説明

画像形成装置及びその制御方法

【課題】コストの増大を招くことなく、装置の種別を精度良く特定する画像形成装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る画像形成装置は、組立工程において、システム制御部とエンジン制御部とが接続されると、自装置の機種を特定するための連続画像形成のテストを実行する。さらに、本画像形成装置は、当該連続画像形成において、エンジン制御部が同期信号を出力してからシステム制御部が次の印刷開始要求を出力するまでの期間を測定し、測定した期間に従って自装置の機種を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置の種別を特定する画像形成装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスの多様化に伴い、様々なオフィス環境に対応する画像形成装置が要望されている。そのためスキャナやファクシミリ機能等を有するMFP(マルチ・ファンクション・プリンタ)のみならず、プリント機能を主とするシングル機能のプリンタについても多様化が進んでいる。しかし、機種ごとに個別に開発を進めると開発コストが増大してしまうため、基本構成は共通とした上でユーザニーズに対応する必要がある。
【0003】
例えば、プリンタには、ホストコンピュータ等と接続するための外部インタフェースとしてUSB(Univeral Serial Bus)I/Fのみ装備している装置や、USBI/Fに加えてネットワークI/Fを装備している装置などがある。また、オプション給紙カセットに対応しないプリンタや、オプション給紙カセットの装着対応数を変えて製品展開するプリンタや、両面ユニットが装着可能なプリンタなどもある。
【0004】
上述のような複数の製品に対して単純に想定する組み合わせ分のユニットを設計して生産する場合、各々の機種を区別するために、ディップスイッチ等でセレクト端子を設ける必要があり、効率的でない。この問題の対策方法として、可能な限りユニットレベルで共通化を図り、何れか1つのユニットにおいてソフトウェアのIDやセレクト端子の状態を確認して、集中的に管理する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、プリンタ機構部に具備されている検出器からの信号に基づいて機種を特定することで、セレクト端子を廃止するプリンタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−210470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には以下に記載する問題がある。例えば、セレクト端子を用いて機種を特定する方法や、不揮発性メモリに所定の情報を記憶させ、当該情報に基づいて機種を特定する方法では、ノイズのような外部からのストレスにより、セレクト端子の信号レベルや、記憶した情報が変わってしまう虞がある。
【0007】
このような場合、製品がエラーメッセージを表示し、動作を中断するのであれば、不具合の発生を確認して対策できるため問題とはならない。しかし、不具合の発生を検知できないまま、ユーザが購入した製品仕様と異なる動作を行うことで、本来サポートすべきオプション等が動作しない場合や、想定外の動作により部品等の劣化を促進させてしまうことがある。
【0008】
また、特許文献1に記載の技術では、ドットプリンタ等の印字エレメントが駆動し、メカ的に明確なホームポジジョン位置や相対位置がわかる場合は有効な解決手法であるが、印字エレメントが駆動しない装置には適用することができない。さらに、機種を特定するために別途パルスを発生させる機構と、パルス数を検出する機構も必要となり、コストの増大を招いてしまう。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、コストの増大を招くことなく、装置の種別を精度良く特定する画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、システム全体を制御する第1制御手段と、画像形成処理を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置として実現できる。第1制御手段は、画像形成を開始するための開始要求を第2制御手段に出力する開始要求出力手段と、第2制御手段から出力される同期信号に従って画像形成するための画像データを第2制御手段に出力するデータ出力手段とを備え、第2制御手段は、第1制御手段からの開始要求に対して、同期信号を生成し、第1制御手段に出力する同期信号出力手段と、同期信号に応じて第1制御手段から出力される画像データに従って画像形成を実行する実行手段と、同期信号を出力してから第1制御手段から出力される次の開始要求までの期間を測定する測定手段と、測定手段によって測定された期間に従って画像形成装置の機種を特定する機種特定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、コストの増大を招くことなく、装置の種別を精度良く特定する画像形成装置及びその制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るプリンタ1500の構成例を示す断面図である。
