説明

画像形成装置および画像形成プログラム

【課題】バーコードを含む印刷データを階調補正して印刷する際に、バーコード以外の画像データが階調補正されてもその都度バーコードの描画条件を変更して、バーコードの画質を改善しつつ、他の画質の劣化を防いで印刷出力する画像形成装置および画像形成プログラムを提供する。
【解決手段】バーコード検出部42で検出されたバーコード部分は、バッチセンサ28で測定される高濃度側階調補正パッチで濃度補正量が算出され、スクリーン処理/画像合成部44で高線数のスクリーンでスクリーン処理され、また、バーコード以外の部分は、パッチセンサ28で測定される高濃度側階調補正パッチと低濃度側階調補正パッチとで階調補正されて、各々の画像データが合成されて印刷出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置では、画像データの入力濃度と実際にトナーとして出力される出力濃度との間に差がある場合がある。
【0003】
そのような入力濃度と出力濃度との差は、転写ベルト等にトナーで作成される階調補正用パッチを測定して入力濃度を補正する階調補正技術によって補正が行われる。
【0004】
特許文献1によれば、電子写真式のプリンタにおいて、バーコード出力時に、ホストからの指示に応じて、エンジンの出力設定を調整するとともに、コントローラによる階調の補正を実施することで、バーコードの画質を確保し、かつ階調性も維持できるようにした画像処理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−320089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、バーコードを含む印刷データを階調補正して印刷する際に、バーコード以外の画像データが階調補正されてもその都度バーコードの描画条件を変更して、バーコードの画質を改善しつつ、他の画質の劣化を防いで印刷出力する画像形成装置および画像形成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明の画像形成装置は、バーコードを含む印刷データを画像データとして描画する描画手段と、高濃度側階調補正パッチと低濃度側階調補正パッチとを形成するパッチ形成手段と、前記パッチ形成手段で形成された前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとを測定する測定手段と、前記描画手段で描画された画像データに含まれるバーコードを検出する検出手段と、前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコードの画像データを、前記測定手段で測定された前記高濃度側階調補正パッチに基づき、100%未満の網点で描画されるように濃度補正する濃度補正手段と、前記濃度補正手段で補正されたバーコードの画像データを印刷結果に空隙が発生しない高線数のスクリーンでスクリーン処理するスクリーン処理手段と、前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコード以外の画像データを前記測定手段で測定した前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとに基づき階調補正した画像データと、前記スクリーン処理手段でスクリーン処理された前記バーコードの画像データとを合成する合成手段とを具備するように構成される。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記合成手段で合成した画像データを用紙に画像形成する画像形成手段を更に具備するように構成される。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記パッチ作成手段は、前記画像形成手段を制御するプロセス制御を調整するためのプロセス条件制御パッチを更に作成し、前記測定手段は、前記プロセス条件制御パッチを測定し、前記測定手段によって測定された前記プロセス条件制御パッチに基づき前記プロセス制御を調整するプロセス条件を決定する決定手段を具備し、前記濃度補正手段は、前記決定手段で決定したプロセス条件と前記測定手段で測定された前記高濃度側階調補正パッチとに基づき濃度補正を行い、前記合成手段は、前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコード以外の画像データを前記決定手段で決定したプロセス条件と前記測定手段で測定された前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとに基づき階調補正した画像データと、前記スクリーン処理手段でスクリーン処理された前記バーコードの画像データとを合成し、前記画像形成手段は、前記決定手段で決定したプロセス条件に基づいて調整されるプロセス制御によって前記合成手段で合成された画像データを用紙に画像形成するように構成される。
【0010】
