説明

画像形成装置およびジョブ管理方法

【課題】ジョブを効率的に処理することができ、且つユーザの使い勝手を向上できる画像形成装置およびジョブ管理方法を提供する。
【解決手段】 画像形成装置100は、紙種情報取得手段と、紙種情報に基づいて、ジョブが現在装填されている転写紙で出力可能か否かを判断する判断手段と、制御手段とを備え、出力する際に、制御手段は、判断手段により現在装填されている転写紙で出力可能と判断されたジョブを通知すると共に、現在装填されている転写紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するように制御する。例えば、「確認」ボタンが押された場合、現在装填されている転写紙で出力可能なジョブを表示するようになされる。また、「集約」ボタンが押された場合、実行可能なジョブを集約して出力順序を先頭に、即ち現在装填されている転写紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するようになされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登録された複数のジョブ(JOB)を所定の順序で実行し、記録用紙に画像を形成する複写機、複合機、プリンタ等に適用して好適な画像形成装置およびジョブ管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、現在実行可能なジョブを外部装置に通知し、外部装置からジョブの実行順序の変更や実行の取消し、さらに、実行の優先順位を設定できる画像形成システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この場合、外部装置が接続され、複数のジョブを受け付ける画像形成システムにおいて、複数のジョブの内、現在実行可能なジョブを通知する第1の通知手段と、現在実行可能なジョブの実行形態を変更する手段と、実行形態変更後の実行可能なジョブを通知する第2の通知手段とを備えるようになされる。
【0004】
【特許文献1】特開平7−295767号公報(第2,3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の場合は、現在実行可能なジョブの表示、および順序入れ替えを行うことは可能であるが、現在実行可能であるが、実行するには段取り替えを必要とするジョブとそうでないジョブとを区別することはできず、ジョブ切り替わり時に段取り替えを必要とするジョブも実行可能と判断されるため、結果としてジョブの切り替わり時に、段取り替えのための時間を要し、ジョブを効率的に処理できないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、ジョブを効率的に処理することができ、且つユーザの使い勝手を向上することができるようにした画像形成装置およびジョブ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わる画像形成装置は、ジョブを登録する登録手段と、この登録手段により登録された複数のジョブを記憶する記憶手段とを有し、登録されたジョブを所定の順序で実行し、記録用紙に画像を形成する画像形成装置において、現在装填されている用紙の紙種情報を取得する紙種情報取得手段と、紙種情報取得手段により取得した紙種情報に基づいて、ジョブが現在装填されている用紙で出力可能なジョブであるか否かを判断する判断手段と、記憶手段に記憶されたジョブを管理すると共に、登録されたジョブを所定の順序で実行するように制御する制御手段とを備え、この制御手段は、判断手段により現在装填されている用紙で出力可能と判断されたジョブを通知すると共に、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するように制御するものである。
【0008】
本発明においては、現在装填されている用紙の紙種情報を取得する紙種情報取得手段と、取得した紙種情報に基づいて、ジョブが現在装填されている用紙で出力可能か否かを判断する判断手段と、制御手段とを備え、この制御手段は、判断手段により現在装填されている用紙で出力可能と判断されたジョブを通知すると共に、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するようになされる。
【0009】
例えば、現在装填されている用紙で出力可能なジョブを表示させる指示を入力する第1の入力手段をさらに備え、制御手段は、第1の入力手段により表示指示が入力された場合、出力可能なジョブを表示するように制御する。
【0010】
また、現在装填されている用紙で出力可能なジョブを集約する指示を入力する第2の入力手段をさらに備え、制御手段は、第2の入力手段により集約指示が入力された場合、現在装填されている用紙で出力可能なジョブを集約し、優先順位を先頭にするように制御する。