【図2】本実施形態に係るプリンタ1500の制御構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る組立工程時の連続印刷における動作シーケンスを示す図である。
【図4】本実施形態に係る通常動作時の連続印刷における動作シーケンスを示す図である。
【図5】本実施形態に係る組立工程時の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る通常動作時の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る機種を特定する際に測定された各信号のタイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念及び下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0014】
<画像形成装置の構成>
以下、図1乃至図7を参照して、本発明の実施形態について説明する。まず、図1を参照して、画像形成装置であるレーザプリンタの構成について説明する。なお、本発明に適用される画像形成装置は、レーザビームプリンタに限られるものではなく、他のプリント方式の画像形成装置でもよい。
【0015】
プリンタ1500は、レーザビームプリンタ本体を示す。プリンタ1500には、外部に接続されているホストコンピュータから印刷情報(文字コード等)、フォーム情報、又はマクロ命令等が入力される。このような情報が入力されると、プリンタ1500は、当該入力情報をメモリに記憶し、当該入力情報に従って対応する文字パターンやフォームパターン等を作成し、記録材である記用紙等に画像を形成する。
【0016】
図1に示す1501は、ユーザインタフェースであるスイッチやLED表示器が配置された操作部である。1000は、第1制御手段として機能し、ネットワークを介して接続されたホストコンピュータ等から供給される印刷情報を解析し、当該情報に対して画像処理を施すシステム制御部である。2000は、第2制御手段として機能し、印刷部(プリンタエンジン)を制御するエンジン制御部である。
【0017】
エンジン制御部2000は、システム制御部1000と接続され、画像形成処理を統括的に制御する。例えば、エンジン制御部2000は、各モータや各センサを制御し、画像形成処理を実行する。なお、システム制御部1000は、ユニットレベルで入替え可能に構成される。つまり、各製品ごとに対応するシステム制御部が装着される。
【0018】
システム制御部1000は、プリンタ1500におけるシステム全体を制御する。具体的には、システム制御部1000は、ビデオコントローラの機能を有し、入力された情報を、文字情報に対応する文字パターンのビデオ信号に変換して、レーザドライバ1502に出力する。変換されたビデオ信号は、エンジン制御部2000と同期される。レーザドライバ1502は、半導体レーザ1503を駆動するための回路であり、入力されたビデオ信号に応じて半導体レーザ1503から照射されるレーザ光1504のON/OFFを切り換える。
【0019】
図1に示すように、レーザ光1504は、回転多面鏡1505で左右方向に偏向されて、静電ドラム1506上を走査露光する。これにより、静電ドラム1506上には静電潜像が形成される。この静電潜像は、静電ドラム1506の近傍に配置された現像ユニット1507により現像された後、記録材に転写される。画像が形成される記録材は、用紙カセット1508に収納されている。用紙カセットに収納された用紙は、画像形成が開始されると、給紙ローラ1509、搬送ローラ1510、1511により、装置内に取り込まれて、静電ドラム1506に供給される。
【0020】
また、プリンタ1500は、少なくとも1つのカードスロットを備える。カードスロットには、内蔵フォントに加えてオプションフォントカード、言語系の異なる制御カード(エミュレーションカード)、又は拡張給紙カセット等が接続される。
【0021】
<画像形成装置の制御構成>
次に、図2を参照して、プリンタ1500の制御構成について説明する。なお、以下で説明する機能が実行されるものであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、LAN等のネットワークを介して処理が行われるシステムであってもよい。
【0022】
図2に示すように、システム制御部1000は、CPU12、ROM13、外部メモリ14、印刷部I/F16、入力部18、RAM19、及びASIC22を含んで構成される。また、これらの制御ブロックは、システムバス15を介して相互通信可能に接続される。CPU12は、ROM13のプログラム用ROMに記憶された制御プログラムや外部メモリ14に記憶された制御プログラムを読み出して実行する。これにより、CPU12は、システムバス15に接続された各制御ブロックとのアクセスを総括的に制御し、印刷部I/F16を介して接続される印刷部(プリンタエンジン)17に出力情報としての画像信号を出力する。
【0023】