また、請求項4の発明の画像形成プログラムは、コンピュータを、バーコードを含む印刷データを画像データとして描画する描画手段、高濃度側階調補正パッチと低濃度側階調補正パッチとを形成するパッチ形成手段、前記パッチ形成手段で形成された前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとを測定する測定手段、前記描画手段で描画された画像データに含まれるバーコードを検出する検出手段、前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコードの画像データを、前記測定手段で測定された前記高濃度側階調補正パッチに基づき、100%未満の網点で描画されるように濃度補正する濃度補正手段、前記濃度補正手段で補正されたバーコードの画像データを印刷結果に空隙が発生しない高線数のスクリーンでスクリーン処理するスクリーン処理手段、前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコード以外の画像データを前記測定手段で測定した前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとに基づき階調補正した画像データと、前記スクリーン処理手段でスクリーン処理された前記バーコードの画像データとを合成する合成手段として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、本願の構成を有しない場合に比較して、エンジンの階調性の変化に対して動的にバーコード描画条件が変更されて、より安定したバーコード画質を得ることができるという効果を奏する。
【0012】
請求項2の発明によれば、本願の構成を有しない場合に比較して、エンジンの階調性の変化に対して動的にバーコード描画条件が変更されて、より安定したバーコード画質を得ることができるという効果を奏する。
【0013】
請求項3の発明によれば、プロセス制御が調整された結果を踏まえて階調補正がなされ、本願の構成を有しない場合に比較して、エンジンの階調性の変化に対して動的にバーコード描画条件が変更されて、より安定したバーコード画質を得ることができるという効果を奏する。
【0014】
請求項4の発明によれば、本願の構成を有しない場合に比較して、エンジンの階調性の変化に対して動的にバーコード描画条件が変更されて、より安定したバーコード画質を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は画像形成システム1の構成を示す模式図である。
【図2】画像形成装置20で行われるプロセスコントロールの処理を示すフローチャートである。
【図3】階調補正やプロセス制御調整のためのパッチである。
【図4】バーコード部Cin(入力濃度)補正量データが作成されるグラフである。
【図5】画像形成装置20で行われる印刷処理を示すフローチャートである。
【図6】通常の階調補正を示すグラフ。
【図7】理論値(入力画像データ)と実際の印刷結果とを、スクリーン線数が高い場合と低い場合とで示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
まず、画像形成システム1について図1を参照して説明を行う。
【0018】
図1は、画像形成システム1の構成を示す模式図である。
【0019】
画像形成システム1は、パーソナルコンピュータ10と画像形成装置20とが通信可能に接続されて構成される。
【0020】
パーソナルコンピュータ10は、通信インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)部11、制御部12、記憶部13、操作/表示部14とを有するコンピュータである。
【0021】
そして、パーソナルコンピュータ10は、画像形成装置20で印刷可能な印刷データを生成し、画像形成装置20に送信する。
【0022】
画像形成装置20は、通信I/F部21、制御部22、ROM(Read Only Memory)23、RAM(Random Access Memory)24、操作/表示部25、デコンポーザ26、バーコード補正処理部27、パッチセンサ28、プロセス条件決定部29、プロセス条件制御部30、レーザ制御部31、プリントエンジン32を有する電子写真式の画像形成装置である。
【0023】
通信I/F部21は、パーソナルコンピュータ10と画像形成装置20とを通信可能に接続する通信回線に接続され、パーソナルコンピュータ10から送信される印刷データを受信する。
【0024】
制御部22は、画像形成装置20の統括的な制御を行う。
【0025】
ROM23は、画像形成装置20が動作する為のプログラム等を記憶する。
【0026】
RAM24は、ROM23に記憶されたプログラムを動作させるための環境変数などの記憶や、画像処理を行うための一時的なデータ記憶等を行う。
【0027】
操作/表示部25は、液晶のタッチパネルで構成されるユーザインタフェースである。
【0028】
デコンポーザ26は、パーソナルコンピュータ10から送られる印刷データであってページ記述言語(PDL(Page Description Language))で書かれた印刷データを解析し、ビットマップデータに変換する機能を有する。
【0029】
そして、デコンポーザ26は、PDL解釈部40、描画部41、バーコード検出部42、階調補正処理部43、スクリーン処理画像合成部44を有する。
【0030】
PDL解釈部40は、ページ記述言語で書かれた印刷データを解析する。
【0031】