【0011】
これにより、ユーザにジョブの入れ替えの目安を示すことで、ユーザが実行可能なジョブを確認でき、また、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更することで、ジョブを効率的に処理することが可能となる。
【0012】
また、第1の入力手段により表示指示が入力された場合、出力可能なジョブを表示し、ジョブの集約指示が入力された場合、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更することで、ユーザの使い勝手を向上することが可能となる。
【0013】
また、現在装填されている用紙で出力可能なジョブを操作部、または接続される外部装置の表示画面に表示させて通知するため、ユーザが実行可能なジョブを容易に確認することが可能となる。
【0014】
本発明に係わるジョブ管理方法は、ジョブを登録する登録手段と、この登録手段により登録された複数のジョブを記憶する記憶手段とを有し、登録されたジョブを所定の順序で実行し、記録用紙に画像を形成する画像形成装置におけるジョブ管理方法であって、現在装填されている用紙の紙種情報を取得する紙種情報取得ステップと、この紙種情報取得ステップで取得した紙種情報に基づいて、ジョブが現在装填されている用紙で出力可能なジョブであるか否かを判断する判断ステップと、この判断ステップで出力可能と判断されたジョブを通知する通知ステップと、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更する順序変更ステップとを備えることを特徴とするものである。
【0015】
これにより、ユーザにジョブの入れ替えの目安を示すことで、ユーザが実行可能なジョブを確認でき、また、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更することで、ジョブを効率的に処理することが可能となる。
【0016】
また、表示指示が入力された場合、出力可能なジョブを表示し、ジョブの集約指示が入力された場合、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更することで、ユーザの使い勝手を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係わる画像形成装置およびジョブ管理方法によれば、現在装填されている用紙の紙種情報を取得する紙種情報取得手段と、紙種情報取得手段により取得した紙種情報に基づいて、ジョブが現在装填されている用紙で出力可能なジョブであるか否かを判断する判断手段と、記憶手段に記憶されたジョブを管理すると共に、登録されたジョブを所定の順序で実行するように制御する制御手段とを備え、この制御手段は、判断手段により現在装填されている用紙で出力可能と判断されたジョブを通知すると共に、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するように制御する。
【0018】
この構成によって、ユーザにジョブの入れ替えの目安を示すことで、ユーザが実行可能なジョブを確認でき、また、現在装填されている用紙で出力可能なジョブの順序を先頭に変更することで、ジョブを効率的に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態の画像形成装置およびジョブ管理方法について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態の画像形成装置100の構成の一例を示す図である。
図1に示す画像形成装置100は、所定のプログラム情報に基づいて画像を形成する装置であり、登録された複数のジョブを所定の順序で実行し、記録用紙(以下転写紙という)に白黒画像を形成する複写機、プリンタ、これらの複合機等に適用して好適である。この例で、画像形成装置100はモノクロ画像を得る直接転写方式の複合機等を構成するものであり、装置本体Aを有している。もちろん、装置本体Aに後処理装置90を連結して使用してもよい。この装置本体A内には給紙トレイ30a、30b、原稿読取手段11、制御手段15、書き込み処理部60及び、画像形成部70等が備えられる。
【0021】
この装置本体Aの上部には自動原稿給紙装置(ADF)40が取り付けられており、任意の原稿20を自動給紙するように動作する。例えば、ADF40は原稿載置部41、ローラ42a、ローラ42b、ローラ43、搬送ローラ44及び排紙皿46を有している。原稿載置部41には一又は複数の原稿20が載置される。原稿載置部41の下流側にはローラ42a及び42bが設けられ、自動給紙モードが選択されたとき、原稿載置部41から繰り出された原稿20は下流側のローラ43によってU字回転するように搬送される。なお、自動給紙モードが設定された場合、原稿20の記録面は原稿載置部41で上に向けて載置するようになされる。