また、ROM13のフォント用ROMには、上記出力情報を生成する際に使用するフォントデータ等が記憶される。ROM13のデータ用ROMには、ハードディスク等の外部メモリ14の代わりに、ホストコンピュータ上で利用される情報等が記憶される。
【0024】
入力部18は、ホストコンピュータ3000との通信を制御し、プリンタ固有の言語で記述されたコードデータやイメージデータを受信する。したがって、CPU12は、入力部18を介してホストコンピュータと通信可能に接続され、ホストコンピュータからの情報を受信したり、プリンタ内の情報等をホストコンピュータに送信したりすることができる。
【0025】
RAM19は、CPU12の主メモリ、ワークエリア等として機能する。例えば、RAM19は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、NVRAM等に用いられる。また、増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができる。
【0026】
ASIC22は、ROM13及びRAM19のメモリコントローラ、DMAコントローラ、I/Fコントローラ等の制御回路を備える。さらに、ASIC22は、RAM19に格納されたホストコンピュータからの文章情報等を順次解析し、例えば文字コードをフォント用ROMのデータを用いてビットマップデータへと展開し、RAM(ビットマップメモリ)に格納する。ASIC22によってバンド毎又はページ毎に描画処理された画像データは、印刷部I/F16を介してプリンタ部17に出力される。
【0027】
外部メモリ14は、ハードディスク(HD)や、ICカード等であり、ASIC22によってアクセスが制御される。外部メモリ14は、オプションとして接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ等を記憶する。
【0028】
また、システム制御部1000には、複数の外部メモリ14が接続されてもよく、内蔵フォントに加えてオプションフォントカード、言語系の異なるプリンタ制御言語を解釈するプログラムが格納される。さらに、システム制御部1000は、NVRAMを備え、操作部1501からのプリンタモード設定情報を記憶してもよい。また、操作部1501は、ユーザインタフェースであり、スイッチ及びLED表示器を備える。
【0029】
システム制御部1000には、プリンタ部17に装備されている電源部より電源が供給される。電源供給の制御に関しては、印刷部I/F16を介して行われる。
【0030】
図2に示すように、エンジン制御部2000は、プリンタ部17に含まれ、画像形成処理を制御する。エンジン制御部2000は、CPU202、ROM203、RAM204及びASIC205を備える。CPU202は、プリンタ部17を統括的に制御するために、ROM203から制御プログラムを順次読み出して、実行する。RAM204は、入力データの記憶領域や作業用の記憶領域等として用いられる主記憶装置である。
【0031】
215は、I/Oポートであり、エンジン制御部2000と各種エンジンとを接続する。具体的には、I/Oポート215には、給紙系、搬送系、光学系の駆動を行うモータ209、クラッチ210、ソレノイド211、搬送される用紙を検知するための紙検知センサ212、トナー残検知センサ213、高圧制御部214及びビーム検知センサ208等のエンジンが接続される。レーザユニット207に接続される。トナー残検知センサ213は、現像ユニット1507のトナー量を検知するためのセンサであり、出力信号をI/Oポート215に入力する。高圧制御部214は、CPU202の指示に従って、現像ユニット1507へ高圧を出力する。
【0032】
システム制御部1000は、画像データに対して各種画像処理を施し、当該画像データに従ってレーザユニット207の制御信号を出力する。レーザユニット207から出力されるレーザ光は、静電ドラム1506に照射されるとともに、非画像領域に配置されたビーム検知センサ208によって発光状態が検知される。ビーム検知センサ208は、レーザユニット207から照射されるレーザ光を受光し、受光したレーザ光に応じた出力信号をI/Oポート215に入力する。プリンタ1500は、オプション給紙カセットや両面ユニットを装着することができる。これらのオプションユニットは、拡張機能I/F206を介してエンジン制御部2000と接続される。また、システム制御部1000と同様に、エンジン制御部2000は、NVRAMを備え、設定情報を記憶してもよい。
【0033】
<動作シーケンス>
次に、図3乃至図7を参照して、システム制御部1000とエンジン制御部2000との動作シーケンスについて説明する。まず、図3を参照して、組立工程における動作シーケンスについて説明する。なお、ここでは、工場での組立工程時において、プリンタ1500に対して、システム制御部1000が組み付けられたときの動作シーケンスについて説明する。つまり、エンジン制御部2000とシステム制御部1000とが最初に接続された際の動作チェック処理ついて説明する。
【0034】