描画部41は、PDL解釈部40で解析された印刷データをビットマップの画像データとして描画する。
【0032】
バーコード検出部42は、描画部41より送られるビットマップデータからバーコードを検出する処理を行う。
【0033】
バーコード検出部42が、バーコードを検出する処理は、パターンマッチングやフーリエ変換等が用いられる。
【0034】
また、バーコード検出部42は、ビットマップの画像データ中にバーコードを検出すると、検出したバーコード位置を示すタグ情報を作成し、そのタグ情報と、描画部41から送られた画像データとを階調補正処理部43に送る。
【0035】
階調補正処理部43は、バーコード検出部42から送られる画像データに対して、バーコード以外の部分での階調補正処理と、バーコードの部分でのCin(入力濃度)補正処理とを行う。
【0036】
階調補正処理部43が行うバーコード以外の部分での階調補正処理は、パッチセンサが読み取った階調補正パッチA(低Cin側)の読み値と階調補正パッチB(高Cin側)の読み値とに基づきガンマを補正する階調補正曲線が作成されて行われる。
【0037】
また、階調補正処理部43が行うバーコード部分でのCin補正処理は、バーコード補正処理部27から送られるバーコード部Cin補正量データと、バーコード検出部42から送られるタグ情報とに基づき、バーコード検出部42から送られる画像データのバーコードの部分に対してCin補正が実施される。
【0038】
階調補正処理部43でバーコード部分でのCin補正処理がされた画像データは、スクリーン処理/画像合成部44に送られる。
【0039】
また、階調補正処理部43でバーコード以外の部分での階調補正処理がされた画像データは、スクリーン処理/画像合成部44に送られる。
【0040】
また、バーコード位置を示すタグ情報は、階調補正処理部43から、スクリーン処理/画像合成部44に送られる。
【0041】
スクリーン処理画像合成部44は、階調補正処理部43から送られるバーコード部分でのCin補正処理がされた画像データとバーコード位置を示すタグ情報とに基づき、バーコード位置の画像データを、高線数のスクリーンでスクリーン処理する。
【0042】
また、スクリーン処理画像合成部44は、高線数のスクリーンでスクリーン処理されたバーコード位置の画像データと、階調補正処理部43から送られるバーコード以外の部分の階調補正処理された画像データとを合成する処理を行う。
【0043】
そして、スクリーン処理画像合成部44は、合成した画像データが印刷されるように、レーザ制御部31に、合成した画像データのビデオ信号を送る。
【0044】
バーコード補正処理部27は、画像形成装置20で行われるプロセスコントロールの際に、バーコード部Cin補正量データを作成し、作成したバーコード部Cin補正量データを階調補正処理部43に送る。
【0045】
バーコード補正処理部27が行うバーコード部Cin補正量データの作成は、プロセス条件決定部29から送られる変更後プロセス条件と階調補正パッチB(高Cin側)の読み値とに基づき行われる。
【0046】
パッチセンサ28は、転写ベルト等に形成される各種パッチ(階調補正パッチA(低Cin側)、階調補正パッチB(高Cin側)、プロセス条件制御パッチ)を測定し、階調補正パッチA(低Cin側)と階調補正パッチB(高Cin側)との読み値(測定値)を階調補正処理部43に送り、階調補正パッチB(高Cin側)の読み値をバーコード補正処理部27に送り、プロセス条件制御パッチの読み値をプロセス条件決定部29に送る。
【0047】
プロセス条件決定部29は、プロセス条件制御パッチの読み値を受け、その読み値に基づきプロセス条件の変更内容を決定する。
【0048】
プロセス条件決定部29で決定されたプロセス条件の変更内容は、変更後プロセス条件として階調補正処理部43やバーコード補正処理部27やプロセス条件制御部30に送られる。
【0049】
プロセス条件制御部30は、送られるプロセス条件の変更内容を受け、そのプロセス条件の変更内容に基づくプロセスパラメータをプリントエンジンに送る。そして、プリントエンジン32では、プロセス条件制御部30から送られたプロセスパラメータに基づいてプロセス制御される印刷出力処理が行われる。
【0050】
レーザ制御部31は、スクリーン処理/画像合成部44から送られるビデオ信号に基づきプリントエンジン32内の図示しない露光装置を制御してプリントエンジン32内の図示しない感光体ドラムに潜像を形成させる。
【0051】
プリントエンジン32は、感光体ドラム、露光装置、現像装置、転写ベルト、搬送ベルト、定着装置等により構成され、プロセス条件制御部30より送られるプロセスパラメータに基づきプロセス制御されて、レーザ制御部31で制御される内容を用紙に画像形成し印刷出力する処理を行う。
【0052】
このように構成される画像形成装置20では、パーソナルコンピュータ10から送られる印刷データ中にバーコードを印刷する印刷データが含まれていた場合には、印刷データから描画される画像データのバーコードの部分だけ階調補正パッチB(高Cin側)に基づくCin補正処理と高線数でのスクリーン処理とが行われて、印刷される。
【0053】
階調補正パッチB(高Cin側)に基づくCin補正処理では、階調補正パッチB(高Cin側)の読み値からシャドウ部分の濃度が予測されて、図4に示すようにバーコード部がある一定の濃度になるように、バーコード部Cin補正量データが作成される。