【0022】
一方、本体装置内には、原稿読取手段11が設けられている。原稿読取手段11には縮小型イメージセンサが使用される。また、原稿読取手段11では、例えば、原稿20がローラ43によってU字状に反転するときに、その原稿20の表面を読み取って原稿表面の画像データ(以下原稿画像データDinという)を出力するようになされる。
【0023】
原稿読取手段11は第1のプラテンガラス51、第2のプラテンガラス(ADFガラス)52、光源53、ミラー54、55、56、結像光学部57、CCD撮像装置58及び図示しない光学駆動部を有している。原稿読取手段11で読み取られた原稿20は、搬送ローラ44により搬送されて排紙皿46へ排紙される。
【0024】
原稿読取手段11には、縮小型イメージセンサを構成するCCD撮像装置58が備えられ、このCCD撮像装置58の出力段には制御手段15が接続され、制御手段15で画像処理した後の原稿画像データDinが画像形成部(画像形成手段)70に出力される。画像形成部70では例えば、給紙トレイ30a又は30bのいずれか1つから繰り出された転写紙30に画像を形成するようになされる。画像形成部70は有機感光体ドラム(以下感光体ドラムという)71、帯電部72、現像部73、転写部74、分離部75、クリーニング部76、搬送機構77及び定着部78を有している。
【0025】
この感光体ドラム71の上方には帯電部72が配設され、所定の帯電電位に基づいて予め感光体ドラム71が一様に帯電される。感光体ドラム71の例えば斜め右上方には書き込み処理部60が設けられ、画像処理後の原稿画像データDinに基づく所定強度のレーザ光が照射され感光体ドラム71が露光され、その感光体ドラム71上に静電潜像が形成される。
【0026】
感光体ドラム71の右側にはトナー及びキャリア(現像剤)が収容された現像部73が配設され、書き込み処理部60によって露光された静電潜像はトナーによって現像される。この現像部73の下方にはレジストローラ62や給紙トレイ30a及び30b等が設けられる。装置本体Aの右側には手差しトレイ63が取り付けられている。給紙トレイ30a及び30bや、手差しトレイ63等にセットされた転写紙30は給紙制御によって、搬送ローラ61、レジストローラ62等を経て感光体ドラム71下に搬送される。
【0027】
感光体ドラム71の下方には転写部74が配設され、帯電、露光、現像を経てその感光体ドラム71上に形成されたトナー像が、レジストローラ62により搬送タイミング制御される転写紙30に転写される。この転写部74に隣接して分離部75が設けられ、トナー像を転写した転写紙30が感光体ドラム71から分離される。この分離部75の下流側には搬送機構部77が設けられ、その終端部には定着部78が設けられる。定着部78は転写紙30に転写されたトナー像を定着する。搬送機構部77と上述の帯電部72との間であって、感光体ドラム71に対向してクリーニング部76が設けられ、感光体ドラム71に残留したトナーがクリーニングされる。
【0028】
この例で両面コピーが選択されると、一方の転写紙面(表面)に画像形成され、定着部78から排出された転写紙30の裏面にも画像が形成される。定着部78から排出された転写紙30は分岐手段91によりシート排紙路から分岐され、それぞれ給紙手段23を構成する下方の反転ローラ92や、反転部93等により表裏を反転され、反転後の転写紙30は反転搬送路94を通過して給紙ローラ61の手前において通常の給紙路と合流する。
【0029】
ここで反転搬送された転写紙30は、レジストローラ62を経て、再度、転写部74に搬送され、転写紙30の他方の面(裏面)上にトナー像が転写される。トナー像が転写された転写紙30は、定着部78により定着処理され、排紙ローラ95に挟持されて機外の排紙トレイ96等に排紙される。上述の処理で画像形成が完了した転写紙30は排紙トレイ96に限られることはなく、後処理装置90によってステープル処理や綴じ込み処理等を行われる場合もある。
【0030】
図2は画像形成装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。
図2に示す画像形成装置100は、所定のプログラム情報に基づいて画像を形成する装置であり、原稿読取手段11、制御手段15、画像処理手段21、操作部48及び画像形成部70を有している。
【0031】
図2において、原稿読取手段(スキャナ)11は制御手段15に接続される。制御手段15で画像処理した後の原稿画像データDinは画像形成部70に出力される。
【0032】
画像処理手段21はプリント&スキャナコントローラを構成し、LAN制御部12、DRAM制御IC13、画像メモリ16及びコントローラ制御部17を有している。画像処理手段21は、PCIバス19を通じて制御手段15に接続される。
【0033】
LAN制御部12は、当該画像形成装置100をプリンタとして使用する場合や、プログラム書き換え時等において、外部の情報処理機器との間の通信制御を実行する。