エンジン制御部2000にシステム制御部1000が接続されると、まず、動作チェックを行うためにエンジン制御部2000からシステム制御部1000に対して電源が供給される。その後、システム制御部1000は、自装置の機種(種別)を確認する。一方、エンジン制御部2000は、自己決定フラグの状態を確認する。ここで、自己決定フラグとは、自装置の機種が特定されているか否かを表すフラグである。この自己決定フラグは、製品の組立工程において、システム制御部1000とエンジン制御部2000が最初に接続されたタイミングで設定可能となる。また、自己決定フラグは、最初は設定されていない状態であり、例えば、0値を示す。一方、自装置の機種が特定されると、自己決定フラグは設定された状態となり、例えば、1値を示す。
【0035】
その後、連続印刷のテストが実行される。連続印刷のテストが実行されると、まず、システム制御部1000からエンジン制御部2000へ印刷開始要求が送信される。印刷開始要求を受信すると、エンジン制御部2000は、同期信号を出力し、ビデオデータを受信する。これらの処理は、連続印刷ページ分のデータが受信されるまで繰り返される。この場合、エンジン制御部2000における同期信号の出力制御は、初期設定モードに対応しており、予め定められた機種として制御される。
【0036】
さらに、エンジン制御部2000は、同期信号と印刷開始要求との間のタイミングを測定し、その結果に基づいて機種を特定する。また、上述の自己決定フラグをセットすることで、次回起動された際に、重複して機種を特定することを抑制する。
【0037】
次に、図5を参照して、図3に示す動作における詳細な制御手順について説明する。なお、以下で説明するシステム制御部1000の処理はCPU12によって統括的に制御され、エンジン制御部2000の処理はCPU202によって統括的に制御される。
【0038】
ステップS501において組立工程の動作確認が実行される。ステップS502において、プリンタ1500に電源が投入される。続いて、ステップS503において、システム制御部1000は、予め設定されている自装置の機種を確認する。
【0039】
一方、ステップS504において、エンジン制御部2000は、自己決定フラグの値を取得する。続いて、ステップS505において、エンジン制御部2000は、取得した自己決定フラグがセットされているか否かを判定する。ここで、設定されている場合はステップS513に進み、設定されていない場合はステップS506に進む。自己決定フラグがセットされている場合は、既に機種が特定されていることを示す。
【0040】
ステップS506において、エンジン制御部2000は、連続印刷テストの実施を促すメッセージを操作部1501に表示する。なお、連続印刷テストの表示については、組立工程の間に実施すればよいため、ここで表示しなくてもよい。操作部1501に連続印刷テストの実施を促すメッセージを表示した場合、ステップS507において、エンジン制御部2000は、連続印刷テストの実行が要求されたか否かを判定する。要求された場合はステップS508に進み、要求されていない場合はステップS513に進む。
【0041】
ステップS508において、システム制御部1000は、開始要求出力手段として機能し、自己の機種確認結果に基づいて、印刷開始要求をエンジン制御部2000に送信する。ステップS509において、エンジン制御部2000は、同期信号出力手段として機能し、印刷開始要求を受信すると、予め初期設定された機種として同期信号を生成し、システム制御部1000に出力する。この同期信号を受信すると、システム制御部1000は、データ出力手段として機能し、画像形成の対象となる画像データをエンジン制御部2000に出力する。
【0042】
その後、ステップS508及びS509の処理を、連続印刷ページ分繰り返す。ステップS510において、エンジン制御部2000は、測定手段として機能し、ステップS508及びS509の処理が繰り返されている間に、印刷開始要求と同期信号との間のタイミングを測定する。さらに、エンジン制御部2000は、機種特定手段として機能し、測定結果より機種を特定し、自己の機種を示す情報をメモリに格納する。その後、ステップS511及びS512において、エンジン制御部2000は、自己決定フラグをセットし、連続印刷テストを終了させる。
【0043】
一方、ステップS513において、エンジン制御部2000は、他の動作確認テストが要求されていないかを確認し、要求が無い場合は処理を終了し、他の要求がある場合は当該テストを実行して終了する。また、ステップS513では、ステップS507で連続印刷テストの実行が要求されない場合であっても、連続印刷テスト以外のテストを実行してもよい。
【0044】
なお、エンジン制御部2000は、ステップS510において機種を特定する際に、ROM203等に予め記憶された、測定される期間と、機種とを対応付けたテーブルを用いてもよい。この場合、エンジン制御部2000は、上記期間を測定すると、測定した期間に従って機種を上記テーブルから検索し、当該機種を特定する。
【0045】
次に、図7を参照して、ステップS510においてエンジン制御部2000が機種を特定する際の処理について詳細に説明する。
【0046】
701は、連続印刷時にシステム制御部1000からエンジン制御部2000へ出力される印刷開始要求のタイミングを示す。また、システム制御部1000は、プリンタ部17側が次ページの印刷予約が受け入れ可能か否かを確認し、受け入れ可能であれば、機種確認した結果に基づくタイミングで、次ページの印刷開始要求を送信する。