【0054】
ここで、その一定の濃度とは、バーコード部の印刷結果に空隙が発生しないような濃度である。
【0055】
バーコード部Cin補正量データに基づいてCin補正されたバーコード部の画像データは、バーコードの描画がベタでなく網点で描画されることになる。
【0056】
画像データのバーコードの部分に行われる階調補正パッチB(高Cin側)に基づくCin補正処理によって、100%よりも小さいCinで(つまり、ベタでなく網点で)描画される。
【0057】
次に、画像形成装置20で行われるプロセスコントロールについて図2を参照して説明を行う。
【0058】
図2は、画像形成装置20で行われるプロセスコントロールの処理を示すフローチャートである。
【0059】
プロセスコントロールが開始されると、プリントエンジンの図示しない転写ベルトにプロセス条件制御パッチ、階調補正パッチA(低Cin側)、階調補正パッチB(高Cin側)が作成される(ステップ201)。
【0060】
プロセス条件制御パッチは、プロセス制御(レーザ光等)の調整をする為のパッチであり、例えば図3(a)に示すように濃度が50%のパッチである。
【0061】
また、階調補正パッチA(低Cin側)は、例えば図3(b)に示すように濃度が33%の低濃度側のパッチである。
【0062】
また、階調補正パッチB(高Cin側)は、例えば図3(c)に示すように濃度が67%の高濃度側のパッチである。
【0063】
作成された各種パッチはパッチセンサ28により測定されて(ステップ202)、それら読み値が階調補正処理部43やバーコード補正処理部27に送られる。
【0064】
プロセス条件制御パッチの読み値は、プロセス条件決定部29に送られる。
【0065】
階調補正パッチA(低Cin側)の読み値と階調補正パッチB(高Cin側)の読み値が階調補正処理部43に送られ(ステップ207)、階調補正パッチB(高Cin側)の読み値がバーコード補正処理部27に送られる(ステップ208)。
【0066】
プロセス条件決定部29は、プロセス条件制御パッチの読み値を受け取ると(ステップ203)、プロセス条件制御パッチの読み値が狙いからずれているか否かを確認する(ステップ204)。
【0067】
ここで、プロセス条件決定部29が、プロセス条件制御パッチの読み値が狙いからずれていないと確認すれば(ステップ204でNO)、プロセスコントロールは終了する。
【0068】
また、プロセス条件決定部29がプロセス条件制御パッチの読み値が狙いからずれていると確認した場合には(ステップ204でYES)、プロセス条件決定部29は、プリントエンジン32内の図示しない露光装置のレーザ光量、帯電バイアス、現像バイアス、現像バイアス率等のプロセス条件を変更する内容を決定する(ステップ205)。変更されたプロセス条件は、変更後プロセス条件として、プロセス条件制御部30と階調補正処理部43とバーコード補正処理部27とに送られる(ステップ206)。
【0069】
プロセス条件制御部30に変更後プロセス条件が送られると、変更後プロセス条件に基づいてプロセスパタメータがプリントエンジン32に送られ、そのプロセスパラメータに基づくプロセス制御によってプリントエンジン32で印刷出力処理が行われる。
【0070】
また、階調補正パッチB(高Cin側)の読み値が送られたバーコード補正処理部27は、プロセス条件決定部29から受信する変更後プロセス条件(ステップ209)と階調補正パッチB(高Cin側)の読み値とに基づき、ガンマ補正するための階調補正曲線を作成し、バーコード部Cin補正量データを作成する(ステップ210)。
【0071】
作成されたバーコード部Cin補正量データは、バーコード部をベタでなく網点で描画するための補正量データであり、また、バーコード部Cin補正量データによって描画される網点の濃度が決定される。
【0072】
作成されたバーコード部Cin補正量データは、バーコード補正処理部27から階調補正処理部43に送られる(ステップ211)。
【0073】
また、階調補正パッチA(低Cin側)の読み値が送られた階調補正処理部43は、プロセス条件決定部29から受信する変更後プロセス条件(ステップ212)と階調補正パッチA(低Cin側)と階調補正パッチB(高Cin側)とに基づき、通常行われる階調補正カーブを作成する(ステップ213)。
【0074】
また、バーコード部Cin補正量データが送られた階調補正処理部43は、バーコード検出部42から送られるビットマップの画像データのバーコードの部分に対する補正を、そのバーコード部Cin補正量データとバーコード検出部42から送られるタグ情報とに基づいて行うようにする(ステップ214)。
【0075】
次に、画像形成装置20で行われる印刷処理について図5を参照して説明を行う。
【0076】
図5は、画像形成装置20で行われる印刷処理を示すフローチャートである。
【0077】
画像形成装置20がパーソナルコンピュータ10から印刷データを受信すると、その印刷データがPDL解釈部40で解釈されて、描画部41でビットマップの画像データが描画され、バーコード検出部42に送られる。
【0078】
そして、バーコード検出部42では、画像データ中のバーコードの位置が検出される(ステップ501)。
【0079】