【0034】
LAN制御部12にはDRAM制御IC13が接続され、DRAM制御IC13には画像メモリ16及びコントローラ制御部17が接続される。画像メモリ16には、プリントモード時やプログラム書き換え時等において、外部のコンピュータ等から取り込んだプリントデータ等がコントローラ制御部17及びDRAM制御IC13の制御を受けて記憶される。
【0035】
制御手段15は、画像メモリ16からプリントデータを読み出して画像処理をする。制御手段15は、原稿読取手段11、画像処理手段21及び画像形成部70、操作部48を接続して使用される。
【0036】
原稿読取手段11は、図1で説明したCCD撮像装置58の他に、スキャナ制御部59を備えている。スキャナ制御部59はCCD撮像装置58の入出力を制御する。例えば、スキャナ制御部59は、自動給紙モードが選択されたとき、図1に示した原稿載置部41から繰り出された原稿20を下流側のローラ43によってU字回転するように搬送制御する。CCD撮像装置58は、原稿20がローラ43によってU字状に反転するときに、その原稿20の表面を読み取って原稿表面の画像情報を読み取るようになされる。CCD撮像装置58から得られたアナログ画像取得信号はアナログ・デジタル変換されてデジタルの原稿画像データDinとなる。
【0037】
図2において、制御手段15は、読み取り処理部31、圧縮IC32、画像メモリ(DRAM)33、不揮発メモリ34、DRAM制御IC35、伸長IC38、書き込み処理部60を有している。上述の原稿画像データDinは読み取り処理部31に出力される。読み取り処理部31は原稿読取手段11及びPCIバス19に接続される。読み取り処理部31では、原稿読取手段11から転送されてきた原稿画像データDinを読み取り処理するようになされる。読み取り処理部31には圧縮IC32が接続され、原稿画像データDinを圧縮して符号化するようになされる。圧縮符号化後の原稿画像データDinは圧縮画像データとなる。
【0038】
圧縮IC32には、DRAM制御IC35を通じて画像メモリ33が接続される。画像メモリ33はDRAMから構成され、圧縮メモリ36及びページメモリ37を有している。この画像メモリ33は登録された複数のジョブを記憶する記憶手段として機能する。圧縮メモリ36にはDRAM制御IC35のメモリ制御を受けて、圧縮画像データが格納される。また、DRAM制御IC35には伸長IC38が接続され、画像形成時に、圧縮画像データを伸長復号化するようになされる。伸長復号化後の画像データは原稿画像データDinとなる。伸長復号化後の原稿画像データDinは、ページメモリ37に格納される。また、DRAM制御IC35は、ジョブエンドを検出する検出手段としても機能する。
【0039】
ページメモリ37から読み出された原稿画像データDinに基づいてレーザ駆動信号Soutが生成される。レーザ駆動信号Soutは、画像形成部70に出力される。なお、伸長IC38に書き込み処理部60を接続し、ページメモリ37を介さずに直接、伸長復号化後の原稿画像データDinを書き込み処理部60に供給してもよい。
【0040】
また、図2に示す制御手段15には操作部48が接続される。この操作部48は、ジョブ登録手段の一例であり、コピー枚数や画像濃度、転写紙の種類等の画像形成条件の設定、給紙トレイ30aや30b等の1つを選択する際に、またはジョブ登録する際に操作される。
【0041】
操作部48には図示しない操作パネルの他にLCD(液晶表示装置)18が備えられ、転写紙30のサイズや、コピー枚数、画像濃度等の画像形成条件を表示するように動作する。操作部48は、LCD18上にタッチパネルが組み合わされ、GUI(Graphic User Interface)方式の操作パネルが構成される。操作部48はLCD18の他に操作部制御部14を備えている。操作部制御部14はLCD18の表示制御を行う。
【0042】
更に、操作部48は、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを表示させる指示を入力する第1の入力手段と、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを集約する指示を入力する第2の入力手段としても機能する。第1の入力手段により表示指示が入力された場合、出力可能なジョブを表示するようになされる。また、第2の入力手段により集約指示が入力された場合、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを集約し、優先順位を先頭にするようになされる。
【0043】
上述の操作部48により入力された操作データD3は、不揮発メモリ34に登録するようになされる。
【0044】