【0047】
702は、印刷開始要求を受信したエンジン制御部2000からシステム制御部1000へ出力される副走査同期信号のタイミングを示す。副走査同期信号は、プリンタ部17の状態に応じて出力される。また、706に示す副走査同期信号の生成タイミングは、自己決定フラグがセットされていない場合は、初期設定のタイミングで生成され、自己決定フラグがセットされている場合は機種固定のタイミングで生成される。これらの生成タイミングは、プリンタ1500のメモリ等に予め記憶されている。
【0048】
703は、エンジン制御部2000からシステム制御部1000へ出力される主走査同期信号のタイミングを示す。この主走査同期信号に合わせて、システム制御部1000は、エンジン制御部2000に対して、704に示すタイミングでビデオデータを出力する。
【0049】
エンジン制御部2000は、ステップS510の同期信号と印刷開始要求との期間の測定において、図7に示す705の期間を測定する。具体的には、副走査同期信号が出力されてから次の印刷開始要求が出力されるまでの期間を測定する。
【0050】
次に、図4を参照して、自己決定フラグがセットされた後の通常動作時の連続印刷における動作シーケンスについて説明する。なお、通常動作における起動時の動作シーケンスは、図3を用いて説明した組立工程時の動作シーケンスと同様であるため、説明を省略する。
【0051】
連続印刷が開始されると、まず、システム制御部1000からエンジン制御部2000へ印刷開始要求が送信される。印刷開始要求を受信すると、エンジン制御部2000は、同期信号を出力し、ビデオデータを受信する。これらの処理は、連続印刷ページ分のデータが受信されるまで繰り返される。これらの処理手順は、組立工程時と同様であるが、エンジン制御部2000によって生成される同期信号の生成タイミングが異なる。
【0052】
通常動作時においては、既にエンジン制御部2000の自己決定フラグがセットされている。したがって、同期信号が生成されるタイミングは、組立工程時に特定された機種の情報に基づいて生成タイミングが決定される。
【0053】
次に、図6を参照して、図4に示す動作における詳細な制御手順について説明する。なお、以下で説明するシステム制御部1000の処理はCPU12によって統括的に制御され、エンジン制御部2000の処理はCPU202によって統括的に制御される。
【0054】
ステップS601において電源が投入される。続いて、ステップS602において、システム制御部1000は、予め設定されている自己の機種を確認する。
【0055】
一方、ステップS603において、エンジン制御部2000は、自己決定フラグの値を取得する。続いて、ステップS604において、プリンタ1500は、現在要求されている印刷ジョブが連続印刷であるか否かを判定する。連続印刷である場合はステップS604に進み、連続印刷でない場合はステップS608に進む。
【0056】
ステップS605において、システム制御部1000は、自己の機種確認結果に基づいて、印刷開始要求をエンジン制御部2000に送信する。続いて、ステップS606において、エンジン制御部2000は、印刷開始要求を受信すると、機種特定時の情報による生成タイミングに基づいて、同期信号を生成し、システム制御部1000に出力する。これらのステップS605及びS606の処理を、連続印刷ページ分繰り返す。連続印刷が終了すると、ステップS607において処理を終了する。一方、ステップS604で連続印刷でないと判断した場合は、ステップS608において、通常の印刷処理が実行される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、組立工程において、システム制御部とエンジン制御部とが接続されると、自装置の機種を特定するための連続画像形成のテストを実行する。具体的には、まず、システム制御部が、画像形成を開始するための開始要求をエンジン制御部に出力する。エンジン制御部は、開始要求を受信すると、同期信号を生成し、システム制御部に出力する。同期信号を受信すると、システム制御部は、画像形成の対象となる画像データをエンジン制御部に出力する。これらの処理を連続画像形成のページ分繰り返す。ここで、エンジン制御部は、連続画像形成のテスト実行時において、エンジン制御部が同期信号を出力してからシステム制御部が次に開始要求を出力するまでの期間を測定する。さらに、エンジン制御部は、測定された期間に従って画像形成装置の機種を特定する。これにより、本画像形成装置は、別途、自装置を特定するための構成(例えば、パルス出力・検知を行う機構など)を追加することなく、既存の構成で自装置の機種を特定することができる。また、本画像形成装置は、例えば、エンジン制御部が自装置の機種を表す情報を予め保持する必要がないため、何らかの外部要因によって保持した情報が変化してしまうことによる不具合を抑制することができる。よって、本画像形成装置は、コストを増大することなく、自装置の機種を精度良く特定することができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限らず様々な変形が可能である。