バーコード検出部42でバーコードが検出されると(ステップ502でYES)、バーコード検出部42から階調補正処理部43に、描画部41で描画されたビットマップの画像データとバーコードの位置を示すタグ情報とが送られる。
【0080】
そして、階調補正処理部43では、送られた画像データのバーコードの部分に対して、バーコード補正処理部27より送られたバーコード部Cin補正量データに基づきCin補正(入力濃度補正)が行われる(ステップ503)。
【0081】
画像データのバーコードの部分を特定する処理は、バーコード検出部42から送られるタグ情報に基づいて行われる。
【0082】
階調補正処理部27では、ステップ213で説明した通常行われる階調補正カーブに基づき、バーコード検出部42から送られる画像データのバーコード以外の部分に対して、図6に示すように通常の階調補正が行われる(ステップ505)。
【0083】
階調補正処理部27で行われたバーコードの部分に対するCin補正の結果と、階調補正処理部27で行われたバーコード以外の部分に対する通常の階調補正の結果とは、ビットマップデータの状態でバーコード位置を示すタグ情報と共にスクリーン/画像合成部44に送られる。
【0084】
階調補正処理部27で行われたバーコードの部分に対するCin補正の結果と、階調補正処理部27で行われたバーコード以外の部分に対する通常の階調補正の結果とは、ビットマップで表される画像データである。
【0085】
階調補正処理部27から画像データとタグ情報とが送られたスクリーン処理/画像合成部44では、階調補正処理部27から送られたバーコードの部分に対するCin補正の結果となる画像データのバーコードの部分が高線数でスクリーン処理される(ステップ504)。
【0086】
ステップ504で行われるスクリーン処理の線数は、例えば、286lpiなどである。
【0087】
バーコード部Cin補正量データに基づきCin補正された画像データは、バーコードの部分のCinを低下させ、ベタでなく網点で描画されるので、潜像の広がり/トナー像の広がりが抑えられるが、Cinが低下されすぎると、線のエッジにがたつきが生じ、バーコード部を構成する細線中に、網点によりトナーが乗らない穴(空隙)が発生してバーコードの読み取り品質が低下する結果が生じてしまう。
【0088】
そこで、バーコードの細線中に空隙が発生しないように、高線数のスクリーンでスクリーン処理される。
【0089】
スクリーン線数が低い場合と高い場合とを比較すると、図7(a)、図7(b)に示すように、スクリーン線数が高い図7(a)の方がスクリーン線数が低い図7(b)よりも網点中の空隙が発生しにくい。
【0090】
これは、スクリーン線数が低い場合には(図7(b))、隣接するドット/ラインとの距離が大きい為、潜像/トナー像の広がりで、隣接ドット/ラインとの空隙を埋めきれないが、しかし、スクリーン線数が高い場合には(図7(a))、隣接ドット/ラインとの距離が小さいため、空隙を潜像/トナー像の広がりで100%ではないが、空隙とはならない(画像データの濃度差が小さい)レベルで埋めることができるからである。
【0091】
つまり、ステップ504で処理されるスクリーン線数は、バーコードの印刷結果に空隙が発生しない程度の高線数のスクリーン線数である。
【0092】
そして、スクリーン処理/画像合成部44では、スクリーン処理されたバーコード部分の画像データと、階調補正処理部27から送られたバーコード以外の部分に対する通常の階調補正された画像データのバーコード以外の部分の画像データとが、一つの画像データに合成される処理が行われる(ステップ506)。
【0093】
そして、合成された画像データが、レーザ制御部31による制御でプリントエンジン32の図示しない感光体ドラムに潜像が形成されて(ステップ507)、プリントエンジン32より印刷出力される(ステップ508)。
【0094】
つまり、描画部26で描画された画像データのバーコード部分は、バーコード部Cin補正量データによって補正されて、かつ、高線数でのスクリーン処理がされて印刷出力される。
【0095】
尚、画像データのバーコードの部分を補正するためのバーコード部Cin補正量データはバーコード補正処理部27で作成されるように説明したが、階調補正処理部43で作成されるように構成してもよい。
【0096】
尚、パーソナルコンピュータ10から印刷データが送られる際に、パーソナルコンピュータ10で印刷指示を行うユーザが、バーコード印字モードを選択して印刷指示を行って、その結果、パーソナルコンピュータ10から送信される印刷データにバーコードが含まれる情報が付与されて、印刷データを受信する画像形成装置20は印刷データに付与されるバーコードが含まれる情報を判別して上述のような処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
この発明は、画像形成装置および画像形成プログラムにおいて利用可能である。
【0098】
また、上記実施の形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムが記録されている記憶媒体を供給し、通信装置などで記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。 プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びSDカード(Secure Digital memory card)などや、プログラムを供給するサーバなどであっても良い。