図2に示す画像形成部70は、レーザーダイオード(LD)64及びプリンタ制御部65を備えており、上述の操作部48により設定された内容に基づいて画像を形成するように動作する。
【0045】
レーザーダイオード(LD)64はレーザ駆動信号Soutに基づいてレーザ光を発生する。当該レーザ光は書き込み処理部60の走査機構によって感光体ドラム上に走査される。この走査により感光体ドラム上に静電潜像が形成される。静電潜像は画像形成部70でトナー現像され、所望の転写紙30にトナー像が転写される。プリンタ制御部65は、画像処理後の原稿画像データ又はプリントデータを画像形成部70に出力して画像形成制御をする。
【0046】
更に、制御手段15は、バックアップ制御部81、通信制御部82、フラッシュメモリ83、大容量DISK(HDD)84、画像制御CPU85を有している。上述のDRAM制御IC35には画像制御CPU85が接続される。画像制御CPU85には更に上述した不揮発メモリ34が接続されると共に、バックアップ制御部81が接続される。バックアップ制御部81は、プログラム書き換え時の旧バージョンのプログラムデータDp’を不揮発メモリ34にバックアップするときや、上述の操作部48により入力された操作データD3を登録する際に、不揮発メモリ34の書き込み読み出しを制御するようになされる。
【0047】
画像制御CPU85には、EEPROM等のフラッシュメモリ83が接続され、画像形成部70を動作させるプログラムデータDpを記憶するようになされる。フラッシュメモリ83にはプログラムデータDpの一例となる、当該画像形成装置全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。画像制御CPU85内にはワークメモリとして使用される、図示しないRAMが備えられ、RAMには制御コマンド等が一時記憶するようになされる。画像制御CPU85は電源がオンされると、フラッシュメモリ83からシステムプログラムデータを読み出してシステムを起動し、操作部48からの操作データD3に基づいて当該画像形成装置全体を制御するようになされる。
【0048】
なお、画像制御CPU85は、現在装填されている転写紙30の紙種情報を取得する紙種情報取得手段と、この紙種情報取得手段により取得した紙種情報に基づいて、ジョブが現在装填されている転写紙30で出力可能か否かを判断する判断手段と、登録されたジョブを管理すると共に、登録されたジョブを所定の順序で実行するように制御する制御手段としても機能する。画像制御CPU85は、現在装填されている転写紙30で出力可能と判断されたジョブを通知すると共に、現在装填されている転写紙30で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するように制御する。画像制御CPU85は、例えば、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを操作部48の表示画面、または外部装置(図3参照)の表示画面に表示させてユーザに通知するように制御する。
【0049】
画像制御CPU85には、フラッシュメモリ83の他に、ハードディスク(以下大容量DISKという)84が接続される。フラッシュメモリ83や大容量DISK84等はデータの書き換えが可能で電源を切ってもデータが消去されないメモリである。
【0050】
LAN制御部82は、LAN等の通信回線に接続され、外部のコンピュータ等と通信処理する際に使用される(図3参照)。
【0051】
図3は、外部装置との接続の一例を示す図である。図3に示すように、画像形成装置100と外部装置(例えばPC)200が同一通信ネットワーク上にLAN101を介して接続され、互いに通信可能に構成されている。
【0052】
また、ジョブの登録は、操作部48で行うことが可能となされる。なお、ジョブの登録は、LANなどを介して接続された外部装置200等で行うことも可能である。また画像形成装置100に登録されたジョブを表示することができる。
【0053】
図4は、ジョブ登録操作画面の表示例を示す図である。図4に示す画面は、ジョブ予約画面であり、画面には「コピー予約できます」とのメッセージが表示される。画像形成装置100のスタートボタンを押すと、原稿の読み取りが開始され、メッセージは「原稿読み取り中です」になり、操作画面にポップアップ画面が表示される(図示せず)。このポップアップ画面の継続ボタンを押下することで次の予約可能である。予約が完了するとポップアップ画面が閉じて、コピー画面となる。
【0054】
予約されたジョブは画像メモリ33に記憶される。この場合、画像データは、CCD撮像装置58により読み取りされ、読み取り処理部31に送られ、次に、DRAM制御IC35で処理され、圧縮IC32で圧縮された後、圧縮メモリ36に格納される。また、出力する際に、圧縮メモリ36から画像データを読み出し、伸長IC38で伸長処理し、書き込み処理部60で処理し、LD64に書き込み信号を供給する。
【0055】