例えば、エンジン制御部は、機種が特定されているか否かを表すフラグを備えてもよい。これにより、本画像形成装置は、機種が特定されていない場合のみ上記機種を特定するための連続画像形成を実行すればよく、機種特定処理による生産性の低下を抑制することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、機種情報を予め設定している側をシステム制御部としているが、エンジン制御部としても問題ない。この場合、システム制御部に自己決定フラグを設け、所定の処理を行うこととなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム全体を制御する第1制御手段と、画像形成処理を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置であって、
前記第1制御手段は、
画像形成を開始するための開始要求を前記第2制御手段に出力する開始要求出力手段と、
前記第2制御手段から出力される同期信号に従って画像形成するための画像データを前記第2制御手段に出力するデータ出力手段とを備え、
前記第2制御手段は、
前記第1制御手段からの前記開始要求に対して、同期信号を生成し、前記第1制御手段に出力する同期信号出力手段と、
前記同期信号に応じて前記第1制御手段から出力される前記画像データに従って画像形成を実行する実行手段と、
前記同期信号を出力してから前記第1制御手段から出力される次の開始要求までの期間を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定された前記期間に従って前記画像形成装置の機種を特定する機種特定手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2制御手段は、
前記画像形成装置の機種が特定されているか否かを表すフラグを備え、
前記測定手段は、前記機種が特定されていないことを前記フラグの値が表す場合に、前記期間を測定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記同期信号出力手段は、
前記機種が特定されていることを前記フラグの値が表す場合には、特定された前記機種に対応するタイミングで前記同期信号を出力し、
前記機種が特定されていないことを前記フラグの値が表す場合には、予め定められたタイミングで前記同期信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記機種特定手段は、
前記画像形成装置の機種を特定すると、前記フラグに前記機種が特定されていることを表す値を設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記フラグは、前記第1制御手段と前記第2制御手段とが最初に接続された後に設定可能となることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2制御手段は、前記期間と、前記機種とを対応付けたテーブルを予め記憶した記憶手段をさらに備え、
前記機種特定手段は、前記テーブルを用いて、測定された前記期間に従って前記機種を特定することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記同期信号出力手段は、主走査同期信号及び副走査同期信号を出力し、
前記測定手段は、前記副走査同期信号と前記開始要求と期間を測定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
システム全体を制御する第1制御手段と、画像形成処理を制御する第2制御手段とを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記第1制御手段において、画像形成を開始するための開始要求を前記第2制御手段に出力する開始要求出力ステップと、
前記第2制御手段において、前記第1制御手段からの前記開始要求に対して、同期信号を生成し、前記第1制御手段に出力する同期信号出力ステップと、
前記第1制御手段において、前記第2制御手段から出力される同期信号に従って画像形成するための画像データを前記第2制御手段に出力するデータ出力ステップとを備え、
前記第2制御手段において、前記同期信号に応じて前記第1制御手段から出力される前記画像データに従って画像形成を実行する実行ステップと、
前記第2制御手段において、前記同期信号を出力してから前記第1制御手段から出力される次の開始要求までの期間を測定する測定ステップと、
前記第2制御手段において、前記測定ステップによって測定された前記期間に従って前記画像形成装置の機種を特定する機種特定ステップと
を実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−204194(P2010−204194A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47017(P2009−47017)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】