【符号の説明】
【0099】
1 画像形成システム
20 画像形成システム
26 デコンポーザ
27 バーコード補正処理部
28 パッチセンサ
29 プロセス条件決定部
30 プロセス条件制御部
31 レーザ制御部
32 プリントエンジン
40 PDL解釈部
41 描画部
42 バーコード検出部
43 階調補正処理部
44 スクリーン処理/画像合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードを含む印刷データを画像データとして描画する描画手段と、
高濃度側階調補正パッチと低濃度側階調補正パッチとを形成するパッチ形成手段と、
前記パッチ形成手段で形成された前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとを測定する測定手段と、
前記描画手段で描画された画像データに含まれるバーコードを検出する検出手段と、
前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコードの画像データを、前記測定手段で測定された前記高濃度側階調補正パッチに基づき、100%未満の網点で描画されるように濃度補正する濃度補正手段と、
前記濃度補正手段で補正されたバーコードの画像データを印刷結果に空隙が発生しない高線数のスクリーンでスクリーン処理するスクリーン処理手段と、
前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコード以外の画像データを前記測定手段で測定した前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとに基づき階調補正した画像データと、前記スクリーン処理手段でスクリーン処理された前記バーコードの画像データとを合成する合成手段と
を具備する画像形成装置。
【請求項2】
前記合成手段で合成した画像データを用紙に画像形成する画像形成手段
を更に具備する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記パッチ作成手段は、
前記画像形成手段を制御するプロセス制御を調整するためのプロセス条件制御パッチを更に作成し、
前記測定手段は、
前記プロセス条件制御パッチを測定し、
前記測定手段によって測定された前記プロセス条件制御パッチに基づき前記プロセス制御を調整するプロセス条件を決定する決定手段
を具備し、
前記濃度補正手段は、
前記決定手段で決定したプロセス条件と前記測定手段で測定された前記高濃度側階調補正パッチとに基づき濃度補正を行い、
前記合成手段は、
前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコード以外の画像データを前記決定手段で決定したプロセス条件と前記測定手段で測定された前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとに基づき階調補正した画像データと、前記スクリーン処理手段でスクリーン処理された前記バーコードの画像データとを合成し、
前記画像形成手段は、
前記決定手段で決定したプロセス条件に基づいて調整されるプロセス制御によって前記合成手段で合成された画像データを用紙に画像形成する
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
コンピュータを、
バーコードを含む印刷データを画像データとして描画する描画手段、
高濃度側階調補正パッチと低濃度側階調補正パッチとを形成するパッチ形成手段、
前記パッチ形成手段で形成された前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとを測定する測定手段、
前記描画手段で描画された画像データに含まれるバーコードを検出する検出手段、
前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコードの画像データを、前記測定手段で測定された前記高濃度側階調補正パッチに基づき、100%未満の網点で描画されるように濃度補正する濃度補正手段、
前記濃度補正手段で補正されたバーコードの画像データを印刷結果に空隙が発生しない高線数のスクリーンでスクリーン処理するスクリーン処理手段、
前記描画手段で描画された画像データに含まれる前記バーコード以外の画像データを前記測定手段で測定した前記高濃度側階調補正パッチと前記低濃度側階調補正パッチとに基づき階調補正した画像データと、前記スクリーン処理手段でスクリーン処理された前記バーコードの画像データとを合成する合成手段
として機能させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−98488(P2011−98488A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253994(P2009−253994)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】