予約されたジョブは、ジョブキューに管理される。図5はジョブキューの構造を示す図である。図5(a)は、ジョブAを出力中に、4つの予約ジョブ(ジョブB,C,D,E)を受け付けた状態を示している。また、図5(b)は、ジョブAが終了し、ジョブBに出力順が移動した状態を示している。
【0056】
図5に示すジョブキューは、後述する図10のジョブリストに対応するもので、受け付けたジョブの投入(出力または予約)、完了したジョブの削除(キューのスライドも合わせて実行)等を行い、ジョブの状態表示を含めてシステム全体のジョブ管理を行う。
【0057】
図6は、ジョブキューに格納されるジョブのデータ構成を示す図である。図6に示すように、予約されたジョブのデータは、ジョブデータと、ページデータとが含まれている。ジョブデータには、用紙情報が含まれている。管理データは、ジョブステータスである。
【0058】
図7は、転写紙情報例を示す図である。図7に示すように、転写紙情報は、用紙サイズ、紙種、斤量、穴、色等情報が含まれている。
【0059】
用紙サイズは、各トレイに装填されている転写紙30のサイズ情報で、定形紙の場合、サイズコードにより設定される。不定形紙の場合、主走査、副走査のサイズ入力により設定される。紙種は、各トレイに装填されている転写紙30の種類情報、例えば普通紙、塗工紙、上質紙、書籍用紙、ラフ紙、OHPなどである。斤量は、各トレイに装填されている転写紙30の規定枚数当たりの重量である。穴は、各トレイに装填されている転写紙30にパンチ穴があるかどうかの情報である。色は、各トレイに装填されている転写紙30の色情報である。例えば、白、透明、ピンク、青、緑などから選択して設定される。これらの転写紙情報も不揮発メモリ34に保持される。
【0060】
図8は、ジョブの入れ替え例を示す図である。図8(a)は、ジョブAを出力中、4つの予約ジョブ(ジョブB,C,D,E)を受け付けた状態を示している。また、図8(b)は、ジョブDの順序を1つ繰り上げた状態、即ちジョブCとジョブDを入れ替えた状態を示している。図8(C)は、ジョブEの実行順序を一番高くした状態を示している。
【0061】
図9は、実行可能ジョブの集約例を示す図である。図9(a)は、ジョブAを出力中、4つの予約ジョブ(ジョブB,C,D,E)を受け付けた状態で、その内、ジョブCとジョブEは実行可能なジョブを示している。また、図9(b)は、ジョブCとジョブEを集約して実行順序を先頭にした状態を示している。
【0062】
上述したようなジョブの入れ替え、ジョブの集約は、操作部のジョブ管理画面、または外部装置200で入れ替えまたは集約の指示を入力して実行される。
【0063】
図10は、予約中のジョブを確認、集約する際の操作画面の表示例を示している。図10に示すように、「予約ジョブ」ボタンを押すと、登録されたジョブが表示される。この一覧表示の先頭が現在出力中のジョブであり、以降が登録の時間順で登録されているジョブの一覧である。前のジョブが出力終了次第、上から順番に出力を実行する。
【0064】
また、図10に示すように、画面の右側に「詳細」、「優先出力」、「優先」、「確認」、「集約」のボタンが設けられている。「詳細」ボタンB1を押すと、選択されたジョブの詳細設定内容が表示される。「優先出力」ボタンB2を押すと、選択されたジョブの出力順序を先頭に変更する。「優先」ボタンB3を押すと、選択されたジョブの順序を1つ繰り上げる。「確認」ボタン(第1の入力手段)B4を押すと、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを表示する。例えば、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブの表示色を変更してユーザに通知するようになされる。また、「集約」ボタン(第2の入力手段)B5を押すと、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを集約して、出力順序を先頭に変更するようになされる。
【0065】
続いて、本発明に係わるジョブ管理方法について、画像形成装置100において現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブの表示および集約の動作例を説明する。図11は、画像形成装置100におけるジョブ管理の動作例を示すフローチャートである。
【0066】
本実施の形態では、ユーザの指示により登録されたジョブに対して現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブの表示および集約を実行する場合を前提とする。
【0067】
これを前提にして、まず、図11に示すフローチャートのステップS11で、「確認」ボタンB4が押されたか否かを判断する。ここで、「確認」ボタンB4が押された、即ち、YESの場合は、次のステップS12で、登録ジョブがあるか否かを判断する。登録ジョブがない場合には、動作を終了する。一方、登録ジョブがある場合には、ステップS13で、現在装填されている転写紙30の情報を取得する。
