手段と、
前記自装置全体を制御する第2の制御手段と、
前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とを接続する差動式の通信路からなる伝送路と、
を備え、
前記自装置全体に電力が供給される通常モード、及び当該自装置の所定部分にのみ電力が供給される省エネルギモードを含む動作モードの少なくとも2つの電力供給モードが設定された画像形成装置の省エネルギ移行及び復帰制御方法であって、
前記第1の制御手段によって実行される前記伝送路からの状態信号に基づいて前記通常モードか省エネルギモードかを判定する工程と、
前記判定されたいずれかのモードに対応した通信手段を選択する工程と、
を備えていることを特徴とする省エネルギ移行復帰制御方法。
【請求項20】
自装置内における複数の通信手段との通信を制御する第1の制御手段と、
前記自装置全体を制御する第2の制御手段と、
前記第1の制御手段と前記第2の制御手段とを接続する差動式の通信路からなる伝送路と、
を備え、
前記自装置全体に電力が供給される通常モード、及び当該自装置の所定部分にのみ電力が供給される省エネルギモードを含む動作モードの少なくとも2つの電力供給モードが設定された画像形成装置の省エネルギ移行及び復帰制御をコンピュータによって実行するための省エネルギ移行及び復帰制御プログラムであって、
前記第1の制御手段によって実行される前記伝送路からの状態信号に基づいて前記通常モードか省エネルギモードかを判定する手順と、
前記判定されたいずれかのモードに対応した通信手段を選択する手順と、
を備えていることを特徴とする省エネルギ移行復帰制御プログラム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−34559(P2011−34559A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152137(P2010−152137)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】