【0068】
次に、ステップS14で、全てのジョブ検索済みである否かを判断する。ここで、全てのジョブ検索済みではないと判断された場合には、ステップS15へ進む。ステップS15で、ジョブキューからジョブデータを取得する。例えば、ジョブデータ中の転写紙情報を取得する。
【0069】
次に、ステップS16で、転写紙情報は一致するか否かを判断する。ここで、ジョブデータ中の転写紙情報と現在装填されている転写紙30の情報とを比較して一致するか否かを判断する。一致すると判断された場合には、次のステップS17で、そのジョブを実行可能ジョブとして記憶する。一致しないと判断された場合には、ステップS14に戻り、次のジョブがある場合は、上述した処理を繰り返す。
【0070】
一方、ステップS14で、全てのジョブ検索済みと判断された場合には、ステップS18で、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを表示する。例えば、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブの表示色を変更して表示する。これにより、ユーザが実行可能なジョブを確認できる。
【0071】
次に、ステップS19で、「集約」ボタンB5が押されたか否かを判断する。ここで、「集約」ボタンB5が押されたと判断された場合は、ステップS20で、実行可能なジョブを集約して出力順序を先頭に変更する。そして、動作を終了する。
【0072】
このように本実施の形態においては、現在装填されている転写紙30の紙種情報を取得する紙種情報取得手段と、取得した紙種情報に基づいて、ジョブが現在装填されている転写紙30で出力可能か否かを判断する判断手段と、制御手段とを備え、この制御手段15は、判断手段により現在装填されている転写紙30で出力可能と判断されたジョブを通知すると共に、現在装填されている転写紙30で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するようになされる。例えば、「確認」ボタンB4が押された場合、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを表示するようになされる。また、「集約」ボタンB5が押された場合、実行可能なジョブを集約して出力順序を先頭に、即ち現在装填されている転写紙30で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するようになされる。
【0073】
これにより、ユーザにジョブの入れ替えの目安を示すことで、ユーザが実行可能なジョブを確認でき、また、現在装填されている転写紙30で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更することで、ジョブを効率的に処理することができる。また、ユーザの使い勝手を向上することができる。
【0074】
また、現在装填されている転写紙30で出力可能なジョブを操作部または接続される外部装置200の表示画面に表示させて通知するため、ユーザが実行可能なジョブを容易に確認することが可能となる。
【0075】
なお、上述した実施の形態においては、「確認」ボタンB4により表示指示が入力された場合、出力可能なジョブを表示し、「集約」ボタンB5によりジョブの集約指示が入力された場合、現在装填されている転写紙30で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、所定の操作ボタンを押すと、出力可能なジョブを表示し、さらに自動的に現在装填されている転写紙30で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、この発明に係る画像形成装置およびジョブ管理方法は、ユーザが実行可能なジョブを確認する場合、および現在装填されている転写紙で出力可能なジョブを集約して先に出力させ、ジョブを効率的に処理する場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施の形態の画像形成装置の構成例を示す図である。
【図2】画像形成装置100の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】外部装置との接続例を示す図である。
【図4】ジョブ登録操作画面の表示例を示す図である。
【図5】ジョブキューの構造を示す図である。
【図6】ジョブデータの構成例を示す図である。
【図7】転写紙情報例を示す図である。
【図8】ジョブの入れ替え例を示す図である。
【図9】実行可能ジョブの集約例を示す図である。
【図10】予約中のジョブを確認、集約する際の操作画面の表示例を示している。
【図11】画像形成装置100におけるジョブ管理の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
11 原稿読取手段
12 通信制御部
13 DRAM制御IC
14 操作部制御部
15 制御手段
16 画像メモリ
17 コントローラ制御部
21 画像処理手段
23 給紙手段
33 画像メモリ(記憶手段)
35 DRAM制御IC
48 操作部(登録手段、第1の入力手段、第2の入力手段)
60 書き込み処理部
70 画像形成手段
82 通信制御部
83 フラッシュメモリ
84 大容量DISK
85 画像制御CPU(紙種情報取得手段、判断手段)
90 後処理装置
100 画像形成装置
101 LAN
200 外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブを登録する登録手段と、前記登録手段により登録された複数のジョブを記憶する記憶手段とを有し、登録された前記ジョブを所定の順序で実行し、記録用紙に画像を形成する画像形成装置において、
現在装填されている用紙の紙種情報を取得する紙種情報取得手段と、
前記紙種情報取得手段により取得した紙種情報に基づいて、前記ジョブが現在装填されている用紙で出力可能なジョブであるか否かを判断する判断手段と、
前記記憶手段に記憶されたジョブを管理すると共に、登録されたジョブを所定の順序で実行するように制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記判断手段により現在装填されている用紙で出力可能と判断されたジョブを通知すると共に、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更するように制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
現在装填されている用紙で出力可能なジョブを表示させる指示を入力する第1の入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1の入力手段により表示指示が入力された場合、前記出力可能なジョブを表示するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
現在装填されている用紙で出力可能なジョブを集約する指示を入力する第2の入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第2の入力手段により集約指示が入力された場合、現在装填されている用紙で出力可能なジョブを集約し、優先順位を先頭にするように制御する
ことを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
現在装填されている用紙で出力可能なジョブを操作部の表示画面に表示させて通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
現在装填されている用紙で出力可能なジョブを接続される外部装置の表示画面に表示させて通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ジョブを登録する登録手段と、前記登録手段により登録された複数のジョブを記憶する記憶手段とを有し、登録された前記ジョブを所定の順序で実行し、記録用紙に画像を形成する画像形成装置におけるジョブ管理方法であって、
現在装填されている用紙の紙種情報を取得する紙種情報取得ステップと、
前記紙種情報取得ステップで取得した紙種情報に基づいて、前記ジョブが現在装填されている用紙で出力可能なジョブであるか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップで出力可能と判断されたジョブを通知する通知ステップと、
現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更する順序変更ステップと
を備えることを特徴とするジョブ管理方法。
【請求項7】
前記通知ステップでは、
表示指示が入力された場合、前記出力可能なジョブを通知する指示が入力された場合、前記出力可能なジョブを表示し、
前記順序変更ステップでは、
前記出力可能なジョブを集約する指示が入力された場合、現在装填されている用紙で出力できないジョブの順序を出力可能なジョブの後に変更する
ことを特徴とする請求項6に記載のジョブ管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−33066(P2006−33066A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204756(P2004−204756)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】